JP5459645B2 - レート領域の予測を用いて、基地局からサービスの提供を受けるユーザに対して伝送用リソースのスケジューリングを行う装置及び方法 - Google Patents

レート領域の予測を用いて、基地局からサービスの提供を受けるユーザに対して伝送用リソースのスケジューリングを行う装置及び方法 Download PDF

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Description

本発明は無線通信に関し、具体的には無線ネットワーク内の送受信機に対するリソースの割当てに関する。ここで、基地局は例えばMIMOシナリオにて用いられるような複数のアンテナを備えている。
本発明は、無線通信と、伝送技術と、比例的公平割当て(proportional fairness allocation)と、日和見的なリソース割当て(opportunistic resource allocation)と、予測型スケジューリング(predictive scheduling)とに関する。
無線通信においては、より高いデータレートへの需要は増加の一途を辿っている。そのためには、与えられたリソースを一層効率的に用いるための方法を見つけなくてはならない。ユーザ間で独立したフェージングに起因したチャネルの時間的変化、いわゆるマルチユーザダイバーシティを利用することによって利得を達成することができる。日和見的なリソース割当て(スケジューリング)は、非特許文献1に記載されている。本分野においてよく知られているものとして非特許文献2及び3があり、概要は非特許文献4に記載されている。純粋にスループットを増加させることを目的とするこれらの方式の欠点は、ユーザ間の不公平及びスタベーション(飢餓感)である。そのため、スループットを最大化することと、ユーザ間で公平にリソース割当てを行うこととのバランスが求められている。
比例的公平は、時間とともに変化するチャネルを日和見的に利用することによるリソースの効率性とユーザの満足度との魅力的なトレードオフを提供するものである。クアルコム社の高データレートシステムのための比例的公平共有(proportional fair sharing, PFS)が、非特許文献5及び6に記載されている。
PFSは、TDMAの制約のある単一チャネルネットワークのために設計されたものである。すなわち、1人のユーザしか同時に送信することが許されない。キャリアごとに電力が等しい複数のチャネルを有するシステムへの拡張が非特許文献7に記載されている。そして、3GPPのLTEアップリンクのために特別に設計された、類似しているがあまり一般的ではない手法が非特許文献8に記載されている。以下、リソースブロックごとに単一のユーザしか許可しないシステムを、直交アクセスシステム(orthogonal access system)と呼ぶ。
次世代ネットワークのためのスペクトル効率の更なる増加は、マルチユーザMIMOなどの改良型の物理層の手法によって達成される。適応変調符号化を用いたマルチユーザシステムでは、ユーザのデータレートが組み合わされ、理論的には、限りなく多くのレート設定を提供することができる。これらのシステムは改良型マルチユーザシステムと呼ばれる。ユーザレートの複雑な相互依存が大きな違いであり、不都合なことに、PFSのルールは改良型マルチユーザシステムには直接、拡張されない。マルチユーザシステムのための日和見的で公平なリソース割当てを行うための手段は、最適化問題として定式化することである。比例的公平の場合は、ユーザレートの対数平均(logarithmic average user rates)の合計の最大化である(非特許文献9)。PFSアルゴリズムの場合は、ユーティリティの最大化としての解釈及び漸近最適性の証明が非特許文献10に記載されている。ユーティリティの最大化を定式化するために、システムモデルを記述するためのいくつかの前提及び定義が導入されている。
システムモデル: スロット化された、時間とともに変化する無線チャネルを前提とする。ここで、チャネルは1つのタイムスロット内では静的であることを前提とする。チャネル状態Hはランダムプロセスであり、H[T]はタイムスロットTにおけるチャネル状態を具現化したものである。平均電力制約に関して電力バジェットをタイムスロット間でやり取りできないことを意味するピーク電力制約を前提とする。ハードウェアの機能に応じて、タイムスロットTにおけるユーザの集合Kについて達成可能なデータレートの集合は、レート領域R(H[T])=R[T]によって与えられる。ただし、
Figure 0005459645
である。タイムスロットT内に確立された瞬間レートはr[T]∈R[T]である。データレートの加重標本平均は以下の通りである。
Figure 0005459645
重みを用いて、平均スループットの様々な定義を確立することができる。図10cを参照されたい。チャネル状態の重み及び確率過程が制限の存在するようなものである場合には、長期平均レートは以下のようになる。
Figure 0005459645
これにより、物理層によってサポートされる長期平均レート領域のうちのある領域を定めることができる。
Figure 0005459645
これらの定義から、日和見的で公平なリソース割当てを、長期的な平均スループットのユーティリティの最大化の問題として表すことができる。
Figure 0005459645
ただし、比例的公平と関連付けられるユーティリティは以下の通りである。
Figure 0005459645
最適な長期平均スループット
Figure 0005459645
は、各タイムスロットにおける最適なレート割当てr[t]∈R[t]の加重標本平均である。問題(1.1)はレート空間において凸であり、適切なアルゴリズム的方法によって解くことができる。しかし、タイムスロットtにおいて、r[t]についての決定をしなければならない一方で、未来のレート領域R[τ](τ>t)はわかっておらず、それまでに行われた決定を変えることもできず、すなわちレートベクトルr[τ](τ<t)は不変である。そのため、最適な平均スループット
Figure 0005459645
を計算して、現在のタイムスロットに関する最適なレート割当てr[t]を見いだすということはできない。
これは、平均スループットを直接的に最適化することはできないということを意味する。その代わりに、各時間ステップにてレート割当てr[t]を決定する。これは自動的にある平均スループットとなる。
それまでになされた決定に関する情報と、レート領域を定めるそれまでのチャネル状態情報とのみを利用する、任意のタイムスロットtについての最適な因果的スケジューリング方法(optimal causal scheduling strategy)に近いものを見いだすことが目標である。ある条件下で、以下のようなやり方が漸近的に(T→∞)最適である。
・勾配法(非特許文献11及び12)
現在のタイムスロットtのレート設定は、ユーティリティの線形近似の最大化に基づく。
Figure 0005459645
比例的公平ユーティリティについては、以下のようになる。
Figure 0005459645
これは、TDMA制約の場合によく知られているPFSルール(非特許文献5及び6)となる。ただし、単一のユーザを選択する必要がある。したがって、勾配法は、直交アクセスシステムのための比例的公平共有を、改良型マルチユーザシステムのための比例的公平リソース割当てへと一般化したものとみなすことができる。
・確率的劣勾配法
問題(1.1)を因果的に解く別の方法が確率的劣勾配法である。現在のタイムスロットのレート設定は以下の通りである。
Figure 0005459645
ただし、λ[t]は、一定の定数αを用いて以下のように更新される双対変数である。
Figure 0005459645
・待ち行列理論による方法
ネットワークユーティリティの最適化も、待ち行列ネットワークの分野において検討されている(非特許文献13及び14)。ネットワークユーティリティに関して最適な解決につながるようにリソースを割り当てるために仮想待ち行列を用いることができる。
現在のタイムスロットのレート設定は以下の通りである。
Figure 0005459645
ただし、u[t]は一定の定数βを用いて以下のように更新される仮想待ち行列である。
Figure 0005459645
非特許文献15ではマルチユーザMIMOが特に扱われている。しかし、平均電力の制約を考慮したものであるため、大きな修正なくして本シナリオに適用することはできない。
これらのアルゴリズムは、過去のレート割当て又はチャネル状態を記録する必要がないという意味で無記憶である。むしろ、これらのアルゴリズムは、ユーザごとの単一の変数か、現在の平均レートか、双対変数か、待ち行列の長さかを追跡する。これは記憶するコストが小さく、容易に更新できる。これらのアルゴリズムは、モバイルサービスの遅延に対する許容度が大きく、ユーザの位置及びユーザの活動がゆっくりとしか変動しないことを前提としている。これまでに説明した方法を用いて長期公平性を確立すると、あるユーザに対して、サービスのない期間が許容できない程度のものとなってしまう場合がある。
これを回避する極端な方法は、例えば
Figure 0005459645
又は最大最小公平(max-min fairness)
Figure 0005459645
に関して、各タイムスロットにて公平性を確立することである。
現在のレート領域はわかっているので、この最大化問題は適切な方法で効率的に解くことができる。
しかし、各タイムスロットにおいて別々に公平なリソース割当てを行うことは極めて制限的であり効率性が失われることになる場合がある。用途によっては、結果的に生じる、サービスのないいくつかのタイムスロットは許容できる場合があるものの、サービスは固定された時間ウィンドウ内で提供する必要がある。一つの解決法は、予測型スケジューリングである(非特許文献16〜22)。
このアイデアは、未来のチャネル状態の推定値には、誤りがある可能性があるものの有益であろうということである。その結果、スケジューラはもはや無記憶ではなく、一般的には、それまでのレート割当て(戻り読み(look-behind))と、未来のチャネル状態の予測(先読み(look-ahead))とをある程度考慮する。この時間フレームに関して、スケジューラは後続のいくつかの(重なり合っている可能性がある)時間フレームにわたってユーティリティ又はユーティリティの期待値を最大化する。このため、予測型スケジューリングの利得は、より高い計算複雑度の代償として得られる。
直交アクセスシステムの場合、ユーザのデータレートとチャネル状態との間に直接的な関係が存在する。これは、改良型の物理層の方法、例えばMU−MIMOの場合には、もはやあてはまらない。MU−MIMOでは、送信方法、例えば送信電力又はビームフォーマを選択することによってユーザレート間のトレードオフがなされる。従来技術による予測型スケジューリング方法(非特許文献16〜22)は、直交アクセスシステムを対象としており、改良型マルチユーザシステムに対して一般化されていない。
このため、複雑なシステムの場合には、既知の方法は極めて複雑であるか若しくは非常に計算コストが高いか、又は、公平割当てユーティリティなどのあるユーティリティについての最適な解が結果的に得られない。
R. Knopp and P. A Humblet. Information capacity and power control in single-cell multiuser communications. In IEEE International Conference on Communications (ICC 1995), volume 1, pages 331-335 vol.1. IEEE, June 1995. D.N.C Tse and S. V Hanly. Multiaccess fading channels. I. Polymatroid structure, optimal resource allocation and throughput capacities. IEEE Transactions on Information Theory, 44(7):2796-2815, November 1998. P. Viswanath, D. N.C Tse, and R. Laroia. Opportunistic beamforming using dumb antennas. IEEE Transactions on Information Theory, 48(6):1277-1294, June 2002. X. Liu, E. K.P Chong, and N. B Shroff. Opportunistic transmission scheduling with resource-sharing constraints in wireless networks. IEEE Journal on Selected Areas in Communications, 19(10):2053-2064, October 2001. A. Jalali, R. Padovani, and R. Pankaj. Data throughput of CDMA-HDR a high efficiency-high data rate personal communication wireless system. In IEEE 51st Vehicular Technology Conference Proceedings (VTC 2000-Spring), volume 3, pages 1854-1858 vol.3. IEEE, 2000. P. Bender, P. Black, M. Grob, R. Padovani, N. Sindhushyana, and S. Viterbi. CDMA/HDR: A bandwidth efficient high speed wireless data service for nomadic users. IEEE Communications Magazine, 38(7):70-77, July 2000. Hoon Kim and Youngnam Han. A proportional fair scheduling for multicarrier transmission systems. IEEE Communications Letters, 9(3):210- 212, March 2005. Suk-Bok Lee, I. Pefkianakis, A. Meyerson, Shugong Xu, and Songwu Lu. Proportional fair Frequency-Domain packet scheduling for 3GPP LTE uplink. In 28th Conference on Computer Communications (IEEE INFOCOM 2009), pages 2611-2615. IEEE, April 2009. F. P. Kelly, A. K. Maulloo, and D. K. H. Tan. Rate control for communication networks: shadow prices, proportional fairness and stability. Journal of the Operational Research Society, 49(3):237-252, March 1998. H. J Kushner and P. A Whiting. Convergence of proportional-fair sharing algorithms under general conditions. IEEE Transactions on Wireless Communications, 3(4):1250- 1259, July 2004. Alexander L. Stolyar. On the asymptotic optimality of the gradient scheduling algorithm for multiuser throughput allocation. Operations Research, 53(1):12 -25, January. R. Agrawal and V. Subramania. Optimality of certain channel aware scheduling policies. In 40th Annu. Allerton Conf. Communications, Control, and Computing, pages 1532-1541, Monticello, Illinois, USA, October 2002. L. Georgiadis, M. J. Neely, and L. Tassiulas. Resource allocation and cross-layer control in wireless networks. Foundations and Trends in Networking, 1:1-144, 2006. A. Eryilmaz and R. Srikant. Fair resource allocation in wireless networks using queue-length-based scheduling and congestion control. In 24th Annual Joint Conference of the IEEE Computer and Communications Societies 2005 Proceedings, volume 3, pages 1794 - 1803 vol. 3, march 2005. Vincent K. N. Lau. A proportional fair space time scheduling for wireless communications. IEEE Transactions on Communications, 53(4):747, 2005. Gokhan Sahin, Fanchun Jin, Amrinder Arora, and Hyeong-Ah Choi. Predictive scheduling in multi-carrier wireless networks with link adaptation. In IEEE 60th Vehicular Technology Conference (VTC2004-Fall), volume 7, pages 5015- 5020. IEEE, September 2004. T. Min and C. G. Kang. Multi-Phase predictive proportional fairness scheduling for a Multi-Channel wireless packet system. In IEEE 18th International Symposium on Personal, Indoor and Mobile Radio Communications (PIMRC 2007), pages 1-5. IEEE, September 2007. H. J Bang, T. Ekman, and D. Gesbert. Channel predictive proportional fair scheduling. IEEE Transactions on Wireless Communications, 7(2):482-487, February 2008. H. Shirani-Mehr, D. N Liu, and G. Caire. Channel state prediction, feedback and scheduling for a multiuser MIMO-OFDM downlink. In 42nd Asilomar Conference on Signals, Systems and Computers, pages 136-140. IEEE, October 2008. Ying Jun Zhang and Soung Chang Liew. Proportional fairness in Multi-Channel Multi-Rate wireless networks -Part II: the case of Time-Varying channels with application to OFDM systems. IEEE Transactions on Wireless Communications, 7(9):3457-3467, September 2008. J. Hajipour and V. C. M Leung. Proportional fair scheduling in Multi-Carrier networks using channel predictions. In 2010 IEEE International Conference on Communications (ICC), pages 1-5. IEEE, May 2010. J. F Schmidt, J. E Cousseau, R. Wichman, and S. Werner. Prediction based resource allocation in OFDMA. In 45th Annual Conference on Information Sciences and Systems (CISS 2011), pages 1-4. IEEE, March 2011.
本発明の目的は、複数のアンテナを備えたある基地局からサービスの提供を受けるユーザに対して伝送用リソースをスケジューリングするための改良された概念を提供することにある。
上記目的は、請求項1に記載の伝送用リソースをスケジューリングする装置か、請求項16に記載の伝送用リソースをスケジューリングする方法か、請求項17に記載のコンピュータプログラムかによって達成される。
本発明は、1つ以上の過去のタイムスロットのためのレート領域に基づいて1つ以上の未来のタイムスロットのためのレート領域を予測する予測部を用いて、1つ以上の予測レート領域を得ることができるという知見に基づいている。この場合、あるユーザの現在のタイムスロットのための伝送用リソースを計算するプロセッサは、過去の1つ以上のタイムスロットに対してスケジューリングされた伝送用リソースと、現在のタイムスロットについて決定されたレート領域と、予測部が出力した1つ以上の予測レート領域とを使用する。
したがって、次のタイムスロットについてのチャネル利得の推定とは異なり、本発明は、未来のタイムスロットについてのチャネル利得ではなく、レート領域の推定に基づくものである。マルチユーザ用MIMO等の改良型の物理層の手法を用いる改良型マルチユーザシステムの場合は特に、チャネル利得をレート領域へと直接的に変換することができない。適応変調符号化を用いたマルチユーザシステムの場合は特に、ユーザのデータレートを組み合わせて、理論的には無限に多くのレート設定を提供することができる。そのため、このような改良型マルチユーザシステムの場合には、ユーザレートの複雑な相互依存が大きな違いとなり、したがって、本発明は、未来のタイムスロットについてのチャネル利得を未来のタイムスロットについてのレート領域へと変換するという問題を回避するために、チャネル利得の予測に依存するのではなく、レート領域の予測に依存する。本発明によれば、チャネル利得のいかなる予測ももはや必要ではないため、チャネルをもはや予測する必要はない。好ましい実施の形態によれば、マルチユーザシステムのための日和見的及び/又は公平なリソースの割当ては、最適化問題としての定式化に帰着する。比例的公平の場合には、このシステムは、一例では対数平均レートの合計を最大化する。比例的公平共有アルゴリズムの場合には、ユーティリティの最大化としての説明及び漸近的な最適性の証明が存在する。このため、次のタイムスロットについてのチャネル利得とレート領域の予測との間の直接的な関係がもはや存在しないシナリオの場合には、そのような状態にも関わらず本発明は伝送用リソースのスケジューリングのための改善された漸近的な最適解を提供することができる。改良型マルチユーザシステムの場合は特に、伝送方法、例えば送信電力又はビームフォーマを選択することにより、ユーザレート間のトレードオフを行うことができる。チャネルの統計的なモデルは利用できない場合があり、予測方法には追加の計算リソースが必要となる。実際、本発明によれば、未来のタイムスロットにおける実際のチャネル表現(channel realization)を対象とせず、好ましい実施の形態では、現在のタイムスロットにおけるチャネルの予測により、遅延型チャネルフィードバックの品質を改善することができる。むしろ、本発明によれば、結果として得られる、未来に達成可能なユーザレートが対象である。チャネルを正確に予測することができる場合であっても、チャネル予測を取り入れるのに必要な計算上の複雑度を注ぎ込むべきかどうかは定かではない。その一方で、レート領域の予測にあたってチャネル予測は必要なく、予測チャネルから予測レート領域への複雑な変換は必要ではない。
したがって、本発明は、チャネルを予測するのではなく、達成可能なユーザレートの予測に依存したものである。レート領域を予測する場合には、チャネル状態情報により与えられる、それまでに観察されたレート領域の情報が用いられ、これらの観測が未来を表すことを前提とする。実施態様に応じて、1つの予測の概念はそれまでのレート領域の完全な表現に基づくものであり、これはチャネル状態情報を記憶しなければならず、及び/又は過去のレート領域を記憶しなければならないことを意味する。別の概念はそれまでのレート領域の内部近似に基づくものである。内部近似によって、メモリの要件が劇的に低減し、特定の実施態様が可能となる。
別の実施の形態は、基地局の協調を用いたセルラネットワークに重点を置く。ここでの主な関心事は、協調のオーバヘッドを小さく保つことである。これは、チャネル状態情報及び/又はチャネル状態予測のやり取りを回避すべきであることを意味する。このシナリオの場合、特に内部近似に基づく概念が特に魅力的な場合がある。なぜならな、近似は次元がはるかに低く、標準的な方法でやり取りすることが容易であり、より小さな協調オーバヘッドでの実施につながるためである。
予測型スケジューリングの場合、真の平均レート領域は、過去の割当て及び予測に応じた近似へと置き換えられる。近似において対象とする過去(戻り読み)及び未来(先読み)のタイムスロットの数は設定でき、それらの影響は好ましい実施の形態における重みによって調整することができる。それまでのタイムスロットのレート割当ては変更できず、固定的であることを前提とする。現在のレート領域はわかっているが、未来のタイムスロットのためのレート領域はわかっていないため予測に置き換えられる。このような前提の下で、現在のタイムスロットにおけるレート割当ては、過去のリソース割当てと、予測レート領域と、現在のタイムスロットのための現在のレート領域とに応じた最適化問題を解くことによって見いだすことができる。
好ましい実施の形態では、この最適化問題は、単体分割(simplicial decomposition)アルゴリズムを用いて実装される。このアルゴリズムは、推定レート領域を内部近似するのではなく、近似レート領域を構成する既知の全てのレート領域を個々に内部近似するように変更されたものである。これはいくつかの利点を有する。全ての時間ステップにて問題を解くことになるため、過去のタイムスロットの内部近似を再使用することができる。
未来のレート領域の予測を形成するために、このような内部近似を古いレート領域の表現として直接用いることが好ましい。このため、はるかに高い次元のチャネル状態情報を記憶することも可能であるものの、それは回避される。これは、複数の基地局が協調しており、チャネル状態情報のやり取りを回避すべきマルチセルのシナリオの場合には特に重要である。むしろ、内部近似(又はこれらから導き出される何らかの情報)をやり取りするような、オーバヘッドの小さい分散型の解決法を検討することが好ましい。ここで、相互運用性があるようにするために情報のやり取りを標準化することができる。
したがって、本発明の好ましい実施の形態によれば、レート領域の予測、予測型マルチユーザスケジューラ、及び/又はスケジューラ及び予測の効率的な実施態様のための効率的な概念が提供される。
本発明は、無線通信におけるより高いデータレートに対する増加の一途を辿る需要に応じたものである。特に、マルチユーザMIMO等の日和見的なリソース割当て又は改良型の物理層の手法の場合には、本発明は特に有利である。無線ネットワークの効率的な動作においては、スループットを最大にすることと、ユーザ間で公平にレートを割り当てることとのバランスが必要となる。従来技術によれば長期公平性(long-term fairness)を確立することによって、サービスが提供されない期間が許容できない程度に生じる場合があるが、予測型スケジューリングによってこれを回避することができる。予測型スケジューリングのための既知の方法は、適応変調符号化を用いた改良型の物理層の手法には適用できない。そのため、本発明は改良型マルチユーザ通信システムのための予測型スケジューラに頼るものである。
換言すると、未来のタイムスロットのためのレート領域を予測することにより、公平な割当ての要件を効率的に扱うことができる。例えば、あるユーザが基地局からかなり遠くに位置している場合に、そのユーザは通常、あまり良好な伝送チャネルを有しない。このため、このユーザは、最大スループットを最適化するシナリオの下では高いデータレート又は多くの伝送用リソースを取得できない。その一方で、公平な割当てのための別の要件により、このユーザの重みはより一層すなわち各タイムスロットにわたって増加し、そこでユーザが取得する伝送用リソースはやはり非常に少なくなる。しかし、このユーザの重みを増加させることにより、スケジューラが公平の要件を満たすためにますます多くの伝送用リソースをこのユーザに対して実際にスケジューリングする状況が到来することになる。ところが、その結果、全体のスループットが低減することになる。なぜならば、あまり良好なチャネルを有していないユーザへの割当ては、基地局のより近くに位置する、良好なチャネルを有する別のユーザに大きな影響を与えるためである。ここで、本発明はこの未来のチャネルを用いて「動作(play)」することができる。予測により得られたある傾向が存在し、その傾向が、その方向においてユーザが基地局に近づいていること又はそのユーザが位置するレート領域が経時的に改善することを示す場合に、ユーザの重みがリソースの割当て装置に対してこのユーザにいまチャネルを与えることを実際に強制している場合であっても、現在のタイムスロット又は未来のタイムスロットにおいては実際はチャネルを与えず、ユーザがそれまでよりも良好なチャネルを得ることを予測が示す次の未来のタイムスロットにおいてはおそらく与えるという判断を下すことができる。このため、本発明は、ユーザのチャネルが未来に増加するという予測に期待して、又はこの予測を利用して、ユーザに対してより多くの伝送用リソースが与えられるまで伝送用リソースの割当てを1つ以上の未来のタイムスロットの間実際に待たせることを可能にし、したがって最大のスループットは、ユーザが不良なチャネルを有していたにも関わらずユーザに伝送用リソースがスケジューリングされたかのように大きくなる。このため、レート領域の予測により、過去及び現在の状況を認識することができるようになるだけではなく、未来の状況を認識することも可能となり、予測の時間的拡張に応じて、すなわち予測される未来のタイムスロットの数に応じて、複雑度と最大の全体スループットと公平な割当てとの最適な妥協点が得られる。
続いて、本発明の好ましい実施の形態について添付の図面を参照して説明する。
ユーザに対して伝送用リソースのスケジューリングを行う本発明の装置のブロック図である。 マルチユーザ及びマルチセルのマルチポイント協調伝送(cooperative multipoint transmission, CoMP)型多入力多出力(multiple input-multiple output, MIMO)システムのためのダウンリンク送信におけるユーザへのレート割当てを示す説明図である。 最適化問題を処理するプロセッサの好ましい実施態様を示す説明図である。 加重合計レートの最大化に用いられる、リソースを割り当てるための好ましい反復型アルゴリズムをグラフを使って示す説明図である。 加重合計レートの最大化に用いられる、リソースを割り当てるための好ましい反復型アルゴリズムをグラフを使って示す説明図である。 加重合計レートの最大化に用いられる、リソースを割り当てるための好ましい反復型アルゴリズムをグラフを使って示す説明図である。 加重合計レートの最大化に用いられる、リソースを割り当てるための好ましい反復型アルゴリズムをグラフを使って示す説明図である。 加重合計レートの最大化に用いられる、リソースを割り当てるための好ましい反復型アルゴリズムをグラフを使って示す説明図である。 加重合計レートの最大化に用いられる、リソースを割り当てるための好ましい反復型アルゴリズムをグラフを使って示す説明図である。 加重合計レートの最大化に用いられる、リソースを割り当てるための好ましい反復型アルゴリズムをグラフを使って示す説明図である。 加重合計レートの最大化に用いられる、リソースを割り当てるための好ましい反復型アルゴリズムをグラフを使って示す説明図である。 加重合計レートの最大化に用いられる、リソースを割り当てるための好ましい反復型アルゴリズムをグラフを使って示す説明図である。 単純な主双対(primal-dual)アルゴリズムの説明図である。 本発明が解決しようとするシナリオの説明図である。 本発明を説明するための前段階の説明図である。 本発明を説明するための前段階の説明図である。 レート領域の予測を用いた本発明によるスケジューリングの説明図である。 レート領域の内部近似に基づいた、より詳細な手順を示す説明図である。 シミュレーション用シナリオにおいて本発明により得られた性能利得を示す説明図である。 シミュレーション用シナリオにおいて本発明により得られた性能利得を示す説明図である。 シミュレーション用シナリオにおいて本発明により得られた性能利得を示す説明図である。 単体分割(simplicial decomposition)アルゴリズムを用いた好ましい実施態様を示す説明図である。 単体分割アルゴリズムを用いた好ましい実施態様を示す説明図である。 平均加重スループットの様々な定義方法を示す説明図である。
図1は、好ましい実施形態における、複数のアンテナを備えたある基地局からサービスの提供を受けるユーザに対して伝送用リソースのスケジューリングを行う装置を示している。
一例として、基地局を図2の符号210で示し、基地局と関連付けられているユーザを図2の符号211で示している。具体的には、図2の基地局210のそれぞれは、MIMOシナリオを得るために複数のアンテナを備えている。さらに、図2のユーザ211は、1つ以上のアンテナを有することができる。ユーザ211が複数のアンテナを有している場合には、基地局210のみが複数のアンテナを有していて各ユーザは単一のアンテナのみを有している状況と比較して、より複雑なビームフォーミングシナリオを作ることができる。
さらに図2は、いくつかのセル201〜204があって、各基地局が、その基地局が置かれているセルと関連付けられたユーザに対してサービスを提供するセルラシステムを示している。その一方で、本発明によれば、単一のセルにおける割当てが可能なだけではなく複数のセルにおける割当ても可能であり、セル間の相互依存又は相互影響を把握して計算でも用いる。図2に示しているように、レートベクトルrがレート領域R内にあるという条件下(subject to)でのスループットの最大化問題、すなわち各ユーザkの対数レート(logarithmic rate)の合計の最大化問題が得られる。本発明は、この最適化問題の解を計算するための改善された概念を提供するものである。具体的には、本発明による装置は、図1の符号14で示した1つ以上の過去のタイムスロットのためのレート領域に基づいて、図1の符号12で示す1つ以上の未来のタイムスロットのためのレート領域を予測し、1つ以上の予測レート領域、すなわち符号16として出力される1つ以上の未来のタイムスロットのためのレート領域を得る予測部10を備えている。符号16は、予測部10とプロセッサ18とを接続するものである。プロセッサ18は、符号22によりプロセッサ18に入力される、1つ以上の過去のタイムスロットに対するレート領域によって表される該過去のタイムスロット用にスケジューリングがなされた伝送用リソースか、実際にスケーリングがなされた伝送用リソースか、過去のチャネル状態かを用いて、現在のタイムスロット20のためのユーザの伝送用リソースを計算する。プロセッサはさらに、現在のタイムスロットのためのレート領域と、当然ながら、符号16により提供される1つ以上の未来のタイムスロットのためのレート領域とに依存する。プロセッサ18は、符号24において現在のタイムスロットのユーザのために計算された伝送用リソースを出力する。
予測部10は、特に効果的な実施態様においては、過去の、好ましくはパラメータ化されたレート領域を記憶する関連した記憶部26を有している。その一方で、記憶部26は、過去の割当ての別の表現を記憶することができるが、パラメータ化されているか又はパラメータ化されていない過去のレート領域から、1つ以上の未来のタイムスロットのためのレート領域を生成するために、このような過去のレート領域を実際に記憶することが好ましい。
図3は、プロセッサ18のより詳細な態様を示している。具体的には、プロセッサ18は最適化問題30を解くものである。そのために、最適化問題は最適化対象32に依存しており、この最適化問題を解くことで現在のタイムスロットのための伝送用リソースが得られる。好ましい実施態様では、最適化対象は、1つ以上の過去のタイムスロットと、現在のタイムスロットと、1つ以上の未来のタイムスロットとの伝送用リソースの加重合計又は加重されていない合計に依存したものである。具体的には、過去のタイムスロットと、現在のタイムスロットと、未来のタイムスロットとの伝送用リソースの加重合計又は加重されていない合計を符号33として示しており、この合計は符号34に示す最大化アルゴリズムの条件として用いられる。式33からわかるように、「B」は使用された過去のタイムスロットの数であり、「P」は最適化問題において用いられる未来のタイムスロットの数である。
図3において符号35及び符号36に示すように、比例的公平ユーティリティUを用いることが好ましい。具体的には、1つ以上の過去のタイムスロットの伝送用リソースの合計の対数をユーティリティと定め、そのユーティリティの最大化を行う。すなわち、各ユーザの伝送用リソースに対数関数を適用し、それを合計する。他方、非対数のユーティリティ又は任意の別の加重ユーティリティといったその他のユーティリティも用いることができる。
さらに、公平性を確保するために、ユーザには符号36に示すように重みが加えられる。符号36の下の式からわかるように、重みはユーザkのレートに反比例する。ユーザが過去に大きなレートを得ていた場合には、そのユーザは未来に小さな重みが付けられることになる一方で、ユーザkが過去に小さなレートを得ていた場合には、そのユーザは大きな重みが付けられることになる。重みは、小さな重みを有するユーザよりも大きな重みを有するユーザが優先されるようにして最適化問題の解決に影響を及ぼす。この手順により、過去に多くの伝送用リソースを得たことがないあるユーザにはより大きな重みが加えられ、このユーザへのリソースの割当てが個々のレートの最大化に基づく符号35における(加重されていない)ユーティリティに違反するにも関わらず、ある時点において他のユーザよりもそのユーザが優先されるほど重みが大きくなる。
直交アクセスシステムのための予測型スケジューリングは、次のタイムスロットのチャネル利得の推定に基づいている。これによってレートの予測が直接的に得られる。この直接的な関係は、改良型のマルチユーザシステムの場合には与えられない。
[レート領域の予測]
レート領域の予測にあたり、それまでに得られたレート領域R[0],...,R[t]の情報(チャネル状態)を用い、これらの情報が未来を表すものであることを前提とする。未来のタイムスロットp>tのレート領域
Figure 0005459645
を予測する2つの具体的方法がある(集合の加重合計は、
Figure 0005459645
として定義される)。
・完全なレート領域に基づく予測
Figure 0005459645
・内部近似に基づく予測
Figure 0005459645
ただし、R[τ’]⊆R[τ’]は、R[τ’]の境界点の凸包(convex hull)によって形成される内部近似である。
近似重みapτ’を用いて、過去のレート領域の影響を調整することができる。通常の重みの選択は、いくつかの過去のレート領域の平均をとることであるが、例えば統計的な特性及び/又は予測推定誤差に合った別の選択も可能である。
[予測型マルチユーザスケジューラ]
予測型スケジューリングの場合、真の平均レート領域は、近似に置き換えられる。予測に基づいて、近似レート領域を以下のように定義することができる。
Figure 0005459645
変数B及びPは、近似において考慮する過去(戻り読み)と未来(先読み)のタイムスロットの数を表すものである。それまでのB個のタイムスロットのレート割当てr[t−1],...,r[t−B]は変更することができず、固定されていることを前提とする。レート領域R[t]は既知である。他方、P個の未来のタイムスロットのレート領域は知られていないため、予測
Figure 0005459645
に置き換えられる。性能に対する各タイムスロットの影響は、重みwτ(τ=t−B,...t+P)によって調整することができ、これらは通常、対象とする平均スループットの定義に適合するように選択される。これらの前提の下で、現在のタイムスロットにおけるレート割当てr[t]∈R[t]を、次の最適化問題を解くことにより見いだすことができる。
Figure 0005459645
問題(1.1)とは異なり、問題(1.7)は因果的に解くことができる。ある解
Figure 0005459645
について、現在のタイムスロットのためのレート設定r[t]=r[t]が得られる。未来のタイムスロットについて計算されるレート割当ては仮想的なものに過ぎず、次のタイムスロットにおいて再計算されることに留意されたい。
続いて、図10a及び図10bを参照して式(1.7)の効率的な態様を説明する。
[効率的な態様]
問題(1.7)は通常、一連の加重合計レートの最適化、例えば単体分割(simplicial decomposition)アルゴリズム(非特許文献23「Charles A. Holloway. An extension of the Frank and Wolfe method of feasible directions. Mathematical Programming, 6:14-27, 1974.」、非特許文献24「Balder Von Hohenbalken. Simplicial decomposition in nonlinear programming algorithms. Mathematical Programming, 13:49-68, 1977.」)によって解かれる。単体分割アルゴリズムは、2つのステップ、すなわち列生成44と、最適解の推定値
Figure 0005459645
を更新するための親問題(master problem)46とからなる。親問題は、推定値を改善するために、それまでに生成された列と新たな列との凸結合(convex combination)を形成する。第i番目のステップにおける列生成は、以下のようになる。
Figure 0005459645
すなわち、加重合計レート(weighted sum-rate, WSR)の最大化問題を解くことになる。親問題は
Figure 0005459645
であり、その解が推定値
Figure 0005459645
の更新値を提供する。親問題は単純な制約(凸包は明示的にパラメータ化することができる)を有し、数学的プログラミングのための標準的な方法によって解くことができる。
以下、結果として生じるいくつかのタイムスロットについて類似した問題を解くことを考慮した、より効率的な解決法を提供する。ここでは単体分割法を一般化したものを用いる。詳細は非特許文献25「D. P. Bertsekas and H. Yu. A unifying polyhedral approximation framework for convex optimization. SIAM Journal on Optimization, 21(1):333-360, 2011.」を参照されたい。本アルゴリズムは関係する全てのレート領域の個々の内部近似を用いる。これらレート領域は、それまでに得られた全てのレート領域R[0],...,R[t]の任意の部分集合(あるいはサブセット)とすることができる。再び、内部近似R[0],...,R[t]の任意の結合あるいは組み合わせによって妥当な内部近似が得られるため、以下の親問題を用いることができる。
Figure 0005459645
列生成ステップにおいては、内部近似が拡大される。対象の線形性に基づいて、式(1.8)におけるWSRの最大化問題を、関係するレート領域別の部分問題に分割することができる。その解は、各レート領域における最適解(optimizer)の加重合計である。現在のレート領域R[t]の内部近似R[t]の拡大を以下の式により見いだすことができる。
Figure 0005459645
完全なレート領域に基づく予測を利用する場合には、R[τ’]、∀τ’=0,...,t−1の内部近似も以下の式により更新する。
Figure 0005459645
ただし、これは、R[τ’]が予測に関連する場合、すなわち
Figure 0005459645
の場合に限られる。予測のために内部近似を用いる場合には、式(1.11)を用いても明らかに近似は拡大しない。
重みは変化する場合があるが、内部近似は有効なままであるため、親問題は結果として生じるいくつかのタイムスロットにわたって非常に類似していることを考慮しなければならない。これにより、それ以前の内部近似を再使用することで、より効率的な態様が提供される。事実、これは内部近似に基づく予測の背後にある直観でもある。この場合は、それまでのレート領域を用いるのではなく、単体分割アルゴリズムを実行している間に得られた内部近似を用いる。このことは、列生成ステップが現在のレート領域R[t]に対してのみ影響することを意味する。したがって、予測型アルゴリズムの複雑度は、複数のWSRの最大化問題及び親問題も必要とする式(1.5)又は式(1.6)によって与えられるスロットごとの公平性とほぼ同じである。その一方で、この予測型アルゴリズムの複雑度は、一つのWSR最大化問題を解き、追跡する変数の閉形式(closed form)の更新値を伴う無記憶アルゴリズムよりも高い。
マルチセルネットワークを対象として、レート領域の内部近似のやり取りを用いて、オーバヘッドの小さい基地局協調のための分散型の方法を得ることができる。
続いて、再び図2を参照する。図2は、本発明を適用することができる問題を示している。問題のシナリオは、いくつかのセル201、202、203、204を含み、各セルは基地局210といくつかの移動端末211とを含む。ここで、解くべき問題は、各移動端末211が、伝送レート、周波数チャネルの数、タイムスロットの数及びサイズ、周波数スロット、コードスロット、又は空間チャネル等といったある伝送用リソースを受け取る必要があるということである。特に、無線の状況は、全ての移動端末211がある程度互いに影響を与えるようになっており、このような互いに対する相互依存性は、通常は達成可能なレート領域Rによって表される。達成可能なレート領域Rは、本発明では必ずしもそうである必要はないが、例えば凸集合であるとする。レート領域Rは、MIMO伝送などの物理層の手法とチャネルの表現とにより構成される。この問題は双対分割(dual decomposition)によって解くことができ、双対問題(dual problem)は、図5に示すような主双対(primal-dual)アルゴリズムによって解かれる。特に、公平なレート割当てが必要となるが、これは、リソースがゼロのユーザが存在せず、全体としてリソースの最大化が保証されるということを意味する。言い換えれば、あるセル内のユーザ211が最大のレートを受ける場合には、これは、この強力な送信機の近傍にある他の送信機が小さなレートしか有することができない可能性があることを意味するが、双方の送信機が非常に類似したレートを取得すれば、合計総レートがより大きくなる可能性がある。しかし、これは最終的には様々な伝送チャネル、物理層等に依存する。その一方で、セル端にいるユーザに対しても高スループットを達成し、これによって全てのユーザについて高いユーザ満足度を達成するためには、ユーザのレートが比例的公平となるように割り当てられなければならない。通常、レート領域Rの明確な表現は利用できないため、図5に示すような反復型のアルゴリズムが用いられる。このプロセスでは反復が行われ、その反復においては、現在の双対変数(重み)に従って加重合計レート問題の解が計算され、解が最適でない限りは双対変数が更新される。
次に、過去のタイムスロットと、現在のタイムスロットと、未来のタイムスロットの予測とによって定まる平均レート領域に応じた、プロセッサによって扱われることが好ましい加重合計レートの最大化問題を説明するために、図4a〜図4iを参照する。
図4aは、Rの境界上の点を見いだすために用いられる加重合計レートの最大化問題(weighted sum-rate maximization, WSRMax)を示している。このRは、全ての物理パラメータ及び伝送チャネル等を表した、いわゆる達成可能なレート領域Rである。レートが許容可能なレート領域内にあることを条件として、λにrを乗ずることによる積を最大化することになる。図4aからわかるように、複数の直線40が存在する。そして、ある特定の直線41はある点においてレート領域に接しており、反復リソース重み(iteration resource weights)λによって定まるベクトルは線41と直交する。
図4bは、図6と比べて僅かに異なる表現で反復アルゴリズムを示している。具体的には更新ステップ2を示しており、このステップは、λを引数とした加重合計レートの最大化の後に行われる。特に、図4bはレート領域の反復的な探索を示している。反復当たりのコストは、最適化問題WSRMaxと、λを更新する際に必要となる全ての送信機間での信号送信とによって与えられる。主な目標は、反復回数を大きく減らすことである。
図4cは、レート領域の別の反復的探索を示している。ここで、様々な線42は図4aとは勾配が異なり、線43はリソース割当ての結果であるrにおいてレート領域の境界に接しており、λはやはり線43と直交している。
図4dは、加重合計レートの最適化を伴う第1回目の反復ステップを示している。ここで、レート領域を再び示しており、関連する更新された重みλを有するrにおいて第1の反復結果が見いだされる。次に、図4eに示すように、レート領域の内部近似を行う。更新ステップを図4eに示している。次に、図4fにおいて、第2回目の反復が行われるが、今度は図4eにおいて計算された別のλを用いて行われ、これは、線50がレート領域Rに接する点が求められることを意味し、この点はrに相当する。続いて図4gに示すように、レート領域の内部近似が再び行われ、第2回目の反復においてrが、それまでの2回の反復ステップにて求められたr及びrの加重結合として計算される。そして、λの更新値が、当該反復ステップのリソース割当ての結果と、それ以前の少なくとも1つの反復ステップのリソース割当ての結果との加重結合に基づくものとなるように、rを用いて新たなλを最終的に計算する。
次に、図4hに示すように、第3回目の反復によりrが得られる。つまり、図4gにおいてλが計算され、図4hにおいて、λにより決まる勾配を有する直線がレート領域と接する点が決定される。このため、第3の反復の結果はrとなる。図4iに示すように、これ以上改善された結果を得ることができないため、ここで反復が終了する。
続いて、図9b及び図9cを特に参照してシミュレーション結果を説明する。対象のシナリオはマルチユーザMIMOシステムであり、4つのアンテナを備えた単一の基地局が、それぞれ4つのアンテナを有するK=10人のユーザに対してサービス提供する。チャネルは時間とともに変動するものの、0.5msの1タイムスロット内では一定であることを前提とする。この0.5msは、LTEにおけるタイムスロットの長さである(非特許文献26「Stefania Sesia, Issam Toufik, and Matthew Baker. LTE, The UMTS Long Term Evolution: From Theory to Practice. Wiley, April 2009.」)。チャネルは送信機及び受信機が完全に把握しており、平均電力制約に関して、電力のバジェットをタイムスロット間でやり取りできないことを暗に意味するピーク電力制約があることを前提とする。送信機は、WSR最大化のための効率的な方法が利用可能な、MIMO BCの容量領域内の全てのレートをサポートする機能を有することを前提とする。
本方法は、図10cにあるような平均スループットの3つ全ての定義に適用できるが、数値シミュレーションにあたっては固定ウィンドウサイズの場合の性能を調べる。すなわち、固定されたTに関してユーティリティ
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を最適化しようとするものである。このために、予測型比例的公平アルゴリズムのためのパラメータとして、B=tと、P=T−t+1と、w=1/Tとを選択する。すなわち、ウィンドウ内の全ての過去の割当てを考慮し、残っている全てのタイムスロットのレート領域を予測し、各タイムスロットは重みが同じであるとする。
ユーザkのチャネル係数は、平均μ及び分散σの対数正規分布に従う長期シャドーフェージングに依存する。シャドーイングはユーザごとに独立しているが、あるユーザの全てのチャネル係数については同じである。シャドーフェージングは、考慮するウィンドウサイズ内では一定であることを前提とする。チャネル係数の時間的変動は、ユーザの移動に応じた、独立した微細なフェージング(レイリーフェージング)に起因するものである。
2つのシナリオを示す。1つは同種(homogeneous)のユーザに関するものであり、全てのユーザについてσ=0dBである。もう1つは多種(heterogeneous)のユーザに関するものであり、全てのユーザについてσ=4dBである。シャドーフェージングの平均はいずれの場合も0dBである。
100個のウィンドウにわたる平均を用いる。1つのウィンドウ内のチャネル表現(channel realization)は相関があり、ウィンドウごとの表現は独立している。全てのユーザはトラフィックに関して無限のバックログを有するが、有限の時間ウィンドウ内でサービスの公平な共有を保証するためにウィンドウ長Tを用いる。
参考用として以下を用いる。
・最大スループット(Maximum Throughput)
最大スループットは、単に各タイムスロット内で合計レートを最大化することによって因果的に容易に達成することができる。
・最大最小公平(Max-Min Fairness)
最大最小公平では、全てのタイムスロットにて全てのユーザの最小レートを最大化する。これはユーティリティ最大化問題を解くことによって行うことができる。
・非因果的上界(Non-Causal Upper Bound)
非因果的上界は、全てのチャネル表現が事前にわかっていることを前提として見いだすことができる。この場合、ユーティリティの最適なスケジュール、すなわちタイムスロットごとの最適なレート割当てを計算することができる。
・スロットごとの比例的公平(Proportional Fair per Slot)
この場合、全てのタイムスロットにおいて比例的公平性が確立される。過去の割当ては無視され、予測は考慮しない。
・勾配スケジューラ(Gradient Scheduler)
数値シミュレーションにより、勾配スケジューラが確率的劣勾配(stochastic subgradient)及び待ち行列法(queuing method)よりも明らかに性能が優れていることを示す。そのため、それらを含めない。
・予測型比例的公平マルチユーザスケジューラ(Predictive Proportional Fair Multi-User Scheduler, P−PF)
性能を評価するために、非特許文献20に記載されているようなTで正規化したドップラー周波数(T normalized Doppler frequency)の定義を用いる。小さな正規化ドップラー周波数は、チャネルが適用される時間ウィンドウ内でほとんど変動せず、日和見的であることにより得られるスケジューラの利得がほとんどなくなることを意味する。図9bは、同種(homogeneous)のシナリオの場合の、比例的公平ユーティリティ及び合計スループットの双方における説明した方法の性能を示している。予想されたように、適用される時間フレーム内のチャネルの変動が増加すると、勾配及び最大スループットのスケジューラは上界に収束する。同じことが新規の方法(P−PF)についても見て取れる。この方法は、小さな正規化ドップラー周波数の場合に大きな利得を有し、従来技術による方法よりも性能が優れている。長期にわたる公平性を達成するために、関係性の薄いアルゴリズムを用いることができるという非特許文献18の結論を検証できるが、より厳しい公平性の制約及び遅延の制約を有するシナリオにおいて予測型スケジューラは大きな利点を有する。
多種のシナリオの結果を図9cに示している、まず、最大スループットのスケジューラを用いた場合にはユーザのスタベーションが生じていることがわかり、そのため公平性ユーティリティは負の無限大となり、このことは、公平性を達成するためにはスループットのうちのいくらかを犠牲にしなくてはならないことを意味する。その一方で、最初のシナリオと同様に新規な本方法は既存の全ての方法よりも性能が優れている。最も競合しているのは、同様の複雑度であるタイムスロットごとの比例的公平(proportional fair)である。勾配スケジューラは漸近的には最適であるが、有限の時間フレームのシナリオで用いた場合は急激に劣化する。
次に、図6〜図9aを参照して本発明の別の態様を説明する。
本発明は、ロバストな協調送信方法を取り入れたマルチセルMIMO通信のための概念を提供するものである。特に、ロバストな協調送信では、ユーザがいくつかの送信インターバルの間切断されてしまう場合が許容されている。目標は、短期の公平性を有するロバストな方法である。そして、その解決法が予測型マルチユーザスケジューリングである。
予測型マルチユーザスケジューリングは、時間とともに変化するチャネルを有する確率的ネットワーク及び改良型のマルチユーザ伝送(multi-user transmission, MU−MIMO)のためのダウンリンク送信に関係する。利得は日和見的なリソース割当てによって得られるが、ユーザのスタベーションも見られる可能性がある。したがって、最大スループットと公平性との間のトレードオフが求められる。目標は、日和見的かつ公平にリソースを割り当てることである。マルチユーザMIMOシステム又は改良型マルチユーザシステムにおける比例的公平は、比例的公平性とユーティリティの最大化との関係に関連するものである。一実施形態では、マルチユーザシステムのために一般化された比例的公平スケジューリングとしての役割を果たす勾配アルゴリズムが好ましい。
図6は、本発明により解決法が提供されるシナリオを示している。図6は、過去のタイムスロット1及び2と、現在のタイムスロット3と、未知の未来のタイムスロット4及び5とを示している。さらに、各タイムスロットにはチャネルを表現したものが関連付けられており、例えばタイムスロット1の場合はH[1]である。平均スループットは直接的に最適化することはできない。これは、過去のr[1]、r[2]というレート割当てを変更できないことに起因したものである。
さらに、未来のチャネルH[4]、H[5]は未知であり、チャネルH[3]及び現在のタイムスロットはわかっている。したがって、現在のスロット3の場合のレート領域内にあるレートr[3]のみを割り当てることができる。
図7aは、勾配アルゴリズムに依存した従来技術による解決法を示している。この解決法では、漸近的に最適な選択のルール(長期平均)が提供されるが、有限のウィンドウ長又はスライディングウィンドウの場合には性能が劇的に低下する。特に、勾配アルゴリズムは、過去のレート割当てと、現在のタイムスロットのためのレート領域とを入力として用いる。特に、現在のタイムスロットのレート領域は、現在のタイムスロットのチャネルを表すH[3]から生成される。この入力に基づいて、勾配アルゴリズムは、現在のタイムスロットのための伝送用リソースr[3]を決定する。その一方で、未来は未知であり、勾配アルゴリズムは考慮しない。
図7bは、チャネル予測に依存した別の手法を示している。特に、タイムスロット4及び5の場合の未来のチャネルは、過去のチャネルH[1]及びH[2]を用いて予測される。さらに、現在のタイムスロットのためのチャネルに基づいて、現在のタイムスロットのためのレート領域が計算される。さらに、予測されたチャネルから近似レート領域が計算される。そして、過去のタイムスロットと未来のタイムスロットと現在のタイムスロットとのための全てのレート領域が予測型スケジューラに入力される。次にスケジューラは現在のタイムスロットのスケジューリングを行う。すなわち、例えば図2においていくつかのセル又は基地局について示したような全てのユーザのための例示的な現在のタイムスロット3のための伝送用リソースr[3]を求める。このために、図7bに示す問題が解決される。すなわち、ユーティリティが最大となり、この最大化の結果、全体の伝送用リソース合計rのみならず、現在のスロットのための伝送用リソースr[3]及び未来のタイムスロットのための伝送用リソースr[4]及びr[5]も得られる。その一方で、最大化によって見いだされた未来のタイムスロットのためのレート領域は、アルゴリズムによって計算されるに過ぎず、それが用いられることはない。むしろ、これらは単に「副産物」に過ぎず、次のタイムスロットにおいて、すなわちタイムスロット4が現在のタイムスロットである場合に、そのタイムスロット4のために新たな値が計算される。これは、タイムスロット4が未来のタイムスロットであったときに、そのタイムスロット4について過去に計算された伝送用リソースにはもはや依存しないということである。
他方、この手法は、MIMOチャネル予測を行わなければならず、図7bの右側に示すように、レート領域に対するチャネル状態の複雑なマッピングを行うために複雑度が高くなるため、問題である。
これらの問題の全てに対処するために、図8aに示すような本発明の概念を用いる。この概念は、過去のレート領域に基づく未来のレート領域の予測によるものである。予測は図1の予測部10が行い、予測型スケジューラの処理は図1のプロセッサ18が行う。予測部10は、様々な方法で実装することができる。1つの簡単な態様は、過去のタイムスロットのレート領域R[1]を未来のタイムスロットの予測レート領域R[4]として用い、過去の別のタイムスロット2のレート領域を未来のタイムスロットの予測レート領域のために用いることである。そのため、予測は、過去のレート領域を予測レート領域にコピーすること、又は過去のレート領域を予測レート領域として用いることに依存することができる。一連のレート領域を保持するようにしてこのタイプの予測を行うことが好ましい。すなわち、過去のうち最も新しいタイムスロットのレート領域が未来のうち最も新しいタイムスロットに対して予測され、すなわち、図8aの実施形態では、スロット2のためのレート領域がスロット5のレート領域のための予測として用いられる。さらに、過去のうち最も古いレート領域を、未来のうち最も古いレート領域の予測として用いることが好ましい。つまり、スロット1のためのレート領域がスロット4のためのレート領域として予測され、用いられる。そのため、一連のレート領域が保持される。
他方、別の予測方法も用いることができる。例えば、スピーチの線形予測符号化において知られている予測方法がある。この予測によれば、予測係数が計算され、予測レート領域はより古いレート領域の加重合計である。合計する際の重みは、線形予測の概念によって決定される。加えて、過去のレート領域に基づいて未来のレート領域を計算する他の方法も用いることができる。
そのため、本発明が解決する最適化問題は、レートの合計が可変であり、現在のタイムスロット及び未来の2つのタイムスロットのレートも可変である場合のユーティリティU(r)の最大化である。制約は、図8aに示すように、伝送用リソースが現在のタイムスロット及び未来のタイムスロットのレート領域内になくてはならないということである。好ましくは、レート領域の内部近似によって解が得られ、これらの内部近似は既に概説したようにレート空間における予測に用いられることが好ましい。
図8bは、過去のタイムスロット1及び過去のタイムスロット2の2つの別々のレート領域を示した、より詳細な実施形態を示している。2つの別々のユーザ1及び2の例であり、タイムスロット間でレート領域が実際に大きく変化する可能性があることが見てとれる。
さらに、図4a〜図4fの文脈で説明したロジックを用いてユーザの伝送用リソースr及びrを実際に計算することが好ましい。これは未公開の欧州特許出願第EP10191589.0号に詳細に開示されており、この特許出願は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
さらに、伝送用リソースr、rによって表される点及び軸上の点37a、37bによりパラメータ化されるレート領域の近似を記憶することが好ましい。その一方で、実施態様では、全ての情報が、あるレート領域における最適化によって見いだされた完全な伝送用リソースの形で提供されるため、点37a、37bは必ずしも必要ではない。そのため、伝送用リソースそのものがレート領域の近似を形成し、それまでに割り当てられた伝送用リソースを、特に効率的な実施態様では一方では予測型スケジューラによって用いられ、他方では予測部によって用いられることになるレート領域の近似として用いることが好ましい。
このため、レート領域は、レート領域の境界点上に位置するそれまでのステップの最適化の結果によって近似される。レート領域そのものではなく内部近似を用いることによって、複雑度に関して大きな利点が得られるが、これは現在のタイムスロットの伝送用リソースを決定する精度に関して決定的なものではないことが判明している。
図9aは、既存の方式と比較した、図8bに示した新規の方法によって得られる大きな利得を示す別のシミュレーション結果を示しているが、予測は単純な方式で行っており、さらに改良した予測概念も用いることができる。
したがって、本発明はレート空間における予測型スケジューリングを提供するものである。好ましくは、レート領域の内部近似が記憶され、その内部近似に基づいて予測が行われるため、複雑度及び記憶に関する要件を劇的に低減することができ、勾配スケジューラと比べて複雑度がわずかに増加するだけで、スループット及び公平性の性能に関して大きな利得が得られる。
図9aに関しては、4×4のMIMOの設定を用いている。さらに、シミュレーションでは10人の移動ユーザを実装している。さらに、相関のあるレイリーフェージング(Jakesモデル、車両ユーザ)を用いている。さらに、全てのユーザについて同じチャネルデータをシミュレーションに組み込んでいる。アルゴリズムとしては、最大スループットアルゴリズムと、勾配アルゴリズムと、上界(完全予測)アルゴリズムと、本発明によるアルゴリズムである予測型スケジューリングアルゴリズムとであり、このアルゴリズムは、当然ながら前提条件として完全な予測を伴う上界アルゴリズムを除いて、他の全てのアルゴリズムよりも性能が優れている。
装置との関係でいくつかの態様を説明したが、これらの態様はそれに対応する方法の説明でもあり、ブロック又はデバイスは方法ステップ又は方法ステップの特徴に相当することは明らかである。それと同様に、方法ステップに関連して説明した態様も、それに対応する装置の対応するブロック又はアイテム又は特徴の説明を表すものである。
実施態様要件に応じて、本発明の実施形態はハードウェア又はソフトウェアにより実施することができる。実施態様は、電子的に読取り可能な制御信号が保存されたデジタルストレージ媒体、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、DVD、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、又はフラッシュメモリを用いて実施することができ、それらは、それぞれの方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと連携する(又は連携可能である)。
本発明によるいくつかの実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つが実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと連携することができる、電子的に読取り可能な制御信号を有する非一時的データキャリアを含む。
概して、本発明の実施形態は、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品として実装することができる。このプログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されると、方法のうちの1つを実行するように動作可能である。プログラムコードは、例えば機械可読キャリア上に保存することができる。
他の実施形態には、機械可読キャリア上に保存された、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するコンピュータプログラムが含まれる。
したがって、換言すれば、本発明の方法の一実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行される際に本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
したがって、本発明の方法の他の実施形態は、データキャリア(又はデジタルストレージ媒体若しくはコンピュータ可読媒体)であって、そのデータキャリア上に記録された、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するコンピュータプログラムを有するデータキャリアである。
したがって、本発明の方法の更なる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するコンピュータプログラムを表すデータストリーム又は信号シーケンスである。データストリーム又は信号シーケンスは、例えば、データ通信接続を介して、例えばインターネットを介して転送されるように構成することができる。
更なる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するように構成又は適応化された処理手段、例えばコンピュータ又はプログラム可能な論理デバイスを含む。
更なる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するコンピュータプログラムがインストールされたコンピュータを含む。
いくつかの実施形態では、プログラム可能な論理デバイス(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ)を用いて、本明細書に記載の方法の機能のうちのいくつか又は全てを実行することができる。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためにマイクロプロセッサと連携することができる。概して、本方法は好ましくは任意のハードウェア装置によって実行される。
上述した実施形態は、単に本発明の原理を説明したものに過ぎない。本明細書に記載の構成並びに詳細の変更及び変形は当業者にとっては明らかであることを理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲によってのみ特定され、本明細書における実施形態の説明及び説明のために提示した特定の詳細によって限定されるものではないことを意図している。

Claims (17)

  1. 1つ以上の過去のタイムスロット(14)のレート領域に基づいて、1つ以上の未来のタイムスロット(12)のレート領域を予測し、1つ以上の予測レート領域を得る予測部(10)と、
    1つ以上の前記過去のタイムスロットに対してスケジューリングされた伝送用リソースと、現在のタイムスロット(20)のレート領域と、1つ以上の前記予測レート領域とを用いて、あるユーザの前記現在のタイムスロットのための伝送用リソースを計算するプロセッサ(18)と
    を備えた、複数のアンテナを備えたある基地局からサービスの提供を受けるユーザに対して伝送用リソースのスケジューリングを行う装置。
  2. 前記プロセッサ(18)は、最適化対象(32)を伴う最適化問題(30)を解くことにより前記現在のタイムスロットのための伝送用リソースを計算するものであり、
    前記最適化対象は、1つ以上の前記過去のタイムスロットと、前記現在のタイムスロットと、1つ以上の前記未来のタイムスロットとについての伝送用リソースの加重合計又は加重されていない合計に依存したものである、請求項1に記載の装置。
  3. 前記プロセッサ(18)は、1つ以上の前記過去のタイムスロットと、前記現在のタイムスロットと、1つ以上の前記未来のタイムスロットとについての伝送用リソースの合計の対数によって定められるユーティリティ(35)の最大化を前記最適化対象として用いるものである、請求項2に記載の装置。
  4. 前記予測部(10)は、前記過去のタイムスロットについてのレート領域のグループを、前記未来のタイムスロットのついてのレート領域のグループとして用いるものであり、一連の前記過去のタイムスロットについてのレート領域が前記未来のタイムスロットのために保持される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
  5. 前記プロセッサ(18)は、1つ以上の前記未来のタイムスロットについて推定される伝送用リソースが、前記未来のタイムスロットについての予測レート領域内にあるという前提の下で、前記現在のタイムスロットのための伝送用リソースを、該伝送用リソースが前記現在のタイムスロットについてのレート領域内に存在するものとなるように計算するものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
  6. 前記予測部(10)は、1つ以上の前記過去のタイムスロットについてのレート領域に関する情報を記憶(26)するものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
  7. 前記プロセッサ(18)は、前記現在のタイムスロットのための伝送用リソースの計算に加えて、1つ以上の前記未来のタイムスロットのための伝送用リソースを計算するものであり、
    前記プロセッサ(18)は、前記現在のタイムスロットから時間的に直後のタイムスロット又は伝送用リソースを計算する際に、1つ以上の前記未来のタイムスロットのための伝送用リソースを使用しないものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
  8. 前記過去のタイムスロットと、前記現在のタイムスロットと、前記未来のタイムスロットとについての伝送用リソースの加重合計が、前記過去のタイムスロットと、前記現在のタイムスロットと、前記未来のタイムスロットとについての各レート領域に応じた加重平均レート領域内に存在するという条件の下で、前記プロセッサ(18)は、前記過去のタイムスロットと、前記現在のタイムスロットと、前記未来のタイムスロットとについての伝送用リソースに応じた前記ユーティリティ(35)を最大化することにより、前記現在のタイムスロットのための伝送用リソースを計算するものであり、前記過去のタイムスロット及び前記未来のタイムスロットのための重み係数(w、w)は、前記過去のタイムスロット及び前記未来のタイムスロットの影響を調整するために設定されるものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
  9. 前記プロセッサ(18)は、列生成処理(44)と、前記現在のタイムスロットのための伝送用リソースの推定値を更新するための親問題解決処理(46)とを含む単体分割アルゴリズムにおける一連の加重合計レートの最適化により最適化問題を解くものであり、前記親問題の処理(46)は、それまでに生成された列と新たな列との凸結合を形成して前記推定値を改善するものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
  10. 前記プロセッサ(18)は、前記過去のタイムスロットのための伝送用リソースを計算する際に決定された前記過去のタイムスロットのためのレート領域の内部近似(37a、37b)を記憶(26)し、使用するものである、請求項9に記載の装置。
  11. 前記プロセッサ(18)は、前記過去のタイムスロットに関して前記単体分割アルゴリズムを実行することにより得られた前記過去のタイムスロットについてのレート領域の内部近似(37a、37b)を使用するものであり、前記列生成ステップは、前記現在のタイムスロットのためのレート領域に対してのみ作用するものである、請求項10に記載の装置。
  12. 前記装置がマルチユーザ用MIMOシステムのためのものであり、前記基地局(210)は複数のアンテナを備えており、各ユーザ(211)は1つ以上のアンテナを備えている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
  13. 前記プロセッサ(18)は、電力バジェットをタイムスロット間でやり取りすることができないように、ピーク電力制約を最適化の限界として用いるものである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
  14. 前記予測部(10)及び前記プロセッサ(18)は、1つ以上の前記過去のタイムスロットと、前記現在のタイムスロットと、1つ以上の前記未来のタイムスロットとを含むある時間幅のウィンドウを用いて動作するものであり、
    前記現在のタイムスロットよりも時間的に後の別のタイムスロットのための伝送用リソースを計算する際には、前記別のタイムスロットがあるウィンドウ内に位置決めされ、該ウィンドウが少なくとも1つの過去のタイムスロットと少なくとも1つの未来のタイムスロットとを含むものとなるように該ウィンドウが設定される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
  15. 前記プロセッサ(18)は、最適化問題を解く際に比例的公平ユーティリティを適用するものである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置。
  16. 1つ以上の過去のタイムスロット(14)のレート領域に基づいて、1つ以上の未来のタイムスロット(12)のレート領域を予測(10)し、1つ以上の予測レート領域を得るステップと、
    1つ以上の前記過去のタイムスロットに対してスケジューリングされた伝送用リソースと、現在のタイムスロット(20)のレート領域と、1つ以上の前記予測レート領域とを用いて、あるユーザの前記現在のタイムスロットのための伝送用リソースを計算(18)するステップと
    を含む、複数のアンテナを備えたある基地局からサービスの提供を受けるユーザに対して伝送用リソースのスケジューリングを行う方法。
  17. 請求項16に記載の方法をコンピュータに実行させるプログラムコードを含むコンピュータプログラム。
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