JP5452587B2 - 震探ホライゾンスケルトン化 - Google Patents

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Description

本発明は一般的に地球物理学的探査及び地質学的探査に関係し、より具体的には震探データ(地震データともいう)の解析に関係する。特に、本発明はサーフェス(面)及び地質体などのオブジェクトを作成し、それを炭化水素を含有するポテンシャルのある領域を強調表示するために自動的に解析する方法である。本発明のある実施形態は、震探データボリュームから層序学的に一貫性のある多くのサーフェスの同時作成及び解析である。
〔関連出願の説明〕
本願は、2008年5月22日に出願された米国特許仮出願第61/128,547号、2008年6月9日に出願された米国特許仮出願第61/131,484号及び2009年4月14日出願された米国特許仮出願第61/169,122号の権益主張出願である。
震探データの処理及び解釈においては、震探データボリュームをその内部反射に基づくサーフェス(面)又はホライゾン(層位)に換算すると有利である。これらのサーフェスが集合して、震探ボリュームのスケルトンを形成する。大量の震探データから一度に1つのホライゾン又はサーフェスを抽出又は追跡するための多くの方法が記述されている。これらの方法のほとんどは最終的に自己オーバーラップするサーフェスを作成する。このため、同じサーフェスが同じ空間的位置に関連する複数の深度(又は反射回数)をもつことがある。1つの位置につき1つの値以外の全部を捨てることによって複数の値をもつサーフェスを回避する方法もある。典型的には、これら方法は、プロセスの実行中に最初に遭遇したものだけを記憶し、後のものは全く記録しないという単純なものである。さらに、複数のサーフェスを追跡する場合、或る位置では或るサーフェスが別のサーフェスの上にあるかもしれないが、別の位置では反対の関係が生じる。このような状況は総称的にトポロジー的に一貫性がないともいう。現在までに公開されているアプローチは、主としてトポロジー的一貫性を無視しており、そのいくつかを以下にまとめている。
「ザ・バイナリー・コンシステンシー・チェッキング・スキーム・アンド・イッツ・アプリケーションズ・トゥ・サイズミック・ホライゾン・ディテクション(The Binary Consistency Checking Scheme and Its Applications to Seismic Horizon Detection)」,IEEE・トランザクションズ・オン・パターン・アナライシス・アンド・マシーン・インテリジェンス(IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence),11,1989年,p.439‐477において、チェン(Cheng)及びルー(Lu)は、二次元データから地震波スケルトンを抽出する方法を記述している。三次元でもたらされる問題は議論も解明もされていない。この手法はまず強いホライゾンを追跡し、後の反復演算でより弱いものを追跡するという反復的アプローチを採用している。どのような反復演算でも、それ以前の反復演算ですでに追跡したホライゾンによって描画されたエリアに追跡が限定される。複数の隣接トレースを同時に相関付けて追跡を行う。この2つのアプローチを組み合わせると、地質構造を結果に組み込むことができる。この方法はチェン(Cheng)及びルー(Lu),「イテレイティブ・アプローチ・トゥ・サイズミック・スケルトナイゼーション(An Iterative Approach to Seismic Skeletonization)」,ジオフィジクス・55(Geophysics55),1990年,p.1312‐1320にも記述されている。
「サイズミック・スケルトナイゼーション:ア・ニューアプローチ・トゥ・インタープリテーション・オブ・サイズミック・リフレクション・データ(Seismic Skeletonization: A New Approach to Interpretation of Seismic Reflection Data)」,ジャーナル・オブ・ジオフィジカル・リサーチ‐ソリッド・アース・102(Journal of Geophysical Research-Solid Earth102),1997年,p.8427‐8445において、リー(Li),バスデーバン(Vasudevan)及びクック(Cook)は、震探データの解釈のために地震波スケルトンを採用する有用性を記述している。地震波スケルトンは二次元であり、あるホライゾンを分割する場合、どの分岐が次にくるかの決定は地質学的に動機付けられていない。代わりに、この方法は3つの隣接トレースにわたる事象を傾斜の変化を最小限にするように相関させようとする。この方法はホライゾンの反復的拡大のみを含む。
さらに、「アダプターション・オブ・サイズミック・スケルトナイゼーション・フォー・アザー・ジオサイエンス・アプリケーションズ(Adaptation of Seismic Skeletonaization for Other Geoscience Applications)」,ジオフィジカル・ジャーナル・インターナショナル・162(Geophysical Journal International162),2005年,p.975‐993において、バスデーバン(Vasudevan),イートン(Eaton)及びクック(Cook)は、スケルトン化を地震波の処理及び解釈ばかりでなく地球科学への応用の実現に向けたこれ以前の研究の続きである。
「ブランチ・アンド・バウンド・サーチ・フォー・オートマチック・リンキング・プロセス・オブ・サイズミック・ホライゾン(Branch And Bound Search For Automatic Linking Process Of Seismic Horizons)」,パターン・レコグニション・23(Pattern Recognition 23),1990年,p.657‐667において、ファン(Huang)は、ホライゾンを互いに交差及び貫通できるホライゾン拡大の二次元法を開示しているが、地層は交差しないという層序学的パラダイムに背いている。この方法は例えばピークなどの事象をピックし、これら事象間のありうる全ての連関のツリーを構築し、さらに最も線形のホライゾンとなるものを選択することによりホライゾンの生成のみを示す。線形ツリーの枝は、ホライゾンの非線形性のコスト関数を最小限にするように選ばれる。
「ハウ・トゥ・クリエイト・アンド・ユーズ・3D・ウィーラー・トランスフォーム・サイズミック・ボリューム(How To Create And Use 3D Wheeler Transformed Seismic Volumes)」,エスイージー(SEG),2006年において、デグルート(de Groot),デブルイン(de Bruin)及びヘムストラ(Hemstra)は、局所的な傾斜及び走向に従ってサブサンプリングした解像度でホライゾンを補間し、これらホライゾンをシーケンス順に編成し、ホライゾン又はホライゾンに沿った属性ボリュームの平坦化によりこれらホライゾン又はその属性を堆積ドメインで可視化する解釈法を開示している。具体的には、このアルゴリズムは手動ピッキングなどの代替法でピックする必要のある大ホライゾンの入力を要する。大ホライゾンでまとめられる区間内に、小ホライゾンを上又は下のホライゾンに平行に補間し、又は間に線形に補間し、又は地震波属性から推定される局所的な傾斜及び走向に従い補間される。構造上、補間された小ホライゾンは互いに交差しない。
「アン・アプローチ・オブ・サイズミック・インタープリテーション・ベースド・オン・カグニティブ・ビジョン(An Approach of Seismic Interpretation Based on Cognitive Vision)」,第70回イーエージーイー(ヨーロピアン・アソシエーション・オブ・ジオサイ0ンティスト・アンド・エンジニア)コンフェレンス・アンド・エクシビジョン(The 70th EAGE(European Association of Geoscientists and Engineers)Conference and Exhibition),ローマ(Rome),イタリア(Italy),2008年6月9日〜12日に提出されると共に「アン・アプローチ・オブ・サイズミック・インタープリテーション・ベースド・オン・カグニティブ・ビジョン(An Approach of Seismic Interpretation Based on Cognitive Vision)」という題名で2008年5月26日に始まるwww.earthdoc.orgにてダウンロードできる論文で、バーニー等(Verney et al)は、「認知ビジョン」に基づいた人工知的ツールを使用した、震探データの地質学に基づく解釈の方法を開示している。震探データのボクセル結合性を使用して一次反射面の連続性を検出する。次に、ビジュアル特性化ステップを行う。例えば、ある反射面が別の反射面の上にあるか下にあるかに基づいて、年代関係を確立する。最後に、(a)同様な視覚的属性(振幅、層厚、傾斜)を共有し、(b)少なくとも1つの他の反射面から同様な距離に位置する全てのノードを融合することによって、反射面から地層を特定する。この結果は年代順にした地質学的ホライゾンのセットである。
米国特許第7,024,021号明細書(発明の名称:Method for Performing Stratigraphically-Based Seed Detection in a 3-D Seismic Data Volume)において、ダン(Dunn)及びチェルナスチェンコ(Czernuszenko)は、三次元地質体ピッカ及びアナライザーを開示している。この米国特許では、少数の選ばれた地質体をピックするが、これには規定範囲内の属性値を有する地質体又は一定の属性値に隣接する地質体を含んでもよい。ピック中、地質体はマップビュー基準を使用して解析され、自己オーバーラップする地質体を検出及び排除し、代わりに合成地質体を生成する。合成地質体は少なくとも自己オーバーラップなしというトポロジー的条件を満たすが、地質体間の境界はボクセルが検出される順番で判断される。
国際公開第2007/046107号パンフレット(発明の名称:System and Method for Displaying Seismic Horizons with Attributes)において、ジェームス(James)は、1つの値をもつホライゾンを生成し、ホライゾンが分割されたときにしばしば正しい分岐を取る震探自動ピッカを開示している。解釈者は震探データボリューム中の1つ又は複数のシード点を手動で選択することによってこの方法を初期化する。このアルゴリズムはシード点を使用して、次に新しいシード点として扱われる隣接トレースから二次点の集合をピックし、この手順を繰り返す。自己オーバーラップになる2回目のピックは拒絶するが、他のホライゾンとのトポロジー的一貫性は明らかにされない。このアルゴリズムは基本的に制御型マーチング法に基づく。
カーカス(Cacas)に付与された米国特許第7,257,488号明細書(発明の名称:Method of Sedimentologic Interpretation by Estimation of Various Chronological Scenarios of Sedimentary Layers Deposition)は、上/下関係を用いて震探及び地質学的ホライゾンを階層に編成してこれらの層序学的解釈を容易にする方法を開示している。この方法は、成層の堆積の真に迫った年代的シナリオの推定を用いることにより震探データから堆積学的解釈のための関連の情報を自動的に抽出する。アルゴリズムは、震探データをしきい値化し、形態学的細線化を用いて個々のホライゾンを作成することにより始まる。多数のホライゾンが互いに交差する場合、最も線形の対が組み合わされ、他方は、明示的に切り離される。次に、この方法は、それぞれ、各反射面が原始時代及び成層堆積プロセス中に考えられる限り、最も最近の時点で沈降するということを前提として、成層の堆積の第1及び第2の年代的シナリオを反復推定する。基準ホライゾンで始まり、アルゴリズムは、基本的に、ホライゾンを上下に列挙して相対的順序を定める。これら2つの年代的シナリオの解釈は、最終的には、成層の堆積条件を再構成するよう実施される。
相対順序の差は、シナリオの不確実性を推定するために用いられる。
カーカスに付与された英国特許第2,444,167号明細書(発明の名称:Method for Stratigraphic Interpretation of Seismic Images)は、地下の堆積の歴史の判定のために震探画像を層序学的に解釈する方法を開示している。この方法では、少なくとも1つのホライゾンを形成する事象を自動的に追跡し、ホライゾンのところ又はその近くの窓から抽出された類似の震探属性を持つホライゾンを選択し、選択したホライゾンに沿って震探ボリュームを平坦化する。
ボルゴス(Borgos)に付与された米国特許第7,248,539号明細書(発明の名称:Extrema Classification)は、波形及びパッチ特性のクラスタ中の共通の帰属関係によってホライゾンパッチの形成及びマージを行う方法を開示している。この方法は、例えば全てのピークを抽出することによりホライゾンをピックするが、波形のクラスタリングによってこれらを相関させる。同一のクラスタに属するピックは、ホライゾンのパッチを定めるために用いられ、これらホライゾンパッチは、例えばクラスタ指標、位置又は震探属性のような特性によって大きなホライゾンにマージされる。具体的に説明すると、この方法は、3D震探入力ボリュームの極値表示を介して震探ホライゾンの位置をサブサンプル制度で定める。各極値に関し、これは、極値の位置の付近の震探波形の形を表示する係数を導き出し、これら係数の教師なし又は教師ありの分類を用いることにより極値の位置を互いに類似した波形の形をもつグループにソートする。次に、この方法は、震探ボリュームの極値に沿って空間的に連続するとともに分類ボリューム中のクラス見出しに関して連続しているサーフェスセグメントとしてサーフェス基本要素を抽出する。各パッチに取り付けられた特性、例えばクラス見出し、位置、属性値等に対してフィルタリングを行うことにより1組のパッチを組み合わせて最終のホライゾン解釈に至らせることができる。サーフェス基本要素の3つの主要な用途が明らかにされ、即ち、サーフェス基本要素を解釈のために完全なホライゾンの状態に組み合わせること、垂直に配列されたサーフェス基本要素の閉鎖として震探ボリューム内の閉鎖ボリュームを定めること、又はサーフェス基本要素に基づいて断層変位を推定することである。
モンセン等(Monsen et al),「ジオロジック‐プロセス‐コントロールド・インター0リテーション・ベースド・オン・3ディー・ウィーラー・ダイアグラム・ジェネレーション(Geologic-process-controlled interpretation based on 3D Wheeler diagram generation)」,エスイージー(SEG),2007)は、パッチに関する上/下関係を抽出し、これらの関係を用いてトポロジー的ソートの利用によってこれら制約を満足させるパッチの相対的順序を導きだすことによってボルゴスに付与された米国特許第7,248,539号の発明を発展させた。次に、平坦化されたホライゾンをこの相対順序中に位置させて堆積ホイーラー(Wheeler)ドメイン中の解釈を可能にする。SEG要約書は、2008年6月12日に公開された米国特許出願公開第2008/0140319号明細書の基礎である。
ペデルセン(Pedersen)に付与された英国特許第2,375,448号明細書(発明の名称:Extracting Features from an Image by Automatic Selection of Pixels Associated with a Desired Feature)は、数個の選択シード点からサーフェス、例えばホライゾン及び断層を構築する方法を開示している。この方法は、シード点相互間を補間し、ゆっくりと線(二次元)又は表面(三次元)に収斂する多くの経路を生成することによりシード点から遠ざかって外挿する。この方法は、アリが食べ物を求めて動き回るためにコロニーを出る仕方に基づいている。当初、アリの経路は、ほぼランダムであるが、各アリは、フェロモンの臭跡に向かう。アリは、互いの臭いを辿り、経時的に短い上出来の経路が出現する。このストラテジーは、成功が経路に沿う震探データの可干渉性によって決まるホライゾン追跡に合わせて改造された。断層ピッキングのため、成功は、経路に沿う非干渉性によって決まるように見える。啓示的に、個々のセグメントが成長し、中には大きなサーフェスを形成するようマージする場合がある。フォローアップステップでは、セグメントは、これらの向き及び投影軌跡に応じて連結される。
ビスワナサン(Viswanathan)に付与された米国特許第5,570,106号明細書(発明の名称:Method and Apparatus for Creating Horizons from 3-D Seismic Data)は、ユーザが部分ホライゾンを削除し、残りのホライゾンを自動ピッキングのためのシード点として用いること0できるようにすることによるコンピュータ支援ホライゾンピッキング法を開示している。
シトー(Sitoh)に付与された米国特許第5,537,365号明細書(発明の名称:Apparatus and Method for Evaluation of Picking Horizons in 3-D Seismic Data)は、互いに異なるピッキングストラテジー及びパラメータを適用して結果の相互チェックを可能にすることによりホライゾンピックの質を評価する方法を開示している。
スターク(Stark)に付与された米国特許第6,853,922号明細書(発明の名称:System For Information Extraction From Geologic Time Volumes)は、震探データを相対的な地質学的堆積時間のドメインに変換する方法を開示している。この方法は、震探瞬時位相データを明らかにすることに基づいている。
ケスケス等(Keskes et al.)に付与された米国特許第6,771,800号明細書(発明の名称:Method of Chrono-Stratigraphic Interpretation of A Seismic Cross Section Or Block)は、震探データを堆積又は年代層序ドメインに転換する方法を開示している。これらは、仮想反射面を構築し、震探セクション又はボリュームを離散化し、各ピクセル又はボクセル中の仮想反射面の数をカウントし、そしてこのヒストグラムを再正規化する。この手順を全てのトレースについて行うことにより、これらは、各水平スライスが一度に堆積した地質学的層を指示するホライゾンに近似するセクション又はボリュームを作成する。次に、このセクション又はボリュームを用いてデータを堆積又は年代層序ドメインに転換する。しかしながら、この特許文献は、サーフェスの作成を開示していなければサーフェスの分解又はマージも開示しておらず、しかもトポロジー又はトポロジー的一貫性についても開示していない。
米国特許第7,024,021号明細書 国際公開第2007/046107号パンフレット 米国特許第7,257,488号明細書 米国特許第7,248,539号明細書 米国特許出願公開第2008/0140319号明細書 英国特許第2,375,448号明細書 米国特許第5,570,106号明細書 米国特許第5,537,365号明細書 米国特許第6,853,922号明細書 米国特許第6,771,800号明細書
チェン(Cheng)及びルー(Lu),「ザ・バイナリー・コンシステンシー・チェッキング・スキーム・アンド・イッツ・アプリケーションズ・トゥ・サイズミック・ホライゾン・ディテクション(The Binary Consistency Checking Scheme and Its Applications to Seismic Horizon Detection)」,IEEE・トランザクションズ・オン・パターン・アナライシス・アンド・マシーン・インテリジェンス(IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence),11,1989年,p.439‐477 ルー(Lu)及びチェン(Cheng),「イテレイティブ・アプローチ・トゥ・サイズミック・スケルトナイゼーション(An Iterative Approach to Seismic Skeletonization)」,ジオフィジクス・55(Geophysics55),1990年,p.1312‐1320 リー(Li),バスデーバン(Vasudevan)及びクック(Cook),「サイズミック・スケルトナイゼーション:ア・ニューアプローチ・トゥ・インタープリテーション・オブ・サイズミック・リフレクション・データ(Seismic Skeletonization: A New Approach to Interpretation of Seismic Reflection Data)」,ジャーナル・オブ・ジオフィジカル・リサーチ‐ソリッド・アース・102(Journal of Geophysical Research-Solid Earth102),1997年,p.8427‐8445 バスデーバン(Vasudevan),イートン(Eaton)及びクック(Cook),「アダプターション・オブ・サイズミック・スケルトナイゼーション・フォー・アザー・ジオサイエンス・アプリケーションズ(Adaptation of Seismic Skeletonaization for Other Geoscience Applications)」,ジオフィジカル・ジャーナル・インターナショナル・162(Geophysical Journal International162),2005年,p.975‐993 ファン(Huang),「ブランチ・アンド・バウンド・サーチ・フォー・オートマチック・リンキング・プロセス・オブ・サイズミック・ホライゾン(Branch And Bound Search For Automatic Linking Process Of Seismic Horizons)」,(パターン・レコグニション・23(Pattern Recognition 23),1990年,p.657‐667 デグルート(de Groot),デブルイン(de Bruin)及びヘムストラ(Hemstra),「ハウ・トゥ・クリエイト・アンド・ユーズ・3ディー・ウィーラー・トランスフォーム・サイズミック・ボリューム(How To Create And Use 3D Wheeler Transformed Seismic Volumes)」,エスイージー(SEG),2006年 バーニー等(Verney et al),「アン・アプローチ・オブ・サイズミック・インタープリテーション・ベースド・オン・カグニティブ・ビジョン(An Approach of Seismic Interpretation Based on Cognitive Vision)」,第70回イーエージーイー(ヨーロピアン・アソシエーション・オブ・ジオサイエンティスト・アンド・エンジニア)コンフェレンス・アンド・エクシビジョン(The 70th EAGE(European Association of Geoscientists and Engineers)Conference and Exhibition),ローマ(Rome),イタリア(Italy),2008年6月9日〜12日) バーニー等(Verney et al),「アン・アプローチ・オブ・サイズミック・インタープリテーション・ベースド・オン・カグニティブ・ビジョン(An Approach of Seismic Interpretation Based on Cognitive Vision)」,インターネットwww.earthdoc.org,2008年5月26日
震探(若しくは震探属性)データ又は任意の地球物理学的データからトポロジー的に一貫性のある反射ホライゾンを生成する方法、好ましくは多数のホライゾンを同時に生成する方法が要望されている。本発明は、この要望を満たす。
一実施形態では、本発明は、震探データボリューム又は震探属性データボリューム中に識別されたサーフェスをマージして地下地質学的構造又は地球物理学的状態を表す大きなサーフェスを形成する方法であって、隣接のサーフェスをトポロジー的に一貫性のある仕方でマージするステップを有することを特徴とする方法であるのが良い。幾つかの実施形態では、「トポロジー的に一貫性のある」という表現は、サーフェスが(i)自己オーバーラップなし、(ii)ローカル一貫性あり、及び(iii)グローバル一貫性ありのうちの少なくとも1つを満足させることを検証することによって定義できる。より詳細な実施形態では、この方法は、地震探査で収集した震探データボリュームを、視覚表示されたときに地震波を反射することによりデータを生じさせる地下反射面の表示を示す対応のデータボリュームに変換するコンピュータ実施方法において、(a)データボリュームから震探反射波をピックし、ピックから初期サーフェスを作成するステップと、(b)主としてトポロジー的に一貫性のある小さな部分(「パッチ」)に分解するステップと、(c)隣接のパッチをトポロジー的に一貫性のある仕方でマージし、震探データボリュームからトポロジー的に一貫性のある反射波に基づくサーフェスを抽出するステップと、(d)抽出したサーフェスを目視検査若しくは解釈のために表示し又はこれらサーフェスのディジタル表示をコンピュータメモリ又はデータ格納装置にセーブするステップとを有することを特徴とする方法であるのが良い。オプションとして、ステップ(b)及び(c)は、ある一回の反復のステップ(c)からのサーフェスを次の反復のステップ(b)で用いて少なくとも1回繰り返されるのが良い。
上述のステップ(a)では、震探反射波は、震探データボリューム中の隣接のトレース相互間の反射事象を相関させることによりピックされるのが良い。相関は、相関測度として交差事象センブランス又は相関係数を用いてデータピーク(山)とトラフ(谷)を連結することができ、連結は、相関測度があらかじめ選択されたしきい値よりも大きい場合に受け入れられるが、しきい値よりも小さい場合には拒絶される。本発明の幾つかの実施形態では、一義的な相関のみが受け入れられる。変形例として、全てがしきい値を超える単一のピーク、谷又はゼロ交差からの2つ又は3つ以上の相関によって特徴付けられる多重相関連結を識別すると共に受け入れても良い。ステップ(c)において隣接のパッチをマージする前に、トポロジー的一貫性が得られるようパッチを編集するのが良く、トポロジー的に一貫性のないパッチを削除するのが良く又は非一貫性をもたらすデータボクセルを削除するのが良い。
上述のステップ(b)において、サーフェスをパッチに分解するステップは、初期サーフェスを線に収縮させ、線中の継ぎ目を除去してより個々の線を形成するステップと、個々の線を単一ボクセル点(特性点)に収縮させ、隣接のボクセルを追加してボクセルのパッチを形成することにより特徴点を初期サーフェスに沿って伝播させることによって達成されるのが良い。点を初期サーフェスに沿って伝播させる際に野火伝播を用いるのが良く、例えば、各特徴点周りにボクセル厚さ1つ分次々に大きな層を周囲方向に追加し、各伝播は、対応の特徴点を収縮させる元となるサーフェスに限定される。ボクセルの次の周囲方向追加を互いに異なるパッチが出会う場合には止めるのが良く、ボクセルが2つ以上のパッチに属するのが回避される。伝播は、任意のパッチの全てのボクセルが同一の初期サーフェスへの収縮前にトレースバックするよう制限されるのが良い。収縮は、例えば形態学的細線化によって種々の仕方で実施できる。点への線の収縮は、線を同一測度で各端部から同時に収縮することにより達成できる。線への表面の収縮は、内側軸線変換によって実行できる。点の伝播中、点は、トポロジー的一貫性がないためにパッチへの追加に関して拒絶される場合、この点は、追加の特徴点と呼ばれる場合がある。
より一般的な実施形態では、本発明は、炭化水素の探査方法であって、(a)震探調査の結果として得られた震探データ又は震探属性データのデータボリュームを得るステップと、(b)データボリュームをオブジェクトと呼ばれる部分に細分するステップと、(c)1つ又は2つ以上のオブジェクトの領域を形成するステップと、(d)ポテンシャルの面で領域をランク付けする測度を開発し又は選択して地質体、インターフェイスサーフェス若しくはこれらの交差部又は炭化水素堆積物を表す他の物理的地質学的構造又は地球物理学的状態を表示するステップと、(e)測度を用いて領域を優先度付けし、次に優先度付けを利用して炭化水素ポテンシャルについてボリュームを評価するステップと、を備えていることを特徴とする方法であるのが良い。
別の実施形態では、本発明は、地下領域から炭化水素を産出する方法であって、(a)地下領域を表す震探データボリュームを得るステップと、(b)請求項1記載の方法によって、少なくとも部分的に震探データボリュームから抽出されたトポロジー的に一貫性のある反射波に基づくサーフェスに基づいて地下領域中の炭化水素累積のポテンシャルの予測を得るステップと、(c)炭化水素ポテンシャルの予測が確実であることに応答して、地下領域中に坑井を掘削し、炭化水素を産出するステップとを有することを特徴とする方法であるのが良い。
さらに、この方法の実施形態のうちの1つ又は2つ以上は、トポロジー的に一貫性のある反射波に基づくサーフェスを用いて炭化水素累積のポテンシャルを予測し又は分析するステップを更に有するのが良く、「トポロジー的に一貫性のある」という表現は、サーフェスが(i)自己オーバーラップなし、(ii)ローカル一貫性あり、例えば1つのサーフェスが或る1つの場所では別のサーフェスの上に位置することはできないが、別の場所ではその下に位置することができること、及び(iii)グローバル一貫性ありのうちの少なくとも1つを意味し、このことは、例えば3つのサーフェスA,B及びCに関して、AがBの上に位置し、BがCの上に位置する場合、Cはどの場所でもAの上に位置することができないということを意味しており、トポロジー的に一貫性があるという表現は、(i)、(ii)及び(iii)の3つ全てを意味しており、相関は、相関測度として交差事象センブランス又は相関係数を用いてデータピークとトラフを連結することができ、連結は、相関測度があらかじめ選択されたしきい値よりも大きい場合に受け入れられるが、しきい値よりも小さい場合には拒絶され、ピック操作は、コンピュータを用いて自動化され、パッチは、トポロジー的一貫性が得られるよう編集され、トポロジー的に一貫しないパッチは削除され又は非一貫性を引き起こしたボクセルを削除し、その後、近傍のパッチをマージする。
さらに、この方法の実施形態のうちの1つ又は2つ以上では、サーフェスをパッチに分解するステップは、初期サーフェスを線に収縮させるステップと、線中の継ぎ目を除去してより個々の線を形成するステップと、個々の線を単一ボクセル点(特性点)に収縮させるステップと、隣接のボクセルを追加してボクセルのパッチを形成することにより特徴点を初期サーフェスに沿って伝播させるステップとから成り、各特徴点には、互いに異なるラベルがラベル付けされ、ラベルは、特徴点の周りに形成されたパッチに貼付され、互いに異なるパッチが伝播によって拡張されているときに互いに異なるパッチを常時監視する手段が提供され、点を初期サーフェスに沿って伝播させる際に野火伝播を用いるのが良く、これは、各特徴点周りにボクセル厚さ1つ分次々に大きな層を周囲方向に追加し、各伝播は、対応の特徴点を収縮させる元となるサーフェスに限定される。ボクセルの次の周囲方向追加を互いに異なるパッチが出会う場合には止めるのが良く、ボクセルが2つ以上のパッチに属するのが回避され、伝播は、任意のパッチの全てのボクセルが同一の初期サーフェスへの収縮前にトレースバックするよう制限されるのが良く、制御型マーチングを用いて点を初期サーフェスに沿って伝播させ、線への初期サーフェスの収縮は、個々のボクセルの連続線が結果として得られるまでサーフェスの周囲からボクセルの厚さ1つ分の層を連続的に除去するステップを含み、線から接合ボクセルを削除して線を形成し、その後、線を点に収縮させるステップを更に有し、収縮は、例えば形態学的細線化によって種々の仕方で実施できる。点への線の収縮は、線を同一測度で各端部から同時に収縮することにより達成できる。線への表面の収縮は、内側軸線変換によって実行できる。点の伝播中、点は、トポロジー的一貫性がないためにパッチへの追加に関して拒絶される場合、この点は、追加の特徴点と呼ばれる場合がある。
さらに、この方法の1つ又は2つ以上の実施形態は、隣接のパッチをトポロジー的に一貫性のある仕方でマージするステップは、パッチについてオーバーラップ及び近傍表を作成し、オーバーラップ及び近傍表をソートすることによりマージ対候補に関する順序を生成し、オーバーラップ及び近傍表を用いてトポロジー的一貫性があるかどうかについて候補マージをチェックし、トポロジー的に一貫性のあるマージャを受け入れることにより実施されること含み、近傍表のソート順序は、隣接パッチの幾何学的形状又はこれら隣接パッチ相互間の幾何学的形状の差に基づき或いはパッチにコロケートされた震探データから抽出される1つ又は2つ以上の属性の統計学的特性又はこれら属性相互間の差に基づき、一義的な相関のみが受け入れられ、全てがしきい値を超える単一のピーク、谷又はゼロ交差からの2つ又は3つ以上の相関によって特徴付けられる多重相関連結を識別して受け入れ、トポロジー的に一貫性のある反射波に基づくサーフェスを空間的に平坦化して、トポロジー的に一貫性のある反射波に基づくサーフェスを用いると共に平坦化されたサーフェスを用いて堆積シーケンスを表す順序にして炭化水素累積のポテンシャルを予測し又は分析し、トポロジー的に一貫性のある反射波に基づくサーフェスが存在する関連の震探データを平坦化し、震探データ平坦化ステップは、震探データの非線形伸張又はカット・アンド・ペースト法によって実施され、コンピュータを用いて全てのステップを自動化し、ステップ(b)及び(c)は、ある一回の反復のステップ(c)からのサーフェスを次の反復のステップ(b)で用いて少なくとも1回繰り返し、トポロジー的に一貫性のある反射波に基づくサーフェスの堆積順序又は階層を示す視覚表示(即ち、ツリー)を作成し、ツリーを用いて可視化のために1つ又は2つ以上のサーフェスを選択し、パッチを用いて震探データボリュームを、共通インターバル内で堆積した地質学的ユニットを表す三次元地質体又はサーフェス間パッケージにセグメント化し、三次元地質体又はサーフェス間パッケージを用いて炭化水素ポテンシャルがあるかどうかについて分析し、トポロジー的に一貫性のある反射波に基づくサーフェスのエッジ及び末端点の場所及び特性を分析し、この分析結果を用いて炭化水素累積のポテンシャルを予測し又は分析するのを助け、トポロジー的に一貫性のある反射波に基づくサーフェスの属性及び幾何学的特性及び/又はサーフェスの場所のところの関連震探データを分析して炭化水素累積のポテンシャルを予測し又は分析するのを助け、パッチ又はトポロジー的に一貫性のある反射波に基づくサーフェスを用いて震探データボリュームに含まれている情報の量を順序正しく減少させ、それにより震探データの次のデータ処理のために格納又はコンピュータ処理効率に関する要件を緩和し、隣接パッチのマージは、同一の初期サーフェスへの収縮前にトレースバックするパッチに制限される。
本発明の内容及びその利点は、以下の詳細な説明及び添付の図面を参照することにより良く理解できる。
いつでも解釈可能な状態にある震探振幅データから成るボリューム、例えば震探ホライゾンの三次元追跡のコンピュータディスプレイの図である。 本発明の方法により図1の震探データボリュームから抽出されたピーク及びトラフ反射ホライゾンに対応している450個のサーフェスを示す図である。 1つ又は複数の層又はサーフェス相互間のトポロジー的非一貫性の3つのタイプのうちの1つを示す図である。 1つ又は複数の層又はサーフェス相互間のトポロジー的非一貫性の3つのタイプのうちの1つを示す図である。 1つ又は複数の層又はサーフェス相互間のトポロジー的非一貫性の3つのタイプのうちの1つを示す図である。 震探データボリュームのトポロジー的スケルトン化のための本発明の方法の一実施形態を示すフローチャートである。 図4のステップを示す略図である。 図4のステップを示す略図である。 図4のステップを示す略図である。 図4のステップを示す略図である。 隣り合うトレースを横切るピークを追跡することにより得られた震探反射面を示す図である。 本発明の方法の一実施形態により得られた一貫性のある組をなすサーフェスを用いてこれらの全体的順序を定め、震探データ(データボリュームに属する)をこの順序に再構成して解釈に用いる方法ステップを示す図である。 図4の方法の特定の実施形態における基本的ステップを示すフローチャートである。 多値をもつサーフェスを一貫性のあるサーフェスに変換する図8のフローチャートの例示の用途を示す図である。 多値をもつサーフェスを一貫性のあるサーフェスに変換する図8のフローチャートの例示の用途を示す図である。 多値をもつサーフェスを一貫性のあるサーフェスに変換する図8のフローチャートの例示の用途を示す図である。 多値をもつサーフェスを一貫性のあるサーフェスに変換する図8のフローチャートの例示の用途を示す図である。 多値をもつサーフェスを一貫性のあるサーフェスに変換する図8のフローチャートの例示の用途を示す図である。 多値をもつサーフェスを一貫性のあるサーフェスに変換する図8のフローチャートの例示の用途を示す図である。 事象追跡後におけるサーフェスのギャップを埋めることによる事象追跡及び編集を示す図である。 事象追跡後におけるサーフェスのギャップを埋めることによる事象追跡及び編集を示す図である。 事象追跡後におけるサーフェスのギャップを埋めることによる事象追跡及び編集を示す図である。 収縮(細線化)を行い、次にポイントラベル付け及びサーフェス上へのラベルの伝播戻しを行うことによりマップビューにおける概略的な生の潜在的に多値サーフェスから線(ライン)、次に特徴点(ポイント)への推移を示す図である。 本発明の一実施形態において対をなす隣り合うパッチをトポロジー的にマージする基本的ステップを示すフローチャートである。 本発明の別の実施形態において対をなす隣り合うパッチをトポロジー的にマージする基本的ステップを示すフローチャートである。 事象又は多数の良好であるが曖昧な関連の存在との間の相関関係が低いことにより生じる穴(穴は両方とも編集ステップで修復できる)を示す図である。 震探データボリュームの時間/深さ垂直スケールを層序学的配置及び堆積の予想レベル順序に変換する基本的ステップのフローチャートである。 図13のサーフェスに基づくトポロジー的順序及びレベルの一例を示す図である。 図2のデータボリュームの450個のサーフェスに関するサーフェスレベルツリーを示す図である。 ツリーの4層部分の拡大図である。 4つの連続したレベルと関連した図2のサーフェスの全てを示す図である。 図16Aのサーフェスレベルツリーのサーフェスに関するトポロジー的不確実性を示すグラフ図である。 図2のデータボリュームのサーフェスが本発明の方法によって識別された後に地球物理学的時間ドメインからレベルドメイン(トポロジー的レベルドメイン)に変換された図2のデータボリュームを示す図である。 震探ボリュームをレベル又は順序ドメインに変換する方法を示す図である。 図1からのレベル変換震探データを示す図である。 地質学的物体を高格付けする本発明の方法の一実施形態における基本的ステップを示すフローチャートである。 サーフェスに沿って抽出された震探振幅における2つのサーフェスに関する深さ輪郭を示す図である。 サーフェスに沿って抽出された震探振幅における2つのサーフェスに関する深さ輪郭を示す図である。
例示の実施形態と関連して本発明について説明する。以下の詳細な説明が本発明の特定の実施形態又は特定の使用に特有の程度までこれは例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものと解されてはならない。これとは逆に、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれる変形例、改造例及び均等例を全て含むものである。
地球の地下の炭化水素堆積に関する研究のために、地球科学者は、地球のサーフェス(表面)の下を見るための遠隔検知方法を用いている。慣例的に用いられている技術は、人造音波をサーフェス近くで発生させる地震反射法である。音は、地中に伝わり、音が或る1つの岩層から別の岩層に伝わるといつでも、音の僅かな部分が反射されて地表に戻され、ここで記録される。典型的には、数百から数千の記録機器が用いられる。音波は、順次、多くの互いに異なる場所で励起される。これら全ての記録から、地下の二次元(2D)又は三次元(3D)画像をデータ処理後に得ることができる。震探解釈では、炭化水素の探査、識別及び産出に関連した地下特徴部の描写を得るために地下を特徴付けるためのサーフェスの選択を行う場合が多い。本発明は、多数のサーフェスを同時に選ぶ方法に関する。すなわち、本発明の実施形態は、これらサーフェスのうちの多く又は全てを一度に選ぶために使用可能である。
多くのサーフェスを同時に選ぶことができる(即ち、震探データをスケルトン化することができる)ことにより、パターン認識又は機械教示方法が、炭化水素の潜在的な堆積を判定して描写するために炭化水素系の炭化水素又は要素の直接的指標、例えば貯留、シール、ソース、熟成及びマイグレーションについて地質学的又は地球物理学的データをサーチすることができる。
地球物理学的又は地質学的解釈のための用途では、「ホライゾン」と「サーフェス」との間に区別がなされる場合が多い。本明細書で用いられる「サーフェス」と「ホライゾン」は、区別無く使用される場合がある。本発明は、個々のサーフェスを単一値であるようにすると共に全てのサーフェスをトポロジー的に一貫性があるようにしながら多数のサーフェスを同時に作成する方法である。伝統的な方法を用いた場合に多値であり又はトポロジー的に一貫していないサーフェスは、1組の小さなパッチで置き換えられ、これらパッチの各々は、単一値であり且つ他の全てのサーフェスとトポロジー的に一貫する。この方法により、震探データボリュームに含まれている多くの又は全ての反射面を表すサーフェスが創出される。この方法は、震探データのスケルトン化表示を生じさせ、それにより、データの量が大幅に減少する。有利には、この方法は、震探データを組織化してこれらを地質学的に直感で分かる仕方で震探データを提供し、それにより地下の震探解釈及び特徴付けが容易になり、炭化水素の探査及び産出に関連した地下の特徴部の描写が容易になる。
図1は、震探振幅ボリュームの一例を示している。ピーク(明)又はトラフ(暗)を1つのトレースから次のトレースに相関させることにより、サーフェスの定義が可能である。本発明の方法の一実施形態を用いると、図2に示されている450個のサーフェスが図1のこの一例のボリュームについて抽出可能である。図1及び図2並びに他の類似の図面上に示されている数字格子は、ソース及びレシーバ場所によって定められる地震探査の別々の座標を示している。
多くの震探サーフェスは、地下岩層相互間のインターフェイスに対応している。各層は、大まかにいえば同時に堆積した岩石のパケットである。2つの層が互いに並んで位置していると仮定すると、一方が深ければ深いほどそれだけ一層早期に作られ、一方が浅ければ浅いほど、それだけ一層後で作られたものである。科学としての層序学、即ち、岩層順序に関する科学の示唆するところによれば、関係は、空間的には現在では正しい。1つの層が或る1つの場所で別の層の上に位置している場合、この1つの層は、これが存在する場所ではどこでもこの層の上に位置する。大きな例外は、構造的複雑さ、例えば押しかぶせ、逆断層又は転倒褶曲によって引き起こされる。本発明の少なくとも一実施形態では、「トポロジー的に一貫性が(の)ある」という表現は、以下の3つの条件が岩層の幾何学的配置に関して満足されるということを意味している。
1.岩層がそれ自体オーバーラップしていない。層がそれ自体オーバーラップしている場合、この層は、それ自体及びこれら相互間にサンドイッチされている岩よりも若いと同時に古い。この記載内容は、図3Aに示されている自己オーバーラップなしの条件と呼ばれる場合がある。
2.2つの層は、これらの堆積関係を逆にすることができない。一方の層は、或る1つの場所では別の層の上に位置することはできず、別の場所ではこの下に位置することができない。その他の点に関しては、一方の層は、他方の層よりも古く且つ若い。この表現内容は、図3Bに示されているローカル一貫性の条件と呼ばれる場合がある。
3.組をなす層は、推移性を保たなければならない。上方/下方又は若い/古いは、推移関係の例である。第1の層が第2の層の上方に位置し、第2の層が第3の層の上方に位置している場合、第3の層は、第1の層の下方に位置しなければならない。その他の点に関しては、第1の層は、第3の層よりも古く且つ若い。この説明内容は、図3Cに示されているグローバル一貫性の条件と呼ばれる場合がある。
注目するのが良いこととして、自己オーバーラップなしの条件は、ローカル一貫性条件の特別な場合であり、ローカル一貫性条件は、グローバル一貫性条件の特定の場合である。しかしながら、第1の条件は、他の2つよりもチェックするのが極めて容易であり、第2の条件は、第3の条件よりもチェックするのが極めて容易である。コンピュータ処理上の効率を考慮すると、第3の条件が実際に他の条件を含む場合であっても、3つ全ての条件を別々に処理するのが有用である。変形例として、自己オーバーラップなしの条件は、これが1つのサーフェスに当てはまるよう定義される場合があり、ローカル一貫性条件は、これが2つの互いに異なるサーフェスが関与している場合のみ当てはまるよう定義される場合があり、グローバル一貫性条件は、これが少なくとも3つの互いに異なるサーフェスが関与している場合にのみ当てはまるよう定義される場合があり、この場合、3つの条件は、相互に排他的である。
震探反射事象が1つの層から別の層に伝播する音波によって引き起こされ、岩層相互間のインターフェイスとしばしば相関する場合、震探反射面も又、これら3つの条件を満足させる必要がある。同じことは、震探データの位相回転バージョンにも言える場合がある。ただし、かかるデータにおける反射事象は、必ずしも、岩質と相関する訳ではない。関連の上方/下方関連を備えた1組のサーフェスに関し、上述の3つの条件を用いると、これらサーフェスの全体的一貫性をチェックすることができる。かかる条件に違反するサーフェスは、岩層により引き起こされないか不正確に追跡されたかのいずれかである。層に関連しないサーフェスは、断層、流体接触又は薄層反射からブレンドされた事象を含む。トラッキングエラーは、ノイズ、震探収集及び処理上のアーチファクト又は薄層同調に関連している場合がある。
所与の組をなす層(又はサーフェス)に関し、上方/下方(又は若い/古い)関係の一纏まりは、これらのトポロジーを定義する。3つの関係のうちの少なくとも1つ、好ましくは3つ全てを満足させる1組の層は、トポロジー的に一貫していると呼ばれる。以下に与えられる例示の実施形態の説明において、「トポロジー的に一貫性がある(一貫している)」という表現は、文脈上これが問題になる場合、3つ全ての条件が満足されることを意味している。トポロジー的に一貫性のある組をなす層の場合、互いに異なる事象の全体的順序は、これら関係に関するトポロジー的ソート(トポロジー的ソート)の性能によって定められる場合がある(例えば、スキエナ(Skiena),1998,「アルゴリズム・デザイン・マニュアル(Algorithm Design Manual)」,(スプリンガー(Springer),273‐274))。代表的には、本発明の方法の実施形態の利用を行わなければ、サーフェスの順序を定めることは、問題であると共に/或いは層(又はサーフェス)相互間の相反する関係により不可能である。これらトポロジー的不一貫性は、典型的には、トポロジー的ソートを失敗させる。議論をトポロジー的一貫性に関する試験に向けると、サーフェスはトポロジー的ソートが成功する場合且つその場合にのみ一貫性がある。本発明の目的のうちの1つは、サーフェス相互間の一貫性を定めることにある。トポロジー的ソートが成功した場合、サーフェスは、トポロジー的に一貫性がある。トポロジー的ソートが失敗した場合、サーフェスは、トポロジー的に非一貫性である。さらに、トポロジー的ソーティングアルゴリズムは、非一貫性を生じさせるサーフェスを突止める。一貫性は、結果的に得られるサーフェス順序が一義的であるということを意味するものではない。例えば、2つの小さな隣り合う、しかしながらオーバーラップしていないサーフェスは、トポロジー的に一貫し、その結果、首尾良いトポロジー的ソートが行われる。さらに、結果的に得られた線形ソート順序は、一義的ではなく、即ち、別個のサーフェスは、上方/下方制約又は条件のうちの任意のものに違反しないでまず最初にリストされる場合がある。
多くの小さなサーフェスは、数個の大きなサーフェスよりもトポロジー的に一貫している可能性が多分にある。小サイズ限度では、あらゆるサーフェスは、垂直方向及び横方向においてたった1つの点について延び、合成により、これら単一点サーフェスは、トポロジー的に一貫している。本発明の方法の実施形態は、部分的には、この観察結果に基づいている。図4は、震探データボリュームをスケルトン化する本発明の方法の一実施形態における基本的ステップを示すフローチャートである。代表的には、震探ボリュームは、フルスタック振幅ボリュームであるが、任意の震探又は震探属性ボリュームを用いても良い。
ステップ41において、震探ボリュームにわたって震探反射面を追跡して生の、潜在的に多値サーフェスを見いだす。この関係で、震探事象は、ピーク(属性最大)、トラフ(属性最小)、ピークからトラフへのゼロ交差又はトラフからピークへのゼロ交差のいずれかである。1つ又は2つ以上の種類の全ての事象を選び、これらを隣りの震探トレース上の事象に関連付ける。この例では、ピークとトラフを両方を選ぶ。したがって、このステップでは、データボリュームからの震探反射を選び、そしてこれら選択結果から初期サーフェスを作成する。
ステップ42において、ステップ41で得られたサーフェスを1組の小さなパッチに分解する。これらパッチは、好ましくは、これらが主として互いにトポロジー的に一貫性のあるに足るほど小さく、しかも、数個の単一の点(即ち、データボクセル又はピクセル)を消去し又はトポロジー的に非一貫性を生じさせる小さなパッチ全体を削除することにより容易にはこのように作ることができないパッチである。したがって、このステップでは、サーフェスを主としてトポロジー的に一貫している小さな部分(「パッチ」)に分解する。
ステップ43では、隣り合う小さなパッチをマージすることにより多数のパッチから大きな(広い)サーフェスを創出する。ステップ42で提供されているように、全てのパッチは、トポロジー的に一貫性がある。この例示の実施形態では、あらゆるパッチについてこれがオーバーラップしているのがどのパッチであるかどうか及びこれがこれらパッチの各々の上方に位置しているか下方に位置しているかどうかを判定する。さらに、あらゆるパッチに関し、その隣りのパッチ(即ち、分析されるべきパッチに隣接したトレースを含む同様なレベルのところに位置するパッチ)を識別する。隣り合うパッチは、潜在的に、同一のサーフェスに属し、結果的に生じる組み合わせによりトポロジー的非一貫性が生じないならばマージされる。このステップは、「トポロジー的マージ」手順と呼ばれる場合がある。したがって、このステップでは、隣り合うパッチをトポロジー的に一貫性のある仕方でマージし、震探データボリュームからトポロジー的に一貫性のある反射に基づくサーフェスを抽出する。
1つ、多数の、或いは全ての隣り合うパッチをトポロジー的にマージした後の結果として、1組のサーフェスが合成によりトポロジー的に一貫する。これらサーフェスを地下の解釈及び特徴付けのために使用されるようにコンピュータメモリ中に記憶するのが良い。
震探データボリュームの幾つかの領域では、追跡手順(好ましくは自動化追跡手順)は、トレース相互間の事象を相関し損なう場合がある。他の領域では、データ品質が不良であるために、震探事象トラッカが或る特定の事象を相関するのが阻止される場合がある。最後に、相関の中には、相関が単一のサーフェスに割り当てることができないほど不明瞭なものがある。これらの場合の各々において、周囲の一貫性のあるサーフェスにより提供されるローカルファブリックは、これらの問題の解決に役立つ場合がある。相関の間違いは、是正でき、ノイズのある領域における相関不良は、合格レベルになる場合があり、或いは、多数の相関を曖昧性除去することができる。ステップ43からの一貫性のある組をなすサーフェスは、震探事象追跡の向上を可能にする場合があり、所望ならば、ワークフローを通るそれ以上のパス(図4では、破線の繰り返し矢印によって示されている)を実施すると、穴を埋めて僅かなより多岐にわたるサーフェス(即ち、改良型スケルトン)を作成することができる。
図5A〜図5Dは、図4のステップを示す略図である。図5Aでは、震探データボリューム中のピーク事象を追跡し、これらを見いだして(図5B)多値サーフェスを形成する。図5Cは、互いにトポロジー的に一貫性がある16個の小さなパッチ51に分解されたサーフェスを示している。図5Dでは、隣り合うパッチを互いにマージして大きなパッチの状態にする。ただし、これによりトポロジー的非一貫性が生じないことを条件とする。最後の結果52は、各々が互いに異なる網掛けによって示された4つ1組のトポロジー的に一貫性のあるサーフェスである。
図6は、隣り合うトレースを横切るピークを追跡することにより得られた震探反射面の一例を示している。このサーフェスは、左側では、単一値の状態にあるが、このサーフェスは、右側では、明らかに多値の状態であり且つ少なくとも2回それ自体重なり合っている。多くの既存の震探オートトラッカがかかる多値サーフェスを生じさせるか各場所に関して互いに異なる可能性のうちの1つ、代表的には、まず最初に見いだされた1つ、及び必ずしも地質学的に適切ではない1つを単に戻すかのいずれかを行う。
図7は、本発明の方法の一実施形態の用途を示しており、この場合、例えば本発明の方法が作成するトポロジー的に一貫性のある組をなすサーフェスを用いて震探属性ボリュームを再組織化する。サーフェスが一貫しているので、個々の上方/下方関係を遵守する少なくとも1つの順序が存在する。サーフェスが地層相互間の境界部に対応している場合、かかる順序は、これらの堆積のシーケンスを表している。代表的には、この順序は、非一義的である。というのは、小さな特徴部がオーバーラップなしで側方に互いに連結解除されている場合があり、これらの正確な順序を定めることができないからである。震探データを対応の震探サーフェスがこの順序に配列されるように垂直に歪曲して(例えば、震探サーフェスを平べったくして)解釈者が地層が堆積した順序で震探データを分析することができるようにし、それにより炭化水素の探査及び産出が容易になる。
次に、図8のフローチャートに示されていると共に図9のこのフローチャートの例示の用途に示されている図4の方法の特定の実施形態を参照して本発明を詳細に説明する。図8では、「ステージ1」は、図4のステップ41を示し、「ステージ2」は、ステップ42を示し、「ステージ3」は、ステップ43を示している。図9A〜図9Fは、図8のフローチャートの例示の用途を示しており、図8を同時に参照することにより図9A〜図9Fの内容を最も良く理解できる。図9Aでは、多値サーフェスは、震探事象を追跡することにより構成されている(ステージ1)。ステージ2(ステップ42)では、サーフェスは、線(図9Bに示されている)に変え、線の継ぎ目を除き(図9Cに示されている)、線を特徴点(図9Dに示されている)に変える。残りの点をラベル付けし、これらラベルを伝播させてサーフェス上に戻し、それによりパッチを構成する(図9Eに示されている)。結果的に得られたパッチを図8のステージ3でトポロジー的にマージし(ステップ43)、その結果、一貫性のあるサーフェス(図9Fに示されている)が得られる。
ステージ1(ステップ41)
ステップ81の第1の部分は、事象追跡である。本発明のこの実施形態では、全ての事象の追跡では、隣り合う事象を相関させ、ギャップ及び誤相関を編集する。相関は、全てのトレースを横切る所望の震探事象又は反射面の全てを抽出することによって始まる。所望の事象は、ピーク、トラフ又はどちらかの種類のゼロ交差(+/−又は−/+)を含む場合がある。経験の示すところによれば、ピークとトラフの両方(しかしながら、ゼロ交差ではない)を抽出することは、事象の総数の最小化(即ち、コンピュータ処理上の効率の最大化)と結果的に得られるサーフェスの品質の最大化との良好な妥協点である場合がある。2種類以上の事象を用いると、事象相関及びトポロジー的マージにおける曖昧さが減少する。というのは、ピーク、トラフ及びゼロ交差が震探データボリューム全体にわたって散在するからである。図10Aは、本発明のこの実施形態において実施される事象追跡を示している。各震探トレースに関し、図面の左側に示されているローカル最小値がトラフ(破線で示された矢印)を定めるよう抽出され、ローカル最大値がピーク(実線で示された矢印)を定める。括弧で示されている震探トレース窓101が各事象上に心出しされ、互いに異なるトレース相互間の事象相関に用いられる。図面の右側部分は、互いに異なるトレース相互間の事象窓相関及び生のサーフェスの構造を示している。データ100の一次元(パイロット)パケット(例えばピークのところに心出しされている)を隣りのトレース中の他のパケットと比較する。幾つかの事象は、強い類似性を示し、一義的に相関される(実線で示された矢印)。他の事象は、隣りのトレース(103の矢印)上の2つ以上の事象に良好に相関させ、多重相関と呼ばれる。一方の有効な相関を他方と比べて選択するのではなく、例えばトポロジー的マージ又はワークフローを通る第2のパスにおいて曖昧性除去のためにこれらの場所及び特性を記憶した後、両方の相関を捨てる(本発明はこの実施形態の場合)。幾つかの相関は、弱い場合がある(104の矢印)。弱い相関しか備えていない事象は、これらの状況及び周りのローカル震探ファブリックを考慮することによりトポロジー的マージ後にサーフェスに割り当てられる。
トレース内相関は、多くの方法で、例えば相互相関又は類似分析により数学的に測定することができる。良好な相関は、好ましくは、あらかじめ規定されたしきい値を超える相関として定義され、これに対し、弱い相関は、そうではない相関である。追加の判断基準、例えば隣り合う事象相互間の垂直距離(ラグ)も又、相関プロセスの際に用いられる場合がある。この遅れが、あらかじめ規定されたしきい値を超える場合、2つの事象は、互いに異なるサーフェスに属する可能性が最も高く、関連付けが行われない(即ち、これらの相関が拒絶される)。有利には、これは、サイクルスキップを阻止するために使用できる。
より一般的にいえば、トレース内相関をトレース内距離の結果としてコンピュータ処理することができる。これは、距離を多次元ベクトル空間内でコンピュータ処理する機能を定義することから成るのが良い。例えば、2つのトレースの各々に心出しされた2つの窓を選択することにより、その窓の中の値から成る多次元ベクトルが定められる。これら値は、各ボクセルのところで記録された振幅又はこれら振幅からコンピュータ処理された多数の特徴であるのが良い(例えば、統計値、例えば平均値、分散及び高時モーメント、フーリエ変換による周波数分解等)。2つのベクトルを比較する関数は、ユークリッド距離関数、l‐ノルム、ハウスドルフ(Hausdorff)距離等であるのが良い。
実際、2つのパケットは、直接的には結び付けられない場合が多い。というのは、これらの相関は、弱く又はこれらの垂直差が或る特定のしきい値を超えているからである。しかしながら、これらは、図10B及び図10Cに示されているように間接的な仕方で曖昧さのない状態で結び付けられる場合がある。図10Bは、数個の連結が欠落しているサーフェスを示している。考慮に入れなければ、かかる連結部の欠落により、多くの不必要なパッチが生じ、それにより、トポロジー的マージのコンピュータ処理費用が増大する。しかしながら、連結部がすでに示唆されている場合、ギャップを修復することができる。本発明の一実施形態では、事象を一義的に連結することができる場合、間接的な仕方であっても(即ち、上述の相関基準を満たさなくても)、ギャップを埋め、不必要なパッチの生成を阻止するために直接的な連結が明示的に行われる。この編集ステップ(ステップ82)は、ギャップを一方向に迂回することにより、ギャップを別の方向に迂回するのと同一の隣りのトレース用の点が得られ、このことは、サーフェスが局所的に単純であり、しかも分割状態でもなく螺旋状態でもないということを示している。例えば、各々が図10Aのギャップの周りに互いに逆方向に進む連結経路105,106を考慮する。経路105は、同一の場所で終わり、このことは、その点と途中の点との間の一義的な連結を示唆している。これら連結の欠落は、図10Cに追加された2本の新たなセル境界線(太い線)で示されている。これとは対照的に、経路106は、これらの欠落した連結部が曖昧であり、図10Cではその場所には変化が生じていないということを示している。ステージ2(ステップ42)
第2ステージは、トポロジー的に一貫性のあるパッチの生成である。ピーク、トラフ及び/又はゼロ交差より定められた反射事象を追跡することによりステージ1で得られた生のサーフェスは、代表的には、トポロジー的に非一貫性である。これらサーフェスは、1)それ自体オーバーラップし、2)1つの場所では別のサーフェスの上方に存在するが、異なる場所では同じサーフェスの下方に存在し(ローカル非一貫性)、又は3)これらの上方/下方関係でループを含む組をなすサーフェスのうちの一部である(グローバル非一貫性)である場合が多い。多くの小さなパッチは、数個の大きなパッチよりもトポロジー的に一貫している可能性が多分にある。事実、全てのパッチが実際の程度に関して唯一のサンプルである場合、合成により、これらパッチは、トポロジー的に一貫性がある。このステージの目的は、生の潜在的に多値のサーフェスを小さなトポロジー的に一貫性のあるパッチに分解することにある。これは、内側軸変換又は形態学的細線化(例えば、ハラリック(Haralick)及びシャピロ(Shapiro),1992,「コンピュータ・アンド・ロボット・ビジョン(Computer and RobotVision)」,(アディソン‐ウェスレイ(Adison-Wesley),ボリューム(Vol.)1,チャプター(Chapter)5)を参照されたい)の適用により、まず最初にサーフェスをトポロジー的に類似した線に変化させる(収縮させる)ことによって行われる(ステップ83)。細線化が4連結方向に適応されるので、線セグメント相互間の継ぎ目は、少なくとも3つの直接的な近傍有することによって特徴付けられる。継ぎ目の除去、次の第2の形態学的細線化の適応により、元の生のサーフェスが数個の非連結状態の特徴点に変えられ(収縮され)、これら特徴点には一義的な識別し、又はラベルが容易に与えられる。ステップ84では、割り当てられたラベルを次に、伝播させて元のサーフェス上に戻し、このプロセスは、後方伝播と記述的に呼ばれる場合があるが、簡略に伝播と呼ばれる場合もある。
図11は、マップビュー(111)における概略的な多値サーフェスからの形態学的細線化(112)及び線継ぎ目の除去(113)による線への進展、形態学的細線化(114)、点ラベル付け(115)及びサーフェス上へのラベルの後方伝播(116)による線から点への進展を示している。同一ラベルの1組の事象は、パッチを定める。図11の結果は、ステップ116における8つ1組の小さなパッチであり、これらは、ステップ115における8つの特徴点に対応している。合成により、パッチは、これらの親サーフェスに等しく又はこれよりも小さい。というのは、各特徴点は、連結されたメンバのために近くの特徴点と競合するからである。ラベルの後方伝播を例えば単純なワイルドファイヤアルゴリズム又は制御されたマーチングアルゴリズムにより実施可能であり、かかるアルゴリズムは、例えば、事象相関、遅れ(事象の垂直近接性)又はサーフェスの局所曲率によって誘導される。制御されたマーチングアルゴリズムの利点は、単純なワイルドファイヤアルゴリズムと比較して、かかる制御されたマーチングアルゴリズムがラベルを平らな領域にわたって迅速に伝播させることができる一方で、複雑な領域を横切ってゆっくりと動かすことができ、それにより均一なパッチが得られるということにある。本発明の方法の範囲に属する他の伝播方法を想定することができる。
ラベルの伝播後、結果的に得られたパッチは、全体として一貫しているが、トポロジー的に一貫性のあることが保証されているわけではない。ステージ3におけるトポロジー的マージを良好に実施するため、これらパッチは、好ましくは、トポロジー的に一貫性のあるよう調節される。トポロジー的非一貫性を識別するための好ましい手法は、どのパッチが他のものの上に位置しているか及びこれらパッチがオーバーラップしている仕方を記録するためのオーバーラップ表を構成する(ステップ85)ことによって開始することにある。ステップ86では、非一貫性を識別する。表の作成又後での検査の際、自己オーバーラップ状態のサーフェスは容易に明らかである。表から、相反する上方/下方関係(即ち、ローカル非一貫性)をもつ対をなすパッチを識別する。最後に、オーバーラップ表における残りのエントリのトポロジー的ソートを試みることにより上方/下方関係が円形である(グローバル非一貫性)3つ又は4つ以上のパッチの組を見いだすことができる。トポロジー的ソートは、円形関係が存在していない場合に成功する。かかるグローバル非一貫性が存在する場合、トポロジー的ソートは、不可能であり、上記とは異なり、非一貫性関係をもつパッチのリストを戻す。
ステップ86の最後の部分は、識別されたトポロジー的に一貫していないパッチを編集することである。最も簡単な編集方法は、非一貫性のパッチの削除である。より外科的な方式は、相反しているオーバーラップの源だけを除くことによってこれらパッチを取り除くことである。この方式では、幾分かの努力が必要である。というのは、幾つかのパッチは、このプロセスによって連結解除状態になっている場合があり、しかも、結果的に生じる小片の再ラベル付けを必要とする場合があるからである。別の編集方法は、非一貫性のパッチを小さなパッチに繰り返し分割し、遂には、全ての非一貫性が解決されるようにすることである。実際、非一貫性のパッチの単純な削除は、良好に働くように思われる。というのは、非一貫性のパッチよりも遙かに多くの一貫性のあるパッチが存在し、非一貫性のパッチは全体として遙かに小さく、しかも周辺領域に位置している場合が多いからである。非一貫性のサーフェスパッチを編集した後、オーバーラップ表を再構成してこれら編集上の変更を考慮に入れることが好ましい。
ステージ3(ステップ43)
第3のステージでは、隣り合うパッチをマージされたサーフェスがトポロジー的に一貫性があるままの状態であるという条件下においてマージして大きなパッチにする。第1の仕事は、どのパッチを連結するかを決めることである(即ち、互いにデータボリューム内でなんらかの仕方で突き合わせるが、互いに異なるラベル付けを行う)。これらパッチは、近傍と呼ばれ、これらパッチを大きなパッチへのトポロジー的マージのための候補として近傍表に記録するのが良い(ステップ87)、その最終結果として、サーフェスが得られる。例えば、細線化(例えば、換算、収縮)により別々のパッチを創出し、これらを互いに異なる特徴点に変更する。このサーフェスが完全な長方形であり、この長方形内であらゆる方向に完全な連結部を備えている場合、細線化により、5つの特徴点が生じる可能性が多分にあり、伝播後に5つのパッチが得られる。まさにこれらパッチは、互いに異なるので、パッチは、これらを良好な相関関係をなして互いに連結されないということが示唆するわけではない。マージ中の大抵のパッチは、良好な相関関係をなすサーフェスの以前の一部であった。典型的には、多くのパッチが存在すると共に多くの対をなす近傍が存在する。結果的に得られるトポロジー的に一貫性のあるサーフェスの数、形状及び品質は、マージ候補を評価する順序で決まる。例えば、互いにオーバーラップする2つのパッチとこれら両方に隣接する第3のパッチを考慮する。このパッチを両方にマージすることはできない。というのは、結果的に得られたマージサーフェスは、自己オーバーラップ状態をなすからである。したがって、これを一方としかマージすることができない。特定の選択により、次のマージの正否が決まる。ステップ87の実施を続行し、近傍表中の近傍対は、好ましくは、マージの試行を実施する順序にする。取るに足りない順序は、数値的に増大するラベルの1つであるにすぎない(即ち、近傍に適応された順序)。より複雑精巧な順序付けは、パッチ特性、例えば、隣り合うパッチの事象相互間の相関係数又はパッチの向き相互間の類似性を含む場合がある。後者は、マージの順序を定める好ましい方法である。同じように差し向けられた隣り合うパッチをまず最初にマージし、その理由は、これらは、共通の地層を表す可能性が高いからであり、これに対し、大幅に異なっている向きの隣り合うパッチを最後にマージし、その理由は、これらパッチは、ノイズアーチファクト又は非層序学的事象、例えば断層及び流体接触に関連付けられる場合があるからである。より進んだ順序付けは、パッチ場所のところ又はその近くで抽出される2次震探属性相互間の統計学的類似性に基づく場合がある。
マージ順序が1つの方法又は別の方法で定められた状態で、トポロジー的マージを実施するのが良い(ステップ88)。本発明の一実施形態としての方法は、図12Aのフローチャートに詳細に記載されており、これについて次に説明するが、第2の実施形態は、図12Bに示されており、これについて以下に更に説明する。ステップ121では、1対の隣り合うパッチをマージ候補として選択し、これを仮説又は前提条件とみなして1つのサーフェスの一部を構成し又はそうであるようにし、このことは、一方のパッチに関するオーバーラップの関係が他方のパッチに当てはまる(これとは逆の関係が成り立つ)を意味している。この行為によりトポロジー的非一貫性が生じる場合、マージを拒絶しなければならない。もしそうでなければ、マージが許容され、1つのパッチのラベルを他方のパッチのラベルで置き換えることによりオーバーラップ及び近傍表を調節する。
仮説としたマージ後における3つの一貫性条件を評価するコンピュータ処理上のコストは、互いに極めて異なっている。自己オーバーラップは迅速であり、検証が容易である。これは、図12Aにおいてステップ122として示されている。ローカル非一貫性チェックでは、オーバーラップ表全体の吟味が必要である(ステップ123)。しかしながら、グローバル非一貫性チェックでは、トポロジー的ソート(ステップ124)が必要であり、これは、コンピュータ処理上費用が高く付く。図12Aの実施形態では、3つの一貫性チェックが数値上のコストの増大順序でカスケードされる。費用の高く付くチェックが合格マージ候補についてのみ実施されると、チェックの費用がそれだけ一層少なくなる。
トポロジー的ソートが成功した場合(ステップ125)、マージされたパッチは、グローバル的に一貫し、トポロジー的に一貫性がある。この場合、仮説が受け入れられ、それによって表が修正される(ステップ126)。次に、次の対をなすマージ候補についてこの手順を繰り返す(ステップ121)。ソート又は他の試験のどれもが失敗した場合、仮説を拒否し(ステップ128)、手順を次の対に適応する(ステップ121)。
3つの一貫性に関するチェックをカスケードすることは、コンピュータ処理上コスト高である。というのは、トポロジー的ソートは、多くの実行時間を必要とするからである。トポロジーソートを全ての対をなす隣り合うパッチについて実行しなければ、トポロジーパッチマージアルゴリズムを劇的にスピードアップさせることができる。アルゴリズムの一改造手段は、待ち行列の導入である。第1の試験(ステップ122)及び第2の試験(ステップ123)を合格した近傍対を第3の試験(ステップ124)によってすぐに評価されるのではなく、待ち行列中に配置する。待ち行列がユーザに特定されたサイズ、例えば4つの対にいったん達すると、オーバーラップ表を複製し、全ての提案されたマージをコピーに適応し、トポロジー的ソートを実行する。ソートが成功すると、4つ全ての提案されたマージは、グローバル的に一貫していて且つ受け入れ可能である。ソートが失敗すると、提案されたマージ中に少なくとも1つの非一貫性が存在するに違いない。非一貫性を見いだすため、元のオーバーラップ表を再びコピーするが、最初の2つのマージだけをコピーに適応する。残りの対は、単に待ち行列ソートが成功すると、最初の2つの対のマージが受け入れ可能であり、後の2つの対には非一貫性が存在することが知られている。ソートが失敗すると、最初の2つの対の中に非一貫性が存在することが知られている。手順を非一貫性を含むセットについて再び繰り返しするが、今度は、1つの対のみを評価する。トポロジー的ソート後、どの潜在的な対が非一貫性になり、拒絶されるべきかどうかがすぐに分かる。この時点で、サイクルは、ソートを再び実施する前に待ち行列を再び埋めることにより繰り返す。
換言すると、待ち行列中に蓄積された提案マージ中の非一貫性を発見した後、待ち行列を2等分し、ソートを部分について実施し、対には、非一貫性が発見されるようになり、他方、成功裡に終わったマージを受け入れる。一般的にいって、待ち行列は、4つの対に限定されるべきではなく、これとは異なり、数百又は数千の対に限定される。さらに、待ち行列のサイズは、動的に変化する場合がある。ソートが失敗すると、待ち行列のサイズが減少するが、これが成功すると、待ち行列のサイズはトポロジー的ソートの次の評価のために増大する。N個の対相互間に1つの非一貫性を発見することは、N回のソートではなくlog2Nソートで実施されるのが良い。1024個の要素を備えた待ち行列に関し、せいぜい10個のトポロジー的ソートに1つの非一貫性が発見される場合があり、その結果、コンピュータ処理上のコストが大幅に減少する。
トポロジー的マージの第2の実施形態が図12Bに示されており、詳細が表1に記載されている。本発明のこの変形実施形態は、一貫性のチェックが実施される仕方において先の実施形態とは異なっている。第1の方式は、2つのサーフェスパッチのマージ後に有向サイクルが導入されたかどうかをチェックする。これとは対照的に、変形実施形態は、マージがサイクルに関するチェックではなく、有向サイクルを生じさせるかどうかを予想する。これは、同じ機能を実行するだけでなく、ロバストであるコンピュータ処理上の集約性が極めて少ない仕事である。図12Bの方法の入力は、初期パッチ、これらの順序(非循環有向グラフ)及びマージ順序表(近傍に位置するパッチの対)である。出力は、大きなパッチであり、最終的にはサーフェスである。
一方のパッチが他方のパッチの上に位置している場合にのみ2つのサーフェスパッチをマージした後にサイクル(即ち、トポロジー的非一貫性)を創出する。したがって、非一貫性の導入を回避するためには、一方のパッチが他方のパッチの上方に位置しているかどうかをチェックするだけで十分である。かかる関係の便利な表示を提供するデータ構造は、一種の有向グラフであり、ボリューム内のサーフェスパッチは、ノードにより表され、一方のパッチが別のパッチの上方に位置している場合、ノード相互間の方向的連結又はエッジが存在する。問題は、質問が2つのノード(サーフェスパッチ)相互間に経路が存在しているかどうかという特定のグラフ探査問題となる。
グラフ探索問題は、標準の縦型探索(DFS)アルゴリズム(これについては、例えば、コールマン(Cormen),レイサーソン(Leiserson)及びリバースト(Riverst),1990,「イントロダクション・トゥ・アルゴリズムズ(Introduction to Algorithms)」,(エムアイティ・プレス・アンド・マックグラウ・ヒル(MIT Press and McGraw Hill),『デプス‐ファースト・サーチ』(Depth-first search),セクション(section)23.3,477‐485を参照されたい)を用いて解決できる。この一般的アルゴリズムに対する以下の改造の実施は、実質的に良好なコンピュータ処理上の効率を達成する。最初に、パッチの絶対深さを常時監視する各ノードuのところでの追加の属性としてDEPTHATT(u)を備えたデータ構造、有向グラフについて議論する。第2に、幾可深さ特性(GDP)を導入し、探索アルゴリズムを変更してこれによりGDPが常に維持されると共に利用されるようにする(図12Bにおけるステップ1201及び表1における手順1)。この特性(GDP)では、深さ属性がグラフ中の有向エッジに続く場合、単調に増加することが必要である。換言すると、パッチaがボリューム中のパッチbとオーバーラップしている場合、パッチaの深さ属性は、パッチbの深さ属性以下でなければならない。この場合、ステップ1202において、1対のパッチをマージ表から選択し、ステップ1203において、2つの選択されたパッチのマージを、効率を得るためのGDPの採用によりトポロジー的一貫性があるかどうかについてチェックする(表1の手順2)。チェックがイエスである場合、ステップ1204において、2つのパッチを表1の手順3に従ってマージする。この方式は、効率的である。というのは、2つのノード相互間の経路に関する探索が構造全体ではなく、グラフの僅かな部分に制限されるからであり、マージされるべきサーフェスパッチは、制限された値の範囲内において深さ属性値を有し、探索は、その範囲内における深さ属性を備えたノードだけを行われる。GDPは、これが十分であるように保証する。
Figure 0005452587
マージ表を適切に順序付けすることによりそれ以上の効率ゲインを得ることができる。例えば、アルゴリズムは、マージの順序が高い深さ値を最初に有する対をなすパッチに優先権を与える。この方式でマージ表を再順序付けすることにより、効率が向上させることができる。さらに、領域に基づく方式に従ってパッチマージの順序を分解することにより、相当大きなインパクトが生じる場合がある。例えば、ボリュームを互いにオーバーラップせず、一緒になってスペース全体におよぶスペースの領域に分割するのが良い。これら領域に1〜nまでラベル付けし、これらをn個のラベルの順列に従って何らかの順序にリストする。次に、リストした第1の領域に属するマージを実施し、次に、リストされた第2の領域のマージを実行する等をする。領域を選択する仕方及びこれらのリストの順序は、コンピュータ処理時間を大幅に減少させることができる。例えば、ボリュームを軸のうちの1つに沿ってn個のスラブに分解し、領域を任意の次の領域が先にリストされた領域から最も遠くに位置するようにリストしてコンピュータ処理時間を大幅に減少させることができる。この方式は又、並列化にも役立ち、即ち、領域が先の領域に連結されていない限り、コンピュータ処理を別々のプロセッサ又はコンピュータで同時に実施することができる。この方式の極端な場合は、サイズが単一のボクセルであるサーフェスパッチで開始することである。
上述すると共に図12B及び表1に概要が記載されているアルゴリズムを容易に並列化することができ、追加の要素は、かかる労力を一段と促進することができる。具体的に説明すると、外部構造が有向グラフの連結成分を常時把握している場合、何が並列的にコンピュータ処理できるかの決定と実行速度の両方を向上させることができる。例えば、マージされるべきサーフェスパッチは、一方のパッチが成分Aの状態にあり、他方のパッチが成分Bの状態にあるようなものであることを想定されたい。2つの成分は互いに異なり、これら相互間70連結が存在していないので、2つのパッチ相互間には経路が存在するはずがない。したがって、マージは、受け入れ可能であり、グラフのそれ以上の検査は不要である。しかしながら、2つの成分が連結されている場合、グラフは、従前通り探査されなければならない場合がある。グラフを検査するべきであるかどうかに関する決定は、2つの成分をどのように連結すべきかで決まる場合がある。2つの成分が2つのサーフェスパッチの最も低い深さレベルを下回る深さレベルのところでのみ互いに連結される場合、これら成分相互間には存在しうる経路はなく、それ以上の探索は不要である。もしそうでなければ、グラフは、検査されなければならない。したがって、グラフの連結成分及び任意の対をなす成分相互間の連結が存在している最も高い深さ値を常時把握する追加の構造を維持することにより、アルゴリズムのコンピュータ処理効率を一段と増大させることができる。かかる効率の向上は全て、本発明の範囲に含まれる。
ステージ3における最後のステップは、ステップ89であり、即ち、多数の良好ではあるが曖昧な連結の事象又は存在相互間の低い相関により生じる穴を修復するオプションとしてのステップである。サーフェスの中には、周囲サーフェスとの類似性によって修復可能な明らかな穴を含むものがある。追加のパッチを試行錯誤によりマージすることができる。トポロジーを含む試験可能な仮説の一例は、サーフェス相互間の非割当て状態の事象又はギャップに関連している。まず最初に、ギャップを新たなパッチに割り当てる。隣り合うトレースの類似のギャップに例えこれらの相関が弱く又は曖昧であっても、同一のパッチラベルを割り当てる。この新たなパッチは、これがオーバーラップそれ自体によってもローカル又はグローバル非一貫性を生じさせないことによってもトポロジー的に一貫性があると検証された場合に合格レベルのパッチとして受け入れられる。トポロジー的マージを試みてこの新たなパッチをその近傍の1つ又は2つ以上に融合させ、潜在的に、直接的に連結されていない隣り合うパッチを結合し、多数の小さなサーフェスを1つの大きなサーフェスで置き換えることによってスケルトンを減少させる。図13の最上部分は、2つサーフェス(サーフェス131,133)相互間にサンドイッチされた或る非相関状態のサーフェス(例えば、サーフェス139)の一例を示している。これら事象は、これら交差相関が相関基準を下回っているという理由かこれらの相関が曖昧であるという理由かのいずれかにより相関されていなかった。スケルトン化によって明らかにされる全体的ファブリックから、(1)これら全ての非相関状態の事象が一貫性のあるパッチを形成し、(2)このパッチをいずれかの側(132及び136)でサーフェスのうちの1つにマージし又はこれらを結合できることが可能であるように思われる。
震探スケルトンを利用する別の方式は、元のサーフェス134を続かせるのが2つの分割サーフェス、例えばサーフェス137,138のうちどちらかであるかを解くことである。かかる従来未解決のサーフェス分割では、一ストラテジーは、サーフェスをいずれかの仕方でマージしようとすることである。1つのマージしか成功しない場合、これは、仮に受け入れられ、この解決策が見いだされる。しかしながら、マージのどれもが成功せず又は両方が成功するかのいずれかである場合、このストラテジーは、元のサーフェスに続くのが2つのサーフェスのうちのどちらであるかを解くことができない。図13の最下部は、2つのサーフェス137,138に分かれる1つのサーフェス134の一例を示している。トポロジー的パッチマージに利用可能な三次元情報は、単一のサーフェスの続行部が2つのサーフェスのうちのいずれかであるかという問題を解くことはない。もし解いた場合、パッチをマージする。というのは、パッチを結合する第3の次元による一義的な相関経路が存在するからである。この場合、オーバーラップ表及びトポロジー的ソートを用いると、これら仮説のうちの幾つかを検査することができ、もし有効であれば、これらを用いてスケルトンを決定して一段と単純化することができる。
サーフェスに残存している小さな穴は、後で行う震探解釈ステップにとってやっかいな場合があり、補間により修復される場合が多い。これら補間の有効性は、修正されたサーフェスがトポロジー的に一貫性があるままであるかどうかをチェックすることによって検査できる。
図14は、オプションとして図8の方法に追加できるステージ4における基本的ステップのフローチャートである。オプションとしてのステージ4では、選択された1組の一貫性のあるサーフェスに関するオーバーラップ表を検索し又は必要ならば再創出する。ステップ142では、トポロジー的ソートを実施してサーフェスを配列する順序を見いだす一方で、オーバーラップ表にコード化された上方/下方関係を遵守する。多くのサーフェスは、エリア範囲が限定され、オーバーラップが限定されているので、一義的な配列を実現するのに十分な関係が存在しない。これとは異なり、オーバーラップ関係を全て満足させる多数の配列が存在する。さらに、トポロジー的ソートアルゴリズムは、プルアップ、プッシュダウン又は並行ストラテジーを含む種々のストラテジーを用いて実施できる。サーフェスは、プルアップストラテジーによりできるだけ高く配置され、このことは、所与の地層を周囲の地層に対して配置できるとすれば、順序が考えられる最後の瞬間をマークしていることを意味している。プッシュダウンストラテジーでは、サーフェスは、できるだけ下方に配置され、このことは、所与の地層を周囲の地層に対して配置できるとすれば、順序が考えられる最も初期の時点をマークしていることを意味している。並行ストラテジーは、サーフェスをこれらの範囲の中間に配置しようとする。これらストラテジーは、オーバーラップ関係を選択し、トポロジー的ソートアルゴリズムの内部でアップデートする順序を定める。各ストラテジーでは、結果は、サーフェス、震探反射又は震探データボリューム全体を配置するために使用できる順序又は階層である。
小サーフェスは特に制約するのが難しいため、様々なストラテジーを適用するときに変動が大きくなりやすい。変換に全ての小サーフェスを含めると、再編成された震探データボリュームにゆがみのアーチファクトも導入される。代わりに、この変換に基づく別の測度を計算するのが好ましい。この測度とはトポロジー的階層内のサーフェスのレベルである。つまり、或るサーフェスが一番上からどれくらい下に位置するかを判定する(ステップ143)。具体的には、この一測度は、一番上からそのサーフェスまで縦走するときに遭遇する多数の重複対についての考えられる限り最長経路を見つけることである。サーフェスは一貫性があるため、閉路があることはなく、最長経路の存在が保証されている。これらの最長経路を見つける好適な方法が、重複テーブルで負の重み演算をするベルマン・フォード(BF)アルゴリズム(アール・ベルマン(R.Bellman),「オン・ルーティングプログラムズ(On routing problems),クォーテリー・オブ・アプライド・マテマティックス(Quarterly of Applied Mathematics)16,1958年,p.87−90)である。得られる距離を否定すると階層内の各サーフェスのレベルが出る。順序とレベルとはともに震探データと対応するサーフェスとの垂直軸をひずませる変換の定義を許すことに留意する。結果は層序学的な配置及び堆積の順に編成された震探データセットであり、これは炭化水素の探査、描画及び産出のために解析できる。
レベルとは上から下に縦走するときに遭遇する重複対の最大数に換算される最長経路と定義できよう。或いは、下から上に行くときの最長経路と定義できる。かかる2つの方法を比較すると、個々のサーフェスのレベルがどの程度制約されているかを推定でき、又は逆に、レベルがどの程度不確定であるかを推定できる。(ステップ144)2つの結果を比較するには、異なる方向を補償し、一番上のサーフェスがレベルゼロであり、一番下のサーフェスがトップダウン測度の場合と同じレベルをもつようにボトムアップ測度を線形にリスケールする必要がある。ある所定のサーフェスの場合、その2種類のレベルの差はトポロジー的順序に対するその不確定性の測度である。十分に制約されたサーフェスはソートストラテジーに関係なく同様なレベルにある。このようなサーフェスはトポロジー内のその位置に対して最小の不確定性をもつ。あまり制約されていないサーフェスはトップダウン測度では浅いレベルで終わってしまうかもしれないが、ボトムアップストラテジーを使用すれば深いレベルで終わる。このように、レベルの数は大幅に異なり、トポロジーにおけるその位置は極めて不確定である。
図15は、例として図13に示す事象を使用して、トポロジー的順序及びレベルを示している。重複テーブルは図13のサーフェスの上下関係を含む。プルアップストラテジーを用いてトポロジー的ソートを行うと、重複テーブルにおける各関係を尊重した順序を出す。しかし、トポロジー的ソートの順序はサーフェスを垂直方向に引き伸ばすことからサーフェスの可視化をゆがめる。好適な代替例は、ある所定のサーフェスに到達するために貫通しなければならないサーフェスの最大数をカウントすることであり、これは重複テーブルに−1の重みを付けてベルマン・フォード(BF)アルゴリズムを適用することにより行うことができる。結果はBFレベルであり、サーフェス132及び136ともにレベル1に割り当てる。レベルに対応する垂直位置とその重複関係をもつサーフェスのグラフ(又はツリー)を図15の右側に示しており、サーフェスの関係を要約する効率的な手段となる。サーフェス134はそのレベルが不確定であり、そのためその2つの潜在的位置(レベル3及び4)で示される。
サーフェスラベルのグラフ(又はツリー)は、サーフェスの垂直位置をそのレベルにより判定する場合これらデータの全てを要約する効率的な手段である。横方向の位置は任意であり、例えば、実際の位置に従って、又は単にグラフをあまり乱さないように選ぶことができよう。異なるサーフェスラベルは上下関係を示す矢印で接続される。さらに多くの情報を符号化するために、大きな、したがって関連あるサーフェスをより大きなラベルで表現してもよい。図16Aは図2の450のサーフェスについてのこのようなツリーを示している。グラフはサーフェスレベル、震探データから抽出したその上下関係、及びラベルのサイズで示すその範囲を表している。合わせて、250のレベルがあり、その一部は多くの小サーフェスで占められるが、他のレベルは僅か1又は2の大きなサーフェスで占められる。
グラフ(又はツリー)はその後の解析又は可視化のためのサーフェスを選択する補助として使用してもよい。データボリュームのサイズによっては、本発明による方法は数千のサーフェスを生成できるが、可視化中のインタープリターを短時間で追い越す。これを処理する手順の1つとしては、ツリーの1つの参照ノードから出る線に沿ってサーフェスを選択して、基準サーフェスのみに重複するサーフェスを可視化させながら、他の全てを抑制してディスプレイを簡潔表示することである。別の手順では1つのレベルのみからサーフェスを選んで、地層内の同じレベルにあるために起源的に関係するサーフェスを可視化させることができる。さらに別の手順では、連続したレベルの区間からサーフェスを選んで、地層シーケンスを可視化させることができる。図16B及び図16Cでは可視化のためにツリーからその後の4つのレベル11〜14を選択した例を提示する。レベル11及び14はそれぞれ1つのサーフェスを含み、レベル12及び13はそれぞれ2つのサーフェスを含む。2つの異なるサーフェスグループは、地層のシーケンス内の同じレベルにあるため起源的に関係すると思われる。
図17は図2のサーフェスについてトポロジー的不確定性を示すグラフである。450のサーフェスのほとんどは厳しく制約されており、重複テーブルに含まれる条件又は制約を破らなければ、レベルをあまり動かせない。しかし、一部のサーフェスは、制約を守りながらも10を超えるレベルの移動をすることができよう。これらのサーフェスは堆積の相対的な時間に関して不確定性が高い。
順序又はレベルが確立されたら、サーフェスをこのように再編成するのは、簡単である。個々のサーフェスは震探データを地球物理学的な時間又は深度で表現するかによって、三次元の点(x、y、t)又は(x、y、z)の集合で特徴付けられる。単純にするために、データは地球物理学的な時間ドメインにあると想定する。深度は類推によって進める。時間ドメインから順序ドメイン又はレベルドメインいずれかへのサーフェスの変換(ステップ145)は、単に時間を順序又はレベルの数に置換すればよい。
図18は地球物理学的な時間ドメインから(トポロジー的な)レベルドメインに転換(変換)した図2のサーフェスを示す。各サーフェスは地球物理学的な往復走時をそのレベル数に置換した後に再プロット化し、サーフェスを平坦化する(ボリュームの平坦化と呼ばれる場合のあるアプリケーション)。図はサーフェスが高度に編成されていることを示す。地層の堆積はかなり体系的に前後左右に約四倍縮小したように見える。
サーフェスの代わりに震探ボリュームをレベル又は順序ドメインに変換するには、震探データを割り当てられた区間に嵌め込むために震探データを非線形伸張及び縮小する必要があるかもしれない。振幅データの場合、震探の波状線はより高い又はより低い周波数データをなぞるように密に圧縮又は拡張するかもしれない。地震波属性の場合も同じ状況が存在するが、振幅データほど明らかではないであろう。
震探ボリュームを変換する代替法は、ドメイン変換されたサーフェスが概念的に与える枠組みを歪曲せずに、震探データのパケットをカット・アンド・ペーストすることである。パケットサイズはサーフェスを構築するために使用される事象の定義に依存することがある。サーフェスをピークのみで構築した場合、パケットはどちら側にもピークと半分の谷をもつ完全なウェーブレットを含む。サーフェスをピークと谷から構築する場合、パケットはゼロ交差が境界となるピークと谷である。カット・アンド・ペースト法で変換する震探データがオリジナルの振幅データではない場合、パケットの境界、例えばゼロ交差も振幅データから判定してもよい。
図19は震探ボリュームをレベル又は順序ドメインに変換する上記2つの方法を示している。非線形伸張法は、割り当てられる区間に嵌め込むために震探データを伸張縮小する。正確なトレースでは、レベル12及び13のサーフェスは存在しないが、それでも非線形伸張はウェーブレットからそれを補間し、レベル11及び14のサーフェスに属するトレースの部分をレベル12及び13のサーフェスに割り当てて、NMO伸張法と同様な伸張アーチファクトを生じさせる。カット・アンド・ペースト法はサーフェスの位置を中心として震探データのパケットを取り、それを伸張せずに深度からレベルにシフトする。この例では、パケットはピーク又は谷から成る。正確なトレースでは、レベル12及び13のサーフェスは存在せず、そのためカット・アンド・ペーストするために対応するパケットが存在しない。結果はレベル変換されたデータに隙間を含み、これらレベルのサーフェスの不存在を示す。
図20は図1からレベル変換した震探データを示す。このデータは時間からレベルドメインに変換した。全ての隙間を埋めるとオリジナルデータが再構築される。
上記のスケルトン化法は一般化してより大きなアプリケーションの状況に置くことができ、ときにパターン認識と呼ばれる方法のカテゴリである。そのオーバーアーチング法を次に説明する。
オーバーアーチング法(図21を参照)は、例えば、地球物理学的なデータボリューム211を取り、任意でデータをあらかじめ条件付けし、任意で特性又は属性のセットを計算してから、ボリュームを領域に分割する(ステップ212)。ステップ213で、各領域を解析して、さらに測度を割り当て及び/又はその後の考察のために領域の優先度付け又は高格付けを可能にする(ステップ214)意味に対応付ける。このワークフローの結果は問題とする高格付けされた領域の集合であり、関連オブジェクト215と呼べるものである。本明細書で開示するスケルトン化法を含め、スケルトン化は分割ステップ212の1つのオプションであり、そのためスケルトン化で生成される個々のサーフェスはより広いアプリケーションで領域をなす。上記において概述した拡張ワークフローの1つの目的は小規模なデータボリュームの場合でも、スケルトン化は数千から数百万のサーフェスを作成してもよく、人間の解釈者及び従来の震探解釈システムを完全にしのぐことができる。より重要なサーフェスについて解釈者が詳細な解析を始められるように、関連あるサーフェスのみを選択及び提示するか、又は少なくともそれに優先度をつける方法が必要である。
これまでに公開されたアプローチでは、地球物理学的パターン認識とは、しばしば教師なしセグメンテーション、又はニューラルネットワーク方法を使用した学習データに基づく分類及び外挿をいう。他のアプローチはこの用語を震探事象の検出又は様々な種類の事象の識別のみを言うのに用いる。対して、次に開示する方法は、震探データを領域に分割することと、測定したその領域の特徴を自動的に使用して、炭化水素探査のために地質学的又は地球物理学的な重要度のレベルをそれに割り当てることの両方ができる。しかしまずは、これまでに公開されたアプローチのいくつかを以下に簡単に見直す。
メルダール等(Meldahl et.al)は、米国特許第6,735,526号明細書(発明の名称:Method of Combining Directional Seismic Attributes Using a Supervised Learning Approach)においてかかる教師付の学習方式を開示しており、この方式は、地質学的特徴、例えばガス煙突を識別してこれを分離するニューラルネットワークを用いた有向震探属性を組み合わせている。
ウェスト(West)及びメイ(May)に付与された米国特許第6,560,540号明細書(発明の名称:Method For Mapping Seismic Attributes Using Neural Networks)は、震探面に関する例示の領域について訓練されたニューラルネットワークを用いて震探テキスチャに基づいて震探面を割り当てる方法を開示している。
ウェントランド(Wentland)及びホワイトヘッド(Whitehead)に付与された米国特許第7,162,463号明細書(発明の名称:Pattern Recognition Template Construction Applied To Oil Exploration And Production)は、炭化水素堆積物の探査及び産出に用いることができるテンプレートを構築する方法を開示しており、この場合、テンプレートは、彩度、不透明度、色相及び飽和度を描画するために用いられる論理的にゲートされる規則の組を意味している。
ウェントランド(Wentland)及びホワイトヘッド(Whitehead)に付与された米国特許第7,188,092号明細書(発明の名称:Pattern Recognition Template Application Applied To Oil Exploration And Production)は、油及び天然ガスの堆積物を発見するためにテンプレートを適応する方法を開示している。
ウェントランド等(Wentland et.al)に付与された米国特許第7,184,991号明細書(発明の名称:Pattern Recognition Applied To Oil Exploration And Production)は、望ましいパターンの視覚的認識又はデータ内における望ましい又は望ましくない特徴の存在の表示によりデータをテンプレートと比較する追加の方法を開示している。
ウェントランド及びモックタール(Mokhtar)に付与された米国特許第7,308,139号明細書(発明の名称:Method,System,And Apparatus For Color Representation Of Seismic Data And Associated Measurements)は、人間としてのオペレータがデータ内のパターン及び特徴を容易に検出することができるようにする仕方でディジタル化情報を表示する方法を開示している。
パドジェ(Padgett)に付与された米国特許第7,463,552号明細書(発明の名称:Method For Deriving 3D Output Volumes Using Filters Derived From Flat Spot Direction Vectors)は、3D震探データ中の傾斜及び方位角を分析することにより炭化水素の存在及び炭化水素と水流体の接触の存在場所を突き止める方法を開示している。
ケスケス(Keskes)に付与された米国特許第5,940,777号明細書(発明の名称:Automatic Seismic Pattern Recognition Method)は、トレーニングデータ編により特定された所与の数の震探パターンを認識する自動震探パターン認識法を提供している。
ウィボウ(Wibaux)及びグイス(Guis)に付与された米国特許出願公開第2008/0123469号明細書(発明の名称:System And Method For Seismic Pattern Recognition)は、ウェーブレットエネルギー及び既知の波形パターンとの比較に基づいて微小震探事象を検出する方法を開示している。
以上の方法が提供できないものは、地質又は地球物理データのボリュームを分割し、その炭化水素ポテンシャル又は炭化水素の探査及び産出との関連性について分割した各領域を自動的に解析し、その関連性に従い領域をランク付けするか、又は関連のないもの全部を抑制する自動化された方法である。これは炭化水素累積の直接探査、又は地下炭化水素システムの要素、例えば、貯留層、シール層、源、熟成度及び移動経路の検出及び評価を可能にするであろう。
このオーバーアーチング法は典型的には多数のサブサーフェス領域を取り、それを解析してより関連あるものを自動的に選択又は強調表示できる。この方法の代替実施形態は領域を選択せず、代わりにその解析で判定される関連性に基づいて領域をランク付けする。前者の場合、解釈者又はコンピュータベースのシステムは大幅に減少させた領域のサブセットで作業を続ける。後者の場合、全ての領域で作業を続けるかもしれないが、時間及びリソースは領域のランクに基づいて割り当てられる。本発明においては、領域とは、サーフェス又は地質体などの1つ又は複数のオブジェクトによって定義されるサブサーフェスボリュームのセルの集合、又はボクセルである。さらに、オブジェクトを高格付けするステップは、例えば、選択、強調表示、優先度付け、又はランク付けを含む。様々な実施形態及びパラメータ化は段階的に行ってより低い優先度の領域を順次除去する、又はランキングを改善することができる。
データボリュームの領域への細分化は、オブジェクト生成ステップから始めてもよい。当然手動による作成も可能であるが、自動生成の方がより実際的かつ効率的である。このため、本発明の地球物理学的なパターン認識方法の好適な実施形態は次のステップから成り、その全てがコンピュータ上で自動的に実行されるようにプログラムしてもよい。(a)データ事前処理及び/又は属性計算の任意の適用、(b)データボリュームからオブジェクトの生成、(c)測度を割り当てるためのオブジェクトの自動解析、(d)オブジェクトを高格付けするための測度の使用、及び(e)詳細解析のための関連あるオブジェクト又は全オブジェクトの階層の最適な記憶。
典型的には、物理探査データは地震波振幅ボリュームであるが、本発明はそのように全く制限されない。考えられる他のデータには、地震波属性ボリューム、地震波速度、密度又は電気比抵抗、岩石物性データ、例えば孔隙率又は砂岩−頁岩比、地質データ、例えば岩石学、堆積環境、又は堆積年代、地質モデル及びシミュレーション、貯留層シミュレーション情報、例えば圧力及び流体飽和率、又は工学及び産出データ、例えば圧力又は含水率が含まれる。
オブジェクト生成は多くの様々な方法で行える。データのしきい値化、ビンニング若しくはクラスタリング、スケルトン化若しくは自動特徴点追跡又はセグメンテーション等の方法がある。しきい値化の場合、ユーザ又はアルゴリズムのいずれかがしきい値を指定する。それより低い(又は高い)値の全ての点は背景に割り当てる。残りのデータ点は点オブジェクトとして使用してもよく、又は例えば連結成分ラベリングアルゴリズムを適用して連続曲線、サーフェス又は立体に変換してもよい。しきい値を超える値をもつ点を背景に割り当てる場合、類推により進める。この場合はデータをユーザ又はアルゴリズム指定のビンにビンニングすることによってさらに一般化され、連結成分ラベリングアルゴリズムでさらに洗練できる生のオブジェクトを作成する。オブジェクトは1又は複数のデータセットから点のクラスタリングによって、又は他のオブジェクトのクラスタリングによって再帰的にも構築できる。
オブジェクトはホライゾントラッカ、ホライゾンピッカ、断層トラッカ、チャネルトラッカ又はシードピッキングを使用して自動化又は支援されたトラッキングで作成できる。ホライゾンピッキングのある形態は、同時に多くのサーフェスを自動的にピックする地震波スケルトン化である。本発明のスケルトン化の方法はここでは好適なオプションである。
セグメンテーションとは、データボリュームを複数のオブジェクト、又は領域(ボクセルの集合)に分割するプロセスをいう。ある領域内のボクセルの各々はある特徴又は計算した物性に関して類似しているが、隣接する領域は同じ特徴について著しく異なる。クラスタリングに基づくセグメンテーションとは、データセットを指定数のクラスタ又はオブジェクトに分割するために使用する反復手法である。ヒストグラムに基づく方法は、データセット全体のヒストグラムを計算して、極大値又は極小値を使用してクラスタ又はオブジェクトを位置づける。この手法をさらに洗練したものは、クラスタを段々小さなクラスタに、クラスタがそれ以上形成されなくなるまで分けるために、データ内のクラスタにヒストグラム探索法を再帰的に適用する。エッジ検出に基づく方法は、領域又はオブジェクトの境界がしばしばエッジに密接に関係する、すなわち相対的に急激な物性遷移であることを利用している。震探データの場合、不連続又は類似性はエッジ検出部として役立つ。エッジ検出で識別されるエッジはしばしば分離している。しかし、データボリュームからオブジェクトをセグメント化するためには、閉領域の境界が必要である。2つのエッジ間の距離がある所定のしきい値以内の場合、エッジの隙間は埋められる。領域拡張法はデータにとともに入力としてシード点の集合を取る。シードはセグメント化するべきオブジェクトの各々にマークを付ける。領域は、領域に未割り当ての全ての隣接ボクセルを比較することによって反復的に拡大する。このプロセスは全てのボクセルがある領域に割り当てられるまで、又は残りのボクセルがその隣接ボクセルと比較したときにしきい値差を超えるまで続く。レベル集合法、又は曲線の伝達は、曲線又はサーフェスを規定のコスト関数の最低ポテンシャル、例えば平滑度に向けて展開する。曲線又はサーフェスは所望のオブジェクト、例えば断層又はチャネル軸を表すか、又は所望のオブジェクトの境界、例えば岩塩ドーム又はチャネルに対応する。後者の場合、曲線はオブジェクトを収縮包装しているように見える。グラフはセグメンテーションに効果的に使用できる。通常ボクセル、ボクセル群、又は原始オブジェクトをグラフの頂点と考え、頂点間のグラフのエッジは近傍ボクセル又はオブジェクト間の(非)類似性で重みを付ける。このカテゴリの一般に使用されるアルゴリズムのいくつかは、ランダムウォーク、最小平均カット、最小全域ツリーに基づくアルゴリズム、又は正規化カットである。流域変換はデータ又はその勾配の大きさを(多次元)地形面として考える。最大のボクセルは流域線に対応し、領域の境界を表す。共通の流域線で囲まれたボクセルにある水は下り坂から共通の局所極小まで流れる。共通の極小に流出するボクセルは集水域を形成し、セグメント又はオブジェクトを表す。モデルベースのセグメンテーション法は、問題のオブジェクトが繰り返される又は予測可能な形態の幾何学形状をもつことを前提としている。そのため、オブジェクトの形状の変動を探るために確率モデルを使用し、さらにデータセットをセグメント化するときに、従来のようにこのモデルを使って制約を課す。スケール空間セグメンテーション又は多重スケールセグメンテーションは、多重スケールの平滑化でのオブジェクト記述子の計算に基づく一般的なフレームワークである。ニューラルネットワークセグメンテーションは、ニューラルネットワーク又はニューラルネットワークのセットを使用したデータセットの小エリアの処理に依拠する。かかる処理後、意思決定メカニズムが、ニューラルネットワークで認識したカテゴリに従いデータセットのエリアにマークを付ける。ここで述べる例の最後に、支援又は半自動セグメンテーションにおいて、ユーザは、例えばコンピュータのマウスを使った手動ディジタル化により問題の領域をアウトライン化し、オブジェクトのエッジに最良に適合する経路が示されるようにアルゴリズムを適用する。
曲線オブジェクトの例には、坑井経路、チャネル軸、断層固着、ホライゾンの軌道、ホライゾン−断層交差部、又は一般ポリゴンを含むが、これらだけに限定されない。曲線オブジェクトは本発明のスケルトン化法のステップ83で自動的に作成される。サーフェス又は地質体は、細線化又は中心軸変換で曲線に変換できる。
サーフェスオブジェクトは、別の地質体に遭遇するまで指定方向にサーフェスを膨張処理又は太線化することによって地質体に変換できる。膨張変換は、上方、下方又は両方向同時に行うことができる。サーフェスを地質体に変換する別の方法は、極性又はウェーブレットによってサンプルを割り当てることである。同様に、地質体は立体の上面、下面又はその平均を選択することによってサーフェスに変換できる。別の立体からサーフェスへの変換方法は、三次元又は垂直方向に限定した縮小処理又は細線化である。
オブジェクトの解析(ステップ213)は、オブジェクト又は領域を高格付けする次のステップ(214)で使用する1つ又は複数の測度の定義又は選択を含む。測度は、オブジェクトの幾何学的形状、コロケーテッド(二次)データの特性、及びオブジェクト間の関係のいずれの組み合わせでもよい。オブジェクトの幾何学的測度とは、位置、時間又は深度、サイズ、長さ、面積、体積、向き又は形状のことをいう。これらの測度は慣性テンソル、素モーメント、中心モーメント、スケール不変なモーメント、回転不変なモーメント、又は共分散も含む。いくつかの測度、例えば曲率は、曲線、サーフェス又は立体の境界の全ての点がそれ自身の局所値をもつという意味で局所測定である。オブジェクトを特徴付ける1つの値を求めるためには、例えばその平均、メジアン、又は極値の一方を選択することにより、局所的なものを組み込む又はサンプルする必要がある。さらに、曲率は実際にはスカラー量ではなく、テンソル量であり、最小、最大、平均、正の最大値、負の最大値又はガウスの曲率などの局所的な曲率測度の範囲の定義を許す。
コロケーテッド特性測度は、オブジェクトが占める位置のデータセットを照会することによって作られる。例えば、振幅などのコロケーテッド震探又は属性データセット、又は孔隙率又は堆積環境などのコロケーテッド地質モデルから値を抽出して、これらの値の統計的測度を計算できる。統計的測度には、平均、メジアン、モード、極値又は分散、又は素モーメント、中心モーメント、スケール不変及び回転不変な特性加重モーメントが含まれる。2つのコロケーテッド特性を抽出する場合、測度はコロケーテッド値、例えば地質モデルから抽出した、又は坑井経路に沿って測定した孔隙率と透水性の相関によって計算できる。
別の解析及び測定の系統群ではオブジェクト間の関係を調べる。測度には、隣接オブジェクトとの距離又は類似性、近傍の総数、オブジェクトの上又はオブジェクトの下の近傍の数及びその比率、隣接オブジェクトとの結合数とその質、又はオブジェクトのその近傍に対する末端の種類が含まれる。
本発明によるパターン認識法のオブジェクトの解析(ステップ213)のある代替例は、おそらくはスケルトン化により生成した、以前に生成した反射面のセットを高格付けするための、直接炭化水素指標(「DHI」)の計算及び採用である。このようなDHIの例が構造への振幅当て嵌めである。炭化水素貯留層では、流体の種類間の密度差に対する重力の影響が一般に平らである流体接触面を生む。炭化水素貯留層の上からの反射強度はその貯留層内の流体に依存するため、反射強度は流体接触面を交差するときに変化する。サーフェス深度(又は時間)と振幅強度などの地震波属性とを相関させると、流体接触面の証拠、そのため炭化水素の存否について、ボリューム内の全てのサーフェスの高速スクリーニングを容易にする。本明細書で開示するオーバーアーチング(パターン認識)法を使用すると、スケルトン化によって一度に多く又は全部のサーフェスを生成又は抽出し、さらに最も注目のサーフェス、すなわち炭化水素ポテンシャルを示すものを識別する自動化スクリーニングツールとして、その深度と振幅との相関を使用することができる。図22A〜Bにはマップ図の2つのサーフェスの模式例を提示する。深度又は走時は等高線で示しており、等高線の径が大きいほど深度が深くなることを示し、地震波振幅はここでは白が最も明るい(振幅の最大値)グレースケールの明度で表されている。図22Aでは、振幅はサーフェスの深度に相関する。明るい振幅は浅部であるのに対し、暗い振幅は深部だと分かる。このように、サーフェスに沿った振幅はサーフェス深度の等高線に相関する。属性は構造に合い、炭化水素累積のポテンシャルを示す。図22Bでは、振幅はサーフェストポグラフィに合わせて体系的に変化していない。地震波振幅及び深度の等高線は相対的に相関がなく、炭化水素の存在を示していない。
サーフェス及び地質体の解析の震探DHIベースの測度の他の例には、振幅異常、振幅対オフセット(AVO)効果、相変化又は極性反転、及び流体接触面又は共通の末端レベルが含まれる。他の地球物理学的な炭化水素の証拠には、地震波速度の低下、及び周波数減衰、また電気比抵抗が含まれる。振幅異常とは、1つの振幅ボリューム、例えばフルスタックにおける周囲の背景振幅に対する振幅強度、及びその一貫性と持続性を意味している。明るい振幅異常は背景よりも大きな振幅の大きさをもつが、暗い異常は背景よりも小さな振幅の大きさをもつ。予想背景トレンドに対するサーフェス又はオブジェクトの位置の地震波振幅の比較により、異常な振幅強度DHI測度に基づく高格付けが可能である。
様々なボリューム、例えば近距離、中距離及び遠距離のオフセットスタック間のコロケーテッド振幅を比較すると、AVOクラスの割り当てができる。AVOクラス1は近距離のスタックデータにはっきり認識できる正の反射振幅をもち、中距離のスタックデータ及び遠距離のスタックデータではそれぞれ振幅の大きさが小さくなる。AVOクラス2は近距離のスタックデータでほぼゼロの振幅をもち、中距離及び遠距離のスタックデータではオフセットにより正の振幅が減少していくか、又は負の振幅値が段々増加していく。AVOクラス3は近距離のスタックデータで強い負の振幅を示し、オフセットが増えるにつれて段々負の値が大きくなっていく。AVOクラス4は全てのオフセットで非常に強い、ほぼ一定の負の振幅を示す。好ましくは、オブジェクト内の振幅の持続性又は一貫性を、AVOクラスそれぞれの中で二次測度として使用する。サーフェス又はオブジェクトの位置における部分オフセットスタック又は角度スタックの比較はAVO挙動による分類を可能にし、そのためAVO DHI測度に基づく高格付けを可能にする。部分スタックの代替例は、サーフェス又はオブジェクトの位置におけるプレスタック(オフセット)ギャザーからのAVOパラメータA(切片)及びB(勾配)の推定、及びAVO分類又はA×B又はA+Bなどの測度の計算のためにこれらのパラメータの使用である。
流体接触面の証拠はさらに別の炭化水素指標である。流体接触面は相対的に平坦な反射を起こし、そのため相対的に平坦なサーフェスを生むことができる。各サーフェスの平坦度を測定すると、流体接触面を強調表示できる。平坦度測度の好適な実施形態は個々の測度を地域的なトレンドで修正することで、変動する水深及びオーバーバーデンにより生じる他の垂直ひずみの補正を可能にする。流体接触面は例えば炭化水素ガスから水への流体変化を暗示する。ときには、貯留層シール層と水貯留層との境界は正の極性をもつ震探サーフェスであるが、シール層とガス貯留層との境界は負の極性をもつサーフェスである。かかる状況では、シール層と貯留層の境界は、流体接触面をわたる浅部から深部への極性変化を示すサーフェスに相当する。サーフェス又はオブジェクトに沿ったウェーブレット極性又は瞬間ウェーブレット相の推定の比較により、極性反転又は相変化DHIを示す領域を識別できる。
多くの隣接サーフェスの急激な沈み込み末端又は振幅の局所的な持続する急激な変化は、サーフェス及び地質体から定量化できる直接炭化水素指標のさらに別の例である。隣接サーフェス又はオブジェクトの末端深度を比較又は相関して、又は好ましくは同じ領域の類似の末端深度の数をカウントすると、急激な沈み込み末端のDHI測度を示す領域を識別できる。
振幅の局所的な急激な変化はサーフェス又はオブジェクトの位置の振幅にエッジ検出演算を行って、隣接サーフェス又はオブジェクト間のかかるエッジの相関を出すことにより測定できる。エッジ検出の代替法は隣接サーフェス又はオブジェクト間の地震学的非類似性又は不連続性の相関である。
地震波振幅以外のデータを使用すると、直接炭化水素指標の他の測度が使用可能である。炭化水素ガスは震探エネルギーの減衰を高める傾向があり、そのため周囲の背景と比較したときに震探信号の周波数成分を下げる傾向がある。瞬時周波数ボリュームから、又はスペクトル分解したボリュームの比較により周波数遷移を測定して定量化できる。サーフェス又はオブジェクトの位置で一貫性のある周波数遷移を観測すると、周波数遷移DHI測度に基づき高格付けできる。
炭化水素ガスは地震波の速度を低下させる傾向もあり、これは時間ドメインデータで局所的に沈下したサーフェスになる。例えばサーフェスの二次微分(すなわち、ラプラス演算子)の和を計算すると、沈下度の測定ができる。激しいケースの場合、ガスはインバージョン、トモグラフィー、又は速度解析により得られる地震波速度のボリュームでも検出でき、サーフェスオブジェクトの位置の速度は地域的なトレンドより低い。
サーフェス又は地質体に沿った炭化水素の直接検出の好適な実施例では、解析及び測定はデータ品質、データ量、事前の期待値、及び利用できるなら、例えば較正坑井からの地上較正(グラウンドトルース)の関数として信頼度も含む。
炭化水素系の要素は、貯留層、シール及び源を含む。貯留層又はシール品質に関する例示の測度は、例えば層開発性によって表された変形である(ジェイ,エル,フェルナンデス‐マルチネス(J. L. Fernandez-Martinez)及びアール,ジェイ,リスル(R. J. Lisle)ジェンラボ:ア・エムエーティーラボ‐ベースド・プログラム・フォー・ストラクチュラル・アナライシス・オブ・フォールズ・マップド・バイ・GPS・オア・セイスミック・メソッズ(GenLab: A MATLAB-based program for structural analysis of folds mapped by GPS or seismic methods)」(コンピューターズ・アンド・ジオサイエンシーズ(Computers & Geosciences)35,p.317‐326))。開発可能な幾何学的形状からの偏差は、褶曲中における層の引き伸ばしが生じることを示唆している。したがって、これら偏差は、ホライゾンの伸張に関連付けられ、これら偏差を脆性破壊又は延性変形により表される変形の領域を強調するために使用できる。脆性破壊は、貯留層コンパートメント内における貯蔵要領を増大させる破壊により促進された多孔性の潜在的可能性を示唆するが、更に密封ユニットの破壊を示唆している。延性変形は、貧弱な地層であるシェールの豊富な地層を示唆するが、源岩を構成すると共にシールとしての役目を果たす。別の変形測度は、サーフェス曲率である。変形領域は、追加の多孔性を提供する破壊の促進の潜在的可能性及び炭化水素の貯蔵量の増大の潜在的可能性を提供するが、貯留部破損の恐れの増大を生じさせるシールを損傷させる破壊の促進の潜在的可能性を指示する曲率の大きな値をもつサーフェスを有する傾向がある。
各オブジェクトに関する1種類又は2種類以上の測度、例えば開示したDHI測度を利用することにより、関連の測度の高格付けが可能である。選択基準としては、しきい値処理、順位付け、優先度付け、分類又はマッチングが挙げられる。第1の方式は、しきい値を測度に適用し、しきい値を超え又は下回るかのいづれかの全てのオブジェクトを選択することにある。別の方法は、オブジェクトをこれらの測度に従って順位づけし、次に、例えば最上位のオブジェクト、上位10個のオブジェクトを選択することである。順位付けの特定の場合は、優先度付けであり、この場合、全てのオブジェクトが選択されるが、例えばこれらのラベル又はデータベースを介してこれらのランクに関連づけられる。次の分析は、ランクの最も高いオブジェクトで始まり、次にこれらの優先度に従ってオブジェクトに進み、ついには、規定の数の合格レベルのオブジェクトを識別し又は時間及び/又は埋蔵量に関する制約が次の行動の終了を必要とするようにする。
本発明の方法を他のパターン認識用途、例えばボリューム平坦化、階層セグメント化、エッジ及び終点検出、DHI検出、炭化水素系分析及び/又はデータ処理(データ簡約)で利用可能である。本発明の方法の他の用途としては、解釈、データ処理及び/又は多シナリオ追跡が挙げられる。
上述の用途は、本発明の特定の実施形態にこれらを説明する目的で適用される。しかしながら、本明細書において説明した実施形態の多くの改造例及び変形例が可能であることが当業者には明らかであろう。かかる全ての改造例及び変形例は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められる本発明の範囲に含まれるものである。

Claims (20)

  1. 地震探査で収集した震探データボリュームを、視覚表示されたときに地震波を反射することによりデータを生じさせる地下反射面の表示を示す対応のデータボリュームに変換するコンピュータ実施方法において、
    (a)前記データボリュームから震探反射波をピックし、前記ピックから初期サーフェスを作成するステップと、
    (b)主としてトポロジー的に一貫性のある小さな部分(「パッチ」)に分解するステップと、
    (c)隣接のパッチをトポロジー的に一貫性のある仕方でマージし、震探データボリュームからトポロジー的に一貫性のある反射波に基づくサーフェスを抽出するステップと、 (d)前記抽出したサーフェスを目視検査若しくは解釈のために表示し又はこれらサーフェスのディジタル表示をコンピュータメモリ又はデータ格納装置にセーブするステップと、を備えている、
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記トポロジー的に一貫性のある反射波に基づくサーフェスを用いて炭化水素累積のポテンシャルを予測し又は分析するステップを更に有する、
    請求項1記載の方法。
  3. 「トポロジー的に一貫性のある」という表現は、サーフェスが(i)自己オーバーラップなし、(ii)ローカル一貫性あり、及び(iii)グローバル一貫性ありのうちの少なくとも1つを満足させることを検証することから成る、
    請求項1記載の方法。
  4. 前記震探反射波は、前記震探データボリューム中の隣接のトレース相互間の反射事象を相関させることによりピックされる、
    請求項1記載の方法。
  5. 前記ピック操作は、コンピュータを用いて自動化される、
    請求項4記載の方法。
  6. サーフェスをパッチに分解するステップは、初期サーフェスを線に収縮させるステップと、前記線中の継ぎ目を除去してより個々の線を形成するステップと、個々の線を単一ボクセル点(特性点)に収縮させるステップと、隣接のボクセルを追加してボクセルのパッチを形成することにより前記特徴点を前記初期サーフェスに沿って伝播させるステップとから成る、
    請求項1記載の方法。
  7. 各特徴点には、互いに異なるラベルがラベル付けされ、前記ラベルは、前記特徴点の周りに形成された前記パッチに貼付され、互いに異なるパッチが伝播によって拡張されているときに互いに異なるパッチを常時監視する手段が提供される、
    請求項6記載の方法。
  8. 制御型マーチングを用いて点を初期サーフェスに沿って伝播させる、
    請求項6記載の方法。
  9. 線への初期サーフェスの前記収縮は、個々のボクセルの連続線が結果として得られるまで前記サーフェスの周囲からボクセルの厚さ1つ分の層を連続的に除去するステップから成る、
    請求項6記載の方法
  10. 線から接合ボクセルを削除して線を形成し、その後、線を点に収縮させるステップを更に有する、
    請求項6記載の方法。
  11. トポロジー的一貫性は、点の伝播中、強いられる、
    請求項6記載の方法。
  12. 隣接のパッチをトポロジー的に一貫性のある仕方でマージするステップは、パッチについてオーバーラップ及び近傍表を作成し、前記オーバーラップ及び近傍表をソートすることによりマージ対候補に関する順序を生成し、前記オーバーラップ及び近傍表を用いてトポロジー的一貫性があるかどうかについて候補マージをチェックし、トポロジー的に一貫性のあるマージャを受け入れることにより実施される、
    請求項1記載の方法。
  13. 前記近傍表の前記ソート順序は、前記隣接パッチの幾何学的形状又はこれら隣接パッチ相互間の幾何学的形状の差に基づき或いは前記パッチにコロケートされた震探データから抽出される1つ又は2つ以上の属性の統計学的特性又はこれら属性相互間の差に基づいている、
    請求項12記載の方法。
  14. 前記トポロジー的に一貫性のある反射波に基づくサーフェスを空間的に平坦化して、前記トポロジー的に一貫性のある反射波に基づくサーフェスを用いると共に前記平坦化されたサーフェスを用いて堆積シーケンスを表す順序にして炭化水素累積のポテンシャルを予測し又は分析するステップを更に有する、
    請求項1記載の方法。
  15. 前記トポロジー的に一貫性のある反射波に基づくサーフェスが存在する関連の震探データを平坦化するステップを更に有する、
    請求項14記載の方法。
  16. 前記震探データ平坦化ステップは、前記震探データの非線形伸張又はカット・アンド・ペースト法によって実施される、
    請求項15記載の方法。
  17. 前記トポロジー的に一貫性のある反射波に基づくサーフェスの堆積順序又は階層を示す視覚表示を作成するステップを更に有する、
    請求項1記載の方法。
  18. 前記視覚表示は、ツリーであり、前記方法は、前記ツリーを用いて可視化のために1つ又は2つ以上のサーフェスを選択するステップを更に有する、
    請求項17記載の方法。
  19. 前記パッチを用いて前記震探データボリュームを、共通インターバル内で堆積した地質学的ユニットを表す三次元地質体又はサーフェス間パッケージにセグメント化し、前記三次元地質体又はサーフェス間パッケージを用いて炭化水素ポテンシャルがあるかどうかについて分析するステップと、を更に有する、
    請求項1記載の方法。
  20. 前記トポロジー的に一貫性のある反射波に基づくサーフェスのエッジ及び末端点の場所及び特性を分析し、この分析結果を用いて炭化水素累積のポテンシャルを予測し又は分析するのを助けるステップを更に有する、
    請求項2記載の方法。
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