JP5460319B2 - ほぼリアルタイムでのストリームの組成および特性の予測 - Google Patents

ほぼリアルタイムでのストリームの組成および特性の予測 Download PDF

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Description

本発明の分野は、石油精製所におけるストリームの組成および性質を予測するための装置および方法である。特に、本発明は、特定のストリームの組成および性質を、オンラインで、ほぼリアルタイムで動的に更新される予測を行うための装置および方法に関する。
原油、または石油は、種々の炭化水素と、窒素、酸素、および硫黄を含有する化合物との複雑な多成分混合物である。ほとんどの原油は少量のニッケルおよびバナジウムも含有している。
特定の原油の厳密な化学組成は、その原産地に依存して大きく変動する。その結果、原油の化学的性質および物理的性質も変動する。(a)原油の性質のばらつきが大きすぎ、(b)原油の性質はほとんどの加熱炉、ボイラー、およびエンジンの規格に適合しないので、原油自体が燃料として使用されるのはまれである。原油から、より有用な燃料および他の石油系製品への加工は比較的複雑であり、および石油精製作業も大きく変動する。しかし、高い割合で、多数の共通点も存在する。第1に、典型的な精油所において、公開市場で購入した原油は、加工されるまで貯蔵タンク中で保管され混合される。従って、最初の原油供給材料は複数の異なる原油の混合物であることが多い。第2に、この供給材料は、常圧蒸留装置(常圧パイプスチルまたは「APS」とも呼ばれる)に到達するまでに加熱される。典型的なAPSタワーまたは塔は、一連のトレイ、液体サイドドロー(liquid side draw)、ポンプアラウンド、およびコンデンサーを含む。APSタワーは、大気圧で供給材料を蒸留し、供給材料を複数の留分、またはカットに分離し、各カットは、その沸点範囲が、1つの所望の生成物、たとえば、ガソリン、ナフサ、ケロシン、軽質軽油(LGO)、重質軽油(HGO)および残油に等しい。第3に、各留分、またはカットは、APSタワー中の液体サイドドローを介してストリームから取り出される。液体サイドドローを介してAPSタワーから取り出されたストリームは、最終製品として販売することもできるし或いは、他のストリームと混合したり、および/または経済的価値を高めるために更に加工したりすることもできる。たとえば、ケロシン、LGO、HGO、および残油などの高沸点APS生成物は、そのストリームを減圧パイプスチル(VPS)中で更に蒸留した後、流動接触分解(FCC)装置中で熱分解および/または接触分解を行うことによって、ガソリンなどの低沸点生成物に変換することができる。或いはまたはこれに加えて、接触改質、異性化、アルキル化、重合、水素化、および種々の他の操作、並びにそれらの組み合わせを使用して、ストリームをより高価値の生成物に品質向上させることができる。
需要と供給に基づいて、あらゆる特定の石油製品の価値は日々変化する。更に、異なる原油および中間ストリームは、それらの組成のために、異なる製品の製造により好適となる。最後に、石油精製プロセスにおいて各ストリームを連続的に処理するのに理想的となる圧力、温度、および流量は、そのストリームの組成に応じて変動する。精油所では、製造される石油製品の量および価値と、発生する製造経費との間の最適なバランスがより十分に実現されるようにするため、プロセス中の各装置の運転を最適化するためのよりよい方法が常に探し求められている。
石油化学産業においては、運転の計画、制御、および最適化、並びに製品の保証についてビジネス決定を行うために、供給材料および生成物の非常に詳細な分析(アッセイ)が使用されることが多い。これらの分析で主要なものは原油分析(crude assay)である。原油が分析される場合、原油は2つのステップで蒸留される。ASTM D2892(アニュアル・ブック・オブ・ASTM・スタンダーズ(Annual Book of ASTM Standards)、5.01−5.03巻(Volumes 5.01−5.03)参照、ペンシルバニア州フィラデルフィアの米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials,Philadelphia,Pa.))などの方法を使用して、約650°F(343℃)未満で沸騰する蒸留カットを単離することができる。この蒸留の残留物は、ASTM D5236などの方法を使用して更に蒸留することで、650°Fから約1000〜1054°F(343℃から538〜568℃)までの範囲にわたる蒸留カットと、減圧残油カットとが生成される。少なくとも、典型的な生成物または設備供給材料に対応するカットは、典型的には以下のものを含むように単離される:初留点〜68°F(20℃)における液化石油ガス(LPG);68°F〜155°F(20℃〜68.3℃)における軽質直留ナフサ(LSR);155°F〜350°F(68.3℃〜176.7℃)における重質直留ナフサ(HSR)、350°F〜500°F(176.7℃〜260℃)におけるケロシン、500°F〜650°F(260℃〜343.3℃)におけるディーゼル油、650°F〜1000°F(343.3℃〜537.8℃)における減圧軽油;および1000°F〜1054°F(537.8℃〜567.8℃)における減圧残油。各蒸留カットは次に元素特性、分子特性、物理的性質、および/または性能特性が分析される。実施される個別の分析は、カットの典型的な性質に依存する。代表的な分析は当技術分野において周知であり、特に、特許文献1において広範囲に説明されまとめられている。
原油分析データの意図する使用に依存するが、異なる機関は異なる分析方法を使用している。組成およびプロセスのモデリングの場合、数千の分子をマッピングする非常に詳細な分析を使用することができる。たとえば、ジェイコブ(Jacob)、クワン(Quann)、サンチェス(Sanchez)およびウェルズ(Wells)により記載された高詳細炭化水素分析(high detail hydrocarbon analysis)(HDHA)方法(非特許文献1)を使用することができる。
HDHAなどの方法を使用した詳細な原油分析は、数千ドルもの費用がかかり、完了までに数週間を要する。その結果、ビジネス決定、並びに運転の計画、制御、および最適化を行うために使用される分析データは、現在購入、販売、または処理されている貨物油によるものはまれであり、むしろ「代表的な」過去の貨物油の履歴データである。
より最近では、エクソン・モービル・コーポレーション(Exxon Mobil Corporation)の仮想分析技術(virtual assay technology)によって、詳細原油分析を行うための時間および費用が数時間および数百ドルまで大きく引き下げられた。仮想分析は、スペクトルデータを従来のスペクトルのライブラリおよびその他の情報と比較するものであり、特に、2003年12月9日に発行された特許文献2に記載されており、この記載内容全体が参照として本明細書に援用される。
原油分析データは、任意の所望の蒸留範囲で原油の品質を推定するために数学的に操作することができる電子データベース中に格納される。たとえば、市販の原油分析ライブラリは、ハバリー・システムズ・インコーポレーテッド(Haverly Systems Inc.)およびHPIコンサルタンツ・インコーポレーテッド(HPI Consultants Inc.)より入手可能であり、これらはどちらも、アスペンテック・インコーポレーテッド(Aspentech Inc.)のようにデータを操作するためのツールを提供している。分析データは、クルード・クオリティー・インコーポレーテッド(Crude Quality Inc.)、シェル・オイル・カンパニー(Shell Oil Company)、およびスタトイル(Statoil)によって公開されている。典型的には、性質対蒸留温度データを平滑な曲線にフィッティングし、次にその曲線を使用することで、あらゆる所望の蒸留カットの性質を予測することができる。
原油蒸留塔、混合装置、および下流プロセス装置をオンラインで最適に操作すると、大きな経済的利益を得ることができる。オンラインプロセス制御コンピューター上で稼働し、自動的に最適化結果の計算および実行を行うリアルタイム最適化(RTO)システムを使用することで、プラント運転の各段階を経済的に最適に近い状態に維持することができる。成功しているあらゆるRTOシステムの基礎となっているものは、供給材料の特性決定情報、および計算が基づくプロセスモデルである。プロセスモデルの精度は、実際のプロセスの相互作用および制約を予測するのに十分な精度である必要がある。
残念ながら、原油蒸留塔の効率的なオンラインRTOのためには、詳細分析した供給材料の特性決定値を沸点カットにまとめることが必要となる。言い換えると、約10,000種類程度鋸となる分子種が原油中に存在する。原油蒸留塔のRTOに使用されるモデルでは、これらすべての化学種を含むことはできない。その結果、大幅な単純化が行われる。これらの化学種は複数の「カット」に分類される。各カットは特定の沸点範囲を有する。たとえば、沸点が330°F(165.6℃)〜350°F(176.7℃)の間にあるあらゆる分子種は、340°F(171.1℃)と呼ばれる1つの成分にまとめることができる。これによって、原油蒸留塔RTOにおいて必要とされる化学種の数が大きく減少する。原油蒸留塔では、処理される成分の沸点が主として考慮されるため、原油蒸留塔RTOの場合には「十分な」の成分の分解にもなる。
従って、詳細分析された供給材料の特性決定値は、下流RTOの用途には利用できず、下流RTOでは、代わりに静的な供給材料基準の特性決定に依拠し、それによって現在のバルク特性および生成物の収率に調整される。言い換えると、静的な代表的供給材料は、特定の下流装置で特性決定され、次にそれがその装置へのすべての供給材料の基準として使用される。次に、下流RTOシステムは、現在測定されたバルク特性、収率、または運転条件に一致するように、必要に応じて静的な供給材料が調整される。この静的な供給材料基準の特性決定値は、最新の供給材料特性決定情報には基づいていないので、準最適の解決法および非ロバスト挙動となることが多い。このことは、硫黄などの燃料成分を管理するより厳格な環境法令および規制に適合するために、石油精製の努力すべき問題となってきている。
米国特許第6,662,166号明細書 米国特許第6,662,116号明細書
ジェイコブ(Jacob)、クワン(Quann)、サンチェス(Sanchez)およびウェルズ(Wells)、Oil and Gas Journal、1998年7月6日 クワン(Quann),R.J.、ジャッフェ(Jaffe)S.B.、構造指向一括化:複雑な炭化水素混合物の化学的性質の記述(Structure−oriented lumping:describing the chemistry of complex hydrocarbon mixtures)、I&EC Res 31:2483−2497(1992年) ペリー化学工学者ハンドブック(Perry’s Chemical Engineer’s Handbook)(第7版(7th ed.))、ペリー(Perry),R.H.およびグリーン(Green),D.W.編、マグローヒル(McGraw−Hill)(1997年) 米国石油協会(American Petroleum Institute)刊行のAPI技術データブック(API Technical Databook)第3章、第5版(1992年5月)
下流プロセスおよび混合のRTOシステムのためにより動的な最新の供給材料の特性決定を開発することが望まれている。これによって石油精製プロセスの最適化を向上させることができる。
本発明は、原油蒸留塔の下流を含めた精油所の主要ストリームの詳細な化学組成をほぼリアルタイムで予測する方法および手段を提供する。動的で最新の供給材料特性決定値を、ほぼリアルタイムで、現在のクルード・ダイエット(crude diet)の分析データベース、最新の上流石油精製装置に関するRTO情報、および種々のアナライザー入力から導出することができる。各ストリームの化学組成は、プラント全体のデータベースに格納され更新される。自動的またはオンデマンドのいずれかで組成情報からの広範囲の特性計算を確認することができる。アプリケーションによって、作業、計画、および設計を行う人員などのユーザーは、データベースに直接または間接的に(たとえばオンラインで)アクセスすることができる。次に、各ユーザーがこの情報を使用することで、特定の石油精製装置、および/または全体としてのプラントの運転が更に最適化される。多くの石油精製機能は、ストリーム組成に関する正確な詳細情報にアクセスすることで利益が得られる。このような情報は特に以下の目的で使用することができる:(a)ストリーム中の特定の化学的性質、たとえば、硫黄含有率を最適化する場合によりよい判断を行うため;(b)設備の運転環境をより正確に理解することによって、設備の健全性および信頼性をより十分に監視するため;および(c)より正確な入力を行うことでプラント全体で組成に基づくRTOの精度を向上させるため。
図面は単に例示を目的としており、本発明の範囲の限定を意図するものではない。
本発明の一実施形態の方法ステップを示している。 本発明の一実施形態において使用されるアプリケーションの例示的なアーキテクチャを示している。 典型的なAPSシステム中のストリームの流れを示している。 図3に示されるAPSシステムに対する本発明の一実施形態において使用される組成処理エンジンの成分間の相互関係を示している。
定義
以下の単語および語句は以下の意味を有する:
「アプリケーション」または「アプリケーションプログラム」は、コンピューター自体には関連しない機能を果たす1つのコンピュータープログラム、または複数のコンピュータープログラムの集合を意味する。
「一括化」(lumping)は、一般に、あるアルゴリズムを使用したアプリケーションによって、ストリーム分子集団に関するデータを実質的に減少させ(「一括化し」)、データをランプ(lump)と呼ばれるグループにグループ分けすることによって、より扱いやすい形態にする方法である。たとえば、構造指向一括化(structure oriented lumping)(SOL)は、ストリーム成分の一括化の技術分野において周知の手段の1つである。(たとえば、非特許文献2を参照することができ、この記載内容全体が参照として本明細書に援用される)。逆に、「展開」(delumping)は、通常は元の一括化アルゴリズムによって行われた演算を反転させることによって、一括化されたデータを再び拡張(「展開」)する方法である。
「プロセス装置」は、供給材料ストリームを処理して、供給材料ストリームとは異なる化学組成を有する1つ以上の生成物ストリームを発生させる原油精製におけるあらゆる装置を意味する。たとえば、プロセス装置としては、常圧蒸留装置、減圧蒸留装置、ナフサ水素化処理装置、接触改質装置、留出物水素化処理装置、流動接触分解装置、水素化分解装置、アルキル化装置、および異性化装置が挙げられる。
「プロセス監視ツール」は、予測結果を実際のプロセス装置または生成物ストリームデータと照合することなく、プロセス装置およびそれによって生成された生成物ストリーム(一般に熱力学的および/または動力学的な性質を含む)をモデル化するアプリケーションを意味する。
「プロセッサ」は、特定のアプリケーションを実行する1つの処理装置、または複数の処理装置の集合を意味する。
「リアルタイム」はオンデマンドを意味する。
「リアルタイム最適化アプリケーション」または「RTOアプリケーション」は、プロセス装置およびそれによって生成された生成物ストリーム(一般に熱力学的および/または動力学的な性質を含む)をモデル化し、予測結果を実際のプロセス装置および/または生成物ストリームの測定と照合し、ある結果を最大化しある結果を最小限にするためにプロセス装置の性能を最適化することによって、プロセス装置の最適設定値をほぼリアルタイムで決定するアプリケーションを意味する。
「シャドーモデル」は、動力学的または熱力学的な計算を行わない方法で分子成分の動きを模倣する分子記述ツール(molecular accounting tool)を意味する。
「ストリーム」は、精油所においてプロセス装置を出入りして流れるあらゆる気体、液体、または半液体を意味する。例として、「ストリーム」は、原油、並びにLPG、LSR、HSR、ケロシン、ディーゼル油、減圧軽油、減圧残油、およびそれらの前駆体を含む。
「上流」は、ストリームの流れと反対方向にあるストリーム上を意味する。逆に、「下流」は、ストリームの流れの方向にあるストリーム上を意味する。
厳密オンライン組成(ROC)法
本発明は、原油精製所におけるストリームの分子組成を動的にほぼリアルタイムで予測する方法を実施するための複数のアプリケーションの集合である。本明細書において厳密オンライン組成(ROC)法と呼ぶ方法について、図1を参照しながら以下に説明する。
図1中のステップ1は、精油所への可能性のある原油供給材料ストリームの組成、および組成単独からは計算できないストリームの物理的性質(たとえば、温度、圧力、および質量流量)に関する詳細情報を取得するステップと、続いて前記情報を原油分析データベース中に格納するステップとを含む。この情報は、直接入力することもできるし、任意の原油分析ライブラリ(たとえば、種々の原油のHDHAデータを有するエクソンモービルのコンパスデータベース(ExxonMobil’s Compass database))から引き出すこともできる。可能性のある各原油の組成および性質情報は、所定のテンプレートにより、フォーマットされ、原油分析データベース中に格納される。言い換えると、各原油は、所定のテンプレートのサブセットとして原油分析データベース中に記載される。たとえば、特定の原油が10,000成分を有するが、8,000成分のみがテンプレート中で特性決定可能である場合、原油中の10,000成分は一括化されて、テンプレート中で8,000成分がベストフィットとなるサブセットを形成する。同様に、原油が7,000成分を有する場合、ストリーム中には存在しないテンプレート中のあらゆる成分が0の値で存在する(即ち存在しない)としてサブセット中に記録され、テンプレート中の成分と一致しないストリーム中のあらゆる成分は、テンプレート中で最も近いフィットとなる成分として記録される。
理想的には、分子成分データまたは性質データを原油分析データベースから引き出すあらゆるリアルタイム最適化アプリケーション、オフラインプロセス監視ツール、シャドーモデル、および/またはバルク特性の相互関係によって、必要とされる任意およびすべてのデータを提供または誘導するために、十分な数の分子成分が十分詳細にテンプレートによって特性決定される。従って、テンプレートから、各原油中の種々の分子成分に関する多数の分類情報が得られる。たとえば、一実施形態においては、テンプレートは、その中に存在する原子(たとえば、炭素、酸素、窒素、硫黄、および種々の金属)の数および種類、並びにその中に存在する特定の分子部分(たとえば、オレフィン部分およびジオレフィン部分、芳香族結合、並びに飽和環および不飽和環)の数、種類および位置によって分子を記述している。好ましくは、テンプレートは非常に詳細であり、これは、1000を超える分子成分、より好ましくは2500を超える分子成分、更により好ましくは5000を超える分子成分を特徴付けることを意味する。
可能性のある各原油供給材料と関連がある各サブセットは、固有の識別子を使用して原油分析データベース中に格納される。従って、原油のサブセットの記述は、サブセットと関連がある固有の識別子を使用して、原油データベースから引き出すことができる。
図1中のステップ2は、特定の時間の間にプロセス装置を含む精製作業の所定の領域に流れる実際の供給材料ストリームの分子成分と組成に基づかない物理的性質とに関する詳細データを取得するステップを含む。たとえば、APS装置に送られる供給材料ストリームは、主として未使用原油および再循環ストリームである。特定の時間の間にAPS装置に到達する供給材料ストリームが未使用原油である場合、供給材料ストリームに関する詳細データは、原油のサブセットの記述に関する固有の識別子を使用してステップ1で記述された原油分析データベースから引き出される。或いは、特定の時間の間にAPS装置に送られる供給材料ストリームが再循環ストリームである場合、供給材料ストリームに関する詳細データは、再循環ストリームのサブセットの記述に関連する固有の識別子およびタイムスタンプを使用して、この方法の後のステップで投入される生成物ストリームデータベースから引き出される。いずれにせよ、供給材料ストリームに関するデータは、格納された形式、即ち前述のステップ1で記述したテンプレートのサブセットとして取得される。
図1中のステップ3は、特定の時間の間に精製作業の所定の領域において、またはそれによって生成される実際の中間および/または生成物ストリームからの性質データを取得するステップを含む。このステップは、RTOアプリケーション、研究室分析、オンライン測定、またはそれらの任意の組み合わせを使用して実施することができる。
ステップ3の一実施形態においては、RTOアプリケーションを使用することで、中間および/または生成物ストリームの性質と、場合により生成物ストリームの組成データとが得られる。たとえば、APS RTOアプリケーションは、APS装置をモデル化し、装置の予測性能とストリームの性質を含む実際の装置情報とを照合し、続いて装置の性能を最適化する。このようなRTOの出力としては、特に、照合されたプラントの測定値、中間および最終生成物ストリームの性質、並びに一括化された中間ストリームおよび最終生成物の組成を挙げることができる。
ステップ3の別の一実施形態においては、中間および/または生成物ストリームに関する性質データは、中間および/または生成物ストリームの直接測定および/または研究室分析によって得ることができる。この代替法は、プロセス装置のRTOが利用できない場合に最もよく使用される。
図1中のステップ4Aは、石油精製作業の所定の領域のモデルを実行する処理エンジンに、供給材料ストリームの組成と組成に基づかない供給材料ストリームの性質に関する詳細データを伝達するステップを含む。ROC法がAPS装置とともに使用される場合である図1において、このデータは、ステップ2で得たデータである。或いは、このデータは上流アナライザー(たとえば、FTIR−仮想分析)から得られるものであってもよい。或いは、モデル化される作業の所定の領域が、単純な分離(たとえば、APS装置)ではなく、実際の化学変換を行う反応器を含み(たとえば、FCC装置中のライザー)、反応器のRTOまたはオフラインプロセス監視ツールが生成物ストリーム組成の正確で詳細な表現を行う場合、RTOまたはオフラインプロセス監視ツールからのデータを展開し、テンプレートに翻訳して、石油精製作業のその領域中の後のステップ(たとえば、蒸留)をモデル化した処理エンジンに伝達することができる。
図1中のステップ4Bは、同じ処理エンジンに、実際の中間および/または生成物ストリームに関してステップ3で得られる、精製作業の所定の領域において、またはそれによって生成される性質データを伝達するステップを含む。
図1中のステップ5は、実際の中間および/または生成物ストリームの性質の測定値と照合される生成物ストリーム組成の詳細な予測を行うために処理エンジンを実行するステップを含む。この処理エンジンは、シャドーモデルと呼ばれる1つ以上のショートカットプログラムを含む。各シャドーモデルは、プロセス装置(たとえば、タンクモデル、ミキサーモデル、スプリッターモデル、成分スプリッターモデル、およびカットモデル)などの石油精製作業の所定の領域を、分子がどのように移動するかについて、複雑な熱力学的または動力学的な計算を行うことなく記述する分子記述ツールである。熱力学的なおよび動力学的な計算を回避することによって、好適な計算時間内(たとえば、好ましくは30分未満)で処理可能な組成パラメーターの量が飛躍的に増加する。たとえばショートカットシャドーモデルは、1000を超える、好ましくは2500を超える、より好ましくは5000を超える分子成分の詳細ストリーム特性決定を比較的短時間で処理することができる。
シャドーモデルを有する処理エンジンでは、2つの部分の処理が行われる。(a)石油精製作業の所定の領域内の各作業によって生じる組成の種々の変化を記述するために各シャドーモデルを実行することによって、生成物ストリーム組成の予測が求められ;(b)この生成物ストリーム組成の予測を、実際の中間および/または生成物ストリームの性質と照合する。処理エンジン中の第1のシャドーモデルへの入力は、前述のステップ4A中の処理エンジンに伝達された前述の供給材料ストリームに関する詳細データ(たとえば、ステップ2で得られる)である。処理エンジン中の引き続く任意のシャドーモデルの入力は、直前のシャドーモデルの出力である。処理エンジン中の最終シャドーモデルの出力は、生成物ストリーム組成の詳細な予測であり、テンプレートのサブセットとして表現される。この予測を実際の中間および/または生成物ストリームの性質と照合するために、処理エンジンは、前述のステップ3で得られ前述のステップ4Bの処理エンジンに伝達された中間および/または生成物ストリームの性質を使用する。より具体的には、予測される中間および/または生成物ストリームの性質は、予測された組成に基づき実際の中間および/または生成物ストリームの性質と比較することによって処理エンジンによって計算される。次に、予測された中間および/または生成物ストリームの性質と実際の中間および/または生成物ストリームの性質との間の差が最小限となるように、シャドーモデル中の固定モデルパラメーターが調整される。ショートカットシャドーモデル中の固定モデルパラメーターを調整することによって、実際の生成物ストリーム性質にベストフィットするように予測組成が修正される。
ステップ5の最終結果は、生成物ストリーム組成の詳細な予測であり、テンプレートのサブセットとして表現され、実際の中間および/または生成物ストリームの性質と照合される。好ましくは生成物ストリーム中の1,000以上の分子成分の存在または非存在を列挙したものであるこの予測は、APS RTOなどによって提供される高度に一括化された生成物ストリーム組成情報よりもはるかに詳細である。
図1中のステップ6は、固有のストリーム識別子およびタイムスタンプを使用して、前述のステップ5で得られた生成物ストリーム組成の予測を照合したものを、生成物ストリームの性質とともに、生成物ストリームデータベース中に格納するステップを含む。次に、このデータは、下流作業のモデル化および最適化に使用するために、固有のストリーム識別子およびタイムスタンプを使用して生成物ストリームデータベースから検索可能となる。図1中に示される生成物ストリームデータベースは、原油分析データベースからは分離している。しかし、これらのデータベースの間のこのような区別は必要ではなく、別の一実施形態においては、これらのデータベースがマージされる。
図1中のステップ7は、固有のストリーム識別子およびタイムスタンプを使用して、生成物ストリームデータベースから、生成物ストリームの組成および性質に関する情報を抽出するステップを含む。次にこの情報は、1つ以上の下流精製作業のモデル化および/または最適化に使用することができる。これに関して、上流プロセス装置(たとえば、APS装置)からの生成物ストリームは、1つ以上の下流装置の供給材料ストリームを形成したり、その形成に使用したりすることができるということを理解されたい。従って、上流プロセス装置からの特定の生成物ストリームに関する組成情報は、下流プロセス装置のモデルへの供給材料ストリーム入力の決定に有用となる。
たとえば、図1中に点線の矢印で示されるように、生成物ストリームデータベースからのストリームが、下流プロセス装置への供給材料ストリームとして直接使用される場合、データベースから得られるストリーム組成を、下流プロセス装置のRTOアプリケーション(またはオフライン処理モデル)の入力として使用することができる。この例では、テンプレートサブセットとして表現されるストリーム組成は、一般に翻訳(たとえば、一括化)され、特定のRTOアプリケーションによって使用されるバイナリフォーマットに変換される。
或いはまたはこれに加えて、上流プロセス装置から下流プロセス装置に移動するときに、生成物ストリームデータベース中に格納されたストリームの組成を変更する一連の石油精製作業が存在する場合には、前述の方法と同じ方法で第2の処理エンジンがシャドーモデルを使用して、下流プロセス装置につながる各作業をモデル化することができる。第2の処理エンジン中の第1のシャドーモデルへの入力は、生成物データベースで得られた生成物ストリームの組成である。次に、第2の処理エンジン中の最終シャドーモデルからの出力は、プロセス装置への供給材料ストリームの組成であり、これは下流プロセス装置をモデル化するRTOアプリケーション(またはオフライン処理モデル)の入力を得るために使用することができる。
このようにより動的な供給材料の参照に基づいたRTOアプリケーションからの出力は、次に、生成物ストリームデータベースを更新するために使用することができる。或いは、RTOアプリケーションからの出力は、FCCプロセス装置中のアナライザーなどの反応器に関連して既述しているように、引き続く精製ステップ(たとえば蒸留)を模倣するためにシャドーモデルを利用する別の処理エンジンへの入力として使用することができる。
前述の本発明の方法は、あらゆる数の下流石油精製作業で繰り返すことができる。本発明の方法において使用されるプロセス装置の性質、または石油精製作業の任意の特定の領域は特に限定されない。好適なプロセス装置としては、たとえば、追加のAPS装置、減圧蒸留装置、ナフサ水素化処理装置、接触改質装置、留出物水素化処理装置、流動接触分解装置、水素化分解装置、アルキル化装置、および異性化装置が挙げられる。次に、各生成物ストリームの組成の予測を照合したものは、更に下流の作業のモデル化に使用される生成物データベースの更新に使用される。
本発明のROC法は、石油精製作業のモデルのためのよりよい組成データを提供する。本発明のROC法は、各プロセス装置を出入りする供給材料ストリームおよび生成物ストリームの分子組成に基づいてプラント全体の性能を最適化するプラント全体のRTOを使用して、精油所における複数の装置をリアルタイムで最適化するための支援アーキテクチャも提供する。
本明細書に記載されるROC法ステップのそれぞれは自動的にまたはオンデマンドで実施することができる。言い換えると、各ステップは、人間が介入することなくアプリケーションまたは複数のアプリケーションの集合によって実施することができるし、或いは、人間のオペレーターの命令により、更に人間が介在する必要はなく、アプリケーションまたは複数のアプリケーションの集合によって実施することもできる。
ROC法をより頻繁に実施することで、その方法によって得られる情報はリアルタイム情報により近づく。ROC法を実施できる頻度に関する原理上の制限は、ROC法中で使用されるオンラインアナライザーおよび/またはRTOが実施される頻度である。たとえば、ROC法が1時間に1回実施されるRTOを使用する場合、ROC法も1時間に1回実施することができる。しかし、RTOが2時間ごとに1回または半時間ごとに1回実施される場合、ROC法を実施できる頻度は、それぞれ2倍または半分となる。ROC法は、好ましくは4時間ごとに少なくとも1回実施され、好ましくは2時間ごとに少なくとも1回、より好ましくは1時間ごとに少なくとも1回、理想的には半時間ごとに少なくとも1回実施される。必要な入力が利用可能となった後、ROC法自体を実施するために要する時間は、1つのプロセス装置、または精油所全体の範囲を含むことができるショートカットシャドーモデルの照合の場合の複雑さに依存する。最も複雑な場合、これは1時間未満、好ましくは30分未満、理想的には10〜20分で実行すべきである。
厳密オンライン組成(ROC)システム
原油蒸留塔から下流のものも含めた精油所の主要ストリームの詳細な化学組成をほぼリアルタイムで予測する方法を実施する複数のアプリケーションの集合を、本明細書では厳密オンライン組成(ROC)システムと呼ぶ。このシステムは、本明細書に開示されるアプリケーションの説明的アーキテクチャを提供する図2を必要に応じて参照しながら本明細書において説明する。
図2に示されるように、ROCシステム2000の第1の構成要素は、本明細書においてROC dB210と呼ばれるデータベースであり、これは主要な各精油所ストリームの情報を格納しており、未使用原油の供給材料ストリームの情報は別のデータベースに格納することができるが、そうする必要はない。ROC dB210は、各ストリームの詳細な組成、並びに温度、圧力、質量流量、および組成単独からは正確に計算できない種々のバルクストリーム特性を含む読み書きデータベースである。好ましくは、この情報は、原則的に動的に更新されながら格納される。ストリームデータは、各ストリームに関連する固有のストリーム識別子およびタイムスタンプを使用してデータベースから検索することができる。
ROC dB210中に格納される詳細組成データは、規定のテンプレート(本明細書においてROCスーパーセットテンプレートと呼ばれる)により格納され、このテンプレートは希望する大きさであってよいが、ROC dB210から情報を引き出す任意のアプリケーションによって必要とされる各構成要素を有するのに十分詳細である必要がある。分子データは、表現される分子に関する情報、たとえば、原子の数および種類(炭素、酸素、窒素、硫黄、および金属の原子の数など)、並びに分子部分の数、種類、および位置(オレフィン部分、ジオレフィン部分、芳香族結合、飽和環、および不飽和環の数および位置など)に関する十分に分類された情報が各項目によって得られるような方法で格納される。好ましくは、ROCスーパーセットテンプレートは、1000を超える成分、より好ましくは2500を超える成分、更により好ましくは5000を超える成分を特徴付ける。
各ストリームに関して格納される情報は、ROCスーパーセットテンプレートのサブセット(本明細書においてROCスーパーセット表現と呼ばれる)として格納される。たとえば、ROCスーパーセットテンプレートは、10,000成分を使用して全体的な分析として記述することができる。この場合、ストリームが、たとえばナフサカットであれば、そのストリームは200成分のみを有することができる。従って、そのストリームのROCスーパーセット表現は、ストリーム中に存在するROCスーパーセットテンプレート中の200成分に関する正の値と、ストリーム中に存在しないROCスーパーセットテンプレート中の9,800成分に関する0の値との一覧となる。
履歴情報が投入される場合はマイクロソフト・アクセス(Microsoft Access)およびオラクル(Oracle)などの市販のデータベースをROC dB210として使用することができる。しかし、企業内でより効率的なデータベースを作成することもできる。
図2に示されるように、ROCシステム2000の第2の構成要素は、本明細書においてROC性質計算器220と呼ばれるアプリケーションであり、ストリーム分子組成を取得し、硫黄の重量分率(「wtfrac硫黄」)などのバルクストリーム特性値を返還する。シムサイ(SimSci)のロメオ(ROMeo)またはプロ/II(PRO/II)、並びにアスペンテック(AspenTech)のアスペンプラス(AspenPlus)などの市販のソフトウェアによってこの機能性を得ることができる。当業者によって理解されているように、ROC性質計算器220へのインターフェースは、計算を行うために選択される特定の市販のまたは企業内のパッケージに依存するため、大きく変化しうる。言い換えると、前述の市販のソフトウェアまたはカスタムソフトウェアのいずれかを使用して密度または粘度または曇点などの性質を計算することができるが、そのソフトウェアに必要な入力は、計算を行うコンピュータープログラムによって使用される特定の式に依存して変化する。
図2に示されるように、ROCシステム2000の第3の構成要素は、固有のストリーム識別子およびタイムスタンプを提供することによって特定のストリームに関する情報をROC dB210およびROC性質計算器220に問い合わせることができる、ネットワーク225上の第1のネットワークサービスプログラミングインターフェースであり、本明細書においてクエリインターフェース230と呼ばれる。クエリインターフェース230のユーザーとしては、個人205A、および後述のROCエンジン270中のプログラムなどの他のプログラム205Bを挙げることができる。クエリインターフェース230は、別のインターフェース(図2中に示されている)とともに一体化されていてもよいし、独立したインターフェース(図示せず)として存在してもよい。
クエリインターフェース230を介して行うことができる第1の機能は、単純に、ROC dB210中に格納された詳細な組成および他のストリームデータの検索である。検索された情報は、たとえば、プラントヒストリアンによって、およびプロセス装置作業をモデル化するRTOなどのアプリケーションによって使用することができる。
クエリインターフェース230を介して行うことができる第2の機能は、ROC性質計算器220を介して、ROC dB210中に格納された詳細な組成および他のストリームデータから、硫黄の重量パーセント値などのバルクストリーム特性の計算を要求することである。たとえば、ユーザーは、特定の時間(たとえば、3か月)にわたる特定のストリーム(たとえば改質油ストリーム)のオクタンなどのバルクストリーム特性を要求することができる。この目的を達成するために、クエリインターフェース230は、最初に特定の時間にわたるストリーム組成をROC dB210から取得し、次に、そのストリーム組成の要求された性質をROC性質計算器220から取得する。
クエリインターフェース230を介して行うことができる第3の機能は、ROC dB210中の詳細ストリーム組成を一括化された成分スレートに変換することである。たとえば、ユーザーは、ROC dB210中のストリーム組成を一括化された成分スレートに変換して、FCCプロセスモデルを実施することができる。一般に、FCCプロセスモデルを実施するためには、数千の成分を含むROC dB210中の詳細な組成を、FCCモデルに必要なより縮小され一括化された成分スレートに対してマッピングする必要がある。クエリインターフェース230によってこの機能が得られる。一括化された成分スレートのそれぞれについて別々にインターフェースコールが書き込まれ、詳細な組成を一括化された成分スレートに対するマッピングのためのロジックは、縮小され一括化された成分スレートを使用するモデルの開発者によって提供される。
図2に示されるように、ROCシステム2000の第4の構成要素は、第2のネットワークサービスプログラミングインターフェースであり、本明細書においては拡張インターフェース240と呼ばれ、これによって、ユーザーはネットワーク225上で、一括化された成分スレート(即ち、一括化されたストリーム組成)を拡張または展開して、ストリームのROCスーパーセット表現を得ることができる。拡張インターフェース240のユーザーは、個人205Aであってもよいし、後述のROCエンジン270中のプログラムなどのプログラム205Bであってもよい。拡張インターフェース240は、別のインターフェース(図2中に示されている)とともに一体化されていてもよいし、独立したインターフェース(図示せず)として存在してもよい。
たとえば、供給材料ストリームデータをROC dB210から引き出すが、ROCスーパーセットテンプレートよりは少ない成分の特性決定を行うリアルタイム最適化アプリケーションなどのモデル化アプリケーションから成分スレートが発生する場合に、拡張インターフェース240が必要となる。言い換えると、供給材料ストリームデータが、クエリインターフェース230などによって一括化される場合、得られるあらゆる生成物ストリームデータも一括化され、生成物ストリームデータをROC dB210に入力するためには、生成物ストリームデータを展開する必要がある。たとえば、成分は、10,000成分を特徴付けるROC dB210から引き出された1,000成分に基づいてFCCリアルタイム最適化モデルのために一括化する必要がある。従って、FCCモデルから得られた生成物ストリームに関する分子成分データをROC dB210に入力するためには、FCCモデル自体が好適な展開能力を有さないと仮定して、FCCモデルからの生成物ストリーム情報を展開する必要がある。
モデル生成物ストリームをより詳細な組成に拡張するために、一括化された成分スレートのそれぞれについて別々にインターフェースコールを書き込む必要がある。生成物ストリームに関して一括化された成分スレートを拡張するためのロジックは、供給材料に適用される反応化学に依存する。たとえば、水素化処理およびFCCの両方のモデルは、一括化された成分スレートを利用するように書き込まれ、そのように市販されているが、モデル化されるプロセス装置中の反応化学が異なるために、これらのモデルから得られた生成物スレートを拡張するために使用される方法は異なる。より具体的には、水素化処理モデルの場合、プロセス装置からの「典型的な」生成物ストリームの詳細な分析を、ROCスーパーセットテンプレートにより表現したものは、一括化された生成物成分スレートを生成物ストリームのROCスーパーセット表現に拡張するために使用される展開割り当て(delumping ration)を形成するために使用される。しかし、FCCは重質成分を軽質成分に分解し、生成物ストリーム中のあらゆる一括化された重質成分は、主として変換されていない供給材料であるので、軽質成分の一括化はほとんど必要としないFCCモデルが存在する。従って、このような場合、生成物組成の拡張に使用される展開比は、供給材料の詳細ROCスーパーセット表現から直接計算することができる。好ましくは、生成物ストリームを展開する方法では、静的な比(この機能を実施するためにはこれが最も簡単な方法である)と、供給材料ストリームを一括するために使用されるアルゴリズム中のロジックを基本的に反転させたものとが使用される。
図2に示されるように、ROCシステム2000の第5の構成要素は、第3のネットワークサービスプログラミングインターフェースであり、本明細書においてはマッピングインターフェース250と呼ばれ、これによってユーザーはネットワーク225上で、任意の詳細な組成をROCスーパーセットテンプレートにマッピングすることができる。マッピングインターフェース250は、個人205Aであってもよいし、後述のROCエンジン270中のプログラムなどのプログラム205Bであってもよい。マッピングインターフェース250は、別のインターフェース(図2中に示されている)とともに一体化されていてもよいし、独立したインターフェース(図示せず)として存在してもよい。
マッピングインターフェース250は、全体的に新しい原油供給材料が精油所に導入される場合に最も多く必要となる。たとえば、任意の原油分析が10,100成分を有し、ROCスーパーセットテンプレートが10,000成分のみをマッピングする場合、マッピングインターフェース250中のアプリケーションプログラムは、ROCスーパーセットテンプレートと一致させるために分析中の余分の成分を一括化する。言い換えると、10,000成分のROCスーパーセットテンプレート中と一致しない10,100成分中のいずれの成分も、10,000成分のROCスーパーセットテンプレート内でベストフィットとなるように一致する必要がある。明らかに、ROCスーパーセットテンプレートが大きいほど、この作業の必要性は少なくなる。しかし、エクソン・モービル・コーポレーション(Exxon Mobil Corporation)などの一部の企業は、非常に詳細な分析を行っており、このことは、ROCスーパーセットテンプレートが原油分析ほど詳細となることはまれであることを意味し、その理由は、ROCスーパーセットテンプレートは、ROC dB210から情報を引き出すモデルの必要条件と同程度の詳細さのみが必要となるからである。好ましくは、マッピングインターフェース250では「構造指向一括化」と呼ばれる方法が使用される(たとえば、非特許文献2を参照することができ、この記載内容全体が参照として本明細書に援用される)。
図2に示されるように、ROCシステム2000の第6の構成要素は、第4のネットワークサービスプログラミングインターフェースであり、本明細書においては投入インターフェース260と呼ばれ、これによってユーザーは、ネットワーク225上で、固有の生成物ストリーム識別子およびタイムスタンプを使用して、ROC dB210に詳細生成物ストリーム組成データおよびその他のデータを投入することができる。好ましくは、投入インターフェース260はROCエンジン270(後述する)によってのみ呼び出される。投入インターフェース260は、別のインターフェース(図示せず)とともに一体化されていてもよいし、独立したインターフェース(図2中に示されている)として存在してもよい。
たとえば、ROC法、RTO、またはシャドーモデルをプロセス装置に使用する場合、クエリインターフェース230を使用して、固有のストリーム識別子およびタイムスタンプを使用することで供給材料ストリームの組成に関する情報を、1時間に1回ROC dB210から引き出すことができる。次に、RTOまたはシャドーモデルによって、精油所からの生成物ストリームの予測が行われ、これはROC法により、別のモデルおよび実際の生成物ストリームの性質に関するデータと照合される。投入インターフェース260を使用し、固有のストリーム識別子およびタイムスタンプを使用することで、この照合された生成物ストリームデータがROC dB210中に投入するために使用される。これによってROC dB210は、プロセス装置から流れる生成物ストリームの組成に関する動的に更新された情報を有する。
図2に示されるように、ROCシステム2000の第7の構成要素は、本明細書においてROCエンジン270と呼ばれるアプリケーションであり、これは自動的に、主要精油所ストリームの詳細ストリーム組成およびバルク特性を計算し、投入インターフェース260を使用してROC dB210の更新を行う。ROCエンジン270については、この文書の次の項目でより詳細に説明する。
厳密オンライン組成(ROC)エンジン
一般的なROCエンジン
ROCエンジン270は、一般に、1つ以上の分子記述ツールを含む。ROCエンジン270は、入力ストリームの組成および性質を、精油所の原油追跡システム(たとえば、アスペンテック(AspenTech)のオリオン(ORION))、オンラインアナライザー、研究室分析、および他の監視ツールから受け取り、次にストリームの性質をそれ自身の内部モデルの組成の予測と照合する。理想的には、ROCエンジン270は、現在の原油配合表によって得られる詳細分子組成を混合したものをモデル化し、測定した精油所ストリームの性質またはオンラインRTOからのストリームの性質のいずれかに最もよく一致するような方法で、ストリームおよびストリーム成分の混合、分離、および分留による装置作業を追跡する。ROCエンジン270は市販のソフトウェアを使用して構築されるので、オンラインRTO、研究室、およびオンライン測定の間の連絡が種々の手段を介して可能であり、最も一般的であるのがハネウェル(Honeywell)のPhDまたはオラクル(Oracle)dBなどの商用データベースである。照合された生成物ストリーム組成は、次に、プロセス装置の下流で行われる処理の分子成分モデルにおける使用などの他の目的に使用することができる。
ROCエンジン270は、シムサイ(SimSci)のロメオ(ROMeo)またはアスペンテック(AspenTech)のアスペンプラス(AspenPlus)などの市販のプラットフォーム上に構築される。ROCエンジン270は、プロセス装置をモデル化するプログラムを有するか、それと通信しており、このプログラムは、プロセス装置のRTO、他のROCエンジン、プロセス健全性監視ツール、履歴プラント測定および研究室分析のデータベース、またはそれらの組み合わせであってよい。ROCエンジン270は、一般に、ストリームの合流、ストリームの分割、および成分の分割などの関連のある上流処理をモデル化し、市販のプラットフォームによって提供される基本的なソースモデル、ミキサーモデル、およびスプリッターモデルと交換されるカスタムモデル(後述する)も含む。
ROCエンジン270のすべての区画で、ROC性質計算器220によって行われる各スレートおよびバルク特性の相関のROCスーパーセット表現が利用される。ROCスーパーセットテンプレート中に望ましい成分数では、シムサイ(SimSci)のロメオ(ROMeo)またはアスペンテック(AspenTech)のアスペンプラス(AspenPlus)などのプラットフォーム中で使用される典型的な「ストリームモデル」構造体は使用されない。言い換えると、典型的な「ストリームモデル」プラットフォームでは、100成分または1000成分を有する多数のストリームの場合には解くことができない熱力学的計算が必要となる。対照的に、ROCエンジン270中のモデルは、熱力学的計算が不要な分子記述ツールである。この単純化された構造体を利用することで、カスタムモデルは、対応する熱力学方程式を使用することなく、市販のプラットフォームの基本的なソースモデル、ミキサーモデル、およびスプリッターモデルと類似の機能を果たすように構築される。
ROCエンジンアプリケーションは、RTOシステムのサイクルの正常終了などの事象に基づいて自動的に実行されるように起動することができる。この機能は市販のRTOプラットフォームの一部にあり、それによってROCエンジンが1日に複数回実行されるように設定することで、ストリーム組成およびバルク特性の最も新しい評価をROC dBに自動的に投入することができる。
明らかなように、各プロセス装置またはプロセス装置のグループに関するROCエンジン270の厳密な性質は、モデル化されるプロセス装置または複数の装置の厳密な正確に依存して変動する。従って、更なる説明の目的で、すべての精油所で共通のプロセス装置である典型的なAPS装置に関するROCエンジン270について以下に説明する。
説明的なAPS ROCエンジン
図3は、典型的なAPSシステム3000を示している。図3中、3つのタンク、即ちタンク301、タンク302、およびタンク303は、個別のまたは混合された供給材料ストリームをAPSタワー310に供給する。次にAPSタワー310は、供給材料ストリームを、燃料ガス320、ナフサ330、ケロシン/ジェット燃料340、軽質軽油350、および残油360に分留する。
図4は、図3中のAPSタワー310に到達およびこれを通過するストリームの詳細な組成を追跡するために使用されるAPS ROCエンジン4000中の構成要素間の相互関係を示している。APS ROCエンジン4000は多数のモジュールを含んでいる。これらおよびその他のモジュールについて以下に説明する。
原油分析組成および性質のファイル
典型的なAPS ROCエンジン4000中の第1のモジュールは、ROCスーパーセットテンプレートにマッピングされた詳細な原油分析組成(図4には示していない)を含有するバイナリファイルの集合、およびROC性質計算器20を使用して組成から計算することができない原油分析バルク特性(たとえば、アスファルテンの重量分率)を含有するバイナリファイルの集合である。これらのバイナリファイルは、各原油分析の固有の識別子を使用して作成することができ、それによってファイルから効率的に分析データを検索することができる。原油分析組成を含有する各バイナリファイルは、本明細書においてROC分析ファイルと呼ぶ。原油分析バルク特性を含有する各バイナリファイルは、本明細書においてROCバルク特性ファイルと呼ぶ。従来の原油分析ライブラリをこの方法でフォーマットすることで、別のデータベースを作成および投入する必要性を回避することができる。
ROC成分特性レポジトリ
典型的なAPS ROCエンジン4000中の第2のモジュールはROC成分特性レポジトリ(図4中には示されていない)である。APS ROCエンジン4000内の多くのカスタムモデルは、供給材料ストリームのROCスーパーセット表現中の各成分の性質、たとえば標準沸点(NBP)、比重(SPGR)、および分子量(MW)などを必要とする場合がある。これらの性質は、ROCスーパーセットテンプレート中の各成分に格納される(たとえば、ROCスーパーセットテンプレートが10,000成分を特徴付ける場合、これらの性質が決定され、10,000成分のそれぞれに格納される)。保守を容易にするために、アプリケーション中の成分特性の少なくとも1つのコピーを有することが望ましい。従って、ROC成分特性レポジトリは、式を全く有さないカスタムモデルである。モデルの初期化中、成分特性が局所パラメーターにロードされる。これらの成分特性は、ファイルから読み込んだり、ライブラリまたはDLL中に格納したりすることができる。カスタムモデルは、他のすべてのカスタムモデルがこれらのパラメーター値を参照できるような方法で書き込まれるべきである。シムサイ(SimSci)のロメオ(ROMeo)プラットフォーム中では、参照ポインタを使用してこのことが行われている。
タンクモデル
典型的なAPS ROCエンジン4000中の第3のモジュールはタンクモデルである。たとえば、図4中、APS ROCエンジン4000はタンクモデル401、402、および403を有する。APS ROCエンジン4000は、モデル化されるプロセス中のタンク数に依存して複数のタンクモデルを有することができる。各タンクモデルの目的は、各原油タンク中の組成を模倣することである。たとえば、図4中のタンクモデル401、402、および403は、図3中のAPSシステム3000のそれぞれのタンク301、302、および303中の原油供給材料を表している。タンクモデルの入力は原油配合表(即ち、タンク中に存在する各原油の重量分率およびその対応する分析識別子)である。初期化中、各タンクモデルは、ROC分析ファイルから原油分析組成を読み込み、原油配合表中に示される重量によってタンク中の各原油の組成を混合することによりROCスーパーセット表現としてタンク組成を計算する。このモデルの出力は、混合物成分の重量分率である。更に、このモデルはストリームの質量流量も含み、これは、オンライン測定によって直接求めることもできるし、オンラインアナライザーと連絡するAPS装置のRTOを介して間接的に求めることもできる。
ソースモデル
典型的なAPS ROCエンジン4000中の第4のモジュールはソースモデル(図4中には示されていない)と呼ばれる。ソースモデルの目的は、タンク中に保管された未使用原油以外のプロセスストリームを模倣することである。未使用原油以外のプロセスストリームには、再循環ストリームおよび詳細分析データが提供されていない輸入供給材料などの常圧原油蒸留タワーに送られる可能性のある供給剤量も存在する。これらのストリームの組成の詳細なROCスーパーセット表現は、静的な参照、プロセスモデルの出力、またはFTIR仮想分析技術などの種々の情報源から得ることができる。このモデルの構成情報によって、組成をROC dB210またはテキストファイルから読み出すべきかどうかが決定される。これらの組成はあらゆる任意の詳細な組成であってよい。前述のマッピングインターフェース250を使用することで、ROCスーパーセットテンプレートに一致するように流入組成が変換される。更に、このモデルは、直接測定または常圧原油蒸留塔のオンラインRTOのいずれかによって提供することができるストリーム質量流量を含んでいる。
ミキサーモデル
典型的なAPS ROCエンジン4000中の第5のモジュールはミキサーモデルと呼ばれる。ミキサーモデルの目的は、複数の異なるストリームの混合を模倣することである。ROCエンジンは、モデル化されるプロセスの混合箇所の数に依存して複数のミキサーモデルを有することができる。たとえば、図4中、APS ROCエンジン4000は1つのミキサーモデル410を有する。1つのミキサーモデル410は、図4のAPSシステム3000中のタンク301、302、および303からの3つの供給材料が混合されて、常圧蒸留塔310への全供給材料を形成する箇所から流れるストリームを模倣する。ミキサーモデルの入力は、1つ以上のストリームの質量流量および重量分率の単位での組成である。このモデルは、重量基準の組成を混合し、その出力は混合された生成物ストリームの質量流量および重量分率の単位での組成である。ミキサーモデルでは次式が使用される:
Figure 0005460319
上式中、iは成分であり、jは1〜nの供給材料ストリームである。
スプリッターモデル
典型的なAPS ROCエンジン4000中の第6のモジュールはスプリッターモデルと呼ばれる。スプリッターモデルの目的は、組成を変化させることなく特定のストリームを複数のストリームに分割する箇所を模倣することである。言い換えると、スプリッターモデルは、1つのストリームが分岐点に到達し2つ以上のストリームに分割され(たとえば、20%がある方向を進み、残りが別の方向を進む)、他の点では組成の変化は生じない箇所を模倣する。APS ROCエンジン4000は、モデル化されるプロセスの分割箇所の数に依存して複数のスプリッターモデルを有することができる。図3のAPSシステム3000においてこのような分割が行われていないため、図4中のAPS ROCエンジン4000はスプリッターモデルを示していない。しかし、図3は比較的単純なAPS設計を示している。より複雑なシステムにおいてAPSから上流でこのような分割が行われることは珍しくない。
各スプリッターモデルへの入力は、流入ストリームの質量流量および重量分率の単位での組成と、「n−1」の生成物ストリームの分割比または質量流量のいずれかとである。このモデルの出力は、各生成物ストリームの質量流量であり、流入質量流量および分割比或いは生成物質量流量から計算される。たとえば、質量流量は、次式によって計算することができる:
ストリーム(i)の質量流量=流入質量流量ストリーム(i)の分割比
上式中、iは1〜nであり、nはスプリッターを出た生成物ストリームの番号を表す。組成の変化は起こらないので、重量分率の単位での生成物ストリーム組成は、重量分率の単位での流入組成に等しい。
成分スプリッターモデル
典型的なAPS ROCエンジン4000中の第7のモジュールは成分スプリッターモデルと呼ばれる。成分スプリッターモデルの目的は、選択された成分(たとえば、水またはHS)がストリームから分割され、そのためストリームの組成が変化する箇所(たとえばストリッパー)を模倣することである。APS ROCエンジン4000は、モデル化されるプロセス中の成分分割箇所の数に依存して複数の成分スプリッターモデルを有することができる。図3のAPSシステム3000中でこのような分離が行われていないため、図4中のAPS ROCエンジン4000は成分スプリッターモデルを示していない。しかし、図3は比較的単純なAPS設計を示している。より複雑なシステムにおいてAPSから上流でこのような成分の分割が行われることは珍しくない。
各成分スプリッターモデルへの入力は、流入ストリームの質量流量および重量分率の単位での組成、および流入ストリームから除去される成分の分割比である。成分スプリッターモデルの構成によって、どの成分が流入ストリームから分離されるかが規定される。このモデルは2つの流出ストリームを有し、その第1のストリームは主要ストリームから分離される成分を含有し、第2のストリームは残りの成分を含有する。第1のストリームの成分の質量流量は、流入質量流量、組成、および成分分割比から以下の方法で計算される:
成分iの質量流量=(流入質量流量)×(流入成分iの重量分率)×(成分iの分割分率)
上式中、iは1〜nであり、nは生成物ストリームの番号を表している。第2の生成物ストリームの組成および質量流量は、物質収支から計算される。
カットモデル
典型的なAPS ROCエンジン4000中の第8のモジュールはカットモデルと呼ばれる。カットモデルの目的は、蒸留塔またはフラッシュドラムの挙動を模倣することである。ROCエンジンは、モデル化されるプロセス中のカット数に依存して複数のカットモデルを有することができる。たとえば、図4中、APS ROCエンジン4000は、蒸留装置310による図3のAPSシステム3000中で行われるカットを模倣するために、カットモデル421、422、423、および424を使用している。カットモデル421は、残留物が図3中の残油ストリーム360である残油カットを模倣している。カットモデル422は、残留物が図3中の軽質軽油ストリーム350である軽質軽油カットを模倣している。カットモデル423は、残留物が図3中のケロシン/ジェット油ストリーム340であるケロシン/ジェット油カットを模倣している。カットモデル424は、残留物が図3中のナフサストリーム330であり、沈殿物が図3中の燃料ガスストリーム320であるナフサカットを模倣している。
各カットモデルへの入力としては、流入質量流量および重量分率の単位での組成、並びにNm法などのショートカット蒸留モデル化方法のパラメーターが挙げられる。この出力は、オーバーヘッド生成物ストリームおよび塔底生成物ストリームの質量流量および重量分率の単位での組成である。生成物ストリームの組成の計算に使用される式は、選択したショートカット方法に依存する。成分の標準沸点は、ROC成分特性レポジトリを参照することによって求められる。Nm法は、完全還流状態で動作するタワーの理論的分析に基づいている。Nm法に使用される基本式の説明は、非特許文献3中の「フェンスケ−エルバー−マドックス法」(Fenske−Underwood−Erbar−Maddox Method)に見ることができ、この記載内容全体が参照として本明細書に援用する。Nm法には2つのパラメーターが存在し、第1のパラメーターはカットポイント温度であり、これはオーバーヘッド生成物ストリームと塔底生成物ストリームとの間で同等に分配される成分の沸点である。第2のパラメーターは「Nm」と呼ばれ、これは最小理論段数を意味し、これによってカットの効率が決定される。Nm法、および他のすべてのショートカット蒸留方法では、オーバーヘッド生成物ストリーム中の各成分の分率が推定される。次に、塔底生成物ストリーム中の各成分の分率は、物質収支を満たすように計算される。
アナライザーモデル
典型的なAPS ROCエンジン4000中の第9のモジュールはアナライザーモデルと呼ばれる。アナライザーモデルの目的は、バルク特性を模倣することである。たとえば、概してROCエンジンでは、重量パーセントおよび質量流量が使用される。しかし、RTOアプリケーションから得られたデータを照合するために体積流量の計算が必要となる場合がある。アナライザーモデルは、標準条件や蒸留における体積流量などのバルク特性を計算するように構成することができる(たとえば、ASTM D2887、D86、D1160、およびD6352を参照されたい)。ROCエンジンは、必要とされる変換の数および種類に依存して複数のアナライザーモデルを有することができる。たとえば、図4中のAPS ROCエンジン4000においては、各カットモデル(421、422、423、および424)で得られた各カットのために、カットの質量流量および蒸留値を導出するアナライザーモデル(431、432、433、434、および435)も存在する。この情報は、APS ROCエンジン4000と、図3のAPSシステム300中の常圧蒸留塔310のリアルタイム最適化アプリケーションから得たデータとの間の照合ケース(後述する)において使用される。
各アナライザーモデルへの入力は、質量流量および重量分率の単位でのストリーム組成である。バルク特性の計算中に使用される成分の性質は、ROC成分特性レポジトリから得られる。各アナライザーモデルは、標準条件における体積流量が選択される場合には液相または気相のいずれかとしてストリームを指定するように構成する必要がある。混合相ストリームの場合の体積流量はこのモデルでは利用できず、典型的には精油所では測定されない。体積流量の計算に以下の式を使用することができる:
液相:体積流量=質量流量/ストリームSPGR
気相:体積流量=質量流量標準モル体積/ストリームMW
上式中
Figure 0005460319
Figure 0005460319
であり、iは1〜nであり、nはROCスーパーセットテンプレート中の成分数である。
ストリームの蒸留は、ストリーム組成および成分のNBPから直接モデル化することができる(ASTM D2887、D86、D1160、またはD6352に準拠して測定される)。APS ROCエンジン4000中のアナライザーモデルの目的では、蒸留温度は、固定重量、または体積、パーセント(0.5%、5%、10%、30%、50%、70%、90%、95%、および99.5%)において計算される。シムサイ(SimSci)のプロ/II(PRO/II)など、組成からASTM蒸留を計算するための数種類の市販製品を利用することができる。アナライザーモデルは、これらの市販パッケージの1つから呼び出すこともできるし、より効率的な計算のためそれ自体のアルゴリズムを有することもできる。このアルゴリズムは、重量基準のストリームの真の沸点曲線(TBP)の計算を含むべきである。重量基準のTBPから、指定の重量パーセントの試料が1気圧における気相中に存在する温度が求められる。重量基準のTBPは、成分のNBP、およびNBPの上昇する順に成分を配列することによる重量分率から計算される。累積重量パーセントが各成分について計算され、前述の所望の「除去パーセント」に対応する温度が格納される。気相点の所望の重量パーセントが成分の累積重量の間に入る場合、対応するTBPは、成分NBP間の線形補間によって求められる。十分な量のナフサ範囲材料(<400°F)を有するストリームの場合、正確にTBP温度を推定するために、成分の沸点幅を使用したより詳細なアルゴリズムが必要となる。同じ温度範囲で複数の成分が沸騰するため、このアルゴリズムははるかに計算に集中したものになる。一般に、その成分の沸点範囲の出発温度と、その沸点範囲のある温度との間でどれだけの成分が沸騰するかを決定するために、正規分布が仮定される。重量基準のTBPは、次に、選択されたASTM蒸留方法に変換される。非特許文献4(この記載内容全体が本明細書に参照として援用される)には、重量基準のTBPを上記のいずれかのASTM方法に変換するために必要な式および図が提供されている。
ROC dBシンク
典型的なAPS ROCエンジン4000中の第10のモジュールはROC dBシンクモデル(図4中には示されていない)と呼ばれる。ROC dBシンクモデルの目的は、ROCエンジンの実行後にユーザー(許可された個人またはプログラム)がROC dBを更新できるようにすることである。ROC dBシンクモデルは、ROC dBに投入するために使用されるあらゆるストリームで使用することができる。それぞれのROCエンジンの解が正常に得られた後、対象となる質量流量、組成、およびバルク特性が、あるストリームのROC dBに書き込まれる。ROC dBシンクモデルは、投入インターフェース60を使用することでこの機能を果たす。このモデルは、各ストリームで固有のROC dBストリーム識別子およびタイムスタンプを使用して構成される必要がある。
ROCエンジン照合ケース 上述のモジュールは、APS ROCエンジン4000の構成単位である。正しい順序で組み合わせると、これらは、APS装置310などの石油精製作業の特定の領域全体で個別の分子を追跡する分子記述ツールとして使用することができる。石油精製作業領域の最初の供給材料の組成が、タンクモデル(401、402、および402)およびソースモデルによって提供され、その生成物ストリームは次に、分離、混合、および分留が行われて、ストリームがAPS装置310を出入りするときに行われる分離が模倣される。モデルでは、固定パラメーターに基づいてストリーム内およびストリーム間を分子が運動する。スプリッターモデルは、分離比に基づいて流入ストリームを2つ以上の生成物ストリームに分離し、成分スプリッターモデルも同様である。カットモデル(421、422、423、および424)は、ショートカット蒸留方法のパラメーターに基づいて成分を分離する。Nmショートカット法の場合、これらのパラメーターは、カットポイント、並びにNm係数または理論段数である。これらのモデルパラメーターの値によって、分子がどのように運動してプロセス装置に入り通過するかが決定される。
すべての市販のRTOプラットフォームは、モデル変数をプラント測定と比較する機構を設けている。この機能は測定モデルによって設けられ、プラントの「測定」値をモデル変数と関連づける。プラントの測定値とモデルの値との間の差を表すために、各測定モデル中のバイアス変数が計算される。
オンラインアナライザー、研究室分析、RTOシステム、および監視ツールからの入力をROCエンジンの変数と結びつけるために、ROCエンジンは市販のプラットフォームによって提供される測定モデルを使用する。たとえば、RTOシステムは、すべてのROCモデルの生成物ストリームについての質量流量およびTBP蒸留を提供することができる。RTOシステムが利用できない場合は、研究室分析によって、一部またはすべての生成物ストリームのTBPまたは他の蒸留を求めることができる。オンライン流量測定は、典型的にはほとんどの精油所ストリームで利用可能である。これらの入力値は、ROCエンジン中の測定モデルにおける「プラント」値であり、適切なROCモデルと結びつけられる。たとえば、図4のAPS ROCエンジン4000において、図3中の蒸留塔310のリアルタイム最適化アプリケーションからのデータと、それぞれカットモデル421、422、423、および424によって予測されたデータを、それぞれアナライザーモデル431、432、433、434、および435によって比較可能な値に変換したものとが、測定モデル441、442、443、444、および445によって照合される。
ROCエンジンアプリケーション上で「照合ケース」が実施される。照合ケース中、固定モデルパラメーターは決定変数であり、アプリケーションの目的関数の値を最小限にするようにこれらのパラメーターが調整されることを意味する。ROCエンジンの目的関数は、測定モデルのバイアス変数の自乗の和である。従って、モデルとおよび測定生成物ストリーム特性(質量流量、蒸留)との間の差を最小限にするために、スプリッターモデル、成分スプリッターモデル、およびカットモデル中のROCエンジンの固定パラメーターは、照合ケース中で調整される。得られた照合の応答によって、ROCスーパーセット表現の形態で生成物ストリームの詳細組成が得られる。次に、ROC dBシンクモデルは、それぞれの正常な回答の終了時に、ROC dBにこの情報を投入する。
原油蒸留塔下流へのROCエンジンの拡張
APSシステムの下流の従来のRTOシステムは、典型的には、現在の供給材料バルク特性、収率、および生成物の特性に一致させるために調整された静的な供給材料基準の特性決定に依拠している。これらの静的な供給材料基準の特性決定は、最新の供給材料特性決定情報には基づいていないので、準最適の解決法および非ロバスト挙動となることが多い。
ROC dB210は、任意の特定のAPS装置を含む任意の特定のプロセス装置の下流にあるストリームの供給材料基準を動的に更新する手段を提供する。これによって、下流精油所装置の最適化が向上し、硫黄などの燃料成分を管理するより厳格な環境法令および規制のモデル化を促進することができる。原油蒸留塔から下流精油所装置の供給材料システムへの分子を追跡することで、生成物の特性を適合させるために反応器の動力学をより正確に調整することができ、運転条件の変化に対する反応器システムの予測特性を向上させることができる。
より詳細には、上流ROCエンジンは、下流のRTOおよび/またはROCエンジン270(即ち、APS塔の下流の精油所ストリームをモデル化したRTOおよび/またはROCエンジン270)への入力を提供する。下流RTOシステムは、一般に、それらの対応するROCエンジン270からの入力を受け取り、これらのエンジンに入力を提供する。たとえば、下流RTOシステムは、精油所ストリームの質量流量および生成物蒸留の入力を提供する。しかし、APS ROCエンジン4000中の供給材料組成は主としてタンクモデルを介してモデル化したが、下流ROCエンジンは、主としてソースモデルを介して供給材料組成をモデル化している。ソースモデルは、調整された供給材料組成および任意の反応器流出物組成を特徴付けるために使用される。通常、RTOシステムは、一括化された成分スレートを使用する。RTOシステムの一括化された生成物ストリームの成分スレートを、ROCエンジン中に使用されるROCスーパーセットテンプレートに拡張するために、ソースモデルでは拡張インターフェース240が使用される。
結び
本明細書において言及したすべての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれの個別の刊行物、特許、または特許出願が参照として援用されるとして具体的および個別に示された場合と同程度で、参照として本明細書に援用される。明らかなように、本明細書に記載のすべての参考文献が従来技術である。
本発明の範囲は、本明細書に記載される特定の実施形態によって限定されるものではない。実際、本明細書に記載される実施形態に加えて、本発明のさまざまな修正は、以上の説明および添付の図面から当業者には明らかとなるであろう。更に、特定の目的で特定の環境において特定の実施の状況において本発明を説明してきたが、本発明の有用性がそれらに限定されるものではなく、多数の目的で多数の環境において好都合に本発明を実施できることを当業者は理解されるであろう。

Claims (19)

  1. 原油精製におけるストリームの分子組成を予測する方法であって:
    (i)データベース中に、可能性のある供給材料ストリームの組成データを格納する工程;
    (ii)指定された一群の1つ以上の石油精製作業に指定された時間の間に流れる供給材料ストリームの組成データを、前記データベースから選択する工程;
    (iii)1つ以上のリアルタイム最適化アプリケーション、アナライザー、研究室分析またはそれらの組み合わせから、前記指定された時間の間に、前記一群の石油精製作業中に生成された、または前記一群の石油精製作業によって生成された実際の中間および/または生成物ストリームの性質の測定値を得る工程;
    (iv)前記工程(ii)で選択した前記供給材料ストリームの組成データと、前記工程(iii)で得た前記中間および/または生成物ストリームの性質データを、前記指定された一群の石油精製作業中に生じた、または前記指定された一群の石油精製作業により生じた組成の変化をモデル化するための1つ以上の分子記述モデルを含む処理エンジンに伝達する工程;
    (v)前記処理エンジン中の前記1つ以上の分子記述モデルを実行し、前記工程(iv)において伝達された前記供給材料ストリームの組成データを、前記1つ以上の分子記述モデルへの入力として使用して、前記指定された時間の間に、前記指定された一群の石油精製作業中に形成された、または前記一群の石油精製作業により形成されたストリームの組成を予測し、続いて前記予測を実際の中間および/または生成物ストリームの性質データと照合する工程;および
    (vi)データベース中に、前記照合された中間および/または生成物ストリームの組成の予測を格納する工程
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記工程(vi)のデータベースから、前記工程(ii)で指定された前記一群の石油精製作業の下流に位置する一群の1つ以上の石油精製作業に流れる供給材料ストリームに関する組成データを選択する追加の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記指定された一群の石油精製作業領域が、常圧パイプスチルを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 各工程が自動的に実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 各工程がオンデマンドで実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記分子記述モデルが、熱力学的または動力学的な計算を全く行わないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 生成物ストリーム組成の前記予測を実際の中間および/または生成物ストリームの性質データと照合する前記工程が、
    (a)前記分子記述モデルによって得られた予測ストリーム組成に基づいて前記中間および/または生成物ストリームの予測される性質を計算する工程;
    (b)前記予測したストリームの性質を、前記実際のストリームの性質と比較する工程;および
    (c)前記分子記述モデル中の固定モデルパラメーターを調整して、中間および/または生成物ストリームの予測組成を生成する工程であって、前記予測組成は、前記予測組成から計算される予測したストリームの性質と、実際のストリームの性質の間の差を最小限にしてベストフィットとなるようにする工程
    で実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 前記方法全体が、少なくとも1時間に1回実施され、30分未満を要することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 前記工程(ii)および(vi)のデータベース中に格納されるストリームの組成データが、前記データベースから分子成分データが得られる任意のリアルタイム最適化アプリケーション、プロセスモデルおよびバルク特性の相関によって必要な任意のデータを提供または導出するのに十分詳細で十分な数の分子成分を特徴付けるテンプレートにより格納されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 前記テンプレートが1000を超える成分を特徴付けることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 下記(i)〜(iii):
    (i)供給材料ストリームの組成と共に、前記供給材料ストリームのバルク特性および成分特性情報を記述するファイルを格納するデータベース、
    (ii)下記(a)および(b):
    (a)指定された一群の1つ以上の石油精製作業モデル化して、生成物ストリームの組成を予測する1つ以上の分子記述モデル
    (b)1つ以上のアプリケーション
    を含む処理エンジン、および
    (iii)前記処理エンジンにより伝達された、照合された生成物ストリームの組成の予測を格納するデータベース
    を含むアセンブリであって、
    前記アプリケーション(b)は、
    (1)前記分子記述モデルによって得られた予測ストリーム組成に基づいて、生成物ストリームの予測される性質を計算する工程;
    (2)前記予測したストリームの性質を、実際のストリームの性質と比較する工程;および
    (3)前記分子記述モデル中の固定モデルパラメーターを調整して、生成物の予測組成を生成する工程であって、前記予測組成は、前記予測組成から計算される予測したストリームの性質と、実際のストリームの性質の間の差を最小限にしてベストフィットとなるようにする工程
    によって、予測された生成物ストリームの組成を、実際の生成物ストリームの性質と照合することを特徴とするアセンブリ。
  12. 前記処理エンジン中の前記分子記述モデルが、熱力学的および動力学的な計算を行わないことを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ。
  13. 照合された各供給材料ストリームの組成および照合された各生成物ストリームの組成が、固有のストリーム識別子を使用して格納されることを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ。
  14. 照合された各生成物ストリームの組成が、固有のストリーム識別子およびタイムスタンプを使用して格納されることを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ。
  15. 前記分子記述モデルが、タンクモデル、ミキサーモデル、スプリッターモデル、成分スプリッターモデルおよびカットモデルから選択される少なくとも1つのモデルを含むことを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ。
  16. 前記工程(ii)のデータベースと前記工程(vi)のデータベースが、同一のデータベースであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  17. 前記工程(ii)のデータベースと前記工程(vi)のデータベースが、異なるデータベースであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  18. 前記データベース(i)と前記データベース(iii)が、同一のデータベースであることを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ。
  19. 前記データベース(i)と前記データベース(iii)が、異なるデータベースであることを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ。
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