JP5453218B2 - 過熱異常監視方法及び過熱異常監視装置 - Google Patents
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Description
電線等の過熱異常検知対象物が存在する監視区域内に、前記揮発性物質を検出可能なセンサを配置し、該センサによって空気中の前記揮発性物質の存在又はその量を監視し、前記揮発性物質が検出されたこと又はその量が予め設定しておいた上限値に達した時点で、監視区域内の前記過熱異常検知対象物に過熱異常が生じていることを検知する工程(B)とを含み、
前記揮発性物質が、イソシアヌル酸トリアリルを含んでいることを特徴とする過熱異常監視方法を提供する。
前記揮発性物質の放出データを記憶したデータベースと、
前記センサからの検出信号を入力し、前記データベースの記憶データを参照し、前記揮発性物質が検出されたこと又はその量が予め設定しておいた上限値に達した時点で、監視区域内の前記過熱異常検知対象物に過熱異常が生じていると判断する中央演算装置とを備え、
前記揮発性物質が、イソシアヌル酸トリアリルを含んでいることを特徴とする過熱異常監視装置を提供する。
(1)電気絶縁物の添加剤として用途が限定されており、一般環境中から検出されない物質であること、及び
(2)過熱異常と判断される温度の前後で検出量に大きな差が生じる物質であること、
の条件を満たす揮発性物質を選定する工程(A)と、
電線等の過熱異常検知対象物が存在する監視区域内に、前記揮発性物質を検出可能なセンサを配置し、該センサによって空気中の前記揮発性物質の存在又はその量を監視し、前記揮発性物質が検出されたこと又はその量が予め設定しておいた上限値に達した時点で、監視区域内の前記過熱異常検知対象物に過熱異常が生じていることを検知する工程(B)とを含むことを特徴とする。
図1は、本発明の過熱異常監視装置の一例を示す概略構成図である。本例の過熱異常監視装置1は、電気絶縁物の加熱により放出される揮発性物質のうち、
(1)電気絶縁物の添加剤として用途が限定されており、一般環境中から検出されない物質であること、及び
(2)過熱異常と判断される温度の前後で検出量に大きな差が生じる物質であること、
の条件を満たすように選定された前記揮発性物質を検出可能であり、電線等の過熱異常検知対象物が存在する監視区域3内に配置されたセンサ2…と、前記揮発性物質の放出データを記憶したデータベース5と、前記センサ2…からの検出信号を入力し、前記データベース5の記憶データを参照し、前記揮発性物質が検出されたこと又はその量が予め設定しておいた上限値に達した時点で、監視区域3内の前記過熱異常検知対象物に過熱異常が生じていると判断する中央演算装置4(以下、CPUと記す)と、CPU4からの警報信号によって過熱異常を表示し、あるいは警報器等の警告手段を駆動させる通報手段6とを備えて構成されている。
試験装置の概要を図2に示す。チャンバー10には20Lのステンレス容器を使用した。チャンバー10内にホットプレート11を設置し、その上にアルミホイルを敷き、1cm×1cmにカットした試験片を50枚並べた。
チャンバー内に無臭空気を30分間通気して置換した後、150℃に加熱した。その後、容器上面から、SPMEファイバー12(シグマアルドリッチ社製:PDMS/DVB)を挿入し、容器内の空気に1分間接触させた後、GC/MSで定量分析を行った。
さらに、加熱温度を50℃、100℃、125℃として同様の試験を行い、加熱温度と揮発性物質のピーク面積との関係を調べた。
図4は、150℃に加熱した碍子カバーから放出される揮発性物質のGS/MS分析結果を示すグラフである。
図3に示すように、常温(25℃)の碍子カバーからは、揮発性物質が殆ど検出されていない。これに対し、150℃に加熱した碍子カバーからは、図4に示す通り複数の揮発性物質が検出された。その中でも図4中に矢印で示すピークに着目し、その揮発性物質を同定した。その結果、該揮発性物質はイソシアヌル酸トリアリルであった。
同様に、電線被覆材についても揮発性物質を調べた結果、アセトフェノンが検出された。
また、電線被覆材から検出されたアセトフェノンについても同様に加熱温度とピーク面積との関係を調べた。その結果、図6に示す通り、100℃を超えるとピーク面積が急激に高くなる傾向が見られた。
一方、用途が限定的で一般環境中からほとんど検出されないイソシアヌル酸トリアリル及びアセトフェノンは、検知対象に利用できる可能性がある。
また、検知したい温度の前後でピーク面積に大きな差が生じる揮発性物質を選定することも重要である。図5、図6から分かるように、イソシアヌル酸トリアリル及びアセトフェノンは、100℃付近から温度上昇に従って急激に放出量が増加しているので、検知温度を100〜150℃、好ましくは125〜150℃とした場合には検知に利用できる可能性がある。
2 センサ
3 監視区域
4 CPU
5 データベース
6 通報手段
10 チャンバー
11 ホットプレート
12 SPMEファイバー
13 ポンプ
14 活性炭
Claims (8)
- 電気絶縁物の加熱により放出される揮発性物質のうち、(1)電気絶縁物の添加剤として用途が限定されており、一般環境中から検出されない物質であること、及び(2)過熱異常と判断される温度の前後で検出量に大きな差が生じる物質であること、の条件を満たす揮発性物質を選定する工程(A)と、
電線等の過熱異常検知対象物が存在する監視区域内に、前記揮発性物質を検出可能なセンサを配置し、該センサによって空気中の前記揮発性物質の存在又はその量を監視し、前記揮発性物質が検出されたこと又はその量が予め設定しておいた上限値に達した時点で、監視区域内の前記過熱異常検知対象物に過熱異常が生じていることを検知する工程(B)とを含み、
前記揮発性物質が、イソシアヌル酸トリアリルを含んでいることを特徴とする過熱異常監視方法。 - 前記揮発性物質を2種類以上選定し、各揮発性物質の存在又はそれらの量をセンサで監視することを特徴とする請求項1に記載の過熱異常監視方法。
- 前記工程(A)において、前記電気絶縁物の加熱温度と揮発性物質の放出量との関係を予め調べておき、前記(B)工程で前記揮発性物質の量を調べることによって、過熱異常発生時に前記過熱異常検知対象物の温度を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の過熱異常監視方法。
- 前記工程(B)において、監視区域内の適所に多数のセンサを配置し、該センサによって空気中の前記揮発性物質の存在又はその量を監視し、これらのうち、前記揮発性物質が検出されたこと又はその量が予め設定しておいた上限値に達したセンサを検知し、監視区域内のいずれの位置に過熱異常が発生したか否かを推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の過熱異常監視方法。
- 電気絶縁物の加熱により放出される揮発性物質のうち、(1)電気絶縁物の添加剤として用途が限定されており、一般環境中から検出されない物質であること、及び(2)過熱異常と判断される温度の前後で検出量に大きな差が生じる物質であること、の条件を満たすように選定された揮発性物質を検出可能であり、電線等の過熱異常検知対象物が存在する監視区域内に配置されたセンサと、
前記揮発性物質の放出データを記憶したデータベースと、
前記センサからの検出信号を入力し、前記データベースの記憶データを参照し、前記揮発性物質が検出されたこと又はその量が予め設定しておいた上限値に達した時点で、監視区域内の前記過熱異常検知対象物に過熱異常が生じていると判断する中央演算装置とを備え、
前記揮発性物質が、イソシアヌル酸トリアリルを含んでいることを特徴とする過熱異常監視装置。 - 前記揮発性物質を2種類以上選定し、各揮発性物質の存在又はそれらの量をセンサで監視することを特徴とする請求項5に記載の過熱異常監視装置。
- 前記電気絶縁物の加熱温度と揮発性物質の放出量との関係を予め調べておき、前記揮発性物質の量を調べることによって、過熱異常発生時に前記過熱異常検知対象物の温度を推定する構成としたことを特徴とする請求項5又は6に記載の過熱異常監視装置。
- 監視区域内の適所に多数のセンサを配置し、該センサによって空気中の前記揮発性物質の存在又はその量を監視し、これらのうち、前記揮発性物質が検出されたこと又はその量が予め設定しておいた上限値に達したセンサを検知し、監視区域内のいずれの位置に過熱異常が発生したか否かを推定する構成としたことを特徴とする請求項5又は6に記載の過熱異常監視装置。
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