JP5528052B2 - 放射線撮像装置及び同装置に用いるファントム装置 - Google Patents

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Description

本発明は、放射線を用いて対象物を撮像する放射線撮像装置及び同装置に用いるファントム装置に係り、とくに、トモシンセス法に基づいて対象物のパノラマ画像などの画像を取得する放射線撮像装置及び同装置で用いるキャリブレーション用のファントム装置に関する。
近年、トモシンセシス法(tomosynthesis)に依る被検体の断層撮影法が盛んに行われるようになっている。このトモシンセシス法の原理はかなり古くから知られているが(例えば特許文献1を参照)、近年では、そのトモシンセシス法に依る画像再構成の簡便さを享受しようとする断層撮影法も提案されている(例えば特許文献2及び特許文献3を参照)。また、歯科用及びマンモグラフィでその例が多数見られるようになっている(例えば特許文献4、特許文献5、特許文献6を参照)。
従来、このトモシンセシス法を好んで適用した医用撮像装置の1つの歯科用のパノラマ撮像装置がある。このパノラマ撮像装置は、検出器の動きの制約上、撮像空間に機械的に設定される軌道に従った断層面(基準断層面と呼ぶ)を有し、この基準断層面に焦点が合うようになっている。このため、歯列が基準断層面に沿って位置したときにのみ、再構成される画像はぼけることはない。しかし、歯列が基準断層面からずれている場合、画像はぼける。したがって、不鮮明な部分を精度良く見たい場合は、ボケた部分が鮮明に見えるように被検体の位置決めをやり直してデータの再収集を行うか、ボケた部分の口内撮影を施して、より鮮明な画像を得ていた。
その一方で、近年、特許文献7のように、画像を高速(例えば300FPS)に収集できる検出器を使用して、その検出データをすべてコンピュータに取り込み、トモシンセシス法を用いて、断層面をソフト的に自在に変えることができるX線パノラマ撮像装置が開発されている。この装置の場合、予め、検出器の検出面(X線の入射面)に平行な複数の断層面の距離の情報(ゲイン)を、ファントムを用いて求めるか、理論計算で求める。撮像時には、X線管及び検出器の対を被検体の顎部の周囲に回転させながらデータ収集を行う。このときの回転中心の位置は、歯列に対して接近したり離れたりする。収集されたデータは、上述の距離の情報を用いたトモシンセシス法をソフトウエア処理することで、ボケの少ない画像が作成される。
特開昭57−203430 特開平6−88790 特開平10−295680 特開平4−144548 特開2008−11098 米国特許公開 US2006/0203959 A1 特開2007−136163
上述した特許文献7に記載のパノラマ撮像装置の場合、トモシンセシス法の対象となる複数の断層面が検出器の検出面に平行である仮定し、パノラマ画像を作成している。このため、別の断層面のパノラマ画像を作成するなど、断層面を変更したときに、画像の拡大率が変わるため、この変化に因る歪が画像の縦方向(歯列の上下方向)に生じる。画像がデジタル化されてからは、少なくとも基準断層面に歯列が正確に位置決めされた時に、前歯の中心だけは縦横の両方向に共に歪のない画像は作ることは可能ではある。しかし、この位置決めの条件から外れた場合、必ず画像に歪が発生する。また、歯列が基準断層面に沿って位置していない場合、再構成されたパノラマ画像には横方向のボケも生じる。したがって、焦点の合ったボケの少ない画像が作成されたとしても、画像の縦方向に歪が生じているため、画像上で2点の距離が正しく描出されていない。むろん、その2点間の距離も正確に計測できない。
この歪は、データ収集時において、縦方向の拡大率がX線管・検出器の対の歯列に対する回転角度に応じて変わることに起因する。勿論、断層面を変えたときにもこの歪は生じる。したがって、特許文献7に記載のパノラマ撮像装置の場合、作成されたパノラマ画像は定量的な計測には不向きであり、またサブトラクションなど時系列の変化を見ることも難しく、その臨床的な用途は限られている。このような理由が、従来のパノラマ撮像装置を真の口内撮影の代替手段としては使えず、歯科用CTには及ばない、一つの理由である。
ところで、パノラマ撮像装置は、各メーカ間で違いがあるのは勿論のこと、同じメーカの製造であっても、その装置毎に機械的な動作にバラツキを有している。特に、X線管と検出器の対を回転させる機構では、そのようなバラツキの影響は誤差として、再構成されるパノラマ画像に影響する。このため、X線管と検出器との間の位置関係、X線管及び検出器の対の回転中心の移動状況、その移動の速度、更には、X線の投影方向などのファクタが設計通りかどうかなどについて、装置毎にチェックし、そのバラツキの情報を持っておくことが必要になる。この情報を得るということは、X線管と検出器の対を回転させる空間(撮像空間)における位置関係を3次元的に把握することを意味する。この情報は装置毎に把握して、得られた情報をパノラマ再構成に反映させるべきであるが、従来、そのような必要性がないと同時に、そのような仕組みも手法も無いのが現状であった。
本発明は、上述の従来の状況に鑑みてなされたもので、例えばメーカが違うことによりX線管及び検出器の回転の軌道に違いがあるような場合でも、X線管と検出器との間の位置関係、X線管と基準断層面の位置関係、更にはX線投影方向などのパラメータを取得して、それらの撮像空間内の位置関係を装置毎に容易に把握できるようにすることを、その目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明は、その1つの態様として、放射線を放出する放射線源と、前記放射線源と対峙して配置され、かつ、前記放射線が入射したときに当該放射線に対応したデジタル電気量の2次元データをフレーム単位で出力する検出器と、前記放射線源と前記検出器の対、前記検出器、又は、前記対象物の何れかを、当該放射線源、当該検出器、及び当該対象物のうちの残りの要素に対して相対的に移動させる移動手段と、前記移動手段により前記放射線源と前記検出器の対、当該検出器、又は、対象物を移動させている間に、前記検出器から出力される前記データをフレーム単位で収集するデータ収集手段と、前記データ収集手段により収集された前記データと、前記放射線源と前記検出器との間に存在する撮像空間に設定される基準断層面とを用いて、前記対象物の撮像部位の3次元画像を作成する第1の画像作成手段と、を備えたことを特徴とする放射線撮像装置において、前記基準断層面の3次元位置を含む前記撮像空間を規定するパラメータをキャリブレーションするためのファントムと、このファントムを前記撮像空間に配した状態で前記放射線源から放射線を放出させたときに前記データ収集手段が収集したデータに基づいてキャリブレーション用の画像を作成する第2の画像作成手段と、前記ファントムが有する既知の量の情報と前記キャリブレーション用の画像から得られた前記ファントムの投影位置情報とに基づいて前記パラメータをキャリブレーションするキャリブレーション手段と、を備えるたことを特徴とする。さらに、前記キャリブレーション手段によりキャリブレーションされた前記パラメータを用いて前記基準断層面をモデル化するモデル化手段と、を備えることもできる。
また、前述した目的を達成するため、本発明は別の態様として、放射線源を放出する放射線源と前記放射線を電気信号として検出する検出器とを対象物を挟んで相互に対向させ、当該放射線源と当該検出器との対を当該対象物の周りに回転させながら、当該放射線源から放出され、かつ対象物を透過した放射線を検出器により電気信号として検出し、この電気信号に基づいて前記対象物の撮像部位の画像を作成する放射線撮像装置における、前記放射線源と前記検出器との3次元な空間的な位置関係をキャリブレーションするためのファントム装置を提供する。このファントム装置は。前記放射線源と前記検出器の3次元的な位置関係のパラメータを取得するための第1のファントムと、前記放射線源と前記放射線検出器の相対的な移動時の、前記対象物に対する3次元的な位置関係のパラメータを取得するための第2のファントムと、を備えたことを特徴とする。
以上のように、本発明によれば、例えばメーカが違うことによりX線管及び検出器の回転の軌道に違いがあるような場合でも、ファントムを使用して、X線管と検出器との間の位置関係、X線管と基準断層面の位置関係、更にはX線投影方向などのパラメータを取得できる。したがって、それらの撮像空間内の位置関係を装置毎に容易に把握できる。
添付図面において、
図1は、本発明の1つの実施形態に係る放射線撮像装置としてのX線によるパノラマ撮像装置の全体構成の概略を示す斜視図。 図2は、実施形態に係るパノラマ撮像装置が対象とする被検体の歯列、その歯列に設定される3D基準断層面、及びX線管と検出器との対が回転するときの回転中心の軌跡を説明する図。 図3は、パノラマ撮像装置におけるX線管、3D基準断層面、及び検出器のジオメトリを説明する斜視図。 図4は、パノラマ撮像装置の電気的な構成の概略を説明するブロック図。 図5は、パノラマ撮像装置のコントローラ及び画像プロセッサが協同して実行する撮像のための処理の概要を示すフローチャート。 図6は、X線管、3D基準断層面、回転中心、及び検出器の位置関係を説明する図。 図7は、フレームデータとパノラマ画像の写像位置との関係を説明するグラフ。 図8は、基準パノラマ画像の一例を模式的に示す図。 図9は、基準パノラマ画像にROIを設定したときの画像の一例を模式的に示す図。 図10は、画像プロセッサが実行する歯の実在する位置・形状を同定する処理の概要を説明するフローチャート。 図11は、X線管と検出器の対の回転中心の変化に伴う3Dパノラマ画像上のZ軸方向の同一位置からX線管への投影角度の違いを説明する図。 図12は、3D基準画像の一例を模式的に示す図。 図13は、3D基準断層面に付加する複数の平行な断層面を説明する斜視図。 図14は、X線管と検出器の対の回転中心の変化に伴う、3Dパノラマ画像上のZ軸方向の同一位置からX線管へ投影したときの複数の断層面上の位置の違いを説明する図。 図15は、同図の(1)、(2)が協働して3D基準画像上の位置毎に最適焦点の断層面を特定する処理を説明する図。 図16は、最適焦点位置の特定処理における周波数解析の結果を例示するグラフ。 図17は、最適焦点位置の特定処理における最適焦点の断層面の位置の一例を示すグラフ。 図18は、断層面位置に応じて変わる周波数特性パターンを例示するグラフ。 図19は、歯の実在する位置が3D基準断層面からずれている状態を説明する図。 図20は、歯を3D基準断層面の位置からその実在する位置へシフトさせる状態を拡大率の大小に応じて説明する図。 図21は、歯を3D基準断層面の位置からその実在する位置へシフトさせる状態を拡大率の大小に応じて説明する図。 図22は、歯を3D基準断層面の位置からその実在する位置へシフトさせる状態を拡大率の大小に応じて説明する図。 図23は、位置同定処理のために3D基準画像上の処理点を移動させる処理を説明する斜視図。 図24は、処理点毎に特定される最適焦点の断層面位置の同定と、その異常な同定を説明する斜視図。 図25は、最適焦点の断層面位置の同定とスムージングより作成された3Dオートフォーカス画像を模式的に示す図。 図26は、3Dオートフォーカス画像を3D基準断層面に投影する処理の概念を説明する図。 図27は、3D基準断層面に投影された画像とそこに設定されたROIとを模式的に説明する模式図。 3Dオートフォーカス画像を基準パノラマ画像の2次元の面に投影する処理の概念を説明する図。 図28は、2D参照画像とそこに設定されたROIとを模式的に説明する図。 図30は、トモシンセス法に基づくパノラマ画像の再構成の原理を説明する図。 図31は、検出器から出力されるフレームデータと投影角度との関係を示すグラフ。 図32は、第1のファントムの概略を説明する斜視図。 図33は、第1のファントムを用いたときのX線管及び検出器との位置関係を説明する図。 図34は、第2、第3、及び第4のファントムの概略を説明する平面図。 図35は、第2、第3、及び第4のファントムの概略を説明する側面図。 図36は、第2のファントムを用いたときのX線管及び検出器との位置関係を説明する図。 図37は、投影角度のずれを説明する図。 図38は、投影角度の実際値の演算する手法を説明する図。 図39は、ファントムを用いたキャリブレーションの概要を説明するフローチャート。 図40は、3D基準断層面のモデル化と測定対象である実体物の位置関係を例示する図。 図41は、ファントムの変形例を説明する斜視図。 図42は、図41に示すファントムを用いたときのX線管及び検出器との位置関係を説明する図。 図43は、ファントムの別の変形例を説明する図。 図44は、図43に示すファントムの概略を示す側面図。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1〜40を参照して、本発明に係る3次元位置同定装置、放射線撮像装置、及び放射線を用いた撮像方法の1つの実施形態を説明する。これらの装置及び方法は、本実施形態では、X線を用いた歯科用のパノラマ撮像装置として実施されているので、以下、このパノラマ撮像装置を詳述する。
図1に、かかるパノラマ撮像装置1の外観を示す。このパノラマ撮像装置1は、被検体の顎部をX線でスキャンし、そのデジタル量のX線透過データから顎部に在る3次元構造の歯列の実際位置(実在位置)を同定し、かつ、その歯列の、後述する拡大率の変化(違い)を補償したパノラマ画像を作成する。この基本性能に加え、このパノラマ撮像装置1は、かかるパノラマ画像から更に種々の形態の表示及び計測を行うことができるなど、画期的な性能を提供することができる。また、被検体にとってはX線の被曝量を減らすことができ、かつ、操作者にとっては使い勝手の良い撮像装置を提供できる。上述の基本性能を得るには、トモシンセシス法(tomosynthesis)を使用している。
このパノラマ撮像装置1の構成の概要を説明する。図1に示すように、このパノラマ撮像装置1は、被検体(患者)Pからデータを例えば被検体Pの立位の姿勢で収集する筐体11と、この筐体11が行うデータの収集を制御し、その収集したデータを取り込んでパノラマ画像を作成し、かつ、操作者(医師、技師など)との間でインターラクティブに又は自動的にパノラマ画像の後処理を行うための、コンピュータで構成される制御・演算装置12とを備える。
筐体11は、スタンド部13と、このスタンド部13に対して上下動可能な撮影部14とを備える。撮影部14は、スタンド部13の支柱に所定範囲で上下動可能に取り付けられている。
ここで、説明の便宜のため、パノラマ撮像装置については、スタンド部13の長手方向、すなわち上下方向をZ軸とするXYZ直交座標系を設定する。なお、後述する2次元のパノラマ画像については、その横軸方向をj軸、縦軸方向をi軸(=Z軸)と表記する。
撮影部14は、側面からみて、略コ字状を成す上下動ユニット23と、この上下動ユニット23に回転(回動)可能に支持された回転ユニット24とを備える。上下動ユニット23は、スタンド部13に設置された、図示しない上下駆動機構(例えば、モータ及びラック&ピニオン)を介して、高さ方向の所定範囲に渡ってZ軸方向(縦軸方向)に移動可能になっている。この移動のための指令が、制御・演算装置12から上記上下動駆動機構に出される。
上下動ユニット23は、前述したように、その一方の側面からみて略コ字状を成し、上下それぞれの側の上側アーム23A及び下側アーム23Bと、その上側、下側アーム23A,23Bを繋ぐ縦アーム23Cとが一体に形成されている。縦アーム23Cが、前述したスタンド部13に上下動可能に支持されている。このアーム23A〜23Cのうち、上側アーム23Aと縦アーム23Cとが協働し撮影空間(実空間)を形成している。上側アーム23Aの内部には、回転駆動用の回転駆動機構30A(例えば、電動モータ及び減速ギヤなど)が設置されている。この回転駆動機構30Aは、制御・演算装置12から回転駆動用の指令を受ける。回転駆動機構30Aの出力軸、すなわち電動モータの回転軸は、上側アーム23Aから下側(Z軸方向下側)に突出するように配置されており、この回転軸に、回転ユニット24が回転可能に結合されている。つまり、回転ユニット24は、上下動ユニット23に垂下されており、回転駆動機構30Aの駆動に付勢されて回転する。
また、回転駆動機構30Aは移動機構30Bに連結している。この移動機構30Bは図示しない電動モータ、ギヤなどから構成されている。この移動機構30Bも、制御・演算装置12から回転駆動用の指令を受けて動作し、回転駆動機構30A、すなわち回転ユニット24をXY面に沿って移動可能に構成されている。これにより、後述するX線管及び検出器の対の回転中心の軌跡を、XY面に沿った所定範囲において2次元的に一定軌道に沿って移動させることができる。
一方、下側アーム23Bは、上側アーム23Aと同一方向に所定長さを有して延設されており、その先端部にチンレスト25が形成されている。このチンレスト25には、バイトブロック26(または単にバイトと呼ばれる)が着脱自在に取り付けられる。被検体Pは、このバイトブロック26を咥える。このため、チンレスト25及びバイトブロック26が被検体Pの口腔部の固定機能を果たす。
回転ユニット24は、その使用状態において、その一方の側面からみて略コ字状に形成された外観を有し、その開放端側を下側に向けて回転自在に上側アーム23Aのモータ出力軸に取り付けられている。詳しくは、横方向、すなわちXY平面内で平行に回転(回動)する横アーム24Aと、この横アーム24Aの両端部から下方(Z軸方向)に伸びた左右の縦アーム(第1の縦アーム、第2の縦アーム)24B,24Cとを備える。この横アーム24及び左右の第1、第2アーム24B,24Cは撮影空間(実空間)に位置し、制御・演算装置12の制御下で駆動及び動作するようになっている。
第1の縦アーム24Bの内部の下端部に放射線放出源としてのX線管31が装備されている。このX線管31は、例えば回転陽極X線管で構成されており、そのターゲット(陽極)からX線を第2の縦アーム24Cに向けて放射状に放射させる。このターゲットに衝突させる電子線の焦点は、径0.5mm〜1mm程度と小さく、したがって、このX線管31は点状のX線源を有する。X線管31のX線出射側には、検出器32に入射する、比較的に細いビーム状のX線を実際の収集用の窓(例えば5.0mm幅の窓)に絞るスリット状のコリメータ33が装着されている。なお、放射線放出源を構成する要素には、このコリメータ33を含めてもよい。
一方、第2の縦アーム24Cの内部の下端部に放射線検出手段としての、X線検出素子を2次元状(例えば、64×1500のマトリクス状)に配置したデジタル形X線検出器32が装備されており、この入射窓から入射するX線を検出する。この検出器32は、一例として、CdTeで作られた、縦長形の検出面(例えば、横6.4mm×縦150mm)を有している。なお、本実施形態はトモシンセシス法を採用しているため、検出器32はその横(幅)方向にも複数のX線検出素子を持つことが必須である。
この検出器32は、その縦方向をZ軸方向に一致させて縦方向に配置される。この検出器32の横方向の有効幅は、前述したコリメータ33によって例えば約5.0mmに設定される。この検出器32は、例えば300fpsのフレームレート(1フレームは、例えば、64×1500画素)で入射X線を、当該X線の量に応じたデジタル電気量の画像データとして収集することができる。以下、この収集データを「フレームデータ」と呼ぶ。
撮影時には、X線管31及び検出器32の対は、被検体Pの口腔部を挟んで互いに対峙するように位置し、その対毎、一体に口腔部の周りを回転するように駆動される。ただし、この回転は単純な円を画く回転ではない。つまり、X線管31及び検出器32の対は、その対の回転中心RCが、図2に示す如く、略馬蹄形の歯列の内側で円弧を2つ繋いだような山形状の一定の軌道を画くように回転駆動される。この一定の軌道は、口腔部の標準的な形状及びサイズな歯列に沿った断層面(以下、3D基準断層面)にX線焦点を合わせ且つその3D基準断層面を追従するように予め設計された軌道である。この3D基準断層面SSにX線焦点を追従させる際、X線管31及び検出器32は3D基準断層面からみたときに必ずしも同一の角速度で回転するわけではない。つまり、この回転は、「歯列に沿った移動」とも呼ぶことができる回転であって、角速度を適宜に変えながら回転している。
3D基準断層面をZ軸方向から見たときのXY面上の軌跡は、上述したように、略馬蹄形を成すもので、図2に一例を示す。この3D基準断層面の軌跡は、例えば文献「R. Molteni, “A universal test phantom for dental panoramic radiography” MedicaMudi, vol. 36, no.3, 1991」によっても知られている。X線管31、3D基準断層面SS、検出器32、回転軸AXz、及び、この回転軸AXzが貫く回転中心RCの幾何学的な位置関係は図3に示すようになる。3D基準断層面SSは検出器32の入射口(X線検出面Ldet:図6参照)に平行であり、Z軸方向に沿った湾曲した断面であって2次元に展開したときには細長い矩形状の断面として設定されている。
図4に、このパノラマ撮像装置の制御及び処理のための電気的なブロック図を示す。同図に示す如く、X線管31は高電圧発生器41及び通信ライン42を介して制御・演算装置12に接続され、検出器32は通信ライン43を介して制御・演算装置12に接続されている。高電圧発生器41は、スタンド部13、上下動ユニット23、又は回転ユニット24に備えられ、制御・演算装置12からの制御信号により、X線管31に対する管電流及び管電圧などのX線曝射条件、並びに、曝射タイミングのシーケンスに応じて制御される。
制御・演算装置12は、例えば大量の画像データを扱うため、大容量の画像データを格納可能な、例えばパーソナルコンピュータで構成される。つまり、制御・演算装置12は、その主要な構成要素して、内部バス50を介して相互に通信可能に接続されたインターフェース51,52,62、バッファメモリ53、画像メモリ54、フレームメモリ55、画像プロセッサ56、コントローラ(CPU)57、及びD/A変換器59を備える。コントローラ57には操作器58が通信可能に接続され、また、D/A変換器59はモニタ60にも接続されている。
このうち、インターフェース51,52はそれぞれ高電圧発生器41、検出器32に接続されており、コントローラ57と高電圧発生器41、検出器32との間で交わされる制御情報や収集データの通信を媒介する。また、別のインターフェース62は、内部バス50と通信ラインとを結ぶもので、コントローラ57が外部の装置と通信可能になっている。これにより、コントローラ57は、外部に在る口内X線撮影装置により撮影された口内画像をも取り込めるとともに、本撮影装置で撮影したパノラマ画像を例えばDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格により外部のサーバに送出できるようになっている。
バッファメモリ53は、インターフェース52を介して受信した、検出器32からのデジタル量のフレームデータを一時的に記憶する。
また、画像プロセッサ56は、コントローラ57の制御下に置かれ、装置側が提供する所定の3D基準断層面のパノラマ画像の作成及びそのパノラマ画像の後利用のための処理を操作者との間でインターラクティブに実行する機能を有する。この機能を実現するためのプログラムは、ROM61に予め格納されている。このため、このROM61は、本発明に係るプログラムを格納する記録媒体として機能する。なお、このプログラムは予めROM61に格納しておいてもよいが、場合によっては、外部システムから通信回線や持ち運び可能なメモリを介して、図示しないRAMなどの記録媒体にインストールするようにしてもよい。
上述した3D基準断層面は、本実施形態では、装置側で予め用意されているものであり、工場出荷前、撮像前、または保守点検時などにキャリブレーションできるようになっている。なお、3D基準断層面は、装置側で予め用意された複数の断層面から撮影前に選択するようにしてもよい。つまり、3D基準断層面としての固定した断面であることには変わりは無いが、かかる選択動作によって、3D基準断層面の位置を、歯列の奥行き(前後)方向の一定範囲で変更可能にしてもよい。
画像プロセッサ56により処理される又は処理途中のフレームデータ及び画像データは画像メモリ54に読出し書込み可能に格納される。画像メモリ54には、例えばハードディスクなどの大容量の記録媒体(不揮発性且つ読出し書込み可能)が使用される。また、フレームメモリ55は、再構成されたパノラマ画像データ、後処理されるパノラマ画像データなどを表示するために使用される。フレームメモリ55に記憶される画像データは、所定周期でD/A変換器59に呼び出されてアナログ信号に変換され、モニタ60の画面に表示される。
コントローラ57は、ROM61に予め格納されている制御及び処理の全体を担うプログラムに沿って、装置の構成要素の全体の動作を制御する。かかるプログラムは、操作者からそれぞれに制御項目についてインターラクティブに操作情報を受け付けるように設定されている。このため、コントローラ57は、後述するように、フレームデータの収集(スキャン)などを実行可能に構成されている。
このため、患者は、図1に示すように、立位又は座位の姿勢でチンレスト25の位置に顎を置いてバイトブロック26を咥えるともに、ヘッドレスト28に額を押し当てる。これにより、患者の頭部(顎部)の位置が回転ユニット24の回転空間のほぼ中央部で固定される。この状態で、コントローラ57の制御の元、回転ユニット24が患者頭部の周りをXY面に沿って、及び/又は、XY面にオブリークな面に沿って回転する(図1中の矢印参照)。
この回転の間に、コントローラ57からの制御の元で、高電圧発生器41が所定周期のパルスモードで曝射用の高電圧(指定された管電圧及び管電流)をX線管31に供給させ、X線管31をパルスモードで駆動させる。これにより、X線管31から所定周期でパルス状のX線が曝射される。このX線は、撮影位置に位置する患者の顎部(歯列部分)を透過して検出器32に入射する。検出器32は、前述したように、非常に高速のフレームレート(例えば300fps)で入射X線を検出し、対応する電気量の2次元のデジタルデータ(例えば64×1500画素)をフレーム単位で順次出力する。このフレームデータは、通信ライン43を介して、制御・演算装置12のインターフェース52を介してバッファメモリ53に一時的に保管される。この一時保管されたフレームデータは、その後、画像メモリ53に転送されて保管される。
このため、画像プロセッサ56は、画像メモリ53に保管されたフレームデータを用いて3D基準断層面SSに撮像焦点を当てた断層像をパノラマ画像(基準パノラマ画像)として再構成(作成)する。つまり、この基準パノラマ画像は、「3D基準断層面SSに沿って歯列が存在していると仮定したときのパノラマ画像」であると定義される。また、この画像プロセッサ56は、この基準パノラマ画像を用いて3次元(3D)画像及び3次元(3D)オートフォーカス画像を作成するなどの処理を行う。この処理の概要を図5に示す。3D基準画像は、「3D基準断層面SSに沿って歯列が存在していると仮定したとき3次元画像」として定義される。3Dオートフォーカス画像は、「3D基準画像からフレームデータ又は基準パノラマ画像のデータを用いて歯列を自動的に最適焦点化した表面画像」として定義される。つまり、この3Dオートフォーカス画像は、ボケが少なく、かつ、歯列の実在位置及びその実際のサイズを精度良く表現した最適焦点画像である。
とくに、3Dオートフォーカス画像は、被検体個々によって異なることが殆どであるという事実を考慮した画像である。実際問題として、個々の被検体の歯列は3D基準断層面SS(図6参照)に沿っていることは無く、3D基準断層面SSから部分的に又は全体的にずれていたり、その面から傾いていたりする。このため、3Dオートフォーカス画像は、個々の被検体の歯列の実際の3次元空間位置・形状を自動的に且つ精度良く同定するとともに、その同定結果から実際の歯列形状を自動的に描出することで作成される。
X線管31(点状のX線源)から照射されたX線は被検体Pの口腔部を透過して、Z軸方向に一定の長さを有する縦長の検出器32により検出される。このため、X線の照射方向は図3,6に示すようにオブリークになる。したがって、歯の実際の大きさとその歯の陰影が検出器32の検出面Ldetに作る投影像の大きさとの比(本実施例では、この比を「拡大率」という)は、回転中心RCの位置に応じて変化する。つまり、図6の例(但し、歯の高さのみについて説明する例)で言えば、歯の実際の高さP1realと検出面Ldet上の高さP1detとの比が回転中心RCの位置に応じて変わる。この回転中心RCの位置は、図2に例示する如く、1回のスキャン(データ収集)の間に変化するように、その軌道が予め設定されている。この理由は以下のようである。図6に示すように、X線管31と検出器32との間の距離Dallは一定に保持され、かつ、回転中心RCからX線管31及び検出器32に至る距離D1,D2も一定に保持される。その一方で、3D基準断層面SSに焦点を合わせたスキャンを行うため、1回のスキャン(データ収集)の間に、回転中心RCの位置の軌道は、馬蹄形状に湾曲している歯列に対して、一例として前述のように山形状(図2参照)に変化するように設計されている。
具体的には、回転中心RCから3D基準断層面SSまでの距離D3と検出器32から3D基準断層面SSまでの距離D4(D3+D4=D2)とがスキャンが進むにつれて変化する。これに応じて、回転中心RCは歯列に近づいたり遠ざかったりするので、X線管31も歯列に近づいたり遠ざかったりする。X線管31のX線源は点状と見做されるので、高さについて言えば、同一高さの歯であっても、X線管31が歯列に近いほど検出面Ldetへの投影像は大きくなる。すなわち、拡大率は大きい。図2の例で言えば前歯部をスキャンするときの方が臼歯部(奥歯側)をスキャンするときに比べて、回転中心RCが歯列に近くなり、その分、拡大率は大きくなる。例えば、図2で言えば、前歯部をスキャンする、例えばX線照射方向0°のときの距離d1は、臼歯部をスキャンする、例えばX線照射方向60°、75°のときの距離d2、d3に対して、d1<d2、d1<d3、d2<d3の関係にある。図2に示す回転中心RCの軌跡はあくまで一例であるが、この回転中心RCが歯列に近づいて遠ざかることは、3D基準断層面SSに焦点を合わせてスキャンするパノラマ撮像装置の場合、通常、当てはまる事項である。
このように拡大率は歯列のどこの歯の部分をスキャンするかによって変わるので、口腔部の構造や時系列的な変化を定量的に解析しようとするときに障害になる。
これに加えて、上述した拡大率の問題は歯列が3D基準断層面SSに沿っているものと仮定して説明したが、実際はそうではないことが殆どである。被検体の実際の歯列は、その全体にせよ部分的にせよ、3D基準断層面SSの位置には無いことが殆どあるので、撮像にはそのことも考慮しなければならない。
従来のパノラマ画像は、上述した拡大率に因る問題及び実際の歯列のずれを考慮しないで作成されている。このため、従来のパノラマ画像から定量的な構造解析は非常に困難であり、被検体毎の様々な形状や位置にある歯列であっても、また、同一被検体の歯列の中の歯の位置の如何に関わらず、高精度に撮像できるパノラマ撮像装置が望まれていた。
そこで、本実施例に係るパノラマ撮像装置は、同一の歯列であっても拡大率が部分毎に異なることに因る画像の歪みを解消しつつ、実際の被検体の歯列の3次元空間位置(形状を含む)を自動的に且つ精度良く同定することを特徴の一つとしている。これにより、従来には無い、極めて位置(形状)の同定精度の高い3次元パノラマ画像を提供することができる。
本実施例では、断層面の画像を得るためにトモシンセシス法(tomosynthesis)を用いている。つまり、スキャンによって一定レートで収集されるフレームデータ(画素データ)のうち、3D基準断層面のXY面に投影される軌跡の各位置について定まる複数のフレームデータを、その位置に応じた量だけ互いにシフトさせて相互加算する処理(シフト&アッド)を用いられる。このため、本実施例で言う「最適焦点」とは、「焦点が一番合っている、焦点ボケが少ない」という意味であり、注目する部位がそれ以外の部位よりも解像度が良い、又は、画像の全体の解像度がより高いことを言う。
基準パノラマ画像が作成されると、そのデータは画像メモリ54に保管されるともに、モニタ60に適宜な態様で表示される。このうち、表示態様などについて、操作器58から与える操作者の意思が反映される。
(撮像空間を規定するパラメータのキャリブレーション) 撮像を説明する前に、図30〜図43を用いて、ファントムを使った、撮像空間を規定するパラメータのキャリブレーションを説明する。このキャリブレーションに伴う処理は、コントローラ57及び画像プロセッサ56が協働して実行される。キャリブレーション専用のプロセッサを設けてもよい。
<再構成の原理> ここで、パノラマ撮像装置における再構成の基本原理を数式的に説明する。
図30(A),(B)は、それぞれ、X線管31と検出器32の回転中心RCがある位置Oに居るときのX線管31の軌道Tsと検出器32の軌道TD、それに歯列の位置関係を示す。同図(A),(B)では投影方向が互いに異なる。ここで、X線管31の焦点位置をS,S、検出器32の幅方向の中心位置をC,C、検出器32の幅方向右端の位置をP、検出器32の幅方向左端の位置をP、X線管31及び検出器32の回転中心RSのある位置をO、X線管の回転半径をR、検出器32の回転半径をRD、回転中心の位置Oから歯列再構成位置までの距離をd、及び、再構成点A,Bの焦点を最適化するためのフレームデータ(検出器32が検出したデータ)のシフト量をXとすると、
(RS+dcosθ):dsinθ=(RS+RD):X
が成り立つので、 X={(RS+RD)/(RS+dcosθ)}dsinθ … (1)
が求められる。
この式(1)から、
ΔX={(RS+RD)/(RS+d)}dΔθ … (2)
が得られ、さらに、
ΔX/Δθ={(RS+RD)/(RS+d)}d … (3A)
θ=f(Fi) … (3B)
が求められる。
式(3A)、(3B)を用いて、 ΔX/ΔFi=(ΔX/Δθ)(Δθ/ΔFi)
と表すことができ、Fiをフレームデータとすると、
ΔX/ΔFi=[{(RS+RD)/(RS+d)}d](Δθ/ΔFi) … (4)
となる。
この式(4)の左辺ΔX/ΔFiはゲイン(スピード値)と呼ばれる、トモシンセス法に従うシフト・アンド・アッドにおけるフレームデータ同士の重ね合わせ量を意味している。また、式(4)の右辺中のR+Rは検出器とX線管との間の距離(検出器・X線管距離)を表し、R+dはX線管と焦点との間の距離(焦点位置・X線管距離)を表している。この結果、ゲイン曲線(スピード曲線)は、検出器・X線管距離R+R、焦点位置・X線管距離R+d、及び、フレームデータと回転角度との関係を表す曲線の傾きΔθ/ΔFi(図31参照)に基づいて演算できる。このゲイン曲線を積分し、前歯の中心を画像の中心位置になるようにすれば、回転角度のそれぞれの位置において焦点の合ったパノラマ画像を再構成することができる。
なお、特開2007−136163に示されているように、上述したゲインΔX/ΔFiの大小は通常の電気回路などのそれとは概念が異なり、ゲインΔX/ΔFiが大きいほど、フレームデータ同士を相互に加算するときのフレームデータの重ね合わせ量は小さくなる。反対に、ゲインΔX/ΔFiが小さくなるほど、その重ね合わせ量は大きくなる。
本実施形態では、焦点の合ったパノラマ画像を再構成するため、検出器・X線管距離R+Rおよび焦点位置・X線管距離R+dなどの諸量を常に精度良く保つようにしている。このため、それらの諸量を適宜なタイミングで測定し、それまでの情報を更新するキャリブレーションを実行している。このキャリブレーションのために、以下に説明するファントムを採用している。
<ファントム> このファントムは、X線管31の位置を測定するための第1のファントム161と、パノラマ拡大率を測定するための第2のファントム171と、投影角度を測定するための第3のファントム171Aとを有する。このファントムは、個々のパノラマ撮像装置の1つの付属品として提供されることもあるし、共通部品として提供されることもある。第1のファントム161、第2のファントム171、及び第3のファントム171Aを合わせてファントム装置が構成される。
<第1のファントム> 第1のファントム161の一例を図32に示す。この第1のファントム161は、検出器32の検出面Ldetに設置されるもので、基板162の面に直交するように植設される4本の支柱163と、この3本の支柱163のうちの2本ずつの先端部を架設する2本の縦バー164と、この2本のバー164同士を所定2箇所の位置で繋ぐ横バー165とを備える。4本の支柱163は例えば直径3.0mm、長さ141mmのステンレス製の棒であり、基板162にネジ止めされる。2本の縦バー164はそれぞれ適度な太さ及び長さ(約200mm)の例えばステンレス製の角柱である。この縦バー164の両端それぞれにおける支柱163の位置から所定距離、例えば50mmの位置において、各横バー165が両縦バー164に架設されている。この横バー165は例えば直径0.8mm、長さ80mmのアルミ合金製の丸棒からなる。
この第1のファントム161を検出器32に装着したときのX線管31との間の幾何学的な位置関係を図33に示す。
この図33において、検出器32に沿った縦方向の基準0mm(検出器の0座標)からの距離(高さ)D2〜D6及び検出器32の検出面と2本の上側、下側横バー165との間の距離DPは既知の量(単位はmm)である。このため、X線管31の基準座標面からの距離(高さ)及びX線管31の位置から検出器32の検出面Ldetまでの距離HXとすると、
HX:(D2-D1)=DP:(D3-D2)
HX:(D6-D1)=DP:(D6-D5)
が成り立つので、これらの関係式から
D1=(D2(D6-D5)-D6(D3-D2))/(D2+D6-D3-D5) … (5)
HX=DP(D6-D2)/(D2+D6-D3-D5) … (6)
が求められる。さらに、検出器32の縦方向の中心位置D4とX線管31との間の縦方向の距離Lは、
L=D4-(D2(D6-D5)-D6(D3-D2))/(D2+D6-D3-D5) … (7)
として演算される。
<第2のファントム及び第3のファントム>
続いて、第2のファントム171及び第3のファントム171Aの一例を、図34,35を用いて説明する。なお、図35は第2のファントム171及び第3のファントム171Aを上方から、すなわちZ軸方向(縦方向)に沿ってXY面を見たときの概略を示し、図34におけるA方向から見た側面図を示す。
なお、この第2及び第3のファントム171,171Aの違いは、後述する位置計測用の丸棒の設置の仕方にある。本実施形態では、第2及び第3のファントム171,171Aは一組のファントムとして提供され、かかる丸棒を移動させることで、第2及び第3のファントムとして使い分けることができる。
この第2のファントム171(及び第3のファントム171A)は、透明でアクリル製の略四角形の板状の基板(厚さは例えば10mm)172と、この基板172の上で抜き差しして移動可能に且つ直立して配置される複数の丸棒173とを備える。複数の丸棒173は、例えば直径0.8mmで長さ50mmのアルミ合金製の直線状の棒体である。この棒体は直線性を長期間維持できる強度を有している。
この丸棒173の本数は、基板172上に刻印した−97.5°〜+97.5°まで離散的な代表する投影方向Drecの数の分だけ用意されている。投影方向Drecは、X線管31と検出器32を回転させながらX線を照射させる方向であり、XY面をZ軸方向から見たときの検出器の幅方向の中心を基準にした投影角度θに相当する。
丸棒173の数は、この例の場合、「15本」である。基板72の上面の各投影方向Drecの所定範囲RAには、丸棒73を着脱自在に抜き差し可能な丸穴174が成形されている。一例として、所定範囲RAに所定間隔の30個の丸穴174(例えば深さ5mm)が形成されている。このため、丸棒73を別の丸穴174に移動させることで、丸棒173の位置を各投影方向Drecにおいて、その前後に変更することができる。複数個の丸穴174は、かかる丸棒173を移動させるときのスケールとして機能する。
第2のファントム171の場合、各丸棒173(173fと表記)が3D基準断層面SSをなぞる位置、すなわち、この3D基準断層面SSをXY面に投影したときの軌跡と投影方向Drec(すなわち投影角度θ(X線管31と検出器32の対を回転させるときの回転角度でもある)の方向)とが交差する位置に挿入されている。
第3のファントム171Aの場合、各丸棒173(173rと表記)は各投影方向Drecの所定範囲RAにおいて、第2のファントム171として使用するときの丸棒173fの位置から投影方向外側に所定距離Dpre(ここでは20mm)離れた位置の丸穴174に差し込まれる。
なお、上述した第1のファントム161もそうであるが、この第2及び第3のファントム171,171Aはカメラの三脚を利用して撮像空間に設置することができる。
この第2のファントム171とX線管31及び検出器32との間の幾何学的な位置関係を図36に示す。同図において、X線管31から検出器32までの距離HX、丸棒173の長さS、各回転位置θにおける丸棒173の下端の検出器32への投影位置D7(θ)、及び、その回転位置θにおける丸棒173の上端の検出器32への投影位置D8(θ)は既知の量であるから、
HX:(Rs+d)=(D8(θ)-D7(θ)):S
が成り立つ。このため、焦点位置・X線管距離R+dは、
(Rs+d)=HX*S/(D8(θ)-D7(θ)) …(8)
から求められる。つまり、第2のファントム171とそのパノラマ画像に写り込んだ投影方向手前の丸棒173fの上下端の位置D7(θ)、D8(θ)の情報とを使って、全ての投影角度θ、すなわち全ての投影方向Drecにおける焦点位置・X線管距離R+dを演算することができる。
なお、第2又は第3のファントム171(171A)において、投影方向Drec毎に2本の丸棒173(173f、173r)を所定距離Dpreだけ離間させて同時に垂設し、これを後述する投影角度測定専用の第4のファントム171Bとしてもよい。
<投影角度の測定>
X線の投影角度の測定には、第2及び第3のファントム171、171Aの両方を使用する。最初に例えば第2のファントム171を使ってデータを収集し、次に第3のファントム171Aを使うときには、丸棒173を差し込み直して移動させればよい。なお、第4のファントム171Bを使って一度にデータ収集し、投影角度θの測定に供することもできる。
最初に、投影角度の測定の意義について説明する。3D基準断層面SSのおけるゲイン(スピード値)は、前述したように、
ΔX/ΔFi=[{(RS+RD)/(RS+d)}d](Δθ/ΔFi)=Gθ(d) … (9)
として与えられる。しかしながら、その途中の演算には誤差が含まれるため、第2のファントム171の3D基準断層面SSの位置に置かれた丸棒173fの投影画像が最も焦点の合うゲインであるため、これを各投影角度θおけるゲインGθ(d)として与える。さらに、各投影角度θにおいて画像焦点が合うときの結像中心の位置に対応するフレームFθも投影角度θを正確に求めるために使用される。回転中心の位置Oから歯列再構成位置までの距離をdがd+dだけ変化したときのゲインGθ(d)(1-d0/(Rs+d))は、
θ(d)(1-d0/(Rs+d))≒(RS+RD)/(RS+d+d0)・Dθ/DFi
…(10)
から求められる。
具体的な投影角度の求め方を説明する。前述の如く、第1及び第2のファントム161,171を用いて2次元のパノラマ投影の焦点距離はほぼ正確に補正することができる。しかしながら、本実施形態のパノラマ撮像装置のように3次元投影を要する場合、それだけでは不十分であり、検出器32の投影角度θ(すなわち投影方向Drec)とフレームデータFiとの関係がマッチしていることが重要である。つまり、どの投影角度θのときにどのフレームデータFiを使用するという関係である。この投影角度θのずれを図37に模式的に示す。
この関係がずれる要因の大きなものは、パノラマ撮像装置を設計するメーカの仕様の違いや装置の機械的な調整のバラツキである。投影角度θとフレームデータFiとの関係がリニアで且つX線管と検出器を結ぶ直線が基準ラインと成す角度が第2のファントム71の各投影方向Drecと一致していれば、3次元再構成処理は容易化される。しかし、投影角度θとフレームデータFiとの関係は通常、リニアではなく、また第2のファントム71で定めた投影方向Drecを呈しないパノラマ撮像装置もある。そこで、以下に説明するように、投影角度θのそれぞれの位置、すなわち歯列のそれぞれの位置を透過するX線の投影角度を測定する必要がある。
この測定の手順を、図38を用いて説明する。同図(A)は、ある投影角度θにおいて3D基準断層面SSのゲインGθ(d)のときに第2のファントム171及び第3のファントム171A(、または、それらに代えて第4のファントム171B)を撮像したパノラマ画像の一部である。なお、この画像は、同ファントム171(171A、171B)の図34における右側を想定している。同図(A)において、左側に見える物体I73fは3D基準断層面SSの位置においた前側丸棒73fの画像であり、これに焦点が合っている。また、右側に見える物体I73rは、3D基準断層面SSよりも20mmという所定距離だけ奥側に置いた後ろ側丸棒173fの画像であり、多少ぼけている(図では、ぼけを幅広にして示している)。上述の投影角度θにおいてX線管31から照射されるX線の投影方向が第2のファントム171のそれと全く同じになっているならば、前側丸棒73f及び後ろ側丸棒173fの画像は互いに重なって描出される。このため、同図(A)に示すように、前側丸棒173f及び後ろ側丸棒173fの両画像が互いに分かれるということは実際のX線投影方向が第2のファントム171で指定している設計方向からずれていることを意味している。しかも、同図の例の場合、投影角度は第2のファントム171のそれよりも大きい(深い)と推定される。
そこで、同図(A)おける前側丸棒173fに拠る画像I73f(つまり3D基準断層面SSの位置を示す画像)のフレームデータFθを記憶する。そして、次のステップとして、フレームデータFθを中心にゲインGθ(d)を大きくして後ろ側丸棒173fの画像に焦点を合わせる。これにより、同図(B)に示すように、後ろ側丸棒173fがより細くシャープな物体としてI73rとして描出される。そこで、同図(B)のパノラマ画像上で両方の画像I73f及びI73rの間の距離Lを実測する。これにより、同図(C)に示すように、前側丸棒173f、後ろ側丸棒173r、及び後ろ側丸棒173rの実際の投影位置I73rの幾何学的な関係が分かる。
そこで、図38(C)の関係を用いると、X線の実際の投影方向はArcTan(L/20mm)度だけ、前側丸棒173fを設計通りに通る方向よりも大きくなっている。このため、図34に示すファントム171(171A、171B)の左半分及び右半分側の部分それぞれについて、
投影角度θ´=ArcTan(L/20mm)+θ … (11)
の式から実際の投影角度θ´が演算される。
また、ファントム171(171A、171B)の中心部、すなわち投影角度0度の丸棒173f、173rについてはパノラマ画像上で上述のように分離しないように、ファントム自体の配置方向を初期設定する。このため、投影角度0度の丸棒73f、73rから左右に振った領域の丸棒について、予め定めた離散的な投影方向のそれぞれの角度の実際値が演算される。
なお、式(10)において、所定距離Dpre=「20mm」は一例を示すものである。この距離Dpreは、投影角度θの検出精度を上げるためにはなるべく大きくし、検出器32の側(つまり、投影方向の奥側)に寄せておく方がよいが、設計などの都合によって適宜な値に設定してよい。
(3Dモデル化)
上述した一連の演算(推定)は図39に示すフローに沿って実行され、それぞれの演算で得られたパラメータに基づいた3D基準断層面SSの3次元モデルを作成する。この3次元モデルにより、撮像空間における3D基準断層面SSのX線管31や検出器32に対する位置関係を把握することができる。
具体的には、最初に、前述した第1のファントム161を検出器32に図示しない冶具で設置し、一定範囲の投影角度又はピンポイントの投影角度で撮像を行う。この撮像は必ずしも全ての投影角度で実施する必要はないので、X線管31及び検出器32の対を被検体の周り全てに又はその大部分にわたって回転させる必要はない。このため、データ収集時間が短くなり、また処理するデータ量も少なく演算負荷も小さくなる。そして、第1のファントム161で与えられる既知の量とパノラマ画像で与えられる情報を使い、式(5)、(6)、(7)に基づいてX線管31の位置情報を求める(ステップS131)。なお、画像再構成は公知のトモシンセス法で行われる。
次いで、第2のファントム171をX線管31及び検出器32の間の撮像空間に例えば三脚で配置し、全ての投影角度の範囲にわたって撮像を行い、その第2のファントム171のパノラマが画像を取得する。そして、このパノラマ画像から得られる位置情報と第2のファントム171の前側丸棒173fに拠る既知の量とから焦点位置・X線管距離R+d及びゲインGθ(d)を式(8)、(9)から演算する(ステップS132)。
上述したステップS132に係る演算は離散的な投影角度θの位置のみで行っている。このため、撮像対象である歯列の離散的なスキャン位置以外の位置においても焦点位置・X線管距離R+d及びゲインGθ(d)を求めた方がよい。このため、ステップS132で演算した値を用いて、かかる離散的なスキャン位置を埋める位置における焦点位置・X線管距離R+d及びゲインGθ(d)を適宜な補間法によって推定する(ステップS133)。これらステップS131〜S132で演算された諸量はメモリに格納される(ステップS134)。
次いで、第3のファントム171Aを撮像空間に例えば三脚で配置し、全ての投影角度の範囲にわたって撮像を行い、その第3のファントム171Aのパノラマが画像を取得する。そこで、この画像における第3のファントム171Aの後ろ側の丸棒173rの位置情報と、ステップS132において取得された第2のファントム171の前側の丸棒173fの位置情報とから、前述した式(11)に基づいて、各丸棒173(173f、173r)を通る投影方向毎に、実際の投影角度θ´を測定(演算)し、その測定値を記憶する(ステップS135)。なお、前側丸棒173fと後ろ側丸棒173rを同時に垂設させた第4のファントム171Bのパノラマ画像を取得し、このパノラマ画像から上述の実際の投影角度θ´を演算するようにしてもよい。
さらに、丸棒173(173f、173r)を通る投影方向以外の投影方向についても、適宜な補間法を用いて投影角度θ´が補間値を得て記憶する(ステップS136)。
次いで、これらステップS131〜S133,S135,S136で取得した情報をパラメータとして、3D基準断層面SSの撮像空間における位置関係を特定するための3次元モデルを作成する(ステップS137)。この3次元モデルの作成の概要を図40に示す。つまり投影角度θ毎に撮像空間上で3D基準断層面SSの投影データを作成し、3D基準断層面SSの3次元モデルを作成する。このステップS137で作成した3次元モデルの情報及びステップS131〜S133,S135,S136で取得した情報は、実際の撮像時のキャリブレーションデータとして取り込まれ、それまでの既存のキャリブレーションデータを更新する(ステップS138)。
図40に例示するように、モデル化した3D基準断層面SSから、X線の斜めの照射方向に沿って投影が行われ、歯列などの撮像対象(実体物)の3次元位置を同定することができる。この位置同定の処理は、後述される。
なお、本発明に係る放射線撮像装置で採用可能なファントムは上述したものに限定されず、上述以外にも様々な構成で実施することができる。以下、この変形例を説明する。
<第1の変形例>
第1の変形例を図41、42に示す。図41に示すファントム181は前述した第1のファントム161の代わりに使用可能である。同図に示すように、この第1のファントム181はアクリル製の例えば断面5mm×5mm、長さ92mmの角柱体でなる。この角柱体の1つ側面上の長手方向における4箇所の既知の位置、例えば下から10mm、24mm、24mm、24mmの4箇所の位置それぞれに、アルミ製又は黄銅製の例えば直径0.6mmの小径ロッド182を取り付けている。この取り付けは、第1のファントム181の表面に例えば直径0.6mmの半円状の削りを入れ、ファントム表面と小径ロッド182の中心とが面一になるようになされる。この第1のファントム181は、その下端の取り付け部183を使って撮像空間に配置される。
この配置がなされたときの撮像空間におけるX線管31、検出器32、及び小径ロッド182の位置関係を図42に示す。同図に示す諸量において距離a,b,c,dは既知の量であり、Hx,Hz,Hf,Efは未知の量である。未知数が4つあるので、
Hz-Hf:Ef=Hz:H+a
Hz-Hf:Ef+e=Hz:Hx+b
Hz-Hf:Ef+2e=Hz:Hx+c
Hz-Hf:Ef+3e=Hz:Hx+d
が成り立つ。これらの式から
Hf/(Hx+a)=(Ef+e)/(Hx+b)
Hf/(Hx+a)=(Ef+2e)/(Hx+c)
Hf/(Hx+a)=(Ef+3e)/(Hx+d)
が導かれ、これらの式から
(Ef+e)/(Hx+b)=(Ef+2e)/(Hx+c)
(Ef+e)/(Hx+b)=(Ef+3e)/(Hx+d)
が求められる。このうち、前者から
Ef=(eHx+2be-ec)/(c-b)
が、後者から
Ef=(2eHx+3be-de)/(c-b)
が求められる。この両式から、
(eHx+2be-ec)/(c-b)=
(eHx+2be-ec)/(c-b)
… (12)
が得られる。
したがって、式(12)からHxが求まるので、その前の式から順次、Ef、Hz,Hfも求めることができる。
これにより、前述した第1のファントム161よりも未知変数が多く、簡単な構造でありながら、X線管31と検出器32までの距離Hzを演算することができる。
(第2の変形例)
この第2のへ変形例を図43、図44を用いて説明する。この変形例は、前述した第1のファントム161及び第2のファントム171に代えて使用可能なものである。図43,44に示すファントム191は、前述した第2のファントム171と同様に、透明でアクリル製の略四角形の板状の基板192と、この基板192の上に移動可能に且つ直立して植設させる複数の角棒193とを備える。この角棒193を用いる点、及び、この角棒193を基板192に植設するための穴194が角形に成形されている点が前述した第2のファントム171と相違するが、その他の構造は第2のファントム171のそれと同一である。
複数の角棒193には、各投影方向Drecにおいてその前側に植設させる前側角棒193fと、その後ろ側に植設させる後ろ側角棒193fとがある。複数の前側角棒193fのそれぞれは、前述した第1のファントム181の小径ロッド182と同様に4本の横置き小径ロッド195を有するほか、この横置き小径ロッド195と同一の部材及び取り付け法により縦形に組み付け縦置き小径ロッド195Vも有する。複数の後ろ側角棒193rのそれぞれには、上記小径ロッド195Vのみを有している。前側角棒192f及び後ろ側角棒192r共に前述した第1のファントム181と同様のサイズを有し、かつ、その下端の取り付け部196を、前記第2のファントム171と同様に位置決めされた角穴194に差し込んで基板192上の植設するようになっている。
このため、前側角棒193fの4つの横置き小径ロッド195によりX線管31の位置を求めることができ、且つ、各投影方向Drecにおける前側角棒193f及び後ろ側角棒193rの2本の縦置き小径ロッド195Vにより、投影角度θ毎に、焦点位置・X線管距離及び投影角度を測定することができる。
なお、上述した変形例に示す構成において、小径ロッドは、X線透過率がファントムの支持部や撮像空間の媒質とは異なる、ある一定の長さを有する要素であったが、かかるX線透過率の条件を満たす限り、小径ロッドに代えて、点状の位置指示用の要素を設けてもよい。
(画像処理)
図5に戻って、コントローラ57及び画像プロセッサ56が協働して実行される処理を説明する。この処理には、上述したように、スキャンによりデータ収集、プレ処理としての基準パノラマ画像の再構成、並びに、メインの処理としての3次元オートフォーカス画像(表面画像)の作成及びその3次元オートフォーカス画像を用いた各種態様に応じた表示や計測などが含まれる。
<データ収集及び基準パノラマ画像の再構成>
まず、コントローラ57は、被検体Pの位置決めなど撮影の準備が済むと、操作器58を介して与えられる操作者の指示に応答し、データ収集のためのスキャンを指令する(ステップS1)。これにより、回転駆動機構30A、移動機構30B、及び、高電圧発生器41が予め設定されている制御シーケンスに沿って駆動するように指令される。このため、X線管31及び検出器32の対を被検体Pの顎部の周囲に回転させながら、その回転動作の間に、X線管31にパルス状又は連続波のX線を所定周期で又は連続的に曝射させる。このとき、X線管31及び検出器32の対は、前述したようにキャリブレーションされた3D基準断層面SS(図6参照)を焦点化するように予め設定されている駆動条件に基づいて回転駆動される。この結果、X線管31から曝射されたX線は被検体Pを透過して検出器32により検出される。したがって、前述したように、検出器32から例えば300fpsのレートでX線透過量を反映したデジタル量のフレームデータ(画素データ)が出力される。このフレームデータはバッファメモリ53に一時保管される。
このスキャンの指令が済むと、処理の指示は画像プロセッサ56に渡される。画像プロセッサ56は、3D基準断層面SSの空間位置に対応したトモシンセシス法に基づくシフト&アッドに拠り基準パノラマ画像PIstを再構成するとともに、その再構成した画像の各画素値を記憶する(ステップS2)。なお、この再構成処理において、従来と同様に、前歯部の中心で縦横の拡大率が同じになるように係数を掛ける処理も実行される。
この再構成の仕方は公知ではあるが、若干説明しておく。この再構成に使用するフレームデータのセットは、例えば図7に示すパノラマ画像の横方向の写像位置とその写像位置の画像を作成するために相互加算するフレームデータのセットとの関係を示す写像特性から求められる。この写像特性を示す曲線は、フレームデータ方向(横軸)において両サイドの臼歯部に応じて傾斜が急な両曲線部分と前歯部に応じて傾斜が臼歯部のそれよりも緩やかな曲線部分とから成っている。この投影特性上で、図示の如く、パノラマ画像の横方向における所望の写像位置を指定する。これに応じて、その写像位置の画像を作成するために使用するフレームデータのセットとそのシフト量(重ね合わせの程度:つまり傾斜度)が求められる。そこで、それらのフレームデータ(画素値)をその指定したシフト量を以ってシフトさせながら相互に加算して、指定した写像位置(範囲)の縦方向の画像データを求める。パノラマ画像の横方向の全範囲に亘って、上記写像位置の指定とシフト&アッドを行うことにより、3D基準断層面SSに焦点を当てたときの基準パノラマ画像PIstが再構成される。
画像プロセッサ56は次いで、この基準パノラマ画像PIstをモニタ60に表示させる(ステップS3)。この基準パノラマ画像PIstの例を図8に模式的に示す。
この基準パノラマ画像PIstは、フレームデータをシフトさせながら相互に加算した画像であるので、矩形状の2次元画像である。拡大率について言えば、前歯部の中心で縦横の拡大率の比が同じになるように係数を掛ける処理を行っているので、従来と同様に、拡大率に因る前歯部の縦横の画像歪はある程度改善されている。しかし、臼歯部に進むにつれて歯の縦横比は崩れてくる。つまり、臼歯部の歯は実寸より縮んで描出される。従来は、多くの場合、このような歪が在るパノラマ画像で我慢していた。
<基準パノラマ画像上でのROI設定>
次いで、画像プロセッサ56は、操作者が操作器58を使って指定した情報に基づいて、基準パノラマ画像PIstにROI(関心領域)を設定するか否かを判断する(ステップS4)。ここで設定するROIは、読影者が特に関心を寄せる例えば矩形状の部分領域である。勿論、ROIは必ずしも矩形でなくてもよい。なお、このROIは、後述するオートフォーカスにより作成したパノラマ画像について設定してもよく、この処理も後述される。
このステップS4の判断がYESとなると、画像プロセッサ56は操作者の操作情報に基づいて基準パノラマ画像PIstにROIを設定する(ステップS5)。次いで、ROIにより設定された部分領域の部分画像を切り出し、その部分画像を例えば拡大して表示する(ステップS6)。この部分画像は、例えば図9に示すように、元の基準パノラマ画像PIstに重畳して表示される。また、この1つ以上の部分画像を上歯、下歯の歯列の模式的に表すようにブロックを所定順に並べた、いわゆるテンプレートに収めるように表示してもよい。
次いで、画像プロセッサ56は処理を終了させるか否かを判断する。この判断は操作者からの所定の操作情報が有るか否かによる(ステップS7)。未だ処理を終了させないと判断した場合(ステップS7、NO)、ステップS4まで戻って上述した処理を繰り返す。一方、処理終了の判断ができた場合、図5に示す処理を終了させる。
一方、画像プロセッサ56は、ステップS4の判断でNOとなる場合、すなわちROIを設定しないと判断した場合、次の判断に移行する。つまり、メインの処理としての3Dオートフォーカス画像を作成するか否かを、操作者の操作情報から判断する(ステップS8)。この作成も行わないと判断した場合(ステップS8、NO)、ステップS7に戻って処理終了か否かを前述と同様に判断する。
<最適焦点の断面位置の特定>
これに対して、3Dオートフォーカス画像を作成すると判断した場合(ステップS8、YES)、ステップS9のサブルーチン処理に移行する。このステップS9で実行される処理は、本発明の特徴の一つを成すもので、オブリークなX線照射方向に起因した歯列のサイズの歪みを補正しながら行なう、自動的な歯列の実存位置・形状の同定処理である。
この実在位置・形状の同定のためのサブルーチン処理を図10に示す。
まず、画像プロセッサ56は、基準パノラマ画像PIst(矩形)を3D基準断層面SS(湾曲面)に平行な湾曲面に座標変換して3Dパノラマ画像を一度、作成する。そして、この3Dパノラマ画像の画素それぞれをX線照射方向DRxに沿って3D基準断層面SSに、断層面変更の演算によりフレームデータを求め、これを座標変換することで投影し、その湾曲した3D基準断層面SSの投影画像を作成する(ステップS51)。この投影像の画素値は画像メモリ54に保管される。
ここで行われる投影は、図11に説明するように、回転中心RC(RC1、RC2)の位置、すなわちX線管31の位置に向けたオブリークな投影方向に沿って行われる。図11の例で言えば、3Dパノラマ画像上の高さ方向(Z軸方向)における同じ位置Pnの画素であっても、X線管31の位置の違いによって3D基準断層面SSの画像上の異なる位置SS1、SS2に投影される。
この投影処理により作成される投影画像を3D基準画像PIrefと呼ぶことにする。この3D基準画像PIrefは、基準パノラマ画像PIstの位置毎に、前述した拡大率を考慮した斜め方向の投影によって作成されている。前歯部の歯の拡大率が大であったものが、その拡大は上述の投影により実サイズに是正され、一方、臼歯部の歯の拡大率が小であったものが、その拡大も上述の投影よりに実サイズに是正される。このため、3D基準画像PIrefは歯の実寸で表示された画像であり、スキャン中に回転中心RCが移動することによる拡大率の大小による歪が除去された画像である。ただし、この3D基準画像PIrefは歯列が3D基準断層面SSに沿って存在すると仮定したときの画像でもある。被検体Pの実際の歯は3D基準断層面SSに沿っていることは稀であるので、後述する更なる実在位置の同定処理が必要になる。
画像プロセッサ56は、その3D基準画像PIrefをモニタ60に表示させ、操作者の参照に供する(ステップS52)。この様子を図12に示す。
この後、画像プロセッサ56は、3D基準断層面SSに、その面に平行な複数の湾曲した断層面を付加する(ステップS53)。この様子を図13に示す。同図には、3D基準断層面SSのX線照射方向DRx(歯列の奥行き方向)の前後それぞれに複数の断層面が付加されている。一例として、3D基準断層面SSの前側に複数の断層面SFm〜SF1を間隔D1(例えば0.5mm)で設定し、その後側に複数の断層面SR1〜SRnを間隔D2(例えば0.5mm)で設定している。間隔D1、D2は同じであっても、互いに相違していてもよい。また、付加する断層面は、3D基準断層面SSの前後に1枚ずつ(m、n=1)であってもよいし、前後の何れかに1枚又は複数枚であってもよい。
なお、この仮想的に付加する断層面SFm〜SF1、SR1〜SRnの位置データは、3D基準断層面SSの位置データと共に予めROM61に格納されているので、これを画像プロセッサ56のワークエリアに読み出すことで、かかる付加が実行される。断層面SFm〜SF1、SS、SR1〜SRnの高さはX線照射方向DRxの最大の傾きと歯列の高さとを考慮して適宜に設定されている。また、同定処理の都度、付加する断層面の位置(間隔D1、D2)及び枚数をインターラクティブに変更するようにしてもよい。
次いで、画像プロセッサ56は、ステップS51で行ったと同様に、X線照射方向DRxの角度を考慮して、基準パノラマ画像PIstを、付加した断層面SFm〜SF1、SR1〜SRnそれぞれに、断層面変更の演算によりフレームデータを求めて、これを座標変換することで投影する(ステップS54)。この結果、付加断層面SFm〜SF1、SR1〜SRnそれぞれの投影画像が作成される。これらの投影像の画素値は画像メモリ54に保管される。
ここで作成される投影画像を3D付加画像PIsfm …, PIsf1, PIsr1, …, PIsrnと呼ぶ。これらの3D付加画像PIsfm, …, PIsf1, PIsr1, …,
PIsrnも、それぞれ、基準パノラマ画像PIstの位置毎に、前述した拡大率を考慮した斜め方向の投影によって作成されている。これを図14の例で言えば、3Dパノラマ画像上の高さ方向(Z軸方向)における同じ位置Pnの画素であっても、X線管31の位置の違いによって3D付加画像PIsfm,
…, PIsf1, PIsr1, …, PIsrnそれぞれの上で異なる位置に投影される。
このため、これらの3D付加画像PIsfm, …, PIsf1, PIsr1, …, PIsrnも歯の実寸で表示された画像であり、スキャン中に回転中心RCが移動することによる拡大率の大小による歪が除去された画像である。ただし、これらの3D付加画像PIsfm,
…, PIsf1, PIsr1, …, PIsrnは歯列がそれぞれの付加断層面SFm〜SF1、SR1〜SRnに沿って存在すると仮定したときの画像でもある。
なお、この作成された複数枚の3D付加画像PIsfm, …, PIsf1, PIsr1, …, PIsrnはそのまま3次元画像として、又は、座標変換した上で長方形状の2次元画像としてモニタ60に表示させるようにしてもよい。
この後、画像プロセッサ56は3D基準画像PIref、すなわち3D基準断層面SSにおける初期位置P(x,y,z)=P(0,0,0)を指定する(ステップS55:図15(A)x、参照)。これが済むと、3D基準画像PIrefにおいて、指定した位置P(x,y,z)を中心とする一定長さの線分Lcを指定する(ステップS56:図15(B)参照)。この線分Lcは2個(n=1,2,3、…;例えば128)分の画素に相当する長さを有する。なお、線分Lcは湾曲する3D基準断層面SSの一部に沿って湾曲していてもよいし、直線と見做せる範囲で設定してもよい。
次いで、画像プロセッサ56は、指定された線分Lc(x,y,z)の画像上の上下に複数本の同一長さの線分Laddを仮想的に付加する(ステップS57:図15(C)参照)。
さらに、上述した線分Lc及び複数の線分Laddのそれぞれを構成する2個分の画素それぞれの画素値Pijを画像メモリ54から読み出し、これを各線分に割り当てる(ステップS58)。この画素値Pijは、前述したステップS51,S54で既に取得して保管していた値である。
次いで、複数の線分Lc及びLaddの対応する画素の画素値Pij同士を加算して、線分Lc(x、y、z)を構成する周波数解析用の2個の画素値Pij を求める(ステップS59:図15(D)参照)。この加算より、線分L(x、y、z)の元の画素値に統計的ノイズが混入している場合でも、その画素値の変化について後述する周波数解析を行なうときの統計的ノイズを低減させることができる。
次いで、画像プロセッサ56は、付加した3D付加画像PIsfmPIsf1, …, PIsf1, PIsr1,
…, PIsrnのそれぞれにおいて、上述の3D基準画像PIref上で現在指定されている線分Lc(x、y、z)が、現在指定されている位置P(x,y,z)を通るX線照射方向DRxにおいて対向する線分Lfm〜Lf1、Lr1〜Lrnの位置を特定する(ステップS60:図15(E)参照)。このとき、線分Lcの現在の中心位置P(x,y,z)及びその長さ、並びに、スキャン中のX線管31の回転位置が分っているので、線分Lcの両端とX線管31とを結んでできる、Z軸方向から見たときに扇状となるX線照射範囲RAを演算できる。このため、位置P(x、y、z)が指定されれば、そのX線照射範囲RAに位置する線分Lfm〜Lf1、Lr1〜Lrnの位置を特定できる。
なお、3D基準画像PIref上に位置P(x,y,z)を指定するステップS60の処理は全部の位置指定が終わるまで繰り返される。このため、実効的には、仮想した断層面SFm〜SF1、SS、SR1〜SRnを、位置が遠近するX線管31から照射されたX線は範囲H1〜H2(Z軸方向の範囲)で扇形に透過していることになる(図15(F))。このため、断層面SFm〜SF1、SS、SR1〜SRnそのものを、その高さがスキャン方向毎に変わり且つ互いに平行な略馬蹄形の断面にとして設定してもよい。
上述のように線分Lfm〜Lf1、Lr1〜Lrnが決まると、画像プロセッサ56は、それらの線分の画素値Pij を画像メモリ54から読み出す(ステップS61)。
図15(E)に示すように、X線管31は点源であるから、X線照射範囲RAは扇状(Z軸方向から見たときに)になっている。このため、線分Lfm〜Lf1、Lr1〜Lrnそれぞれの画素数は2個からずれてしまっている。そこで、画像プロセッサ56は、付加した線分Lfm〜Lf1、Lr1〜Lrnの画素数が基準となる線分Lc(x、y、z)の画素数2個と同じになるように、線分Lfm〜Lf1、Lr1〜Lrnそれぞれの画素数に間隔D1,D2に応じた係数を掛ける(ステップS62)。したがって、図15(G)に模式的に示すように、全ての線分Lfm〜Lf1、Lc、Lr1〜Lrnは互いに平行で且つ同一の2個の画素から構成される。
この後、画像プロセッサ56は、準備された全て線分Lf1〜Lfm、Lc、Lr1〜Lrnの画素の値の変化を周波数解析する(ステップS63)。この結果、線分Lf1〜Lfm、L、Lr1〜Lrnそれぞれについて、図15(H)に示すように、横軸に周波数及び縦軸にフーリエ係数(振幅値)とする解析結果が得られる。
なお、この周波数解析には高速フーリエ変換(FFT)を用いているが、ウェーブレット変換を用いてもよい。また、そのような周波数解析法に代えて、エッジ描出のための一次微分演算を行うソーベルフィルタを用いて等価な処理を行ってもよい。このフィルタを使用する場合、エッジの最大になる断層面の位置を最適焦点位置と見做すことができる。
次いで、全ての線分Lf1〜Lfm、Lc、Lr1〜Lrnに対する周波数解析の結果からノイズを除去する(ステップS64)。図16には、1つの線分に対する周波数解析特性を例示する。解析した最高周波数側の一定範囲の領域の周波数成分の係数は除外し、その残りの高周波数成分の係数を採用する。その理由は、最高周波数側の一定範囲の領域の周波数成分は、ノイズ成分であるためである。
さらに、画像プロセッサ56は、それぞれの線分に対する周波数解析特性の係数を二乗加算するとともに、その二乗加算値を縦軸とし、かつ、初期位置P(x,y,z)=P(0,0,0)をX線照射方向DRxに貫く複数の断層面SFm〜SF1、SS、SR1〜SRnの位置を横軸としたプロファイルとして演算する(ステップS65)。このプロファイルの一例を図17に示す。同図において断面位置とは、複数の断層面SF1〜SFm、SS、FR1〜FRnのX線照射方向DRx(歯列の奥行き方向)の位置である。
図18には、物質がエナメル質、海綿骨、空気、バイトブロックである場合の複数種のプロファイルPR1,PR2,PR3,PR4の典型的なパターンが例示されている。仮に、現在指定している位置P(x,y,z)を通るX線照射方向DRxの何れかの位置にエナメル質の物質、すなわち歯が存在している場合、そのプロファイルPR1はシャープなピークを有する。また、かかるX線照射方向DRxに海綿骨が存在している場合、そのプロファイルPR2はなだらかな凸曲線となる。同様に、かかるX線照射方向DRxに空気しか存在している場合、そのプロファイルPR3は特定のピークを持たない傾向を示す曲線となる。さらに、かかるX線照射方向DRxにバイトブロックが存在している場合、そのプロファイルPR4は、2つのシャープなピークを有する。このうち、X線照射方向DRxの内側(X線管の側)に相当するピークがエナメル質の物質に対するピークを示し、外側(検出器の側)に相当するピークがバイトブロックに対するピークを示す。図18に示すプロファイルPR1〜PR4のパターンを示すデータは、参照プロファイルとして、例えばROM61に参照テーブルとして予め記憶されている。
そこで、画像プロセッサ56は、かかる参照テーブルを用いて、現在指定している位置P(x,y,z)を通るX線照射方向DRxにおける、歯に対する最適焦点の位置を特定する(ステップS66)。
つまり、前のステップS65で求めたプロファイルが参照プロファイルPR1〜PR4の何れに該当するのか、パターン認識の手法で判断する。まず、求めたプロファイルが参照プロファイルPR2、PR4である場合には処理の対象から外す。一方、求めたプロファイルが参照プロファイルPR1(エナメル質)に該当する場合、そのピークを呈する断面位置、すなわち、複数の断層面SF1〜SFm、SS、FR1〜FRnのうちの何れかの位置が最適焦点であるとして特定する。さらに、求めたプロファイルが参照プロファイルPR4に該当する場合、その内側(X線管の側)にピークを呈する断面位置(エナメル質の位置)、すなわち、複数の断層面SFm〜SF1、SS、FR1〜FRnのうちの何れかの位置が最適焦点であるとして特定する。
これらの位置の特定処理により、いま指定している位置P(x、y、z)に描出されている歯の部分が、実際は、奥行き方向のどの位置に在るかを決めたことになる。つまり、3D基準断層面SS上に沿った3D基準画像PIrefに描出された歯の部分は実際には、その断層面SSの前側に在るかもしれないし、後側に在るかもしれない。この実在位置が上述の特定処理により正確に決定される。別の言い方をすれば、3D基準断層面SS上に在ると仮定して描出された3D基準画像PIrefの歯の部分が、上述の特定処理により、実在する位置にシフトされると言える。
この結果、図19〜図22に示すように、位置P(x,y,z)の1回の指定毎に、3D基準断層面SS(3D基準画像PIref)における位置P1がP1real(またはP2がP2real)にシフトされる。とくに、複数の付加断層面SFm〜SF1、FR1〜FRnに設定する線分Lfm〜Lf1、Lr1〜Lrnの位置がX線照射方向DRxのオブリーク角度θを考慮して設定されている。このため、シフトされる位置P1realは、オブリーク角度θが小さい場合(図20(A)、図21(A)参照)よりも大きい場合(図20(B)、図21(B)参照)の方が低くなる。したがって、このシフト位置P1realは、オブリークなX線照射角度θ、すなわち拡大率の大小による歪みが補償されている。なお、図22に示すように、歯が3D基準断層面SSに沿って実在する場合、P1=P1realとなって、歯が位置するものと仮定していた3D基準断層面SSが実在位置として決まる。この場合はシフト量=0のシフトが実行されたことになる。
画像プロセッサ56は、ステップS65において、これらの特定した、歯の実在位置を示すデータを位置P(x,y,z)毎に、そのワークエリアに記憶する。
このようにして、3D基準画像PIref(すなわち3D基準断層面SS)で現在指定されている位置P(x,y,z)、つまり、いまの場合、最初に指定した初期位置P(0,0,0)を通る奥行き方向において歯の一部分(エナメル質)が存在しているか否かの特定(フィルタリング)し、及び、そのような歯の一部分が存在している場合に、その奥行き方向における最適焦点位置の特定が完了する。
これが済むと、画像プロセッサ56は、例えば図23に示す如く、3D基準画像PIref上に予め設定した全ての判断位置Pについて上述した特定処理が完了したか否かを判断する(ステップS67)。この判断は、現在処理している位置P(x,y,z)が最終の位置P(p、q、r)か否かで判定することで行う。この判断がNOとなって、全ての判断位置Pについて特定処理が完了していない場合、画像プロセッサ56は、その判断位置P(x,y,z)を1つ分シフトさせ(ステップS68)、その処理を前述したステップS55に戻し、上述した一連の特定処理を繰り返す。
なお、図23に示すように、複数の判断位置Pは3D基準画像PIref(すなわち3D基準断層面SS)に沿って所定間隔を以って2次元的に予め配置されている。同図の例では、3D基準画像PIrefの縦軸方向i及び横軸方向jに沿って縦横同一の所定間隔dを空けて配置されている。ただし、この所定間隔dは縦軸方向i及び横軸方向jそれぞれにて互いに相違させてもよい。ステップS68の処理におけるシフトの方向は、3D基準画像PIrefに沿った縦、横、及び斜めの何れの方向であってもよい。図23に示すように、3D基準画像PIrefの縦軸方向iに沿ってシフトさせた後、横軸方向jにシフトしてまた縦軸方向iに沿ってシフトさせることを規則正しく繰り返してもよい(図の符号SCを参照)。その逆に、横軸方向jにシフトさせて後、縦軸方向iにシフトさせることを繰り返してよい。さらに、斜め方向にシフトさせてもよい。
その一方で、複数の判断位置Pの全てにおいて上述した一連の判断が終了すると、上述した繰り返し判断の中で前述したステップS67における判断がYESとなる。つまり、3D基準断層面SSの奥行き方向における判断位置P毎に最適焦点の断面位置の検出(最適焦点位置の有無の判断を含む)の処理が完了したことになる。この場合、最適焦点の断面位置の結合処理に移行する。
<最適焦点の断面位置を結合する処理>
上述したステップS67の判断がYESとなると、画像プロセッサ56はステップS65において特定し記憶していた最適焦点の断面位置を表すデータを読み出す(ステップS69)。この断面位置のデータは、それぞれの判断位置P(x、y、z)を通るX線照射方向DRxの位置である。この様子を図24に模式的に示す。同図において、黒丸は3D基準画像PIref(3D基準断層面SS)の判断位置P(x、y、z)を示す。ここで、湾曲した3D基準画像PIrefの縦方向及び横方向を(i, j)と表す。図24において、白丸で示す如く、例えば、i,j=0,0の判断位置P(x00、y00、z00)に対する最適焦点断面位置は内側(X線管の側)に1つ寄った断層面SR1の位置であり、その隣のi,j=0,1の判断位置P(x01、y01、z01)に対する最適焦点断面位置も内側に1つ寄った断層面SR1の位置であり、その隣のi,j=0,2の判断位置P(x02、y02、z02)に対する最適焦点断面位置は内側に2つ寄った断層面SR2の位置であり、といった具合になる。なお、図24は、図を見易くするため、Z軸方向(縦方向)の1つの位置におけるステップS68を示しているが、このZ軸方向の他の位置それぞれについてもステップS68の処理が実行される。
次いで、画像プロセッサ56はノイズの除去を行う(ステップS70)。図24の例で例えば、画像の縦横方向の位置i,j=0,3の判断位置P(x 03 、y 03 、z 03 に対する最適焦点断面位置が外側(検出器の側)にm個も寄った断層面SFmの位置である。このような場合、画像プロセッサ56は、断面位置同士の差分を例えば閾値判断に掛けてノイズであり異常であると見做す。この場合、隣接する断面同士の位置のデータを滑らかに繋がるように例えば平滑化し、その平滑化した新たな位置データに置換する、又は、選択的に検出器の外側に近いデータを優先させる、などの処理を行う。なお、このような置換による補償を行わずに、単に、異常データを処理対象から外すようにしてもよい。この異常データの排除にZ軸方向のデータの異常を加味することも当然可能である。
この後、画像プロセッサ56は、ノイズ除去した位置(すなわちエナメル質の位置)を結合し、この結合した位置のデータを3次元的にスムージングして、エナメル質の部分の形状をトレースした表面画像を作成する(ステップS71)。さらに、この画像プロセッサ56は、この表面画像を、その部位全てが自動的に最適焦点処理に付された3次元パノラマ画像、すなわち3Dオートフォーカス画像PIfocusとしてモニタ60に所定のビュー角度で表示させる(ステップS72)。
これにより、図25に示すように、所定のビュー角度で見た、被検体Pの口腔部の歯列の構造体が最も明瞭に見える輪郭に沿ってできる3Dオートフォーカス画像PIfocusを提供できる。同図において、湾曲している馬蹄形の範囲は、3Dオートフォーカス画像PIfocusを表示するための範囲であり、実線部分が歯列の実際の位置及び形状を表している。A−A´線及びB−B´線で示す如く、歯茎(歯槽骨)の部分や下顎洞、顎関節、頚動脈などは、歯(主にエナメル質)の端部から一定距離にした断層距離をキープし、断層面を作り3D断層面投影する方法も可能である。この場合は、これらの部位が最適焦点になっていることは保証できないが、3Dのパノラマ画像としては、違和感を覚えない画像として再構成可能である。勿論、これらの部位も最適焦点面の計算に工夫を加え、そのまま計算し用いる方法も、診断の目的によっては有り得るのは言うまでもない。
このように、3Dオートフォーカス画像PIfocusは、歯列に沿って湾曲しながらも、その表面はでこぼこしており、この「でこぼこ」により個々の歯の実際の位置及びその形状(輪郭)を画素の濃淡で表している。その他の部分も違和感のない画像として表現できる。
このように個々の被検体Pの歯列の実在位置・形状を表す3Dオートフォーカス画像PIfocusが作成される。
<種々の表示処理>
この後、画像プロセッサ56は、その3Dオートフォーカス画像PIfocusを他の態様で観察する機会を操作者に与える。つまり、画像プロセッサ56は、操作者から操作情報に基づいて、その3Dオートフォーカス画像PIfocusを他の態様でインターラクティブに表示するか否かを判断する。
その一例として、画像プロセッサ56は、3Dオートフォーカス画像(3次元パノラマ画像)PIfocusの部分領域を観察するか否かを判断する(図5、ステップS10)。このステップS10の判断がYESになると、さらに、その部分領域の観察を3D基準断層面SSで行うのか、又は、基準パノラマ画像の矩形面(2次元)で行うのか、操作者からの情報を基づいて判断する(ステップS11)。このステップS11において3D基準断層面SSを使用すると判断されると、画像プロセッサ56は、3Dオートフォーカス画像PIfocusを3D基準断層面SSに、個々の画素を通るX線照射方向DRxに沿って再投影する(ステップS12)。この再投影の様子を図26に示す。この再投影は例えば3D基準断層面の一画素を、対応する3次元の画素をサブピクセルで区切り再投影するサブピクセル法により実行される。
この3D基準断層面SSへの再投影像は、3D参照画像PIproj-3Dとして、モニタ60に表示される(ステップS13)。この3D参照画像PIproj-3Dの一例を図27に示す。
一方、ステップS11において基準パノラマ画像PIstの矩形面を使用すると判断されると、画像プロセッサ56は3Dオートフォーカス画像PIfocusをその矩形面、つまり基準パノラマ画像の面に再投影する(ステップS14)。この再投影も、標準パノラマ画像面の一画素を、対応する3次元の画素をサブピクセルで区切り再投影するいわゆるサブピクセル法により実行されるのは言うまでもない。この再投影の概念を図28に示す。この再投影像は、2D参照画像PIproj-2Dとして、モニタ60に表示される(ステップS15)。この2D参照画像PIproj-2Dの一例を図29に示す。
そこで、操作者は、この3D参照画像PIproj-3Dまたは2D参照画像PIproj-2Dに所望の、例えば矩形のROI(関心領域)を設定する(ステップS16:図27及び図29を参照)。このROIにより指定された部分領域の画像は例えば拡大され、例えば現在表示されている3D参照画像PIproj-3Dまたは2D参照画像PIproj-2Dに重畳表示される(ステップS17)。勿論、この表示は、パノラマ画像とは別個の単独画像であってもよいし、同パノラマ画像との分割表示であってもよいし、歯列を模した複数のブロックから成るテンプレートの1つに収めた表示であってもよい。
この後、画像プロセッサ56はかかる一連の処理を終了するか否かを操作情報から判断し(ステップS18)、この判断がYESの場合は処理を前述したステップS7に戻す。これに対し、NOの場合は処理をステップS10に戻して上述した処理を繰り返す。
その一方で、前述したステップS10において部分画像の観察をしないと判断する場合、画像プロセッサ56は、現在表示されている3Dオートフォーカス画像PIfocusを回転、移動、及び/又は拡大・縮小して表示するか否かをインターラクティブに判断する(ステップS19)。この判断がYESのなる場合、指令情報に応じて3Dオートフォーカス画像PIfocusを回転、移動、及び/又は拡大・縮小し、その画像を表示する(ステップS20,S21)。この後、処理はステップS81に渡され、前述と同様の処理を繰り返す。
勿論、表示態様の種類は上述したものに限定されず、例えばカラー化など、その他の様々な態様を採り得る。
操作者が処理の終了を指示している場合、画像プロセッサ56はステップS18、S7を経て、かかる処理を終了させる。
なお、上述したステップS16の設定処理を行った後、ステップS17の表示処理を行わずに、ステップS19の処理に移行するようにしてもよい。その場合、設定したROIは、回転、移動、拡大・縮小した画像と共にステップS21において表示される。
以上のように、本実施形態によれば、パノラマ撮像空間を3次元的に把握することで、投影方向が3次元的に表現できる。従って、パノラマ画像の焦点が合っている限りは、3次元表現された画像に歪が生じず、正確なパノラマ撮影画像を構築することができる。このことにより、パノラマ画像をより、位置決めの良否に関わらず安定に表示でき、かつパノラマ画像全体で鮮明な画像を作るようなこともできる。
また、本実施形態に係る第1及び第2のファントムを用いて撮像空間のおける3D基準断層面の位置を簡単に把握できる。このため、装置毎に、そして、診療所に据え付けた後にもキャリブレーションを簡単に行えるので、装置毎の個体差や経時的な変化なども補完したキャリブレーションが可能になる。これにより、常に高精度で安定した距離精度の高い画像が得られる。
このようなファントムを用いた計測では、装置のバラツキが抑えられるだけではなくて、装置の軌道がまったく分からないパノラマ装置に対しても、3次元的なパノラマ撮像空間を把握することもできる。そのために、本特徴を生かせる検出器と本発明を適用したソフトウエア(装置)があれば、どのような装置でも本発明の特徴を活かすことができる。
ところで、本発明に係る放射線撮像装置は、歯科用のパノラマ撮像装置に実施するものに限定されず、トモシンセシス法を用いて対象物の内部の3次元的な形状(位置)を把握するものに広く実施することができる。そのような応用として、例えば医療用としては、トモシンセシス法を用いたマンモグラフィ、肺がん検査用スキャナへの用途がある。
なお、本発明は上述した実施形態のものに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさらに適宜に変形可能なものであり、それらも本発明に含まれることは言うまでもない。
本発明によれば、撮像空間の位置関係を規定する3D基準断層面の位置などの情報のキャリブレーションなどを容易に且つ的確に実施でき、対象物を精度良く撮像できる、放射線を用いた医療用の診断機器を提供することができる。
1 歯科用のパノラマ撮像装置(放射線撮像装置)
12 コンピュータ
14 撮影部
31 X線管(放射線源)
32 検出器
33 コリメータ
41 高電圧発生器
53 バッファメモリ
54 画像メモリ
55 フレームメモリ
56 画像プロセッサ
57 コントローラ
58 操作器
60 モニタ

Claims (4)

  1. 放射線を放出する放射線源と、
    前記放射線源と対峙して配置され、かつ、前記放射線が入射したときに当該放射線に対応したデジタル電気量の2次元データをフレーム単位で出力する検出器と、
    前記放射線源と前記検出器を対象物の周りに回転移動させる移動手段と、
    前記移動手段により前記放射線源と前記検出器を前記対象物の周りに回転移動させている間に、前記検出器から出力される前記データをフレーム単位で収集するデータ収集手段と、
    前記データ収集手段により収集された前記データと、前記放射線源と前記検出器との間に存在する撮像空間に仮想的に設定される基準断層面の位置情報とを用いて、前記対象物の撮像部位の3次元画像を作成する第1の画像作成手段と、を備えたことを特徴とする放射線撮像装置において、
    支持部と、当該支持部の既知の位置に設けられた位置指示要素とを有し、当該位置指示要素を、前記放射線に対する透過率を当該支持部及び前記撮像空間の媒質の透過率とは異ならせて構成した第1、第2、及び第3のファントムを備えるとともに、
    前記第1のファントムを、前記放射線源と前記検出器の3次元的な位置関係を取得するように構成し、
    前記第2のファントムを、前記放射線源と前記放射線検出器の前記移動時の、前記基準断層面に対する3次元的な位置関係を取得するように構成し、
    前記第3のフォントムを、前記放射線源から前記検出器に向かって放射される放射線の投影角度を測定するように構成したファントム装置と、
    このファントム装置を前記撮像空間に配した状態で前記放射線源から放射線を放出させたときに前記データ収集手段が収集したデータに基づいてキャリブレーション用の画像を作成する第2の画像作成手段と、
    前記第1、第2、及び第3のファントムが有する前記位置指示要素の前記既知の位置の情報と前記キャリブレーション用の画像に投影された前記位置指示要素の位置情報とに基づいて、前記撮像空間における前記放射線源、前記基準断層面、及び前記検出器の3次元な位置関係をキャリブレーションするキャリブレーション手段と、を備えたことを特徴とする放射線撮像装置。
  2. 前記放射線源は前記放射線としてのX線を照射するX線管であり、
    前記検出器は前記X線管から照射された前記X線を検出する検出器であり、
    前記第1の画像作成手段は、前記3次元画像として、前記データ収集手段により収集されたデータをトモシンセシス法に基づいて処理して前記対象物の撮像部位の焦点を最適化した3次元画像を作成する手段であり、
    前記第2の画像作成手段は、前記データ収集手段により収集されたデータをトモシンセシス法に基づいて処理して前記キャリブレーション用の画像を作成する手段である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の放射線撮像装置。
  3. 放射線源を放出する放射線源と前記放射線を電気信号として検出する検出器とを対象物を挟んで相互に対向させ、
    当該放射線源と当該検出器との対を当該対象物の周りに回転移動させながら、当該放射線源から放出され、かつ当該対象物を透過した放射線を当該検出器により電気信号として検出し、
    この電気信号と当該放射線源及び当該検出器の間の撮像空間に仮想的に設定される基準断層面の位置情報とに基づいて前記対象物の撮像部位の画像を作成する放射線撮像装置において使用され、
    前記撮像空間における前記放射線源、前記基準断層面、及び前記検出器の3次元な位置関係をキャリブレーションするためのファントム装置であって、
    支持部と、当該支持部の既知の位置に設けられた位置指示要素とを有し、当該位置指示要素を、前記放射線に対する透過率を当該支持部及び前記撮像空間の媒質の透過率とは異ならせて構成した第1、第2、及び第3のファントムを備え、
    前記第1のファントムを、前記放射線源と前記検出器の3次元的な位置関係を取得するように構成し、
    前記第2のファントムを、前記放射線源と前記放射線検出器の前記回転移動時の、前記基準断層面に対する3次元的な位置関係を取得するように構成し、
    前記第3のファントムを、前記放射線源から前記検出器に向かって放射される放射線の投影角度を測定するように構成し、
    前記位置指示要素の前記既知の位置の情報と、当該位置指示要素がパノラマ画像に投影されたときの当該画像上の当該位置指示要素の位置情報とを前記キャリブレーションにおいて使用可能にする、
    ことを特徴とするファントム装置。
  4. 前記第3のファントムと前記第2のファントムは一組のファントムとして作成された構造であることを特徴とする請求項3に記載のファントム装置。
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