JP5493087B2 - 基地局装置、無線通信システムおよび無線通信方法 - Google Patents

基地局装置、無線通信システムおよび無線通信方法 Download PDF

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Description

この発明は、無線ネットワークシステムにおける基地局装置およびそれを備えた無線通信システムに関するものである。特に、無線LAN(Local Area Network)などにおいて、複数の基地局(アクセスポイント)が存在し、これらが相互に干渉範囲内にある環境下において、QoS(Quality of Service)制御を提供するチャネルアクセス制御を行う無線通信のための装置、システム、無線通信方法の構成に関する。
まず、無線LANのQoS制御の従来技術について説明する。
図14は、無線LAN規格であるIEEE802.11(a/b/g)とIEEE802.11eとのQoS制御を対比して示す図である。
図14に示されるように、IEEE802.11(a/b/g)規格では、QoS制御として、自律分散的なアクセス制御手順であるDCF(Distributed Coordination Function)と、ポーリングを使用する集中制御手順であるPCF(Point Coordination Function)とが規定されていた。
一方、IEEE802.11e標準規格には、DCFの拡張であるEDCA(Enhanced Distributed Channel Access:拡張自律分散チャネルアクセス)、および、PCFの拡張であるHCCA(Hybrid Coordination Function controlled channel access:HCFコントロールド・チャネル・アクセス)が存在する(たとえば、非特許文献1および非特許文献2を参照)。
EDCAにおいて、各端末は各トラフィックの通信プライオリティに基づいて、送信待ち時間の違いを用いたQoS制御(Prioritized QoS)を提供する方式である。EDCA方式は各端末における分散型チャネルアクセス制御において行われる。
HCCAは各端末のアプリケーションの通信要求に基づいたAdmission 制御を用いたQoS制御(Parameterized QoS)を提供する方式であり、Admission 制御はアクセスポイントのスケジューラを用いた中央型チャネルアクセス制御によって行われる。
無線LANにおいてBSS(BSS:Basic Service Set=セル)が複数存在した場合においてQoSを確保する方式として、周波数分割方式及び時間分割方式が提案されている(たとえば、非特許文献3および4を参照)。
これらのセルが複数存在する場合の従来方式の第1のものは、周波数分割方式において、中央型又は分散型制御によって、干渉範囲内にある隣接セルに異なった周波数チャネルを割り当てる方式である。第2のものは、時間分割方式において、中央型制御によって、干渉範囲内にある隣接セルに異なったチャネルアクセス時間帯を割り当てる手法である。
IEEE Standards for Information Technology - Telecommunications and Information Exchange Between Systems - LAN/MAN Specific Requirements - Wireless Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications. New York: Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc. IEEE Standards for Information Technology - Telecommunications and Information Exchange Between Systems - LAN/MAN Specific Requirements - Part II: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications. Amendment: Medium Access Control (MAC) Quality of Service Enhancements. IEEE 802.11e/D13.0. New York: Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc. DD. Vergados, DJ. Vergados, "Synchronization of multiple access points in the IEEE 802.11 point coordnation function," VTC2004, IEEE 60th Vehicular Technology Conference, pp. 1073-1077, 2004. DJ. Leith, P. Clifford, "A self-management distributed channel selection algorithm for WLANs", 4th International Symposium on Mobile, Ad-Hoc and Wireless Networks, 2006. J. Zhu, B. Metzier, X. Guo, Y. Liu, "Adaptive CSMA for scalable network capacity in high density WLAN: a hardware prototyping approach," INFOCOM 2006. 25th IEEE International Conference on Computer Communications, pp. 1-10, 2006.
無線LAN技術におけるMACプロトコルは周波数チャネルの有効利用および、優先制御、QoS確保を行う役割がある。
IEEE 802.11(a/b/g)規格におけるMACプロトコルはCSMA/CA(carrier sense multiple access with collision avoidance)に基づいており、分散型制御での通信環境におけるチャネルアクセス制御を行う。IEEE 802.11e(EDCA)規格において、アプリケーションの多様なニーズに対応するための優先制御が導入されているものの、アプリケーションの厳密なQoS要求を確保できない課題を抱えている。そこで、このような課題に対しては、IEEE802.11e(HCCA)においてポーリングによるQoS制御が提案されている。
すなわち、EDCAはPrioritized QoS制御に基づいているため、端末の台数が増えてくると、アプリケーションの通信要求を満たさなくなることが発生する。
一方、HCCAはParameterized QoS制御に基づいているため、端末の台数が増えた場合でも、受信機会(admission)制御によりアプリケーションの通信要求を満たすことが可能である。
しかし、HCCAでのQoS制御は、無線LANにおける隣接セル間の干渉がないという前提に成り立っている。そこで、以下に説明するような問題があることになる。
図15は、隣接するセル間の干渉の様子を示す図である。
図15に示すように、無線LANの一般的な利用環境において(たとえば、事務所内、空港内、大学キャンパスなど)、隣接セルがオーバーラップし、お互いに干渉し合うことが通常であるため、アプリケーションの通信要求を満たせなくなることが発生する。
図15においては、アクセスポイントAP1についてのセルBSS1とアクセスポイントAP2についてのセルBSS2のオーバーラップする領域に、アクセスポイントAP1と通信する端末装置STA1mと、アクセスポイントAP2と通信する端末装置STA2nとが存在している。このため、端末装置STA1mと、端末装置STA2nとが、同時に通信を行なうと、相互に干渉を生じることになる。
図16は、周波数分割方式の構成を説明するための図である。
図16に示されるように、周波数分割方式は、無線LANを面的に敷く場合において、隣接セル同士が相互に干渉しないように、中央型又は分散型制御によって、干渉範囲内にある隣接セルに異なった周波数チャネルを割り当てる方式である。
しかし周波数分割方式は以下の課題を抱えている。
(1)無線LAN(IEEE802.11e)が利用できるチャネル数が限られているので、アクセスポイントが密集している環境(自営無線LANのような環境)においては、周波数分割による干渉回避は困難である。このため、チャネル分割だけで解消できない隣接セル間での干渉に対する別のQoS制御手法が必要である。
(2)無線LANの基本機能であるアクセスポイント装置と端末装置間の関連付け(Association)の確立過程(接続関係の確立過程)において、端末はすべてのチャネルで、隣接セルのアクセスポイント装置との受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)および、チャネルの利用状況を把握することが必要となる。これは、プロトコルが複雑となるだけではなく、各端末が複数の周波数チャネルに該当する無線LANカードを装備することを必要とする。
図17は、時間分割方式の構成を説明するための図である。
図17に示されるように、時間分割方式は、隣接セル間で同一の周波数チャネルを使用しつつ、中央型制御によって、干渉範囲内にある隣接セルに異なったチャネルアクセス時間帯を割り当てる方式である。しかし、時間分割方式は以下の課題を抱えている。
(1)中央型制御において、周波数チャネルの有効利用を損なわない(不必要に大きなエリア間での排他的チャネルアクセス制御)ためには、無線LANのネットワークの構成情報を取得する必要がある。
(2)時間分割方式は中央型制御なので、自営無線LAN環境のように異なった管理元が存在するネットワーク環境に適応できない。
したがって、従来の無線LANの方式では、無線LANが単一周波数チャネル又は複数の周波数チャネル上で動作する環境において、干渉し合う隣接セルが存在した場合、Parameterized QoSを確保できなくなる、という問題があった。
また、複数のアクセスポイント装置と端末装置が干渉可能な範囲に存在する場合の排他的通信制御範囲に対して、送受信端末間の距離に基づいてキャリアセンスしきい値を適応的に設定することにより、チャネルの有効利用の向上を図る提案が行われている(非特許文献5を参照)。しかし、この方式においては各送信端末各々において異なったキャリアセンスしきい値を設定することになり、すでに通信を行っている受信端末と新たに送信を開始する送信端末間の距離を考慮しない為、既存の通信に対する過剰な干渉電力が発生する問題があった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、無線LANのような無線通信ネットワークにおいて、隣接する複数のアクセスポイント装置が同一周波数チャネル上で動作し、相互に干渉範囲内にあり、かつ同一周波数チャネル上で動作する基地局装置が複数存在する環境において、QoS制御を実現するチャネルアクセス制御を行うことが可能なアクセスポイント装置、無線通信システム、無線通信方法を提供することである。
この発明の1つの局面に従うと、複数の基地局装置と、各基地局装置に対応する端末装置との間で無線通信を行うシステムにおける基地局装置であって、無線通信の通信期間は、基地局装置により通信が順次割り当てられる当該基地局装置の通信エリア内の端末装置と選択的に通信をする非競合期間を含み、自身の通信期間における非競合期間の通信を開始するにあたり、キャリアセンスにより、複数の基地局装置のうちの他の基地局装置との間で通信期間の開始が競合する場合に、ランダムなバックオフ時間を設定するバックオフ時間設定手段と、バックオフ時間の経過後に、キャリアセンスにより他の基地局装置が非競合期間の通信を行っていないことを条件として、自身の非競合期間の通信を開始する非競合期間通信手段と、非競合期間におけるデータ通信で通信する端末装置との間の基地局端末間距離を特定するための手段と、非競合期間で通信を行う他の基地局装置を非競合期間の通信について排他制御する第1の範囲を基地局端末間距離に応じて算出し、算出された第1の範囲に到達する強度で、キャリアセンスにおいて非競合期間の通信を自身が行っていることを示す第1のビジートーン信号を送信するための第1の排他制御手段とを備える。
好ましくは、無線通信の通信期間は、端末装置から通信の開始を求める競合を許容して所定の手順で通信を行う順序を調整する競合期間をさらに含み、他の基地局装置に対応する端末装置が、自身の非競合期間での通信が終了する前に競合期間の通信を開始しないように排他制御する第2の範囲を基地局端末間距離に応じて算出し、算出された第2の範囲に到達する強度で第2のビジートーン信号を、非競合期間の開始から自身の非競合期間中の通信の終了までの間に送信するための第2の排他制御手段と、競合期間において、端末装置から通信の開始を求める競合がある場合、所定の手順で通信を行う順序を調整して通信を行なうための競合期間通信手段とを備える。
好ましくは、第1の排他制御手段は、第1の範囲を、基地局端末間距離と、端末装置の位置において無線通信の通信レートにおける許容可能な所望波対干渉波の雑音電力比により算出される干渉範囲を規定する距離と、他の基地局の通信エリアを規定する距離とに基づいて、決定する。
好ましくは、第2の排他制御手段は、第2の範囲を、基地局端末間距離と、端末装置の位置において無線通信の通信レートにおける許容可能な所望波対干渉波の雑音電力比により算出される干渉範囲を規定する距離とに基づいて、決定する。
好ましくは、基地局装置は、通信エリア内に複数の端末装置が存在する場合、基地局から遠い方の端末装置より、順次、非競合期間の通信を行う。
この発明の他の局面に従うと、無線通信システムであって、複数の基地局装置と、基地局装置のうち対応する基地局装置との間でそれぞれ無線通信を行う複数の端末装置とを備え、無線通信の通信期間は、基地局装置により通信が順次割り当てられる当該基地局装置の通信エリア内の端末装置と選択的に通信をする非競合期間を含み、各基地局装置は、自身の通信期間における非競合期間の通信を開始するにあたり、キャリアセンスにより、複数の基地局装置のうちの他の基地局装置との間で通信期間の開始が競合する場合に、ランダムなバックオフ時間を設定するバックオフ時間設定手段と、バックオフ時間の経過後に、キャリアセンスにより他の基地局装置が非競合期間の通信を行っていないことを条件として、自身の非競合期間の通信を開始する非競合期間通信手段と、非競合期間におけるデータ通信で通信する端末装置との間の基地局端末間距離を特定するための手段と、非競合期間で通信を行う他の基地局装置を非競合期間の通信について排他制御する第1の範囲を基地局端末間距離に応じて算出し、算出された第1の範囲に到達する強度で、キャリアセンスにおいて非競合期間の通信を自身が行っていることを示す第1のビジートーン信号を送信するための第1の排他制御手段とを備える。
好ましくは、無線通信の通信期間は、端末装置から通信の開始を求める競合を許容して所定の手順で通信を行う順序を調整する競合期間をさらに含み、各基地局装置は、他の基地局装置に対応する端末装置が、自身の非競合期間での通信が終了する前に競合期間の通信を開始しないように排他制御する第2の範囲を、基地局端末間距離に応じて算出し、算出された第2の範囲に到達する強度で第2のビジートーン信号を、非競合期間の開始から自身の非競合期間中の通信の終了までの間に送信するための第2の排他制御手段と、競合期間において、端末装置から通信の開始を求める競合がある場合、所定の手順で通信を行う順序を調整して通信を行なうための競合期間通信手段とを備える。
この発明のさらに他の局面に従うと、複数の基地局装置と、各基地局装置に対応する端末装置との間で無線通信を行う無線通信方法であって、無線通信の通信期間は、基地局装置により通信が順次割り当てられる当該基地局装置の通信エリア内の端末装置と選択的に通信をする非競合期間を含み、基地局装置が、自身の通信期間における非競合期間の通信を開始するにあたり、キャリアセンスにより、複数の基地局装置のうちの他の基地局装置との間で通信期間の開始が競合する場合に、ランダムなバックオフ時間を設定し、基地局装置が、バックオフ時間の経過後に、キャリアセンスにより他の基地局装置が非競合期間の通信を行っていないことを条件として、自身の非競合期間の通信を開始し、基地局装置が、非競合期間におけるデータ通信で通信する端末装置との間の基地局端末間距離を特定し、基地局装置が、非競合期間で通信を行う他の基地局装置を非競合期間の通信について排他制御する第1の範囲を基地局端末間距離に応じて算出し、算出された第1の範囲に到達する強度で、キャリアセンスにおいて非競合期間の通信を自身が行っていることを示す第1のビジートーン信号を送信する。
好ましくは、無線通信の通信期間は、端末装置から通信の開始を求める競合を許容して所定の手順で通信を行う順序を調整する競合期間をさらに含み、基地局装置が、他の基地局装置に対応する端末装置が、自身の非競合期間での通信が終了する前に競合期間の通信を開始しないように排他制御する第2の範囲を基地局端末間距離に応じて算出し、算出された第2の範囲に到達する強度で第2のビジートーン信号を、非競合期間の開始から自身の非競合期間中の通信の終了までの間に送信し、基地局装置が、競合期間において、端末装置から通信の開始を求める競合がある場合、所定の手順で通信を行う順序を調整して通信を行なう。
本発明では、隣接セル間での相互干渉信号が存在する場合でもQoS制御の確実性が向上する。
本実施の形態の無線通信システム1000を示す図である。 図1に示すMACモジュール17の機能ブロック図である。 従来のHCCAにおける隣接セル間の干渉制御の課題を説明するための概念図である。 従来のHCCAにおける隣接セル間の干渉制御の課題を説明するための概念図である。 排他的通信制御範囲を画一的に規定した場合の問題を説明するための図である。 アクセスポイント装置間トーンチャネルでのビジートーン信号(AP-AP ビジートーン信号)を用いて設定されるアクセスポイント装置間の排他的通信制御範囲を説明する図である。 複数の端末装置が、アクセスポイント装置AP1と非競合期間について通信を行なう場合の排他的通信制御範囲の制御を説明するための概念図である。 アクセスポイント装置端末装置間トーンチャネル上のビジートーン信号による、排他的通信制御範囲の変化を説明するための図である。 非競合期間CFPにおいて、あるアクセスポイント装置がチャンネル利用通信(TXOP)を行う際の当該アクセスポイント装置のアクセスポイント装置間ビジートーン信号の出力期間を示す図である。 非競合期間CFPにおいて、各アクセスポイント装置がチャンネル利用通信(TXOP)を行う際の当該アクセスポイント装置のアクセスポイント装置端末装置間ビジートーン信号の出力期間を示す図である。 本無線通信方式において、非競合期間CFPの終了を検出する手順を説明するための図である。 本無線通信方式における通信シーケンスを説明するための図である。 アクセスポイント装置AP1とアクセスポイント装置AP2とが隣接している場合の通信シーケンスを示す図である。 無線LAN規格であるIEEE802.11(a/b/g)とIEEE802.11eとのQoS制御を対比して示す図である。 隣接するセル間の干渉の様子を示す図である。 周波数分割方式の構成を説明するための図である。 時間分割方式の構成を説明するための図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、本実施の形態の無線通信システム1000を示す図である。
以下では、「基地局装置」の一例として、無線LANのアクセスポイント装置を例にとって説明する。
無線通信システム1000は、アクセスポイント装置APと、端末装置STAとを含む。
アクセスポイント装置APは、アンテナ11と、入力部12と、出力部13と、通信制御部15とを含む。
図1において、ユーザアプリケーション14とあるのは、たとえば、同一のネットワーク内に存在するパーソナルコンピュータ上で動作する、アクセスポイント装置APの設定用のアプリケーションソフトウェアを意味する。
アンテナ11は、無線通信空間を介して、端末装置STAまたは他のアクセスポイント装置からデータを受信し、その受信したデータを通信制御部15へ出力するとともに、通信制御部15からのデータを、無線通信空間を介して、端末装置STA、他のアクセスポイント装置あるいはネットワークスイッチ装置などへ送信する。
ユーザアプリケーション14は、操作者が入力部12から入力した、アクセスポイント装置APの設定を行うためのメッセージおよびデータを受付け、その受付けたメッセージおよびデータを通信制御部15へ出力する。出力部13は、ユーザアプリケーション14からの制御に従ってメッセージを表示する。ユーザアプリケーション14は、入力部12からのメッセージおよび宛先に基づいてデータを生成して通信制御部15へ出力する。
通信制御部15は、ARPA(Advanced Research Projects Agency)インターネット階層構造に従って、通信制御を行なう複数のモジュールからなる。
すなわち、通信制御部15は、無線インターフェースモジュール16と、MAC(Media Access Control)モジュール17と、上位層18とからなる。
無線インターフェースモジュール16は、物理層に属し、所定の規定に従って送信信号または受信信号の変復調を行なうとともに、アンテナ11を介して信号を送受信する。
なお、アクセスポイント装置APとネットワークスイッチ装置との間の信号の送受信は、図示しない有線のインタフェースによって行われてもよい。
MACモジュール17は、MAC層に属し、上位層18からIPパケットを受け、その受けたIPパケットにMACヘッダを付加してパケットPKTを作成する。
MACモジュール17は、作成したパケットPKTを送信先へ送信する場合、パケットPKTをEDCA方式によって、複数のアクセスカテゴリ(AC:Access Category)に分類し、優先度が高いACに属するパケットPKTを優先的に送信先へ送信する。
そして、MACモジュール17は、各ACに属するパケットPKTを送信先へ送信する場合、後述するAdmission 制御に従ってパケットPKTを送信先へ送信する。
また、MACモジュール17は、後に詳しく説明するように、制御チャネルで受信した他のアクセスポイント装置からのビジートーン信号により、端末装置STAとの送受信のQoS制御を行う。
上位層18は、インターネット層、トランスポート層およびプロセス/アプリケーション層からなる。IPパケットは、IPヘッダと、データを格納するためのIPデータ部とからなる。上位層18は、MACモジュール17を介して受信したIPパケットを、当該パケットの宛先に応じて、他のネットワークスイッチ装置などのネットワーク装置等へ転送するために、必要に応じてルーティングテーブルを用いることで、IPパケットの宛先情報の書き替え等の処理を行う。
上位層18は、IPパケットを生成すると、その生成したIPパケットを送信する経路を決定し、その決定した経路に沿ってIPパケットを送信先の無線装置へ送信するように、IPパケットをMACモジュール17へ送信する。
この場合、上位層18は、テーブル駆動型のプロトコルおよびオンデマンド型のプロトコルのいずれかのプロトコルを用いて送信先の無線装置までの経路を決定する。
図2は、図1に示すMACモジュール17の機能ブロック図である。
MACモジュール17は、分類部171と、キュー172A,172B,172C,172Dと、EDCAコントロール部173A,173B,173C,173Dと、スケジューラー174と、送信部175と、測定部176と、制御部177と、受信部178と、識別部179とを含む。
分類部171は、上位層18からIPパケットを受け、その受けたIPパケットにMACヘッダを付加してパケットPKTを作成する。そして、分類部171は、その作成したパケットPKTを4つのアクセスカテゴリAC1〜AC4に分類する。
例えば、分類部171は、パケットPKTが音声データからなるとき、パケットPKTをキュー172Aに格納し、パケットPKTが映像データからなるとき、パケットPKTをキュー172Bに格納し、パケットPKTがベストエフォートで送信すればよいパケットであるとき、パケットPKTをキュー172Cへ格納し、パケットPKTがバックグランドのパケットであるとき、パケットPKTをキュー172Dに格納する。
キュー172A,172B,172C,172Dは、それぞれ、アクセスカテゴリAC1〜AC4に対応して設けられる。そして、キュー172A,172B,172C,172Dは、分類部171によって分類されたパケットPKTを格納し、その格納したパケットPKTを格納した順にそれぞれEDCAコントロール部173A,173B,173C,173Dへ出力する。
EDCAコントロール部173A,173B,173C,173Dは、それぞれ、キュー172A,172B,172C,172Dに対応して設けられる。EDCAコントロール部173A〜173Dは、それぞれ、対応するフレーム送信間隔AIFS(Arbitration Inter Frame Space)1〜AIFS4と、バックオフのためのバックオフタイムBackoff[AC1]〜Backoff[AC4]とに基づく制御を行う。EDCAコントロール部173A〜173Dは、それぞれ、対応するキュー172A〜172Dに格納されたパケットPKTを読み出し、その読み出したパケットPKTを、対応するフレーム送信間隔AIFS〜AIFS4の経過後、バックオフタイムBackoffが“0”へ減少するまで保持し、その後、スケジューラー174へ出力する。
たとえば、フレーム送信間隔AIFS1,AIFS2,AIFS3,AIFS4の間には、AIFS1<AIFS2<AIFS3<AIFS4の大小関係がある。バックオフタイムBackoff[ACi](i=1〜4)は、Backoff[ACi]=Random[ACi]×aSlotTimeによって決定される。ここで、aSlotTimeは、物理層の媒体特性によって決まる一定長のスロット時間である。また、Random[ACi]は、[0,CW[ACi]]から取った一様乱数であり、CW[ACi]は、aCWmin[ACi]≦CW[ACi]≦aCWmax[ACi]である。
そして、aCWmin[AC1]〜aCWmin[AC4]に設定される大小関係と、aCWmax[AC1]〜aCWmax[AC4]に設定される大小関係により、EDCAコントロール部173Aは、最も短い間隔でキュー172AからパケットPKTを読み出してスケジューラー174へ出力する確率が高く、EDCAコントロール部173Bは、EDCAコントロール部173Aの次に短い間隔でキュー172BからパケットPKTを読み出してスケジューラー174へ出力する確率が高い。さらに、EDCAコントロール部173Cは、EDCAコントロール部173Bの次に短い間隔でキュー172CからパケットPKTを読み出してスケジューラー174へ出力する確率が高く、EDCAコントロール部173Dは、最も長い間隔でキュー172DからパケットPKTを読み出してスケジューラー174へ出力する確率が高い。
その結果、分類部171は、優先度が最も高いアクセスカテゴリAC1のパケットをキュー172Aへ格納し、優先度が2番目に高いアクセスカテゴリAC2のパケットをキュー172Bへ格納し、優先度が3番目に高いアクセスカテゴリAC3のパケットをキュー172Cへ格納し、優先度が最も低いアクセスカテゴリAC4のパケットをキュー172Dへ格納する。
スケジューラー174は、EDCAコントロール部173A〜173Dからパケットが出力されると、その出力されたパケットを送信部175に渡す。この場合、スケジューラー174は、2個以上のパケットがEDCAコントロール部173A〜173Dから同時刻で出力されると、その中で優先度が最も高いパケットを送信部175へ出力する。
送信部175は、スケジューラー174からのパケットPKTまたは制御部177からのパケットPKTを無線インターフェースモジュール16およびアンテナ11を介して、端末装置STA、他のアクセスポイント装置あるいは他のネットワーク装置へ送信する。
測定部176は、制御部177からの要求に応じて、キュー172Aまたはキュー172Bにおける輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率を測定し、その測定結果を制御部177へ出力する。
制御部177は、測定された輻輳状態、遅延時間およびパケット伝達率に基づいて、特性測定用パケットRMPを生成し、その生成した特性測定用パケットRMPを送信部175へ出力する。
受信部178は、アンテナ11および無線インターフェースモジュール16を介して他の無線装置から受信したパケットPKTを識別部179へ出力する。
識別部179は、受信部178から受けたパケットがデータパケットである場合、そのパケットを上位層18へ出力する。また、識別部179は、受信部178から受けたパケットがMAC制御用パケットまたは測定用パケットである場合、そのパケットを制御部177へ出力する。制御部177は、受信した制御チャネルの測定用パケットの受信強度の測定を行い、その結果に基づいて、後に説明するようなQoS制御を実行する。また、制御部177は、必要に応じて、受信強度の測定結果等をメモリ180に格納する。
さらに、制御部177は、以下に詳しく説明するように、送信部175を介して、制御チャネルでビジートーン信号の送信を行ったり、あるいは、受信部178を介して、制御チャネルで他のアクセスポイント装置からのビジートーン信号を受信したりして、端末装置STAとの送受信のQoS制御を行う。
制御部177の機能は、たとえば、演算処理装置により実現することができ、この演算処理装置は、メモリ180に格納されたファームウェアにより、動作する構成とすることができる。したがって、この場合、メモリ180は、ファームウェアを格納するための不揮発性半導体記憶装置(たとえば、フラッシュメモリ)と、必要に応じて、一時記憶用の半導体記憶装置(たとえば、RAM(Random Access Memory))とを含む構成とすることができる。
(本無線通信方式の前提課題)
以下では、アクセスポイント装置100を用いて、QoS制御を行う通信方式を説明する。
本無線通信方式では、非競合期間(コンテンション・フリー期間:CFP:Contention free period)と競合期間(コンテンション期間:CP:Contention period)とからなるスーパーフレームと呼ばれる時間軸上の構造を採用する。非競合期間と競合期間とのそれぞれにおいて、データフレームの送受信が行われる。
非競合期間では、アクセスポイント装置が通信期間の割当てを受けた端末装置が通信を行なうことで、帯域を保証した通信が行なわれるのに対して、競合期間では、複数の端末装置が通信回線にアクセスすることが許されているので、この期間は、ランダムメディアアクセス(Random Media Access)制御が行われる。
ただし、このような非競合期間に従来のHCCAをそのまま適用したり、競合期間に従来のEDCAをそのまま適用したりすると、以下に説明するような問題が発生する。
(1)複数の隣接セルが存在する無線LANネットワーク環境下でのアクセスポイント装置間のチャネルアクセス制御に関する問題
従来のHCCAでは、アクセスポイント装置がCF(contention free)-Pollという制御フレームで、優先度の高いパケットを送信する端末に時間を割り当てる。割り当てられた時間の間、端末は他の端末に邪魔されずにパケットを転送できる。
従来のHCCAでは、無線LANのアクセス制御方式であるCSMA/CA(carrier sense multiple access with collision avoidance)を一時的に停止し、アクセスポイント装置が主導権をとって通信時間を割り当てる。帯域を端末1台ずつ個別に割り当てられるので、厳密なQoS制御を実現できる。
したがって、無線LANネットワークが単一周波数チャネル又は複数の周波数チャネル上で動作する環境においては、従来のHCCAの場合、非競合期間内で、セル内の干渉が発生しない。
しかし、従来のHCCAでは、隣接セルからの干渉に対する干渉制御が考慮されていないので、隣接セルからの干渉が発生した場合、十分にQoSが確保できなくなってしまう。
図3および図4は、従来のHCCAにおける隣接セル間の干渉制御の課題を説明するための概念図である。
図3に示すようにアクセスポイント装置AP2が、アクセスポイント装置AP1とアクセスポイント装置AP3の双方の排他制御範囲にある場合、アクセスポイント装置AP2は、干渉により通信を制限されることになる。
また、図4に示すように、従来のHCCAにおける、CFP内におけるアクセスポイント装置の端末装置に対する優先制御においては、CSMA/CAにおける分散制御用フレーム間隔(DIFS inter-frame space)に対して、アクセスポイント装置にポーリング用フレーム間隔(PIFS:PCF Inter-frame Space )を使用することとバックオフを行わないことによって解決している。しかし、複数の隣接セルが存在する無線LAN環境下では、PIFSを設けたとしても、アクセスポイント装置AP1およびAP2同士の通信の衝突が発生する。
(2)非競合期間においても競合期間でのEDCAと同じランダムメディアアクセス制御を用いた排他的通信制御方式を適応する場合の問題
上記(1)のような問題があるため、仮に、非競合期間においても競合期間でのEDCAと同じランダムメディアアクセス制御をアクセスポイント装置間で用いるとすると、HCCAの場合、排他的通信制御範囲は自身の通信に影響を与える干渉範囲だけでなく、干渉範囲内に存在する端末装置STAに対しポーリング通信を行うアクセスポイント装置にまで排他制御範囲を拡大する必要がある。これは、端末装置STAは、チャネルの利用状況に関係なく、ポーリングに対しレスポンスを行うためである。しかし、従来のHCCAでは、レスポンスによる信号の衝突を考慮していない。
(3)送受信距離を考慮しない画一的で過剰な排他的通信制御範囲の問題
図5は、排他的通信制御範囲を画一的に規定した場合の問題を説明するための図である。
従来のIEEE802.11(a/b/g)のMAC層で規定されるキャリアセンスを用いた排他的通信制御は、送受信端末間の距離に依存しない画一的なキャリアセンスしきい値が想定されている。
たとえば、図5(a)のように、アクセスポイント装置APと端末装置STA1との距離が近い場合は、端末装置STA1と干渉をもたらす端末装置STA2との距離が比較的近くであっても、十分な通信品質が確保できる。一方、図5(b)のように、アクセスポイント装置APと端末装置STA1との距離が比較的遠い場合は、端末装置STA1と干渉をもたらす端末装置STA2との距離は、図5(a)の場合と比べて、大きくとらなければ、十分な通信品質が確保できない。しかしながら、従来の画一的な排他的通信制御では、図5(a)の場合も、図5(b)の場合も、画一的に排他的通信制御範囲が設定されるために、実際の通信品質の確保のためには、必ずしも必要でない「過剰な排他的制御範囲」が生じてしまう。これは、チャネルの利用効率の観点からは、望ましくない。
すなわち、従来の画一的な排他的通信制御は、通信を行う送受信端末間の距離とそれに伴う信号の受信電力を考慮せずに排他的干渉制御を行うため、過剰な範囲の排他的通信制御を行っているため、チャネルの利用効率が損なわれている。
本来必要な排他的通信制御範囲は、送受信端末の通信距離によって算出される範囲である。
(本無線通信方式の構成)
上述のとおり、アクセスポイント装置100を用いた、QoS制御を行う本無線通信方式では、ビーコン期間と非競合期間と競合期間とからなるスーパーフレームと呼ばれる時間軸上の構造を採用する。
スーパーフレームにおけるビーコン期間において、アクセスポイント装置からビーコン信号が送信される。あるアクセスポイント装置のビーコン信号の受信間隔を他のアクセスポイント装置が検出することにより、スーパーフレームの同期が行われる。この結果、アクセスポイント装置AP1とアクセスポイント装置AP2とが隣接して存在するとき、この2つについて、非競合期間の開始時点、すなわち、スーパーフレームの開始時点は両者で共通である。より、多くのアクセスポイント装置が隣接して存在している場合も同様である。
(本無線通信方式におけるビジートーン信号およびチャネル構成)
以下では、この前提のもとに、本無線通信方式について説明する。
上述したような固定キャリアセンスしきい値を用いたキャリアセンス機能による排他的通信制御手法における問題については、以下に説明するようなビジートーン(ビジートーン信号)信号を用いた排他的通信制御手法を採用する。
(1)「複数の隣接セルが存在する無線LANネットワーク環境下でのアクセスポイント装置間のチャネルアクセスに関する問題」の解決のための構成
非競合期間において複数の隣接セルが存在する無線LANネットワーク環境下でのアクセスポイント装置間のチャネルアクセスに関する問題は、ランダムメディアアクセス制御を用いる。すなわち、「複数の隣接セルが存在する無線LANネットワーク環境下でのアクセスポイント装置間のチャネルアクセス制御に関する課題」に対する解決策として、制御チャンネルであるアクセスポイント装置間トーン(AP-AP tone)チャネルにて送信されるビジートーン信号を利用した、最適化された排他制御範囲の設定手法を導入する。
(2)「送受信距離を考慮しない画一的で過剰な排他的通信制御範囲の問題」の解決
本無線通信方式では、データの送受信を行うチャネル(以下、本無線通信方式でのデータ通信チャネルを、分散型のポーリング制御を用いたHCCAベース通信という意味で、D−HCCAチャネル(Distributed HCCAチャネル)と呼ぶことにする。)上でキャリアセンスによる排他制御を行わない。キャリアセンスは、「アクセスポイント装置間の排他的通信制御」及び「アクセスポイント装置端末装置間の排他的通信制御」を目的として、制御チャネルである「アクセスポイント装置間トーン(AP-AP tone)チャネル」及び「アクセスポイント装置端末装置間トーン(AP-STA tone)チャネル」上で行う。
図6は、アクセスポイント装置間トーンチャネルでのビジートーン信号(AP-AP ビジートーン信号)を用いて設定されるアクセスポイント装置間の排他的通信制御範囲を説明する図である。
アクセスポイント装置間の排他的通信制御では、個別のポーリングによるチャネル利用通信(TXOP:Transmission Opportunity)の確保(TXOP通信同士の衝突の回避)、および排他的通信制御範囲の最適化を目的とする。それゆえ、最適な排他的通信制御範囲は自身の送受信端末間の距離、干渉範囲、および干渉範囲外におけるアクセスポイント装置端末装置間の送受信端末間距離によって設定される。
後に詳しく説明するように、アクセスポイント装置AP1とこれと通信する端末装置STA1の通信距離が短い場合は、アクセスポイント装置間の排他的制御範囲を短くし、アクセスポイント装置AP1とこれと通信する端末装置STA1の通信距離が長い場合は、アクセスポイント装置間の排他的制御範囲を長くするような制御が行われる。
アクセスポイント装置端末装置間の排他的通信制御の場合は、端末装置(図6のSTA2)が自分の干渉範囲にあるアクセスポイント装置(図6のAP1)の非競合期間におけるポーリング通信(QoS通信を要求している自セル端末装置STA1に対するポーリング)の期間中に干渉を発生させないことを目的とする。よってアクセスポイント装置端末装置間の送受信端末間距離はポーリングが可能である最大の送受信距離を想定する。
図6において説明すると、このような干渉信号の発生は、端末装置STA2が競合期間と判断し、かつ、アクセスポイント装置AP1が非競合期間の通信中である場合に発生する。上述のように、本無線通信方式では、非競合期間において、ランダムメディアアクセス制御が行われる。したがって、非競合期間で、バックオフ期間中は、アクセスポイント装置AP1と、端末装置STA1(またはアクセスポイント装置AP1と通信する他の端末装置)との間では、まだ通信が行われていない。そのため、端末装置STA2がD−HCCAチャネルでキャリアセンスをしたとしても、通信されている信号が存在しない為、端末装置STA2が競合期間であると判断してしまう可能性がある。そこで、本無線通信方式では、アクセスポイント装置端末装置間トーン(AP-STA tone)チャネル上のビジートーン信号(AP-STA ビジートーン信号)を用いて、アクセスポイント装置AP1が非競合期間にある間は、端末装置STA2は、非競合期間の通信が続いていると判断して、競合期間の通信を開始しないようにさせる。
ただし、アクセスポイント装置端末装置間トーンチャネル上で、複数のチャネル利用通信(TXOP)のそれぞれに最適な排他的通信制御範囲設定を行う場合、TXOP通信の送受信間距離に応じて排他的制御範囲が変化する。
図7は、このように、複数の端末装置が、アクセスポイント装置AP1と非競合期間に通信を行なう場合の排他的通信制御範囲の制御を説明するための概念図である。
図7に示すように、本無線通信方式では、スケジューリングされたチャネル利用通信(TXOP)の内、通信距離の最も長い通信(アクセスポイント装置AP1と端末装置STA11との通信)、すなわち排他的通信制御範囲が最も大きい通信から開始し、徐々に、端末装置STA12、端末装置STA13というように通信相手を変更していき、排他的通信制御範囲を縮小していく。
この排他制御範囲は、アクセスポイント装置AP1が、アクセスポイント装置端末装置間トーンチャネル上に送信するビジートーン信号の送信電力を変化させることにより縮小していく。
図8は、アクセスポイント装置端末装置間トーンチャネル上のビジートーン信号による、排他的通信制御範囲の変化を説明するための図である。
図7で説明したような排他制御を行うため本無線通信方式では、1度排他制御範囲外になった端末装置が再び排他制御範囲内に設定されることがない。したがって、端末装置はチャンネル利用通信(TXOP)における排他的通信制御範囲外になった時点から、EDCAに基づくチャネルアクセスが可能である競合期間に遷移する。
図8において、アクセスポイント装置AP1が、端末装置STA11と通信を行う場合、ビジートーン信号(AP-STA ビジートーン信号)の送信電力により排他制御範囲は、範囲CS1となる。端末装置STA11との通信が終了し、端末装置STA12との通信が開始された場合、ビジートーン信号(AP-STA ビジートーン信号)の送信電力により排他制御範囲は、範囲CS2となり、アクセスポイント装置AP2は、非競合期間から競合期間へ移行し、EDCAでの送信可能状態となる。
端末装置STA12、端末装置STA13までのすべてのチャンネル利用通信が終了した時点で、アクセスポイント装置AP2,AP3,AP4と通信する、すべての端末装置は、競合期間でのEDCAによる送信可能状態となる。
本無線通信方式では、後により詳しく説明するように、受信電力より算出する「送受信端末間距離」から、通信を確保するための排他的通信制御範囲を算出し、送信装置(アクセスポイント装置)を基準とした排他的通信制御範囲に該当する電力で、アクセスポイント装置端末装置間トーンチャネルにビジートーン信号(AP-STA ビジートーン信号)を送信することにより、最適な排他的通信制御範囲設定を行う。本無線通信方式では、キャリアセンスしきい値はネットワーク上で共通であるものとし、アクセスポイント装置および端末装置に予め設定されているものとする。
なお、上述のとおり、「送受信端末間距離」は受信した制御パケットの電力から算出され、干渉制御範囲は算出された送受信端末間距離および通信レートにおける許容可能な所望波対干渉波の雑音電力比(SINR)から算出する。隣接する通信セルにおけるアクセスポイント装置端末装置間距離は、中央制御の場合は中央局からのアクセスポイント装置の配置状況情報から取得し、分散型制御の場合は、アクセスポイント装置自身の通信セルの大きさから類推する。
(本無線通信方式における排他的通信制御の詳細)
1)ビジートーン信号による排他的通信制御
1−1)ランダムメディアアクセス制御による、アクセスポイント装置間の排他的チャネルアクセス制御
非競合期間において、アクセスポイント装置は、ランダムメディアアクセス制御(たとえば、CSMA/CA)に基づいてチャネルアクセスを行う。
ただし、上述のとおり、アクセスポイント装置は、キャリアセンスをD−HCCAチャネル上ではなく、制御チャネルであるアクセスポイント装置間トーンチャネル上で行うとする。
このような方式により、複数の隣接セルが存在する無線LAN環境下でのアクセスポイント装置間で、通信が衝突するというチャネルアクセス制御に関する問題が解決される。
しかし、非競合期間において、アクセスポイント装置はランダムメディアアクセス制御によってチャネルアクセスを行うとした場合、端末装置は干渉範囲にあるすべてのポーリング通信が完了する前に、自身の非競合期間の終了に基づき競合期間の通信(たとえば、EDCA)に基づいてチャネルアクセス行い、隣接セルの通信と衝突する可能性が発生する。このような可能性を排除する制御を行うために、後述するように、アクセスポイント装置は、非競合期間の開始時点から、別の制御チャネルであるアクセスポイント装置端末装置間トーンチャネル上で、ビジートーン信号を送信する。
アクセスポイント装置は、アクセスポイント装置間トーンチャネル上でキャリアセンスを行い、チャネルの状態がアイドルに遷移した時点から、所定期間(たとえば、PIFS期間)中アイドル状態が続く場合、ポーリング通信の開始のためにランダムに設定したバックオフ期間の消化を開始する。
アクセスポイント装置は、アクセスポイント装置間トーンチャネルにおいて他のアクセスポイント装置から送信されたビジートーン信号を検出した場合、バックオフタイマーを停止し、バックオフタイマーの残り時間を記憶する。アクセスポイント装置は、アクセスポイント装置間トーンチャネルにおいて他のアクセスポイント装置から送信されたビジートーン信号が終了し、アクセスポイント装置間トーンチャネルの状態がアイドルになった時点からバックオフタイマーのカウントを再開する。バックオフタイマーのカウントが終了した時、D−HCCAチャネル上でポーリング通信を開始する(CF-Pollパケットを送信する)と同時に、アクセスポイント装置間トーンチャネルに対し、ビジートーン信号を送信する。ビジートーン信号は、CF-Pollパケットから始まる一連のTXOP期間中、通信を開始したアクセスポイント装置が非競合期間での通信を終了するまで継続して送信され続ける。
1−2)非競合期間におけるアクセスポイント装置を基準としたビジートーン信号による排他的通信制御
本無線通信方式では、キャリアセンスにより排他制御を行う範囲が、送受信端末の送信・受信役割の切り替えによって移動しない。このため、アクセスポイント装置の位置を基軸としてビジートーン信号を用いたキャリアセンスにより排他制御を行う。
図9は、非競合期間において、あるアクセスポイント装置がチャンネル利用通信(TXOP)を行う際の当該アクセスポイント装置のアクセスポイント装置間ビジートーン信号の出力期間を示す図である。
図9に示すように、アクセスポイント装置間の排他的通信制御を行うチャネルであるアクセスポイント装置間トーンチャネル(AP-AP tone channel)において、アクセスポイント装置のポーリングによるチャンネル利用通信の開始時点から終了時点まで、通信中のアクセスポイント装置は、ビジートーン信号を継続し送信する。
従来のCSMA/CA方式では、一定の送信電力によるPCS(Physical Carrier Sensing)およびVCS(Virtual Carrier Sensing)のみで干渉範囲にある隣接セル内端末の排他的通信制御を行うため、上述したように、通信距離を考慮しておらず過剰な排他的通信制御範囲を設定するためチャネル利用効率の観点で問題がある。
本無線通信方式では、ビジートーン信号の送信電力を変化させることで、チャンネル利用通信期間中にキャリアセンスによる排他的通信制御範囲を適正化する。
具体的な実装方法とし、下記の手段を行うものとする。
1−2−1)アクセスポイント装置間におけるビジートーン信号による排他的通信制御
アクセスポイント装置が自セル内のある端末装置に対してポーリング通信処理を開始した場合、ポーリングによる通信期間中にアクセスポイント装置間トーンチャネルにビジートーン信号を送信し、一定範囲のアクセスポイント装置に対して排他的通信制御を行う。
アクセスポイント装置の制御部177は、適正な排他的通信範囲を算出し、ビジートーン信号の送信電力を決定するために、ポーリング通信の開始前に、端末装置からのポーリングリクエストの制御パケットから、パケット受信電力による通信距離情報を算出し、メモリ180に記憶しておく。制御部177は、記憶した端末間距離情報の大きいものから順にチャンネル利用通信のスケジューリングを行う。制御部177は、ポーリング通信開始時に該当通信距離から算出した送信電力でアクセスポイント装置間トーンチャネルにビジートーン信号を送信する。特定端末とのチャンネル利用通信が終了した場合、アクセスポイント装置は、制御部177の制御により、次のTXOP通信の為のビジートーン信号を該当電力でアクセスポイント装置間トーンチャネルに送信する。
1−2−2)アクセスポイント装置間におけるビジートーン信号による最適な排他的通信範囲を設定するビジートーン信号送信電力
次に、アクセスポイント装置間トーンチャネルにビジートーン信号の送信電力を決定するための排他的通信制御範囲の算出について説明する。
隣接セルにおけるアクセスポイント装置間において、一方のアクセスポイント装置および端末装置間のポーリング通信が、もう一方のアクセスポイント装置および端末装置間のポーリング通信に相互に影響を与える範囲をアクセスポイント装置間での排他的通信制御範囲とする。該当範囲を設定するため、以下の値を規定する式を求める。
a1)アクセスポイント装置における端末装置からの制御パケット受信電力PRX(CTRL)と、この制御パケット内に格納されている送信電力PTX(CTRL)の情報とから端末間距離dTX-RXを以下の式により算出する。
ここで、Txは送信側であることを示す添え字であり、Rxは受信側であることを示す添え字である。さらに、λは通信電波の波長を、γは電波の減衰率をそれぞれ表す。
b1)通信距離、データパケット通信レートから必要な排他的通信制御範囲径を以下の式にしたがって算出する。dIx-rangeは干渉範囲(距離)であり、rateは送信レートを表し、SINRthreshold(rate)は、通信レートにおける許容可能な所望波対干渉波の雑音電力比を表す。
c1)排他的通信制御範囲外に存在する端末装置からアクセスポイント装置までの距離を取得(中央制御の場合)または推定(分散制御の場合)し、TXOP通信におけるアクセスポイント装置間における適正な排他的通信制御範囲径d1csを以下の式により算出する。
ここで、dcell(neighbour)は、隣接無線LANセル(Basic Service Set)の半径であり、中央制御の場合は中央局から取得される値を用いることが可能であり、分散制御の場合は、アクセスポイント装置自身の通信セルの大きさから類推する。もっとも簡単には、分散制御の場合は、アクセスポイント装置自身の通信セルの大きさそのものとすることができる。
d1)排他的通信制御範囲を設定するためのビジートーン信号の送信電力PTX AP-AP(busy tone)を以下の式により算出する。
ここで、CSthresholdは、キャリアセンスしきい値(ネットワーク上で共通な所定の値)を表す。
1−2−3)アクセスポイント装置端末装置間におけるビジートーン信号による排他的通信制御
図10は、非競合期間において、各アクセスポイント装置がチャンネル利用通信(TXOP)を行う際の当該アクセスポイント装置のアクセスポイント装置端末装置間ビジートーン信号の出力期間を示す図である。
非競合期間において干渉範囲内にある全てのアクセスポイント装置のTXOP通信が完了するまで端末装置が競合期間での通信(たとえば、EDCA)を開始しないために、アクセスポイント装置が必要な排他的通信制御範囲を設定するために、アクセスポイント装置端末装置間トーンチャネルにおいて、アクセスポイント装置は、制御部177の制御により、ビジートーン信号を継続して送信する。すなわち、各アクセスポイント装置は、自身が非競合期間の通信を現時点から開始するか否かに関り無く、非競合期間の開始時点を起点として、ビジートーン信号を自身のスケジューリングされたTXOP通信がすべて完了するまで継続して送信する。
端末装置に対するキャリアセンス範囲が過剰な排他的通信制御範囲とならないために、制御部177は、アクセスポイント装置端末装置間の距離から必要な排他的通信制御範囲を算出し、適正な排他的通信制御範囲となるために必要なビジートーン信号の送信電力を、以下に説明する手続きで算出する。
1−2−4)アクセスポイント装置端末装置間におけるビジートーン信号による排他的通信範囲を設定するビジートーン信号送信電力
以下、アクセスポイント装置端末装置間におけるビジートーン信号(AP-STA tone channelにおけるビジートーン信号)によるアクセスポイント装置端末装置間での排他的通信制御範囲設定の為の送信電力の算出方法について説明する。
アクセスポイント装置および端末装置間のポーリング通信が、他の端末装置の送信に影響を受ける範囲をアクセスポイント装置端末装置間の排他的通信範囲とする。
なお、式におけるノーテーションについては、既出のものについては共通のノーテーションを用いるので説明は繰り返さない。
a2)アクセスポイント装置における端末装置からの制御パケット受信電力PRX(CTRL)と、この制御パケット内に格納されている送信電力PTX(CTRL)とから端末間距離dTX-RXを以下の式により算出する。
b2)通信距離、データパケット通信レートから必要な排他的通信制御範囲径を以下の式にしたがって算出する。
c2)TXOP通信におけるアクセスポイント装置間における適正な排他的通信制御範囲径d2csを以下の式により算出する。
d2)排他的通信制御範囲を設定するためのビジートーン信号の送信電力PTX AP-AP(busy tone)を以下の式により算出する。
1−3)アクセスポイント装置および端末装置における非競合期間の終了の検出制御
本無線通信制御では、従来の非競合期間を用いる通信技術と同じ方法で、非競合期間の終端判断を行うことが不可能である。
たとえば、従来技術のHCCAでは、アクセスポイント装置により通知されたNAV時間(ビーコン パケットに含まれている)の完了または、QoS Endパケットの受信をもって、すべての端末装置は非競合期間の終了を認識する。しかし、本無線通信方式では、ポーリング通信に対してアクセスポイント装置が送信するビーコンパケットの通信可能範囲よりも、必要となる排他的通信制御範囲が広いという理由のために、同一の判断で非競合期間の終端を検出できない。
図11は、本無線通信方式において、非競合期間の終了を検出する手順を説明するための図である。
図11に示すように、本無線通信方式では、「排他的通信制御範囲」における端末装置が、非競合期間の終端を検出するために、アクセスポイント装置端末装置間におけるビジートーン信号を利用する。排他的通信制御範囲内の端末は、アクセスポイント装置端末装置間トーンチャネルにおける受信電力値が、キャリアセンスしきい値以下の値になった時点で、隣接セルのアクセスポイント装置のポーリング通信が完了されたことを判断する。
(ビジートーン信号による排他的通信制御のための信号の構成)
1)ビジートーン信号による排他的通信制御の信号の構成
以下、以上説明したビジートーン信号による排他的通信制御のための信号の構成について、さらに、詳しく説明する。
1−1)スーパーフレーム(Super frame)
本無線通信方式では、時間的に区切られた所定の時間を1つの通信単位として規定し、スーパーフレームとして取り扱う。スーパーフレームは、さらに3つの区切られた時間に分割される。ビーコン期間はアクセスポイント装置がビーコン信号を送信し、各端末装置が受信する期間であり、非競合期間は、アクセスポイント装置によるポーリングによるTXOP通信を行う期間である。競合期間はアクセスポイント装置及び端末装置がCSMA/CA方式の通信を行う期間であり、たとえば、EDCAプロトコルを利用した通信を行う。
図12は、本無線通信方式における通信シーケンスを説明するための図である。
以後、各期間の詳細を記述する。
1−2)ビーコン期間
ビーコン期間は、スーパーフレームの開始時点から固定長の期間である。ビーコン期間はさらに複数の固定長であるビーコンスロットに分割される。各アクセスポイント装置はビーコン期間内で、ビーコンパケットを送信する。送信するタイミングは、ビーコン期間内のビーコンスロットからランダムで選択される。
1−3)非競合期間
非競合期間は、アクセスポイント装置がポーリング通信を行うための期間である。非競合期間は不定長であり、その定義は「ビーコン期間の終端から、周辺アクセスポイント装置によるポーリングによるTXOP通信の完了までの期間」とする。
アクセスポイント装置は、非競合期間において、ランダムメディアアクセス制御によるポーリング通信を行う。
アクセスポイント装置は、端末装置への排他的通信制御信号として、非競合期間の開始時から自身のポーリング通信が完了するまでの期間、継続して、アクセスポイント装置端末装置間トーンチャネルに、アクセスポイント装置端末装置間ビジートーン信号を送信する。
また、アクセスポイント装置は周辺セルのアクセスポイント装置に対し、自身のポーリング通信の間継続して、アクセスポイント装置間トーンチャネルにアクセスポイント装置間ビジートーン信号を送信する。
端末装置は、アクセスポイント装置端末装置間トーンチャネルの受信電力を検出し、しきい値により周辺アクセスポイント装置によるポーリング通信の完了を検出すると、競合期間の通信に移行する。
アクセスポイント装置は現時点でのCFP期間の情報を新たなポーリング通信のスケジューリングに利用する。
1−4)競合期間
競合期間は、アクセスポイント装置と端末装置とが、CSMA/CAによるたとえばEDCA通信を行う期間である。本期間は、スーパーフレームの終端まで継続される。
1−5)チャネル
本無線通信方式では、アクセスポイント装置間及びアクセスポイント装置端末装置間の排他的通信制御として、上述したように、2つのビジートーン信号 チャネルを用いる。
1−5−1)アクセスポイント装置間トーンチャネル
アクセスポイント装置間における排他的通信制御チャネルである。
1−5−2)アクセスポイント装置端末装置間トーンチャネル
アクセスポイント装置から送信される端末装置に対する排他的通信制御チャネルである。
1−5−3)D−HCCAチャネル
ポーリングによるTXOP通信でのデータ通信、ならびにEDCAによるデータ通信を行うチャネルである。
(本無線通信方式の要約)
簡単のために、アクセスポイント装置AP1とアクセスポイント装置AP2とが隣接して存在し、アクセスポイント装置AP1とは、端末装置STA1nがデータ通信を行い、アクセスポイント装置AP2とは、端末装置STA2mがデータ通信を行うものとして、本無線通信方式についてまとめると、以下のとおりである。
図13は、アクセスポイント装置AP1とアクセスポイント装置AP2とが隣接している場合の通信シーケンスを示す図である。
なお、「アクセスポイント装置に対応する端末装置」とは、このアクセスポイント装置とデータ通信する端末装置のことを意味する。
a)スーパーフレームにおける非競合期間においては、アクセスポイント装置AP1およびAP2についての「非競合期間中の通信」が完了するまでは、i)端末装置STA1nは、もちろん、ii)端末装置STA2mも、「通信に深刻な影響を及ぼす干渉を与える範囲」にあるものについては、競合期間CPでの通信に移行しないようにする。
b)「通信に深刻な影響を及ぼす干渉を与える範囲」については、アクセスポイント装置AP1と端末装置STA1nとの距離dtx-rxに依存して動的に変更する。
c)「通信に深刻な影響を及ぼす干渉を与える範囲」を特徴づける距離については、2種類あり、ここで、2種類の距離d1csとd2csは、以下のとおりである。
距離d1cs:アクセスポイント装置AP1とAP2との間の距離に相当する範囲で排他制御を行うためのもの
距離d2cs:アクセスポイント装置AP1と端末装置STA2mとの間の距離の範囲で排他制御を行うためのもの
ここで、距離d1csできまる範囲については、非競合期間での通信開始の時点から非競合期間の通信の終了までの期間において、アクセスポイント装置間の競合を抑制する際に排他制御の対象となる。
距離d2csできまる範囲については、この範囲にある全ての端末装置(端末装置STA1nおよび端末装置STA2m)が、競合期間CPへ移行するタイミングを決める際に排他制御の対象となる。
この2つの範囲の排他制御のために、以下の2種類のビジートーン信号が使用される。
1)アクセスポイント装置間ビジートーン信号
この信号は、アクセスポイント装置が、非競合期間で通信を行なっている期間だけ、送信される。
2)アクセスポイント装置端末装置間ビジートーン信号
アクセスポイント装置は、この信号を非競合期間の開始時点から送信し続け、自身の非競合期間での通信が終了すると、送信を終了する。
アクセスポイント装置AP1とAP2とは、非競合期間」の通信の開始時において、お互いに、ランダムな時間バックオフを行い、通信を開始する。アクセスポイント装置は、アクセスポイント装置間ビジートーン信号を、自身が通信を行なっている期間だけ、送信する。
たとえば、図13に示すように、上記バックオフの経過後に、アクセスポイント装置AP1が先に、非競合期間の通信を開始したとすると、アクセスポイント装置AP2は、アクセスポイント装置間ビジートーン信号が所定以上の強度で以上ある間は、非競合期間の通信を開始しない。
ただし、アクセスポイント装置AP1およびAP2とも、非競合期間の通信期間が開始されることで、自身が非競合期間の通信を現実に行っているか否かに関わりなく、アクセスポイント装置端末装置間ビジートーン信号を所定以上の強度で送信し続ける。アクセスポイント装置は、自身の非競合期間の通信が終了したら、アクセスポイント装置端末装置間ビジートーン信号の送信を止める。
各端末装置は、アクセスポイント装置端末装置間ビジートーン信号が所定以上の強度で検出される限り、競合期間には、移行しない。
以上のような構成とすることで、本無線通信方式では、無線LANなどの無縁通信ネットワークでのポーリングによるQoS制御機能を有する通信プロトコル(たとえば、HCCA)において、複数の通信エリアが隣接する環境でのQoS制御機能確保が可能となる。
以上説明したような無線通信方式では、隣接通信エリア間での相互干渉信号が存在する場合でもQoS制御の確実性が向上する。
たとえば、各通信エリアにおける基地局同士の排他的通信制御を取り入れることにより、干渉範囲内における基地局間のパケット衝突を解消し、QoS制御機能確保が維持される。また基地局間で実際の通信距離を考慮した排他的通信制御を行うことにより、排他的通信制御範囲を実際の通信に必要な範囲に限定し、QoS制御機能を維持しつつ、全ネットワークのスループットの向上を図る。
また、本無線通信方式においては、干渉範囲内の基地局同士がランダムメディアアクセス制御による排他制御を行うことにより、優先度制御機能の確保が実現される。あるいは、ビジートーン信号による排他的通信制御範囲の指定を行うことにより、最適化された排他的通信制御機能を有するQoS制御通信プロトコルが実現される。
STA,STA2,STA13 端末装置、11 アンテナ、12 入力部、13 出力部、14 ユーザアプリケーション、15 通信制御部、16 無線インターフェースモジュール、17 MACモジュール、18 上位層、AP,AP1,AP2,AP3,AP4 アクセスポイント装置、171 分類部、172A,172B,172C,172D キュー、173A,173B,173C,173D EDCAコントロール部、174 スケジューラー、175 送信部、176 測定部、177 制御部、178 受信部、179 識別部、180 メモリ。

Claims (9)

  1. 複数の基地局装置と、各前記基地局装置に対応する端末装置との間で無線通信を行うシステムにおける基地局装置であって、
    前記無線通信の通信期間は、前記基地局装置により通信が順次割り当てられる当該基地局装置の通信エリア内の前記端末装置と選択的に通信をする非競合期間を含み、
    自身の前記通信期間における前記非競合期間の通信を開始するにあたり、キャリアセンスにより、前記複数の基地局装置のうちの他の基地局装置との間で前記通信期間の開始が競合する場合に、ランダムなバックオフ時間を設定するバックオフ時間設定手段と、
    前記バックオフ時間の経過後に、キャリアセンスにより前記他の基地局装置が前記非競合期間の通信を行っていないことを条件として、自身の非競合期間の通信を開始する非競合期間通信手段と、
    前記非競合期間におけるデータ通信で通信する前記端末装置との間の基地局端末間距離を特定するための手段と、
    前記非競合期間で通信を行う他の基地局装置を前記非競合期間の通信について排他制御する第1の範囲を前記基地局端末間距離に応じて算出し、前記算出された第1の範囲に到達する強度で、前記キャリアセンスにおいて前記非競合期間の通信を自身が行っていることを示す第1のビジートーン信号を送信するための第1の排他制御手段と、を備える、基地局装置。
  2. 前記無線通信の前記通信期間は、前記端末装置から通信の開始を求める競合を許容して所定の手順で通信を行う順序を調整する競合期間をさらに含み、
    前記他の基地局装置に対応する端末装置が、自身の前記非競合期間での通信が終了する前に前記競合期間の通信を開始しないように排他制御する第2の範囲を前記基地局端末間距離に応じて算出し、算出された前記第2の範囲に到達する強度で第2のビジートーン信号を、前記非競合期間の開始から自身の前記非競合期間中の通信の終了までの間に送信するための第2の排他制御手段と、
    前記競合期間において、前記端末装置から通信の開始を求める競合がある場合、所定の手順で通信を行う順序を調整して通信を行なうための競合期間通信手段とを備える、請求項1に記載の基地局装置。
  3. 前記第1の排他制御手段は、前記第1の範囲を、前記基地局端末間距離と、前記端末装置の位置において前記無線通信の通信レートにおける許容可能な所望波対干渉波の雑音電力比により算出される干渉範囲を規定する距離と、他の基地局の通信エリアを規定する距離とに基づいて、決定する、請求項1または2に記載の基地局装置。
  4. 前記第2の排他制御手段は、前記第2の範囲を、前記基地局端末間距離と、前記端末装置の位置において前記無線通信の通信レートにおける許容可能な所望波対干渉波の雑音電力比により算出される干渉範囲を規定する距離とに基づいて、決定する、請求項2に記載の基地局装置。
  5. 前記基地局装置は、前記通信エリア内に複数の前記端末装置が存在する場合、前記基地局から遠い方の前記端末装置より、順次、前記非競合期間の通信を行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の基地局装置。
  6. 無線通信システムであって、
    複数の基地局装置と、
    前記基地局装置のうち対応する基地局装置との間でそれぞれ無線通信を行う複数の端末装置とを備え、
    前記無線通信の通信期間は、前記基地局装置により通信が順次割り当てられる当該基地局装置の通信エリア内の前記端末装置と選択的に通信をする非競合期間を含み、
    各前記基地局装置は、
    自身の前記通信期間における前記非競合期間の通信を開始するにあたり、キャリアセンスにより、前記複数の基地局装置のうちの他の基地局装置との間で前記通信期間の開始が競合する場合に、ランダムなバックオフ時間を設定するバックオフ時間設定手段と、
    前記バックオフ時間の経過後に、キャリアセンスにより前記他の基地局装置が前記非競合期間の通信を行っていないことを条件として、自身の非競合期間の通信を開始する非競合期間通信手段と、
    前記非競合期間におけるデータ通信で通信する前記端末装置との間の基地局端末間距離を特定するための手段と、
    前記非競合期間で通信を行う他の基地局装置を前記非競合期間の通信について排他制御する第1の範囲を前記基地局端末間距離に応じて算出し、前記算出された第1の範囲に到達する強度で、前記キャリアセンスにおいて前記非競合期間の通信を自身が行っていることを示す第1のビジートーン信号を送信するための第1の排他制御手段と、を備える、無線通信システム。
  7. 前記無線通信の前記通信期間は、前記端末装置から通信の開始を求める競合を許容して所定の手順で通信を行う順序を調整する競合期間をさらに含み、
    各前記基地局装置は、
    前記他の基地局装置に対応する端末装置が、自身の前記非競合期間での通信が終了する前に前記競合期間の通信を開始しないように排他制御する第2の範囲を、前記基地局端末間距離に応じて算出し、算出された前記第2の範囲に到達する強度で第2のビジートーン信号を、前記非競合期間の開始から自身の前記非競合期間中の通信の終了までの間に送信するための第2の排他制御手段と、
    前記競合期間において、前記端末装置から通信の開始を求める競合がある場合、所定の手順で通信を行う順序を調整して通信を行なうための競合期間通信手段とを備える、請求項6に記載の無線通信システム。
  8. 複数の基地局装置と、各前記基地局装置に対応する端末装置との間で無線通信を行う無線通信方法であって、
    前記無線通信の通信期間は、前記基地局装置により通信が順次割り当てられる当該基地局装置の通信エリア内の前記端末装置と選択的に通信をする非競合期間を含み、
    前記基地局装置が、自身の前記通信期間における前記非競合期間の通信を開始するにあたり、キャリアセンスにより、前記複数の基地局装置のうちの他の基地局装置との間で前記通信期間の開始が競合する場合に、ランダムなバックオフ時間を設定し、
    前記基地局装置が、前記バックオフ時間の経過後に、キャリアセンスにより前記他の基地局装置が前記非競合期間の通信を行っていないことを条件として、自身の非競合期間の通信を開始し、
    前記基地局装置が、前記非競合期間におけるデータ通信で通信する前記端末装置との間の基地局端末間距離を特定し、
    前記基地局装置が、前記非競合期間で通信を行う他の基地局装置を前記非競合期間の通信について排他制御する第1の範囲を前記基地局端末間距離に応じて算出し、前記算出された第1の範囲に到達する強度で、前記キャリアセンスにおいて前記非競合期間の通信を自身が行っていることを示す第1のビジートーン信号を送信する、無線通信方法。
  9. 前記無線通信の前記通信期間は、前記端末装置から通信の開始を求める競合を許容して所定の手順で通信を行う順序を調整する競合期間をさらに含み、
    前記基地局装置が、前記他の基地局装置に対応する端末装置が、自身の前記非競合期間での通信が終了する前に前記競合期間の通信を開始しないように排他制御する第2の範囲を前記基地局端末間距離に応じて算出し、算出された前記第2の範囲に到達する強度で第2のビジートーン信号を、前記非競合期間の開始から自身の前記非競合期間中の通信の終了までの間に送信し、
    前記基地局装置が、前記競合期間において、前記端末装置から通信の開始を求める競合がある場合、所定の手順で通信を行う順序を調整して通信を行なう、請求項8に記載の無線通信方法。
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