以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の背面図である。
パチンコ機10は、図1に示すように、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64a,64b等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の前面を球が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の前面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の前面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けらている。
内枠12の前面側には、その前面上側を覆う前面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。前面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として前面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と前面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
前面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。前面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の前面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。前面枠14には、球を貯留する上皿17が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112aへと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81で表示される変動表示の演出パターンを変更したり、リーチ演出時の演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
加えて、前面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。
また、前面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。また、右側の電飾部32下側には、前面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13前面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等はパチンコ機10の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設され、かかる操作ハンドル51の内部には球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ(図示せず)と、操作ハンドル51の回動操作量を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)とが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回転操作されると、タッチセンサがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が操作量に対応して変化し、操作ハンドル51の回動操作量に応じて変化する可変抵抗器の抵抗値に対応した強さで球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の前面へ球が打ち込まれる。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。かかる球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、前述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
遊技盤13は、図2に示すように、正面視略正方形状に切削加工した木製のベース板60に、球案内用の多数の釘や風車およびレール61,62、一般入賞口63、第1上入球口64a、第1下入球口64b,可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12の裏面側に取り付けられる。一般入賞口63、第1上入球口64a、第1下入球口64b、可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の前面側から木ネジ等により固定されている。また、遊技盤13の前面中央部分は、前面枠14の窓部14cを通じて内枠13の前面側から視認することができる。以下に、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の前面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の前面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の前面であって2本のレール61,62と円弧部材70とにより区画して形成される略円形状の領域である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。また、内レール61の右下側の先端部と外レール62の右上側の先端部との間には、レール間を繋ぐ円弧を内面側に設けて形成された樹脂製の円弧部材70がベース板60に打ち込んで固定されている。
遊技領域の正面視右側上部(図2の右側上部)には、発光手段である複数のLED37aと7セグメント表示器37bとが設けられた第1図柄表示装置37が配設されている。第1図柄表示装置37は、主制御装置110で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。複数のLED37aは、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すものである。7セグメント表示装置37bは、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行うものである。なお、LED37aは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。なお、上述したパチンコ機10が確変中とは、大当たり確率がアップして特別遊技状態へ移行し易い状態である。本実施の形態の確変中は、さらに、第2図柄の当たり確率がアップして第1下入球口64b(図3参照)へ球が入球し易い遊技の状態である。また、パチンコ機10が時短中とは、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第1下入球口64b(図3参照)へ球が入球し易い状態の遊技中であり、パチンコ機10が通常中とは、確変中および時短中でない遊技中(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。また、パチンコ機10の遊技状態に応じて、第1下入球口64bに付随する電動役物(図示せず)が開放する時間や、1回の当たりで開放する回数を変更するものとしても良い。
また、遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。一般入賞口63には、球の入球(入賞)を検出する一般入賞口検出スイッチ208(図4参照)がそれぞれ配設されており、球の入球を検出した一般入賞口検出スイッチ208に応じた賞球が払い出される。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1上入球口64a又は第1下入球口64bへの入賞をトリガとして第3図柄を変動表示する液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す。)で構成された第3図柄表示装置81と、第2入球口67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示する発光ダイオード(以下、「LED」と略す。)で構成される第2図柄表示装置82とが設けられている。
第3図柄表示装置81は、後述する表示制御装置114によって表示内容が制御され、、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成され、これらの図柄が図柄列毎に縦スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。また、本実施の形態では、第3図柄表示装置81は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成され、可変表示装置ユニット80には、この第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。本実施の形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37で行われるのに対して、その第1図柄表示装置37の表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、LCDに代えて、例えば、リール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
また、第1図柄表示装置37にて停止図柄(確変大当たり図柄、普通大当たり図柄、外れ図柄のいずれか1つ)が表示されるまでの間に球が第1上入球口64a又は第1下入球口64bへ入球した場合、その入球回数は最大4回まで保留され、その保留回数は第1図柄表示装置37により示されると共に保留ランプ85の点灯個数においても示される。保留ランプ85は、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の上方に左右対称に配設されている。なお、本実施形態においては、第1上入球口64a又は第1下入球口64bへの入賞は、最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、保留ランプ85を削除し、第1上入球口64a又は第1下入球口64bへの入賞に基づく変動表示の保留回数を第3図柄表示装置81の一部に数字で、或いは、4つに区画された領域を保留回数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしても良い。また、第1図柄表示装置37により保留回数が示されるので、保留ランプ85により点灯表示を行わないものとしても良い。
第2図柄表示装置82は、第2図柄の表示部83と保留ランプ84とを有し、球が第2入球口67を通過する毎に、表示部83において表示図柄(第2図柄)としての「○」の図柄と「×」の図柄とが交互に点灯して変動表示が行われ、その変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に第1下入球口64bが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。球の第2入球口67の通過回数は最大4回まで保留され、その保留回数が上述した第1図柄表示装置37により表示されると共に保留ランプ84においても点灯表示される。なお、第2図柄の変動表示は、本実施の形態のように、表示部83において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、保留ランプ84の点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、第2入球口67の通過は、第1上入球口64a及び第1下入球口64bと同様に、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、第1図柄表示装置37により保留回数が示されるので、保留ランプ84により点灯表示を行わないものとしても良い。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入球し得る第1上入球口64a及び第1下入球口64bが配設されている。この第1上入球口64a及び第1下入球口64bへ球が入球すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1上入球口スイッチ207a及び第1下入球口検出スイッチ207b(図4参照)がそれぞれオンとなり、その第1上入球口スイッチ207a又は第1下入球口207bのオンに起因して主制御装置110で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37のLED37aで示される。また、第1上入球口64aは、球が入球すると3個の球が賞球として払い出される入賞口の1つであり、第1下入球口64bは、球が入球すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つとなっている。
第1下入球口64bの下方には可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の特定入賞口(大開放口)65aが設けられている。パチンコ機10においては、主制御装置110での抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37のLED37aを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この特定入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば16回(16ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
可変入賞装置65は、具体的には、特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するためのソレノイドとを備えている。特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際にはソレノイドを駆動して開閉板を前面下側に傾倒し、球が特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37において大当たりに対応したLED37aが点灯した場合に、特定入賞口65aが所定時間開放され、その特定入賞口65aの開放中に、球が特定入賞口65a内へ入賞することを契機として特定入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。
遊技盤13の下側における左右の隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、前面枠14の小窓35を通じて視認することができる。
さらに、遊技盤13には、アウト口66と第2入球口(スルーゲート)67とが設けられている。いずれの入賞口63,64a,64b,65aにも入球しなかった球はアウト口66を通って図示しない球排出路へと案内される。遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
パチンコ機10の背面側(図3参照)には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、ボックスベースとボックスカバーとを連結して、各制御装置や各基板を収納している。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)を貼着している。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、音声ランプ制御装置113には検査基準切替スイッチ228が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。検査基準切替スイッチ228は、入賞監視処理(S1110)において、異常を判断するための賞球数の基準値を変更するために操作されるスイッチであり、操作子228aが左側に位置する状態(図3の状態)がオフとなり、操作子228aが右側に位置する状態がオンとなる。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示したブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、データ送受信回路によって、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドが送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを備えている。RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のI/O等の値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図8参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図7参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図13参照)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37、第2図柄表示装置82、第1上入球口64aへの入賞を検出する第1上入球口検出スイッチ207a、第1下入球口64bへの入賞を検出する第1下入球口検出スイッチ207b、各一般入球口賞口63への入賞を検出する複数の一般入賞口検出スイッチ208や、検出スイッチ207a,207b,208以外に図示しないスイッチ群やセンサ群などからなる各種スイッチ206が接続されている。
払出制御装置111は、払出モータ216により賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを備えている。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを備えている。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時のI/O等の値がRAM213に記憶される。一方、電源投入時には、RAM213に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM213への書き込みはメイン処理(図15参照)によって電源遮断時に実行され、RAM213に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図14参照)において実行される。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図13参照)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回転操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサにより検出し、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、操作ハンドル51の回動量に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33や表示ランプ34など)における点灯および消灯の出力、表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを備えている。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227や、検査基準切替スイッチ228などがそれぞれ接続されている。
また、RAM223には、検査基準高フラグ223a、発射数カウンタ223b、発射間隔タイマ223c、第1入球口開放フラグ223d及び賞球数カウンタ223eが備えられている。検査基準高フラグ223aは、電源投入時の立上げ処理において検査基準切替スイッチ228の状態に応じてオン・オフされる(S1011又はS1012)フラグである。発射数カウンタ223bは、球発射ユニット112aが遊技球を遊技領域に発射するために動作した動作回数を記憶するカウンタであり、主制御装置110から送信される球発射信号を受信する毎にカウンタに1が加算される(S1302)。発射間隔タイマ223cは、球発射信号を受信してからの経過時間が記憶されており、球発射信号を受信する度に初期値に設定される(S1303)。第1入球口開放フラグ223dは、確変中や時短中である場合にオンされるフラグであり(S1308)、第1下入球口64bが高確率で作動状態(開放された状態)となる場合にオンされる。賞球数カウンタ223eは、各第1入球口64a,64bへの入球に伴い払い出されるべき賞球数を記憶するカウンタであり、主制御装置110から送信される賞球コマンドに基づいて賞球数が加算される(S1305)。
表示制御装置114は、第3図柄表示装置(LCD)81における第3図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置114は、MPU231と、ROM(プログラムROM)232と、ワークRAM233と、ビデオRAM234と、キャラクタROM235と、画像コントローラ236と、入力ポート237と、出力ポート238と、バスライン239,240とを備えている。入力ポート237の入力側には音声ランプ制御装置113の出力側が接続され、入力ポート237の出力側には、MPU231、ROM232、ワークRAM233、画像コントローラ236が接続されると共にバスライン240を介して出力ポート238が接続されている。出力ポート238の出力側には第3図柄表示装置81が接続されている。なお、パチンコ機10は、大当たりの抽選確率や1回の大当たりで払い出される賞球数が異なる別機種であっても、第3図柄表示装置81で表示される図柄構成が全く同じ仕様の機種があるので、表示制御装置114は共通部品化されコスト低減が図られている。
表示制御装置114のMPU231は、音声ランプ制御装置113から入力された図柄表示用のコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81の表示内容を制御する。ROM232は、MPU231により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリである。ワークRAM233は、MPU231による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
キャラクタROM235には、第3図柄表示装置81に表示される図柄(背景図柄や第3図柄(主図柄及び副図柄))などの演出用のデータが記憶されている。そのビデオRAM234に記憶されている演出データは、キャラクタROM235から読み出された演出用のデータや、その演出用のデータが加工(縮小および拡大、変形など)されたデータなどである。
画像コントローラ236は、MPU231、ビデオRAM234、出力ポート238のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM234に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して第3図柄表示装置81に表示させるものである。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122を有するRAM消去スイッチ回路253とを備えている。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチや、ソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122が押下された場合に、主制御装置110及び払出制御装置111へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。主制御装置110及び払出制御装置111は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアする。
ここで、図5を参照して、第3図柄表示装置81の表示内容について説明する。図5は、第3図柄表示装置81の表示画面を説明するための図面であり、図5(a)は、表示画面の領域区分設定と有効ライン設定とを模式的に示した図であり、図5(b)は、実際の表示画面を例示した図である。
第3図柄は、「0」から「9」の数字を付した10種類の主図柄と、この主図柄より小さく形成された花びら形状の1種類の副図柄とにより構成されている。各主図柄は、木箱よりなる後方図柄の上に「0」から「9」の数字を付して構成され、そのうち奇数番号(1,3,5,7,9)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯に大きな数字が付加されている。これに対し、偶数番号(0,2,4,6,8)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯にお守り、風呂敷、ヘルメット等のキャラクタを模した付属図柄が付加されており、付属図柄の右下側に偶数の数字が緑色で小さく、且つ、付属図柄の前側に表示されるように付加されている。
また、本実施形態のパチンコ機10においては、主制御装置110による抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う変動表示が行われ、その変動表示が終わった後に大当たりが発生するよう構成されている。大当たり終了後に高確率状態(確変状態)に移行する場合は、奇数番号が付加された主図柄(「高確率図柄」に相当)が揃う変動表示が行われる。一方、大当たり終了後に低確率状態に移行する場合は、偶数番号が付加された主図柄(「低確率図柄」に相当)が揃う変動表示が行われる。ここで、高確率状態とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動(確変)の時をいう。また、通常状態(低確率状態)とは、確変でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。
第3図柄表示装置81の表示画面は、図5(a)に示すように、大きくは上下に2分割され、下側の2/3が第3図柄を変動表示する主表示領域Dm、それ以外の上側の1/3が予告演出やキャラクタを表示する副表示領域Dsとなっている。
主表示領域Dmは、左・中・右の3つの表示領域Dm1〜Dm3に区分けされており、その3つの表示領域Dm1〜Dm3に、それぞれ3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。各図柄列Z1〜Z3には、前述した第3図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列Z1〜Z3には、数字の昇順または降順に主図柄が配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配列されている。このため、各図柄列には、10個の主図柄と10個の副図柄の計20個の第3図柄が設定され、各図柄列Z1〜Z3毎に周期性をもって上から下へとスクロールして変動表示が行われる。特に、左図柄列Z1においては主図柄の数字が降順に現れるように配列され、中図柄列Z2及び右図柄列Z3においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。なお、本実施例では、主図柄が「識別情報」に対応しており、主図柄の次に副図柄を挟んで配列される主図柄が「次に連続して配列される識別情報」であり、主図柄の次に配列される副図柄は識別情報に含まないものとする。具体的には、図5(b)に示すように、表示領域Dm1に表示される左図柄列Z1では、「3」の識別情報(図柄)の次に連続して配列される識別情報は「2」の識別情報であり、表示領域Dm2に表示される中図柄列Z2では、「4」の識別情報の次に連続して配列される識別情報は「5」の識別情報であり、表示領域Dm3に表示される右図柄列Z1では、「6」の識別情報の次に連続して配列される識別情報は「7」の識別情報となる。
また、主表示領域Dmには、各図柄列Z1〜Z3毎に上・中・下の3段に第3図柄が表示される。従って、第3図柄表示装置81には、3段×3列の計9個の第3図柄が表示される。この主表示領域Dmには、5つの有効ライン、即ち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5が設定されている。そして、毎回の遊技に際して、左図柄列Z1→右図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、その停止時にいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示される。
副表示領域Dsは、主表示領域Dmよりも上方に横長に設けられており、さらに左右方向に3つの予告領域Ds1〜Ds3に等区分されている。ここで、左右の予告領域Ds1,Ds3は、ソレノイドで電気的に開閉される両開き式の不透明な扉で通常覆われており、時としてソレノイドが励磁されて扉が手前側に開放されることにより遊技者に視認可能となる表示領域となっている。中央の予告領域Ds2は、扉で覆い隠されずに常に視認できる表示領域となっている。
実際の表示画面では、図5(b)に示すように、主表示領域Dmに第3図柄の主図柄と副図柄とが合計9個表示される。副表示領域Dsにおいては、左右の扉が閉鎖された状態となっており、左右の予告領域Ds1,Ds3が覆い隠されて表示画面が視認できない状態となっている。変動表示の途中において、左右のいずれか一方、または両方の扉が開放されると、左右の予告領域Ds1,Ds3に動画が表示され、通常より大当たりへ遷移し易い状態であることが遊技者に示唆される。中央の予告領域Ds2では、通常は、所定のキャラクタ(本実施形態ではハチマキを付けた少年)が所定動作をし、時として所定動作とは別の特別な動作をしたり、別のキャラクタが現出する等して予告演出が行われる。なお、第3図柄表示装置81の表示画面は、原則として上下の表示領域Dm,Dsに区分されているが、各表示領域Dm,Dsを跨いでより大きく第3図柄やキャラクタ等を表示して表示演出を行うことができる。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本実施の形態では、主制御装置110内のMPU201は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や第1図柄表示装置37の表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図6に示すように、大当たりの抽選に使用する第1当たり乱数カウンタC1と、大当たり図柄の選択に使用する第1当たり種別図柄カウンタC2と、停止パターン選択カウンタC3と、第1当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する第1初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1,CS2,CS3とを用いることとしている。また、第2図柄表示装置82の抽選には第2当たり乱数カウンタC4が用いられ、第2当たり乱数カウンタC4の初期値設定には第2初期値乱数カウンタCINI2が用いられる。これら各カウンタは、更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM203の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM203には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、第1上入球口64a又は第1下入球口64aへの球の入賞タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
各カウンタについて詳しくは、第1当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る構成となっている。特に第1当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値が当該第1当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、第1初期値乱数カウンタCINI1は、第1当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜738)、タイマ割込(図11参照)毎に1回更新されると共にメイン処理(図8参照)の残余時間内で繰り返し更新される。第1当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、球が第1上入球口64a又は第1下入球口64bに入賞したタイミングでRAM203の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「373,727」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は14で、その値は「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,631,683,733」である。
第1当たり種別カウンタC2は、大当たりの際の第1図柄表示装置37の表示態様を決定するものであり、本実施の形態では、0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。第1当たり種別カウンタC2の値は、例えば定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、球が第1上入球口64a又は第1下入球口64bに入賞したタイミングでRAM203の保留球格納エリアに格納される。なお、大当たり後に高確率状態となる乱数の値は「1,2,3」であり、大当たり後に低確率状態となる乱数の値は「0,4」であり、2種類の当たり種別が決定される。よって、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、高確率状態と低確率状態との2種類の大当たりに対応した表示態様と、はずれに対応した1種類の表示態様との合計3種類の表示態様のうち、いずれか1つが選択される。
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、停止パターン選択カウンタC3によって、第3図柄表示装置81で表示される演出のパターンが選択され、リーチが発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」(例えば0〜8の範囲)と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」(例えば9〜38の範囲)と、リーチ発生しない「完全外れ」(例えば39〜238の範囲)との3つの停止(演出)パターンが選択される。停止パターン選択カウンタC3の値は、例えば定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、球が第1上入球口64a又は第1下入球口64bに入賞したタイミングでRAM203の保留球格納エリアに格納される。
また、停止パターン選択カウンタC3には、停止パターンの選択される乱数値の範囲が異なる複数のテーブルが設けられている。これは、現在のパチンコ機10の状態が高確率状態であるか低確率状態であるか、保留球格納エリアのどのエリアに各乱数値が格納されているか(即ち保留個数)等に応じて、停止パターンの選択比率を変更するためである。
例えば、高確率状態では、大当たりが発生し易いため必要以上にリーチ演出が選択されないように、「完全外れ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が10〜238と広いテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され易くなる。このテーブルは、「前後外れリーチ」が0〜5と狭くなると共に「前後外れ以外リーチ」も6〜9と狭くなり、「前後外れリーチ」や「前後外れ以外リーチ」が選択され難くなる。また、低確率状態で保留球格納エリアに各乱数値が格納されていなければ、第1上入球口64aへの球の入球時間を確保するために「完全外れ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が51〜238と狭いテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され難くなる。このテーブルは、「前後外れ以外リーチ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が9〜50と広くなり、「前後外れ以外リーチ」が選択され易くなっている。よって、低確率状態では、第1上入球口64aへの球の入球時間を確保できるので、第3図柄表示装置81による変動表示が継続して行われ易くなる。
2つの変動種別カウンタCS1,CS2のうち、一方の変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、他方の変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS1を「第1変動種別カウンタ」、CS2を「第2変動種別カウンタ」ともいう。
第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の大まかな表示態様が決定される。表示態様の決定は、具体的には、図柄変動の変動時間の決定である。また、第2変動種別カウンタCS2によって、リーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの変動時間(言い換えれば、変動図柄数)が決定される。変動種別カウンタCS1,CS2により決定された変動時間に基づいて、表示制御装置114により第3表示装置81で表示される第3図柄のリーチ種別や細かな図柄変動態様が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。また、第1変動種別カウンタCS1だけで図柄変動態様を決定したり、第1変動種別カウンタCS1と停止図柄との組み合わせで同じく図柄変動態様を決定したりすることも可能である。変動種別カウンタCS1,CS2の値は、後述するメイン処理(図8参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。
変動種別カウンタCS3の値は、例えば、0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後に0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS3を「第3変動種別カウンタ」ともいう。本実施の形態の第3図柄表示装置81は、第1図柄表示装置37の表示態様に応じた装飾的な演出を行うものであり、図柄の変動以外に、変動している図柄を滑らせたり、リーチ演出の発生を予告するための予告キャラクタを通過させるなどの予告演出が行われる。その予告演出の演出パターンが変動種別カウンタCS3により選択される。具体的には、予告演出に必要となる時間を変動時間に加算したり、反対に変動表示される時間を短縮するために変動時間を減算したり、変動時間を加減算しない演出パターンが選択される。なお、変動種別カウンタCS3は、停止パターン選択カウンタC3と同様に、演出パターンが選択される乱数値の範囲が異なる複数のテーブルが設けられ、現在のパチンコ機10の状態が高確率状態であるか低確率状態であるか、保留球格納エリアのどのエリアに各乱数値が格納されているか等に応じて、各演出パターンの選択比率が異なるよう構成されている。
上述したように、変動種別カウンタCS1,CS2により図柄変動の変動時間が決定されると共に、変動種別カウンタCS3により変動時間に加減算される時間が決定される。よって、最終停止図柄が停止するまでの最終的な変動時間は、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3により決定される。
第2当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。第2当たり乱数カウンタC4の値は、本実施の形態ではタイマ割込毎に、例えば定期的に更新され、球が左右何れかの第2入球口(スルーゲート)67を通過したことが検知された時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」となっている。なお、第2初期値乱数カウンタCINI2は、第2当たり乱数カウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込(図11参照)毎に1回更新されると共にメイン処理(図8参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
次に、図7から図13のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU201の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2ミリ秒(以下「ms」で表す)周期で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
図11は、タイマ割込処理を示したフローチャートである。タイマ割込処理は、主制御装置110のMPU201により例えば2ms毎に実行される。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S501)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチ(但し、RAM消去スイッチ122を除く)の状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S502)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では738)に達した際0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では250)に達した際0にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203の該当するバッファ領域に格納する。
更に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4の更新を実行する(S503)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、738,4,238,250)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
その後は、第1上入球口64a又は第1下入球口64bへの入賞に伴う始動入賞処理を実行し(S504)、発射制御処理を実行して(S505)、タイマ割込処理を終了する。なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサにより検出し、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理である。球の発射がオンである場合に、発射制御装置112に対して球の発射指示をする。
図12のフローチャートを参照して、S504の処理で実行される始動入賞処理を説明する。まず、球が第1上入球口64a又は第1下入球口64bに入賞(始動入賞)したか否かを判別する(S601)。球が第1上入球口64a又は第1下入球口64bに入賞したと判別されると(S601:Yes)、第1図柄表示装置37の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する(S602)。球が第1上入球口64a又は第1下入球口64bへの入賞があり、且つ作動保留球数N<4であれば(S602:Yes)、作動保留球数Nを1加算し(S603)、更に、前記ステップS503で更新した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値を、RAM203の保留球格納エリアの空き保留エリアのうち最初のエリアに格納する(S604)。一方、球が第1上入球口64a又は第1下入球口64bへの入賞がないか(S601:No)、或いは、球が第1上入球口64a又は第1下入球口64bへの入賞があっても作動保留球数N<4でなければ(S602:No)、S603及びS604の各処理をスキップし、始動入賞処理を終了してタイマ割込処理へ戻る。
図13は、NMI割込処理を示したフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。すると、MPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S701)、NMI割込処理を終了する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置111でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から払出発射制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
図7は、主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理を示したフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S101)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、払出制御装置111等)が動作可能な状態になるのを待つために、ウェイト処理(本実施の形態では1秒)を実行する。次いで、RAM203のアクセスを許可する(S103)。
その後は、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122がオンされているか否かを判別し(S104)、オンされていれば(S104:Yes)、処理をS110へ移行する。一方、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S104:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S105)、記憶されていなければ(S105:No)、バックアップデータは記憶されていないので、この場合にも、処理をS110へ移行する。RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S105:Yes)、RAM判定値を算出し(S106)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S107:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS110へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S110の処理では、サブ側の制御装置となる払出制御装置111を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(S110)。その後、RAM203の初期化処理(S111、S112)に移行する。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ122を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ122が押されていれば、RAMの初期化処理(S111、S112)に移行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM203の初期化処理に移行する。即ち、S111とS112のRAMの初期化処理では、RAM203の使用領域を0にクリアし(S111)、RAM203の初期値を設定する(S112)。その後、S113の処理へ移行する。
一方、RAM消去スイッチ122がオンされておらず(S104:No)、電源遮断の発生情報が記憶されており(S105:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S107:Yes)、電源断の発生情報をクリアする(S108)。次に、サブ側の制御装置を駆動電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時の払出復帰コマンドを送信し(S109)、S113の処理へ移行する。
S113の処理では、割込みを許可して、後述するメイン処理に移行する。
次に、図8のフローチャートを参照してメイン処理を説明する。このメイン処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4ms周期の定期処理としてS201〜S206の各処理が実行され、その残余時間でS209,S210のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
メイン処理においては、まず、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する(S201)。具体的には、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置111に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動表示に必要な変動パターンコマンド、停止図柄コマンド、停止コマンド、演出時間加算コマンド、表示指示コマンド(確変中、時短中、通常のいずれかの遊技状態を指示するコマンド)等を音声ランプ制御装置113に送信する。さらに、球の発射を行う場合に、発射制御装置112に球発射信号を送信する。なお、本実施形態において、各制御装置から送信される信号には、オン/オフにより動作や状態を指示するものだけでなく、各情報を含んだコマンドも含まれる。反対に、各制御装置から送信されるコマンドには、各情報を含んだコマンドだけでなく、オン/オフにより動作や状態を指示する信号も含まれる。
なお、球発射ユニット112aによる球の発射は、主制御装置110からの指示により行われるので、主制御装置110に何らかの異常が生じて制御が止まると、球発射信号が送信されない。ここで、主制御装置110の制御が止まっている状態で球の発射が行われた場合には、球が入賞口に入賞したとしても賞球の払い出しができないので、遊技者に損失を与えてしまう。しかし、本実施形態では、球の発射が主制御装置110からの球発射信号により行われるので、主制御装置110の制御が止まった状態で球が発射されることがなく、遊技者に損失を与えることを防止することができる。
次に、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の各値を更新する(S202)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240,162)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新が終わると、払出制御装置111より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S203)、第1図柄表示装置37による表示を行うための処理や第3図柄表示装置81による第3図柄の変動パターンなどを設定する変動処理を実行する(S204)。なお、図示しないが、遊技状態が時短中である場合には、時短中に行われる所定の変動回数が終了するタイミングで、通常の遊技状態に応じた表示指示コマンドが設定され、S201の外部出力処理により音声ランプ制御装置113に送信される。また、変動処理の詳細は図9を参照して後述する。
変動処理の終了後は、大当たり状態である場合において可変入賞装置65の特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための大開放口開閉処理を実行する(S205)。即ち、大当たり状態のラウンド毎に特定入賞口65aを開放し、特定入賞口65aの最大開放時間が経過したか、又は特定入賞口65aに球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると特定入賞口65aを閉鎖する。この特定入賞口65aの開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。なお、所定ラウンド数が終了するタイミングで、大当たり後に移行する遊技状態(確変、時短、通常)に応じた表示指示コマンドが設定され、S201の外部出力処理により音声ランプ制御装置113に送信される。
次に、第2図柄表示装置82による第2図柄(例えば「○」又は「×」の図柄)の表示制御処理を実行する(S206)。簡単に説明すると、球が第2入球口(スルーゲート)67を通過したことを条件に、その通過したタイミングで第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に第2図柄表示装置82の表示部83にて第2図柄の変動表示が実施される。そして、第2当たり乱数カウンタC4の値により第2図柄の抽選が実施され、第2図柄の当たり状態になると、第1下入球口64bに付随する電動役物が所定時間開放される。
その後は、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S207)、RAM203に電源遮断の発生情報が記憶されていなければ(S207:No)、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回のメイン処理の開始から所定時間(本実施の形態では4ms)が経過したか否かを判別し(S208)、既に所定時間が経過していれば(S208:Yes)、処理をS201へ移行し、前述したS201以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、前回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S208:No)、所定時間に至るまでの、即ち次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、第1初期値乱数カウンタCINI1、第2初期値乱数カウンタCINI2及び変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新を繰り返し実行する(S209,S210)。
まず、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新を実行する(S209)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では738、250)に達した際0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。
次に、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新を実行する(S210)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240,162)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。
ここで、S201〜S206の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、第1当たり乱数カウンタC1の初期値、第2当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1,CS2,CS3についてもランダムに更新することができる。
また、S207の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S207:Yes)、S211以降の電源遮断時の処理が実行される。まず、各割込処理の発生を禁止し(S211)、電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置(払出制御装置111や音声ランプ制御装置113など)に対して送信する(S212)。そして、RAM判定値を算出してその値を保存し(S213)、RAM203のアクセスを禁止して(S214)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、S207の処理は、S201〜S206で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS209とS210の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置110のメイン処理において、各設定が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には立ち上げ処理の終了後S201の処理から開始される。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様にS201の処理から開始される。よって、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S101)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S201の処理から開始できる。従って、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり暴走することなく正確な制御を行うことができる。
次に、図9及び図10のフローチャートを参照して、変動処理(S204)を説明する。変動処理では、まず、今現在大当たり中であるか否かを判別する(S301)。大当たり中としては、大当たりの際に第3図柄表示装置81で表示される大当たり遊技の最中と大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判別の結果、大当たり中であれば(S301:Yes)、そのまま本処理を終了する。
大当たり中でなければ(S301:No)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中であるか否かを判別し(S302)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中でなければ(S302:No)、作動保留球数Nが0よりも大きいか否かを判別する(S303)。作動保留球数Nが0であれば(S303:No)、そのまま本処理を終了する。作動保留球数N>0であれば(S303:Yes)、作動保留球数Nを1減算し(S304)、保留球格納エリアに格納されたデータをシフト処理する(S305)。このデータシフト処理は、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。データシフト処理の後は、第1図柄表示装置37の変動開始処理を実行する(S306)。なお、変動開始処理については図10を参照して後述する。
S302の処理において、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中であると判別されると(S302:Yes)、変動時間が経過したか否かを判別する(S307)。第1図柄表示装置37の変動中の表示時間は、変動種別カウンタCS1,CS2により選択された変動パターンと変動種別カウンタCS3により選択された加算時間に応じて決められており、この変動時間が経過していなければ(S307:No)、第1図柄表示装置37の表示を更新する(S308)。本実施の形態では、第1図柄表示装置37のLED37aの内、変動が開始されてから変動時間が経過するまでは、例えば、現在点灯しているLEDが赤であれば、その赤のLEDを消灯すると共に緑のLEDを点灯させ、緑のLEDが点灯していれば、その緑のLEDを消灯すると共に青のLEDを点灯させ、青のLEDが点灯していれば、その青のLEDを消灯すると共に赤のLEDを点灯させる表示態様が設定される。なお、変動処理は、0.4ms毎に実行されるが、その変動処理毎にLEDの点灯色を変更すると、LEDの点灯色の変化を遊技者が確認することができない。そこで、遊技者にLEDの点灯色の変化を確認させるために、変動処理は、実行される毎にカウンタ(図示せず)を1カウントし、そのカウンタが100に達した場合に、LEDの点灯色の変更を行い、0.4s毎にLEDの点灯色の変更を行っている。なお、カウンタの値は、LEDの点灯色が変更されたらリセット(値0)される。
一方、第1図柄表示装置37の変動時間が経過していれば(S307:Yes)、第1図柄表示装置37の停止図柄に対応した表示態様が設定される(S309)。停止図柄の設定は、第1当たり乱数カウンタC1の値に応じて大当たりか否かが決定されると共に、大当たりである場合には第1当たり種別カウンタC2の値により大当たり後に高確率状態となる図柄か低確率状態となる図柄かが決定される。本実施の形態では、大当たり後に高確率状態になる場合には赤色のLEDを点灯させ、低確率状態になる場合には緑色のLEDを点灯させ、外れである場合には青色のLEDを点灯させる。なお、各LEDの表示は、次の変動表示が開始される場合に点灯が解除されるが、変動の停止後数秒間のみ点灯させるものとしても良い。
S309の処理で停止図柄に対応した第1図柄表示装置37の表示態様が設定されると、第3図柄表示装置81の変動停止を第1図柄表示装置37におけるLEDの点灯と同調させるために停止コマンドが設定される(S310)。この停止コマンドを音声ランプ制御装置113が受信して表示制御装置114に停止指示をする。第3図柄表示装置81は、変動時間が経過すると変動が停止し、停止コマンドを受信することで、第3図柄表示装置81における1の変動演出が終了する。
次に、図10のフローチャートを参照して、変動開始処理を説明する。変動開始処理(S306)では、まず、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている第1当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する(S401)。大当たりか否かは第1当たり乱数カウンタ値とその時々のモードとの関係に基づいて判別される。前述した通り通常の低確率時には第1当たり乱数カウンタC1の数値0〜738のうち「373,727」が当たり値であり、高確率時には「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,631,683,733」が当たり値である。
大当たりであると判別された場合(S401:Yes)、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている第1当たり種別カウンタC2の値を確認して、大当たり時の表示態様が設定される(S402)。S402の処理では、第1当たり種別カウンタC2の値に基づき、大当たり後に高確率状態に移行するか低確率状態に移行するかが設定される。大当たり後の移行状態が設定されると、第1図柄表示装置37の表示態様(LED37aの点灯状態)が設定される。また、大当たり後の移行状態に基づいて、第3図柄表示装置81の大当たりの停止図柄が表示制御装置114で設定される。即ち、S402の処理で、大当たり後の移行状態を設定することで、第3図柄表示装置81における停止図柄を設定できる。なお、第1当たり種別カウンタC2の数値0〜4のうち、「0,4」の場合は以後低確率状態に移行し、「1,2,3」の場合は高確率状態に移行する。
次に、大当たり時の変動パターンを決定する(S403)。S403の処理で変動パターンが設定されると、第1図柄表示装置37の表示時間が設定されると共に、第3図柄表示装置81において大当たり図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。このとき、RAM203のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の大まかな図柄変動の変動時間を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄Z2)が停止するまでの変動時間(言い換えれば、変動図柄数)を決定する。
なお、第1変動種別カウンタCS1の数値と変動時間との関係、第2変動種別カウンタCS2の数値と変動時間との関係は、それぞれにテーブル等により予め規定されている。但し、上記変動時間は、第2変動種別カウンタCS2の値を使わずに第1変動種別カウンタCS1の値だけを用いて設定することも可能であり、第1変動種別カウンタCS1の値だけで設定するか又は両変動種別カウンタCS1,CS2の両値で設定するかは、その都度の第1変動種別カウンタCS1の値や遊技条件などに応じて適宜決められる。
S401の処理で大当たりではないと判別された場合には(S401:No)、外れ時の表示態様が設定される(S404)。S404の処理では、第1図柄表示装置37の表示態様を外れ図柄に対応した表示態様に設定すると共に、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている停止パターン選択カウンタC3の値に基づいて、第3図柄表示装置81において表示させる演出を、前後外れリーチであるか、前後外れ以外リーチであるか、完全外れであるかを設定する。本実施の形態では、上述したように、高確率状態であるか、低確率状態であるか、及び作動保留個数Nに応じて、停止パターン選択カウンタC3の各停止パターンに対応する値の範囲が異なるようテーブルが設定されている。
次に、外れ時の変動パターンが決定され(S405)、第1図柄表示装置37の表示時間が設定されると共に、第3図柄表示装置81において外れ図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。このとき、S403の処理と同様に、RAM203のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の大まかな図柄変動の変動時間を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄Z2)が停止するまでの変動時間(言い換えれば、変動図柄数)を決定する。
S403の処理またはS405の処理が終わると、第1及び第2種別カウンタCS1,CS2により決定された変動時間に加減算される演出時間が決定される(S406)。このとき、RAM203のカウンタ用バッファに格納されている第3種別カウンタCS3の値に基づいて演出時間の加減算が決定され、第1図柄表示装置37の表示時間が設定されると共に、第3図柄表示装置81の変動時間が設定される。本実施の形態では、演出時間の加減算の決定は、第3変動種別カウンタCS3の値に応じて、変動表示の時間を変更しない場合と変動表示時間を1秒加算する場合、変動表示時間を2秒加算する場合、変動表示時間を1秒減算する場合との4種類の加算値が決定される。
なお、変動表示時間が加減算される場合には、第3図柄表示装置81で大当たりの期待値が高くなる予告演出(例えば、変動図柄の変動時間を通常より長くしてスベリを伴わせるスベリ演出や予告キャラを表示させる演出、1の変動図柄の変動時間を通常より短くして即停止させる演出など)が行われる。また、第1当たり乱数カウンタC1の値が大当たりである場合は、2秒の加算値が選択される確率が高く設定されているので、遊技者は予告演出を確認することで大当たりを期待することができる。
次に、S403又はS405の処理で決定された変動パターン(変動時間)に応じて変動パターンコマンドを設定し(S407)、S402又はS404の処理で設定された停止図柄に応じて停止図柄コマンドを設定する(S408)。そして、S406の処理で決定された演出時間の加算値に応じて演出時間加算コマンドを設定して(S409)、変動処理へ戻る。
次に、図14及び図15を参照して、払出制御装置111内のMPU211により実行される払出制御について説明する。図14は、払出制御装置111の立ち上げ処理を示したフローチャートであり、この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S801)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。そして、RAMアクセスを許可すると共に(S802)、外部割込ベクタの設定を行う(S803)。
その後は、MPU211内のRAM213に関してデータバックアップの処理を実行する。具体的には、RAM213に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S804)、記憶されていなければ(S804:No)、バックアップデータは記憶されていないので、処理をS810へ移行する。RAM213に電源断の発生情報が記憶されていれば(S804:Yes)、RAM判定値を算出し(S805)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S805:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS810へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM213の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM213の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S810の処理〜S812の処理のRAMの初期化処理では、RAM213の全ての領域を0にクリアし(S810)、RAM213の初期値を設定する(S811)。その後、MPU211周辺デバイスの初期設定を行い(S812)、S813の処理へ移行し割込みを許可してメイン処理へ移行する。
一方、電源断の発生情報が設定されており(S804:Yes)、且つRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S806:Yes)、電源遮断の発生情報をクリアすると共に(S807)、賞球の払出を許可する払出許可フラグをクリアする(S808)。また、MPU211周辺デバイスの初期設定を行い(S809)、S813の処理へ移行し割込みを許可してメイン処理へ移行する。
次に、図15のフローチャートを参照して、払出制御装置111内のMPU211により実行されるメイン処理を説明する。このメイン処理は、まず主制御装置110からの賞球コマンドや発射制御装置112へ送信されるコマンドなどを取得し、そのコマンドの判定処理を行う(S901)。コマンド判定処理では、主制御装置110から送信されるコマンド(払出初期化コマンド、払出復電コマンド、賞球コマンドなど)を受信すると払出許可フラグがオンされ払い出しが許可される。
コマンド判定処理(S901)が終わると、払い出しが許可されているか否かが判別され(S902)、払い出しが許可されていなければ(S902:No)、コマンド判定処理(S901)において払い出しが許可されるまでコマンド判定処理(S901)を繰り返し実行する。一方、S902の処理において払い出しが許可されていれば(S902:Yes)、状態復帰スイッチ120をチェックし状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する(S903)。
その後、下皿301の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する(S904)。即ち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿50の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時に、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時に、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する(S905)。即ち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時に、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時に、タンク球無し解除状態の設定を実行する。その後、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には払出制御装置111に設けた7セグメントLEDにより報知する(S906)。
次に、S907〜S909の各処理により、賞球払出の処理を実行する。即ち、賞球の払出不可状態でなく且つ記憶した総賞球個数が0でなければ(S907:No,S908:No)、賞球の払い出しを行うために賞球制御処理を開始する(S909)。一方、賞球の払出不可状態(S907:Yes)または総賞球個数が0であれば(S908:Yes)、貸球払出の処理に移行する。
S910〜S912の貸球払出の処理では、貸球の払出不可状態でなく且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(S910:No,S911:Yes)、貸球を払い出しために貸球制御処理を開始する。一方、貸球の払出不可状態(S910:Yes)または貸球払出要求を受信していない場合(S911:No)、S912の処理が終わった場合には、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ134の制御(バイブモータ制御)を実行する(S913)。
その後は、RAM213に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S914)、電源断の発生情報が記憶されていなければ(S914:No)、S901の処理へ戻りメイン処理を繰り返し実行する。
一方、S914の処理において、電源断の発生情報が記憶されていれば(S914:Yes)、電源が遮断されたことになるので、各割込処理の発生の禁止をし(S915)、主制御装置110から送信されるコマンドの受信漏れを防止するために再度コマンド判定処理を実行する(S916)。そして、RAM判定値を算出してRAM213に保存し(S917)、RAM213のアクセスを禁止して(S918)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、例えば、RAM判定値は、RAM213のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、S914の処理は、払出制御装置111のメイン処理の1サイクルが終わるタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断前の状態から復帰する場合には立ち上げ処理の終了後S901の処理から開始される。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様にメイン処理が開始される。よって、電源遮断時の処理において、MPU211が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S801)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S901の処理から開始できる。従って、払出制御装置111の制御負担を軽減することができると共に、払出制御装置111が誤動作したり暴走することなく正確な制御を行うことができる。また、各処理が終わったタイミングで電源断の処理が実行されるので、RAM213にバックアップする情報量を少なくすることができる。
次に、音声ランプ制御装置113で行われる処理について図16及び図17を参照して説明する。図16は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される立ち上げ処理を示したフローチャートであり、この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。
まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1001)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。その後、電源断処理中フラグがオンしているか否かによって、今回の立ち上げ処理が瞬間的な電圧降下(瞬間的な停電、所謂「瞬停」)によって、S1115の電源断処理の実行途中に開始されたものであるか否かが判断される(S1002)。図17を参照して後述する通り、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から電源断コマンドを受信すると(図17のS1112参照)、S1115の電源断処理を実行する。かかる電源断処理の実行前に、電源断処理中フラグがオンされ、該電源断処理の終了後に、電源断処理中フラグはオフされる。よって、S1115の電源断処理が実行途中であるか否かは、電源断処理中フラグの状態によって判断できる。
電源断処理中フラグがオフであれば(S1002:No)、今回の立ち上げ処理は、電源が完全に断された後に開始されたか、瞬間的な停電が生じた後であってS1115の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始されたものである。よって、これらの場合には、RAM223のデータが破壊されているか否かを確認する(S1003)。
RAM223のデータ破壊の確認は、次のように行われる。即ち、RAM223の特定の領域には、S1006の処理によって「55AAh」のキーワードとしてのデータが書き込まれている。よって、その特定領域に記憶されるデータをチェックし、該データが「55AAh」であればRAM223のデータ破壊は無く、逆に「55AAh」でなければRAM223のデータ破壊を確認することができる。RAM223のデータ破壊が確認されれば(S1003:Yes)、S1004へ移行して、RAM223の初期化を開始する。一方、RAM223のデータ破壊が確認されなければ(S1003:No)、S1008へ移行する。
なお、今回の立ち上げ処理が電源が完全に断された後に開始された場合には、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードは記憶されていないので(電源断によってRAM223の記憶は喪失するから)、RAM22のデータ破壊と判断され(S1003:Yes)、S1004へ移行する。一方、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1115の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって開始された場合には、RAM223の特定領域には「55AAh」のキーワードが記憶されているので、RAM22のデータは正常と判断されて(S1003:No)、S1008へ移行する。
電源断処理中フラグがオンであれば(S1002:Yes)、今回の立ち上げ処理は、瞬間的な停電が生じた後であって、S1115の電源断処理の実行途中に、音声ランプ制御装置113のMPU221にリセットがかかって開始されたものである。かかる場合は電源断処理の実行途中なので、RAM223の記憶状態は必ずしも正しくない。よって、かかる場合には制御を継続することはできないので、処理をS1004へ移行して、RAM223の初期化を開始する。
S1004の処理では、RAM223の全範囲の記憶領域をチェックする(S1004)。チェック方法としては、まず、1バイト毎に「0FFh」を書き込み、それを1バイト毎に読み出して「0FFh」であるか否かを確認し、「0FFh」であれば正常と判別する。かかる1バイト毎の書き込み及び確認を、「0FFh」に次いで、「55h」、「0AAh」、「00h」の順に行う。このRAM223の読み書きチェックにより、RAM223のすべての記憶領域が0クリアされる。
RAM223のすべての記憶領域について、読み書きチェックが正常と判別されれば(S1005:Yes)、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードを書き込んで、RAM破壊チェックデータを設定する(S1006)。この特定領域に書き込まれた「55AAh」のキーワードを確認することにより、RAM223にデータ破壊があるか否かがチェックされる。一方、RAM223のいずれかの記憶領域で読み書きチェックの異常が検出されれば(S1005:No)、RAM223の異常を報知して(S1007)、電源が遮断されるまで無限ループする。RAM223の異常は、表示ランプ34により報知される。なお、音声出力装置226により音声を出力してRAM223の異常報知を行うようにしても良い。
S1008の処理では、電源断フラグがオンされているか否かを判別する(S1008)。電源断フラグはS1115の電源断処理の実行時にオンされるので(図17のS1114参照)、電源断フラグがオンされた状態でS1008の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1115の電源断処理を実行した後に開始された場合である。従って、かかる場合には(S1008:Yes)、音声ランプ制御装置113の各処理を初期化するためにRAMの作業エリアをクリアし(S1009)、S1010の処理へ移行する。
一方、電源断フラグがオフされた状態でS1008の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、例えば電源が完全に断された後に開始されたためにS1004からS1006の処理を経由してS1008の処理へ至ったか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始された場合である。よって、かかる場合には(S1008:No)、RAM223の作業領域のクリア処理であるS1009をスキップして、処理をS1010へ移行する。
なお、S1009のクリア処理をスキップするのは、S1004からS1006の処理を経由してS1008の処理へ至った場合には、S1004の処理によって、既にRAM223のすべての記憶領域はクリアされているし、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって、立ち上げ処理が開始された場合には、RAM223の作業領域のデータをクリアせず保存しておくことにより、音声ランプ制御装置113の制御を継続できるからである。
S1010の処理では、検査基準切替スイッチ228がオンされているか否かが判別され(S1010)、検査基準切替スイッチ228がオンであれば(S1010:Yes)、検査基準高フラグ223aをオンし(S1011)、検査基準切替スイッチ228がオフであれば(S11010:No)、検査基準高フラグ223aをオフする(S1012)。そして、RAM223の初期値を設定した後(S1013)、割込み許可を設定して(S1014)、メイン処理へ移行する。なお、RAM223の作業エリアとしては、主制御装置110から受信したコマンド等を記憶する領域以外の領域をいう。
次に、図17を参照して、MPU221により実行されるメイン処理を説明する。まず、メイン処理が開始されてから1ms以上が経過したか否かが判別され(S1101)、1ms以上経過していなければ(S1101:No)、S1102〜S1109の処理を行わずにS1110の処理へ移行する。S1101の処理で、1ms経過したか否かを判別するのは、S1102〜S1109が表示(演出)に関する処理であり、短い周期(1ms以内)で編集する必要がないのに対して、S1110の各カウンタの更新処理やS1111のコマンドの受信処理を短い周期で実行する方が好ましいからである。これにより、主制御装置110から送信されるコマンドの受信洩れを防止できる。
S1101の処理で1ms以上経過していれば(S1101:Yes)、表示ランプ34の点灯態様の設定や後述するS1107の処理で編集されるランプの点灯態様となるよう各ランプの出力を設定し(S1102)、その後電源投入報知処理を実行する(S1103)。電源投入報知処理は、電源が投入された場合に所定の時間(例えば30秒)電源が投入されたことを知らせる報知を行うものであり、その報知は音声出力装置226やランプ表示装置227により行われる。また、第3図柄表示装置81の画面において電源が供給されたことを報知するようコマンドを表示制御装置114に送信するものとしても良い。なお、電源投入時でなければ、電源投入報知処理による報知は行われずにS1104の処理へ移行する。
S1104の処理では客待ち演出が実行され、その後、保留個数表示更新処理が実行される(S1105)。客待ち演出では、パチンコ機10が遊技者により遊技されない時間が所定時間経過した場合に、第3図柄表示装置81の表示をタイトル画面に切り替える設定などが行われ、その設定がコマンドとして表示制御装置114に送信される。保留個数表示更新処理では、作動保留球Nに応じて保留ランプ85を点灯させる処理が行われる。
その後、枠ボタン入力監視・演出処理が実行される(S1106)。この枠ボタン入力監視・演出処理では、演出効果を高めるために遊技者に操作される枠ボタン22が押されたか否かの入力を監視し、枠ボタン22の入力が確認された場合に対応した演出を行うよう設定する処理である。例えば、変動表示開始時に予告キャラが出現した場合に枠ボタン22を押すことで今回の変動による大当たりの期待値を表示したり、リーチ演出中に枠ボタン22を押すことで大当たりへの期待感を持てる演出に変更したり、複数のリーチ演出のうち1のリーチ演出を選択するための決定ボタンとしても良い。なお、枠ボタン22が配設されていない場合には、S1106の処理は省略される。
枠ボタン入力監視・演出処理が終わると、ランプ編集処理が実行され(S1107)、その後音編集・出力処理が実行される(S1108)。ランプ編集処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう電飾部29〜33の点灯パターンなどが設定される。音編集・出力処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう音声出力装置226の出力パターンなどが設定され、その設定に応じて音声出力装置226から音が出力させる。
その後、液晶演出実行管理処理が実行され(S1109)、S1110の処理へ移行する。液晶演出実行管理処理では、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドや演出時間加算コマンドに基づいて第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間が設定される。この液晶演出実行監視処理で設定された時間に基づいてS1107のランプ編集処理やS1108の音編集・出力処理の演出時間が設定される。
S1110の処理では、入賞監視処理が実行される。なお、入賞監視処理の詳細については後述する。
S1111の処理では、第3図柄表示装置81の変動表示処置が実行される。この変動表示処理では、音声ランプ制御装置113に搭載された複数のカウンタ(大当たり時の停止図柄を設定するカウンタ、外れ時の停止図柄を選択するカウンタなど)が更新され、そのカウンタの値と主制御装置110から送信される変動パターンコマンドや停止図柄コマンドに基づき第3図柄表示装置81で停止表示される図柄を設定したり、変動表示のパターン(前後外れリーチ、前後外れ以外リーチ、完全外れ)などが設定される。その停止図柄や変動パターンは、コマンドとして表示制御装置114に送信される。
S1111の処理では、例えば、主制御装置110から送信される変動パターンのコマンドが「完全外れ」である場合、完全外れに対応した複数のパターンのうち完全外れAパターンが選択され、第3図柄表示装置81で完全外れAパターンの演出が行われるよう表示制御装置110に対してコマンドが送信される。また、停止図柄コマンドが大当たりとなる図柄で且つ、その大当たり後に高確率状態となる場合、複数の図柄の中から1の図柄(1〜9のうちの奇数図柄)が選択され、第3図柄表示装置81で奇数図柄が停止するよう表示制御装置110に対してコマンドが送信される。よって、主制御装置110により決定された1のコマンドに対して、第3図柄表示装置81で表示される詳細な変動パターンや停止図柄などが音声ランプ制御装置113で決定されるので、主制御装置110の制御負担を軽減することができる。さらに、主制御装置110において決定される各演出のパターンや停止図柄を少なくできるので、ROM202の記憶容量を少なくすることができ、コスト低減を図ることができる。
S1111の処理が終わると、ワークRAM233に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別する(S1112)。電源断の発生情報は、主制御装置110から電源断コマンドを受信した場合に記憶される。S1112の処理で電源断の発生情報が記憶されていれば(S1112:Yes)、電源断フラグ及び電源断処理中フラグを共にオンして(S1114)、電源断処理を実行する(S1115)。電源断処理の実行後は、電源断処理中フラグをオフし(S1116)、その後、処理を、無限ループする。電源断処理では、割込処理の発生を禁止すると共に、各出力ポートをオフして、音声出力装置226およびランプ表示装置227からの出力をオフする。また、電源断の発生情報の記憶も消去する。
一方、S1112の処理で電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1112:No)、RAM223に記憶されるキーワードに基づき、RAM223が破壊されているか否かが判別され(S1113)、RAM223が破壊されていなければ(S1113:No)、S1101の処理へ戻り、繰り返しメイン処理が実行される。一方、RAM223が破壊されていれば(S1113:Yes)、以降の処理の実行を停止させるために、処理を無限ループする。ここで、RAM破壊と判別されて無限ループするとメイン処理が実行されないので、その後第3図柄表示装置81による表示が変化しない。よって、遊技者は、異常が発生したことを知ることができるので、ホールの店員などを呼びパチンコ機10の修復などを頼むことができる。また、RAM223が破壊されていると確認された場合に、音声出力装置226やランプ表示装置227によりRAM破壊の報知を行うものとしても良い。
ここで、図18及び図19を参照して、入賞監視処理(S1110)について説明する。図18は、メイン処理の中で実行される入賞監視処理(S1110)を示したフローチャートであり、図19は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される外部割込み処理を示したフローチャートである。なお、説明の便宜上、図19の外部割込み処理を先に説明し、その後、図18の入賞監視処理を説明する。
図19に示した外部割込み処理は、主制御装置110からコマンドを受信した場合に実行される。外部割込み処理が実行されると、受信したコマンドが球発射信号であるか否かが判別される(S1301)。この球発射信号は、主制御装置110から発射制御装置112に送信される球発射信号が分岐して入力されるので、発射制御装置112に送信される球発射信号と略同一タイミングで且つ同一回数受信することができる。S1301の処理で受信したコマンドが球発射信号であれば(S1301:Yes)、発射数カウンタ223bの値に1を加算し(S1302)、発射間隔タイマ223cの値に初期値を設定して(S1303)、本処理を終了する。なお、本実施形態では、発射間隔タイマ223cは、球発射信号を受信してからの経過時間が記憶されるので、球発射信号を受信する毎に(即ち、受信する球発射信号のうち最後の球発射信号を受信する毎に)、S1303の処理で発射間隔タイマ223cの値に0が設定される。
一方、S1301の処理で、受信したコマンドが球発射信号でなければ(S1301:No)、受信したコマンドが第1上入球口64a又は第1下入球口64bへの入賞に伴う賞球を指示する賞球コマンドであるか否かが判別される(S1304)。受信したコマンドが第1上入球口64a又は第1下入球口64bへの入賞に伴う賞球を指示する賞球コマンドであれば(S1304:Yes)、賞球コマンドにより指示される賞球数(本実施形態では3又は5)を賞球数カウンタ223eに加算して(S1305)、本処理を終了する。この賞球コマンドは、主制御装置110から払出制御装置111に送信される賞球コマンドが分岐して入力されるので、払出制御装置111に送信される賞球コマンドと略同一タイミングで且つ同一回数受信することができる。
S1304の処理で、受信したコマンドが第1上入球口64a又は第1下入球口64bへの入賞に伴う賞球を指示する賞球コマンドでなければ(S1304:No)、表示指示コマンドか否かが判別される(S1306)。この表示指示コマンドには、確変中、時短中および通常の3つのうちいずれかの遊技状態を指示する情報が含まれており、上述したように、大当たりの終了時に主制御装置110から送信されると共に、遊技状態が時短中から通常に変化する場合にも主制御装置110から送信される。また、音声ランプ制御装置113で受信した表示指示コマンドは、表示制御装置114にも送信され、第3図柄表示装置81で行われる演出などが指示される。
また、主制御装置110からは、第3図柄表示装置81に停止表示させる停止図柄コマンドも送信されるので、大当たり時の停止図柄コマンドにより大当たり後の遊技状態を設定するものとしても良い。この構成において、大当たり後の遊技状態が時短であれば、音声ランプ制御装置113に時短中に変動表示する所定回数をカウントするカウント手段を設け、そのカウント手段によるカウントが所定回数に達したら、通常の遊技状態を設定するよう構成しても良い。
S1306の処理で、受信したコマンドが表示指示コマンドであれば(S1306:Yes)、その表示指示コマンドに含まれる情報が、確変または時短中を指示するものであるか否かが判別され(S1307)、確変または時短中を指示するものであれば(S1307:Yes)、第1入球口開放フラグ223dをオンし(S1308)、確変または時短を指示するものでなければ(即ち通常の遊技状態であれば)(S1307:No)、第1入球口開放フラグ223dをオフして(S1309)、本処理を終了する。上述したように、確変または時短中は、第1下入球口64bの電動役物(開口面積形成部材)が作動状態になり、その第1下入球口64bの開口が開放されやすくなるので、第1下入球口64bへの入球が多くなる。そのため、S1308及びS1309の処理により、第1入球口開放フラグ223dをオン又はオフして、確変または時短中と通常の遊技中とを区別可能に構成している。なお、表示指示コマンドを受信する毎に、発射数カウンタ223b,賞球数カウンタ223eの値に初期値を設定するものとしても良い。これは、後述するが、第1入球口開放フラグ223dのオンオフによって賞球数カウンタ223eと比較される数値が異なるので、球の発射数が1000個に近い状態で遊技状態が変化し第1入球口開放フラグ223dが変化した場合には、球が発射されていた遊技状態と賞球数カウンタ223eと比較される数値とが対応しなくなり、入賞確率の信頼性が低下してしまうからである。よって、表示指示コマンドを受信する毎に、発射数カウンタ223b,賞球数カウンタ223eの値に初期値を設定することで、入賞確率の信頼性が低下することを低減することができる。
一方、S1306の処理で、受信したコマンドが表示指示コマンドでなければ(S1306:No)、その他のコマンドに応じた処理が実行される(S1310)。S1310の処理では、受信したコマンドに応じて音声ランプ制御装置113で用いるコマンドであればそのコマンドに対応した処理を行い処理結果をRAM233に記憶し、表示制御装置114で用いるコマンドであればそのコマンドを表示制御装置114に送信する。
なお、図19の外部割込み処理のフローチャートには図示を省略しているが、外部割込み処理は、各コマンドを受信した場合に特定のフラグをオンしたり、カウントの値を変更する処理だけでなく、受信用のバッファ(図示せず)に記憶されたコマンドのうち、必要なデータをワークRAM233に記憶したり、不必要なデータを消去したりするその他の処理が行われている。
次に、図18を参照して、入賞監視処理(S1110)について説明する。入賞監視処理は、まず、大当たり中であるか否かが判別され(S1201)、大当たり中であれば(S1201:Yes)、本処理を終了する。なお、本実施形態では、大当たり中であれば(S1201:Yes)、それ以降の処理を行わない構成としたが、S1202以降の処理を行う構成としても良い。これは、第1上入球口64a及び第1下入球口64bへの入球に伴った賞球のみを賞球数カウンタ223eに記憶するので、大当たり中に入球する特定入賞口65aの賞球に関係なくS1202以降の処理を実行できるからである。一方、特定入賞口65aへの入賞に伴う賞球を賞球数カウンタ223eに記憶する場合には、大当たり中はS1202以降の処理を実行しない方が好ましい。これは、大当たり中は、特定入賞口65aに多量の球が入賞して多量の賞球が払い出されるので、特定入賞口65aの賞球に対して他の入賞口63,64a,64bの入賞に伴う賞球数が少なくなり、他の入賞口63,64a,64bへの入賞確率を正確に監視できないからである。
S1201の処理で、大当たり中でなければ(S1201:No)、発射間隔タイマ223cに記憶される値が30sに対応した値に達したか否かが判別される(S1202)。発射間隔タイマ223cの値が30sに対応した値に達していれば(S1202:Yes)、操作ハンドル51が操作されずに30s以上経過したことになるので、発射数カウンタ223bと賞球数カウンタ223eとの値に初期値(例えば0)を設定して(S1203)、本処理を終了する。よって、所定時間以上、球発射信号を受信しない場合には、発射数カウンタ223bと賞球数カウンタ223eとの値が初期値(例えば0)に設定されるので、断続的に球が発射されている状態を省き、連続して球が発射された状態で、賞球数と後述する所定の数値とを比較することができる。
一方、S1202の処理で、発射間隔タイマ223cの値が30sに対応した値に達していなければ(S1202:No)、発射数カウンタ223bの値が1000以上であるか否かが判別され(S1204)、発射数カウンタ223bの値が1000より少なければ(S1204:No)、賞球数カウンタ223eに記憶される賞球数と所定の数値とを比較する発射数に達していないので、S1205〜S1214の処理を行わずに、本処理を終了する。本実施形態では、1分間に約100発の球を発射できるので、球の発射が連続して行われている場合には、約10分毎に入賞確率の監視を行うことができる。
S1204の処理で、発射数カウンタ223bの値が1000以上であれば(S1204:Yes)、第1入球口開放フラグ223dがオンされているか否かが判別され(S1205)、第1入球口開放フラグ223dがオンされていれば(S1205:Yes)、S1206の処理へ移行し、第1入球口開放フラグ223dがオフされていれば(S1205:No)、S1210の処理へ移行する。
S1206の処理では、検査基準高フラグ223aがオンされているか否かが判別され(S1206)、検査基準高フラグ223aがオンされていれば(S1206:Yes)、賞球数カウンタ223eの値が2400以上であるか否かが判別され(S1207)、検査基準高フラグ223aがオフされていれば(S1206:No)、賞球数カウンタ223eの値が1600以上であるか否かが判別される(S1208)。
S1207の処理で、賞球数カウンタ223eの値が2400以上(S1207:Yes)、又は、S1208の処理で、賞球数カウンタ223eの値が1600以上であれば(S1208:Yes)、球発射ユニット112aが1000回動作した場合に、第1上入球口64a及び第1下入球口64bに球が入賞して払い出される賞球数が極端に多くなったので、その旨を外部に報知するために賞球異常報知処理が実行される(S1214)。この賞球異常報知処理は、ランプ表示装置227により賞球異常を報知したり、第3図柄表示装置81により異常を報知させるために表示制御装置114に指示を送信する。
一方、S1207の処理で、賞球数カウンタ223eの値が2400より小さかったり(S1207:No)、S1208の処理で、賞球数カウンタ223eの値が1600より小さかったら(S1208:No)、球発射ユニット112aが1000回動作した場合に、第1上入球口64a及び第1下入球口64bに球が入賞して払い出される賞球数が極端に多くなっていないので、新たに球発射ユニット112aの動作回数と賞球数とをカウントするために、発射数カウンタ223bと賞球数カウンタ223eの値を初期値に設定して(S1209)、本処理を終了する。
S1210の処理では、検査基準高フラグ223aがオンされているか否かが判別され(S1210)、検査基準高フラグ223aがオンされていれば(S1210:Yes)、賞球数カウンタ223eの値が1200以上であるか否かが判別され(S1211)、検査基準高フラグ223aがオフされていれば(S1210:No)、賞球数カウンタ223eの値が800以上であるか否かが判別される(S1212)。
S1211の処理で、賞球数カウンタ223eの値が1200以上(S1211:Yes)、又は、S1212の処理で、賞球数カウンタ223eの値が800以上であれば(S1212:Yes)、球発射ユニット112aが1000回動作した場合に、第1上入球口64a及び第1下入球口64bに球が入賞して払い出される賞球数が極端に多くなったので、その旨を外部に報知するために賞球異常報知処理を実行して(S1214)、本処理を終了する。
一方、S1211の処理で、賞球数カウンタ223eの値が1200より小さかったり(S1211:No)、S1212の処理で、賞球数カウンタ223eの値が800より小さかったら(S1212:No)、球発射ユニット112aが1000回動作した場合に、第1上入球口64a及び第1下入球口64bに球が入賞して払い出される賞球数が極端に多くなっていないので、新たに球発射ユニット112aの動作回数と賞球数とをカウントするために、発射数カウンタ223bと賞球数カウンタ223eの値を初期値に設定して(S1213)、本処理を終了する。
ここで、本実施形態では、第1入球口開放フラグ223dがオン又はオフか、及び、検査基準高フラグ223aがオン又はオフかに基づいて、賞球数カウンタ223eに記憶される賞球数と比較する数値が異なっている。第1入球口開放フラグ223dの状態に応じて賞球数と比較する数値を異ならせるのは、第1入球口開放フラグ223dがオフされている場合は通常の遊技中となり、第1下入球口64bへの入球がなく第1上入球口64aへの入球のみとなるのに対して、第1入球口開放フラグ223dがオンされている場合は確変および時短の遊技中となり、第1上入球口64a及び第1下入球口64bの両方への入球となるので、遊技状態により賞球数が異なるからである。また、検査基準高フラグ223aの状態に応じて賞球数と比較する数値が異なるのは、ホール関係者が釘や風車を調整した場合に、第1上入球口64a及び第1下入球口64bに入球し易い調整としたか、入球しづらい調整としたかの調整具合に対応するためである。
故に、第1入球口開放フラグ223dがオフされている場合は、検査基準高フラグ223aがオンされている状態で1200個以上の球が払い出されると賞球異常報知処理が実行され、検査基準高フラグ223aがオフされている状態で800個以上の球が払い出されると賞球異常報知処理が実行される。即ち、1000個発射された球のうち、1200個以上または800個以上の球が払い出された場合に異常として報知がなされる。一方、第1入球口開放フラグ223dがオンされている場合は、検査基準高フラグ223aがオンされている状態で2400個以上の球が払い出されると賞球異常報知処理が実行され、検査基準高フラグ223aがオフされている状態で1600個以上の球が払い出されると賞球異常報知処理が実行される。よって、パチンコ機10で行われている遊技の状態や、ホールの管理者により設定された釘や風車の調整具合に応じて、賞球数カウンタ223eの値と比較される数値が異なるので、各条件に応じた入賞確率を検出することができる。
なお、第1入球口開放フラグ223dがオンされている場合には(S1205:Yes)、S1206〜S1209の処理を行わずに、入賞監視処理を終了するものとしても良い。上述したように、第1入球口開放フラグ223dがオンされている状態は、確変または時短中であり、第1下入球口64bが作動状態になりやすい状態である。そのため、第1下入球口64bへの入賞にばらつきが生じやすくなるので、そのばらつきが生じやすい状態での入賞確率の監視を行わない構成とすることで、第1上入球口64aへの入賞確率の判断の信頼性を向上することができる。また、確変または時短の遊技は、通常の遊技に比べて短い時間の遊技となるので、確変または時短中に入賞確率を監視しないとしても、入賞確率の監視の信頼性が低下することはない。
ここで、球の発射数に対して賞球数が極端に多くなる場合について説明する。球の発射数に対して賞球数が極端に多くなる場合には、例えば、不正な入賞信号を入賞可能な不正基板を主制御装置110に電気的に接続する場合や、針金などにより検出スイッチ207a,207b,208を強制的にオンさせる場合や、故意に釘や風車の傾きを変更して球が入賞し易くする場合などがある。また、その他に、パチンコ機10において球詰まりなどが発生し、その球詰まりを解消しようした際に釘や風車に接触して、不注意により釘や風車の傾きが変更され球が入賞し易くなる場合もある。この不正行為、又は、不注意により球の発射数に対して賞球の払出数が極端に多くなると、S1207,S1208,S1211,S1212の処理がYesとなり、賞球異常報知処理(S1214)により外部に異常が示唆される。ホール関係者は、パチンコ機10に賞球異常が発生していることを認識すると、遊技者による遊技を中断して、釘や風車を再調整したり、不正基板が取り付けられているかを確認するので、極端に賞球の払出数が多くなったことを早期に発見して対処することができる。
以上、説明したように、本実施形態では、音声ランプ制御装置113は、受信した球発射信号に基づいて球の発射数が発射数カウンタ223bに記憶され、受信した賞球コマンドに基づいて第1上入球口64a及び第1下入球口64bへの入球に伴う賞球数が賞球数カウンタ223eに記憶される。そして、発射数カウンタ223bに記憶される値が1000以上となった場合には、賞球数カウンタ223eに記憶される賞球数と、所定の数値(2400,1600,1200,800)とが比較され、賞球数が所定の数値以上となった場合には、賞球異常報知処理(S1212)が実行されるので、極端に賞球が多くなったことを外部に示唆することができる。よって、外部に設けられたホール監視装置などによって入賞確率を監視しないで、パチンコ機10自体で入賞確率を監視できるので、パチンコ機の入れ替えが行われる毎に、ホール管理装置の設定をパチンコ機に応じた設定に変更する作業などを省くことができる。さらに、ホール管理装置で入賞確率を監視しない場合には、遊技領域に打ち込まれてパチンコ機10外に排出された球を検出するセンサを設けなくてよいので、低コスト化を図ることもできる。
ここで、パチンコ機10により入賞確率を監視する場合に、遊技領域に打ち込まれた球を検出するセンサをパチンコ機10外に設けると、パチンコ機10とセンサとを接続するためのコネクタ(図示せず)が新たに必要となる。しかし、パチンコ機10と外部とを接続するコネクタを新たに設けることは、不正防止の観点から好ましくない。これは、パチンコ機10と外部とを接続する接点が多くなると、その分、不正基板を接続可能な接点が多くなるからである。本実施形態では、球の発射数を球発射ユニット112aの動作回数から検出しているので、センサ自体を設けずに入賞確率の監視を行うことができる。よって、低コスト化を図るだけでなく、不正防止の観点からも好ましい構造とすることができる。
また、釘や風車の傾きなどが、故意または不注意に変更されたことを、1000回の発射動作毎に監視できるので、早期に外部に賞球異常を示唆することができる。ホール関係者は、賞球異常を認識したら、第1上入球口64a及び第1下入球口64b近傍の釘や風車の調整をし直すので、入賞確率が極端に高くなり賞球が多量になされてホールに損失を与えることを防止することができる。
また、主制御装置110から送信される球発射信号及び賞球コマンドは、発射制御装置112及び払出制御装置111へ送信されるコマンドが分岐されて、音声ランプ制御装置113に入力されるので、主制御装置110の制御を大幅に変更することなく、入賞確率の監視を行うことができる。
次に、図20を参照して、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態は、発射数カウンタ223bに記憶された発射数と予め定められた数値、又は、賞球カウンタ223eに記憶された賞球数と予め定められた数値とを比較するよう構成した。これに代えて、第2の実施形態では、賞球数設定テーブル230を参照して、発射数カウンタ223bに記憶された発射数および賞球カウンタ223eに記憶された賞球数と比較される数値とを設定するよう構成した。図20は、賞球数設定テーブル230の構成を模式的に示した図である。
なお、第2の実施形態では、第1の実施形態のS1204,S1207,S1208,S1211,S1212の処理に対応した処理として、賞球数設定テーブル230の所定エリアから数値を読み出してその読み出された数値と各カウンタ223b,223eの値とを比較する処理が実行される。即ち、第2の実施形態では、各カウンタ223b,223eと比較される数値が予め定められた第1の実施形態の入賞監視処理に代えて、賞球数設定テーブル230を参照して各カウンタ223b,223eと比較される数値を変更可能な入賞監視処理が実行される。また、第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
賞球数設定テーブル230は、音声ランプ制御装置113のROM222に記憶されており、立ち上げ処理が実行される際に、RAM223の所定のエリアに書き込まれる。賞球数設定テーブル230は、3つのエリア230a〜230cに区分されている。このエリア230a〜230cは、図示しない切替スイッチによって選択可能に構成されている。例えば、切替スイッチによりエリア230bが選択された場合には、第1の実施形態と同様の所定の数値が選択され、RAM223の所定の読み出しエリアに、発射数カウンタ223bと比較される数値として1000が記憶され、賞球数カウンタ223eと比較される数値として2400,1600,1200,800がそれぞれ記憶される。第2の実施形態の入賞監視処理は、第1の実施形態のS1204,S1207,S1208,S1211,S1212の処理に対応したプログラムに、RAM223の読み出しエリアの番地が設定されており、プログラムの実行時に読み出しエリアからそれぞれの値が読み出されて、比較処理が行われる。
なお、エリア230aが選択された場合には、発射数カウンタ223bと比較される数値として500が所定の読み出しエリアに記憶され、賞球数カウンタ223eと比較される数値として1200,800,600,400がそれぞれ所定の読み出しエリアに記憶される。さらに、エリア230cが選択された場合には、発射数カウンタ223bと比較される数値として1500が所定の読み出しエリアに記憶され、賞球数カウンタ223eと比較される数値として3000,2400,1800,1200がそれぞれ所定の読み出しエリアに記憶される。
よって、ホール関係者が、釘や風車を調整して期待する入賞確率を変更した場合には、切替スイッチを操作することで、入賞監視処理により監視する入賞確率を、その釘や風車の調整具合に応じて変更することができる。
以上、説明したように、第2の実施形態では、発射数カウンタ223bに記憶される球の発射数と比較される数値、及び、賞球数カウンタ223eに記憶される賞球数と比較される数値を、切替スイッチを操作することで、入賞口の入賞確率に対応した数値に変更することができる。釘や風車の調整具合に応じて入賞確率を変更する場合に、第1の実施形態のように各カウンタ223b,223eと比較される数値が予め決められていると、変更する入賞確率の数に応じたプログラム数が必要となり、設計時の手間がかかると共にROM222への記憶量が増大してしまう。しかし、第2の実施形態によれば、賞球数設定テーブル230を参照して各カウンタ223b,223eと比較される数値を変更できるので、1のプログラムで対応することができ、設計時の手間を軽減できると共にROM222への記憶量が極端に増大することを低減できる。
なお、第2の実施形態は、図示しない切替スイッチにより読み出すエリア230a〜230cを切り替えるものとしたが、所定時間の間に発射された球の数に応じて読み出すエリア230a〜230cを切り替えるものとしても良い。図20の各発射数の括弧書きに示されるように、例えば、20分が経過するまでの間に、球の発射数が501個〜800個までの間であればエリア230aを選択し、球の発射数が801個〜1200個までの間であればエリア230bを選択し、球の発射数が1200個から2000個までの間であればエリア230cを選択する。なお、20分が経過するまでの間に、球の発射数が500個以下であれば、発射数カウンタ223b及び賞球数カウンタ223e、20分間を計測する経過時間が記憶されたタイマの値を初期値に設定し、最初から発射数、賞球数を監視するよう構成しても良い。この構成とすれば、所定時間毎の短いサイクルで入賞確率の監視を行えるので、釘や風車の傾きなどが変更されたことを早期に発見することができる。
また、入賞監視処理における分岐処理の条件毎に、所定の数値を読み出すよう構成しても良い。例えば、図18の入賞監視処理では、第1入球口開放フラグ223dがオンされており(S1205:Yes)、検査基準高フラグ223aがオンされている場合に(S1206:Yes)、エリア230bの中段左側の数値が記憶されているアドレス(図20のエリア230bのうち2400が記憶されている領域)を呼び出して、その数値と賞球数カウンタ233eに記憶されている賞球数とを比較する構成としても良い。即ち、分岐処理の条件毎に、賞球数設定テーブル230の読み出されるアドレスが異なって構成されている。
次に、図21〜図24を参照して、第3の実施形態について説明する。第1の実施形態は、球発射ユニット112aが球を発射する動作を所定回数行った場合に、第1上入球口64a又は第1下入球口64bへの入球(入賞)に伴って払い出される賞球数と予め定められた所定の数値とを比較するよう構成した。これに代えて、第3の実施の形態では、球発射ユニット112aが球を発射する動作を所定回数行った場合に、第2左入球口67a又は第2右入球口67bを通過する球が所定数以上となると、左一般入賞口63a又は右一般入賞口63bへの入賞に伴って払い出される賞球数と予め定められた所定の数値とを比較するよう構成した。
図21は、第3の実施形態の遊技盤60の正面図であり、図22は、第3の実施形態のパチンコ機10の電気的構成を示したブロック図であり、図23は、第3の実施形態のメイン処理の中で実行される入賞監視処理を示したフローチャートであり、図24は、第3の実施形態の音声ランプ制御装置113内のMPUにより実行される外部割込み処理を示したフローチャートである。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態の図18に示した入賞監視処理および図19に示した外部割込み処理に変えて、図23に示した入賞監視処理および図24に示した外部割込み処理が実行される。また、第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図21に示すように、第3の実施形態では、入球が検出されることで第2図柄を変動表示させる第2入球口が、第2左入球口67aと第2右入球口67bとで構成されており、その第2左入球口67aを通過した球が流下する流下部(領域、図21左側の領域)の下流側に左一般入賞口63aが設けられ、第2右入球口67bを通過した球が流下する流下部(領域、図21右側の領域)の下流側に右一般入賞口63bが設けられている。即ち、第2左入球口67aを通過した球は、右一般入賞口63bに入賞しにくいと共に、第2右入球口67bを通過した球は、左一般入賞口63aに入賞しにくい構成となっている。また、第3図柄表示装置81を境として、右側と左側とに遊技球が振り分けられるので、第3図柄表示装置81は、右側の流下部と左側の流下部とを仕切る仕切部の一部に含まれる。
また、第2左入球口67a又は第2右入球口67bを通過した球は、第2左入球口検出スイッチ209a(図22参照)又は第2右入球口検出スイッチ209b(図22参照)によってそれぞれ検出され、左一般入賞口63a又は右一般入賞口63bへ入賞した球は、左一般入賞口検出スイッチ208a(図22参照)又は右一般入賞口検出スイッチ208b(図22参照)によってそれぞれ検出される。
第3の実施形態では、第2入球口67a,67bが設けられたどちらか一方の領域に1000個の球が打ち込まれると、その球が打ち込まれた領域に設けられた第2左入球口67a,67bに略1/2の確率で球が通過するように、釘及び風車が調整されている。また、一般入賞口63a,63bは、1000個の球が打ち込まれると、大体5個の球が入賞する入賞確率に釘及び風車が調整されている。なお、一般入賞口63a,63bへ球が入球すると15球の賞球がなされるように構成されている。
図22に示すように、主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続され、その入出力ポート205には、第1の実施形態と同様に、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37、第2図柄表示装置82、図示しないスイッチ群やセンサ群などからなる各種スイッチ206が接続され、さらに、第2左入球口67a又は第2右入球口67bを通過した球をそれぞれ検出する第2左入球口検出スイッチ209a又は第2右入球口検出スイッチ209bや、左一般入賞口63a又は右一般入賞口63bへ入賞した球をそれぞれ検出する左一般入賞口検出スイッチ208a又は右一般入賞口検出スイッチ208bが接続されている。なお、図示を省略しているが、第1上入球口64aへの入賞を検出する第1上入球口検出スイッチ207a及び、第1下入球口64bへの入賞を検出する第1下入球口検出スイッチ207bは、その他の各種スイッチ206に含まれるものとする。
第2左入球口検出スイッチ209a又は第2右入球口検出スイッチ209bにより、第2左入球口67a又は第2右入球口67bの球の通過が検出されると、その球の通過が検出される毎に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に通過コマンドが送信される。また、左一般入賞口検出スイッチ208a又は右一般入賞口検出スイッチ208bにより、左一般入賞口63a又は右一般入賞口63bへの遊技球の入賞が検出されると、その遊技球の入賞に応じた賞球コマンドが払出制御装置111及び音声ランプ制御装置113に送信される。
音声ランプ制御装置113のMPU221に備えられたRAM223には、第1の実施形態と同様に、検査基準高フラグ223a、発射数カウンタ223b、発射間隔タイマ223cが備えられ、さらに、左通過数カウンタ223f1、右通過数カウンタ223f2、左賞球数カウンタ223g1及び右賞球数カウンタ223g2が備えられている。検査基準高フラグ223aは、電源投入時の立上げ処理において検査基準切替スイッチ228の状態に応じてオン・オフされる(S1011又はS1012)フラグであり、発射回数カウンタ223bは、主制御装置110から送信される球発射信号を受信する毎に1が加算される(S2102)カウンタであり、発射間隔タイマ223cは、球発射信号を受信してからの経過時間が記憶されており、球発射信号を受信する度に初期値に設定される(S2103)。
左通過数カウンタ223f1は、第2左入球口67aを通過した球の数を記憶するカウンタであり、主制御装置110から送信される第2左入球口67aに基づく通過コマンドを受信する毎にカウンタに1が加算される(S2106)。右通過数カウンタ223f2は、第2右入球口67bを通過した球の数を記憶するカウンタであり、主制御装置110から送信される第2右入球口67bに基づく通過コマンドを受信する毎にカウンタに1が加算される(S2107)。左賞球カウンタ223g1は、左一般入賞口63aへの入賞に伴う賞球の払出数を記憶するカウンタであり、左一般入賞口63aの入賞に伴って主制御装置110から送信される賞球コマンドを受信する毎に賞球数(例えば15)が加算される。右賞球カウンタ223g2は、右一般入賞口63bへの入賞に伴う賞球の払出数を記憶するカウンタであり、右一般入賞口63bの入賞に伴って主制御装置110から送信される賞球コマンドを受信する毎に賞球数(例えば15)が加算される。
ここで、図23及び図24を参照して、第3の実施形態の入賞監視処理(S1110)及び外部割込み処理について説明する。なお、説明の便宜上、図24の外部割込み処理を先に説明し、その後、図23の入賞監視処理を説明する。
図24に示した外部割込み処理は、主制御装置110からコマンドを受信した場合に実行される。外部割込み処理が実行されると、受信したコマンドが球発射信号であるか否かが判別される(S2101)。この球発射信号は、主制御装置110から発射制御装置112に送信される球発射信号が分岐して入力されるので、発射制御装置112に送信される球発射信号と略同一タイミングで且つ同一回数受信することができる。S2101の処理で受信したコマンドが球発射信号であれば(S2101:Yes)、発射数カウンタ223bの値に1を加算し(S2102)、その後、発射間隔タイマ223cに初期値を設定して(S2103)、本処理を終了する。
一方、S2101の処理で、受信したコマンドが球発射信号でなければ(S2101:No)、受信したコマンドが第2左入球口67a又は第2右入球口67bを通過したことを指示する通過コマンドであるか否かが判別される(S2104)。受信したコマンドが通過コマンドであれば(S2104:Yes)、その通過コマンドが第2左入球口67aを通過したことを指示するコマンドであるか否かが判別され(S2105)、第2左入球口67aを通過したことを指示するコマンドであれば(S2105:Yes)、左通過数カウンタ223f1の値に1を加算し(S2106)、通過コマンドが第2右入球口67bを通過したことを指示するコマンドであれば(S2105:No)、右通過通カウンタ223f2の値に1を加算し(S2107)、本処理を終了する。
S2104の処理で、受信したコマンドが通過コマンドでなければ(S2104:No)、左一般入賞口63a又は右一般入賞口63bへの入賞に伴う賞球コマンドか否かが判別される(S2108)。受信したコマンドが賞球コマンドであれば(S2108:Yes)、その賞球コマンドが左一般入賞口63aへの入賞に伴う賞球を指示するコマンドであるか(S2109)、又は、右一般入賞口63bへの入賞に伴う賞球を指示するコマンドであるか否かが判別される(S2110)。
受信した賞球コマンドが、左一般入賞口63aへの入賞に伴う賞球を指示するコマンドであれば(S2109:Yes)、その賞球コマンドにより指示される賞球数を左賞球カウンタ223g1の値に加算し(S2111)、本処理を終了する。一方、受信した賞球コマンドが、右一般入賞口63bへの入賞に伴う賞球を指示するものであれば(S2109:No、S2110:Yes)、その賞球コマンドにより指示される賞球数を右賞球カウンタ223g2の値に加算し(S2112)、本処理を終了する。また、受信した賞球コマンドが、左一般入賞口63a又は右一般入賞口63bへの入賞に伴う賞球を指示するものでなければ(S2109:No、S2110:No)、特に処理を実行せずに本処理を終了する。
また、S2108の処理で、受信したコマンドが賞球コマンドでなければ(S2108:No)、その他のコマンドに応じた処理が実行される(S2113)。S2113の処理では、受信したコマンドに応じて音声ランプ制御装置113で用いるコマンドであればそのコマンドに対応した処理を行い処理結果をRAM233に記憶し、表示制御装置114で用いるコマンドであればそのコマンドを表示制御装置114に送信する。
なお、図24の外部割込み処理のフローチャートには図示を省略しているが、外部割込み処理は、各コマンドを受信した場合に特定のフラグをオンしたり、カウントの値を変更する処理だけでなく、受信用のバッファ(図示せず)に記憶されたコマンドのうち、必要なデータをワークRAM233に記憶したり、不必要なデータを消去したりするその他の処理が行われている。
次に、図23を参照して、入賞監視処理(S1110)について説明する。入賞監視処理が実行されると、まず、発射間隔タイマ223cに記憶される値が30sに対応した値に達したか否かが判別される(S2001)。発射間隔タイマ223cの値が30sに対応した値に達していれば(S2001:Yes)、操作ハンドル51が操作されずに30s以上経過したことになるので、発射数カウンタ223b、各通過数カウンタ223f1,223f2と各賞球数カウンタ223g1,223g2との値に初期値(例えば0)を設定して(S2019)、本処理を終了する。よって、所定時間以上、球発射信号を受信しない場合には、発射数カウンタ223b、各通過数カウンタ223f1,223f2と各賞球数カウンタ223g1,223g2との値に初期値が設定されるので、断続的に球が発射されている状態を省き、連続して球が発射された状態で、賞球数と後述する所定の数値とを比較することができる。
一方、S2001の処理で、発射間隔タイマ223cの値が30sに対応した値に達していなければ(S2001:No)、発射数カウンタ223bの値が1000以上となったか否かが判別され(S2002)、発射数カウンタ223bの値が1000より少なければ(S2002:No)、後述する各賞球数カウンタ223g1,223g2と所定の数値とを比較する発射数に達していないので、本処理をそのまま終了し、発射数カウンタ223bの値が1000以上であれば(S2002:Yes)、S2003の処理へ移行する。
S2003の処理では、左通過数カウンタ223f1の値が500以上であるか否かが判別され(S2003)、左通過数カウンタ223f1の値が500より少なければ(S2003:No)、各賞球数カウンタ223g1,223g2に記憶される賞球数と所定の数値とを比較する通過数に達していないので、次に、右通過数カウンタ223f2の値が500以上であるか否かが判別される(S2004)。また、S2004の処理においても、右通過数カウンタ223f2の値が500より少なければ(S2004:No)、各賞球数カウンタ223g1,223g2に記憶される賞球数と所定の数値とを比較する通過数に達していないので、S2019の処理へ移行して、発射数カウンタ223b、各通過数カウンタ223f1,223f2と各賞球数カウンタ223g1,223g2との値に初期値(例えば0)を設定した後(S2019)、本処理を終了する。ここで、S2003の処理とS2004の処理は、通過数カウンタf1,f2に記憶されている値に応じて、その後に実行される処理が異なっている。即ち、通過数カウンタf1,f2と比較する所定の数値を変更することで、その後に実行される処理の割合を変更することができる。
なお、左通過数カウンタ223f1及び右通過数カウンタ223f2ともに、500より小さな値である場合は、遊技領域に打ち込まれた1000個の球が、第3図柄表示装置81の左右に振り分けられていることが考えられる。かかる場合には、各一般入賞口63a,63bの両方に万遍なく入賞するので、1の流下部に対する各入賞口の入賞確率の正確な監視が困難となる。そこで、本実施形態では、発射数カウンタ223b、各通過数カウンタ223f1,223f2と各賞球数カウンタ223g1,223g2に初期値を設定し、各カウンタを初期化しているので、各流下部における入賞確率の監視の信頼性が低下することを抑制することができる。
また、上述したように、遊技流域の左側に球が打ち込まれると、第3図柄表示装置81の左側を球が通り、略1/2の確率で第2左入球口67aを通過すると共に、遊技領域の右側に球が打ち込まれると、第3図柄表示装置81の右側を球が通り、略1/2の確率で第2右入球口67bを通過するように釘及び風車が調整されている。よって、S2003又はS2004の処理は、遊技領域の左側または右側の一方へ連続して球が打ち込まれた場合には、略1000個の球が打ち込まれた状態となる。また、各第2入球口67a,67bを通過する確率が100%に近ければ、S2003及びS2004の処理で比較する数値を1000に設定しても良いし、その通過する確率に応じて数値を設定するものとしても良い。
S2003の処理で、左通過数カウンタ223f1の値が500以上であれば(S2003:Yes)、次に、右通過数カウンタ223f2の値が250以上であるか否かが判別され(S2005)、右通過数カウンタ223f2の値が250以上であれば(S2005:Yes)、各通過数カウンタ223f1,223f2及び各賞球数カウンタ223g1,223g2に初期値を設定し(S2017)、本処理を終了する。
S2005の処理で、右通過数カウンタ223f2の値を判別するのは、例えば、遊技者が遊技領域の右側と左側とを交互に打ち込んでいた場合に、各賞球数カウンタ223g1,223g2に記憶される賞球数と所定の数値とを比較する処理を実行しないためである。遊技者は、一般的に遊技領域の左側か右側の一方に連続して球を打ち込むよう調整するが、仮に、左側と右側とを交互に打ち分けると、各一般賞球口63a,63bの両方に万遍なく入賞するため、後述する賞球数と所定の数値とを比較する処理で正確な入賞確率を判断できない可能性があるからである。そのため、第3の実施形態では、S2005の処理で右通過数カウンタ223f2の値を判別し、所定数以上の球が通過した場合には、各カウンタに初期値を設定している。なお、上述したように、一般的に遊技者は、遊技領域の左側か右側の一方に球を打ち込むように調整するので、S2006の処理と後述するS2011の処理を省いても良い。
S2005の処理で、右通過数カウンタ223f2の値が250より小さければ(S2006:No)、遊技領域の右側へ多量の球が打ち込まれていないので、右賞球数カウンタ223g2の値が150以上であるか否かが判別される(S2006)。S2006の処理で、右賞球カウンタ223g2の値が150以上であれば(S2006:Yes)、遊技領域の右側に遊技球を多量に打ち込んでいないにも関わらず、右一般入賞口63bへの入賞が多くあるので、その旨を外部に報知するために賞球異常報知処理が実行される(S2018)。この賞球異常報知処理は、ランプ表示装置227により賞球異常を報知したり、第3図柄表示装置81により異常を報知させるために表示制御装置114に指示を送信する。
一方、S2006の処理で、右賞球数カウンタ223g2の値が150より小さければ(S2006:No)、検査基準高フラグ223aがオンされているか否かが判別され(S2007)、検査基準高フラグ223aがオンされていれば(S2007:Yes)、左賞球数カウンタ223g1の値が450以上であるか否かが判別され(S2008)、検査基準高フラグ223aがオフされていれば(S2007:No)、左賞球数カウンタ223g1の値が300以上であるか否かが判別される(S2009)。
S2008の処理で、左賞球数カウンタ223g1の値が450以上(S2008:Yes)、又は、S2009の処理で、左賞球数カウンタ223g1の値が300以上であれば(S2009:Yes)、第2左入球口67aを球が500球通過する間に(球発射ユニット112aが略1000回動作する間に)、左一般入賞口63aに球が入賞して払い出される賞球数が極端に多くなったので、その旨を外部に報知するために賞球異常報知処理が実行される(S2018)。
一方、S2008の処理で、左賞球数カウンタ223g1の値が450より小さかったり(S2008:No)、S2009の処理で、左賞球数カウンタ223g1の値が300より小さかったら(S2009:No)、第2左入球口67aを球が500球通過する間に、左一般入賞口63aに球が入賞して払い出される賞球数が多くなっていないので、新たに各第2入球口67a,67bの球の通過数と各一般入賞口63a,63bへの入賞に伴う賞球数をカウントするために、発射数カウンタ223b、各通過数カウンタ223f1,223f2と各賞球数カウンタ223g1,223g2の値を初期値に設定して(S2010)、本処理を終了する。
また、S2004の処理で、右通過数カウンタ223f2の値が500以上であれば(S2004:Yes)、次に、左通過数カウンタ223f1の値が250以上であるか否かが判別され(S2011)、左通過数カウンタ223f1の値が250以上であれば(S2011:Yes)、S2005の処理と同様に、発射数カウンタ223b、各通過数カウンタ223f1,223f2及び各賞球数カウンタ223g1,223g2に初期値を設定し(S2017)、本処理を終了する。
S2011の処理で、左通過数カウンタ223f1の値が250より小さければ(S2011:No)、遊技領域の左側へ多量の球が打ち込まれていないので、左賞球カウンタ223g1の値が150以上であるか否かが判別される(S2012)。S20126の処理で、左賞球カウンタ223g1の値が150以上であれば(S2012:Yes)、遊技領域の左側に球を多量に打ち込んでいないにも関わらず、左一般入賞口63aへの入賞が多くあるので、その旨を外部に報知するために賞球異常報知処理が実行される(S2018)。
一方、S2012の処理で、左賞球数カウンタ223g1の値が150より小さければ(S2012:No)、検査基準高フラグ223aがオンされているか否かが判別され(S2013)、検査基準高フラグ223aがオンされていれば(S2013:Yes)、右賞球数カウンタ223g2の値が450以上であるか否かが判別され(S2014)、検査基準高フラグ223aがオフされていれば(S2013:No)、右賞球数カウンタ223g2の値が300以上であるか否かが判別される(S2015)。
S2014の処理で、右賞球数カウンタ223g2の値が450以上(S2014:Yes)、又は、S2015の処理で、右賞球数カウンタ223g2の値が300以上であれば(S2015:Yes)、第2右入球口67bを球が500球通過する間に(球発射ユニット112aが略1000回動作する間に)、右一般入賞口63bに球が入賞して払い出される賞球数が極端に多くなったので、その旨を外部に報知するために賞球異常報知処理が実行される(S2018)。
一方、S2014の処理で、右賞球数カウンタ223g2の値が450より小さかったり(S2014:No)、S2015の処理で、右賞球数カウンタ223g2の値が300より小さかったら(S2015:No)、第2右入球口67bを球が500球通過する間に、右一般入賞口63bに球が入賞して払い出される賞球数が多くなっていないので、新たに各第2入球口67a,67bの球の通過数と各一般入賞口63a,63bへの入賞に伴う賞球数をカウントするために、発射数カウンタ223b、各通過数カウンタ223f1,223f2と各賞球数カウンタ223g1,223g2の値を初期値に設定して(S2016)、本処理を終了する。
ここで、第3図柄表示装置31の左右の流下部を通過する球数に対して一般入賞口63a,63bの入賞に伴う賞球数が極端に多くなる場合について説明する。1の流下部を通過する球数に対して、その流下部の下流側または異なる流下部の下流側に位置する一般入賞口63a,63bの賞球数が極端に多くなる場合には、例えば、不正な入賞信号を入賞可能な不正基板を主制御装置110に電気的に接続する場合や、針金などにより検出スイッチ207a,207b,208を強制的にオンさせる場合や、故意に釘や風車の傾きを変更して球が入賞し易くする場合などがある。また、その他に、パチンコ機10において球詰まりなどが発生し、その球詰まりを解消しようした際に釘や風車に接触して、不注意により釘や風車の傾きが変更され球が入賞し易くなる場合もある。この不正行為、又は、不注意により球の発射数に対して賞球の払出数が極端に多くなると、S2008,S2009,S2014,S2015の処理がYesとなり、賞球異常報知処理(S2018)により外部に異常が示唆される。ホール関係者は、パチンコ機10に賞球異常が発生していることを認識すると、遊技者による遊技を中断して、釘や風車を再調整したり、不正基板が取り付けられているかを確認するので、1の流下部を通過する球数に対して各入賞口の賞球が極端に多くなったことを早期に発見して対処することができる。
以上、説明したように、第3の実施形態では、発射数カウンタ223bに記憶される発射数が1000以上となった場合に、左通過数カウンタ223f1又は右通過数カウンタ223f2の値が所定数以上となり(S2003:Yes又はS2004:Yes)、その所定数以上となった通過数カウンタ223f1,223f2に対応した第2入球口67a,67bが設けられた流下部(領域)とは異なる流下部に設けられた一般入賞口63a,63bの入賞に伴う賞球数が所定の数値以上となると(S2006:Yes又はS2012:Yes)、賞球異常報知処理(S2018)が実行される。よって、多量の球が打ち込まれていない流下部に設けられた一般入賞口63a,63bに多量に入賞がある状態を外部に報知することができるので、各一般入賞口検出センサ208a,208bの異常や、各一般入賞口63a,63bに球が詰まり一般入賞口検出センサ208a,208bがチャタリングしていたり、不正な入賞信号が入力されている状態を、パチンコ機10で監視することができる。
また、左通過数カウンタ223f1又は右通過数カウンタ223f2の値が所定数以上となった場合に(S2003:Yes又はS2004:Yes)、その所定数以上となった通過数カウンタ223f1,223f2に対応した第2入球口67a,67bの下流側(同じ流下部、同じ領域)に設けられた一般入賞口63a,63bの入賞に伴う賞球数が所定の数値以上となると(S2008:Yes又はS2009:Yes、S2014:Yes、S2015:Yes)、賞球異常報知処理(S2018)が実行される。よって、期待する入賞確率以上に一般入賞口63a,63bに多量に入賞がある状態を外部に報知することができるので、釘や風車の調整が誤って変更された場合や故意に変更された場合などを早期に発見することができる。
また、ホール管理装置などで流下部毎の入賞確率を監視しようとすると、球が流下する流下部を特定する信号や、各入賞口毎の入賞信号、発射された球数などに基づいて監視を行うので、ホール管理装置で監視する条件が増加し、その分、設定する項目が多くなる。パチンコ機は、機種毎に入賞口の配置位置や賞球数が異なるので、ホール管理装置で流下部毎の入賞確率を監視すると、パチンコ機が入れ替えられる毎に設定を変更する手間がかかってしまう。しかし、本実施形態によれば、1の流下部を通過する球数に対する各入賞口の入賞確率をパチンコ機10において監視できるので、ホール監視装置の設定を変更する手間を少なくすることができる。
なお、第3の実施形態では、第2入球口67a,67bの通過数から球が多く通過する流下部を特定している。第4の実施形態で説明するが、一般入賞口63a,63bの入賞確率から球が通過する流下部を仮定することもできる。しかし、一般入賞口63a,63bへの入賞比率に対して第2入球口67a,67bへの入賞確率の方が高い確率となるので、球が多く通過する流下部の特定をより正確に行うことができる。
次に、図21と図25から図28とを参照して、第4の実施形態について説明する。第3の実施形態は、第2左入球口67a又は第2右入球口67bを通過する球の数に基づいて球が流下する領域(流下部)を特定し、その球が流下する領域に設けられた各一般入賞口63a,63bへの入賞に伴って払い出される賞球数と所定の数値とを比較するように構成した。これに代えて、第4の実施形態では、球発射ユニット112aが球を発射する動作を所定回数行った場合に、各一般入賞口63a,63bに入賞した球の数に基づいて球が流下する領域(流下部)を特定(仮定)し、その球が流下する領域に設けられた各一般入賞口63a,63bへの入賞に伴って払い出される賞球数と所定の数値とを比較するよう構成した。
図25は、第4の実施形態のパチンコ機10の電気的構成を示したブロック図であり、図26は、第4の実施形態のメイン処理の中で実行される入賞監視処理を示したフローチャートであり、図27は、第4の実施形態の入賞監視処理の中で実行される流下経路(流下部または流下領域)判定処理を示したフローチャートであり、図28は、第4の実施形態の音声ランプ制御装置113内のMPUにより実行される外部割込み処理を示したフローチャートである。なお、第4の実施形態では、第3の実施形態の図23に示した入賞監視処理および図24に示した外部割込み処理に変えて、図26に示した入賞監視処理および図28に示した外部割込み処理が実行される。また、第3の実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図25のブロック図に示すように、音声ランプ制御装置113のMPU221に備えられたRAM223には、第3の実施形態と同様に、検査基準高フラグ223a、発射間隔タイマ223c及び左賞球数カウンタ223g1及び右賞球数カウンタ223g2が備えられ、さらに、左流下経路フラグ223h1と、右流下経路フラグ223h2とが備えられている。
各流下経路フラグ223h1,223h2は、球発射ユニット112aにより発射された球が、遊技領域のうちどの領域(流下部)に多く打ち込まれているかを設定するフラグであり、左一般入賞口63aへの入賞に伴う賞球数が基準となる数より多い場合に左流下経路フラグ223h1がオンされると共に(S3103)、右一般入賞口63bへの入賞に伴う賞球数が基準となる数より多い場合に右流下経路フラグ223h2がオンされる(S3105)。なお、第4の実施形態では、第3図柄表示装置81の左側に球が1000個打ち込まれた場合に、少なくとも10個の球が左一般入賞口63aへ入賞するように、釘や風車が調整されている。同様に、第3図柄表示装置81の右側に球が1000個打ち込まれた場合に、少なくとも10個の球が右一般入賞口63bへ入賞するように、釘や風車が調整されている。
ここで、図26から図28を参照して、第4の実施形態の入賞監視処理(S1110)及び外部割込み処理について説明する。なお、説明の便宜上、図28の外部割込み処理を先に説明し、その後、図26の入賞監視処理を説明する。
図28に示した外部割込み処理は、主制御装置110からコマンドを受信した場合に実行される。外部割込み処理が実行されると、受信したコマンドが球発射信号であるか否かが判別される(S3201)。この球発射信号は、主制御装置110から発射制御装置112に送信される球発射信号が分岐して入力されるので、発射制御装置112に送信される球発射信号と略同一タイミングで且つ同一回数受信することができる。S3201の処理で受信したコマンドが球発射信号であれば(S3201:Yes)、球の発射間隔を計時するために発射間隔タイマ223cに初期値を設定し(S3202)、球発射ユニット112aの動作回数をカウントするために発射数カウンタ223cの値に1を加算して(S3203)、本処理を終了する。
一方、S3201の処理で、受信したコマンドが球発射信号でなければ(S3201:No)、受信したコマンドが賞球コマンドであるか否かが判別される(S3204)。受信したコマンドが賞球コマンドであれば(S3204:Yes)、その賞球コマンドが左一般入賞口63aへの入賞に伴う賞球を指示するコマンドであるか(S3205)、又は、右一般入賞口63bへの入賞に伴う賞球を指示するコマンドであるか否かが判別される(S3206)。
受信した賞球コマンドが、左一般入賞口63aへの入賞に伴う賞球を指示するコマンドであれば(S3205:Yes)、その賞球コマンドにより指示される賞球数(例えば15)を左賞球数カウンタ223g1の値に加算し(S3207)、本処理を終了する。一方、受信した賞球コマンドが、右一般入賞口63bへの入賞に伴う賞球を指示するものであれば(S3205:No、S3206:Yes)、その賞球コマンドにより指示される賞球数(例えば15)を右賞球数カウンタ223g2の値に加算し(S3208)、本処理を終了する。また、受信した賞球コマンドが、左一般入賞口63a又は右一般入賞口63bへの入賞に伴う賞球を指示するものでなければ(S3205:No、S3206:No)、特に処理を実行せずに本処理を終了する。
また、S3204の処理で、受信したコマンドが賞球コマンドでなければ(S3204:No)、その他のコマンドに応じた処理が実行される(S3209)。S3209の処理では、受信したコマンドに応じて音声ランプ制御装置113で用いるコマンドであればそのコマンドに対応した処理を行い処理結果をRAM233に記憶し、表示制御装置114で用いるコマンドであればそのコマンドを表示制御装置114に送信する。
なお、図28の外部割込み処理のフローチャートには図示を省略しているが、外部割込み処理は、各コマンドを受信した場合に特定のフラグをオンしたり、カウントの値を変更する処理だけでなく、受信用のバッファ(図示せず)に記憶されたコマンドのうち、必要なデータをワークRAM233に記憶したり、不必要なデータを消去したりするその他の処理が行われている。
次に、図26を参照して、入賞監視処理(S1110)について説明する。入賞監視処理が実行されると、まず、発射間隔タイマ223cに記憶される値が30sに対応した値に達したか否かが判別される(S3001)。発射間隔タイマ223cの値が30sに対応した値に達していれば(S3001:Yes)、操作ハンドル51が操作されずに30s以上経過したことになるので、発射数カウンタ223cと、各賞球数カウンタ223g1,223g2と、各流下経路フラグ223h1,223h2との値に初期値(例えば0)を設定して(S3015)、本処理を終了する。よって、所定時間以上、球発射信号を受信しない場合には、発射数カウンタ223cと、各賞球数カウンタ223g1,223g2と、各流下経路フラグ223h1,223h2との値に初期値が設定されるので、断続的に球が発射されている状態を省き、連続して球が発射された状態で、賞球数と後述する所定の数値とを比較することができる。
一方、S3001の処理で、発射間隔タイマ223cの値が30sに対応した値に達していなければ(S3001:No)、流下経路判定処理が実行される(S3002)。この流下経路判定処理について、図27を参照してい説明する。
図27に示す流下経路判定処理が実行されると、発射数カウンタ223cに記憶されている値が1000以上であるか否かが判別され(S3101)、発射数カウンタ223cに記憶されている値が1000より小さければ(S3101:No)、球が打ち込まれている領域(流下部)を判定するための球数が未だ発射されていないので、特に処理を行わずに、本処理を終了する。
一方、S3101の処理で、発射数カウンタ223cに記憶されている値が1000以上であれば(S3101:Yes)、球が打ち込まれている領域を判定する球数が発射されたことになるので、まず、左賞球数カウンタ223g1に記憶されている賞球数が150以上であるか否かが判別される(S3102)。S3102の処理で、左賞球数カウンタ223g1の値が150以上であるか否かを確認しているのは、上述したように、第3図柄表示装置81の左側に1000個の球が打ち込まれた場合に、左一般入賞口63aに少なくとも10個の球が入賞して、150個以上の賞球がなされるように釘や風車が調整されているからである。
S3102の処理で、左賞球数カウンタ223g1に記憶されている値が150以上であれば(S3102:Yes)、所定数以上の球が左一般入賞口63aに入賞したことになり、第3図柄表示装置81の左側を球が流下していることになるので、左流下経路フラグ223h1をオンする(S3103)。また、S3102の処理で、左賞球数カウンタ223g1に記憶されている値が150より小さければ(S3102:No)、第3図柄表示装置81の左側を多量の球が流下していないので、S3103の処理を行わずに、S3104の処理へ移行する。
S3104の処理では、右賞球数カウンタ223g2に記憶されている賞球数が150以上であるか否かが判別される(S3104)。S3104の処理で、右賞球数カウンタ223g2に記憶されている値が150以上であれば(S3104:Yes)、所定数以上の球が右一般入賞口63bに入賞したことになり、第3図柄表示装置81の右側を球が流下していることになるので、右流下経路フラグ223h2をオンする(S3105)。また、S3104の処理で、、右賞球数カウンタ223g2に記憶されている値が1500より小さければ(S3104:No)、S3105の処理を行わずに、入賞監視処理に戻る。
ここで、一般的に、遊技者は、左側または右側の何れか一方の領域を狙って遊技を行うので、通常に遊技が行われている場合には、流下経路判定処理によって、いずれか一方の流下経路フラグ223h1,223h2がオンされる。そのため、流下経過フラグ223h1,223h2の両方のフラグがオンされた場合には、1の流下部を通過する球数に対する賞球数が多いことになるので、後述する入賞監視処理を実行せずに、直ぐに、賞球異常報知処理を実行するものとしても良い。
図26の入賞監視処理に戻って説明する。S3002の流下経路判定処理が終わると、発射数カウンタ223cに記憶されている値が1000以上であるか否かが判別され(S3003)、発射数カウンタ223cに記憶されている値が1000より小さければ、各賞球数カウンタ223g1,223g2に記憶される賞球数と所定の数値とを比較する発射数に達していないので、特に処理を行わずに、本処理を終了する。
一方、S3003の処理で、発射数カウンタ223cに記憶されている値が1000以上であれば(S3003:Yes)、各賞球数カウンタ223g1,223g2に記憶される賞球数と所定の数値とを比較するために、S3004以降の処理を実行する。ここで、S3003の処理では、左流下経路フラグ223h1が左賞球数カウンタg1に記憶されている値に基づいてオン又はオフされるフラグなので、左一般入賞口63aの入賞数に応じて、その後に実行される処理が異なる。即ち、S3102の処理で左賞球数カウンタg1と比較する所定の数値を変更することで、その後に実行される処理の割合を変更することができる。
S3004の処理では、左流下経路フラグ223h1がオンされているか否かが判別され(S3004)、左流下経路フラグ223h1がオフであれば(S3004:No)、S3005〜S3008の所定の数値と比較する処理を行わずに、S3009の処理へ移行し、左流下経路フラグ223h1がオンであれば(S3004:Yes)、右賞球カウンタ223g2の値が150以上であるか否かが判別される(S3005)。
S3005の処理で、右賞球カウンタ223g2の値が150以上であれば(S3005:Yes)、左側の流下部(第3図柄表示装置81の左側の領域)を球が流下している状態で、右側の右一般入賞口63bへ多くの球が入賞していることになるので、その旨を報知するために、賞球異常報知処理を実行する(S3014)。この賞球異常報知処理は、ランプ表示装置227により賞球異常を報知したり、第3図柄表示装置81により異常を報知させるために表示制御装置114に指示を送信する。
一方、S3005の処理で、右賞球カウンタ223g2の値が150より小さければ(S3005:No)、右一般入賞口63bへの入賞は多くないので、次に、S3006〜S3008の処理で、左一般入賞口63aへの球の入賞を確認する。まず、検査基準高フラグ223aがオンされているか否かが判別され(S3006)、検査基準高フラグ223aがオンされていれば(S3006:Yes)、左賞球数カウンタ223g1の値が450以上であるか否かが判別され(S3007)、検査基準高フラグ223aがオフされていれば(S3006:No)、左賞球数カウンタ223g1の値が300以上であるか否かが判別される(S3008)。
S3007の処理で、左賞球数カウンタ223g1の値が450以上(S3007:Yes)、又は、S3008の処理で、左賞球数カウンタ223g1の値が300以上であれば(S3008:Yes)、球発射ユニット112aが1000回動作する間に、左一般入賞口63aに球が入賞して払い出される賞球数が極端に多くなったので、その旨を外部に報知するために賞球異常報知処理が実行される(S3014)。
一方、S3007の処理で、左賞球数カウンタ223g1の値が450より小さかったり(S3007:No)、S3008の処理で、左賞球数カウンタ223g1の値が300より小さかったら(S3008:No)、球発射ユニット112aが1000回動作する間に、左一般入賞口63aに球が入賞して払い出される賞球数が多くなっていないので、次に、第3図柄表示装置81の右側に球が打ち込まれている場合の各流下部の入賞確率を検出するために、S3009の処理へ移行する。
S3009の処理では、右流下経路フラグ223h2がオンされているか否かが判別され(S3009)、左流下経路フラグ223h2がオフであれば(S3009:No)、S3010〜S3013の所定の数値と比較する処理を行わずに、S3015の処理へ移行して、次に球発射ユニット112aが1000回動作するのを監視するために、発射数カウンタ223cと、各賞球数カウンタ223g1,223g2と、各流下経路フラグ223h1,223h2との値に初期値(例えば0)を設定して(S3105)、本処理を終了する。ここで、S3009の処理では、右流下経路フラグ223h2が右賞球数カウンタg2に記憶されている値に基づいてオン又はオフされるフラグなので、右一般入賞口63bの入賞数に応じて、その後に実行される処理が異なる。即ち、S3104の処理で右賞球数カウンタg2と比較する所定の数値を変更することで、その後に実行される処理を割合を変更することができる。
S3009の処理で、右流下経路フラグ223h2がオンであれば(S3009:Yes)、左賞球カウンタ223g1の値が150以上であるか否かが判別され(S3010)、左賞球カウンタ223g1の値が150以上であれば(S3010:Yes)、右側の流下部(第3図柄表示装置81の右側の領域)を球が流下している状態で、左側の左一般入賞口63aへ多くの球が入賞していることになるので、その旨を報知するために、賞球異常報知処理を実行する(S3014)。
一方、S3009の処理で、左賞球カウンタ223g1の値が150より小さければ(S3009:No)、左一般入賞口63aへの入賞は多くないので、次に、S3011〜S3013の処理で、右一般入賞口63bへの球の入賞を確認する。まず、検査基準高フラグ223aがオンされているか否かが判別され(S3011)、検査基準高フラグ223aがオンされていれば(S3011:Yes)、右賞球数カウンタ223g2の値が450以上であるか否かが判別され(S3012)、検査基準高フラグ223aがオフされていれば(S3011:No)、右賞球数カウンタ223g2の値が300以上であるか否かが判別される(S3013)。
S3012の処理で、右賞球数カウンタ223g2の値が450以上(S3012:Yes)、又は、S3013の処理で、右賞球数カウンタ223g2の値が300以上であれば(S3013:Yes)、球発射ユニット112aが1000回動作する間に、右一般入賞口63bに球が入賞して払い出される賞球数が極端に多くなったので、その旨を外部に報知するために賞球異常報知処理が実行される(S3014)。
一方、S3012の処理で、右賞球数カウンタ223g2の値が450より小さかったり(S3012:No)、S3013の処理で、右賞球数カウンタ223g2の値が300より小さかったら(S3013:No)、球発射ユニット112aが1000回動作する間に、右一般入賞口63bに球が入賞して払い出される賞球数が多くなっていないので、新たに球発射ユニット112aが1000回動作するのを監視するために、発射数カウンタ223cと、各賞球数カウンタ223g1,223g2と、各流下経路フラグ223h1,223h2との値に初期値(例えば0)を設定して(S3105)、本処理を終了する。
即ち、第4の実施形態では、第3図柄表示装置81の左側または右側に設けられた入賞口63a,63bの配置位置と、それぞれが異なる位置に設けられた入賞口63a,63bへの入賞の個数に基づいて、球が打ち込まれている流下部を特定(仮定)し、その特定された流下部を通過する球数に対する入賞口63a,63bへの入賞確率を監視することができる。
ここで、第3図柄表示装置31の左右の流下部を通過する球数に対して一般入賞口63a,63bの入賞に伴う賞球数が極端に多くなる場合について説明する。1の流下部を通過する球数に対して、その流下部の下流側または異なる流下部の下流側に位置する一般入賞口63a,63bの賞球数が極端に多くなる場合には、例えば、不正な入賞信号を入賞可能な不正基板を主制御装置110に電気的に接続する場合や、針金などにより検出スイッチ207a,207b,208を強制的にオンさせる場合や、故意に釘や風車の傾きを変更して球が入賞し易くする場合などがある。また、その他に、パチンコ機10において球詰まりなどが発生し、その球詰まりを解消しようした際に釘や風車に接触して、不注意により釘や風車の傾きが変更され球が入賞し易くなる場合もある。この不正行為、又は、不注意により球の発射数に対して賞球の払出数が極端に多くなると、S3007,S3008,S3012,S3013の処理がYesとなり、賞球異常報知処理(S3014)により外部に異常が示唆される。ホール関係者は、パチンコ機10に賞球異常が発生していることを認識すると、遊技者による遊技を中断して、釘や風車を再調整したり、不正基板が取り付けられているかを確認するので、1の流下部を通過する球数に対して各入賞口の賞球が極端に多くなったことを早期に発見して対処することができる。
以上、説明したように、第4の実施形態では、第3図柄表示装置81の左側または右側に設けられた一般入賞口63a,63bへ入賞する球の個数に基づいて、球が打ち込まれている流下部(領域)を特定し、その流下部とは異なる流下部に設けられた一般入賞口63a,63bの入賞に伴う賞球数が所定の数値以上となると(S3005:Yes又はS3010:Yes)、賞球異常報知処理(S3014)が行われる。よって、多量の球が打ち込まれていない流下部に設けられた一般入賞口63a,63bに多量に入賞がある状態を外部に報知することができるので、パチンコ機10において、各流下部を通過した球の数に対する各一般入賞口63a,63bの入賞確率を監視することができる。
また、多量の球が打ち込まれていない流下部に設けられた一般入賞口63a,63bに多量に入賞がある場合は、各一般入賞口検出センサ208a,208bの異常や、各一般入賞口63a,63bに球が詰まり一般入賞口検出センサ208a,208bがチャタリングしていたり、不正な入賞信号が入力されているなどの弊害が考えられるが、賞球異常報知処理により外部に報知をすることができるので、上記弊害の発生を早期に発見でき、弊害が発生した状態で遊技が行われることを低減できる。
また、球が打ち込まれていると特定された流下部の下流側に設けられた一般入賞口63a,63bの入賞に伴う賞球数が所定の数値以上となると(S3007:Yes又はS3008:Yes、S3013:Yes、S3014:Yes)、賞球異常報知処理(S2018)が行われる。よって、期待する入賞確率以上に多量の球が一般入賞口63a,63bに入賞すると、その旨を外部に報知することができるので、釘や風車の調整が誤って変更された場合や故意に変更された場合などを早期に発見することができる。
また、ホール管理装置などで流下部毎の入賞確率を監視しようとすると、流下部を特定する信号や、流下部毎の入賞信号、発射された球数などに基づいて監視を行うので、ホール管理装置で監視する条件が増加し、その分、設定する項目が多くなる。パチンコ機は、機種毎に入賞口の配置位置や賞球数が異なるので、ホール管理装置で流下部毎の入賞確率を監視すると、パチンコ機が入れ替えられる毎に設定を変更する手間がかかってしまう。しかし、本実施形態によれば、各流下部毎の入賞確率をパチンコ機10において監視できるので、ホール監視装置の設定変更を少なくすることができる。
次に、図29を参照して、第5の実施形態について説明する。図29は、第5の実施形態の遊技盤60の正面図である。図29に示すように、第5の実施形態は、第3図柄表示装置81の左側および右側の一般入賞口63a,63bの上流側に、左特殊入賞口71a及び右特殊入賞口71bとがそれぞれ配設されている。この特殊入賞口71a,71bは、第1下入球球64bと同様に、所定の確率で開閉動作する電動役物を備えている。なお、第4の実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
左特殊入賞口71aは、遊技盤60の水平方向(球の流下方向と直行する方向、図29の左右方向)において、左一般入賞口63aの左上に位置している。左特殊入賞口71aの電動役物が閉じると、左一般入賞口63aへ球が入賞可能となり、電動役物が開いていると、左一般入賞口63aへ球が入賞不可となる。同様に、右特殊入賞口71bは、遊技盤60の水平方向(球の流下方向と直行する方向、図29の左右方向)において、右一般入賞口63bの右上に位置している。右特殊入賞口71bの電動役物が閉じると、左一般入賞口63bへ球が入賞可能となり、電動役物が開いていると、左一般入賞口63bへ球が入賞不可となる。
よって、第5の実施形態では、特殊入賞口71a,71bの遊技状態(電動役物の状態)に応じて、一般入賞口63a,63bへの入賞に伴う賞球数が異なるので、球が流下する経路を特定する場合の賞球数(図27のS3102とS3104の数値)と、入賞確率を検出する場合に賞球数カウンタ223g1,223g2と比較する所定の数値(図26のS3005、S3007、S3008、S3010、S3012、S3013との数値)とが定められる。従って、特殊入賞口71a,71b及び一般入賞口63a,63bの配置位置と入賞確率とから球が通過する流下部を特定し、その特定された流下部を通過する球数に対する一般入賞口63a,63bの入賞確率を監視することができる。
また、特殊入賞口71a,71bの遊技状態に応じて球が流下する経路を特定する場合の賞球数と、入賞確率を検出する場合に賞球数カウンタ223g1,223g2と比較する所定の数値とが定められるので、特定された流下部に対する一般入賞口63a,63bの入賞確率の誤差を小さくすることができる。
また、特殊入賞口71a,71bの入賞確率から球が流下する流下部を特定するよう構成しても良いし、特殊入賞口71a,71bおよび一般入賞口63a,63bの入賞確率から球が流下する流下部を特定するよう構成しても良い。即ち、流下部が異なって設けられる入賞口であれば、どの入賞口に基づいて、球が流下する経路を特定するものとしても構わない。
以上、一実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態では、主制御装置110から各コマンドが音声ランプ制御装置113に対して送信され、その音声ランプ制御装置113から表示制御装置114に対して表示の指示がなされるよう構成したが、主制御装置110から表示制御装置114に直接コマンドを送信するものとしても良い。また、表示制御装置に音声ランプ制御装置を接続して、表示制御装置から各音声の出力とランプの点灯を指示するコマンドを音声ランプ制御装置に送信するよう構成しても良い。さらに、音声ランプ制御装置と表示制御装置とを1の制御装置として構成するものとしても良い。
また、上記第1又は第2の実施形態では、第1上入球口64a又は第1下入球口64bへの入賞確率を監視するものとしたが、一般入賞口63又は特定入賞口65aの入賞確率を監視するものとしても良い。一般入賞口63は、確変または時短の遊技中か、通常の遊技中かに応じて入賞確率が変わらないので、検査基準高フラグ223aの状態に応じて比較する数値を変更するよう構成する。即ち、図18では、S1204の処理がYesであった場合に、検査基準高フラグ223aを確認し、その検査基準高フラグ223aの状態に応じて所定の数値(例えば、検査基準高フラグ223aがYesであれば200、NOであれば100)と比較する。また、特定入賞口65aは、大当たり中のみの入賞となるので、通常の遊技中に1回でも入賞があったら賞球異常報知処理(S1214)を実行するよう構成する。また、大当たり中に特定入賞口65aに入賞する球の数は、期待する数(例えばラウンド数×9球)が定められており、その期待する数より極端に多い入賞数となったり、期待する数より極端に少ない入賞数となった場合に、賞球異常報知を実行するものとしても良い。
また、第1上入球口64a、第1下入球口64b、一般入賞口63、特定入賞口65aのうち、入賞確率を監視する入賞口を切替スイッチなどにより選択する構成としても良い。この構成では、1の特定の入賞口を選択するよう構成しても良いし、複数の入賞口の組み合わせを選択するよう構成しても良いし、全ての入賞口を選択するよう構成しても良い。勿論、賞球数設定テーブルに全ての条件に応じた数値を記憶しておき、その賞球数設定テーブルを参照して、各数値を設定するものとしても良い。
また、上記実施形態では、第1上入球口64a及び第1下入球口64b、左一般入賞口63a、右一般入賞口63bへの入賞確率が極端に高くなった場合を賞球異常報知処理(S1214)を実行するものとしたが、賞球数カウンタ223e,223g1,223g2に記憶される賞球数と比較する所定の数値を小さな値とし(S1207,S1208,S1211,S1212,S2008,S2009,S2014,S2015の処理で賞球数カウンタと比較される値)、その所定の数値より賞球数カウンタ223e,223g1,223g2の値が小さい場合に賞球異常報知処理(S1214)を実行すれば、第1上入球口64a及び第1下入球口64b、左一般入賞口63a、右一般入賞口63bへの入賞確率が極端に低くなった場合を検出することもできる。よって、ホール関係者が釘や風車を調整する際に、誤って釘や風車の傾きを変更して入賞口への入賞確率が低くなった状態で、遊技者が遊技を行う場合が少なくなるので、遊技者に不利益を与えることを低減することができる。
また、上記実施形態では、球発射カウンタ223bに記憶される球の発射数が所定の数値以上であった場合に、賞球数カウンタ223eに記憶される賞球の払出数と所定の数値とを比較して、発射数に対する賞球数を判断するよう構成したが、賞球数カウンタ223eに記憶される賞球の払出数が所定の数値以上となった場合に、球発射カウンタ223bに記憶される球の発射数が所定の数値以上であるか否かを比較して、発射数に対する賞球数を判断するよう構成しても良い。この構成の場合、S1204の処理で、賞球数カウンタ223eの値を所定の数値と比較し、S1207,S1208,S1211,S1212の処理で、球発射数カウンタ223bの値と所定の数値とをそれぞれ比較し、球発射数カウンタ223bの値が所定の数値より小さかった場合に、賞球異常報知処理(S1214)が実行される。さらに、所定のタイミングで、球の発射数に対する賞球の払出数の割合を計算し、その計算結果に基づいて賞球異常報知処理を実行するよう構成しても良い。
また、上記第3の実施形態において、第2入球口67a,67bが所定の確率で開閉動作する電動役物(第1下入球口64bに付随する電動役物(図示せず)と同一)を備えるものとしても良い。この構成とすれば、開閉動作の状態に応じて、第2入球口67a,67bを球が通過する確率が異なるので、開閉動作の状態に応じて各賞球数カウンタ223g1,223g2の値と比較数する数値を変更するものとしても良い。
また、上記第3の実施形態では、第2入球口67a,67bのうち一方の通過数が所定数に達したら、一般入賞口63a,63bの両方の賞球数と所定の数値とを比較するものとしたが、どちらか一方の一般入賞口63a,63bと所定の数値とを比較するように構成しても良い。即ち、第2入球口67a,67bと同じ流下部に設けられた入賞口か、他の流下部に設けられた入賞口かの、どちらか一方のみと所定の数値とを比較するよう構成しても良い。同様に、上記第4の実施形態においても、球が流下する領域が特定されたら、一般入賞口63a,63bの両方の賞球数と所定の数値とを比較するものとしたが、どちらか一方の一般入賞口63a,63bと所定の数値とを比較するように構成しても良い。
また、上記第3又は第4の実施形態において、第2の実施形態で示した賞球数設定テーブル230を参照して、賞球カウンタ223g1,223g2に記憶される賞球数と比較される所定の数値を設定するよう構成しても良い。
また、上記第3又は第4の実施形態では、第2入球口67a,67bの下流側に一般入賞口63a,63bが設けられる構成としたが、1の流下部を通過する遊技球が入賞し易い入賞口と入賞し難い入賞口とになる配置位置であれば良いので、第2入球口67a,67bの上流側にそれぞれ入賞口が設けられる構成としても良い。
また、上記実施形態に示すように、動的表示の一種である変動表示は、第1図柄表示装置81の表示画面上で識別情報としての図柄を縦方向にスクロールさせるものに限定されず、横方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであっても良い。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、図柄と共に或いは図柄とは別に、識別情報として用いられる。
本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有するいわゆる第2種パチンコ遊技機などに実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球など他の遊技機として実施するようにしても良い。
本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施しても良い。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
以下に、本発明の遊技機および変形例を示す。遊技の制御の一部として遊技球の発射の制御を行う主制御手段と、その主制御手段から送信される前記遊技球の発射を指示する発射指示信号に基づいて前記遊技球を発射する遊技球発射装置と、その遊技球発射装置により発射された遊技球が打ち込まれる遊技領域と、その遊技領域内に設けられ前記遊技球が入賞する入賞口と、前記主制御手段から送信される前記入賞口への遊技球の入賞に伴った賞球の払い出しを指示する払出指示信号に基づいて前記賞球を払い出す賞球払出装置とを備えた遊技機において、前記遊技領域は、前記遊技球が流下する第1流下部と、その第1流下部を通過した遊技球が通過しない第2流下部と、前記遊技球発射装置により発射された遊技球を前記第1又は第2流下部とに振り分ける仕切部とを有して構成され、その第1流下部の上流側または下流側に第1入賞口が設けられると共に、前記第2流下部の上流側または下流側に第2入賞口が設けられており、前記主制御手段からの指示に基づいた制御が行われる副制御手段とを備え、前記副制御手段は、前記主制御手段から送信される発射指示信号に基づいて、前記遊技球発射装置が前記遊技球を発射する動作をした発射回数を記憶する発射回数記憶手段と、前記主制御手段から送信される前記払出指示信号のうち、前記第1入賞口への入賞に伴う第1払出指示信号によって払い出されるべき前記賞球の払出数に対応する払出情報を記憶する第1払出数記憶手段と、前記主制御手段から送信される前記払出指示信号のうち、前記第2入賞口への入賞に伴う第2払出指示信号によって払い出されるべき前記賞球の払出数に対応する払出情報を記憶する第2払出数記憶手段と、所定条件が成立した場合に、前記発射回数記憶手段に記憶される発射回数と前記第1又は第2払出数記憶手段に記憶される賞球の払出数に対応する払出情報とに基づく入賞比率情報と、所定値とを比較する比較手段と、その比較手段により前記入賞比率情報と所定値とが比較され、前記入賞比率情報の値が前記所定値より小さい場合に、所定の割合で第1の処理を実行する第1処理実行手段と、前記比較手段により前記入賞比率情報と所定値とが比較され、前記入賞比率情報の値が前記所定値より大きい場合に、所定の割合で前記第1の処理とは異なる第2の処理を実行する第2処理実行手段と、前記第1又は第2処理実行手段により前記第1又は第2の処理が実行される所定の割合を、前記第1又は第2払出数記憶手段に記憶される払出情報に基づいて変更する割合変更手段とを備えていることを特徴とする遊技機1。
遊技機1によれば、主制御手段により遊技球の発射の制御が行われ、主制御手段から送信される発射指示信号に基づいて遊技球発射装置により遊技球が遊技領域に打ち込まれる。そして、遊技領域に打ち込まれた遊技球が入賞口に入賞した場合には、主制御手段から払出指示信号が賞球払出装置に送信され、賞球払出装置により入賞に伴った賞球が払い出される。また、遊技領域は、第1流下部と第2流下部との少なくとも2つの流下部を有しており、その第1又は第2流下部への遊技球の通過は仕切部により振り分けられるので、第1流下部を通過した遊技球は第2流下部を通過しないし、第2流下部を通過した遊技球は第1流下部を通過しないように構成される。第1流下部の上流側または下流側には第1入賞口が設けられ、第2流下部の上流側または下流側には第2入賞口が設けられているので、第1流下部を通過する遊技球は第1入賞口へ入賞し易くなり、第2流下部を通過する遊技球は第2入賞口へ入賞し易くなる。また、遊技球発射装置が遊技球を発射する動作をした発射回数が発射回数記憶手段に記憶されると共に、第1又は第2入賞口への入賞に伴う賞球の払出数に対応する払出情報が第1又は第2払出数記憶手段にそれぞれ記憶される。そして、所定条件が成立すると、発射回数と払出情報とに基づく入賞比率情報と所定値とが比較手段により比較される。その比較手段により入賞比率情報と所定値とが比較された場合に、入賞比率情報の値が所定値より小さいと、所定の割合で第1の処理が第1処理時実行手段により実行され、入賞比率情報の値が所定値より大きいと、所定の割合で第2の処理が第2処理実行手段により実行される。その第1又は第2実行手段により第1又第2の処理が実行される所定の割合は、第1又は第2払出数記憶手段に記憶される払出情報に基づいて割合変更手段により変更される。即ち、入賞比率情報と所定値とを比較した場合に、第1又は第2入賞口への入賞に伴う払出数に基づく所定の割合により移行する処理が異なることとなる。第1又は第2入賞口は、第1又は第2流下部の上流側または下流側に設けられ、それぞれの流下部を通過した遊技球は対応した入賞口へ入賞し易くなっているので、発射された遊技球が多く通過した流下部を仮定することができる。よって、各流下部に遊技球が打ち込まれている場合の入賞確率を監視することができ、遊技領域のうち一部の領域を通過した遊技球数に対する入賞口の入賞確率を判断することができる。ここで、例えば、第1の処理が通常の処理であり、第2の処理が報知などにより外部に示唆する処理である場合、入賞比率情報の値が所定値より大きくなり発射回数に対する賞球の払出数が多くなると、第1又は第2払出数記憶手段に記憶される払出情報に基づく所定の割合で第2の処理が実行され外部にその旨を示唆することができる。よって、遊技球が打ち込まれた流下部を通過する遊技球数に対する入賞口の入賞確率を遊技機で監視できるので、パチンコ機の入れ替えが行われる毎に外部の管理装置の設定を変更する作業を少なくすることができる。
また、所定条件が成立した場合の第1又は第2入賞口への入賞に伴う払出数から、遊技球が通過した流下部を仮定できるので、例えば、各流下部に通過検出手段を設けて遊技球が多く通過した流下部を特定する場合に比較して、遊技球が多く通過する流下部を低コストで特定することができる。
また、遊技球発射装置が動作した回数により遊技球の発射数を判断していることから、遊技領域に打ち込まれた遊技球を検出するセンサを設けることなく入賞確率の監視を行える。ここで、遊技領域に打ち込まれた遊技球を検出するセンサを遊技機外に設けた場合には、遊技機とセンサとを接続するための接続部材が新たに必要となるが、外部と接続する接続部材は不正防止の観点から極力減らした方が好ましい。本遊技機によれば、センサ自体を設けずに入賞確率の監視を行うことができるので、低コスト化を図るだけでなく、不正防止の観点からも好ましい構造とすることができる。
また、主制御手段から送信される発射指示信号および払出指示信号は、遊技球発射装置および賞球払出装置に送信される信号である。よって、副制御手段へ送信する発射指示信号および払出指示信号を、主制御手段が新たに作成したり送信したりしなくて良いので、主制御手段の制御を変更することなく、副制御手段で入賞確率を監視することができる。
また、遊技球の発射の制御は、主制御手段で行っているので、主制御手段で行われる制御が何らかの異常により止まってしまった場合には、発射指示信号が遊技球発射装置に送信されない。例えば、遊技球の発射の制御が他の制御手段で行われる場合には、主制御手段の制御が止まっている状態で遊技球が発射されるので、入賞口に遊技球が入賞したとしても賞球の払い出しができなくなり、遊技者に損失を与えてしまう。しかし、本遊技機によれば、主制御手段の制御が止まると、発射指示信号が送信されないので、遊技球が発射されることがなく、遊技者に損失を与えることを低減することができる。
なお、比較手段により所定値と比較される入賞比率情報とは、発射回数が所定回数に達した場合の賞球の払出数、賞球の払出数が所定数に達した場合の発射回数や、計算によって求められる発射回数と賞球の払出数との比率であっても良い。
遊技機1において、前記第1処理実行手段は、前記第1入賞口における前記入賞比率情報の値と所定値とが比較される場合に、その入賞比率情報の値が前記所定値より小さいと、前記第2払出数記憶手段に記憶される払出情報に基づいた所定の割合により第1の処理が実行されると共に、前記第2入賞口における前記入賞比率情報の値と所定値とが比較される場合に、その入賞比率情報の値が前記所定値より小さいと、前記第1払出数記憶手段に記憶される払出情報に基づいた所定の割合により第1の処理が実行され、前記第2処理実行手段は、前記第2入賞口における前記入賞比率情報の値と所定値とが比較された場合に、その入賞比率情報の値が前記所定値より大きいと、前記第1払出数記憶手段に記憶される払出情報に基づいた所定の割合により第2の処理が実行されると共に、前記第1入賞口における前記入賞比率情報の値と所定値とが比較される場合に、その入賞比率情報の値が前記所定値より大きいと、前記第2払出数記憶手段に記憶される払出情報に基づいた所定の割合により第2の処理が実行されるものであることを特徴とする遊技機2。
遊技機2によれば、第1又は第2入賞口における入賞比率情報の値と所定値とが比較される場合に、その入賞比率情報の値が所定値より小さいと、第2又は第1払出数記憶手段に記憶される払出情報に基づいた所定の割合により第1の処理が第1処理実行手段により実行され、第1又は第2入賞口における入賞比率情報の値と所定値とが比較される場合に、その入賞比率情報の値が所定値より大きいと、第2又は第1払出数記憶手段に記憶される払出情報に基づいた所定の割合により第2の処理が第2処理実行手段により実行される。即ち、第1又は第2入賞口への入賞に伴う賞球の払出数に基づいて遊技球が多く通過した流下部を仮定し、その仮定された流下部に対して、異なる流下部の上流側または下流側に設けられた入賞口の入賞確率を判断することができる。よって、遊技者の操作によって遊技球が打ち込まれていない領域にある入賞口への入賞が極端に多くなったことを第2の処理によって外部に示唆する場合には、第1又は第2流下部を通過した遊技球が入賞し難い入賞口への入賞が極端に多いことを、ホール関係者に認識させることができる。ここで、第1又は第2流下部を遊技球が通過しているにも関わらず、異なる流下部の上流側または下流側に設けられた入賞口への入賞が多い場合には、その異なる流下部の上流側または下流側に設けられた入賞口の検出センサの故障や、その入賞口に遊技球が詰まったり、その入賞口への入賞(又は入賞信号の出力)が不正になされているなどの弊害が考えられるが、第2の処理により外部に示唆することができるので、ホール関係者は上記弊害の発生を早期に発見でき対処することができる。よって、上記弊害が発生した状態のまま遊技が行われることを低減できる。
遊技機1又は2において、前記第1処理実行手段は、前記第1入賞口における前記入賞比率情報の値と所定値とが比較される場合に、その入賞比率情報の値が前記所定値より小さいと、前記第1払出数記憶手段に記憶される払出情報に基づいた所定の割合により第1の処理が実行されると共に、前記第2入賞口における前記入賞比率情報の値と所定値とが比較される場合に、その入賞比率情報の値が前記所定値より小さいと、前記第2払出数記憶手段に記憶される払出情報に基づいた所定の割合により第1の処理が実行され、前記第2処理実行手段は、前記第2入賞口における前記入賞比率情報の値と所定値とが比較される場合に、その入賞比率情報の値が前記所定値より大きいと、前記第2払出数記憶手段に記憶される払出情報に基づいた所定の割合により第2の処理が実行されると共に、前記第1入賞口における前記入賞比率情報の値と所定値とが比較される場合に、その入賞比率情報の値が前記所定値より大きいと、前記第1払出数記憶手段に記憶される払出情報に基づいた所定の割合により第2の処理が実行されるものであることを特徴とする遊技機3。
遊技機3によれば、第1又は第2入賞口における入賞比率情報の値と所定値とが比較される場合に、その入賞比率情報の値が所定値より小さいと、第1又は第2払出数記憶手段に記憶される払出情報に基づいた所定の割合により第1処理実行手段により第1の処理が実行され、第1又は第2入賞口における入賞比率情報の値と所定値とが比較される場合に、その入賞比率情報の値が所定値より大きいと、第1又は第2払出数記憶手段に記憶される払出情報に基づいた所定の割合により第2の処理が第2処理実行手段により実行される。即ち、第1又は第2入賞口への入賞に伴う賞球の払出数に基づいて遊技球が多く通過した流下部を仮定し、その仮定された流下部に対して、その流下部の上流側または下流側に設けられた入賞口の入賞確率を判断することができる。よって、遊技者の操作によって遊技球が打ち込まれている領域にある入賞口への入賞が極端に多くなったことを第2の処理によって外部に示唆する場合には、第1又は第2流下部を通過した遊技球が入賞し易い入賞口への入賞が極端に多いことを、ホール関係者に認識させることができる。ここで、第1又は第2流下部を通過した遊技球が入賞し易い入賞口への入賞数が極端に多くなる場合には、故意または不注意により釘や風車の傾きが変更されて入賞確率が高くなった場合が考えられるが、第2の処理により期待する入賞確率より極端に高い入賞確率となると、外部への示唆がなされるので、ホール関係者は入賞確率が極端に高い状態を早期に発見でき対処することができる。よって、期待する入賞確率より極端に入賞確率が高い状態のまま遊技が行われることを低減でき、ホールが損失を受けることを低減することができる。
また、第2の処理により入賞確率が極端に高くなったことを外部に示唆することで、ホールが損失を受けることを低減できるが、入賞比率情報と比較する所定値を小さな値にすれば、入賞確率が極端に低くなった場合に第1の処理により外部に示唆することもできる。よって、釘や風車の傾きなどが変更されて入賞確率が極端に低くなり、遊技者に損失を与えてしまうことも低減することができる。
遊技機1から3のいずれかにおいて、前記所定条件が成立した場合に、前記第1又は第2払出数記憶手段に記憶されている払出情報の値が、その所定条件が成立した場合の前記発射回数に対応して定められた基準値より大きいと、その基準値より大きい払出情報に対応する入賞口が上流側または下流側に設けられた流下部を、前記遊技球が打ち込まれている流下部に設定する流下部設定手段を備え、前記割合変更手段により変更される前記所定の割合は、前記流下部設定手段により設定される流下部に応じて変更されることを特徴とする遊技機4。
遊技機4によれば、所定条件が成立した場合に、第1又は第2払出数記憶手段に記憶されている払出情報の値が、所定条件が成立した場合の発射回数に対応して定められた基準値より大きいと、流下部設定手段によって、基準値より大きい払出情報に対応する入賞口が上流側または下流側に設けられた流下部が、遊技球が打ち込まれている流下部に設定される。割合変更手段により変更される所定の割合は、流下部設定手段により設定される流下部に応じて変更されるので、遊技球が多く打ち込まれた流下部か否かに応じて所定の割合を変更することができる。ここで、複数の流下部に遊技球が打ち分けられていると、各入賞口への入賞が万遍なくなされるので、流下部を通過する遊技球数に対する各入賞口の入賞確率の判断が困難となり易い。しかし、払出情報と比較される基準値を大きな値に設定すれば、複数の流下部に遊技球が打ち込まれた場合と、1の流下部に多くの遊技球が打ち込まれた場合とを判断できるので、1の流下部に多くの遊技球が打ち込まれている状態で、その1の流下部の上流側または下流側に設けられた入賞口、又は、他の流下部の上流側または下流側に設けられた入賞口の入賞確率を判断でき、流下部を通過する遊技球数に対する各入賞口の入賞確率の誤差を小さくすることができる。
遊技機4において、前記第1又は第2入賞口が設けられた流下経路の上流側に設けられ、状態が変化することで、少なくとも一部の遊技球が流下する通路を変更する経路変更手段と、その経路変更手段の状態に応じて、前記流下部設定手段により流下部が設定される前記基準値を変更する基準値変更手段とを備えていることを特徴とする遊技機5。
遊技機5によれば、第1又は第2入賞口が設けられた流下部の上流側には、経路変更手段が設けられ、その経路変更手段は、状態が変化することで少なくとも一部の遊技球が流下する通路を変更することができる。そして、経路変更手段の状態に応じて、流下部設定手段により流下部を設定する場合の基準数が基準値変更手段により変更される。よって、経路変更手段が流下部の途中に設けられている場合にも、その経路変更手段の状態(動作)に応じて基準値を設定できるので、経路変更手段の状態に応じて第1又は第2の処理へ移行する条件を設定することができる。
遊技機5において、前記経路変更手段は、前記第1又は第2入賞口の上流側に位置する入賞口に付随され、前記遊技球が入賞する開口の開口面積が狭い第1状態と、その第1状態より前記開口面積が広くなる第2状態とを形成するものであり、前記主制御手段は、前記経路変更手段が前記第2状態になり難い第1遊技状態と、その第1遊技状態より前記経路変更手段が前記第2状態になり易い第2遊技状態との少なくとも2つの遊技状態を切り替えて実行する遊技状態実行手段を備え、前記副制御手段は、前記遊技状態実行手段により実行されている遊技状態に応じて、前記入賞比率情報と比較される所定値を変更する変更手段を備えていることを特徴とする遊技機6。
遊技機6によれば、第1又は第2入賞口の上流側に位置する入賞口に付随する経路変更手段は、その入賞口の開口の面積が狭い第1状態と、その第1状態より開口面積が広くなる第2状態とを形成するので、第2状態となった場合には、第1状態より多くの遊技球が入賞し易い状態となる。また、経路変更手段が第2状態になり難い第1遊技状態と、経路変更手段が第2状態になり易い第2遊技状態との少なくとも2つの遊技状態が、遊技状態実行手段により切り替えられて実行される。そして、実行されている遊技状態に応じて所定値が変更手段により変更されるので、遊技球が入賞し易い状態にあるか、入賞しづらい状態にあるかに応じて所定値を変更することができる。第2遊技状態は、経路変更手段が第2状態になりやすくなり第1又は第2入賞口への入賞が減少するので、入賞のばらつきが大きくなるが、そのばらつきを考慮して所定値を変更できるので、遊技状態に関係なく信頼性のある入賞確率の監視を行うことができる。
なお、開口面積が狭くなる第1状態は、遊技球が入賞不可となる開口面積としても良いし、低い入賞確率で入賞する開口面積とするものとしても良い。
遊技機6において、前記副制御手段は、前記所定値と、前記第1又は第2入賞口と、前記遊技状態実行手段により実行される遊技状態とのうち、少なくとも2以上をそれぞれ関連づけた関連情報を予め記憶する関連情報記憶手段と、その関連情報記憶手段から1の関連情報を選択する関連情報選択手段とを備え、その関連情報選択手段により選択された関連情報に基づいて、前記第1又は第2の処理へ移行する移行条件を設定する移行条件設定手段を備えていることを特徴とする遊技機7。
遊技機7によれば、所定数と、第1又は第2入賞口と、第1又は第2遊技状態とのうち、少なくとも2以上をそれぞれ関連づけた関連情報が関連情報記憶手段に予め記憶されており、その関連情報記憶手段から1の関連情報が関連情報選択手段に選択される。そして、関連情報選択手段により選択された関連情報に基づいて、第1又は第2の処理へ移行する移行条件が設定されるので、関連情報を選択することで、複数の条件に基づいて第1又は第2の処理への移行を変更することができる。
遊技機1から7のいずれかにおいて、前記所定条件は、前記発射回数記憶手段に記憶される発射回数が所定回数に達した場合に成立するものであり、前記副制御手段は、前記発射回数記憶手段に記憶される発射回数が所定回数に達した場合に、前記第1及び第2処理実行手段により前記第1又は第2の処理が実行されると、前記発射回数記憶手段、前記第1払出数記憶手段および前記第2払出数記憶手段に記憶されている情報を初期値に設定する第1初期値設定手段を備えていることを特徴とする遊技機8。
遊技機8によれば、発射回数記憶手段に記憶される発射回数が所定回数に達して、第1及び第2処理実行手段により第1又は第2の処理が実行されると、発射回数記憶手段、第1払出数記憶手段および第2払出数記憶手段に記憶される情報が第1初期値設定手段により初期値に設定される。よって、発射回数記憶手段に記憶される発射回数が所定回数に達する毎に、入賞確率を短いサイクルで監視することができる。従って、釘や風車などの傾きが変更され、入賞確率が極端に変更された場合を短いサイクルで監視して検出することができるという効果がある。また、遊技球の発射回数が所定回数に達する毎に入賞確率の判断を行うので、毎回同じ発射回数に対して払出数を比較することができる。よって、発射回数が毎回異なる場合と比較して、信頼性の高い監視を行うことができる。
遊技機1から7のいずれかにおいて、前記所定条件は、前記発射回数記憶手段に記憶される発射回数が初期値から変更されてから第1所定時間を経過した場合に成立するものであり、前記副制御手段は、前記発射回数記憶手段に記憶される発射回数が初期値から変更されてからの経過時間を記憶する発射時間記憶手段と、その発射時間記憶手段に記憶される経過時間が第1所定時間を経過した場合の発射回数に応じた前記所定値を設定する所定値設定手段と、前記発射時間記憶手段に記憶される経過時間が前記第1所定時間を経過してその第1所定時間が経過した場合の発射回数と前記賞球の払出数に対応する払出情報とに基づいた入賞比率情報と前記所定値設定手段により設定された所定値とが前記比較手段により比較され、前記第1又は第2処理実行手段により前記第1又は第2の処理が実行されると、前記発射回数記憶手段、前記第1払出数記憶手段および前記第2払出数記憶手段に記憶されている情報を初期値に設定する第2初期値設定手段とを備えていることを特徴とする遊技機9。
遊技機9によれば、発射時間記憶手段に記憶される経過時間が第1所定時間を経過したら、第1所定時間が経過した場合の発射回数と払出情報に基づく入賞比率情報と所定値設定手段により設定された所定値とが比較手段により比較され、その後、第1又は第2処理実行手段により第1又は第2の処理が実行される。第1又は第2の処理が処理が実行すると、発射回数記憶手段、第1払出数記憶手段および第2払出数記憶手段に記憶されている情報が第2初期値設定手段により初期値に設定される。よって、第1所定時間が経過する毎に、即ち、一定の間隔で入賞確率を監視することができる。従って、釘や風車などの傾きが変更され、入賞確率が極端に変更された場合を一定の間隔で監視して検出することができる。また、発射回数に応じた所定値を所定値設定手段により設定できるので、入賞確率の監視の信頼性が低下することを抑制することができる。
遊技機1から9のいずれかにおいて、前記副制御手段は、前記主制御手段から送信される前記発射指示信号のうち最後の発射指示信号を受信してからの経過時間を記憶する受信時間記憶手段と、その受信時間記憶手段に記憶される経過時間が第2所定時間以上となった場合に、前記発射回数記憶手段、前記第1払出数記憶手段および前記第2払出数記憶手段に記憶されている情報を初期値に設定する第3初期値設定手段とを備えていることを特徴とする遊技機10。
遊技機10によれば、最後の発射指示信号を受信してからの経過時間が受信時間記憶手段に記憶され、その受信時間記憶手段に記憶される経過時間が第2所定時間以上となると、発射回数記憶手段、第1払出数記憶手段および第2払出数記憶手段に記憶されている情報が第3初期値設定手段により初期値に設定される。即ち、遊技者が第2所定時間以上の間遊技を中断した場合など、連続して遊技球の発射が行われない場合には、発射回数記憶手段と各払出数記憶手段とに初期値が設定される。入賞確率は、発射回数に対する払出情報の値によって判断されるので、遊技球が連続で発射されている期間を監視した方が、入賞確率を少ない誤差で判断することができる。本遊技機によれば、遊技者が第2所定時間以上の間遊技を中断した場合には、発射回数記憶手段、第1払出数記憶手段および第2払出数記憶手段とに初期値が設定されるので、入賞確率を少ない誤差で判断することができる。
なお、第3初期値設定手段は、副制御手段が発射時間記憶手段を備えている場合には、発射回数記憶手段、第1払出数記憶手段および第2払出数記憶手段に記憶される情報が初期値に設定されるときに、発射時間記憶手段に記憶される情報も初期値に設定するものとしても良い。
遊技機1から10のいずれかにおいて、前記入賞比率情報と比較される前記所定値の数値を変更する所定値変更スイッチを備えていることを特徴とする遊技機11。遊技機11によれば、所定値が所定数変更スイッチにより変更されるので、釘や風車の傾きの調整具合に応じた所定値を設定することができる。
遊技機9に係る遊技機10又は11において、前記所定条件が成立する前記発射回数が達する前記所定回数の数値を変更する発射回数変更スイッチを備えていることを特徴とする遊技機12。遊技機12によれば、発射回数が達する所定回数が発射回数変更スイッチより変更されるので、比較手段による比較処理の実行間隔を調整することができる。
遊技機1から12のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機13。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機1から12のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機14。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機1から12のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機15。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
また、遊技機1から15のいずれかにおいて、副制御手段とは、発射制御装置において遊技球の発射の制御を行う発射制御手段や、払出制御装置において賞球の払い出しの制御を行う払出制御手段、遊技に伴った音声出力や表示の制御を行う表示制御手段など、遊技機内に備えられる制御手段であれば、如何なる制御手段であっても良い。
また、遊技機1から15のいずれかにおいて、第1又は第2払出数記憶手段に記憶される情報は、賞球数ではなく各入賞口への入賞回数(払出回数)を記憶するものとしても良い。この場合、比較される各所定数は、賞球数ではなく入賞回数を基準に設定される。
ここで、本実施の形態において、遊技機1の比較手段としては図26のS3005,S3007,S3008,S3010,S3013,S3012の処理が該当し、遊技機1の第2処理実行手段としては図26のS3014の処理が該当し、遊技機1の割合設定手段としては図26のS3004,S3009の処理が該当し、遊技機4の流下部設定手段としては図26のS3103,S3105の処理が該当し、遊技機8の第1初期値設定手段としては図26のS3015の処理が該当し、遊技機10の第3初期値設定手段としては図26のS3001の処理がYesの場合に移行するS3015の処理が該当し、遊技機10の変更手段としては図26のS3006,S3011の処理が該当する。