以下の説明において、説明目的のため、具体的な数、回数、構成、プロトコル名、及び他のパラメータは、本発明の完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、提示された発明がこれら具体的な詳細事項がなくても実施しうることはいずれの当業者にも明らかであろう。
[第1の実施の形態]
<発明の原理>
本発明は次のような態様に適用することができる。すなわち、移動ノードとも呼ばれるユーザ装置(UE)が、セルラー・ネットワークなどの広域ネットワークに自己のステータスを通知し、その結果、特定のサービスと関連付けられたデータを該ユーザ装置が処理可能か否かを、広域ネットワークが該ステータスにもとづいて判定する。ユーザ装置が、該特定のサービスと関連付けられたデータを処理可能でないと判定される場合には、該特定のサービスと関連付けられたデータ・パケットは、ユーザ装置に配信されない。本発明の以下の好適な実施形態は、本発明の例示的な適用を提供する。
<装置>
図1は、無線ブロック110、アクセス階層(AS)ブロック120、非アクセス階層(NAS)130、IPプロトコル・ブロック140、アプリケーション・ブロック150、ステータス通知手段160、及びステータス検知手段170から成る、UEの好適な機能アーキテクチャ100を示す。
無線110は、UEがセルラー基地局と通信することを可能にするのに必要なハードウェア及びファームウェアから成る機能ブロックである。無線は、アンテナ、送信側回路及び受信側回路を含んでもよい。これは、システムが有線環境に用いられることを除外しない、すなわち、無線110機能は、インタフェース191をそのままにして、有線伝送手段によって置き換えることができることは、いずれの当業者にとっても明らかである。無線110を、Unlicensed Mobile Access(UMA)又はGeneric Access Network(GAN)などの通信スタックの上で動作させることもまた可能である。
アクセス階層(AS)120は、無線アクセス制御及びセルラー無線ネットワークへの信号伝達、及び、無線110アクセス上の情報の伝送を実装する機能ブロックである。信号経路191は、データ及び制御信号がAS120と無線110との間で送信又は受信されるのを許可する。
非アクセス階層(NAS)130は、制御プレーン信号伝達、及び、UEとセルラー・ネットワークとの間のデータのユーザ・プレーン伝送の開始を実装する機能ブロックである。信号経路192は、NAS130及びAS120が制御情報及び信号伝達メッセージを交換するのを許可する。
IPプロトコル140は、UEがグローバル・インターネット上の他のノードと通信するために、セルラー・ネットワーク全体にわたってインターネット・プロトコルを実装するソフトウェアから成る機能ブロックである。経路190は、データ・パケットが、送信及び受信のためにIPプロトコル140とAS120の間で転送されるのを許可する。経路193は、制御信号が、IPプロトコル140とNAS130の間を通過するのを許可する。
アプリケーション150は、他のエンティティと通信する必要がある、UE上で起動しうるソフトウェア及びプログラムから成る機能ブロックである。例えば、アプリケーション130は、ユーザがUEで音声通話を実行するのを可能にするボイス・オーバーIPプログラム、及び、ユーザがUEでワールド・ワイド・ウェブを閲覧するのを可能にするウェブ・ブラウザを含んでもよい。データ経路194は、データ・パケットがアプリケーション150とIPプロトコル140の間を通過するのを可能にする。
上記の機能ブロックは典型的には、すべてのUE中に存在する。本発明は、ステータス検知手段170とステータス通知手段160とを導入する。ステータス検知手段170は、UEの現在のステータスを検知し、UEのステータスに変化が検知されるときには、信号経路197を介してステータス通知手段160に通知する。ステータス通知手段160は、信号経路195を介してAS制御メッセージを送信することによって、又は信号経路196を介してNAS制御メッセージを送信することによって、セルラー・ネットワークにステータスの変化を通知してもよい。
NASブロック130がUEのステータスを含む制御メッセージをネットワークに送信する必要があるときにはいつでも、NASブロック130は、ステータス通知手段160から信号経路196を介して指示されるべきステータスを取得することもまた可能である。同様に、ASブロック120がUEのステータスを含む制御メッセージをネットワークに送信する必要があるときにはいつでも、ASブロック120は、ステータス通知手段160から信号経路195を介して指示されるべきステータスを取得することが可能である。ステータス通知手段160が、NAS130及び/又はAS120から信号経路196及び195をそれぞれ介して、情報を取得してステータス情報を生成することもまた可能である。
<アプリケーション例:スマート・グリッド>
本発明が容易に理解されるためには、本実施形態では、図2に示される例示的なアプリケーション・シナリオを用いて、本発明を説明する。図2は、デバイス212、214とサーバー219の間のセルラー・ネットワーク240上の通信セッションを示している。これは図解としては、スマート・グリッド電力事業アプリケーション用のマシン・ツー・マシンの通信であってもよい。ここでは、サーバー219はスマート・グリッド供給業者に配置されており、デバイス212、214はユーザの住居に配置されている家電製品である。デバイス212、214がローカル・エリア・ネットワーク250を介してUE200と接続されているときには、サーバー219は、セルラー・ネットワーク240及び携帯電話UE200を介して、デバイス212、214と通信する。ローカル・エリア・ネットワーク250は、IEEE802.11 WiFi、Zigbee(登録商標)又は電力線通信を含んでもよいが、これに限定されない。
典型的なセルラー・ネットワーク240であれば、様々なセルラー基地局eNB241及びeNB244、移動体管理エンティティMME242、サービング・ゲートウェイSGW246、及びパケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイPDN GW248から成る。基地局eNB241及びeNB244はそれぞれ、各受信可能エリア内の携帯電話にセルラー無線アクセスを提供する。例えば、UE200が位置201にあるときには、UE200は、接続251を介してeNB241に接続することによって、ネットワーク240へのアクセスを得る。UE200が位置204にあるときには、UE200は、接続254を介してeNB244に接続することによって、該ネットワーク240へのアクセスを得る。
MME242は、セルラー・ネットワークに接続されたUEの移動体を管理する。SGW246は、一群の基地局の中で当該UEのアンカー・ポイントである。MME242の指示のもとでは、SGW246と、現在UEが接続されている基地局との間の適切なベアラが確立される。PDN GW248は、セルラー・ネットワークと、他のパケット交換方式ネットワーク(グローバル・インターネットなど)との間のゲートウェイである。あるUEに対するデータ・パケットがPDN GW248によって受信されると、PDN GW248は、パケットをサービング・ゲートウェイSGW246へと経路設定する。そして、SGW246は、基地局との間で確立されたベアラを介してパケットをUEへと転送する。
スマート・グリッド電力事業アプリケーションに対するマシン・ツー・マシン通信の例を用いると、サーバー219によって開始されるいずれのデータ通信も、UE200が位置201にあって、デバイス212及び/又は214に接続されている場合にのみ、有用となる。UE200が位置204にある場合であっても、サーバー219によって開始された通信によって、UE200がページングされて、省電力IDLEモードからウェイク・アップされ、自己のサービング・ゲートウェイSGW246とのアクティブな通信路が確立されるが、この通信は、サーバー219からデータを受信するためだけのものであり、そもそもこのデータはデバイス212/214へと配信できない。これによって、セルラー・ネットワークとユーザ装置の両方のリソースを消耗することになる。
<ステータス通知のための新しいIEを含むトラッキング・エリア更新>
本発明の好適な一実施形態は、UE200に自己のステータス(状態)をセルラー・ネットワークへ通知させることによって、係る消耗が発生するのを防止する。係るステータスは、UEがある特定のサービスと関連付けられたデータを現在処理可能か否か(UE200がデバイス212/214に接続され、スマート・グリッド・アプリケーション・サービスの配信が可能であるかどうか、など)を、該ネットワークに通知するものであってもよい。
当該ステータスが、UEが前記サービスと関連付けられたデータを現在処理可能な(例えば、UE200がデバイス212/214に接続されている)ことを示す場合、ネットワークは、前記サービスの開始を許可し、前記サービスが開始されるとき(例えば、サーバー219がスマート・グリッド・アプリケーション・メッセージを送信するとき)には、UEに通知することができる。当該ステータスが、UEが前記サービスと関連付けられたデータを現在処理可能でない(例えば、UE200がデバイス212/214に接続されていない)ことを示す場合には、ネットワークは前記サービスの開始(起動)を無効にするべきであり、前記サービスの起動をUEに通知するべきではない。図3はこのことを図解する汎用のメッセージ・シーケンス図である。
図3では、プロセス・ブロック(ステータス検知)310によって図示されるように、UE200のステータス検知手段は、まず初めに、UEの現在のステータス(例えば、UE200がデバイス212/214に現在接続されているか否か)を判定する。検知されたステータスが肯定である(例えば、UE200がデバイス212/214に接続されている)と想定すると、UE200のステータス通知手段は、ステータス更新メッセージ312をネットワーク240に送信して、UE200が前記サービスを処理可能なことを示す。それゆえに、サーバー219がデータ320をUE200に送信する(例えば、デバイス212への配信のために)と、ネットワーク240はデータ330をUE200に転送するか、又は、UEがIDLEモードにある場合には、UE200をページングしてアクティブな接続を確立する(図3には図示されない)。
しばらく時間が経過した後に、UE200のステータス検知手段は、プロセス・ブロック(ステータス検知)340によって図示されるように、UEのステータスが変化した、ここでは、UEは、デバイス212、214との接続が切れたことを検知する。これは、いくつかの理由に起因しうる。当該理由は、UE200が位置204に移動した(すなわち、UEがコネクティッド・モードである時に、デバイス212、214との接続を有するセルから他のセルにハンドオーバされた、又は、UEがアイドル・モードである時に、デバイス212、214との接続を有するセルの受信可能エリアから他のセルの受信可能エリアへと単に移動した)、デバイス212、214がUEとの接続範囲から出て行った、又は、デバイス212、214の電源が切られたことを含むが、これらに限定されない。
UE200のステータス通知手段は、上述の条件のもとで、ステータス更新メッセージ342をネットワーク240に送信して、UE200が前記サービスを処理可能でないことを示す。それゆえに、サーバー219がデータ350をUE200に送信する(例えば、デバイス212への配信のために)と、プロセス・ブロック(廃棄)360によって示されるように、ネットワーク240はデータを廃棄する。
本実施形態において記載された手順によって、UEが処理不可能なサービスの配信のための不必要なUEのウェイク・アップが低減されるであろうことは、当業者には自明である。それゆえに、本好適な実施形態により、本発明の目的は達成される。
<PDN GWアプローチ>
上記の図解及び説明は、本発明が容易に理解できるように、概念的な態様でなされている。以下の好適な実施形態では、図3に記載されたものを実装する2つの異なるアプローチが開示される。
第1のアプローチは図4に示され、PDN GWがUEのステータス通知を受けて、UEのステータスがUEが前記特定のサービスを現在処理可能でないことを示す場合には、PDN GWは特定のサービスに対するパケットを廃棄する。第2のアプローチは図5に示され、MMEがUEのステータスを通知され、UEのステータスがUEが前記特定のサービスを現在処理可能でないことを示す場合には、MMEは特定のサービスに対するいかなるベアラも起動しない。
図4では、プロセス・ブロック(ステータス検知)310 によって図示されるように、UE200のステータス検知手段はまず初めに、UEの現在のステータス(例えば、UE200がデバイス212/214に現在接続されているか否か)を判定する。検知されるステータスが肯定である(例えば、UE200がデバイス212/214に接続されている)と想定すると、UE200のステータス通知手段は、ステータス情報要素をトラッキング・エリア更新(TAU)メッセージ412に挿入する。ステータス情報要素は、UE200が前記サービスと関連付けられたデータを処理可能なことを示す。
トラッキング・エリア更新メッセージは、UEが、自己が接続している現在の基地局をMMEに通知するために送信する情報要素の一群を含有する、既存の3GPP NASメッセージである。このメッセージによって、MMEが、UEが存在するエリアを追跡し、当該UEに対するダウンリンク・データがある場合に選択された基地局群のみをページングできるようになる。本実施形態では、UEのステータスを示す新しい情報要素を挿入する。MME242は、TAUメッセージ412中にこの新しい情報要素を見いだすと、メッセージ414中のSGW246にステータス通知を送信する。
SGW246は次いで、このステータス通知をメッセージ416内に入れてPDN GW248に渡す。MMEがステータス通知メッセージをPDN GWに直接的に送信できることは、当業者には自明であるはずである。SGWが図3の実施形態に関与する理由は、現在は、MMEとPDN GWの間には3GPPアーキテクチャで定義される直接通信は存在しないからである。ステータス通知が任意の形態で(新しいメッセージとして、又は既存のメッセージ中に挿入された新しい情報要素として)あってもよいこともまた、当業者には自明であるはずである。
この時点でPDN GW248がUE200のステータスがわかるので、サーバー219はデータ320をUE200に送信する(例えば、デバイス212への配信のために)と、PDN GW248は、データ422が、SGW246に転送されるのを許可する。SGW246がUE200に向かうアクティブなベアラを有していない場合は、例えば、UEがIDLEモードにあるときには、ネットワークは、データ330をUE200に転送するか、又はUE200をページングしてアクティブな接続を確立する(図4には図示されない)。
しばらく時間が経過した後に、UE200のステータス検知手段は、プロセス・ブロック(ステータス検知)340 によって図示されるように、UEのステータスが変化した、ここでは、UEはデバイス212、214との接続が切れたことを検知すると想定する。これは、いくつか理由に起因しうる。当該理由は、UE200が位置204に移動した(すなわち、UEがデバイス212、214との接続を有するセルから、コネクティッド・モード中に他のセルへとハンドオーバされた、又はUEがデバイス212、214との接続を有するセルの受信可能エリアからIDLEモード時に、他のセルの受信可能エリアへと単に移動した)、デバイス212、214がUEとの接続範囲から出て行った、又はデバイス212、214の電源が切られたことを含むが、これらに限定されない。
UE200のステータス通知手段は、上述の条件のもとでは、トラッキング・エリアは変更しなかったがセルIDは変更したときでさえも、新しいTAUメッセージ442を送信する。このTAUメッセージは新しい情報要素を含まない。ゆえに、MME242はこのメッセージから、UEは前記サービスと関連付けられたデータをもはや処理可能でないことを検出できる。当業者であれば、UE200が前記サービスと関連付けられたデータを処理可能でないことを示すステータス情報要素もまた、同一の作業効果を達成するためにTAUメッセージ442に挿入可能なことを理解するであろう。
TAUメッセージ442を受信した後に、MME242はステータス通知をメッセージ444中に入れてSGW246に送信する。SGW246は次いで、このステータス通知をメッセージ446 中に入れてPDN GW248に渡す。サーバー219がデータ350をUE200に送信する(例えば、デバイス212への配信のために)と、PDN GW248は、UE200がデータを現在処理可能でないことを知り、このため、プロセス・ブロック(廃棄)460によって示されるようにデータを廃棄する。
同じように、ステータス検知手段がUEのステータスが変化したことを検知すると、例えば、UE200が位置250に戻り、UEデバイス212、214との接続を得る(例えば、UEがデバイス212、214との接続を有するセルへとコネクティッド・モード中に他のセルからハンドオーバされているか、又はIDLEモードにある時に、他のセルからUEがデバイス212、214との接続を有するセルの受信可能エリアへと単に移動したか、デバイス212、214がUEとの接続範囲内に戻ってきたか、又はデバイス212、214の電源が入れられ、UEとの接続が確立されたことなどを理由に)と、UE200のステータス通知手段は、上述の条件のもとでは、トラッキング・エリアは変更しなかったがセルIDは変更したときでさえも、新しいTAUメッセージ412を送信する。このTAUメッセージは新しい情報要素を含む。ゆえに、UEは前記サービスと関連付けられたデータを再び処理可能であることを、MME242がこのメッセージから認識することができる。
PDN GW248は、UEステータスに基づいて、接続のためのQoSリソースを制御してもよい。例えば、UE200が登録された位置から出ると、UE200が登録された位置のうち1つに戻って来るまではサービスは可能でないので、PDN GW248は、PDN接続又は当該サービスのベアラのためのQoSリソースを低減、一時停止又は一時的に削除してもよい(しかしコンテキストは保持してもよい)。次いで、UE200が登録された位置のうち1つに戻ると、サービスがUE200に対して利用可能になるので、PDN GW248はサービスに対するQoSリソースを増加、再開、又は(再)確立してもよい。
本実施形態において記載された手順によって、UEが処理可能な状態にないサービスの配信のための不必要なUEのウェイク・アップが低減されるであろうことは、当業者には自明であるはずである。それゆえに、本好適な実施形態により、本発明の目的は達成される。
<MMEアプローチ>
図5では、MMEがUEのステータスを通知され、UEのステータスがUEが前記特定のサービスと関連付けられたデータを現在処理可能でないことを示す場合には、MMEは特定のサービスに対するいかなるベアラも起動しないアプローチが図解される。
まず初めに、UE200のステータス検知手段は、プロセス・ブロック(ステータス検知)310によって図示されるように、UEの現在のステータス(例えば、UE200がデバイス212/214に現在接続されているか否か)を判定する。検知されるステータスが肯定である(例えば、UE200がデバイス212/214に接続されている)と想定すると、UE200のステータス通知手段は、ステータス情報要素をTAUメッセージ512に挿入する。ステータス情報要素は、UE200が前記サービスを処理可能なことを示す。
ここで今やMME242はUE200のステータスを知っている。ここでサーバー219は、データ・メッセージ320(例えば、デバイス212への配信のためのデータ)を送信すると仮定する。PDN GW248がこのパケットを受信すると、PDN GW248は、データ・パケット522をSGW246に転送する。UE200に対するアクティブなベアラがない場合には、SGW246はダウンリンク・データ通知524をMME242に送信する。これはMME242に対してアクティブなベアラを設定するよう要求するものである。このダウンリンク・データ通知は、また、当該ダウンリンク・データと関連付けられたサービスのタイプを含み、その結果、MMEはUE200の現在のステータスを確認することができる。
この場合、UE200は、サービスと関連付けられたデータを自己が処理可能である(例えば、UE200がデバイス212/214に接続されている)ことを、先にTAUメッセージ512中に示している。それゆえにMME242は、ページング・メッセージ525によって示されるように、UEのページングへと進む。UE200は次いで、IDLE又は他の省電力モードからウェイク・アップし、サービス要求メッセージ526を送信する。このサービス要求メッセージ526を受信した後、ただちにMME242はいずれの基地局にUEが現在接続されているかを知る。それゆえに、基地局とSGW246の間でアクティブなベアラを確立することができる。データ・パケット(データ)330はUE200に送信される。
しばらく時間が経過した後に、プロセス・ブロック(ステータス検知)340によって図示されるように、UE200のステータス検知手段は、UEのステータス(状態)が変化したこと、ここでは、UEがデバイス212、214との接続が切れたことを検知すると想定する。これは、いくつかの理由に起因しうる。当該理由は、UE200が位置204に移動した(すなわち、UEがデバイス212、214との接続を有するセルから、コネクティッド・モード中に他のセルへとハンドオーバされた、又はUEがデバイス212、214との接続を有するセルの受信可能エリアからIDLEモード時に、ある他のセルの受信可能エリアへと単に移動した)、デバイス212、214がUEとの接続範囲から出て行った、又はデバイス212、214の電源が切られたことを含むが、これらに限定されない。次いで、UE200のステータス通知手段は、上述の条件のもとでは、トラッキング・エリアは変更しなかったがセルIDは変更した場合でさえも、新しいTAUメッセージ542を送信する。
このTAUメッセージ542は新しい情報要素を含まず、このため、UEは前記サービスと関連付けられたデータを、もはや処理可能でないことを、MME242が認識することができる。今ここでサーバー219がデータ・パケット(データ)350(例えば、デバイス212への配信のためのデータ)を送信すると仮定する。PDN GW248はこのデータ・パケットを受信すると、データ・パケット(データ)552をSGW246に転送する。UE200に対するアクティブなベアラがないので、SGW246はダウンリンク・データ通知554をMME242に送信する。
この通知はMME242に対してアクティブなベアラを設定するよう要求する。このダウンリンク・データ通知はまた、このダウンリンク・データと関連付けられたサービスの種類(タイプ)を、MMEが識別するための種類(タイプ)又は情報を含み、その結果、MMEはUE200の現在のステータスと照合することができる。この場合、UE200は、TAUメッセージ542中に、サービスと関連付けられたデータを処理可能でない(例えば、UE200がデバイス212/214に接続されていない)ことを先に示している。それゆえにMME242は、このダウンリンク要求を拒絶し、UEのページングをしない。ゆえにSGW246は、プロセス・ブロック(廃棄)560によって示されるように、データを廃棄する。
同様に、UEのステータス検知手段は、ステータスが変化したこと、例えば、UE200が位置250に戻り、UEデバイス212、214との接続を得る(例えば、UEがデバイス212、214との接続を有するセルへとコネクティッド・モード中に他のセルからハンドオーバされているか、又はIDLEモード時に、ある他のセルからUEがデバイス212、214との接続を有するセルの受信可能エリアへと単に移動したか、デバイス212、214がUEとの接続範囲内に戻ってきたか、又はデバイス212、214の電源が入れられ、UEとの接続が確立されたことを理由に)ことを検知した場合には、UE200のステータス通知手段は、上述の条件のもとでは、トラッキング・エリアは変更しなかったがセルIDは変更したときでさえも、新しいTAUメッセージ512を送信する。このTAUメッセージは新しい情報要素を含む。ゆえに、UEは前記サービスと関連付けられたデータを再び処理可能であることを、MME242が認識できる。
本実施形態において記載された手順によって、UEが処理不可能なサービスの配信のための不必要なUEのウェイク・アップが低減されるであろうことは、当業者には自明であるはずである。それゆえに、本好適な実施形態により、本発明の目的は達成される。
図5に示される信号伝達シーケンスは、ステータス情報が肯定通知である、すなわち、サービスがサポートされていることをUE200が示したい場合に用いられることを想定している。いずれの当業者にとっても、本発明が、否定通知によって作用する代替例を持ちうること、すなわち、UE200がサービスがサポートされていることを示すために正常なTAUを用い、サービスが拒絶されるべきことを示すために否定ステータス情報の付いたTAUを用いることは、明らかである。それでも、図5に図示される信号伝達シーケンスは、メッセージ512を正常なTAUすなわち正常なステータス通知で、並びに、メッセージ542を、サービスがサポートされていないことを示すステータスを含む特別なTAUで、置き換えるだけでも適用可能である。この否定通知の代替例によって、古いUE動作は影響を受けないであろう、すなわちMMEは常に、ページング525を通常通り開始するであろう。
上述のステータス情報は時間成分とも関連付けることが可能なことはいずれの当業者にも明らかである。例えばステータス情報は、例えば、2009年10月1日午後2時から2009年10月1日午後4時までなど、ステータスの効力を示すこともできる。このように、ステータス更新のための信号伝達はさらに低減されうる。ネットワーク・ノード、例えばMME又はPDN GWは、UEからの明示的な信号伝達を伴わずに、指示された時間に基づいてUEステータスを自動的に変更することができる。この方法を用いて、信号伝達のための最良の機会がある場合には、UE200は、ステータス通知に対する事前信号伝達もいくつか行うことができる。
ステータス情報は、UEを使用するユーザのUE(通信端末)のサービス又は種類についての情報と関連付けられてもよい。例えばステータス情報は、ユーザID、ユーザ名、クレジットカード番号、トークンID、暗証番号、又はIMEI(国際移動体装置識別番号)といった端末情報などユーザ情報も指示することができ、ステータス情報は、ユーザ又は端末が、PDN中のエンティティなど、ネットワークによって認証及び/又は許可される場合にのみ利用可能である。認証及び/又は許可は、ステータス情報中に含まれる情報によってのみ、ある特定の認証及び/又は許可のための追加的手続によって実行することができる。PDN GWは、認証/許可の結果を取得し、認証/許可が成功裏に行われたときにはステータス情報を利用可能にし、そうでなければ、利用不可能にして、その結果、ステータス情報が、UE及び/又はサービスの実際のユーザ、又は端末の種類にしたがって活用できるようにする。
<UEのフローチャート>
図4及び図5にそれぞれ図示された上記2つのアプローチは、UEのステータスを用いて特定のサービスに対する通信を有効にするか又は無効にするかを決定するネットワーク・ノードにおいてのみ異なることが、認識されるであろう。図4に記載された第1のアプローチの場合、決定を行うのはPDN GWである。図5に記載された第2のアプローチの場合は、MMEである。両方のアプローチにおいてUEの挙動に変更はない。図6はUEの挙動を示すフローチャートを図示する。
まず第1に、TAUメッセージの送信をトリガする2つのプロセス610及び620がある。プロセス610の場合、トリガは、UEのトラッキング・エリア・リスト中にないトラッキング・エリア・コードの付いたセルを入力するとき、又はTAUメッセージを送信するための周囲タイマーの期限が切れるときなど正規の3GPP条件である。プロセス620の場合、トリガは、UEのステータス検知手段がUEのステータスの変化を検知するときである。
両方の場合において、UEが、TAUメッセージが送信されるべきことを決定すると、ステータス検知手段は次いで、決定ステップ630に示されるように、サービスと関連付けられたデータをUEが処理可能でないことを、UEのステータスが示唆するか否かを確認する。ステータスが、UEがサービスを処理できないことを示唆すると、プロセス・ブロック640に記載の処理はトリガされ、この場合、正常なTAUメッセージが送信される。反対に、ステータスが、UEがサービスと関連付けられたデータを処理可能なことを示唆すると、プロセス・ブロック650に記載の処理がトリガされ、ステータス情報要素を伴うTAUメッセージが送信される。
上記のロジックが否定指示の代替例にも採用されうることはいずれの当業者にも明らかである。その場合には、ステップ630では、UEのステータスが否定である、すなわち、サービスがサポートされていない場合には、ステップ650が実行されて、否定ステータス通知の付いたTAUを生成する。UEのステータスが肯定である、すなわち、サービスがサポートされている場合には、ステップ640におけるように正常なTAUが生成される。この代替的な論理によって、古いUEはステップ620及び630を実行せず、したがって、ステップ640では正常なTAUを常に生成する。
<UEは依然としてページングされる>
図3、4及び5に図示されるアプローチでは、UEは、ネットワークに自己のステータスを通知して、UEのステータスに基づいて、サービスが許可されるべきか否かについて決定できるようになる。図7及び8に図示されるアプローチでは、UEの位置を用いて、サービスが許可されるべきか否かを導き出す。これらのアプローチの目的は、UEがサービスを処理可能でないときのサービスに対する不必要な信号伝達を低減することである。係る目的は全般的には達成されるものの、UEがサービスを処理可能でないときにサービスに対する信号伝達が依然として発生しうる状況がある。
例えば、UEは、UEのステータス又は位置を更新するためのトラッキング・エリア更新メッセージを送信していないかもしれない。これは、UEが依然として同じトラッキング・エリアにあることが理由となる。他の可能性は、UEが依然として同じセル内にあるものの、もはやサービスと関連付けられたデータを処理可能でない(例えば、UE200が自宅にあるが、デバイス212/214に接続されていない)ことである。単純には、UEのステータスが変化するときは常に、UEがトラッキング・エリア更新メッセージを送信して、ステータスの変化を通知する方法をとることができる。しかしながら、係る伝送のためにUEがバッテリー電源を浪費することになる。
別のアプローチは、UEがサービスのためにページングされることである。UEがウェイク・アップし、コネクティッド・モードに入ると、UEは次いで、自己のステータスが変化したことをネットワークに通知することができ、その結果、ネットワークはもはや後続するサービスの開始のためにUEをページングしない。これは、ひとたびUEがコネクティッド・モードに入った後に、トラッキング・エリア更新(アップデート)を送信することによって、又はUEがベアラ・リソース修正メッセージを用いて、当該サービスと関連付けられた後続のデータ・パケットがPDN GWによってフィルタリング除去されるように、トラフィック・フロー・テンプレートを修正することによって行われる。
さらに、UEに送信されるページ要求は、当該ページが特定のサービスからのデータ・パケットに起因していることを示す特別な指示を含んでもよい。この特別な指示は例えば、優先順位指標(プライオリティ・インディケータ)を含んでもよく、この指標は、優先順位が当該指標より低い場合にはネットワークはいかなるベアラ・セットアップも許可しないことを示す。UEがこの特別な指示を確認し、前記サービスと関連付けられたデータを処理可能でない場合は、UEは、ページ要求に応答して特別なサービス要求を送信することができる。この特別サービス要求によって、ネットワークは、UEがサービスを処理可能でないことを知り、このため、いずれのベアラも起動(アクティベート)されない。UEは、特別サービス要求を送信した後、即座に省電モードに戻る。代替的には、例えば、送信するべきデータ又はシグナリング・メッセージが、指示された優先順位よりも低いものを有する場合は、UEはサービス要求の送信を省略し、ページングを受信した後には省電モードに留まってもよい。
<プレゼンスAPI>
不必要なリソース消費をさらに低減するために、ネットワークはプレゼンス・アプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)をサーバーに提供することができ、その結果、サーバーは、当該プレゼンスAPIを介して、UEがサービスと関連付けられたデータを現在処理可能であるか否かについて通知を受けることができる。係るAPIは、ウェブ・アプリケーションの一形態、リモート・プロシージャ・コール(RPC)、又はリアリー・シンプル・シンジケーション(RSS)フィードとして、実装されてもよい。このようにして、サーバーはUEへの通信を開始するか否かを判定することができる。
係るAPIに対する代替例は、UEがサービスと関連付けられたデータを処理可能でない間に、PDN GWがサーバーからデータ・パケットを受信するときに、エラー・コードで応答するもである。係るエラー・コードによって、自己のパケットがなぜ到達できなかったかを知ることが可能になり、サーバーは、合理的な長期間にわたり、さらなる再送処理をを抑制することができる。
本発明は本明細書中においてここまで、最も実用的かつ好適な実施形態と考えられるものについて図示及び記載されてきたが、設計及びパラメータの詳細に対する様々な修正が、本発明の範囲及び領域から逸脱することなく行われうることが当業者によって理解されるであろう。
[第2の実施の形態]
<レガシーMME:位置を含有するTFT>
図4及び図5に図示された上記2つのアプローチの他の一特徴は、当該アプローチがMME及びPDN GWといった複数のネットワーク・エンティティへの変更を必要とすることである。下位互換性、ハードウェアコスト又はそれ以外の理由により、ネットワーク事業者は一般に、ネットワーク・ノードに必要とされる変更を最小限に保ちたいであろう。さらに、ユーザ装置がどこにあろうと、ユーザ装置には同じPDN GWを割り当てることができ、その一方MMEの割り当ては、UEが現在接続された基地局に一般に基づいているので、PDN GWのみを変化させることがより望ましい。
基本的な想定及び概念は第1の実施の形態と同じである。この実施形態における唯一の特別な点(すなわち先の実施形態との違い)は、上記に記載されたような実装コストなどの理由から、MMEが修正されていないことであり、このため、想定、概念及び構成の他の部分はこの実施形態においても同様に用いることができる。
この好適な実施形態は、新しい機能がPDN GWのみで必要とされる、本発明の動作のノードを開示する。本質的にUEは、UEがサービスを処理可能な単一又は複数のセル(例えば、ECGI EUTRANセル・グローバル識別子)を、PDN GWに登録する。例えば、スマート・グリッド・マシン通信のアプリケーション例では、UEは自宅にあるときにのみ、家電製品に接続される。それゆえに、UEは自宅を包含するセルをPDN GWに登録することができる。UEが、サービスに関連付けられたデータを処理可能なセル(単数又は複数)を登録することによって、前記サービスが開始されるときにはいつでも、PDN GWはUEの現在位置を該登録されたセルにもとづいて照合することができ、サービスを開始してもよいか否かを決定する。このことは、図7に図示される。
図7では、ステータス検知手段はプロセス・ブロック(ステータス検知)710に示されるように、UE200のステータスを検知する。肯定ステータスが検知される(例えば、UE200がデバイス212又は214に接続される)場合には、ステータス通知手段は、現在のセルのECGIをAS層から取得する。ECGIがネットワーク240に登録されていない場合には、ステータス通知手段は、セル登録メッセージ712のネットワーク240への伝送をトリガする。該セル登録メッセージ712は、現在のセルのECGIをネットワークに登録する。引き続いて、サーバー219がデータ720をUE200に送信する(例えば、デバイス212への配信のために)と、ネットワーク240はUEの現在位置を登録されたセルと照合する。現在位置が登録されたセルのうち1つと一致する場合には、ネットワーク240はUE200をページングしてアクティブな接続を確立し(図7には図示されない)、データ730をUE200に転送する。
しばらく時間が経過した後に、(プロセス・ブロック(他のセルへの移動)740によって示されるように)UEが他のセルへと移動すると仮定すると、登録されたセルから任意の未登録セルへのハンドオーバ手続、及び/又は、UE移動の後にトラッキング・エリアは変化しなかったが、セルのみが変更した場合においても、UEはTAU手続を実施し、最終的にネットワーク240は、UEの位置情報、すなわち、新しいECGIを、ハンドオーバ又はTAU手続を介して取得する。サーバー219がデータ750をUE200に送信する(例えば、デバイス212への配信のために)と、ネットワーク240はUEの現在位置を登録されたセルと照合し、現在位置が登録されたセルのいずれとも一致しないことを見出す。ネットワーク240はこうして、プロセス・ブロック(廃棄)760によって示されるようにデータを廃棄する。
再び、しばらく時間が経過した後に、UEが以前に登録された別のセルへと移動すると仮定する(プロセス・ブロック(別のセルへの移動)770によって示されるように)と、任意の未登録のセルから該登録されたセルへのハンドオーバ手続、及び/又はUE移動の後にトラッキング・エリアは変化しなかったが、セルのみが変更した場合においてもUEはTAU手続を実施し、最終的にネットワーク240は、UEの位置情報、すなわち、登録されたECGIを、ハンドオーバ又はTAU手続を介して取得する。サーバー219は、データ780をUE200に送信する(例えば、デバイス212への配信のために)と、ネットワーク240はUEの現在位置を登録されたセルと照合し、現在位置が登録されたセルのうち1つと一致することを見出す。ネットワーク240はこうしてUE200をページングしてアクティブな接続を確立し(図7には図示されない)、データ790をUE200に転送する。
本実施形態において記載された手順によって、UEが処理不可能なサービスの配信のための不必要なUEのウェイク・アップが低減されるであろうことは、当業者には自明であるはずである。さらに、セルの初期登録を除き、UEによる自己のステータスに関する何ら追加的な信号伝達を必要としないため、バッテリー電源をさらに節約する。それゆえに、本好適な実施形態により、本発明の目的は達成される。
上記の図解及び説明は、本発明が容易に理解できるように、概念的な態様でなされている。以下の好適な実施形態では、図7に記載された方法の特定の実装について、図8を活用して説明される。
図8では、ステータス検知手段が、プロセス・ブロック(ステータス検知)710に示されるようにUE200のステータスを検知する。肯定ステータスが検知される(例えば、UE200がデバイス212又は214に接続される)と、ステータス通知手段は、現在のセルのECGIをAS層から取得する。ECGIがネットワーク240に登録されていない場合には、ステータス通知手段はセルの登録をトリガする。この例では、UE200は「PDN接続要求」メッセージ812を送信する。「PDN接続要求」メッセージ812は、登録されるべきセル・アイデンティティを搬送するプロトコル設定オプション(PCO)を含む。既存の3GPP機構では、UEが新しいPDN接続を確立中であるときに「PDN接続要求」メッセージが用いられる。
それゆえに、この例の場合、UEはサービスに対するPDN接続(例えば、マシン・ツー・マシンPDN接続)を確立すると同時に、セルの登録も実施する。当業者であれば、異なる目的には異なるPDN接続が確立されるため、これは分別のあるアプローチであると理解するであろう。UEが、サービスに対するPDN接続を、最初に処理可能となったときに確立するのは通常のことである。当業者ならばまた、他のメッセージを用いることができることも認識する。例えば、PDN接続要求プロセスを完了した後ただちに、UEは「PDN接続完了」メッセージを送信する。
登録されるべきセル識別子は、このPDN接続と関連付けられるべき「PDN接続完了」メッセージの中で送信される、トラフィック・フロー・テンプレート(TFT)として挿入することができる。UEが引き続いて登録されたセルを修正又は追加したい場合には、UEは「ベアラ・リソース修正要求」メッセージを用いて、PDN接続と関連付けられたトラフィック・フロー・テンプレートを更新することができる。
MME242が「PDN接続要求」メッセージ812を受信すると、SGW246経由でPDN GW248に対して「セッション作成要求/応答」手続814を開始する。「PDN接続要求」メッセージ812に含まれるいずれのPCOも、この「セッション作成要求/応答」手続814において、トランスペアレントにPDN GW248に渡される。PDN GW248がセル登録用PCOを検出すると、PDN GW248は、UEがPDN接続に関連づけられたサービスと、指定されたセルを紐づけようとしていることを認識する。
それゆえにPDN GW248は、UE200の位置更新が必要であることを、「セッション作成要求/応答」手続814の中でMME242に伝えることができる。このことは、引き続いてUEの位置が変化するときにはいつでも、MME242は、「UE位置更新」メッセージ816及び842によって示されるように、例えば、MME242からSGW246に送信され、そしてPDN GW248に転送される「ベアラ要求修正」メッセージの一部として、PDN GW248の情報を更新することを意味する。
ここで、サーバー219がデータ720をUE200に送信する(例えば、デバイス212への配信のために)と、PDN GW248はUEの現在位置を登録されたセルと照合する。現在位置が登録されたセルのうち1つと一致する場合には、PDN GW248は、パケット(データ)822をSGW246に転送する。UE200に対するアクティブなベアラがない場合は、SGW246はダウンリンク・データ通知824をMME242に送信する。この通知は、MME242に対してアクティブなベアラを設定するよう要求する。MME242は、UEへのページングへと進み、UE200は、IDLE又は他の省電力モードからウェイク・アップし、サービス要求メッセージを送信する。これによってアクティブなベアラが確立されるものであり、ページング・プロセス826として図8に示す(図にはベアラの起動は示されない)。データ・パケット(データ)730は、UE200に送信される。
しばらく時間が経過した後に、プロセス・ブロック(UEの移動)740によって示されるように、UE200が移動したと想定する。MME242が、係る移動を検知すると、MME242はメッセージ842により、UEの現在位置でPDN GW248を更新する。UE200が移動したことをMME842が知る方法は、様々な手段を介しうる。例えばUE200は、トラッキング・エリア更新メッセージを送信してもよい。この場合は、UE200が、PDN GWで登録していないセルに移動し、トラッキング・エリアは変化しなかったがセルのみが変化したにもかかわらずトラッキング・エリア更新メッセージを送信し、当該トラッキング・エリア更新メッセージにeNBがECGIなど自己のセルIDを追加するものとする。
PDN GW248は次いで、MMEを介してUEの位置情報としてECGIを受信し、通知されたセルIDがUEの登録済セルのいずれとも一致しないので、UEがサービスを現在処理可能でないことを知る。したがって、サーバー219がデータ・パケット(データ)750(例えば、デバイス212への配信のためのデータ)を送信すると、PDN GW248はプロセス・ブロック(廃棄)760によって示されるようにパケットを廃棄する。
サービスが可能な位置における位置情報としてのECGI(又はECGIリスト)は、ユーザ加入許可(サブスクリプション)又はサービス規則(ルール)中に登録されてもよい。このような場合には、PDN GW248は、HSSに登録されたユーザ加入許可から、又はPCRFによって提供されるQoS/課金ポリシー/規則から位置情報を取得し、当該位置情報をデフォルト規則又は最も厳格な(優先度の高い)規則としてTFTに設定する。PDN GW248は、位置情報と関連付けられた他の情報、例えば、当該位置にて可能なサービスのID、位置情報とともに設定されるパケット・フィルタなどを取得してもよい。係る情報は、PCRFへのPDN内にあるサービス・サーバー、オンライン/オフライン課金サーバー又はHSSによって提供されてもよい。
本実施形態において記載された手順によって、UEが処理不可能なサービスの配信のための不必要なUEのウェイク・アップが低減されるであろうことは、当業者には自明であるはずである。それゆえに、本好適な実施形態により、本発明の目的は達成される。
<複数組の装置>
上記の好適な実施形態は、一組のデバイスとサーバー(すなわち、位置201におけるデバイス212/214及びサーバー219)の間の通信を許可するUEについて記載された。UEが、異なる位置にある異なる組の装置に伴う通信を許可することが可能である。サービスを有効にするべき位置を登録するトラフィック・フロー・テンプレートの使用は、異なる組の装置が異なる位置に存在する場合を満足させるよう役に立っている。これは、複数のトラフィック・フロー・テンプレートは、単一のPDN接続と関連付けることが可能だからである。それゆえに、UEは異なる組の装置に対する、異なるトラフィック・フロー・テンプレートを用いることができる。
例として、位置L1において、UEがデバイスD1A及びD1Bと、サーバーS1の間の通信を有効にし、位置L2において、UEがデバイスD2A、D2B及びD2Cと、サーバーS2の間の通信を有効にすると考える。UEは次いで、二組のトラフィック・フロー・テンプレートをインストールする。第1のトラフィック・フロー・テンプレートは、サーバーS1と、デバイスD1A、D1Bの間の、ソース及び宛先IPアドレスといったIPセッションの記述を含む。当該テンプレートは一致されるべき新しい位置フィールド、位置L1も含む。
第2のトラフィック・フロー・テンプレートは、サーバーS2と、デバイスD2A、D2B、D2Cの間の、ソース及び宛先IPアドレスといったIPセッションの記述も含む。当該テンプレートは一致されるべき新しい位置フィールド、位置L2も含む。このように、UEが位置L1にある場合は、トラフィック・フロー・テンプレート・パラメータ[ソースIP=S1;位置=L1]が完全に一致するので、サーバーS1からのパケットの通過が許可される。しかしながら、パラメータ[ソースIP=S2;位置=L1]がいずれのインストールされたトラフィック・フロー・テンプレートとも一致しないので、サーバーS2からのパケットはPDN GWによってブロックされる。同様に、UEが位置L2にある場合には、トラフィック・フロー・テンプレート・パラメータ[ソースIP=S2;位置=L2]が完全に一致するので、サーバーS2からのパケットの通過が許可される。しかしながら、パラメータ[ソースIP=S1;位置=L2]はいずれのインストールされたトラフィック・フロー・テンプレートとも一致しないので、サーバーS1からのパケットはPDN GWによってブロックされる。
UEが当該位置をネットワークに登録する(すなわち、図7及び8に記載された)場合は、UEの位置と、特定のサービスと関連付けられたデータを処理するUEの能力との間に直接的な相関関係があることを、UEは示唆する。多くのアプリケーションでは、固定されたローカル・デバイスと遠隔サーバーの間のマシン・タイプ通信路を仲介するUEなど、係る相関が存在する。基地局セルの受信可能エリアが小さい場合に、とりわけこのことがあてはまる。
例えば、住居に設置されるべき(または、時にはホームeNodeBとしても知られる)フェムトセル基地局は、典型的には、半径20〜30メートル、典型的な住居をカバーするにはちょうど十分な受信可能エリアのみを有する。しかしながら、セルの受信可能エリアが大きい場合は、係る相関はより小さい。UEは固定されたローカル・デバイスから遠くに離れて移動したかもしれず、その結果、UEはもはや当該デバイスと通信できないが、それでも、同一セルの受信可能エリア内にある。係る状況において、PDN GWはUEが登録されたセル内にあることがわかり、及び、該サービスの疎通を許可する。
このことを解消する一方法は、UEがコネクティッド・モードに入り、サービスがフィルタリング除去されるようトラフィック・フロー・テンプレートを修正することである。UEが再びサービスと関連付けられたデータを処理可能になると、UEは元のトラフィック・フロー・テンプレートに戻す。
このことを解消する別の方法は、マシン・タイプ通信毎に別々のPDN接続を設けることである。UEは、マシン・タイプ通信に対するサービスと関連付けられたデータを処理可能でない場合に、マシン・タイプ通信に対するPDN接続を終了させ、処理可能な場合にはPDN接続を確立する。
さらに別の方法は、UEがたとえ同じセルにあっても、すなわち、ハンドオーバ又はTAUが通常は必要とされない場合であっても、UEが異なる位置にあるとネットワークに判断させるトラッキング・エリア更新(TAU)メッセージを、UEが送信することであり、その結果、サービスデータ・パケットはトラフィック・フロー・テンプレート中の位置フィールドと一致しないものとなる(したがって、配信されない)。これは、UEがTAUメッセージ中に「ソルト(salt、見せかけの)」フラグを付加することによって行うことができ、その結果MMEは、UEが異なる位置を示そうとしていることを認識し、それゆえに、わずかに異なる位置(例えば、時に「ソルティング(見せかけ)」として知られる、追加ビットが挿入された現在のセルのECGI)でPDNGWを更新する。
しかしながら、このことは、MME機能に対する修正を必要とする。他の可能性は、UEがeNodeBに対して報告されたECGIを「ソルト」するよう依頼することである。3GPPで定義された手順では、実際の位置(すなわち、現在のセルのECGI)は、UEではなく、eNodeBによって、TAUメッセージ、TAUメッセージをMMEへと搬送するメッセージ、又は、UEに固有のあらゆるシグナリング・メッセージに対して挿入される。それゆえに、UEはTAUメッセージ内に特別な無線層フラグを付加することができ、その結果eNodeBは、TAUメッセージ、又は、TAUメッセージを搬送するメッセージに元のECGIの代わりに「ソルトされた」ECGIを挿入することができるようになる。MMEはこのようにして、UEの位置としてECGI及び「ソルト」された値をPDN GWに報告し、それらはトラフィック・フロー・テンプレート中の位置フィールドとは一致しないものとなる。
位置情報は、ECGI又はTAIのようなセル関連情報だけでなく、PLMN ID等アクセス・ネットワーク識別子など、ネットワーク関連情報であってもよいことは、当業者には自明であるはずである。それゆえに、サービスは広範に展開され、ユーザ利益が増加する。
[第3の実施の形態]
<代替例:サービス/ベアラに基づいたページング最適化>
所定の場合には、UE200の受信可能エリアは、例えば、加入者契約(サブスクリプション)、事前登録されたエリア、履歴データ、ユーザ入力などによって事前に判定することができる。例えば、UEがサービスをある特定の位置で提供する場合、UEはセル情報及びGPSなどを用いて一種のフィンガープリントを生成することができる。
このような場合、UE200は、IDLE又は他の節電モードにあるときには、UE200を不必要にページングすることを回避するための情報を活用するように、ネットワークを設定することができる。この目的のために、UE200はUEによって要求されるベアラ・リソース修正手続を活用して、ネットワークを設定することができる。図9はそうしたオペレーションにおける信号伝達シーケンスの例を図解するものである。
例えば、「接続(アタッチ)手続」又は「UE要求PDN接続確立」など、対応するPDN接続確立の後、UE200は「ベアラ・リソース修正要求」912をMME242に向けて送信する。「ベアラ・リソース修正要求」912メッセージは、サービス受信可能エリア情報、例えば、ECGIリスト又はTAIリストの形態でサービスが利用可能である位置リスト、APN又はTFTのいずれかによるサービス記載などを含む。
「ベアラ・リソース修正要求」912を受信した後に、MMEはサービス受信可能エリア情報を保存し、ベアラ・リソース・コマンド914を、SGW246を介してPDN GW248に送信する。ベアラ・リソース・コマンド914には、サービス記述が含まれる。
PDN GW248は、ベアラ管理手続916を開始して、当該サービスに対応するベアラを作成又は修正する。PDN GW248は、ベアラ・リソース・コマンド914中の情報及び埋め込まれたサービス記述を活用して、新しいベアラが作成されるべきか又は古いベアラが修正されるべきかを決定する。サービスに対応するダウンリンク・データが受信された場合は、PDN GW248によってSGW246に転送される。UE200に対してアクティブなベアラが存在しない場合、例えば、UEがIDLEモードにある場合、ダウンリンク・データ通知924は、対応するベアラIDとともにMME242に送られる。
複数のベアラからSGW246に到達したデータがある場合には、ダウンリンク・データ通知924は、すべてのベアラIDのリストを搬送してもよい。代替的には、異なるベアラからのデータが到着するたびに、SGW246は複数のダウンリンク・データ通知924をMME242へと送信することができる。MME242がダウンリンク・データ通知を制限することを好む場合は、MME242は、例えばQCI、ARP等の優先度情報の付いた遅延ダウンリンク・パケット通知要求を送信することができる。指示されたものよりも高い優先度を有するベアラでデータを受信した場合にのみ、SGW246は、新規のダウンリンク・パケット通知をMME242へと送信する。
MME242は、912中に受信したベアラと関連付けられたサービス受信可能エリア情報を検索し、サービス受信可能エリア情報によって許可されるセルへのページングを発行する。MME242は代替的には、例えば、位置リスト、ARP、QCI等のサービス受信可能エリア(カバレッジ)情報又は所定の優先順位情報を搬送するページング・メッセージを発行することができ、サービス受信可能エリア情報に掲載されているセル又は優先順位を満たすセルに対してページング・メッセージを発信する。例えばこのようなページング・メッセージを受信した後のeNB又はRNCは、セルの輻輳、セルの位置、ローカルなポリシー等、ローカルなステータスに基づいて、ページング・メッセージが送信されるべきか否かを決定する。
UE200がサービス受信可能エリア/優先順位情報によって許可されたセルのうち1つにとどまっている場合、UE200はページング・メッセージ926を受信して、ベアラを起動するべくサービス要求手続928を開始する。データ930は、SGW246によってUE200に転送される。940のように、UE200がページングを受信する前に、サービス受信可能エリア情報にないセルに移動した場合には、ページングが失敗する。所定の時間の後に、MME242はダウンリンク・データ通知拒絶958をSGW246に送信する。これによって、SGW246がこのベアラに対するバッファリングされたパケットを廃棄する。
サービス受信可能エリア情報が、例えば、サービス関連ポリシー、ポリシー制御及び課金フレームワークを介したアプリケーション層など他の手段を介して、PDN GW248に対して利用可能である場合、PDN GW248は、PDN GW248始動(イニシエーティッド)ベアラ管理を実行し、係る情報でMME242を設定することができることは、いずれの当業者にも明らかである。例えば、PDN GW248は、UE200によって与えられるトリガを必要とせずにベアラ管理手続916を実行することができる。
サービス受信可能エリア情報は、時間的制約要素をさらに含むか、又は時間的制約要素によって置き換えられてもよいことは、いずれの当業者にも明らかである。例えばUE200は、加入者契約(サブスクリプション)、ユーザ嗜好(プリファレンス)/設定、又は発見的アルゴリズムに基づいて、特定のサービスが許可又はブロックされるべき期間を決定することができる。この期間情報は、サービス受信可能エリア情報中に追加的要素として含まれてもよく、以前に述べた方法を用いて、MME又はPDN GWなどにシグナリングが送られてもよい。MME又はPDN GWなど、ネットワーク・ノードは、サービスフローがUEに転送されるべきであるか否かを決定する際に、期間情報ならびに他のサービス受信可能エリア情報を活用する。所定の状況において、サービス受信可能エリア情報は時間関連情報のみを含んでもよい、例えば、サービスに対する他の制約はない。
UE200が、サービスのライフタイム期間中はいつでも、912から916中に示す信号伝達を実行することによって、サービス受信可能エリア情報の更新を実行できることもまた、いずれの当業者にも自明である。
<ステータス信号伝達のためのRRCの使用>
上述の各実施形態では、サービス・サポート・ステータスの信号伝達がNAS層内で実行される。別の代替例では、係る機能がアクセス・ネットワークによってサポートされている場合には、同じ目標が、無線リソース制御層を用いる信号伝達によって達成されうる。例えばUEは、UEからアクセス・ネットワーク、例えばeNodeBに時折送信される報告測定(メジャメント・レポート)メッセージ中に、ステータスを通知することができる。このことは、eNodeBが一定のベアラ修正、例えば、MMEに対し、特定のサービスに対するデータ・パケットがブロックされるべきであることを指示する特別なベアラ解放要求を開始することをトリガできる。MMEは、SGW及びPDN GWにシグナリングを送って、サービスに関連したパケットを落とすことができる。これは、UEがコネクティッド・モードにあるが間欠受信(DRX)を使用している場合に有用である。
[第4の実施の形態]
所定のサービスの場合、サービス・エリア又はその位置は、サービス供給業者又は顧客によって、厳格に限定されてもよい。例えば、企業サービスは企業の建造物又は敷地の内部など、特定場所の内部においてのみ提供されてもよい。このような場合には、ネットワーク事業者又はサービス供給業者は、UEが受信契約(サブスクライブ)されたサービスの受信可能範囲の外にある場合には、UEにサービスを提供することを中止してもよい。さらに、UEは、企業エリアの範囲外のいずれのセルに接続することも許可されないかもしれないが、しかしながら会社は、管理のためにUEの移動を追跡したいこともありうる。
別の例示的な場合には、UE200は、自動販売機に埋め込まれた通信装置などの装置についての課金関連データを収集するという、限定された目的を備えた通信装置であってもよい。ここでは、事業者は別の装置内にあるUSIMの利用を禁止するであろう。例えば、USIMを正常なUEに挿入すること、及び、事業者のネットワークへの接続を実行することが禁止される。事業者ネットワークは、接続を拒否するか又は限定されたリソースのみを割り当てて、UEのユーザ・データ通信を回避するがUEの移動を追跡できるようにする。
さらに、UE200又はUE200が埋め込まれた装置は、事前に定められた位置に配置されており、UEが所定の期間、又は永遠に当該位置から離れる(移動する)ことは許可も期待もされないかもしれない。例えば、自動販売機は固定位置にのみ置かれ、移動させることはできない。監視カメラなどいくつかの検知装置もまた、固定された場所、例えば壁などに括りつけられている。別の事例は、ショッピング・モールにある高解像度テレビであるかもしれない。当該テレビは、各店の広告及び他の価値のある情報を顧客に提供しており、これも所定の期間壁に固定されている。
このような場合は、UE200が移動し、及び/又は事前に定められた場所の外にある別のエリア(例えば、セル、トラッキング・エリアなど)からネットワークに接続する場合は、USIMの盗難として、又はUSIMの撤去及び別のUE又は埋め込み装置内での使用として検知することができる。システムが、移動を許可又は期待されていないUE200の移動を検知した場合は、システムの事業者は、UE200を追跡した後に窃盗犯を捕えるために、限定されたリソースを伴う接続を切断したいかもしれないし、又は保持したいかもしれない。
[非特許文献2]では、2種類のハンドオーバ手続、S1ベースのハンドオーバ及びX2ベースのハンドオーバがある。
[非特許文献3]にも記載されているように、上述の実施の形態のS1ベースのハンドオーバの場合において、UE200はすでに、自己の登録されたセルについての情報をネットワーク、すなわちMME又はPGWにすでに提供しており(PGWの場合であっても、MMEにはTFTが提供され、UEのMMコンテキスト中に保存されるので、MMEがUEのために登録されたセルについて知っていることは、明らかである)、MMEは、登録されたセルの範囲内から任意の未登録セルへのUE200の移動を検知する。MMEは、HSS(ホーム加入者サーバー)又はAAA(認証、許可及びアカウンティング)サーバーなどシステムデータベースから提供されるユーザ加入許可に含まれる制限情報に基づいて、UE200の接続又はハンドオーバを許可されていない制限されたセルへの移動のみを検知してもよい。
したがってこの場合には、MMEは特定の方策を実行して、許可されないリソース消費を回避してもよい。その一例は、MMEがハンドオーバ手続中にソースeNBからのハンドオーバ要求メッセージを拒絶(又は無視)し、拒絶後にUE200の接続を単に切断(又は解除)することである。別の例は、MMEがハンドオーバ要求メッセージを受け取って、ハンドオーバ手続を正常に完了させるが、MMEは、例えば、窃盗犯のユーザ・データ活動を回避するために、ターゲットeNB又は他のネットワーク・ノード(例えば、SGW、PGWなど)をトリガして、すべてのアップリンク・データをブロックしてもよい。別の例ではMMEは、QoS、ベアラ情報などを含むUEコンテキストなどリソースのパラメータを修正(又は新たに設定)して、ターゲット・セル(すなわち、ターゲットeNB)における当該UE200に対するリソースを限定するか、又は割り当てなくてもよい。この場合にはMMEはハンドオーバ手続中に、修正(又は新たに設定)されたパラメータを含むハンドオーバ要求メッセージをターゲットeNBに送信してもよい。MMEは例えば、デフォルト・ベアラの確立のみをトリガして、いかなる専用(dedicated)ベアラの確立を省略してもよい。
S1ベースのハンドオーバの場合と同様、UE200がIDLEモードにあり、ある登録されたセルから任意の未登録セルへと移動する場合は、前の実施の形態に記載されたように、UE200はトラッキング・エリア更新手続を実行して、自己の新しい位置、すなわち、UE200が一時的にとどまっている新しいセルをMMEに通知するので、MMEは、登録されたセルの範囲内から未登録セルへのUE200の移動を検知する。こうしてMMEは、UE200からのトラッキング・エリア更新要求を拒絶(拒否)するか、又はUE200の接続を単に切断することができる。MMEは、UE200からのトラッキング・エリア更新要求の拒絶後又は拒絶中に、後にUE200からサービス要求メッセージ又は接続要求メッセージを受信する際に限定されたリソースをUE200に割り当てるよう、ターゲットeNBに対して要求してもよい。
しかしながら、非特許文献4にも記載されているように、X2ベースのハンドオーバの場合には、UEがターゲットeNBに接続される前は、MMEはターゲットeNBにおけるUE200に対するリソースを防止又は限定することはできない。その理由は、MMEは、UEのハンドオーバ後、ターゲットeNBが経路切換要求をMMEに送信した時に初めて、UEの移動を検知するからである。こうして窃盗犯の手に渡ったUE200は、ターゲット・セルに正常にハンドオーバして、アップリンク及びダウンリンク・データに対する接続を利用したりするかもしれない。
X2ベースのハンドオーバが適用される場合であっても、窃盗犯によるこのような不正使用を回避するか、又はサービス・エリア、すなわち、登録されたセルの外にあるUE200に提供されるサービスを限定するために、MMEはUE200について、登録されたセルの情報、又は制限されたセルの識別子(例えば、ECGI)など制限情報を、現在の、すなわち許可されたeNBに提供する。制限情報は例えば、制限されたPLMN ID、制限されたトラッキング・エリアIDなどの追加情報を含んでもよい。ホワイト・セル・リスト(すなわち、登録されたセルなど許可されたセルのリスト)又はブラック・セル・リスト(すなわち、未登録セル若しくは登録されたセル以外のセルなど、制限されたセルのリスト)は、MMEからeNBに送信される非特許文献3に定義されるハンドオーバ制限リストの一部であってもよい。ホワイト・セル・リスト、ブラック・セル・リスト又はハンドオーバ制限リストに基づくこのような制限は、UE200の位置に基づき、UE、EPSベアラ、PDPコンテキスト、無線ベアラ(RB)ごとに適用されてもよい。
ソースeNBは、ハンドオーバを回避するか又はハンドオーバ中に割り当てられたリソースを限定するめに、UE200に対するホワイト・セル・リスト又はブラック・セル・リストを提供された情報に基づいて、例えば、登録セルIDでホワイト・セル・リストを、または未登録セルID又は制限されたセルIDでブラック・セル・リストを構成する。UE200が、登録されたセルの中から任意の未登録セル又は任意の制限されたセル、すなわち、ホワイト・セル・リスト中以外のセル又はブラック・セル・リスト中のセルに移動しようと試みていることを、ソースeNBが(例えば、UEによって送信された測定報告に基づいて)検知すると、ソースeNBは、拒絶し(すなわちハンドオーバをトリガしない)、任意でMMEに報告するか、又はソースeNBは、ターゲット・セルへのハンドオーバ要求メッセージ中に、限定又は低減されたリソース(リソースのパラメータを含む)のみを要求する。
MMEは、ベアラ(例えば、EPSベアラ、PDPコンテキスト、RB)又はPDN接続単位でサービスを管理してもよい。MMEがハンドオーバに関与する場合には、MMEは、ベアラ又はPDN接続ごとに当該ターゲット・セルにおけるリソースの限定又は低減(削減)を要求するか、ベアラ又はPDN接続ごとにハンドオーバを拒絶するか、ベアラ又はPDN接続ごとにハンドオーバ決定を無視するか、又はベアラ又はPDN接続の解除を実行するかのいずれかを行ってもよい。MMEがホワイト・セル・リスト及び/又はブラック・セル・リストをソースeNBに提供する場合には、ホワイト・セル・リスト及び/又はブラック・セル・リストは、UE200の位置に応じて、上記に記載された措置に対するターゲットEPSベアラ(単数又は複数)、PDPコンテキスト(単数又は複数)又はRB(単数又は複数)を含んでもよい。
それぞれのエリアにおいてS1ベース又はX2ベースのハンドオーバのいずれかが適用されるか、又はソース及びターゲットeNBのいずれの組み合わせが適用されるかを、MME又はeNB(単数又は複数)が(例えば構成などによって)すでにわかっていることは、いずれの当業者にも明らかである。このような場合にはMMEは、X2ベースのハンドオーバがMMEの受信可能範囲のもとでアクセス・ネットワークに適用される場合にのみ、制限情報、UE200に対する登録/未登録セルの情報、ホワイト・セル・リスト及び/又はブラック・セル・リストをeNB(単数又は複数)に提供する。係る情報は、X2ベースのハンドオーバが正常に完了した場合は、経路切換要求受信確認メッセージを、又はS1ベースのハンドオーバが実行される場合にはハンドオーバ要求メッセージを、又はUE200が初期接続したり、IDLEモードからコネクティッド・モードに遷移する場合には初期コンテキスト設定要求メッセージを、又は新しいPDN接続又は新しい専用ベアラが確立される場合にはベアラ設定要求メッセージを用いて、MMEからeNBへと搬送されてもよい。eNBが、あるUEに対して保存された制限情報を全く持たないか又は期限切れの制限情報しか持たない場合、eNBは、ソースeNBとのX2インタフェースをサポートするターゲットeNBへのUE200のハンドオーバが実行される前に制限情報を提供するよう、MMEに要求してもよい。
<eNB装置>
図10は、無線ブロック1010、アクセス階層(AS)ブロック1020、転送手段1030、GPRSトンネリング・プロトコル(GTP)ブロック1040、UDPブロック1050、S1−APブロック1060、X2−APブロック1070、SCTPブロック1080、IPプロトコル・ブロック1090、バックボーンL2/L1ブロック1100、ハンドオーバ制御手段1110、制限情報処理手段1200から成る、あるeNBの好適な機能アーキテクチャ1000を示す。
無線1010は、eNBがUE(単数又は複数)と通信するのを可能にするのに必要なハードウェア及びファームウェアから成る機能ブロックである。当該ブロックは、アンテナ、送信側回路及び受信側回路を備えてもよい。いずれの当業者にとっても、このことはシステムが有線環境に用いられることを除外しないこと、すなわち、無線110機能は、AS1020とのインタフェースが損傷を受けていないままである限り、有線伝送手段によって置き換え可能であることは、明らかである。無線1010が実際は、無許可移動体アクセス(UMA)又は一般的アクセス・ネットワーク(GAN)の応用など、異なる通信スタック上で動作させることも可能である。
アクセス階層(AS)1020は、無線アクセス制御及びセルラー無線ネットワークへの信号伝達、及び無線1010アクセス上の情報の伝送を実装する機能ブロックである。
バックボーンL2/L1 1100は、eNBがMME(単数又は複数)、サービング・ゲートウェイ(単数又は複数)及び/又は他のeNB(単数又は複数)と通信するのを可能にするのに必要なハードウェア及びファームウェアから成る機能ブロックである。当該ブロックは送信側回路及び受信側回路を備えてもよい。いずれの当業者にとっても、このことはシステムが無線環境に用いられることを除外しない、すなわち、バックボーンL2/L1 1100機能は、IP1090とのインタフェースが損傷を受けていないままである限り、無線伝送手段によって置き換え可能であることは、明らかである。
IPプロトコル1090は、eNBがアクセス・ネットワーク又はコア・ネットワーク内の他のノードと通信するために、インターネット・プロトコルを実装するソフトウェアから成る機能ブロックである。
GTP1040は、eNBが、GTPプロトコルを終了するコア・ネットワーク内の他のノード、すなわち、サービング・ゲートウェイ、PDN ゲートウェイと通信するために、及び、UEのデータをコア・ネットワーク・ノード(単数又は複数)に/から送/受信するために、GTPプロトコルを実装するソフトウェアから成る機能ブロックである。
UDP1050は、eNBがGTPプロトコル・メッセージをコア・ネットワーク・ノード(単数又は複数)に/から搬送するために、UDPプロトコルを実装するソフトウェアから成る機能ブロックである。
S1−AP1060は、eNBがコア・ネットワーク内のMMEと通信して、その結果、eNBがMMEによって制御され、UE(単数又は複数)に対する信号伝達メッセージがS1−APプロトコル上を搬送されるように、S1−APプロトコルを実装するソフトウェアから成る機能ブロックである。
X2−AP1070は、eNBがアクセス・ネットワーク内の他のeNB(単数又は複数)と通信して、その結果、eNBが当該他のeNBとともにUEのハンドオーバを制御し、UEの転送データがX2−APプロトコル上を搬送されるように、X2−APプロトコルを実装するソフトウェアから成る機能ブロックである。
SCTP1080は、eNBが、S1−APメッセージをMMEに/から、又はX2−APメッセージを他のeNB(単数又は複数)に/から、送/受信するために、SCTPプロトコルを実装するソフトウェアから成る機能ブロックである。
転送手段1030は、無線1010とバックボーンL2/L1 1100のインタフェース間に、UEのユーザ・データ及び信号伝達メッセージのための転送機構を実装するソフトウェアから成る機能ブロックである。UEのユーザ・データに対しては、転送手段1030はAS1020プロトコルとGTP1040プロトコルの間の橋渡しをする役割を果たし、一方、UEの信号伝達メッセージに対しては、AS1020プロトコルとS1−AP1060プロトコルの間の橋渡しをする。
ハンドオーバ制御手段1110は、UE(単数又は複数)に対するハンドオーバ制御機構を実装するソフトウェアから成る機能ブロックである。
本発明は、制限情報を利用したハンドオーバのために、制限情報処理手段1200及びハンドオーバ制御手段1110を導入する。制限情報処理手段1200は、MMEからUEに対して提供される制限情報を取得し、当該UEに対するハンドオーバ決定又はハンドオーバ実行の際に当該制限情報を利用する。
<eNBのフローチャート>
eNBに関する上記の構成による、本実施形態におけるeNBに対して開示された方法が図11に示される。
まず第1に、MMEは制限情報をeNB(ソースeNB)に提供し(S1101)、当該制限情報は、上述の情報、すなわち、ブラック・セル・リスト、ホワイト・セル・リスト、未登録セルID、登録セルID、制限されたPLMN ID、制限されたトラッキング・エリアID、制限されたセルIDなどを含む。ソースeNB1101内にある制限情報処理手段1200は、すなわち、セル、トラッキング・エリア、PLMNなどエリアの情報を含むハンドオーバ制限リストを構成して、UEの接続又はハンドオーバを制限する。MME242からのこのような提供は、UEのeNBとの接続時に、又はeNBが要求するとき、すなわち、eNBがMME242に対し当該UE200の制限情報を提供するよう要求する任意のときに行われてもよい。またこの提供は、eNBがハンドオーバのためのX2インタフェースをサポートするときにのみ実行されてもよい。
UE200が測定報告を提供すると(S1102)、ソースeNB内にあるハンドオーバ制御手段1110は、当該UE200に対するハンドオーバが必要であるか否かを測定報告及びポリシーに基づいて、ハンドオーバが制限されていないかどうか、すなわち、制限情報中のセルIDがターゲット・セルを包含するか否かを、提供された制限情報基づいて決定する(S1103)。決定後に何の制限も見られない場合は、ハンドオーバ制御手段1110はハンドオーバ手続を通常通り進める、すなわち、ハンドオーバ要求をターゲットeNB1102に単に送信する。ソースeNB1101は、登録されたセル、又は制限情報がハンドオーバ決定段階において利用可能ならば、制限情報中で制限されていないセルのうち1つからターゲットeNB1102を選択してもよい。この意味において、ターゲット・セルの候補として制限されたセルのみがある場合は、ソースeNB1101内にあるハンドオーバ制御手段1110は、実際のハンドオーバ手続を開始してはならない、すなわち、UEからの測定報告を無視する。
ハンドオーバに対して何らかの制限が発見されると、ハンドオーバ制御手段1110は決定を無視する、すなわち、UE200からの測定報告を無視してハンドオーバ要求を送信しないか、又は当該UE200に対するリソースを限定/低減する要求を含むハンドオーバ要求をターゲットeNB1102に送信する(S1104)。ソースeNB1101からのハンドオーバ要求メッセージを受信する、ターゲットeNB1102内にあるハンドオーバ制御手段1110は、ハンドオーバに対してアドミッション制御を実行し、当該UE200に対するリソース限定又は低減を決定する(S1105)。
ソースeNB1101は、ターゲットeNB1102に対し、ハンドオーバ要求メッセージ内に入れて搬送されたQoSパラメータ又はポリシー/規則内の、すでに限定済又は低減済のリソースを要求してもよい。この場合には、ターゲットeNB1102は、QoSパラメータ又はポリシー/規則を、当該UE200に対する自己のリソース準備に単に適用する。
ソースeNB1101はまた、UE200がターゲットeNB1102へのハンドオーバを許可されていないが、トラッキング目的のため少なくとも信号伝達プレーンが保持される必要があることを、フラグなどを用いてターゲットeNB1102に単に指示してもよい。この場合ターゲットeNB1102は、UE200のユーザ・データ、すなわち、ユーザ・プレーンに対するQoSパラメータが例えば0kbpsに限定されることを決定する。
アドミッション制御及び他の処理の後に、ターゲットeNB1102内にあるハンドオーバ制御手段1110は、ハンドオーバ要求受信確認メッセージをソースeNB1101に返す(S1106)。ターゲットeNB1102の状態を理由に要求自体が許可されない場合は、ターゲットeNB1102はハンドオーバ要求を拒絶してもよく、又はリソースの限定/低減を理由にUE200に対するハンドオーバが許可されないとターゲットeNB1102が決定する場合には、ハンドオーバは失敗する。その後、正常なX2ハンドオーバ手続がUE200に対して実行され(S1107)、限定/低減されたリソースが当該UE200に対してターゲットeNB1102(ターゲット・セル)において適用される。しかし、事業者がUE200のトラッキングが可能となるよう、少なくとも信号伝達経路は正常に保持される。
図12は、図10の構成に基づきeNB内のプロセスをより詳細に示す。
まず第1に、ハンドオーバ制御手段1110は、制限情報取得プロセス(S1201)を実行する。ここでは、ハンドオーバ制御手段1110は、自己の需要に応じて、制限に関する情報、すなわち、登録セルID、未登録セルID、制限されたTA/PLMN/セルID、ホワイト・セル・リスト、ブラック・セル・リストなどをMMEから受信又は取得する(S1202)。ハンドオーバ制御手段1110は制限情報を記憶装置などに保存する(S1203)。
ハンドオーバ手続プロセス(S1204)において、ハンドオーバ制御手段1110は、受信したUEからの測定報告に基づいて、当該UEに対してハンドオーバが必要であるか否かを決定する(S1205)。ハンドオーバが必要である場合には、ハンドオーバ制御手段1110は、ターゲット・セルがMMEから提供された制限情報のうちいずれか1つにあるいずれかのセルと一致するか否かを確認する(S1206)。ハンドオーバ制御手段1110は、セルID以外の制限パラメータ、例えば、PLMNID、トラッキング・エリアIDなどもまた考慮してもよい。任意の一致したセル(又はPLMN、TAなど)IDが発見されると(S1207)、ハンドオーバ制御手段1110は、当該UEに対するリソース限定又は低減のターゲットeNBへの要求を付けて、ハンドオーバ手続を開始し(すなわち、ハンドオーバ要求メッセージをターゲットeNBに送信する)(S1208)、そうでない場合は、正常なハンドオーバ手続が開始される(S1209)。ソースeNBは、ターゲット・セルが当該UEのハンドオーバを許可されていない場合は、ハンドオーバ手続を中止してもよい。
ハンドオーバ要求メッセージを受信するターゲットeNBでは、ハンドオーバ手続はハンドオーバ制御手段1110においてトリガされる(S1211、S1212)。ハンドオーバ制御手段が、ソースeNBからのハンドオーバ要求メッセージ中にリソースを限定又は低減する何らかの要求を検出する(S1213)と、ターゲットeNB内にあるハンドオーバ制御手段1110は、当該UEに対する限定/低減されたリソースを保存(S1214)し、ソースeNBとともにハンドオーバ手続を最後まで進める(S1215、S1210)。
[第5の実施の形態]
あるサービス又はアプリケーションに関して、ターゲットネットワーク(例えば、PDN)又はターゲットPGWは、ユーザ(例えば、UE)の位置に基づいて選択されてもよい。他のケースでは、サービスの内容、サービス許可、又はユーザの位置に基づくサービス/アプリケーションのセキュリティレベルを変えてもよい。例えば、企業では、従業員が制限された場所、例えばその企業が置かれるエリア内から接続する場合にのみ、従業員に企業ネットワーク内で機密データにアクセスすることを許している。一例の詳細として、オフィスの外部から接続している、例えばオフィスの外部に置かれた基地局を介して接続しているユーザは、ファイルサーバー内で機密ファイルにアクセスすることを許されない(又はユーザが通信経路上によりセキュアなプロテクション(保護)を得たときのみ許されるようにしてもよい)が、同じユーザはオフィス内に置かれた他の基地局、例えばフェムト基地局に接続するときアクセスすることを許される。他の例として、オフィス又は家の外部から企業ネットワーク又はホームネットワークにアクセスしようとしているユーザは、リモート接続ユーザに関して、特定のネットワークに接続を強制されるようにしてもよい。その結果、ネットワーク・リソースのクラックを回避するためにセキュリティレベルが高く保たれる。
上述したようなシステム要求を満たすために、この実施の形態においては、そのシステムは、ターゲットネットワーク(例えば、PDN)、PGW、サービスの内容、サービス許可又はセキュリティのレベルなど調整する。そのシステムはすべて、いずれか、又はそれらのコンビネーションを制御(変更、修正など)する。
ターゲットネットワーク(PDN)が配置されるケースにおいて、PGWは、上記実施の形態で述べたMMEからの通知に基づいてUEの位置が変更されることを検知すると、サービングPDNからターゲットPDNに切り替える。
PGWは、アクセス・ポイント・ネーム(APN)とUEの位置情報のコンビネーション、例えばAPNと(E)CGI、TAIなどのUEの位置情報を含むFQDNからターゲットPDNを取得してもよい。また、ターゲットPDNの情報は、静的又は動的データ、例えばHSS又はAAAサーバーでのサブスクリプションデータとして供給されてもよく、ターゲットPDNのIDは位置IDごとに定義されていてもよい。ターゲットPDNが選択されると、UEのベアラ(例えば、EPSベアラ、PDPコンテキストなど)又はPDN接続は、そのPGWでターゲットPDNにバインドされる。
ターゲットPDNへの変更はPGWの変更による。そのような場合、サービングPGWはターゲットPDNにゲートウェイ・リロケーション手続きを行う。そのとき、サービングPGWはターゲットPGWにUEコンテキストを送信し、ターゲットPDNはUEコンテキストの維持を開始する。
PDNかつ/又はPGWが変更されるが、UEのアドレス(例えば、IPアドレス)の保管が適用されない場合、新たなアドレスは、例えばアタッチ、サービス要求、トラッキング・エリア更新などの手続(ベアラ生成応答、ベアラ修正応答のメッセージ)を通じてUEに提供される。
サービスの内容、サービス許可が用意される場合では、PGWは、UEの位置の変更かつ/又は位置情報について、PDN内のサービス・サーバー又はアプリケーション・サーバーに通知する。ここで、PGWは、UEが提供される位置又はエリアにいるとき、UEの位置のみをPGWに通知するためにPGWの位置又はエリア(例えば、(E)CGI、TAI、CSG IDなど)について既に情報を(UEコンテキストの1つとして)有していてもよい。さもなければ、PGWはUEが位置を変更するたびにUEの位置を通知してもよい。
サービス内容又はサービス許可が変更される場合、付加的なアクセス認証が行われるようにしてもよい。例えば、ターゲットPDN内の認証サーバーへの典型的なアクセス認証(例えば、パスワード、アクセス証明書、セキュリティトークンなどを用いて)、又はSIMとサブスクリプションを用いてUEのアタッチメントの際に行われる同じ認証手続が行われてもよい。
セキュリティレベルが用意される場合では、PGWは、MME(さもなければMMEは自身でUEの位置の変化を検出する)に通知し、MMEはUEのベアラセキュリティのパラメータを修正してもよい。例えば、企業の外部のCSGセルからのアクセスの場合、MMEは、通常より高いベアラセキュリティを確保するためにパラメータを修正し、修正されたパラメータを用いてベアラ再構成を開始する。また、PGWは、PGWとPDN(例えば、PGWと接続されるターゲットPDN内のゲートウェイ)との間でのセキュアな経路を構築又は改良(アップグレード)してもよい。さらに、PGW又はMMEは、ターゲットPDN内のサービス/アプリケーション・サーバー又はピア(Peer)・デバイス/ターミナルとセキュアな経路(例えば、IPsecトンネル)を構築することをUEに指示してもよい。その指示は、PDN(例えば、サービス/アプリケーション・サーバー又はピア・デバイス/ターミナル)に送信されてもよい。
システムが、ターゲットPDNかつ/又はPGW、サービス内容、サービス許可、セキュリティレベルなどを変更/調整/制御/修正することはなので、伸縮性のあるサービス/アプリケーションが配置後でも提供され得る。
[第6の実施の形態]
<UE活動ベースのフィルタ処理>
以降において、UE10又はネットワーク・ノード20はネットワーキング能力を備えたあらゆるデバイスのことを言う。例えば、ネットワーク・ノード20の機能の一部が、現在の3GPP SAEアーキテクチャにおいて規定される移動体管理エンティティ(MME)及び/又はサービング・ゲートウェイ(SGW)に実装されることが完全に可能かもしれない。また、UE10はここでは主として、M2Mデバイスとしての多くのデバイス中に実装される機能のことを言うが、このことは、ここで説明される概念があらゆる他のネットワーキング・デバイスに適用されることを限定しない。UE10はここでは、特定のサービスを先のパケット・フィルタ・リストとして設定し、ネットワークは、UE10がアイドル・モードにあるときには当該UEはパケット・フィルタ・リストと関連付けられたデータを処理する能力がないと決定する。
図13は、活動ベースのフィルタ処理を実行するシステムのシステム構成を示す。当該システムは、図中においてM2Mデバイス10として示され、アイドル・モードでのみ使用指示を備えた許可パケット・リストをネットワーク・ノード20に提供するUE10と、アイドル・モードでのみ使用指示を備えた許可パケット・リストの受信直後に、UE10がアイドル・モードにあるときに、許可パケット・リストに基づいてダウンリンク・パケットをフィルタリングするネットワーク・ノード20とから成る。UE10及びネットワーク・ノード20はネットワーク71にわたって互いに通信する。ネットワーク71は無線ネットワークであってもよい。またネットワーク71はIPを可能とさせるものであってもよい。UE10はまた、非許可パケット情報保存指示をネットワーク・ノード20に提供してもよい。非許可パケット情報保存指示の受信直後に、ネットワーク・ノード20は許可パケット・リストと一致しないパケットのパケット情報を保存する。許可パケット・リストと一致しないパケットの保存された情報は、当該パケットのソース、宛先のIPアドレス、又はポート番号であってもよい。UE10がコネクティッド・モードへと移動した後、ネットワーク・ノード20は、不許可パケット・リストを当該UE10に送信する。
図14は、本発明の好適な実施形態におけるUE10の装置を示している。当該装置は低電力用途のために最適化されたアプリケーション13から成る。アプリケーション13はM2Mデバイスのいかなる特定の使用であってもよい。非制限的な例として、スマート・メータリング、温度センサ、カメラ、物流装置等であってもよい。
アプリケーション13は、あるメッセージ又はパケットが、重大か又は重大でないか(言い換えれば、緊急か又は緊急でないか、または、重要か又はそれほど重要でないか)を知っている必要がある。これは2つの方法で達成することができる。第一の方法は、ポート番号又はIPアドレスの標準化されたリストを用いて、メッセージ又はパケットを重大であると識別することである。例えば、ポート番号「xyz」の付いたメッセージのみが重大である。他のポート番号を用いる残りのメッセージは重大ではない。第二の方法は、アプリケーション・サーバーとUE10の間でP2P交換を行って、この情報を動的に取得することである。
ひとたびこの情報が取得されると、この重大なパケット情報は許可パケット・リスト・マネージャ12に提供される。典型的な実装では、ATコマンドを用いることによって、当該情報は許可パケット・リスト・マネージャ12を実装するNASに提供することができる。許可パケット・リスト・マネージャ12は、許可パケット・リストをメッセージ処理装置14へと転送する。メッセージ処理装置14は、この情報をネットワーク・ノード20へと送信するためのメッセージを用意する。すべての発信メッセージはメッセージ送信機15によって送信される。着信メッセージはメッセージ受信機16によって受信される。本発明に関して、メッセージ受信機16によって受信されうる各メッセージは、UE10がコネクティッド・モードへと移動するときは、ネットワーク・ノード20がUE10に提供する不許可パケット・リストであり、そうでないときは、許可パケット・リストに記載された重大なパケットのための呼出メッセージである。メッセージ受信機16が不許可パケット・リストを受信すると、メッセージ処理装置14は不許可パケット・リストを取得し、当該リストを不許可パケット・リスト・マネージャ11に提供する。不許可パケット・リスト・マネージャ11はアプリケーション13に不許可パケット・リストを提供する。不許可パケット・リスト・マネージャ11からアプリケーション13へと情報を転送するのに、ATコマンドを再び用いることができる。
許可パケット・リストが一般的にIPアドレス又はポート番号を用いて、パケットをフィルタリングするものであるとわかるものの、IPv4リモート・アドレス・タイプ、IPv6リモート・アドレス・タイプ、プロトコル識別子/次ヘッダ・タイプ、ローカル・ポート・レンジ・タイプ、シングル・リモート・ポート・タイプ、リモート・ポート・レンジ・タイプ、セキィリィティ・パラメータ指標タイプ、サービスのタイプ/トラフィック・クラス・タイプ、フロー・ラベル・タイプ、トランスポート層ヘッダのコンテンツ(UDP、TCP、SCTP等)、別の上位層ヘッダのコンテンツ(SIP、TLS、HTTP等)、トンネル・ヘッダ構成、及び/又は、ペイロード中のコンテンツの一部(アプリケーション/ユーザ・データ等)といった他のフィルタ基準によって、パケットをフィルタリングすることもまた可能である。
図15は、本発明の好適な実施形態におけるネットワーク・ノード20の装置を示す。当該装置は、UE10から各メッセージを受信するメッセージ受信機23から成る。受信された各メッセージはさらなる処理のためにメッセージ処理装置24に提供される。本発明において、メッセージ処理装置24は「アイドル・モードでのみ使用」指示(又はフラグ)とともに、オプション的に「不許可パケット情報保存」指示とともに許可パケット・リストをUE10から受信する。次いでメッセージ処理装置24は、許可パケット・リスト及び各指示を許可パケット・リスト・マネージャ27に提供する。許可パケット・リスト・マネージャ27及び各指示は、ダウンリンク・パケットが許可パケット・リストによって提供されたフィルタを通過するか否かを確認するために、ダウンリンク・パケット・フィルタ21によって用いられる。ダウンリンク・パケットがパケット受信機28に到着すると、パケット受信機28はパケットをダウンリンク・パケット・フィルタ21へと転送する。「アイドル・モードでのみ使用指示」が存在する場合は、ダウンリンク・パケット・フィルタ21は、活動ステータス・データベース25に問い合わせて、UE10の現在の活動ステータス(又は移動性ステータス)を確認する。活動ステータス・データベース25が、UE10がコネクティッド・モードにあることをダウンリンク・パケット・フィルタ21に通知する場合は、ダウンリンク・パケット・フィルタ21は、各パケットを許可パケット・リストによってフィルタリングせずに、パケットを送信機22に転送する。活動ステータス・データベース25が、UE10がアイドル・モードにあることをダウンリンク・パケット・フィルタ21に通知する場合は、ダウンリンク・パケット・フィルタ21は、パケット受信機によって受信されたパケットが許可パケット・リスト・マネージャ27と適合するか否かを確認する。
パケットが許可パケット・リストと適合する場合は、ダウンリンク・パケット・フィルタ21はまず、UE10を呼び出すようメッセージ処理装置24に対して要求する。メッセージ処理装置24は、呼出メッセージを送信機22を介してUE10に送信する。UE10がネットワーク・ノード20との接続を設定すると、メッセージ処理装置24はメッセージ受信機23を介して呼出要求メッセージをUE10から取得し、次いでダウンリンク・パケット・フィルタ21は、不許可パケット・リスト・マネージャ27に対して不許可パケット・リスト情報を要求する。ダウンリンク・パケット・フィルタ21は、パケットを送信機22へと転送し、当該送信機22はパケットをUE10にさらに送信する。
パケットが許可パケット・リストと適合しない場合は、ダウンリンク・パケット・フィルタ21は、可能であれば「不許可パケット情報保存」指示がないか確認する。当該指示が存在する場合には、ダウンリンク・パケット・フィルタ21はパケットの詳細を不許可パケット・リスト・マネージャ26に提供する。これら詳細は、ソースのIPアドレス、宛先のIPアドレス、ソースのポート番号、宛先のポート番号、ヘッダ(単数又は複数)の他の部分、及び/又は、ペイロードの一部と多岐にわたりうる。本発明は、伝えるべき詳細をこの前の文に提示される例に限定していない。パケット全体を保存するといったさらなる詳細も実行されうる。不許可パケット・リスト・マネージャ26は不許可パケットの関連詳細事項を保存し、UE10がコネクティッド・モードへと移動すると当該詳細事項をUE10に転送する。「不許可パケット情報保存」指示がない場合は、ダウンリンク・パケット・フィルタ21はパケットを廃棄するだけであり、パケットに対してはこれ以上作動しない。
図16は、UE10が活動ベースのパケット処理を設定するために必要とされるプロセスを図示する。最初に、ステップ31では、当該アプリケーションは許可パケット・リストのリストを用意する。アプリケーションは、標的IPアドレス及び/又は標的ポート番号などパケット・リストの一部のみ、すなわち必須のコンテンツを提供してもよく、次いで当該コンテンツから、UE10は許可パケット・リストの完全な形式を構築する。次いでステップ32において、用意された許可パケット・リストは「アイドル・モードでのみ使用」指示とともに、オプション的に「不許可パケット情報保存」指示とともにネットワーク・ノード20へ送信される。例えば、この概念が3GPPアーキテクチャ内で実装される場合には、アプリケーションはATコマンドを用いて、NAS層とりわけESM副層に、これらパケットのリスト、及び、不許可パケットを保存するよりもアイドル・モードでのみでの使用への優先を提供する。ESM副層は、UEが要求したベアラ割り当て手順を開始し、アプリケーションによって提供されたフィルタをTAD(トラフィック集約記述)に投入する。追加的にはESM副層は、このメッセージ中に「アイドル・モードでのみ使用」指示 及び「不許可パケット情報保存」指示を投入する。
図17は、UE10が不許可パケット・リストを処理するために必要とされるプロセスを図示する。UE10が前に説明した許可パケット・リストの保存を設定済の場合は、ネットワーク・ノード20は、許可パケット・リストと適合しなかったパケットに関する情報を保存する。保留中のアップリンク・データ、ネットワークからのシグナリング、又は呼出のいずれかを理由に、UE10がアイドル・モードからコネクティッド・モードへと遷移するときには、UE10はステップ33に示すように不許可パケット・リストを受信する。3GPPアーキテクチャのために実装されるときは、このメッセージは、サービス受信又はコンテナIEといった新しいメッセージ中で送信されてもよい。サービス受信メッセージ中で受信されるパケットの情報(すなわち不許可パケット・リスト)は、上位層(アプリケーション等)に提供される。この提供は、ATコマンドを介して行われてもよい。ステップ34では、上位層は、問い合わせメッセージを識別された宛先へと開始しうる。問い合わせメッセージの目的は、なぜUE10が初期接続されたかを見出し、必要なあらゆる情報を提供することである。
図18は、ネットワーク・ノード20が活動(アクティビティ)ベースのパケット処理を構成するために必要とされるプロセスを図示する。まずステップ35で、ネットワーク・ノード20は、「アイドル・モードでのみ使用」指示及び「不許可パケット情報保存」指示とともに許可パケット・リストを受信する。ネットワーク・ノード20が「アイドル・モードでのみ使用」指示を受信すると、ステップ36でネットワーク・ノード20は、UE10がアイドル・モードにあるときにのみ許可パケット・リストが用いられなければならないことを記憶する。
図19は、ネットワーク・ノード20が活動ベースのパケット処理を実行するために必要とされるプロセスを図示する。プロセスは、ステップ37に示すようにダウンリンク・パケットが到着すると、トリガされる。パケットを受信した後ステップ38で、ネットワーク・ノード20は、UE10がアイドル・モードにあるか否かを確認する。UE10がアイドル・モードにない場合は、ネットワーク・ノード20は許可パケット・リストを無視し、ステップ39のように処理を継続する。UE10がアイドル・モードにある場合は、ステップ40に示すように、UE10は許可パケット・リストを用いたフィルタリングを有効にする。ステップ41でネットワーク・ノード20は、パケットが許可パケット・リスト中のフィルタを通過したか否かを検証する。当該パケットがフィルタをすでに通過した場合は、当該パケットは、重大であるとともにUE10が呼び出されている間にバッファされる許可されたパケットとしてみなされ、UE10が呼び出された後に、バッファされたパケットがUE10に転送される。パケットが許可パケット・リストを通過しない場合は、ステップ42でネットワーク・ノード20は、UE10が「不許可パケット情報保存」指示を指示したか否かを確認する。UE10が「不許可パケット情報保存」指示をまだ提供していない場合は、ステップ45に示すようにネットワーク・ノード20は、パケットを廃棄してもよい。UE10が「不許可パケット情報保存」指示をすでに提供した場合は、ステップ43に示すようにネットワーク・ノード20は、許可されていないパケット、すなわち許可パケット・リストを通過しなかったパケットの情報を不許可パケット・リスト中に保存してもよい。保存された情報は、宛先又はソースのIPアドレス、または宛先又はソースのポート番号と多岐にわたりうる。
図20は、活動ベースのパケット処理のイベントのシーケンス図を示す。まずUE10は、ダウンリンク・パケットを確認するのに用いられるフィルタから成る許可パケット・リストを用意する。フィルタは、IPv4のリモート又は宛先アドレス・タイプ、IPv6のリモート又は宛先アドレス・タイプ、プロトコル識別子/次ヘッダ・タイプ、ローカル・ポート・レンジ・タイプ、シングル・ローカル/リモート・ポート・タイプ、リモート・ポート・レンジ・タイプ、セキィリィティ・パラメータ指標タイプ、サービスのタイプ/トラフィック・クラス・タイプ 及びフロー・ラベル・タイプから成ってもよい。次のステップ46では、UE10は許可パケット・リストを「アイドル・モードでのみ使用」指示とともに送信する。ステップ47では、ネットワーク・ノード20は許可パケット・リストを保存し、UE10がアイドル・モードにあるときにのみこのリストを適用することを記憶する。ネットワーク・ノード20は次いでステップ48で、アイドル・モードのみの場合に許可パケット・リストを適用することを求めるUE10からの要求を受信確認する。当該受信確認を省略して、ステップ46でメッセージを送信した後すぐにUE10がアイドル・モードに入ることができ、電池の消費を低減できるようにしてもよい。
しばらくすると、ステップ49に示すようにUE10はアイドル・モードへと進む。例えば3GPPにおいては、通常これが発生するのは、UE10が一定時間インアクティブであるとともに、MMEがこのインアクティブ状態を検知し、S1シグナリング接続を解除するときである。ここでは図は簡素化され、ステップ50では、ネットワーク・ノード20がUE10の状態をアイドルとして更新することが示される。ステップ51に示すように、UE10の状態のこの変更は、許可パケット・リストによるダウンリンク・パケットのフィルタリングをトリガする。ダウンリンクIPパケットが、例えば内部又は外部IPネットワーク90からネットワーク・ノード20に到達すると(ステップ52)、ネットワーク・ノード20はステップ41に示すように、IPパケットが許可パケット・リスト中のフィルタを通過するか否かを確認する。パケットが許可パケット・リスト中のフィルタを通過する場合は、ステップ54に示すように、ネットワーク・ノード20はUE10を呼び出すことを決定する。この呼び出しが必要なのは、UE10が重大なパケットを識別するためにこれらフィルタを割り当てたと思われるからである。ダウンリンクIPパケットが割り当てられたフィルタを通過しない場合は、ネットワーク・ノード20はパケットを廃棄し、UE10を呼び出さないことを決定する(ステップ53)。
ここではIPパケットは、UEのアイドル・モード状態にもかかわらずパケット自体をフィルタに通過させるための、オプション的な指示、例えばフラグ、パケット・ヘッダ又はペイロード中のビット・フィールド等を含んでもよい。この指示は、緊急性、重要性等を備えたパケットのコンテンツに応じて、パケットの送信者であるコレスポンド・ノードによって、追加することができ、その結果、コレスポンド・ノードへの適用によって、ネットワーク・ノード20内のフィルタ内にまだ掲載されていいない(又は掲載すると想定されていない)あらゆる重要又は緊急なパケットをUE10に送るよう強制することができ、それゆえ、アプリケーションの柔軟性が高まる。また、当該指示は、例えばいかなるパケットを通過する前にフィルタへの登録が要求されるという制限を理由として、事業者のネットワークのポリシーを反映するために、コレスポンド・ノードとネットワーク・ノード20の間の経路上のコレスポンド・ノード以外のノード、例えばIPネットワーク90(すなわちPDN)内のPGW又はいくつかのサーバー等によって、管理(すなわち追加、修正又は削除)されてもよい。
さらに、ネットワーク・ノード20は、パケットをUE10に送信したコレスポンド・ノードに、自己のアイドル・モード状態に起因するUEの利用不能について通知してもよく、その結果、コレスポンド・ノードは、UEの一時的な利用不能を考慮し、さらなるパケットをUE10に送信することを、例えばコレスポンド・ノードがUE10から何らかのメッセージ又はパケットを受信するとき、定義されたタイマー時間が期限切れとなるとき、定義された時間(UE10に時間管理期間として承認されうる時間であり、この時間にのみUEはネットワークにアクセスすることが許可される)が来るとき、UE10に送信されるべき重要又は緊急のメッセージが生成されるとき等まで延期することができる。例えば、ネットワーク・ノード20のすべて又は一部を実装するSGWは、UE10をサーブするPGWに対し、アイドル・モードにあることを理由とするUEの利用不能について通知し、PGWは、UEの利用不能をコレスポンド・ノードに通知するか、又は、転送することができる。ネットワーク・ノード20はまた、UE10がコネクティッド・モードになるときに、UEの利用可能性をコレスポンド・ノードに通知することができ、その結果コレスポンド・ノードは、時間を消耗するとともに不効率なUE10からのパケットを待つことなく、通知を受信した直後に、パケットをUE10に送信するのを再開することができる。例えば、MMEはアイドル・モードからコネクティッド・モードへのUEの状態の遷移について、SGW及びPGWを介してコレスポンド・ノードに通知する。
図21は、不許可パケット・リストを保存することを伴う活動ベースのパケット処理のためのイベントのシーケンス図を示す。まずUE10は、ダウンリンク・パケットを確認するのに用いられるフィルタから成る許可パケット・リストを用意する。フィルタは、IPv4のリモート又は宛先アドレス・タイプ、IPv6のリモート又は宛先アドレス・タイプ、プロトコル識別子/次ヘッダ・タイプ、ローカル・ポート・レンジ・タイプ、シングル・ローカル/リモート・ポート・タイプ、リモート・ポート・レンジ・タイプ、セキィリィティ・パラメータ 指標タイプ、サービスのタイプ/トラフィック・クラス・タイプ 及びフロー・ラベル・タイプから成ってもよい。次にステップ55では、UE10は許可パケット・リストを「アイドル・モードでのみ使用」指示とともに送信する。ステップ56では、ネットワーク・ノード20は許可パケット・リストを保存し、このリストをUE10がアイドル・モードにあるときにのみ適用することを記憶する。ネットワーク・ノード20は次いでステップ57で、アイドル・モードのみの場合に許可パケット・リストを適用することを求めるUE10の要求を受信確認する。当該受信確認を省略して、ステップ55でメッセージを送信した後すぐにUE10がアイドル・モードに入ることができ、電池の消耗を低減できるようにしてもよい。
しばらくすると、ステップ58に示すようにUE10はアイドル・モードへと進む。3GPPにおいては、通常これが発生するのは、UE10が一定時間インアクティブであるとともに、MMEがこの不活動を検知し、S1シグナリング接続を解除するときである。ここでは図は簡素化され、ステップでは59では、ネットワーク・ノード20はUE10の状態をアイドルとして更新することが示される。ステップ60に示すように、UE10の状態のこの変更は、許可パケット・リストによるダウンリンク・パケットのフィルタリングをトリガする。ダウンリンクIPパケットが、例えば内部又は外部IPネットワーク90からネットワーク・ノード20に到着すると(ステップ61)、ネットワーク・ノード20はステップ41に示すように、IPパケットが許可パケット・リスト中のフィルタを通過するか否かを確認する。パケットが許可パケット・リスト中のフィルタを通過する場合は、ステップ70に示すように、ネットワーク・ノード20はUE10を呼び出すことを決定する。この呼び出しが必要なのは、UE10が重大なパケットを識別するためにこれらフィルタを割り当てたと思われるからである。ダウンリンクIPパケットが割り当てられたフィルタを通過しない場合は、ステップ62でネットワーク・ノード20は、UE10が「不許可パケット情報保存」指示をすでに提供したか否かを確認する。
当該指示が提供される場合は、ネットワーク・ノード20はパケットの情報を保存する(ステップ63)。この情報は、ソース/宛先のIPアドレス、ソース/宛先のポート番号、又はさらには、全パケット自体と多岐にわたりうる。UE10が「不許可パケット情報保存」指示をまだ提供していない場合は、ステップ64に示すようにネットワーク・ノード20はパケットを廃棄する。しばらくすると、UE10はステップ66に示すように、アップリンク・データが保留中であること、又はネットワークが許可パケット・リストを通過するパケットを受信したことのいずれかを理由に、ネットワークとの接続を再確立する。理由は図中には示されていないが、UE10のコネクティッド・モードへの遷移をもたらしうる理由のいずれかであろうと推論されうる(ステップ65)。UE10がネットワーク・ノード20とのシグナリング接続を確立する(ステップ66)と、ネットワーク・ノード20はステップ67に示すように、この機会を利用して不許可パケット・リストをUE10に送信してもよい。不許可パケット・リストをUEに送信するのに成功した後、ネットワーク・ノード20は不許可パケット・リストをリセットする(ステップ68)。UE10は不許可パケット・リストを受信し、当該リストを上位層(すなわちアプリケーション)に提供する。アプリケーションはステップ69に示すように、この情報を使って、UE10に送信された初期要求の特性について各送信者に問い合わせてもよい。
本発明の一つの実施形態では、UE10は、GERAN、UTRAN及びE−UTRAN無線のうち、いずれか又はすべてを備えた3GPP適合UEである。SGSN/MME又はGGSN/S−GWがネットワーク・ノードの機能を実行する。許可パケット・リストは、UE10が現在GERAN/UTRAN内にあるか又はE−UTRAN内にあるかに応じて、SGSN又はS−GWに保存されている。UE10は、NASすなわち非アクセス層シグナリングと呼ばれる制御シグナリングを用いて、許可パケット・リストの構成を実行する。UE10は、UEによって開始されたベアラ/PDPコンテキスト修正メッセージを用いて、ダウンリンク・フィルタをPDN接続のデフォルト・ベアラ/PDPコンテキストに追加する。UE10が複数のPDN接続を持つ場合は、各PDN接続には別々のメッセージが必要になるかもしれない。ダウンリンク・フィルタをデフォルト・ベアラ/PDPコンテキストに追加することは、TFTと適合しないダウンリンク・パケットが自動的にブロックされることを保証する。ダウンリンク・フィルタをデフォルト・ベアラ/PDPコンテキストに追加することは、TFTと適合しないダウンリンク・パケットが自動的にブロックされることを保証する。
ダウンリンク・フィルタに加えて、フィルタの使用はUE10がアイドル・モードにあるときのみであるべきことを、UE10は示さなければならない。したがって、これらフィルタはおそらく、実際にフィルタリングを行うGGSN又はP−GWに転送されるべきでない。SGSN又はS−GW中にこれら特徴を実装することには2つの利点がある。第一に、これらエンティティはUEの移動性ステータス−アイドル又は接続−を知っている。第二に、これらエンティティ内にこれら特徴を実装することによって、本発明のGGSN又はP−GWへの影響を排除する。S1モードでは、すなわち、UE10が自己のE−UTRAN無線を使用しているときは、シグナリングがMMEを介して実行される。すなわちMMEは、UEとSGSN/S−GWの間の制御シグナリング・メッセージを転送する。ひとたびダウンリンク・フィルタがSGSN/S−GW内に保存されると、SGSN/S−GWはUE10の動作を知る。UE10がコネクティッド・モードにある場合は、その通常動作のいずれにも変更がない。しかしUE10がアイドル・モードにあると、S−GWは、「アイドル・モードでのみ使用」とUE10によって印が付けられたダウンリンク・フィルタのフィルタリングを有効にする。ここで、S−GWは各ダウンリンク・パケットをこれらダウンリンク・フィルタとの合致について確認する。
パケットがダウンリンク・フィルタを通過する場合は、このことは、パケットが重要(又は重大、緊急、優先度が高い等)であり、SGSN/S−GWはUEを呼び出すことを決定することを意味する。パケットがダウンリンク・フィルタを通過しない場合は、このことは、パケットはそれほど重要ではなく(又は重大でない、緊急でない、優先度が高くない)、パケット情報、主に、ソース/宛先IPアドレス及びソース/宛先ポート番号が保存されていることを意味している。UE10がコネクティッド・モードへと遷移すると、すなわち、UE10がサービス要求メッセージをSGSN/MMEへと送信すると、ネットワークとのシグナリング接続が確立される。近年の3GPPシステムでは(すなわちrel−8の後は)、制御プレーンとともにユーザ・プレーンさえも確立されると予測され、その結果、ひとたびサービス要求手順が完了すると、UEはシグナリング・ベアラ及びデータ・ベアラの両方を持つと予測される。したがって、SGSN/S−GWは、シグナリング・ベアラ又はデータ・ベアラのいずれかを用いて、不許可パケット・リストがもしあればUE10に送信することができる。UEアプリケーション13は次いでこのリストを用いて、問い合わせメッセージを開始する。
本発明における概念は、M2Mアプリケーション中の各アプリケーションが、デバイスの低電力要件と動作を整合させることである。例えば、当該アプリケーションが中央サーバー及び複数のクライアント(PDA、移動体等)を備えた監視カメラであると仮定する。サーバーは監視カメラを監視する責任を負っており、各クライアントは監視カメラが撮像中の現在のビデオを要求してもよい。監視カメラを監視することは、ビデオの最後の2、3分を検索すること、カメラが問題なく作動しているか否かを確認すること、ソフトウェアのアップグレードを送信すること等、多岐にわたりうる。ここで、アプリケーションが設計中であると、メッセージを重要な(例えば、高感度データ、警告データ、緊急データ、優先データ等)メッセージと、重要でない(例えば、非高感度データ、非警告データ、非緊急データ、非優先データ等)メッセージへと分けることができる。重要又は時間依存性のメッセージは50000等、特定のポート番号に用いられうる。さらに、重要とみなされるIPアドレスもまた掲載することができる:例10.10.10.10、10.10.10.11。ここで、すべての他のメッセージがこのフィルタ構成と適合するわけではない。アプリケーションが行うことは、フィルタの仕様を低位層(NAS)に通知することである。NASは次いで、これらフィルタ及びアイドル・モードでのみ使用のポリシーをネットワーク(SGSN又はS−GW)に通知する。
ここで、例えばビデオの最後の5分を得ることが重大であると仮定する。この場合、サーバーは50000をポート番号として用い、例えばTCP接続を設定するよう試みる。IPパケットがS−GWに到達すると、UE10がアイドルである場合は、S−GWはパケットを重要であるとみなし、UEを呼び出す。したがって、重要なパケットは送信される。
ここで、例えばUEがアイドル・モードに戻ると仮定する。サーバーが非緊急のソフトウェア・アップブレードを行う必要がある場合は、50000以外のポートを用いる。IPパケットがS−GWに到達すると、S−GWは、IPパケットがアイドル・モードでのみの使用のために持つパケット・フィルタと適合しないとみなす。したがってS−GWは、パケットのコンテンツを保存することによって、パケットを廃棄することを決定する。ここで、サーバーのIPアドレス10.10.10.10及びポート番号(50002等)がS−GWによって保存される。UE10がコネクティッド・モードへと進むと次に、S−GWはこの情報(ソースIPアドレス:10.10.10.10及びポート番号:50002)をUEに送信する。UEアプリケーションは次いで、用いたポート番号に基づいて送信されたメッセージの種類を判定し、応答をすぐに送信するか、又は、UEアプリケーションは、一般的な問い合わせメッセージをサーバーへと送信してもよい。サーバーはここで、UE10との接続を持ち、ソフトウェア・アップブレードを継続する。したがって、このようにして、ネットワーク及びアプリケーションは必要なときにのみUEを起動し、UEの電力使用の最大化を助ける。
[第7の実施の形態]
<アップリンク・データの種類に基づくシグナリング・セットアップ>
図22は、本発明の別の実施形態におけるUE1810の装置を記載する。UE1810は、処理待ち中のアップリンク・データ又はシグナリングの存在を監視する責任を持つアップリンク情報チェッカ1811から成る。アップリンク・シグナリングが処理待ちであるときは、アップリンク情報チェッカ1811は接続マネージャー1813に通知する。アップリンク・データが処理待ちであるときは、アップリンク情報チェッカ1811はUE−QoSチェッカ1812に通知する。アップリンク・データとアップリンク・シグナリングの両方が処理待ちであるときは、アップリンク情報チェッカ1811はUE−QoSチェッカ1812に通知する。
UE−QoSチェッカ1812は、データのQoS特性を確認するモジュールである。データがIPである場合は、QoSはIPパケットの「サービス種類」フィールドを確認してもよい。高優先順位を検知するのに用いられうる他の情報は、IPv4のリモート/ローカルなアドレスの種類、IPv6のリモート/ローカルなアドレスの種類、プロトコル識別子/次ヘッダの種類、ローカル・ポート・レンジの種類、シングル・リモート・ポートの種類、リモート・ポート・レンジの種類、セキュリティ・パラメータ・インデックスの種類、サービスの種類/トラフィック・クラスの種類、及び、フロー・ラベルの種類である。UE中には、高優先順位のアップリンク・データが送信されるべきときに所定のパラメータの種類を用いることが、事前設定されうる。このようなパラメータがパケット中に用いられるときは、UE−QoSチェッカは高優先順位状況を検知してもよい。
あるいは、このアプリケーションは他の形態のQoS情報をUE−QoSチェッカ1812に提供してもよい。QoS情報が行う主な決定は、処理待ち中のアップリンク・データがリアルタイム要件を有するか否かについてである。QoS情報チェッカは、この情報を接続マネージャー1813に提供する。接続マネージャー1813は様々なタスクを持つ。まず最初に接続マネージャー1813には、あらゆる処理待ち中のアップリンク・データ又はシグナリングが通知される。
アップリンク・データが処理待ちである場合は、データがリアルタイムであるか否かについての情報が受信される。データがリアルタイムである場合は、接続マネージャー1813は、ネットワーク240内のネットワーク・ノード20へと送信されるべきステータス・メッセージを、リアルタイム指示を付けて準備する。データが非リアルタイムである場合は、接続マネージャー1813は、ネットワーク240内のネットワーク・ノード20へと送信されるべきステータス・メッセージを、非リアルタイム指示を付けて用意する。
提供する指示の種類を決定した後、接続マネージャー1813は、メッセージを適切なコード化されたフォーマットでアップリンク・メッセージ送信機1815に提供する。アップリンク・メッセージ送信機15は、アップリンク情報の論理トランスミッタである。
アップリンク・メッセージ送信機1815は実際には、無線リソース管理、並べ替え、暗号化、完全性保護、及び、物理的伝送をさらに実行しうるいくつかのモジュールによって実装されてもよい。ページング受信機1816は、ネットワーク240内のネットワーク・ノード20によって発行されたページングを受信するモジュールである。ページングを受信した後、ページング・メッセージは接続マネージャー1813に転送される。
3GPPでは、指示を異なる方法でコード化してもよい。例えば、コード化するための一つの方法は、リアルタイム要件がある場合には、UE1810は単に正規のサービス要求を送信する。リアルタイム要件がないときには、UEはベアラ・コンテキスト・ステータスによって拡張されたサービス要求を提供する。
これを行う別の方法は反対の場合である。リアルタイム要件に対しては、高優先順位の指示によって拡張されたサービス要求が提供されてもよい。高優先順位の指示の付いていない正規のサービス要求は、ネットワーク240内のネットワーク・ノード20によって、低優先順位として取り扱うことができる。当業者は多数の方法で上記方法を体系化しうるので、それゆえ、本発明は用いられるサービス要求の種類によって制約されない。
図23は、UE中で処理待ち中のアップリンク・データの好適な評価方法を示す図である。UE1810がアイドル・モードにある間は、ステップ1831に示すように、処理待ち中のアップリンク情報を絶えず確認する。処理待ち中のアップリンク情報がある場合は、ステップ1835に示すように、UE1810は当該情報がデータかもしくはシグナリングかを確認する。アップリンク情報がシグナリングのみである場合は、UE10はステップ1832に言及するように、シグナリング指示の付いたステータス・メッセージを送信する。「シグナリング」指示は多くの方法でコード化することができる。
一つの方法は、シグナリング接続が必要なことをネットワーク・ノード20に通知することを唯一の目的とする、シグナリング・サービス要求と呼ばれる新規のメッセージを指定することである。別の方法は、当該サービス要求はシグナリングを理由とすることを示す、例えば4又は8ビットから成るオプショナルな情報要素を、正規のサービス要求メッセージ中に指定することである。アップリンク情報がデータとシグナリングの両方を有する場合は、ステップ1833に示すように、UE1810はデータがリアルタイム要件を持つか否かを判断する。これは様々な方法で確認できる。
一つの可能な方法は、IPデータのTOSフィールドを確認することであり、その結果、既存のリソースをこの目的のために用いることができるので、メッセージ中には何ら追加的なフィールドが必要とされない。高優先順位を検知するのに用いられうる他の情報は、IPv4のリモート/ローカルなアドレスの種類、IPv6のリモート/ローカルなアドレスの種類、プロトコル識別子/次ヘッダの種類、ローカル・ポート・レンジの種類、シングル・リモート・ポートの種類、リモート ポート・レンジの種類、セキュリティ・パラメータ・インデックスの種類、サービスの種類/トラフィック・クラスの種類、及び、フロー・ラベルの種類である。UE中には、高優先順位のアップリンク・データが送信されるべきときに所定のパラメータの種類を用いることが、事前設定されうる。このようなパラメータがパケット中に用いられるときは、UE−QoSチェッカは高優先順位状況を検知してもよく、その結果、既存のリソースをこの目的のために用いることができるので、メッセージ中には何ら追加的なフィールドが必要とされない。
別の可能な方法は、当該アプリケーション・データが、リアルタイム要件があるか否かをUE−QoSチェッカ1812に対して明示的に指示することであり、その結果、アプリケーション・データからの指示が追加的な評価なく決定のために用いることができるので、UE−QoSチェッカ1812内での処理コストを低減することができる。別の可能な方法は、UE−QoSチェッカ1812が、パケットの、RTP又はSCTP又は他のストリーミング・アプリケーション等、アプリケーション・プロトコルの種類について検査することであり、その結果、アプリケーション・データ中には追加的なインタフェースもメッセージフィールドもいずれも要求されず、既存のアプリケーションをそのまま活用することができる。
これら確認後にリアルタイム要件がある場合は、ステップ1836に示されるようにUE1810は、リアルタイム指示の付いたステータス・メッセージを送信する。現在の既存のシステムにおけるこのメッセージへの予想される応答は、ネットワーク240内のネットワーク・ノード20が対応するベアラ・コンテキストに対するすべてのベアラをセットアップすることである。しかしながら、データに何らリアルタイム要件がない場合は、ステップ1837に示すようにUE1810は、非リアルタイム指示の付いたステータス・メッセージを送信する。オプション的には、リアルタイム要件がないときでも、UEはアップリンク・データ・ステータス・メッセージを送信しうる。
図24は、シグナリング接続のセットアップのためのUEのネットワークとの相互作用を示す図である。ステップ1838では、UE1810は、処理待ち中のアップリンク・データ、ならびに、データのQoSを検知する。この後に、UE1810はステップ1839に示すように、リアルタイムの必要性の指示の付いた関連のステータス更新メッセージを送信する。ステップ1840では、ネットワーク240内のネットワーク・ノード20は、少なくとも2つのこと:ネットワーク内で利用可能な現在のリソース、及び、UE1810によるリアルタイム又は緊急の通信の必要性を考慮に入れて要求を評価する。
図25は、ネットワーク240内のネットワーク・ノード20によるシグナリング接続セットアップの好適な方法を示す図である。最初に、ステップ1841に示すように、ネットワーク240内のネットワーク・ノード20は、ネットワークが当該要求のためのリソースを提供することができるか否かを評価する。ネットワーク240内のネットワーク・ノード20は、様々なネットワーク・モジュールのリソースを考慮してもよい。非限定的な例としては、3GPPにおいてMME又はSGSNは、MME、S−GW、P−GW、又は、APN(PDN)自体の中で利用可能なリソースを考慮してもよい。
MMEは、各サービス要求を受信した後、又は、リソースの負荷の定期的な更新を受信した後のいずれかに、問い合わせにより当該リソースを知りうる。ネットワーク240内のネットワーク・ノード20が、当該特定のステータス更新メッセージのために十分なリソースがあることを検知した場合は、ネットワーク240内のネットワーク・ノード20は正規として進める。すなわち、他のあらゆる要件(例えば、セキュリティ、加入者契約 (subscription)等)が満たされている場合は、ステップ1842に示すように、要求されたベアラが確立され、これは正規処理とみなされる。
ネットワーク240内のネットワーク・ノード20が、当該特定のステータス更新メッセージのために十分なリソースがないことを検知した場合は、ステップ1843に示すように、ネットワーク240内のネットワーク・ノード20は、UE1810からのメッセージが、リアルタイムもしくは緊急の要件を有する旨の指示を有するか否かを確認する。ここでは、ネットワーク240内のネットワーク・ノード20は、ステップ1844に示すように、リソース制限の種類及び事業者ポリシーといった要素に基づいて、いくつかの種類の決定を行ってもよい。
例えば、十分なGBRベアラを提供するにあたってリソース制限がある場合は、ネットワーク240内のネットワーク・ノード20は、おそらくはアップリンク・データ・ステータス・メッセージが存在すれば当該メッセージを用いて、要求されたベアラのサブセットのみを確立(例:非GBRベアラをセットアップ)してもよい。リソース制限が重いシグナリング負荷に起因し、かつ、UE1810がリアルタイム要件を指示しなかった場合は、ネットワーク240内のネットワーク・ノード20は、要求を拒絶し、おそらくは、任意の時間の後再試行するようUE1810に依頼(指示)してもよい。リソース制限が重いシグナリングに起因し、かつ、UE1810がリアルタイム要件を既に指示していた場合は、ネットワーク240内のネットワーク・ノード20は、要求を許容し、おそらくは、このような要求に対してより高い課金をしてもよい。
上記に記載の実施形態の詳細に用いられた各機能ブロックは、典型的には集積回路によって代表されるLSI(大規模集積回路)として実現することができる。これらは、1個のチップとして個別に生産されてもよく、又は一部又はすべてを含めて1個のチップとして設計されてもよい。ここでは、機能ブロックは、集積度に依存してIC、システムLSI、スーパーLSI、又はウルトラLSIとも呼ばれうるが、ここではLSIと称する。また、集積回路の技法は、LSIにのみ限定されるのではなく、専用回路又は汎用目的処理装置として実現されてもよい。LSIの製造の後にプログラミング可能なFPGA(フィールド・プログラム可能なゲート・アレイ)、又はLSI内部の回路セルの接続又は設定が再構成可能な処理装置が用いられてもよい。さらに、半導体技法又はそこから導き出された他の技法の進歩に伴い、LSIに置き換わる回路集積の技法が出現したときには、機能ブロックはそのような技法を用いて集積されてもよい。例えば、バイオ技術の適応はこれら可能性のうちの1つである。