以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明では、各移動端末には、複数の移動端末で共通に使用する代表番号と、個々の移動端末に固有のプライベート番号が割り当てられているものとする。移動端末は、代表番号とプライベート番号のいずれを用いても通信が可能である。なお、以下の説明に使用する番号の割当方法は一例に過ぎない。従って、移動端末10に割り当てられる番号の数や、割り当てられた番号に関する設定などは任意である。また、代表番号と、プライベート番号のうちの1つ以上を0ABJ番号にでき、また、1つ以上を移動ネットワーク用の番号とすることもできるなど、任意に設定することができる。以下の例では、説明のための例として、代表番号を0ABJ番号とし、プライベート番号を090から始まる移動ネットワーク用の番号とする。
<移動端末の構成>
図1は、移動端末10の構成の一例を説明する図である。移動端末10は、制御部11、メモリ12、無線インタフェース部13を備え、さらに、ディスプレイを備える。ディスプレイには、適宜、番号選択画面14などの画面が表示される。メモリ12は、プログラム31や記憶データ36などを記憶しており、制御部11がプログラム31を読み込むことにより、信号処理機能32、番号制御機能33、網制御機能34、および発信制御機能35が実現される。
制御部11は、移動端末10で行われる動作の制御を行う。すなわち、制御部11は、信号処理機能32により、CM(Connection Management)機能などの呼制御に使用されるメッセージの作成を行う。例えば、移動端末10から着信先装置への音声通信のための通信路を確保する際に、CC(Call Control)が用いられるとする。このとき、図1の破線の矢印で示すように、通話の開始を要求するメッセージが移動端末10からフェムトセル20に送信される。メッセージの作成は信号処理機能32により行われ、対応する情報がメッセージに書き込まれる。なお、通話を要求するメッセージとしては、SETUPメッセージなどを用いることができる。信号処理機能32による処理には、発信に用いられる番号に対応する識別子が用いられる。この識別子として、例えば、SETUPメッセージに含まれるCalling party BCD numberを使用することができる。図2は、Calling party BCD numberの情報要素を示す図である。図2に示した情報要素のうちの、番号ディジット領域に移動端末10が通信に使用する電話番号が書き込まれる。なお、Calling party BCD numberには、発番号情報要素識別子、番号種別などの情報要素の他に、予備領域が含まれており、適宜、信号処理機能32による呼制御に用いる情報を格納する構成にすることもできる。
番号制御機能33により、通信に使用する電話番号の選択に関する制御が行われる。例えば、移動端末10が備えるディスプレイに番号選択画面14が表示され、ユーザからの入力などによって選択された電話番号が、通信に使用される電話番号として認識される。また、後述するように、発信元番号として着信先装置に通知する番号をユーザが選択する場合にも、適宜、番号選択画面14などを用いた制御が番号制御機能33により行われる。
図1に示されている番号選択画面14の例には、代表番号表示41、プライベート番号表示42、番号選択43、切断ボタン44、および、通話ボタン45が含まれる。この例では、移動端末10が代表番号とプライベート番号という2種類の電話番号を通信に使用することが可能である。ユーザは、番号選択43を使用して代表番号とプライベート番号のいずれかを選択でき、移動端末10の入力装置(図示せず)を使用して番号選択43の表示される位置を変更することにより選択される番号を変更することができる。番号選択43が代表番号とプライベート番号のいずれかを選択した状態を表示した状態において通話ボタン45をユーザが選択すると、番号選択43で選択されている番号が通話に使用される番号として選択される。図1に示す例では、代表番号表示41が選択されているので、この状態で通話ボタン45が選択されると、番号制御機能33によって、代表番号が通話に用いられる番号として認識される。また、番号選択画面14において切断ボタン44が選択されると、番号制御機能33により、いずれの番号も通話に用いられる番号として選択されていないと認識される。なお、番号選択画面14がディスプレイに表示されるときは、制御部11は、適宜、メモリ12にアクセスして記憶データ36を使用する。
通信に用いられる番号が認識されると、制御部11は、適宜、選択された番号を記憶データ36として一時的に保持することができる。また、通信に使用される番号は、信号処理機能32、網制御機能34、発信制御機能35を用いた処理にも、適宜、使用される。
網制御機能34により、移動端末10から着信先装置に至る通信路を確保するときに使用されるネットワークの指定に関連する制御が実現される。また、移動端末10からの発信を行う前に優先的に使用するネットワークを指定することもでき、その場合は、番号制御機能33により、指定されたネットワークを使用した通信路の確保を行うための制御が行われる。網制御機能34については、後で詳しく述べる。
発信制御機能35により、選択された電話番号を使用する発信を行うための制御が行われる。また、移動端末10が通信を行うための制御であって、信号処理機能32、番号制御機能33、網制御機能34によって実現される制御以外の制御は、発信制御機能35により実現される。
記憶データ36として、移動端末10が使用することができる電話番号、ネットワークに関する情報、移動端末10に付されている移動ネットワークでの識別子などが、メモリ12に記憶される。無線インタフェース部13は、フェムトセル20との間で無線通信を行う。
<フェムトセルの構成>
図3は、フェムトセル20の構成の一例を説明する図である。フェムトセル20は、無線インタフェース部21、無線系プロトコル処理部22、ISUP信号処理部23、SIP信号処理部24、記憶部25、および、有線インタフェース部26を備える。フェムトセル20は、無線インタフェース部21を通して移動端末10と無線通信を行い、有線インタフェース部26から固定回線を通して移動ネットワーク5や固定ネットワーク8を介した通信路を確保する。なお、図3では、固定ネットワーク8はSIP(Session Initiation Protocol)サーバ群であり、移動ネットワーク5はISUP(ISDN User Part)サーバ群であるが、これらは一例に過ぎない。移動ネットワーク5と固定ネットワーク8で通信路形成に用いられるプロトコルはいずれも任意であり、移動ネットワーク5と固定ネットワーク8が同一のプロトコルを用いるネットワークであってもよい。
無線インタフェース部21を用いた移動端末10との無線通信の例としては、SETUPメッセージの受信や移動端末10の呼び出しなどがある。例えば、移動端末10から通信路の確保を要求され、フェムトセル20がSETUPメッセージを受信する場合、SETUPメッセージは無線インタフェース部21を介して受信され、処理が行われる。逆に、移動端末10を着信先とする通信路を確保するときには、無線インタフェース部21を用いて呼び出し信号またはページング信号(Paging信号)が送信される。
無線系プロトコル処理部22は、無線インタフェース部21から入力されたデータの処理を行うことにより、移動端末10から通知された情報を認識する。例えば、移動端末10から受信した情報の種類の判断を行い、SETUPメッセージを受信した場合には、通信の開始を要求するメッセージであると認識して、処理を行う。なお、無線系プロトコル処理部22では、3GPP(3rd Generation Partnership Project)や3GPP2など、フェムトセル20と移動端末10の間の通信で用いられる任意のプロトコルに対応した処理が行われる。
また、無線系プロトコル処理部22は、フェムトセル20が無線通信を行った移動端末10を識別する識別情報の取得も行う。移動端末10の識別情報は、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)や移動端末10に割り当てられた電話番号など、移動端末10を識別することができる任意の情報とすることができる。無線系プロトコル処理部22は、取得した識別情報を、ISUP信号処理部23に通知する。このとき、適宜、無線インタフェース部21から入力されたデータの一部または全部をISUP信号処理部23に出力する構成にすることもできる。移動端末10が発信元の電話番号として着信先装置に通知する番号や、着信先装置に通知する番号を指定するための情報など、呼制御処理に用いられる情報も、適宜、ISUP信号処理部23に通知される。なお、本明細書中で、移動端末10が発信元の電話番号として着信先装置に通知する番号や、その番号を指定するための情報を「番号指定情報」と記載することがある。
さらに、無線系プロトコル処理部22は、フェムトセル20が移動ネットワーク5や固定ネットワーク8を介して通信路の設定要求を受けると、フェムトセル20との通信が可能な移動端末10を呼び出す。例えば、ページング信号を生成して呼び出しの対象となる移動端末10に送信することができる。フェムトセル20では、呼び出された移動端末10と発信元装置との接続処理を無線系プロトコル処理部22によって行うことができる。また、実装に応じて無線インタフェース部21、無線系プロトコル処理部22、ISUP信号処理部23、SIP信号処理部24の一部もしくは全部を用いて移動端末10と発信元装置との接続処理を行うこともできる。
フェムトセル20では、無線インタフェース部21と無線系プロトコル処理部22の動作により、無線通信機能を提供することができる。また、実装に応じて、無線インタフェース部21、無線系プロトコル処理部22およびISUP信号処理部23によって無線通信を行う構成にすることもでき、さらにSIP信号処理部24も無線通信に関わる構成にすることもできる。
ISUP信号処理部23は、無線系プロトコル処理部22から通知された情報から移動端末10の発信元番号を取得する。また、ISUP信号処理部23は、取得した番号と記憶部25に記憶されているデータベースに予め記憶されている情報を比較することで、簡易認証を実施する。記憶部25に記憶されている番号を取得した場合には、SIP信号処理部24に、その旨を通知する。一方、フェムトセル20が移動ネットワーク5もしくは固定ネットワーク8からの着信を受ける場合には、ISUP信号処理部23は、SIP信号処理部24から通知された情報により、呼び出しの対象となる移動端末10を特定する。呼び出しの対象となる移動端末10を特定すると、無線系プロトコル処理部22に特定した移動端末10を通知する。
SIP信号処理部24は、ISUP信号処理部23から移動端末10の番号を通知されると、通知された移動端末10から着信先装置への通信路の確保が要求されていると判断する。そこで、通信路の確保を要求するためのメッセージを作成し、有線インタフェース部26に出力する。有線インタフェース部26は、入力されたメッセージを固定回線に向けて出力する。一方、固定回線から有線インタフェース部26を介して、通信路の確保を要求するメッセージを受信すると、SIP信号処理部24は、移動端末10への着信をフェムトセル20が受信したと判断する。そこで、受信したメッセージ中に含まれている番号を確認し、ISUP信号処理部23に通知する。
このように、フェムトセル20では、ISUP信号処理部23とSIP信号処理部24によって、移動端末10からの発信に対応した着信先への接続処理機能を提供する構成にすることができる。また、適宜、ISUP信号処理部23、SIP信号処理部24に加えて無線インタフェース部21、無線系プロトコル処理部22なども接続処理機能の実現に関わる構成にすることもできる。さらに、有線インタフェース部26とSIP信号処理部24によって、発信元装置から移動端末10への通話要求を処理する着信機能を提供できる。なお、実装に応じて、SIP信号処理部24、有線インタフェース部26の他に、ISUP信号処理部23や無線系プロトコル処理部22なども着信処理に関わる構成にすることができる。
記憶部25は、ISUP信号処理部23やSIP信号処理部24が簡易認証などに用いるデータベースを記憶する。図4は、記憶部25に格納されている情報の一例を説明する図である。この例では、移動端末10の各々について、移動端末10のIMSIに対応付けて代表番号とプライベート番号を記憶している。また、記憶部25は、代表番号に対応する固定電話端末の識別子を記憶している。固定電話端末の識別子としては、例えば、URI(Uniform Resource Identifier)を用いることができる。なお、移動ネットワーク用の電話番号に対応するURIをフェムトセル20が取得しておいて、記憶部25に記憶することもできる。
記憶部25は、さらに、個々のネットワークの指定に用いることができる情報を格納する。また、通信に使用される電話番号や発信元番号として通知する番号についての番号体系に関する情報も格納する。番号体系に関する情報の例としては、ある番号が0ABJ番号、090番号、050番号のいずれに該当するかを識別する情報などが挙げられる。一例として、ネットワークの指定に用いることができる情報をCalled party subaddress、番号体系に関する情報をCalled party BCD numberとして格納することができる。これらの識別情報の例については、後述する。なお、個々のネットワークの指定に用いることができる情報を「網識別情報」と記載することがある。なお、網識別情報は、複数の移動ネットワーク5から1つの移動ネットワーク5を識別可能な情報、もしくは、複数の固定ネットワーク8から1つの固定ネットワーク8を識別可能な情報とすることができる。
なお、前述のとおり、図4に示した記憶部25の構成は一例に過ぎず、記憶部25には、電話番号と、その電話番号に対応するネットワークとの対応関係を記憶する構成にすることもできる。例えば、代表番号と固定ネットワーク8、プライベート番号と移動ネットワーク5を対応させて記憶することもできる。さらに、複数の移動ネットワーク5や複数の固定ネットワーク8が存在する場合には、いずれの移動ネットワーク5もしくは固定ネットワーク8と対応するかを記憶させることもできる。
<ネットワーク構成例>
図5は、移動端末10とフェムトセル20を用いた通信に適用可能なネットワークの例を示す図である。フェムトセル20は回線終端装置3と接続されている。回線終端装置3は、ADSLなどの固定回線と固定アクセス回線4を介して固定ネットワーク8や移動ネットワーク5に接続可能である。そこで、移動端末10がフェムトセル20の通信エリア内に位置するときには、移動端末10はフェムトセル20を介して、移動ネットワーク5を用いた通信路や、固定ネットワーク8を用いた通信路を確保できる。また、移動端末10がフェムトセル20の通信エリアの外に位置する場合であっても、基地局6の通信エリア内では、基地局6を介して通信相手との間の通信路を確保することができる。なお、図5には示していないが、フェムトセル20と回線終端装置3との間に、家庭内LANを形成するためのブロードバンド・ルータを設置することもできる。
図6に、ネットワーク上の各構成要素が格納する情報を説明する図を示す。移動端末10は、前述のとおり、代表番号とプライベート番号、IMSIなどの移動ネットワークで用いられる識別子を記憶する他、網識別情報も記憶する構成にできる。網識別情報の詳細と使用方法については後述する。
フェムトセル20は、固定ネットワーク上の番号(0ABJ番号)としてフェムトセル20に割り当てられた番号を代表番号として記憶している。さらに、フェムトセル20は、代表番号を用いた発信が可能な移動端末10について、そのプライベート番号と移動ネットワークで用いられる識別子を記憶している。代表番号を使用できる移動端末10の数は任意であるが、図6の例では、端末#0と端末#1の2つが代表番号を使用できる移動端末10であるため、フェムトセル20はこの2つについての情報を記憶している。さらに、フェムトセル20を固定ネットワーク上で識別するための識別子や、網識別情報も記憶している。フェムトセル20は、網識別情報を、移動端末10からの発信に応じて通信路を確保するときや、着信先への接続処理を行うときに用いる。
固定ネットワーク8には、サーバ50が接続されている。サーバ50には、固定ネットワーク8に接続されているフェムトセル20や固定電話などを固定ネットワーク8上で識別するために用いられる識別子が記録されている。固定ネットワーク8で用いられる識別子は、URI等を用いることができる。フェムトセル20については、フェムトセル20に対応するURI等と関連付けてフェムトセル20に割り当てられている0ABJ番号を記録することができる。また、後述するように、フェムトセル20が配下の移動端末10について、プライベート番号に対応するURIを取得している場合には、URIとプライベート番号が対応付けて記録される。固定ネットワーク8に通信路の確保を要求するメッセージがフェムトセル20から送信されると、サーバ50を利用して認証が行われ、認証に成功すると、通信路の確保が行われる。
<実施形態(1)>
図7は、移動端末10から固定ネットワーク8を介して発信を行う様子を説明する図である。図8は、移動端末10から発信を行うときの動作を説明するシーケンス図である。以下、図7と図8を参照しながら、移動端末10のユーザが、固定ネットワーク8を通して発信する場合について説明する。ここでは、固定ネットワーク8が優先的に使用するネットワークとして指定されていて、ユーザなどから使用するネットワークの指定を省略できる場合の実施形態について述べる。この場合、ネットワークの指定がされないと、固定ネットワーク8を介した通信路が確保される。以下の手順の番号は、図8に示されている動作に付した番号と対応している。なお、以下の説明において、移動ネットワーク5に接続している着信先装置のことを「着信先の移動端末」、固定ネットワーク8に接続している着信先装置のことを「着信先の固定電話」と記載することがある。
〔固定ネットワークを介した通信路の確保〕
まず、移動端末10から着信先の固定電話への発信が行われる場合について述べる。
(1)移動端末10からの発信に際して、発信元として使用する電話番号の選択が行われる。例えば、移動端末10のディスプレイ部分に、図1に示した番号選択画面14が表示され、ユーザが、移動端末10に備えられている入力装置を使用して、通信に使用する番号を選択する構成にすることができる。このとき、ユーザが、番号選択43をプライベート番号表示42に合わせて、通話ボタン45を押すことによって、プライベート番号を選択することができる。以下の説明では、通信に使用する電話番号としてプライベート番号を選択したときについて述べる。
(2)プライベート番号が選択されると、移動端末10からフェムトセル20に、通話を要求するメッセージが送信される。通話を要求するメッセージには、発信に用いられる番号に対応する識別子が記録されている。ここでは、このメッセージは、例えば、番号ディジットの部分にプライベート番号が書き込まれたCalling party BCD numberを含むSETUPメッセージであるとする。このとき、SETUPメッセージの送信は、プライベート番号を使用して行われる。
(3)フェムトセル20が無線インタフェース部21を用いてSETUPメッセージを受信すると、無線系プロトコル処理部22がSETUPメッセージの処理を行う。無線系プロトコル処理部22は、発信に用いられる番号を格納した情報要素と移動端末10に対応する識別子をそれぞれSETUPメッセージから検出し、ISUP信号処理部23に通知する。例えば、Calling party BCD numberと移動端末10のIMSIが検出され、ISUP信号処理部23に通知される。
(4)ISUP信号処理部23は、Calling party BCD numberの番号ディジットに記録されている番号を抽出し、抽出した番号が記憶部25に記録されている番号であるかの認証を行う。ISUP信号処理部23は、無線系プロトコル処理部22から通知されたIMSIをキーにして、図4に示したような記憶部25に格納されたデータと比較することにより、認証を行う。ここでは、ISUP信号処理部23は、プライベート番号を検出し、記憶部25に格納されている情報と比較し、認証が成功したものとする。
(5)認証が成功すると、フェムトセル20は、SETUPメッセージに付帯情報が含まれているかを確認する。ここでは付帯情報がない場合について説明し、付帯情報等については後で述べる。
(6)フェムトセル20は移動端末10との間の無線通信に用いられるCCメッセージを終端し、固定ネットワーク8を介した通信路の確保を要求するメッセージを固定ネットワーク8に送信する。通信路の確保を要求するメッセージとして、SIPメッセージを用いることができる。SIPメッセージの生成は、ISUP信号処理部23が認証に成功した旨をSIP信号処理部24に通知すると、SIP信号処理部24によって行われる。
図9はSIP INVITEメッセージの第1の例を示す図である。ここで、SIP INVITEメッセージは、SIPメッセージのうち、通信路の確保を要求するメッセージである。SIP INVITEメッセージには、SETUPメッセージに記録されていた情報が、適宜、記録される。例えば、SIP信号処理部24は、移動端末10から受信したSETUPメッセージのCalling party BCD numberに記録されていた番号に対応するURIを、記憶部25から読み出して記録する。なお、URIの記録形式は任意の方法とすることができる。例えば、URIを図8に示すように、「sip:bob@example.com」のように記録することができ、また、10進表現の形態で「tel:+81−1−2345−6789」と記録することもできる。
ここでは、フェムトセル20は、プライベート番号を使用した通信のための通信路を、固定ネットワーク8を介して確保するために、メッセージを固定ネットワーク8に向けて送信している。固定ネットワーク8では、固定ネットワークで用いられる識別子による認証が行われるので、SIP信号処理部24は、認証を成功させるためにメッセージに固定ネットワークで用いられる識別子を記載する。プライベート番号は移動ネットワーク5に対応した番号であるので、SIP信号処理部24は、固定ネットワーク8で用いられる識別子として、例えば、通信路を確保するためのメッセージに記載するURIとして代表番号のURIを選択する。
(7)固定ネットワーク8は、SIP INVITEメッセージを受信すると、サーバ50に記憶されているURI情報と電話番号との関係を確認する。代表番号とそのURIが予めサーバ50に登録されていると、認証が成功し、固定ネットワーク8を介して着信先に対してSIP INVITEメッセージが送信されるなどの処理が行われ、着信先の固定電話との間で通信路が確保される。
このような方法を用いると、移動ネットワーク5に対応したプライベート番号を用いて、固定ネットワーク8を介した通信路を確保することが可能になる。このため、移動ネットワーク5を使用した場合に起こりうる通信品質の劣化を防ぐことができる。
さらに、ここで記載した手順では、プライベート番号を使用して通信を行っていても、プライベート番号を発信元電話番号として通知していない。従って、SOHOの受付窓口を代表番号に統一する場合や、セキュリティ上の問題によりプライベート番号を着信先装置に通知することが望ましくない場合などに有効な手順である。
〔発信元電話番号の通知〕
上記の手順では、プライベート番号の通知を行わない場合について述べたが、ユーザの使用状況によっては、プライベート番号を着信先装置に通知することが望ましい場合もある。そこで、通信路の確保に用いられていない電話番号を発信元電話番号として通知する方法について述べる。
通信路の確保に用いられていない電話番号を発信元番号として通知する場合、上記の手順(2)において、移動端末10は、付帯情報を付加したメッセージをフェムトセル20に送信する。付帯情報は、例えば、SETUPメッセージに含まれるCalling party Subaddressで指定できる。図10は、Calling party Subaddressの情報要素を示す図である。例えば、図10に示したCalling party Subaddressうちの、サブアドレス情報の部分に移動端末10の発信元番号として通知する電話番号を記録することもできる。なお、Calling party Subaddressには、発サブアドレス情報要素識別子、サブアドレス種別などの情報要素の他に、予備領域が含まれており、適宜、信号処理機能32による呼制御に用いる情報の格納に使用することができる。
付帯情報を含むSETUPメッセージが送信された場合には、手順(6)において、フェムトセル20は、Calling party Subaddressの指定に従って、SIP INVITEメッセージにプライベート番号に対応するURIを記載する。SIP INVITEメッセージの記載方法には、以下の2通りの方法がある。
第1の方法では、プライベート番号をSIP INVITEメッセージの情報要素によって通知することができる。例えば、SIP拡張情報によって、SIP INVITEメッセージのタグ情報にプライベート番号を記録する規約を定めておけば、図9に示すように、プライベート番号をタグ情報として通知できる。これにより、着信先装置は、タグ情報からプライベート番号を取得して、発信元番号としての表示などの動作に用いることができる。
第2の方法として、プライベート番号に対応するURIがある場合は、そのURIをSIPメッセージで着信先装置に通知することもできる。この場合は、予め、フェムトセル20が、プライベート番号に対応するURIを取得してサーバ50に記憶させておく。するとフェムトセル20は、手順(6)において、SIPメッセージのFromの欄にプライベート番号に対して確保したURIを指定することができる。図11に、プライベート番号を通知可能なSIP INVITEメッセージの一例を示す。このときに、着信先装置において予めFrom欄に記録されている番号を発信元番号とする設定にしておくか、任意の方法により、From欄に発信元番号が記録されていることを通知する。すると、図11のSIP INVITEメッセージを受信した着信先装置は、「alice2@example2.com」というURIに対応するプライベート番号を発信元番号として認識できる。なお、タグ情報としてプライベート番号のURIを通知する構成にすることもできる。
図12は、メッセージの記録内容と通知される発信元番号の関係の設定例を説明する図である。ケース1は、通信路の確保の部分で説明した、付帯情報が付されていない場合を示している。付帯情報がなく、Calling party BCD numberによって代表番号が通知されているので、SIP INVITEメッセージでは代表番号に対応したURI1が記載され、着信先装置は、発信元番号として代表番号を認識する。
ケース2および3では、フェムトセル20が付帯情報を認識することにより、プライベート番号が発信元番号として通知される。ケース2では、Calling party BCD numberによって代表番号が通知され、Calling party Subaddressでプライベート番号が発信元番号として指定されている。そこで、フェムトセル20は、付帯情報を検出すると、プライベート番号を発信元番号として通知するために、プライベート番号に対応するURI2をSIP INVITEメッセージに記載する。ケース3では、ケース2と同様に付帯情報を検出したフェムトセル20が、予め取得したプライベート番号のURIをタグ情報として通知する。SIP INVITEメッセージには、代表番号のURI1が記載されるが、着信先装置では、タグ情報に対応するプライベート番号が発信元番号として使用される。
なお、付帯情報を使って、代表番号を発信元番号として通知させることもできる。例えば、付帯情報として、発信元番号を固定番号とする旨の指示を示すことができる。この場合は、Calling party Subaddressに付された付帯情報に基づいて発信元番号を代表番号としたSIP INVITEメッセージが作成される。
また、移動端末10からの通信に使用される番号が代表番号(0ABJ番号)である場合も、フェムトセル20や固定ネットワーク8を介して着信先の装置までの通信路を確保することができる。
図13は、移動端末10からの発信に際してフェムトセル20が行う動作を説明するフローチャートである。図13では一例として、移動端末10から代表番号を用いてフェムトセル20にSETUPメッセージが通知される場合のフェムトセル20の動作を示している。フェムトセル20は、移動端末10からSETUPメッセージを受信すると、SETUPメッセージに含まれている番号を抽出する(ステップS1、2)。ここで抽出される電話番号は、発信に使用される電話番号である。抽出された電話番号について、記憶部25に記憶されている情報との認証が成功すると、フェムトセル20は、付帯情報の有無を確認する(ステップS3〜6)。付帯情報がある場合は、付帯情報に従ってSIP INVITEメッセージを生成する(ステップS7)。付帯情報がない場合は、Calling party BCD numberによって通知された番号に対応するURIをSIP INVITEメッセージに記載する(ステップS8)。なお、これまで述べてきたように固定ネットワーク8が優先される場合にプライベート番号での発信を行う例では、代表番号のURIが記載される。
このような実施形態を用いることにより、移動ネットワーク5に対応した番号を用いても、固定ネットワーク8を介した通信路を確保して、通信品質を向上することができる。
なお、これまでの説明には、移動端末10から着信先の固定電話までの通信路の確保について述べたが、着信先装置は移動端末とすることもできる。その場合は、図7に示すように、移動端末10からフェムトセル20、固定ネットワーク8aを介して、移動ネットワーク5に接続し、着信先の移動端末との通信路を確保する。
<実施形態(2)>
実施形態(1)では固定ネットワーク8を優先的に使用する構成であったが、ユーザが通信路の確保に使用するネットワークを選択することができる構成にすることもできる。
〔網の選択が可能な移動端末の構成〕
実施形態(2)で使用される移動端末には、ユーザが網の選択をするための機能を備えている。
図14は、網の選択が可能な移動端末60の構成の一例を説明する図である。移動端末60は、制御部11、メモリ12、無線インタフェース部13を備え、番号選択画面14および網選択画面15をディスプレイに表示することができる。制御部11、メモリ12、無線インタフェース部13、および、番号選択画面14の構成は、実施形態(1)で述べた移動端末10と同様である。また、制御部11がプログラム31を読み込むことにより、信号処理機能32、番号制御機能33、網制御機能34、および発信制御機能35が実現されることやこれらの各機能も移動端末10の場合と同様である。
番号選択画面14と網選択画面15は、ディスプレイに同時に表示される構成にでき、また、番号選択画面14と網選択画面15の片方のみがディスプレイに表示される構成にすることもできる。なお、番号選択画面14が表示されるディスプレイと網選択画面15が表示されるディスプレイは同一のものとすることも、別個のものとすることもできる。
網選択画面15は、網制御機能34によって、適宜、記憶データ36の情報を使用して表示される。網選択画面15は、固定電話網表示71、移動電話網表示72、網選択73、切断ボタン74および通話ボタン75を含む。この例では、移動端末60から固定電話網と移動電話網の2種類のネットワークに接続することが可能である。網選択画面15において切断ボタン74が選択されると、制御部11は、網の選択が行われていないことを認識する。網の選択が行われない場合には、通信を中止する構成にすることができ、また、例えば実施形態(1)に示したように、指定された網を使用する構成にすることもできる。
ユーザの入力などに応じて網選択73が固定電話網と移動電話網のいずれかを選択した状態において通話ボタン75をユーザが選択すると、網選択73で選択されている網が網制御機能34によって認識される。
通信に用いられる網が認識されると、制御部11は、適宜、選択されたネットワークについての網識別情報を記憶データ36として一時的に保持することができる。本明細書中で、選択されたネットワークを識別する識別子を「通信網情報」と記載することがある。また、通信網情報は、番号制御機能33、網制御機能34、発信制御機能35を用いた処理にも、適宜、使用され、選択された網を介して通信路の確保が行われる。
通信に利用する網が認識され、移動端末60からの発信が行われるとき、無線インタフェース部13からフェムトセル20へ通信を要求するメッセージが送信される。このメッセージには通信網情報や、その他の情報が含まれる。例えば、通信を要求するメッセージを、SETUPメッセージとし、Called party Subaddressを用いて通信網情報をフェムトセル20に通知することができる。図15は、Called party Subaddressの情報要素を示す図である。Called party Subaddressは、着信側のサブアドレスを識別するために使用され、サブアドレス種別情報やサブアドレス情報を含むが、予備領域も有している。そこで、例えば、予め、予備領域に格納する情報について移動端末60とフェムトセル20の間で用いられる規約を定義しておけば、この予備領域を使用して通信網情報を移動端末60からフェムトセル20に通知することができる。
〔選択された網を介した通信路の確保〕
図16は、移動端末60から選択された網を介して発信を行う様子を説明する図である。移動端末60において固定ネットワーク8が指定されると図16の実線に沿って固定ネットワーク8aを介した通信路が確保される。着信先が固定電話である場合は、固定ネットワーク8a、8bを介した通信路が確保され、着信先が移動端末である場合は、固定ネットワーク8a、移動ネットワーク5bを介した通信路が確保される。一方、移動ネットワーク5が選択されると、フェムトセル20から移動ネットワーク5aへの接続が行われ、着信先が固定電話であれば、移動ネットワーク5aから固定ネットワーク8bを介した通信路が確保される。また、移動端末へは、移動ネットワーク5a、5bを介して通信路を確保することもできる。
図17は、選択された網を介して発信を行うときに行われる動作を説明するシーケンス図である。ここでは、図16と図17を参照しながら、一例として、移動端末60からプライベート番号を使用して移動ネットワーク5を指定した通信路の確保を行うときについて説明する。
(1)移動端末60からの発信に際して、通信に使用する電話番号の選択が行われる。通信に使用する電話番号は、実施形態(1)において図8を参照しながら説明した手順(1)に記載した手順と同様である。ここでは、プライベート番号が選択されたとする。
(2)使用される電話番号が選択されると、通信路に使用する網の選択が行われる。網の選択は、網選択画面15を用いて行われ、ユーザが、網選択73を移動電話網表示72に合わせて、通話ボタン75を押すことによって、移動電話網が選択される。
(3)通信に使用される電話番号と網が選択されると、SETUPメッセージなどの通話を要求するメッセージが、移動端末60からフェムトセル20に送信され、通信に使用される電話番号と通信網情報がフェムトセル20に通知される。この例では、予備情報に通信網情報が記録されたCalled party Subaddressと、番号ディジットの部分にプライベート番号が書き込まれたCalling party BCD numberを含むSETUPメッセージが送信されたとする。
(4)フェムトセル20が無線インタフェース部21からSETUPメッセージを受信すると、無線系プロトコル処理部22が、そのメッセージから発信元番号、移動端末10の識別子などを抽出する。ここでは、無線系プロトコル処理部22は、Calling party BCD number、Called party Subaddress、および、移動端末10のIMSIを検出して、ISUP信号処理部23に通知する。すると、まず、ISUP信号処理部23はCalling party BCD numberから通信に使用する番号を読み出して、認証を行う。ここで行われる認証や番号の抽出は、図8を参照しながら説明した手順(4)に記載した手順と同様である。
(5)認証に成功すると、ISUP信号処理部23は、Called party Subaddressの予備領域に書き込まれている情報を読み出して、移動端末60において選択された網を検出する。網の検出には通信網情報を用い、記憶部25に記憶されている網識別情報を、適宜、参照する。
(6)フェムトセル20は移動端末60との間の無線通信に用いられるCCメッセージを終端し、移動ネットワーク5を介して通信路を確保するためのメッセージを送信する。このメッセージは、例えば、IAMメッセージとすることができる。その後、フェムトセル20は、適宜、CCメッセージとISUPメッセージの両者を終端して、通信路を確保する。
なお、ここで、実施形態(1)で説明したように、通信に用いる電話番号と通信先装置に発信元番号として通知する電話番号とを同じにすることができ、また、異なる番号とすることもできる。図17の例では、通信には、プライベート番号を使用しているが、発信元の電話番号としては、IAMメッセージで代表番号を通知している。
〔電話番号とネットワークの組み合わせを制限する例〕
これまで、通信路の確保に使用可能な電話番号とネットワークの組み合わせを任意の組み合わせとすることができる場合について説明した。しかし、実装によっては、通信路の確保に使用可能な電話番号とネットワークの組み合わせを制限することも可能である。
図18は、通信路の確保に利用されるネットワークの選択論理の一例を示す図である。例えば、図18に示すような選択肢を記憶部25に記憶させることができる。この場合、ISUP信号処理部23は、SETUPメッセージの内容を認識すると記憶部25を確認して通信路の確保が可能な組み合わせかを確認する。図18の例では、Called party BCD numberに記録されている着信先の電話番号と、SETUPメッセージに格納されたCalled party Subaddressの情報を使用して通話路の確保の可否が決定される。Called party BCD numberの情報要素については、後で述べる。なお、通信路の確保に使用可能な電話番号とネットワークの組み合わせの条件設定には、他の情報を用いることもできる。
図18に示した条件では、0ABJ番号に固定ネットワーク8を介した通信を行う場合と、090から始まる移動ネットワーク上の番号に、移動ネットワーク5を介して通信を行う場合は、フェムトセル20は通信路の確保を許可する。しかし、図18のケース2に示すように、0ABJ番号への移動ネットワーク5を介した通信路の確保が要求された場合は、不適切な設定として、通信路の確保を拒否する設定にすることができる。同様に、ケース3に示すように、移動ネットワーク上の番号への固定ネットワーク8を介した通信路の確保が要求されたときも、フェムトセル20が通信路の確保を拒否する設定にすることができる。
図19は、フェムトセル20の動作の一例を説明するフローチャートである。図19の動作を行うフェムトセル20は、図18に示した制限に従って通信路の確保をするものとする。フェムトセル20は、移動端末60からSETUPメッセージを受信すると、SETUPメッセージに含まれている番号を抽出する(ステップS11、12)。ここで抽出される電話番号は、発信に使用される電話番号である。抽出された電話番号について、記憶部25に記憶されている情報との認証が成功すると、フェムトセル20は、Called party BCD numberとCalled party Subaddressを確認する(ステップS13〜15)。
次に、フェムトセル20は、SETUPメッセージが090番号などの移動番号への移動ネットワーク5を介した発信を要求するものであるかを確認する(ステップS16)。移動番号への移動ネットワーク5を介した通信路の確保が要求されていれば、フェムトセル20は、IAMメッセージを移動ネットワーク5に送信する(ステップS17)。
一方、SETUPメッセージにおいて移動番号への移動ネットワーク5を介した通信路の確保が要求されていない場合は、固定番号への固定ネットワーク8を介した通信路の確保が要求されているかを確認する(ステップS18)。固定番号への固定ネットワーク8を介した通信路の確保が要求されている場合には、フェムトセル20は適切なSIP INVITEメッセージを固定ネットワーク8に送信し、それ以外の場合は通信路の確保を行わない(ステップS19)。なお、ステップS14で認証に失敗した場合や、ステップS19で通信路の確保を行わない場合には、フェムトセル20は、エラーメッセージを移動端末60に送信することもできる。
なお、図18に例示したようなデータベースを用いることにより、通信路の確保に使用可能な電話番号とネットワークの組み合わせを、ユーザが通信に使用する番号、もしくは、通信先に通知する番号に対応付けたものに制限することもできる。この場合は、網選択画面15を使わずに網の選択ができるので、移動端末10を用いて網の選択をすることが可能になる。
<実施形態(3)>
次に、移動端末10または移動端末60への着信について説明する。図20は、発信元の装置から移動端末への通信路を説明する図である。以下の説明では、着信する端末が移動端末10であるものとして説明するが、着信先の端末が移動端末60である場合も同様に着信が行われる。移動端末10への着信は、移動ネットワーク5からの着信と固定ネットワーク8からの着信の2通りが考えられる。前者では、図20の一点鎖線で示す移動端末10bの着信のように、移動ネットワーク5からフェムトセル20bを介して通信路が確保される。後者は、実線で示す移動端末10aへの着信のように、固定ネットワーク8からフェムトセル20aを介して行われる。発信側において電話番号とネットワークの組み合わせを制限していない場合、いずれのネットワークを経由した着信であっても、代表番号への着信とプライベート番号への着信が考えられる。そこで、ここでは、代表番号へ着信の要求がされた場合と、プライベート番号へ着信の要求がされた場合について、フェムトセル20と移動端末10の動作を述べる。
〔代表番号への着信〕
図21は、固定ネットワーク8から代表番号への着信が要求された場合に行われる動作を説明するシーケンス図である。
(1)固定ネットワーク8からフェムトセル20に対して、代表番号への着信を要求するINVITEメッセージが送られる。図22に、INVITEメッセージの内容と着信番号の対応付けの例を説明する図を示す。
(2)INVITEメッセージは、フェムトセル20の有線インタフェース部26を介してSIP信号処理部24に入力されて、URIの確認などの処理が行われる。SIP信号処理部24は、受信したINVITEメッセージに記載されているURIとタグ情報を確認し、記憶部25に格納されている情報を用いて代表番号とプライベート番号のいずれに対して行われる通信要求であるかを認識する。なお、図22に示すようなINVITEメッセージの内容と着信番号の対応付けが予め記憶部25に記憶されている場合は、SIP信号処理部24は、記憶された情報によって着信先の番号を認識する。
ここでは、SIP INVITEメッセージは、図22(a)に示すように、URI1が記載されていてタグ情報への記載がないものであるとする。この場合、SIP信号処理部24は代表番号への着信であると判断する。
(3)代表番号での着信であることを確認すると、フェムトセル20は、代表番号で固定ネットワークに対して着信応答する(100送信)。このとき、SIP信号処理部24はISUP信号処理部23に、代表番号への着信があったことを通知する。
(4)ISUP信号処理部23は、代表番号への着信であることを通知されると、記憶部25から、代表番号のURIと対応付けて記録されている移動端末を抽出し、抽出した移動端末10に対しての着信処理を無線系プロトコル処理部22に要求する。
無線プロトコル処理部ではページング信号(Paging)を生成し、着信処理が要求された移動端末10に対してページング信号を送信する。すなわち、着信先番号によって指定されている移動端末の呼び出し処理を行う。ここでは、代表番号への着信であるので、全ての移動端末10が指定されていることになり、全ての移動端末10にページング信号が送信される。
(5)移動端末10は、RACH(Random Access Channel)を用いて信号をフェムトセル20に送信することにより、ページング信号に応答する。ここで、移動端末10は、自装置を識別する識別子を含めた信号をフェムトセル20に送信する。
複数の端末に対してページング信号が送信された場合、フェムトセル20は、最も早く応答した移動端末10との間で無線通信経路を確立し、通信経路を確立した移動端末10にSETUPメッセージを送信する。なお、フェムトセル20では、2番目以降に応答した移動端末10についても識別子を認識することにより、1つの着信に対して複数の移動端末10と送信元装置の間の通信路を確立することを防止する構成にできる。
フェムトセル20から送信されるSETUPメッセージには、通信を要求する番号を識別する情報が記載されている。例えば、図22(a)に示すように、Called party BCD numberで代表番号を指定し、Called party Subaddressでは番号の指定を行わないものとすることができる。図23にCalled party BCD numberの情報要素を示す。Called party BCD numberは、着番号情報要素識別子や番号種別を示す情報の他に、番号ディジット領域を備えており、適宜これらの領域に情報を格納してSETUPメッセージが作成される。
(6)SETUPメッセージの送信を行うと、フェムトセル20は、適宜、移動端末10との着信信号手続きを行うと共に、固定ネットワークとの信号手続きを行うことで、移動端末と固定ネットワークとの通話路を確立する。
なお、フェムトセル20に送られてくるINVITEメッセージに関して定められる規約によっては、URIを確認することにより着信先の電話番号が代表番号であるかをフェムトセル20が認識することができる場合がある。このときは、手順(2)において、フェムトセル20はURIを確認して着信先を認識し、タグ情報の確認を省略することができる。
図24は、代表番号への着信が要求されたときのフェムトセル20の動作を説明するフローチャートである。フェムトセル20がINVITEメッセージを受信すると、SIP信号処理部24においてURIやタグ情報が確認され、適宜、記憶部25に記憶されている情報との認証が行われる(ステップS21〜23)。認証に失敗した場合は通信を終了するが、代表番号についての認証に成功すると、フェムトセル20は、固定ネットワーク8に応答する(ステップS25)。さらに、フェムトセル20の無線系プロトコル処理部22から、移動端末10へのページング信号が送られ、代表番号を使用して通信が可能な全ての移動端末10の呼び出しが行われる(ステップS26)。呼び出された移動端末のうちのいずれかが応答すると、最も早く応答した移動端末との間に無線通信路を確保し、代表番号を記載したSETUPメッセージを送信する(ステップS27)。なお、前述のとおり、URIを用いることによって代表番号への着信かを認識できる場合は、フェムトセル20はステップS22でURIを確認し、タグ情報の確認を省略する。
このような実施形態では、代表番号への着信を、フェムトセル20の通信エリア内に位置する全ての移動端末10を呼び出す着信として使用することができる。このため、移動端末10を音声通話に使用する際に、代表番号での着信をすることが可能になる。
〔特定の移動端末への着信〕
次に、固定ネットワーク8から特定の移動端末10を指定して着信が要求された場合について述べる。図25は、固定ネットワーク8から特定の移動端末10への着信が要求された場合に行われる動作を説明するシーケンス図である。
(1)固定ネットワーク8からフェムトセル20に対して、特定の移動端末10への着信を要求するINVITEメッセージが送られる。図22(b)に、プライベート番号により特定の移動端末が指定されている場合のINVITEメッセージの内容と着信番号の対応付けの例を説明する図を示す。プライベート番号は、ケース1のように、SIP INVITEメッセージにプライベート番号に対応するURI2を記録することにより通知される。また、実施形態(1)で述べたようにタグ情報を使用してプライベート番号を通知されることある。以下の説明では、例として、ケース2の方法によってプライベート番号が指定されている場合について述べる。
(2)INVITEメッセージは、有線インタフェース部26を介してSIP信号処理部24に入力されて、URIの確認などの処理が行われる。SIP信号処理部24は、受信したINVITEメッセージに記載されているURIとタグ情報を確認してプライベート番号への着信であることを認識する。なお、前述のように、INVITEメッセージの内容と着信番号の対応付けがデータベース中に記録されている場合は、ISUP信号処理部23は、その情報によって着信先の番号を認識する。
ここでは、SIP INVITEメッセージにURI1、タグ情報にURI2が記録され、これらを確認してSIP信号処理部24がプライベート番号への着信であると判断する場合について述べる。
(3)プライベート番号での着信であることを確認すると、フェムトセル20は、固定ネットワークに対して着信応答し(100送信)、SIP信号処理部24はISUP信号処理部23に、プライベート番号への着信があったことを通知する。
(4)ISUP信号処理部23は、プライベート番号への着信であることを通知されると、メモリ中のデータから、SIP INVITEメッセージに含まれるURIとタグを用いて、通話が要求されている移動端末10のIMSIを検索する。IMSIを抽出するとそのIMSIを通知して、着信が要求されている移動端末10への着信処理を無線系プロトコル処理部22に要求する。無線プロトコル処理部22ではページング信号を生成し、着信処理が要求された移動端末10に対してページング信号を送信する。
(5)着信処理を要求されている移動端末10が応答すると、フェムトセル20は、応答した移動端末10との間で無線通信経路を確立して、SETUPメッセージを送信する。SETUPメッセージは、図22(b)に示すように、Called party BCD numberで代表番号、Called party Subaddressではプライベート番号を指定するものとすることができる。各番号の記録方法は、既に述べた方法を用いる。
(6)SETUPメッセージの送信を行うと、フェムトセル20は、適宜、移動端末10との着信信号手続きを行うと共に、固定ネットワークとの信号手続きを行うことで、移動端末と固定ネットワークとの通話路を確立する。
プライベート番号を用いて特定の移動端末10に着信するときに、フェムトセル20が行う動作も、図24のフローチャートで表される。ただし、特定の移動端末10に着信するときには、ステップS26で呼び出される移動端末10は、着信が要求されている移動端末10である。
また、プライベート番号を使用しないで特定の移動端末10に対しての着信を要求することもできる。例えば、フェムトセル20と通信可能な移動端末10のそれぞれを個別に認識するための特定情報を予め決定しておき、その特定情報を移動端末10、フェムトセル20および発信元装置などで共有させておく。発信元装置からは、0ABJ番号を着信先の番号として通話を要求するときに、ある移動端末10を特定するための特定情報をSETUPメッセージに加えることにより、その特定情報に対応した移動端末10を指定して着信を要求する。フェムトセル20は、SETUPメッセージに含まれている特定情報から着信が要求されている移動端末10を認識し、その移動端末10への着信処理を行う。発信元装置では、ユーザが移動端末10の指定を行いやすいように、特定情報を入力インタフェースからの入力情報と関連付けておくこともできる。例えば、ユーザが代表番号の後に「#」を入力すると、1番目の移動端末10が選択され、「&」を入力すると2番目の移動端末10が選択されるように関連付けることができる。
本実施形態で述べたように、移動端末10が代表番号で着信できるようにすることにより、家庭でのセキュリティ上の問題が回避でき、また、移動端末を使用したときにSOHOなどで代表窓口を作るのが難しいという問題も解決できる。さらに、プライベート番号での着信が可能であることから、ユーザのプライバシーも確保できる。
図26は、実施形態(1)〜(3)によって行われる通信の例を説明する図である。また、図26では移動端末60を使用した場合について図示しているが、移動端末10を使用しても同様に通信路の確保が可能である。図26の矢印A〜Dは、確保されている通信路を示し、表(A)〜(D)は、矢印A〜Dの通信路のそれぞれでの着信先番号と着信先装置に通知される発信元番号の組み合わせの例を示している。
移動端末60から発信するとき、ユーザは移動端末60によって着信先に発信元電話番号として通知する番号と通信路の確保に使用するネットワークを選択し、着信先装置への発信を指示する。すると、移動端末60はフェムトセル20に、着信先装置に発信元番号として通知する番号と、使用するネットワークを通知する。フェムトセル20は、認識した内容に沿って通信路の確保のための動作を行い、通信路が確保される。
矢印Aは、使用するネットワークとして固定ネットワーク8が選択されたときに確保される通信路の例を示す。着信先装置が認識する発信元番号は、090番号(プライベート番号)と0ABJ番号(代表番号)のうちの選択された番号である。例えば、着信先装置が0ABJ番号を有する固定電話であるときの例を(A)に示す。矢印Cは、使用するネットワークとして移動ネットワーク5が選択されたときに確保される通信路の例を示す。着信先装置が認識する発信元番号は、この場合も、090番号と0ABJ番号のうちの選択された番号である。例えば、着信先装置が090番号を有する移動端末であるときの例を(C)に示す。
このように、移動端末がフェムトセル20の通信エリア内から発信するときには、利用するネットワークを選択することができる。このため、例えば固定ネットワーク8を介した通信路の方が、移動ネットワーク5を介した場合よりも安い通話料金を提供できる場合に、ユーザは、固定ネットワーク8を選択することができる。
また、使用するネットワークを指定することにより、通信品質を向上させることができる。図27は、音声通話品質の評価基準の例を説明する表である。この例では、音声通話品質を総合音声伝達品質率、エンド・ツー・エンドの遅延、呼損率などを総合してクラスAからクラスCの3つに分類している。クラスAは固定電話並み、クラスBは携帯電話並み、クラスCでは携帯電話以下の音声品質となっている。同一回線上に音声とデータが混在すると音声の通信品質はクラスC程度になってしまうことがある。このような状況は、特にフェムトセル20からインターネットを経由して移動ネットワークへの通信路を確保する場合に起こりやすい。そこで、ユーザが使用するネットワークとして固定ネットワーク8を選択すると、移動端末60を使用しても固定電話並みのクラスAの通信が可能になる。
さらに、発信番号を選択することができるので、例えば、プライベート番号を着信相手に知られたくない場合に、代表番号の番号を用いて発信することによりセキュリティ上の問題を回避することができる。また、使用するネットワークとは対応していない番号を通知することもできる。すなわち、固定ネットワーク8を介して通話する場合でも、プライベート番号の090番号を発信元番号として通知することができる。
一方、移動端末60への着信は、着信番号に対応する1つ以上の移動端末60をフェムトセル20が呼び出すことによって行われる。図26の矢印Bは、固定電話(0ABJ番号)からの着信、矢印Dは移動端末(090番号)からの着信を示す。また、(B)は矢印Bの場合、(D)は矢印Dの場合について発信元番号と着信先番号の組み合わせを示している。
着信のときには、フェムトセル20は、着信先として指定された移動端末60を呼び出す。従って、代表番号として使用されている0ABJ番号が着信番号であれば、フェムトセル20の通信エリア内にある移動端末60の全てが呼び出される。このため、移動端末60を使用して代表番号への着信をすることができる。また、プライベート番号が着信番号であれば、プライベート番号に対応する特定の移動端末60が呼び出される。このような着信方法により、プライバシーを守ることができ、かつ、複数の移動端末60の代表番号を提供することができる。
さらに、このようなフェムトセル20と移動端末60もしくは移動端末10を使用することにより、移動通信サービスの提供者と固定通信サービス提供者の双方の事業を促進できる。すなわち、移動端末を使用して代表番号による発信および着信が可能になることで、移動通信サービスがさらに充実される。一方、フェムトセル20は、固定電話回線に強く依存する機能があることから、フェムトセル20の普及は、固定通信サービス提供者の事業の発展にもつながる。フェムトセル20の固定電話回線に強く依存する機能としては、例えば、緊急呼における位置情報取得メカニズムの提供などがあげられる。従って、実施形態(1)〜(3)に述べたフェムトセルや移動端末は、いずれも、使用するネットワークや通知する番号をユーザに選択させることができ、複数の端末を呼び出す代表番号を提供するだけでなく、通信事業者のビジネスの活性化も促進できる。
<変形例>
実施形態(1)〜(3)にかかるフェムトセルや移動端末の構成や、これらを使用したシステムなどは、以上に述べた形態に限られるものではなく、様々に変形可能である。例えば、移動端末10および移動端末60での制御は、制御部11を用いてソフトウェアによって実現されるだけでなく、その一部もしくは全部をハードウェアによって実現することができる。
また、フェムトセル20の制御も全部もしくは一部をハードウェアによって実現することができ、全部もしくは一部をソフトウェアによって実現することもできる。
実施形態(1)〜(3)で例示したメッセージの形態や使用されるプロトコルなどは、適宜、実装に応じて変更することができる。
また、以上に述べた実施形態においては、移動端末と無線通信を行う基地局をフェムトセル20として説明したが、移動端末と無線通信を行う基地局はフェムトセルに限られない。移動端末との間の無線通信が可能で、移動ネットワーク5および固定ネットワーク8に接続可能な任意の通信装置を用いることができる。
さらに、ネットワークの選択が可能な実施形態では、移動端末からの通信を要求するメッセージによって通信に使用するネットワークを指定する構成にすることもできる。つまり、通信を要求するメッセージに通信網情報が指定されていないときは、そのメッセージの送信に使われた電話番号に対応するネットワークが選択されたと判断する構成にすることができる。
(付記1)
第1の電話番号、第2の電話番号のいずれを用いても発信を行うことが可能な移動端末と無線通信を行う通信装置において、
該移動端末と無線通信を行う無線通信部と、
該無線通信部により、該第1の電話番号を用いた、第1の発信を該移動端末から受信すると、該第1の電話番号に対応する第1の通信網へ該移動端末からの該第1の発信を転送して該第1の通信網を介した、該第1の発信の着信先装置への接続処理を可能とし、該無線通信部により、該第2の電話番号を用いた、第2の発信を該移動端末から受信すると、該第2の電話番号に対応する第2の通信網へ該移動端末からの該第2の発信を転送して、該第2の通信網を介した、該第2の発信の着信先装置への接続処理を可能とする転送部と、
を備えたことを特徴とする通信装置。
(付記2)
前記第1の電話番号と前記第1の通信網との対応関係と前記第2の電話番号と前記第2の通信網との対応関係とを記憶する記憶部を備え、
前記転送部は、該記憶部に記憶した対応関係に基づいて、転送先の通信網を判断する、
ことを特徴とする付記1記載の通信装置。
(付記3)
前記移動端末の識別情報に対応させて、前記第1の電話番号と前記第1の通信網との対応関係と前記第2の電話番号と前記第2の通信網との対応関係とを記憶する記憶部を備え、
前記転送部は、前記第1の発信又は前記第2の発信に含まれる該移動端末の識別情報及び電話番号に対応する通信網を転送先とする、
ことを特徴とする付記1記載の通信装置。
(付記4)
第1の通信網と第2の通信網のいずれを介した通信も行うことが可能な移動端末と無線通信を行う通信装置において、
前記移動端末と無線通信を行う無線通信部と、
前記移動端末が着信先装置に対しての発信に使用する通信網の指定を表す通信網情報を、前記無線通信で取得した情報から認識する通信網認識部と、
前記移動端末からの発信を転送して前記移動端末と前記着信先装置との接続処理を可能とする転送部を、備え、
前記転送部は、前記通信網情報が前記第1の通信網を指定しているときは、前記第1の通信網を介して前記着信先装置への接続処理を可能とし、前記通信網情報が前記第2の通信網を指定しているときは、前記第2の通信網を介して前記着信先装置への接続処理を可能とする
ことを特徴とする通信装置。
(付記5)
前記移動端末から前記第1の通信網に対応する第1の電話番号を用いて発信された前記通信網情報が前記第2の通信網を指定しているとき、前記転送部は、前記第2の通信網を介して前記着信先装置への接続処理を可能とし、
前記移動端末から前記第2の通信網に対応する第2の電話番号を用いて発信された前記通信網情報が前記第1の通信網を指定しているとき、前記転送部は、前記第1の通信網を介して前記着信先装置への接続処理を可能とする
ことを特徴とする付記4に記載の通信装置。
(付記6)
前記通信網情報、前記第1の通信網、および、前記第2の通信網の対応関係を記録する記憶部をさらに備え、
前記転送部は、前記対応関係に基づいて接続処理を可能とする
ことを特徴とする付記5に記載の通信装置。
(付記7)
前記通信網認識部が前記通信網情報を認識しないときは、前記通信網認識部は、前記移動端末との間の無線通信に使われた電話番号に対応する網を介して前記着信先装置への接続処理を可能とする
ことを特徴とする付記4に記載の通信装置。
(付記8)
前記移動端末の発信元番号として前記着信先装置に通知する電話番号を表す番号指定情報を、前記接続処理を前記着信先装置へ要求するメッセージに含める番号制御部をさらに備える
ことを特徴とする付記4に記載の通信装置。
(付記9)
前記着信先装置に通知する電話番号を前記第2の通信網に対応する第2の電話番号に指定している前記無線通信が、前記第1の電話番号を用いて発信されると、前記番号制御部は、前記第2の電話番号を指定する前記番号指定情報を、前記接続処理を前記着信先装置へ要求するメッセージに含め、
前記着信先装置に通知する電話番号を前記第1の通信網に対応する第1の電話番号に指定している前記無線通信が、前記第2の電話番号を用いて発信されると、前記番号制御部は、前記第1の電話番号を指定する前記番号指定情報を、前記接続処理を前記着信先装置へ要求するメッセージに含める
ことを特徴とする付記8に記載の通信装置。
(付記10)
複数の移動端末と無線通信を行う通信装置において、
発信元装置から着信先番号を指定して発信された通信要求を着信する着信部と、
前記移動端末の識別番号と、前記複数の移動端末に共通の番号を表す共通番号と、前記複数の移動端末の各々に個別に割り当てられた個別番号との対応関係を記憶する記憶部と、
前記着信部への着信を転送して前記複数の移動端末のいずれかと前記発信元装置との接続処理を可能とする転送部を、備え、
前記転送部は、前記対応関係に基づいて、前記複数の移動端末のうち前記着信先番号によって指定されている移動端末の呼び出し処理を行う
ことを特徴とする通信装置。
(付記11)
前記転送部は、前記着信先番号が前記共通番号を指定している場合、前記複数の移動端末に対して前記呼び出し処理を行い、
前記転送部は、前記呼び出し処理に最も早く応答した移動端末と前記発信元装置の通信を可能とする
ことを特徴とする付記10に記載の通信装置。
(付記12)
前記転送部は、前記着信部が前記個別番号を指定した通信の開始の要求を受信すると、前記複数の移動端末のうちの前記個別番号に対応する移動端末に対して前記呼び出し処理を行う
ことを特徴とする付記10に記載の通信装置。
(付記13)
前記転送部は、前記着信先番号が前記共通番号を指定している場合、前記通信要求に前記複数の移動端末のうちの1つの移動端末を特定する特定情報が含まれているかを確認し、
前記転送部は、前記通信要求から前記特定情報を認識しないときは、前記複数の移動端末に対して前記呼び出し処理を行い、前記特定情報を認識したときは、前記複数の移動端末のうち前記特定情報で特定される移動端末に対して、前記呼び出し処理を行う
ことを特徴とする付記10に記載の通信装置。
(付記14)
発信に用いる発信元電話番号を第1の電話番号とするか第2の電話番号とするかの選択を受け付ける選択入力部と、
無線基地局との間で無線通信を行う無線通信部と、
該選択入力部が受け付けた選択に応じて、第1の通信網へ転送される該第1の電話番号を用いた発信及び第2の通信網へ転送される該第2の電話番号を用いた発信を前記無線通信部による前記無線基地局との無線通信により実行する発信制御部とを備え、
前記無線通信部は、該第1の電話番号を用いて発信した場合には、前記無線基地局及び該第1の通信網を介して、着信先との間で、無線通信を行い、該第2の電話番号を用いて発信した場合には、前記無線基地局及び該第2の通信網を介して、着信先との間で、無線通信を行う、
ことを特徴とする移動端末。
(付記15)
前記着信先に発信元を認識させるための電話番号として通知する通知電話番号を、前記第1の電話番号とするか前記第2の電話番号とするかの選択を受け付ける通知番号選択部をさらに備え、
前記無線通信部は、前記通知番号選択部により指定された電話番号を、前記通知電話番号として前記無線通信によって前記無線基地局に通知する
ことを特徴とする付記14に記載の移動端末。
(付記16)
第1の電話番号に対応する第1の通信網と第2の電話番号に対応する第2の通信網のいずれを介しても通信を行うことが可能な移動端末であって、
通信に用いる網の選択を受け付ける網選択部と、
無線基地局と無線通信を行う無線通信部と、
前記無線通信部による前記無線基地局との無線通信を制御する発信制御部とを備え、
前記発信制御部は、前記網の選択で選択された網の指定を表す通信網情報を、前記無線通信部から前記無線基地局に送信される情報に付加して、前記通信網情報を前記無線基地局に通知し、
前記無線通信部は前記通信網情報で指定された網を介して、着信先との間で通信を行う
ことを特徴とする移動端末。
(付記17)
前記通信網情報、前記第1の通信網、および、前記第2の通信網の対応関係を記録する記憶部をさらに備え、
前記発信制御部は、前記対応関係に基づいて前記網選択部で選択が受け付けられた網の前記通信網情報を認識して、前記無線通信部から前記無線基地局に送信される情報に付加する
ことを特徴とする付記16に記載の通信装置。
(付記18)
第1の電話番号、第2の電話番号のいずれを用いても発信を行うことが可能な移動端末と無線通信を行う通信装置を、
該移動端末と無線通信を行う無線通信手段、
該無線通信手段により、該第1の電話番号を用いた、第1の発信を該移動端末から受信すると、該第1の電話番号に対応する第1の通信網へ該移動端末からの該第1の発信を転送して該第1の通信網を介した、該第1の発信の着信先装置への接続処理を可能とし、該無線通信手段により、該第2の電話番号を用いた、第2の発信を該移動端末から受信すると、該第2の電話番号に対応する第2の通信網へ該移動端末からの該第2の発信を転送して、該第2の通信網を介した、該第2の発信の着信先装置への接続処理を可能とする転送手段、
として機能させるための通信制御プログラム。
(付記19)
第1の電話番号、第2の電話番号のいずれを用いても発信を行うことが可能な移動端末を、
発信に用いる発信元電話番号を前記第1の電話番号とするか前記第2の電話番号とするかの選択を受け付ける選択入力手段、
前記選択入力手段が受け付けた選択に応じて、第1の通信網へ転送される前記第1の電話番号を用いた発信及び第2の通信網へ転送される前記第2の電話番号を用いた発信を無線通信手段による無線基地局との無線通信により実行する発信制御手段、
前記第1の電話番号を用いて発信する場合には、前記無線基地局及び前記第1の通信網を介して、着信先との間で、無線通信を行い、前記第2の電話番号を用いて発信する場合には、前記無線基地局及び前記第2の通信網を介して、着信先との間で、無線通信を行う無線通信手段、
として機能させるための通信制御プログラム。