JP5513852B2 - 犬の僧帽弁閉鎖不全症及び/又は三叉弁閉鎖不全の発症リスク低減方法 - Google Patents

犬の僧帽弁閉鎖不全症及び/又は三叉弁閉鎖不全の発症リスク低減方法 Download PDF

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本発明は、犬の疾病の発生リスク評価方法及びそれに基づく犬の疾病の発症リスク低減方法に関する。
近年、犬や猫等の小動物のペットにおいて、その食料事情が豊かになるにつれて肥満が問題となってきている。ペットへの愛着心が強い飼い主は、ペットが肥満にならないようにフードの給与量をコントロールし、ペットの健康の維持増進を図ることを心がけており、また動物病院に対しても、このような要望をする場合が多い。
このような背景のもと、ペットの健康管理を目的として、ペットに必要なペットフードの種類及びその分量等をペットの体重及びボディーコンディションスコアー(BCS)に応じて自動的に計算し、これに基づいて自動的に処方箋を作成するためのシステムが提案されている(特許文献1参照)。このシステムによれば、その処方箋に基づいてペットフードを給与することにより、ペットの体重を適切に管理することができるため、肥満を防止することができると同文献には記載されている。
特開2006−25605号公報
しかし、同文献に記載のシステムはペットの現体重とBCSのみに基づいてその処方箋を作成しており、この点で、ペットの適切な体重管理、ひいては健康管理のための技術として更に改善する余地がある。
本発明の目的は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る犬の疾病の発生リスク評価方法及び犬の疾病の発症リスク低減方法を提供することにある。
本発明は、犬の体脂肪率を測定し、体脂肪率が35%以上の場合と35%未満の場合に区分するステップと、測定される犬の年齢を5歳以上と5歳未満に区分するステップとを含み、犬の年齢が5歳以上で体脂肪率が35%以上の場合には僧帽弁閉鎖不全症及び/又は三叉弁閉鎖不全の発症リスクが高いと判断する、犬の疾病発生リスク評価方法を提供するものである。
また、本発明は、前記の疾病発生リスク評価方法によって発症リスクが高いと判断された未病の犬に対して、体脂肪率が35%未満となる処置を施す、犬の僧帽弁閉鎖不全症及び/又は三叉弁閉鎖不全の発症リスク低減方法を提供するものである。
本発明によれば、体脂肪率を測定するだけの簡単な操作と、食餌管理によって体脂肪率を特定の値未満となるようにすることで、犬の疾病の発症を未然に予防することに役立てることができる。したがって本発明は、犬の健康管理に大きく資する。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明は、特定の疾病の発症が顕在化していないものの、潜在的に罹患している可能性のある犬(以下、このような状態を「未病の犬」という。)や、該特定の疾病に罹患していない健康な犬に適用することができる。体脂肪率は体脂肪計を使用して測定する。現在、動物病院においては犬用の体脂肪計が普及しているので、本発明は、動物病院における犬の疾病発症リスクの評価に適用されることが好適である。もちろん、犬の飼い主が、自宅で犬の疾病発症リスクを評価するために本発明を適用してもよい。
体脂肪率は、重水希釈法が精度よく測定されることが知られているが、これに代えて例えば本出願人の先の出願に係る特開2007−195931号公報に記載の体脂肪計を用いると、同等の精度で、かつ簡便に体脂肪を測定できる。また、大和製衡(株)製の「ヘルスラボ(登録商標)犬用体脂肪計」を用いても同様に精度良く、簡便に体脂肪を測定できる。
本発明においては、上述した体脂肪率から、犬の疾病予防の指針を導き出す。具体的には、体脂肪率にしいき値を設け、対象となる犬の体脂肪率がそのしきい値以上である場合には、その犬が特定の疾病に罹患する可能性が高い状態であると判断する。一方、体脂肪率がしきい値未満である場合には、しきい値以上にならないように体脂肪をコントロールして、罹患するリスクを低下させることが重要となる。
ペットとして飼育されている犬にとって、僧帽弁閉鎖不全症や三叉弁閉鎖不全症あるいはその両方が起こる両房室弁閉鎖不全等の心臓弁膜症は大きな問題の一つである。本発明者が、これら疾患と犬の年齢との関係を調べたところ、意外にも両者が密接に関係することが判明した。以下の表1は、僧帽弁閉鎖不全症に罹患した犬と両房室弁閉鎖不全に罹患した犬を合わせた115頭の犬の年齢分布を動物病院に来院した犬全体との比較で示した。同表から明らかなように、僧帽弁閉鎖不全症および両房室弁閉鎖不全は、1歳以上4歳以下の犬では有病率が0.134%と、とても低いが、5歳以上6歳以下では、1歳以上4歳以下と比較して有病率比が3.1倍になり、7歳以上9歳以下では17.9倍、10歳以上12歳以下では23.7倍、13歳以上では51.8倍となった。この傾向は僧帽弁閉鎖不全及び両房室弁閉鎖不全において特異的に見られる傾向であった。疾病予防の観点から僧帽弁閉鎖不全及び両房室弁閉鎖不全は5歳以上の犬で注意することが必要で、特に7歳以上、さらには10歳以上、とりわけ13歳以上の犬に対して注意することが重要である。
Figure 0005513852
この調査とは別に、本発明者らは、僧帽弁閉鎖不全症や両房室弁閉鎖不全等に代表される心臓弁膜症と犬の体脂肪率との関係を調べた。その結果、意外にも両者が密接に関係することが判明した。以下の表2は、体脂肪率の値に応じて、僧帽弁閉鎖不全症及び/又は三叉弁閉鎖不全の発症リスクがどの程度あるかを本発明者らが検討した結果を示している。同表中、オッズ比とは、ある事象の起こりやすさを2つの群で比較して示す統計学的な尺度のことであり、本明細書においては、体脂肪率30%未満の群における発症のリスクを1とした場合に、体脂肪率30%以上の群において、どの程度の発症のリスクがあるかを相対的に示した指標である。また、p値はこの解析結果の有意性を示し、p<0.05の場合は統計学的に有意であると判断できる。
Figure 0005513852
なお、本調査は2007年4月から2009年8月までの間に東北〜鹿児島の22病院に来院した1歳以上の犬を対象としており、疾病の治療のため、あるいは予防接種など治療以外の目的のため来院した犬7631頭について、獣医師による診察と体脂肪率測定を実施した。体脂肪率の測定はヘルスラボ(登録商標)犬用体脂肪計を使用し、特開2007−195931号公報の試験例5記載の方法に準じて測定を行った。来院した犬の内訳は、健康な犬は3731頭、疾病をもつと診断された犬は3900頭であった。
疾病の発生に影響する他の因子として考えられる年齢、性別、犬種、不妊・去勢手術の有無を除外して解析するため、健康な犬と疾病をもった犬の中から、これらの因子をマッチさせた個体群を選択し、体脂肪率と疾病の関係について統計解析を行った。統計解析では、犬の肥満の度合いとして体脂肪率を用い、(1)体脂肪率30%未満、(2)30〜35%未満、(3)35%以上の3つのグループに分けて、(1)に対する(2)、(3)のオッズ比を求めて肥満と疾病リスクの関係を検討した。
表2から明らかなように、僧帽弁閉鎖不全症、両房室弁閉鎖不全は、体脂肪率35%未満の群に対して、体脂肪率が35%以上の群では発症のリスクがそれぞれ約2倍程度にもなる。この数値はすべて、統計学上有意な数値である。特に、僧帽弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症と両房室弁閉鎖不全症とを合わせたいわゆる心臓弁膜症の発症リスクではp値<0.05であり、統計学上有意であることが確認できた。したがって、犬の体脂肪率が35%以上であることは、僧帽弁閉鎖不全症及び/又は両房室弁閉鎖不全の発症の原因と位置づけることが可能である。そこで、本発明では、犬の体脂肪率を測定し、体脂肪率35%以上と35%未満とに区分するステップと、犬の年齢を5歳未満と5歳以上に区分するステップとを含み、5歳以上の犬で体脂肪率が35%以上である場合には僧帽弁閉鎖不全症及び/又は三叉弁閉鎖発症のリスクが高い、と評価するものである。なお、上述の2つのステップは順番を問わず行えるし、同時に行っても良い。
更に詳細に分析すると、上述の関係は、いわゆる適正体重が18kg以下の犬種、特に小型犬と中型犬、とりわけ小型犬で顕著に見られることがわかった。一般に犬はその大きさで小型犬、中型犬及び大型犬に分類することが可能である。本明細書においては、成犬における適正体重が、6kg未満の犬種を小型犬、6kg以上18kg未満の犬を中型犬、18kg以上を大型犬と分類する。小型犬の具体例としては、パピヨン;ミニチュアダックスフント;オーストラリアンテリア、ボストンテリア、ヨークシャーテリア等の小型テリア類;チワワ;シーズー;プードル;パグ;フレンチブルドック;狆等が、中型犬としては柴犬、スピッツ、ウエルシュコーギー、ビーグル、ボーダーコリー、ブルドッグ等が挙げられる。ちなみに、大型犬としてはゴールデンレトリバー、シェパード、シベリアンハスキー、秋田犬等が挙げられる。なお「適正体重」とは、当該犬の太りすぎでも、やせすぎでもない状態の体重のことで、体脂肪率で表すと、犬種や性別で若干異なるがおよそ20〜30%の範囲であるときの体重である。
本発明においては、体脂肪率のしきい値を35%に設定し、それ以上の体脂肪率を有する5歳以上の犬に対し、体脂肪率が35%未満となる処置を施すことで、僧帽弁閉鎖不全症及び/又は三叉弁閉鎖不全についての発症リスク低減(ひいては予防)を行う。体脂肪率35%をしきい値として発症リスク評価する方法が有効であることは表2から明らかであり、その発症予防に有効であると考えられる。
前記の処置としては、様々なものが考えられるが、獣医師が医院で行う処置に加え、犬の飼い主が自宅で行うことが可能な処置を考慮すると、食餌管理を行うことが好都合である。食餌管理のうち、(1)食餌中に脂質の代謝を制御する成分を含有させる方法、又は(2)特に給与カロリーを適切に管理することが効果的であることが、本発明者らの検討の結果判明した。
(1)の方法としては、適正給与カロリーの調整とは独立に、又はこれと併用して、ジアシルグリセライド(DAG)及び/又はハイアミロースでんぷんを含有する食餌を投与する、という処置方法が挙げられる。DAGは体に中性脂肪がつくことを抑制する効果があることが知られており、体重や体脂肪率の抑制効果に有効と考えられる。また、ハイアミロースでんぷんは食後の血中インスリンの急激な上昇を抑制することによって中性脂肪が体につきにくくする効果があることが知られており、体脂肪率の低下や上昇抑制に効果的であると考えられる。本方法を採用した場合には、給与カロリーを従来与えていた食餌と同等に設定しながらも中性脂肪が体につきにくくすることが可能なので、食餌の変化や減量によって犬がストレスを感じることを避けることが可能となる。特に、処置の初期段階において所望の体脂肪率低下が見られない場合に、その後極端にカロリーを減らすような処置を施すことは犬にとって後述の問題を引き起こす危険があることから、DAG及び/又はハイアミロースでんぷんを含有する食餌を投与することにより体脂肪率の調整を行うことは好ましい。
DAGとしては、構成脂肪酸中に炭素数14〜22の飽和又は不飽和脂肪酸を含有する油脂(例えば、ナタネ油等)中に含まれるDAGを用いるか、公知の酵素を用いた合成法によって得られたものを使用することができる。DAGは、これを食餌中の油脂中に1〜90質量%、特に3〜80%、更には5〜60%程度の範囲で含有させることが、体脂肪率抑制効果及び毛艶を良好に保つ点から好ましい。
ハイアミロースでんぷんは、一般的にアミロース含量が40〜90質量%であるでんぷんであり、特に、ハイアミロースコーンスターチ、六条皮麦のGlacier AC38、su2トウモロコシ等が挙げられる。市販品としては、ハイアミロースコーンスターチアミロメイズV(アミロース含量が50〜60質量%)、アミロメイズVI(アミロース含量が60〜70質量%)、アミロメイズVII(アミロース含量が70〜80%)(以上、日本食品加工社製)、ファイボーズ(同約70質量%、日澱化学社製)等が挙げられる。ハイアミロースでんぷんは食餌中の炭水化物中に、3質量%以上、特に3〜30質量%、更に3〜20質量%含有されるのが、経済性、肥満防止効果、摂取性及び便の状態の観点から好ましい。
また(2)の方法としては、従来の食餌量を減らす方法が最も簡便であるが、より好ましい方法として、適正給与カロリーを算出し、それに基づいて食餌の量や内容を計画する方法が好ましい。この場合適正給与カロリーは、以下の式(1)に従い算出することが好ましい。この式(1)は「小動物の臨床栄養学第4版」(学窓社、本好茂一監修)の36頁の記載に基づき代謝体重を体脂肪率20%と仮定して決定されたものである。
Figure 0005513852
前記の式(1)において、カロリー係数の値に幅がある理由は、給与する食餌の構成成分によって吸収効率が異なるからであり、また、飼育状況によってカロリー係数が異なるからである。日本の室内飼育犬において通常食を給与する場合は、カロリー係数としては、80〜120の範囲から選ばれる値を用いることが好ましく、110を用いることがより好ましい。
適正給与カロリーの算出にあたっては、体重及び体脂肪率に加え、年齢を考慮することが好ましい。この場合、測定された体重BW(kg)、体脂肪率BF(%)、及び年齢係数AGから下記の式(2)に従い1日の適正給与カロリーFC’(kcal)を算出する。この式(2)は式(1)に年齢係数を乗じたものであり、年齢とともに減少することを考慮したものである。係数の値としては1.0〜0.9の範囲から選択される。例えば1歳から5歳までを基本として、6歳から9歳までは5%減、10歳以上を10%減とすることができる。年齢により給与カロリーが減少することは「小動物の臨床栄養学第4版」(学窓社、本好茂一監修)の38頁に記載されているが、その減少の割合に関しては、同書の知見及び本発明者らの調査結果によって定めたものである。
Figure 0005513852
以上の手順によって得られる適正給与カロリーの値を指針とすることにより、その犬の体脂肪率を適切に管理することができる。体脂肪率の管理の具体的な手順としては、まず算出された適正給与カロリーの値に基づいてペットフードの量を決定し、それをその犬に対して1日に給与するペットフードの量とする。飼い主には決められたペットフードの量を毎回正しく量って与えるように指導することが非常に大切となる。また、トータルの摂取カロリーはおやつやトッピングのカロリーも含むため、そのような物を与えた場合は、ペットフードの量を減らす等の指導も大切である。
体脂肪率の管理を開始してから一定期間は、上述した第1の適正給与カロリーにしたがった食餌給与により処置(第1の処置)を行う。当該一定期間経過後(1〜2ヶ月程度)に体脂肪率を測定し、35%未満となっていれば、それまでと同じ内容の体脂肪率管理を行ってよい。一方、35%以上である場合には、第1処置期間の体脂肪率が所望の速度で低下していれば、それまでと同じ内容の体脂肪管理を継続する。所望の速度とは体重減少量が0.2〜1.5%/週である。体重が増加していたり、減少の割合が小さい場合は、先に算出した適正給与カロリーよりも少ない第2の適正給与カロリーに従って、犬に与える食餌を調整する(第2の処置)。第2の適正給与カロリーは、式(1)のカロリー係数Aを調整して算出する。具体的には、カロリー係数A’として、A’=0.80A〜0.99Aを選定することが好ましい。前述した(1)の方法を併用する場合には、カロリー係数A’を第1の処置時より極端に小さくする必要がないので、犬の精神状態を考えるとより好ましいと言える。また、まれに減少の割合が所望の速度よりも大きい場合が発生するが、その場合は適宜カロリーを増やして所望の速度で減少するように調整する。例えばA”=1.1Aのように調整する。本実施形態のように、体脂肪率の減少速度で処置方法を見直すのが好ましい理由は以下の通りである。しきい値に到達するまでの期間設定は、体脂肪管理を開始した時の体脂肪率によって異なる。開始した時の体脂肪率が高ければそれだけかかる期間は長くなる。給与カロリーを大幅に減らすことで期間を短くすることも可能であるが、少なすぎるカロリーは個体の空腹によるストレス反応を起こすだけではなく、個体の筋肉量を減らすことにつながり、基礎代謝を下げ、痩せ難い体となってしまうばかりか、関節を支える力が弱くなり、跛行をはじめとする運動機能障害を併発・増悪させる危険性が高まることとなり好ましくない。なお、体脂肪率が依然として35%以上である場合には、飼い主に給与カロリーがしっかり守られているか確認する必要もある。
以上の手順を繰り返して、犬の体脂肪率が35%未満となるまで体脂肪率の管理を行う。体脂肪率が首尾良く35%未満となった場合には、それまでと同じ内容の体脂肪管理を継続し、35%未満の体脂肪率を維持するようにする。
上述の体脂肪率の管理においては、犬に給与する食餌が脂質を含有するものであることが好ましい。この場合、食餌に含有される脂質中の量を調整することで、上述した第1又は第2の適正給与カロリーを調整することが有利である。加えて、脂質中のDAG量を調整することが好ましい。また、DAGの代わりに、又はDAGと併用して第1又は第2の適正給与カロリー調整時にハイアミロースでんぷんを含有させた食餌を用いることが好ましい。DAGとハイアミロースでんぷんを併用することにより、食事量を減らさずとも体脂肪率低下や上昇抑制が容易になるので好ましい。
以上の実施形態は、犬全般を対象としたものであるが、対象とする犬の群を細分化することで、更に精度の高い判断及び処置を行うことが可能である。例えば、その犬の性別(去勢・不妊を含む)や、犬種に基づいて補正された体脂肪率の値を採用し、その値に基づき上述の判断を行うことができる。具体的には、犬の性別を例にとると、未去勢オス、去勢オス、未不妊メス及び不妊メスについて群を分けて、それぞれの群について体脂肪率を補正することができる。
また、上述の実施形態は、体脂肪率が35%以上となり、既に疾患発症リスクが高いと評価される犬についてのリスク低減方法について説明していたが、体脂肪率が35%未満の犬についても、体脂肪率が35%以上となることを抑制するために、同様の処置を行うことによって、疾患発症リスクを低減することができる。
以上の実施形態では、適正給与カロリーの値の算出は、場合によっては人間の手によって実行されるものであるところ、適正給与カロリーの値の算出を、コンピュータの使用により効率的かつ高精度に実行することもできる。例えば、一台のコンピュータ及びそれに接続された入力装置、記憶装置及び出力装置(プリンタ等も含む)を用いて運用されるシステムを用い、該コンピュータにインストールされたプログラムを実行することで、適正給与カロリーの値の算出を容易に行うことができる。
そのようなシステムは、コンピュータ、プリンタ、出力画面として表示すべき各データを記憶した記憶装置、モニタ、キーボード及びマウス等の入力手段を備えた入出力装置から構成される。本システムはコンピュータのモニタに入力画面を表示させ、キーボード等の操作により当該入力画面上に入力された体脂肪率及び体重のデータを受け取り、当該データに基づいて演算を行い、その結果を出力画面としてモニタ上に表示させるものである。
以上のシステムを用いた実施形態では、犬の適正給与カロリーの値がコンピュータシステムの演算プロセスにより自動的に実行される。よって、これらを人間の手作業により実行するよりも効率的であり、かつ演算結果が高精度である。
以上のシステムは、代表的には一台のコンピュータ及びそれに接続された各種装置から構成されるコンピュータシステムであったが、これに代えて、獣医師や犬の飼い主等の使用者の端末装置と管理用のサーバーコンピュータの間でのネットワーク通信を介したネットワークシステムによって、適正給与カロリーの算出を行うこともできる。このようなシステムによれば、先に述べた第1及び第2の実施形態の内容が、システム利用者の地理的な制約に依存せずに実現される。
それぞれ、市販のペットフードにトッピングを施した食餌とおやつを与えられていた以下の試験例1〜3の犬に対して、与えられていたドッグフード、おやつ及びトッピングを含めたすべてのカロリーの聞き取りを飼い主に対して行い、試験で与えるカロリーを調整した。既に与えられていたカロリーと体重と体脂肪率を式(1)に当てはめることによって逆算し、計算したカロリー係数が64−130の間であれば、そのまま与えられていたカロリーで試験を行った。ペットフードを、これと同じカロリーの試験食に替え、今まで与えていたおやつはそのままで、8週間食餌管理を継続させた。食餌管理前後の体脂肪率を測定し、その改善の程度を調べた。なお、試験食は、ヘルスラボ(登録商標)特別療法食(花王株式会社製;ハイアミロースコーンスターチ及びDAGを含有)を用い、栄養分析値として、粗たんぱく質24.9質量%、粗脂肪10.3質量%、粗繊維3.5質量%、粗灰分6.9質量%、水分8.0質量%、代謝エネルギー335kcal/100gであった。なお、本実験例における体脂肪率測定は、以下の重水希釈法により行った。
〔体脂肪率の測定方法〕
絶食12時間の犬に対して採血と体重測定を行った。そのときの重水濃度をCpre、体重をWpreとする。その後、試験に供される犬の体重に0.2を乗じた量の重水を注入し、2時間経過後、採血と体重測定を行った。そのときの重水濃度をCpre、体重をWpostとする。得られた数値を以下の式に挿入することによって体脂肪率を算出した。
Figure 0005513852
〔試験例1〕
4歳、オスのチワワ(体重4.55kg、体脂肪率39.3%、A=96)に対して、205kcal/食餌となる量の試験食を与えた。試験前は体脂肪率39.3%であったのが、8週間後は33.4%になった。
〔試験例2〕
3歳、メスのミニチュアダックスフント(体重6.45kg、体脂肪率32.8%、A=103)に対して、308kcal/食餌となる量の試験食を与えた。試験前は体脂肪率32.8%であったのが、8週間後には30.0%となった。
〔試験例3〕
2歳、メスのヨークシャーテリア(体重3.65kg、体脂肪率28.3%、A=78)に対して、160kcal/食餌となる量の試験食を与えた。試験前の体脂肪率は28.3%であったのが、8週間後には24.1%となった。
〔試験例4〕
9歳オスの雑種(体重9.55kg、体脂肪率33.7%、A=125)に対して、497kcal/食餌となる量の試験食を与えた。試験前の体脂肪率は33.7%であったのが、8週間後には31.4%となった。
いずれの犬についても、8週間の食餌管理によって体脂肪率の減少が見られた。4匹の犬いずれも特定疾患は発病していなかったものの、体脂肪率が35%未満に減少又は維持されることにより、前述した特定疾患への罹患リスクが低減したといえる。

Claims (4)

  1. 犬の体脂肪率を測定し、体脂肪率が35%以上の場合と35%未満の場合に区分するステップと、測定される犬の年齢を5歳以上と5歳未満に区分するステップとを含み、犬の年齢が5歳以上で体脂肪率が35%以上の場合には僧帽弁閉鎖不全症及び/又は三叉弁閉鎖不全の発症リスクが高いと判断し、
    発症リスクが高いと判断された未病の犬に対して、体脂肪率が35%未満となる処置を施すか、又は発症リスクが低いと判断された体脂肪率が35%未満である5歳以上の犬に対して、体脂肪率を35%未満に維持する処置を施し、
    前記処置が食餌のカロリー量を制御することを含む食餌管理であり、
    前記食餌管理が、対象となる犬の体重と体脂肪率を以下の式(1)に代入することにより算出された第1の適正給与カロリーに従って食餌を与える第1の処置を行い、
    一定期間経過後に体脂肪率を測定し、体脂肪率が35%以上である場合には、第1の処置期間での体脂肪率の減少速度が一定範囲より小さいとき、式(1)のカロリー係数Aを調整して算出された、第1の適正給与カロリーよりも少ない第2の適正給与カロリーに従って、与える食餌を調整することを含む、犬の僧帽弁閉鎖不全症及び/又は三叉弁閉鎖不全の発症リスク低減方法。
    Figure 0005513852
  2. 第2の適正給与カロリーの算出は、式(1)において、カロリー係数A’として0.80A〜0.99Aを選定して行う請求項1に記載の犬の僧帽弁閉鎖不全症及び/又は三叉弁閉鎖不全の発症リスク低減方法。
  3. 一定期間経過後に体脂肪率を測定し、体脂肪率が35%以上である場合には、第1の処置期間の体脂肪率の減少速度が0.2〜1.5%/週であれば、第1の処置期間と同じ内容の体脂肪管理を継続する請求項1に記載の犬の僧帽弁閉鎖不全症及び/又は三叉弁閉鎖不全の発症リスク低減方法。
  4. 一定期間経過後に体脂肪率を測定し、体脂肪率が35%未満である場合には、第1の処置期間と同じ内容の体脂肪管理を継続する請求項1に記載の犬の僧帽弁閉鎖不全症及び/又は三叉弁閉鎖不全の発症リスク低減方法。
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