JP5506889B2 - 通信トラヒック予測装置、通信トラヒック予測方法、及びプログラム - Google Patents

通信トラヒック予測装置、通信トラヒック予測方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、電話サービス、インターネット接続サービス、映像配信サービス(多チャンネル放送サービスとビデオオンデマンドサービス)など、さまざまな通信サービスが多重されて提供されている通信ネットワークを対象にした、将来トラヒックを予測する技術に関するものである。
通信サービスには、それぞれ、通信サービスの利用者が快適に利用するために必要となるサービス品質、あるいは、ユーザ体感品質があり、このような通信サービスの品質を確実に、かつ、できるだけ低コストで提供できることが、通信ネットワーク設備の運用管理業務の目的であって、この目標を達成するために、設備の設計・運用に関わる業務計画を策定している。
上記の目的のため、通信ネットワークの設備の設計・運用の業務計画の策定においては、設備増設などの工事に必要な期間である数か月から1年程度将来のトラヒック予測、具体的には日々の最繁時トラヒック量を予測することは非常に重要である。
従来、通信トラヒックの将来予測は、過去のトラヒックデータを長期間蓄積したデータベースを参照して、回帰分析などの手法を用いて行ってきた。具体的なトラヒック予測技術の内容については、例えば、以下の特許文献または非特許文献に開示されている。
特開2004−23114 特許第3737713号 特開平07−235985 特開2012−182677
松田潤他(1991)、日々トラヒック予測法に基づく交換機トラヒック管理技術、NTT R&D Vol.40, No. 12, pp.1581-1588
本発明が解決しようとする第1の課題は以下のとおりである。
通信サービスのトラヒックは、本来、それぞれの通信サービスの方式的な仕様や、通信サービスを利用する利用者の行動などによる固有なトラヒック特性を持つ。したがって、多くの通信サービスを多重したトラヒックを合算したまま予測するのでは、トラヒック予測の精度を高くすることは極めて困難になっている。
一方、従来のトラヒック予測の技術が効果を発揮する要件は、過去の十分に長い期間に渡るトラヒックデータの存在である。通信ネットワークは大規模なシステムであり、構成する設備の数は膨大となる。従って、従来の技術では、維持するトラヒックデータが巨大となり、処理のための計算量が膨大になるという問題があった。維持するトラヒックデータが巨大となり、処理のための計算量が膨大になると、例えばトラヒック予測のためのコストが増加し、処理速度が低下するという問題がある。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、多くの通信サービスを多重したトラヒックにおける通信トラヒック予測の結果精度を向上させることができ、同時に、必要とするトラヒックデータ量と計算量を削減することのできる通信トラヒック予測技術を提供することを目的とする。
上記第1の課題を解決した上で、本発明が解決しようとする第2の課題は以下のとおりである。
通信ネットワークにおいて、提供している通信サービス全体に対するトラヒック量の日々の変動幅が従来に比べて非常に大きなものになっている。これは、予測される最大級のトラヒック量は、通常条件で頻出するトラヒック量に比べて、非常に大きな差が存在しながら、一方で、その最大級のトラヒック量が発生する事象が生起する確率は次第に極めて小さくなっていくことになる。通信ネットワーク設備の設計・運用業務において、極めて小さな確率である最大級のトラヒック量を予測するだけでは、通信ネットワークと通信サービスのコストを高くしてしまうという問題がある。
上記の問題点に鑑みて、本発明は、将来予測されるトラヒック量の日々の変動幅について、通常条件で頻出するトラヒック量から、稀に発生する最大級のトラヒックまで、生起する確率の程度が異なるトラヒック予測を複数出力することも目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明は、複数の通信サービスが多重されて提供される通信ネットワークとその設備を対象とした通信トラヒック予測装置であって、
前記複数の通信サービスが予め定めた複数のグループに分類され、当該分類されたグループ毎に予め定められたトラヒック量算出処理方法に従って、トラヒックデータベースに格納されている前記複数の通信サービスが多重されたトラヒックデータから、各通信サービスのトラヒック量を算出するトラヒック分計手段と、
前記トラヒック分計手段により算出された各通信サービスのトラヒック量に基づき、前記分類されたグループ毎に予め定められたトラヒック量予測処理方法に従って、各グループの将来の時点におけるトラヒック量を予測するトラヒック予測手段と、
前記トラヒック予測手段により予測された各グループの将来の時点におけるトラヒック量を積算し、積算したトラヒック量に基づいて、短時間変動を吸収する設備容量を算出する必要設備算出手段とを備えることを特徴とする通信トラヒック予測装置として構成される。
前記トラヒック予測手段は、前記将来の時点におけるトラヒック量の予測において、生起する確率の程度が異なる複数種類のトラヒック予測を行い、前記必要設備算出手段は、前記複数種類のトラヒック予測によるトラヒック量のそれぞれについて積算を行い、生起する確率の程度が異なる複数種類の設備容量を算出するようにしてもよい。
前記分類された複数のグループは、例えば、マルチキャスト型、配信型、交流型、又は、前記通信ネットワークに対する他網接続に係る接続型を含み、
前記マルチキャスト型におけるトラヒック量算出処理方法では、各通信サービスの対象設備のトラヒック量として、マルチキャストの発信源のトラヒック量を算出し、
前記配信型におけるトラヒック量算出処理方法では、各通信サービスの対象設備のトラヒック量として、配信元のトラヒック量から前記対象設備に分岐したトラヒック量を算出し、
前記交流型におけるトラヒック量算出処理方法では、対象設備のトラヒック量として、交流型に分類される通信サービスのトラヒック量をまとめたトラヒック量を算出し、
前記接続型におけるトラヒック量算出処理方法では、対象設備のトラヒック量を、他網が接続される前後のトラヒック量の変化量を用いて算出する。
また、例えば、前記マルチキャスト型におけるトラヒック量予測処理方法では、各通信サービスのトラヒック量に変動がないものとしてトラヒック量の予測を行い、
前記配信型におけるトラヒック量予測処理方法では、各通信サービスの配信元のトラヒックの予測量を対象設備に分岐させた量を算出することにより予測を行い、
前記交流型におけるトラヒック量予測処理方法では、交流型に分類される通信サービスをまとめてトラヒック量の予測を行い、
前記接続型におけるトラヒック量予測処理方法では、他網が接続される接続点でのトラヒック変動に基づいて対象設備のトラヒック量の予測を行う。
また、本発明は、前記通信トラヒック予測装置が実行する通信トラヒック予測方法、コンピュータを、前記通信トラヒック予測装置における各手段として機能させるためのプログラムとして構成することもできる。
本発明によれば、多数の通信サービスを比較的少数の定型処理のグループに分類し、それぞれの分類ごとに十分に確立した定型処理化したトラヒック分計およびトラヒック予測をあらかじめ準備することで、通信トラヒック予測の結果精度を向上させることができ、同時に、必要とするトラヒックデータ量と計算量を削減することができる。
また、本発明によれば、将来予測されるトラヒック量の日々の変動幅について、通常条件で頻出するトラヒック量から、稀に発生する最大級のトラヒックまで、生起する確率の程度が異なるトラヒック予測を複数出力することができる。よって、通信事業者が許容できる程度においてサービス品質の劣化リスクを冒しても、設備容量をできるだけ減らすことで、より安価な通信ネットワークを提供するというような設備の設計・運用計画を策定するという判断が、通信ネットワーク設備の設計・運用業務において可能になる。
本発明の第1の実施の形態に係る通信トラヒック予測装置の機能構成図である。 本発明の第1の実施の形態に係る通信トラヒック予測装置の動作を説明するフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係る通信トラヒック予測装置の機能構成図である。 本発明の第2の実施の形態に係る通信トラヒック予測装置の動作を説明するフローチャートである。 本発明の第3の実施の形態に係る通信トラヒック予測装置の機能構成図である。 本発明の第3の実施の形態に係る通信トラヒック予測装置の動作を説明するフローチャートである。 通信トラヒック予測の出力結果の例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下で説明する各実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態について、以下に説明する。図1は、第1の実施の形態に係る通信トラヒック予測装置10の機能構成図である。図2は、第1の実施の形態に係る通信トラヒック予測装置10の動作を示すフローチャートである。
第1の実施の形態における通信トラヒック予測装置10は、管理・運用している通信ネットワークにおいて、IP電話サービス、インターネット接続サービス、IP多チャンネル放送サービス、ビデオオンデマンドサービス(VODサービス)を含む多数の通信サービスを、同一のパケットクラスで多重して提供する通信ネットワークを対象とする。なお、前記の通信サービスを、複数の異なる通信サービス事業者が提供している場合を含む。
図1に示すように、第1の実施の形態における通信トラヒック予測装置10は、トラヒックデータ取得部20、トラヒックデータベース部30、通信サービス分析分類部40、トラヒック分計部50、通信サービス別トラヒック予測部60、必要設備算出部70、及び出力部80を有する。
通信サービス分析分類部40は、分析部42と分類部43を有する。トラヒック分計部50は、第1分類型分計部51、第2分類型分計部52、第3分類型分計部53を有する。通信サービス別トラヒック予測部60は、第1分類型予測部61、第2分類型予測部62、第3分類型予測部63、加入数予測部64、加入あたりトラヒック予測部65を有する。必要設備算出部70は、積算部71と短時間変動推定部72を有する。
また、通信トラヒック予測装置10は、通信ネットワーク1及びネットワーク管理システム2に接続されている。
本実施の形態では、通信ネットワーク1の各設備から、標準MIB、フローデータ、パケットキャプチャ、その他による形式を含むトラヒックデータ4を、定期的に取得可能であるとする。また、網構成情報3は、通信ネットワーク1の管理システム2から随時取得可能であるとする。更に、通信サービスの加入者数データ5は、通信ネットワーク1の管理システム2から随時取得可能であるとする。
以下、第1の実施の形態における通信トラヒック予測装置10の各機能部の動作について、図2に示すフローチャートの手順に沿って説明する。以下で記述するステップ番号は、図2に示すステップ番号に対応する。
まず、トラヒックデータ取得部20の動作について説明する。
ステップS100)トラヒックデータ取得部20は、通信ネットワーク1の各設備から、各種トラヒックデータ4を定期的に取得する。また、トラヒックデータ取得部20は、ネットワーク管理システム2から網構成情報3を、通信ネットワーク1を構成する設備の接続状況に変更が発生した時点で取得する。また、トラヒックデータ取得部20は、ネットワーク管理システム2から、通信サービスごとの加入者数データを毎日取得する。トラヒックデータ取得部20では、取得する各種データに対する取得元、取得する時間や周期などの必要条件を満たす、最適な取得スケジュールを計算してもよい。
トラヒックデータベース部30は、トラヒックデータ取得部20により取得されたデータを長期間に渡り蓄積する。
次に、通信サービス分析分類部40について説明する。
ステップS110)まず、トラヒッデータベース部30から必要な各種データを読み込む。次に、提供通信サービス情報41を読み込む。提供通信サービス情報41には、提供している通信サービスの一覧情報と、それぞれの通信サービスによるトラヒックやフローなどを各種データの中から特定するための情報が記載されている。
ステップS120)次に、分析部42において、提供通信サービス情報41に記載された情報から、それぞれの通信サービスに関して各種データに対してあらかじめ準備した分析を行い、分析結果を出力する。分析の手法は、各種トラヒックデータに対する統計分析処理、あるいは、フローデータやパケットキャプチャデータの発着IPアドレスの分析などを含む。
ステップS130)次に、分類部43において、分析部42の分析結果を入力して、通信サービスをあらかじめ準備した定型処理の分類グループのいずれかに分類する。このとき、分析部42で実施する分析結果に対する判別条件をあらかじめ設定しておくことができる。
ステップS141〜S143)トラヒック分計部50において、通信サービスに対して、分類部43で判定された通信サービスが属する分類グループに対してあらかじめ準備した定型処理を実施し、通信サービスのトラヒック量を全体トラヒック量から分計した結果を出力する。
第1の実施の形態では、第1分類型から第3分類型の3つの分類を設定した場合を想定しており、それに対応して、トラヒック分計部50は、第1分類型分計部51、第2分類型分計部52、第3分類型分計部53を有し、それぞれ分類型に対応した分計を行う。なお、本実施の形態では、通信サービス分析分類部40を備えることとしているが、通信サービス分析分類部40の機能をトラヒック分計部50に含めることで、通信サービス分析分類部40を備えないこととしてもよい。
ステップS151〜S153)続いて、通信サービス別トラヒック予測部60において、通信サービスに対して、分類部43で判定された通信サービスが属する分類グループに対して、あらかじめ準備した定型処理を実施し、トラヒック分計部50において分計された通信サービスのトラヒック量のデータに基づき、通信サービスの将来の時点t^のトラヒック予測を実施した結果を出力する。
通信サービス別トラヒック予測部60は、第1分類型から第3分類型の3つの分類に対応して、第1分類型予測部61、第2分類型予測部62、第3分類型予測部63を有し、それぞれの分類型に対応した予測を行う。
それぞれの通信サービスのトラヒック予測においては、通信サービスの加入者数と加入者あたりトラヒック量に分けて、加入数予測部64において、加入者数の予測を行い、加入あたりトラヒック予測部65において加入あたりトラヒック量の予測を行う。なお、加入数予測部64の機能とトラヒック予測部65の機能を、第1分類型予測部61、第2分類型予測部62、第3分類型予測部63のそれぞれに含めることで、加入数予測部64とトラヒック予測部65を備えないこととしてもよい。
ステップS158)加入数予測部64では、第1分類型から第3分類型までに属するそれぞれの通信サービスの加入数の毎月純増数の傾向から、最適な通信サービスの加入数の予測を行う。新規イノベーションとして普及しようとしている当該通信サービスの場合には、S字成長曲線の理論に基づいた予測を行う。S字成長曲線の理論に基づく予測とは、時間軸を対数変換したとき、加入数Aの増加過程を3つの期間に分け、第1の期間を下に凸の関数で予測し、第2の期間を直線で予測し、第3の期間を上に凸の関数で予測するものである。第1と第2の期間を分ける時点の検出は、単月の純増数が増加から減少に転じる時点とし、第1と第2の期間の予測には、従来の回帰直線による予測よりも高い精度で予測できる。
ステップS159)加入あたりトラヒック予測部65では、第1分類型から第3分類型までに属する通信サービスの加入あたりトラヒック量の変動傾向から、最適な当該通信サービスの加入あたりトラヒック量の予測を行う。
次に、必要設備算出部70の動作について説明を行う。必要設備算出部70は、積算部71と短時間変動推定部72を有する。
ステップS160)まず、積算部71では、サービス別トラヒック予測部60で算出された、それぞれの通信サービスの将来時点t^のトラヒック予測を、提供しているすべての通信サービスについて積算したトラヒック量を算出する。
ステップS170)次に、短時間変動推定部72において、サービス別トラヒック予測部60で算出された、それぞれの通信サービスの必要とするサービス品質を確保するために、必要となるパケットの短時間変動を吸収する設備容量を推定する。短時間変動推定部72では、各装置の性能諸元や負荷検証実験によって得られた実績データに基づく計算結果、あるいは、コンピュータ・シミュレーションや数理モデルを作成した推定結果を出力することができる。
ステップS180)最後に、出力部80において、必要設備算出部70の結果を入力として、将来時点t^において、提供しているすべての通信サービスを提供するために必要な設備量が出力される。
本実施の形態に係る通信トラヒック予測装置10は、1つ又は複数のコンピュータに、本明細書で説明する処理内容を記述したプログラムを実行させることにより実現可能である。すなわち、通信トラヒック予測装置10の各部が有する機能は、当該コンピュータに内蔵されるCPUやメモリ、ハードディスクなどのハードウェア資源を用いて、通信トラヒック予測装置10の各部で実施される処理に対応するプログラムを実行することによって実現することが可能である。また、上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(可搬メモリ等)に記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記プログラムをインターネットや電子メールなど、ネットワークを通して提供することも可能である。
なお、トラヒックデータ取得部20とトラヒックデータベース部30を、通信トラヒック予測装置10とは別の装置に備え、通信トラヒック予測装置10が当該装置にアクセスすることで各種データを取得し、トラヒック予測を行うこととしてもよい。
上記のようにして、コンピュータとプログラムにより本発明を実施できる点は、他の実施の形態でも同様である。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、以下に説明する。図3は、第2の実施の形態に係る通信トラヒック予測装置10の機能構成図である。図4は、第2の実施の形態に係る通信トラヒック予測装置10の動作を示すフローチャートである。
第2の実施の形態における通信トラヒック予測装置10は、管理・運用している通信ネットワークにおいて、IP電話サービス、インターネット接続サービス、IP多チャンネル放送サービス、ビデオオンデマンドサービス(VODサービス)を、同一のパケットクラスで多重して提供する通信ネットワークを対象とする。
IP多チャンネル放送サービスは、マルチキャストを用いて実現されているものとする。IP電話サービス、インターネット接続サービス、IP多チャンネル放送サービス、VODサービスを、複数の通信サービス事業者が提供してもよいが、第2の実施の形態では、IP多チャンネル放送サービスはP1社とP2社が提供しており、VODサービスはV1社とV2社が提供しているものとする。P1社が提供しているIP多チャンネル放送サービスのみを指す場合には、IP多チャンネル放送サービス(P1)などのように記述するものとする。
図3に示すように、第2の実施の形態における通信トラヒック予測装置10は、トラヒックデータ取得部20、トラヒックデータベース部30、トラヒック分計部50、通信サービス別トラヒック予測部60、必要設備算出部70、及び出力部80を有する。トラヒック分計部50は、MC型分計部54、配信型分計部55、交流型分計部56を有する。通信サービス別トラヒック予測部60は、MC型予測部66、配信型予測部67、交流型予測部68を有する。必要設備算出部70は、積算部71、短時間変動推定部72を有する。また、通信トラヒック予測装置10は、通信ネットワーク1及びネットワーク管理システム2に接続されている。
取得可能なトラヒックデータに関し、本実施の形態では、通信ネットワーク1の各設備において、標準MIBによるトラヒックデータ4が、1時間に1回測定されるものとする。ここでは、同一のパケットクラスで多重して提供されている状況を仮定しているので、標準MIBでは、すべての通信サービスのトラヒックの合計値が測定される。
網構成情報3は、通信ネットワークの管理システム2から随時取得可能であるとする。また、通信サービスの加入者数データ5は、通信ネットワークの管理システム2から随時取得可能であるとする。
以下、第2の実施の形態における通信トラヒック予測装置10の各機能部の動作について、図4に示すフローチャートの手順に沿って説明する。以下で記述するステップ番号は、図4に示すステップ番号に対応する。
まず、トラヒックデータ取得部20の動作について説明を行う。
ステップS200)トラヒックデータ取得部20は、データ容量と計算量の削減のため、通信ネットワーク1の各設備で毎時取得される標準MIBに対して、日々の最繁時のトラヒックデータのみを取得する。また、トラヒックデータ取得部20は、ネットワーク管理システム2から網構成情報3を、通信ネットワーク1を構成する設備の接続状況に変更が発生した時点で取得する。また、トラヒックデータ取得部20は、ネットワーク管理システム2から、通信サービスごとの加入者数データを毎日取得する。トラヒックデータ取得部20では、取得する各種データに対する取得元、取得する時間や周期などの必要条件を満たす、最適な取得スケジュールを計算してもよい。
第2の実施の形態では、各設備のトラヒックデータは、日々の最繁時の1つしか取得しないので、特に明記しない場合のトラヒックデータとは、当該設備の最繁時のトラヒックデータであるものとする。
トラヒックデータベース部30は、トラヒックデータ取得部20により取得されたデータを蓄積する。
ステップS210)第2の実施の形態では、トラヒック分計部50により、提供通信サービス情報などの各種データが読み込まれる。
第2の実施の形態における提供通信サービス情報には、(1)定型処理グループの一覧と、(2)提供している通信サービスの一覧と、(3)該通信サービスが属する定型処理グループとの対応関係と、が記載されている。
具体的には、第2の実施の形態では、以下のとおりの情報が記載されている。
(1)定型処理グループの一覧として、MC型、配信型、交流型の3つが記載されている。
(2)提供している通信サービスの一覧として、IP電話サービス、インターネット接続サービス、IP多チャンネル放送サービス(P1)、IP多チャンネル放送サービス(P2)、VODサービス(V1)、VODサービス(V2)、の6つが記載されている。
(3)該通信サービスが属する定型処理グループとの対応関係として、MC型にIP多チャンネル放送サービス(P1)、IP多チャンネル放送サービス(P2)、配信型にVODサービス(V1)、VODサービス(V1)、交流型にIP電話サービス、インターネット接続サービス、と記載されている。
ステップS230)提供通信サービス情報により、提供している通信サービスは、あらかじめ準備している定型処理グループに分類することができる。すなわち、本実施の形態では、MC型、配信型、交流型の3つに分類することができる。
図3に示すとおり、第2の実施の形態では、トラヒック分計部50における各機能部が、トラヒックデータベース部30から読み出される提供情報サービス情報41と該当定型処理グループに対応する設定情報に基づいて、該当するトラヒックデータを特定して取得する処理などを行う。
定型処理グループに対応する設定情報としては、MC型設定情報44と配信型設定情報45がある。
MC型設定情報44には、MC型に分類される通信サービスのそれぞれについて、その通信サービスに対応するトラヒックデータを特定する情報として、マルチキャストの発信源の設備を特定する情報とマルチキャスト配信木を特定する情報が記載されている。
より具体的に、第2の実施の形態におけるMC型設定情報44には、IP多チャンネル放送サービス(P1)に対応するトラヒックデータを特定する情報として、P1社のマルチキャストの発信源の設備を特定する情報とマルチキャスト配信木を特定する情報と、IP多チャンネル放送サービス(P2)に対応するトラヒックデータを特定する情報として、P2社のマルチキャストの発信源の設備を特定する情報とマルチキャスト配信木を特定する情報が記載されている。
配信型設定情報45には、配信型に分類される通信サービスのそれぞれについて、その通信サービスに対応するトラヒックデータを特定する情報として、VODサービスの発信源の設備を特定する情報と、すべてのVODサービスの加入者へVODサービスを提供するときに経由する通信ネットワークにおける設備を特定する情報と、その設備を経由してVODサービスを受けるVODサービス加入者数の情報が記載されている。
より具体的に、第2の実施の形態では、配信型設定情報45には、VODサービス(V1)に対応するトラヒックデータを特定する情報として、V1社のVODサービスの発信源の設備を特定する情報と、すべてのVODサービス(V1)の加入者へVODサービス(V1)を提供するときに経由する通信ネットワークにおける設備を特定する情報と、その設備を経由してVODサービス(V1)を受けるVODサービス(V1)加入者数の情報と、VODサービス(V2)に対応するトラヒックデータを特定する情報として、V1社のVODサービスの発信源の設備を特定する情報と、すべてのVODサービス(V2)の加入者へVODサービス(V2)を提供するときに経由する通信ネットワークにおける設備を特定する情報と、その設備を経由してVODサービス(V2)を受けるVODサービス(V2)加入者数の情報と、が記載されている。
次に、トラヒック分計部50の動作について詳細に説明する。
ステップS241)まず、MC型分計部54の動作を説明する。MC型に分類される通信サービスのトラヒック量は、通信ネットワーク上の特定の設備のトラヒック量に一致する特徴があるため、MC型分計部54は、これを利用したトラヒック分計を行う。IP多チャンネル放送サービスはMC型に分類される。
第2の実施の形態では、MC型に分類されるIP多チャンネル放送サービスによるトラヒック量は、当該IP多チャンネル放送サービスを実現しているマルチキャストの発信源において、測定されるトラヒック量を用いることができる。
すなわち、MC型分計部54は、MC型設定情報を読み込み、当該IP多チャンネル放送サービスを実現しているマルチキャストの発信源を特定する情報と、発信源からすべてのマルチキャスト配信先の設備にいたるマルチキャスト配信木の設定情報を入力として、通信ネットワーク1上のすべての設備上での当該IP多チャンネル放送サービスのトラヒック量を求める。
ここで、P1社によるIP多チャンネル放送サービス(P1)のトラヒック量について、以下のように定義すると、
F_x_p1(t1) :時点t1のトラヒック予測対象の設備のIP多チャンネル放送サービス(P1)のトラヒック量;
S_x_p1(t1) :時点t1のIP多チャンネル放送サービス(P1)の発信源のトラヒック量、
MC型分計部54は、以下の関係式によって、F_x_p1(t1)を算出することができる。
F_x_p1(t1) = S_x_p1(t1)
ただし、当該設備がマルチキャスト配信木に属さない場合は、F_x_p1(t1) = 0とする。
同様に、P2社によるIP多チャンネル放送サービス(P2)のトラヒック量について、以下のように定義すると、
F_x_p2(t1) :時点t1のトラヒック予測対象の設備のIP多チャンネル放送サービス(P2)のトラヒック量;
S_x_p2(t1) :時点t1のIP多チャンネル放送サービス(P2)の発信源のトラヒック量、
MC型分計部54は、以下の関係式によって、F_x_p2(t1)を算出することができる。
F_x_p2(t1) = S_x_p2(t1)
ただし、当該設備がマルチキャスト配信木に属さない場合は、F_x_p2(t1) = 0とする。
一般的に、IP多チャンネル放送サービスを提供する会社がn社以上存在しても、同様であり、n社のトラヒックの合計を、MC型トラヒック総量と定義する。
つまり、F_x (t1) を時点t1のトラヒック予測対象の設備のMC型トラヒック総量とすると、以下の関係式によってMC型トラヒック総量を算出できる。
F_x (t1) =F_x_p1 (t1) +F_x_p2 (t1)+・・・+F_x_pn (t1)
=S_x_p1 (t1) +S_x_p2 (t1)+・・・+S_x_pn (t1)
ステップS242)次に、配信型分計部55の動作を説明する。配信型に分類される通信サービスのトラヒック量は、通信ネットワーク上の特定の設備のトラヒック量が分岐したものであるという特徴があるため、配信型分計部55は、これを利用したトラヒック分計を行う。
第2の実施の形態において、配信型に分類されるVODサービスについては、以下の手順で、通信ネットワーク上の全ての設備上での当該VODサービスのトラヒック量を求めることができる。
配信型分計部55は、配信型設定情報を読み込み、VODサービスに対応するトラヒックデータを特定する情報として、VODサービスの発信源の設備を特定する情報と、すべてのVODサービスの加入者へVODサービスを提供するときに経由する通信ネットワークにおける設備を特定する情報と、その設備を経由してVODサービスを受けるVODサービス加入者数の情報を入力として、通信ネットワーク上のすべての設備上での当該VODサービスのトラヒック量を求める。
ここで、V1社によるVODサービス(V1)のトラヒック量について、以下のように定義する。
F_y_v1(t1) :時点t1のトラヒック予測対象の設備のVODサービス(V1)のトラヒック量;
S_y_v1(t1) :時点t1のVODサービス(V1)の発信源のトラヒック量;
A_y_v1 (t1) :時点t1のVODサービス(V1)の全加入者数;
B_y_v1 (t1) :時点t1の当該設備を経由するVODサービス(V1)を受ける加入者数。
このとき、配信型分計部55は、以下の関係式によって、F_y_v1(t1)を算出する。
F_y_v1 (t1) = S_y_v1 (t1) * B_y_v1 (t1) / A_y_v1 (t1)
ただし、当該設備が当該VODサービスを経由しない場合は、F_y_v1 (t1)=0とする。
同様に、V2社によるVODサービス(V2)のトラヒック量について、以下のように定義する。
F_y_v2 (t1) :時点t1のトラヒック予測対象の設備のVODサービス(V2)のトラヒック量;
S_y_v2 (t1) :時点t1の当該VODサービス(V2)の発信源のトラヒック量;
A_y_v2 (t1) :時点t1の当該VODサービス(V2)の全加入者数;
B_y_v2 (t1) :時点t1の当該設備を経由するVODサービス(V2)を受ける加入者数。
このとき、配信型分計部55は、以下の関係式によって、F_y_v2(t1)を算出する。
F_y_v2 (t1) = S_y_v2 (t1) * B_y_v2 (t1) / A_y_v2 (t1).
ただし、当該設備が当該VODサービスを経由しない場合は、F_y_v2 (t1)=0とする。
一般的に、VODサービスを提供する会社がn社以上存在しても、同様であり、n社のトラヒックの合計を、配信型トラヒック総量と定義する。
つまり、F_y (t1) を時点t1のトラヒック予測対象の設備の配信型トラヒック総量とすると、以下の関係式によってF_y (t1) を算出できる。
F_y (t1)
=F_y_v1 (t1) +F_y_v2 (t1)+・・・+F_y_vn (t1)
=S_y_v1 (t1) * B_y_v1 (t1) / A_y_v1 (t1)+S_y_v2 (t1) * B_y_v2 (t1) / A_y_v2 (t1)+・・・
+S_y_vn (t1) * B_y_vn (t1) / A_y_vn (t1).
ステップS243)続いて、交流型分計部56の動作を説明する。交流型に分類される通信サービスのトラヒック量は、通信ネットワーク上に複雑に流れており、特定の設備のトラヒック量との関係を見出すことが難しいが、インターネット接続サービスのように、非常に多くの利用者による非常に多様なアプリケーションが多重されることで、トラヒック特性の偏りが小さくなっているという特徴がある。この特徴をさらに強くさせるためには、交流型に分類される通信サービスをまとめたトラヒックの分計を行うことが効果的であり、なおかつ、トラヒック分計のための処理量も小さくできる。
このような観点に基づき、第2の実施の形態では、交流型に分類されるインターネット接続サービスとIP電話サービスについては、その合計を交流型トラヒック総量と定義して、分計を行う。
ここで、以下のように定義する。
F_z (t1) :時点t1のトラヒック予測対象の設備の交流型トラヒック総量;
F (t1) :時点t1の当該設備のトラヒック量。
このとき、交流型分計部56は、以下の関係式によって、F_z(t1)を算出する。
F_z (t1) = F (t1) - F_x (t1) -F_y (t1)
次に、通信サービス別トラヒック予測部60の動作について詳細な説明を行う。
ステップS251)まず、MC型予測部66の動作を説明する。MC型に分類される通信サービスのトラヒック量は、通信ネットワーク上の特定の設備のトラヒック量に一致する特徴があるため、本来、これを利用したトラヒック予測を行う。IP多チャンネルはMC型に分類される。
第2の実施の形態で、MC型に分類されるIP多チャンネル放送サービスでは、配信番組数は変動することはほとんどなくほぼ一定であるから、対応するマルチキャストのトラヒック量もほとんど一定値となる。
そこで、MC型予測部66は、MC型に分類された通信サービスのトラヒック予測については、一定値とする。つまり、MC型に分類されるIP多チャンネル放送サービス(P1)とIP多チャンネル放送サービス(P2)のトラヒック予測についても、一定値とする。
ここで、以下のように定義する。
F^_x_p1(t^) :将来の時点t^のトラヒック予測対象の設備のIP多チャンネル放送サービス(P1)のトラヒック量;
F_x_p1(t1) :直近の時点t1の当該設備のIP多チャンネル放送サービス(P1)のトラヒック量。
このとき、MC型予測部66は、以下の関係式によって、F^_x_p1 (t^)を決める。
F^_x_p1 (t^)=F_x_p1 (t1)
同様に、以下のように定義すると、
F^_x_p2 (t^) :将来の時点t^のトラヒック予測対象の設備のIP多チャンネル放送サービス(P2)のトラヒック量;
F_x_p2 (t1) :直近の時点t1の当該設備のIP多チャンネル放送サービス(P2)のトラヒック量、
MC型予測部66は、以下の関係式によって、F^_x_p2 (t^)を決める。
F^_x_p2 (t^)=F_x_p2 (t1)
一般的に、IP多チャンネル放送サービスを提供する会社がn社以上存在しても、同様であり、n社のトラヒックの合計である、MC型トラヒック総量についても予測可能である。
つまり、F^_x (t^) を将来の時点t^のトラヒック予測対象の設備のMC型トラヒック総量とすると、以下の関係式によってF^_x (t^) を算出できる。
F^_x (t^) =F^_x_p1 (t^) +F^_x_p2 (t^)+・・・+F^_x_pn (t^)
ステップS252)次に、配信型予測部67の動作を説明する。配信型に分類される通信サービスのトラヒック量は、通信ネットワーク上の特定の設備のトラヒック量が分岐したものであるという特徴があるため、これを利用したトラヒック予測を行う。
第2の実施の形態で、配信型に分類されるVODサービスについては、以下の手順で、通信ネットワーク上の全ての設備上での当該VODサービスのトラヒック予測を行うことができる。
すなわち、配信型予測部67は、VODサービスの発信源のトラヒックについての予測を行い、トラヒック予測対象の設備を経由して当該VODサービスを利用する加入者数のVODサービス加入者に対する割合に応じて分岐した結果として、当該設備のトラヒック量を予測する。
ここで、V1社によるVODサービス(V1)のトラヒック量について、以下のように定義する。
F^_y_max_v1(t^) :将来の時点t^のトラヒック予測対象の設備の将来のVODサービス(V1)のトラヒック量の最大値;
A^_y_v1(t^) :将来の時点t^のVODサービス(V1)の加入者数;
B^_y_v1 (t^) :将来の時点t^の予測対象の設備を経由するVODサービス(V1)を受ける加入者数;
V_y_v1_max :VODサービス(V1)の配信源の設備における、加入者あたりトラヒック量の過去から現在までの最大値。
このとき、配信型予測部67は、以下の式によりF^_y_max_v1(t^)を決める。
F^_y_v1_max(t^)=V_v1_max*B^_y_v1 (t^)/A^_y_v1 (t^)
ただし、ここではVODサービスは新規イノベーションサービスと考えて、加入数の予測にS字成長曲線の理論に基づいた予測を行う。
すなわち、A^_y_v1(t^)は、VODサービス(V1)の直近12ヵ月の毎月末の加入数を、S字成長曲線の理論に基づく関数とする。また、B^_y_v1(t^)は、予測対象の設備を経由するVODサービス(V1)を受ける、直近12ヵ月の毎月末の加入数を、S字成長曲線の理論に基づく関数とする。
同様に、以下のように定義する。
F^_y_v1_ave (t^) :将来の時点t^のトラヒック予測対象の設備のVODサービス(V1)のトラヒック量の頻出値;
V_y_v1_ave : VODサービス(V1)の配信源の設備における、加入者あたりトラヒック量の前年当月の平均値。
このとき、配信型予測部67は、以下のようにF^_y_v1_ave (t^) を決める。
F^_y_v1_ave(t^)= V_y_v1_ave*B^_y_v1 (t^)/A^_y_v1 (t^)
以上のような各算出処理を行うことで、将来の時点t^における、予測対象の設備にかかるVODサービス(V1)によるトラヒック量について、通常条件で頻出するトラヒック量をF^_y_v1_ave(t^)とし、稀に発生する最大級のトラヒックをF^_y_v1_max(t^)として、複数出力させることができる。
一般的に、VODサービスを提供する会社がn社以上存在しても、同様であり、n社のトラヒックの合計である、配信型トラヒック総量についても予測可能である。
つまり、以下のように定義すると、
F^_y_max (t^) :将来の時点t^のトラヒック予測対象の設備の配信型トラヒック総量の最大値;
F^_y_ave (t^) :将来の時点t^のトラヒック予測対象の設備の配信型トラヒック総量の頻出値、
F^_y_max(t^)とF^_y_ave(t^)について、以下のようにして算出できる。
F^_y_max(t^)=V_v1_max*B^_y_v1 (t^)/A^_y_v1 (t^)+V_v2_max*B^_y_v2 (t^)/A^_y_v2 (t^)+・・・+V_vn_max*B^_y_vn (t^)/A^_y_vn (t^)、
F^_y_ave(t^)=V_y_v1_ave*B^_y_v1 (t^)/A^_y_v1 (t^)+V_y_v2_ave*B^_y_v2 (t^)/A^_y_v2 (t^)+・・・+V_y_vn_ave*B^_y_vn (t^)/A^_y_vn (t^)。
上記により、トラヒック予測と設備設計の担当者は、サービス品質のリスクと設備コストの両面から、設備の設計・運用計画の業務を検討することができるメリットを有する。
ステップS253)さらに、交流型予測部68の動作を説明する。交流型に分類される通信サービスのトラヒック量は、通信ネットワーク上の複雑に流れており、特定の設備のトラヒック量との関係を見出すことが難しいが、インターネット接続サービスのように、非常に多くの利用者による非常に多様なアプリケーションが多重されることで、トラヒック特性の偏りが小さくなっているという特徴がある。この特徴をさらに強くさせるためには、交流型に分類される通信サービスをまとめたトラヒックの予測を行うことが効果的であり、なおかつ、トラヒック分計のための処理量も小さくできる。
そこで、第2の実施の形態で、交流型に分類されるインターネット接続サービスとIP電話サービスについては、その合計である交流型トラヒック総量に対して予測を行う。
ここで、F^_z (t^) を将来の時点t^のトラヒック予測対象の設備の交流型トラヒック総量とする。
交流型トラヒック総量の加入者数は、インターネット接続サービスとIP電話サービスのそれぞれの加入者数の大きい方の数値と定める。
ここで、以下のように定義する。
U_z (t1) :時点t1の交流型トラヒック総量の加入者数;
A_z_q1(t1):時点t1のインターネット接続サービスの加入者数;
A_z_q2(t1):時点t1のIP電話サービスの加入者数。
すると、U_z (t1)は以下のように定めることができる。
U_z (t1) = MAX{A_z_q1(t1), A_z_q1(t1)}
交流型トラヒック総量の予測は以下のように行うことができる。
まず、以下のように、定義する。
F^_z_max (t^):将来の時点t^のトラヒック予測対象の設備の交流型トラヒック総量の最大値;
U^_z (t^) :将来の時点t^の交流型トラヒック総量の加入者数;
V^_z_max (t^) :将来の時点t^の交流型トラヒック総量の加入者あたりトラヒック量の予測される月間最大値。
このとき、F^_z_max (t^)は以下のようにして算出される。
F^_z_max (t^)=U^_z(t^)*V^_z_max(t^)
ただし、U^_z (t^)は、交流型トラヒック総量の加入者数の毎月末データを直近12ヵ月について最小二乗法で直線外挿した関数とする。また、V^_z_max (t^)は、交流型トラヒック総量の加入者当たりトラヒックを算出したデータにおいての、月間最大値を、直近12点について最小二乗法で直線外挿した関数とする。
また、以下のように定義する。
F^_z_ave (t^):将来の時点t^のトラヒック予測対象の設備の交流型トラヒック総量の頻出値;
V^_z_ave(t^):将来の時点t^の交流型トラヒック総量の加入者あたりトラヒック量の予測される月間平均値。
このとき、F^_z_ave(t^)は以下のようにして算出できる。
F^_z_ave(t^)=U^_z(t^)*V^_z_ave(t^)
ただし、V^_z_ave (t^)は、交流型トラヒック総量の加入者当たりトラヒックを算出したデータにおいての、月間平均値を、直近12点について最小二乗法で直線外挿した関数とする。
上記のようにして、将来の時点t^で、トラヒック予測対象の設備の、通常条件で頻出するトラヒック量の予測であるF^_z_ave (t^)と、稀に発生する最大級のトラヒック量であるF^_z_max(t^)の2つの値を出力することで、トラヒック予測と設備設計の担当者は、サービス品質のリスクと設備コストの両面から業務を検討することができるメリットを有する。
次に、必要設備算出部70の動作について詳細な説明を行う。
ステップS260)まず、積算部71では、通信サービス別トラヒック予測部60で算出された、それぞれの通信サービスの将来の時点t^のトラヒック予測を、提供しているすべての通信サービスについて積算したトラヒック量を算出する。
ステップS270)次に、短時間変動推定部72において、通信サービス別トラヒック予測部60で算出された結果を入力として、それぞれの通信サービスの必要とするサービス品質を確保するために、トラヒックデータの測定周期に対して必要となるパケットの短時間変動を吸収する設備容量を推定する。
第2の実施の形態では、将来の時点t^のトラヒック予測対象の設備に対して、通常条件で頻出するトラヒック量の予測として、F^_x(t^)+F^_y_ave (t^)+F^_z_ave(t^)、稀に発生する最大級のトラヒック量の予測として、F^_x(t^)+F^_y_max(t^)+F^_z_max(t^)、を入力として、それぞれの通信サービスの必要とするサービス品質を確保するために、トラヒックデータの測定周期に対して必要となるパケットの短時間変動を吸収するための、将来の時点t^の設備容量の算出を行う。
短時間変動推定部72では、各装置の性能諸元や負荷検証実験によって得られた実績データに基づく計算結果、あるいは、コンピュータ・シミュレーションや数理モデルを作成した推定結果を出力することができるものとするが、第2の実施の形態では、各装置の負荷検証実験によって、トラヒックデータの測定周期に基づくトラヒック量に対して、すべての通信サービスの必要とするサービス品質を確保するために必要な設備量がd倍(定数)であることが分かっているものとする。
このとき、短時間変動推定部72は、将来の時点t^のトラヒック予測対象の設備に対して、通常条件で頻出するトラヒック量に必要な設備量として、d*(F^_x(t^)+F^_y_ave(t^)+F^_z_ave(t^))、稀に発生する最大級のトラヒック量に必要な設備量として、d*(F^_x (t^)+F^_y_max(t^)+F^_z_max(t^))
をそれぞれ出力する。
ステップS280)最後に、出力部80において、必要設備算出部70の処理結果を入力として、将来の時点t^において、提供しているすべての通信サービスを提供するために必要な設備量が出力される。
将来の時点t^で、トラヒック予測対象の設備の、通常条件で頻出するトラヒック量の予測であるd*(F^_x(t^)+F^_y_ave(t^)+F^_z_ave(t^))と、稀に発生する最大級のトラヒック量であるd*(F^_x (t^)+F^_y_max(t^)+F^_z_max(t^))の2つの値を出力することで、トラヒック予測と設備設計の担当者は、サービス品質のリスクと設備コストの両面から業務を検討することができるメリットを有する。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態について、以下に説明する。図5は、第3の実施の形態に係る通信トラヒック予測装置10の機能構成図である。図6は、第3の実施の形態に係る通信トラヒック予測装置10の動作を示すフローチャートである。
第3の実施の形態における通信トラヒック予測装置10は、通信サービスとして、IP電話サービス、インターネット接続サービス、IP多チャンネル放送サービス、ビデオオンデマンドサービス(VODサービス)、に加えて、他網接続サービスを、同一のパケットクラスで多重して提供する通信ネットワークを対象とする。
IP多チャンネル放送サービスは、マルチキャストを用いて実現されているものとする。IP電話サービス、インターネット接続サービス、IP多チャンネル放送サービス、VODサービスを、複数の通信サービス事業者が提供してもよいが、第3の実施の形態では、IP多チャンネル放送サービスはP1社とP2社が提供しており、VODサービスはV1社とV2社が提供しているものとする。P1社が提供しているIP多チャンネル放送サービスのみを指す場合には、IP多チャンネル放送サービス(P1)などのように記述するものとする。
第3の実施の形態と、第2の実施の形態との差は、第3の実施の形態では第3者によって運営されている通信ネットワーク(N1)が存在して、接続点から相互の通信ネットワークを交流するトラヒックが流出入していることである。接続点から流出入する通信サービスを、まとめて他網接続サービス(N1)と定義する。
ここで、本実施の形態では、通信ネットワーク(N1)が接続された時点t0が分かっていて、その時点の前後での各設備のトラヒック量が、トラヒックデータベースに蓄積されていることを条件とする。
図5に示すように、第3の実施の形態における通信トラヒック予測装置10は、トラヒックデータ取得部20、トラヒックデータベース部30、トラヒック分計部50、通信サービス別トラヒック予測部60、必要設備算出部70、及び出力部80を有する。トラヒック分計部50は、MC型分計部54、配信型分計部55、交流型分計部56、接続型分計部57を有する。通信サービス別トラヒック予測部60は、MC型予測部66、配信型予測部67、交流型予測部68、接続型予測部を有する。必要設備算出部70は、積算部71、短時間変動推定部72を有する。また、通信トラヒック予測装置10は、通信ネットワーク1及びネットワーク管理システム2に接続されている。また、前述したように、通信ネットワーク(N1)8が接続点9を介して通信ネットワーク1と接続されている。
取得可能なトラヒックデータに関し、本実施の形態では、通信ネットワーク設備の標準MIBによるもので、1時間に1回測定されるものとする。ここでは、すべての通信ネットワーク設備に対して、多重された通信サービスのトラヒックデータの合計値が測定されるとする。また、通信サービスの加入者数の情報は、通信ネットワークの管理システム2から定期的に取得可能であるとする。
以下、第3の実施の形態における通信トラヒック予測装置10の各機能部の動作について、図6に示すフローチャートの手順に沿って説明する。以下で記述するステップ番号は、図6に示すステップ番号に対応する。
ステップS300)トラヒックデータ取得部20は、データ容量と計算量の削減のため、通信ネットワーク1の各設備で毎時取得される標準MIBのうち、日々の最繁時のトラヒックデータのみを取得する。通信サービスごとの加入者数データは、ネットワーク管理システム2から、毎月末のみ取得する。網構成情報3は、ネットワーク構成に変更が発生した時点で取得する。トラヒックデータ取得部20では、取得する各種データに対する、取得元、取得する時間や周期などの条件を満たす、最適な取得スケジュールを計算してもよい。
第2の実施の形態との相違は、通信ネットワーク(N1)との接続点9において、他網接続サービス(N1)のトラヒックデータを取得していることである。
第3の実施の形態では、各設備のトラヒックデータは、日々の最繁時の1つしか取得しないので、特に明記しない場合のトラヒックデータとは、当該設備の最繁時のトラヒックデータであるものとする。
トラヒックデータベース部30は、トラヒックデータ取得部20により取得されたデータを蓄積する。
ステップS310)第3の実施の形態では、トラヒック分計部50により、提供通信サービス情報などの各種データが読み込まれる。
第3の実施の形態における提供通信サービス情報には、(1)定型処理グループの一覧と、(2)提供している通信サービスの一覧と、(3)該通信サービスが属する定型処理グループとの対応関係と、が記載されている。
具体的には、第3の実施の形態では、以下のとおりの情報が記載されている。
(1)定型処理グループの一覧として、MC型、配信型、接続型、交流型の4つが記載されている。
(2)提供している通信サービスの一覧として、IP電話サービス、インターネット接続サービス、IP多チャンネル放送サービス(P1)、IP多チャンネル放送サービス(P2)、VODサービス(V1)、VODサービス(V2)、の6つが記載されている。
(3)該通信サービスが属する定型処理グループとの対応関係として、MC型にIP多チャンネル放送サービス(P1)、IP多チャンネル放送サービス(P2)、配信型にVODサービス(V1)、VODサービス(V1)、接続型に他網接続サービス(N1)、交流型にIP電話サービス、インターネット接続サービス、と記載されている。
ステップS330)提供通信サービス情報により、提供している通信サービスは、あらかじめ準備している定型処理グループに分類することができる。すなわち、本実施の形態では、MC型、配信型、接続型、交流型の4つに分類することができる。
図5に示すとおり、第3の実施の形態では、トラヒック分計部50における各機能部が、トラヒックデータベース部30から読み出される提供情報サービス情報41と該当定型処理グループに対応する設定情報に基づいて、該当するトラヒックデータを特定して取得する処理を行う。
定型処理グループに対応する設定情報としては、MC型設定情報44、配信型設定情報45、及び接続点情報46がある。
MC型設定情報44には、MC型に分類される通信サービスのそれぞれについて、その通信サービスに対応するトラヒックデータを特定する情報として、マルチキャストの発信源の設備を特定する情報とマルチキャスト配信木を特定する情報が記載されている。
第3の実施の形態におけるMC型設定情報44は、第2の実施の形態と同一のため、具体的な説明は省略する。
配信型設定情報45には、配信型に分類される通信サービスのそれぞれについて、その通信サービスに対応するトラヒックデータを特定する情報として、VODサービスの発信源の設備を特定する情報と、すべてのVODサービスの加入者へVODサービスを提供するときに経由する通信ネットワークにおける設備を特定する情報と、その設備を経由してVODサービスを受けるVODサービス加入者数の情報が記載されている。
第3の実施の形態の配信型設定情報45は、第2の実施の形態と同一のため、具体的な説明は省略する。
次に、トラヒック分計部50の動作について詳細に説明する。
MC型分計部54の動作(ステップS341)、及び配信型分計部55の動作(ステップS342)については、第2の実施の形態と同一のため、その説明を省略する。
ステップS343)接続型分計部57の動作を説明する。接続型に分類される他網接続サービス(N1)のトラヒック量は、交流型と同じく、通信ネットワークを複雑に流れており、特定の設備のトラヒック量との関係を見出すことが難しいと考えられるが、通信ネットワーク(N1)が接続された時点の前後での各設備のトラヒック量の変化は、トラヒックデータによって測定出来ている。したがって、接続時の前後での各設備のトラヒックの変化量を、接続時点においての各設備を経由する他網接続型サービスに分類される通信サービスの全てのトラヒック量に等しいと考える。
この他網接続型サービスに分類される通信サービスの全てのトラヒック量を、接続型トラヒック総量と定義する。
ここで、以下のように定義する。
F_w(t0) :接続時点t0のトラヒック予測対象の設備における接続型トラヒック総量;
F(t0+) : 接続時点t0の直後の時点t0+のトラヒック予測対象の設備におけるトラヒック量;
F(t0-) :接続時点t0の直前の時点t0-のトラヒック予測対象の設備におけるトラヒック量。
このとき、F_w(t0) は以下のように算出される。
F_w(t0) =F(t0+)-F(t0-)
次に、接続点においては、接続時点t0以降から直近の時点t1までの接続点のトラヒックデータが蓄積されている。したがって、接続点においては、接続時点t0から直近の時点t1との接続型トラヒックの増加比率を算出することが出来る。
以下のように定義する。
S_w (t0) :接続点における接続時点t0の接続型トラヒックのトラヒック量;
S_w (t1) :接続点における直近の時点t1 (t0 < t1)の接続型トラヒックのトラヒック量;
R_w(t0,t1) :接続点における時点t1と接続時点t0との接続型トラヒックの増加比率。
このとき、以下の関係が成り立つ。
R_w (t0,t1)= S_w(t1)/S_w(t0)
上記で求められた増加比率R_w(t0,t1) は、本来、接続点に限る比率であるが、通信ネットワーク上のすべての装置に加わる接続型トラヒック総量の増加比率と等しいと仮定することで、トラヒック予測対象の設備における接続時点t0以降のある過去の時点t1での接続型トラヒック総量を分計することが出来る。
すなわち、F_w(t1)を時点t1でのトラヒック予測対象の設備の接続型トラヒック総量とすると、接続型分計部57は、以下の関係式によりF_w(t1)を算出する。
F_w(t1) = R_w(t0, t1)* F_w(t0)
ステップS344)続いて、交流型分計部56の動作を説明する。交流型に分類される通信サービスのトラヒック量は、通信ネットワーク上を複雑に流れており、特定の設備のトラヒック量との関係を見出すことが難しいが、インターネット接続サービスのように、非常に多くの利用者による非常に多様なアプリケーションが多重されることで、トラヒック特性の偏りが小さくなっているという特徴がある。この特徴をさらに強くさせるためには、交流型に分類される通信サービスをまとめたトラヒックの分計を行うことが効果的であり、なおかつ、トラヒック分計のための処理量も小さくできる。
第3の実施の形態で、交流型に分類されるインターネット接続サービスとIP電話サービスについては、その合計を交流型トラヒック総量と定義して、分計を行う。
ここで、以下のように定義する。
F_z (t1) :時点t1のトラヒック予測対象の設備の交流型トラヒック総量;
F (t1) :時点t1の当該設備のトラヒック量。
このとき、以下の関係式によって、F_z(t1)を算出できる。
F_z (t1) = F (t1) - F_x (t1) -F_y (t1) -F_w (t1)
次に、通信サービス別トラヒック予測部60の動作について詳細な説明を行う。
MC型予測部66の動作(ステップS351)、及び配信型予測部67の動作(ステップS352)については、第2の実施の形態と同一のため、その説明を省略する。
ステップS353)接続型予測部69の動作を説明する。接続型に分類される他網接続サービス(N1)のトラヒック量は、交流型と同じく、通信ネットワークを複雑に流れており、特定の設備のトラヒック量との関係を見出すことが難しいと考えられるが、通信ネットワーク(N1)との接続点でのみトラヒック量の変化が把握できる。したがって、予測対象の設備でのトラヒック変動は、接続点での他網接続サービス(N1)のトラヒック変動に等しいと考える。
第3の実施の形態で、この他網接続型サービス(N1)に分類される通信サービスの全てのトラヒック量を、接続型トラヒック総量に対して予測を行う。
ここで、F^_w(t^) を将来の時点t^のトラヒック予測対象の設備の接続型トラヒック総量と定義し、S^w(t^)を将来の時点t^の接続点の接続型トラヒック総量と定義する。
このとき、接続の時点t0から直近の時点t1 (t0 < t1)までの増加比率が、将来の時点t^(t1 < t^)まで等しく継続すると仮定するとき、以下の関係が成り立つ。
S^_w(t^)={R_w(t0, t1)}^{(t^-t0)/(t1-t0)} * S(t0)
同様に、以下の関係が成り立つものとする。
F^_w(t^)={R_w(t0, t1)}^{(t^-t0)/(t1-t0)} * F(t0)
ステップS354)続いて、交流型予測部68の動作を説明する。交流型に分類される通信サービスのトラヒック量は、通信ネットワーク上を複雑に流れており、特定の設備のトラヒック量との関係を見出すことが難しいが、インターネット接続サービスのように、非常に多くの利用者による非常に多様なアプリケーションが多重されることで、トラヒック特性の偏りが小さくなっているという特徴がある。この特徴をさらに強くさせるためには、交流型に分類される通信サービスをまとめたトラヒックの予測を行うことが効果的であり、なおかつ、トラヒック分計のための処理量も小さくできる。
第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、交流型に分類される通信サービスのトラヒックの合計である交流型トラヒック総量に対して予測を行う。F^_z (t^) を将来の時点t^のトラヒック予測対象の設備の交流型トラヒック総量と定義する。交流型予測部68の詳細動作は、第2の実施の形態と同一のため、その説明を省略する。
次に、必要設備算出部70の動作について詳細な説明を行う。
ステップS360)まず、積算部71では、通信サービス別トラヒック予測部60で算出された、それぞれの通信サービスの将来の時点t^のトラヒック予測を、提供しているすべての通信サービスについて積算したトラヒック量を算出する。
ステップS370)次に、短時間変動推定部72において、通信サービス別トラヒック予測部60で算出された結果を入力として、それぞれの通信サービスの必要とするサービス品質を確保するために、トラヒックデータの測定周期に対して必要となるパケットの短時間変動を吸収する設備容量を推定する。
第3の実施の形態では、将来の時点t^のトラヒック予測対象の設備に対して、通常条件で頻出するトラヒック量の予測として、F^_x(t^)+F^_y_ave (t^)+F^_z_ave(t^)+F^_w(t^)、稀に発生する最大級のトラヒック量の予測として、F^_x(t^)+F^_y_max(t^)+F^_z_max(t^)+F^_w(t^)、を入力として、それぞれの通信サービスの必要とするサービス品質を確保するために、トラヒックデータの測定周期に対して必要となるパケットの短時間変動を吸収するための、将来の時点t^の設備容量の算出を行う。
短時間変動推定部72では、各装置の性能諸元や負荷検証実験によって得られた実績データに基づく計算結果、あるいは、コンピュータ・シミュレーションや数理モデルを作成した推定結果を出力することができるものとするが、第3の実施の形態では、各装置の負荷検証実験によって、トラヒックデータの測定周期に基づくトラヒック量に対して、すべての通信サービスの必要とするサービス品質を確保するために必要な設備量がd倍(定数)であることが分かっているものとする。
このとき、短時間変動推定部72は、将来の時点t^のトラヒック予測対象の設備に対して、通常条件で頻出するトラヒック量に必要な設備量として、d*(F^_x(t^)+F^_y_ave(t^)+F^_z_ave(t^)+F^_w(t^))、稀に発生する最大級のトラヒック量に必要な設備量として、d*(F^_x (t^)+F^_y_max(t^)+F^_z_max(t^)+F^_w(t^))をそれぞれ出力する。
ステップS380)最後に、出力部80において、必要設備算出部70の処理結果を入力として、将来の時点t^において、提供しているすべての通信サービスを提供するために必要な設備量が出力される。
将来の時点t^で、トラヒック予測対象の設備の、通常条件で頻出するトラヒック量の予測であるd*(F^_x(t^)+F^_y_ave(t^)+F^_z_ave(t^)+F^_w(t^))と、稀に発生する最大級のトラヒック量であるd*(F^_x (t^)+F^_y_max(t^)+F^_z_max(t^)+F^_w(t^))の2つの値を出力することで、トラヒック予測と設備設計の担当者は、サービス品質のリスクと設備コストの両面から業務を検討することができるメリットを有する。
図7に、本発明の実施の形態に係る通信トラヒック予測装置10による通信トラヒック予測の出力結果例を示す。図7において、実線が通常条件で頻出するトラヒック量の予測値を示し、点線が稀に発生する最大級のトラヒック量の予測値を示す。また、トラヒックの実績値も示されている。
[実施の形態のまとめ、効果]
本発明の実施の形態では、複数の通信サービスが多重されて提供される通信ネットワークとその設備を対象とした通信トラヒック予測装置10において、前記複数の通信サービスが予め定めた複数のグループに分類され、当該分類されたグループ毎に予め定められたトラヒック量算出処理方法に従って、トラヒックデータベースに格納されている前記複数の通信サービスが多重されたトラヒックデータから、各通信サービスのトラヒック量を算出するトラヒック分計部50と、前記トラヒック分計部50により算出された各通信サービスのトラヒック量に基づき、前記分類されたグループ毎に予め定められたトラヒック量予測処理方法に従って、各グループの将来の時点におけるトラヒック量を予測する通信サービス別トラヒック予測部60と、前記通信サービス別トラヒック予測部60により予測された各グループの将来の時点におけるトラヒック量を積算し、積算したトラヒック量に基づいて、短時間変動を吸収する設備容量を算出する必要設備算出部70とを備えることとしている。
前記通信サービス別トラヒック予測部60は、前記将来の時点におけるトラヒック量の予測において、生起する確率の程度が異なる複数種類のトラヒック予測を行い、前記必要設備算出手段は、前記複数種類のトラヒック予測によるトラヒック量のそれぞれについて積算を行い、生起する確率の程度が異なる複数種類の設備容量を算出する。
また、本実施の形態では、前記分類された複数のグループは、マルチキャスト型、配信型、交流型、又は、前記通信ネットワークに対する他網接続に係る接続型を含み、前記マルチキャスト型におけるトラヒック量算出処理方法では、各通信サービスの対象設備のトラヒック量として、マルチキャストの発信源のトラヒック量を算出し、前記配信型におけるトラヒック量算出処理方法では、各通信サービスの対象設備のトラヒック量として、配信元のトラヒック量から前記対象設備に分岐したトラヒック量を算出し、前記交流型におけるトラヒック量算出処理方法では、対象設備のトラヒック量として、交流型に分類される通信サービスのトラヒック量をまとめたトラヒック量を算出し、前記接続型におけるトラヒック量算出処理方法では、対象設備のトラヒック量を、他網が接続される前後のトラヒック量の変化量を用いて算出する。
また、前記マルチキャスト型におけるトラヒック量予測処理方法では、各通信サービスのトラヒック量に変動がないものとしてトラヒック量の予測を行い、前記配信型におけるトラヒック量予測処理方法では、各通信サービスの配信元のトラヒックの予測量を対象設備に分岐させた量を算出することにより予測を行い、前記交流型におけるトラヒック量予測処理方法では、交流型に分類される通信サービスをまとめてトラヒック量の予測を行い、前記接続型におけるトラヒック量予測処理方法では、他網が接続される接続点でのトラヒック変動に基づいて対象設備のトラヒック量の予測を行う。
すなわち、本発明の実施の形態によれば、多数の通信サービスを比較的少数のグループに分類し、それぞれの分類ごとに、トラヒック分計およびトラヒック予測のための処理をあらかじめ定型処理化して設定することで、通信トラヒック予測の結果精度を向上させることができ、同時に、必要とするトラヒックデータ量と計算量を削減することが可能である。
更に、将来予測されるトラヒック量の日々の変動幅について、通常条件で頻出するトラヒック量から、稀に発生する最大級のトラヒックまで、生起する確率の程度が異なるトラヒック予測を複数出力することが可能である。
これにより、通信事業者が許容できる程度においてサービス品質の劣化リスクを冒しても、設備容量をできるだけ減らすことで、より安価な通信ネットワークを提供するというような設備の設計・運用計画を策定するという判断が、通信ネットワーク設備の設計・運用業務において可能になる。
なお、前述したいずれの特許文献と非特許文献においても、通信トラヒックの将来予測の精度を向上するために、複数の通信サービスが多重されたトラヒックに対して、個別の通信サービスのトラヒックにそれぞれ分計する技術と、分計された個別の通信サービスのトラヒックに対して、それぞれ適合させたトラヒック予測を行う技術と、さらに、トラヒック予測の対象設備に加わるトラヒック量を適切に積上げる技術から構成されるものはない。
以上、本発明者によってされた発明を、前記実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更・応用が可能である。
例えば、本発明の実施の形態では、通信サービスを、マルチキャスト型、配信型、交流型、接続型などに分類したが、これらは例であり、例えば、マルチキャスト型、配信型、交流型、接続型のうちのいずれか1つ又は複数の型と、これら以外の型とを有するグループに分類することも可能である。もしくは、マルチキャスト型、配信型、交流型、接続型のいずれとも異なる型のグループに分類することも可能である。また、生起する確率の程度が異なる複数のトラヒック予測は、通常条件で頻出するトラヒック量の予測と稀に発生する最大級のトラヒック量の予測とに限られず、他の生起する確率の予測を含んでよい。
1・・・通信ネットワーク
2・・・ネットワーク管理システム
3・・・網構成情報
4・・・トラヒックデータ
5・・・通信サービス加入者数データ
6・・・インターネット
7・・・インターネット接続点
8・・・通信ネットワーク(N1)
9・・・接続点
10・・・通信トラヒック予測装置
20・・・トラヒックデータ取得部
30・・・トラヒックデータベース部
40・・・通信サービス分析分類部
41・・・提供通信サービス情報
42・・・分析部
43・・・分類部
44・・・MC型設定情報
45・・・配信型設定情報
46・・・接続型情報
50・・・トラヒック分計部
51・・・第1分類型分計部
52・・・第2分類型分計部
53・・・第3分類型分計部
54・・・MC型分計部
55・・・配信型分計部
56・・・交流型分計部
57・・・接続型分計部
60・・・通信サービス別トラヒック予測部
61・・・第1分類型予測部
62・・・第2分類型予測部
63・・・第3分類型予測部
64・・・加入数予測部
65・・・加入あたりトラヒック予測部
66・・・MC型予測部
67・・・配信型予測部
68・・・交流型予測部
69・・・接続型予測部
70・・・必要設備算出部
71・・・積算部
72・・・短時間変動推定部
80・・・出力部

Claims (9)

  1. 複数の通信サービスが多重されて提供される通信ネットワークとその設備を対象とした通信トラヒック予測装置であって、
    前記複数の通信サービスが予め定めた複数のグループに分類され、当該分類されたグループ毎に予め定められたトラヒック量算出処理方法に従って、トラヒックデータベースに格納されている前記複数の通信サービスが多重されたトラヒックデータから、各通信サービスのトラヒック量を算出するトラヒック分計手段と、
    前記トラヒック分計手段により算出された各通信サービスのトラヒック量に基づき、前記分類されたグループ毎に予め定められたトラヒック量予測処理方法に従って、各グループの将来の時点におけるトラヒック量を予測するトラヒック予測手段と、
    前記トラヒック予測手段により予測された各グループの将来の時点におけるトラヒック量を積算し、積算したトラヒック量に基づいて、短時間変動を吸収する設備容量を算出する必要設備算出手段と
    を備えることを特徴とする通信トラヒック予測装置。
  2. 前記トラヒック予測手段は、前記将来の時点におけるトラヒック量の予測において、生起する確率の程度が異なる複数種類のトラヒック予測を行い、
    前記必要設備算出手段は、前記複数種類のトラヒック予測によるトラヒック量のそれぞれについて積算を行い、生起する確率の程度が異なる複数種類の設備容量を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の通信トラヒック予測装置。
  3. 前記分類された複数のグループは、マルチキャスト型、配信型、交流型、又は、前記通信ネットワークに対する他網接続に係る接続型を含み、
    前記マルチキャスト型におけるトラヒック量算出処理方法では、各通信サービスの対象設備のトラヒック量として、マルチキャストの発信源のトラヒック量を算出し、
    前記配信型におけるトラヒック量算出処理方法では、各通信サービスの対象設備のトラヒック量として、配信元のトラヒック量から前記対象設備に分岐したトラヒック量を算出し、
    前記交流型におけるトラヒック量算出処理方法では、対象設備のトラヒック量として、交流型に分類される通信サービスのトラヒック量をまとめたトラヒック量を算出し、
    前記接続型におけるトラヒック量算出処理方法では、対象設備のトラヒック量を、他網が接続される前後のトラヒック量の変化量を用いて算出する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信トラヒック予測装置。
  4. 前記分類された複数のグループは、マルチキャスト型、配信型、交流型、又は、前記通信ネットワークに対する他網接続に係る接続型を含み、
    前記マルチキャスト型におけるトラヒック量予測処理方法では、各通信サービスのトラヒック量に変動がないものとしてトラヒック量の予測を行い、
    前記配信型におけるトラヒック量予測処理方法では、各通信サービスの配信元のトラヒックの予測量を対象設備に分岐させた量を算出することにより予測を行い、
    前記交流型におけるトラヒック量予測処理方法では、交流型に分類される通信サービスをまとめてトラヒック量の予測を行い、
    前記接続型におけるトラヒック量予測処理方法では、他網が接続される接続点でのトラヒック変動に基づいて対象設備のトラヒック量の予測を行う
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信トラヒック予測装置。
  5. 複数の通信サービスが多重されて提供される通信ネットワークとその設備を対象とした通信トラヒック予測装置が実行する通信トラヒック予測方法であって、
    前記複数の通信サービスが予め定めた複数のグループに分類され、当該分類されたグループ毎に予め定められたトラヒック量算出処理方法に従って、トラヒックデータベースに格納されている前記複数の通信サービスが多重されたトラヒックデータから、各通信サービスのトラヒック量を算出するトラヒック分計ステップと、
    前記トラヒック分計ステップにより算出された各通信サービスのトラヒック量に基づき、前記分類されたグループ毎に予め定められたトラヒック量予測処理方法に従って、各グループの将来の時点におけるトラヒック量を予測するトラヒック予測ステップと、
    前記トラヒック予測ステップにより予測された各グループの将来の時点におけるトラヒック量を積算し、積算したトラヒック量に基づいて、短時間変動を吸収する設備容量を算出する必要設備算出ステップと
    を備えることを特徴とする通信トラヒック予測方法。
  6. 前記トラヒック予測ステップでの前記将来の時点におけるトラヒック量の予測において、生起する確率の程度が異なる複数種類のトラヒック予測を行い、
    前記必要設備算出ステップでは、前記複数種類のトラヒック予測によるトラヒック量のそれぞれについて積算を行い、生起する確率の程度が異なる複数種類の設備容量を算出する
    ことを特徴とする請求項5に記載の通信トラヒック予測方法。
  7. 前記分類された複数のグループは、マルチキャスト型、配信型、交流型、又は、前記通信ネットワークに対する他網接続に係る接続型を含み、
    前記マルチキャスト型におけるトラヒック量算出処理方法では、各通信サービスの対象設備のトラヒック量として、マルチキャストの発信源のトラヒック量を算出し、
    前記配信型におけるトラヒック量算出処理方法では、各通信サービスの対象設備のトラヒック量として、配信元のトラヒック量から前記対象設備に分岐したトラヒック量を算出し、
    前記交流型におけるトラヒック量算出処理方法では、対象設備のトラヒック量として、交流型に分類される通信サービスのトラヒック量をまとめたトラヒック量を算出し、
    前記接続型におけるトラヒック量算出処理方法では、対象設備のトラヒック量を、他網が接続される前後のトラヒック量の変化量を用いて算出する
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載の通信トラヒック予測方法。
  8. 前記分類された複数のグループは、マルチキャスト型、配信型、交流型、又は、前記通信ネットワークに対する他網接続に係る接続型を含み、
    前記マルチキャスト型におけるトラヒック量予測処理方法では、各通信サービスのトラヒック量に変動がないものとしてトラヒック量の予測を行い、
    前記配信型におけるトラヒック量予測処理方法では、各通信サービスの配信元のトラヒックの予測量を対象設備に分岐させた量を算出することにより予測を行い、
    前記交流型におけるトラヒック量予測処理方法では、交流型に分類される通信サービスをまとめてトラヒック量の予測を行い、
    前記接続型におけるトラヒック量予測処理方法では、他網が接続される接続点でのトラヒック変動に基づいて対象設備のトラヒック量の予測を行う
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載の通信トラヒック予測方法。
  9. コンピュータを、請求項1ないし4のうちのいずれか1項に記載の通信トラヒック予測装置における各手段として機能させるためのプログラム。
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