JP5443179B2 - 伝送線路、放送システム - Google Patents
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Description
すなわち、請求項2に記載されているように、式(1)に従いX地点における伝送線路の間隔hxを設定しても良い。
こうすることにより、積hx・Ixが一定となるよう、始端から終端にかけて間隔hxが徐々に広くなるように2本の電線を配置することができる。したがって、電源に接続される始端からの距離に関らず、伝送線路から輻射される電波の電界強度を一定とすることが可能となり、電源からの距離に関らず、伝送線路から輻射される電波の受信可能なサービス空間を均一にすることができる。
すなわち、請求項3に記載されているように、当該伝送線路の始点における積hx・Ixと、始端以外のいずれかの地点における積hx・Ixが等しくなるように式(3)のmを設定し、式(3)に従い始端からの距離がxであるX地点における間隔hxが設定されていても良い。
こうすることにより、積hx・Ixが略一定となるので、始端から終端にかけて間隔hxが徐々に広くなる2本の電線を容易に設定することができる。したがって、電源に接続される始端からの距離に関らず、伝送線路から輻射される電波の電界強度を略一定とすることが可能となり、電源からの距離に関らず、伝送線路から輻射される電波を受信可能なサービス空間を均一にすることができる。
(1)概要について
まず、本実施形態における伝送線路について説明する。一般的な漏洩同軸ケーブル等を用いて電波を輻射する場合、図1(a)に記載されているように、電源から遠ざかるにつれ、輻射や線路損失により伝送電力が低下し、輻射される電波の電界強度が徐々に低下してしまう。このため、漏洩同軸ケーブル等から輻射される電波を受信可能な空間が徐々に狭くなってしまう。これに対し、本実施形態の伝送線路は、太さが2aである2本の電線を同一平面上に並んで配置することにより構成されており、これらの電線は、ある地点における電線同士の間隔hと、該地点を流れる電流Iとの積h・Iが一定或いは略一定となるよう、始端から終端にかけて間隔が徐々に広くなるように配置されている(図1(b)参照)。そして、これにより、2本の電線が並ぶ平面に沿って伝送線路の両側に輻射される電波の電界強度が、始端からの距離に関らず一定或いは略一定となり、この伝送線路から輻射される電波の受信可能なサービス空間を均一にすることが可能となっている。尚、本実施形態における伝送線路を、定輻射型伝送線路と称する。
次に、電線の間隔hと電流Iとの積h・Iを一定或いは略一定とすることにより、伝送線路から輻射される電波の電界強度が一定或いは略一定となることについて説明する。図2(a)の説明図に記載されているように、電線1上の微小区間2から輻射される電波の、点Aにおける電界強度Ex_θは、Maxwellの電磁方程式を解くことにより、式(4)により表される。
尚、微小区間3の間隔をdx、点Bと微小区間3とを結ぶ線と伝送線路10との角度をθ、点Bと微小区間3との距離をr、点Bと微小区間3とを結ぶ線と、伝送線路10を構成する2本の電線1a,1bを含む平面との角度をψ、微小区間3を流れる電流をI、微小区間3における2本の電線1a,1bの間隔をh、伝送線路10を伝達する信号の波長をλ、空間の固有インピーダンスをη、伝送線路10の位相定数をβとしている。また、ηの値は、自由空間における固有インピーダンスで120πとなる。
次に、本実施形態の定輻射型伝送線路における電線の間隔の具体的な算出方法について説明する。定輻射型伝送線路では、線路損失による伝送電力の減衰が支配的となる。したがって、減数定数をα、始端における伝送電力をP0とすると、始点からの距離がxであるX地点における伝送電力Pxは、以下のように表される。
ここで、式(10),式(12)より、
尚、kの値を、
式(15)に式(17)を代入すると、X地点における始端からの距離xと電線の間隔hxを関係付ける式として、以下の式が得られる。
(3)では、始端から終端にかけて伝送線路から輻射される電波の電界強度を一定とする方法について説明したが、ここでは、より簡略的に、伝送線路から輻射される電波の電界強度を略一定とする方法について説明する。
式(10)より、定輻射型伝送線路の始端を流れる電流I0は、始端における特性インピーダンスをZ0とすると、次のように表すことができる。
このようにhxを表すと、定輻射型伝送線路を設計するうえで、非常に好都合となる。もちろん、式(22)におけるルートの項とe^(δαx)とは異質の曲線であるが、xがある一定の範囲であれば、ルートの項をe^(δαx)に近似できるということは、容易に推察することができる。
まず、積hx・Ixが略一定であるとは、始端からの距離がx1であるX1地点においてhx1・Ix1=h0・I0=Aとなり、始端からの距離が0より大きくx1未満である地点では、hx・Ix≒Aとなる条件であると定義する。
式(27)の右辺におけるxの4次以上の項は非常に小さい値となるので、次式のように、三次の項までにより近似をすることができる。
そして、式(30)を解くことにより三つの根が得られるが、これらの根のうち、実根をδの値とすれば良い。δの値は、以下のようになる。
式(31)に基づき算出されたx1とδとの関係を、図3(b)のグラフに示す。尚、δ1〜δ3は、それぞれ、a=1mm,a=2mm,a=3mmとした場合のδである。また、h0=20mm,α=0.01(単位はNp。尚、0.01Npは0.9dB/10mに相当する。)となっている。
以上、定輻射型伝送線路における2本の電線の間隔hの算出方法について説明したが、これまでの説明は、定輻射型伝送線路の減衰定数αが一定であることを前提としている。しかし、厳密に言えば、電線の間隔hを始端からの距離と共に広げていくと、伝送線路上の任意の点における減衰定数αは、始端からの距離と共に変化する。ここでは、線路の間隔hを広げても減衰定数αの変化は微々たるものであり、減衰定数αが一定であることを前提としても問題は無いということについて説明する。
また、一般に、アンテナ、漏洩ケーブル等、輻射体のごく近傍の電界強度を云々する場合は、以上に説明した距離に反比例する放射電磁界だけでなく、距離の3乗に反比例する静電界と、距離の2乗に反比例する誘導電磁界についても考慮する必要がある。
ちなみに、地上デジタルテレビジョン放送で最も波長の長い13ch(473MHz)の場合、λは約63cmであるから、3者の強度が等しくなるλ/2πの距離がおよそ10cmになり、それより十分遠い3mの距離においては、放射電界が十分支配的となる。
続いて、一例として、定輻射型伝送線路を、無線局免許を取得することなく特定の空間を対象として行う地上デジタルテレビ放送におけるワンセグ放送に用いる場合について説明する。
次に、上述したワンセグ放送を行うためのシステムの構成について、図4(b)に記載のブロック図を用いて説明する。
[効果]
本実施形態のワンセグ放送システム20のように、輻射体として定輻射型伝送線路100を用いることにより、定輻射型伝送線路100を長く張り巡らすことが可能となり、無線局免許を取得することなく、微弱電波の利用を前提としたワンセグ放送を行うことが可能な空間を広げることができる。また、ワンセグ放送が可能な空間は輻射体から1m以内の小空間であるが、定輻射型伝送線路100を輻射体として用いることにより、始端からの距離に関らず電波の受信可能な空間を均一にすることができる。このため、輻射体から1m以内の小空間を余すところ無く利用して、微弱電波の利用を前提としたワンセグ放送を行うことができる。
本実施形態では、定輻射型伝送線路100を輻射体として用いてワンセグ放送を行う場合について説明したが、言うまでも無く、定輻射型伝送線路100の用途はワンセグ放送に限定されるものではない。
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
また、ワンセグ放送システム20の受信アンテナ210が受信手段に、番組制作装置200及びOFDM変調器220が生成手段に、放送装置230が送出手段に相当する。
Claims (6)
- 始端から終端に向かって同一平面上に並んで配置された2本の電線により構成された伝送線路であって、
始端からの距離がxであるX地点における前記2本の電線の間隔hxと、該X地点において当該伝送線路を流れる信号の電流Ixとの積hx・Ixが一定或いは略一定となるよう、始端から終端にかけて前記間隔hxが徐々に広くなるように前記2本の電線が配置されていること、
を特徴とする前記伝送線路。 - 1チャンネルの伝送帯域が複数のセグメントから構成されているデジタル放送信号を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記デジタル放送信号から、いずれかのチャンネルにおける部分受信用のセグメントに対応する信号を抽出し、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の伝送線路を介して送出する送出手段と、
を備えることを特徴とする放送システム。 - 請求項4に記載の放送システムにおいて、
前記送出手段は、抽出した信号を、該信号に係るチャンネル以外の他のチャンネルにおける部分受信用のセグメントに対応する信号に変換し、変換後の信号を、前記伝送線路を介して送出すること、
を特徴とする放送システム。 - 1チャンネルの伝送帯域が複数のセグメントから構成されているデジタル放送信号を送出する放送システムであって、
いずれかのチャンネルに対応する部分受信用の前記デジタル放送信号を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記デジタル放送信号を、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の伝送線路を介して送出する送出手段と、
を備えることを特徴とする放送システム。
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