JP5548900B2 - 複数の属性を利用したWebページ推薦方法 - Google Patents
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Description
例えば、飲食店情報検索サイトなどで飲食店を探す場合に、当該サイトに掲載されている飲食店の情報が非常に多い場合は、サイトを訪れたユーザが自分の要求にあった飲食店の情報までたどりつくことは必ずしも容易ではない。このため、訪れたユーザに対してそのユーザが望んでいると推測される飲食店のWebページを候補として推薦することが重要となる。
一方、後者は、一般のアクセス履歴中のパターンを解析するために、ユーザには特別な労力を求めず、全てのユーザから同レベルの情報を得ることが可能となるため、前者に比べると導入が容易で評価のばらつきも少ないと言える。
しかし、Webページの数が膨大になると、LCSを抽出する方法であってもパターンの種類が多くなり、アクセスパターンをそのまま利用する方法と同様に、十分な頻度を持ったパターンを抽出することが困難となる。
一方、コンテンツの内容や性質を定量化し、ユーザごとに評価値を予測するモデルも提案されているが(非特許文献4参照)、実際の事例に適用するためにどのように定量化するかが課題となっている。
[ステップ1]
まず、ユーザのアクセス履歴中に含まれるIPアドレス情報とクッキー情報を基に同一ユーザであると判定されたWebページアクセス履歴を結合することによって、ユーザセッションを抽出する。ここでは、ユーザセッションはWebページのIDのシーケンスとなる。図1では、同じIPアドレス(IP1)を持つWebページのアクセス履歴を結合し、ユーザセッションA−F−B−Dを抽出している。
[ステップ2]
次に、抽出されたユーザ1からユーザnまでの全てのユーザセッションに対して、その任意の2セッションに含まれるLCSを算出し、その頻度情報とともに蓄積する。図1の例では、ユーザセッションの組A−F−B−DとA−B−C−DからはそのLCSであるA−B−Dを、別のセッションの組であるA−B−C−DとB−A−C−DからそのLCSであるA−C−Dと、B−C−Dを得ている。
[ステップ3]
推薦の対象となる現在のアクティブセッションと、上で求め蓄積しておいたLCSを比較し、推薦候補を得る。図1の例では、ユーザXのアクティブセッションA−Bに対して、蓄積されているLCSの中のA−B−Dの前半とパターンマッチし、推薦候補のWebページDを得ている。
また、属性を利用するため、新規のWebページを含むアクティブセッションを対象にすることも、新規のWebページを推薦することも可能となる。
なお、本発明に係るWebページ推薦方法は、Webサイトに残るユーザのアクセス履歴を解析することによって行うものであり、Webページのアクセス履歴を蓄積することが前提となっている(ステップ0)。Webページのアクセス履歴を蓄積する方法は既存の技術にて可能であるので、ここでは詳しくは述べない。また、この方法は、所定のコンピュータプログラムがインストールされたWebサイトを運用するWebサーバ(図示せず。)によって実行される。従って、Webページのアクセス履歴は蓄積されていることを前提として、以下説明する。
まず、従来のWebページ単位のLCS抽出方法と同様に、ユーザのアクセス履歴からユーザセッションを抽出する(ステップ1)。
次に、ユーザセッション中に含まれるWebページのシーケンスを各Webページの持つ属性をベクトルで表現したもの(以下、「属性ベクトル」という。)のシーケンスに変換する(ステップ2)。図2の例では、ページAが、(α1,β2,γ1)という属性を、ページBが(α3,β1,γ2)という属性を、ページDが(α3,β3,γ2)という属性を、ページFが(α3,β2,γ1)という属性を持っており、A−F−B−Dというユーザセッションは、(α1,β2,γ1)−(α3,β2,γ1)−(α3,β1,γ2)−(α3,β3,γ2)という属性ベクトルのシーケンスに変換されたことを示している。
なお、Webページから、それが有する属性を抽出する方法としては、例えば、ページの記載内容からキーワード検索で行ったり、予めページを作成する段階でメタ情報等で属性を埋め込んでおいたりすることが考えられる。
さらに、そのLCSを用いた推薦においても、属性ベクトルを用いることで、アクセス履歴には含まれなかったWebページであっても推薦することが可能となる。図2の例では、アクティブセッションのWebページP、Qや、推薦対象のWebページRのように、アクセス履歴に含まれていないページの場合にも推薦可能である。
なお、ページ推薦の具体的な方法であるが、PというページとQというページを見たユーザに対して、本発明に係る方法によって次にRというページを推薦することになった場合、今見ているQのページの中に、Rのページに関する情報を含めることが考えられる(例えば、Rのページのクリッカブルなサムネイルを置くこと。)。これは、PのページからQのページに行く(クリックして進む)時に、Qの中にRのページを含んだ形のページに進むことで実現できる。また、クッキーを使用すれば、Qのページの中に動的にRのページの情報を埋め込むことができるので、さらに柔軟な対応が可能となる。
一般に、各Webページは複数の属性を持つことが想定できる。1属性だけを用いると、その属性に偏って推薦を行ってしまうため、ユーザに対して適切なページに誘導できない可能性がある。
そこで、本発明に係る方法では複数の属性のベクトルを用いることとした。この複数の属性として、どのような種類の属性で、どのような粒度を用いるかが重要となる。
次に、ユーザセッション中に含まれるWebページの集合を各Webページの持つ属性をベクトルで表現したもの(以下、「属性ベクトル」という。)の集合に変換する(ステップ12)。図4の例では、ページAが、(α1,β2,γ1)という属性を、ページBが(α3,β1,γ2)という属性を、ページDが(α3,β3,γ2)という属性を、ページFが(α3,β2,γ1)という属性を持っており、A−F−B−Dというユーザセッションは、[(α1,β2,γ1),(α3,β2,γ1),(α3,β1,γ2),(α3,β3,γ2)]という属性ベクトルの集合に変換されたことを示している。
さらに、その頻出集合を用いた推薦においても、属性ベクトルを用いることで、アクセス履歴には含まれなかったWebページであっても推薦することが可能となる。図4の例では、アクティブセッションのWebページP、Qや、推薦対象のWebページRのように、アクセス履歴に含まれていないページの場合にも推薦可能である。
Webページ推薦が有用であると想定されるWebサイトにおいて、推薦対象となる各Webページが持つと思われる属性の候補を考えてみると以下のようなものを挙げることができる。
(1)飲食店のWebページ:業態、平均予算、エリア、口コミ数、個室有無等
(2)旅館やホテルのWebページ:ホテル/旅館の別、宿泊代、エリア、温泉の有無等
(3)マンションや賃貸物件のWebページ:賃貸料、広さ、エリア、新築/中古の別等
(4)ニュースや記事などのWebページ:記事種類、記事タイトル、日時等
(5)本やCDなどの商品のWebページ:ジャンル、著作者、価格、発行年、サイズ等
(6)音楽ダウンロードサイト等における楽曲のWebページ:ジャンル、歌手名、価格、発表年等
[カテゴリ]
飲食店推薦における「業態(洋食、和食、居酒屋などの分類)」や本・CD推薦における「ジャンル」が代表的で、主に質的データになる。このカテゴリの分け方は、その推薦の行われているWebサイトの検索の仕様であることが多い。
[範囲]
飲食店推薦における平均予算、ホテル推薦における宿泊代、マンション推薦における賃貸料等が代表的な量的データである。ユーザの希望では下限や上限、あるいは両方が決まっているなど、ある一定の範囲を取ることが多い。
[距離]
飲食店推薦におけるエリアや、ホテル推薦におけるエリア、マンション推薦におけるエリアになる。単なる位置的情報以外にも「駅から○○分」といった形の形式を取ることもある。
[評価]
各推薦における人気ランキングやアクセス数ランキングなどである。過度に重視すると、特定のWebページに推薦が偏る可能性が有り、取り扱いに注意すべきである。
[付加情報]
飲食店推薦における「個室有り、駐車場の有無、喫煙・禁煙の可否の区分」や、マンション推薦における「風呂トイレ別」など、持っていることに対して特定のユーザのみがメリットを感じる情報である。
上記で大別した属性のタイプのうち、「評価」と「付加情報」は扱いに考慮が必要なことから、この実施例では、「カテゴリ」、「範囲」、「距離」という3つの属性を評価の対象とする。
Webページの各属性には分類の粒度(細分化の単位)がある。例えば飲食店Webページにおける[カテゴリ]の属性は飲食店の業態にあたるが、和食、洋食、中華といった大きな分類から、和食の中でも、懐石、割烹、寿司、田舎料理といった細かな分類まである。[距離]であるエリアも、東京の中でも、新宿、渋谷といった広いレベルから、新宿西口・都庁前、新宿三丁目・新宿御苑周辺、渋谷道玄坂・神泉といった少し狭いレベルまである。
[範囲]である食事の平均予算も、四捨五入でまるめて、100円単位から、500円単位、1000円単位といった粒度にすることができる。
属性の粒度を変えた場合に抽出されるLCSの関係を考えると、一般には、図6に示すように、粒度を粗くするほど得られるLCSの長さは長くなり、LCSの種類も多くなる。
なお、この比較の上では、もっとも粒度が小さいのは、属性に着目しないWebページ単位の場合となる。
また、上で解析したように、粒度が粗いほどLCSの種類が増え、長さが長くなっていることも分かる。LCSが長くなればなるほど、アクティブセッションと共通の属性を含む可能性が高くなるため、推薦できるアクティブセッションの割合も高くなり、推薦すべき属性を包含する可能性も高くなる。
また、得られるLCSが多くなればなるほど、推薦すべき属性を包含する可能性も高くなるが、属性が粗くなるため、推薦すべきではないWebページを含む確率も上がる。これらは情報検索の分野における、適合率と再現率の関係と同じと考える。属性を粗くしすぎると、再現率は上昇するが、適合率は下がる可能性がある。つまり、両者はトレードオフの関係にあると言え、最も良い粒度の属性を調整する必要がある。
評価対象のデータとして、前述の飲食店サイトへの2008年11月1日付けのリクエストに対するアクセス履歴を用いた。このアクセス履歴に含まれるクッキー情報を用いてアクセス履歴を繋ぎ合せることでユーザセッションを作成した。少ないWebページにしかアクセスしないユーザセッションでは推薦に利用できないと考え、作成したユーザセッションの内、セッション中にアクセスしたアイテム数が3以上のセッション40,312セッションを対象にした。推薦に対して良い属性の粒度を求めることを主眼とし、実行時間に限りがあることから、上記のセッションの内、ランダムに1,000セッションを抽出し、そのセッションの総当たりを行いアクセスしたWebページでのLCSの抽出と、セッションを業態、平均予算、エリアの属性に変換してLCSの抽出を行った。抽出したLCSを用いて、非特許文献6に記載されているWRAPL−FL法を用いて推薦を行った。この方法は、あるアクティブセッションに対して推薦を行う際に、まず、あらかじめLCSを抽出しておき、次に、抽出したLCSとアクティブセッションに共通するWebページを抜き出し、LCSからその共通部分の最後までを除去する。
例えば、アクティブセッションがA−B、LCSがA−C−B−A−Dだと仮定すると、LCSからA−C−B−Aの部分を除去し、推薦候補となるDを得る。このようにして、除去して残ったWebページに対して出現頻度分の得点を加算し、全てのLCSとの得点加算が終了したときに、得点の一番高かったWebページを推薦候補とするものである。評価のため、2009年8月21日にアクセスのあった1,000セッションをテストセットとし、そのユーザセッション中の前2アクセスをアクティブセッションとし、その後に実際にアクセスしたWebページを正解ページの集合として扱った。
実験結果に対して以下に定義する適合率(Precision)、再現率(Recall)、およびF値(F-measure)を用いて評価を行う。
[定義式]
Precision=|Recom∩Eval|/|Recom| (∩:積集合)
Recall=|Recom∩Eval|/|Eval|
F-measure=2×Precision×Recall/(Precision+Recall)
ここで、Recom、Evalは、それぞれ、対象アクティブセッションから導かれた推薦ページの組、対象アクティブセッションに続いて実際にアクセスされた正解ページの組を表す。適合率(Precision)は、推薦されるページ数に対する正解ページ数の割合、再現率(Recall)は、評価セットのページ数に対する正解ページの割合を表す。F値は適合率と再現率の調和平均である。
表3から分かるように、Webページ単位でのLCSによって推薦を行うと、再現率・適合率共に最も低くなる。これは、ユーザセッションから求めたアクセスパターンに対して、アクティブセッションのユーザのアクセスパターンの方が多すぎた為と思われる。
また、小業態・小エリア・100円単位平均予算を用いた方法について、Webページ単位で推薦した場合よりも適合率は上昇したものの、再現率については、ほとんど変化がなかった。
これは、サンプリングによって差が出にくかったことと、Webページに対する粒度の粗さの違いがあまりなかったことを示していると思われる。しかし、さらに粒度を粗くしていくと適合率・再現率ともに上昇した。これは粒度による影響が表れていることを示している。
さらに粒度を粗くすると適合率が下がり始めるが、これは前述したように粒度を粗くしすぎたことにより推薦すべきでないWebページも含まれるようになってしまったためではないかと思われる。ただ、ここでの評価の範囲では、F値としては粒度を上げても上昇している。
以上のことから、推薦を行うWebページの属性の選択、および選択した属性の粒度が推薦に大きく影響することが言える。上記の実験ではカテゴリ、範囲、距離のタイプの属性を考慮したが、対象とするWebページによっては、ここで検討したような属性が必ずしも存在するとは限らない。この属性の選択や粒度を自動的に調節することができれば、推薦精度を更に向上させることができるはずである。
例えば、複数の属性について属性間の距離を考慮したり、対象とする属性に優先順位を付けたりする方法が考えられる。
このほか、上記実験では平均予算に関しては、範囲をいくつかに区切って用いたが、ユーザにとっては「予算は5,000円以下」というような指定はあっても、「5,000円でなければならない。」といった要求は少ないと考える。そこで範囲のパラメータについては、事前にクラスタリングを行い、そのクラスタにしたがって本発明に係る方法を適用することで、更に効率の良い推薦を行うことも可能である。
さらに、上述のような属性に加えて、Webページの持っているテキストデータや画像から抽出されるデータを使って推薦を行うことも考えられる。例えば、テキストデータに含まれる「有機野菜」、「アットホームな雰囲気」といった特長語は、ユーザが店舗を検索する際に重要な要素となり得ると考えられる。
Claims (7)
- Webサイトを訪れたユーザ(X)のアクティブセッションを解析して、前記ユーザ(X)に対して次にアクセスすべきWebページ(R)を推薦するための、プログラムされたコンピュータによる、Webページ推薦方法において、
前記Webページ(R)が複数の属性情報1を有するものであり、
前記Webページ推薦方法は、前記コンピュータが、
複数のユーザ(1〜n)のアクセス履歴から、前記複数のユーザ(1〜n)の複数のWebページ(A)に関するユーザセッションを抽出するステップ1と、
前記複数のWebページ(A)から複数の属性情報2を抽出し、前記ユーザ(1〜n)の前記ユーザセッションを、前記複数のWebページ(A)の前記属性情報2の属性ベクトル列に変換するステップ2と、
前記ユーザ(1〜n)間における前記属性ベクトル列の頻出Webページ間関係を抽出するステップ3と、
前記Webサイトを訪れた前記ユーザ(X)のアクティブセッションから、前記アクティブセッションに含まれるすべてのWebページの属性情報3を属性ベクトルとして抽出し、前記抽出された属性ベクトルと、前記頻出Webページ間関係の一部とを比較し、一致する前記頻出Webページ間関係の部分1が存在した場合に、当該一致した前記部分1を除いた部分2の属性ベクトルを有するWebページ(R)を推薦するステップ4と、
を備えたことを特徴とする複数属性を利用したWebページ推薦方法。 - 前記ステップ3における前記頻出Webページ間関係の抽出を、LCSアルゴリズムを用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の複数属性を利用したWebページ推薦方法。
- 前記ステップ3における前記頻出Webページ間関係の抽出を、相関ルールマイニング法を用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の複数属性を利用したWebページ推薦方法。
- 前記属性情報(1又は2)に加え、前記Webページ(A又はR)の持っているテキストデータ又は画像から抽出されるデータを属性情報として使用して前記推薦を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の複数属性を利用したWebページ推薦方法。
- 前記推薦するWebページ(R)の候補が複数ある場合は、その複数候補に順位を付け候補を絞るステップ5を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の複数属性を利用したWebページ推薦方法。
- 前記ユーザ(1〜n又はX)のクッキー情報を利用して、前記ユーザ(1〜n又はX)のアクセスしている前記複数のWebページ(A又はR)に、動的に推薦情報を埋め込むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の複数属性を利用したWebページ推薦方法。
- Webサイトを訪れたユーザ(X)のアクティブセッションを解析して、前記ユーザ(X)に対して次にアクセスすべきWebページ(R)を推薦することをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記Webページ(R)が複数の属性情報1を有するものであり、
前記コンピュータプログラムが、前記コンピュータに、
複数のユーザ(1〜n)のアクセス履歴から、前記複数のユーザ(1〜n)の複数のWebページ(A)に関するユーザセッションを抽出するステップ1と、
前記複数のWebページ(A)から複数の属性情報2を抽出し、前記ユーザ(1〜n)の前記ユーザセッションを、前記複数のWebページ(A)の前記属性情報2の属性ベクトル列に変換するステップ2と、
前記ユーザ(1〜n)間における前記属性ベクトル列の頻出Webページ間関係を抽出するステップ3と、
前記Webサイトを訪れた前記ユーザ(X)のアクティブセッションから、前記アクティブセッションに含まれるすべてのWebページの属性情報3を属性ベクトルとして抽出し、前記抽出された属性ベクトルと、前記頻出Webページ間関係の一部とを比較し、一致する前記頻出Webページ間関係の部分1が存在した場合に、当該一致した前記部分1を除いた部分2の属性ベクトルを有するWebページ(R)を推薦するステップ4と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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