以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1
図1乃至図3はこの発明の実施の形態1に係る治療・美容方法に用いられる音叉型治療器・美容器のそれぞれ異なった形態を示す構成図である。
上記音叉型治療器・美容器としての音叉1は、図1乃至図3に示すように、その基本的な構造は同じであるものの、振動数に応じてやや異なった形態を有している。図1に示す音叉1は、相対的に中間的な振動数で振動させるために用いられるものであり、図2に示す音叉1は、相対的に低い振動数で振動させるために用いられるものであり、図3に示す音叉1は、相対的に高い振動数で振動させるために用いられるものである。
音叉1の構造は、基本的にいずれも同じであり、図1乃至図3に示すように、互いに略平行に配置された断面矩形の角柱状に形成された2本の振動腕2a、2bを備えている。これら2本の振動腕2a、2bは、その基端部2cで一体的に連結されており、2本の振動腕2a、2bと基端部2cとで略U字形状の外観を呈するように形成された振動部2を構成している。また、略U次形状に形成された振動部2の下端部中央には、振動腕2a、2bと反対方向に突出するように下方に向けて延長された把持部3が一体的に形成されている。この把持部3は、音叉1を手で把持したり、音叉1を手で把持した状態で、当該把持部3の先端3aを患者の治療箇所に接触させたりするためなどに用いられる。なお、把持部3の先端3aは、円弧状や曲面形状に形成されている。
また、この実施の形態に係る音叉1は、全部で12本の音叉11〜112で1組の音叉セットを構成している。これら12本の音叉は、振動数の高低に応じて全体的な大きさや部分的な形状が異なっており、大別して、3つのグループに分けられる。第1のグループは、振動数が30.7Hz、61.4Hz、122.9Hzの相対的に低い振動数で振動する第1〜第3の3本の音叉11、12 、13からなる。また、第2のグループは、振動数が245.8Hz、491.5Hz、731.4Hz、983Hzの相対的に中間の振動数で振動する第4〜第7の4本の音叉14、15 、16、17からなる。第3のグループは、振動数が1966Hz、2925.6Hz、3932Hz、5851.2Hz、7864Hzの相対的に高い振動数で振動する第8〜第12の5本の音叉18 、19、110、111、112からなる。なお、音叉1のセットは、12本の音叉に限定されるものではなく、これより少なくても多くても良く、又、音叉のセットではなく1本の音叉1を単独で使用しても勿論良い。なお、各音叉1には、その振動部2の基端部2cに何番目の音叉であるかを示す番号が付されている。
第1のグループの音叉11、12 、13は、30.7Hz、61.4Hz、122.9Hzと振動数が相対的に低いため、図5〜図7に示すように、振動する2本の振動腕2a、2bの断面形状における幅が細く且つ振動腕2a、2bの長さが長く、しかも振動腕2a、2bの重量を増加させるため振動腕2a、2bの先端に錘4が取り付けられている。錘4は、断面矩形の筒状に形成されており、振動腕2a、2bの先端にカシメやネジ止め、溶接等の手段によって取り付けられている。なお、図7及びその斜視図である図4に示す音叉13は、第1のグループに属するが、振動数が122.9Hzと第1のグループの音叉1の中では最も高く、振動腕2a、2bの先端に錘4が取り付けられていない。
第2のグループの音叉1は、245.8Hz、491.5Hz、731.4Hz、983Hzと振動数が中間的な値であり、図8〜図11に示すように、振動する2本の振動腕2a、2bの断面形状における幅が中程度で且つ振動腕2a、2bの長さも中程度であり、振動腕2a、2bの質量を大きくするため錘4は設けられていない。この第2のグループの音叉14〜17は、中間的な周波数であり、使用範囲が広く、しかも人体に直接接触させて使用することが多い。
そのため、第2のグループの音叉14〜17は、図8〜図11に示すように、2本の振動腕2a、2bの基端部に続く把持部3の中間に、音叉1を用いて施術を行う者がペンを持つように把持可能とするため、中間部が細くなるように絞った絞り部5が設けられている。また、絞り部5の下端部5aは、当該絞り部5を親指と人さし指で握り易いように円弧状に形成されている。さらに、上記把持部3には、絞り部5よりも先端側に先端に向けて先細り形状に形成された圧接部6が設けられている。この圧接部6は、音叉1の絞り部5を手で握って患者の人体のツボ等の所望の部位を押圧するのに適している。なお、圧接部6の先端3aは、直径が2〜3mm程度の円形状の平面又は曲面に形成されている。
第3のグループの音叉18〜112は、1966Hz、2925.6Hz、3932Hz、5851.2Hz、7864Hzと振動数が相対的に高く、図12〜図16に示すように、振動する2本の振動腕2a、2bの断面形状における幅が相対的に広く且つ振動腕2a、2bの長さが相対的に短く設定されているとともに、連結部2cが相対的に大きく形成されており、振動腕2a、2bの質量を大きくするための錘4は設けられていない。また、第3のグループの音叉18〜112は、振動腕2a、2bの幅が相対的に広く且つ振動腕2a、2bの長さが比較的短いため、音叉1として全体のバランスを取るため、把持部3が振動腕2a、2bの長さに比較して他のグループの音叉1よりも相対的に長く設定されている。なお、これらの第3のグループの音叉18〜112は、図12乃至図16に示すように、その把持部3の先端3aが円弧状や曲面形状に形成されている。
上記音叉1の振動数の誤差は、例えば、第1のグループの音叉11〜13が±0.1〜0.2Hz、第2のグループの音叉14〜17が±0.05Hz、第3のグループの音叉18〜112が±0.1〜0.2Hzの範囲にそれぞれ設定されている。
また、第1のグループの音叉11〜13は、例えば、本体部分の材質が鉄45Cであり、錘4の材質は、黄銅である。第2のグループの音叉14〜17は、例えば、材質がステンレス420であり、第3のグループの音叉18〜112は、材質が鉄45Cであるが、これらは一例であり、他の材質で構成しても良いことは勿論である。また、各音叉11〜112の重量は、第1の音叉11が約190g、第2の音叉12が約155g、第3の音叉13が約118g、第4の音叉14が約70g、第5の音叉15が約55g、第6の音叉16が約50g、第7の音叉17が約40g、第8の音叉18が約95g、第9の音叉19が約90g、第10の音叉19が約85g、第11の音叉111が約78g、第12の音叉112が約100gであり、すべてに炭素を用いた焼き入れが施されており、炭素の含有量が比較的多くて硬度が相対的に高く、一定の振動が相対的に長い時間継続するように形成されている。
また、上記の如く構成される音叉11〜112を使用する際における当該音叉11〜112の振動のさせ方は、特に限定されるものではなく任意であるが、通常は、図17に示すように、ハンマー型に形成されたマーレット10を用いるのが望ましい。マーレット10は、先端に円柱形状に形成された打撃部11を有しており、打撃部11の一端部には、例えば、ゴム等の弾性体からなる打撃部材12が設けられているとともに、他端部には、金属製の打撃部材13が設けられている。また、マーレット10は、打撃部11の中央から略T字形状に細長く延びた細径部14を備えており、当該細径部14の基端部には、音叉1の振動腕2a、2bを打ち鳴らすために手で握る握り部15が設けられている。なお、上記打撃部11の両端部にそれぞれ設けられる打撃部材11、12は、双方ともゴム等の弾性体又は金属で形成しても良く、あるいは他の材質で構成しても良い。マーレット10で音叉1を叩く位置は、音叉1の振動腕2a、2bの外側面であって、上端から振動腕2a、2bの長さの2割程度下の位置を叩くのが望ましい。なお、上記マーレット10は、例えば、振動数が相対的に低い音叉1はゴム等の弾性体からなる打撃部材12で振動させ、振動数が相対的に高い音叉1は金属製の打撃部材13で振動させることで用いられる。但し、これに限定されるものではなく、マーレット10のゴム等の弾性体からなる打撃部材12及び金属製の打撃部材13は、すべての周波数の音叉1を振動させるために有効に使用することができる。
なお、上記音叉1を振動させるためには、マーレット10を用いる以外に、2本以上の音叉1の振動腕2a又は2b同士を接触させたり、音叉1の振動腕2a、2bを施術師の手や腕あるいは大腿部などの人体に強く接触させたり、水晶等の石材、金属、木など任意のものと接触させれば良い。但し、音叉1の振動腕2a、2bを金属等に強く接触させると、振動腕2a、2b等が損傷したり変形する虞れがあるため望ましくない。
振動させた音叉11〜112の音を患者20に聴かせる場合には、図18(a)に示すように、振動した音叉1を患者20の耳に近づけるようにすれば良い。
また、振動させた音叉11〜112を人体に接触させる場合には、音叉1の把持部3の先端3aを患者20の人体21に直接接触させれば良いが、その際、患者20の患部21に手22のひらを開いた状態で当てて、音叉1の把持部3の先端3aと人体21との間に、図19に示すように、施術師の手22を開いた状態で介在させるようにしても良い。
さらに、音叉1の振動を直接脳へ骨伝導させて刺激する場合には、例えば、第3グループの音叉110〜112のいずれかを選択し、振動させたいずれかの音叉110〜112の把持部3の先端3aの部分を、図18(b)に示すように、両耳の前にある顎関節部面に当てて、骨伝導させる方法と、振動させたいずれかの音叉110〜112の把持部3の部分を、図18(c)に示すように、口に咥えて上下の歯で噛むようにするのが望ましい。こうすることにより、歯を介して上顎及び下顎に振動が伝わり、図22に示すように、頬骨や頭蓋骨を振動させ、骨伝導によって直接脳に振動刺激を伝えることができる。その際、音叉110〜112の振動が強すぎる場合には、音叉110〜112の把持部3の部分を布やゴム等の緩衝材を介して頭部に当てたり、噛むようにするのが良い。
また、頸椎への骨伝導で刺激をする場合には、第3グループの音叉18〜19のうち、頸椎の固有振動数に対応するいずれかの音叉を選択し、振動させたいずれかの音叉18〜19の把持部3の部分を、図18(c)に示すように、口に咥えて上下の歯で軽く噛み、歯を介して上顎及び下顎に振動が伝わり、図22に示すように、頸椎に骨伝導させる方法を採っても良い。又、振動させた音叉18〜19の把持部3の先端3aの部分を、図18(b)に示すように、顎関節部面に押し当てて、骨伝導させる方法を採用しても良い。
さらに、音叉11〜112は、必ずしも空気中で振動させる必要はなく、図20に示すように、患者20の患部21を水中や温水中などの液体25に浸漬するとともに、水中や温水中などの液体25中に振動した音叉11〜112の把持部3を浸漬し、空気ばかりでなく、水や温水などを介して間接的に音叉1を振動させて使用しても良く、水中や温水中などの液体25に浸漬した状態で患者20の患部21に振動した音叉1を直接接触させても良い。なお、足の反射区へは音叉11を、手の反射区へは音叉18〜19を、耳の反射区へは音叉110〜111をその把持部3の先端3aを反射区へ軽く押し当てるようにすれば良い。
顎のずれ、顎関節(炎)等には、振動数が3932Hzの音叉1が有効であることが判っている。この振動数が3932Hzの音叉110を振動させ、音叉の把持部3を患者の口の上下の歯で軽く噛み、全体的に振動を伝達させる。次に、変位している側の顎の奥歯で振動させた音叉110を軽く噛む。こうすることによって、患者の顎が自ら正規の位置へ移動して入り込み、顎のずれや顎関節(炎)の治療に効果が得られた事例があった。そのため、顎のずれや顎関節(炎)の治療には、振動数が3932Hzの音叉110を使用するのが望ましい。
また、患者20の患部21に鍼26を打ち、図21に示すように、置鍼した鍼26の竜頭27の横に振動させた音叉1を軽く接触させることによって、鍼を小刻みに振動させたり、置鍼した鍼26の竜頭より下の部分に振動させた音叉1を軽く接触させるか、置鍼した鍼26の竜頭27の部分に振動させた音叉1のU字形状の股の部分を接触させるか、振動させた音叉1を近付けることによって空気を介して鍼26を微少に振動させるようにしても良い。
その際、患者の患部に打たれた鍼を介して患者の患部に与える刺激の強さとしては、刺激の強度と神経や筋の興奮性について述べた法則であるブリューゲル・アルントシュルツの刺激法則に基づくのが望ましい。
このブリューゲル・アルントシュルツの刺激法則によれば、弱い刺激を与えることで神経機能を喚起し、中程度の刺激で神経機能を興奮させ、強い刺激は神経機能を抑制し、最強度の刺激で制止することができる。人体の内臓だけでなく、人体のどこかに具合が悪い場所があれば、その場所と関係がある皮膚に反応が出るため、経穴と合わせて刺激することで症状を軽減もしくは回復させることができる。経穴とは、中医学、漢方医学の概念で、体表の特定の部位に指圧、鍼、灸で刺激を与えることで体調の調整、諸症状の緩和をはかるものであり、一般には、ツボと呼ばれるものである。
振動させた音叉を手で持って空中に円を描くように回転させて人体に刺激を与える場合には、人体の正中に向かって求心性に振動させた音叉を廻す補法刺激と、人体の正中に向かって遠心性に振動させた音叉を廻す瀉法刺激がある。また、複数の音叉を使用する場合は、打ち鳴らした音叉を格子状に動かして倍音を発生させる方法もある。
ところで、この実施の形態では、音叉1を用いて治療を受ける患者又は美容・健康の維持増進を図る者が日本人である場合、上記12本の音叉11〜112は、日本民族に固有の音階の少なくとも1つの音程に対応した振動数で振動する音叉を含むとともに、当該日本民族に固有の音階の少なくとも1つの音程に対応した振動数を基本振動数とし、この基本振動数を含み当該基本振動数と共鳴する複数の振動数であって、且つ、人体の部位毎に異なる固有振動数に対応した振動数で振動する複数の音叉から構成されている。
日本民族に固有の音階としては、例えば、呂旋法や律旋法、日本十二律音階など種々のものがあるが、この実施の形態では、日本十二律音階を用いている。日本十二律音階とは、日本の伝統音楽で用いられる12種類の標準的な高さの音をいい、1オクターブを「三分損益法」に基づいて半音ずつ12に分けたものである。
日本十二律音階は、壱越調(いちこつちょう)=292.7Hz、断金調(たんぎんちょう)=305.6Hz、平調(ひょうぢょう)=326.2Hz、勝絶調(しょうぜつちょう)=343.1Hz、下無調(しもむちょう)=365.7Hz、双調(そうぢょう)=391.5Hz、鳬鐘調(ふしょうちょう)=410.1Hz、黄鐘調(おうしきちょう)=437.0Hz、鸞鏡調(らんけいちょう)=460.0Hz、盤渉調(ばんしきちょう)=491.5Hz、神仙調(しんせんちょう)=517.3Hz、上無調(かみむちょう)=549.5Hzの12種類の音からなる。
この実施の形態では、12本の音叉11〜112のうち、第2のグループの第5の音叉15が、日本十二律音階の「盤渉調(ばんしきちょう)」の音程である振動数が491.5Hzに設定されており、この「盤渉調」の音程の振動数である491.5Hzを基本振動数としている。
このように、本発明者は、日本民族に固有の音階のうち少なくとも1つの音程として、日本十二律音階の「盤渉調(ばんしきちょう)=491.5Hz」の音を選択している。「盤渉調」の「盤」は胎盤の「盤」、「渉」は「水中を歩く」ことであり、「盤渉調」とは、「子宮内の羊水の中を歩く」という意味である。また、俗に、新生児の産声(泣き声)の高さの音であるとも言われている。
そして、この実施の形態に用いられる音叉1は、第5の音叉15の振動数が「盤渉調(ばんしきちょう)=491.5Hz」の音に設定されている。そして、周波数が低い方に行くに従って、第4の音叉14の振動数が「盤渉調(ばんしきちょう)=491.5Hz」の周波数の約数(偶数又は整数分の1)である1/2=245.8Hz、第3の音叉13の振動数が「盤渉調(ばんしきちょう)=491.5Hz」の周波数の1/4=122.9Hz、第2の音叉12の振動数が「盤渉調(ばんしきちょう)=491.5Hz」の周波数の1/8=61.4Hz、第1の音叉11の振動数が「盤渉調(ばんしきちょう)=491.5Hz」の周波数の1/16=30.7Hzにそれぞれ設定されている。
また、この実施の形態に用いられる音叉1は、第6の音叉16の振動数が「盤渉調(ばんしきちょう)=491.5Hz」ではなく、「下無調(しもむちょう)=365.7Hz」の2倍の周波数である731.4Hzに設定されている。
第7の音叉17の振動数が「盤渉調(ばんしきちょう)=491.5Hz」の周波数の倍数(偶数又は整数倍)である2倍=983Hz、第8の音叉18の振動数が「盤渉調(ばんしきちょう)=491.5Hz」の周波数の4倍=1966Hz、第9の音叉19の振動数が「下無調(しもむちょう)=365.7Hz」の周波数の8倍=2925.6Hz、第10の音叉110の振動数が「盤渉調(ばんしきちょう)=491.5Hz」の周波数の8倍=3932Hz、第11の音叉111の振動数が「下無調(しもむちょう)=365.7Hz」の周波数の16倍=5851.2Hz、第12の音叉112の振動数が「盤渉調(ばんしきちょう)=491.5Hz」の周波数の12倍=7864Hzにそれぞれ設定されている。
上記の如く「盤渉調」は、子宮内の羊水の中を歩くという意味であり、日本人の赤ちゃんの産声に近いと言われており、「盤渉調」の音を聞くことによって心が洗われて聴覚や聴力が胎児だったころの純粋な状態に近づき、生きる原点にもたちかえらせる。
また、上述したように、トマティス博士の理論によれば、音の振動数の高低によって人体の共振(共鳴)する部位が異なり、図22に示すように、尾骨から仙骨が250Hz、腰椎が500Hz、胸椎が750〜1500Hz、頸椎が2000〜3000Hz、後頭骨が4000Hz、延髄が4000〜6000Hz、頭頂骨が8000Hzの振動数に共振すると言われている。
そこで、この実施の形態に係る12本の音叉11〜112は、第4の音叉14の振動数245.8Hzが、尾骨から仙骨の固有振動数である250Hzに対応しており、第5の音叉15の振動数491.5Hzが、腰椎の固有振動数である500Hzに対応しており、第6〜第7の音叉16〜17の振動数731.4Hz、983Hzが、胸椎の固有振動数である750〜1500Hzに対応しており、第8〜第9の音叉18〜19 の振動数1966Hz、2925.6Hzが、頸椎の固有振動数である2000〜3000Hzに対応しており、第10〜第11の音叉110〜111 の振動数3932Hz、5851.2Hzが、後頭骨の固有振動数である4000Hzと、延髄の固有振動数である4000〜6000Hzに対応しており、第12の音叉112の振動数7864Hzが、頭頂骨の固有振動数である8000Hzに対応している。
また、この実施の形態では、第1〜第3の音叉11〜13の振動数30.7Hz、61.4Hz、122.9Hzが、下肢の足と下腿、膝の固有振動数である32〜125Hzに対応している。
以上の構成において、この実施の形態に係る音叉型治療器は、次のようにして、日本人や欧米人、あるいはアジア人等の患者が属する民族に適した振動を発生させる音叉を用いることにより、日本人や欧米人、あるいはアジア人等が生来的に有している呼吸運動、免疫力などの治癒力を効果的に引き出したり、患者自身の骨格などを含む人体を本来あるべき状態に戻すことにより、治療効果を高めることが可能となっている。
人体の免疫能の恒常性は、一般的に神経系の興奮と抑制による神経性調節と、脳下垂体や副腎皮質系による体液性調節によって相対的に維持されていると考えられており、これらの相対的なバランスがとれてこそ、すべての組織系(免疫系を含む)が正常な生理活動を行い、健康で疾患が生じなくなり、美容・健康が保たれる。
このように、我々の健康は、自立神経系とホルモン系と免疫系によって保たれており、これらの自立神経系とホルモン系と免疫系による調節作用に不具合が生じると健康が損なわれる。自立神経系は、神経系の興奮と抑制の働きをする交感神経と副交感神経の2つの神経系から成りたっている。交感神経は、活動している時や、緊張している時、あるいはストレスが加わった時などに働き、副交感神経は、休息している時や、リラックスしている時、体の修復をしている時などに働く。
交感神経が働く要因としては、日常の活動以外に、ストレスを挙げることができ、ストレスに晒されると交感神経が過剰に働き、副交感神経が十分に働くことができなくなり、体の不調や病気の原因となる。また、交感神経が過剰に働くことによって、筋肉が硬直化したり、血管が収縮して血圧が上昇し、栄養や酸素が全身に十分行き渡らなくなり、体温の低下を招いたり、リンパの流れが悪くなり、疲労物質や老廃物が排出されにくくなって、疲労回復や体の修復が追いつかず、疲労の蓄積や体の不調を招くことになる。その結果、首や肩の凝り、頭痛、腹痛、腰痛、大腿骨や膝の痛み、めまい、睡眠障害などの様々な症状が現れたり、かぜをひき易くなるといった体調不良が引き起こされ、病気の原因となる。
また、日常生活においてストレス以外にも家電製品から放出される電磁波は、人体の自立神経系やホルモン系に障害を起こし、健康に悪影響を与えるのではないかといわれている。更に、世界保健機構(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は、2011年5月、携帯電話の電磁波と発がん性の関連について、限定的ながら「可能性がある」との分析結果を発表している。
このように、我々は、仕事や日常生活を続けていく上で、様々なストレスや環境的な阻害要因に囲まれており、人体の自立神経系、ホルモン系、免疫系の機能の恒常性が失われ易く、疲労の蓄積や体の不調を招き易い環境で生活している。
更に人体の自立神経系の機能について見た場合、胸髄と腰髄からは、交感神経が出ており、胸髄上部の線維は、頭頚部や上肢、心臓、肺などに分布し、胸髄中・下部の線維は、腹部の臓器に分布している。また、腰髄上部からの交感神経繊維は、腹部から骨盤部の臓器に分布している。さらに、交感神経には、内臓に分布する繊維のほかに皮膚の抹消血管や立毛筋に分布するものがある。
また、延髄からは、殆どの臓器に至る副交感神経が出ており、仙髄からも一部の臓器に至る副交感神経が出ている。交感神経や副交感神経が分布している臓器の異常や病気の有無との間には因果関係がある。
そこで、上述した自立神経系とホルモン系と免疫系による調節作用に不具合が生じた場合にもたらされる体の歪み、肩凝りや血行不良、自立神経失調症、不眠症などの様々な症状を改善乃至治癒するために、あん摩マッサージ指圧師、鍼師、灸師などによって様々な治療が行われている。
治療方法としては、体の歪み、肩凝りや血行不良などを、あん摩やマッサージ、あるいは指圧等の治療によって、物理的に歪んだ体の骨格などを正常な状態に戻したり、肩や首、あるいは全身の凝った筋肉を解したり、血液やリンパの流れを改善するなどの手段が挙げられる。
また、治療方法としては、人体のツボに鍼を打って置鍼したり、灸を施すなどして、交感神経の働きを抑えるとともに副交感神経の活動を活発にして、交感神経と副交感神経のバランスを回復するなど様々な手段がある。
ところで、本発明の実施の形態に係る音叉型治療器を用いた治療方法では、あん摩やマッサージ、あるいは指圧等の治療、鍼や灸による治療などと共に、あるいはこれらの治療に代わって、体の歪み、肩凝りや血行不良、自立神経失調症、不眠症などの様々な症状に対して治療を施すとともに、美容・健康の維持増進を図るものである。
音叉型治療器としての音叉1は、図18に示すように、基本的に、当該音叉1を振動させた状態で、音叉1が発する音を患者が耳で聞いたり、音叉1の振動を直接人体の患部に伝搬させることで用いられる。例えば、第5の音叉15は、上述したように、日本十二律音階の「盤渉調(ばんしきちょう)」の音、つまり491.5Hzの振動数で振動するように設定されている。この「盤渉調(ばんしきちょう)」の語源の「盤渉」とは、「子宮内の羊水の中を歩く」という意味を有しており、俗に新生児の産声(泣き声)の高さの音であるとも言われている。
その結果、第5の音叉15の振動音である日本十二律音階の「盤渉調(ばんしきちょう)」の音を聞いた患者は、無意識のうち、胎内にいたころの状態を想起させるような心理状態となり、リラックスすることができる。このように、「盤渉調(ばんしきちょう)」の音は、無意識のうちに胎児の頃へ戻るリセット効果や、安心、やすらぎ、リラックスという静的な効果と、生きるという生きる力や生まれるという生きる原点に立ち返らせる動的な効果も奏するものである。人間は、産声を上げた瞬間に生きる基本となる呼吸が始まる。この呼吸運動が乱れることによって体内が酸欠状態となり、血管系や細胞等にダメージを与え、さまざまな病気を引き起こす原因となるばかりか、美容においては、肥満や皮膚のくすみ、シワの原因ともなる。この人体の呼吸の仕組みは、単独で行なわれているものではなく、経絡においては、肺と腎の関係性があり、骨においては、仙骨と後頭骨との関係性がある。更に横隔膜との関係性もあるが、呼吸に合わせて連動する仙骨と後頭骨のシーソーの働きのバランスが神経を栄養する脳脊髄液の流れを促進させ、改善させる。
日本十二律音階における「盤渉調(ばんしきちょう)」の音は、人間が生きる原点ともなり、呼吸は人間が生きていく上で基本となるものである。人体の生理的なメカニズムは、各部が単独で働いて営まれているわけではなく、人体の各部位が相互に密接に関連して成りたっている。仙骨と後頭骨は、上述したように、呼吸運動に相互に関連している。また、第三脳室脈絡叢で作られた脳脊髄液は、中枢神経すみずみの神経細胞を栄養し、その残渣を再び第三脳室脈絡叢へと戻す循環がある。この脳脊髄液を脳から送り出したり、脳に戻したりする働き、即ちポンプ運動を仙骨と後頭骨とが司っている。
音叉型治療器・美容器としての音叉1の使用方法としては、人体の仙骨部の固有振動数に共鳴する音叉1を仙骨部に使用し、後頭骨の固有振動数に共鳴する音叉1は、後頭骨の高さで使用するだけで終わるのではなく(部分的な固有振動数の改善、調律だけではなく)、それぞれの部位に適した振動数の複数の音叉を選択し、これら複数の音叉を同時に使用することで、仙骨、後頭骨の活性化に関連性を持たせることができ、神経を栄養する脳脊髄液の循環にも良い影響を及ぼすことが可能となる。
また、第5の音叉15を振動させた状態で人体の患部に接触させることにより、「盤渉調(ばんしきちょう)」の音である491.5Hzの振動が人体に伝搬することになる。この500Hz近くの音は、図22に示すように、腰椎の振動数に対応していると言われており、腰髄の近傍に共鳴して伝わり、腰髄から出ている交換神経繊維を介して腹部から骨盤部の臓器の不調を整える作用を発揮する。
さらに、この実施の形態に係る12本の音叉11〜112のセットは、第6の音叉16と、第9の音叉19と、第11の音叉111を除いて、第5の音叉15である日本十二律音階の「盤渉調(ばんしきちょう)」の音、つまり491.5Hzの振動数を基本として、その1/整数や整数倍の振動数に設定されており、すべて共鳴するようになっている。
したがって、上記12本の音叉11〜112は、「盤渉調(ばんしきちょう)」の音である第5の音叉15を基本としつつ、他の音叉11〜112は、第6の音叉16と、第9の音叉19と、第11の音叉111を除き、「盤渉調(ばんしきちょう)」の第5の音叉と共鳴し、第5の音叉15と同様の作用・効果を得ることができる。
しかも、上記12本の音叉11〜112は、患者の治療する部位に応じて、下肢や仙髄に対応した部位では、30.7Hz、61.4Hz、122.9Hz、245.8Hzと振動数が相対的に低い第1のグループの音叉11、12 、13及び第2のグループの音叉14を用いることで、下肢や仙髄に対応した部位に音叉1の把持部3の先端3aを接触させて下肢や仙髄に対応した部位を共鳴させることによって、膝などの下肢の関節や骨格、筋肉、あるいは仙髄に対応した部位を振動させることができ、下肢の骨格の歪みやずれ、あるいは筋肉の凝りなどの症状を改善させることができる。
また、第1のグループの音叉11、12 、13及び第2のグループの音叉14を用いることで、仙髄に対応した部位を共鳴させることによって、仙髄から出ている副交感神経を刺激して、大腸などの臓器の動きを鎮めて、便秘や下痢をくり返す過敏性大腸炎や、便秘や下痢や腹痛などの症状の緩和に寄与することができる。仙髄には、第2のグループの音叉14が対応している。仙髄からは下肢への神経支配があるため、第1のグループの音叉11、12 、13と組み合わせて用いると効果的である。
さらに、第1のグループの音叉11、12 、13は、それぞれの振動数が30.7Hz、61.4Hz、122.9Hzであり、リンパの流れの改善に効果が期待できる。
第2のグループの第4〜第7の音叉14、15 、16、17は、周波数が245.8Hz、491.5Hz、731.4Hz、983Hzの相対的に中間の振動数で振動するように構成されている。そのため、尾骨、仙骨及び腰椎から胸椎に対応した部分を共鳴させることができ、腰から内臓の胃のあたりに対応した領域の交感神経を刺激することで、過剰な胃の動きなどを本来の状態に戻すことも可能となる。
また、第3のグループの音叉18〜112は、1966Hz、2925.6Hz、3932Hz、5851.2Hz、7864Hzと振動数が相対的に高い振動数で振動するように構成されている。そのため、胸椎から頸椎、あるいは延髄、頭頂に対応した部分を共鳴させることができ、肺などの内臓の動きを整え、肺による呼吸作用を整えたり、上肢や肩、あるいは首の骨格や筋肉を調節することができ、肩凝りや腰痛、頭痛、めまい、睡眠障害などの様々な症状の改善が期待できる。さらに、第3のグループの音叉110は、3932Hzと振動数が相対的に高い振動数で振動するように構成されており、後頭骨の固有振動数である4000Hzに相当し、後頭骨と仙骨との呼吸運動に関するシーソーのバランスによる脳脊髄液の神経系を栄養し、体調を整える効果が期待できる。
特に、第3のグループの音叉112は、7864Hzと振動数が大幅に高く「モーツァルト効果」で指摘されている8000Hzに近く、脳の働きを活性化させることができ、治療効果に加えて能力を強化乃至増進させる効果がある。
また、8000Hzに近い第12の音叉112の7864Hzで振動数する高い音(高周波音)を聞くと、α波(リラックスした気持ちのよい状態の時に後頭部から出る脳波)の活性が高まり、心身ともにリラックスできることが最近の実験で明らかになっている。
また、3932Hz、5851.2Hzの振動数を有する音叉は、延髄が共鳴する振動数と言われている4000Hz〜6000Hzに相当する。延髄からは、ほとんどの臓器に至る副交感神経が多数出ており、延髄を共鳴させて振動させることにより、延髄及び延髄から出ている副交感神経の働きを活発にして、普段、交感神経優位の状態が長時間続いている現代人に対して、副交感神経優位の状態を容易に作り出すことができ、交感神経と副交感神経のバランスを取り戻して、体の歪み、肩凝りや血行不良、自立神経失調症、不眠症、ストレスなどの様々な症状を改善することができる。
さらに、第3のグループの音叉18〜112のうち、音叉110〜音叉112は、3932Hz、5851.2Hz、7864Hzと振動数が、後頭骨の共振周波数である4000Hz、頭頂骨の共振周波数である8000Hzにそれぞれ対応しており、これらの音叉110〜音叉112を用いて後頭骨や頭頂骨に対応する位置に接触させて微振動を伝播させて共鳴させることによって、携帯電話の電磁波の影響を受けている脳細胞を活性化させたり、視床下部、脳下垂体などを刺激して、体内時計の回復、ホルモンバランスを整え、免疫機能を促進させ、体内リズムを整える効果がある。更に、前頭骨においての振動刺激は、両下肢、骨盤の長さ・高さを調整する働きもあるため、姿勢反射の改善にもつながり、骨格調整の効果もある。
また、美容目的で音叉1を用いる場合は、気になる皮下脂肪の上に軽く打ち鳴らした音叉1を置いて振動させ、体のむくみを取ることができる。音叉1を顔面に用いる場合には、高い周波数による細胞の活性化により、シワ、たるみ、豊麗線の予防対策、治療効果が期待できる。
実施例1
86才の女性患者Aは、2011年の8月まで自力で歩行していたが、転倒をきっかけとして歩行困難となり、ベッド上で過ごす時間が多くなり、移動は車椅子で行う生活となった。
股関節より下方の両下肢の浮腫みが酷い状態となり、本発明者が診察したときには、両下肢、特に右足の浮腫みによる腫れが顕著であった。そのため、全身調整を行い、両下肢の浮腫みを改善させる鍼治療を行った。全身調整は、リハビリレベルの軽擦を中心としたスポーツマッサージを求心性に下肢、体幹、上肢、頚、頭にわたって15分程度軽く行い、各関節に運動法を施した。更に、ストレッチ体操を行い、頭蓋仙骨療法で筋肉、関節、横隔膜、後頭骨と仙骨のシーソーバランスを改善させるとともに、呼吸運動を回復させ、酸欠及び脳脊髄液の循環を改善した。
そのとき、鍼は、置鍼したまま両足の裏、両足の甲へ振動させた周波数が30.7Hzである盤渉調の第1の音叉11の把持部3の先端部分を、鍼を置いていない部位に軽く押し当て、次々とツボ刺激を振動させた音叉11で行った。
次に、振動させた音叉11の把持部3の横の部分を両足、足の指の付け部分や両足の関節部(リスフラン関節等)において、両足首に向かい軽く擦り上げる治療を繰り返した。また、両下肢においては、周波数が61.4Hzである盤渉調の第2の音叉12を使用し、両膝周囲へは周波数が122.9Hzである盤渉調の第3の音叉13を使用し、それぞれ振動させた音叉1の把持部3の先端3aの部分を軽く押し当てる治療を行った。
更に、振動している音叉1の把持部3の部分を使い、両下肢、両足を求心性に軽く擦り上げる動作を行った結果、患者の両下腿から下の浮腫み、特に象の足のような足の浮腫みが改善され、硬く、冷たかった患者の足の筋肉や足の触ったときの冷たさが改善され、筋肉は柔らかくなり、浮腫みも取れ、患部がとても温かくなり、血行が良好となった。上記治療は、午前中、1時間15分程の時間にわたって1回のみ行ったものであり、1回の治療で顕著な改善効果が見られ、即効性があると考えられる。
このことから、盤渉調の第1、第2及び第3の音叉11、12、13を組み合わせた治療が、患者の両下肢のリンパの流れを促進させることができ、又、血行促進にもなることが判った。
また、盤渉調の音叉セットである12本の音叉11〜112を、この患者の各部位に有効な周波数の音叉の振動と音色を患者に聞かせたり、体に軽く押し当てた結果、寝返りもままならなった患者自身、自ら横になり、片肘をついてテーブル上にあったお茶入りのマグカップを自力でのみ、自力で横になることができるという驚異的な回復能力を引き出すことができた。そのため、介護の世界、主に寝たきりの患者への治療には、音叉治療は最適であると考えられる。
さらに、血管を拡張させる薬を服用している人に、鍼治療を施した場合には、内出血の原因ともなり、又、足のむくみがひどい人への鍼治療は、抜鍼後、その部位からリンパ液が内部から出て、感染の危険性があったため、振動させた音叉による刺激は、安全で、治療及び予防効果も高い。
なお、音叉による実施例は、以下の実施例も含めて、患者に音叉の周波数や形状等が知られない状況下で実施した。
実施例2
65才の男性患者Bは、原因不明の歩行困難になり、10年が経過していた。頭部CT、MRI、頚、腰等の様々な機器や部位の検査を病院で受けたが、原因は不明のままであった。
日常生活は、上半身と腕を使用して自力で車椅子に乗って移動し、部屋の中では自力で車椅子を降り、床に寝そべったままの状態で横向きで上半身と腕を使い、移動する生活を送っていた。また、整形外科や家でもリハビリ治療は一切行わず、そのまま放置した状態であった。
その結果、下肢の筋肉はやせ細り、足の関節も伸びたままの状態で筋肉が石のように硬く、柔軟性がまったくなく、両膝が曲がらない状態であった。
本発明者は、この患者Bに軽くスポーツマッサージを施し、全身の血行を良くさせてから、鍼を全身に浅めに打ち、置鍼させた状態で盤渉調の音叉の振動を鍼の竜頭へ軽く伝達させる方法で全身に行ったところ、治療前の過緊張の下半身の筋肉がとてもやわらかくなり、患者の踵が臀部につくまでになった。
更に説明すると、置鍼した鍼に振動刺激が必要な個所には、盤渉調の振動させた音叉を各部位に有効な周波数を選び、鍼の竜頭へ振動刺激を行った。また、置鍼していない個所には、対応する部位の高さに振動させた音叉を近づけ、空気振動のみで治療を行った。その際、振動数が30.7Hzの「盤渉調」の第1の音叉11は、足の甲や裏などの両足へ、振動数が61.4Hzの「盤渉調」の第2の音叉12は両下腿へ、振動数が122.9Hzの「盤渉調」の第3の音叉13は両膝へ、振動数が245.8Hzの「盤渉調」の第4の音叉14は、仙骨及び尾骨へ、振動数が491.5Hzの「盤渉調」の第5の音叉15は腰部へそれぞれ使用した。また、振動数が731.4Hzの「盤渉調」の第6の音叉16は、横隔膜の高さに、振動数が983Hzの「盤渉調」の第7の音叉17は背部及び胃の高さに、振動数が1966Hzの「盤渉調」の第8の音叉18は上部胸椎、下部頚椎、肩背部、星状神経叢の高さに、振動数が2925.6Hzの「盤渉調」の第9の音叉19は、上部頚椎部の高さに、振動数が3932Hzの「盤渉調」の第10の音叉110は後頭部、顔面部の高さに、振動数が5851.2Hzの「盤渉調」の第11の音叉111は延髄部の高さに、振動数が7864Hzの「盤渉調」の第12の音叉112は頭頂部の高さに、それぞれ位置させて空気を介して振動を伝播させた。
また、うつぶせになっている体勢で両膝を曲げたまま、左右の体側の床に患者の両足を倒したところ、床につくまでになり、大きな治療効果が得られた。腰、下肢、脳に効果が得られた。患者Bは、治療後、簡単に自力であぐらをかくことができるようになった。そのため、足こぎの車椅子を患者に紹介し、現在は足こぎ車椅子に乗り、体力を高めるまでに回復した。
実施の形態2
この実施の形態2では、民族に固有の音階の少なくとも1つの音程として、春・夏・土用・秋・冬の季節に応じて日本十二律音階の異なる音程に設定するように構成されている。
日本十二律音階の12の音程のうち、「盤渉調」は冬に、「双調」は春に、「黄鐘調」は夏に、「壱越調」は土用に、「平調」は秋にそれぞれ対応すると言われている。
そこで、この実施の形態2では、上述した実施の形態1で説明したように、「盤渉調」の音程を基本周波数とする12本の音叉11〜112が、春・夏・土用・秋・冬のうち冬に対応した音叉として構成されている。
同様に、「双調(そうぢょう)」の音程である391.5Hzを基本周波数とする複数本の音叉1を、春・夏・土用・秋・冬の季節のうち春に対応した音叉とし、「黄鐘調(おうしきちょう)」の音程である437.0Hzaを基本周波数とする複数本の音叉1を、春・夏・土用・秋・冬のうち夏に対応した音叉とし、「壱越調(いちこつちょう)」の音程である292.7Hzを基本周波数とする複数本の音叉1を、春・夏・土用・秋・冬の季節のうち土用に対応した音叉とし、「平調(ひょうぢょう)」の音程である326.2Hzを基本周波数とする複数の音叉1を、春・夏・土用・秋・冬の季節のうち秋に対応した音叉として構成されている。
なお、春に対応した「双調(そうぢょう)」の音程である391.5Hzを基本周波数とする複数本の音叉1は、「双調(そうぢょう)」の音程である基本周波数391.5Hzaの音叉を中心にして、基本周波数391.5Hzの1/2の195.8Hz、基本周波数391.5Hzの1/4の97.9Hz、基本周波数391.5Hzの1/8の48.9Hz、基本周波数391.5Hzの1/16の24.5Hz、基本周波数391.5Hzの2倍の783.0Hz、基本周波数391.5Hzの4倍の1566Hz、基本周波数391.5Hzの8倍の3132Hz、基本周波数391.5Hzの16倍の6264Hzに加えて、a440Hzとした場合における純正律Cである基本周波数528Hz、基本周波数528Hzの2倍の1056Hz、基本周波数528Hzの4倍の2112Hzの振動数に対応したものからなる。
また、夏に対応した「黄鐘調(おうしきちょう)」の音程である437.0Hzを基本周波数とする複数本の音叉1は、「黄鐘調(おうしきちょう)」の音程である基本周波数437.0Hzの音叉を中心にして、基本周波数437.0Hzの1/2の218.5Hz、基本周波数437.0Hzの1/4の109.3Hz、基本周波数437.0Hzの1/8の54.6Hz、基本周波数437.0Hzの1/16の27.3Hz、基本周波数437.0Hzの2倍の874Hz、基本周波数437.0Hzの4倍の1748Hz、基本周波数437.0Hzの8倍の3496Hz、基本周波数437.0Hzの16倍の6992Hzに加え、ピタゴラス調e2の660Hz、ピタゴラス調e3の1320Hz、ピタゴラス調e4の2640Hzの振動数に対応したものからなる。
ここで、「黄鐘調」の音程にピタゴラス調の音程を組み合わせた理由は、ピタゴラス調e2の660Hz、ピタゴラス調e3の1320Hz、ピタゴラス調e4の2640Hzの振動数が、「黄鐘調」の基本周波数である437.0Hzと、基本周波数の2倍の874Hzと、基本周波数437.0Hzの4倍の1748Hzと、基本周波数437.0Hzの8倍の3496Hzとの中間に位置し、又、人体の各部位の周波数に対応しているためである。「黄鐘調」の基本周波数である437.0Hzの「ミ」の音程は、例えば、太陽神経叢に働きかけ、内分泌腺の中で膵臓のランゲルハンス島のインシュリンによる血糖値の代謝機能を促進する効果が期待できる。
さらに、秋に対応した「平調(ひょうぢょう)」の音程である326.2Hzを基本周波数とする複数本の音叉1は、「平調(ひょうぢょう)」の音程である基本周波数326.2Hzの音叉を中心にして、基本周波数326.2Hzの1/2の163.1Hz、基本周波数326.2Hzの1/4の81.6Hzや、基本周波数326.2Hzの1/8の40.8Hz、基本周波数326.2Hzの2倍の652.4Hz、基本周波数326.2Hzの4倍の1304.8Hz、基本周波数326.2Hzの8倍の2609.6Hz、基本周波数326.2Hzの16倍の5219.2Hzに加え、物理調C2の512Hz、物理調C3の1024Hz、物理調C4の2048Hz、物理調C5の4096Hzの振動数に対応したものからなる。
「平調」の音程に物理調の音程を組み合わせた理由は、物理調C5の4096Hzの振動数が、「平調」の音程である基本周波数326.2Hzの8倍の2609.6Hzと、基本周波数326.2Hzの16倍の5219.2Hzとの間に位置し、人体の延髄等の部位に対応しており、又、物理調C2の512Hz、物理調C3の1024Hz、物理調C4の2048Hzは、人体の他の部位に対応しているためである。
また、土用に対応した「壱越調(いちこつちょう)」の基音である292.7Hzを基本周波数とする複数本の音叉1は、「壱越調(いちこつちょう)」の基音である基本周波数292.7Hzの音叉を中心にして、基本周波数292.7Hzの1/2の146.4Hz、基本周波数292.7Hzの1/4の73.2Hz、基本周波数292.7Hzの1/8の36.6Hz、基本周波数292.7Hzの2倍の585.4Hz、基本周波数292.7Hzの4倍の1170.8Hz、基本周波数292.7Hzの8倍の2341.6Hz、基本周波数292.7Hzの16倍の4683.2Hz、更には中周波数領域の1000Hz、中周波数領域の2000Hz、中周波数領域の3000Hz、高周波数領域の6000Hzの振動数に対応したものからなる。
「壱越調」の音程に中周波数領域の1000Hz、中周波数領域の2000Hz、中周波数領域の3000Hz、高周波数領域の6000Hzの振動数を組み合わせた理由は、各季節毎に存在する土用における使用を前提として、季節に限定されずに人体に各部位に対応した基本周波数の音叉セットを提供するためである。このことにより、ストレス等の影響により季節の変化に体が対応しきれない患者の各種の疾患に対応することが可能となる。
そして、上記5つのセットの音叉のうち、春は「双調(そうじょう)」に対応したセットの音叉を、夏は「黄鐘調(おうしきちょう)」に対応したセットの音叉を、土用は「壱越調(いちこつちょう)」に対応したセットの音叉を、秋は「平調(ひょうじょう)」に対応したセットの音叉を、冬は「盤渉調(ばんしきちょう)」に対応したセットの音叉を使用するようにすれば良い。
更に説明すると、春に対応した「双調」の12本の音叉セット11〜112は、中医学でいう五臓のうち、「肝」の治療・調整を主目的としたものであり、「双調」とa440Hzのときの純正律C(ド)の2種類のグループから構成されている。
この「双調」の音叉セットの特色は、第6の音叉16の振動数が528Hzであるa440Hzのときの純正律C(ド)であることにある。この528Hzの周波数は、DNA(遺伝子)の修復や活性化、あるいは老化防止(老化予防)に効果があるとされている。そこで、放射能や大気汚染、風力発電や避雷針等による低周波障害、パソコンや携帯電話、電化製品からの電磁波による影響、地球温暖化における天変地異、あるいは人間関係等のストレスなどにより遺伝子が傷つき、癌化することへの対策あるいは遺伝子を守るために、「双調」の音叉セットに組み合わせている。
中医学でいう「肝」は、外界からの傷害や体内の有害物を防御し、排除する作用を有している。また、精神情緒の活動を調節する作用があり、また思惟活動の中心で、思考思索をめぐらす作用があり、判断力や決断力と関係があると言われている。また、「肝」は、感情の起伏と関係し、怒りやすくなったり、メソメソと涙もろくなったり、躁鬱状態を引き起こす場合もある。
その他の働きとして、肝は、血量の調節、筋肉、関節の運動、筋骨の痛み、めまい、目、生殖器、女性の更年期症状、爪、水分代謝、中風による半身不随、言語障害、筋委縮性疾患と関係がある。
この「双調」の音叉セット11〜112は、胸椎から頚椎にかけて治療効果が高く、自律神経系に働きかけ、筋肉、情志、肝臓の働きに効果が期待できる。特に、頚部が柔らかくなり、緊張感が取れて軽くなる。頚椎ムチウチ症や頚椎ヘルニア症の患者にも効果あり、頚椎の配列も良くなり、頚も細くなる傾向がある。また、「双調」の音叉1の音色が心地良いせいか、「双調」の音叉1を用いた治療によって心が癒され、明るく楽しくなり、気分が前向きとなって心身共に軽やかになり、患者は笑顔になり、情志、精神情緒が安定する傾向にある。
振動数が97.9Hzである「双調」の第3の音叉13は、振動させた状態で共鳴させて患者に聴かせた場合、やわらかい春の風を感じるようで優しい気持ちになれ、心地良さを患者は感じ、リラックスすることができる。また、振動数が195.8Hzである「双調」の第4の音叉14は、元気やパワーが出てくると患者に言われ、振動数が528Hzである「双調」の第6の音叉16では、躍動し、呼吸が楽になる傾向がある。さらに、振動数が1566Hzである「双調」の第9の音叉19は、人体に接触させて使用した場合、星状神経節へ働きかけるきっかけを作り、頭、顔面、頚、肩、両上肢、胸、背中などの交感神経をブロックさせ、主に上半身の副交感神経が優位になり、リラックス状態となる。そして、自律神経のバランスを整え、筋肉の緊張が取れ、筋肉のこりが楽になり、血管が拡張して体が温まり、脳の血流量も増える傾向にある。また、振動数が2112Hzである「双調」の第10の音叉110は、下部頚椎及び下部頚部の筋肉を柔らかくし、振動数が3132Hzである「双調」の第11の音叉111は、上部頚椎及び上部頚部の筋肉を柔らかくし、筋緊張を解す作用がある。更に、振動数が6264Hzである「双調」の第12の音叉112は、頭部に使用した場合、髪に艶が出るとともに、姿勢が整う効果が期待できる。
このように、「双調」の音叉セットは、筋肉、情志、自律神経系に働きかけ、心身共に軽やかに調整し、主に胸部と頚部、うなじ、頭をリラックスさせる効果が期待される。
また、足の反射区には、振動数が24.5Hzである「双調」の第1の音叉11を使用し、手の反射区には、振動数が1566Hzである「双調」の第9の音叉19、及び振動数が2112Hz(a440のときの純正律C)の第10の音叉110を使用する。耳の反射区には、振動数が3132Hzである「双調」の第11の音叉111、及び振動数が6264Hzである「双調」の第12の音叉112を使用する。
「双調」は、音の高さでいうとG(ソ)に相当し、a440のときの純正律Cは、音の高さでいうと(ド)に相当するものであり、2つのグループの音叉は調和する。
また、「黄鐘調(おうしきちょう)」の12本の音叉セット11〜112は、中医学でいう五臓のうち、「心」の治療・調整を主目的としたものであり、「黄鐘調(おうしきちょう)」と「ピタゴラス調e」の2種類のグループから構成されている。
中医学でいう「心」は、心と大動静脈、肺動静脈及びその機能、造血作用や精神神経作用、そして人間の生命現象を主宰し、各内臓器官を統轄する働きを持つと言われている。「心」は、脉、血液の性状及び血液循環、舌、味覚、心臓、汗、心、睡眠と関係を有する。
「黄鐘調(おうしきちょう)」の12本の音叉セット11〜112は、視床下部、脳下垂体、太陽神経叢、副腎に作用して、内分泌、ホルモン系、体内リズムの調節を整えるために使用されるものであり、体内時計の調節、体温調節、代謝の調節、睡眠のリズムの調節、下垂体ホルモンの調節、食行動や飲食行動、性行動などの本能行動の中枢、怒りや不安などの情動行動の中枢の調節、排卵、自律神経、内分泌機能など、自律機能の調節を整える。又、重力に対して姿勢を保持させる抗重力筋に働きかけ、人体の立位姿勢を保持し、安定させ、重心線に近付ける効果があり、人体の軸を安定させる上で有効である。
この「黄鐘調」の音叉セット11〜112の音色は、澄んだ感じを与えて夏を実感させる。心臓神経症の不整脈がある患者に有効な鍼を打ち、置鍼したまま、体の各部位に効果を及ぼす周波数の音叉1を打ち鳴らして聴かせたところ、施術終了後、正常な心拍数とリズムに戻った。また、高くキンキンとした音にも関わらず、ほとんどの患者は治療中に眠る傾向が見られた。
足の反射区には、振動数が27.3Hzである「黄鐘調」の第1の音叉11を使用し、手の反射区には、振動数が1748Hzである「黄鐘調」の第9の音叉19、及び振動数が2640Hzである「ピタゴラス調e」の第10の音叉110を使用する。また、耳の反射区には、振動数が3496Hzである「黄鐘調」の第11の音叉111、及び振動数が6992Hzである「黄鐘調」の第12の音叉112の音叉を使用する。
この「黄鐘調」の音叉セット11〜112は、自律神経系による神経性の調節とホルモンによる体液性の調節である体内の恒常性、ホメオスターシスを保つ効果が期待できる。又、抗重力筋に働きかけ、立位姿勢を保持・安定させ、重心線に近付ける作用があるため、人体の軸が安定し、姿勢が良くなり、気分をも向上させる効果がある。「黄鐘調」は、音の高さでいうとA(ラ)であり、ピタゴラス調eは、音の高さでいうとe(ミ)であり、調和する。
さらに、土用に対応した「壱越調(いちこつちょう)」の12本の音叉セット11〜112は、中医学でいう五臓のうち、「脾」の治療・調整を主目的としたものであり、「壱越調(いちこつちょう)」とトマティス理論に則った人体の各部位の固有振動数に対応した音程の2種類のグループから構成されている。「壱越調」の音の高さは、D(レ)である。
中医学でいう「脾」は、胃の運動機能、膵臓、十二指腸、脾臓を総合したようなものを指すと考えられ、表裏関係にある胃と共に広く消化器全体を指す場合がある。食事したものを栄養として全身に運ぶ力、体中の水はけ、余分な体内の水分を痰として形成させる作用があり、水分の吸収と排泄促進を行う。又、統血の作用があり、血管からの出血を抑制し、順調に体内を循行させる作用があると言われている。「脾」は、全身の肌肉を壮実にし、四肢の活動を有効にしている。口に開窮し、口味(味覚)と関係がある。開窮とは、脳神経の働きを良好にすることを意味する。また、内臓を持ち上げる昇清機能があり、下垂した内臓を正常な位置に持ち上げ安定させる。
「脾」の力が弱まると、統血が困難となり、血液の生成が不良となる。そして、下部の出血、潰瘍性の下血、機能性子宮出血、便血、血小板減少症などを招くことがある。「脾」は胃と共同で消化、吸収、栄養物質の輸送を行い、「脾」の機能が充実すれば、体型もそれに併せて立派となり、「脾」の力が衰えると、食欲不振や腹部膨満感を招き、肌肉は痩せ、四肢は弱まる。また、内蔵を持ち上げる機能が不調となり、胃下垂や脱肛などの原因ともなる。又、体中の水はけ、余分な体内の水分を排出することができなくなるため、痰湿が体内に停滞し、中医学でいう肥満の主な原因ともなる。
この「壱越調」の音叉セットは、胃腸、婦人科系、ストレスによる自律神経失調症、胃下垂、脱肛などの内蔵下垂、交通事故などの外傷性のムチウチ症による不調となった心身のリズムを回復、調整、肥満予防、生活習慣病の治療や、美容、痩身のためにも使用される。特に、「壱越調」の12本の音叉セット11〜112のうち、振動数が146.4Hzである「壱越調」の第3の音叉13を振動させた状態で、その把持部3の先端を下腿の足三里穴のつぼに軽く置いて振動刺激を与えることにより、ストレスや胃疾患、日常的な胃下垂、及び食後の胃下垂の引き揚げに効果が期待される。また、慢性的な胃炎に対しては、振動数が73.2Hzである「壱越調」の第2の音叉12を振動させた状態で、その把持部3の先端を下腿の豊隆穴に軽く置いて振動刺激を与えることにより改善効果が期待できる。さらに、五十肩や肩関節障害には、振動数が73.2Hzである「壱越調」の第2の音叉12を振動させた状態で、その把持部3の先端3aを患部の肩と同側の下腿の条口穴に軽く置いて振動刺激を与えることにより、上肢が挙上し易くなる効果が得られる。
土用は夏以外にも四季各々にあると言われ、季節の変わり目である土用には、心身共にストレスを受け、失調し、変位する部分を、土用に対応した「壱越調」を中心として人体の調整を行うトマティス理論で言われている有効な周波数と組み合わせた「壱越調」の音叉セットを用いることで治療・調整を図るものである。
この「壱越調」の音叉セットは、春・夏・土用・秋・冬に対応した5つの音叉セットの核となるものであり、後天の気(飲食の栄養の精気)を調整して、生きる力を引き出す基礎・基本となるものである。
春に胃痛を訴える人、夏に胃痛を訴える人等、その人の1年間のバイオリズムで季節による変化に体が対応できないときに有効と考えられるものである。春に芽のものを食べ、体に勢いをつけ、夏には、葉のものを食べ、体内を冷やす。秋には実のものを食べ、生命力をつけ、冬には根のものを食べ、体を温めると良いと言われ、旬なものを食べる大切さを昔からの知恵としている。四季とともに食生活も変化するので、体が対応できにくくなってきたときに、この「壱越調」の音叉セットは、有効であると考えられる。
足の反射区には、振動数が36.6Hzである「壱越調」の第1の音叉11を使用し、婦人科系の疾患には、振動数が36.6Hzである「壱越調」の第1の音叉11と、振動数が292.7Hzである「壱越調」の第4の音叉14を使用する。五十肩、肩関節周囲には、振動数が73.2Hzである「壱越調」の第2の音叉12を使用する。また、消化器系には、振動数が146.4Hzである「壱越調」の第3の音叉13と、振動数が585.4Hzである「壱越調」の第5の音叉15、振動数が1000Hzであるトマティス理論の中周波数領域の第6の音叉16、振動数が1170.8Hzである「壱越調」の第7の音叉17を使用する。特に、胃痛や胃の動きが弱いときは、振動数が73.2Hzである「壱越調」の第2の音叉12と、振動数が146.4Hzである「壱越調」の第3の音叉13と、振動数が1000Hzであるトマティス理論の中周波数領域の第6の音叉16及び振動数が2000Hzであるトマティス理論の中周波数領域の第8の音叉18を使用する。
さらに、手の反射区には、振動数が2000Hzであるトマティス理論の中周波数領域の第8の音叉18、及び振動数が2341.6Hzである「壱越調」の第9の音叉19を使用する。また、交通事故等の外傷性のムチウチ症や頚椎、椎間板ヘルニア等による下部頚椎部の違和感には、振動数が2000Hzであるトマティス理論の中周波数領域の第8の音叉18、を使用し、手の痺れ等にも有効である。又、上記の外傷性の頸椎部中部には、振動数が3000Hzであるトマティス理論の中周波数領域の第10の音叉110を使用し、自律神経失調症、めまい、吐き気、頭痛等のストレス疾患などは、振動数が2000Hzであるトマティス理論の中周波数領域の第8の音叉18、振動数が2341.6Hzである「壱越調」の第9の音叉19、振動数が3000Hzであるトマティス理論の中周波数領域の第10の音叉110を使用する。
耳の反射区には、振動数が3000Hzであるトマティス理論の中周波数領域の第10の音叉110、及び振動数が4683.2Hzである「壱越調」の第11の音叉111を使用し、顎関節炎には、同じく振動数が4683.2Hzである「壱越調」の第11の音叉111を、顎関節炎からの頸椎症には、振動数が2000Hzであるトマティス理論の中周波数領域の第8の音叉18、及び振動数が2341.6Hzである「壱越調」の第9の音叉19、振動数が3000Hzであるトマティス理論の中周波数領域の第10の音叉110を併用する。また、姿勢の安定保持には、振動数が4683.2Hzである「壱越調」の第11の音叉111を使用し、延髄部には、振動数が4683.2Hzである「壱越調」の第11の音叉111、及び振動数が6000Hzであるトマティス理論の高周波数領域の第12の音叉112を使用する。
一方、「平調(ひょうじょう)」の12本の音叉セット11〜112は、中医学でいう五臓のうち、「肺」の治療・調整を主目的としたものであり、「平調(ひょうじょう)」と物理調Cの2種類のグループの音叉から構成され、呼吸や皮膚、咽喉部、あるいは骨格を調整するために主に使用される。また、皮膚に潤いを与える美容的な効果も期待できる。
中医学でいう「肺」は、呼吸を司り、気を司る粛降を主るとされ、呼吸機能と関係があり、又、血液循環や水液代謝とも関係を有する。通調水道の作用があり、水液を分散して全身に行きわたらせ、特に皮膚に達して汗孔から排出する。また、水液を膀胱に運びおろして排泄する作用がある。皮膚と汗腺、うぶ毛などの組織とも関係があり、汗液を分泌し、皮膚を潤沢にし外邪を防御するなどの機能を有している。皮膚呼吸や体温調節とも関係する。肺は呼吸を司るため、鼻とも関連し、咽喉部とも関係を有する。肺の病変は、直ちに鼻に影響しやすく、鼻づまり、嗅覚異常を起こし、咽や音声の異常や咳嗽、呼吸困難を招く場合がある。また、肺の機能が減退すると、感冒や自汗、盗汗などを起こしやすい。さらに、肺が不調になると、浮腫、排尿困難、無汗などをきたす。肺の精神作用は、魄であり、知に関係すると言われている。
この「平調」の音叉セット11〜112は、骨格調整に顕著な効果を発揮することが期待される。春になると花々が咲き、枝葉は成長し、秋になると葉を落とし、実を付け、次の1年の準備に入る。人間の体も季節の変化の影響を受け、春になると成長期に入り、髪も伸び易くなり、成長に必要な栄養を十分摂取するため、人体の骨盤は開き、飲食を十分行える状態とする。秋は冬の内蔵・収斂に備え、骨盤は閉じ、冬の体の準備に入る。このため、春は骨盤が開く時期、秋は骨盤が閉じる時期となり、仙腸関節に負担が掛かり、腰痛や俗にいうギックリ腰が起こり易い時期となる。
仙骨と後頭骨とは、呼吸と共にシーソーの如くバランス運動をし、脳脊髄液を循環させ、神経を栄養する。また、その生理的関係により春も秋も頭蓋骨の変形による頭痛、及び頚の違和感を訴える患者が多くみられる。これは、頭部に頚の筋肉が連絡しているため、骨盤が開閉し、頭蓋骨の圧力が変わることにより、頚の筋肉が引っ張られ、偏ることが原因の1つであると考えられる。
頸椎上部の環軸関節は、頭部の回旋運動に関係がある他、全体的な体の捻じれを発生させる原因ともなり、頚筋、頸椎の変位による左右の下肢長の長さにも影響を及ぼす。夏に冷たい物を沢山採り、体を冷やし過ぎると、背骨を支える筋肉の働きが弱まり、背骨の配列が歪み、筋肉が引っ張られ、骨盤の変位が発生する。骨盤が捻じれている場合は、両下肢の長さが異なり、片方の下肢、下腿がO脚になる。このような様々な体の歪みを有したままの状態で、9月中旬〜10月中旬頃の秋の季節になると、骨盤が閉まるため、腰痛、坐骨神経痛、アキレス腱痛、頭痛、足首の捻挫、足趾、踵の異常を訴える患者が増える。
「平調」の音叉セッ11〜112のうち、振動数が4096Hzである物理調C5の第11の音叉111は、膝、腰、肋骨、鎖骨、肩、顎、眼窩、乳様突起、肩甲骨、額の各部位の高さの歪んだ傾きを調整する上で効果が期待できる。
前頭骨には、両下肢の長さを整える反射区があるため、この振動数が4096Hzである物理調C5の第11の音叉111を前頭骨付近で音叉を打ち鳴らし、額に響かせることにより、一瞬のうちに姿勢反射も改善され、骨格を正常な位置に戻し、整える上で効果が得られる。
また、肺は呼吸と関係があり、呼吸運動を調整することで、横隔膜の働きや動きにより息が深く入るようになる。息が深く入ることによって、気が下がり、精神も安定し、根気も続くようになる。又、酸素を沢山体内に取り入れることができるため、細胞の活性化に繋がり、酸素の欠乏状態が改善される。その結果、皮膚は白くなり、潤い、疲労しにくくなると共に、免疫機能が上がり、病気に罹りにくくなり、病気を治癒する力も生まれる。また、骨盤の高さ、下肢長が安定することによって、骨盤内の疾患、膀胱炎、大腸炎、便秘、生理不順、生理痛が改善され、腎臓の働きも活発になり、排尿の作用も活発となり、体の浮腫みも取れる傾向にある。また、酸欠が改善されるため、脳に酸素が取り込まれ、脳の中でも認知症の発症に関係が深い、前頭前野や海馬の血流が増し、脳内のアミロイド斑(老人斑)の量が少なくなり、アルツハイマー型認知症の予防にも効果的である。
この「平調」の12本の音叉セット11〜112を使用すると、体の収斂作用にも繋がり、骨格が重心線の上に載り、姿勢が美しくなる。また、骨盤、胸郭、頭蓋骨が正常な位置に戻り閉まるため、体がふら付かないようになる。さらに、皮膚呼吸、呼吸運動が正常に戻り、酸素の欠乏状態が改善し、免疫能力、生命力を高める効果が期待できる。
足の反射区には、振動数が40.8Hzである「平調」の第1の音叉11を使用し、呼吸器には、振動数が1304.8Hzである「平調」の第8の音叉18を使用する。また、手の反射区には、振動数が2048Hzである物理調C4の第9の音叉19を使用し、耳の反射区には、振動数が2609.6Hzである「平調」の第10の音叉110、及び振動数が4096Hzである「平調」の第11の音叉111、顎関節炎には、振動数が2609.6Hzである「平調」の第10の音叉110、及び振動数が4096Hzである「平調」の第11の音叉111をそれぞれ使用する。
また、全身の骨格調整は、振動数が4096Hzである「平調」の第11の音叉111を額の高さで鳴り響かせることにより行い、延髄の調整は、同じく振動数が4096Hzである物理調Cの第11の音叉111、及び振動数が5219.2Hzである「平調」の第12の音叉112を使用する。
「平調」は、音の高さでいうとE(ミ)に相当し、物理調Cは(ド)の音の高さであるため、この2つのグループの音叉は調和する。
また、「盤渉調(ばんしきちょう)」の12本の音叉セット11〜112は、中医学でいう五臓のうち、「腎」の治療・調整を主目的としたものであり、「盤渉調(ばんしきちょう)」と「下無調(しもむちょう)」の2種類のグループの音叉から構成されている。
中医学でいう「腎」は、脳、髄、骨、関節、髪、歯、全身の水液代謝、排尿、生殖器、耳、呼吸、副腎や性腺からの性ホルモン、脳下垂体からの成長ホルモン、カルシウムを始めとする電界質代謝の調節、腎臓の機能に関係すると考えられている。
そのため、「盤渉調」を基本とする音叉セット11〜112は、脳、髄、骨、関節、髪、歯に対する治療効果が期待でき、横隔膜の呼吸運動をも改善するため呼吸が深くなり、酸素の欠乏状態が改善され、細胞が活性化することにより、免疫機能が増進する。また、顎関節炎にも治療効果が見られるため、唾液線の分泌も促進する。又、仙骨と後頭骨の運動も促進され、脳脊髄液の流れが良好となり、神経系や水分代謝にも効果を有する。特に、人体では、腰から下肢にわたる下半身の調整に大変効果が期待でき、筋肉を柔軟にする作用を有することは勿論のこと、両下腿(両膝下)、両足の浮腫みを改善し、リンパの流れを良好にさせる働きを有する。
又、「盤渉調」の音の高さは、前述したように、日本人の新生児の産声の高さに近いとも言われており、「盤渉調」の音叉1の音を聞くことにより、心が洗われて聴覚や聴力が胎児だった頃の純粋な状態に近づき、生きる原点にも立ち返らせ、生命力を湧き立たせる心の回復効果も期待できる。
なお、「盤渉調」の音の高さは、H(シ)であり、「下無調」はF#であり、「盤渉調」と「下無調」とは調和する。
実施例3
50代前半の女性である患者Cは、2年程前、静岡県から四国の徳島県の10階建マンションの9階へ転居して以来、季節に関係なく体調を崩すようになった。
患者Cは、「四国の水が体に合わない」と言い、又、瀬戸内海からのカーフェリーのディーゼル臭がマンションの窓から入り、非常に臭くてストレスを感じしていること、更に、マンションの屋上に取り付けられた避雷針が瀬戸内海から吹く風で振動して一日中鳴り続け、その音がとてもうるさくストレスを感じるとの訴えがあった。
また、患者Cの体は、その傾きが各部位で区々であり、互いに逆方向に傾き、上半身と下半身は捻じれた状態であった。
そこで、本発明者は、夏に対応した「黄鐘調(おうしきちょう)」の12本の音叉セット11〜112を、鍼治療と組み合わせて使用し、人体の各部位に合った振動数の12本の音叉11〜112を選択して振動させ、空気振動のみで使用した。
「黄鐘調」の音叉セット11〜112を使用した理由は、季節が夏であったこと、及び「心」の状態に関わる症状も見られたため、中医学の五臓のうち、「心」に対応した「黄鐘調」を選択したものである。軽擦を中心としたスポーツマッサージを施し、全身の骨格を調整した後、体中の力を引き出し、内臓の働きのバランスを整えるため、全身に15本程の鍼治療を施した。置鍼した状態で「黄鐘調」の音叉11〜112のうち、人体の各部位に有効な周波数の音叉を選択して打ち鳴らし、鍼の竜頭への接触振動刺激ではなく、鍼に音叉を近付ける空気振動のみの刺激とした。
夏は、日の高さや長さが大きく変化するため、人間の体内時計等、体のリズムを整える必要がある。朝は日光を見て目に光を入れ、体に日光を浴びることにより、視床下部の働きにより体のリズムを整える働きがリセットされ、1日の活動を開始させる。
夏に対応した「黄鐘調」の音叉セットは、心臓の働きと、内分泌、ホルモン、目、視、体内リズムの回復、強化に有効であると考えられる。脳下垂体や成長ホルモンの分泌にも働きかけて、免疫、細胞の修復、肥満予防に効果が期待できる。
脳梗塞は、夏に多くみられる。その原因の1つとして心臓の不整脈から血管の血栓が脳へ移動して発症すると考えられることから、夏は血液中の水分のバランスに注意する必要がある。
夏の「黄鐘調」の音叉セットは、心臓神経症等の心療内科系の疾患での不整脈に効果があり、心臓のリズムを安定させ、脳血管障害への予防効果も期待できる。
実施例4
47才の女性である患者Dは、既往症として先天性の股関節脱臼を患っている。24才のときにアレルギー性紫斑病に罹り通院していたが、環境を変えたこともあり、30代で完治した。また、車の運転中に後方からの追突事故を3回経験し、初回は3カ月の入院を余儀なくされた。
その後、頸椎ムチウチ症の後遺症と追突の衝撃による腰痛に悩まされ、雨が降る前や台風が接近し、気圧が変化するときに頭痛を発症するようになった。また、頸椎ムチウチ症のため、頸椎、腰椎の配列が体が疲労すると悪くなり、仙腸関節のズレや頭蓋骨の圧力が不調となり、頭痛、腰痛を発症した。また、胸鎖乳突筋の上部を負傷したため、ストレスを感じると筋肉が緊張し、胸鎖乳突筋が収縮し、反対側に顔を廻し、斜め上方を向く傾向が見られた。このため、顎が曲がり、目の高さは右目が下がり、左目が上がって顔が歪むようになっていた。また、頚の旋回は、全体的に体の捻じれを発生させるため、両下肢長の違いや股関節に負担を掛ける立ち方となり、O脚になっていた。
この患者Dに敢えて胸鎖乳突筋部、顔面部への鍼治療は施さず、うつぶせにした状態で下肢、腰、肩背部、頚にスポーツマッサージを施した後、中国鍼34番鍼(細い鍼)を置鍼し、秋に対応した「平調」の12本の音叉セット11〜112を、各周波数が有効な部位へそれぞれ打ち鳴らす方法で、鍼の竜頭へ空気振動刺激を試みた。
次に、患者Dを仰向けにして同様に下肢、腹部、上肢に中国鍼34番鍼を打ち、置鍼した。そして、「平調」の12本の音叉セット11〜112を、各周波数が有効な部位へそれぞれ打ち鳴らす方法で、鍼の竜頭へ空気振動刺激を試みた。
その際、胸鎖乳突筋部には、振動数が2048Hzである「平調」の第9の音叉19を鎖骨付近へ、乳様突起や胸鎖乳突筋上部に振動数が2609.6Hzである「平調」の第10の音叉110をそれぞれ打ち鳴らし、その柄の底を軽く患部に押し当てて振動刺激を試みた。
また、振動数が4096Hzである「平調」の第11の音叉111を額の高さで打ち鳴らすとともに、振動数が5219.2Hzである「平調」の第12の音叉112を頭上の高さで打ち鳴らした。
その結果、鍼を頚前面、胸鎖乳突筋上部に打っていないにも関わらず、頚の筋肉が全体的に緩み、特に頚の前面、及び胸鎖乳突筋部が一瞬のうちに緩み、顎がまっすぐとなり、左右の目の高さが同じ高さとなった。体の捻じれや顔の歪みが改善されたことで、股関節の負担が軽減され、下肢の片足のO脚が改善された。また、顔面の骨格が改善されたことにより、頭蓋骨の圧力も改善され、頭痛が解消した。振動数が4096Hzである「平調」の第11の音叉111は、延髄、骨格矯正にとても効果を発揮し、体全体を調整し、頭蓋骨と骨盤、肋骨を正規の位置に戻し、体の骨格を重心線に近付ける作用があるため、体が収斂し締まることになる。又、気血のめぐりが改善されたため、肌が潤い、皮膚が艶やかになり、顔面の豊麗線も消えた。この患者Dに冬・春・夏の音叉をそれぞれの季節に使用したが、「平調」の音叉セットを使用した場合に、左右の目の高さが略等しくなる効果が認められた。
実施例5
57才の女性である患者Eは、乳癌を克服し、現在はケアマネージャーとして働いたが、膀胱炎を発症し何度も再発するようになった。また、患者Eは、強いストレスを感じ、体全体が上半身と下半身で大きく捻じれ、膀胱に負担が掛かり、背骨の配列も悪かった。
この患者Eに秋に対応した「平調」の音叉セット11〜112を鍼治療と組み合わせて治療を行ったところ、体の傾きの悪さが改善し、顎がまっすぐになり、骨格も整った。体の捻じれが取れ、膀胱に負担がかからなくなったことと、腎臓の位置及び骨盤の高さが整ったことから安定したためか、膀胱炎も治癒した。1回の治療によって上述した効果が得られた。更に、顔面の豊麗線が目立たなくなり、皮膚に光沢が出て、肌が綺麗になった。
実施例6
60才の男性である患者Fは、食品会社に勤務し、営業で全国を飛行機、新幹線、車等で移動する生活が続いていた。患者Fは、呼吸器が弱く、またストレスからか疲労すると両手の握力が極端に弱くなり、握ったペンを時々落とすこともあった。肩の三角筋の緊張のため、左肩が上がりにくく、様々な治療やマッサージを受けたが改善せず、却って全身の筋肉がとてもかたく、特に、体の後背部、腰部、肩背部、頚が固まった状態で柔軟性が欠如していた。
そこで、本発明者は、音叉治療を冬、春、夏、秋の音叉セットを使用して開始し、特に冬の「盤渉調」の音叉セット11〜112を使用したことにより、腰、下肢の疲労が取れ、骨格も安定し、筋肉が柔らかくなった。また、春の「双調」の音叉セット11〜112を使用することにより、特に頚、肩背部の筋肉が柔らかくなり、握力は改善され、体の柔軟性が戻ってきた。また、頸椎の配列に改善が見られた。夏の「黄鐘調」の音叉セット11〜112を使用した場合には、体がしっかりとして筋肉も柔らかくなり、更に改善がみられた。また、夏の音叉セット1には、癒し効果があったせいか、患者は音叉治療中に熟睡していた。さらに、秋の「平調」の音叉セット11〜112を使用した場合には、骨格が安定して骨盤、頭蓋骨、肋骨が収斂して重心線に乗り、横隔膜の運動も活発となり、呼吸運動も楽になった。又、皮膚呼吸も良好となり、皮膚に光沢が出て肌に潤いが見られた。
実施例7
41才の男性である患者Gは、加圧トレーニングのオーナー兼トレーナーとしてスポーツジムの経営をしながら、自らのトレーニング法に加圧トレーニングを取り入れたトレーニングを行っている。患者Gは、腰痛と右肩痛の訴えがあり、所見では矢状縫合や椎骨の配列に変位が見られ、頭蓋骨の圧力の失調と仙腸関節のズレ(歪み)があり、肺や大腸、腎機能にも負担がかかっていた。又、右目の瞳の位置が右斜め上方に上がり、眼球の動きにも不自然な点が見受けられた。
患者Gに対しては、「黄鐘調」の音叉セット11〜112を用い、音叉1による振動刺激は、患者の部位に音叉を近付けて接触させない空気振動刺激、及び振動させた音叉1の先端をつぼに軽く押し当てる接触振動刺激と、つぼに鍼を打って置鍼した後、鍼の竜頭に振動させた音叉1を軽く接触させる振動刺激と、置鍼した鍼に振動させた音叉1を接触させない空気振動刺激とを併用することにより、経絡やホルモンバランスの調整を行った。
更に説明すると、患者Gには、スポーツマッサージを全身に施した後、必要な部位に鍼を打ち、置鍼した鍼に振動させた音叉を近付ける方法で「黄鐘調」の音叉11〜112を使用した結果、左右の瞳は正中に戻り、矢状縫合も安定し、椎骨の配列や頭蓋骨の圧力、仙腸関節の歪みも改善された。
実施例8
64才の男性である患者Hは、高校の数学の教師をしており、9年程前に心臓の手術を行い、その後回復したが、1年程前から疲労すると下腿のむくみが顕著となるとともに、下腿の皮膚が冬の時期に乾燥して粉状に飛散するような症状が見られた。
患者Hに対しては、冬の時期に「盤渉調」の音叉セット11〜112を用いて治療を行ったところ、下腿のむくみが解消され、代謝が良好となった。
今年の秋に自転車で転倒して右膝内側を強打し、打撲した箇所にはかなり顕著な腫れが見られた。
まず、全身に軽擦を中心としたスポーツマッサージを施し、仙腸関節を矯正して後頭骨とのバランスを改善し呼吸運動を活発にさせた後に鍼を打ち、全身及び打撲して炎症のある右膝内側に置鍼した。打撲した箇所の腫れが顕著であったため、置鍼した鍼の竜頭に振動数が163.1Hzである「平調」の第3の音叉13を振動させた状態で接触させ、振動刺激を行い、他の箇所には、身体の各部位に対応した「平調」の音叉1を打ち鳴らし、空気振動刺激を行った。
その結果、打撲により腫れていた右膝内側の部位の腫れが改善し、左足と同程度まで回復した。また、下腿の皮膚も潤いが戻り乾燥が改善した。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。
実施の形態3
この実施の形態3では、民族に固有の音階の少なくとも1つの音程として、中国音階の五音に対応したものを採用している。
すなわち、この実施の形態3では、春に対応した「双調(そうぢょう)」の基本周波数である振動数391.5Hzの音叉1が中国音階の「角(かく)」に、夏に対応した「黄鐘調(おうしきちょう)」の基本周波数である振動数437.0Hzaの音叉1が中国音階の「徴(ち)」に、土用に対応した「壱越調(いちこつちょう)」の基本周波数である振動数が292.7Hzの音叉が中国音階の「宮(きゅう)」に、秋に対応した「平調(ひょうぢょう)」の基本周波数である振動数326.2Hzの音叉が中国音階の「商(しょう)」に、冬に対応した「盤渉調」の基本周波数である振動数491.5Hzの音叉が中国音階の「羽(う)」にそれぞれ対応した5本の音叉で1セットを構成している。
このように、春・夏・土用・秋・冬の各季節による治療・予防に加えて、五行説の五臓、経絡を調律・調整する「五音」セットの6通り、6種類の使い方が可能な治療用・美容用の音叉セットともなる。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。
実施の形態4
この実施の形態4に係る音叉型治療器としての音叉は、美容器としても使用されるものである。美顔(フェイスリフト、豊麗線、シワ、肌のくすみ、たるみ等)、小顔矯正、小頭矯正などを目的に使用する場合には、次のようにして、音叉型美容器として使用される。
顔面部、顎、乳様突起周囲、後頭骨、耳の反射区には、振動数が3932Hzである「盤渉調」の第10の音叉110を使用し、眼窩、目の周囲、太陽穴、額部への反射区には、振動数が5851.2Hzである「下無調」の第11の音叉111を使用する。振動させた音叉1の把持部3の先端3aを、顔面部や顎など美容の目的とする部位、及び耳、額、後頭骨、顔面や乳様突起周囲などへ軽く押し当て振動刺激を行う。
また、顔面部や乳様突起周囲へ美容鍼を施す際には、浅めに鍼を打って置鍼し、振動している振動数が3932Hzである「盤渉調」の第10の音叉110や、振動数が5851.2Hzである「下無調」の第11の音叉111を鍼に近付けることにより、空気振動刺激を行う。顔面や額、頭部は、僅かな傷でも大量に出血する虞れがあるため、鍼の竜頭に振動させた音叉1を直接接触させることは好ましくない。
さらに、美容目的で振動させた音叉1の把持部3の先端3aを顔面部や顎など美容の目的とする部位に接触させる場合には、軽く皮膚に押し当てる程度とし、音叉1の先端3aを顔面部等の部位に押し当てた状態で移動させることは、皮膚や浅筋膜を損傷する虞れがあるため避ける必要がある。
振動数が5851.2Hzである「下無調」の第11の音叉111は、髪の毛に艶を出す効果が得られる。その際、振動数が5851.2Hzである「下無調」の第11の音叉111、及び振動数が7864Hzである「盤渉調」の第12の音叉112を、振動させた状態で頭部の百会穴に接触させることによって使用する。百会穴は、督脈にあるツボであり、「百」とは、経脈の数が多いことを意味し、「会」とは、その気血流注が集まるという意味で、頭部の中央にあり、頭部の陽気が集まることから名づけられ、病気の治療や背骨の配列を整えたり、腰や大腸の働きにも関与している。
また、振動数が3932Hzである「盤渉調」の第10の音叉110、振動数が5851.2Hzである「下無調」の第11の音叉111、及び振動数が7864Hzである「盤渉調」の第12の音叉112を用いて、顔面や頭部に空気振動刺激、把持部3の先端3aによる接触振動刺激を行うことによって、顔面や頭部にある15種類23個の骨が振動刺激により移動し、本来の位置からずれた位置にあった骨や関節が自ら正常な位置へと移動する。
その結果、顔面や頭部の骨格が整い、リンパの流れや、顔面、頭部の筋肉の動きも良好となり、皮膚の働きも改善させ、シワが解消されたり、酸欠の改善となり、肌のくすみやたるみ、或いは豊麗線も目立たなくなり、浮腫みも改善し、フェイスリフト、小顔や小頭となる効果が期待される。顔面の骨の噛み合わせが悪い場合には、皮膚の下部に微小な窪みが形成され、皮膚にシワができる原因となる。
さらに、顔面部や顎の骨格矯正は、頭部の頭蓋骨の圧力調整や脳の働き(脳内ホルモンの分泌)とも関係するため、振動数が3932Hzである「盤渉調」の第10の音叉110、振動数が5851.2Hzである「下無調」の第11の音叉111、及び振動数が7864Hzである「盤渉調」の第12の音叉112を使用することによって効果が増す。
また、この実施の形態に係る音叉型美容器として「双調」の音叉セットを使用する場合には、振動数が3132Hzである「双調」の第11の音叉111を、顔面部、顎、乳様突起周囲、耳に、振動数が6264Hzである「双調」の第12の音叉112を、顔面部、額、頭部にそれぞれ使用する。
さらに、この実施の形態に係る音叉型美容器として「黄鐘調」の音叉セットを使用する場合には、振動数が3496Hzである「黄鐘調」の第11の音叉111を顔面部、顎、乳様突起周囲、耳、後頭骨に、振動数が6992Hzである「双調」の第12の音叉112を顔面部、額、頭部にそれぞれ使用する。
又、この実施の形態に係る音叉型美容器として「壱越調」の音叉セットを使用する場合には、振動数が4683.2Hzである「壱越調」の第11の音叉111を、顔面部、顎、乳様突起周囲、耳、後頭骨に、振動数が6000Hzであるトマティス理論の第12の音叉112を、顔面部、額、頭部にそれぞれ美容目的で使用する。
更に、この実施の形態に係る音叉型美容器として「平調」の音叉セットを使用する場合には、振動数が4096Hzである物理調C5の第11の音叉111を、顔面部、顎、乳様突起周囲、耳、後頭骨に、振動数が5219.2Hzである「平調」の第12の音叉112を、顔面部、額、頭部にそれぞれ美容目的で使用する。
また、この実施の形態4に係る音叉型美容器としての音叉は、人体の部分的な痩身効果を得るためにも使用可能である。膝下や下腿の浮腫みには、冬に対応した「盤渉調」の音叉セットを使用する場合、振動数が30.7Hzである「盤渉調」の第1の音叉11を足に、振動数が61.4Hzである「盤渉調」の第2の音叉12を下腿に、振動数が122.9Hzである「盤渉調」の第3の音叉13を膝周囲に、それぞれ振動させた状態で近付けて求心性に空気振動刺激、又は振動させた音叉1の把持部3を皮膚に軽く接触させて求心性に擦上を繰り返す振動刺激が安全で効果的である。
また、春に対応した「双調」の音叉セットを使用する場合、振動数が24.5Hzである「双調」の第1の音叉11を足に、振動数が48.9Hzである「双調」の第2の音叉12と、振動数が97.9Hzである「双調」の第3の音叉13とを下腿に、振動数が195.8Hzである「双調」の第4の音叉14を大腿部に用いると効果的である。なお、音叉の使用方法は、「盤渉調」の音叉と同様である。
さらに、夏に対応した「黄鐘調」の音叉セットを使用する場合、振動数が27.3Hzである「黄鐘調」の第1の音叉11を足に、振動数が54.6Hzである「黄鐘調」の第2の音叉12と、振動数が109.3Hzである「黄鐘調」の第3の音叉13とを下腿に用いると効果的である。なお、音叉の使用方法は、「盤渉調」の音叉と同様である。
又、土用に対応した「壱越調」の音叉セットを使用する場合、振動数が36.6Hzである「壱越調」の第1の音叉11を足に、振動数が73.2Hzである「壱越調」の第2の音叉12を下腿に、振動数が146.4Hzである「壱越調」の第3の音叉13を膝周囲に用いると効果的である。なお、音叉の使用方法は、「盤渉調」の音叉と同様である。
更に、秋に対応した「平調」の音叉セットを使用する場合、振動数が40.8Hzである「平調」の第1の音叉11を足に、振動数が81.6Hzである「平調」の第2の音叉12を下腿に、振動数が163.1Hzである「平調」の第3の音叉13を大腿部に用いると効果的である。なお、音叉の使用方法は、「盤渉調」の音叉と同様である。
さらに、人体の部分的な痩身効果のうち、ヒップアップ効果や臀部に脂肪が付き難くする効果として、「盤渉調」の音叉セットを使用する場合、振動数が245.8Hzである「盤渉調」の第4の音叉14を臀部に、振動数が491.5Hzである「盤渉調」の第5の音叉15を臀部と腰部に、「双調」の音叉セットを使用する場合、振動数が195.8Hzである「双調」の第4の音叉14を大腿上部に、振動数が391.5Hzである「双調」の第5の音叉15を臀部に、振動数が528Hzであるa440のときの純正律Cである第6の音叉16を臀部及び腰部に、「黄鐘調」の音叉セットを使用する場合、振動数が218.5Hzである「黄鐘調」の第4の音叉14を臀部に、振動数が437Hzである「黄鐘調」の第5の音叉15を臀部に、振動数が660Hzであるピタゴラス調e2の第6の音叉16を腰部に、「壱越調」の音叉セットを使用する場合、振動数が292.7Hzである「壱越調」の第4の音叉14を臀部に、振動数が585.4Hzである「壱越調」の第5の音叉15を腰部に、「平調」の音叉セットを使用する場合、振動数が326.2Hzである「平調」の第4の音叉14を臀部に、振動数が512Hzである物理調C2の第5の音叉15を腰部にそれぞれ使用する。
音叉1の使用方法としては、振動させた音叉1を目的とする部位へ近付けて求心性に向って上下に移動させる空気振動刺激、振動させた音叉1の把持部3の先端3aを目的とする部位に軽く押し当てる振動刺激、又、鍼を打ち、置鍼した鍼の竜頭に振動させた音叉を接触させて振動刺激を行うか、接触させずに空気振動刺激を行う方法が挙げられる。
又、人体の部分的な痩身効果のうち、腹部への部分的な痩身効果として、「盤渉調」の音叉セットを使用する場合、振動数が245.8Hzである「盤渉調」の第4の音叉14を下腹部に、振動数が491.5Hzである「盤渉調」の第5の音叉15をへそ周りに、
振動数が731.4Hzである「下無調」の第6の音叉16を上腹部に、「双調」の音叉セットを使用する場合、振動数が391.5Hzである「双調」の第5の音叉15を下腹部に、振動数が528Hzであるa440のときの純正律Cの第6の音叉16をへそ周りに、振動数が783Hzである「双調」の第7の音叉17を上腹部に、「黄鐘調」の音叉セットを使用する場合、振動数が218.5Hzである「黄鐘調」の第4の音叉14を下腹部に、振動数が437Hzである「黄鐘調」の第5の音叉15をへそ周りに、振動数が660Hzであるピタゴラス調e2の第6の音叉16を上腹部に、「壱越調」の音叉セットを使用する場合、振動数が292.7Hzである「壱越調」の第4の音叉14を下腹部に、振動数が585.4Hzである「壱越調」の第5の音叉15をへそ周りに、振動数が1000Hzであるトマティス理論の第6の音叉16を上腹部に、「平調」の音叉セットを使用する場合、振動数が326.2Hzである「平調」の第4の音叉14を下腹部に、振動数が512Hzである物理調C2の第5の音叉15をへそ周りに、振動数が652.4Hzである「平調」の第6の音叉16を上腹部にそれぞれ使用する。尚、音叉の使用方法は、臀部への使用方法と同様である。
又、人体への美容効果のうち、バストアップ効果としては、「盤渉調」の音叉セットを使用する場合、振動数が983Hzである「盤渉調」の第7の音叉17をアンダーバストに、振動数が1966Hzである「盤渉調」の第8の音叉18を大胸筋部に、「双調」の音叉セットを使用する場合、振動数が1056Hzであるa440のときの純正律Cの第8の音叉18をアンダーバストに、振動数が1566Hzである「双調」の第9の音叉19を大胸筋部に、「黄鐘調」の音叉セットを使用する場合、振動数が1320Hzであるピタゴラス調e3の第8の音叉18をアンダーバストに、振動数が1748Hzである「黄鐘調」の第9の音叉19を大胸筋部に、「壱越調」の音叉セットを使用する場合、振動数が1170.8Hzである「壱越調」の第7の音叉17をアンダーバストに、振動数が2000Hzであるトマティス理論の第8の音叉18を大胸筋部に、「平調」の音叉セットを使用する場合、振動数が1024Hzである物理調C3の第7の音叉17をアンダーバストに、振動数が1304.8Hzである「平調」の第8の音叉18を大胸筋部にそれぞれ使用する。
音叉1の使用方法としては、振動させた音叉1を目的とする部位へ近付けて、脇下に向かって円弧を描くように移動させる空気振動刺激、バストを引き上げるように鎖骨付近に向って上下に移動させる空気振動刺激、又は仰向けになり、鍼を打ち、置鍼した状態で鍼の竜頭に振動させた音叉を接触させずに空気振動刺激を行う方法が挙げられる。
更に、人体への美容効果のうち、バストを大きくしたい場合は、前述した季節に対応した音叉をアンダーバストと大胸筋部に使用し、アロマテラピーで使用する精油のアーモンドオイルをバストに塗り、放置することにより行う。アーモンドオイルは比重が大きく、コーティング力が強いため、皮膚の動きを比較的止める作用があり、目標とするバストの運動率を低下させ、脂肪を蓄積し易くする効果がある。
一方、人体への美容効果のうち、バストを小さくしたい場合は、バストにホホバオイルを塗り、前述した季節に対応した音叉をアンダーバストと大胸筋部に使用することで、ホホバオイルの体を温める作用により浸透したオイルによって脂肪が燃焼しやすくなり、バストを小さくする効果が得られる。また、腹部の痩身効果を得たい場合には、ホホバオイルを塗布してから音叉を使用すると効果的である。
なお、前記実施の形態では、治療を受ける者又は美容・健康の維持増進を図る者が属する民族として日本民族である場合について説明したが、本発明は、治療を受ける者又は美容・健康の維持増進を図る者が属する民族が日本民族である場合に限定されるものではなく、日本人であっても沖縄県民であれば琉球音階、中国人であれば中国音階、インド人であれば印度音階、イタリア人であればイタリア音階など、世界各国の民族音階を適用すれば良いことは勿論である。