JP5493217B2 - 風車用ブレード及び風車 - Google Patents

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Description

本発明は、風車用ブレード及び風車に関する。
風車は、ブレード回転面において風の流れを減速させ、風のエネルギーを機械エネルギーに変換するものである。ここで、風の流れの減速分を表す誘導速度の算出が複雑である。また、誘導速度はブレードの半径に依存するため、風車全体の性能を論じる場合、ブレードの半径方向の積分計算が必要である。そのため、風車設計は数値計算によって可能である一方、風車特有の困難さを有する。
風車設計に関する詳細な理論設計法については例えば非特許文献1に開示されている。非特許文献1には、風車や風力発電機の構造や設計に関する基礎理論から風力発電機技術までが広く記載されている。
牛山泉著、「風車工学入門」、森北出版、2002年8月発行
従来の風車は、一般的に上記非特許文献1に開示されたような理論設計法に従って設計される。しかしながら、上記非特許文献1は、設計された風車が設計条件と異なる実環境下で稼働する場合における性能の変化、実用上の問題点や対策について論理的に記載したものではない。
そのため、従来の設計手法によって設計された風車が必ずしも実環境下で最適とはいえず、特に低風速に対応可能な設計がされたものではなかった。そこで、実環境下での適合性を改善することが望ましかった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、実環境下における性能の変化、実用上の問題点や対策を考慮した上で、実環境下での適合性を改善する風車用ブレード及び風車を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る風車用ブレードは、風車に用いられるブレードであって、翼根部と翼端部との間で弦長が極小値となる絞り部を形成し、前記絞り部は、当該風車用ブレードの回転中心から前記翼端部までの略75%の位置に形成され、前記翼根部から前記絞り部までは、漸次ピッチ角が小さくなるように、且つ、当該翼根部から当該絞り部に向かって弦長が短くなる先細のテーパー状に形成し、前記絞り部から前記翼端部までは、全半径位置において固有のピッチ角及びソリディティの平坦状、且つ、当該絞り部から当該翼端部に向かって弦長が長くなる先太の逆テーパー状に形成することを特徴とする。
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る風車は、上記の風車用ブレードを備えることを特徴とする。
本発明によれば、実環境下における性能の変化、実用上の問題点や対策を考慮した上で、実環境下での適合性を改善することができる。
本実施形態に係る風車用ブレードを備えた風車を風上側から見た第1図である。 本実施形態に係る風車用ブレードを備えた風車を風上側から見た第2図である。 従来の風車用ブレードを備えた風車を風上側から見た図である。 従来のブレードの回転駆動力について説明する図である。 ブレードの揚力係数Cを示す図である。 ブレードの抗力係数Cを示す図である。 流入角γと翼素寄与分との関係を示す図である。 流入角γと誘導速度率kとの関係を示す図である。 流入角γと風の動圧に基づく駆動力との関係を示す図である。 合成駆動力と発電機の回転抵抗力との釣合いを説明する図である。 本実施形態に係る流入角γと誘導速度率kとの関係を示す図である。
本実施形態に係る風車用ブレード(以下、単に「ブレード」ともいう。)は、翼根部と翼端部との間で弦長が極小値となる絞り部を形成したことにより、実環境下における性能の変化、実用上の問題点や対策を考慮した上で、実環境下での適合性を改善するものである。以下、本技術の実施の形態を説明する。
[風車用ブレードの構造]
図1は、本実施形態に係る風車用ブレードを備えた風車を風上側から見た第1図である。図1に示す風車10は、4枚のブレード20、ボス部30及び回転軸40を有し、直径が約50cmの小型風車である。なお、騒音発生を抑制するために、周速比は低めの4とする。
ブレード20は、例えば超低速用のコルゲート翼である。なお、図1では、ブレード20の形状を簡易的に示している。このブレード20には翼根部50と翼端部60との間で弦長が極小値となる絞り部26が形成されている。すなわち、ブレード20の横側縁部25の両方が絞られた形状になっている。
ブレード20は、翼根部50から絞り部26に向かって弦長が短くなる先細のテーパー状の第1ブレード部20Aと、絞り部26から翼端部60に向かって弦長が長くなる先太の逆テーパー状の第2ブレード部20Bとを有する。なお、回転軸40から絞り部26までの長さM0は、ブレード20の長さ方向(以下、「半径方向ともいう。」)の長さL0の約75パーセントである。ただし、長さMOは長さLOの約75パーセントに限定されるものではない。
第1ブレード部20Aは、翼根部50から絞り部26に向かうほど、ソリディティ及びピッチ角が漸次小さくなるように変化させて形成される。ソリディティとは、ブレード20の半径方向の所定の半径位置における全ブレード20の弦長の和を、回転円周長で除した値によって定義される値を指す。一方、ピッチ角とは、所定の半径位置におけるブレード20の捻り角を指す。
一方、第2ブレード部20Bは、絞り部26から翼端部60までのあらゆる半径位置において、ソリディティ及びピッチ角がブレード20固有の一定値であるように構成される。ピッチ角が一定値であるため、第2ブレード部20Bは平坦状に形成される。
ボス部30は、4枚のブレード20が取り付けられ、回転軸40に固定される。回転軸40は、4枚のブレード20の回転に連動して回転し、この回転軸40に接続された不図示のコアレス発電機等の小型発電機に発電を行わせる。
以上のように、図1に示すブレード20は、先細のテーパー状の第1ブレード部20Aと、先太の逆テーパー状の第2ブレード部20Bとによって構成される。第1ブレード部20Aは、迎え角が一定になるように、且つ、誘導速度率kが3分の1になるように従来方式に従って設計される。一方、第2ブレード部20Bは、例えばソリディティが0.1、ピッチ角が5.5度で設計されることで、広い範囲の流入角において誘導速度率kが0.34となる。詳細には後述する。
図2は、本実施形態に係る風車用ブレードを備えた風車を風上側から見た第2図である。図2に示す風車11は、図1と異なる形態のブレード21を備えている。図2に示すブレード21は、一方の横側縁部27Aが直線状に形成されている点が、図1に示すブレード20と異なる。
なお、図1と同様の構成要素については同一の符号を付して重複する説明を適宜省略する。
ブレード21は、超低速用のコルゲート翼である。なお、図2では、ブレード21の形状を簡易的に示している。このブレード21には翼根部50と翼端部60との間で弦長が極小値となる絞り部28が形成されている。ここでは、ブレード21の一方の横側縁部27Bが絞られた形状になっており、他方の横側縁部27Aは直線状に形成されている。
ブレード21は、翼根部50から絞り部28に向かって弦長が短くなる先細のテーパー状の第1ブレード部21Aと、絞り部28から翼端部60に向かって弦長が長くなる先太の逆テーパー状の第2ブレード部21Bとを有する。なお、回転軸40から絞り部28までの長さM1は、ブレード21の半径方向の長さL1の約75パーセントである。ただし、長さM1は長さL1の約75パーセントに限定されるものではない。
第1ブレード部21Aは、翼根部50から絞り部28に向かうほど、ソリディティ及びピッチ角が漸次小さくなるように変化させて形成される。
一方、第2ブレード部21Bは、絞り部28から翼端部60までのあらゆる半径位置において、ソリディティ及びピッチ角がブレード21固有の一定値であるように構成される。ピッチ角が一定値であるため、第2ブレード部21Bは平坦状に形成される。
以上のように、図2に示すブレード21は、先細のテーパー状の第1ブレード部21Aと、先太の逆テーパー状の第2ブレード部21Bとによって構成される。第1ブレード部21Aは、迎え角が一定になるように、且つ、誘導速度率kが3分の1になるように従来方式に従って設計される。一方、第2ブレード部21Bは、例えばソリディティが0.1、ピッチ角が5.5度で設計されることで、広い範囲の流入角において誘導速度率kが0.34となる。詳細には後述する。
以上、図1及び図2を用いて説明してきた本実施形態に係るブレード20、21によれば、風速が急変したり、発電機の負荷トルクが設計値と異なったりする場合であっても、少なくとも翼端部60近辺のエネルギー発生の大きい領域において、風エネルギーの吸収効率を落とすことなく、別の釣合い点で回転を継続させることが可能になる。
なお、図2に示す平面型の風車11を簡易的に設計後に行った風洞実験結果について説明する。ここでの風洞実験とは、風速3m/sにおいて、発電機への抵抗負荷を300Ωから100Ωまで徐々に変化させて発電機の回転抵抗トルクを増加させる実験である。この実験において、風車による発電効率は常に18から20%の範囲に含まれる結果が示された。本技術の有効性を示す結果であると考えられる。
以上のように、本実施形態に係るブレード20、21によれば、環境変化に対してピーキーな性能特性を有する可能性の高い従来のブレードに比べて、大幅に環境適合性を増すとともに、実用上の性能改善度あるいは使い易さを格段に向上させることができる。特に、小型風力発電機の実用性を大幅に向上させることが可能である。
[本技術に係る風車用ブレードの構造の根拠]
以下、図1及び図2に示したブレード20、21の構造を採用した根拠について説明する。なお、以下の説明においては必要に応じて従来技術も併せて説明する。
風車は、ブレード回転面において風の流れを減速させ、風のエネルギーを機械エネルギーに変換するものである。ここで、風の流れの減速分を表す誘導速度の算出が複雑である。また、誘導速度はブレードの半径に依存するため、風車全体の性能を論じる場合、ブレードの半径方向の積分計算が必要である。そのため、風車設計は数値計算によって可能である一方、風車特有の困難さを有する。
しかしながら、前述の非特許文献1は、設計された風車に生じる実用上の問題点や対策について論理的に記載するものではない。そのため、実際に記載した文献等を見出すことは困難である。例えば、風車にとって最も基本的な設計点である定格風速の決定法や適用限界について詳細に記載した文献は存在しないと言える。これは、風車設計が非線形計算の典型的な困難さを有するか、又は風車メーカーの設計ノウハウであるためだと考えられる。
本技術は風車の実用性向上に関するものである一方、理論的側面を併せ持つ。そこで、まず従来の風車の設計手法について説明する。
風車が風のエネルギーを最大効率で吸収できるのは、風車の上流側の風速に対するブレードの回転面上の減速度の比で示される風車の誘導速度率が3分の1であることがベッツの理論において示されている。そのため、誘導速度率を3分の1にすることが、風車設計において極めて重要な指針である。
ベッツの理論は運動量理論を根拠としている。しかしながら、運動量理論だけでは、風車の具体的設計に対して十分ではない。すなわち、ブレードの平面形状や断面形状を設計するためには、運動量理論のみならず翼素理論に従う必要がある。
空気中を移動する翼には揚力Lと抗力Dとが発生する(図4参照)。ここで、風車に用いられるブレードでは、揚力Lがブレードを回転させる原動力となる。一方、抗力Dと発電機からの抵抗Qが揚力Lを阻害する力となる。そのため、ブレードの設計においては、航空機と同様に、優れた揚抗比(L/D)を実現することが必要である。
従って、風車の設計では、運動量理論に従って誘導速度率kを3分の1にするとともに、翼素理論に従って、ブレードの半径方向のあらゆる位置で、風車の迎え角を揚抗比を最良の値にするような値にすることが原則的に必要となる。
このような前提の元、設計者は設計パラメータ、すなわちブレードの枚数や各ブレードの弦長、ピッチ角をブレードの半径位置毎に調整しながら最適性を追求することになる。
図3は、従来の風車用ブレードを備えた風車を風上側から見た図である。図3に示すブレード2は、従来の設計手法に従った標準的な形状のブレードである。
図3に示すように、ブレード2は、翼根部5から翼端部6に向かう程、弦長が短くなる先細のテーパー形状である。また、翼端部6に近い程ピッチ角は浅い。浅いピッチ角とは、ブレード翼弦が回転面に平行に近い浅い捻り角を指す。さらには、翼根部5に近い程ピッチ角は深い。深いピッチ角とは、ブレード翼弦が回転面に対して一様流に沿う方向への深い捻り角を指す。
なお、弦長が先細ではない小型風車も存在する。しかしながら、このような小型風車は効率よりも風車のトルクを重視するものであり、効率が不十分である。そのため、このような小型風車は最近では殆ど用いられない。
以上のことから、誘導速度率kを最適値である3分の1にしつつ、ブレードのあらゆる半径位置で、風車の迎え角を揚抗比を最良の値にするような値にしようとすると、一般にブレードは図3に示すブレード2のような先細の形状になる。
もっとも、翼根部5すなわち風車1の回転軸4に近いほど、構造上、上記の理論に従った設計ができなくなる。ただし、翼根部5に近い側では回転面積が小さいため、風の吸収エネルギー量も小さくなり、風車性能全体に及ぼす影響度は小さい。
続いて、上記の結論に至る具体的設計手順について説明する。
設計者が選択可能なパラメータには、例えば周速比やソリディティが挙げられる。周速比とは、風速Vに対するブレードの翼端回転速度ΩRの比(ΩR/V)である。ソリディティとは、回転面積2πRに対するブレードの総面積bcの比(bc/2πR)である。ここで、Ωは、回転角速度(rad/s)である。Rは、ブレードの外周半径である。bは、ブレード枚数である。cはブレード断面弦長である。
前述のベッツの運動量理論では、風車のソリディティに応じて、風車が最大効率で動作するための周速比が与えられることが示されている。つまり、風車により最大のパワーを取り出す場合のソリディティと周速比との関係が導き出されている。
なお、ソリディティが大きい程風車が発生させるトルクは大きい。そのため、設計者は発電機の作動に必要なトルクに応じてソリディティを選択する。この選択に関し、風車によるエネルギーの吸収率の多寡は考慮しない。
以上のことから、風車設計の基本手順では、まずソリディティを選択する。次に、ベッツの理論に従って、風車が最大効率で動作するための周速比を求める。その後、求められた周速比を満たすようにブレードのピッチ角を設定する。
このように、風車設計において、風車の代表的な無次元特性である周速比が重要な設計パラメータである。ただし、周速比は誘導速度を含まないので、周速比によって風車に用いられるブレードの実際の作用等を論じることはできない制約がある。
使用されるブレードの翼型は予め定められていると仮定しても一般性を失わない。そこで、この仮定に基づいて、従来の設計手順を詳細に掘り下げる。
ソリディティが大きいブレード及びソリディティが小さいブレードが同じ発生パワーである場合、前者の方が、後者よりも大きなトルクを得ることができる。そのため、大きなトルクを要する機械的仕事を風車にさせる場合には、ソリディティを大きくする。一方、発電用の様に低回転大トルク型よりも高回転高効率型が望ましい場合には、ソリディティを小さくする。最近では、機械的仕事をさせるための風車よりも、高効率発電に適した小型風車を選択するケースが多い。
ソリディティが決定されると、前述の方法によって周速比が決定される。以下に示す手順は、一般に定格風速と呼ばれる設計風速の決定手順である。
通常、風速10mから15mまでの、風車が回り続けても風車が壊れない範囲での高めの風速が、定格風速として決定される。これは、風エネルギーが風速の3乗に比例するので、短時間であっても強風の有する強大なエネルギーを効率良く吸収する方が長期的観点での電力蓄積量としては大きくなるという考え方と、発電機は低回転では出力を出しにくいという事情とに基づいたものである。
風の動的エネルギーの考察から、風車の出力と風車の直径と風速とは一定の関係を有する。そのため、風速が決定されると、風車が必要な出力を元に風車の直径を決定することになる。
以上の手順により、設計風速及び風車の直径を決定した後に、先に決定された周速比から、回転数を決定する。その後は、発電機からの負荷と回転数に応じて、ブレードの具体的形状、すなわちブレードの半径位置毎の弦長とピッチ角とを決定すればよいことになる。
ブレード枚数は設計者が自由に選択する。そうすると、ソリディティに基づいてブレードの弦長が決定される。残るピッチ角の設定に際しては、式(1)に基づいて、ブレードの各半径位置において誘導速度率kを3分の1にしつつ、迎え角が揚抗比を最大の値にするようにピッチ角を定める。なお、式(1)は、運動量理論と翼素理論とに基づいて誘導速度とブレードの揚抗特性とを関係付けた式である(非特許文献1参照)。
Figure 0005493217
式(1)において、kは誘導速度比である。σはソリディティである。Cは揚力係数である。γは流入角(rad)である。
以上に示すようにブレードの半径位置毎の弦長とピッチ角等の各要素を最適に設計することができる。なお、これら風車全体の駆動力は、各要素駆動力をブレードの半径方向に積分することによって求められる。
なお、風車の駆動トルクと発電機の負荷抵抗トルクが不一致である場合には、ソリディティに応じた発生トルク係数のデータから計算ループの最初に戻る。その後、ソリディティを見直し、風車の駆動トルクと発電機の負荷抵抗トルクが一致するまで計算を繰り返す。 以上に示す設計手順によって、図3に示すような標準的なブレード2の形状が決定される。
ところで、風車が設定条件と少し異なる条件下で稼働する場合における風車の性能の変化を検討中に、本願発明者は、上記従来の設計手法が必ずしも最善ではなく、従来の設計手法を改善することによって、問題が概ね解決可能であることを発見した。
特に小型風車では、設計条件と異なる条件下で稼働する場合に、設計点のずれが頻繁に生じる。このような場合において最適性を維持することが、実用上極めて重要である。設計点のずれとは、例えば風車が駆動する発電機の負荷特性の変化である。
小型風車を用いた小型風力発電機の用途には、負荷抵抗が定められた2次電池への定常的な充電のみならず、電球の点灯、負荷抵抗を変えて2次電池へ充電すること等が挙げられる。これは、風車と風の条件が同じであっても、負荷条件と設計条件とが異なってくることを意味する。
また、実環境下において風車は、設計条件で仮定された速度の風を常に受けるものではなく、頻繁に変化する速度の風を受けるものである。すなわち、実際の風車は非設計点においても使用される。
ここで、従来の設計手法によって生成された風車は、前述のように、予め定められた設定条件、例えば所定の風速、所定の回転数で、所定のパワーを発生する条件においては最適であることを保証している。しかしながら、設定条件と異なる条件下における最適性を保証するものではない。設定条件と異なる条件とは、例えば負荷が変更された場合や、風速が変更した場合である。
なお、ピッチ角の変更装置を搭載可能な大型風車では、実環境下における上記の問題は緩和される。しかしながら、ピッチ角を変更不能な小型風車では、上記の問題が実用性を低下させる大きな要因であると考えられる。
従来理論の問題点について以下に詳述する。
図4は、従来のブレードの回転駆動力について説明する図である。なお、ブレードでの釣合いを論じても定性的な議論では一般性を失わないので、以降、ブレードにおける回転の釣合いについて論じる。図4では、半径Rの半径位置におけるブレードの断面図を示している。
図4において、Lはブレードの揚力(N)である。Dはブレードの抗力(N)である。Qはブレードに作用する発電機による回転抵抗力(N)である。Ωは回転角速度(rad/s)である。Rは半径(m)である。Vは風速(m/s)である。kは誘導速度率である。Uはブレードへの相対流速(m/s)である。dSはブレードが風を受ける面積(以下、「受風面積」ともいう。)である。ρは空気密度(kg/m3)である。γは流入角(rad)である。αは迎え角(rad)である。θはピッチ角(rad)である。V1はブレード回転面を通過する風の速度(m/s)である。
そうすると、ブレードの揚力Lによる回転駆動力(以下、「ブレード回転駆動力」ともいう。)Fac(N)は、流入角γを変数として以下の式(2)で示される。なお、式(2)において、Cは揚力係数である。Cは抗力係数である。
Figure 0005493217
また、流入角γや相対流速Uは他の変数と、以下の式(3)〜(5)に示す関係を有する。
Figure 0005493217
これら式(2)〜(5)に示す関係を用いると、所定の断面におけるブレード回転駆動力Facは、流入角γを変数として以下の式(6)、(7)で示される。
Figure 0005493217
なお、式(6)において、“γpdp”は、ブレードの回転面を通過する風の動圧による寄与分(以下、「動圧寄与分」ともいう。)である。一方、“liftcoef”は、ブレードの揚力係数C及び抗力係数Cによる寄与分(以下、「翼素寄与分」ともいう。)である。すなわち、ブレード回転駆動力Facは、動圧寄与分と翼素寄与分の積として計算される。
後に明らかになるが、本分析の特徴は、風車の各種特性を、周速比ではなく、周速比と殆ど同じ物理的意味を示す流入角γで整理したことにある。
周速比は、風車の特徴をシンプルに表現することができるが、風車パワーに関わる誘導速度を含まない。そのため、周速比を用いて風車の稼働状態での性能を論じることができない。一方、流入角は誘導速度を含むため、流入角を用いて風車の稼働状態での性能を論じることが可能になる。
以下、風車設計に応じた駆動力の変化の様子について調べる。
図5は、ブレードの揚力係数Cを示す図である。図6は、ブレードの抗力係数Cを示す図である。
図5及び図6では、実験から得られた小型風車用ブレードの空力データを用いて、それぞれ揚力係数C、抗力係数Cを示したものである。具体的には、各迎え角範囲で次の近似式(0≦α≦π/15で、C=CL0−2πθ+2πγ、CL0=0.18、π/15≦α≦π/4で、C=CL1=1.5、π/4≦α≦π/2で、C=(3+(6/π)×θ―(6/π)×γ))を用いる。
発電機の抵抗力Qについては回転釣合いを論じる段階で考察することとして、ブレード回転駆動力Facに関する考察を進める。
図7は、流入角γと翼素寄与分との関係を示す図である。図7では、前述の式(1)と、図5及び図6に示した空力特性データとを用いて、ブレードの揚力係数C及び抵抗係数Cが分担する駆動力を計算した結果を示している。
図7に示す横軸、縦軸は、それぞれ流入角γ、揚力係数等の駆動力Fac/“γpdp”である。縦軸は、前述の翼素寄与分と同義である。なお、図7では、ブレードのピッチ角が0度、7.5度の場合の計算結果を示している。ピッチ角0度は、翼端部におけるピッチ角としては過小なケースである。一方、ピッチ角7.5度は、翼端部におけるピッチ角として過大なケースである。すなわち、図7では両極端なケースについての計算結果を示している。
図7において、流入角γと翼素寄与分とが比例関係である領域、すなわち流入角γが約π/15よりも小さい領域が風車の正常な稼働域である。流入角γが大きくなると、駆動力は最大値をとる。駆動力が最大値をとる点を失速点という。そうすると、失速直前において駆動力は最大となる。さらに流入角γが大きくなると、ピッチ角に関係なく、常に失速状態となり駆動力は急激に減退する。
なお、ピッチ角0度は、起動トルクが生じないために使用されることがない程フラットである。一方、ピッチ角7.5度は、特に翼端部においては発電用としては過大である程深い。そのため、少なくとも翼端部においては、ピッチ角は0度と7.5度の間の値をとるのが一般的であると考えてよい。
続いて、ブレードの回転面を通過する風の動圧による寄与分、すなわち動圧寄与分について説明する。ブレードの回転面を通過する風は一様風速から誘導速度を減じたものであり、動圧中で誘導速度による影響を無視できない。
そこで、動圧寄与分についての説明に先立ち、ブレードの回転面を通過する動圧のベースとなる誘導速度率kと流入角γとの関係について周速比が4である場合を例に説明する。
図8は、流入角γと誘導速度率kとの関係を示す図である。
図8に示す横軸、縦軸は、それぞれ流入角γ、誘導速度率kである。なお、図8では、ブレードのピッチ角が0度、7.5度の場合の関係を示している。また、図8においてσはソリディティを示す。
誘導速度率k=0は、ブレードの回転面で風速が一切減速されないことを示す。一方、誘導速度率k=1は、減速が強くてブレードの回転面での流れが止まってしまうことを示す。
なお、図8では、流入角γの最大値を90度(π/2)としているが、概ね流入角γ=π/15付近が失速点近辺であるため、通常、流入角γはπ/15よりも小さい値に設定される。
図8から以下のことが分かる。まず、誘導速度率k=1/3となる流入角γはピッチ角毎に異なる点である。次に、ソリディティσの値が小さいほど、誘導速度率kが小さくなる、すなわち回転面での減速度が小さくなる点である。また、例えばピッチ角が7.5度でソリディティσ=0.05のようにピッチ角を0以上の値とし、ソリディティσを小さい値にした場合には、誘導速度率kが1/3に達しないことがある点である。また、流入角γの値がπ/15よりも大きい場合、誘導速度率kが急激に小さくなると共に、ピッチ角の影響を受けなくなる点である。
すなわち、図8では、流入角γがπ/15よりも小さい領域、すなわち非失速領域においては、誘導速度率kの値は、ソリディティσ及びピッチ角θによって大きな影響を受けることが示されている。
ブレードの回転面を通過する風の動圧は、誘導速度を用いて計算することができる。また、風の動圧のうちの駆動力に変換可能な動圧の割合は、図9のように計算することができる。
図9は、流入角γと風の動圧に基づく駆動力との関係を示す図である。
図9に示す横軸、縦軸は、それぞれ流入角γ、風の動圧のうちの駆動力に変換可能な動圧である。縦軸は、ブレードの回転面を通過する風の動圧の寄与係数(1−k)と同義である。図9では、ブレードのピッチ角が0度、7.5度の場合の関係を示している。また、図8と同様に、図9においてσはソリディティを示す。
図9に示すように、流入角γがπ/15よりも小さい領域、すなわち非失速領域においては、流入角γ、ソリディティσ及びピッチ角に応じて、駆動力に変換可能な風の動圧が大きく変化することが分かる。
以上説明してきた駆動力の翼素寄与分と動圧寄与分とを乗じることによって、ブレードが有する合成駆動力を得ることができる。
図10は、合成駆動力と発電機の回転抵抗力との釣合いを説明する図である。合成駆動力係数は、(1−k)で表される。
図10に示す横軸、縦軸は、それぞれ流入角γ、合成駆動力係数(1−k)である。なお、合成駆動力係数は、合成駆動力をブレードへの動圧力によって除して無次元化することによって計算される駆動力比である。なお、図10では、ブレードのピッチ角が7.5度の場合の関係を実線で示している。
図10から以下のことが分かる。まず、失速直前の流入角γ、すなわち流入角γがπ/15付近である場合に合成駆動力係数が最大になる点である。次に、流入角γがπ/15よりも小さくなると、合成駆動力係数はゼロにまで減少する点である。また、上記の2点に対するソリディティσの影響である。
続いて、発電機が発生する回転抵抗力について評価する。合成駆動力と回転抵抗力が等しい場合に回転は釣り合う。
さて、現在の小型風車の多くは、回転抵抗トルクの小さいコアレス発電機を採用している。これは、小型風車にとっては特に停止時からの起動トルクが大きいと、ロスが大き過ぎて致命的となるためである。
コアレス発電機のような小型発電機に一定の電力負荷抵抗をつないだ場合、発生する電流と電圧はいずれも回転数に比例する。
すなわち、発電機の出力は回転数の2乗に比例する。一方、回転数に抵抗トルクを乗じることによって発電機の出力は示される。以上の関係から、発電機の回転抵抗トルクは回転数に比例することになる。また、前述の図1から得られた関係式によって、回転数は流入角γと1対1に対応することが分かる。そのため、流入角γと発電機が発生する回転抵抗力との関係を図10上に示すことができる。なお、図10では、流入角γと、発電機の回転抵抗力を無次元化した回転抵抗力係数との関係を破線で示している。
合成駆動力と発電機の回転抵抗力とが一致する点が回転の釣合い点である。そこで、図10から釣合い点における回転数を求めることが可能となる。
従来の設計手法では、発電機につながれる抵抗負荷が一定の場合、回転の釣合い点が誘導速度率k=1/3となるようにソリディティとピッチ角を定める。
そのため、例えば小型風車の設計において、LED(Light Emitting Diode)100個を風速5m/sの条件下で点灯させる場合には、発電機の回転抵抗トルクが分かれば最適設計が可能である。ただし、この場合の風車の性能は風速5m/sの条件下のみにおいて保証されているに過ぎない。
実環境下において、LEDの数は150個の場合や50個の場合がある。また、風車の風見安定性が不十分で、風がブレードの回転面に正対して当たらない場合も考えられる。さらには、風速が6m/s、4m/s等に変化する場合がある。
実環境下における風車の性能変化について図10を用いて説明する。なお、ここでは一例として、発電機につながれる抵抗負荷が増加すると仮定する。抵抗負荷が変化した場合、風車の駆動力曲線(図10中の実線)は同一であっても、所定の負荷曲線(図10中の破線)を別の負荷曲線に切り替える必要がある。すなわち、抵抗負荷が増加すると、回転の釣合い点は、駆動力曲線と別の負荷曲線との交点になる。
例えばソリディティσ=0.2の場合、点Aから点B、次いで点Cのように回転の釣合い点が移動し、流入角γの変化を伴うことになる。
流入角γが変化する場合、図8から明らかなように、通常の設計手法では誘導速度率kが変化する。そのため、従来の設計手法では、実環境下において誘導速度率k=1/3を維持することができない。実環境下において誘導速度率k=1/3を維持するためには、変化した抵抗トルクに対応して、ソリディティとピッチ角とを設計し直す必要がある。
なお、ピッチ角の変更装置を搭載可能な大型風車では、実環境下における上記の問題は緩和される。しかしながら、ピッチ角を変更不能な小型風車では、上記の問題のために最適性の観点からは環境変化に対応できないことになる。このことが、小型風車を用いた小型風力発電機が有する実用上の問題である。
このような問題点を鑑みて、図1に示すように、本実施形態に係るブレード20では、風車10の半径の概ね4分の3の位置よりも外側の第1ブレード部20Aにおいて、所定の半径位置における全ブレード20の弦長の和を所定の半径位置での回転円周長で除した値で定義される局所ソリディティが、ブレード固有の一定値になるよう設計される。同様に、第1ブレード部20Aにおいて、ブレード20のピッチ角がブレード20の固有の一定値になるよう設計される。
以下、本実施形態に係るブレード20を用いた風車10(図1参照)が、従来のブレード2を用いた風車1(図3参照)と比較して格段に環境変化に強くなる理由を説明する。
図8の流入角γと誘導速度率kとの関係を示す図を参照する。なお、ここでは失速前の流入角γの範囲、すなわち流入角γが約0.2以下の範囲のみを考える。
図8から、誘導速度率kのレベルはソリディティσによって調整可能であり、誘導速度率kの流入角γに対する変化はピッチ角θによって調整可能であることが明らかである。このことは、ソリディティσとピッチ角θを適切に選定することによって、失速前では流入角γに依存しない誘導速度率kを得ることができる可能性を示唆している。
図11は、本実施形態に係る流入角γと誘導速度率kとの関係を示す図である。
図11では、図8に実線部分を加えたものである。この実線部分は、例えばソリディティσ=0.1、ピッチ角θ=0.33(rad)の組合せを選択することによって流入角γが0.1〜0.2の範囲で誘導速度率k=0.34に調整した場合の流入角γと誘導速度率kとの関係を示すものである。
図11の実線部分に示すように、誘導速度が流入角γに依存しない性質を得ることができる。また、このときの誘導速度率kを最適値(1/3)に極めて近い値にすることができる。
これは、翼端部60の側の一定範囲において、失速前の広い流入角γの範囲において誘導速度率k≒1/3を成立させるソリディティσとピッチ角θの組合せが存在することを示している。
このようなソリディティσとピッチ角θの組合せを利用してブレードを設計することによって、不時の回転環境変化によって回転の釣合いを実現する流入角γが変化しても、風車の準最適性を保証することができる。
すなわち誘導速度率kは必ずしも最適値ではなくても、広い流入角γの範囲において準最適な誘導速度を得ることが可能であることを意味しているともいえる。小型風車には、このような優れた特性が潜在していることになる。
そのため、ソリディティσとピッチ角θとをブレードの断面形状に応じて適切に選択することによって、流入角γの変化、すなわち回転の釣合いの変化に対して、略理想的な誘導速度を保証することができる。
本技術は、以上のような小型風車に潜在していた特性を活用するものである。そして、 上記の特性が、図1の逆テーパー形状の第2ブレード部20Bや、図2の先太形状の第2ブレード部21Bとして現されている。
なお、この設計手法は、翼端部60の側の一定領域のみに適用可能であることに注意しなければならない。この設計手法を翼根部50の側に適用すると、翼根部50に近づく程迎え角が大きくなり、所定の半径位置で迎え角が失速角よりも大きくなってしまうためである。そのため、本技術が適用可能な部分は、翼端部60から一定部分内側の外周部分だけになる。なお、翼端部60の側の一定領域とは、ブレード20、21の半径の概ね75%以上といえる。
以下、翼端部60の側の一定領域について説明する。一般に、飛行機の翼や回転翼機(ヘリコプター)等に用いられるブレードの性能は、後述する理由により、翼の付け根やブレードの回転中心から翼端部までの約75%の位置での性能に代表される。ここでいう翼の付け根とは、飛行機において胴体がないとした場合の翼幅の半分、すなわち中央位置を意味する。そのため、この位置から翼端部までの範囲では運動量理論による最適性が無理なく適用できる。
すなわち、飛行機の翼や回転翼機に用いられるブレードでは、翼端部付近において翼端渦の存在によって揚力のレベルが落ち、翼端部では揚力のレベルはゼロになる。通常の飛行機では、翼の付け根から翼端部までの概ね75%の位置において最も揚力が発生する。一方、回転翼機であるヘリコプターでは、翼端部に近い程相対風速が上がるので、最も揚力が発生するのはブレードの回転半径の約75%以上になる。回転翼機である風車においても、ヘリコプターと同様に、最も揚力が発生するのはブレードの回転半径の約75%以上になる。要するに、翼端部の性能が優越する回転翼機のような機械では、ブレードの回転半径の75%以上での性能を向上させることに、実用上大きな意味がある。
そこで、翼端部60から回転中心、すなわち回転軸30に向かって半径75%付近までの一定範囲にのみ、流入角γと関係なく誘導速度率kが1/3に近い値になるソリディティσとピッチ角θとを用いて設計する。一方、半径75%付近よりも回転軸30の側では、従来の設計手法に従って、迎え角を一定にする。
本技術によれば、少なくとも翼端部60付近の領域、すなわち風車が発生するパワーに大きく影響する領域において、誘導速度が回転の釣合い点によらず殆ど変化せず、しかも理想の値に近い値にすることができる。そして、このような本技術の特徴は、ブレード20、21の平面形状に現すことができる。
なお、本技術に係る設計手法を用いた場合であっても、第2ブレード部20b、21bのように先細のテーパー形状にせざるを得ない部分は、負荷変動等の環境変化に対して理想的な効率を示すことはできないことが想定される。また、従来の設計手法と同様に、翼根部50の構造的な制約については甘受することになる。
以上説明してきたように、本技術に係るブレード20、21を備えた風車10、11によれば、従来の風車1と比較して、設計点を外れた場合の風のエネルギー吸収効率の変化が殆どないという性能上の特徴を有する。
また、本技術に係る風車10、11によれば、空力特性が最も発揮される翼端部60から回転中心に向かって半径約75%付近において、環境条件によらず優れた性能発揮が保証され得る。実環境下において小型風車が稼働する場合、設計点のずれが頻繁に生じるのでメリットが大きい。
また、ブレード20、21の特性に応じてブレード20、21に固有のソリディティとピッチ角を選択することによって、流入角γと関係なく誘導速度率kを1/3に極めて近い一定値にすることができる。このような設計値を翼端部60の側の一定領域において採用することによって、従来の設計手法と比較して、大幅に環境適合性を増すとともに、実用上の性能改善度あるいは使い易さを格段に向上させる風車10、11を設計することができる。
以上、本発明を添付の図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこのような具体的構成に限定されるものではなく、添付した請求の範囲の趣旨内における様々な変更及び同等の構成を含むものである。
10、11 風車
20、21 ブレード
25、27 横側縁部
26、28 絞り部
40 回転軸
50 翼根部
60 翼端部

Claims (2)

  1. 風車に用いられるブレードであって、翼根部と翼端部との間で弦長が極小値となる絞り部を形成し、前記絞り部は、当該風車用ブレードの回転中心から前記翼端部までの略75%の位置に形成され、前記翼根部から前記絞り部までは、漸次ピッチ角が小さくなるように、且つ、当該翼根部から当該絞り部に向かって弦長が短くなる先細のテーパー状に形成し、前記絞り部から前記翼端部までは、全半径位置において固有のピッチ角及びソリディティの平坦状、且つ、当該絞り部から当該翼端部に向かって弦長が長くなる先太の逆テーパー状に形成することを特徴とする風車用ブレード。
  2. 請求項1に記載の風車用ブレードを備えることを特徴とする風車。
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