JP5449935B2 - 導体部材及びそれを用いた磁気共鳴撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気共鳴撮像(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置(以下、MRI装置)に関わり、特に、磁気共鳴現象を誘起する回転磁界の空間分布の不均一を低減する導体部材を備えた磁気共鳴撮像装置およびその導体部材に関する。
MRI装置は、検査対象を横切る任意の断面内の原子核に磁気共鳴を起こさせ、発生する磁気共鳴信号からその断面内における断層像を得る医用画像診断装置である。検査対象に電磁波の一種であるラジオ波(Radio Frequency wave、以下、RF)を送信し、検査対象内の原子核のスピンを励起すると共に、その後、核スピンにより発生する核磁気共鳴信号を受信し、検査対象を画像化する。RF送信用コイルによって被検体に対してRFが送信され、RF受信用コイルによって核磁気共鳴信号が受信される。
近年、画像のSNR(Signal to Noise ratio)の向上を目指して、静磁場強度を大きくするといった研究開発が進んでおり、静磁場強度が3T(テスラ)程度の高磁場MRI装置(3T MRI装置)の普及が始まっている。しかし、静磁場強度が大きくなるほど、撮像画像にムラが生じやすくなることが問題となっている。これは、高磁場化に伴って、磁気共鳴現象を誘起するために使用されるRFの周波数が高くなるためである。3T MRI装置では周波数128MHzのRFが使用されているが、このRFの生体内での波長は腹部断面とほぼ同スケールの30cm程度となり、生体内においてRFの位相に変化が生じる。そのため、照射RF分布、およびそのRFにより生成され磁気共鳴現象を誘起する回転磁界(以下、B1)の空間分布が不均一となり、画像ムラが生じている。このような現状より、超高磁場MRI装置で行われるRF照射において、回転磁界B1の分布の不均一を低減する技術が必要とされている。
B1分布の不均一を低減する方法として、RF照射方法を工夫する手法が提案されている。具体的には、「RF並列送信技術」と呼ばれる手法があり、これは、傾斜磁場および複数のRF送信用コイルを用いて、各々のコイルに与えるRFパルスの波形そのものを独立に制御することによって、撮像領域におけるB1分布を制御するといった手法である(例えば、特許文献1、非特許文献1)。
また、RF並列送信技術の一つとして「RFシミング」という手法が近年登場し、注目されている。(たとえば、特許文献2、非特許文献2)。RFシミングとは、各コイルに与えるRFパルスの位相と振幅を制御して、B1不均一を低減させる方法である。
RF照射方法を工夫する手法以外では、「誘電体パッド」の使用が挙げられる(たとえば、非特許文献3)。これは、撮像部位、たとえば腹部に対して、ある誘電率を持ったパッドを載せることによって、腹部内のB1分布を変化させ、B1強度の小さい箇所の位置をずらす効果を持つものである。
また、カップリングコイルを腹部に置くといった研究もされている(特許文献3、非特許文献4)。これは、腹部断面内のB1強度の小さい箇所の近傍にカップリングコイルを置くことによって、B1強度を大きくする効果を持つものである。
米国特許6900636号 米国特許7078901号 WO2008100546
Katscher U他著、 Transmit SENSE、 Magnetic Resonance in Medicine、Vol.49、 pp.144−150、 2003 Nistler J他著、 Homogeneity Improvement Using A 2 Port Birdcage Coil、Proceedings of International Society of Magnetic Resonance in Medicine、 p.1063、 2007 Schmitt M他著、 Improved uniformity of RF−distribution in clinical whole body−imaging at 3T by means of dielectric pads、Proceedings International Society of Magnetic Resonance in Medicine、 p.197、 2004 Schmitt M他著、 B1−Homogenization in abdominal imaging 3T by means of coupling coils、 Proceedings of International Society of Magnetic Resonance in Medicine、 p.331、 2005
特許文献1、非特許文献1によれば、RF並列送信では、独立駆動が可能な複数個のRF送信用コイルを用意し、各々のコイルに与えるRFパルスの波形を制御している。また、RF照射時の傾斜磁場の与え方についても制御を行っている。この手法では、B1不均一を低減させることはできるものの、RFパルスの照射時間が数10msと長くなる欠点を持ち、パルスシーケンスに制限が生じてしまうといった問題を抱えているため、実用化には依然課題が残っている状況である。また、複数個のRF送信用コイルを配置することが必要となるため、その複数個のRF送信用コイル、および、それらのRF送信用コイルを独立に駆動する波形生成装置やRFアンプに、より多くのコストがかかる。
特許文献2、非特許文献2などのRFシミングでは、複数個のRF送信用コイルに与えるRFパルスの振幅と位相のみを制御しているため、パルスシーケンスの制限を受けないというメリットを持つ。しかしながら、先に述べたRF並列送信技術と比較すると、B1不均一の低減効果としては劣っているのが現状である。また、複数個の波形生成装置やRFアンプを装備するのにかかるコストについてはRF並列送信技術と同様である。
非特許文献3によれば、誘電体パッドは、腹部に載せることによってB1不均一の低減効果を発揮するが、誘電体パッドは数kgの重量を持つため、患者への負担が生じるといった問題を持つ。また、シーケンスによっては、誘電体パッド自身が画像内に白く写りこんでしまい、診断を阻害するといったデメリットも持つ。
特許文献3、非特許文献4によれば、カップリングコイルは、誘電体パッドと比較して、より軽く(〜0.5kg)、誘電体パッドのように画像内に白く写り込んでしまう問題が生じないというメリットを持つ。しかし、カップリングコイルを使用する際には、カップリングコイルと腹部との位置関係の違いによって、カップリングコイルの共振周波数が変化して、B1不均一の低減効果にも違いが生じる可能性が考えられる。カップリングコイル内に配置された抵抗、キャパシタ、インダクタ等の値を変化させることによって、カップリングコイルの共振周波数を変化させることができるが、その場合には、撮像前に予めB1分布を取得し、その分布を元に抵抗、コンデンサ、インダクタ等の値を決定することとなるため、より多くの時間を要すると考えられる。また、抵抗、コンデンサ、インダクタを使用することによって、コストの増大にもつがなる。
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を鑑みた上で、RF送信用コイルが生成する回転磁界B1分布の不均一を低減することができ、患者への負担もなく、可能な限り簡易な構造を持つ導体素材を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、被検体とRF送信用コイルの間に、RF送信用コイルが生成する回転磁界B1の不均一を低減するように導体部材を配置する。RF送信によって磁界が生成されている空間内に導体部材を置くことによって、導体部材近傍の磁束が疎になったり密になったりと、大きく変化する現象が生じる。本発明では、この現象を積極的に利用することによって、B1分布の制御を行う。具体的には、被検体断面内のB1強度が大きい領域の近傍に対して、導体部材の中央部がくるように配置し、かつ、B1強度の小さい領域の近傍に対して導体部材の端部がくるように配置することによって、被検体断面内のB1強度の大小のばらつきが小さくなり、B1不均一を低減することを可能とする。
本発明によれば、被検体とRF送信用コイルの間に導体部材を配置することによって、B1不均一を低減することが可能となる。したがって、RFパルスの制御を行う必要がなく、パルスシーケンスの制限を受けることは全くない状況で、回転磁界B1の不均一を低減することができる。また、RF送信用コイルを独立に駆動するための複数個の波形生成装置やRFアンプを使用する必要がなく、コストを下げることが可能となる。また、本発明における導体部材は、被検体に対して非接触で効果を発揮するため、誘電体パッドのような数kgの重量の部材を患者に載せる必要がない。また、本発明では、導体部材のみの使用によって磁界を変化させる効果を発揮するため、抵抗、キャパシタ、インダクタといった回路部品を、原則使用する必要がない。そのため、抵抗、キャパシタ、インダクタの調整の手間が一切かからず、また、コストを低減することができる。
本発明が適用されるMRI装置の概要を示す構成図である。 本発明が適用されるMRI装置のRFコイルの概要を示す図である。 RF送信用コイルおよびファントムの模式図である。 ファントム内における回転磁界B1の分布を示すシミュレーション結果を示す図である。 RF送信用コイル内の導体部材の効果を示すシミュレーション結果である。 導体部材の磁束線への影響を示す模式図である。 ファントムの使用により本発明の効果を確認するシミュレーションの様子を示す図である。 導体部材と、ファントムとの距離を変化させた場合の、ファントム内における回転磁界B1の分布およびB1均一度を示すシミュレーション結果である。 導体部材による被覆率を変化させた場合の、ファントム内における回転磁界B1の分布およびB1均一度を示すシミュレーション結果である。 図7の導体部材とファントムとの距離の変化に対するB1均一度指標の変化をグラフ化した特性図である。 図8の被覆率の変化に対するB1均一度指標の変化をグラフ化した特性図である。 導体部材による被覆率を変化させた場合の、ファントム内のB1均一度およびB1平均値の変化を示す特性図である。 本発明の第一の実施の形態(実施例)の主要部を示す図である。 上記実施例の導体部材を配置した場合と配置しない場合の、ファントム内における回転磁界B1の分布の違いを示すシミュレーション結果である。 3T MRI装置を用いたヒト下腹部の撮像実験により得られた、ヒト下腹部のB1分布である。 本発明の第二の実施の形態(実施例)の主要部を示す図である。 本発明の第三の実施の形態(実施例)の主要部を示す図である。 本発明の第四の実施の形態(実施例)の主要部を示す図である。 本発明の導体部材の形状のバリエーションを示す図である。 板状およびループ状の導体部材の効果を示すシミュレーション結果である。 本発明の第五の実施の形態(実施例)の主要部を示す図である。 本発明の第六の実施の形態(実施例)の主要部を示す図である。
以下、本発明に関するRFコイルおよびそれを用いた磁気共鳴装置の実施の形態について詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
<<第一の実施形態>>
以下、本発明の第一の実施形態について説明する。まず、第一の実施形態のMRI装置の全体構成について説明する。図1は、本実施形態のMRI装置100のブロック図である。本図に示すように、本実施形態のMRI装置100は、静磁場を発生するマグネット101と、傾斜磁場を発生するコイル102と、静磁場均一度を調整するシムコイル112と、シーケンサ104と、高周波磁場を発生するRF送信用コイル114と、被検体10から発生する磁気共鳴信号を受信するRF受信用コイル115と、被検体103を載置するテーブル107とを備える。傾斜磁場コイル102およびシムコイル112は、それぞれ傾斜磁場電源105およびシム電源113に接続される。RF送信用コイル114およびRF受信用コイル115は、それぞれ、高周波磁場発生器106および受信器108に接続される。シーケンサ104は、傾斜磁場電源105とシム電源113,および高周波磁場発生器106に命令を送り、それぞれ傾斜磁場および高周波磁場を発生させる。高周波磁場は、RF送信用コイル114を通じて被検体103に印加される。高周波磁場を印加することにより被検体103から発生する磁気共鳴信号はRF受信用コイル115によって検出され、受信器108で検波が行われる。受信器108での検波の基準とする磁気共鳴周波数は、計算機109によりシーケンサ104を介してセットされる。検波された信号はA/D変換回路を通して計算機109に送られ、ここで画像再構成などの信号処理が行われる。その結果は、ディスプレイ110に表示される。検波された信号や測定条件は、必要に応じて、記憶媒体111に保存される。シーケンサ104は通常、予めプログラミングされたタイミング、強度で各装置が動作するように制御を行う。
本実施の形態の磁気共鳴撮像装置は、被検体103の近傍に配置される、導体部材116を備えている。本発明では、導体部材116によって被検体103内のB1不均一を低減することが可能であることを新たに見出した。以下、導体部材116によるB1不均一の低減の原理について、電磁場解析シミュレーションの結果を用いて説明する。
はじめに、図2に被検体103に対して、RF送信用コイル114によりRF照射する際の一般的な形態の一例を示す。図2に示すように、MRI装置による画像撮像時には、RF送信用コイル内に被検体103を挿入し、RF送信することによって画像取得を行っている。図2に示すRF送信用コイルは、バードケージコイルと呼ばれるもので、MRI装置におけるRF送信用コイルとして一般的な形状の一つである。本実施例におけるシミュレーション結果はバードケージコイルを用いることとする。
次に、図3Aおよび図3Bに、被検体103を模擬したファントム117に対して、RF送信用コイルでRF照射した際における、ファントム117内で生成される回転磁界B1を示す。図3Aはバードケージコイル及びファントムの模式図,図3Bはファントム117内のB1分布である。なお、図3B内のB1強度については、ファントム内の最大B1強度が1となるように無次元化している。ファントム117については、直方体形状をしており、x、y、z軸方向の寸法はそれぞれ、300mm、200mm、300mmである。これは、生体の腹部断面を想定した上で,単純化した形状としたものである。また、ファントムの物性値としては、導電率1.0S/m、比誘電率が80としており、これは、生体の物性値と近い水ファントムを想定した上で決定されたものである。このファントムに対して磁束を与えるために、24ラングのバードケージコイルを使用した。バードケージコイルの寸法としては、直径が615mm、z軸方向のラング長が400mmである。また、バードケージコイルの外側には、直径655mm、z軸方向の寸法が900mmの円筒シールドを設置してシミュレーションを行った。バードケージコイルから照射されるRFの周波数については、3T MRI装置を想定して、128MHzとした。また、バードケージコイルには2箇所に給電点124を設けており、各給電点124にsine波形を給電することによって、直交する2つの磁束
Bx=A1sin(ωt + φ1)
By=A2sin(ωt + φ2)
を生成している。このとき、回転磁場B1は、
B1=(Bx + iBy)/2
と表されB1を最も効率よく生成するために、Bx、Byとの振幅比(A2/A1)を1、位相差(φ2 − φ1)をπ/2に設定した。これは、QD (Quadrature Drive)と呼ばれるRF照射方法で、標準的なRF照射手法である。
図3Bからわかるように、ファントム117内において、B1強度が大きくばらつき不均一になっている様子がみられる。これが、現在高磁場MRI装置において課題とされているB1不均一である。この現象は、RFの周波数が128MHzと高く、ファントム内での波長が30cm程度と短くなるため、RF波長がファントムの寸法と同スケール程度となるために生じている。具体的には、RFがファントム周囲から入射して、ファントム内部を伝播する際に、RFの位相が大きく変化している。それらのRFが干渉しあうことによって、このようなB1不均一が生じている。本計算結果においては、ファントムの上下二箇所にはB1強度が小さい領域がみられ、ファントム四隅にはB1強度の大きい領域がみられる。このB1分布の不均一は、被検体の腹部断面において生じるB1不均一の一般的な傾向の一例を表すものである。
図4に、ファントム117に対して導体部材116を配置した際における、導体部材116が与えた磁界の変化分を示す。以下に、本シミュレーションの条件について示す。ファントムの形状は図3Bと同様の直方体であり、x、y、z軸方向の寸法はそれぞれ、300mm、200mm、300mmである。また,ファントムの物性値についても図3Bと同様とした。導体部材116の形状はxz面に平行な面に存在する長方形であり、x、z軸方向の長さはそれぞれ、120mm、300mmである。ファントム117と導体部材116との距離は20mmとしている。また、導体部材の物性値としては、銅を想定した上で、導電率を5.8×10^7S/mとしている。
このファントムに対して磁束を与えるために、図3Aにおいては、バードケージコイルの2箇所に給電していたが、ここでは、導体部材116の効果についてなるべく明瞭に確認するために、1箇所のみに給電して直線磁界を生成している。具体的には、y軸方向のみに磁界Byを作るように給電しており、図中に示す磁界もy軸方向の成分Byとなっている。また、図4で示すBy磁界分布は、導体部材116を配置した場合のBy磁界分布の値から、導体部材116を配置しない場合のBy磁界分布の値を引き算して表示されたものであり、導体部材116を配置したことによる、By磁界分布の変化分を示すこととなる。
図4より、ファントム117内のByについて、導体部材116の近傍でByが大きく変化している様子が確認できる。具体的には、導体部材116で覆われたファントム領域については、Byの値が負となっており、導体部材116の配置によって、By値が小さくなることを示している。一方、図4における導体部材116の両端部に近い領域については、By値が正となっており、導体部材116によって、By値を大きくする効果があることを示している。
図5は、RF送信用コイルが生成する磁束線を示した模式図であり、(a)は導体部材116がない場合、(b)は導体部材116がある場合の磁束線を示している。図5(a)では、RF送信用コイルが生成している直線磁界が表されているのに対し、図5(b)では、導体部材116によって磁束線が大きく曲げられることを表している。これは、磁界中に導体部材116を配置すると、導体部材116内に磁界を打ち消すような向きに電流が流れるためである。この現象により、導体部材116の中央部では磁束密度が疎となり、導体部材116の端部では磁束密度が密になる。この現象によって磁束密度の疎密が生成されることによって、図4においても磁界が変化している。これによって、回転磁界B1の値も変化することとなる。
これらの結果により、ファントム117の近傍に導体部材116を配置することによって、RF送信用コイルで生成される回転磁界B1の空間分布を制御できることが確認できた。そこで,導体部材116を効果的に配置することによって,B1不均一を低減することを考えだした。図6にその一例を示す。図3BにおけるB1分布において,ファントムの上下二箇所にはB1強度が小さい領域がみられ、ファントム四隅にはB1強度の大きい領域がみられるが,B1強度の大きいファントム四隅の近傍に導体部材116を配置し,B1強度の小さいファントム上下二箇所の近傍に,導体部材116の端部がくるように配置することを考えた。その結果,図6においては,4枚の導体部材116を配置する構造をとっている。図4,5に示した効果を考えれば,図6のような配置によって,ファントム117内のB1不均一が低減されることが期待される。
そこで,次に,導体部材116の配置の仕方による,B1不均一低減効果の違いについて考える。具体的には、導体部材116の寸法や位置の違いによる、B1均一度の効果について、シミュレーションによる結果に基づいて考える。
図7は、導体部材116とファントム117との距離を変化させた場合の、B1分布の違いおよび均一度指標UNEMA、USDの値を示したものである。ファントムは図3Bの場合と同様である。B1分布をみると、導体部材116とファントム117との距離が大きくなるほど、導体部材がない場合に近いB1分布を示すことがわかる。これは、距離が大きくなるほど、導体部材が与える磁束密度変化の影響が小さくなるためである。本計算条件では,導体部材116とファントム117との距離が20mmの場合において,B1分布が最も均一であることがわかる。
次に、ファントム117内のB1強度の均一度について、以下のように均一度指標を定義する。
なお、max(B1)、min(B1)、m(B1)、σ(B1)はそれぞれ、B1の最大値、最小値、平均値、標準偏差である。UNEMAは、B1の最大値、最小値を用いた指標であり、max(B1)= min(B1)となった場合に、UNEMA=100 %となり、max(B1)とmin(B1)の差が大きくなるほど、UNEMAの値が小さくなっていく。つまり、(数1)に示す第1の均一度指標UNEMAの値が大きいほど、B1の均一度が高いという指標となっている。(数2)に示す第2の均一度指標USDは、標準偏差を平均値で除した値である。これは、B1のばらつきが小さいほどUSDの値が小さくなるので、USDの値が小さいほど、B1の均一度が高いということになる。
図7に記したUNEMA、USDの値をみると,UNEMAについては,導体部材116とファントム117との距離が20mmの場合に最大,USDについては,距離が20mmの場合に最小となっている。すなわち,導体部材116とファントム117との距離が20mmの場合にB1均一度が最も高いことがわかる。よって、本計算条件においては、導体部材116がファントム117に近いほど、効果が大きいといえる。
図8は、導体部材116の面積を変化させた場合の、B1分布の違いおよび均一度指標UNEMA、USDの値を示したものである。ここで、図8に示した被覆率(%)は、ファントムのyz面、xz面の各々の面積を100%として、導体部材の面積の割合を算出したものである。図8では、被覆率が25、50、75%の場合について示している。B1分布および均一度指標をみると、導体部材116の被覆率がどの値の場合においても、導体部材116がない場合に比べ、均一度が向上していることが確認できる。導体部材116を使用した場合の中で均一度を比較すると、被覆率が50%の場合が最も均一度が高くなっている。これは、ファントム117内に生じていたB1不均一の分布に対して、より適切な位置に導体部材の端部および中央部が配置されたためである。これによって、本計算条件においては、導体部材の被覆率が50%程度の場合に、最も均一度が高くなることが示された。
図9Aは、図7に記した導体部材なし、および導体部材とファントムの距離変化に対する均一化指標の変化をグラフ化した特性図である。また図9Bは、図8に記した導体部材による被覆率に対する均一度指標の変化をグラフ化した特性図である。先に述べたように、導体部材の距離および被覆率によって、均一度が変化することがわかる。ここで着目すべき点は、今回シミュレーションした距離および被覆率の範囲(距離:20〜60mm、被覆率:25%〜75%)内においては、どの場合においても、導体部材116によって均一度が向上していることである。実際に導体部材116を被検体103にセットする場合を想定した場合、この程度の距離および被覆率の違いがあっても、B1不均一の効果を示すといえる。また、よりB1不均一を低減したい場合には、本計算条件においては、導体部材116と被検体103との距離を短くし、導体部材116の被覆率を50%程度とするのが望ましいといえる。ただし、被検体103の撮像部位の大きさ、形状、物性値の違いによって、B1分布に違いが生じる場合には、導体部材116の最適な位置についても違いが生じることとなり、被検体103に合わせて導体部材116の位置を決めることが望ましい。
図10は、導体部材116による被覆率の変化に対する、第2の均一度指標USDおよびB1平均値m(B1)の変化をプロットしたものである。被覆率としては、図8、9の場合よりもより刻みを細かくして、10%ごとに調べた。B1均一度については、被覆率が20%から80%の範囲でB1分布のばらつきが小さくなり、すなわちB1分布均一化の導体部材を配置することが有効であることが分かる。また、図9と同様、被覆率が50%程度の時に、均一度指標USDが最も小さくなっており、B1均一度が高くなっている。一方、B1平均値m(B1)については、被覆率が0%〜60%程度まではほとんど変化がない。これは、被覆率が0〜60%程度の場合は、導体部材116によって、磁束密度が疎となる効果と密となる効果の双方の効果により、全体のB1強度がほぼ一定に保たれるからと考えられる。被覆率が70%あたりがらB1の低下がみられ、被覆率が90%を超えるとB1の低下が著しい。これより、導体部材による被覆率が20〜80%の範囲でB1平均値低下が問題のレベルでなく導体部材配置の実用効果が発揮され、なかでも被覆率が50%程度となるように配置するのが最適であるといえる。以上より、導体部材116の配置によって、B1平均値を低下させることなく、B1均一度を向上させることができることが確かめられた。
図11は本発明の第1の実施態様のMRI装置の主要部を示す。RF送信用コイル114のボア内に、テーブル107に横たわる撮像対象の被検体103が挿入される。なお被検体103は撮像部位のみを切り取った模式図で示している。本例の場合にRF送信用コイル114はRF受信用コイルをも兼用している。そのRF送信用コイル114と被検体103の間には4つの導体部材116が配置される。4つの導体部材116の大きさと配置は、図12に示す、ファントムを設定したB1分布の電磁場解析シミュレーションの結果により決定されたものである。ここで設定するファントム117は,直方体に近い形状をしており、x、y、z軸方向の寸法はそれぞれ、350mm、200mm、300mmである。xy断面においては、四隅に曲率を持った形状をしており、曲率半径は30mmとしている。これは、生体の腹部断面により近い形状を模擬するためである。また,ファントムの物性値としては、導電率0.55S/m,比誘電率が50としており,より生体と近い物性値としている。図12(a)は導体部材がない場合のB1分布のシミュレーション結果を示す。被検体の体表に相当するファントム表面の領域のうち、磁界が大きい領域の近傍部分に導体部材の中央部分があり、磁界が小さい領域の近傍に導体部材の端部がくるように、個々の導体部材の大きさと配置を決める。図12(b)は導体部材の大きさと配置を決定する過程でのB1分布のシミュレーション結果を示す。図12(b)の導体部材の配置を被検体の撮像においても採用すれば、被検体におけるB1分布が均一になると期待できる。なお、図12(b)の配置では、図6から図10の結果を踏まえて,導体部材116について、ファントム117と導体部材116との距離は20mmとした。導体部材116の面積としては、ファントムのyz面、xz面の計4面の各々に対して、面積として50%覆うように設定した。上記のように決定した導体部材116の配置を被検体の撮像の際に再現するように、被検体103の撮像部位の周囲に導体部材116を装着する。図11の実施態様では、被検体103に形状を合わせたシェル131に導体部材116をセットし、そのシェル131を被検体103の撮像部位の周囲に装着する。導体部材116を被検体に装着するのに、ソリッドなシェルに替えてフレキシブルな装着用部材を用いても良い。導体部材116の一部は被検体が横たわるテーブル107に装着する構成としても良い。また,導体部材の位置調整方法としては、第一に、患者に取り付ける前にシェルに予め導体部材を装着しておき、患者のサイズ、撮像部位等に応じて様々な種類のシェルを用意する方法が挙げられる。第二に、シェルに対して導体部材を脱着可能とする機構を設けたり、取り付けた導体部材をスライドさせる機構を付与することによって,導体部材の位置を調整する方法が考えられる。
これまで、電磁場解析シミュレーションによる導体部材116の効果を検討してきたが、次に、ヒト下腹部における3T MRI装置での撮像実験結果を示す。
図13は、体重59kgの男性の下腹部におけるB1分布を示したものである。図13(a)は導体部材116がない場合、図13(b)は導体部材116を配置した場合における結果である。導体部材の配置については、図6で示したように、4箇所に導体部材116を配置して行った。なお、B1分布の取得については、α―2α法を用いて行った。図13(a)の導体部材116がない場合には、腹部内の上下二箇所にB1強度の小さい箇所がみられるが、図13(b)は導体部材116を配置した場合においては、B1不均一が大幅に低減している様子がみられる。本結果により、ヒト腹部撮像においても、本発明がB1不均一の低減効果を持つことがわかった。本実験では、下腹部における導体部材116の効果をみたが、下腹部には、前立腺や子宮、脊髄等が存在しており、導体部材116によって、これらの臓器の高精度な診断が可能になる。
なお、これまで図面では全て4枚の導体部材を用いた例を示すが、被検体、もしくはそれを模擬する設定ファントムでB1磁界強度均一化を達成する導体部材の数は4枚とは限らないのは勿論である。
<<第二の実施形態>>
次に、本発明を適用する第二の実施形態について説明する。図14は第二の実施形態のMRI装置の主要部を示す。RF送信用コイル114の形状は第一の実施形態と同様である。ただし、本実施例では、RF送信用コイル114は送信専用である。これとは別に、RF受信用コイル115を備える。RF受信用コイル115は被検体103にフィットするシェルに装備されている。そのシェルの内側には被検体103のB1分布の均一化のための導体部材116が装着される。すなわち被検体の体表に近い方から、B1分布の均一化のための導体部材116、RF受信用コイル115、RF送信用コイル114の順番で配置された状態で撮像がなされる。
本実施態様のMRI装置では、B1分布の均一化のための導体部材116を採用しない場合でも、撮像の準備として被検体にRF受信用コイル115をセットしたシェルを装着することが必要であった。このシェルにB1分布の均一化のための導体部材116をも一体化した構成を採用することにより、被検体へかける負担の増大とMRI装置を操作する技師の撮像準備の手間の増大をともに小さくすることが可能となる。また、被検体各部でのB1強度の分布はRF受信用コイルの種類や構造にも依存する。したがって、RF受信用コイル毎に最適なB1分布の均一化のための導体部材の配置を実現する点で、これらをシェルに一体化することが合理的である。この構造の場合は、RF受信用コイル115をセットしたのちに、導体部材116を配置することができる。また、RF受信用コイル115と導体部材116を一体化した構造をとることも可能である。一体化した場合には、現在使用されているRF受信用コイル116を配置している手間と同様の手間で、被検体103に配置することができ、被検体103およびMRI技師にとって負担がないといったメリットを持つ。なお、図14においては、導体部材116が4箇所に配置されているが、これは一例であり、配置方法については被検体103の断面形状およびB1不均一の分布に応じて最適な配置とするのが望ましい。
<<第三の実施形態>>
次に、本発明を適用する第三の実施形態について説明する。図15は第三の実施形態のMRI装置の主要部を示す。RF送信用コイル114とRF受信用コイル115とが独立している点、およびRF受信用コイル115は被検体に装着するシェルに装備されている点は図14の第二の実施形態と同様である。図14と異なる点は、B1分布の均一化のための導体部材116がRF受信用コイル115を装備したシェルの外側の面セットされる点である。従って本実施態様では、被検体の体表に近い方から、B1分布の均一化のための導体部材116、RF受信用コイル115、B1分布の均一化のための導体部材116、RF送信用コイル114の順番で配置される。第一、第二の実施形態において、RF送信用コイル114により生成された磁界の分布を均一化するために導体部材116を配置してきたが、RF受信用コイル115の内側に導体部材116がある場合には、被検体103からの磁気共鳴信号をRF受信用コイル115により受信する際にも影響を及ぼす。
磁気共鳴信号を受信する際の受信の感度分布を考える際には、信号取得の原理上、RF送信用コイルで生成された回転磁界B1の回転方向とは反対回りの回転磁界を考慮することになる。たとえば、RF送信用コイル114によって時計回りの回転磁界B1を生成している場合には、RF受信用コイル115によって磁気共鳴信号を受信する際の受信感度分布は、RF受信用コイル115が持つ反時計回りの回転磁界の強度分布と等しくなる。よって、被検体103内において、RF送信用コイルで生成される回転磁界B1の分布と、RF受信用コイル115で受信される回転磁界の分布は異なることとなる。その場合には、導体部材116を配置した場合に、RF送信時には回転磁界B1の分布を均一化する効果をもたらす一方で、RF受信時には受信感度を不均一にするといった悪影響を及ぼす場合が生じる。それに対して、図15に示すような配置とすることによって、導体部材116が受信感度に悪影響を与えないというメリットがある。
<<第四の実施形態>>
次に、本発明を適用する第四の実施形態について説明する。図16は第四の実施形態のMRI装置の主要部を示す。MRI装置の構成は基本的に第二の実施形態と同様である。第二の実施態様と異なるのは、B1分布の均一化に採用する導体部材はループ状の導体部材123に変更されている点である。
図17に、導体部材の様々な形状を示す。図17にて(a)はこれまでの実施態様で採用した板状の導体部材116を、(b)はメッシュ状の導体部材122を、(c)はループ状の導体部材123を示す。導体部材116がB1不均一を低減する効果をもたらすには、RF送信用コイル114が生成する磁界を打ち消すように導体部材に電流が流れればいいということになる。そこで導体部材は板状に限らず、メッシュ状の構造でもループ状の構造でもその効果は得られる。メッシュ状の構造をとる場合、磁束密度の疎密を生成するのに十分な電流が流れるように、メッシュサイズ、メッシュ材質等を選定することによって、B1不均一を低減する効果をもたらすことが可能となる。具体的には格子サイズが1mmから100mm程度の範囲内で磁束密度の疎密の制御に実用効果がある。また、3T MRI装置を想定した場合は、使用するRFの周波数は128MHzであり、空気中の波長は2.3mとなる。よって、この波長に対して十分小さいスケールのループであれば、導体部材の機能として必要な、磁束密度の疎密を生成する効果を確保することができ、板状の導体部材と同様の効果を持つことが期待できる。
そこで、図18に、板状およびループ状の導体部材123を配置した場合における、導体部材が与えた磁界の変化分のシミュレーション結果を示す。導体部材はxz面に存在されており、寸法については、板状の場合はx軸方向に120mm、z軸方向に300mm、ループ状の導体部材123については、x軸方向に120mm、z軸方向に300mm、幅20mmのループとしている。また、導体部材の物性値としては、銅を想定した上で、導電率を5.8×10^7S/mとしている。与える磁界については、図4のときと同様、バードケージコイルの一箇所に給電して、y軸方向に直線磁界Byを生成するようにRF照射を行った。図18に示すBy磁界分布は、導体部材116を配置した場合のBy磁界分布の値から、導体部材116を配置しない場合のBy磁界分布の値を引き算して表示されたものであり、導体部材116を配置したことによる、By磁界分布の変化分を示すこととなる。
図18より、ファントム117内のByについて、いずれの導体部材であっても導体部材の近傍でByが大きく変化している様子が確認できる。また、板状とループ状と比較して、磁界分布はほぼ同様となっている。具体的には、導体部材で覆われたファントム領域については、Byの値が負となっており、導体部材の配置によって、By値が小さくなることを示している。一方、導体部材の両端部に近い領域については、By磁界の変化分が正となっており、導体部材116によって、By値を大きくする効果があることを示している。図18の(a)と(b)とを比べると、板状の導体部材に比べ、ループ状の導体部材123の方が磁束密度の疎密を与える効果が若干小さくなっているが、ループ状の導体部材123においても、磁束密度の疎密を与えることが可能であることが示された。
図16のように導体部材をループ状にすることによって磁界密度の疎密を変更させる度合いを調整できる効果がある。メッシュ状の導体部材でも同様な効果がある。また、板状と比べ、軽量化できるメリットもある。図16では、導体部材123はRF受信用コイル115の内側に配置されているが、RF受信用コイル115の外側でもよい。また、RF受信用コイル115と導体部材116を一体化した構造をとることも可能である。
<<第五の実施形態>>
次に、本発明を適用する第五の実施形態について説明する。図19は第五の実施形態のMRI装置の主要部を示す。RF受信用コイル115の構成、ループ状の導体部材を採用する点などは図16に示した第四の実施形態と同様である。図16と異なる点は、導体部材123がつくるループの途中にスイッチ部118を有する点である。このスイッチ部118をオンオフすることによって、導体部材116が磁界分布の疎密をもたらす効果をオンオフできるといったメリットを持つ。
スイッチ部118については、たとえば手動でオンオフを切り替え可能なスイッチを具備することによって、被検体103に導体部材116をセットする際に、MRI技師が導体部材116の必要に応じてオンオフすることが可能となる。また、スイッチ部118のその他のバリエーションとして、ダイオードスイッチ、あるいはダイオードとインダクからなるスイッチ、MEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)といった、電気的にスイッチ部118のオンオフが可能なものもある。第三の実施形態において、RF受信時にはおいて、導体部材116が受信感度を不均一にするといった悪影響を及ぼす場合が生じることを述べたが、スイッチ部118を電気的にオンオフすることによって、悪影響を及ぼすことをなくすことが可能となる。すなわち、RF送信用コイル114によって被検体103にRFを照射する際には、スイッチ部118をオンにすることによって、導体部材116がB1不均一を低減する効果をもたらし、RF受信用コイル115によって磁気共鳴信号を受信する際には、スイッチ部118をオフにすることによって、導体部材116が悪影響を及ぼさないようにすることが可能となる。
更にスイッチ部118の代わりに可変抵抗を用いる変形も可能となる。すなわち導体ループの途中に挿入した可変抵抗の抵抗値を変化させることにより、先に図18で示したループ状の導体部材による磁束密度の疎密を変化させる効果(被検体のB1強度分布変更の度合い)を制御することが可能となる。
<<第六の実施形態>>
次に、本発明を適用する第六の実施形態について説明する。図20に第六の本実施形態のMRI装置の主要部を示す。本実施態様のMRI装置も本体部分の基本構成はこれまで述べた実施形態と同様である。図20に特徴的なのは、RF受信用コイル115を装備したシェルの内側の全周にわたって、複数のループを構成するように編み目状の導体部材123が形成されている点である。各ループは電気的に導体ループとして完成しているのではなく、スイッチ部118が各網目を構成する導体の枝に挿入されている。図の例では、周方向にのびる導体の枝の全てにスイッチ部が挿入されている。これらのスイッチ部としては,図19の実施形態のスイッチ部と同様に、手動でオン、オフ可能な電気スイッチをはじめとして種々のスイッチを適用可能である。被検体103の撮像部位の体表において、B1強度の大きい領域の近傍ではループがオンになるようにスイッチをオンとして、RF送信用コイルが生成する磁束を打ち消して磁束密度が疎になるように機能させる。B1強度の小さい領域の近傍ではループがオフになるようにスイッチをオフとし、磁束密度が密になるように機能させる。これによって、被検体103の形状や物性値によって異なるB1分布の不均一を低減することができる。
先に述べた各実施態様と比べて、本実施態様では、B1分布に対応して導体部材の幅と配置を決定し、各種の導体部材から選択してシェルにセットする等の手間が不要である。これに替えて、各ループのスイッチの選択的にオンオフを行うことによってB1不均一の低減効果を引き出すことが可能となる。すなわち、事前調整の手間が大きく削減される。また、B1分布の調整用シールドの機能をもつ部材として汎用性が高まる。
さらに、導体部材の各ループのスイッチ部118のオンオフについて、RF送信時とRF受信時とで、スイッチを切り替えて使用することもできる。第三の実施形態に記したが、RF送信用コイルで生成される回転磁界B1の分布と、RF受信用コイル115で受信される回転磁界の分布は異なる。そこで、図20に示す導体部材の構造であれば、送信時と、受信時とで導体部位116のスイッチをオンオフすることによって、送信時、受信時それぞれに対して、磁界均一化に必要な導体ループの位置分布を決定し、に最適な導体部材116のスイッチ部118の選択的オン、オフを送信時と受信時で切り換えることにより、高度に均一化されたな回転磁場分布を実現することが可能となる。
加えて,RF受信用コイル115と導体部材123を一体化した構造をとることも可能である。RF受信用コイルは通常,RFの周波数を共振周波数に持つようなループ状のコイルから構成されているが,このRF受信用コイルの回路を工夫して,RFの周波数から完全に外れた共振周波数を持つモードを付与することによって,RF送信用コイルが生成する磁界を打ち消すような作用を持たせることができ,すなわち磁束密度の疎密を変化させる効果をもたらすことが可能となる。回路の工夫の例として,RF受信時には,RF受信コイルのループ内にインダクタやコンダクタを配置することによって,RF周波数を共振周波数に持つモードを実現し,RF送信時には,インダクタやコンダクタに電流が流れないようにダイオードスイッチ等のスイッチを用いて回路を切り替えることによって,共振周波数から完全に外れたモードを実現する,といった機構が考えられる。
本発明によれば、従来よりも小さな装置コストにより磁気共鳴撮像装置の回転磁界強度の不均一を低減し、もって画像ムラのない安定した撮像が可能となるので、医用をはじめとする撮像分野にて実施される可能性が高い。
101 静磁場マグネット
102 傾斜磁場コイル
103 被検体
104 シーケンサ
105 傾斜磁場電源
106 高周波磁場発生機
107 テーブル
108 受信器
109 計算機
110 ディスプレイ
111 記憶媒体
112 シムコイル
113 シム電源
114 RF送信用コイル
115 RF受信用コイル
116 導体部材
117 ファントム
118 スイッチ部
119 ヒト下腹部断面
120 磁束線
121 板状の導体部材
122 メッシュ状の導体部材
123 ループ状の導体部材
124 給電点
131 シェル

Claims (15)

  1. 静磁場を形成する静磁場形成手段と、傾斜磁場を形成する傾斜磁場形成手段と、高周波磁場を形成する高周波磁場形成手段と、被検体に前記高周波磁場を照射する磁場送信用コイルと、前記被検体から発生する磁気共鳴信号を検出する磁場受信用コイルと、前記磁気共鳴信号を受信する受信手段と、前記傾斜磁場形成手段、前記高周波磁場形成手段および前記受信手段を制御する制御手段を備える磁気共鳴撮像装置であって、前記被検体と磁場送信用コイルとの間に、前記被検体内の磁界分布の不均一を低減する位置に配置した導体部材を備え、前記導体部材は前記磁場受信用コイルと一体に前記被検体に装着するシェルに配置されたことを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  2. 前記磁場送信用コイルと前記磁場受信用コイルは同一のコイルで兼用しており、前記導体部材はその兼用コイルのボア内に設置されることを特徴とする請求項1の磁気共鳴撮像装置。
  3. 前記導体部材は前記磁場受信用コイルの内側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴撮像装置。
  4. 前記導体部材は前記磁場受信用コイルの外側に形成されることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴撮像装置。
  5. 前記導体部材は、前記磁場送信用コイルにより生成された被検体内の磁界分布における、磁界の大きい領域の近傍に導体部材の中央部、磁界の小さい領域の近傍に導体部材の端部がくるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の磁気共鳴撮像装置。
  6. 前記導体部材は、前記被検体に対して前記磁場送信用コイルから磁場を照射する領域の被検体表面積に対して、20から80%の面積を覆うように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の磁気共鳴撮像装置。
  7. 前記導体部材が板状の構造を持つことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴撮像装置。
  8. 前記導体部材がメッシュ状の構造を持つことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴撮像装置。
  9. 前記導体部材がループ状の構造を持つことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴撮像装置。
  10. 前記導体部材がループ状の構造を持ち、ループ内に自身の導通を制御する導通制御手段を備えることを特徴とする請求項9に記載の磁気共鳴撮像装置。
  11. 前記導通制御手段は、スイッチであることを特徴とする請求項10に記載の磁気共鳴撮像装置。
  12. 前記スイッチは、ダイオードとインダクタとからなることを特徴とする請求項11に記載の磁気共鳴撮像装置。
  13. 前記スイッチは、マイクロエレクトロメカニカルシステムによるものであることを特徴とする請求項11に記載の導体部材。
  14. 磁場送信時と磁場受信時において、前記スイッチのオンオフを切り替えることを特徴とする請求項11に記載の磁気共鳴撮像装置。
  15. 前記導通制御手段は、可変抵抗であることを特徴とする請求項10に記載の磁気共鳴撮像装置。
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