JP5516932B2 - タール分解触媒 - Google Patents

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Description

本発明は、タール分解触媒に関し、より具体的にはバイオマスの部分酸化または間接加熱によりガス化するに際して、生成ガス化ガス中に含まれるタール分を分解するためのタール分解触媒に関する。
近年、地球温暖化防止対策の面から、再生可能資源であるバイオマス資源の活用が注目されている。我が国のバイオマス利用の総合政策として、2002年に「バイオマス・ニッポン総合戦略」が決定されたほか、2010年におけるバイオマスエネルギー導入目標を示した「地球温暖化対策推進大綱」が決定されるなど、バイオマス資源の有効利用は国を挙げての大きな政策となりつつある。
バイオマスの有効利用技術として幾つかのシステムが提案、開発されており、その一つにガス化システムがある。このシステムでは、バイオマスを部分酸化または間接加熱により熱分解することにより、水素、一酸化炭素、メタン等の炭化水素類といった可燃性ガスを生成するもので、生成ガスは燃料として利用され、部分酸化の場合には部分酸化に伴い発生する熱についても熱交換により有効に利用することが可能である。
ところが、このシステムの課題の一つとして、熱分解時に発生する炭化水素の中で、常温で液体もしくは固体であるタール分の生成が挙げられる。長期間にわたる商業運転を考える場合、タール分の生成による配管系の閉塞等のトラブルは大きな問題となることが知られており、タール分を分解する有効な触媒の開発が望まれている。
タールを分解、除去するための触媒として、特許文献1に記載のNi/ドロマイト〔苦石灰:CaMg(CO32〕のようにNiを担持物として用いたものや、特許文献2に記載のRh/CeO2/M(Mは、SiO2、Al23またはZrO2である)のようにRhを担持物として用いたものなどが知られている。
しかし、Niは、ガス化ガス中に含まれるH2Sに非常に弱く、硫黄被毒により時間とともに触媒が劣化してしまう。このためその触媒を大量に使用することが余儀なくされ、たとえ大量に使用しても触媒表面が硫黄被毒することで時間とともに活性が低下してしまう。また、Rhは、高い耐硫黄性を有し、比較的長時間の耐久性を有するが、時間とともに劣化することは否めず、しかもRhは非常に高額である。
そのように、従来の技術において、例えば下水汚泥などの硫黄分を含むバイオマスを部分酸化や間接加熱することによりガス化ガスを得る際に発生するタール分を分解する触媒に関しては、安価で実用に供するに足る充分な耐久性をもつ触媒はないのが現状である。
特開2007−283209号公報 特開2003−246990号公報
本発明者は、上記観点から、すなわちバイオマスの部分酸化や間接加熱等の熱分解によるガス化ガスのようにH2S(硫化水素)を含むガス中のタールを分解する触媒を得るとの観点から各種実験を繰り返し、検討したところ、BaTiO3およびFeを担持したBaTiO3が、H2Sの存在下、タール分解触媒として特異な特性を有することを見い出した。
すなわち、本発明は、H2Sの存在下、バイオマスをガス化したガス中のタール分の分解、除去用として優れた触媒活性を有し且つ優れた耐久性を備えた、BaTiO3からなるタール分解触媒、およびFeを担持したBaTiO3からなるタール分解触媒を提供することを目的とするものである。
本発明(1)は、バイオマスのガス化ガス中のタール分を分解するための触媒であって、当該タール分解触媒がBaTiO3からなり、前記ガス化ガスがH2Sを含むことによって優れたタール分解機能を有するタール分解触媒であることを特徴とするタール分解触媒である。
本発明(1)は、参考発明である。
本発明(2)は、バイオマスのガス化ガス中のタール分を分解するための触媒であって、当該タール分解触媒がFe担持のBaTiO3からなり、前記ガス化ガスがH2Sを含むことよって優れたタール分解機能を有するタール分解触媒であることを特徴とするタール分解触媒である。
本発明(2)は、本願請求項1に係る発明である。
従来のタール分解触媒は、硫黄化合物、特にH2Sにより被毒し性能劣化を来たすのが通常であるのに対して、本発明のタール分解触媒は、硫黄化合物、特にH2Sにより、被毒、性能劣化どころか、逆にタール分解性能が向上し、バイオマスのガス化ガス中のタール分解触媒として優れた性能を発揮する。
下水汚泥などのバイオマスを空気により部分酸化し、部分酸化ガス化ガス中のタール分解操作の態様例を示す図 タール分解性能評価試験装置の概略を示す図 〈タール分解性能評価試験−その2−〉の結果を示す図 〈タール分解性能評価試験−その3−〉の結果を示す図 〈タール分解性能評価試験−その3−〉の結果を示す図 〈タール分解性能評価試験−その5−〉の結果を示す図
本発明(1)は、BaTiO3からなるバイオマスのガス化ガス中のタールを、H2Sの存在下、分解するための触媒であり、本発明(2)は、Fe担持のBaTiO3からなるバイオマスのガス化ガス中のタールを、H2Sの存在下、分解するための触媒である。本明細書においてFe担持のBaTiO3を適宜「Fe/BaTiO3」と言う。
従来のタール分解触媒は、硫黄化合物、特にH2Sにより被毒し性能劣化を来たすのが通常である。これに対して、本発明のタール分解触媒は、硫黄化合物、特にH2Sにより、被毒、性能劣化どころか、逆にその分解性能が向上し、バイオマスのガス化ガス中のタール分解触媒として特に優れた性能を有する。この点で、本発明のタール分解触媒は、従来のタール分解触媒に対して特異的である。
バイオマスのガス化ガス中に含まれているタール分の主成分はトルエン、ナフタレン、フェナントレンその他の芳香族化合物であるが、本発明に係るタール分解触媒によると、硫黄化合物、特にH2Sの存在下、それらのタール成分を極めて有効に分解することができる。
本発明に係るタール分解触媒であるBaTiO3、またFe/BaTiO3のBaTiO3はペロブスカイト型構造を持ち、例えば共沈法などにより製造されるが、製造方法に限定はない。その一例として、塩化バリウム、炭酸バリウム、酸化チタンを混合、加熱することで製造される。
BaTiO3からなるタール分解触媒は、それ自体で硫黄化合物、特にH2Sの存在下、優れたタール分解性能を発揮するが、当該BaTiO3にFeを担持することにより、さらに優れた性能を有するタール分解触媒とすることができる。BaTiO3に対するFeの担持は、硝酸鉄などの鉄塩の水溶液による含浸法などにより行うことができる。
〈先行技術:ペロブスカイト型構造を持つタール分解触媒について〉
特許文献3には、バイオマスを部分酸化する際に発生するガス中のタールを分解するための触媒として、式:ABO3(式中、AはLa、Ba、Sr、Caであり、BはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Al、Zr、Nb、Al、SnまたはCeである)で表されるペロブスカイト型複合酸化物からなる触媒、式:M/ABO3(式中、AはLa、Ba、Sr、Caであり、BはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Al、Zr、Nb、Al、SnまたはCeであり、MはOs、Ir、Pt、Ru、Rh、Pd、Fe、NiまたはCoの1種または2種以上の金属である)で表されるペロブスカイト型複合酸化物に触媒金属を担持してなる触媒が開示されている。
特開2008−238012号公報
特許文献3においては、そのように式:ABO3で表されるペロブスカイト型複合酸化物からなる触媒、式:M/ABO3で表される触媒金属を担持したペロブスカイト型複合酸化物が、ガス化ガス中の硫化水素などの硫黄化合物により被毒しないことまでは認識されているが、本発明のタール分解触媒におけるように、硫黄化合物、特にH2Sの存在によりその分解性能が向上することについては突き止められていない。
本発明のタール分解触媒は、この点で特許文献3のタール分解触媒に対して特異的であり、バイオマスの部分酸化ガス化ガス中のタール分解触媒として特に優れた性能を有する。本発明に係るペロブスカイト型構造を持つBaTiO3、またペロブスカイト型構造を持つBaTiO3にFeを担持したBaTiO3は、特許文献3における上記式:ABO3で示される数多くの複合酸化物のうち、A=Ba、B=Tiという唯一の組み合わせのみがそのように特異的な特性を示すことから一種の選択発明を構成している。
本発明に係るBaTiO3からなるタール分解触媒、Fe/BaTiO3からなるタール分解触媒は、バイオマスのガス化ガスという還元雰囲気中で且つ硫黄化合物、特にH2Sを含む雰囲気中でH2Sによる被毒どころか、H2Sを含まない場合に比べてタール分解性能が向上する。この特性は、本発明により初めて明らかにできたもので、特許文献3からはもちろん、その他従来技術から予測できない特性である。
本発明のタール分解触媒の使用形態としては粉末状、粒状、顆粒状(含:球状)、ペレット状、タブレット状(=錠剤状)、或いはハニカム体(=モノリス体)等適宜の形状として使用することができる。なお、このタール分解触媒には、これらにバイオマスのガス化ガスを通す必要があるため、粉末状の場合には、これを充填した触媒層から逸散しないように所定粒度範囲に整粒するか又は造粒し、或いは加圧成形や押出成形により成形して用いるのが望ましい。このうち押出成形の場合には適宜所定長さに切断してペレット化して使用される。
ハニカム体の場合には、ハニカム構造の基材にタール分解触媒を担持する。その担持は、例えばウォッシュコート法によりタール分解触媒の粉末状スラリーをハニカム基材に担持し、常法により乾燥し、焼成する。ハニカム構造の基材としてはセラミック製又はメタル製のものを使用することができる。セラミックの好ましい例としてはコージェライトが挙げられ、メタルの好ましい例としてはステンレス鋼や鉄−アルミニウム−クロム系合金などが挙げられる。
本発明のBaTiO3からなるタール分解触媒、Fe/BaTiO3からなるタール分解触媒は、バイオマスのガス化ガス、すなわち動植物や動植物を起源とする廃棄物の部分酸化や間接加熱によるガス化により得られるガス化ガス中に含まれるタール分を分解する触媒として使用されるが、当該ガス化ガス中に硫黄化合物、特にH2Sを含むことが必須である。
ガス化ガス中に硫黄化合物、特にH2Sが含まれている場合には、当該硫黄化合物の存在により優れたタール分解性能を発揮する。ガス化ガス中に硫黄化合物、特にH2Sが含まれていない場合には、当該バイオマス中に硫黄化合物、特にH2Sを添加することで、優れたタール分解性能を発揮する。そして、ガス化ガス中のタール分の主成分は芳香族化合物つまり炭化水素であるので、これを本発明のタール分解触媒による分解によりガス化することでガス化ガスの成分として除去される。
図1は、下水汚泥などのバイオマスを空気により部分酸化し、部分酸化ガス化ガス中のタール分解操作の態様例を示す図である。図1中、1はガス化炉(バイオマスの無触媒部分酸化炉)、2、4はガス化ガス導出管、3は集塵機、5はタール分解装置、6はタール分解装置5に充填したタール分解触媒である。集塵機3は必要に応じて配置される。本発明のタール分解触媒は、図1で言えばタール分解触媒6として使用される。
図1のとおり、バイオマスはガス化炉(部分酸化炉)1へ導入される。バイオマスの部分酸化は通常無触媒部分酸化で行われるが、その部分酸化炉出口のガス化ガス温度は900℃以上である。生成するガス化ガスは、パイプ2、集塵機3、パイプ4を経てタール分解触媒充填装置5に通される。タール分解装置5でのガス化ガスの処理温度は、部分酸化炉出口温度:900℃より低下しているので、タール分解触媒はそのように低下した温度で有効である必要があるが、本発明のタール分解触媒は700〜900℃、特に750〜850℃という温度で高いタール分解性能を有する。
以下、実験例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明が実験例に限定されないことはもちろんである。
〈試験装置〉
以下に述べる各〈タール分解性能評価試験〉において、固定床流通型反応装置(管型流通式)を用いてタール分解性能をタール分解除去率(%)で評価した。図2にその試験装置の概略を示している。試験ガスは、流量調節器、加熱器を経て供試触媒Xを充填した固定床流通型反応装置に導入される。加熱器は、試験ガスを加熱して供試触媒X中を流通する試験ガスの温度を例えば750℃、850℃というように加熱するためのものである。
〈タール分解性能評価試験−その1−〉
〈供試触媒〉
本実験例では各種BaTiO3を供試触媒として使用し、それら各供試触媒について性能試験を実施した。BaTiO3は誘電体材料として粉末状等の形で市販のものである。表1に本実験例で使用したそれらの製造メーカ、表面積、純度を示している。
Figure 0005516932
〈試験条件〉
反応温度=750℃、空間速度(SV)=7500h-1(全流量250mL/min、触媒体積=1.9cm3)。
試験ガス:H2=8%(容量%、以下同じ)、CO:8%、CO2=14%、CH4=2.5%、H2O=20%、H2S=2000ppm、タール(トルエン:C78)=6400ppm、N2=バランス。
タール分解除去率(%)は下記式により求めた。式中“排出ガス中のタール濃度”は、試験装置である固定床流通型反応装置(管型流通式)出口のガスをGC分析つまりガスクロマトグラフィー(TCD,FID:ヤナコ分析工業社製)により測定した。
Figure 0005516932
これら〈試験条件〉、タール分解除去率については、〈タール分解性能評価試験−その2−〉以降のタール分解性能評価試験についても、例えば反応温度について反応温度=850℃、H2S濃度についてH2S=500ppmと言うよう記載している条件を除き、同様である。
〈タール分解性能評価試験−その1−の結果〉
反応開始時から5時間経過した時点でのタール分解除去率は、供試触媒について、例えば、A社製2で60%、C社製2で55%、F社製で93%であった。これら各供試触媒の表面積をみるとA社製2で3.1m2/g、C社製2で2〜3m2/g、F社製2で20m2/gである。
そのように各メーカのBaTiO3をスクリーニングした結果、高表面積を有するF社製のBaTiO3が最も活性が高いことが分かった。このことから、タール分解除去率は供試触媒の表面積に依存し、それが大きい方がより優れていることが分かった。その表面積を、関連する補足実験等をも考慮して数値的に言えば、好ましくは10〜25m2/gの範囲で選定することができる。
BaTiO3に関し更なる性能向上如何について、いくつかの条件調整を行い、それぞれ実験した。その結果、以下の条件のBaTiO3が特に高活性を示すことが分かった。
〈タール分解性能評価試験−その2−〉
BaTiO3におけるBa/Ti比を変えた試料を製造、作製し、各試料についてタール分解除去率を測定した。図3はその結果である。
図3のとおり、BaTiO3について、Ba/Ti比=1.00のものでは、反応開始時に90%、1時間経過時に95%、3時間経過時に88%、4時間経過時に81%、5時間経過時に79%のタール分解除去率を示し、良好なタール分解性能を示している。
Ba/Ti比=0.998のものでは、反応開始時に97%、1時間経過時に96%、3時間経過時に93%、4時間経過時に92%、5時間経過時に92%のタール分解除去率を示し、良好なタール分解性能を示している。
Ba/Ti比=0.991のものでは、反応開始時に94%、1時間経過時に93%、3時間経過時に88%、4時間経過時に85%、5時間経過時に82%のタール分解除去率を示し、良好なタール分解性能を示している。
Ba/Ti比=0.960のものでは、反応開始時に92%、1時間経過時に79%、3時間経過時に66%を示し、それ以降は上下変動し、5時間経過時に64%のタール分解除去率を示している。
Ba/Ti比=0.73のものでは、反応開始時に88%であるが、1時間経過時に48%と低下し、それ以降は上下変動し、3時間経過時に41%のタール分解除去率を示している。
これらの結果から、BaTiO3におけるBa/Ti比如何がタール分解性能に関与し、Ba/Ti比が0.99以上であると、より良好なタール分解除去率を発揮するものと言える。このようにタール分解除去率を発揮するBa/Ti比の範囲を数値的に言えば0.99〜1.00の範囲とすることができる。
〈タール分解性能評価試験−その3−〉
BaTiO3触媒のタール分解性能についてH2S濃度との関係について評価した。図4は反応温度=750℃のときの結果、図5は反応温度=850℃のときの結果である。図4〜5ともに、試験ガス中、H2S=0ppm、H2S=500ppm、H2S=2000ppmの各H2S濃度ときの結果を示している。
〈反応温度=750℃における結果〉
図4のとおり、H2S=0ppmすなわちH2Sを含まない試験ガスのタール分解率は、反応開始時の91%から急激に低下し、1時間で75%となり、6時間経過時には66%にまで低下している。
これに対して、H2S=500ppmの試験ガスのタール分解率は、反応開始時に99%、1時間経過時に98%、以降幾分上下するが、10時間経過時にも96%の値を示している。
2S=2000ppmの試験ガスのタール分解率は、反応開始時に100%、以降僅かに上下するが、10時間経過時にも98%の値を示している。
このように、BaTiO3タール分解触媒は、H2Sの存在によって劣化どころか、タール分解性能が向上し、しかもH2S濃度が大きいほどタール分解率が高くなり、タールを完全ないしほぼ完全に分解することができる。
〈反応温度=850℃のときの結果〉
図5のとおり、H2S=0ppmすなわちH2Sを含まない試験ガスのタール分解率は、反応開始時には97%であるが、それ以降急激に低下し、1時間で89%となり、6時間経過時に83%へ低下している。
これに対して、H2S=500ppmの試験ガスのタール分解率は、反応開始時に98%、1時間経過時に100%となり、4時間経過時までその値を維持し、10時間経過時にも99%の値を示している。
2S=2000ppmの試験ガスのタール分解率は、反応開始時に100%、以降僅かに上下するが、10時間経過時にも99%の値を示している。
このように、BaTiO3タール分解触媒は、H2Sの存在によって劣化どころか、タール分解性能が向上し、しかもH2S濃度が大きいほどタール分解率が高くなり、タールを完全ないしほぼ完全に分解することができる。
〈タール分解性能評価試験−その4−〉
本試験では各種BaTiO3のスクリーニング結果により、最も活性の高かったF社製のBaTiO3に各種金属を担持してその効果を試験した。表2に本実験で使用した担持金属、担持量、無担持のBaTiO3に対する活性比較を示している。
その結果、貴金属:Rh、Pt、Pdを含めて大部分の金属が無担持のものに比べて触媒活性が低下し、幾つかの金属ではFe無担持のものと触媒活性が同等であるが、Feを担持したものと、Srを担持したものだけがタール分解性能が促進することが分った。
Figure 0005516932
〈タール分解性能評価試験−その5−〉
〈タール分解性能評価試験−その4−〉の結果を基に、Fe/BaTiO3の出発原料の最適化およびFe担持量について試験した。本〈タール分解性能評価試験−その5−〉では、BaTiO3に対して、Feを硝酸塩、酢酸塩として含浸担持させ、BaTiO3に対するFe担持量如何によるタール分解率を測定した。表3にBaTiO3に対してFeを担持する出発原料とFe担持量を示し、図6にその結果を示している。
Figure 0005516932
図6において、BaTiO3−Aは、BaTiO3に対し硝酸鉄水溶液によりFeを1.0wt%含浸担持したもの、BaTiO3−Bは、BaTiO3に対し硝酸鉄水溶液によりFeを0.1wt%含浸担持したもの、BaTiO3−Cは、BaTiO3に対し硝酸鉄水溶液によりFeを10.0wt%含浸担持したもの、BaTiO3−Dは、BaTiO3に対し酢酸鉄水溶液によりFeを1.0wt%含浸担持したものである。図6中、Fe無担持のBaTiO3についての測定値を並記している。
図6のとおり、まず、硝酸鉄の水溶液によるFe担持量1.0wt%のBaTiO3−Aのタール分解率と、酢酸鉄の水溶液によるFe担持量1.0wt%のBaTiO3−Dのタール分解率を対比すると、硝酸鉄の水溶液によるFe担持量1.0wt%のBaTiO3−Aのタール分解率の方が良好である。
硝酸鉄水溶液によるFe担持量1.0wt%のBaTiO3−Aのタール分解率は、Fe無担持のBaTiO3のタール分解率に比べて、その性能が相対的に向上し、経時的な変化幅が小さく、安定している。また、BaTiO3−Aのタール分解率は、硝酸鉄水溶液によるFe担持量0.1wt%のBaTiO3−B、硝酸鉄水溶液によるFe担持量10.0wt%のBaTiO3−Cのタール分解率に比べて大きく、経時的な変化幅も小さく、安定している。
これらの結果から、BaTiO3に対してFeを担持する際の鉄塩は硝酸鉄であるのが良好であり、また、BaTiO3に対するFe担持量は、1.0wt%およびその前後、好ましくは0.5〜5.0wt%の範囲で選定することができる。
1 ガス化炉(バイオマスの無触媒部分酸化炉)
2、4 ガス化ガス導出管
3 集塵機
5 タール分解装置
6 タール分解装置5に充填したタール分解触媒
X 供試触媒

Claims (3)

  1. バイオマスのガス化ガス中のタール分を分解するための触媒であって、当該タール分解触媒がFe担持のBaTiO3からなり、前記ガス化ガスがH2Sを含むことよって優れたタール分解機能を有するタール分解触媒であることを特徴とするタール分解触媒。
  2. 前記Fe担持のBaTiO3からなるタール分解触媒が、BaTiO3に対してFeを鉄塩の水溶液により含浸担持してなるタール分解触媒であることを特徴とする請求項に記載のタール分解触媒。
  3. 前記バイオマスのガス化ガスが、バイオマスの部分酸化または間接加熱によるガス化ガスであることを特徴とする請求項1または2に記載のタール分解触媒。
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