JP5509093B2 - 形状記憶材料の相変態特性分析方法 - Google Patents

形状記憶材料の相変態特性分析方法 Download PDF

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Description

本発明は広義には材料の特性を分析する方法に関するものであり、特別には形状記憶材料の相変態の特性を分析する方法に関するものである。
多くの医療用具は、人体内で様々な機能を行うように工学的に加工された高分子化合物及び金属などの材料に頼っている。医療用具の設計及び開発においては、製造中及び使用中における材料の応答性の正確な予測ができるように、構成材料の特性と性質を予め把握しておくことが重要である。この場合、材質の把握には、例えば温度制御など、材料の応答性が高い信頼性で予測及び再現できることを保証するのに必要な特別なプロセス制御を見極めることが決定的となることがある。
一般的に、工学的に加工された材料の特性を分析する場合には様々な試験技術が採用されている。例えば、示差走査熱量測定(DSC)、動的粘弾性分析(DMA)、引張試験及びその他の幾つかの方法が相変態温度や機械的特性を含む様々な材料特性の測定に利用可能である。
相変態温度の測定は、高分子化合物及び金属に対する材料特性分析の面で重要である。DSCは、高分子化合物に対する融解温度やガラス転移温度の測定と金属に対する相変態温度の測定に用いられる工業規格試験法の一つである。特に、NiTi形状記憶合金における相変態の特定に広く用いられている手法はASTM規格F2004-05「熱分析によるNiTi合金変態温度の標準試験方法」(ASTM Standard F 2004 - 05, "Standard Test Method for
Transformation Temperature of Nickel-Titanium Alloys by Thermal Analysis")によるものが一般的であり、その全文を参考文献として本明細書に編入する。
NiTi形状記憶材料は、低温相(マルテンサイト)と高温相(オーステナイト)との間で可逆的に変態する。順相変態と逆相変態は応力の付与と除去(超弾性効果)及び/又は温度の変化(形状記憶効果)によって生起させることができる。オーステナイトは特徴的に強靱な相であり、マルテンサイトは復元可能な約8%の歪までは変形可能である。マルテンサイト相で合金に加えられた変形歪みはオーステナイトへの逆相変態の完了で回復可能であり、材料を元の形状に復元させることができる。
幾つかのNiTi形状記憶合金は、単斜晶系(B12)のマルテンサイト相と立方晶系(B2)のオーステナイト相に加えて菱面体相(R相)への変態を伴う二段階の変態を生じる。二段階形状記憶材料のR相への変態(R相変態)は、冷却時のマルテンサイト変態に先行して生起し、また加熱時のオーステナイト変態に先行して生起する。
当業者に広く理解されているように、マルテンサイト開始温度(Ms)とは冷却時にマルテンサイトへの相変態が開始される温度を言い、またマルテンサイト終了温度(Mf)とはマルテンサイトへの相変態が終了する温度を言う。同様に、オーステナイト開始温度(As)とは加熱時にオーステナイトへの相変態が開始される温度を言い、またオーステナイト終了温度(Af)とはオーステナイトへの相変態が終了する温度を言う。R相開始温度(Rs)とは二段階形状記憶材料に対して冷却時にR相への相変態が開始される温度を言い、またR相終了温度(Rf)とは冷却時にR相への相変態が終了する温度を言う。最後に、R'相開始温度(R's)とは二段階形状記憶材料に対して加熱時にR相への相変態が開始される温度を言い、またR'相終了温度(R'f)とは加熱時にR相への相変態が終了する温度を言う。
DSC試験法では、試験材料と基準物質で構成される試料を或る定められた環境内において各相変態の温度範囲に亘り或る定められた昇降温速度で加熱・冷却し、エネルギー変化による試験材料と基準物質との間の熱流差を連続的に観測・記録する。試料中の相変態によるエネルギーの吸収は加熱時の昇温特性カーブ中の吸熱的な谷となり、試料中の相変態によるエネルギーの放出は冷却時の降温特性カーブ中の発熱的なピーク(山)となる。相変態温度(例えばMs、Mf、Rs、Rfなど)は、DSC試験データから各変態の開始点と終了点を分析することにより得ることができる。
ASTMM規格F2005-05「NiTi形状記憶合金標準述語集」(ASTM Standard F 2005 - 05, "Standard Terminology for Nickel- Titanium Shape Memory Alloys")には、一段階又は二段階変態を示す形状記憶合金のDSC測定グラフが幾つか例示されている。これらのDSC測定グラフの複製を本願の図1及び図2として示す。一段階の相変態を示す形状記憶合金は、温度変化に応じてオーステナイトとマルテンサイトの間で一回の変態を示す。この形状記憶合金は、冷却中にオーステナイトからマルテンサイトへ変態し、加熱中にはマルテンサイトからオーステナイトへ変態する。従って、図1のDSC測定グラフには、それぞれの変態に応じて冷却中の一回のピークと加熱中の一回の谷が現れている。
二段階の変態を示す形状記憶合金は、温度変化に応じてオーステナイトとマルテンサイト及びR相の結晶構造における二段階の変態を示す。図2に示すように、この形状記憶合金は、冷却中にオーステナイトからR相へ変態(一回目のピーク)した後にR相からマルテンサイトへ変態(二回目のピーク)し、加熱中にはマルテンサイトからR相へ変態(一回目の谷)した後にR相からオーステナイトへ変態する。
実際面及び幾つかの化学文献では、数種類のNiTi形状記憶合金のDSC試験結果が図3に示すように冷却中には二回のピーク310及び320を示すが加熱中には一回の谷330しか示さないことが知られている。一部の研究者の間では、この冷却中に観測される二回のピークはオーステナイトからR相へ、そしてR相からマルテンサイトへの二段階の変態に対応し、これに対して加熱中に観測される一回のみの谷はマルテンサイトからオーステナイトへの一段階の相変態に対応するものであると認められている。即ち、これらの研究者の間では、NiTi形状記憶合金は冷却中にR相へと順変態を示すが、加熱中にR相への逆変態を示すことはないと考えられている。別の研究者の間では、加熱中に実際には二段階の逆変態が起きているがDSC測定データには単一の谷しか出現しないと考えられている。しかしながら、この谷の重なりの性質とASTM規格F2004-05に定められている試験プロトコルの欠点により、現在のDSC試験法を用いて二段階の逆変態を完全に識別することは不可能である。従って、相変態温度のうち、特にR'fとAsが評価できるに過ぎない。
ASTM規格F2004-05「熱分析によるNiTi合金変態温度の標準試験方法」(ASTM Standard F 2004 - 05, "Standard Test Method for Transformation Temperature of Nickel-Titanium Alloys by Thermal Analysis") ASTM規格F2005-05「NiTi形状記憶合金標準述語集」(ASTM Standard F 2005 - 05, "Standard Terminology for Nickel- Titanium Shape Memory Alloys")
形状記憶合金に生じる相変態を理解することは、これら合金の医療その他の用途向けの応用に極めて重要であり、従って、これら形状記憶材料の相変態を分析し、その相変態温度を特定する一層優れた方法が求められている。
本発明で述べているのは、形状記憶材料における相変態の特性を分析する改良された方法である。この方法は、R相変態を含む形状記憶合金に対して特に有益である。この方法によれば、示差走査熱量測定(DSC)やその他のデータ測定曲線における変曲部の重なりを個々の相変態を表す複数の下位の変曲部に分解(逆たたみ込み)することが可能となる。従って、本発明の方法によれば、R相変態を含む形状記憶合金に対してAs及びR'fのような相変態温度を明確に特定することが可能である。
本発明の一実施形態による方法では、形状記憶材料からなる試料から加熱及び冷却中の測定データを記録する。試料の温度は第1の温度方向へ第1温度まで変化され、この第1温度は記録される測定データ中に第1変曲部と第2変曲部が識別されるに充分な温度である。第1変曲部は第1の温度範囲に亘って生じ、第2変曲部は第2の温度範囲に亘って生じる。また試料の温度は第2の温度方向へ第2温度まで変化され、この第2温度は記録される測定データ中に第3変曲部が識別されるに充分な温度である。第3変曲部は第3の温度範囲に亘って生じ、重なり合った一次及び二次の下位変曲部によって形成される。更に試料の温度は第1の温度方向へ第3温度まで変化され、この第3温度は記録される測定データ中に第1変曲部が識別されるには充分で且つ第2変曲部が識別されるには不充分な温度である。その後、試料の温度は第2の温度方向へ第4温度まで変化され、この第4温度は記録される測定データ中に前記二次下位変曲部が識別されるに充分な温度である。
本発明の別の実施形態による方法では、形状記憶合金からなる試料から加熱及び冷却中の測定データを記録し、この場合の試料はR相変態を伴う。この試料は、記録される測定データ中に第1変曲部と第2変曲部が識別されるに充分な第1温度まで冷却される。第1変曲部は第1の温度範囲に亘って生じ、これはオーステナイト相からR相への相変態に対応する。第2変曲部は第2の温度範囲に亘って生じ、これはR相からマルテンサイト相への相変態に対応する。また試料は記録される測定データ中に第3変曲部が識別されるに充分な第2温度まで加熱され、この場合、第3変曲部は第3の温度範囲に亘って生じ、これは、それぞれマルテンサイト相からR相への相変態及びR相からオーステナイト相への相変態に対応する互いに重なり合った一次及び二次の下位変曲部によって形成される。更に試料は測定データ中に第1変曲部が識別されるには充分で且つ第2変曲部が識別されるには不充分な第3温度まで冷却され、それによって試料の形状記憶合金が実質的に全てR相組織をもつことになる。その後、試料は記録される測定データ中に前記二次下位変曲部が識別されるに充分な第4温度まで加熱され、この二次下位変曲部はR相からオーステナイト相への相変態に対応する。
本発明の更に別の実施形態による方法では、加熱及び冷却中の形状記憶合金を含む試料からの測定データを記録し、この場合の試料はR相変態を伴う。この方法では、記録される測定データ中に第1変曲部のみが識別されるに充分な第1温度まで試料を冷却する。この第1変曲部は第1の温度範囲に亘って生じ、オーステナイト相からR相への相変態に対応する。また試料は記録される測定データ中に第2変曲部が識別されるに充分な第2温度まで加熱され、この場合、第2変曲部は第2の温度範囲に亘って生じ、R相からオーステナイト相への相変態に対応する。この第2変曲部から、形状記憶合金のオーステナイト開始温度及びオーステナイト終了温度の少なくとも一方が特定される。
一段階の変態を示す第1の典型的形状記憶合金のDSC測定線図である。 二段階の変態を示す第2の典型的形状記憶合金のDSC測定線図である。 二段階の変態を示す第3の典型的形状記憶合金のDSC測定線図である。 第3の典型的形状記憶合金について本発明の第1実施形態による二重ループ試験で得られたDSC測定線図である。 第3の典型的形状記憶合金について本発明の第2実施形態による二重ループ試験で得られたDSC測定線図である。 二重ループ試験の第1実施形態の各工程ステップを示す流れ図である。 二重ループ試験の第2実施形態の各工程ステップを示す流れ図である。 この明細書に述べた試験及び計算プロトコルに従って第1の下位の谷と第2の下位の谷とに分解(逆たたみ込み)された谷の重なりを示す線図である。
図3は、R相変態を含むニッケル−チタン合金試料に対して行われた従来の(一段階)試験で得られたDSC測定データを示している。既に論じたように、データ中には冷却中の二つのピーク(山)310と320が得られているが、加熱中の谷330は一つしか得られていない。既に注目したように、これらのピークは冷却中に得られるDSC測定データに形成され、これは、それぞれで生じる相変態が発熱性であるからである。換言すれば、形状記憶合金が或る相から別の相へ変態する際に熱が放出される。これに対し、吸熱性の谷又は下位の谷は加熱中にDSC測定データ中に形成され、これは、形状記憶合金が相変態を起こす際に試料によって熱が吸収されるからである。
図4と図5は、図3のデータを生じた同じ試料に対する二重ループ試験で得られたDSC測定データを示している。例えば図4のDSC測定データには冷却中に二つのピーク420、430が得られており、また加熱中には一つの谷450と一つの下位の谷480が得られている。この下位の谷480は、二重ループ試験からのデータを使用してコンピュータにより識別可能となるような或る一つの付加的な下位の谷と重なっている。谷450は、図8に示すように下位の谷475と480との重なりによって形成されており、従ってこれを「重なった谷」と称する。また、コンピュータで識別される下位の谷475は第1の下位の谷475と称し、試験で識別される下位の谷480は第2の下位の谷480と称する。(この呼び名は、それぞれの下位の谷475と480に対応する相変態が加熱中に生じる順番による。)
ここに述べている本発明の二つの実施形態による二重ループDSC試験法を採用することにより、一段階のDSCループ試験で得られる重なった谷450から、R相からオーステナイト相への相変態に対応する第2の下位の谷480を分離することが可能である。更に、これらのDSC測定データを用いて、上記重なった谷450から、マルテンサイト相からR相への相変態に対応する第1の下位の谷475を特定することが可能である。従って二重ループ試験をコンピュータ解析と組み合わせることにより、重なった谷450をその成分である第1の下位の谷475と第2の下位の谷480に明確に分解することが可能である。このようにして、R相変態を示す形状記憶合金の相変態を適正に分析することができ、相変態温度(例えば、R's、R'f、As及びAf)を正確に特定することができる。
・二重ループ試験
・第1試験例
図6は、二重ループ試験法の第1実施形態の各工程ステップを示す流れ図である。この流れ図を参照すると、先ずステップ610では、R相変態を示す形状記憶合金からなる試料が加熱及び冷却中の測定データを記録するように構成された装置内にセットされる。この装置は示差走査型熱量計であり、記録される測定データは温度の関数としての熱流束である。試料は、ステップ620で、測定データ中に第1変曲部及び第2変曲部が識別されるに充分な第1温度まで冷却される。この第1変曲部は第1の温度範囲に亘って生じ、これはオーステナイト相からR相への相変態に対応する。また、第2変曲部は第2の温度範囲に亘って生じ、これはR相からマルテンサイト相への相変態に対応する。次いで、試料は、ステップ630で、測定データ中に第3変曲部が識別されるに充分な第2温度まで加熱される。この場合、好ましくは第2温度で試料が実質的に全てオーステナイト相となるようにする。第3変曲部は第3の温度範囲に亘って生じ、これは、それぞれマルテンサイト相からR相への相変態及びR相からオーステナイト相への相変態に対応する互いに重なり合った一次及び二次の各下位変曲部によって形成される。以上の第1温度への冷却と第2温度への加熱が本DSC試験の第1ループを構成する。その後、試料は、ステップ640で、第1変曲部と第2変曲部との間の第3温度まで冷却され、それによって試料の形状記憶合金が実質的に全てR相組織とされる。更に、試料は、ステップ650で、測定データ中にR相からオーステナイト相への相変態に対応する前記二次下位変曲部が識別されるに充分な第4温度まで加熱される。以上の第3温度への冷却と第4温度への加熱が本DSC試験の第2ループを構成する。測定データは本DSC試験の全ステップに亘って全て記録される。
測定データ中の各変曲部及び下位変曲部は、一般的に測定データのベースラインからの本質的な離間として特定可能である。例えば、各変曲部及び下位変曲部は測定データ中のノイズから充分に識別できるほど顕著である。ここで論じている例えば図1〜図5に示したようなDSC試験データの場合、測定データに現れる各変曲部は種々の温度範囲に亘って生じるピーク(山)と谷(又は下位の谷)である。形状記憶合金から温度の関数として得られる他のタイプのデータ、例えば電気抵抗の測定データ等においては、測定データ中の変曲部はベースラインに対する緩い曲がりや傾斜状変化の形態となる。
図4及び図6を参照して二重ループ試験の第1実施形態を詳述すると、先ずステップ610で、R相変態を示すNiTi形状記憶合金の試料が例えばティー・エイ・インスツルメント社のDSCモデルQ10(商品名)などの示差走査型熱量計にセットされる。試料及び測定装置の準備は、試験に先立って試料を800〜850℃で焼鈍しないほうがよいという点以外はほぼASTM規格F2004-05に従って行われる。即ち、焼鈍は、事前の熱機械処理中に試料に付与される微細組織上の特徴変化や損傷を回避するために実行しないのが通常である。
二重ループ試験の第1ループを開始する前に、試料の少なくとも一部が確実にオーステナイト化されるように予熱ステップ615を実行してもよい。形状記憶合金試料は、オーステナイトからの相変態の全てが確実に特定されるように冷却ステップ620の前に完全にオーステナイト化されることが好ましい。室温よりも低いAf値を有する試料は、室温で完全にオーステナイト組織である。これ以外の場合では、形状記憶合金がオーステナイト組織をもつ或る予熱温度まで試料を加熱しておく必要がある。適正な予熱温度は、予熱ステップ中に温度の関数としての熱流束を示す測定データを実地記録することにより定めることが可能である。加熱前の試料が完全にオーステナイト化していない場合、試料の少なくとも一部がオーステナイト層へ変態したことを示す吸熱性の谷が測定データ中に形成される。幾つかの試料については試験前に少なくとも大凡のAf値が既知である場合がある。従って予備加熱温度は、予備加熱中に上記吸熱性の谷が完全に形成される温度よりも高温に、或いは上記既知のAf値よりも高温に選ぶ必要がある。例えば、予備加熱温度は、ASTM規格2004-05に準拠してAf値よりも少なくとも30℃高温となるように選ぶことができる。別の例として、予備加熱温度は、予備加熱中に吸熱性の谷が完全に形成される温度よりも少なくとも30℃高温、或いは10℃高温の温度としてもよい。別の実施形態によれば、予備加熱温度は少なくとも約40℃、又は少なくとも約50℃、或いは少なくとも約60℃とすることができる。これ以外の予備加熱温度も可能である。
予熱温度を試料がその温度に平衡するに充分な時間に亘って維持することも好ましいことである。例えば、例えば、試料を予備加熱温度まで加熱し、約30秒〜約90秒の時間に亘ってその温度に維持することができる。好ましくは、試料は約60秒に亘って予備加熱温度に維持される。これ以外の温度維持時間を採用してもよい。
上述のようにステップ615で試料を選択的に予備加熱した後、試料はステップ620で測定データ中に第1ピーク420と第2ピーク430が特定されるに充分な第1温度410まで冷却される。先に指摘したように、第1ピーク420はオーステナイトからR相への試料の相変態に対応し、これは第1の温度範囲に亘って生じる。また第2ピーク430はR相からマルテンサイトへの相変態に対応し、第1の温度範囲よりも低温側の第2の温度範囲に亘って生じる。図4を参照して、第1の温度範囲の低温側境界温度420aと高温側境界温度420bからそれぞれ相変態のR相終了温度RfとR相開始温度Rsが得られ、第2の温度範囲の低温側境界温度430aと高温側境界温度430bからそれぞれほぼマルテンサイト終了温度Mfとマルテンサイト開始温度Msが得られる。(接線解析技法を用いたこれら相変態温度の正式な識別については後述する。)ここで、第1温度410への冷却はASTM規格2004-05に述べられているものに準拠した冷却速度で実行することが好ましい。例えば、試料は約10℃/minの冷却速度で第1温度410まで冷却することができる。
第1温度410は、ASTM規格2004-05に準拠して約−30℃とすることができる。別の実施形態によれば、第1温度410は第2ピーク430の第2の温度範囲の低温側境界温度430aよりも低温の温度、例えば該低温側境界温度430aよりも約10℃低温の温度、或いは該低温側境界温度430aよりも少なくとも約30℃低温の温度とすることができる。他との比較ではなく絶対的な意味で、第1温度は高くても180℃程度、又は高くても150℃程度、又は高くても130℃程度、或いは前記第2の温度範囲の低温側境界温度430aよりも低温のその他の温度近辺であってもよい。
試料が第1温度に平衡するに充分な時間に亘って試料を第1温度410に維持することは好ましいことである。例えば、試料は約30秒〜約90秒の時間に亘って第1温度に維持することができる。好ましくは、試料は約60秒に亘って第1温度に維持される。これ以外の温度維持時間を採用してもよい。
上述のように試料を第1温度410に維持した後、この試料は、測定データ中に少なくとも一つの谷450が特定されるに充分な第2温度440まで加熱される。この谷450は、低温側境界温度450aと高温側境界温度450bとを有する第3の温度範囲に亘って生じる。この試料は、第2温度440で完全にオーステナイト化されていることが好ましい。
一実施形態によれば、第2温度440はオーステナイト終了温度Afよりも30℃程度高温である。別の実施形態によれば、第2温度は谷450に対応する第3の温度範囲の高温側境界温度450bよりも高温の温度とすることができ、例えば上記高温側境界温度450bよりも少なくとも約10℃、又は上記高温側境界温度450bよりも約30℃高温の温度とすることができる。他との比較ではなく絶対的な意味で、第2温度440は第3の温度範囲の高温側境界温度450bよりも少なくとも約30℃、少なくとも約40℃、少なくとも約60℃、或いは少なくともその他の温度だけ高温とされる。
既に指摘し、また図3に示したように、試料がマルテンサイトからR相へ、そしてR相からオーステナイト相への相変態を終えても、第2温度への加熱で得られるDSC測定データには単一の谷450しか現れない。従ってこの谷450を「重なった谷450」と呼び、これは、この谷450がそれぞれマルテンサイト相からR相への相変態及びR相からオーステナイト相への相変態に対応する互いに重なり合った第1と第2の各下位の谷によって形成されているからである。これら互いに重なった第1と第2の各下位の谷は、このようにしてDSC試験の第1の冷却・加熱ループだけでは測定データ中に別々には現れない。第1実施形態によるDSC試験における第2の冷却・加熱ループは、この先行する加熱ステップ中に得られる重なった谷450から第2の下位の谷を分離して識別するためのものである。換言すれば、R相からオーステナイトへの相変態は、本発明による二重ループ試験における第2の冷却・加熱ループを実行することによりDSC測定データ中で分離される。
即ち、試料は、ステップ640で第2温度から第1ピーク420と第2ピーク430との間の第3温度460まで冷却され、この第3温度では形状記憶合金は実質的に全てR相組織となる。更に詳しく言えば、好ましくは第3温度460は第1ピーク420に対応する第1の温度範囲の低温側境界温度420aと第2ピーク430に対応する第2の温度範囲の高温側境界温度430bとの間(即ち、R相終了温度Rfより低温でマルテンサイト開始温度Msよりも高温)に選択される。一実施形態によれば、第3温度460は約−50℃〜−20℃の範囲内にある。
第3温度460への冷却はASTM規格2004-05に述べられているものに準拠した冷却速度で実行することが好ましい。例えば、試料は約10℃/minの冷却速度で第3温度460まで冷却することができる。また、試料が第3温度に平衡するに充分な時間に亘って試料を第3温度460に維持することも好ましいことである。例えば、試料は約30秒〜約90秒の時間に亘って第3温度460に維持することができる。好ましくは、試料は約60秒に亘って第3温度に維持される。その他の温度維持時間を採用することも可能である。
次いで試料は、ステップ650で、測定データ中に第2の下位の谷480が特定されるに充分な第4温度470まで加熱される。試料は、この第4温度470でオーステナイト化されていることが好ましい。第2の下位の谷480は加熱中の形状記憶合金のR相からオーステナイト相への相変態によって形成され、第4の温度範囲に亘って生じる。図4を参照して、第4の温度範囲の低温側境界温度480aと高温側温度範囲480bはそれぞれオーステナイト開始温度Asとオーステナイト終了温度Afを与える。第2ループ内で先行するステップ640の冷却中に試料はマルテンサイト相に至っていないので、この時点では試料中にマルテンサイト組織は存在せず、ステップ650で加熱しても試料中にマルテンサイトからR相への相変態は生じない。従って、このような二重ループ試験の第2ループを実行することにより、R相からオーステナイトへの相変態に対応する第2の下位の谷480を分離することが可能である。このようにして、従来の単一ループのDSC試験では識別不能な相変態温度、即ちオーステナイト開始温度Asを識別することが可能である。
一実施形態によれば、第4温度470はオーステナイト終了温度Afよりも30℃程度高温である。別の実施形態によれば、第2温度440について述べた内容と同様に、第4温度470は谷450の第4の温度範囲の高温側境界温度450bよりも高温の温度とすることができ、例えば上記高温側境界温度450bよりも少なくとも約10℃、又は上記高温側境界温度450bよりも少なくとも約30℃高温の温度とすることができる。他との比較ではなく絶対的な意味で、第4温度470は谷450の高温側境界温度450bよりも少なくとも約30℃、少なくとも約40℃、少なくとも約60℃、或いは少なくともその他の温度だけ高温とされる。
好適には、第4温度470への加熱ステップ650はASTM規格2004-05に述べられているものに準拠した加熱速度で実行することが好ましい。例えば、試料は約10℃/minの冷却速度で第4温度470まで加熱することができる。また、試料が第4温度に平衡するに充分な時間に亘って試料を第4温度470に維持することも好ましいことである。例えば、試料は約30秒〜約90秒の時間に亘って第4温度470に維持することができる。好ましくは、試料は約60秒に亘って第4温度470に維持される。これ以外の温度維持時間を採用することも可能である。
・第2試験例
図7は、二重ループ試験法の第2実施形態の各工程ステップを示す流れ図である。この流れ図を参照すると、先ずステップ710では、R相変態を示す形状記憶合金からなる試料が加熱及び冷却中の測定データを記録するように構成された装置内にセットされる。好適には、この装置は示差走査型熱量計であって、記録される測定データは温度の関数としての熱流束である。試料は、ステップ720で、測定データ中に第1変曲部のみが識別されるに充分な第1温度まで冷却される。この第1変曲部は第1の温度範囲に亘って生じ、オーステナイト相からR相への相変態に対応する。次に試料は、ステップ730で、測定データ中に或る下位の変曲部が識別されるに充分な第2温度まで加熱される。この下位変曲部は第2の温度範囲に亘って生じ、R相からマルテンサイト相への相変態に対応する。これらの第1温度への冷却と第2温度への加熱が本実施形態によるDSC試験の第1ループを構成する。次いで試料は、ステップ740で、測定データ中に前記第1変曲部が識別(再識別)され且つその後に第2変曲部も識別されるに充分な第3温度まで冷却される。この場合、第2変曲部は第3の温度範囲に亘って生じ、R相からマルテンサイト相への相変態に対応する。最後に試料は、ステップ750で、測定データ中に第3変曲部が識別されるに充分な第4温度まで加熱される。第3変曲部は第4の温度範囲に亘って生じ、これは、それぞれマルテンサイトからR相への相変態とR相からオーステナイトへの相変態に対応する互いに重なり合った一次及び二次の各下位変曲部によって形成される。ステップ730における第2温度への加熱で識別された下位変曲部がこの二次の下位変曲部である。第3温度への冷却と第4温度への加熱が第2実施形態によるDSC試験における第2ループを構成する。測定データはDSC試験の全ステップに亘って全て記録される。
前述のように、測定データ中の各変曲部及び下位変曲部は、一般的に測定データのベースラインからの本質的な離間として特定可能である。例えば、各変曲部及び下位変曲部は測定データ中のノイズから充分に識別できるほど顕著である。ここで論じている例えば図1〜図5に示したようなDSC試験データの場合、測定データに現れる各変曲部は種々の温度範囲に亘って生じるピーク(山)と谷(又は下位の谷)である。形状記憶合金から温度の関数として得られる他のタイプのデータ、例えば電気抵抗の測定データ等では、測定データ中の変曲部はベースラインに対する緩い曲がりや傾斜状変化の形態となる。
第2実施形態によるDSC試験の第2の冷却・加熱ループは、先行するステップ730における加熱によるR相からオーステナイトへの相変態に対応する測定データ中の第2の下位の谷を特定して更に分離するように実行される。これに対して、前述した二重ループ試験の第1実施形態においては、第2の下位の谷はDSC試験の第2の冷却・加熱ループ中に特定される。
図5及び図7を参照して二重ループ試験の第2実施形態を詳述すると、先ずステップ710で、R相変態を示すNiTi形状記憶合金の試料が例えばティー・エイ・インスツルメント社のDSCモデルQ10(商品名)などの示差走査型熱量計にセットされる。試料及び測定装置の準備は、試験に先立って試料を800〜850℃で焼鈍しないほうがよいという点以外はほぼASTM規格F2004-05に従って行われる。即ち、焼鈍は、事前の熱機械処理中に試料に付与される微細組織上の特徴変化や損傷を回避するために実行しないのが通常である。
二重ループ試験の第1ループを開始する前に予熱ステップ715を実行してもよいことは第1実施形態で述べたのと同様である。従って、冷却に先立って試料を確実にオーステナイト化するための予熱ステップ715についての説明をここで繰り返すことは差し控える。
図5を参照して、試料は、ステップ720で、測定データ中に第1ピーク520のみが識別されるに充分な第1温度510まで冷却される。即ち、試料は第1ピーク520よりも低温で且つ更に冷却されたときに特定される第2ピーク(例えばピーク560)よりも高温の第1温度まで冷却される。第1ピーク520はオーステナイト相からR相への相変態に対応し、第1の温度範囲に亘って生じる。第1の温度範囲の高温側境界温度520bがR相開始温度Asを与え、低温側境界温度520aがR相終了温度Afを与える。第1温度においては、試料は全てR相組織となっていることが好ましい。
第1温度510は、第1ピーク520の低温側境界温度520aよりも低温であるが、それ以降の冷却で生じる他の全てのピーク(R相からオーステナイトへの相変態)の高温側境界温度よりも高温に選ぶことが好ましい。即ち、第1温度は、R相終了温度Rfよりも低温であるが、マルテンサイト開始温度Msよりは高温であることが好ましい。一実施形態によれば、第1温度510は−50℃〜−20℃の範囲内にある。
ステップ720による第1温度510への冷却はASTM規格2004-05に述べられているものに準拠した冷却速度で実行することが好ましい。例えば、試料は約10℃/minの冷却速度で第1温度510まで冷却することができる。また、試料が第1温度に平衡するに充分な時間に亘って試料を第1温度510に維持することも好ましいことである。例えば、試料は約30秒〜約90秒の時間に亘って第1温度510に維持することができる。好ましくは、試料は約60秒に亘って第1温度510に維持される。これ以外の温度維持時間を採用することも可能である。
次に試料は、ステップ730で、測定データ中に或る下位の谷(第2の下位の谷)540が識別されるに充分な第2温度530まで加熱される。この第2の下位の谷540は加熱中の形状記憶合金のR相からマルテンサイト相への相変態に対応し、第2の温度範囲に亘って生じる。図5に示すように、第2の温度範囲の低温側境界温度540aと高温側境界温度540bはそれぞれ相変態温度、即ちオーステナイト開始温度Asとオーステナイト終了温度Afを与える。先行するステップ720の冷却中に試料はマルテンサイト相に至っていないので、この時点では試料中にマルテンサイト組織は存在せず、ステップ730で加熱しても試料中にマルテンサイトからR相への相変態は生じない。従って、このような二重ループ試験の第2ループを実行することにより、R相からオーステナイトへの相変態に対応する第2の下位の谷540を分離することが可能である。このようにして、従来の単一ループのDSC試験では識別不能な相変態温度、即ちオーステナイト開始温度Asを識別することが可能である。
一実施形態によれば、第2温度530はオーステナイト終了温度Afよりも30℃程度高温である。別の実施形態によれば、第2温度530は第2の下位の谷540の高温側境界温度540bよりも高温の温度とすることができ、例えば上記高温側境界温度540bよりも少なくとも約10℃、又は上記高温側境界温度540bよりも少なくとも約30℃高温の温度とすることができる。他との比較ではなく絶対的な意味で、第2温度530は谷40の高温側境界温度540bよりも少なくとも約30℃、少なくとも約40℃、少なくとも約60℃、或いは少なくともその他の温度だけ高温とされる。
ステップ730による第2温度530への加熱はASTM規格2004-05に述べられているものに準拠した加熱速度で実行することが好ましい。例えば、試料は約10℃/minの加熱速度で第2温度530まで加熱することができる。また、試料が第2温度に平衡するに充分な時間に亘って試料を第2温度530に維持することも好ましいことである。例えば、試料は約30秒〜約90秒の時間に亘って第2温度530に維持することができる。好ましくは、試料は約60秒に亘って第2温度530に維持される。これ以外の温度維持時間を採用することも可能である。
次いで試料は、ステップ740で、測定データ中に第1ピーク520が再識別され且つ第2ピーク560も識別されるに充分な第3温度550まで冷却される。前述のように、第1ピーク520は形状記憶合金のオーステナイトからR相への相変態に対応し、第1の温度範囲に亘って生じる。また第2ピーク560はR相からマルテンサイト相への相変態に対応して低温側の第3の温度範囲に亘って生じる。図5を参照して、第1の温度範囲の低温側境界温度520aと高温側境界温度520bからそれぞれR相終了温度RfとR相開始温度Rsが得られ、第3の温度範囲の低温側境界温度560aと高温側境界温度560bからそれぞれマルテンサイト終了温度Mfとマルテンサイト開始温度Msが得られる。(接線解析技法を用いたこれら相変態温度の正式な識別については後述する。)ここで、第3温度550への冷却はASTM規格2004-05に述べられているものに準拠した冷却速度で実行することが好ましい。例えば、試料は約10℃/minの冷却速度で第3温度550まで冷却することができる。
一実施形態によれば、第3温度550はマルテンサイト終了温度Mfよりも30℃程度高温である。別の実施形態によれば、第3温度550は第2ピークに対応する第3の温度範囲の低温側境界温度560aよりも低温の温度とすることができ、例えば上記低温側境界温度560aよりも少なくとも約10℃、又は上記低温側境界温度560aよりも少なくとも約30℃低温の温度とすることができる。他との比較ではなく絶対的な意味で、第3温度550は高くても180℃程度、又は高くても150℃程度、又は高くても130℃程度、或いは前記第3の温度範囲の低温側境界温度560aよりも低温のその他の温度近辺であってもよい。
試料が第3温度に平衡するに充分な時間に亘って試料を第3温度550に維持することは好ましいことである。例えば、試料は約30秒〜約90秒の時間に亘って第3温度550に維持することができる。好ましくは、試料は約60秒に亘って第3温度550に維持される。これ以外の温度維持時間を採用してもよい。
上述のように試料を第3温度550に維持した後、この試料は、ステップ750で、測定データ中に少なくとも一つの谷580が特定されるに充分な第4温度570まで加熱される。好適には、試料は第4温度570で完全にオーステナイト化される。
一実施形態によれば、第4温度570はオーステナイト終了温度Afよりも30℃程度高温である。別の実施形態によれば、第4温度550は谷580に対応する第4の温度範囲の高温側境界温度580bよりも高温の温度とすることができ、例えば上記高温側境界温度580bよりも少なくとも約10℃、又は上記高温側境界温度580bよりも約30℃高温の温度とすることができる。他との比較ではなく絶対的な意味で、第4温度570は第4の温度範囲の高温側境界温度580bよりも少なくとも約30℃、少なくとも約40℃、少なくとも約60℃、或いは少なくともその他の温度だけ高温とされる。
既に指摘したように、試料がマルテンサイトからR相へ、そしてR相からオーステナイト相への相変態を終えても、ステップ570で試料を第4温度へ加熱したときには単一の谷580しか得られない。従ってこの谷580を「重なった谷580」と呼び、この谷580は、それぞれマルテンサイト相からR相への相変態及びR相からオーステナイト相への相変態に対応する互いに重なり合った第1と第2の各下位の谷によって形成されているものである。ここで、本実施形態によれば、既に第2の下位の谷540は二重ループDSC試験の第1の冷却・加熱ループにおける試験で特定されている。従って、第1の下位の谷は、このようにしてDSC試験で得られた測定データを利用して以下に述べるようなコンピュータ解析により識別される。
・二重ループ試験の測定データを利用したコンピュータ解析手法
マルテンサイトからR相への相変態(即ち、第1の下位の谷)を特定するためのコンピュータ解析手法では、前述の二つの実施形態で説明した二重ループ試験で記録された測定データを利用する。思い起こせば、二重ループ試験によりR相からオーステナイトへの相変態に対応する第2の下位の谷を特定して分離することが可能である。また、第1と第2の各下位の谷の重なりで形成される谷(「重なった谷」)も二重ループ試験によって特定される。従ってコンピュータ解析の目標は、第2の下位の谷と「重なった谷」に対応するDSC測定データを用いてマルテンサイトからR相への相変態に対応する第1の下位の谷を特定して分離することである。
DSC試験で記録された測定データはxy座標点データからなり、ここでx座標は摂氏度(℃)の温度、y座標はワット/グラム(W/g)単位の熱流束である。DSC装置には、例えばティー・エイ・インスツルメンツ社のユニバーサル・アナリシス・ソフトウェアのように、座標点データに基づくプロットを生成するソフトウェアが添付されている。x座標点データは外部に取り出して数学的に処理することができ、或いはこれらx座標データに適合する曲線関数を識別する曲線適合化ソフトウェアプログラムに取り込むことが可能である。
コンピュータ解析の第1段階はマルテンサイトからR相への相変態に対応する第1の下位の谷を特定するためのものであり、これはまさに数学的な引き算である。前述したように、二重ループ試験によれば加熱時に形成された「重なった谷」から第2の下位の谷を分離することが可能である。従って、「重なった谷」と第2の下位の谷に対応する測定データは、xy座標点データ形式でDSCソフトウェアプログラムから外部に取り出される。これらの「重なった谷」と第2の下位の谷は共通のx座標値(温度)をもつので、直接減算処理して第1の谷の各y座標値(エンタルピー)を識別することができる。
数式は以下の通りである。
X(A+R') = XA
Y(A+R') - YA = YR'
ここで、X(A+R')とXAはそれぞれ「重なった谷」と第2の下位の谷のx座標値であり、Y(A+R')とYAとYR'はそれぞれ「重なった谷」と第2の下位の谷と第1の下位の谷のy座標値である。このようにして計算し正規化したYR'値(エンタルピー)を用い、例えば図8に示すように第1の下位の谷475をDSC試験で識別された「重なった谷」450と第2の下位の谷480と共にx(温度)の関数としてグラフ上にプロットすることができる。
下記の表1は、実施例としての形状記憶合金試料から得られたDSC測定データの一部であり、DSCソフトウェアプログラムから外部に取り出して上述のようにマルテンサイトからR相への相変態に対応する第1の下位の谷の形状を識別するために数学的に減算処理したデータ部分である。DSC測定カーブの全てを生成するデータは大量であるので、ここでは一部のデータのみを示してある。得られたxy値はDSCソフトウェアプログラムに戻すことができ、また「重なった谷」と第1の下位の谷及び第2の下位の谷に対応する曲線も描画可能である。
Figure 0005509093
第2段階は第1の下位の谷を識別するためのものであり、これには数学的関数を前記データに当てはめるために曲線適合化ソフトウェアプログラム(例えばオリジンラブ社(OriginLab Corp.)のOrigin 8(商標)データ分析・図形処理ソフトウェア)を使用する。第2の下位の谷と「重なった谷」に対する曲線適合化処理は大略同様の形式であるが、各曲線の形状を特定する個別の係数を含んでいる。例えば、下記の関数形をもつフォークト関数(Voigt function)が前記データに当てはめられる。
Figure 0005509093
表2に示したのは、実施例としての形状記憶合金試料の第2の下位の谷(「オーステナイト相のみ」のデータ)と「重なった谷」(「オーステナイト及びR相」のデータ)について計算されたフォークト関数の係数であり、yOはオフセット、xcは中心、Aは振幅、WGはガウス幅、WLはローレンツ幅である。これらのパラメータを用いて、全てのx値に対するy値が識別される。
Figure 0005509093
「重なった谷」と第2の下位の谷に対応するデータに対して曲線が適合化されたら、それぞれの計算された曲線を積分して描く曲線で囲まれる面積が求められる。次いで第2の下位の谷について求められた面積を「重なった谷」について求められた面積から減算し、第1の下位の谷に対応する面積が求められる。この面積の微分をとることにより、第1の下位の谷を形を与える関数が得られ、描画される。これに代えて、元の測定データを用いた前述の引き算方式を用いて計算値(x,y)により第1の下位の谷を識別してもよい。
・相変態温度を識別するための接線解析技法
各ピーク又は谷の低温側及び高温側境界温度にほぼ対応する形状記憶合金の種々の相変態温度を識別するために一つの接線解析技法を採用することも可能である。図1〜図5に示したDSCデータには接線が示されている。ASTM規格2004-05には、各ピーク又は他にの変曲点を通る接線を描き、その最大傾斜での延長線とDSCデータのベースラインとのグラフ上の交点として相変態温度(例えばサイト開始温度Ms及びマルテンサイト終了温度Mf)を求めることが規定されている。このやり方は図1及び図2に示されている。この他の幾つかの接線解析技法もピークや谷の変曲点を通る接線が結果を歪めるような広幅のピークに特に有効である。例えば、ティー・エイ・インスツルメンツ社のユニバーサル・アナリシス・ソフトウェアのような幾つかのソフトウェア・プログラムは、接線と相変態温度との自動生成のための接線解析ルーチンを含んでいる。
前述の二つの実施形態による二重ループDSC試験法を採用することにより、従来の単一ループDSC試験で得られた「重なった谷」からR相からオーステナイトへの相変態に対応する第2の下位の谷を分離することが可能である。更に、これらのDSC測定データを用いて、マルテンサイトからR相への相変態に対応する「重なった谷」の第1の谷をコンピュータ解析で特定することも可能である。従って、二重ループ試験法をコンピュータ解析と組み合わせることにより、「重なった谷」をその構成成分である第1と第2の下位の谷に分解することができる。このようにして、R相変態を示す形状記憶合金の各相変態温度を適正に特性分析することができ、各相変態温度(例えば、R's、R'f、As及びAf)を正確に識別することが可能である。
尚、以上に述べた二重ループ試験法は、R相変態を示す形状記憶合金試料の加熱時に測定される「重なった谷」を分解(逆たたみ込み)することについて説明されているが、冷却時に測定される「重なったピーク(山)」を分解する場合にも使用することができる。例えば、冷却時に単一のピークを示し、加熱時に二つのピークを示すようなR相変態を伴う形状記憶合金試料にも二重ループ試験を適用することが可能である。この場合、手順としては、従来法による単一ループのDSC試験を、「重なったピーク」に加えてR相からマルテンサイトへの相変態に対応する下位のピークを測定で特定するための付加的な冷却・加熱サイクルと組み合わせ、次いで前述のようなコンピュータ解析を行ってオーステナイトからR相への相変態に対応する下位のピークを分離する必要がある。この付加的な冷却・加熱サイクルは、前述の第2ループとは温度に関して逆方向に実行する必要がある(例えば、試料をなるべくマルテンサイト状態からオーステナイト組織の無い全R相状態へ加熱し、次いで冷却してR相からマルテンサイトへの相変態のみに対応する下位のピークを特定する)。前述の二重ループ試験の実施形態と同様に、上記付加的な冷却・加熱サイクルは二重ループ試験中の従来の単一ループ試験に相当する操作の前又は後に実行することができる。
また二重ループ試験法は、NiTi合金以外にも、例えばCu-Zn-Al、Cu-Al-Ni、Cu-Zn-Su、Cu-Sn、又はCu-Au-Zn等のCu系合金、或いはFe-Mn、Fe-Mn-Si、Fe-Be、Fe-Pd、又はFe-Pt等のFe系合金、或いはAg-Cd、Au-Cd、又はIn-Ti等のその他の合金、更には形状記憶ポリマーなど、種々の形状記憶材料の相変態を特性分析するのにも有用である。
更に、二重ループ試験法は、DSC試験法以外にも、温度又は応力の関数としてデータを評価する形状記憶材料特性分析技術(例えば電気抵抗法、動的機械分析法など)にも応用可能である。その場合、試験中に記録されるデータは、温度の関数としての熱流束に代えて、例えば温度の関数としての変形量、又は温度の関数としての電気抵抗となる。
以上、本発明を幾つかの実施形態について詳述したが、それ以外の実施形態も本発明の範疇で勿論可能である。従って、特許請求の範囲に記載された本発明の基本理念と技術的範囲は前述の好適な実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に包含される全ての実施形態は、それが文字通りのもの若しくは均等のものであっても本発明の技術的範疇に包含されるものである。
更にまた、前述の種々の利点は必ずしも本発明のみによる利点ではなく、ここに述べられている全ての利点が本発明の各実施形態で達成されるものと予期する必要はない。

Claims (20)

  1. R相変態を含む形状記憶材料の相変態を特性分析する方法であって、
    R相変態を示す形状記憶材料からなる試料から加熱及び冷却中の測定データを記録することと、
    記録される測定データ中に第1変曲部と第2変曲部が識別されるに充分な第1温度まで前記試料を冷却することであって、第1変曲部は第1の温度範囲に亘って生じると共にオーステナイト相からR相への相変態に対応するものであり、第2変曲部は第2の温度範囲に亘って生じると共にR相からマルテンサイト相への相変態に対応するものであるものとする前記試料を冷却することと、
    記録される測定データ中に第3変曲部が識別されるに充分な第2温度まで前記試料を加熱することであって、第3変曲部は第3の温度範囲に亘って生じると共にマルテンサイト相からR相への相変態及びR相からオーステナイト相への相変態にそれぞれ対応する互いに重なり合った一次及び二次の下位変曲部によって形成されるものであるものとする前記試料を加熱することと、
    記録される測定データ中に第1変曲部が識別されるには充分で且つ第2変曲部が識別されるには不充分な第3温度まで前記試料を冷却して前記形状記憶合金を実質的に全てR相組織とすることと、
    記録される測定データ中にR相からオーステナイト相への相変態に対応する前記二次下位変曲部が識別されるに充分な第4温度まで前記試料を加熱することとを有することを特徴とする形状記憶材料の相変態特性分析方法。
  2. 記録される測定データが温度の関数としての熱流束であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記試料を第1温度まで冷却する前に、該試料を或る予熱温度まで加熱して形状記憶合金を実質的に全てオーステナイト化することを更に含む請求項1に記載の方法。
  4. 前記第3温度を前記第1の温度範囲の低温側境界温度より低温で前記第2の温度範囲の高温側境界温度より高温とすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記第1温度、第2温度、第3温度、第4温度の各々を30〜90秒の範囲内の或る期間に亘って維持することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記二次下位変曲部から形状記憶合金のオーステナイト開始温度とオーステナイト終了温度の少なくとも一方を識別することを更に含む請求項1に記載の方法。
  7. 前記二次下位変曲部が一つの変曲点を有する曲線からなり、該曲線の少なくとも一方の側部に測定データのベースラインに対する接線を生成してオーステナイト開始温度とオーステナイト終了温度の少なくとも一方を識別することを更に含む請求項6に記載の方法。
  8. 前記第3変曲部と前記二次下位変曲部を利用して前記一次下位変曲部を特定することを更に含む請求項1に記載の方法。
  9. 前記第3変曲部がY(A+R')値を含む一連のデータポイントからなると共に前記二次下位変曲部がYA値を含む一連のデータポイントからなり、YR'値 = Y(A+R') - YAを含む前記一次下位変曲部のための一連のデータポイントの計算値をコンピュータで求めることを更に含む請求項8に記載の方法。
  10. 前記第3変曲部の面積から前記二次下位変曲部の面積を減算して一次下位変曲部の面積を特定し、得られた一次下位変曲部の面積を微分して前記一次下位変曲部を特定することを更に含む請求項8に記載の方法。
  11. 前記一次下位変曲部から形状記憶合金のR'相開始温度とR'相終了温度の少なくとも一方を識別することを更に含む請求項8に記載の方法。
  12. 前記知事下位変曲部が一つの変曲点を有する曲線からなり、該曲線の少なくとも一方の側部に測定データのベースラインに対する接線ラインを生成してR'相開始温度とR'相終了温度の少なくとも一方を識別することを更に含む請求項11に記載の方法。
  13. 前記第3温度への試料の冷却と前記第4温度への試料の加熱を前記第1温度への試料の冷却と前記第2温度への試料の加熱に先行して実行し、前記第3温度への試料の加熱の前に試料を或る予熱温度まで加熱して形状記憶合金を実質的に全てオーステナイト化することを更に含む請求項1に記載の方法。
  14. 測定データを記録する装置内に試料をセットすることを更に含み、該装置は示差走査熱量計であって記録される測定データは温度の関数としての熱流束であり、前記第1変曲部が第1のピーク(山)、前記第2変曲部が第2のピーク(山)、前記第3変曲部が谷、前記一次及び二次の下位変曲部がそれぞれ第1と第2の下位の谷であり、前記第1温度は前記第2の温度範囲の低温側境界温度よりも少なくとも10℃低温であり、前記第2温度と前記第4温度はそれぞれ前記第3の温度範囲の高温側境界温度よりも少なくとも10℃高温であり、更に前記第1温度への試料の冷却の前に試料を或る予熱温度まで加熱して形状記憶合金を実質的に全てオーステナイト化することと、前記第2の下位の谷から形状記憶合金のオーステナイト開始温度とオーステナイト終了温度の少なくとも一方を識別することを更に含む請求項1に記載の方法。
  15. 前記第3変曲部の谷と前記二次の下位変曲部の第2の下位の谷とを利用してコンピュータ解析により前記第1の下位の谷を特定し、この第1の下位の谷から形状記憶合金のR'相開始温度とR'相終了温度の少なくとも一方を識別することを更に含む請求項14に記載の方法。
  16. 前記第3温度への試料の冷却と前記第4温度への試料の加熱を前記第1温度への試料の冷却と前記第2温度への試料の加熱に先行して実行し、前記第3温度への試料の加熱の前に試料を或る予熱温度まで加熱することを特徴とする請求項14に記載の方法。
  17. R相変態を示す形状記憶合金の変態温度を識別する方法であって、
    R相変態を示す形状記憶合金からなる試料から加熱及び冷却中の測定データを記録し、
    記録される測定データ中に第1変曲部のみが識別されるに充分な第1温度まで前記試料を冷却し、ここで第1変曲部は第1の温度範囲に亘って生じると共にオーステナイト相からR相への相変態に対応するものであり、
    記録される測定データ中に第2変曲部が識別されるに充分な第2温度まで前記試料を加熱し、ここで第2変曲部は第2の温度範囲に亘って生じると共にR相からマルテンサイト相への相変態に対応するものであり、
    前記第2変曲部から形状記憶合金のオーステナイト開始温度とオーステナイト終了温度の少なくとも一方を識別することを特徴とする形状記憶合金の変態温度識別方法。
  18. 加熱及び冷却中の測定データを記録する示差走査熱量計内に試料をセットすることを更に含み、記録される測定データが温度の関数としての熱流束であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. 形状記憶材料の相変態を特性分析する方法であって、
    形状記憶材料からなる試料から加熱及び冷却中の測定データを記録し、
    前記試料の温度を第1の温度方向へ第1温度まで変化させ、ここで第1温度は記録される測定データ中に第1変曲部と第2変曲部が識別されるに充分な温度であって、第1変曲部は第1の温度範囲に亘って生じ、第2変曲部は第2の温度範囲に亘って生じるものであり、
    前記試料の温度を第2の温度方向へ第2温度まで変化させ、ここで第2温度は記録される測定データ中に第3変曲部が識別されるに充分な温度であって、第3変曲部は第3の温度範囲に亘って生じると共に重なり合った一次及び二次の下位変曲部によって形成されるものであり、
    前記試料の温度を前記第1の温度方向へ第3温度まで変化させ、ここで第3温度は記録される測定データ中に第1変曲部が識別されるには充分で且つ第2変曲部が識別されるには不充分な温度であり、
    前記試料の温度を前記第2の温度方向へ第4温度まで変化させ、ここで第4温度は記録される測定データ中に前記二次下位変曲部が識別されるに充分な温度であることを特徴とする形状記憶材料の相変態特性分析方法。
  20. 前記第3変曲部と前記二次下位変曲部を利用してコンピュータ解析により前記一次下位変曲部を特定することを更に含む請求項19に記載の方法。
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