JP5497131B2 - モード交換器 - Google Patents
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Description
本発明は、光通信に使用する装置に関するものであり、空間多重通信の一方式であるモード多重通信に使用する装置に関する。
現在、光ファイバ通信の容量拡大のためモード多重通信の研究開発が進んでいる。モード多重通信においては、各モードが従来の光ファイバ1本に相当するため、モードを相互に変換する方法は提案されているが、3モード以上を相互に交換する方法、あるいは装置は現在存在しない。
2モードのモード交換とは、互いに異なるモードの2つの光信号をそれぞれモード変換してモードを相互に入れ替えることである。このようなモードの入れ替えを行うことによって交換動作が可能となる。
モードの入れ替えには位相マスクを用いる方法があるが、図1に示すように、入れ替える0次モードと1次モードとの間でコア10内での強度分布が異なるため、位相を合わせた場合でも変換効率は最大70%程度になる。
あるいは、モードの入れ替えには導波路に周期的な屈曲を加える方法もある。屈曲を与える外圧を制御することでモード変換の有無のスイッチができるが、可動部をもつ部品となる(例えば、非特許文献1参照。)。
あるいは、ファイバカップラ等の方向性結合器を使用することもできる。しかし光学特性が固定された光部品となるため、オン・オフする機能を持たせることは難しい(例えば、非特許文献2参照。)。
あるいは、モードの入れ替えには導波路に周期的な屈曲を加える方法もある。屈曲を与える外圧を制御することでモード変換の有無のスイッチができるが、可動部をもつ部品となる(例えば、非特許文献1参照。)。
あるいは、ファイバカップラ等の方向性結合器を使用することもできる。しかし光学特性が固定された光部品となるため、オン・オフする機能を持たせることは難しい(例えば、非特許文献2参照。)。
あるいは、モードの入れ替えには、平面光波回路(PLC)によるモード変換器を構成することもできる。図2は0次モードと1次モードを交換するモード交換器とその動作である。マルチモード導波路をY分岐で半分の幅を持つ導波路に分割し、その片方に位相変化を与えることでモード交換動作を行う。位相変化はたとえば熱光学効果(TO効果)、電気光学効果(EO効果)などにより与えることができる。位相変化を与えない場合にはモードの交換は生じず、180度の位相変化を与えた場合にはモードの交換が生じる。
J.N.Blake et al.,:"Fiber−optic modal coupler using periodic microbending",Optics Letters,Vol.11,No.3,p.177(1986)
林涛、古海祐介、今井正明、辻寧英、小柴正則:「融着テーパ形ファイバモード変換器」、電子情報通信学会論文誌 C、Vol.J81−C1、No.11、p.650
このように2つのモードの間の交換であればPLCにより簡便にほぼ理想的なモード交換を行うことができる。しかし、0次、1次、2次3つのモードが存在する場合のモード交換では、0次モードと2次モードの間でモードの交換を行う際に1次モードが影響を受け、部分的に所望しないモードへの変換が生じてしまう。
本発明は、互いに異なるモードの3つ以上の光信号を対象とした効率の良いモード交換を実現することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明では平面光波回路(PLC)によるモード交換器を基本とし、オン・オフが可能で2つのモードの間のモード交換を行う部分をモード交換スイッチを備え、当該モード交換スイッチにおけるモード交換に関わらないモードをバイパスさせることで所望しないモードへの変換を回避するモード交換器を構成する。
具体的には、本発明のモード交換器は、3以上のモードを有する多モード光における任意のモードを交換するモード交換器であって、3以上のモードのうちの任意の2つのモードの間のモード交換を行う縦続接続された複数のモード交換スイッチと、各モード交換スイッチと並列に接続され、並列に接続されているモード交換スイッチにおいて交換するモードとは異なるモードを伝搬するバイパス路と、を備える。
本発明のモード交換器では、1つのモード交換スイッチに対して単一モードを伝搬する複数のバイパス路を備え、前記複数のバイパス路を伝搬するモード間のモード交換を行うバイパスモード交換スイッチをさらに備えてもよい。
本発明のモード交換器では、前記多モード光の有するモード数はN(Nは3以上の自然数。)であり、(N−1)個の前記モード交換スイッチの交換するモードは互いに異ってもよい。
本発明のモード交換器では、前記モード交換スイッチは、前記3以上のモードを伝搬するマルチモード導波路を分岐し、分岐した導波路のいずれかに位相変化を与えることでモード交換動作を行ってもよい。
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
本発明のモード交換器によれば、所望しないモードへの変換を回避することで、3モード以上のモードが存在する場合にも効率の良いモード交換をおこなうことができる。
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
(実施形態1)
図3は本実施形態に係るモード交換器の模式図である。本実施形態では0次モード、1次モード及び2次モードの3モードを交換する。本実施形態に係るモード交換器は3段のモード交換スイッチ11を備える。第1スイッチ部91と、第2スイッチ部92と、第3スイッチ部93と、の3つのスイッチ部を備える。各スイッチ部91〜93は、モード交換スイッチ11とバイパス路12を備える。
図3は本実施形態に係るモード交換器の模式図である。本実施形態では0次モード、1次モード及び2次モードの3モードを交換する。本実施形態に係るモード交換器は3段のモード交換スイッチ11を備える。第1スイッチ部91と、第2スイッチ部92と、第3スイッチ部93と、の3つのスイッチ部を備える。各スイッチ部91〜93は、モード交換スイッチ11とバイパス路12を備える。
モード交換スイッチ11及びバイパス路12は、PLCによって形成されている。PLCに用いる材料は石英ガラス、プラスチック、半導体など、使用する波長において透明な媒質であれば何を用いても良い。
第1スイッチ部91において、バイパス路12が2次モードをバイパスし、モード交換スイッチ11(SW1)が図2の0次モードと1次モードの交換を行う。そして、第1スイッチ部91の出力端において、バイパス路12からの2次モードとモード交換スイッチ11からの0次モード及び1次モードを合成する。
第2スイッチ部92において、バイパス路12が1次モードをバイパスし、モード交換スイッチ11(SW2)が0次モードと2次モードの交換を行う。そして、第2スイッチ部92の出力端において、バイパス路12からの1次モードとモード交換スイッチ11からの0次モード及び2次モードを合成する。
第3スイッチ部93において、最初のスイッチ部91と同様に、バイパス路12が2次モードをバイパスし、モード交換スイッチ11(SW3)が図2の0次モードと1次モードの交換を行う。そして、第3スイッチ部92の出力端において、バイパス路12からの2次モードとモード交換スイッチ11からの0次モード及び1次モード光を合成する。
第2スイッチ部92において、バイパス路12が1次モードをバイパスし、モード交換スイッチ11(SW2)が0次モードと2次モードの交換を行う。そして、第2スイッチ部92の出力端において、バイパス路12からの1次モードとモード交換スイッチ11からの0次モード及び2次モードを合成する。
第3スイッチ部93において、最初のスイッチ部91と同様に、バイパス路12が2次モードをバイパスし、モード交換スイッチ11(SW3)が図2の0次モードと1次モードの交換を行う。そして、第3スイッチ部92の出力端において、バイパス路12からの2次モードとモード交換スイッチ11からの0次モード及び1次モード光を合成する。
図4は、図3のSW1、SW2、SW3をそれぞれオン/オフした場合に入力の0次モード、1次モード及び2次モードがそれぞれどのモードに変換されるかをまとめた表である。各スイッチは1がオン(交換する)、0がオフ(そのまま通過)である。このように図3の構成のモード交換器では3段構成により全ての組み合わせのモード交換が可能となることがわかる。
ここで、モード交換スイッチ11は、2以上のモードを伝搬するマルチモード導波路を分岐し、分岐した導波路のいずれかに位相変化を与えることでモード交換動作を行うことが好ましい。PLCによる方法は図1の位相マスクによる方法と類似しているようにみえるが、分岐部においてなだらかに強度分布が変換されるため、原理的にはモード交換の効率は100%とすることができ、図2の計算例においても95%以上の交換効率となっている。
モード交換スイッチ11は、交換するモードのマルチモード導波路10の断面上の分布形状に合わせて分岐する。1次モードはマルチモード導波路10の断面上で2箇所に分布するため、図3に示すSW1及びSW3のように2分岐をもつ導波路構造とすることで、0次モードと1次モードの間でモードの交換を行うことができる。2次モードはマルチモード導波路10の断面上で3箇所に分布するため、図3に示すSW2のように3分岐をもつ導波路構造とすることで、0次モードと2次モードの間でモードの交換を行うことができる。
バイパス路12は、バイパスするモードと伝搬定数をそろえることで、モード結合によりそのモードのみ副導波路に導く。複数のモードをバイパスするにはバイパスするモードの数だけバイパス路12を用いる。図2の構造でスイッチできるモードの数は2個のみなので、Nモードの交換では(N−2)のバイパス路12を用いてモードをバイパスする。
(実施形態2)
演繹的に4モード以上のモードを交換するモード交換器を構成することができる。実施形態1で説明した3モードのモード交換器の構成を別の見方をすると、2モードの交換を行った後3番目のモードである2次モードをその並びのどこかに挿入する構成であるとみることができる。すなわち、N個のモードの交換を行うには(N−1)モードのモード交換器の出力に、N番目のモードとN−1番目のモードを交換するモード交換スイッチ11、N−1番目とN−2番目を交換するモード交換スイッチ11、と(N−1)個のモード交換スイッチ11を設置すれば良い。必要な全スイッチの個数は
1+2+…+(N−1)=N(N−1)/2
個である。
演繹的に4モード以上のモードを交換するモード交換器を構成することができる。実施形態1で説明した3モードのモード交換器の構成を別の見方をすると、2モードの交換を行った後3番目のモードである2次モードをその並びのどこかに挿入する構成であるとみることができる。すなわち、N個のモードの交換を行うには(N−1)モードのモード交換器の出力に、N番目のモードとN−1番目のモードを交換するモード交換スイッチ11、N−1番目とN−2番目を交換するモード交換スイッチ11、と(N−1)個のモード交換スイッチ11を設置すれば良い。必要な全スイッチの個数は
1+2+…+(N−1)=N(N−1)/2
個である。
図5は4モードの場合の模式図である。3次モードをバイパスした残り3モードを図3のモード交換器101にて交換し、その出力に3次モードとそれぞれのモードを交換するモード交換スイッチ11を順に挿入する。
例えば、実施形態3で説明した第1スイッチ部91、第2スイッチ部92及び第3スイッチ部93を備えるモード交換器101を備え、モード交換器101と並列に3次モードをバイパスするためのバイパス路12が設けられ、モード交換器101からのマルチモード光とバイパス路12からの3次モード光を合成し、その後段に第4スイッチ部94、第5スイッチ部95、第6スイッチ部96が縦続接続される。
図6に、SW4〜SW6のモード交換動作の模式図を示す。SW4が3次モードから2次モードへ交換し、SW5が2次モードから1次モードへ交換し、SW6が1次モードから0次モードへ交換する。このため、SW4〜SW6のオン/オフを制御することで、3次モードから0次モード〜2次モードの任意のモードに交換することができる。4モードの場合、必要なモード交換スイッチ11の個数は6個(3個+3個)である。
なお、図中では、第4スイッチ部94、第5スイッチ部95及び第6スイッチ部96におけるSW4〜SW6のバイパス路12の記載を省略した。また、バイパスさせるモードの次数は任意であり、4モードのマルチモード光に対して、2次モードをバイパスさせたり、1次モードをバイパスさせたりしてもよい。
(実施形態3)
4モード以上の交換においては、バイパスしたモードのうち2つのモードを組としてバイパス部分同士で交換する構成も可能であり、モード交換スイッチの個数および段数を減らしたコンパクトなモード交換器を構成することが可能である。
4モード以上の交換においては、バイパスしたモードのうち2つのモードを組としてバイパス部分同士で交換する構成も可能であり、モード交換スイッチの個数および段数を減らしたコンパクトなモード交換器を構成することが可能である。
たとえば、4モードの場合には図7のように5個のモード交換スイッチ11を3段のスイッチ群として構成することができる。モード交換スイッチ11(SW1)が0次モードと1次モードを交換し、SW1のバイパス路12が2次モードと3次モードをバイパスさせる。モード交換スイッチ11(SW3)が0次モードと3次モードを交換し、SW3のバイパス路12が1次モードと2次モードをバイパスさせる。モード交換スイッチ11(SW5)が0次モードと1次モードを交換し、SW5のバイパス路12が2次モードと3次モードをバイパスさせる。SW1のバイパス路12に挿入されたバイパスモード交換スイッチ13(SW2)は、2次モードと3次モードを交換する。SW3のバイパス路12に挿入されたバイパスモード交換スイッチ13(SW4)は、1次モードと2次モードを交換する。
図8は、図7の構成のスイッチと出力の対応表であり、この構成においても全ての組み合わせのモード交換が可能であることがわかる。バイパス路12においてモード変換を行うことでコンパクト化が可能になり、このコンパクト化することで光の損失を低減することが可能となる。また、バイパス路12は単一モード導波路であるため、モード交換スイッチ11部分の構造を簡素化することができる。
この構成を一般化すると、Nが偶数の場合には2モードずつN/2個の組に分け、それぞれをモード交換スイッチ11に通す構成を1段とする。この1段の中に含まれるN/2個のモード交換スイッチ11をここではスイッチ群と呼称する。2段目ではモードの組み合わせを変えて同様に2モードずつN/2個の組に分けそれぞれをモード交換スイッチ11に通す。以下必要に応じて段数を増やす。Nが奇数の場合にはペアにならない1モードをそのまま一つのグループと見なして、(N−1)/2個のモード交換スイッチ11と孤立したモードに対してなにもしない部分で各段のスイッチ群を構成する。
最適にモードの組み合わせを選択した場合に必要なモード交換スイッチ数の下限はlog2(N!)を超える最小の整数である。なお、「!」は階乗を表す。図7の例では、モード交換スイッチ11及びバイパスモード交換スイッチ13を含めた5つのスイッチを用いて4モードのマルチモード光のモード交換が可能になっており、実施形態2に比べて必要スイッチ数を削減することができる。
本発明は基幹光通信、データセンタ内の光接続等、大容量光通信に使用することができる。
10:マルチモード導波路
11:モード交換スイッチ
12:バイパス路
13:バイパスモード交換スイッチ
30:クラッド
101:モード交換器
111:電極
11:モード交換スイッチ
12:バイパス路
13:バイパスモード交換スイッチ
30:クラッド
101:モード交換器
111:電極
Claims (4)
- 3以上のモードを有する多モード光における任意のモードを交換するモード交換器であって、
3以上のモードのうちの任意の2つのモードの間のモード交換を行う縦続接続された複数のモード交換スイッチと、
各モード交換スイッチと並列に接続され、並列に接続されているモード交換スイッチにおいて交換するモードとは異なるモードを伝搬するバイパス路と、
を備えるモード交換器。 - 1つのモード交換スイッチに対して単一モードを伝搬する複数のバイパス路を備え、
前記複数のバイパス路を伝搬するモード間のモード交換を行うバイパスモード交換スイッチをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のモード交換器。 - 前記多モード光の有するモード数はN(Nは3以上の自然数。)であり、
(N−1)個の前記モード交換スイッチの交換するモードは互いに異なることを特徴とする請求項1又は2に記載のモード交換器。 - 前記モード交換スイッチは、前記3以上のモードを伝搬するマルチモード導波路を分岐し、分岐した導波路のいずれかに位相変化を与えることでモード交換動作を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のモード交換器。
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