JP5505521B2 - 平板逆fアンテナ - Google Patents

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Description

本発明は、平板逆Fアンテナに関し、より詳細には、無線通信システムにおけるマルチバンド動作に関する。
無線ネットワークと通信する移動局は、異なる周波数帯域で動作することが頻繁に必要とされる。異なる周波数帯域は、例えば異なる地理的領域で、異なる無線プロバイダについて、異なる無線ネットワークシステムについて使用される。従って、移動局は、GSM850/900(824〜960MHz)のような低周波帯域、及びDCS(1710〜1850MHz)、PCS(1850〜1990MHz)及びUMTS(1920〜2170MHz)のような高周波帯域を含む多周波帯域に応じた内部アンテナを必要とすることがある。
移動局における内部アンテナの様々な選択のうち、平板逆Fアンテナ(PIFA)は、実用的応用においてしばしば適用される。他の内部アンテナに応じて、PIFAは、軽量、装置への適合及び統合が容易であって、適度な帯域幅の範囲を一般に有する。デュアルバンド動作のPIFAの従来の設計は、例えば特開平2006-295876号、国際公開パンフレットWO 2004/015810 A1及び国際公開パンフレットWO 2004/038857 A1に開示されている。
特開2006-295876号 WO 2004/015810 A1 WO 2004/038857 A1
デュアルバンド動作向けPIFAの上述された従来の設計では、2以上の個別のアンテナが低周波帯域(すなわちGSM(登録商標))と高周波帯域(すなわちUMTS)の平面又は基板に配置され、これにより周波数帯域のフィードポート間の良好な分離性能が達成される。しかし、2つの分離されたアンテナの従来の配置では、全体のアンテナ設計のコンパクト性を失うという問題点が存在する。これは、2つの分離された放射体が、所望の分離性能を保証するために良好に分離されるように配置されるからである。
上述した点を考慮して、異なる周波帯域のフィードポート間の良好な分離性能を達成しつつ、マルチバンド動作向けのコンパクトなデザインの平板逆Fアンテナの必要が存在することが当業者にとって明らかである。
本発明の第一の態様によれば、平板逆Fアンテナは、グランドプレーンと、放射素子と、第一及び第二の短絡素子、第一のフィードポート及び第二のフィードポートを備える。放射素子は、グランドプレーンから間隔を介して配置され、グランドプレーンに実質的に平行に延びる。放射素子は、第一の部分、第二の部分及び第三の部分を含むU字型を実質的に有しており、第一の部分は、放射素子の第一のコーナから放射素子の第二のコーナに延び、第二の部分は、第二のコーナから放射素子の自由端に延び、第三の部分は、第一のコーナから放射素子の他の自由端に延びる。第一及び第二の短絡素子は、放射素子の第一のコーナ又はその隣接する領域に位置される。第一及び第二の短絡素子は、放射素子をグランドプレーンに電気的に接続する。第一のフィードポートは、放射素子の第一の部分に電気的に接続され、第一の短絡素子から間隔を介して配置される。第二のフィードポートは、放射素子の第三の部分に電気的に接続され、第二の短絡素子から間隔を介して配置される。
開示される平板逆Fアンテナは、異なる周波数帯域のフィードポート間で良好な分離性能を達成すると共に、マルチバンド動作向けのコンパクトな設計を有する。
以下、本明細書の一部を形成する添付図面が説明される。
第一の実施の形態に係る平板逆Fアンテナの斜視図である。 第一の実施の形態に係る平板逆Fアンテナの平面図である。 第一の実施の形態に係る平板逆Fアンテナの一部の平面図の拡大図である。 第一の実施の形態に係るPIFAの計算されたSパラメータの例を示す図である。 第二の実施の形態に係る平板逆Fアンテナの斜視図である。 第二の実施の形態に係る平板逆Fアンテナの平面図である。 第二の実施の形態に係る平板逆Fアンテナの一部の平面図の拡大図である。 第二の実施の形態に係るPIFAの計算されたSパラメータの例を示す図である。 第三の実施の形態に係る平板逆Fアンテナの斜視図である。 第三の実施の形態に係る平板逆Fアンテナの平面図である。 第三の実施の形態に係る平板逆Fアンテナの一部の平面図の拡大図である。 第三の実施の形態に係るPIFAの計算されたSパラメータの例を示す図である。 実施の形態に係る平板逆Fアンテナの放射素子のバリエーションを示す図である。 950MHzでのフォードポートP1の励起下での遠距離場の3Dゲインパターンを例示する図である。 950MHzでのフィードポートP1の励起下での指定された平面でのゲインパターンを例示する図である。 950MHzでのフィードポートP1の励起下での指定された平面でのゲインパターンを例示する図である。 1.95GHzでのフィードポートP2の励起下での遠距離場の3Dゲインパターンを例示する図である。 1.95GHzでのフィードポートP2の励起下での指定された平面でのゲインパターンを例示する図である。 1.95GHzでのフィードポートP2の励起下での指定された平面でのゲインパターンを例示する図である。 例示的なPIFA(950MHz)でのフィードポートP2の励起)におけるベクトルフォーマットでの表面電流(ピーク)の分布のシミュレーション結果を例示する図である。 例示的なPIFA(950MHzでのフィードポートP1の励起)におけるベクトルフォーマットでの表面電流(ピーク)の分布のシミュレーション結果を例示する図である。 例示的なPIFA(1.95MHzでのフィードポートP2の励起)におけるベクトルフォーマットでの表面電流(ピーク)の分布のシミュレーション結果を例示する図である。 例示的なPIFA(1.95MHzでのフォードポートP1の励起)におけるベクトルフォーマットでの表面電流(ピーク)の分布のシミュレーション結果を例示する図である。
以下、平板逆Fアンテナの好適な実施の形態が添付図面を参照しながら説明される。なお、前述の一般的な記載と以下の詳細な説明の両者は例示的及び説明的なものであって、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
(1)第一の実施の形態
平板逆Fアンテナ(PIFA)1の第一の実施の形態を示す付随する本文では、例示のために図1〜図4を示す。図1に例示されるように、PIFA1は、グランドプレーン100から間隔を介して配置され、グランドプレーンに実質的に平行に延びる導電性の放射素子10を含む。また、PIFA1は、第一の給電素子21及び第二の給電素子22を含み、これらの両者は、放射素子10とグランドプレーン100との間で垂直に位置される導電性のピン、ポスト又はストリップである場合がある。PIFA1は、第一の短絡素子31と第二の短絡素子32とを更に含み、これらの両者は、放射素子10とグランドプレーン100との間で垂直方向に位置される導電性の平板ストリップである場合がある。絶縁基板(図示せず)は、放射素子10とグランドプレーン100との間に配置される場合がある。
放射素子10は、第一の部分101、第二の部分102及び第三の部分103とを有する実質的に単一のU字型のプレーナストリップである。第一の部分101は、放射素子10の第一のコーナ10sから第二のコーナ10uに延びる。第二の部分102は、放射素子10の第二のコーナ10uから一方の自由端102eに延びる。第三の部分103は、放射素子10の第一のコーナ10sから他方の自由端103eに延びる。例示される放射素子10では、第一の部分101と第二の部分102との間の角度は90°であるが、係る角度に限定されるものではなく、第一の部分101と第三の部分103との間の角度は90°であるが、係る角度に限定されるものではない。それらの角度は、放射素子10が実質的にU字型である限り、90°よりも大きいか又は90°未満である。第一のコーナ10s及び第二のコーナ10uは、放射素子10の部分間の湾曲した部分により形成される。本実施の形態に係るPIFA1では、放射素子10の第一の部分101及び第二の部分102は、低い共振周波数帯域で動作するPIFA素子の第一の放射体としての役割を果たし、放射素子10の第三の部分103は、高い共振周波数帯域で動作するPIFA素子の第二の放射体としての役割を果たす。放射素子10が実質的にU字型であるとき、PIFA1の全体の設計は、放射素子10がデュアルバンド放射体としての役割を果たしつつ、小型且つコンパクトとなる。
RFケーブル210及び第一の給電素子21は、放射素子10の第一の部分101への無線周波(RF)の電力のための電気的な経路としての役割を果たす。RFケーブル210は、RFケーブル210がグランドプレーン100から電気的に分離されるようなやり方でグランドプレーン100における適切なホール(図示せず)を通過し、第一の給電素子21の一方の端21aで第一の給電素子21にはんだで電気的に接続される。第一の給電素子21は、第一の給電素子21の他方の端(図1において見えない)で放射素子10の第一の部分101にはんだで電気的に接続される。RF電力をRFケーブル210から供給するフィードポートは、P1として示される。RFケーブル210は、好ましくは同軸ケーブルである。
RFケーブル220及び第二の給電素子22は、放射素子10の第三の部分103への無線周波(RF)電力の電気的な経路としての役割を果たす。RFケーブル220は、RFケーブル220がグランドプレーン100から電気的に分離されるようなやり方でグランドプレーン100における適切なホール(図示せず)を通過し、第二の給電素子22の一方の端22aで第二の給電素子22にはんだで電気的に接続される。第二の給電素子22は、第二の給電素子22の他方の端(図1において見えない)で放射素子10の第三の部分103にはんだで電気的に接続される。RF電力をRFケーブル200から供給するフィードポイントは、P2として示される。RFケーブル220は、好ましくは同軸ケーブルである。
第一の短絡素子31及び第二の短絡素子32は、放射素子10をグランドプレーン100に電気的に接続する。図1〜図3に例示されるように、第一の短絡素子31及び第二の短絡素子32は、放射素子10の第一のコーナ10s又は第一のコーナに隣接する領域の下にある。本実施の形態では、第一の短絡素子31は、第一のストリップであり、第二の短絡素子32は、第二のストリップである。
本実施の形態に係るPIFA1では、放射素子10の第一の部分101及び第二の部分102、第一の給電素子21及び第一の短絡素子31は、低い共振周波数帯域で動作するPIFA素子としての役割を果たし、放射素子10の第三の部分103、第二の給電素子22及び第二の短絡素子32は、高い共振周波数帯域で動作するPIFA素子としての役割を果たす。
図2において、放射素子10のフィードポートP1と自由端102eとの間の距離の合計D1+D2は、PIFA1の低い共振周波数を制御するパラメータである。図2では、フィードポートP1と第一の短絡素子31との間の距離は、PIFA1の低い共振周波数、及びフィードポートP1とフィードポートP2との間の相互結合に影響を及ぼすパラメータである。図3で例示されるように、フィードポートP1と第一の短絡素子31との間の距離は、第一の短絡素子31の幅W31、フィードポートP1と放射素子10の第一の部分101の外側エッジとの間の距離D5、フィードポートP1と放射素子10の第三の部分103の外側エッジとの間の距離D6により決定される。
図2において、フィードポートP2と放射素子10の自由端103eとの間の距離D3は、PIFA1の高い共振周波数を制御するパラメータである。フィードポートP2と第二の短絡素子32との間の距離は、PIFA1の高い共振周波数、及びフィードポートP1とフィードポートP2との間の相互結合に影響を及ぼすパラメータである。図3に例示されるように、フィードポートP2と第二の短絡素子32との間の距離は、第二の短絡素子32の幅W32、フィードポートP2と放射素子10の第三の部分103の外側エッジとの間の距離D7、放射素子10の第三の部分103の外側エッジに沿った方向で測定される、フィードポートP2と第二の短絡素子32との間の距離D8、及び放射素子10の第一の部分101の外側エッジに沿った方向で測定される、フィードポートP2と第二の短絡素子32のエッジとの間の距離D9により決定される。
図4は、本実施の形態に係るPIFA1の計算されたSパラメータの例を示す。図4では、S−11,S−22及びS−12は、それぞれ、フィードポートP1のリターンロス、フィードポートP2のリターンロス、及びフィードポートP1からフィードポートP2への挿入損失の周波数特性である。ここで、S−21は、フィードポートP2からフィードポートP1への挿入損失として定義され、図4において省略される。これは、S−21は、一般にS−12と同じであると考えられるためである。
本実施の形態に係るPIFA1では、フィードポートP1及びフィードポートP2は、放射素子10の第一のコーナ10sの何れかの側に位置され、フィードポートP1から第二のコーナ10uへの放射素子10の第一の部分101の方向は、フィードポートP2から自由端103eへの放射素子10の第三の部分103の方向とは異なる。従って、図4に例示されるように、第一の放射体(放射素子10の第一の部分101及び第二の部分102)及び第二の放射体(放射素子10の第三の部分103)は、低い共振周波数帯域及び高い共振周波数帯域のそれぞれで機能する。
さらに、図4に例示されるように、第一の給電素子21(又はフィードポートP1)、第二の給電素子22(又はフィードポートP2)、及びPIFA1における放射素子10の第一のコーナ10sの周りの短絡素子31,32の配置のため、放射素子10が連続する表面からなるが、良好な相互結合性能(S−12)が達成される。この理由は以下のように説明される。すなわち、PIFA1の配置に係る第一のコーナ10s又は第一のコーナに隣接する領域の周りで、第一の給電素子21(又はフィードポートP1)は、第二の短絡素子32の近くに位置され、第二の給電素子22(又はフィードポートP2)は、第一の短絡素子31の近くに位置される。従って、低い共振周波数帯域で動作することが意図されるフィードポートP1が高い共振周波帯域で励起されたとき、フィードポートP1から、第一の給電素子21、放射素子10の第一の部分101、第二の短絡素子32を通してグランドプレーン100に電流が流れる。同様のやり方で、高い共振周波数帯域で動作することが意図されるフィードポートP2が低い共振周波数帯域で励起されたとき、フィードポートP1から、第二の給電素子22、放射素子10の第三の部分103、第一の短絡素子31を通してグランドプレーン100に電流が流れる。
上述の点を考慮して、本実施の形態に係るPIFA1は、PIFA1における放射素子10及び他のエレメントの配置のため、良好な相互結合性能(良好な分離)を達成しつつ、小型且つコンパクトなデザインを有する。
(2)第二の実施の形態
平板逆Fアンテナ(PIFA)2の第二の実施の形態を説明する付随する本文では、例示のために図5〜図8が参照される。本実施の形態に係るPIFA2は、PIFA2が第二の短絡素子32とは異なる第二の短絡素子132を有する点で第一の実施の形態に係るPIFA1とは異なる。図5,図6及び図7では、第二の短絡素子132以外のエレメントは、PIFA1におけるエレメントに対する参照符号と同じ参照符号が与えられるが、それぞれのエレメント間のサイズ、エレメント間の距離、又はポートとエレメント間の距離は変更又は最適化される場合がある。さらに、第二の短絡素子132以外のエレメントの説明は、完結さのために省略される。
図7に例示されるように、PIFA2における第二の短絡素子132は、導電性のストリップ132a(第二のストリップ)及び導電性のストリップ132b(第三のストリップ)を含む。ストリップ132aは、放射素子10の第一のコーナ10sの隣接する第一の部分101で実質的に放射素子10の下にあり、放射素子10の第一の部分101に平行となるように配置される。図7において、ストリップ132aは、放射素子10の第一の部分101の内部エッジに沿って位置されるが、放射素子10の第一の部分101のエッジから間隔を介して配置される。ストリップ132bは、放射素子100の下にあり、ストリップ132aに接続され、ストリップ132aに垂直に位置される。また、ストリップ132bは、放射素子10の第三の部分103に平行になるように配置される。図7において、ストリップ132bは放射素子10の第三の部分103の内部エッジに沿って位置されるが、ストリップ132bは、放射素子10の第三の部分103のエッジから間隔を介して配置される。
フィードポートP2と第二の短絡素子132との間の距離は、PIFA2の高い共振周波数及びフィードポートP1とフィードポートP2との間の相互結合に影響を及ぼすパラメータである。図7に例示されるように、フィードポートP2と第二の短絡素子132との間の距離は、ストリップ132bの幅W132b、フィードポートP2と放射素子10の第三の部分103の外側エッジとの間の距離D7、及び放射素子10の第三の部分103の外側エッジに沿った方向において測定される、フィードポートP2とストリップ132bのエッジとの間の距離D10により決定される。
図8は、本実施の形態に係るPIFA2の計算されたSパラメータの例を示す。図8では、S−11,S−22及びS−12は、それぞれ、フィードポートP1のリターンロス、フィードポートP2のリターンロス、フィードポートP1からフィードポートP2への挿入損失の周波数特性である。ここで、S−21は、フィードポートP2からフィードポートP1への挿入損失として定義されるものであり、図8において省略されている。これは、S−21は、一般にS−12と同じであると考えられるためである。
図4及び図8のS−12を比較したとき、本実施の形態に係るPIFA2は、第一の実施の形態に係るPIFA1のそれに比べて、2〜3dBだけ更に良好な結合性能を示す。PIFA2の更なる導電性のストリップ132bのため、第二の短絡素子132は、電流をグランドプレーン100に更に効率的に伝えることができる。より詳細には、低い共振周波帯域で動作することが意図されるフィードポートP1が高い共振周波帯域で励起されるとき、第二の短絡素子132の大きな領域のために、フィードポートP1から、第一の給電素子21、放射素子10の第一の部分101、第二の短絡素子132、放射素子10の第一の部分101、第二の短絡素子132を通して、グランドプレーン100に効率的に電流が流れる。
(3)第三の実施の形態
平板逆Fアンテナ(PIFA)3の第二の実施の形態を記載する付随する本文において、例示のために図9〜図12が参照される。本実施の形態に係るPIFA3は、変更された短絡素子、すなわち第一の短絡素子231及び第二の短絡素子232を有する。図9、図10及び図11において、短絡素子231,232以外のエレメントは、PIFA1におけるエレメントの参照符号と同じ参照符号が与えられるが、それぞれのエレメント間のサイズ、エレメント間の距離、又はポートとエレメントとの間の距離は、変更又は最適化される場合がある。さらに、短絡素子231,232以外のエレメントの記載は、簡潔さのために省略される。
好ましくは、図9〜図11に例示されるように、第一の短絡素子231及び第二の短絡素子232は、実質的にL字型のエレメントを形成するように結合される。図9〜図11に例示されるように、第一の短絡素子231は、内部エッジ100(図11参照)から延びる導電性のストリップ(第四のストリップ)を含み、内部エッジで、放射素子10の第一の部分101及び第三の部分103は、放射素子10の第一の部分101の幅にわたり交差し、第二の短絡素子232は、放射素子10の第三の部分103の幅にわたり、内部エッジ110から延びる導電性のストリップ(第五のストリップ)を含む。第一の短絡素子231及び第二の短絡素子232は、放射素子10の下であって、放射素子10に垂直にある。図11に示される例では、第一の短絡素子231と第二の短絡素子232との間の角度は90°であるが、この角度は90°に限定されない。図11に示される例では、短絡素子231及び232は、放射素子10の第三の部分103及び第一の部分101にそれぞれ平行に位置されているが、短絡素子231及び232は、第三の部分103及び第一の部分101に平行にならないように配置される場合もある。
図11を参照して、フィードポートP1と第一の短絡素子231との間の距離D11は、PIFA3の低い共振周波数及びフィードポートP1とフィードポートP2との間の相互結合に影響を及ぼすパラメータである。フィードポートP2と第二の短絡素子232との間の距離D12は、PIFA3の高い共振周波数及びフィードポートP1とフィードポートP2との間の相互結合に影響を及ぼすパラメータである。
図12は、本実施の形態に係るPIFA3の計算されたSパラメータの例を示す。図12では、S−11,S−22及びS−12は、それぞれ、フィードポートP1のリターンロス、フィードポートP2のリターンロス、フィードポートP1からフィードポートP2への挿入損失の周波数特性である。ここで、S−21は、フィードポートP2からフィードポートP1への挿入損失として定義されるものであり、図12において省略される。これは、S−21は、一般にS−21と同じである考えられるからである。
図8及び図12のS−12を比較したとき、本実施の形態に係るPIFA3は、2つのストリップ132a、132bからなる第二の短絡素子132を有するPIFA2と対照的にPIFA3が単一のストリップの第二の短絡素子232を有するにもかかわらず、PIFA2のそれとほとんど同じである相互結合性能を示す。これは、短絡素子231及び232からなるL字型のストリップがPIFA2の第二の短絡素子132と同様に効率的にグランドプレーン100に電流を伝えることができるためである。短絡素子231及び232は、フィードポートP1,P2間の分離のために効果的な電流の流れを達成しつつ、低い共振周波帯域及び高い共振周波帯域のそれぞれで動作するPIFA素子について短絡機能を提供する。より詳細には、低い周波数帯域で動作することが意図されるフィードポートP1が高い共振周波数帯域で励起されるとき、フィードポートP1から、第一の給電素子21を通して、放射素子10の第一の部分101、L字型のストリップを通してグランドプレーン100に効率的に電流が流れる。同様のやり方で、高い共振周波数帯域で動作することが意図されるフィードポートP2が低い共振周波帯域で励起されるとき、フィードポートP2から、第二の給電素子22、放射素子10の第三の部分103、L字型ストリップを通して、グランドプレーン100に効率的に電流が流れる。この効率的な電流の流れは、L字型のストリップの大きな領域から生じる。
上述の点を考慮して、本実施の形態に係るPIFA3は、変更された短絡素子を有し、これにより費用対効果の高い、そして製造が容易、すなわち大量生産にとって理想的である一方、良好な相互結合性能(良好な分離)を可能にすることを理解されたい。
上述した実施の形態の例示されるPIFAでは、放射素子10の第二の部分102及び第三の部分103は、直線となるように配置される。しかし、放射素子10の第二の部分102及び/又は第三の部分103は、自由端102e,103eの一方又は両方が例として図13に例示されるように内側に向くように曲げられる場合がある。この変更により、放射素子10を更にコンパクトにすることができる。放射素子10の第二の部分102及び第三の部分103が曲げられたとき、相互結合に望ましくない影響を生じる場合がある、自由端102e,103eが互いに近くなること及び/又は互いに向き合うことを防止することが好ましい。
上述の実施の形態の例示されるPIFAでは、放射素子10が硬い基板上に配置され、これにより放射エレメント10を安定化できることが好ましい。これにより、全体の放射素子10を通してグランドプレーン100からの放射素子10の一定の高さを可能にし、従って、安定な放射特性を可能にする。
(4)例示的なPIFA
以下に記載される例示的なPIFAは、第二の実施の形態に係るPIFA2に基づいており、寸法は、D1=27mm;D2=46mm;D3=28mm;D4=7mm;D5=1mm;D5=1mm;D6=9mm;D7=1mm;D10=2mm;W1=2mm;W2=2mm;W3=3mm;W31=2mm;W132a=3mm;及びW132b=5mm(図5,図6及び図7を参照)である。なお、H1=9mmであり、H1は、グランドプレーン100からの放射素子10の高さとして示される。
図14〜図19は、例示的なPIFAの遠距離場のゲインパターンのシミュレーション結果を示す。図14は、950MHzでのフィードポートP1の励起下での遠距離場の3Dゲインパターンを示す。図15及び図16は、950MHzでのフィードポートP1の励起下での指定された平面でのゲインパターンを例示するものであり、図15は、角度Phi=90°での垂直平面、すなわちx=0でのyz平面における角度Thetaの遠距離場のゲインに対応し、図16は、角度Phi=0°での垂直平面、すなわちy=0でのxz平面における角度Thetaの遠距離場のゲインに対応する。図17は、1.95GHzでのフィードポートP2の励起下での遠距離場の3Dゲインパターンを例示する。図18及び図19は、1.95GHzでのフィードポートP2の励起下での指定された平面でのゲインパターンを例示するものであり、図18は、角度Phi=90°での垂直平面、すなわちx=0でのyz平面における角度Thetaの遠距離場のゲインに対応し、図19は、角度Phi=0°での垂直平面、すなわちy=0でのxz平面における角度Thetaの遠距離場のゲインに対応する。なお、図14及び図17におけるx,y,z軸は、図5に示されるそれらの軸に対応し、角度Thetaは、垂直方向のz軸から測定される。図14〜図19に例示されるように、ゲインの良好なレベルは、例示的なPIFAにより殆ど全ての方向において得られることが理解される。
図20〜図23は、例示的なPIFAにおけるベクトルフォーマットにおける表面電流(ピーク)の分布のシミュレーション結果を示す。図20は、950MHzでのフィードポートP1の励起下での表面電流(ピーク)の分布を例示する。図21は、950MHzでのフィードポートP2の励起下での表面電流(ピーク)の分布を例示する。図22は、1.95GHzでのフィードポートP2の励起下での表面電流(ピーク)の分布を例示する。図23は、1.95GHzでのフィードポートP1の励起下での表面電流(ピーク)の分布を例示する。
図20に例示されるように、放射素子10の第一の部分101及び第二の部分102の表面を十分な電流が流れる(図5も参照)。これは、放射素子10の第一の部分101及び第二の部分102、第一の給電素子21及び第一の短絡素子31からなるPIFA素子(図5を参照)が950MHzで良好に動作することを意味する。図22で例示されるように、放射素子10の第三の部分103の表面を十分な電流が流れる(図5も参照)。これは、放射素子10の第三の部分103、第二の給電素子22及び第二の短絡素子132からなるPIFA素子が1.95MHzでの良好に動作することを意味する。
図21で例示されるように、高い共振周波数帯域(1.95GHz帯域)で動作することが意図されるフィードポートP2が950MHzでの励起されるとき、非常に低いレベルの電流が放射素子10の表面を流れる。これは、フィードポートP2からグランドプレーン100に、第二の給電素子22、放射素子10の第三の部分103及び第一の短絡素子31を通して電流が短絡されるからである。図23で例示されるように、低い共振周波数帯域(950MHz)で動作することが意図されるフィードポートP1が1.95GHzで励起されるとき、非常に低いレベルの電流が放射素子10の表面を流れる。これは、フィードポートP1からグランドプレーン100に、第一の給電素子21、放射素子10の第一の部分101及び第二の短絡素子132を通して電流が短絡されるからである。上記の点を考慮して、例示的なPIFAは、フィードポート間の良好なレベルの分離を達成していることが理解される。
ポート間の放射特性及び分離が第二の実施の形態に係る例示的なPIFAを参照して説明されたが、同じことが、第二の実施の形態のデザインに対して類似のデザインを有する他の実施の形態に係るPIFAにも当てはまる。
本明細書で使用された全ての例及び条件付き言語は、当該技術分野を促進するために本発明者により寄与される本発明及び概念の理解において読者を例示的な目的のために支援することが意図され、係る特に記載された例及び条件に本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、明細書における係る例の編成は、本発明の上位性又は下位性を示すことと関連しない。本発明の実施の形態が詳細に記載されたが、様々な変形、置換え及び交替は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなしに本発明に対してなされることを理解されたい。
10 :放射素子
10s:放射素子の第一のコーナ
10u:放射素子の第二のコーナ
21 :第一の給電素子
22 :第二の給電素子
31,231:第一の短絡素子
32,132,232:第二の短絡素子
P1:第一のフィードポート
P2:第二のフィードポート
100:グランドプレーン
101:放射素子の第一の部分
102:放射素子の第二の部分
103:放射素子の第三の部分
102e,103e:放射素子の自由端

Claims (5)

  1. グランドプレーンと、
    前記グランドプレーンから間隔を介して配置され、前記グランドプレーンに実質的に平行に延びる放射素子と、
    第一の部分、第二の部分及び第三の部分を含むU字型の形状を実質的に有する放射素子と、前記第一の部分は、前記放射素子の第一のコーナから前記放射素子の第二のコーナに延び、前記第二の部分は、前記第二のコーナから前記放射素子の一方の自由端に延び、前記第三の部分は、前記第一のコーナから前記放射素子の他方の自由端に延び、
    前記放射素子の前記第一のコーナ又は前記第一のコーナに隣接する領域に位置され、前記放射素子を前記グランドプレーンに電気的に接続する第一及び第二の短絡素子と、
    前記放射素子の前記第一の部分に電気的に接続され、前記第一の短絡素子から間隔を介して配置される第一のフィードポートと、
    前記放射素子の前記第三の部分に電気的に接続され、前記第二の短絡素子から間隔を介して配置される第二のフィードポートと、
    を備える平板逆Fアンテナ。
  2. 前記第一の短絡素子は、前記第一のコーナ又は前記第一のコーナに隣接する外側エッジで前記放射素子の下に位置される第一のストリップを有し、
    前記第一のストリップは、前記放射素子の前記第三の部分に平行となるように配置され、
    前記第二の短絡素子は、前記放射素子の前記第一のコーナに隣接する前記第一の部分で実質的に前記放射素子の下に位置する第二のストリップを有し、
    前記第二のストリップは、前記放射素子の前記第一の部分に平行となるように配置される、
    請求項1記載の平板逆Fアンテナ。
  3. 前記第二の短絡素子は、前記放射素子の下に位置する第三のストリップを更に有し、
    前記第三のストリップは、前記第二のストリップに取り付けられ、前記第二のストリップに垂直に位置され、前記第三のストリップは、前記放射素子の前記第三の部分に平行となるように配置される、
    請求項2記載の平板逆Fアンテナ。
  4. 前記第一の短絡素子は、内部エッジから実質的に延びる第四のストリップを有し、前記内側エッジで、前記放射素子の前記第一の部分の幅にわたり、前記放射素子の前記第一の部分と前記第三の部分とは交差し、
    前記第二の短絡素子は、前記放射素子の前記第三の部分の幅にわたり前記内側エッジから延びる第五のストリップを有し、
    前記第五のストリップは、前記第四のストリップに取り付けられる、
    請求項1記載の平板逆Fアンテナ。
  5. 前記放射素子の前記第二の部分と前記第三の部分の少なくとも1つは、前記自由端の少なくとも1つが前記U字型に関して内側に向くように曲げられる、
    請求項1乃至4の何れか記載の平板逆Fアンテナ。
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