JP5550141B2 - 磁気光学式欠陥検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、たとえば航空機、原子力発電プラントなどの機器、構造物の劣化を非破壊で探傷する分野に用いられる磁気光学式欠陥検出方法に関する。
強磁性体からなる材料の探傷分野では、材料を励磁して材料表面の欠陥近傍に生じる磁束密度の変化を、すなわち欠陥部から生じる漏洩磁界を、磁気光学効果を有するビスマス置換鉄ガーネット膜などの磁気光学膜に磁気転写し、欠陥部分を光学的に検出する欠陥検出方法が知られている。磁気光学材料にはファラデー効果が大きく、良品質な単結晶が得られる液相エピタキシャルビスマス置換鉄ガーネット膜が一般的に用いられている。このビスマス置換鉄ガーネット膜の磁化容易軸は、膜面に対して、垂直な垂直磁化膜が一般的に用いられている。この他にも磁化容易軸として、膜面と平行にしたものもある。この方法は渦流探傷に比べて広いエリアの欠陥部の有無を観察できる。この種の磁気光学効果を利用した探傷検査は、特許文献1などにて報告されている。
特許第2672912号公報
磁気転写可能な欠陥部の空間分解能は主に磁気光学膜の磁区の幅に依存することが知られている。ファラデー効果の大きなビスマス置換鉄ガーネット膜など、一般に磁化容易軸は膜面に対して垂直であり数から数十ミクロンの垂直磁気ドメインが形成されている。よって、それ以下の空間分解能で磁束密度の変化を観察することは困難であり、実際にはさらに1〜2桁大きな数百ミクロンから数ミリサイズの欠陥部の検出が報告されている程度である。また、被検査物に印加する磁界の強さを制御するため、コイル・電磁石等を用いているので、その構成が複雑で大型化し、さらに、磁界の強さの調整も煩雑である。よって、簡単な構成で、高分解能で広い範囲の被検査物の探傷を行えないという課題がある。
さらに、磁気光学材料として一般に用いられる液相エピタキシャルビスマス置換鉄ガーネット膜は、膜面に垂直な磁化方向を有するストライプドメインからなり、外部磁界の変化により磁壁が移動し、ドメインの面積比が変化する。したがって、空間分解能はドメインのサイズに依存するため低く、わずかな磁界でドメインが大きく動くために、欠陥部を検出するために外部磁界の大きさを調整する必要がある。
一方、ドメインの移動を伴わない、面内方向に磁化容易軸を有する膜を用いる方法もある。この場合、外部磁界の変化により磁化が回転し、磁場強度分布をアナログに検出することができるため、外部磁界の大きさを調整する必要はなく、高い空間分解能で欠陥部を検出することができる。
しかし、垂直方向の飽和に要する磁界が大きくなるため、単位磁界あたりのファラデー回転角の変化が小さくなる。したがって、検出可能な磁界の分解能は光学的な信号を検出する光学装置に大きく依存するという新たな問題を生じる。
さらに面内膜の外部磁界がない状態での磁区を観察すると、わずかに垂直磁化成分が存在することがわかる。これは、結晶磁気異方性によるものであるが、基板全体では、そのドメインは、左上から右下への縞状模様を形成している。これは、基板のストリエーションの模様と同様であり、格子定数の変動により逆磁歪を通して磁気特性が変動しているためである。
よって、光学的な信号強度を低減することなく、高空間分解能で欠陥部を検出するようにしたいという課題がある。
上記の課題を解決するため、本発明の磁気光学式欠陥検出方法は、(1)被検査物に磁界を印加して、その表面の欠陥部に生じた漏洩磁界を、被検査物に近接させた磁気光学素子に透過させた光の磁気光学効果により検出する磁気光学式欠陥検出方法において、前記磁気光学素子が複数のピクセルに分離され、基板上にアレイ化されており個々のピクセル内で一つの磁区を形成している磁気光学膜を用い、前記磁気光学膜は、膜面に対して垂直方向に磁化容易軸を有し、磁界印加手段により前記個々のピクセルの磁化方向を揃え、次いで、前記被検査物表面の直交方向に掃引磁界を印加するようにした。
本発明は膜面に垂直な方向に磁化容易軸を有する磁気光学膜を、複数のピクセルに分割したピクセルアレイを磁気光学式欠陥検出用の磁気光学素子として利用する。個々のピクセルは角型の磁気ヒステリシスを有しており自己保持する。つまり、ストライプドメインは存在せず個々のピクセル内で一つの磁区を形成しているため、高分解能の検出が可能となる。
記磁気光学膜は、膜面に対して垂直方向に磁化容易軸を有し、磁界印加手段により前記個々のピクセルの磁化方向を揃え、次いで、前記被検査物表面の直交方向に掃引磁界を印加するようにしたので、各ピクセルにおける磁化方向は膜面に垂直に上あるいは下の方向を向いている。このとき各ピクセルの状態は、光学的には偏光子、検光子を通して白色あるいは黒色の2値情報として観察される。また各ピクセルは、ある一定以上の外部磁界の印加により磁化方向がスイッチング(反転)する。そこで、最初に所定方向に閾値以上の磁界を印加して各ピクセルの磁化方向を揃える。次いで、被検査物の表面に垂直方向に外部から磁界を印加する。このとき、表面全体から漏洩磁界が発生するが、ピクセルアレイの位置において、欠陥部を有する部分は欠陥部がない部分に比べて磁束密度が小さく、外部磁界を掃引した際にそれぞれの位置でピクセルのスイッチングする外部磁界の大きさが異なるので、欠陥部を検出することが可能となる。
従来のピクセル化していない連続膜を用いた磁気光学探傷の実用上の検出空間分解能は、数百ミクロン程度である。これは、膜面垂直方向に磁化容易軸を有するべた膜が利用されていたためであり、空間分解能がストライプドメインの幅に制限されたためである。また、この膜では磁壁の移動を伴うため、ヒステリシスがあり、動作速度が遅いことなども課題であった。これらの点に関して、ピクセルアレイを用いた探傷を考えた場合、空間分解能はピクセルの寸法で規定される。本発明のようにピクセルアレイの場合は、空間分解能は、ピクセルサイズ,ピッチに依存し、フォトリソグラフィー技術を用いれば数ミクロンが可能である。さらにピクセルで区切られることから長距離の磁壁移動を伴わない磁化方向のスイッチング応答であり、磁気ヒステリシスはなく、応答性も早くなる。また、光学的な出力信号は2値であり、膜のファラデー回転角の変化を最大にして利用できる。
さらにまた、面内に容易軸を有する連続膜は高い空間分解能を有するが、飽和に要する磁界が大きいため、微小な磁界強度の変化を検出する場合、ファラデー回転角の変化が小さくなり光学的な出力信号強度の変化が小さくなるので、垂直磁化膜を用いることで優位性が発揮する。
ピクセルアレイを用いた欠陥検出において、欠陥部を明瞭に観察するためには、ピクセルの反転磁界を大きくして、そのばらつきを小さくすることが好ましい。このようにすると、被検査物に対して大きな磁界を印加して、欠陥部を有する部分と欠陥部のない部分からの漏洩磁束密度の変化を大きくすることができるためである。しかし、励磁可能な外部コイルに限界がある場合には、ピクセルアレイの反転磁界の大きさを小さくすることが必要であるが、ピクセル化後にアニールを行うと調整が可能である。
垂直方向に磁化容易軸を有する連続膜の場合、小さな磁界強度の変化で磁気飽和してしまうため、外部磁界を大きくして検出することは困難である。また、面内方向に磁化容易軸を有する連続膜の場合は、応力誘導磁気異方性などを制御することにより飽和に要する磁界を大きくすることは可能であるが、単位磁界あたりのファラデー回転角の変化が小さくなるため、実質的には効果が期待できない。これらのことからも、この発明のようにピクセル化した垂直磁化膜を用いることで優位性が発揮する。また、後述するように面内磁化膜であっても、ピクセル化することで、ピクセル化しない連続した面内磁化膜に比べると優位性がある。
(2)前記磁界印加手段は電磁石であり、その電磁石により前記掃引磁界を印加するとよい。このようにすると、各ピクセルの磁化方向を揃えるための初期処理のための磁界印加手段と、掃引磁界を印加する手段が共通化できるので、簡易な構成の装置で欠陥検出が行える。
(3)前記磁気光学膜がビスマス置換鉄ガーネットから構成すると良い。
本発明では、光学信号の出力を低下させることなく、高空間分解能で欠陥部を検出できるようになる。また、ピクセルの反転磁界(検出磁界)を大きくすることにより、漏洩磁界変化を大きくして検出することができるため、さらに高感度で検出することが可能となる。
本発明に係る磁気光学式欠陥検出方法を実施するための磁気光学探傷装置(垂直磁化膜を用いた装置)の全体構成の一例を示す図である。 ピクセルアレイ状の磁気光学効果素子を示す斜視図である。 ピクセルアレイ状の磁気光学効果素子の磁気特性を示す図である。 ピクセルアレイ状の磁気光学効果素子を偏光顕微鏡で見た一例である。 動作原理を説明する図である。 動作原理を説明する図である。 実験結果を示す図である。 実験結果を示す図である。 本発明に係る磁気光学式欠陥検出方法を実施するための磁気光学探傷装置(面内磁化膜を用いた装置)の全体構成の一例を示す図である。 動作原理を説明する図である。 動作原理を説明する図である。 本実施形態の効果を説明する図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。図1は、本発明に係る磁気光学式欠陥検出方法を実施するための磁気光学探傷装置の全体構成の一例を示している。この図では、被検査物1の表面にキズ等の欠陥部2があるか否かなどの状態を検査する磁気光学式探傷システムの一例を示している。被検査物1は、強磁性体からなり、例えばフェライトなどである。
図示するように、被検査物1の表面側に、磁気光学素子10を配置する。磁気光学素子10は、SGGG基板等の透明単結晶基板11の表面に磁気光学膜である磁気ガーネット膜12を成膜し、さらにその磁気ガーネット膜12の表面に金属反射膜13を成膜した積層構造をとる。透明単結晶基板11にSGGG基板を用いた場合、磁気ガーネット膜12は、LPE法などで形成できる。本実施形態では、この磁気ガーネット膜12は、図2に示すように、膜面に垂直な方向に磁化容易軸を有する磁気光学膜を、複数のピクセルに分割したピクセルアレイの構造としている。具体的には、液相エピタキシャル法により作製した厚さ数ミクロン(例えば1ミクロン)のBi置換鉄ガーネット膜(この状態ではストライプドメインを形成している)を、フォトレジストを用いてピクセルアレイ状にパターン化したのち、ドライエッチングによってピクセル間ギャップにあたる膜を除去して溝12bを形成する。各ピクセル12aは、格子状に形成される溝12bで区切られて形成される。このピクセルアレイ状の寸法形状の一例としては、例えば各ピクセル12aのピクセルサイズは12μm四方の正方形とし、ピクセルピッチは16ミクロンとすることができる。もちろんこれ以外のサイズでも良い。また、反転磁界の大きさは、上記のようにしてピクセルアレイ状にした磁気ガーネット膜12に対し、所定の温度(例えば1010℃)でアニールを行うことで小さくできる。なお、図2では、便宜上、ピクセルアレイ状の磁気ガーネット膜12における2つのピクセル12aの上にのみ反射膜13を形成しているが、実際には全てのピクセル12aの上に形成される。
磁気ガーネット膜12からなる個々のピクセル12aは、図3(a)に示すように角型の磁気ヒステリシスを有しており自己保持する。つまり、ストライプドメインは存在せず個々のピクセル12a内で一つの磁区を形成し、それぞれの磁化方向は膜面に垂直に上あるいは下の方向を向いている。このように個々のピクセル12aが磁気的に自己保持するため、磁気ガーネット膜12に光学的に2値情報を持たせることが可能となる。光学的には偏光子、検光子を通して白色あるいは黒色の2値情報として観察される。図4は、上記の構成からなるピクセルアレイ状の磁気ガーネット膜12を偏光顕微鏡で観察した結果であり、図から明らかなように、ピクセルごとに白色或いは黒色となっており、個々のピクセルはシングルドメインとなっていることが確認できる。
図3(a)に示すように個々のピクセル12aは、角形の磁気ヒステリシスを有していることから外部からの磁界が反転磁界Hswを超えると、磁化方向が反転する。この反転磁界の一例としては、200Oeとなる。ピクセルアレイ全体で磁化曲線を描くと、図3(b)のようにスイッチング磁界がある特定の幅ΔHswを有しており、この幅は、ピクセル間の磁気的相互作用、形状のムラ、欠陥部の有無などに影響を受ける。
被検査物1の表面と直交する方向に磁界を印加できる外部コイル20を配置する。外部コイル20は電磁石を構成し、その外部コイル20への通電量並びに通電方向を制御することで、個々のピクセル12aに印加する磁界の向きと強さを調整できる。
さらに本実施形態の磁気光学探傷装置は、この磁気光学素子10に対し、図中上方からレーザ出力装置などの光源部14から出射される光を偏光子15を介して直線偏光にして照射し、金属反射膜13で反射した反射光を検光子16を介してCCDカメラ等の受光部17で受光する構成をとる。上述したように、各ピクセル12aの磁化方向が「上向き」或いは「下向き」となっているので、偏光子15と検光子16の光の透過軸方向を適宜に設定しておくことで、上述したようにいずれの状態であるかが「白色」と「黒色」の2値情報として光学的に認識できる。
次に、係る構成の磁気光学探傷装置を用いた磁気光学式欠陥検出方法の一実施形態を説明する。まず、ピクセル12aの反転磁界以上の磁界を印加し、すべてのピクセルの磁化方向をそろえる。これにより、全てのピクセルは、光学的に例えば黒色の状態になる。次いで、外部コイル20への通電方向を反対向きにし、徐々に通電量を増加するように掃引する。これにより、磁気ガーネット膜12(ピクセル12a)に対し、磁化方向を判定させる方向の磁界が印加し、徐々にその磁界の強さが増加するので、個々のピクセル12aに対して印加される磁界の強さが反転磁界を超えると、磁化方向が反転し、光学的に見ると白色に変化する。各ピクセル12aに印加される磁界は、外部コイル20により発生される磁界と、被検査物1の表面からの漏洩磁界の合成磁界となり、欠陥部2の有無により漏洩磁界の強さが異なることから、欠陥部の部分に対向しているピクセルと、欠陥部のない部分に対向しているピクセルの反転するタイミングが相違する。
すなわち、図5に示すように、ピクセルアレイ状の磁気ガーネット膜12を備えた磁気光学素子10を被検査物1の表面側に対向させ、外部コイルを用いて試料に対して一様な磁界を印加する。磁界印加方向は試料表面に対して垂直とする。この外部コイル20から発生される磁界は、磁気光学素子10はもちろんのこと、その下に位置する被検査物1に対しても印加されることになる。そして、欠陥部のない部分からの漏洩磁界Hbaseに比べて欠陥部からの漏洩磁界Hdef は小さくなる。従って、外部コイル20による磁界Hcと、漏洩磁界の方向が同じとすると、欠陥部のない部分に対向するピクセルに印加する磁界H1は、
H1=Hc+Hbase
となり、欠陥部のある部分に対向するピクセルに印加する磁界H2は、
H2=Hc+Hdef
となる。よって、
Hbase>Hdef
より、
H1>H2
となる。その結果、図6に示すように、欠陥部のない部分では、外部コイル20による印加磁界の強度Hcが比較的低くても、合成時間は反転磁界Hsw以上となるので対向するピクセルの磁化方向が反転するが、係る外部コイル20による印加磁界が低い場合には欠陥部のある部分に対向するピクセルに印加される合成磁界は反転磁界Hswに達せず磁化方向も反転しない。
よって磁界を掃引していくと、最初に欠陥部のない通常の部分が反転して白色となり、次に、欠陥部の部分が反転する。このように欠陥部の有無によりピクセルの磁化方向が反転するタイミングが相違するので、磁界を掃引しながら各ピクセルの状態を確認することで、欠陥部の有無を認識できる。また、欠陥部の深さ等の状態・状況によっても漏洩磁界Hdef は相違するので、欠陥部の状態を判定することもできる。しかも、欠陥部の有無等の判断は、各ピクセル12aの反転を光学的に認識することで行うことができ、しかも、白色/黒色の2値であることも相まって簡単な画像認識処理を用いて自動判定することも可能である。
<実験結果>
被検査物1として、表面に直径1mmの穴をあけたフェライト基板を用いた。図7は、この被検査物1に、表面に対して垂直方向に磁化した場合の表面での漏洩磁束密度の垂直成分を計算した結果である。欠陥部のない周囲部に比べ、欠陥部では漏洩磁束密度が小さくなることが確認できる。
上述した実施形態で説明したように、外部コイル20を所定方向に通電し、全てのピクセルの磁化方向が同一方向に向くようにし、その後逆方向に磁界を掃引して徐々に印加する磁界の強度を高くし、ピクセルがスイッチングする様子を偏光顕微鏡で観察した。開始当初は、全てのピクセルが「黒色」となるように調整されており、図8に示すように、外部磁界の増加とともに、欠陥部のない表面に対向するピクセルが磁化方向が反手して白色として観察され、さらに、欠陥部に対向するピクセルでも、その表面からの削り量が浅い部分に対向するピクセルから徐々に反転する。図8から明らかなように、写真中央の円形の欠陥部が反転磁界の分布として観察された。
また、上述した実施形態では、磁気ガーネット膜12の各ピクセルの磁化方向は垂直方向としたが、本発明はこれに限ることはなく表面と水平な方向に磁化する面内磁化膜にも適用できる。すなわち、面内磁化膜にした場合の検出原理を簡単に説明すると、以下の通りである。まず、図9に示すように、被検査物1の表面側に、磁気光学素子10を配置する。磁気光学素子10は、SGGG基板等の透明単結晶基板11の表面に磁気光学膜である磁気ガーネット膜12を成膜し、さらにその磁気ガーネット膜12の表面に金属反射膜13を成膜した積層構造をとる。本実施形態では、この磁気ガーネット膜12は、磁化容易軸(図9中、二点鎖線の矢印)が面内を向いている面内磁化膜としている。すなわち、本実施形態の磁気ガーネット膜12は、膜面垂直方向の飽和に要する磁界(例えば、400[Oe])が面内方向の飽和に要する磁界(例えば、50[Oe]以下)に比べて大きいものを用いている。
この磁気光学素子10に対し、図中上方からレーザ出力装置などの光源部14から出射される光を偏光子15を介して直線偏光にして照射し、金属反射膜13で反射した反射光を検光子16を介してCCDカメラ等の受光部17で受光する構成をとる。図2(a)に示すように、磁気ガーネット膜12内の磁化の方向が、面内を向いている場合に、直線偏光を磁気ガーネット膜12に照射すると、金属反射膜13で反射して戻ってきた反射光の偏波面は回転しない。
従って、偏光子15と検光子16の透過容易軸が90度回転した状態になっているとすると、係る反射光は、検光子16を通過できず、受光部17における受光レベルは0となり、CCDカメラで撮像した場合には、暗くなる(黒色)。一方、図2(b)に示すように、磁気ガーネット膜12内の磁化の方向が、膜面に対して垂直方向を向いている場合に、直線偏光を磁気ガーネット膜12に照射すると、金属反射膜13で反射して戻ってきた反射光の偏波面は90度回転する。従って、係る反射光は、検光子16を通過し、受光部17における受光レベルは大きく、CCDカメラで撮像した場合には、明るくなる(白色)。なお、磁化の方向が図示のように垂直でなく、斜めになっている場合には、偏波面の回転角度もそれに応じたものとなり、反射光の一部が検光子16を通過して受光部17で受光される。
さらに、本実施形態では、欠陥部の有無にかかわらず面内磁化膜である磁気ガーネット膜12内の磁化の向きは、回転して斜め/垂直になる。そして、その回転の程度は、欠陥部の有無や深さにより変わる。よって、磁気光学素子10(磁気ガーネット膜12)に直線偏光を照射した場合の反射光の偏波面は、必ず回転するが、その回転角度は被検査物1の状態によって異なることになる。従って、例えば、係る回転角度の相違に対応して受光部17での受光量が変化するようになっていれば、欠陥部の有無等の探傷を行うことができるので、一般的な偏光子と検光子のように透過容易軸が90度回転している必要はない。
そして、実際の検査においては、被検査物1に磁界を印加する手段として、外部コイル20を用い、被検査物1内の磁化の方向は、垂直面内で上方を向くようになる。これに伴い、被検査物1の上面からは、上方に向けた磁束が出現し、それを受けた磁気ガーネット膜12内の磁化の向きは、面内と平行な方向から上方に所定角度回転する。
つまり、外部コイルに通電しない状態では、磁気ガーネット膜12の磁化の向きが、面内方向を向いているので、反射光の偏波面も回転しないが、本実施形態のように永久磁石を被検査物1の裏面側に、一方の磁極が対向するように配置することで、磁気ガーネット膜12の磁化の向きが、面内方向に対し所定角度で傾斜し、それに伴い反射光の偏波面も所定角度回転する。
このとき、図11に示すように、被検査物1の上方に漏洩する漏洩磁界の向きは、欠陥部2の有無に関係無く磁気ガーネット膜12の膜面と垂直方向で一定となる。そして、図3に示すように、欠陥部2があると、欠陥部がない部分に比べて被検査物1内の磁束の進む方向に存在する磁性体の量が少なくなり、また、欠陥部2の部分が磁気ガーネット膜12と磁性体である被検査物1との間のギャップとなるので、係る欠陥部2の有無により、磁気ガーネット膜12に印加される磁界の強度が異なる。それに伴い、磁気ガーネット膜12の磁化の向きの回転量も相違し、その結果、偏波面の回転角度も相違する。
従って、欠陥部2の有無により、偏波面の回転角度が相違するので、検光子15を通過する光量に差が生じ、CCDカメラからなる受光部16で撮像した画像データは、図11に示すように、欠陥部2に対向する領域R1は光量が小さく暗くなり、欠陥部のない部分に対向する領域R2は光量が大きく領域T1と比べると相対的に明るくなる。よって、明暗の程度の差から欠陥部の有無を弁別できる。この欠陥部の有無の判断は、撮像した画像データを画像認識しても良いし、受光レベルを閾値と比較し、閾値以下であれば欠陥部と判断するようにしたりすることができる。よって、被検査物1に対し、欠陥部の深さ方向に対して平行(磁気ガーネット膜12の膜面と垂直)に磁化させた場合でも、欠陥部の漏洩磁界の乱れを検出できる。しかも、漏洩磁界は、欠陥部2の方向に依存しないので、欠陥部の2次元形状がそのまま磁気転写されることになるので、多重き裂も無理なく探傷できる。
さらに、欠陥部2の深さにより、磁気ガーネット膜12に印加される磁界の強さも異なる。つまり、欠陥部2が深いほど、磁界の強さは弱くなる。そして、磁気ガーネット膜12は、面内磁化膜としているため飽和磁界が大きく、欠陥部の深さに対応した磁化の向きの回転角ひいては偏波面の回転角度の変化を、多値に検出することができる。従って、本実施形態では、欠陥部2の2次元形状のみならず、深さまでも定量化できる。
さらにまた、欠陥部のない領域の方が、欠陥部のある領域よりも磁界の強さが大きくそれに伴う回転角も大きいが、いずれの領域でも磁気飽和しない範囲に位置するようにする。これにより、被検査物1に印加する磁界の強さの調整が特に不要となる。そして、面内磁気膜で飽和磁界が大きく磁界検出領域が広くなるので、欠陥部の深さにより、磁界の強さが変わり、回転角ひいては受光部17での受光量が変わることがわかる。よって、受光部17にて受光量を多値検出することで、欠陥部の深さも定量化できる。
面内方向に磁化させた磁気ガーネット膜12を用いた検査方法の基本的な動作原理は上述した通りである。ところで、面内磁化膜と言っても、外部磁界がない状態で磁区を観察すると、わずかに垂直磁化成分が存在することが分かる。これは、結晶磁気異方性によるものである。このとき、基板全面を1つの大きい領域とした場合、全領域に渡って磁化方向が同じになっているわけでなく、図12(a)に示すように磁化方向がうねった状態となり全体として縞状模様のドメインを形成している。これは、基板のストリエーションの模様と同様であり、格子定数の変動により逆磁歪を通して磁気特性が変動しているためである。このため、欠陥部の検査のために外部コイル20に通電して垂直方向に磁界を印加しても、印加当初は、面内方向での磁化方向のうねりの形態を変更(磁壁の移動)することが行われ、その後に、上述した磁化方向の立ち上がりが行われることになり、ストリエーションによる磁気特性の変動、つまり磁壁移動のピンニングが大きい場合、迅速かつ適切な欠陥部の検出処理が行えないおそれがある。
これに対し、本発明では、図12(b)に示すようにピクセルアレイ状に小さく区分けているため、各ピクセル12aにおける磁化の向きもきれいに揃うとともに、外部コイル20による磁界を印加した場合に、印加当初の面内方向への磁壁の移動が抑制でき当初から各ピクセル12aにおける磁化方向を垂直方向に傾ける動作が行われ、迅速かつ適切な欠陥部の検出処理を行うことができる。
また、磁化容易軸が面内を向いている面内磁化膜を用いた欠陥検出方法では、印加する磁界の強さを変化させる必要性はないので、例えば図9中2点鎖線で示すように永久磁石21を用いても良い。
1 被検査物
2 欠陥部
10 磁気光学素子
11 透明単結晶基板
12 磁気ガーネット膜
12a ピクセル
12b 溝(ピクセル間ギャップ)
13 金属反射膜
20 外部コイル

Claims (3)

  1. 被検査物に磁界を印加して、その表面の欠陥部に生じた漏洩磁界を、被検査物に近接させた磁気光学素子に透過させた光の磁気光学効果により検出する磁気光学式欠陥検出方法において、
    前記磁気光学素子が複数のピクセルに分離され、基板上にアレイ化されており個々のピクセル内で一つの磁区を形成している磁気光学膜を用い、
    前記磁気光学膜は、膜面に対して垂直方向に磁化容易軸を有し、磁界印加手段により前記個々のピクセルの磁化方向を揃え、
    次いで、前記被検査物表面の直交方向に掃引磁界を印加することを特徴とする磁気光学式欠陥検出方法。
  2. 前記磁界印加手段は電磁石であり、その電磁石により前記掃引磁界を印加することを特徴とする請求項1に記載の磁気光学式欠陥検出方法。
  3. 前記磁気光学膜がビスマス置換鉄ガーネットから構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気光学式欠陥検出方法。
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