JP5441292B2 - 誘電率又は導電率推定装置 - Google Patents

誘電率又は導電率推定装置 Download PDF

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Description

本発明は、一般的に、誘電率又は導電率定装置に関し、特に、非破壊的な電位又は電界又は磁場の測定により、物体又は生き物の誘電率、導電率又は電流密度ベクトルを推定する装置に関する。さらに、本発明は、物体、物質・材料の非破壊的物性・特性評価・検査技法、生物の非侵襲的診断・検査技法及び装置に関する。
図1に、従来の誘電率又は導電率推定装置の構成を示す。この誘電率又は導電率推定装置においては、電圧源又は電流源103によって測定対象物104に積極的に電位分布又は電流分布を生じさせ、電位検出器102によって、その際の電位分布を測定対象物の全体に渡る多数の点について測定する。さらに、データ処理手段101によって、有限差分法や有限要素法を用いて電位分布をモデル化し、感度理論に基づいて関心領域内部の誘電率又は導電率を推定するというものである(従来技術1)。ここで、関心領域とは、測定対象物において、誘電率又は導電率が未知であるため、その誘電率又は導電率を推定しようとする領域のことである。
しかしながら、この誘電率又は導電率推定装置によれば、測定対象物の外部に電圧源又は電流源を設けて測定対象物に対して積極的に電位分布を生じさせる必要があるので、測定対象物内に既に電位分布が存在している場合に、その電位場を大きく乱してしまうという問題があった。
また、この誘電率又は導電率推定装置は、感度理論に基づくものであるため、誘電率又は導電率分布を仮定して電位分布を計算することにより、測定データと合致する誘電率又は導電率分布を決定する。そのため、反復的に誘電率又は導電率の推定値を更新する必要があるので、計算量が膨大となるという問題があった。さらに、その計算においては電位、及び、電束密度又は電流密度に関する境界条件を必要とするので、測定対象物の関心領域内のみの測定に基づいてその関心領域の誘電率又は導電率を推定することは困難であった。
さらに、磁場ベクトル成分の内、計測対象物表面上において測定される垂直成分からそれ相応の数値解析(たとえば、最小ノルムミニマム法)を行うことにより電流密度ベクトル空間分布を推定するものが多く(従来技術2:図2の(a)に示す磁場検出器のコイル部参照)、その他、二例ではあるが計測対象物表面上において接線成分から推定するものがあり、フーリエ解析法及び最小ノルムミニマム法に基づくものがある(従来技術3:図2の(b)に示す磁場検出器のセンサー部参照)。
なお、従来技術2に含まれるものとして、磁場の測定精度を向上させるべく、1次元あるいは2次元アレイ型SQUID計を実現した上で開口面合成を行う技術がある。
従来技術2及び3では、3次元関心空間内の3次元電流密度ベクトル分布を一意に決定することは数理的に不可能であり、数値解析的に安定化を施したとしても、偽電流密度ベクトルデータが得られるに過ぎず、導電率空間分布を推定できるだけの精度は得られなかった。
但し、計測対象物が平板や薄膜などの2次元物体として近似的に扱えるものであれば、従来の技術3によりその面内の2次元電流密度ベクトル空間分布を決定することは可能であるが、フーリエ解析法による場合は有限な2次元関心領域内の電流分布の空間的な周期性を仮定する必要があり、その関心領域の境界付近での推定に問題が生じる。
特に、その2次元物体が絶縁物に囲まれており(たとえば、空気中)、2次元物体の全体を関心領域とした場合に、その境界付近における推定は不可能となる
そこで、上記従来技術の問題点に鑑み、本発明の1つの目的は、電圧源及び電流源が関心領域の外に存在するという条件あるいは仮定の下で、測定対象物の関心領域に既に電位場が形成されている場合においては外部電圧源や外部電流源により人工的に電位分布を生じさせることなく、また、関心領域内の電位(又は電界)の測定データのみから誘電率又は導電率を直接的に推定できる誘電率又は導電率推定装置を提供することである。
上記の目的を達成するための本発明の代表的な観点を以下に揚げるが、いずれも、計測対象の導電率又は誘電率の少なくとも一つを推定する際には電荷又は電流源の分布を共に推定するという技術的思想に基づくものである。
上記の目的を達成するために、本発明の第1の観点による誘電率又は導電率推定装置は、測定対象物の3次元、2次元、又は、1次元の関心領域内における複数の位置の電位又は電界の時系列を測定する電位検出手段と、電位検出手段によって得られた電位データ又は電界データを、その測定した位置を表す位置データ及び測定した時間を表す時間データに対応付けて記録するデータ記録手段と、データ記録手段に記録されている電位データ又は電界データ、及び、位置データ及び時間データと、関心領域内に設定された3次元、2次元、又は、1次元の参照領域において得られる経時的に変化しうる参照導電率又は参照誘電率、又は、参照電荷又は参照電流源、及び、位置データ及び時間データとを用いて、1階の空間偏微分方程式∇(σ)+d/dt・q=0、又は、∇(σ)−=0、又は、∇(ε)=q(但し、Eはi(自然数)について独立した電界ベクトル又は成分、εはiについて異なりうる誘電率、σはiについて異なりうる導電率、qはiについて異なりうる電荷、jはiについて異なりうる電流源、∇は発散作用素)に関して離散近似を適用し、得られる誘電率分布又は導電率分布と電荷分布又は電流源分布とに関する線形の正規方程式を解くことにより、感度理論を用いることなく、測定対象物の関心領域内における誘電率分布又は導電率分布と、電荷分布又は電流源分布とを求めるデータ処理手段とを具備する。
ここで、参照領域とは、誘電率(分布)又は導電率(分布)が既知である領域、又は、先見的に誘電率及び導電率が一定であるとして単位大きさの値を持つと想定されるか、ある分布(単位大きさの値に対する相対的な値の分布)を持つと想定される領域である。また、参照点とは、誘電率又は導電率が既知である点、又は、単位大きさの値を持つと想定した点である。結局、関心領域とは、参照領域又は参照点をその内部及び境界に含む誘電率分布又は導電率分布が未知の領域のことになる。
また、本発明の第2の観点による誘電率又は導電率推定装置は、測定対象物の3次元、2次元、又は、1次元の関心領域内における複数の位置の電位又は電界の時系列を測定する電位検出手段と、電位検出手段によって得られた電位データ又は電界データを、その測定した位置を表す位置データ及び測定した時間を表す時間データに対応付けて記録するデータ記録手段と、データ記録手段に記録されている電位データ又は電界データ、及び、位置データ及び時間データと、関心領域内に設定された3次元、2次元、又は、1次元の参照領域において得られる経時的に変化しうる参照導電率又は参照誘電率(又は、誘電率と導電率との参照比の値)、又は、参照電荷又は参照電流源(又は、電荷又は電流源と誘電率又は導電率との参照比の値)、及び、位置データ及び時間データとを用いて、1階の空間偏微分方程式∇(σε ・d/dt・E )+d/dt・q=0、又は、∇(σε ・d/dt・E )−=0(但し、Eはi(自然数)について独立した電界ベクトル又は成分、εはiについて異なりうる誘電率、σはiについて異なりうる導電率、qはiについて異なりうる電荷、jはiについて異なりうる電流源、∇は発散作用素)に関して離散近似を適用し、得られる導電率分布及び誘電率分布と電荷分布又は電流源分布とに関する線形の正規方程式を解くことにより、感度理論を用いることなく、測定対象物の関心領域内における誘電率分布又は導電率分布と、電荷分布又は電流源分布とを求めるデータ処理手段とを具備する。
また、本発明の第3の観点による誘電率又は導電率推定装置は、測定対象物の3次元、2次元、又は、1次元の関心領域内における複数の位置の磁場ベクトルを測定する磁場ベクトル検出手段と、磁場ベクトル検出手段によって得られた磁場ベクトルデータを、その測定した位置を表す位置データ及び測定した時間を表す時間データに対応付けて記録するデータ記録手段と、データ記録手段に記録されている磁場ベクトルデータに基づいて電流密度データを求め、該電流密度データ及び位置データ及び時間データと、関心領域内に設定された3次元、2次元、又は、1次元の参照領域において得られる経時的に変化しうる参照誘電率又は参照導電率又は参照電流源、及び、位置データとを用いて、
Figure 0005441292
と、
Figure 0005441292
と、jと、(但し、σはi(自然数)について異なりうる導電率、εはiについて異なりうる誘電率、jはiについて異なりうる電流源、fはiについての周波数)に関する1階の連立空間偏微分方程式
Figure 0005441292
(但し、Jはiについて独立した電流密度ベクトル又は成分、B'はiについての磁場ベクトル又は成分の時間に関する1階の偏微分、jは虚数単位、∇×は回転作用素)に関して離散近似を適用し、得られるAとBとjの分布に関する線形の正規方程式を解くことにより、感度理論を用いることなく、測定対象物の関心領域内における誘電率分布又は導電率分布と電流源分布とを求めるデータ処理手段とを具備する。
本発明の第1〜3の観点によれば、誘電率又は導電率が未知である測定対象物の関心領域における誘電率又は導電率を、関心領域内で測定された電位(又は電界)分布又は電流密度ベクトル分布から求めることができる。特に、測定対象物内部に既に電位分布又は電流密度ベクトル分布が存在する場合においても、その電位場を乱すことなくそのままの電位(又は電界)分布を測定することにより、容易に関心領域の誘電率又は導電率を推定することができる。
本発明の利点及び特徴は、以下の詳細な説明と図面とを関連させて考察すれば明らかになる。これらの図面において、同じ参照番号は同じ構成要素を指している。
まず、本発明の第1の実施形態に係る誘電率又は導電率推定装置について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る誘電率又は導電率推定装置の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、測定対象物4を試料設置台15の上に載置して測定を行う。試料設置台15の上に載置された測定対象物4の電位又は電界を測定するために、電圧センサ1が、測定対象物4と対向するように配置される。電圧センサ1は、電位や電界の測定機能を有しており、ハウジング9に保持されて駆動装置2によって駆動される。従って、電圧センサ1と駆動装置2とが、電位検出手段を構成することになる。
本実施形態においては、測定対象物4における電位(又は電界)分布を非破壊的に測定するために、電圧センサ1として、電圧電極を使用した各種電圧計(可動鉄片形、電流力計形、熱電形、整流器形、回転磁界形、移動磁界形の指示計器、ピーク・トゥー・ピーク形電子計、ディジタルマルチメータ、電位差計)、検出電極に電圧がかかることによる誘導電荷又は充電電荷によって生じる静電気力を駆動力とする機械的電圧センサ(箔検電器や象現電位計)、検出電極に電圧がかかることによる誘導電荷又は充電電荷によって生じる電気信号をFET等を用いた増幅器によって増幅して電圧測定を行う電気的電圧センサ(振動容量型電位計、固定容量型電位計)、電圧がかかることによる弾性表面波の伝播時間(遅延時間)が変化(弾性表面波の発振周波数が変化)する圧電体(水晶やLiNbOなど)を利用した電圧センサ、電圧がかかることにより屈折率や損失が変化して光の位相や振幅が変調される電気光効果材料及び光ファイバや偏光素子などを使用した電圧センサ、又は、これら電圧センサをアレイ状に配置したものなどを用いている。ここで、電気光効果とは、LiNbOやLiTaOなどの電気光学効果(ポッケルス効果・カー効果など)の大きい結晶の複屈折の変化、水晶などの電気的ジャイレーション効果の大きい結晶の偏波面の回転、フランツケルディッシュ効果の大きい半導体のエネルギギャップの変化(吸収端の移動)による透過率の変化、PZT振動子や高分子フィルムなど圧電素子の振動に伴う光ファイバの伸縮やストレスによる屈折率の変化、又は、発光ダイオードの発光などを意味している。
また、測定対象物4と電圧センサ1との距離を電位(又は電界)測定のために適切な距離に調整できるように距離調整手段14が設けられるとともに、電位(又は電界)分布を測定するため、距離方向と直交する面内において測定対象物4の2次元移動が可能なように走査機構3が設けられている。この距離調整手段及び走査機構は、試料設置台側に設けても良いし、電圧センサ側に設けても良い。また、距離調整手段と走査機構については、試料設置台側と電圧センサ側との両方に設けても良い。この距離調整手段と走査機構の位置は上下逆にすることも可能である。
本実施形態においては、必要に応じて測定対象物4の関心領域内に電位場又は電流場を発生させるために、電位場又は電流場発生手段5が設けられている。電位場又は電流場発生手段5は、測定対象物に直接的に、あるいは試料載置台及び/又は参照物を介して間接的に、電圧をかける、又は、電流を流すことができる。
測定対象物4を試料設置台15に載置し、電圧センサで測定するに当り、距離調整手段14により測定対象物との距離を設定し、走査機構3により測定点を変えて行く。こうして測定された電位データ又は電界データは、その測定位置を表す位置データと対応付けて、データ記録手段7に記録される。データ記録手段7としては、メモリ、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM等を用いることができる。その後、データ記録手段7から読み出されたデータと、測定対象物4の関心領域内に設けられた参照領域における参照値とが、データ処理手段8へ送られる。ここで、関心領域及び参照領域は、3次元、2次元、又は、1次元のいずれの形状を有していても良い。
データ処理手段8は、ディジタル回路で構成しても良いし、CPUとプログラムで構成しても良い。データ処理手段8においては、後で詳しく説明する(18)式、(19)式、(20)式、(28)式、(39)式、(40)式、(98)式〜(106)式、又は、(113)式〜(115)式に基づいて、測定対象物4の関心領域内における誘電率又は導電率の自然対数をとったものの分布を表すベクトルL’ln又は測定対象物4の関心領域内における誘電率又は導電率そのものの分布L’が算出される。尚、絶対的な参照(分布)値が与えられた場合、それが一定である場合には参照値は1.0として処理され、一定でない場合には単位大きさ1.0に対する相対的な値の分布として処理され、相対的な誘電率又は導電率分布が評価された後に、絶対的な参照値を用いて絶対的な分布が評価されることがある。尚、測定対象物の導電率分布、誘電率分布、誘電率と導電率の比の分布等の経時的変化や周波数分散を評価する場合は、経時的に変化しうる導電率、誘電率、誘電率と導電率の比に関する参照領域を関心領域に含めることとなる。さらに、データ処理手段8において、測定された電位分布、誘電率分布、導電率分布から、電界分布、誘電率の勾配分布、導電率の勾配分布、電位のラプラシアン分布、誘電率のラプラシアン分布、及び、導電率のラプラシアン分布等が評価され、同様に、誘電率と導電率の比の分布から、誘電率と導電率の比の勾配分布、誘電率と導電率の比のラプラシアン分布等が評価され、これらの周波数分散や経時的変化そのもの及びその絶対変化(差分値)やその相対変化(比の値)を評価することもできる。
この場合、電圧センサにおける不良素子の存在により電位データや電界データが欠落した場合には、その時間の点又は領域を関心領域から除外して演算を行う。その演算後において、関心領域から除外された時間の点又は領域の誘電率(分布)、導電率(分布)、誘電率と導電率の比(の分布)、これらの経時的変化や周波数分散を、評価された誘電率(分布)、導電率(分布)、誘電率と導電率の比(の分布)、これらの経時的変化や周波数分散から関心時空間内において内挿又は外挿補間処理により評価するようにしても良い。
以上の測定の結果得られた分布データは、必要に応じて、データ記録手段7に送られて記録される。また、以上の測定の結果得られた分布データの少なくとも1つが、CRT、液晶、又は、LEDを用いたもの等を含む表示部16の画面上に表示されるようにしてもよい。
計測制御手段6は、以上の各部が、測定対象物の誘電率分布又は導電率分布を求めるために円滑に機能するように、即ち、各部分が「課題を解決するための手段」において記載された機能を発揮するように、各部を制御する。
本実施形態においては、電圧センサで測定対象物の電位分布を測定して電界ベクトルを評価し(直接的に電界ベクトルが測定されることもある)、これと関心領域内に設けた参照領域において与えられる参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値のみを用いて、3種類の誘電率又は導電率推定方法の基本原理の内の一つを使用して、参照誘電率に対する相対的な誘電率分布、又は、参照導電率の値に対する相対的な導電率分布を推定する。
既に測定対象物に電位分布又は電流分布が生じている場合には、関心領域内に適切に参照領域を設けることにより、その電位場又は電流場を乱すことなく誘電率分布又は導電率分布を推定することが可能である。ここで、適切な参照領域とは、参照領域が電圧源又は電流源に対して適切な相対的配置となることを意味し、関心領域内において参照領域が電界の方向と広く交わる様にするものである。また、電位場又は電流場発生手段5を用意した上で複数の独立した電位(又は電界ベクトル)分布を測定することができる場合には、即ち、3次元測定を行う場合に少なくとも3つ、2次元測定を行う場合に少なくとも2つ、1次元測定を行う場合に少なくとも1つ測定可能であれば、関心領域内の少なくとも1つの参照点において与えられる参照誘電率値に対する相対的な誘電率分布、あるいは、参照導電率値に対する相対的な導電率分布を推定することが可能である。但し、電位場の測定数は少ないことが望ましく、仮に電位場(電位分布又は電界ベクトル分布)の測定数が測定を行う次元数未満となった場合には、上記のごとく、適切に参照領域を設ける必要がある。
更に、電位(又は電界)測定データに低域通過型フィルタをかけて、独立した複数の電位分布が測定された場合には各電位分布(又は、これより求まる電界ベクトル分布)をそのノルム(大きさ)を用いて正規化した上で、これより求まる電界ベクトル分布によって記述される誘電率分布又は導電率分布に関する1階の空間偏微分方程式中に表される誘電率分布又は導電率分布あるいは電界ベクトルの分布(又は電位分布、又は電界ベクトルの発散分布)に関して、有限差分近似、あるいは、変分原理又はガラーキン法に基づいて有限要素近似あるいは離散近似を施すことにより導出される誘電率分布又は導電率分布に関する全ての方程式を連立し、これを最小二乗化して解く際に正則化を施すことにより、電位測定データにエラー(ノイズ)データが含まれる場合や、参照領域が狭くて位置が悪い場合においても、安定的に誘電率分布又は導電率分布を決定できる。特に、変分原理を適用した場合は、汎関数そのものを最小化する際に正則化を施すこともある。
次に、図4のフローチャートを参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る誘電率又は導電率推定方法について説明する。
まず、ステップS1において、測定対象物4において測定された独立した電位場(又は電位場の時系列)の数が、計測する空間の次元数以上であるか否かを判断する。計測空間の次元数以上である場合には、ステップS2において、少なくとも1つの参照点の設定を行う。一方、測定空間の次元数未満である場合には、ステップS3において、電界の方向と広く交わる少なくとも1つの参照領域の設定を行う。
次に、ステップS4において、関心領域を測定領域として設定し、電位場(又は電位場の時系列)の測定つまり電位分布(又は電位分布の時系列、又は電界ベクトル分布、又は電界ベクトル分布の時系列)の測定を行う。
複数の独立電位分布(又は独立した電位分布の時系列、又は独立した電界ベクトル分布、又は独立した電界ベクトル分布の時系列)を測定する場合には、次のように行う。図3に示す電位場又は電流場発生手段5を用いて、関心領域に第1の電位場又は電流場を生じさせ、その測定を実施する。続いて、電位場又は電流場発生手段5により、電圧をかける位置、又は、電流を流す位置を変えて、異なる第2の電位場又は電流場を生じさせ、その測定を行う。以下、同様である。
既に電位場又は電流場が存在する場合には、電位場又は電流場発生手段5を使用せず、その1つのみを測定し、参照領域を設定しても良い。
測定においては、距離調整手段14と走査機構3を調整して測定対象物を走査しながら、位置データと電位データ(又は電界データ)とをデータ記録手段7に入力する。
次に、ステップS5において、図3に示すデータ処理手段8により、データ記録手段7から読み出した電圧データ(又は電界データ)に対してノイズ除去のためのフィルタリングを行うことにより空間的に平滑化する。また、ステップS6において、(18)式、(19)式、(20)式、(28)式、(39)式、(40)式、(98)式〜(106)式、(113)式〜(115)式の正規方程式の係数を求める。さらに、ステップS7において、この正規方程式を解いて、関心領域内の誘電率又は導電率の自然対数をとったものの分布L’ln又は関心領域内の誘電率又は導電率そのものの分布L’を求める。
以下に、ステップS6及びS7のデータ処理における3種類の誘電率又は導電率推定方法の基本原理について、詳しく説明する。
第1の誘電率又は導電率推定方法の基本原理によれば、測定された電界ベクトル分布によって記述される誘電率分布又は導電率分布に関する1階の空間偏微分方程式を立てて、これに対して、3次元、2次元、1次元関心領域を対象とする場合は誘電率分布又は導電率分布あるいは電界ベクトル(又は電位)の分布に関して、また、1次元関心領域を対象とする場合は誘電率又は導電率の1階微分の1次元分布に関しても変分原理に基づく有限要素近似や離散近似を施してモデル化できる。
デカルト座標系(x,y,z)において、電位場を3次元関心領域において測定できる場合には、3つの独立した電位場(分布)V、V、Vを対象とすることにより次の連立偏微分方程式が成立する。
Figure 0005441292
但し、電界ベクトル分布E=−∇V、E=−∇V、E=−∇Vである。
電位場を2次元関心領域において測定できる場合には、2つの独立した電位場(分布)V、Vを対象とすることにより、次の連立偏微分方程式が成立する。
Figure 0005441292
尚、電位場を1次元関心領域にて測定できる場合には、1つの電位場(分布)Vを対象とすることにより、次の偏微分方程式が成立する。
Figure 0005441292
1つの電位場のみを測定できる場合には、(1)式〜(3)式の各々において1つの偏微分方程式のみが成立する。また、複数の電位場が測定された場合には、電位場の数だけ連立した方程式を得ることができる。
尚、(1)式〜(3)式中の右辺の符号を変え、誘電率又は導電率の自然対数lnkの1階の偏微分を誘電率又は導電率の各々の逆数の自然対数ln(1/k)の1階の偏微分に置き換えたものが、誘電率又は導電率の各々の逆数の自然対数そのものln(1/k)を変数とする偏微分方程式として扱われることがある。以下において、(1)式〜(3)式に関しては、誘電率や導電率の自然対数lnkそのものを変数とする場合に関して説明するが、誘電率や導電率の逆数の自然対数そのものln(1/k)を変数とする場合は、同様に、誘電率や導電率の逆数の自然対数ln(1/k)または誘電率や導電率の逆数(1/k)を求め、その上で、誘電率や導電率の自然対数lnkまたは誘電率や導電率kを評価することがある。誘電率又は導電率の自然対数そのものlnkを変数とする場合は、関心領域内に誘電率又は導電率の各々の極めて低い物体・領域を含む場合に有効である場合があり、又、誘電率又は導電率の逆数の自然対数そのものln(1/k)を変数とする場合は、関心領域内に誘電率又は導電率の各々の極めて高い物体・領域を含む場合に有効である場合がある。
また、(1)式〜(3)式は、各々、両辺に誘電率又は導電率k(x,y,z)、k(x,y)、k(x)をかけた上で、誘電率又は導電率そのものkを変数とする偏微分方程式として扱われることがある。また、この場合、誘電率又は導電率kの1階の偏微分を含まない項の符号を変え、全ての誘電率又は導電率kを各々の逆数(1/k)に置き換えたものが、誘電率又は導電率の各々の逆数そのもの(1/k)を変数とする偏微分方程式として扱われることがある。以下においては、誘電率や導電率kを変数とする場合に関して説明するが、誘電率や導電率の逆数(1/k)を変数とする場合は、同様に、誘電率や導電率の逆数(1/k)または誘電率や導電率の逆数の自然対数ln(1/k)を求め、その上で、誘電率や導電率kまたは誘電率や導電率の自然対数lnkを評価することがある。誘電率又は導電率そのものkを変数とする場合は、関心領域内に誘電率又は導電率の各々の極めて低い物体・領域を含む場合に有効である場合があり、又、誘電率又は導電率の逆数そのもの1/kを変数とする場合は、関心領域内に誘電率又は導電率の各々の極めて高い物体・領域を含む場合に有効である場合がある。
一般的に、初期条件は、
Figure 0005441292
ここで、
Figure 0005441292
且つ、
Figure 0005441292
という形で、関心領域内の複数の参照領域w(m=1〜N)において与えられるが、測定を行う関心領域の次元数と同数の独立な電位場が測定された場合には、参照値は関心領域内の1点で与えられれば良い。
この様な1階の空間偏微分方程式中に現れる誘電率分布又は導電率分布あるいは電界ベクトル分布(又は電位分布)に対し、有限要素近似(変分原理)を適用する。
以下に、Lln及びLを、各々、関心領域内の誘電率又は導電率の自然対数をとたものの分布lnk及び関心領域内の誘電率又は導電率そのものの分布kをそれぞれ表すベクトルとし、sを関心領域内の電界ベクトル分布Ei(又は、電位分布Vi)を表すベクトルとして、3次元、2次元、及び、1次元関心領域において成立する汎関数を示す。但し、i(=1〜M)は測定された電位場を指し、Mは測定された独立した電位場の数(1以上)である。
3次元関心領域を対象とした際に、誘電率分布又は導電率分布に変分原理を施した場合の汎関数は、次式のようになる。
Figure 0005441292
また、3次元関心領域を対象とした際に、電界ベクトル分布(又は、電位分布)に変分原理を施した場合の汎関数は、次式のようになる。
Figure 0005441292
または、
Figure 0005441292
次に、2次元関心領域を対象とした際に、誘電率分布又は導電率分布に変分原理を施した場合の汎関数は、次式のようになる。
Figure 0005441292
また、2次元関心領域を対象とした際に、電界ベクトル分布(又は、電位分布)に変分原理を施した場合の汎関数は、次式のようになる。
Figure 0005441292
または、
Figure 0005441292
次に、1次元関心領域を対象とした際に、誘電率分布又は導電率分布、又は、誘電率又は導電率の1階微分の分布に変分原理を施した場合の汎関数は、次式のようになる。
Figure 0005441292
また、1次元関心領域を対象とした際に、電界ベクトル分布(又は、電位分布)に変分原理を施した場合の汎関数は、次式のようになる。
Figure 0005441292
(5)式〜(10)式の汎関数は、各汎関数中に表される誘電率又は導電率の自然対数をとったものの分布Lln、誘電率又は導電率そのものの分布L、及び、電界ベクトル分布(電位分布)sに関して有限要素近似されるが、3次元空間においては3次元基底関数が使用され、2次元空間においては2次元基底関数が使用され、1次元空間においては1次元基底関数が使用される。以下においては、要素の節点数は省略する。
3次元関心領域を対象とする場合において、(5)式中の3次元誘電率分布又は導電率分布lnk(x,y,z)は、3次元節点誘電率又は節点導電率lnk(I,J,K)及び3次元基底関数φ3lnk(I,J,K,x,y,z)を用いて、lnk(x,y,z) 〜 ΣI,J,Kφ3lnk(I,J,K,x,y,z)lnk(I,J,K)と内挿される。(6)式中の3次元誘電率分布又は導電率分布k(x,y,z)は、3次元節点誘電率又は節点導電率k(I,J,K)及び3次元基底関数φ3k(I,J,K,x,y,z)を用いて、k(x,y,z) 〜 ΣI,J,Kφ3k(I,J,K,x,y,z)k(I,J,K)と内挿される。一方、(5)式及び(6)式中の3次元電界ベクトル分布Ei(x,y,z)は、3次元節点電界ベクトル[Eix(I,J,K), Eiy(I,J,K), Eiz(I,J,K)]及び基底関数φ3E(I,J,K,x,y,z)を用いて、Ei(x,y,z) 〜 [ΣI,J,Kφ3E(I,J,K,x,y,z)Eix(I,J,K), ΣI,J,Kφ3E(I,J,K,x,y,z)Eiy(I,J,K), ΣI,J,Kφ3E(I,J,K,x,y,z)Eiz(I,J,K)]と内挿される。また、(6)式中の電位分布Vi(x,y,z)は、3次元節点電位Vi(I,J,K)及び基底関数φ3V(I,J,K,x,y,z)を用いて、Vi(x,y,z) 〜 ΣI,J,Kφ3V(I,J,K,x,y,z)Vi(I,J,K)と内挿される。
2次元関心領域を対象とする場合において、(7)式中の2次元誘電率分布又は導電率分布lnk(x,y)は、2次元節点誘電率又は節点導電率lnk(I,J)及び2次元基底関数φ2lnk(I,J,x,y)を用いて、lnk(x,y) 〜 ΣI,Jφ2lnk(I,J,x,y)lnk(I,J)と内挿される。(8)式中の2次元誘電率分布又は導電率分布k(x,y)は、2次元節点誘電率又は節点導電率k(I,J)及び2次元基底関数φ2k(I,J,x,y)を用いて、k(x,y) 〜 ΣI,Jφ2k(I,J,x,y)k(I,J)と内挿される。一方、(7)式及び(8)式中の2次元電界ベクトル分布Ei(x,y)は、2次元節点電界ベクトル[Eix(I,J), Eiy(I,J)]及び基底関数φ2E(I,J,x,y)を用いて、Ei(x,y) 〜[ΣI,Jφ2E(I,J,x,y)Eix(I,J), ΣI,Jφ2E(I,J,x,y)Eiy(I,J)]と内挿される。また、(8)式中の電位分布Vi(x,y)は、2次元節点電位Vi(I,J)及び基底関数φ2V(I,J,x,y)を用いて、Vi(x,y) 〜 ΣI,Jφ2V(I,J,x,y)Vi(I,J)と内挿される。
1次元関心領域を対象とする場合において、(9)式中の1次元誘電率分布又は導電率分布lnk(x)は、1次元節点誘電率又は節点導電率lnk(I)及び1次元基底関数φ1lnk(I,x)を用いて、lnk(x) 〜 ΣIφ1lnk(I,x)lnk(I) と内挿される。(10)式中の1次元誘電率分布又は導電率分布k(x)は、1次元節点誘電率又は節点導電率k(I)及び1次元基底関数φ1k(I,x)を用いて、k(x) 〜 ΣIφ1k(I,x)k(I) と内挿される。一方、(9)式及び(10)式中の1次元電界ベクトル分布Ei(x)は、1次元節点電界ベクトルEix(I)及び基底関数φ1E(I,x)を用いて、Ei(x) 〜 ΣIφ1E(I,x)Eix(I) と内挿される。また、(10)式中の電位分布Vi(x)は、1次元節点電位Vi(I)及び基底関数φ1V(I,x)を用いて、Vi(x) 〜 ΣIφ1V(I,x)Vi(I)と内挿される。
但し、前述の基底関数の各々の微分可能性に関して、誘電率分布又は導電率分布の近似に使用する基底関数φlnk及びφは、1回以上偏微分可能である必要があり、一方、電位分布及び電界ベクトル分布の近似に使用する基底関数φ及びφは、各々、2回以上及び1回以上偏微分可能である必要がある。ここで、電界ベクトル分布の基底関数は、前述のφEとは別に、電位分布の基底関数φを偏微分することでも得られ、一方、電界ベクトルの発散の分布の基底関数は、電界ベクトル分布の基底関数を偏微分することでも得られる。但し、使用される基底関数は、いずれも、(5)式〜(10)式の各式に現れる微分処理を少なくとも可能とするものであれば十分である。ここで、誘電率分布又は導電率分布の基底関数φlnk及びφに関しては、各々、参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)値lnk’(x,y,z)及びk’(x,y,z)を表現できるものである必要があることを断っておく。また、(5)〜(10)式中において必要となる電位分布測定データには低域通過型フィルタがかけられ、電界ベクトル分布データは、その低域通過型フィルタのかけられた電位分布測定データに微分フィルタをかけるか、又は、電位分布測定データに帯域制限付微分フィルタをかけるか、又は、基底関数φを用いて表された電位分布を偏微分するかのいずれかにより評価される。一方、電界ベクトルの発散の分布データは、同様に、電界ベクトル分布データに微分フィルタをかけるか、又は、基底関数φを用いて表された電界ベクトル分布を偏微分するかのいずれかにより評価される。従って、使用される基底関数は、いずれも、必要となる微分処理を少なくとも可能とするものであれば十分である。
具体的に、(5)式、(7)式、(9)式の汎関数が使用される際は、次式に示す汎関数(i=1〜M)のいずれかが求められる。
Figure 0005441292
但し、Pは、関心領域内の電界ベクトル分布E(x,y,z)の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値である。
これらをLlnに関する汎関数とする[但し、(11)式は、一つのみの電位場が測定された場合においてのみ使用できる。]。(12)式の()内の汎関数は、正規化を施していないものである。例えば、3次元関心領域を対象とした場合において、これらの汎関数は、前述の基底関数を用いて有限要素化された上で、低域通過型フィルタのかけられた電界ベクトル分布データE(I,J,K)、電界ベクトルの発散の分布データ、及び、参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)が代入された後、未知誘電率分布又は未知導電率分布lnk(I,J,K)からなるベクトルL’lnに関して最小化されるか、又は、関心領域内の誘電率分布又は導電率分布lnk(I,J,K)からなるベクトルL”lnに関して最小化された後、電界ベクトル分布データE(I,J,K)、電界ベクトルの発散の分布データ、及び、参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)が代入される。
その結果、(11)式より、一つの電位場Viが測定された際の未知誘電率分布又は未知導電率分布分布lnk(I,J,K)からなるベクトルL’lnに関する次の連立方程式が得られる。
Figure 0005441292
さらに、(12)式より、一つ以上の電位場Vi(i=1〜M)が測定された際の最小二乗法に基づく未知誘電率分布又は未知導電率分布分布lnk(I,J,K)からなるベクトルL’lnに関する次の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
これらを解くことにより、推定結果としてlnk(x,y,z)を得る(基底関数φ3lnkを使用する)。但し、(13)式中のAi及びai、及び、(14)式中のA’i及びa’iは、一連の計算により導出された、使用された基底関数と、測定された電界ベクトル分布データE(I,J,K)と、電界ベクトルの発散の分布データと、参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)とからなる行列及びベクトルである。2次元関心領域、及び、1次元関心領域を対象とした場合も同様である。
(11)式及び(12)式の汎関数を最小化する際に、Ai、ai、A’、及び、a’は低域通過型フィルタのかけられた電界ベクトル分布データ及び電界ベクトルの発散の分布データで決まるが、Ai及びA’の逆作用素は、各々、ai及びa’に含まれる高周波数帯域のノイズを増幅させてしまう。また、特に、1つの電位場が測定された場合(M=1)は、電圧源又は電流源と参照領域との相対的配置が不適切なものとなることがある。その結果、L’lnが不安定な結果となってしまう。そこで、いわゆる正則化を応用して再構成の安定化を図るようにしても良い。
具体的には、各電位場Viに対して設定されうる正則化パラメータα1i、α2i、α3i(正の値)を使用して、連続座標系において、次のような処罰項を考える。
3次元関心領域を対象にした場合には、以下のようになる。
Figure 0005441292
2次元関心領域を対象にした場合には、以下のようになる。
Figure 0005441292
1次元関心領域を対象にした場合には、以下のようになる。
Figure 0005441292
即ち、一つの電位場Viが測定されて(11)式の汎関数が扱われる場合に、(15)式〜(17)式によって与えられる処罰項の各々を、(5)式、(7)式、(9)式の有限要素近似において導入した基底関数を使用して有限要素化し、例えば、3次元関心領域を対象とした場合には、有限要素化された誘電率又は導電率lnk(I,J,K)に参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)を代入した上で、(11)式の汎関数IIi(L’ln)に加え、これをL’lnに関して最小化する。この場合、基底関数φ3lnkは2回偏微分可能である必要がある。あるいは、(15)式〜(17)式の処罰項を有限差分近似して、参照誘電率又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)を代入した上で、同様に、(11)式の汎関数II(L’ln)に加え、これをL’lnに関して最小化する。その結果、例えば、3次元関心領域を対象とした場合には、未知誘電率分布又は未知導電率分布分布lnk(I,J,K)からなるベクトルL’lnに関する正則化された次の連立方程式が得られる。
Figure 0005441292
これを解くことにより、推定結果としてlnk(x,y,z)を得る(基底関数φ3lnkを使用する)。特に、GG、GGGGの各々は、有限要素近似あるいは有限差分(離散)近似された誘電率分布又は導電率分布lnk(I,J,K)のラプラシアン作用素及びラプラシアン2乗作用素を表す。2次元、及び、1次元関心領域を対象とする場合も同様である。
正則化パラメータα1i、α2i、α3iは、(18)式においては、同時に負の値をとり得、誘電率分布又は導電率分布を表すベクトルL’lnにかかる行列が数値解析的に安定化する様に、これらの絶対値は大きい値に調節される。あるいは、正則化パラメータα1i、α2i、α3iの絶対値は、各電界ベクトル分布の大きさに依存する各測定電界ベクトル分布データの精度(SN比)により、SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きくなるように調節されるようにしても良い。例えば、各電界ベクトル分布のSNパワー比の平方根に反比例した値とする。尚、電界ベクトル分布のSN比は、測定された電位分布データの間隔や電位分布そのもの(すなわち、電界ベクトル方向、電界ベクトル成分の大きさ)に依存するため、各電界ベクトル分布の成分分布のSN比はその成分分布ごとに異なるものとなり、α2iおよびα3iは、これらに依存して、(15)式および(16)式中の偏微分の方向によって変化するものとして実現されることがある。すなわち、α2iおよびα3iの絶対値は、各電界ベクトル分布の成分分布のSN比に依存して、SN比が高い成分の方向には小さく、SN比が低い成分の方向には大きくなるように調節されることがある。例えば、各電界ベクトル分布の成分分布のSNパワー比の平方根に反比例した値とする。その際には、α2iおよびα3iの絶対値は、例えば、データ間隔が長い場合には小さく、データ間隔が短い場合には大きくなるように調節されることとなり(例えば、データ間隔に反比例した値)、これらの絶対値は、各電界ベクトル分布のSN比および各電界ベクトル分布の成分分布のSN比を決定する各要因より評価されるその絶対値に重要度の重み付けを行った上で算出される積の値に比例するように設定される。
尚、電位測定データの精度(SN比)の測定に関しては、測定器の測定精度の評価を行うべく、標準物体(例えば、電位が任意の一定値となる均質物体)を対象に、複数回、測定電位のレンジ内の値を持つ電位分布の測定を行い、その測定電位分布データの平均値の2乗及びその測定電位分布データの分散値の比からSNパワー比を評価する。あるいは、測定器及び測定系を含めた測定精度の評価を行うべく、真の測定対象を測定する際の測定系と同一の測定系において、又は、その測定系を実現して、同様に、計測対象物そのものを対象に、SN比を評価するようにしても良い。各要素の節点(I,J,K)の電界ベクトルデータから、関心領域全体の電界ベクトル分布E(x,y,z)のSN比が見積もられる。
また、正則化パラメータα1i、α2i、α3iは、(15)式〜(17)式において空間的に変化するものとして実現されることもあり、結果的に、(18)式においては、同時に負の値をとり得、誘電率分布又は導電率分布を表すベクトルL’lnの成分である各関心点の誘電率又は導電率にかかる局所行列が数値解析的に安定化する様に、これらの絶対値は大きい値に調節される。あるいは、正則化パラメータα1i、α2i、α3iの絶対値は、各電界ベクトル分布の各関心点の電界ベクトルの大きさに依存する各測定電界ベクトルデータの精度(SN比)により、SN比が高い位置においては小さく、SN比が低い位置においては大きくなるように調節されるようにしても良い。例えば、各電界ベクトル分布の各位置において評価されたSNパワー比の平方根に反比例した値とする。尚、電界ベクトルのSN比は、測定された電位分布データの間隔や電界ベクトル方向(すなわち、電界ベクトル成分の大きさ)に依存するため、各電界ベクトル分布の各関心点において、電界ベクトルの成分のSN比はその成分ごとに異なるものとなり、α2iおよびα3iは、位置だけでなく、これらに依存して(15)式および(16)式中の偏微分の方向によって変化するものとして実現されることがある。すなわち、α2iおよびα3iの絶対値は、各電界ベクトル分布の各電界ベクトルの成分のSN比に依存して、SN比が高い成分の方向には小さく、SN比が低い成分の方向には大きくなるように調節されることがある。例えば、各電界ベクトル分布の各位置において評価された成分のSNパワー比の平方根に反比例した値とする。その際には、α2iおよびα3iの絶対値は、例えば、データ間隔が長い場合には小さく、データ間隔が短い場合には大きくなるように調節されることとなり(例えば、データ間隔に反比例した値)、これらの絶対値は、各電界ベクトルのSN比およびその各成分のSN比を決定する各要因より評価されるその絶対値に重要度の重み付けを行った上で算出される積の値に比例するように設定される。
尚、電位測定データの精度(SN比)の測定に関しては、測定器の測定精度の評価を行うべく、標準物体(例えば、電位が任意の一定値となる均質物体)を対象に、複数回、測定電位のレンジ内の値を持つ電位分布の測定を行い、各位置において、測定電位データの平均値の2乗及び測定電位データの分散値の比を評価し、SNパワー比の分布を評価する。あるいは、測定器及び測定系を含めた測定精度の評価を行うべく、真の測定対象を測定する際の測定系と同一の測定系において、又は、その測定系を実現して、同様に、計測対象物そのものを対象に、SN比の分布を評価することがある。各節点(I,J,K)の電界ベクトルデータのSN比、又は、各要素の節点の電界ベクトルのSN比より評価される各要素における電界ベクトルのSN比が見積もられる。
次に、一つ以上の電位分布Vi(i=1〜M)が測定されて(12)式の汎関数が扱われる場合においても、同様に、(15)式〜(17)式によって与えられる処罰項の各々を、(5)式、(7)式、(9)式の有限要素近似において導入した基底関数を使用して有限要素化し、例えば、3次元関心領域を対象とした場合には、有限要素化された誘電率又は導電率lnk(I,J,K)に参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)を代入した上で、(12)式の汎関数II(L’ln)に加え、これをL’lnに関して最小化する。この場合、基底関数φ3lnkは2回偏微分可能である必要がある。あるいは、(15)式〜(17)式の処罰項を有限差分近似して、参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)を代入した上で、同様に、(12)式の汎関数II(L’ln)に加え、これをL’lnに関して最小化する。その結果、例えば、3次元関心領域を対象とした場合には、未知誘電率分布又は未知導電率分布分布lnk(I,J,K)からなるベクトルL’lnに関する正則化された次の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
これを解くことにより、推定結果としてlnk(x,y,z)を得る(基底関数φ3lnkを使用する)。特に、GG、GGGGの各々は、有限要素近似あるいは有限差分(離散)近似された誘電率分布又は導電率分布lnk(I,J,K)のラプラシアン作用素及びラプラシアン2乗作用素を表す。2次元、及び、1次元関心領域を対象とする場合も同様である。
正則化パラメータα、α、αは、(19)式において、誘電率分布又は導電率分布を表すベクトルL’lnにかかる行列が数値解析的に正定値となる様に、大きい値に調節される。あるいは、正則化パラメータα1i、α2i、α3iの値は、各電界ベクトル分布の大きさに依存する各測定電界ベクトル分布データの精度(SN比)により、SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きくなるように調節されるようにしても良い。例えば、各電界ベクトル分布のSNパワー比に反比例した値とする。尚、電界ベクトル分布のSN比は、測定された電位分布データの間隔や電位分布そのもの(すなわち、電界ベクトル方向、電界ベクトル成分の大きさ)に依存するため、各電界ベクトル分布の成分分布のSN比はその成分分布ごとに異なるものとなり、α2iおよびα3iは、これらに依存して、(15)式および(16)式中の偏微分の方向によって変化するものとして実現されることがある。すなわち、α2iおよびα3iの値は、各電界ベクトル分布の成分分布のSN比に依存して、SN比が高い成分の方向には小さく、SN比が低い成分の方向には大きくなるように調節されることがある。例えば、各電界ベクトル分布の成分分布のSNパワー比に反比例した値とする。その際には、α2iおよびα3iの値は、例えば、データ間隔が長い場合には小さく、データ間隔が短い場合には大きくなるように調節されることとなり(例えば、データ間隔の二乗に反比例した値)、これらの値は、各電界ベクトル分布のSN比および各電界ベクトル分布の成分分布のSN比を決定する各要因より評価されるその値に重要度の重み付けを行った上で算出される積の値に比例するように設定される。
尚、電位測定データの精度(SN比)の測定に関しては、測定器の測定精度の評価を行うべく、標準物体(例えば、電位が任意の一定値となる均質物体)を対象に、複数回、測定電位のレンジ内の値を持つ電位分布の測定を行い、その測定電位分布データの平均値の2乗及びその測定電位分布データの分散値の比からSNパワー比を評価する。あるいは、測定器及び測定系を含めた測定精度の評価を行うべく、真の測定対象を測定する際の測定系と同一の測定系において、又は、その測定系を実現して、同様に、計測対象物そのものを対象に、SN比を評価するようにしても良い。各要素の節点(I,J,K)の電界ベクトルデータから、関心領域全体の電界ベクトル分布E(x,y,z)のSN比が見積もられる。
また、正則化パラメータα、α、αは、(15)式〜(17)式において空間的に変化するものとして実現されることもあり、結果的に、(19)式において、誘電率分布又は導電率分布を表すベクトルL’lnの成分である各関心点の誘電率又は導電率にかかる局所行列が数値解析的に正定値となる様に、大きい値に調節される。あるいは、正則化パラメータα1i、α2i、α3iの値は、各電界ベクトル分布の各関心点の電界ベクトルの大きさに依存する各測定電界ベクトルデータの精度(SN比)により、SN比が高い位置においては小さく、SN比が低い位置においては大きくなるように調節されるようにしても良い。例えば、各電界ベクトル分布の各位置において評価されたSNパワー比に反比例した値とする。尚、電界ベクトルのSN比は、測定された電位分布データの間隔や電界ベクトル方向(すなわち、電界ベクトル成分の大きさ)に依存するため、各電界ベクトル分布の各関心点において、電界ベクトルの成分のSN比はその成分ごとに異なるものとなり、α2iおよびα3iは、位置だけでなく、これらに依存して(15)式および(16)式中の偏微分の方向によって変化するものとして実現されることがある。すなわち、α2iおよびα3iの値は、各電界ベクトル分布の各電界ベクトルの成分のSN比に依存して、SN比が高い成分の方向には小さく、SN比が低い成分の方向には大きくなるように調節されることがある。例えば、各電界ベクトル分布の各位置において評価された成分のSNパワー比に反比例した値とする。その際には、α2iおよびα3iの値は、例えば、データ間隔が長い場合には小さく、データ間隔が短い場合には大きくなるように調節されることとなり(例えば、データ間隔の二乗に反比例した値)、これらの値は、各電界ベクトルのSN比およびその各成分のSN比を決定する各要因より評価されるその値に重要度の重み付けを行った上で算出される積の値に比例するように設定される。
尚、電位測定データの精度(SN比)の測定に関しては、測定器の測定精度の評価を行うべく、標準物体(例えば、電位が任意の一定値となる均質物体)を対象に、複数回、測定電位のレンジ内の値を持つ電位分布の測定を行い、各位置において、測定電位データの平均値の2乗及び測定電位データの分散値の比を評価し、SNパワー比の分布を評価する。あるいは、測定器及び測定系を含めた測定精度の評価を行うべく、真の測定対象を測定する際の測定系と同一の測定系において、又は、その測定系を実現して、同様に、計測対象物そのものを対象に、SN比の分布を評価することがある。各節点(I,J,K)の電界ベクトルデータのSN比、又は、各要素の節点の電界ベクトルのSN比より評価される各要素における電界ベクトルのSN比が見積もられる。
また、電位分布Vi(i=1〜M)が測定されて(12)式の汎関数が扱われる際においては、(15)式〜(17)式によって与えられる処罰項の各々を、(5)式、(7)式、(9)式の有限要素近似において導入した基底関数を使用して有限要素化し、例えば、3次元関心領域を対象とした場合には、有限要素化された誘電率又は導電率lnk(I,J,K)に参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)を代入した上で、(12)式の2乗ノルム内において、汎関数Ii(L’ln)に加えて、これをL’lnに関して最小化した上、その2乗ノルムをL’lnに関して最小化することがある。この場合、基底関数φ3lnkは2回偏微分可能である必要がある。あるいは、(15)式〜(17)式の処罰項を有限差分近似して、参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)を代入した上で、同様に、(12)式の2乗ノルム内において、汎関数Ii(L’ln)に加えて、これをL’lnに関して最小化した上、その2乗ノルムをL’lnに関して最小化する。その結果、例えば、3次元関心領域を対象とした場合には、未知誘電率分布又は未知導電率分布lnk(I,J,K)からなるベクトルL’lnに関する正則化された次の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
これを解くことにより、推定結果としてlnk(x,y,z)を得る(基底関数φ3lnkを使用する)。特に、GG、GGGGの各々は、有限要素近似あるいは有限差分(離散)近似された誘電率分布又は導電率分布lnk(I,J,K)のラプラシアン作用素及びラプラシアン2乗作用素を表す。2次元、及び、1次元関心領域を対象とする場合も同様である。
正則化パラメータα1i、α2i、α3iは、(20)式においては、同時に負の値をとり得、誘電率分布又は導電率分布を表すベクトルL’lnにかかる行列が数値解析的に正定値となる様に、これらの絶対値は大きい値に調節される。あるいは、正則化パラメータα1i、α2i、α3iの絶対値は、各電界ベクトル分布の大きさに依存する各測定電界ベクトル分布データの精度(SN比)により、SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きくなるように調節されるようにしても良い。例えば、各電界ベクトル分布のSNパワー比の平方根に反比例した値とする。尚、電界ベクトル分布のSN比は、測定された電位分布データの間隔や電位分布そのもの(すなわち、電界ベクトル方向、電界ベクトル成分の大きさ)に依存するため、各電界ベクトル分布の成分分布のSN比はその成分分布ごとに異なるものとなり、α2iおよびα3iは、これらに依存して、(15)式および(16)式中の偏微分の方向によって変化するものとして実現されることがある。すなわち、α2iおよびα3iの絶対値は、各電界ベクトル分布の成分分布のSN比に依存して、SN比が高い成分の方向には小さく、SN比が低い成分の方向には大きくなるように調節されることがある。例えば、各電界ベクトル分布の成分分布のSNパワー比の平方根に反比例した値とする。その際には、α2iおよびα3iの絶対値は、例えば、データ間隔が長い場合には小さく、データ間隔が短い場合には大きくなるように調節されることとなり(例えば、データ間隔に反比例した値)、これらの絶対値は、各電界ベクトル分布のSN比および各電界ベクトル分布の成分分布のSN比を決定する各要因より評価されるその絶対値に重要度の重み付けを行った上で算出される積の値に比例するように設定される。
尚、電位測定データの精度(SN比)の測定に関しては、測定器の測定精度の評価を行うべく、標準物体(例えば、電位が任意の一定値となる均質物体)を対象に、複数回、測定電位のレンジ内の値を持つ電位分布の測定を行い、その測定電位分布データの平均値の2乗及びその測定電位分布データの分散値の比からSNパワー比を評価する。あるいは、測定器及び測定系を含めた測定精度の評価を行うべく、真の測定対象を測定する際の測定系と同一の測定系において、又は、その測定系を実現して、同様に、計測対象物そのものを対象に、SN比を評価するようにしても良い。各要素の節点(I,J,K)の電界ベクトルデータから、関心領域全体の電界ベクトル分布E(x,y,z)のSN比が見積もられる。
また、正則化パラメータα1i、α2i、α3iは、(15)式〜(17)式において空間的に変化するものとして実現されることもあり、結果的に、(20)式においては、同時に負の値をとり得、誘電率分布又は導電率分布を表すベクトルL’lnの成分である各関心点の誘電率又は導電率にかかる局所行列が数値解析的に正定値となる様に、これらの絶対値は大きい値に調節される。あるいは、正則化パラメータα1i、α2i、α3iの絶対値は、各電界ベクトル分布の各関心点の電界ベクトルの大きさに依存する各測定電界ベクトルデータの精度(SN比)により、SN比が高い位置においては小さく、SN比が低い位置においては大きくなるように調節されるようにしても良い。例えば、各電界ベクトル分布の各位置において評価されたSNパワー比の平方根に反比例した値とする。尚、電界ベクトルのSN比は、測定された電位分布データの間隔や電界ベクトル方向(すなわち、電界ベクトル成分の大きさ)に依存するため、各電界ベクトル分布の各関心点において、電界ベクトルの成分のSN比はその成分ごとに異なるものとなり、α2iおよびα3iは、位置だけでなく、これらに依存して(15)式および(16)式中の偏微分の方向によって変化するものとして実現されることがある。すなわち、α2iおよびα3iの絶対値は、各電界ベクトル分布の各電界ベクトルの成分のSN比に依存して、SN比が高い成分の方向には小さく、SN比が低い成分の方向には大きくなるように調節されることがある。例えば、各電界ベクトル分布の各位置において評価された成分のSNパワー比の平方根に反比例した値とする。その際には、α2iおよびα3iの絶対値は、例えば、データ間隔が長い場合には小さく、データ間隔が短い場合には大きくなるように調節されることとなり(例えば、データ間隔に反比例した値)、これらの絶対値は、各電界ベクトルのSN比およびその各成分のSN比を決定する各要因より評価されるその絶対値に重要度の重み付けを行った上で算出される積の値に比例するように設定される。
尚、電位測定データの精度(SN比)の測定に関しては、測定器の測定精度の評価を行うべく、標準物体(例えば、電位が任意の一定値となる均質物体)を対象に、複数回、測定電位のレンジ内の値を持つ電位分布の測定を行い、各位置において、測定電位データの平均値の2乗及び測定電位データの分散値の比を評価し、SNパワー比の分布を評価する。あるいは、測定器及び測定系を含めた測定精度の評価を行うべく、真の測定対象を測定する際の測定系と同一の測定系において、又は、その測定系を実現して、同様に、計測対象物そのものを対象に、SN比の分布を評価することがある。各節点(I,J,K)の電界ベクトルデータのSN比、又は、各要素の節点の電界ベクトルのSN比より評価される各要素における電界ベクトルのSN比が見積もられる。
尚、(1)式、(2)式、(3)式の各々の両辺が、誘電率又は導電率k(x,y,z)、k(x,y)、k(x)がかけられた上で、関心領域内の誘電率分布又は導電率分布に変分原理を施した場合(1次元関心領域を対象とした場合は、誘電率又は導電率の1階微分の1次元分布に変分原理を施した場合もあり)の汎関数は、次のようになる。
3次元関心領域を対象とした場合は、(5')式となる。
Figure 0005441292
2次元関心領域を対象とした場合は、(7')式となる。
Figure 0005441292
1次元関心領域を対象とした場合は、(9')式となる。
Figure 0005441292
但し、(11)式及び(12)式の汎関数中のPiは、関心領域内の電界ベクトルEi(x,y,z)と誘電率又は導電率k(x,y,z)の勾配作用素との内積の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値と電界ベクトルEi(x,y,z)の発散の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値の和である。これらには、後記(25)式〜(27)式が正則化を行うための処罰項として使用されて、同様にして、未知誘電率分布又は未知導電率分布L’に関する(18)式、(19)式、(20)式が導出される。
(18)式において、正則化パラメータは、例えば、電界ベクトルEi(x,y,z)の各成分とその成分と同一方向の誘電率又は導電率のk(x,y,z)にかかる1階偏微分作用素との積の精度(SN比)と電界ベクトルEi(x,y,z)の同一成分の同一方向の1階偏微分の精度(SN比)で決まるSNパワー比の平方根に反比例した値とされるか、若しくは、電界ベクトルEi(x,y,z)と誘電率又は導電率のk(x,y,z)にかかる1階偏微分作用素との内積の各空間I,J,K方向のΔx、Δy、Δz間の変化量データの精度(SN比)と電界ベクトルEi(x,y,z)の発散の各空間I,J,K方向のΔx、Δy、Δz間の変化量データの精度(SN比)で決まるSNパワー比の平方根に反比例した値とされることがある。また、(19)式において、正則化パラメータは、例えば、電界ベクトルEi(x,y,z)の各成分とその成分と同一方向の誘電率又は導電率のk(x,y,z)にかかる1階偏微分作用素との積の精度(SN比)と電界ベクトルEi(x,y,z)の同一成分の同一方向の1階偏微分の精度(SN比)で決まるSNパワー比に反比例した値とされるか、若しくは、電界ベクトルEi(x,y,z)と誘電率又は導電率のk(x,y,z)にかかる1階偏微分作用素との内積の各空間I,J,K方向のΔx、Δy、Δz間の変化量データの精度(SN比)と電界ベクトルEi(x,y,z)の発散の各空間I,J,K方向のΔx、Δy、Δz間の変化量データの精度(SN比)で決まるSNパワー比に反比例した値とされることがある。さらに、(20)式において、正則化パラメータは、例えば、電界ベクトルEi(x,y,z)の各成分とその成分と同一方向の誘電率又は導電率のk(x,y,z)にかかる1階偏微分作用素との積の精度(SN比)と電界ベクトルEi(x,y,z)の同一成分の同一方向の1階偏微分の精度(SN比)で決まるSNパワー比の平方根に反比例した値とされるか、若しくは、電界ベクトルEi(x,y,z)と誘電率又は導電率のk(x,y,z)にかかる1階偏微分作用素との内積の各空間I,J,K方向のΔx、Δy、Δz間の変化量データの精度(SN比)と電界ベクトルEi(x,y,z)の発散の各空間I,J,K方向のΔx、Δy、Δz間の変化量データの精度(SN比)で決まるSNパワー比の平方根に反比例した値とされることがある。この場合、誘電率分布又は導電率分布、電界ベクトル分布(又は電位分布)の基底関数として、φk、φE(又は、φv)が使用される。
次に、(6)式、(8)式、(10)式の汎関数が使用される際は、次式の汎関数(i=1〜M)が求められる。
Figure 0005441292
但し、Pは、関心領域内の電界ベクトル分布E(x,y,z)の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値である。これらを電界ベクトル分布(又は、電位分布)sに関する汎関数とする((21)式の代わりにIi(s)が使用されることがある。)。例えば、3次元関心領域を対象とした場合には、この汎関数は基底関数を用いて有限要素化された上で電界ベクトル分布Ei(I,J,K)(又は、電位分布Vi(I,J,K))に関して最小化される。
その結果、各電界ベクトル分布Ei(I,J,K)(又は、各電位分布Vi(I,J,K))からなるベクトルsに関する連立方程式が得られ、低域通過型フィルタのかけられた電界ベクトル分布データEi(I,J,K)(又は、電位分布データVi(I,J,K))及び参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値k’(I,J,K)が代入された上で、i=1〜Mの連立方程式が全て連立されることにより、最終的に、未知誘電率分布又は未知導電率分布分布k(I,J,K)からなるベクトルL’に関する次の代数方程式が得られる。
Figure 0005441292
但し、B及びbは、使用された基底関数と、測定された電界ベクトル分布データEi(I,J,K)(i=1〜M)、又は、電位分布データVi(I,J,K)(i=1〜M)と、参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値k’(I,J,K)とからなる行列及びベクトルである。
次に、この代数方程式に対して、未知の誘電率又は導電率分布k(I,J,K)からなるベクトルL’に関して最小二乗化するための次の汎関数が得られる。
Figure 0005441292
この汎関数を、未知の誘電率又は導電率分布k(I,J,K)からなるベクトルL’に関して最小化することにより次の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
これを解くことにより、推定結果としてk(x,y,z)を得る(基底関数φ3kを使用する)。尚、この正規方程式は、(21)式の電界ベクトル分布Ei(I,J,K)(又は、電位分布Vi(I,J,K))に関する最小化により得られる、関心領域内の誘電率分布又は導電率分布k(I,J,K)からなるベクトルL”に関する連立方程式を、L”に関して最小二乗化した後に、測定された電界ベクトル分布データEi(I,J,K)、電界ベクトルの発散の分布データ、及び、参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値k’(I,J,K)を代入しても得られる。2次元、及び、1次元関心領域を対象とした場合も同様である。
(24)式の正規方程式を得る際に、B、bは低域通過フィルタのかけられた電界ベクトル分布データ又は電位分布データで決まるが、Bの逆作用素はbに含まれる高周波数帯域のノイズを増幅させてしまう。また、特に、1つの電位場が測定された場合(M=1)においては、電圧源又は電流源と参照領域との相対的配置が不適切なものとなることがある。その結果、L’は不安定な結果となってしまう。そこで、いわゆる正則化を応用して再構成の安定化を図るようにしても良い。
具体的には、各電位場Viに対して設定されうる正則化パラメータα1i、α2i、α3i(正の値)を使用して、連続座標系において、次のような処罰項を考える。
3次元関心領域を対象にした場合には、以下のようになる。
Figure 0005441292
2次元関心領域を対象にした場合には、以下のようになる。
Figure 0005441292
1次元関心領域を対象にした場合には、以下のようになる。
Figure 0005441292
即ち、(6)式、(8)式、(10)式の汎関数を扱う際に、(25)式〜(27)式において与えられる処罰項の各々を、(6)式、(8)式、(10)式の有限要素近似において導入した基底関数を使用して有限要素化し、例えば、3次元関心領域を対象とする場合には、有限要素化された誘電率又は導電率k(x,y,z)に参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値k’(I,J,K)を代入した上で、(23)式の汎関数II(L’)に加え、これをL’に関して最小化する。この場合、基底関数φ3kは2回偏微分可能である必要がある。あるいは、(25)式〜(27)式の処罰項を、有限差分近似し、参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値k’(I,J,K)を代入した上で、同様に、(23)式の汎関数II(L’)に加え、これをL’に関して最小化する。
その結果、例えば、3次元関心領域を対象とした場合には、未知誘電率分布又は未知導電率分布分布k(I,J,K)からなるベクトルL’に関する正則化された次の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
これを解くことにより、推定結果としてk(x,y,z)を得る(基底関数φ3kを使用する)。特に、GG、GGGGの各々は、有限要素近似あるいは有限差分(離散)近似された誘電率分布又は導電率分布k(I,J,K)のラプラシアン作用素及びラプラシアン2乗作用素を表す。2次元、及び、1次元関心領域を対象とする場合も同様である。
正則化パラメータα、α、αは、(28)式において、誘電率分布又は導電率分布を表すベクトルL’にかかる行列が数値解析的に正定値となる様に、大きい値に調節される。あるいは、正則化パラメータα1i、α2i、α3iの値は、各電界ベクトル分布の大きさに依存する各測定電界ベクトル分布データの精度(SN比)により、SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きくなるように調節されるようにしても良い。例えば、各電界ベクトル分布のSNパワー比に反比例した値とする。尚、電界ベクトル分布のSN比は、測定された電位分布データの間隔や電位分布そのもの(すなわち、電界ベクトル方向、電界ベクトル成分の大きさ)に依存するため、各電界ベクトル分布の成分分布のSN比はその成分分布ごとに異なるものとなり、α2iおよびα3iは、これらに依存して、(25)式および(26)式中の偏微分の方向によって変化するものとして実現されることがある。すなわち、α2iおよびα3iの値は、各電界ベクトル分布の成分分布のSN比に依存して、SN比が高い成分の方向には小さく、SN比が低い成分の方向には大きくなるように調節されることがある。例えば、各電界ベクトル分布の成分分布のSNパワー比に反比例した値とする。その際には、α2iおよびα3iの値は、例えば、データ間隔が長い場合には小さく、データ間隔が短い場合には大きくなるように調節されることとなり(例えば、データ間隔の二乗に反比例した値)、これらの値は、各電界ベクトル分布のSN比および各電界ベクトル分布の成分分布のSN比を決定する各要因より評価されるその値に重要度の重み付けを行った上で算出される積の値に比例するように設定される。
尚、電位測定データの精度(SN比)の測定に関しては、測定器の測定精度の評価を行うべく、標準物体(例えば、電位が任意の一定値となる均質物体)を対象に、複数回、測定電位のレンジ内の値を持つ電位分布の測定を行い、その測定電位分布データの平均値の2乗及びその測定電位分布データの分散値の比からSNパワー比を評価する。あるいは、測定器及び測定系を含めた測定精度の評価を行うべく、真の測定対象を測定する際の測定系と同一の測定系において、又は、その測定系を実現して、同様に、計測対象物そのものを対象に、SN比を評価するようにしても良い。各要素の節点(I,J,K)の電界ベクトルデータから、関心領域全体の電界ベクトル分布E(x,y,z)のSN比が見積もられる。
また、正則化パラメータα、α、αは、(25)式〜(27)式において空間的に変化するものとして実現されることもあり、結果的に、(28)式において、誘電率分布又は導電率分布を表すベクトルL’の成分である各関心点の誘電率又は導電率にかかる局所行列が数値解析的に正定値となる様に、大きい値に調節される。あるいは、正則化パラメータα1i、α2i、α3iの値は、各電界ベクトル分布の各関心点の電界ベクトルの大きさに依存する各測定電界ベクトルデータの精度(SN比)により、SN比が高い位置においては小さく、SN比が低い位置においては大きくなるように調節されるようにしても良い。例えば、各電界ベクトル分布の各位置において評価されたSNパワー比に反比例した値とする。尚、電界ベクトルのSN比は、測定された電位分布データの間隔や電界ベクトル方向(すなわち、電界ベクトル成分の大きさ)に依存するため、各電界ベクトル分布の各関心点において、電界ベクトルの成分のSN比はその成分ごとに異なるものとなり、α2iおよびα3iは、位置だけでなく、これらに依存して(25)式および(26)式中の偏微分の方向によって変化するものとして実現されることがある。すなわち、α2iおよびα3iの値は、各電界ベクトル分布の各電界ベクトルの成分のSN比に依存して、SN比が高い成分の方向には小さく、SN比が低い成分の方向には大きくなるように調節されることがある。例えば、各電界ベクトル分布の各位置において評価された成分のSNパワー比に反比例した値とする。その際には、α2iおよびα3iの値は、例えば、データ間隔が長い場合には小さく、データ間隔が短い場合には大きくなるように調節されることとなり(例えば、データ間隔の二乗に反比例した値)、これらの値は、各電界ベクトルのSN比およびその各成分のSN比を決定する各要因より評価されるその値に重要度の重み付けを行った上で算出される積の値に比例するように設定される。
尚、電位測定データの精度(SN比)の測定に関しては、測定器の測定精度の評価を行うべく、標準物体(例えば、電位が任意の一定値となる均質物体)を対象に、複数回、測定電位のレンジ内の値を持つ電位分布の測定を行い、各位置において、測定電位データの平均値の2乗及び測定電位データの分散値の比を評価し、SNパワー比の分布を評価する。あるいは、測定器及び測定系を含めた測定精度の評価を行うべく、真の測定対象を測定する際の測定系と同一の測定系において、又は、その測定系を実現して、同様に、計測対象物そのものを対象に、SN比の分布を評価するようにしても良い。各節点(I,J,K)の電界ベクトルデータのSN比、又は、各要素の節点の電界ベクトルのSN比より評価される各要素における電界ベクトルのSN比が見積もられる。
3次元関心領域は、複数の2次元又は1次元関心領域から、又、2次元関心領域は複数の1次元関心領域から成ることがあり、各々の場合、適宜、低次元関心領域にて前記の通り未知誘電率分布又は未知導電率分布に関する代数方程式を導出し、最小二乗法に基づいて誘電率分布又は導電率分布を決定する際には正則化を高次元関心領域又は各低次元関心領域において行うことがある。
次に、第2の誘電率又は導電率推定方法の基本原理について説明する。第2の誘電率又は導電率推定方法の基本原理によれば、測定された電界ベクトル分布によって記述される誘電率又は導電率に関する(1)式〜(3)式の1階の空間偏微分方程式に対して、誘電率分布又は導電率分布、誘電率又は導電率の1階偏微分の分布、あるいは電界ベクトル分布(又は電位分布、又は電界ベクトルの発散分布)に関して有限差分近似あるいは有限要素近似(ガラーキン法)を施してモデル化する。
デカルト座標系において、関心領域内にて成立する(1)式〜(3)式の1階の空間偏微分方程式中に表される誘電率分布又は導電率分布lnk(x,y,z)、誘電率又は導電率の1階偏微分の分布、あるいは低域通過型フィルタのかけられた電界ベクトル分布Ei(x,y,z)、又は、低域通過型フィルタのかけられた電位分布Vi(x,y,z)は、離散座標系:(I,J,K) 〜 (x/Δx, y/Δy, z/Δz)において有限差分(離散)近似されるか、あるいは、ガラーキン法に基づいて有限要素近似されるが、有限要素としては、(5)式〜(10)式の有限要素近似において導入した3次元基底関数、2次元基底関数、1次元基底関数が使用される。ここで、i(i=1〜M)は、測定された電位場Viを指し、Mは、測定れた独立した電位場の数(1以上)である。以下、要素の節点数は省略する。
(1)式〜(3)式の1階の空間偏微分方程式に有限差分(離散)近似を適用する場合、例えば、3次元関心領域を対象とする場合においては、(1)式中の3次元誘電率分布又は導電率分布lnk(x,y,z)に有限差分近似(前方差分近似、後方差分近似など)が施され、加えて、電界ベクトル分布Ei(x,y,z)の近似は、低域通過型フィルタのかけられた電位分布データに微分フィルタをかけるか、又は、電位分布データに帯域制限付微分フィルタをかけるか、又は、測定された電位分布データに低域通過型フィルタがかけられるかのいずれかにより得られ、一方、電界ベクトルの発散の分布の近似は、得られた電界ベクトル分布データに微分フィルタをかけることにより得られる。2次元関心領域、及び、1次元関心領域を対象とした場合も同様である。
また、(1)式〜(3)式の1階の空間偏微分方程式にガラーキン法に基づく有限要素近似を施した場合、例えば、3次元関心領域を対象とする場合において、(1)式中の3次元誘電率分布又は導電率分布lnk(x,y,z)は、3次元節点誘電率又は節点導電率lnk(I,J,K)及び3次元基底関数φ3lnk(I,J,K,x,y,z)を用いて、lnk(x,y,z) 〜 ΣI,J,Kφ3lnk(I,J,K,x,y,z)lnk(I,J,K) と内挿される。3次元電界ベクトル分布Ei(x,y,z)は、3次元節点電界ベクトル[Eix(I,J,K), Eiy(I,J,K), Eiz(I,J,K)]及び基底関数φ3E(I,J,K,x,y,z)を用いて、Ei(x,y,z) 〜 [ΣI,J,Kφ3E(I,J,K,x,y,z)Eix(I,J,K), ΣI,J,Kφ3E(I,J,K,x,y,z)Eiy(I,J,K), ΣI,J,Kφ3E(I,J,K,x,y,z)Eiz(I,J,K)]と内挿される。また、電位分布Vi(x,y,z)は、3次元節点電位Vi(I,J,K)及び基底関数φ3V(I,J,K,x,y,z)を用いて、Vi(x,y,z) 〜 ΣI,J,Kφ3V(I,J,K,x,y,z)Vi(I,J,K)と内挿される。尚、これらの基底関数の微分可能性に関しては、前述の通り、誘電率分布又は導電率分布lnk(x,y,z) の近似に使用する基底関数φ3lnkは1回以上偏微分可能である必要があり、一方、電位分布及び電界ベクトル分布の近似に使用する基底関数φ3V及びφ3Eは、各々、2回以上及び1回以上偏微分可能である必要がある。ここで、電界ベクトル分布の基底関数は、前述のφEとは別に、電位分布の基底関数φを偏微分することでも得られ、一方、電界ベクトルの発散の分布の基底関数は、電界ベクトル分布の基底関数を偏微分することでも得られる。2次元、及び、1次元関心領域を対象とした場合も同様である。
但し、これらの基底関数φ3lnk、φ3E、及び、φ3Vの各々は、(4)式において与えられる参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)値lnk’(x,y,z)、低域通過型フィルタのかけられた電界ベクトル分布データ、及び、低域通過型フィルタのかけられた電位分布を表現できるものである必要がある。尚、電界ベクトル分布データは、低域通過型フィルタのかけられた電位分布データに微分フィルタをかけるか、又は、電位分布データに帯域制限付微分フィルタをかけるか、又は、基底関数φ3Vを用いて表された低域通過フィルタのかけられた電位分布データを偏微分するかのいずれかにより得られ、一方、電界ベクトルの発散の分布データは、同様に、電界ベクトル分布データに微分フィルタをかけるか、又は、基底関数φ3Eを用いて表された電界ベクトル分布を偏微分するかのいずれかにより得られる。
電位場Vi(i=1〜M)が測定された際に、(1)式〜(3)式の1階の空間偏微分方程式中の誘電率分布又は導電率分布Lln及び電界ベクトル分布sに有限差分(離散)近似が施された場合において、例えば、3次元関心領域を対象としたときは、低域通過型フィルタのかけられた電界ベクトル分布データEi(I,J,K)(i=1〜M)、電界ベクトルの発散の分布データ、及び、参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)が代入されて、未知誘電率分布又は未知導電率分布lnk(I,J,K)からなるベクトルL’lnに関する次式に示す連立方程式が得られる。
Figure 0005441292
但し、Ci及びciは、各々、電位場Viが測定された場合に、一連の計算により導出された、使用された偏微分の有限差分近似定数と、測定された電界ベクトル分布データE(I,J,K)と、電界ベクトルの発散の分布データと、参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)とからなる行列及びベクトルである。
次に、この連立方程式に対して、未知誘電率分布又は未知導電率分布分布lnk(I,J,K)からなるベクトルL’lnに関して最小ニ乗化するための次の汎関数が得られる。
Figure 0005441292
但し、Pは、関心領域内の電界ベクトル分布E(x,y,z)の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値である。(30)式の( )内は正規化を施していないものである。
この汎関数を、未知誘電率分布又は未知導電率分布lnk(I,J,K)からなるベクトルL’lnに関して最小化することにより、次の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
これを解くことにより、推定結果として未知誘電率分布又は未知導電率分布の離散分布lnk(I,J,K)が得られる。尚、この正規方程式は、関心領域内の誘電率分布又は導電率分布lnk(I,J,K)からなるベクトルL”lnに関する連立方程式をL”lnに関して最小二乗化した後に、測定された電界ベクトル分布データEi(I,J,K)、電界ベクトルの発散の分布データ、及び、参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)を代入しても得られる。2次元、及び、1次元関心領域を対象とした場合も同様である。
次に、電位場Vi(i=1〜M)が測定された際に、ガラーキン法に基づき、(1)式〜(3)式の1階の空間偏微分方程式中に表される誘電率分布又は導電率分布lnkを表すベクトルLln又は電界ベクトル分布Eiを表すベクトルsに関して、3次元、2次元、及び、1次元関心領域において扱う汎関数Ii(・)を示す。
3次元関心領域を対象とした場合の汎関数は、次式のようになる。
Figure 0005441292
但し、v(x,y,z)は、任意の重み関数(│v(x,y,z)│≠0)。
また、2次元関心領域を対象とした場合の汎関数は、次式のようになる。
Figure 0005441292
但し、v(x,y)は、任意の重み関数(│v(x,y)│≠0)。
また、1次元関心領域を対象とした場合の汎関数は、次式のようになる。
Figure 0005441292
但し、v(x)は、任意の重み関数(│v(x)│≠0)。
具体的に、(32)式〜(34)式の汎関数Ii(・)が使用される際には次式に示す汎関数が求められる(i=1〜M)。
Figure 0005441292
但し、Pは、関心領域内の電界ベクトル分布E(x,y,z)の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値である((35)式の代わりにIi(s)が使用されることがある。)。
(35)式のIIi(・)中のIi(・)内の重み関数vとして、誘電率分布又は導電率分布Lln、誘電率又は導電率の1階偏微分の分布、又は、電界ベクトル分布s(又は、電位分布、又は、電界ベクトルの発散分布)を有限要素近似する際に使用される基底関数、すなわち、
Figure 0005441292
が使用される。
さらに、(35)式のIIi(・)には、低域通過型フィルタのかけられた電界ベクトル分布データE(I,J,K)と、電界ベクトルの発散の分布データと、参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)が代入されて、その結果得られるIIi(・)が0に等しいものとすることにより、電位場Vi(I,J,K)が測定された際の未知誘電率分布又は未知導電率分布L’lnに関する次式の連立方程式が得られる。
Figure 0005441292
ここで、重み関数として電界ベクトル分布s(又は電位分布、又は電界ベクトルの発散分布)の近似に使用する基底関数φ(又はφ)を使用して、誘電率分布又は導電率分布lnk(x,y,z)の勾配に部分積分を施した場合においては、基底関数φlnkは直流でも構わない。但し、Di及びdiは、各々、電位場Viが測定された場合に、一連の計算により導出された、使用された基底関数と、測定された電界ベクトル分布データE(I,J,K)と、電界ベクトルの発散の分布データと、参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)とからなる行列及びベクトルである。
次に、この連立方程式(一つの電位場が測定された場合)および代数方程式(M個の電位場が測定された場合)を未知誘電率分布又は未知導電率分布lnk(I,J,K)からなるベクトルL’lnに関して最小二乗化するための次の汎関数が得られる。
Figure 0005441292
この汎関数を、未知誘電率分布又は未知導電率分布lnk(I,J,K)からなるベクトルL’lnに関して最小化することにより、次の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
これを解くことにより、推定結果として未知誘電率分布又は未知導電率分布lnk(x,y,z)が得られる(基底関数φ3lnkを使用)。尚、この正規方程式は、(35)式の汎関数より得られる、関心領域内の誘電率分布又は導電率分布lnk(I,J,K)からなるベクトルL”lnに関する連立方程式を、L”lnに関して最小二乗化した後に、測定された電界ベクトル分布データEi(I,J,K)、電界ベクトルの発散の分布データ、及び、参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)を代入しても得られる。2次元関心領域、及び、1次元関心領域を対象とした場合も同様である。
有限差分近似を適用した際に導出される(31)式の行列C’及びc’、及び、有限要素近似を適用した際に導出される(38)式中の行列D’及びd’は、低域通過型フィルタのかけられた電界ベクトル分布データから決まるが、C’の逆作用素はc’に含まれる高周波数帯域のノイズを増幅させ、D’の逆作用素はd’に含まれる高周波数帯域のノイズを増幅させてしまう。また、特に、1つの電位場が測定された場合(M=1)には、電圧源又は電流源と参照領域との相対的配置が不適切なものとなることがある。その結果、L’lnは不安定な結果となってしまう。そこで、いわゆる正則化を応用して再構成の安定化を図るようにしても良い。
具体的には、各電位場Viに対して設定されうる正則化パラメータα1i、α2i、α3i(正の値)を使用して、連続座標系において、(15)式〜(17)式の処罰項を考える。
有限差分近似を適用した場合には、(15)式〜(17)式によって与えられる処罰項の各々を有限差分近似し(但し、α1=0)、例えば、3次元関心領域を対象としたときは、処罰項中の離散化された誘電率又は導電率lnk(I,J,K)に参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)を代入した上で、これを汎関数(30)式に加えることにより新たに導出される汎関数をベクトルL’lnに関して最小化する。その結果、未知誘電率分布又は未知導電率分布分布lnk(I,J,K)からなるベクトルL’lnに関する正則化された次の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
これを解くことにより、推定結果としてlnk(x,y,z)を得る(基底関数φ3lnkを使用する)。GG、GGGGの各々は、有限差分(離散)近似された誘電率分布又は導電率分布lnk(I,J,K)のラプラシアン作用素及びラプラシアン2乗作用素を表す。2次元、及び、1次元関心領域を対象とする場合も同様である。
また、有限要素近似を適用した場合には、(15)式〜(17)式によって与えられる処罰項の各々を、(35)式にてlnk(x,y,z)の有限要素近似において導入した基底関数φ3lnkを使用して有限要素化し、例えば、3次元関心領域を対象とした場合、処罰項中の有限要素化された誘電率又は導電率lnk(I,J,K)に参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)を代入した上で、これを汎関数(37)式に加えることにより新たに導出される汎関数をベクトルL’lnに関して最小化する。この場合、基底関数φ3lnkは2回偏微分可能である必要がある。又は、(15)式〜(17)式を有限差分近似し、参照誘電率(分布)又は参照導電率(分布)の値lnk’(I,J,K)を代入した上で、同様に、これを加えることにより新たに導出される汎関数をベクトルL’lnに関して最小化する。いずれの場合も、下記のごとく、未知誘電率分布又は導電率分布lnk(I,J,K)からなるベクトルL’lnに関する正則化された次の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
これを解くことにより、推定結果としてlnk(x,y,z)を得る(基底関数φ3lnkを使用する)。特に、GG、GGGGの各々は、有限要素近似あるいは有限差分(離散)近似された誘電率分布又は導電率分布lnk(I,J,K)のラプラシアン作用素及びラプラシアン2乗作用素を表す。2次元、及び、1次元関心領域を対象とする場合も同様である。
正則化パラメータα、α、αは、(39)式及び(40)式において、誘電率分布又は導電率分布を表すベクトルL’lnにかかる行列が数値解析的に正定値となる様に、大きい値に調節される。但し、(39)式においては、α1は常に零である。あるいは、正則化パラメータα1i、α2i、α3iの値は、各電界ベクトル分布の大きさに依存する各測定電界ベクトル分布データの精度(SN比)により、SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きくなるように調節されるようにしても良い。例えば、各電界ベクトル分布のSNパワー比に反比例した値とする。尚、電界ベクトル分布のSN比は、測定された電位分布データの間隔や電位分布そのもの(すなわち、電界ベクトル方向、電界ベクトル成分の大きさ)に依存するため、各電界ベクトル分布の成分分布のSN比はその成分分布ごとに異なるものとなり、α2iおよびα3iは、これらに依存して、(15)式および(16)式中の偏微分の方向によって変化するものとして実現されることがある。すなわち、α2iおよびα3iの値は、各電界ベクトル分布の成分分布のSN比に依存して、SN比が高い成分の方向には小さく、SN比が低い成分の方向には大きくなるように調節されることがある。例えば、各電界ベクトル分布の成分分布のSNパワー比に反比例した値とする。その際には、α2iおよびα3iの値は、例えば、データ間隔が長い場合には小さく、データ間隔が短い場合には大きくなるように調節されることとなり(例えば、データ間隔の二乗に反比例した値)、これらの値は、各電界ベクトル分布のSN比および各電界ベクトル分布の成分分布のSN比を決定する各要因より評価されるその値に重要度の重み付けを行った上で算出される積の値に比例するように設定される。
尚、電位測定データの精度(SN比)の測定に関しては、測定器の測定精度の評価を行うべく、標準物体(例えば、電位が任意の一定値となる均質物体)を対象に、複数回、測定電位のレンジ内の値を持つ電位分布の測定を行い、その測定電位分布データの平均値の2乗及びその測定電位分布データの分散値の比からSNパワー比を評価する。あるいは、測定器及び測定系を含めた測定精度の評価を行うべく、真の測定対象を測定する際の測定系と同一の測定系において、又は、その測定系を実現して、同様に、計測対象物そのものを対象に、SN比を評価するようにしても良い。
有限差分近似を行った場合には離散座標(I,J,K)の電界ベクトルから、また、有限要素近似を行った場合には各要素の節点(I,J,K)の電界ベクトルデータから、関心領域全体の電界ベクトル分布E(x,y,z)のSN比が見積もられる。
また、正則化パラメータα、α、αは、(15)式〜(17)式において空間的に変化するものとして実現されることもあり、結果的に、(39)式及び(40)式において、誘電率分布又は導電率分布を表すベクトルL’の成分である各関心点の誘電率又は導電率にかかる局所行列が数値解析的に正定値となる様に、大きい値に調節される。但し、(39)式においてはα1iは常に零である。あるいは、正則化パラメータα1i、α2i、α3iの値は、各電界ベクトル分布の各関心点の電界ベクトルの大きさに依存する各測定電界ベクトルデータの精度(SN比)により、SN比が高い位置においては小さく、SN比が低い位置においては大きくなるように調節されるようにしても良い。例えば、各電界ベクトル分布の各位置において評価されたSNパワー比に反比例した値とする。尚、電界ベクトルのSN比は、測定された電位分布データの間隔や電界ベクトル方向(すなわち、電界ベクトル成分の大きさ)に依存するため、各電界ベクトル分布の各関心点において、電界ベクトルの成分のSN比はその成分ごとに異なるものとなり、α2iおよびα3iは、位置だけでなく、これらに依存して(15)式および(16)式中の偏微分の方向によって変化するものとして実現されることがある。すなわち、α2iおよびα3iの値は、各電界ベクトル分布の各電界ベクトルの成分のSN比に依存して、SN比が高い成分の方向には小さく、SN比が低い成分の方向には大きくなるように調節されることがある。例えば、各電界ベクトル分布の各位置において評価された成分のSNパワー比に反比例した値とする。その際には、α2iおよびα3iの値は、例えば、データ間隔が長い場合には小さく、データ間隔が短い場合には大きくなるように調節されることとなり(例えば、データ間隔の二乗に反比例した値)、これらの値は、各電界ベクトルのSN比およびその各成分のSN比を決定する各要因より評価されるその値に重要度の重み付けを行った上で算出される積の値に比例するように設定される。
尚、電位測定データの精度(SN比)の測定に関しては、測定器の測定精度の評価を行うべく、標準物体(例えば、電位が任意の一定値となる均質物体)を対象に、複数回、測定電位のレンジ内の値を持つ電位分布の測定を行い、各位置において、測定電位データの平均値の2乗及び測定電位データの分散値の比を評価し、SNパワー比の分布を評価する。あるいは、測定器及び測定系を含めた測定精度の評価を行うべく、真の測定対象を測定する際の測定系と同一の測定系において、又は、その測定系を実現して、同様に、計測対象物そのものを対象に、SN比の分布を評価するようにしても良い。
有限差分近似を行った場合には、各離散座標(I,J,K)の電界ベクトルのSN比が必要となり、また、有限要素近似を行った場合には、各要素の節点(I,J,K)の電界ベクトルデータのSN比又はこれより見積もられる要素の電界ベクトルのSN比が必要となる。
尚、(1)式、(2)式、(3)式の各々の両辺が、誘電率又は導電率k(x,y,z)、k(x,y)、k(x)がかけられた上で扱われる場合は、ガラ―キン法に基づいて、同様に、誘電率分布又は導電率分布、誘電率又は導電率の一階偏微分の分布、あるいは電界ベクトル分布(又は、電位分布、又は、電界ベクトルの発散分布)の基底関数、すなわち、
Figure 0005441292
を重み関数として有限要素化され、さらに、(25)式〜(27)式が正則化を行うための処罰項として使用されて、未知誘電率分布又は未知導電率分布L’に関する(40)式が導出される。ここで、(35)式の汎関数中のPiは、関心領域内の電界ベクトルEi(x,y,z)と誘電率又は導電率k(x,y,z)の勾配作用素との内積の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値と電界ベクトルEi(x,y,z)の発散の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値の和である。また、正則化パラメータは、例えば、電界ベクトルEi(x,y,z)の各成分とその成分と同一方向の誘電率又は導電率k(x,y,z)にかかる1階偏微分作用素との積の精度(SN比)と電界ベクトルEi(x,y,z)の同一成分の同一方向の1階偏微分の精度(SN比)で決まるSNパワー比に反比例した値とされるか、若しくは、電界ベクトルEi(x,y,z)と誘電率又は導電率k(x,y,z)にかかる1階偏微分作用素との内積の各空間I,J,K方向のΔx、Δy、Δz間の変化量データの精度(SN比)と電界ベクトルEi(x,y,z)の発散の各空間I,J,K方向のΔx、Δy、Δz間の変化量データの精度(SN比)で決まるSNパワー比に反比例した値とされることがある。
3次元関心領域は、複数の2次元又は1次元関心領域から、又、2次元関心領域は複数の1次元関心領域から成ることがあり、各々の場合、適宜、低次元関心領域にて前記の通り未知誘電率分布又は未知導電率分布に関する代数方程式を導出し、最小二乗法に基づいて誘電率分布又は導電率分布を決定する際には正則化を高次元関心領域又は各低次元関心領域において行うことがある。
次に、第3の誘電率又は導電率推定方法として、両者を同時に推定する方法の基本原理について説明する。
第1及び第2の誘電率又は導電率の推定法の基本原理によれば、関心領域内にて測定された電位場データVi(i(=1〜M)は測定された独立した電位場Viを指し、Mは測定された独立した電位場の数(1以上)である。)や電界ベクトル分布データEi及び初期条件として参照領域内又は参照点w(m=1〜N)にて与えられる参照誘電率(分布)値又は参照導電率(分布)値、即ち(4)式を用いて、3次元、2次元、1次元関心領域内の誘電率分布又は導電率分布kを表す1階の空間偏微分方程式である(1)〜(3)式(∇(kEi)=0 但し、Ei=−∇Vi)に有限要素法(変分原理又はガラ−キン法)又は有限差分法及び正則化法を用いた所定の数値解法を施すことにより、未知誘電率分布又は未知導電率分布kを得る。
これに対し、第3の誘電率又は導電率推定法の基本原理によれば、電圧源又は電流源と参照領域等の位置・大きさ・状態・個数等が時間的に変化することがあり、3次元、2次元、1次元関心領域内の電位場の時間変化がある場合の誘電率分布又は導電率分布の推定法として、時間変化を伴なうことのある誘電率分布、導電率分布、誘電率と導電率の比の分布を計測対象とする。
(I)第1及び第2の基本原理に基づいて関心領域内にて測定される電位(電界ベクトル)分布の時系列、例えば、3次元関心領域を対象とする場合には、電位分布の時系列データVi(x,y,z,t)と電位の時間方向の1階の偏微分の分布の時系列データdVi(x,y,z,t)/dt(又は、電界ベクトル分布の時系列データEi(x,y,z,t)、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分の分布の時系列データdEi(x,y,z,t)/dt)を用いて、次の1階の空間偏微分方程式
Figure 0005441292
但し、Ei(x,y,z,t)=−∇Vi(x,y,z,t)
また、時系列i及び時間tに依存しうる誘電率εiに関する次の初期条件
εi(x,y,z,t)=ε’i(x,y,z,t) …(42)
且つ、
(x,y,z)∈wmz(t)(mε(t)=1〜Nε(t))
及び時系列i及び時間tに依存しうる導電率σiに関する次の初期条件
σi(x,y,z,t)=σ’i(x,y,z,t) …(43)
且つ、
(x,y,z)∈wmσ(t)(mσ(t)=1〜Nσ(t))
が扱われることがある。ここで、tは、電位(電界ベクトル)分布データの取得を開始してからの時間を表し、i(=1〜M)は、測定された独立した電位場(分布)の時系列Vi(x,y,z,t)[電界ベクトル分布の時系列Ei(x,,y,z,t)] を表し、Mは、測定された独立した電位場の時系列の数(1以上)を表す。また、εiは、誘電率分布の時系列εi(x,y,z,t)、又は、誘電率分布εi(x,y,z)若しくはε(x,y,z)を表し、σiは、導電率分布の時系列σi(x,y,z,t) 、又は、導電率分布σi(x,y,z) 若しくはσ(x,y,z) を表す。
(41)式中の、関心領域内の、誘電率分布の時系列のεi(x,y,z,t)、誘電率分布のεi(x,y,z) 又はε(x,y,z) 、導電率分布の時系列σi(x,y,z,t)、導電率分布のσi(x,y,z) 又はσ(x,y,z)は、測定値、又は、典型値として与えられるか、あるいは、計測対象とされる。尚、(41)式の左辺の電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分dEi(x,y,z,t)/dtは、近似的に零とされることがある。
また、関心領域内において誘電率分布の時系列εi(x,y,z,t)、又は、誘電率分布εi(x,y,z) 若しくはε(x,y,z)が、未知ではあるが、空間的に一定であると想定される場合には、(41)式の代わりに、関心領域内の、導電率分布の時系列σi(x,y,z,t)又は導電率分布のσi(x,y,z)又はσ(x,y,z)とこれらの誘電率との比h1、即ち、σ/ε(導電率と誘電率の比の分布の時系列h1i(x,y,z,t)、又は、導電率と誘電率の比の分布h1i(x,y,z) 若しくはh1(x,y,z))を変数とする次の1階の空間偏微分方程式:
Figure 0005441292
及び(42)式及び(43)式の代わりに時系列i及び時間tに依存しうる次の初期条件(時系列i及び時間tに対して一定であると想定される場合もある):
hli(x,y,z,t)=h’li(x,y,z,t) …(45)
且つ、
(x,y,z)∈wmh1(t)(mh1(t)=1〜Nh1(t))
が扱われることがある。尚、(44)式の左辺の電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分dEi(x,y,z,t)/dtは、近似的に零とされることがある。
また、関心領域内において導電率分布の時系列σi(x,y,z,t)、又は、導電率分布σi(x,y,z) 若しくはσ(x,y,z)が、未知ではあるが、空間的に一定であると想定される場合、(41)式の代わりに、関心領域内の、誘電率分布の時系列εi(x,y,z,t)又は誘電率分布のεi(x,y,z)又は誘電率分布のεi(x,y,z)とこれらの導電率との比h2、即ち、ε/σ(誘電率と導電率の比の分布の時系列h2i(x,y,z,t)、又は、誘電率と導電率の比の分布h2i(x,y,z) 若しくはh2(x,y,z) )を変数とする次の1階の空間偏微分方程式:
Figure 0005441292
及び、(42)及び(43)式の代わりに時系列i及び時間tに依存しうる次の初期条件(時系列iび時間tに対して一定であると想定される場合もある):
h2i(x,y,z,t)=h’2i(x,y,z,t) …(47)
且つ、
(x,y,z)∈wmh2(t)(mh2(t)=1〜Nh2(t))
が扱われることがある。尚、(46)式の左辺の電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分dEi(x,y,z,t)/dtは、近似的に零とされることがある。
2次元、1次元関心領域を対象とする場合も同様である。
従って、以下の各物性パラメータを未知とする連続した有限領域が3次元、2次元、又は、1次元関心領域を構成することとなり(以下、この連続した有限領域を構成領域と称する)、少なくとも1つの3次元、2次元、又は、1次元の構成領域内の、導電率分布の、Lij(3次元構成領域の場合はσi(x,y,z,t)、2次元構成領域の場合はσi(x,y,t)、1次元構成領域の場合はσi(x,t))、及び、Li(3次元構成領域の場合はσi(x,y,z)、2次元構成領域の場合はσi(x,y)、1次元構成領域の場合はσi(x))、及び、L(3次元構成領域の場合はσ(x,y,z)、2次元構成領域の場合はσ(x,y)、1次元構成領域の場合はσ(x))、及び、誘電率分布の、Rij(3次元構成領域の場合はεi(x,y,z,t)、2次元構成領域の場合はεi(x,y,t)、1次元構成領域の場合はεi(x,t))、及び、Ri(3次元構成領域の場合はεi(x,y,z)、2次元構成領域の場合はεi(x,y)、1次元構成領域の場合はεi(x))、及び、R(3次元構成領域の場合はε(x,y,z)、2次元構成領域の場合はε(x,y)、1次元構成領域の場合は得ε(x))、及び、導電率と誘電率の比の分布の、H1ij (3次元構成領域の場合はh1i(x,y,z,t)、2次元構成領域の場合はh1i(x,y,t)、1次元構成領域の場合はh1i(x,t))、及び、H1i(3次元構成領域の場合はh1i(x,y,z)、2次元構成領域の場合はh1i(x,y)、1次元構成領域の場合はh1i(x))、及び、H1(3次元構成領域の場合はh1(x,y,z)、2次元構成領域の場合はh1(x,y)、1次元構成領域の場合はh1(x))、及び、誘電率と導電率の比の分布の、H2ij(3次元構成領域の場合はh2i(x,y,z,t)、2次元構成領域の場合はh2i(x,y,t)、1次元構成領域の場合はh2i(x,t))、及び、H2i (3次元構成領域の場合はh2i(x,y,z)、2次元構成領域の場合はh2i(x,y)、1次元構成領域の場合はh2i(x))、及び、H2(3次元構成領域の場合はh2(x,y,z)、2次元構成領域の場合はh2(x,y)、1次元構成領域の場合はh2(x))の内の少なくともいずれか1つが未知分布として計測対象となる。従って、設定される構成領域は、互いに同一位置の領域を含むことがあり、構成領域が1つの場合はその構成領域は関心領域そのものである。
以下、時系列データのサンプリング間隔をΔtとして離散時間座標jをj 〜 t/Δt (j = 0〜n)、離散空間座標系(I,J,K,i,j) を (I,J,K,i,j) 〜 (x/Δx, y/Δy, z/Δz, i, t/Δt))と近似する。
従って、3次元関心領域(離散座標系(I,J,K,i,j) 〜 (x/Δx, y/Δy, z/Δz, i, t/Δt))を対象として、(41)式及び(42)式及び(43)式が扱われる場合には、3次元誘電率分布の時系列εi(x,y,z,t) 及び3次元誘電率分布のεi(x,y,z) 又はε(x,y,z) は、有限要素近似又は有限差分近似され、有限要素近似される場合は、3次元節点誘電率の時系列εi(I,J,K,j)、3次元節点誘電率εi(I,J,K)、ε(I,J,K)、及び、3次元基底関数φ3ε(I,J,K,x,y,z)、又は、空間座標及び時間を変数とする4次元基底関数φ4ε(I,J,K,j,x,y,z,t) を用いて、各々、εi(x,y,z,t) 〜 ΣI,J,Kφ3ε(I,J,K,x,y,z)εi(I,J,K,j)又はεi(x,y,z,t) 〜 ΣI,J,K,jφ4ε(I,J,K,j,x,y,z,t)εi(I,J,K,j)、εi(x,y,z) 〜 ΣI,J,Kφ3ε(I,J,K,x,y,z)εi(I,J,K)、ε(x,y,z) 〜 ΣI,J,Kφ3ε(I,J,K,x,y,z)ε(I,J,K)と内挿され、有限差分近似される場合は、3次元節点誘電率の時系列εi(I,J,K,j)、3次元節点誘電率εi(I,J,K)、ε(I,J,K)により、各々、εi(x,y,z,t) 〜 εi(I,J,K,j)、εi(x,y,z) 〜 εi(I,J,K)、ε(x,y,z) 〜 ε(I,J,K)と近似される。ここで、3次元基底関数φ3ε(I,J,K,x,y,z)及び4次元基底関数φ4ε(I,J,K,j,x,y,z,t)の微分可能性については、各々、x,y,zに関しては前記の3次元基底関数φ3k(I,J,K,x,,y,z)と同様に1回以上偏微分可能である必要があるが、実際には、tと共に、必要となる微分処理が少なくとも可能であれば十分である。さらに、使用される3次元基底関数φ3ε(I,J,K,x,y,z)又は4次元基底関数φ4ε(I,J,K,j,x,y,z,t)は、参照誘電率(分布)εi’(I,J,K,j)、εi’(I,J,K)、ε’(I,J,K)を表現できるものである必要がある。また、3次元導電率分布の時系列σi(x,y,z,t) 及び3次元導電率分布のσi(x,y,z) 又はσ(x,y,z) は、有限要素近似又は有限差分近似され、有限要素近似される場合は、3次元節点導電率の時系列σi(I,J,K,j)、3次元節点導電率σi(I,J,K)、σ(I,J,K)、及び、前記3次元基底関数φ3σ(I,J,K,x,y,z)、又は、空間座標及び時間を変数とする4次元基底関数φ4σ(I,J,K,j,x,y,z,t) を用いて、各々、σi(x,y,z,t) 〜 ΣI,J,Kφ3σ(I,J,K,x,y,z)σi(I,J,K,j)又はσi(x,y,z,t) 〜 ΣI,J,K,jφ4σ(I,J,K,j,x,y,z,t)σi(I,J,K,j)、σi(x,y,z) 〜 ΣI,J,Kφ3σ(I,J,K,x,y,z)σi(I,J,K)、σ(x,y,z) 〜 ΣI,J,Kφ3σ(I,J,K,x,y,z)σ(I,J,K)と内挿され、有限差分近似される場合は、3次元節点導電率の時系列σi(I,J,K,j)、3次元節点導電率σi(I,J,K)、σ(I,J,K)により、各々、σi(x,y,z,t) 〜 σi(I,J,K,j)、σi(x,y,z) 〜 σi(I,J,K)、σ(x,y,z) 〜 σ(I,J,K)と近似される。ここで、3次元基底関数φ3σ(I,J,K,x,y,z)及び4次元基底関数φ4σ(I,J,K,j,x,y,z,t)の微分可能性については、各々、x,y,zに関しては前記の3次元基底関数φ3σ(I,J,K,x,,y,z)と同様に1回以上偏微分可能である必要があるが、実際には、tと共に、必要となる微分処理が少なくとも可能であれば十分である。さらに、使用される3次元基底関数φ3σ(I,J,K,x,y,z)又は4次元基底関数φ4σ(I,J,K,j,x,y,z,t)は、参照導電率(分布)σi’(I,J,K,j)、σi’(I,J,K)、σ’(I,J,K)を表現できるものである必要がある。
また、3次元関心領域を対象として、(44)式及び(45)式が扱われる場合には、導電率と誘電率の比の3次元分布の時系列h1i(x,y,z,t)又は導電率と誘電率の比の3次元分布のh1i(x,y,z)又はh1(x,y,z)は、有限要素近似又は有限差分近似され、有限要素近似される場合は、導電率と誘電率の比の3次元節点分布の時系列h1i(I,J,K,j)、導電率と誘電率の比の3次元節点分布h1i(I,J,K)、h1(I,J,K)、及び、前記3次元基底関数φ3h(I,J,K,x,y,z)又は空間座標及び時間を変数とする4次元基底関数φ4h(I,J,K,j,x,y,z,t) を用いて、各々、h1i(x,y,z,t) 〜 ΣI,J,Kφ3h(I,J,K,x,y,z)h1i(I,J,K,j)又はh1i(x,y,z,t) 〜 ΣI,J,K,jφ4h(I,J,K,j,x,y,z)h1i(I,J,K,j)、h1i(x,y,z) 〜 ΣI,J,Kφ3h(I,J,K,x,y,z)h1i(I,J,K)、h1(x,y,z) 〜 ΣI,J,Kφ3h(I,J,K,x,y,z)h1(I,J,K)と内挿され、有限差分近似される場合は、導電率と誘電率の比の3次元節点分布の時系列h1i(I,J,K,j)、導電率と誘電率の比の3次元節点分布h1i(I,J,K,j)、h1(I,J,K,j)により、各々、h1i(x,y,z,t) 〜 h1i(I,J,K,j)、h1i(x,y,z) 〜 h1i(I,J,K)、h1(x,y,z) 〜 h1(I,J,K)と近似される。ここで、3次元基底関数φ3h(I,J,K,x,y,z)及び4次元基底関数φ4h(I,J,K,j,x,y,z,t)の微分可能性については、各々、x,y,zに関しては前記の3次元基底関数φ3kと同様に1回以上偏微分可能である必要があるが、実際には、tと共に、必要となる微分処理が少なくとも可能であれば十分である。また、使用される3次元基底関数φ3h(I,J,K,x,y,z)又は4次元基底関数φ4h(I,J,K,j,x,y,z,t)は、導電率と誘電率の比の参照値(分布)h1i’(I,J,K,j)、h1i’(I,J,K)、h1’(I,J,K)を表現できるものである必要がある。
また、3次元関心領域を対象として、(46)式及び(47)式が扱われる場合には、誘電率と導電率の比の3次元分布の時系列h2i(x,y,z,t)又は誘電率と導電率の比の3次元分布のh2i(x,y,z)又はh2(x,y,z)は、有限要素近似又は有限差分近似され、有限要素近似される場合は、誘電率と導電率の比の3次元節点分布の時系列h2i(I,J,K,j)、誘電率と導電率の比の3次元節点分布h2i(I,J,K)、h2(I,J,K)、及び、前記3次元基底関数φ3h(I,J,K,x,y,z)又は空間座標及び時間を変数とする4次元基底関数φ4h(I,J,K,j,x,y,z,t) を用いて、各々、h2i(x,y,z,t) 〜 ΣI,J,Kφ3h(I,J,K,x,y,z)h2i(I,J,K,j)又はh2i(x,y,z,t) 〜 ΣI,J,K,jφ4h(I,J,K,j,x,y,z,t)h2i(I,J,K,j)、h2i(x,y,z) 〜 ΣI,J,Kφ3h(I,J,K,x,y,z)h2i(I,J,K)、h2(x,y,z) 〜 ΣI,J,Kφ3h(I,J,K,x,y,z)h2(I,J,K)と内挿され、有限差分近似される場合は、誘電率と導電率の比の3次元節点分布の時系列h2i(I,J,K,j)、誘電率と導電率の比の3次元節点分布h2i(I,J,K,j)、h2(I,J,K,j)により、各々、h2i(x,y,z,t) 〜 h2i(I,J,K,j)、h2i(x,y,z) 〜 h2i(I,J,K)、h2(x,y,z) 〜 h2(I,J,K)と近似される。ここで、3次元基底関数φ3h(I,J,K,x,y,z)及び4次元基底関数φ4h(I,J,K,j,x,y,z,t)の微分可能性については、各々、x,y,zに関しては前記の3次元基底関数φ3kと同様に1回以上偏微分可能である必要があるが、実際には、tと共に、必要となる微分処理が少なくとも可能であれば十分である。また、使用される3次元基底関数φ3h(I,J,K,x,y,z)又は4次元基底関数φ4h(I,J,K,j,x,y,z,t)は、誘電率と導電率の比の参照値(分布)h2i’(I,J,K,j)、h2i’(I,J,K)、h2’(I,J,K)を表現できるものである必要がある。
次に、3次元電位分布の時系列Vi(x,y,z,t)と3次元電界ベクトルの時系列Ei(x,y,z,t)[= [Eix(x,y,z,t), Eiy(x,y,z,t), Eiz(x,y,z,t)]T](i(=1〜M)は測定された独立した3次元電位場を指し、Mはその電位場の時系列の数(1以上)である。)の時間方向の1階の偏微分dVi(x,y,z,t)/dtとdEi(x,y,z,t)/dt、及び、これらの空間偏微分が有限要素近似(変分原理又はガラ−キン法)される場合(有限要素の節点数は省略。以下、同様。)には、3次元電位分布の時系列Vi(x,y,z,t)と3次元電界ベクトル分布の時系列Ei(x,y,z,t)とは、次の(a)〜(c)のいずれかのように評価される。
(a)測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)及び空間座標を変数とする前記3次元基底関数φ3V(I,J,K,x,y,z)を用いて、Vi(x,y,z,t) 〜 ΣI,J,Kφ3V(I,J,K,x,y,z)Vi(I,J,K,j)と内挿されることにより評価される。また、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)及び空間座標を変数とする前記3次元基底関数φ3E(I,J,K,x,y,z)を用いて、Ei(x,y,z,t) 〜[ΣI,J,Kφ3E(I,J,K,x,y,z)Eix(I,J,K,j), ΣI,J,Kφ3E(I,J,K,x,y,z)Eiy(I,J,K,j), ΣI,J,Kφ3E(I,J,K,x,y,z)Eiz(I,J,K,j)]Tと内挿されることにより評価される。
(b)測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)と空間座標及び時間を変数とする4次元基底関数φ4V(I,J,K,j,x,y,z,t)を用いて、Vi(x,y,z,t) 〜 ΣI,J,K,jφ4V(I,J,K,j,x,y,z,t)Vi(I,J,K,j)と内挿されることにより評価される。ここで、4次元基底関数φ4V(I,J,K,j,x,y,z,t)は、tに関しては1回以上偏微分可能である必要があり、x,y,zに関しては2回以上偏微分可能である必要があるが、実際には、必要となる微分処理を少なくとも可能とするものであれば十分である。また、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)と空間座標及び時間を変数とする4次元基底関数φ4E(I,J,K,j,x,y,z,t)を用いて、Ei(x,y,z,t) 〜 ΣI,J,K,jφ4E(I,J,K,j,x,y,z,t)Ei(I,J,K,j)と内挿されることにより評価される。ここで、4次元基底関数φ4E(I,J,K,j,x,y,z,t)は、x,y,z,tに関して1回以上偏微分可能である必要があるが、実際には、必要となる微分処理を少なくとも可能とするものであれば十分である。
(c)測定された3次元電位分布の時系列Vi(x,y,z,t)の時間方向の1階の偏微分dVi(x,y,z,t)/dt及び空間偏微分が有限差分近似される場合には、3次元電位分布の時系列Vi(x,y,z,t)は、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)を用いて、Vi(x,y,z,t) 〜 Vi(I,J,K,j)と近似される。また、測定された3次元電界ベクトル分布の時系列Ei(x,y,z,t)の時間方向の1階の偏微分dEi(x,y,z,t)/dt及び空間偏微分が有限差分近似される場合には、3次元電界ベクトル分布の時系列Ei(x,y,z,t)は、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)を用いて、Ei(x,y,z,t) 〜 Ei(I,J,K,j)と近似される。
これより、3次元電界ベクトル分布の時系列Ei(x,y,z,t)(= [Eix(x,y,z,t), Eiy(x,y,z,t), Eiz(x,y,z,t)])は、次のように評価される。
(a)の場合には、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタをかけて得られる3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)(= [Eix(I,J,K,j), Eiy(I,J,K,j), Eiz(I,J,K,j)])か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるEi(I,J,K,j)のいずれかが、前記3次元基底関数φ3V(I,J,K,x,y,z)を用いて、Ei(x,y,z,t) 〜 [ΣI,J,Kφ3V(I,J,K,x,y,z)Eix(I,J,K,j), ΣI,J,Kφ3V(I,J,K,x,y,z)Eiy(I,J,K,j), ΣI,J,Kφ3V(I,J,K,x,y,z)Eiz(I,J,K,j)]と内挿されるか、又は、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけたものが、前記3次元基底関数φ3V(I,J,K,x,y,z)に各x,y,z方向の1階の偏微分を施したものを用いて内挿されるか、又は、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)に、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけたものが、3次元基底関数φ3E(I,J,K,x,y,z)を用いて内挿される。
(b)の場合には、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタをかけて得られる3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)(= [Eix(I,J,K,j), Eiy(I,J,K,j), Eiz(I,J,K,j)])か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるEi(I,J,K,j)のいずれかが、前記4次元基底関数φ4V(I,J,K,j,x,y,z,t)を用いて、Ei(x,y,z,t) 〜 [ΣI,J,K,jφ4V(I,J,K,j,x,y,z,t)Eix(I,J,K,j), ΣI,J,K,jφ4V(I,J,K,j,x,y,z,t)Eiy(I,J,K,j), ΣI,J,K,jφ4V(I,J,K,j,x,y,z,t)Eiz(I,J,K,j)]と内挿されるか、又は、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけたものが、前記4次元基底関数φ4V(I,J,K,j,x,y,z,t)に各x,y,z方向の1階の偏微分を施したものを用いて内挿されるか、又は、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)に、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけたものが、4次元基底関数φ4E(I,J,K,j,x,y,z,t)を用いて内挿される。
(c)の場合には、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタをかけて得られる3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるEi(I,J,K,j)か、又は、測定された3次元節点電界分布の時系列Ei(I,J,K,j)に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタがかけられたもののいずれかにより近似される。
さらに、3次元電界ベクトルEi(x,y,z,t)(= [Eix(x,y,z,t), Eiy(x,y,z,t), Eiz(x,y,z,t)])の発散分布の時系列∇・Ei(x,y,z,t)(= dEix(x,y,z,t)/dx+dEiy(x,y,z,t)/dy+dEiz(x,y,z,t)/dz)は、次のように評価される。
(a)の場合には、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタを2回かけて得られる3次元電界ベクトルの発散の節点分布の時系列∇・Ei(I,J,K,j)(= dEix/dx(I,J,K,j)+dEiy/dy(I,J,K,j)+dEiz/dz(I,J,K,j))か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタを2回かけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)のいずれかが、前記3次元基底関数φ3V(I,J,K,x,y,z)を用いて、∇・Ei(x,y,z,t) 〜ΣI,J,Kφ3V(I,J,K,x,y,z)(dEix/dx(I,J,K,j)+dEiy/dy(I,J,K,j)+dEiz/dz(I,J,K,j))と内挿されるか、又は、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけたものが、前記3次元基底関数φ3V(I,J,K,x,y,z)に各x,y,z方向の2階の偏微分を施したものを用いて内挿されるか、又は、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタをかけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)のいずれかが、前記3次元基底関数φ3E(I,J,K,x,y,z)を用いて内挿されるか、又は、測定された3次元節点電界ベクトルEi(I,J,K,j)に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけたものが、前記3次元基底関数φ3E(I,J,K,x,y,z)に各x,y,z方向の1階の偏微分を施したものを用いて内挿される。
(b)の場合には、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタを2回かけて得られる3次元電界ベクトルの発散の節点分布の時系列∇・Ei(I,J,K,j)(= dEix/dx(I,J,K,j)+dEiy/dy(I,J,K,j)+dEiz/dz(I,J,K,j))か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタを2回かけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)のいずれかが、前記4次元基底関数φ4V(I,J,K,j,x,y,z,t)を用いて、∇・Ei(x,y,z,t) 〜ΣI,J,K,jφ4V(I,J,K,j,x,y,z,t)(dEix/dx(I,J,K,j)+dEiy/dy(I,J,K,j)+dEiz/dz(I,J,K,j))と内挿されるか、又、測定された3次元節点電位分布時系列Vi(I,J,K,j)に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけたものが、前記4次元基底関数φ4V(I,J,K,j,x,y,z,t)に各x,y,z方向の2階の偏微分を施したものを用いて内挿されるか、又は、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタをかけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)のいずれかが、前記4次元基底関数φ4E(I,J,K,j,x,y,z,t)を用いて内挿されるか、又は、測定された3次元節点電界ベクトルEi(I,J,K,j)に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけたものが、前記4次元基底関数φ4E(I,J,K,j,x,y,z,t)に各x,y,z方向の1階の偏微分を施したものを用いて内挿される。
(c)の場合には、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタを2回かけて得られる3次元電界ベクトルの発散の節点分布の時系列∇・Ei(I,J,K,j)か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタを2回かけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)か、又は、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタをかけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)のいずれかにより近似される。
さらに、3次元電界ベクトルEi(x,y,z,t)の時間方向の1階の偏微分の3次元分布の時系列dEi(x,y,z,t)/dt(= [dEix(x,y,z,t)/dt, dEiy(x,y,z,t)/dt, dEiz(x,y,z,t)/dt])は、次のように評価される。
(a)の場合には、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタをかけて得られる3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)(= [Eix(I,J,K,j), Eiy(I,J,K,j), Eiz(I,J,K,j)])か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるEi(I,J,K,j)のいずれかに、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で時間j方向に微分フィルタをかけて得られる3次元電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分の節点分布の時系列dEi/dt(I,J,K,j)か、又は、時間j方向に時間j方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるdEi/dt(I,J,K,j)のいずれかが、前記3次元基底関数φ3V(I,J,K,x,y,z)を用いて内挿されるか、又は、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で時間j方向に微分フィルタをかけて得られる電位の時間方向の1階の偏微分の節点分布の時系列dVi/dt(I,J,K,j)か、又は、時間j方向に時間j方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるdVi/dt(I,J,K,j)のいずれかに、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタをかけて得られるdEi/dt(I,J,K,j)か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるdEi/dt(I,J,K,j)のいずれかが、前記3次元基底関数φ3V(I,J,K,x,y,z)を用いて内挿されるか、又は、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で時間j方向に微分フィルタをかけて得られるdVi/dt(I,J,K,j)か、又は、時間j方向に時間j方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるdVi/dt(I,J,K,j)のいずれかが、前記3次元基底関数φ3V(I,J,K,x,y,z)に各x,y,z方向の1階の偏微分を施したものを用いて内挿されるか、又は、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)に、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で時間j方向に微分フィルタをかけて得られるdEi/dt(I,J,K,j)か、又は、時間j方向に時間j方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるdEi/dt(I,J,K,j)のいずれかが、前記3次元基底関数φ3E(I,J,K,x,y,z)を用いて内挿される。
(b)の場合には、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタをかけて得られる3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)(= [Eix(I,J,K,j), Eiy(I,J,K,j), Eiz(I,J,K,j)])か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるEi(I,J,K,j)のいずれかが、前記4次元基底関数φ4V(I,J,K,x,y,z)に時間t方向の1階の偏微分を施したものを用いて内挿されるか、又は、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけたものが、前記4次元基底関数φ4V(I,J,K,j,x,y,z,t)に各x,y,z方向の1階の偏微分及び時間t方向の1階の偏微分を施したものを用いて内挿されるか、又は、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)に、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけたものが、前記4次元基底関数φ4E(I,J,K,j,x,y,z,t)に時間t方向の1階の偏微分を施したものを用いて内挿される。
(c)の場合には、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタをかけて得られる3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)(= [Eix(I,J,K,j), Eiy(I,J,K,j), Eiz(I,J,K,j)])か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるEi(I,J,K,j)のいずれかに、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で時間j方向に微分フィルタをかけて得られる3次元電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分の節点分布の時系列dEi/dt(I,J,K,j)か、又は、時間j方向に時間j方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるdEi/dt(I,J,K,j)か、又は、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で時間j方向に微分フィルタをかけて得られる電位の時間方向の1階の偏微分の節点分布の時系列dVi/dt(I,J,K,j)か、又は、時間j方向に時間j方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるdVi/dt(I,J,K,j)のいずれかに、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタをかけて得られるdEi/dt(I,J,K,j)か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるdEi/dt(I,J,K,j)か、又は、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)に、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で時間j方向に微分フィルタをかけて得られるdEi/dt(I,J,K,j)か、又は、時間j方向に時間j方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるdEi/dt(I,J,K,j)のいずれかにより近似される。
さらに、3次元電界ベクトルの発散∇・Ei(x,y,z,t)の時間方向の1階の偏微分の3次元分布の時系列∇・dEi(x,y,z,t)/dt(= d2Eix(x,y,z,t)/dtdx+d2Eiy(x,y,z,t)/dtdy+d2Eiz(x,y,z,t)/dtdz)は、次のように評価される。
(a)の場合には、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタを2回かけて得られる3次元電界ベクトルの発散の節点分布の時系列∇・Ei(I,J,K,j)(= [dEix/dx(I,J,K,j), dEiy/dy(I,J,K,j), dEiz/dz(I,J,K,j)])か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタを2回かけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)のいずれかに、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で時間j方向に微分フィルタをかけて得られる3次元電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分の節点分布の時系列d(∇・Ei)/dt(I,J,K,j)か、又は、時間j方向に時間j方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるd(∇・Ei)/dt(I,J,K,j)のいずれかが、前記3次元基底関数φ3V(I,J,K,x,y,z)を用いて内挿されるか、
又は、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で時間j方向に微分フィルタをかけて得られる電位の時間方向の1階の偏微分の節点分布の時系列dVi/dt(I,J,K,j)か、又は、時間j方向に時間j方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるdVi/dt(I,J,K,j)のいずれかに、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタを2回かけて得られる3次元電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分の節点分布の時系列∇・(dEi/dt)(I,J,K,j)か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタを2回かけて得られる∇・(dEi/dt)(I,J,K,j)のいずれかが、前記3次元基底関数φ3V(I,J,K,x,y,z)を用いて内挿されるか、又は、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で時間j方向に微分フィルタをかけて得られるdVi/dt(I,J,K,j)か、又は、時間j方向に時間j方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるdVi/dt(I,J,K,j)のいずれかが、前記3次元基底関数φ3V(I,J,K,x,y,z)に各x,y,z方向の2階の偏微分を施したものを用いて内挿されるか、又は、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)に、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタをかけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)のいずれかに、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で時間j方向に微分フィルタをかけて得られるd(∇・Ei)/dt(I,J,K,j)か、又は、時間j方向に時間j方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるd(∇・Ei)/dt(I,J,K,j)のいずれかが、前記3次元基底関数φ3E(I,J,K,x,y,z)を用いて内挿されるか、又は、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)に、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で時間j方向に微分フィルタをかけて得られる3次元電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分の節点分布dEi/dt(I,J,K,j)か、又は、時間j方向に時間j方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるdEi/dt(I,J,K,j)のいずれかに、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタをかけて得られる∇・(dEi/dt)(I,J,K,j)か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られる∇・(dEi/dt)(I,J,K,j)のいずれかが、前記3次元基底関数φ3E(I,J,K,x,y,z)を用いて内挿されるか、
又は、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)に、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で時間j方向に微分フィルタをかけて得られるdEi/dt(I,J,K,j)か、又は、時間j方向に時間j方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるdEi/dt(I,J,K,j)のいずれかが、前記3次元基底関数φ3E(I,J,K,x,y,z)に各x,y,z方向の1階の偏微分を施したものを用いて内挿される。
(b)の場合には、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタを2回かけて得られる3次元電界ベクトルの発散の節点分布の時系列∇・Ei(I,J,K,j)(= [dEix/dx(I,J,K,j), dEiy/dy(I,J,K,j), dEiz/dz(I,J,K,j)])か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタを2回かけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)のいずれかが、前記4次元基底関数φ4V(I,J,K,x,y,z)に時間t方向の1階の偏微分を施したものを用いて内挿されるか、又は、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけたものが、前記4次元基底関数φ4V(I,J,K,j,x,y,z,t)に各x,y,z方向の2階の偏微分及び時間t方向の1階の偏微分を施したものを用いて内挿されるか、又は、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)に、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタをかけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)のいずれかが、前記4次元基底関数φ4V(I,J,K,x,y,z)に時間t方向の1階の偏微分を施したものを用いて内挿されるか、又は、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)に、時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけたものが、前記4次元基底関数φ4V(I,J,K,j,x,y,z,t)に各x,y,z方向の1階の偏微分及び時間t方向の1階の偏微分を施したものを用いて内挿される。
(c)の場合には、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタを2回かけて得られる3次元節点電界ベクトルの発散の節点分布の時系列∇・Ei(I,J,K,j)(= [dEix/dx(I,J,K,j), dEiy/dy(I,J,K,j), dEiz/dz(I,J,K,j)])か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタを2回かけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)のいずれかに、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で時間j方向に微分フィルタをかけて得られる3次元電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分の節点分布の時系列d(∇・Ei)/dt(I,J,K,j)か、又は、時間j方向に時間j方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるd(∇・Ei)/dt(I,J,K,j)か、又は、測定された3次元節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)に、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で時間j方向に微分フィルタをかけて得られる電位の時間方向の1階の偏微分の節点分布の時系列dVi/dt(I,J,K,j)か、又は、時間j方向に時間j方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるdVi/dt(I,J,K,j)のいずれかに、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタを2回かけて得られる∇・(dEi/dt)(I,J,K,j)か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタを2回かけて得られる∇・(dEi/dt)(I,J,K,j)か、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)に、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタをかけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られる∇・Ei(I,J,K,j)のいずれかに、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で時間j方向に微分フィルタをかけて得られる3次元電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分の節点分布の時系列d(∇・Ei)/dt(I,J,K,j)か、又は、時間j方向に時間j方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるd(∇・Ei)/dt(I,J,K,j)か、又は、測定された3次元節点電界ベクトル分布の時系列Ei(I,J,K,j)に、時間j方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で時間j方向に微分フィルタをかけて得られるdEi/dt(I,J,K,j)か、又は、時間j方向に時間j方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られるdEi/dt(I,J,K,j)のいずれかに、空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向に低域通過型フィルタをかけた上で各I,J,K方向に微分フィルタをかけて得られる∇・(dEi/dt)(I,J,K,j)か、又は、各I,J,K方向に空間I,J,K方向又は時空間I,J,K,j方向の帯域制限付きの微分フィルタをかけて得られる∇・(dEi/dt)(I,J,K,j)のいずれかにより近似される。
尚、2次元構成領域及び1次元構成領域を対象とする各々の場合、上記の各基底関数の空間座標系を2次元及び1次元にしたものが使用される。
第1の基本原理に従い、適宜、関心領域内の各構成領域においてその領域内の未知分布を表す(41)式、(44)式、(46)式の空間偏微分方程式のいずれかの少なくとも1つに変分原理に基づく有限要素近似又は離散近似を適用して(前記(a)又は(b))、関心領域内において導出された代数方程式を連立することにより、関心領域全体を対象とした未知節点ベクトルU’に関する連立方程式を導出する場合(関心領域を構成する構成領域は同一領域を含むことがあり、また、構成領域が1つの場合はその構成領域は関心領域そのものを表す。)、即ち、第1の基本原理に従い、測定対象物の3次元、2次元、1次元の関心領域内の構成領域において、1階の空間偏微分方程式である(41)式中に表される分布Q、即ち、導電率分布 Lij(3次元構成領域の場合はσi(x,y,z,t)、2次元構成領域の場合はσi(x,y,t)、1次元構成領域の場合はσi(x,t))又は Li(3次元構成領域の場合はσi(x,y,z)、2次元構成領域の場合はσi(x,y)、1次元構成領域の場合はσi(x))又は L(3次元構成領域の場合はσ(x,y,z)、2次元構成領域の場合はσ(x,y)、1次元構成領域の場合はσ(x))に関して変分原理に基づく有限要素近似又は離散近似を適用する場合((a)又は(b))は、時間tにおいて、
3次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
2次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
1次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
を汎関数Iij(Lij)又はIij(Li)又はIij(L)とする。
あるいは、第1の基本原理に従い、測定対象物の1次元の関心領域内の構成領域において、1階の空間偏微分方程式である(41)式中に表される分布Q、即ち、導電率 σi(x,t) 又は σi(x) 又は σ(x) の1階微分の1次元分布 dσi(x,t)/dx 又は dσi(x)/dx 又は dσ(x)/dx に変分原理に基づく有限要素近似又は離散近似を適用する場合((a)又は(b))は、時間tにおいて、
Figure 0005441292
を汎関数Iij(・)とする。
あるいは、第1の基本原理に従い、測定対象物の3次元、2次元、1次元の関心領域内の構成領域において、1階の空間偏微分方程式である(41)式中に表される分布Q、即ち、誘電率の分布 Rij(3次元構成領域の場合はεi(x,y,z,t)、2次元構成領域の場合はεi(x,y,t)、1次元構成領域の場合はεi(x,t))又は Ri(3次元構成領域の場合はεi(x,y,z)、2次元構成領域の場合はεi(x,y)、1次元構成領域の場合はεi(x))又は R(3次元構成領域の場合はε(x,y,z)、2次元構成領域の場合はε(x,y)、1次元構成領域の場合はε(x))に関して変分原理に基づく有限要素近似又は離散近似を適用する場合((a)又は(b))は、時間tにおいて、
3次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
2次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
1次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
を汎関数Iij(Rij)又はIij(Ri)又はIij(R)とする。
あるいは、第1の基本原理に従い、測定対象物の1次元の関心領域内の構成領域において、1階の空間偏微分方程式である(41)式中に表される分布Q、即ち、誘電率 εi(x,t) 又は εi(x) 又は ε(x) の1階微分の1次元分布 dεi(x,t)/dx 又は dεi(x)/dx 又は dε(x)/dx に変分原理に基づく有限要素近似又は離散近似を適用する場合((a)又は(b))は、時間tにおいて、
Figure 0005441292
を汎関数Iij(・)とする。
あるいは、第1の基本原理に従い、測定対象物の3次元、2次元、1次元の関心領域内の構成領域において、1階の空間偏微分方程式である(44)式中に表される分布Q、即ち、導電率と誘電率の比の分布 H1ij(3次元構成領域の場合はh1i(x,y,z,t)、2次元構成領域の場合はh1i(x,y,t)、1次元構成領域の場合はh1i(x,t))又は H1i(3次元構成領域の場合はh1i(x,y,z)、2次元構成領域の場合はh1i(x,y)、1次元構成領域の場合はh1i(x))又は H1(3次元構成領域の場合はh1(x,y,z)、2次元構成領域の場合はh1(x,y)、1次元構成領域の場合はh1(x))に関して変分原理に基づく有限要素近似又は離散近似を適用する場合((a)又は(b))は、時間tにおいて、
3次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
2次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
1次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
を汎関数Iij(H1ij)、Iij(H1i)、Iij(H1)とする。
あるいは、第1の基本原理に従い、測定対象物の3次元、2次元、1次元の関心領域内の構成領域において、1階の空間偏微分方程式である(44)式中に表される分布Q、即ち、導電率と誘電率の比 h1i(x,t) 又は h1i(x) 又は h1(x) の1階微分の1次元分布 dh1i(x,t)/dx 又は dh1i(x)/dx 又は dh1(x)/dx に関して変分原理に基づく有限要素近似又は離散近似を適用する場合((a)又は(b))は、時間tにおいて、
Figure 0005441292
を汎関数Iij(・)とする。
あるいは、第1の基本原理に従い、測定対象物の3次元、2次元、1次元の関心領域内の構成領域において、1階の空間偏微分方程式である(46)式中に表される分布Q、即ち、誘電率と導電率の比の分布H2ij (3次元構成領域の場合はh2i(x,y,z,t)、2次元構成領域の場合はh2i(x,y,t)、1次元構成領域の場合はh2i(x,t))又は H2i(3次元構成領域の場合はh2i(x,y,z)、2次元構成領域の場合はh2i(x,y)、1次元構成領域の場合はh2i(x))又は H2(3次元構成領域の場合はh2(x,y,z)、2次元構成領域の場合はh2(x,y)、1次元構成領域の場合はh2(x))に関して変分原理に基づく有限要素近似又は離散近似を適用する場合((a)又は(b))は、時間tにおいて、
3次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
2次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
1次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
を汎関数Iij(H2ij)、Iij(H2i)、Iij(H2)とする。
あるいは、第1の基本原理に従い、測定対象物の3次元、2次元、1次元の関心領域内の構成領域において、1階の空間偏微分方程式である(46)式中に表される分布Q、即ち、誘電率と導電率の比 h2i(x,t)、又は、h2i(x)、又は、h2(x) の1階微分の1次元分布 dh2i(x,t)/dx 又は dh2i(x)/dx 又は dh2(x)/dx に関して変分原理に基づく有限要素近似又は離散近似を適用する場合((a)又は(b))は、時間tにおいて、
Figure 0005441292
を汎関数Iij(・)とする。
3次元関心領域を対象とする場合には、適宜、3次元関心領域内の3次元、2次元、又は、1次元構成領域内の未知分布を表す(41)式、(44)式、(46)式の空間偏微分方程式のいずれかを用いて導出された分布Q(即ち、前記の、Lij、Li、L、導電率の1階偏微分の分布、Rij、Ri、R、誘電率の1階偏微分、H1ij、H1i、H1、導電率と誘電率の比の1階偏微分の分布、H2ij、H2i、H2、誘電率と導電率の比の1階偏微分の分布)に関する(48)式〜(63)式の汎関数Iij(Q)のいずれかの少なくとも1つが、前述の基底関数を使用して有限要素近似又は離散近似されることにより、節点分布Q‘’に関する汎関数Iij(Q‘’)として、次に示すいずれかとなる。ここで、使用される汎関数Iij(Q)が1つの場合には、構成領域は関心領域そのものである。
(1)3次元、2次元、又は、1次元構成領域内の節点導電率分布のσi(I,J,K,j)、σi(I,J,j)、又は、σi(I,j)から成るベクトルL‘’ijに関する汎関数Iij(L‘’ij)又は3次元、2次元、又は、1次元構成領域内の節点導電率分布σi(I,J,K)、σi(I,J)、又は、σi(I)から成るベクトルL‘’iに関する汎関数Iij(L‘’i)又は3次元、2次元、又は、1次元構成領域内の節点導電率分布σ(I,J,K)、σ(I,J)、又は、σ(I)から成るベクトルL‘’に関する汎関数Iij(L‘’)。
(2)3次元、2次元、又は、1次元構成領域内の節点誘電率分布εi(I,J,K,j)、εi(I,J,j)、εi(I,j)から成るベクトルR‘’ijに関する汎関数Iij(R‘’ij)又は3次元、2次元、又は、1次元構成領域内の節点誘電率分布εi(I,J,K)、εi(I,J)、εi(I)から成るベクトルR‘’iに関する汎関数Iij(R‘’i)又は3次元、2次元、又は、1次元構成領域内の節点誘電率分布ε(I,J,K)、ε(I,J)、又は、ε(I)から成るベクトルR‘’に関する汎関数Iij(R‘’)。
(3)3次元、2次元、又は、1次元構成領域内の導電率と誘電率の比の節点分布h1i(I,J,K,j)、h1i(I,J,j)、h1i(I,j)から成るベクトルH1‘’ijに関する汎関数Iij(H1‘’ij)又は3次元、2次元、又は、1次元構成領域内の導電率と誘電率の比の節点分布h1i(I,J,K)、h1i(I,J)、h1i(I)から成るベクトルH1‘’iに関する汎関数Iij(H1‘’i) 又は3次元、2次元、又は、1次元構成領域内の導電率と誘電率の比の節点分布h1(I,J,K)、h1(I,J)、h1(I)から成るベクトルH1‘’に関する汎関数Iij(H1‘’)。
(4)3次元、2次元、又は、1次元構成領域内の誘電率と導電率の比の節点分布h2i(I,J,K,j)、h2i(I,J,,j)、h2i(I,j)から成るベクトルH2‘’ijに関する汎関数Iij(H2‘’ij)又は3次元、2次元、又は、1次元構成領域内の誘電率と導電率の比の節点分布h2i(I,J,K)、h2i(I,J)、h2i(I)から成るベクトルH2‘’iに関する汎関数Iij(H2‘’i)又は3次元、2次元、又は、1次元構成領域内の誘電率と導電率の比の節点分布h2(I,J,K)、h2(I,J)、h2(I)から成るベクトルH2‘’に関する汎関数Iij(H2‘’)。
これらの各々が、節点分布Q‘’、即ち、L‘’ij、L‘’i、L‘’、R‘’ij、R‘’i、R‘’、H1‘’ij、H1‘’i、H1‘’、H2‘’ij、H2‘’i、又は、H2‘’に関して最小化されて得られる代数方程式に、関心領域内において与えられる全節点データ(低域通過型フィルタのかけられた電位分布データVi(I,J,K,j)、電位の時間方向の1階の偏微分分布データdVi/dt(I,J,K,j)、電界ベクトル分布データEi(I,J,K,j)、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分分布データdEi/dt(I,J,K,j)、電界ベクトルの発散の分布データ∇・Ei(I,J,K,j)、電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分分布データ∇・dEi/dt(I,J,K,j)、適宜、参照導電率(分布)のσ’i(I,J,K,j)、σ’i(I,J,K)、σ’(I,J,K)、参照誘電率(分布)のε’i(I,J,K,j)、ε’i(I,J,K)、ε’(I,J,K)、導電率と誘電率の比の参照値(分布)のh1’i(I,J,K,j)、h1’i(I,J,K)、h1’(I,J,K)、誘電率と導電率の比の参照値(分布)のh2’i(I,J,K,j)、h2’i(I,J,K)、h2’(I,J,K)が代入される。
これより、3次元関心領域を対象とする場合、3次元関心領域内にて設定された、3次元、2次元、1次元の各構成領域内の未知節点分布に関して導出される代数方程式を連立することにより、関心領域全体を対象とした各構成領域内の未知節点分布からなる未知節点ベクトルU’に関する次の代数方程式:
EijU’=eij …(64)
が得られる。尚、関心領域を構成する構成領域は、互いに同一領域を含むことがある。
但し、(41)式(即ち、3次元、2次元、又は、1次元構成領域を対象とした(48)式〜(55)式)を用いた際に導出された代数方程式である(64)式の未知節点ベクトルU’は、
関心領域が、導電率分布のσi(x,y,z,t)、σi(x,y,z)、σ(x,y,z)が未知である3次元構成領域を含む各々の場合において、未知節点導電率分布の L’ij [σi(I,J,K,j)]、L’i [σi(I,J,K)]、L’ [σ(I,J,K)]をベクトル成分に含み、
関心領域が、導電率分布のσi(x,y,t)、σi(x,y)、σ(x,y)が未知である2次元構成領域を含む各々の場合において、未知節点導電率分布の L’ij [σi(I,J,j)]、L’i [σi(I,J)]、L’ [σ(I,J)]をベクトル成分に含み、
関心領域が、導電率分布のσi(x,t)、σi(x)、σ(x)が未知である1次元構成領域を含む各々の場合において、未知節点導電率分布の L’ij [σi(I,j)]、L’i [σi(I)]、L’ [σ(I)]をベクトル成分に含み、
関心領域が、誘電率分布のεi(x,y,z,t)、εi(x,y,z)、ε(x,y,z)が未知である3次元構成領域を含む各々の場合において、未知節点誘電率分布の R’ij [εi(I,J,K,j)]、R’i [εi(I,J,K)]、R’ [ε(I,J,K)]をベクトル成分に含み、
関心領域が、誘電率分布のεi(x,y,t)、εi(x,y)、ε(x,y)が未知である2次元構成領域を含む各々の場合において、未知節点誘電率分布の R’ij [εi(I,J,j)]、R’i [εi(I,J)]、R’ [ε(I,J)]をベクトル成分に含み、
関心領域が、誘電率分布のεi(x,t)、εi(x)、ε(x)が未知である1次元構成領域を含む各々の場合において、未知節点誘電率分布の R’ij [εi(I,j)]、R’i [εi(I)]、R’ [ε(I)]をベクトル成分に含む。
あるいは、(44)式(即ち、3次元、2次元、又は1次元構成領域を対象とした(56)式〜(59)式)を用いた際に導出された代数方程式である(64)式の未知節点ベクトルU’は、
関心領域が3次元構成領域を含む場合は、導電率と誘電率の比の未知節点分布の H’1ij [h1i(I,J,K,j)]、H’1i [h1i(I,J,K)]、H’1 [h1(I,J,K)]をベクトル成分に含み、
関心領域が2次元構成領域を含む場合は、導電率と誘電率の比の未知節点分布の H’1ij [h1i(I,J,j)]、H’1i [h1i(I,J)]、H’1 [h1(I,J)]をベクトル成分に含み、
関心領域が1次元構成領域を含む場合は、導電率と誘電率の比の未知節点分布の H’1ij [h1i(I,j)]、H’1i [h1i(I)]、H’1 [h1(I)]をベクトル成分に含む。
あるいは、(46)式(即ち、3次元、2次元、又は、1次元構成領域を対象とした(60)式〜(63)式)を用いた際に導出された代数方程式である(64)式の未知節点ベクトルU’は、
関心領域が3次元構成領域を含む場合は、誘電率と導電率の比の未知節点分布のH2ij [h2i(I,J,K,j)]、H2ij [h1i(I,J,K)]、H2[h2(I,J,K)]をベクトル成分に含み、
関心領域が2次元構成領域を含む場合は、誘電率と導電率の比の未知節点分布のH1ij [h2i(I,J,j)]、H2ij [h2i(I,J)]、H1[h2(I,J)]をベクトル成分に含み、
関心領域が1次元構成領域を含む場合は、誘電率と導電率の比の未知節点分布のH2ij [h1i(I,j)]、H2ij [h1i(I)]、H2[h2(I)]をベクトル成分に含む。
2次元関心領域を対象とした場合には、2次元又は1次元構成領域を対象とした(49)式〜(51)式、(53)式〜(55)式、(57)式〜(59)式、(61)式〜(63)式の汎関数Iij(Q’’)のいずれかの少なくとも1つを節点分布Q’’(即ち、L‘’ij、L‘’i、L‘’、R‘’ij、R‘’i、R‘’、H1‘’ij、H1‘’i、H1‘’、H2‘’ij、H2‘’i、又は、H2‘’)に関して最小化することにより導出される代数方程式を連立することにより、又、1次元関心領域を対象とする場合には、1次元構成領域を対象とした(50)式、(51)式、(54)式、(55)式、(58)式、(59)式、(62)式、(63)式のいずれかを用いた少なくとも1つの汎関数Iij(Q’’)より導出される代数方程式を連立することにより、関心領域全体を対象とした未知節点ベクトルU’に関する代数方程式(64)式が同様に得られる。
また、第2の基本原理に従い、適宜、関心領域内の各構成領域においてその領域内の未知分布を表す(41)式、(44)式、(46)式の空間偏微分方程式のいずれかの少なくとも1つに有限差分近似を適用して(前記(c))、関心領域内において導出された代数方程式を連立することにより、前記の関心領域全体を対象とした未知節点ベクトルU’に関する代数方程式(64)式を導出する場合について、以下に説明する。ここで、関心領域を構成する構成領域は同一領域を含むことがあり、又、構成領域が1つの場合はその構成領域は関心領域そのものを表す。
第2の基本原理に従い、測定対象物の3次元、2次元、1次元の関心領域内の構成領域において、1階の空間偏微分方程式である(41)式にて表される分布Q、即ち、導電率分布のLij又はLi又はL、導電率の1階の偏微分の分布、誘電率分布のRij又はRi又はR、誘電率の1階の偏微分の分布、電位の時間方向の1階の偏微分分布のsij(3次元構成領域の場合はdVi(x,y,z,t)/dt、又は、2次元構成領域の場合はdVi(x,y,t)/dt、又は、1次元構成領域の場合はdVi(x,t)/dt)、電位分布のsij(3次元構成領域の場合はVi(x,y,z,t)、2次元構成領域の場合はVi(x,y,t)、1次元構成領域の場合はVi(x,t))、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分分布のsij(3次元構成領域の場合はdEi(x,y,z,t)/dt、又は、2次元構成領域の場合はdEi(x,y,t)/dt、又は、1次元構成領域の場合はdEi(x,t)/dt)、電界ベクトル分布のsij(3次元構成領域の場合はEi(x,y,z,t)、又は、2次元構成領域の場合はEi(x,y,t)、又は、1次元構成領域の場合はEi(x,t))に関して有限差分近似(離散近似)を適用して得られるこれらの節点分布Q‘’、即ち、節点導電率分布のL‘’ij又はL‘’i又はL‘’、導電率の1階の偏微分の節点分布、節点誘電率分布のR‘’ij又はR‘’i又はR‘’、誘電率の1階の偏微分の節点分布、電位の時間方向の1階の偏微分の節点分布のs‘’ij、節点電位分布のs‘’ij、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分の節点分布のs‘’ij、節点電界ベクトル分布のs‘’ijに関する代数方程式に、関心領域内において与えられる全節点データ(前記の低域通過型フィルタのかけられた電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分分布データdEi/dt(I,J,K,j)、電界ベクトル分布データEi(I,J,K,j)、電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分分布データ∇・dEi/dt(I,J,K,j)、電界ベクトルの発散の分布データ∇・Ei(I,J,K,j)、適宜、参照導電率(分布)のσ’i(I,J,K,j)、σ’i(I,J,K)、σ’(I,J,K)、参照誘電率(分布)のε’i(I,J,K,j)、ε’i(I,J,K)、ε’(I,J,K)が代入され、これより導出される代数方程式を連立することにより、関心領域全体を対象とした未知節点ベクトルU’に関する代数方程式(64)式が得られる。
あるいは、第2の基本原理に従い、測定対象物の3次元、2次元、1次元の関心領域内の構成領域において、1階の空間偏微分方程式である(44)式にて表される分布Q、即ち、導電率と誘電率の比の分布のH1ij又はH1i又はH1、導電率と誘電率の比の1階の偏微分の分布、電位の時間方向の1階の偏微分分布のsij、電位分布のsij、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分分布のsij、電界ベクトル分布のsijに関して有限差分近似(離散近似)を適用して得られるこれらの節点分布Q‘’、即ち、導電率と誘電率の比の節点分布のH1‘’ij又はH‘’1i又はH‘’1、導電率と誘電率の比の1階の偏微分の節点分布、電位の時間方向の1階の偏微分の節点分布のs‘’ij、節点電位分布のs‘’ij、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分の節点分布のs‘’ij、節点電界ベクトル分布のs‘’ijに関する代数方程式に、関心領域内において与えられる全節点データ(前記の低域通過型フィルタのかけられた電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分分布データdEi/dt(I,J,K,j)、電界ベクトル分布データEi(I,J,K,j)、電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分分布データ∇・dEi/dt(I,J,K,j)、電界ベクトルの発散の分布データ∇・Ei(I,J,K,j)、適宜、導電率と誘電率の比の参照値(分布)のh1’i(I,J,K,j)、h1’i(I,J,K)、h1’(I,J,K))が代入され、これより導出される代数方程式を連立することにより、関心領域全体を対象とした未知節点ベクトルU’に関する代数方程式(64)式が得られる。
あるいは、第2の基本原理に従い、測定対象物の3次元、2次元、1次元の関心領域内の構成領域において、1階の空間偏微分方程式〔(46)式〕にて表される分布Q、即ち、誘電率と導電率の比の分布のH2ij又はH2i又はH2、誘電率と導電率の比の1階の偏微分の分布、電位の時間方向の1階の偏微分分布のsij、電位分布のsij、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分分布のsij、電界ベクトル分布のsijに関して有限差分近似(離散近似)を適用してこれらの節点分布Q‘’、即ち、誘電率と導電率の比の節点分布のH2‘’ij又はH2‘’i又はH2‘’、誘電率と導電率の比の1階の偏微分の節点分布、電位の時間方向の1階の偏微分の節点分布のs‘’ij、節点電位分布のs‘’ij、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分の節点分布のs‘’ij、節点電界ベクトル分布のs‘’ijに関する代数方程式に、関心領域内において与えられる全節点データ (前記の低域通過型フィルタのかけられた電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分分布データdEi/dt(I,J,K,j)、電界ベクトル分布データEi(I,J,K,j)、電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分分布データ∇・dEi/dt(I,J,K,j)、電界ベクトルの発散の分布データ∇・Ei(I,J,K,j)、適宜、誘電率と導電率の比の参照値(分布)のh1’i(I,J,K,j)、h1’i(I,J,K)、h1’(I,J,K))が代入され、これより導出される代数方程式を連立することにより、関心領域全体を対象とした未知節点ベクトルU’に関する代数方程式(64)式が得られる。
また、第2の基本原理に従い、適宜、関心領域内の各構成領域においてその領域内の未知分布を表す(41)式、(44)式、(46)式の空間偏微分方程式のいずれかの少なくとも1つにガラーキン法に基づく有限要素近似又は離散近似を適用して(前記(a)又は(b))、関心領域内において導出された代数方程式を連立することにより、前記の関心領域全体を対象とした未知節点ベクトルU’に関する代数方程式(64)式を導出する場合について、以下に説明する。ここで、関心領域を構成する構成領域は同一領域を含むことがあり、又、構成領域が1つの場合はその構成領域は関心領域そのものを表す。
第2の基本原理に従い、測定対象物の3次元、2次元、1次元の関心領域内の構成領域において、1階の空間偏微分方程式である(41)式中に表される分布Q、即ち、導電率分布のLij又はLi又はL、導電率の1階の偏微分の分布、誘電率分布のRij又はRi又はR、誘電率の1階の偏微分の分布、電界ベクトル分布のsij、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分分布のsij、電界ベクトルの発散分布のsij、電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分分布のsij、電位分布のsij、又、電位の時間方向の1階の偏微分分布のsijに関してガラーキン法に基づく有限要素近似又は離散近似を適用する場合は、時間tにおいて、次のものを汎関数Iij(・)とする。
3次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
2次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
1次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
但し、(65)式〜(67)式中のvは、重み関数であり、|v(x,y,z,t)|≠0を満たす。
あるいは、第2の基本原理に従い、測定対象物の3次元、2次元、1次元の関心領域内の構成領域において、1階の空間偏微分方程式である(44)式中に表される分布Q、即ち、導電率と誘電率の比の分布のH1ij又はH1i又はH1、導電率と誘電率の比の1階の偏微分の分布、電界ベクトル分布のsij、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分分布のsij、電界ベクトルの発散分布のsij、電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分分布のsij、電位分布のsij、又、電位の時間方向の1階の偏微分分布のsijに関してガラーキン法に基づく有限要素近似又は離散近似を適用する場合は、時間tにおいて、次のものを汎関数Iij(・)とする。
3次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
2次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
1次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
但し、(68)式〜(70)式中のvは、重み関数であり、|v(x,y,z,t)|≠0を満たす。
あるいは、第2の基本原理に従い、測定対象物の3次元、2次元、1次元の関心領域内の構成領域において、1階の空間偏微分方程式である(46)式中に表される分布Q、即ち、誘電率と導電率の比の分布のH2ij又はH2i又はH2、誘電率と導電率の比の1階の偏微分の分布、電界ベクトル分布のsij、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分分布のsij、電界ベクトルの発散分布のsij、電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分分布のsij、電位分布のsij、又、電位の時間方向の1階の偏微分分布のsijに関してガラーキン法に基づく有限要素近似又は離散近似を適用する場合は、時間tにおいて、次のものを汎関数Iij(・)とする。
3次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
2次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
1次元構成領域を対象とした場合には、
Figure 0005441292
但し、(71)式〜(73)式中のvは、重み関数であり、|v(x,y,z,t)|≠0を満たす。
各構成領域において、適宜、(65)式〜(73)式のいずれかの汎関数Ii(・)が使用されるが、各汎関数の重み関数vとしては各構成領域内の分布Qのいずれかを有限要素近似するための前記基底関数が使用され、時間tを変数としない前記の基底関数が使用されることがある。
従って、(41)式の空間偏微分方程式が使用される場合には、前記基底関数を使用して有限要素化された(65)式〜(67)式の汎関数Iij(・)にて表される構成領域内の節点分布Q‘’の、節点導電率分布のL‘’ij又はL‘’i又はL‘’、導電率の1階の偏微分の節点分布、節点誘電率分布のR‘’ij又はR‘’i又はR‘’、誘電率の1階の偏微分の節点分布、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分の節点分布s‘’ij、節点電界ベクトル分布s‘’ij、電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分の節点分布s‘’ij、又、電界ベクトルの発散の節点分布s‘’ij、電位の時間方向の1階の偏微分分布のsij、又、電位分布のsijに、関心領域内において与えられる全節点データ(低域通過型フィルタのかけられた電位の時間方向の1階の偏微分分布データdVi/dt(I,J,K,j)、電位分布データVi(I,J,K,j)、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分分布データdE/dt(I,J,K,j)、電界ベクトル分布データE(I,J,K,j)、電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分分布データ∇・dE/dt(I,J,K,j)、電界ベクトルの発散の分布データ∇・E(I,J,K,j)、適宜、参照導電率(分布)のσ’i(I,J,K,j)、σ’i(I,J,K)、σ’(I,J,K)、参照誘電率(分布)のε’i(I,J,K,j)、ε’i(I,J,K)、ε’(I,J,K)が代入されて、その結果として得られるIij(・)が0に等しいものとすることにより各構成領域において導出される代数方程式を連立することにより、関心領域全体を対象とした未知節点ベクトルU’に関する代数方程式(64)式が得られる。ここで、重み関数として基底関数φσ以外を使用して、導電率分布のLij、Li、Lの勾配に部分積分を施した場合においては、基底関数φσは直流でも構わない。又、重み関数として基底関数φε以外を使用して、誘電率分布のRij、Ri、Rの勾配に部分積分を施した場合においては、基底関数φεは直流でも構わない。
また、(44)式の空間偏微分方程式が使用される場合には、前記基底関数を使用して有限要素化された(68)式〜(70)式の汎関数Iij(・)にて表される構成領域内の節点分布Q‘’の、導電率と誘電率の比の節点分布のH1‘’ij又はH‘’1i又はH‘’1、導電率と誘電率の比の1階の偏微分の節点分布、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分の節点分布s‘’ij、節点電界ベクトル分布s‘’ij、電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分の節点分布s‘’ij、又、電界ベクトルの発散の節点分布s‘’ij、電位の時間方向の1階の偏微分分布のsij、又、電位分布のsijに、関心領域内において与えられる全節点データ(低域通過型フィルタのかけられた電位の時間方向の1階の偏微分分布データdVi/dt(I,J,K,j)、電位分布データVi(I,J,K,j)、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分分布データdE/dt(I,J,K,j)、電界ベクトル分布データE(I,J,K,j)、電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分分布データ∇・dE/dt(I,J,K,j)、電界ベクトルの発散の分布データ∇・E(I,J,K,j)、適宜、導電率と誘電率の比の参照値(分布)のh1’i(I,J,K,j)、h1’i(I,J,K)、h1’(I,J,K)が代入されて、その結果として得られるIij(・)が0に等しいものとすることにより各構成領域において導出される代数方程式を連立することにより、関心領域全体を対象とした未知節点ベクトルU’に関する代数方程式(64)式が得られる。ここで、重み関数として基底関数φh以外を使用して、導電率と誘電率の比の分布H1ij、H1i、H1の勾配に部分積分を施した場合においては、基底関数φhは直流でも構わない。
また、(46)式の空間偏微分方程式が使用される場合は、前記基底関数を使用して有限要素化された(71)式〜(73)式の汎関数Iij(・)にて表される構成領域内の節点分布Q‘’の、誘電率と導電率の比の節点分布のH2‘’ij又はH2‘’i又はH2‘’、誘電率と導電率の比の1階の偏微分の節点分布、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分の節点分布s‘’ij、節点電界ベクトル分布s‘’ij、電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分の節点分布s‘’ij、又、電界ベクトルの発散の節点分布s‘’ij、電位の時間方向の1階の偏微分分布のsij、又、電位分布のsijに、関心領域内において与えられる全節点データ(低域通過型フィルタのかけられた電位の時間方向の1階の偏微分分布データdVi/dt(I,J,K,j)、電位分布データVi(I,J,K,j)、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分分布データdE/dt(I,J,K,j)、電界ベクトル分布データE(I,J,K,j)、電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分分布データ∇・dE/dt(I,J,K,j)、電界ベクトルの発散の分布データ∇・E(I,J,K,j)、適宜、誘電率と導電率の比の分布データのh2’i(I,J,K,j)、h2’i(I,J,K)、h2’(I,J,K)が代入されて、その結果として得られるIij(・)が0に等しいものとすることにより各構成領域において導出される代数方程式を連立することにより、関心領域全体を対象とした未知節点ベクトルU’に関する代数方程式(64)式が得られる。ここで、重み関数として基底関数φh以外を使用して、誘電率と導電率の比の分布H2ij、H2i、H2の勾配に部分積分を施した場合においては、基底関数φhは直流でも構わない。
上記の通り、第1基本原理及び第2基本原理に基づいて、代数方程式(64)式を関心領域全体を対象とする未知節点ベクトルU’ に関する連立方程式として解く、あるいは、代数方程式(64)式中にて表される、関心領域内の各構成領域内の、未知節点分布Q’、即ち、未知節点導電率分布のL’ij、L’i、L’、未知節点誘電率分布のR’ij、R’i、R’、未知である導電率と誘電率の比の節点分布のH1’ij、H1’i、H1’、未知である誘電率と導電率の比の節点分布のH2’ij、H2’i、又は、H2’の1つ以上から成る未知節点ベクトルY’に関する連立方程式を各構成領域において解くことにより、電流源と電圧源及び参照領域の位置が適切であれば(電位分布データの、dVi/dt、Vi、dEi/dt、Ei、∇・dEi/dt、∇・Eiが1組のみ測定された場合においても)、関心領域内の、未知導電率分布のLij[3次元関心領域を対象とした場合、σi(x,y,z,t)]、Li[σi(x,y,z)]、L[σ(x,y,z)]、又は、未知誘電率分布のRij[εi(x,y,z,t)]、Ri[εi(x,y,z)]、R[ε(x,y,z)]、又は、未知である導電率と誘電率の比の分布のH1ij[h1i(x,y,z,t)]、H1i[h1i(x,y,z)]、H1[h1(x,y,z)]、未知である誘電率と導電率の比の分布のH2ij[h2i(x,y,z,t)]、H2i[h2i(x,y,z)]、H2[h2(x,y,z)]を推定でき、又、時に、関心領域内の、未知導電率分布のLij[σi(x,y,z,t)]、Li[σi(x,y,z)]、L[σ(x,y,z)]と未知誘電率分布のRij[εi(x,y,z,t)]、Ri[εi(x,y,z)]、R[ε(x,y,z)]を同時に推定できる。尚、有限要素近似を行った場合には、前記基底関数を用いる。2次元、1次元関心領域を対象とした場合も同様である。
また、複数の独立した節点電位分布の時系列Vi(I,J,K,j)(i=1〜M、但し、j=0〜n)が測定されて、関心領域全体を対象として未知節点ベクトルU’を求めるために使用される場合には、未知節点ベクトルU’のi,jへの依存性により、適宜、代数方程式(64)式を用いた次に示す(74)式〜(82)式の汎関数II(U’)のいずれかが使用される。即ち、代数方程式(64)式中の未知節点ベクトルU’は、関心領域全体を対象とした場合の未知節点分布Uij (構成領域内のi,jに依存する未知節点分布Q’のL’ij、R’ij、H1’ij、H2’ijのいずれかを少なくとも1つを含み、構成領域内のiのみに依存する未知節点分布Q’や構成領域内のiとjの両者に対して不変である未知節点分布Q’のL’i、L’、R’i、R’、H1’i、H1’、H2’i、H2’を含むことのある分布)、未知節点分布Ui (構成領域内のiに依存する未知節点分布Q’のL’ij、L’i、R’ij、R’i、H1’ij、H1’i、H2’ij、H2’iのいずれかを少なくとも1つを含み、構成領域内のiとjの両者に対して不変である未知節点分布Q’のL’、R’、H1’、H2’を含むことのある分布)、未知節点分布U (構成領域内のiとjの両者に対して不変である未知節点分布Q’のL’、R’、H1’、H2’のいずれかを少なくとも1つ含む分布)、未知節点分布Uj (iに対して不変である未知節点分布Uij) のいずれかを表し、各々、Uij、Ui、U、Ujのいずれかに関して最小化される。
但し、(64)式を用いた(74)式〜(82)式の汎関数IIij(U’)中のPijは、使用される各電位分布データVijに対して、汎関数IIij(U’)中の(48)式〜(51)式又は(65)式〜(67)式の汎関数Iij(・)のいずれかから導出された未知節点分布のL’ij、L’i、L’、L’jのいずれかのみに関する式、及び、(56)式〜(59)式又は(68)式〜(70)式の汎関数Iij(・)のいずれかから導出された未知節点分布のH1’ij、H1’i、H1’、H1’jのいずれかのみに関する式においては、各汎関数Iij(・)の構成領域(積分領域)内の電界ベクトルEi(x,y,,z,t)と未知である導電率σ又は導電率と誘電率の比h1にかかる勾配作用素との内積の分布の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値と構成領域内の電界ベクトルの発散の分布の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値の和の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値である。
また、汎関数IIij(U’)中の(52)式〜(55)式又は(65)式〜(67)式の汎関数Iij(・)のいずれかから導出された未知節点分布のR’ij、R’i、R’、R’jのいずれかのみに関する式、及び、(60)式〜(63)式又は(71)式〜(73)式の汎関数Iij(・)のいずれかから導出された未知節点分布のH2’ij、H2’i、H2’、H2’jのいずれかのみに関する式においては、各汎関数Iij(・)の構成領域(積分領域)内の電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分dEi(x,y,,z,t)/dtと未知である誘電率ε又は誘電率と導電率の比h2にかかる勾配作用素との内積の分布の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値と構成領域内の電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分分布の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値の和の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値である。
また、汎関数IIij(U’)中の(48)式〜(55)式の汎関数Iij(・)又は(65)式〜(67)式の汎関数Iij(・)いずれかから導出された、未知節点分布のL’ij、L’i、L’、L’jのいずれかと未知節点分布のR’ij、R’i、R’、R’jのいずれかとに関する式においては、Pijは、各汎関数Iij(・)の構成領域(積分領域)内の電界ベクトルEi(x,y,,z,t)と未知である導電率σ又は導電率と誘電率の比h1にかかる勾配作用素との内積の分布の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値と構成領域内の電界ベクトルの発散の分布の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値と電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分dEi(x,y,,z,t)/dtと未知である誘電率ε又は誘電率と導電率の比h2にかかる勾配作用素との内積の分布の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値と構成領域内の電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分分布の(可能であれば、各パワーの標準偏差をかけた)パワー値の和である。
この様に、通常は、汎関数中の各々の式はPijにより正規化される。
未知節点分布Uij(i=1〜M、j=0〜n)に関して、次式が成立する。
Figure 0005441292
但し、未知節点分布Uijは、i又はj、又は、iとjの両者に対して不変であることがあり、また、電位データの、dVi/dt、Vi、dEi/dt、Ei、∇・dEi/dt、∇・Eiの1組のみ、測定された場合にも使用できる。
また、未知節点分布Uij(i=1〜M、j=0〜n)に関して、次式が成立する。
Figure 0005441292
但し、未知節点分布Uijは、jに対して不変であることがある。
また、未知節点分布Uj(j=0〜n)(未知節点分布Uijがiに対して不変の場合)に関して、次式が成立する。
Figure 0005441292
但し、未知節点分布Ujは、jに対して不変であることがある。
また、未知節点分布Uij(i=1〜M、j=0〜n)に関して、次式が成立する。
Figure 0005441292
但し、未知節点分布Uijは、iに対して不変であることがある。
また、未知節点分布Ui(i=1〜M)(未知節点分布Uijがjに対して不変の場合) に関して、次式が成立する。
Figure 0005441292
但し、未知節点分布Uiは、iに対して不変であることがある。
また、未知節点分布Uij(i=1〜M、j=0〜n)に関して、次式が成立する。
Figure 0005441292
Figure 0005441292
また、未知節点分布Uj(j = 0〜n)(未知節点分布Uijがiに対して不変である場合)に関して、次式が成立する。
Figure 0005441292
Figure 0005441292
また、未知節点分布Ui(i = 1〜M)(未知節点分布Uijがjに対して不変である場合)に関して、次式が成立する。
Figure 0005441292
Figure 0005441292
また、未知節点分布U(未知節点分布Uijがiとjの両者に対して不変である場合)に関して、次式が成立する。
Figure 0005441292
Figure 0005441292
上記の(74)式〜(82)式の汎関数II(U’)が関心領域全体を対象とした未知節点ベクトルU’(未知節点分布Uij、Ui、U、Ujのいずれか)に関して最小化するより、以下の通り、未知節点ベクトルU’に関する正規方程式が得られる。
汎関数IIij(Uij)((74)式)より、未知節点分布Uij (i = 1〜M, j = 0〜n)(i又はj、又は、iとjの両者に対して不変であることがあり、また、電位データの、dVi/dt、Vi、dEi/dt、Ei、∇・dEi/dt、∇・Eiの1組のみ、測定された場合にも使用できる。
E’ijUij=e’ij …(83)
Figure 0005441292
汎関数IIj(Uij)((75)式)より、未知節点分布Uij (i = 1〜M, j = 0〜n) (jに対して不変であることがある)に関する以下の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
但し、行列E’ij及びベクトルe’ij(i=1〜M, j=0〜n)は、各々、正規方程式(83)式の行列E’ij及びベクトルe’ijである。
汎関数IIj(Uj)((76)式)より、未知節点分布Uj(j = 0〜n)(jに対して不変であることがある)に関する以下の正規方程式が得られる。
EjUj=ej …(85)
但し、行列E及びベクトルe(j=0〜n)は、各々、正規方程式(83)式の行列E’ij及びベクトルe’ijを用いて、次のように表される。
Figure 0005441292
汎関数IIi(Uij)((77)式)より、未知節点分布Uij(i = 1〜M, j = 0〜n)(iに対して不変であることがある)に関する以下の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
但し、行列E’ij及びベクトルe’ij(i=1〜M,j=0〜n)は、各々、正規方程式(83)式の行列E’ij及びベクトルe’ijである。
汎関数IIi(Ui)((78)式)より、未知節点分布Ui(i = 1〜M)(iに対して不変であることがある)に関する以下の正規方程式が得られる。
EiUi=ei …(87)
但し、行列E及びベクトルe(i=1〜M)は、各々、正規方程式(83)式の行列E’ij及びベクトルe’ijを用いて、次のように表される。
Figure 0005441292
汎関数II(Uij)((79)式)より、未知節点分布Uij(i = 1〜M, j = 0〜n)に関する以下の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
但し、行列E’ij及びベクトルe’ij(i=1〜M,j=0〜n)は、各々、正規方程式(83)式の行列E’ij及びベクトルe’ijである。
汎関数II(Uj)((80)式)より、未知節点分布Uj(j=0〜n)に関する次の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
但し、行列E及びベクトルe(j=0〜n)は、各々、正規方程式(83)式の行列E’ij及びベクトルe’ijを用いて、次のように表される。
Figure 0005441292
汎関数II(Ui)((81)式)より、未知節点分布Ui(i=1〜M)に関する以下の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
但し、行列E及びベクトルe(i=1〜M)は、各々、正規方程式(83)式の行列E’ij及びベクトルe’ijを用いて、次のように表される。
Figure 0005441292
汎関数II(U)((82)式)より、未知節点分布Uに関する次の正規方程式が得られる。
EU=e …(91)
但し、行列E及びベクトルeは、各々、正規方程式(83)式の行列E’ij及びベクトルe’ijを用いて、次のように表される。
Figure 0005441292
上記の正規方程式(83)式〜(91)式を未知節点ベクトルU’に関して解くことにより、適宜、関心領域全体を対象とした場合の未知節点分布Uij、未知節点分布Ui、未知節点分布U、未知節点分布Ujのいずれかが得られる。ここで、未知節点分布Uijは、構成領域内のi,jに依存する未知節点分布Q’のL’ij、R’ij、H1’ij、H2’ijのいずれかを少なくとも1つを含み、構成領域内のiのみに依存する未知節点分布Q’や構成領域内のiとjの両者に対して不変である未知節点分布Q’のL’i、L’、R’i、R’、H1’i、H1’、H2’i、H2’を含むことがある。未知節点分布Uは、構成領域内のiに依存する未知節点分布Q’のL’ij、L’i、R’ij、R’i、H1’ij、H1’i、H2’ij、H2’iのいずれかを少なくとも1つを含み、構成領域内のiとjの両者に対して不変である未知節点分布Q’のL’、R’、H1’、H2’を含むことがある。未知節点分布Uは、構成領域内のiとjの両者に対して不変である未知節点分布Q’のL’、R’、H1’、H2’のいずれかを少なくとも1つ含む。未知節点分布Uj は、iに対して不変である未知節点分布Uijに相当する。
尚、関心領域全体を対象とする未知節点ベクトルU’に関する(74)式〜(82)式の汎関数II(U’)は、代数方程式(64)式中にて表される、関心領域内の各構成領域を対象とした未知節点ベクトルY’即ちYij、未知節点分布Yi、未知節点分布Y、未知節点分布Yjのいずれかに関する連立方程式より導出される汎関数II(Y’)として扱われることもある。これらの各々は、未知節点ベクトルY’のi,jへの依存性により、未知節点分布Yij、Yi、Y、Yjのいずれかに関して最小化され、これより導出される各構成領域内の未知節点ベクトルY’に関する(83)式〜(91)式の正規方程式を解くことにより、関心領域内の未知節点分布Yij、Yi、Y、Yjのいずれかが得られることがある。ここで、未知節点ベクトルYijは、構成領域内のi、jに依存する未知節点分布Q’のL’ij、R’ij、H1’ij、H2’ijのいずれかを少なくとも1つを含み、構成領域内のiのみに依存する未知節点分布Q’や構成領域内のiとjの両者に対して不変である未知節点分布Q’のL’i、L’、R’i、R’、H1’i、H1’、H2’i、H2’を含むことがある。未知節点分布Yiは、構成領域内のiに依存する未知節点分布Q’のL’ij、L’i、R’ij、R’i、H1’ij、H1’i、H2’ij、H2’iのいずれかを少なくとも1つを含み、構成領域内のiとjの両者に対して不変である未知節点分布Q’のL’、R’、H1’、H2’を含むことがある。未知節点分布Yは、構成領域内のiとjの両者に対して不変である未知節点分布Q’のL’、R’、H1’、H2’のいずれかを少なくとも1つ含む。未知節点分布Yjは、iに対して不変である未知節点分布Yijに相当する。
これより、電流源と電圧源及び参照領域の位置が適切であれば(電位分布データの、dVi/dt、Vi、dEi/dt、Ei、∇・dEi/dt、∇・Eiが1組のみ測定された場合においても)、関心領域内の、未知導電率分布のLij[3次元関心領域を対象とした場合、σi(x,y,z,t)]、Li[σi(x,y,z)]、L[σ(x,y,z)]、未知誘電率分布のRij[εi(x,y,z,t)]、Ri[εi(x,y,z)]、R[ε(x,y,z)]、又は、未知である導電率と誘電率の比の分布のH1ij[h1i(x,y,z,t)]、H1i[h1i(x,y,z)]、H1[h1(x,y,z)]、未知である誘電率と導電率の比の分布のH2ij[h2i(x,y,z,t)]、H2i[h2i(x,y,z)]、H2[h2(x,y,z)]を推定でき、又、時に、関心領域内の、未知導電率分布のLij[σi(x,y,z,t)]、Li[σi(x,y,z)]、L[σ(x,y,z)]と未知誘電率分布のRij[εi(x,y,z,t)]、Ri[εi(x,y,z)]、R[ε(x,y,z)]を同時に推定できる。尚、有限要素近似を行った場合には、前記基底関数を用いる。2次元、1次元関心領域を対象とした場合も同様である。
(74)式〜(82)式のU’及びY’に関する汎関数II(U’)やII(Y’)を最小化して得られる正規方程式(83)式〜(91)式中のE、Eij、Ei、Ej、e、eij、ei、及び、ejは低域通過型フィルタのかけられた電位の時間方向の1階の偏微分分布データdVi/dt(I,J,K,j)、電位分布データVi(I,J,K,j)、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分分布データdE/dt(I,J,K,j)、電界ベクトル分布データE(I,J,K,j)、電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分分布データ∇・dE/dt(I,J,K,j)、電界ベクトルの発散の分布データ∇・E(I,J,K,j)で決まるが、行列E、Eij、Ei、Ejの逆作用素は、各々、e、eij、ei、及びejに含まれる高周波数帯域のノイズを増幅させてしまう。また、(83)式、(84)式、(86)式、(88)式を用いる際には、電流源又は電圧源と参照領域との相対的配置が不適切なものとなることがある。その結果、未知節点分布のUij、Ui、Uj、U、Yij、Yi、Yj、Yの推定が不安定となってしまう。
そこで、第1の基本原理及び第2の基本原理と同様に、(83)式〜(91)式の正規方程式に正則化を施して再構成の安定化を図るようにしても良い。具体的には、後記の通り、使用される各電位分布Vijに対して設定されうる正則化パラメータα1ij、α2ij、α3ij、β1ij、β2ij、β3ij、γ1ij、γ2ij、γ3ij、η1ij、η2ij、η3ij(正の値)を使用して、連続座標系において次に表されるような処罰項を使用する。
即ち、未知節点ベクトルU’又はY’が未知導電率分布の L’ij、L’i、L’、L’j をベクトル成分に含む場合、例えば、3次元関心領域を対象とした場合に、導電率分布の σi(x,y,z,t) [σi(I,J,K,j)]、σi(x,y,z) [σi(I,J,K)]、σ(x,y,z) [σ(I,J,K)]、σ(x,y,z,t) [σ(I,J,K,j)] が未知である1つ以上の不連続な3次元構成領域を含む場合には、(25)式の処罰項と同様に、その各構成領域内の積分が求められる。
Figure 0005441292
但し、σは、各点の導電率のσi(x,y,z,t)、σi(x,y,z)、σ(x,y,z)、σ(x,y,z,t)のいずれかである。
導電率分布の σi(x,y,t) [σi(I,J,j)]、σi(x,y) [σi(I,J)]、σ(x,y) [σ(I,J)]、σ(x,y,t) [σ(I,J,j)] が未知である1つ以上の不連続な2次元構成領域を含む場合には、(26)式の処罰項と同様に、その各構成領域内の積分が求められる。
Figure 0005441292
但し、σは、各点の導電率のσi(x,y,t)、σi(x,y)、σ(x,y)、σ(x,y,t)のいずれかである。
導電率分布の σi(x,t) [σi(I,j)]、σi(x) [σi(I)]、σ(x) [σ(I)]、σ(x,t) [σ(I,j)] が未知である1つ以上の不連続な1次元構成領域を含む場合には、(27)式の処罰項と同様に、その各構成領域内の積分が求められる。
Figure 0005441292
但し、σは、各点の導電率率のσi(x,t)、σi(x)、σ(x)、σ(x,t)のいずれかである。2次元及び1次元関心領域を含む場合も同様である。
また、未知節点ベクトルU’又はY’が未知誘電率分布の R’ij、R’i、R’、R’j をベクトル成分に含む場合、例えば、3次元関心領域を対象とした場合に、誘電率分布の εi(x,y,z,t) [εi(I,J,K,j)]、εi(x,y,z) [εi(I,J,K)]、ε(x,y,z) [ε(I,J,K)]、ε(x,y,z,t) [ε(I,J,K,j)] が未知である1つ以上の不連続な3次元構成領域を含む場合には、導電率の場合と同様に、その各構成領域内の積分が求められる。
Figure 0005441292
但し、εは、各点の誘電率のεi(x,y,z,t)、εi(x,y,z)、ε(x,y,z)、ε(x,y,z,t)のいずれかである。1つ以上の不連続な2次元及び1次元構成領域を含む場合も誘電率の場合と同様である。2次元及び1次元関心領域を対象とする場合も同様である。
また、未知節点ベクトルU’又はY’が未知である導電率と誘電率の比の分布の H1’ij、H1’i、H1’、H1’j をベクトル成分に含む場合、例えば、3次元関心領域を対象とした場合、導電率と誘電率の比の分布のh1i(x,y,z,t) [h1i(I,J,K,j)]、h1i(x,y,z) [h1i(I,J,K)]、h1(x,y,z) [h1(I,J,K)]、h1(x,y,z,t) [h1(I,J,K,j)] が未知である1つ以上の不連続な3次元構成領域を含む場合には、導電率の場合と同様に、その各構成領域内の積分が求められる。
Figure 0005441292
但し、h1は、各点の導電率と誘電率の比のh1i(x,y,z,t)、h1i(x,y,z)、h1(x,y,z)、h1(x,y,z,t)のいずれかである。1つ以上の不連続な2次元及び1次元構成領域を含む場合も導電率の場合と同様である。2次元及び1次元関心領域を対象とする場合も同様である。
また、未知節点ベクトルU’又はY’が未知である誘電率と導電率の比の分布の H2’ij、H2’i、H2’、H2’j をベクトル成分に含む場合、例えば、3次元関心領域を対象とした場合、誘電率と導電率の比の分布のh2i(x,y,z,t) [h2i(I,J,K,j)]、h2i(x,y,z) [h2i(I,J,K)]、h2(x,y,z) [h2(I,J,K)]、h2(x,y,z,t) [h2(I,J,K,j)] が未知である1つ以上の不連続な3次元構成領域を含む場合には、導電率の場合と同様に、その各構成領域内の積分が求められる。
Figure 0005441292
但し、h2は、各点の誘電率と導電率の比のh2i(x,y,z,t)、h2i(x,y,z)、h2(x,y,z)、h2(x,y,z,t)のいずれかである。1つ以上の不連続な2次元及び1次元構成領域を含む場合も導電率の場合と同様である。2次元及び1次元関心領域を対象とする場合も同様である。
(74)式〜(82)式の汎関数II(U’)又はII(Y’)が有限要素近似されている場合は、(92)式〜(97)式の処罰項は、有限要素近似において導入した基底関数を使用して有限要素近似されるか、又は、有限差分近似されるが、(74)式〜(82)式の汎関数II(U’)又はII(Y’)が有限差分近似されている場合は、(92)式〜(97)式の処罰項は、有限差分近似される。
(92)式〜(97)式の処罰項が、有限要素近似された場合には、3次元関心領域を対象とする場合、適宜、(92)式〜(94)式には参照導電率(分布)のσ’i(I,J,K,j)、σ’i(I,J,K)、σ’(I,J,K)、σ’(I、J,K,j)が、(95)式には参照誘電率(分布)のεi(I,J,K,j)、εi(I,J,K)、ε(I,J,K)、ε(I,J,K,j)が、(96)式には導電率と誘電率の比の分布データのh1i(I,J,K,j)、h1i(I,J,K)、h1(I,J,K)、h1(I,J,K,j)が、(97)式には誘電率と導電率の比の分布データのh’2i(I,J,K,j)、h’2i(I,J,K)、h’2(I,J,K)、h’2(I,J,K,j)が代入された上で、適宜、(74)式〜(82)式のいずれかの汎関数II(U’)又はII(Y’)に加えられ、未知節点ベクトルU’又はY’に関して最小化される。その場合に、基底関数φ3σ、φ3ε、φ3hはx,y,zに関して2回偏微分可能である必要がある。2次元、及び、1次元関心領域を対象とする場合も同様である。
また、(92)式〜(97)式の処罰項が有限差分近似された場合には、3次元関心領域を対象とする場合、適宜、(92)式〜(94)式(但し、α1ij=0)には参照導電率(分布)のσ’i(I,J,K,j)、σ’i(I,J,K)、σ’(I,J,K)、σ’(I、J,K,j)が代入され、(95)式(但し、β1ij=0)には参照誘電率(分布)のεi(I,J,K,j)、εi(I,J,K)、ε(I,J,K)、ε(I,J,K,j)が代入され、(96)式(γ1ij=0)には導電率と誘電率の比の分布データのh’1i(I,J,K,j)、h’1i(I,J,K)、h’1(I,J,K)、h’1(I,J,K,j)が代入され、(97)式(η1ij=0)には誘電率と導電率の比の分布データのh’2i(I,J,K,j)、h’2i(I,J,K)、h’2(I,J,K)、h’2(I,J,K,j)が代入された上で、適宜、(74)式〜(82)式の汎関数II(U’)又はII(Y’)に加えられ、未知節点ベクトルU’又はY’に関して最小化される。2次元、及び、1次元関心領域を対象とする場合も同様である。
各汎関数II(U’)又はII(Y’)から導出される未知節点ベクトルU’又はY’に関する以下の(98)式〜(106)式の正則化された正規方程式を解くことにより、未知節点分布Uij、Ui、Uj、U、Yij、Yi、Yj、又は、Yを安定的に得られる。但し、以下の正則化された正規方程式中に表される行列GG、GGGGの各々は、適宜、関心領域内の未知節点分布のUij、Ui、Uj、U、Yij、Yi、Yj、又は、Y中の各構成領域内の未知節点分布Q’にかかる有限要素近似あるいは有限差分(離散)近似されたラプラシアン作用素及びラプラシアン2乗作用素を表す。ここで、未知節点分布Q’は、未知導電率分布のL’ij、L’i、L’、 L’j、未知誘電率R’ij、R’i、R’、R’j、未知である導電率と誘電率の比の分布のH1’ij、H1’i、H1’、H1’j、未知である誘電率と導電率の比の分布のH2’ij、H2’i、H2’、又は、H2’jを含む。
従って、式中の正則化パラメータλ1ij、λ2ij、λ3ijの各々は、適宜、使用される前記の処罰項(92)式〜(97)式中の正則化パラメータα1ij、α2ij、α3ijの各々、β1ij、β2ij、β3ijの各々、γ1ij、γ2ij、γ3ijの各々、η1ij、η2ij、η3ijの各々(正の値)が、対応する処罰項成分にかかるものとして表現されたものである。
汎関数IIij(Uij)((74)式)より、未知節点分布Uij(i = 1〜M, j = 0〜n)に関する以下の正則化された正規方程式が得られる。ここで、未知節点分布Uijは、i又はj、又は、iとjの両者に対して不変であることがあり、また、電位データの、dVi/dt、Vi、dEi/dt、Ei、∇・dEi/dt、∇・Ei の1組のみ、測定された場合にも使用できる。
Figure 0005441292
但し、行列E’ij及びベクトルe’ijは、各々、正規方程式(83)式の行列E’ij=Eij TEij、ベクトルe’ij=Eij Teijであり、行列Wij1ijI+λ2ijGTG+λ3ijGTGGTGである。
汎関数IIj(Uij)((75)式)より、未知節点分布Uij (i = 1〜M, j = 0〜n) (jに対して不変であることがある) に関する以下の正則化された正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
但し、行列E’ij及びベクトルe’ij(i=1〜M, j=0〜n)は、各々、正規方程式(83)式の行列E’ij及びベクトルe’ijであり、行列Wij1ijI+λ2ijGTG+λ3ijGTGGTGである。
汎関数IIj(Uj)((76)式)より、未知節点分布Uj(j = 0〜n)(jに対して不変であることがある)に関する以下の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
汎関数IIi(Uij)((77)式)より、未知節点分布Uij (i = 1〜M, j = 0〜n)(iに対して不変であることがある)に関する以下の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
但し、行列E’ij及びベクトルe’ij(i=1〜M, j=0〜n)は、各々、正規方程式(83)式の行列E’ij及びベクトルe’ijであり、行列Wij1ijI+λ2ijGTG+λ3ijGTGGTGである。
汎関数IIi(Ui)((78)式)より、未知節点分布Ui(i = 1〜M)(iに対して不変であることがある)に関する以下の正則化された正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
汎関数II(Uij)[(79)式]より、未知節点分布Uij(i = 1〜M、j = 0〜n)に関する以下の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
但し、行列E’ij及びベクトルe’ij(i=1〜M, j=0〜n)は、各々、正規方程式(83)式の行列E’ij及びベクトルe’ijであり、行列Wij1ijI+λ2ijGTG+λ3ijGTGGTGである。
汎関数II(Uj)((80)式)より、未知節点分布Uj(j = 0〜n)に関する以下の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
汎関数II(Ui)((81)式)より、未知節点分布Ui(i = 1〜M)に関する以下の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
汎関数II(U)((82)式)より、未知節点分布Uに関する以下の正規方程式が得られる。
Figure 0005441292
上記の各正規方程式(98)式〜(106)式を未知節点ベクトルU’に関して解くことにより、適宜、関心領域全体を対象とした場合の未知節点分布Uij、未知節点分布Ui、未知節点分布U、未知節点分布Uj、関心領域内の各構成領域を対象とした未知節点ベクトルY’即ちYij、未知節点分布Yi、未知節点分布Y、未知節点分布Yjのいずれかが得られる。
これより、関心領域内の、未知導電率分布のLij(3次元関心領域を対象とした場合には、σi(x,y,z,t))、Li[σi(x,y,z)]、L[σ(x,y,z)]、Lj[σ(x,y,z,t)]、未知誘電率分分布のRij[εi(x,y,z,t)]、Ri[εi(x,y,z)]、R[ε(x,y,z)]、Rj[ε(x,y,z,t)]、未知である導電率と誘電率の比の分布のH1ij[h1i(x,y,z,t)]、H1i[h1i(x,y,z)]、H1[h1(x,y,z)]、H1j[h1(x,y,z,t)]、未知である誘電率と導電率の比の分布のH2ij[h2i(x,y,z,t)]、H2i[h2i(x,y,z)]、H2[h2(x,y,z)]、H2j[h2(x,y,z,t)]を推定できる。尚、有限要素近似を行った場合には、前記基底関数を用いる)。2次元、1次元関心領域を対象とした場合も同様である。また、電位分布データの、dVi/dt、Vi、dEi/dt、Ei、∇・dEi/dt、∇・Ei が1組のみ測定された場合においても、これらを推定できることがある。
また、jに依存する未知節点ベクトルU’(関心領域全体を対象とした際の未知節点分布のUij又はUj)、又は、未知節点ベクトルY’(関心領域内の各構成領域内の未知節点分布のYij又はYj)に関する(77)式、(79)式、(80)式の汎関数II(U’)やII(Y’)を正則化するには、(92)式〜(97)式の処罰項の他に、(92)式〜(97)式の処罰項の各積分核に各構成領域内の未知分布の時間t(j)方向の1階の偏微分及び2階の偏微分を加えた、連続座標系において次に表されるような処罰項を使用して再構成の安定化を図るようにしても良い。その際に新たに使用される正則化パラメータα4ij、α5ij、β4ij、β5ij、γ4ij、γ5ij、η4ij、η5ij(正の値)は、後記の通り、使用される各電位分布Vijに対して設定されうる。
即ち、未知節点ベクトルU’又はY’が未知導電率分布の L’ij、L’j をベクトル成分に含む場合、例えば、3次元関心領域を対象とした場合に、導電率分布の σi(x,y,z,t) [σi(I,J,K,j)]、σ(x,y,z,t) [σ(I,J,K,j)] が未知である1つ以上の不連続な3次元構成領域を含む場合には、(92)式の処罰項の積分核に時間t(j)方向の1階の偏微分及び2階の偏微分を加え、その各構成領域内の積分を求める。
Figure 0005441292
但し、σは、各点の導電率のσi(x,y,z,t)、σ(x,y,z,t)のいずれかである。
導電率分布の σi(x,y,t) [σi(I,J,j)]、σ(x,y,t) [σ(I,J,j)] が未知である1つ以上の不連続な2次元構成領域を含む場合には、(93)式の処罰項に時間t(j)方向の1階の偏微分及び2階の偏微分を加え、その各構成領域内の積分を求める。
Figure 0005441292
但し、σは、各点の導電率のσi(x,y,t)、σ(x,y,t)のいずれかである。
導電率分布の σi(x,t) [σi(I,j)]、σ(x,t) [σ(I,j)] が未知である1つ以上の不連続な1次元構成領域を含む場合には、(94)式の処罰項に時間t(j)方向の1階の偏微分及び2階の偏微分を加え、その各構成領域内の積分を求める。
Figure 0005441292
但し、σは、各点の導電率のσi(x,t)、σ(x,t)のいずれかである。2次元及び1次元関心領域を含む場合も同様である。
また、未知節点ベクトルU’又はY’が未知誘電率分布の R’ij、R’j をベクトル成分に含む場合、例えば、3次元関心領域を対象とした場合に、誘電率分布の εi(x,y,z,t) [εi(I,J,K,j)]、ε(x,y,z,t) [ε(I,J,K,j)] が未知である1つ以上の不連続な3次元構成領域を含む場合には、(95)式の処罰項に時間t(j)方向の1階の偏微分及び2階の偏微分を加え、その各構成領域内の積分を求める。
Figure 0005441292
但し、εは、各点の誘電率のεi(x,y,z,t)、ε(x,y,z,t)のいずれかである。1つ以上の不連続な2次元及び1次元構成領域を含む場合も同様である。また、2次元及び1次元関心領域を対象とする場合も同様である。
また、未知節点ベクトルU’又はY’が未知である導電率と誘電率の比の分布の H1’ij、H1’j をベクトル成分に含む場合、例えば、3次元関心領域を対象とした場合に、導電率と誘電率の比の分布のh1i(x,y,z,t) [h1i(I,J,K,j)]、h1(x,y,z,t) [h1(I,J,K,j)] が未知である1つ以上の不連続な3次元構成領域を含む場合には、(96)式の処罰項に時間t(j)方向の1階の偏微分及び2階の偏微分を加え、その各構成領域内の積分を求める。
Figure 0005441292
但し、h1は、各点の導電率と誘電率の比のh1i(x,y,z,t)、h1(x,y,z,t)のいずれかである。1つ以上の不連続な2次元及び1次元構成領域を含む場合も同様である。また、2次元及び1次元関心領域を対象とする場合も同様である。
また、未知節点ベクトルU’又はY’が未知である誘電率と導電率の比の分布のH2’ij、H2’j をベクトル成分に含む場合、例えば、3次元関心領域を対象とした場合に、誘電率と導電率の比の分布のh2i(x,y,z,t) [h2i(I,J,K,j)]、h2(x,y,z,t) [h2(I,J,K,j)] が未知である1つ以上の不連続な3次元構成領域を含む場合には、(97)式の処罰項に時間t(j)方向の1階の偏微分及び2階の偏微分を加え、その各構成領域内の積分を求める。
Figure 0005441292
但し、h2は、各点の誘電率と導電率の比のh2i(x,y,z,t)、h2(x,y,z,t)のいずれかである。1つ以上の不連続な2次元及び1次元構成領域を含む場合も同様である。また、2次元及び1次元関心領域を対象とする場合も同様である。
(74)式〜(82)式の汎関数II(U’)又はII(Y’)が有限要素近似されている場合は、(107)式〜(112)式の処罰項は、有限要素近似において導入した基底関数を使用して有限要素近似されるか、又は、有限差分近似されるが、(74)式〜(82)式の汎関数II(U’)又はII(Y’)が有限差分近似されている場合は、(107)式〜(112)式の処罰項は、有限差分近似される。
(107)式〜(112)式の処罰項が、有限要素近似された場合は、3次元関心領域を対象とする場合、適宜、(107)式〜(109)式には参照導電率(分布)のσ’i(I,J,K,j)、σ’(I,J,K)、σ’(I,J,K)、σ’(I、J,K,j)が代入され、(110)式には参照誘電率分布データのεi(I,J,K,j)、εi(I,J,K)、ε(I,J,K)、ε(I,J,K,j)が代入され、(111)式には導電率よ誘電率の比の分布データのh’1i(I,J,K,j)、h’1i(I,J,K)、h’1(I,J,K)、h’1(I,J,K,j)が代入され、(112)式には誘電率と導電率の比の分布データのh’2i(I,J,K,j)、h’2i(I,J,K)、h’2(I,J,K)、h’2(I,J,K,j)が代入された上で、適宜、(77)式、(79)式、(80)式のいずれかの汎関数II(U’)又はII(Y’) に加えられ、未知節点ベクトルU’又はY’に関して最小化される。但し、未知節点ベクトルU’は、関心領域全体を対象とした際の未知節点分布のUij又はUjであり、未知節点ベクトルY’は、関心領域内の構成領域内の未知節点分布のYij又はYjである。この場合、基底関数φ3σ、φ3ε、φ3hは、x,y,zに関して2回偏微分可能であると共にtに関して2回偏微分可能である必要がある。
また、(107)式〜(112)式の処罰項が有限差分近似された場合に、3次元関心領域を対象とする場合、適宜、(107)式〜(109)式(但し、α1ij=0)には参照導電率(分布)のσ’i(I,J,K,j)、σ’i(I,J,K)、σ’(I,J,K)、σ’(I、J,K,j)が代入され、(110)式(但し、β1ij=0)には参照誘電率(分布)のε’i(I,J,K)、ε’(I,J,K)、ε’(I、J,K,j)が代入され、(111)式(但し、γ1ij=0)には導電率と誘電率の比の分布データのh’1i(I,J,K,j)、h’1i(I,J,K)、h’1(I,J,K)、h’1(I,J,K,j)が代入され、(112)式(η1ij=0)には誘電率と導電率の比の分布データのh’2i(I,J,K,j)、h’2i(I,J,K)、h’2(I,J,K)、h’2(I,J,K,j)が代入された上で、適宜、(77)式、(79)式、(80)式の汎関数II(U’)又はII(Y’)に加えられ、未知節点ベクトルU’又はY’に関して最小化される。2次元、及び、1次元関心領域を対象とする場合も同様である。
汎関数II(U’)又はII(Y’)((77)式、(79)式、(80)式)から導出される未知節点ベクトルU’又はY’に関する以下の(113)式〜(115)式の正則化された正規方程式を解くことにより、未知節点分布Uij、Uj、Yij、Yjを安定的に得られる。尚、正規方程式の(113)式〜(115)式中の正則化パラメータλ1ij、λ2ij、λ3ij、λ4ij、λ5ijの各々は、適宜、使用される前記の処罰項(107)式〜(112)式中の、各電位分布Vijに対して設定されうる正則化パラメータα1ij、α2ij、α3ij、α4ij、α5ijの各々、β1ij、β2ij、β3ij、β4ij、β5ijの各々、γ1ij、γ2ij、γ3ij、γ4ij、γ5ijの各々、η1ij、η2ij、η3ij、η4ij、η5ij の各々(正の値)が、対応する処罰項成分にかかるものとして表現されたものである。
即ち、(77)式の関心領域全体を対象とした未知節点分布の時系列からなる未知節点ベクトルXij=(Ui0 T,Ui1 T,…,Uin T)T(i = 1〜M)又は関心領域内の構成領域を対象とした未知節点分布の時系列からなる未知節点ベクトルXij=(Yi0 T,Yi1 T,…,Yin T)T(i = 1〜M)に関する汎関数IIi(Xij)を用いて導出される未知節点ベクトルXijに関する以下の正則化された正規方程式を解くことにより、未知節点分布の時系列の(Ui0,Ui1,…,Uin) 又は(Yi0,Yi1,…,Yin) が安定的に得られる。
Figure 0005441292
行列E’ij及びベクトルe’ij(i=1〜M, j=0〜n)は、各々、正規方程式(83)式の行列E’ij及びベクトルe’ijであり、行列Wij1ijI+λ2ijGTG+λ3ijGTGGTGである。
行列GG、GGGG、GtGt、GtGtGtGtの各々は、関心領域全体を対象とした未知節点分布(Ui0,Ui1,…,Uin)又は関心領域内の各構成領域を対象とした未知節点分布(Yi0,Yi1,…,Yin)が含む各未知節点分布Q’にかかる有限要素近似あるいは有限差分(離散)近似された前記ラプラシアン作用素、前記ラプラシアン2乗作用素、時間t(j)方向にかかる1階の偏微分作用素、及び、2階の偏微分作用素である。ここで、未知節点分布Q’は、未知節点導電率分布のL’ij、Lj’、未知節点誘電率分布のR’ij、R’j、未知である導電率と誘電率の比の節点分布のH1’ij、H1’j、未知である誘電率と導電率の比の節点分布のH2’ij、H2’jを含む。
また、(79)式の関心領域全体を対象とした未知節点分布の時系列からなる未知節点ベクトルXij=(U10 T,U11 T,…,U1n T,U20 T,U21 T,…,U2n T,……,UM0 T,UM1 T,…,UMn TT又は関心領域内の構成領域を対象とした未知節点分布の時系列からなる未知節点ベクトルXij=(Y10 T,Y11 T,…,Y1n T,Y20 T,Y21 T,…,Y2n T,……,YM0 T,YM1 T,…,YMn TTに関する汎関数IIi(Xij)を用いて導出される未知節点ベクトルXijに関する以下の正則化された正規方程式を解くことにより、未知節点分布の時系列の(U10,U11,…,U1n,U20,U21,…,U2n,……,UM0,UM1,…,UMn)又は(Y10,Y11,…,Y1n,Y20,Y21,…,Y2n,……,YM0,YM1,…,YMn)が安定的に得られる。
Figure 0005441292
但し、行列E’ij及びベクトルe’ij(i=1〜M, j=0〜n)は、各々、正規方程式(83)式の行列E’ij及びベクトルe’ijであり、行列Wij1ijI+λ2ijGTG+λ3ijGTGGTGである。
行列GG、GGGG、GtGt、GtGtGtGtの各々は、関心領域全体を対象とした未知節点分布(U10,U11,…,U1n,U20,U21,…,U2n,……,UM0,UM1,…,UMn) 又は関心領域内の各構成領域を対象とした未知節点分布(Y10,Y11,…,Y1n,Y20,Y21,…,Y2n,……,YM0,YM1,…,YMn)が含む各未知節点分布Q’にかかる有限要素近似あるいは有限差分(離散)近似された前記ラプラシアン作用素、前記ラプラシアン2乗作用素、時間t(j)方向にかかる1階の偏微分作用素、及び、2階の偏微分作用素である。ここで、未知節点分布Q’は、未知節点導電率分布のL’ij、Lj’、未知節点誘電率分布のR’ij、R’j、未知である導電率と誘電率の比の節点分布のH1’ij、H1’j、未知である誘電率と導電率の比の節点分布のH2’ij、H2’jを含む。
また、(80)式の関心領域全体を対象とした未知節点分布の時系列からなる未知節点ベクトルXj=(U0 T,U1 T,…,Un TT又は関心領域内の構成領域を対象とした未知節点分布の時系列からなる未知節点ベクトルXj=(Y0 T,Y1 T,…,Yn TTに関する汎関数IIi(Xj)を用いて導出される未知節点ベクトルXjに関する以下の正則化された正規方程式を解くことにより、未知節点分布の時系列の(U0,U1,…,Un)又は(Y0,Y1,…,Yn)が安定的に得られる。
Figure 0005441292
行列GG、GGGG、GtGt、GtGtGtGtの各々は、関心領域全体を対象とした未知節点分布(U0,U1,…,Un)又は関心領域内の各構成領域を対象とした未知節点分布(Y0,Y1,…,Yn)が含む各未知節点分布Q’にかかる有限要素近似あるいは有限差分(離散)近似された前記ラプラシアン作用素、前記ラプラシアン2乗作用素、時間t(j)方向にかかる1階の偏微分作用素、及び、2階の偏微分作用素である。
これより、関心領域内の、未知導電率分布のLij(3次元関心領域を対象とした場合には、σi(x,y,z,t))、Li[σi(x,y,z)]、L[σ(x,y,z)]、Lj[σ(x,y,z,t)]、未知誘電率分布のRij[εi(x,y,z,t)]、Ri[εi(x,y,z)]、R[ε(x,y,z)]、Rj[ε(x,y,z,t)]、未知である導電率と誘電率の比の分布のH1ij[h1i(x,y,z,t)]、H1i[h1i(x,y,z)]、H1[h1(x,y,z)]、H1j[h1(x,y,z,t)]、未知である誘電率と導電率の比の分布のH2ij[h2i(x,y,z,t)]、H2i[h2i(x,y,z)]、H2[h2(x,y,z)]、H2j[h2(x,y,z,t)]を推定できる。尚、有限要素近似を行った場合には、前記基底関数を用いる。2次元、1次元関心領域を対象とした場合も同様である。
正則化された正規方程式(98)式〜(106)式及び(113)式〜(115)式中の正則化パラメータλ1ij、λ2ij、λ3ij、λ4ij、λ5ijは、前記の第1基本原理にて示した正則化された正規方程式(19)式と同様に、関心領域全体を対象とした未知節点ベクトルU’又は関心領域内の各構成領域を対象とした未知節点ベクトルY’にかかる行列が各電位データVijに対して数値解析的に正定値となる様に、大きい値に調節される。あるいは、正則化パラメータλ1ij、λ2ij、λ3ij、λ4ij、λ5ijの各々を決定する正則化パラメータα1ij、α2ij、α3ij、α4ij、α5ijの各々、β1ij、β2ij、β3ij、β4ij、β5ijの各々、γ1ij、γ2ij、γ3ij、γ4ij、γ5ijの各々、η1ij、η2ij、η3ij、η4ij、η5ij の各々の値が、(92)式〜(97)式又は(107)式〜(112)式の各処罰項の各積分領域(各構成領域)内の、各電位データVijに対して評価される電位時空間偏微分分布データ(電位の時間方向の1階の偏微分分布データ、電位分布データ、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分分布データ、電界ベクトル分布データ、電界ベクトルの発散分布データ、電界ベクトルの発散分布の時間方向の1階の偏微分データ)の精度(SN比)により調節される。
詳細には、未知節点ベクトルU’又はY’に含まれる、(74)式〜(82)式の汎関数IIij(U’)中の(48)式〜(59)式の汎関数Iij(・)か(65)式〜(70)式の汎関数Iij(・)のいずれかから導出された、未知節点分布のL’ij、L’i、L’、L’j、H1ij、H1i、H1’、H1jにかかる正則化パラメータは、各処罰項の各積分領域内の電界ベクトル分布データと未知である導電率σ又は導電率と誘電率の比h1にかかる勾配作用素との内積の分布データと電界ベクトルの発散分布データの精度(SN比)により調節される。
また、未知節点ベクトルU’又はY’に含まれる、(74)式〜(82)式の汎関数IIij(U’)中の(48)式〜(55)式の汎関数Iij(・)か(60)式〜(63)式の汎関数Iij(・) か(65)式〜(67)式の汎関数Iij(・) か(71)式〜(73)式の汎関数Iij(・)のいずれかから導出された、未知節点分布のR’ij、R’i、R’、R’j、、H2ij、H2i、H2’、H2jにかかる正則化パラメータは、各処罰項の各積分領域内の電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分分布データと未知である誘電率ε又は誘電率と導電率の比h2にかかる勾配作用素との内積の分布データと電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分分布データの精度(SN比)により調節される。
即ち、SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きくなるように調節される。
例えば、未知節点ベクトルU’又はY’に含まれる、(74)式〜(82)式の汎関数IIij(U’)中の(48)式〜(59)式の汎関数Iij(・)か(65)式〜(70)式の汎関数Iij(・)のいずれかから導出された、未知節点分布のL’ij、L’i、L’、L’j、H1ij、H1i、H1’、H1jにかかる正則化パラメータは、各処罰項の各積分領域内の電界ベクトル分布データと未知である導電率σ又は導電率と誘電率の比h1にかかる勾配作用素との内積の分布データと電界ベクトルの発散分布データとのSNパワー比に反比例した値とすることがある。
また、未知節点ベクトルU’又はY’に含まれる、(74)式〜(82)式の汎関数IIij(U’)中の(48)式〜(55)式の汎関数Iij(・)か(60)式〜(63)式の汎関数Iij(・) か(65)式〜(67)式の汎関数Iij(・) か(71)式〜(73)式の汎関数Iij(・)のいずれかから導出された、未知節点分布のR’ij、R’i、R’、R’j、、H2ij、H2i、H2’、H2jにかかる正則化パラメータは、各処罰項の各積分領域内の電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分分布データと未知である誘電率ε又は誘電率と導電率の比h2にかかる勾配作用素との内積の分布データと電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分分布データとのSNパワー比に反比例した値とすることがある。
尚、各電位時空間偏微分分布データや各電位時空間勾配ベクトル分布データ(各電位分布における時間方向の1階の偏微分成分と空間方向の勾配ベクトル成分から成るベクトルの分布)のSN比は、測定された電位分布の時系列データの時空間方向の間隔や電位分布そのもの(即ち、電位時空間勾配方向、電位時空間勾配成分の大きさ)に依存する場合があるため、正則化パラメータα2ij、α3ij、α4ij、α5ijの各々、β2ij、β3ij、β4ij、β5ijの各々、γ2ij、γ3ij、γ4ij、γ5ijの各々、η2ij、η3ij、η4ij、η5ijの各々は、(92)式〜(97)式又は(107)式〜(112)式の処罰項成分の各々の偏微分の時空間方向によって変化するものとして実現されることがある。即ち、各処罰項の各積分領域(各構成領域)内の、各電位データVijに対して評価される電位時空間勾配ベクトル分布の成分分布のSN比に依存して、SN比が高い成分の時空間方向には小さく、SN比が低い成分の時空間方向には大きくなるように調節されることがある。
詳細には、正則化パラメータα2ijとα3ij、γ2ijとγ3ijは、汎関数Iij(・)として(48)式〜(59)式か(65)式〜(70)式が使用される場合には、電界ベクトルの各空間I,J,K方向成分とその成分と同一方向の未知である導電率σ又は導電率と誘電率の比h1にかかる1階偏微分作用素との積の空間分布データと電界ベクトルの同一成分の同一方向の1階偏微分の空間分布データの精度(SN比)により調節されるか、あるいは、電界ベクトルと未知である導電率σ又は導電率と誘電率の比h2にかかる1階偏微分作用素との内積の各空間I,J,K方向のΔx、Δy、Δz間の変化量の空間分布データと電界ベクトルの発散の各空間I,J,K方向のΔx、Δy、Δz間の変化量の空間分布データの精度(SN比)により調節される。
また、正則化パラメータβ2ijとβ3ij、η2ijとη3ijは、汎関数Iij(・)として(48)式〜(55)式の汎関数Iij(・)か(60)式〜(63)式の汎関数Iij(・) か(65)式〜(67)式の汎関数Iij(・) か(71)式〜(73)式のいずれかが使用される場合には、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分の各空間I,J,K方向成分とその成分と同一方向の未知である誘電率ε又は誘電率と導電率の比h2にかかる1階偏微分作用素との積の空間分布データと電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分の同一成分の同一方向の1階偏微分の空間分布データの精度(SN比)により調節されるか、あるいは、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分と未知である誘電率ε又は誘電率と導電率の比h2にかかる1階偏微分作用素との内積の各空間I,J,K方向のΔx、Δy、Δz間の変化量の空間分布データと電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分の各空間I,J,K方向のΔx、Δy、Δz間の変化量の空間分布データの精度(SN比)により調節される。
また、正則化パラメータα4ijとα5ij、γ4ijとγ5ijは、汎関数Iij(・)として(48)式〜(59)式か(65)式〜(70)式が使用される場合は、電界ベクトルと未知である導電率σ又は導電率と誘電率の比h1にかかる勾配作用素との内積の時間j方向のΔt間の変化量の空間分布データと電界ベクトルの発散の時間j方向のΔt間の変化量の空間分布データの精度(SN比)により調節される。
また、正則化パラメータβ4ijとβ5ij、η4ijとη5ijは、汎関数Iij(・)として(48)式〜(55)式の汎関数Iij(・)か(60)式〜(63)式の汎関数Iij(・) か(65)式〜(67)式の汎関数Iij(・) か(71)式〜(73)式のいずれかが使用される場合には、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分と未知である誘電率ε又は誘電率と導電率の比h2にかかる勾配作用素との内積の時間j方向のΔt間の変化量の空間分布データと電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分の時間j方向のΔt間の変化量の空間分布データの精度(SN比)により調節される。
例えば、各処罰項の各積分領域(各構成領域)内にて評価されるSNパワー比に反比例した値とすることがある。
その際には、これらの正則化パラメータの各々の値は、例えば、各時空間方向のデータ間隔が長い場合には小さく、データ間隔が短い場合には大きくなるように調節されることとなる(例えば、データ間隔の二乗に反比例した値)。従って、これら正則化パラメータの各々の値は、各積分領域(各構成領域)内の、各電位データVijに対して評価される電位時空間偏微分分布のSN比及び電位時空間勾配ベクトルの成分分布のSN比を決定する各要因より評価される各値に重要度の重み付けを行った上で算出される積の値に比例するように設定されることがある。
尚、電位時系列測定データの精度(SN比)の測定に関しては、測定器の測定精度の評価を行うべく、標準物体(例えば、電位が任意の一定値となる均質物体)を対象に、複数回、測定電位のレンジ内の値を持つ電位分布の時系列の測定を行い、その測定電位分布データの平均値の2乗及びその測定電位分布データの分散値の比からSNパワー比を評価する。あるいは、測定器及び測定系を含めた測定精度の評価を行うべく、真の測定対象を測定する際の測定系と同一の測定系において、又は、その測定系を実現して、同様に、計測対象物そのものを対象に、SN比を評価するようにしても良い。有限要素近似が行われた場合は、各要素の節点(I,J,K)の電位時空間偏微分データから、積分領域内の電位時空間偏微分分布のSN比が見積もられる。
また、正則化パラメータλ1ij、λ2ij、λ3ij、λ4ij、λ5ijの各々を決定する正則化パラメータα1ij、α2ij、α3ij、α4ij、α5ijの各々、β1ij、β2ij、β3ij、β4ij、β5ijの各々、γ1ij、γ2ij、γ3ij、γ4ij、γ5ijの各々、η1ij、η2ij、η3ij、η4ij、η5ij の各々の値は、各々がかかる(92)式〜(97)式又は(107)式から(112)式の各処罰項の積分領域(構成領域)内において空間的に変化するものとして実現されることもある。結果的に、これらの正則化パラメータは、未知節点分布U’又はY’を構成する各関心点の未知物性値にかかる局所行列が各電位データVijに対して数値解析的に正定値となる様に、大きい値に調節される。あるいは、正則化パラメータλ1ij、λ2ij、λ3ij、λ4ij、λ5ijの各々を決定する正則化パラメータα1ij、α2ij、α3ij、α4ij、α5ijの各々、β1ij、β2ij、β3ij、β4ij、β5ijの各々、γ1ij、γ2ij、γ3ij、γ4ij、γ5ijの各々、η1ij、η2ij、η3ij、η4ij、η5ij の各々の値は、(92)式〜(97)式又は(107)式から(112)式の各処罰項の各積分領域(各構成領域)内の、各関心点の各電位データVijに対して評価される電位時空間偏微分データ(電位の時間方向の1階の偏微分データ、電位データ、電界ベクトルデータ、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分データ、電界ベクトルの発散のデータ、電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分データ)の電位時空間偏微分データの大きさに依存する電位時空間偏微分データの精度(SN比)により調節される。
詳細には、未知節点ベクトルU’又はY’に含まれる、(74)式〜(82)式の汎関数IIij(U’)中の(48)式〜(59)式の汎関数Iij(・)か(65)式〜(70)式の汎関数Iij(・)のいずれかから導出された、未知節点分布のL’ij、L’i、L’、L’j、H1ij、H1i、H1’、H1jにかかる正則化パラメータは、関心点の電界ベクトルデータと未知である導電率σ又は導電率と誘電率の比h1にかかる勾配作用素との内積データと関心点の電界ベクトルの発散データの精度(SN比)により調節される。
また、未知節点ベクトルU’又はY’に含まれる、(74)式〜(82)式の汎関数IIij(U’)中の(48)式〜(55)式の汎関数Iij(・)か(60)式〜(63)式の汎関数Iij(・) か(65)式〜(67)式の汎関数Iij(・) か(71)式〜(73)式の汎関数Iij(・)のいずれかから導出された、未知節点分布のR’ij、R’i、R’、R’j、、H2ij、H2i、H2’、H2jにかかる正則化パラメータは、関心点の電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分データと未知である誘電率ε又は誘電率と導電率の比h2にかかる勾配作用素との内積データと関心点の電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分データの精度(SN比)により調節される。
即ち、SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きくなるように調節される。
例えば、未知節点ベクトルU’又はY’に含まれる、(74)式〜(82)式の汎関数IIij(U’)中の(48)式〜(59)式の汎関数Iij(・)か(65)式〜(70)式の汎関数Iij(・)のいずれかから導出された、未知節点分布のL’ij、L’i、L’、L’j、H1ij、H1i、H1’、H1jにかかる正則化パラメータは、関心点の電界ベクトルデータと未知である導電率σ又は導電率と誘電率の比h1にかかる勾配作用素との内積データと関心点の電界ベクトルの発散データとのSNパワー比に反比例した値とすることがある。
また、未知節点ベクトルU’又はY’に含まれる、(74)式〜(82)式の汎関数IIij(U’)中の(48)式〜(55)式の汎関数Iij(・)か(60)式〜(63)式の汎関数Iij(・) か(65)式〜(67)式の汎関数Iij(・) か(71)式〜(73)式の汎関数Iij(・)のいずれかから導出された、未知節点分布のR’ij、R’i、R’、R’j、、H2ij、H2i、H2’、H2jにかかる正則化パラメータは、関心点の電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分データと未知である誘電率ε又は誘電率と導電率の比h2にかかる勾配作用素との内積データと関心点の電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分データとのSNパワー比に反比例した値とすることがある。
尚、各電位時空間偏微分データや各電位時空間勾配ベクトルデータ(各電位分布における時間方向の1階の偏微分成分と空間方向の勾配ベクトル成分から成るベクトル)のSN比は、測定された電位分布の時系列データの時空間方向の間隔や電位分布そのもの(即ち、電位時空間勾配方向、電位時空間勾配成分の大きさ)に依存する場合があるため、各関心点において、電位時空間勾配ベクトルの成分のSN比はその成分ごとに異なるものとなり、正則化パラメータα2ij、α3ij、α4ij、α5ijの各々、β2ij、β3ij、β4ij、β5ijの各々、γ2ij、γ3ij、γ4ij、γ5ijの各々、η2ij、η3ij、η4ij、η5ijの各々は、位置だけでなく、(92)式〜(97)式又は(107)式〜(112)式の処罰項成分の各々の偏微分の時空間方向によって変化するものとして実現されることがある。即ち、これらの正則化パラメータの各々の値は、各電位データVijに対して評価される電位時空間勾配ベクトル分布の関心点の電位時空間勾配ベクトルの成分のSN比に依存して、SN比が高い成分の時空間方向には小さく、SN比が低い成分の時空間方向には大きくなるように調節されることがある。
詳細には、正則化パラメータα2ijとα3ij、γ2ijとγ3ijは、汎関数Iij(・)として(48)式〜(59)式か(65)式〜(70)式が使用される場合には、関心点の電界ベクトルの各空間I,J,K方向成分とその成分と同一方向の未知である導電率σ又は導電率と誘電率の比h1にかかる1階偏微分作用素との積のデータと関心点の電界ベクトルの同一成分の同一方向の1階偏微分データの精度(SN比)により調節されるか、あるいは、関心点の電界ベクトルと未知である導電率σ又は導電率と誘電率の比h2にかかる1階偏微分作用素との内積の各空間I,J,K方向のΔx、Δy、Δz間の変化量データと関心点の電界ベクトルの発散の各空間I,J,K方向のΔx、Δy、Δz間の変化量データの精度(SN比)により調節される。
また、正則化パラメータβ2ijとβ3ij、η2ijとη3ijは、汎関数Iij(・)として(48)式〜(55)式の汎関数Iij(・)か(60)式〜(63)式の汎関数Iij(・) か(65)式〜(67)式の汎関数Iij(・) か(71)式〜(73)式のいずれかが使用される場合には、関心点の電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分の各空間I,J,K方向成分とその成分と同一方向の未知である誘電率ε又は誘電率と導電率の比h2にかかる1階偏微分作用素との積のデータと関心点の電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分の同一成分の同一方向の1階偏微分のデータの精度(SN比)により調節されるか、あるいは、関心点の電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分と未知である誘電率ε又は誘電率と導電率の比h2にかかる1階偏微分作用素との内積の各空間I,J,K方向のΔx、Δy、Δz間の変化量の空間分布データと関心点の電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分の各空間I,J,K方向のΔx、Δy、Δz間の変化量データの精度(SN比)により調節される。
また、正則化パラメータα4ijとα5ij、γ4ijとγ5ijは、汎関数Iij(・)として(48)式〜(59)式か(65)式〜(70)式が使用される場合は、関心点の電界ベクトルと未知である導電率σ又は導電率と誘電率の比h1にかかる勾配作用素との内積の時間j方向のΔt間の変化量の空間分布データと関心点の電界ベクトルの発散の時間j方向のΔt間の変化量の空間分布データの精度(SN比)により調節される。
また、正則化パラメータβ4ijとβ5ij、η4ijとη5ijは、汎関数Iij(・)として(48)式〜(55)式の汎関数Iij(・)か(60)式〜(63)式の汎関数Iij(・) か(65)式〜(67)式の汎関数Iij(・) か(71)式〜(73)式のいずれかが使用される場合には、関心点の電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分と未知である誘電率ε又は誘電率と導電率の比h2にかかる勾配作用素との内積の時間j方向のΔt間の変化量の空間分布データと関心点の電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分の時間j方向のΔt間の変化量の空間分布データの精度(SN比)により調節される。
例えば、各処罰項の各積分領域(各構成領域)内の各位置において評価されるSNパワー比に反比例した値とすることがある。その際には、これらの正則化パラメータの各々の値は、例えば、各時空間方向のデータ間隔が長い場合には小さく、データ間隔が短い場合には大きくなるように調節されることとなる(例えば、データ間隔の二乗に反比例した値)。従って、これら正則化パラメータの各々の値は、各電位データVijに対して評価される電位時空間偏微分のSN比及びその各成分のSN比を決定する各要因より評価される各値に重要度の重み付けを行った上で算出される積の値に比例するように設定される。
尚、電位時系列測定データの精度(SN比)の測定に関しては、測定器の測定精度の評価を行うべく、標準物体(例えば、電位が任意の一定値となる均質物体)を対象に、複数回、測定電位のレンジ内の値を持つ電位分布の時系列の測定を行い、各位置において、各測定電位データの平均値の2乗及びその測定電位データの分散値の比からSNパワー比を評価する。あるいは、測定器及び測定系を含めた測定精度の評価を行うべく、真の測定対象を測定する際の測定系と同一の測定系において、又は、その測定系を実現して、同様に、計測対象物そのものを対象に、SN比を評価するようにしても良い。各節点(I,J,K)の電位時空間偏微分データのSN比、又は、各要素の節点の電位時空間偏微分のSN比より評価される各要素における電位時空間偏微分のSN比が見積もられる。
(II)あるいは、第1及び第2の基本原理に基づいて、1階の空間偏微分方程式の(41)式、(44)式、(46)式中にて未知パラメータのスペクトラムを扱い、(I)の場合と異なって、時空間方向にだけでなく周波数方向にも正則化を施して安定的に各未知パラメータを評価することがある。
例えば、3次元構成領域内の導電率σi(x,y,z,t)及び誘電率εi(x,y,z,t)の周波数分散(スペクトラムの周波数分布及び位相の周波数分布)の空間分布を計測対象とする場合に、前記の空間座標(x,y,z,I,J,K)のみを変数とする各基底関数が使用され、導電率空間分布の時系列σi(x,y,z,t) が、前記の導電率空間分布の時系列σi(x,y,z,j) (〜ΣI,J,Kφ3σ(I,J,K,x,y,z)σi(I,J,K,j))を各位置において時間j方向のFast Fourier’s Transform (FFT) [や Maximum Entropy Method (MEM)]等により得られるスペクトラム分布(や短時間スペクトラム分布)の各周波数l成分の大きさσi(x,y,z,l)及び位相θσi(x,y,z,l)を用いて、即ち、各位置の各周波数lのスペクトラムの実数成分(σi(x,y,z,l)cosθσi(x,y,z,l))及び虚数成分(σi(x,y,z,l)sinθσi(x,y,z,l))を用いて、次のように表される。
Figure 0005441292
ここで、太文字jは虚数単位を表し、i(=1〜M)は測定された独立した電位空間分布の時系列Vi(x,y,z,t)を表す。Mは測定された独立した電位空間分布の時系列の数(1以上)であり、l(=0〜n)は離散周波数座標であり、周波数fとは周波数データの間隔Δfを用いてf=lΔfの関係にある。
また、誘電率の空間分布の時系列εi(x,y,z,t)が、前記の誘電率の空間分布の時系列εi(x,y,z,j) (〜ΣI,J,Kφ3ε(I,J,K,x,y,z)εi(I,J,K,j))を各位置において時間j方向のFast Fourier’s Transform (FFT) (や Maximum Entropy Method (MEM))等により得られるスペクトラム分布(短時間スペクトラム分布)の各周波数l成分の大きさεi(x,y,z,l)及び位相θεi(x,y,z,l)を用いて、即ち、各位置の各周波数lのスペクトラムの実数成分(εi(x,y,z,l)cosθεi(x,y,z,l))及び虚数成分(εi(x,y,z,l)sinθεi(x,y,z,l))を用いて、次のように表される。
Figure 0005441292
ここで、太文字jは虚数単位を表す。
1階の空間偏微分方程式(41)式は、次のように表されるものとする。
Figure 0005441292
その場合には、各周波数lにおいて、次の1階の連立空間偏微分方程式が成立する。
Figure 0005441292
従って、1階の連立空間偏微分方程式の(116’ )式及び(116’’ )式を、(I)の場合の1階の空間偏微分方程式の(41)式を各時系列i(=1〜M)の各時間j(=0〜n)において扱う場合と同様に、有限要素近似(変分原理やガラーキン法に基づく)を行うことができる。
その場合は、前記の各基底関数を使用して、電位空間分布の時系列Vi(x,y,z,t)を節点電位空間分布の時系列Vi(I,J,K,j)を用いて、又、電位の時間方向の1階の偏微分の空間分布の時系列dV/dt(x,y,z,t)を電位の時間方向の1階の偏微分の節点空間分布の時系列dV/dt(I,J,K,j)を用いて、又、電界ベクトル成分の空間分布のEix(x,y,z,t)とEiy(x,y,z,t)とEiz(x,y,z,t)の各々を節点電界ベクトル成分の空間分布の時系列のEix(I,J,K,j)とEiy(I,J,K,j)とEiz(I,J,K,j)を用いて、又、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分の3成分の空間分布のdEix(x,y,z,t)/dtとdEiy(x,y,z,t)/dtとdEiz(x,y,z,t)/dtの各々を電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分の3成分の節点空間分布の時系列のdEix/dt(I,J,K,j)とdEiy/dt(I,J,K,j)とdEiz/dt(I,J,K,j)を用いて、又、電界ベクトルの発散の空間分布の時系列をその節点空間分布の時系列を用いて、電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分空間分布の時系列をその節点空間分布の時系列を用いて、近似した上で前記のいずれかの汎関数から導出される代数方程式に、各時系列i(=1〜M)の各時間j(=0〜n)の低域通過型フィルタのかけられた、節点電位空間分布データVi(I,J,K,j)、電位の時間方向の1階の偏微分の節点空間分布データdV/dt(I,J,K,j)、節点電界ベクトル成分の空間分布データのEix(I,J,K,j)とEiy(I,J,K,j)とEiz(I,J,K,j)、及び、節点電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分の3成分の空間分布のdEix/dt(I,J,K,j)とdEiy/dt(I,J,K,j)とdEiz/dt(I,J,K,j)、及び、電界ベクトルの発散の節点空間分布データ、及び、電界ベクトルの発散の時間方向の1階の偏微分の節点空間分布データを代入する。あるいは、有限差分近似を行う場合には、各々の空間分布の時系列を節点空間分布の時系列にて表した上で導出される有限差分方程式に、節点空間分布データを代入する。
さらに、既知の各物性パラメータの時系列の各周波数l(=0〜n)のスペクトラムの実数成分の節点空間分布データ及び虚数成分の節点空間分布データ(導電率の時系列の各周波数l(=0〜n)のスペクトラムの実数成分の節点空間分布データのσi(I,J,K,l)cosθσi(I,J,K,l)と虚数成分の節点空間分布データのσi(I,J,K,l)sinθσi(I,J,K,l)、及び、誘電率の時系列のスペクトラムの各周波数l(=0〜n)の実数成分の節点空間分布データのεi(I,J,K,l)cosθεi(I,J,K,l) と虚数成分の節点空間分布データのεi(I,J,K,l)sinθεi(I,J,K,l)) を代入することにより、各時系列i(=1〜M)の各時間j(=0〜n)において、各周波数l(=0〜n)の、導電率の時系列のスペクトラムの実数成分の節点空間分布σi(I,J,K,l)cosθσi(I,J,K,l)と虚数成分の節点空間分布σi(I,J,K,l)sinθσi(I,J,K,l)及び誘電率のスペクトラムの実数成分の節点空間分布εi(I,J,K,l)cosθεi(I,J,K,l)とスペクトラムの虚数成分の節点空間分布εi(I,J,K,l)sinθεi(I,J,K,l)に関する代数方程式の(64)式を2個得る。
この様に、(41)式、(44)式、(46)式のいずれの1階の空間偏微分方程式が使用される場合においても、同様に、計測対象である物性パラメータの空間分布のみが、周波数領域においてその節点空間分布のスペクトラム及び空間座標のみを変数とする基底関数を用いて近似されて代数方程式(64)式が導出される。以下、これらの代数方程式が連立されて正則化される際には、前記の如く、Pijにより正規化される。
(A)各時系列i(=1〜M)の各時間j(=0〜n)の各周波数l(=0〜n)において導出される2個の代数方程式は、各々、1つ以上の未知パラメータの周波数lの実数成分の空間分布と虚数成分の空間分布の各々について解かれることがある((64)式又は正規方程式の(83)式)。
(B)異なる時系列i(=1〜M)や異なる時間j(=0〜n)の各々において導出される2個の代数方程式は、各々、1つ以上の未知パラメータの周波数lの実数成分の空間分布と虚数成分の空間分布の各々に関して連立され、全ての未知パラメータの周波数lの実数成分の空間分布と虚数成分の空間分布の各々について解かれることがある(正規方程式の(84)式〜(91)式)。
(C)異なる時系列i(=1〜M)や異なる時間j(=0〜n)の各々において導出される2個の代数方程式は、各々、1つ以上の未知パラメータの周波数lの実数成分の空間分布と虚数分布の空間分布の各々に関して連立され、全ての未知パラメータの各周波数lの実数成分の空間分布と虚数成分の空間分布の各々を空間的に安定化させるべく、これらの実数成分の空間分布と虚数成分の空間分布に関する連立方程式の各々に(92)式〜(97)式の処罰項を用いた正則化が施されることがある(正規方程式の(98)式〜(106)式)。この場合、各未知パラメータの各周波数lの実数成分の空間分布と虚数成分の空間分布にかかる正則化パラメータは、(41)式、(44)式、(46)式の1階の空間偏微分方程式中にて各未知パラメータのかかる物理量(前記の通り、例えば、未知パラメータが導電率σである場合は、電界ベクトルと電界ベクトルの発散、未知パラメータが誘電率である場合は、電界ベクトルの時間方向の1階の偏微分と電界ベクトルの発散の時間方向の1階偏微分)の周波数l成分の構成領域内において使用された時間内のSNパワー比に反比例する様に決定されることがある。尚、正則化パラメータは、時間と位置に依存するものとして扱われることもある。
(D)同様に、異なる時系列i(=1〜M)や異なる時間j(=0〜n)の各々において導出される2個の代数方程式は、各々、1つ以上の未知パラメータの周波数lの実数成分の空間分布と虚数成分の空間分布に関して連立され、全ての未知パラメータの各周波数lの実数成分の空間分布と虚数成分の空間分布の各々を時間方向に安定化させるべく、これらの実数成分の空間分布と虚数成分の空間分布に関する連立方程式の各々に(107)式〜(112)式の処罰項を用いた正則化が施されることがある(正規方程式の(113)式〜(115)式)。この場合、各未知パラメータの各周波数lの実数成分の空間分布と虚数成分の空間分布にかかる正則化パラメータは、(41)式、(44)式、(46)式の1階の空間偏微分方程式中にて各未知パラメータのかかる物理量の周波数l成分の構成領域内において使用された時間内のSNパワー比に反比例する様に決定されることがある。尚、正則化パラメータは、時間と位置に依存するものとして扱われることもある。
(E)任意の時系列iの任意の1つの時間jにおいて、導出される1つ以上の未知パラメータの各周波数lの実数成分の空間分布と虚数成分の空間分布の各々に関する代数方程式を全ての周波数(l=0〜n)に関して連立した上で、各位置において全ての未知パラメータのスペクトラムの実数成分分布と虚数成分分布の各々を周波数方向に安定化させるべく、(92)式〜(97)式や(107)式〜(112)式の処罰項と同様に、各未知パラメータのスペクトラムの実数成分分布と虚数成分分布の各々の周波数方向の1階の偏微分と2階の偏微分(各々に正則化パラメータがかかる)の構成領域内の積分の和として定義される処罰項を用いた正則化が施されることがある。これらの各未知パラメータの各周波数lの実数成分の空間分布と虚数成分の空間分布にかかる正則化パラメータは、(41)式、(44)式、(46)式の1階の空間偏微分方程式中にて各未知パラメータのかかる物理量の各周波数lのSNパワー比に反比例する様に決定されることがある。尚、正則化パラメータは位置と時間に依存するものとして扱われることもある。
さらに、上記の(C)や(D)と同様に、1つ以上の未知パラメータの空間分布の各々を、空間的に、又、時間方向に安定化させるべく、異なる時系列(i=1〜M)や時間j(=0〜n)において導出される全ての未知パラメータの各周波数lの実数成分の空間分布と虚数成分の空間分布の各々に関する代数方程式を全ての周波数(l=0〜n)に関して連立した上で、上記の周波数方向に関する処罰項に(92)式〜(97)式や(107)式〜(112)式の処罰項を加えた処罰項を用いて正則化が施されることがある。これらの各未知パラメータの各周波数lの実数成分の空間分布と虚数成分の空間分布にかかる正則化パラメータは、(41)式、(44)式、(46)式の1階の空間偏微分方程式中にて各未知パラメータのかかる物理量の各周波数l成分の使用された時間内のSNパワー比に反比例する様に決定されることがある。尚、正則化パラメータは位置と時間に依存するものとして扱われることもある。
以上の通り、代数方程式の(64)式を用いた上記の(A)〜(E)いずれかにより、使用された電位の時間方向の1階の偏微分分布の時系列データの時間内の各未知パラメータの周波数分散が求められる。
また、節点導電率空間分布の時系列は、各位置において使用された節点電界ベクトルの時系列データの時間内において求められたスペクトラム分布に、各位置において、逆フーリ変換を施すことにより求められる。例えば、時間j=0〜nにおいて、節点導電率空間分布の時系列は、
Figure 0005441292
であり、これより、導電率空間分布の時系列σi(x,y,z,t)が求められる。
2次元、1次元構成領域を対象とした場合も同様である。
また、(I)の処理が行われた場合においては、逆に、直接的に求められる計測対象を各位置において関心時間内においてスペクトラム解析を行うことにより、その時間内の各物性パラメータの周波数分散の空間分布を評価することが可能である。各物性パラメータの周波数分散そのものを最終的な計測対象とする場合は、(I)及び(II)のいずれの場合においても、各物性パラメータの周波数分散の関心のある周波数帯域を対象とできる様に、充分に広帯域の電位分布の時系列データを生成させるべく、積極的に、電流源や電圧源の周波数(単一)を変えながら、電位分布の測定を行う、あるいは、広帯域の電流源や電圧源を使用して電位分布の測定を行うことがある。
尚、(II)において、電位データの瞬時スペクトラムを測定した場合(Hilbert変換により複素解析信号の実数信号V(x,y,z,t)と虚数信号V’(x,y,z,t)を得、これより求まる位相(アンラッピングされたもの)に時間微分を施すか、あるいは、各種窓関数を使用して移動平均されることのある(dV’/dt(x,y,z,t)・V(x,y,z,t)−dV/dt(x,y,z,t)・V’(x,y,z,t))/(V(x,y,z,t)・V(x,y,z,t)+V’(x,y,z,t)・V’(x,y,z,t))より瞬時周波数fi(x,y,z,t)を得る)は、瞬時周波数を周波数lとして扱えばよい。また、測定される電位分布が正弦的に単一周波数にて変化する場合は、その(単一)周波数を周波数lとして扱えばよい。
尚、(II)において、未知パラメータに関するスペクトラム解析は時間方向にではなく、空間方向に適用されて、同様に、各未知パラメータ分布が求められることがある。
以上が本発明に係る誘電率又は導電率推定方法の基本原理であるが、参照領域を形成するために、測定対象物以外の各種参照物質を測定対象物の関心領域内に添えて参照値を得ることも考えられる。また、測定対象物の関心領域内に電位データが欠落した場合には、その時間の点又は領域を関心領域から除外して演算を行い、その演算後において、関心領域から除外された時間の点又は領域の、誘電率分布又は導電率分布、これらの経時的変化や周波数分散を、推定された誘電率分布又は導電率分布、これらの経時的変化や周波数分散から、関心時空間内において内挿又は外挿補間処理することにより評価することがある。
尚、同様に非等方性の計測対象が扱われることがある。
また、上記の誘電率又は導電率やこれらの高次データの計測は、計測対象の非線形特性を捉えるべく、非線形現象を微少時間内や微小空間内の線形近似を行った場合に適用されることがある。
また、関心領域内のある領域内又はある点においては電流源(分布、時系列)jや電荷(分布、時系列)qのデータが与えられて、誘電率分布εや導電率分布σが求められることがある。(電荷(分布、時系列)をqとして、∇(σE)+d/dt・q=0、又は、∇(σE+ε・d/dt・E)+d/dt・q=0、又は、∇(εE)=qが扱われる。電流源(分布、時系列)jは∇j=−d/dt・qと表される。)

また、これら電流源(分布、時系列)や電荷(分布、時系列)がこれら電気物性値と共に同様に求められることもある(単一の電界分布より求められることがある)。また、物性値を求めた上で電界分布を計測し、電流源(分布、時系列)や電荷(分布、時系列)を求めることがある。以上より、電界ベクトル分布や電流密度ベクトル分布の予測を可能とすることができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る誘電率又は導電率推定装置について説明する。本発明の第1の実施形態に係る誘電率又は導電率推定装置は、基本構成となっており、試料設置台の上に測定対象物を載置して測定を行うものであった。これに対し、本発明の第2の実施形態に係る誘電率又は導電率推定装置は、測定対象物が試料設置台に載せられないもの、例えば寸法の大きなもの、あるいは現在存在する位置から移動のできない構築物等である場合に対応したものである。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る誘電率又は導電率推定装置の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る誘電率又は導電率推定装置は、電圧センサ1を測定対象物4に向け、且つ、電圧センサ1と測定対象物4との相対位置の変化(走査)を行わせることのできる電圧センサ保持機構17を有している。尚、電圧センサ保持機構17と距離調整手段14の位置を上下逆にすることも可能である。
次に、本発明の第3の実施形態に係る誘電率又は導電率推定装置について説明する。
図6は、本発明の第3の実施形態に係る誘電率又は導電率推定装置の構成を示すブロック図である。本発明の第3の実施形態に係る誘電率又は導電率推定装置は、電圧センサ側に設けられた第1の走査機構10と、試料設置台側に設けられた第2の走査機構11とを有している。これにより、高速で自由度の高い走査が可能となる。本実施形態においては、距離調整手段14を電圧センサ側に設けているが、距離調整手段14を測定対象物側に設けてもかまわない。また、第1の走査機構10の位置と距離調整手段14の位置を上下逆にすることも可能である。
無論、以上の実施形態において、マイクロ電極アレイを使用して、神経回路網などの小さいものを計測対象とすることもできる。
次に、本発明の一実施形態に係る電流密度ベクトル推定装置及び導電率推定装置について、図面に基づき詳細に説明する。
本実施形態では、磁気、静磁界、又は、電磁波検出素子、及び、その1次元、2次元、又は、3次元アレイ型素子群を使用した磁場ベクトル検出器などの非接触検出器を用いて、必要に応じて参照物を未知試料にあてがうことにより設定できる3次元関心空間又は2次元関心領域又は1次元関心領域内の参照領域内にて与えられる導電率参照値(たとえば、真値、単位値など)に対する相対的な導電率分布を安定的に再構成できるように、適宜、磁場ベクトル又は磁場ベクトル成分を適切に測定し、考案した数値解析法を用いて必要となる電流密度ベクトル分布の高精度な推定を可能として、絶対的な導電率分布、又は、相対的な導電率分布の再構成を可能とする。
以下、直交デカルト座標系(x, y, z)を用いて説明する。
導電率分布を推定する際に使用する代表的な連立一階偏微分方程式は以下の通りである。
Figure 0005441292
Figure 0005441292
Figure 0005441292
但し、J1 (x,y,z) [ = (J1x(x,y,z),J1y(x,y,z),J1z(x,y,z))T]とJ2(x,y,z)[ = (J2x(x,y,z),J2y(x,y,z),J2z(x,y,z))T]は3次元関心空間外又は2次元関心領域外に存在する電流源により生成される任意の二つの独立した電流場の電流密度ベクトル分布である。
これらの方程式は、各々、
Figure 0005441292
Figure 0005441292
Figure 0005441292
と表せる。
電流場が一つである場合は、各(117a)式、(117b)式、(117c)式、(又は(118a)式、(118b)式、(118c)式)中の一つの偏微分方程式のみが成立する。避けるべきことではあるが、電流場が複数である場合は、この偏微分方程式がその個数だけ連立することとなる。
尚、(117a)式〜(117c)式及び(118a)式〜(118c)式は、各々、両辺に、1/σ(x,y,z)及びσ(x,y,z)をかけた上で扱われることもある。
以下、各(117a)式、(117b)式、(117c)式(又は(118a)式、(118b)式、(118c)式)中の電流データセットを、例えば、電流ベクトルJ1(x,y,z)に関して、(J1x(x,y,z), J1y(x, y, z))T、(J1y(x,y,z), J1z(x, y, z))T 、( J1z(x, y, z), J1x(x,y,z))Tとベクトル表示し、これら3つのベクトルの各々を電流ベクトルJ1(x, y, z)の擬似2次元電流密度ベクトルと呼ぶ。
例えば、3次元関心空間内の任意z座標z=Zの2次元平面(x, y, Z)内の導電率を推定するためには、(117a)式(又は、(118a)式)よりわかる通り、その平面(x, y, Z)内にて3次元電流密度ベクトルJ1(x, y, z)の擬似2次元電流密度ベクトル(J1x(x, y, Z), J1y(x, y, Z))Tが測定される必要がある。従って、測定される電流密度ベクトルの次元数及び成分の方向により、任意のx座標Xの平面(X, y, z)に関する(117b)式(又は、(118b)式)、任意のy座標Yの平面(x, Y, z)に関する(117c)式(又は、(118c)式)も用いることが可能となる。また、計測対象物を2次元物体として扱う場合はz座標を特定してz=Zとする2次元物体の位置を2次元座標(x,y,Z)で表すが、この場合、(117a)式(又は、(118a)式)のみが成立する。
尚、3次元関心空間内又は2次元関心領域内にて超伝導体を含みうる場合は(117a)〜(117c)式を、導電率σ(x, y, z)がゼロとなる絶縁体を含みうる場合は(118a)〜(118c)式を用いる。又、3次元関心空間内又は2次元関心領域内にて導電率が極めて高い物体・領域を含みうる場合は(117a)〜(117c)式を、導電率が極めて低い物体・領域を含みうる場合は(118a)〜(118c)式を用いる。
一方、導電率の推定に必要となる参照導電率は、初期条件として、一般的には、
lnσ(x, y, Z)=lnσl (x, y, Z)∈wl(l=1〜N) …(119)
という様に、各z =Zの平面(x, y, Z)内にて導電率分布を決定する場合は、二つ以上の電流場が測定された場合にはその平面内の少なくとも一点wlにて参照値が与えられれば良い。Nは、参照点の数である。また、一つの場が測定された場合にはその平面内にて電流が支配的に流れる方向に長く広がる参照領域wlを実現する必要がある。この場合、Nは、参照領域の数である。
従って、3次元電流密度ベクトル、又は、その擬似2次元電流密度ベクトルが3次元関心空間内又は2次元関心領域内にて測定されれば、この関心空間・領域にわたり、適宜、上記(117a)式、(117b)式、(117c)式(又は(118a)式、(118b)式、(118c)式)中の偏微分方程式が成立し、参照導電率が適切に与えられた範囲内にて、時に推定された導電率も参照値として用いることが可能なため冗長的になるが、導電率分布を一意に表現できる。しかし、実際には、測定データはエラー(ノイズ)を必ず含み、特に3つの内の一つの擬似2次元電流密度ベクトル分布のみが測定される場合には参照領域の広がる方向、大きさ、位置が不適切な状態になり、推定が不安定になる。そこで、考案した数値解析法(出願中)を応用して、直接的にその3次元空間内の導電率空間分布を推定する、又は、2次元関心領域ごとに推定することにより、3次元関心空間内又は2次元関心領域内の導電率空間分布を推定する。但し、複数の電流密度ベクトル分布が測定された場合は、各擬似2次元電流密度ベクトル分布データは、その擬似2次元電流密度ベクトルの関心空間内の各2次元分布のノルム(大きさ)を用いて正規化される。又、特に、(117a)式の両辺に1/σ(x,y,z)がかけられて導電率分布1/σ(x,y,z)又は電流密度ベクトル分布に関して有限差分近似される場合、又、(118a)式の両辺にσ(x,y,z)がかけられて導電率分布σ(x,y,z)又は電流密度ベクトル分布に関して有限差分近似される場合、又、(117a)式の両辺に1/σ(x,y,z)がかけられて1/σ(x,y,z)に関して有限要素近似(変分法又はガラーキン法)が適用される場合、又、(118a)式の両辺にσ(x,y,z)がかけられてσ(x,y,z)に関して有限要素近似(変分法又はガラーキン法)が適用される場合においては、各擬似2次元電流密度ベクトル分布データ及びその擬似2次元電流密度ベクトルの回転の分布データは、擬似2次元電流密度ベクトルと導電率にかかる勾配作用素との内積の関心領域内の各2次元分布のパワーと擬似2次元電流密度ベクトルの回転のその2次元分布のパワーの和の平方根を用いて正規化されることがある。
2次元電流密度ベクトル分布が測定された場合を想定し、正則化においてx,y方向の2次元勾配作用素Dを用いることもあるが、3次元関心空間にて成立した方程式を連立して3次元導電率空間分布を求めることも可能であり、その場合の正則化においては3次元勾配作用素D'を用いることとなる。以下に、この場合のこの手順を示す。
一階空間偏微分方程式及び初期条件に対し、離散デカルト座標系(I, J, K)〜(x/Δx, y/Δy, z/Δz)を用い(但し、Z = K'Δzとする。)、3次元未知導電率空間分布ln(1/σ(x, y, z))又はlnσ(x, y, z)あるいは電流密度ベクトル分布J(x,y, z)に関して有限差分近似あるいは有限要素近似(変分原理又はガラ−キン法を使用。導電率分布ln(1/σ(x,y, z))又はlnσ(x, y, z)及び電流密度ベクトル分布J(x, y, z) ( =(Jx(x, y, z), Jy(x, y, z), Jz(x, y, z))T)を近似する際に使用する3次元基底関数(有限要素の節点数は略。以下、同様。)φσ(I,J,K,x,y,z)(ln(1/σ(x,y,z))〜ΣI,J,K φσ(I,J,K,x,y,z)ln(1/σ(I,J,K))、 lnσ(x,y,z) 〜 ΣI,J,Kφσ(I,J,K,x,y,z)lnσ(I,J,K)と近似される)及びφJ(I,J,K,x,y,z)(J(x,y,z)〜 (ΣI,J,KφJ(I,J,K,x,y,z)Jx(I,J,K), ΣI,J,KφJ(I,J,K,x,y,z)Jy(I,J,K),ΣI,J,KφJ(I,J,K,x,y,z)Jz(I,J,K))Tと近似される)は、共に、1回以上偏微分可能であることが必要である。但し、電流密度ベクトル分布に変分原理(いわゆる、エネルギー最小化の原理)を使用した場合(汎関数であるエネルギ関数は1/σ(x,y,z)を用いて表され、関心領域内に絶縁体を含む場合は使用できない)、および、電流密度ベクトル分布を近似するための基底関数を重み関数としてガラーキン法を使用して導電率分布の勾配に部分積分を施した場合においては、導電率分布の基底関数φσは直流でも構わない。)を適用し、初期条件を代入することにより、有限差分近似を適用した場合には以下の3次元未知導電率空間分布に関する連立方程式(120)を得る。
JDs=j …(120)
但し、
s:未知導電率空間分布ln(1/σ(I, J, K))又はlnσ(I, J, K)を表すベクトル
D:ln(1/σ(x, y, z))又はlnσ(x, y, z)に関するx, y方向の2次元勾配作用素の有限差分(前方差分近似、後方差分近似、など)定数からなる行列
J:低域通過型フィルタをかけた擬似2次元電流密度ベクトル分布(Jx(I, J, K), Jy(I, J, K))T、(Jy(x, y, z), Jz(x, y, z))T、(Jz(x, y, z), Jx(x, y, z))Tから定まる行列(但し、複数の電流密度ベクトル分布が測定された場合は、各擬似2次元電流密度ベクトル分布データは、その擬似2次元電流密度ベクトルの関心空間内の各2次元分布のノルム(大きさ)を用いて正規化されたものである。)
j:低域通過型フィルタをかけた擬似2次元電流密度ベクトル(正規化された)
の一階偏微分値からなるベクトルである。
有限要素法(変分原理又はガラーキン法)が使用された場合においても、参照導電率を使用した上で3次元未知導電率空間分布ln(1/σ(I, J, K))又はlnσ(I, J, K)に関する連立方程式が導出される。従って、使用される3次元基底関数φσ(I, J, K, x, y, z)は、上記にて初期値として与えられる3次元関心空間内の参照領域wl又は参照点wl内の参照導電率を矛盾なく表すことのできるものである必要がある。
尚、この3次元関心空間を対象にして有限要素法が使用される際に、各z座標z=Z(K = K')の2次元平面(x, y, Z)内の2次元関心領域内にて擬似2次元電流密度ベクトル分布J(x, y, Z) ( = (Jx(x, y, Z), Jy(x, y, Z))T)が測定されてこの擬似2次元電流密度ベクトル分布データのみが使用される場合は、各2次元関心領域内の、2次元導電率分布ln(1/σ(x, y, Z))及びlnσ(x, y, Z)は2次元基底関数φσ(I,J,K',x,y,Z)を用いてln(1/σ(x,y,Z))〜 ΣI,Jφσ(I,J,K',x,y,Z)ln(1/σ(I,J,K'))、lnσ(x,y,Z)〜 ΣI,Jφσ(I,J,K',x,y,Z)lnσ(I,J,K')と近似されることもあり、また、擬似2次元電流密度ベクトル分布J(x, y, Z) ( =(Jx(x, y, Z), Jy(x, y, Z))T)は2次元基底関数φJ(I,J,K',x,y,Z)を用いてJ(x,y,Z)〜(ΣI,JφJ(I,J,K',x,y,Z)Jx(I,J,K'), ΣI,JφJ(I,J,K',x,y,Z)Jy(I,J,K'))Tと近似されることもある。使用されるこれらの2次元基底関数の微分可能性に関しては3次元基底関数と同様であり、加えて、2次元基底関数φσ(I,J,K',x,y,Z)は各2次元関心領域内の参照領域wl又は参照点wl内の参照導電率を矛盾なく表すことのできるものである必要がある。これより、各2次元関心領域内の2次元未知導電率分布ln(1/σ(I, J, K'))又はlnσ(I, J, K')に関する連立方程式が導出される。
また、z座標z=Z(K = K')の2次元物体内の2次元関心領域を対象とする場合においても、有限差分近似される、あるいは、有限要素法が使用される(2次元導電率分布ln(1/σ(x, y, Z))及びlnσ(x, y, Z)は2次元基底関数φσ(I,J,K',x,y,Z)を用いてln(1/σ(x,y,Z))〜ΣI,Jφσ(I,J,K',x,y,Z)ln(1/σ(I,J,K'))、lnσ (x,y,Z)〜 ΣI,Jφσ(I,J,K',x,y,Z)lnσ(I,J,K')と近似され、2次元電流密度ベクトル分布J(x, y, Z) ( =(Jx(x, y, Z), Jy(x,y, Z))T)は2次元基底関数φJ(I,J,K',x,y,Z)を用いてJ(x,y,Z)〜(ΣI,JφJ(I,J,K',x,y,Z)Jx(I,J,K'), ΣI,JφJ(I,J,K',x,y,Z)Jy(I,J,K'))Tと近似される。使用されるこれらの2次元基底関数の微分可能性に関しては3次元基底関数と同様であり、加えて、2次元基底関数φσ(I,J,K',x,y,Z)は2次元関心領域内の参照領域wl又は参照点wl内の参照導電率を矛盾なく表すことのできるものである必要がある。)ことにより、2次元関心領域内の2次元未知導電率分布ln(1/σ(I, J, K'))又はlnσ(I, J, K')に関する連立方程式が導出される。
また、3次元関心空間において、(117a)式〜(117c)式及び(118a)式〜(118c)式が、各々、両辺に1/σ(x,y,z)及びσ(x,y,z)がかけられて扱われる場合においても、同様に、有限差分近似される、あるいは、有限要素法が使用される(導電率分布1/σ(x,y,z)及びσ(x,y,z)は3次元基底関数φσ(I,J,K,x,y,z)を用いて1/σ(x,y,z)〜ΣI,J,Kφσ(I,J,K,x,y,z)(1/σ(I,J,K))、σ(x,y,z) 〜 ΣI,J,Kφσ(I,J,K,x,y,z)σ(I,J,K)と近似され、電流密度ベクトル分布J(x,y,z) ( =(Jx(x,y,z), Jy(x,y,z), Jz(x,y,z))T)は3次元基底関数φJ(I,J,K,x,y,z)を用いてJ(x,y,z)〜(ΣI,J,KφJ(I,J,K,x,y,z)Jx(I,J,K), ΣI,J,KφJ(I,J,K,x,y,z)Jy(I,J,K),ΣI,J,KφJ(I,J,K,x,y,z)Jz(I,J,K))Tと近似される。使用されるこれらの3次元基底関数の微分可能性に関しては上記の通りで、加えて、3次元基底関数φσ(I,J,K,x,y,z)は参照導電率を矛盾なく表すことのできるものである。)ことにより、各々から、3次元未知導電率分布1/σ(I,J,K)及びσ(I,J,K)に関する連立方程式が導出される。
尚、この3次元関心空間を対象にして有限要素法が使用される際に、各z座標z=Z(K= K')の2次元平面(x, y, Z)内の2次元関心領域内にて擬似2次元電流密度ベクトル分布J(x, y, Z) ( =(Jx(x,y,Z), Jy(x, y, Z))T)が測定されてこの擬似2次元電流密度ベクトル分布データのみが使用される場合は、同様に、各2次元関心領域内の、2次元導電率分布1/σ(x,y, Z)及びσ(x, y, Z)は2次元基底関数φσ(I,J,K',x,y,Z)を用いて1/σ(x,y,Z)〜 ΣI,Jφσ(I,J,K',x,y,Z)(1/σ(I,J,K'))、σ(x,y,Z)〜 ΣI,Jφσ(I,J,K',x,y,Z)σ(I,J,K')と近似されることもあり、また、擬似2次元電流密度ベクトル分布J(x,y, Z) ( =(Jx(x, y, Z), Jy(x, y, Z))T)は2次元基底関数φJ(I,J,K',x,y,Z)を用いてJ(x,y,Z)〜(ΣI,JφJ(I,J,K',x,y,Z)Jx(I,J,K'), ΣI,JφJ(I,J,K',x,y,Z)Jy(I,J,K'))Tと近似されることもある。
使用されるこれらの2次元基底関数の微分可能性に関しては上記の通りで、加えて、2次元基底関数φσ(I,J,K',x,y,Z)は参照導電率を矛盾なく表すことのできるものである。これより、各2次元関心領域内の2次元未知導電率分布1/σ(I,J, K')又はσ(I, J, K')に関する連立方程式が導出される。また、z座標z=Z(K = K')の2次元物体内の2次元関心領域を対象とする場合においても、同様に、有限差分近似される、あるいは、有限要素法が使用される(2次元導電率分布1/σ(x,y,Z)及びσ(x,y,Z)は2次元基底関数φσ(I,J,K',x,y,Z)を用いて1/σ(x,y,Z)〜 ΣI,J φσ(I,J,K',x,y,Z)(1/σ(I,J,K'))、σ(x,y,Z) 〜ΣI,Jφσ(I,J,K',x,y,Z)σ(I,J,K')と近似される。使用されるこれらの2次元基底関数の微分可能性は上記の通りで、加えて、2次元基底関数φσ(I,J,K',x,y,Z)は参照導電率を矛盾なく表すことのできるものである。) ことにより、2次元関心領域内の2次元未知導電率分布1/σ(I,J, K')又はσ(I, J, K')に関する連立方程式が導出される。
次に、3次元関心空間において有限差分近似が行われたこの場合、この連立方程式を最小二乗法を用いて解くことになるが、その際に正則化を施すことによりJDの逆作用素がjに含まれる高周波数帯のノイズを増幅させることを抑圧することがある。また、有限要素法を用いた場合においても、導出された連立方程式を最小二乗法を用いて解く際に、同様に、正則化を施すことがあるが、導電率空間分布ln(1/σ(x, y, z))、1/σ(x, y, z)、lnσ(x, y, z)、又、σ(x, y, z)に関して変分原理を適用する場合に、
(117a)式に対応する汎関数:
Figure 0005441292
(117a)の両辺に1/σ(x,y,z)がかけられた場合に対応する汎関数:
Figure 0005441292
(118a)式に対応する汎関数:
Figure 0005441292
(118a)式の両辺にσ(x,y,z)がかけられた場合に対応する汎関数:
Figure 0005441292
には、後述の通り、最小化(変分)を行う際に正則化を施すこともある。
具体的には、正則化パラメータα1及びα2(正値)を用いて、
Rs(s)=‖j−JDs‖2+ α1‖D's‖2 + α2‖D'TD's‖2 …(123)
但し、
D's:未知導電率空間分布ln(1/σ(x, y, z))又はlnσ(x, y, z)の3次元勾配の近似
D'TD's:ln(1/σ(x, y, z))又はlnσ(x, y, z)の3次元ラプラシアンの近似
なる汎関数をsに関して最小化する。
参照領域が不適切である場合においても、D's及びD'TD'sは正定値であるため、Rs(s)は必ず一つの最小値を持つことになる。
Rs(s)の最小化により、正則化された正規方程式
(DTJTJD+α1D'TD' +α2 D'TD'D'TD')s = DTJTj …(124)
が得られ、従って、解は
s=(DTJTJD+α1 D'TD' +α2D'TD'D'TD')-1 DTJTj …(125)
である。
ここで、D'およびD'TD'の各々は、有限差分近似された場合は3次元勾配作用素および3次元ラプラシアン作用素の有限差分近似であり、有限要素法が使用された場合は3次元勾配作用素および3次元ラプラシアン作用素の有限差分近似か又は有限要素近似(但し、この場合、使用される3次元基底関数φσ(I,J,K,x,y,z)は2回以上偏微分可能である必要があり、上記にて初期値として与えられる3次元関心空間内の参照領域wl又は参照点wl内の参照導電率を矛盾なく表すことのできるものである必要がある。)であり、その2乗ノルムが使用される。また、有限要素法が使用された場合には、新たに正則化パラメータα0が導入され、導電率分布sの二乗ノルムに乗じられた上で汎関数Rs(s)((123)式に該当) に加えられ、最小化が行われることがある。その際に導出されるsに関する正則化された正規方程式 ((124)式に該当) においては、sには近似的に導出されるα0I(I:単位行列)か又は厳密に導出されるα0I'(I':3次元基底関数φσ(I,J,K,x,y,z)を用いて表される行列)もかかることとなる。
また、(117a)式〜(117c)式及び(118a)式〜(118c)式が、各々、両辺に1/σ(x,y,z)及びσ(x,y,z)がかけられて、有限差分近似される、あるいは、有限要素法が使用される場合においても、同様に、正則化が施されることがある。
また、z座標z=Z(K = K')の2次元平面(x, y, Z)内の2次元関心領域そのものを対象とする上記のいずれの場合においても、同様に、正則化されることがあるが、その際、有限差分近似された場合には2次元勾配作用素及び2次元ラプラシアン作用素の有限差分近似D((120)式にて使用) 及びDTDが使用され、有限要素法が使用された場合には同様に2次元勾配作用素及び2次元ラプラシアン作用素の有限差分近似D((120)式にて使用) 及びDTDが使用されるか又は2次元勾配作用素及び2次元ラプラシアン作用素の有限要素近似 (但し、この場合、使用される2次元基底関数φσ(I,J,K',x,y,Z)は2回以上偏微分可能である必要があり、上記にて初期値として与えられる2次元関心空間内の参照領域wl又は参照点wl内の参照導電率を矛盾なく表すことのできるものである必要がある。)が使用される。また、有限要素法が使用された場合には、同様に、正則化パラメータα0が導入され、導電率分布sの二乗ノルムに乗じられた上で汎関数Rs(s)((123)式に該当) に加えられ、最小化が行われることがある。その際に導出されるsに関する正則化された正規方程式 ((124)式に該当) においては、sには近似的に導出されるα0I(I:単位行列)か又は厳密に導出されるα0I'(I':2次元基底関数φσ(I,J,K',x,y,Z)を用いて表される行列)がかかることとなる。
尚、導電率空間分布ln(1/σ(x, y, z))、1/σ(x, y, z)、lnσ(x, y, z)、又は、σ(x, y, z)に関して変分原理を施した場合((121-1)式、(121-2)式、(122-1)式、(122-2)式)の汎関数は、計測された電流密度ベクトル分布が一つである場合(J1(x,y,z)(=(J1x(x,y,z),J1y(x,y,z),J1z(x,y,z))T))は、
Figure 0005441292
計測された電流密度ベクトル分布が二つである場合(J1(x,y,z)及びJ2(x,y,z)(=(J2x(x,y,z),J2y(x,y,z),J2z(x,y,z))T))は、
Figure 0005441292
となる。計測された電流密度ベクトル分布が複数個(M(>1)個、i=1〜M)である場合は、
Figure 0005441292
である。各汎関数中に表される導電率分布s及び電流密度ベクトルに関して有限要素近似 ((117a)式に対応する有限要素の節点導電率ln(1/σ(I,J,K))又1/σ(I,J,K)及び基底関数φσ(I,J,K,x,y,z)(1回以上偏微分可能)を用いてln(1/σ(x,y,z)) 〜 ΣI,J,K φσ(I,J,K,x,y,z)ln(1/σ(I,J,K))又1/σ(x,y,z) 〜 ΣI,J,Kφσ(I,J,K,x,y,z)(1/σ(I,J,K))と内挿される、又、(118a)式に対応する有限要素の節点導電率lnσ(I,J,K)又σ(I,J,K)及び基底関数φσ(I,J,K,x,y,z)(1回以上偏微分可能)を用いてlnσ(x,y,z) 〜 ΣI,J,K φσ(I,J,K,x,y,z)lnσ(I,J,K)又σ(x,y,z) 〜 ΣI,J,Kφσ(I,J,K,x,y,z)σ(I,J,K)と内挿される、節点電流(J1x(I,J,K),J1y(I,J,K), J1z(I,J,K))T及び基底関数φJ(I,J,K,x,y,z)(1回以上偏微分可能)を用いてJ1(x,y,z) 〜 (ΣI,J,K φJ(I,J,K,x,y,z)J1x(I,J,K),ΣI,J,KφJ(I,J,K,x,y,z)J1y(I,J,K), ΣI,J,KφJ(I,J,K,x,y,z)J1z(I,J,K))Tと内挿される。) が適用される(節点数は略。)。但し、使用される基底関数φσ(I,J,K,x,y,z)は、上記にて初期値として与えられる3次元関心空間内の参照領域wl又は参照点wl内の参照導電率を矛盾なく表すことのできるものである必要があり、これを用いて導電率空間分布ln(1/σ(x, y, z))、1/σ(x, y, z)、lnσ(x, y, z)、又、σ(x, y, z)が有限要素近似された後に、初期値は規定値として汎関数に代入される。
また、各z座標z=Z(K = K')の2次元平面(x,y, Z)内の2次元関心領域内にて擬似2次元電流密度ベクトル分布J(x, y, Z) ( = (Jx(x, y,Z), Jy(x,y, Z))T)が測定されてこの擬似2次元電流密度ベクトル分布データのみが使用される場合、及び、z座標z=Z(K = K')の2次元物体内の2次元関心領域を対象とする場合は、これらの汎関数中のIi(s) ( (121-1)式、(121-2)式、(122-1)式、(122-2)式)中の積分は2次元関心領域内の2重積分で表され、各汎関数中に表される導電率分布s及び電流密度ベクトルに関して有限要素近似((117a)式に対応する有限要素の節点導電率ln(1/σ(I,J,K'))又1/σ(I,J,K')及び2次元基底関数φσ(I,J,K',x,y,Z)(1回以上偏微分可能)を用いてln(1/σ(x,y,Z)) 〜 ΣI,J φσ(I,J,K',x,y,Z)ln(1/σ(I,J,K'))又1/σ(x,y,Z) 〜 ΣI,Jφσ(I,J,K',x,y,Z)(1/σ(I,J,K'))と内挿される、又、(118a)式に対応する有限要素の節点導電率lnσ(I,J,K')又σ(I,J,K')及び2次元基底関数φσ(I,J,K',x,y,Z)(1回以上偏微分可能)を用いてlnσ(x,y,Z) 〜 ΣI,J φσ(I,J,K',x,y,Z)lnσ(I,J,K')又σ(x,y,Z) 〜 ΣI,Jφσ(I,J,K',x,y,Z)σ(I,J,K')と内挿される、節点電流(J1x(I,J,K'),J1y(I,J,K'))T及び2次元基底関数φJ(I,J,K',x,y,Z)(1回以上偏微分可能)を用いてJ1(x,y,Z) 〜 (ΣI,J φJ(I,J,K',x,y,Z)J1x(I,J,K'),ΣI,JφJ(I,J,K',x,y,Z)J1y(I,J,K'))Tと内挿される。) が適用される。但し、使用される2次元基底関数φσ(I,J,K',x,y,Z)は、2次元関心領域内の参照領域wl又は参照点wl内の参照導電率を矛盾なく表すことのできるものである必要があり、これを用いて導電率空間分布ln(1/σ(x, y, Z))、1/σ(x, y, Z)、lnσ(x, y, Z)、又、σ(x, y, Z)が有限要素近似された後に、初期値は規定値として汎関数に代入される。
さらに、各Ii(s) ((121-1)式、(121-2)式、(122-1)式、(122-2)式) を用いて表される3次元関心空間を対象としたこれらの汎関数は3次元未知導電率空間分布に関して最小化されるが、正則化される場合においては、前記の有限要素法を用いて3次元導電率空間分布を推定する他の全ての方法と同様に、3次元導電率空間分布ln(1/σ(x,y,z))、1/σ(x,y,z)、lnσ(x,y,z)、又、σ(x,y,z)の、分布そのもの、3次元勾配分布、及び、3次元ラプラシアン分布の二乗ノルムを加えて使用するべく、単位行列I、3次元勾配作用素の差分近似D'、及び、3次元ラプラシアン作用素の差分近似D'TD'を使用するか、3次元空間において採用された導電率空間分布の3次元基底関数φσ(I,J,K,x,y,z)を用いて近似される、行列I'、3次元勾配作用素の有限要素近似、及び、3次元ラプラシアン作用素の有限要素近似が評価される。この場合、使用される3次元基底関数φσ(I,J,K,x,y,z)は2回以上偏微分可能である必要があり、上記にて与えられる初期値はこれらの、導電率分布そのもの、導電率分布の勾配近似、及び、ラプラシアン近似の二乗ノルムにも代入される。最終的に、正則化されたこの汎関数は3次元未知導電率分布ln(1/σ(I,J,K))、1/σ(I,J,K)、lnσ(I,J,K)、又、σ(I,J,K)に関して最小化され、その推定結果として、ln(1/σ(x,y,z))= ΣI,J,K φσ(I,J,K,x,y,z)ln(1/σ(I,J,K))、1/σ(x,y,z) = ΣI,J,Kφσ(I,J,K,x,y,z)(1/σ(I,J,K))、lnσ(x,y,z)= ΣI,J,Kφσ(I,J,K,x,y,z)lnσ(I,J,K)、又、σ(x,y,z)= ΣI,J,K φσ(I,J,K,x,y,z)σ(I,J,K)が得られる。
また、2次元関心領域(z = Z)を対象とした汎関数は2次元未知導電率分布に関して最小化されるが、正則化される場合においては、同様に、2次元導電率分布ln(1/σ(x,y,Z))、1/σ(x,y,Z)、lnσ(x,y,Z)、又、σ(x,y,Z)の、分布そのもの、2次元勾配分布、及び、2次元ラプラシアン分布の二乗ノルムを使用するべく、単位行列I、2次元勾配作用素D((120)式にて使用)、及び、2次元ラプラシアンDTDを使用するか、2次元領域において採用された導電率分布の2次元基底関数φσ(I,J,K',x,y,Z)を用いて近似される、行列I'、2次元勾配作用素の有限要素近似、及び、2次元ラプラシアン作用素の有限要素近似が評価される。この場合、使用される2次元基底関数φσ(I,J,K',x,y,Z)は2回以上偏微分可能である必要があり、上記にて与えられる初期値はこれらの、導電率分布そのもの、導電率分布の勾配近似、及び、ラプラシアン近似の二乗ノルムにも代入される。最終的に、正則化されたこの汎関数は2次元未知導電率分布ln(1/σ(I,J,K'))、1/σ(I,J,K')、lnσ(I,J,K')、又、σ(I,J,K')に関して最小化され、ln(1/σ(x,y,Z))= ΣI,J φσ(I,J,K',x,y,Z)ln(1/σ(I,J,K'))、1/σ(x,y,Z) = ΣI,Jφσ(I,J,K',x,y,Z)(1/σ(I,J,K'))、lnσ(x,y,Z)= ΣI,Jφσ(I,J,K',x,y,Z)lnσ(I,J,K')、又、σ(x,y,Z)= ΣI,J φσ(I,J,K',x,y,Z)σ(I,J,K')が得られる。
また、特殊な場合として、Ii(s)(i=1〜M)が、上記のごとく、iの各々において、正則化されて最小化された上で、未知導電率分布s (ln(1/σ(I,J,K))、1/σ(I,J,K)、lnσ(I,J,K)、σ(I,J,K)、ln(1/σ(I,J,K'))、1/σ(I,J,K')、lnσ(I,J,K')、又は、σ(I,J,K'))に関して最小二乗化されることがある。
この様に、本法によれば、既に3次元関心空間・2次元関心領域内に電流場が存在する場合は、外部より強制的に電流を流し込むことなく、従って、その場を乱すことなく、電流密度ベクトル分布の測定のみから導電率空間分布の評価を行うことが可能である。
正則化パラメータα0・α1・α2に関しては、正則化された正規方程式 (有限差分近似を行った場合の(124)式に該当)においては、導電率の空間分布を表すベクトルsにかかる行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、使用される擬似2次元電流密度ベクトル分布データの精度(SN比)により調節される(SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きく)ことがある。又、特に、(117a)式の両辺に1/σ(x,y,Z)がかけられて導電率分布1/σ(x,y,Z)又は電流密度ベクトル分布に関して有限差分近似される場合、又、(118a)式の両辺にσ(x,y,Z)がかけられて導電率分布σ(x,y,Z)又は電流密度ベクトル分布に関して有限差分近似される場合、又、(117a)式の両辺に1/σ(x,y,Z)がかけられて1/σ(x,y,Z)に関して有限要素近似(変分法又はガラーキン法)が適用される場合、又、(118a)式の両辺にσ(x,y,Z)がかけられてσ(x,y,Z)に関して有限要素近似(変分法又はガラーキン法)が適用される場合においては、使用される擬似2次元電流密度ベクトルデータと導電率にかかる勾配作用素との内積の2次元分布データのパワーとその擬似2次元電流密度ベクトルの回転の2次元分布データのパワーとの和の平方根の精度(SN比)により調節される(SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きく)ことがある。これに準じて、例えば、そのSNパワー比に反比例させることがある。
これらのパワーに依存する正則化パラメータα0・α1・α2は、複数の擬似2次元電流密度ベクトル分布データが使用される場合には、各擬似2次元電流密度ベクトル分布データのSNパワー比から評価される正則化パラメータ値の和に比例する値となる。これに準じて、例えば、各擬似2次元ベクトル分布データのSNパワー比に反比例した値の和とすることがある。
また、正則化パラメータα1・α2に関しては、勾配作用素およびラプラシアン作用素内にて現れる偏微分の方向ごとに異なるもの(方向に依存するもの)として実現することがあり、結果的に、導電率の空間分布を表すベクトルsにかかる行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、使用される擬似2次元電流密度ベクトルの2方向成分分布データの精度(SN比)により調節される(SN比が高い方向を大きく、SN比が低い方向を小さく)ことがある。又、特に、(117a)式の両辺に1/σ(x,y,Z)がかけられて導電率分布1/σ(x,y,Z)又は電流密度ベクトル分布に関して有限差分近似される場合、又、(118a)式の両辺にσ(x,y,Z)がかけられて導電率分布σ(x,y,Z)又は電流密度ベクトル分布に関して有限差分近似される場合、又、(117a)式の両辺に1/σ(x,y,Z)がかけられて1/σ(x,y,Z)に関して有限要素近似(変分法又はガラーキン法)が適用される場合、又、(118a)式の両辺にσ(x,y,Z)がかけられてσ(x,y,Z)に関して有限要素近似(変分法又はガラーキン法)が適用される場合においては、使用される擬似2次元電流密度ベクトルの2方向成分データとその成分と同一方向の導電率にかかる1階偏微分作用素との積の各2次元分布データのパワーとその擬似2次元電流密度ベクトルの回転を表す同2方向の各1階偏微分成分の2次元分布データのパワーとの和の平方根の精度(SN比)により調節される(SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きく)か、あるいは、使用される擬似2次元電流密度ベクトルデータと導電率にかかる勾配作用素との内積の2方向のΔx、Δy間の変化量の各2次元分布データのパワーとその擬似2次元電流密度ベクトルの回転を表す同2方向の1階偏微分成分のΔx、Δy間の変化量の各2次元分布データのパワーとの和の平方根の精度(SN比)により調節される(SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きく)ことがある。これに準じて、例えば、その各方向分布データのSNパワー比に比例させることがある。
これらの方向に依存する正則化パラメータα1・α2は、複数の擬似2次元電流密度ベクトル分布データが使用される場合には、各擬似2次元電流密度ベクトル分布データの精度(SN比)が考慮される(SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きく)。また、特に異なる2方向成分を持つ擬似2次元電流密度ベクトル分布データを使用する場合においては、使用される各方向成分分布データの数が考慮されることがあり(数の多い方向を大きく、数の少ない方向を小さく)、これに準じて、例えば、使用する方向成分分布データの数に比例させることがある。これに準じて、同2方向成分を持つ擬似2次元電流密度ベクトル分布データのみが使用される場合は、上記のごとく各擬似2次元電流密度ベクトル分布データにおいて評価される方向依存性の正則化パラメータ値と各擬似2次元電流密度ベクトル分布データそのもののSNパワー比から評価される正則化パラメータ値とを重要度の重み付けを行った上で算出される積の和に比例する値とし、また、特に異なる2方向成分を持つ擬似2次元電流密度ベクトル分布データを使用する場合においては、同様に評価された両正則化パラメータ値の積の和に方向成分分布データの数から評価される正則化パラメータ値を乗じた値に比例する値とすることがある。
また、正則化パラメータα0・α1・α2は、空間的に変化するものとして実現することがあり、結果的に、各関心点の導電率にかかる局所行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、使用される各関心点の擬似2次元電流密度ベクトルデータの精度(SN比)により調節される(SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きく)ことがある。又、特に、(117a)式の両辺に1/σ(x,y,Z)がかけられて導電率分布1/σ(x,y,Z)又は電流密度ベクトル分布に関して有限差分近似される場合、又、(118a)式の両辺にσ(x,y,Z)がかけられて導電率分布σ(x,y,Z)又は電流密度ベクトル分布に関して有限差分近似される場合、又、(117a)式の両辺に1/σ(x,y,Z)がかけられて1/σ(x,y,Z)に関して有限要素近似(変分法又はガラーキン法)が適用される場合、又、(118a)式の両辺にσ(x,y,Z)がかけられてσ(x,y,Z)に関して有限要素近似(変分法又はガラーキン法)が適用される場合においては、各関心点において使用される擬似2次元電流密度ベクトルデータと導電率にかかる勾配作用素との内積データのパワーとその擬似2次元電流密度ベクトルの回転のパワーとの和の平方根の精度(SN比)により調節される(SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きく)ことがある。これに準じて、例えば、そのSNパワー比に反比例させることがある。
これらの位置に依存する正則化パラメータα0・α1・α2は、同一の関心点において複数の擬似2次元電流密度ベクトルデータが使用される場合には、各関心点において使用される擬似2次元電流密度ベクトルデータのSNパワー比から評価される正則化パラメータ値の和に比例する値となる。これに準じて、例えば、各関心点の擬似2次元電流密度ベクトルデータのSNパワー比に反比例する値の和となる。また、特に各関心点において使用する擬似2次元電流密度ベクトルデータの数が異なる場合は、このデータ数が考慮されることがあり(数の多い位置では大きく、数の少ない位置では小さく)、これに準じて、例えば、使用する擬似2次元電流密度ベクトルデータの数に比例させることがある。これに準じて、各関心点において使用される擬似2次元電流密度ベクトルデータのSNパワー比から評価される正則化パラメータ値と各関心点において使用される擬似2次元電流密度ベクトルデータの数から評価される正則化パラメータ値とを重要度の重み付けを行った上で算出される積の和に比例する値とすることがある。
また、正則化パラメータα1・α2に関しては、上記の如く空間的に変化するものとして、且つ、勾配作用素およびラプラシアン作用素内にて現れる偏微分の方向ごとに異なるもの(方向に依存するもの)として実現することもあり、結果的に、各関心点の導電率にかかる局所行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、使用される各関心点の擬似2次元電流密度ベクトルの2方向成分データの精度(SN比)により調節される(SN比が高い方向を大きく、SN比が低い方向を小さく)ことがある。又、特に、(117a)式の両辺に1/σ(x,y,Z)がかけられて導電率分布1/σ(x,y,Z)又は電流密度ベクトル分布に関して有限差分近似される場合、又、(118a)式の両辺にσ(x,y,Z)がかけられて導電率分布σ(x,y,Z)又は電流密度ベクトル分布に関して有限差分近似される場合、又、(117a)式の両辺に1/σ(x,y,Z)がかけられて1/σ(x,y,Z)に関して有限要素近似(変分法又はガラーキン法)が適用される場合、又、(118a)式の両辺にσ(x,y,Z)がかけられてσ(x,y,Z)に関して有限要素近似(変分法又はガラーキン法)が適用される場合においては、各関心点において使用される擬似2次元電流密度ベクトルの2方向成分データとその成分と同一方向の導電率にかかる1階偏微分作用素との積のデータの各パワーとその擬似2次元電流密度ベクトルの回転を表す同2方向の各1階偏微分成分のパワーとの和の平方根の精度(SN比)により調節される(SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きく)か、あるいは、各関心点において使用される擬似2次元電流密度ベクトルデータと導電率にかかる勾配作用素との内積の2方向のΔx、Δy間の変化量データの各パワーとその擬似2次元電流密度ベクトルの回転を表す同2方向の1階偏微分成分のΔx、Δy間の変化量データの各パワーとの和の平方根の精度(SN比)により調節される(SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きく)ことがある。これに準じて、例えば、各関心点のその各方向データのSNパワー比に比例させることがある。
これらの位置に依存して且つ方向に依存する正則化パラメータα1・α2は、同一の関心点において複数の擬似2次元電流密度ベクトルデータが使用される場合には、各擬似2次元電流密度ベクトルの精度(SN比)が考慮される(SN比が高い場合に大きく、SN比が低い場合に小さく)。また、特に異なる2方向成分を持つ擬似2次元電流密度ベクトルデータを使用する位置においては、使用される各方向成分データの数が考慮されることがあり(数の多い方向を大きく、数の少ない方向を小さく)、これに準じて、例えば、使用する方向成分データの数に比例させることがある。これに準じて、同2方向成分を持つ擬似2次元電流密度ベクトルのみが使用される場合は、上記のごとく各擬似2次元電流密度ベクトルデータにおいて評価される方向依存性の正則化パラメータ値と各擬似2次元電流密度ベクトルそのもののSNパワー比から評価される正則化パラメータ値とを重要度の重み付けを行った上で算出される積の和に比例する値とし、また、特に異なる2方向成分を持つ擬似2次元電流密度ベクトルデータを使用する場合においては、同様にして評価された両正則化パラメータ値の積の和に方向成分データの数から評価される正則化パラメータ値を乗じた値に比例する値とすることがある。
ここで、Ii(s)(i=1〜M)そのものに正則化を施す場合においては、正則化パラメータは負の値も取りえ、これに準じて、正則化パラメータの絶対値が調節され、上記のSNパワー比を指標とする場合はその平方根に反比例する様に調節させることがあることを断っておく。
尚、擬似2次元電流密度ベクトル分布データのSN比を利用する場合は、各要素の節点(I,J,K)にて計測された擬似2次元電流密度ベクトルデータのSN比、又は、これより見積もられる要素内の連続座標にて与えられる擬似2次元電流密度ベクトルデータのSN比が必要となることがあり、これより、擬似2次元電流密度ベクトル分布データのSN比が評価されることがある。あるいは、擬似2次元電流密度ベクトル分布データのSN比が得られ、各要素内の擬似2次元電流密度ベクトルデータのSN比、各要素の節点の擬似2次元電流密度ベクトルデータのSN比が評価されることもある。これより、空間的に一様な正則化パラメータα0・α1・α2、又は、空間的に変化する正則化パラメータα0・α1・α2が調節されることがある。
また、1次元関心領域内の1次元導電率分布を計測対象とする場合は、直交方向に支配的に流れる電流密度データのみが使用されて導電率分布が推定されることがあり、例えば、x軸方向の導電率分布ln(1/σ(x))、1/σ(x)、lnσ(x)、又は、σ(x)が推定される場合、
電流がy軸方向に支配的に流れている場合は、1次元微分方程式の、
Figure 0005441292
又は、
Figure 0005441292
に、又、電流がz軸方向に支配的に流れている場合は、1次元微分方程式の、
Figure 0005441292
又は、
Figure 0005441292
に、上記のごとく有限差分近似が適用される、あるいは、有限要素法(変分原理又はガラーキン法)が使用されることにより、未知導電率分布に関する代数方程式が導出され、正則化が施されて安定的に導電率分布が推定される。
従って、3次元関心領域を対象としてその領域内に複数の2次元関心領域を設けた場合と同様に、3次元関心領域内に2次元関心領域だけでなく複数の1次元関心領域を設け、又、2次元関心領域を対象とする場合には複数の1次元関心領域を設け、各低次元関心領域にて未知導電率分布に関する代数方程式を導出し、適宜、正則化が高次元関心領域又は各低次元関心領域において行われることがある。
尚、3次元導電率分布及び2次元導電率分布への適用は不可能であるが、これらの1次元導電率分布に変分原理を適用する場合は、1次元導電率分布そのものではなく、1次元導電率の1階微分の1次元分布sに変分原理が適用されることも可能であり、例えば、(117a-1)式において、1次元導電率分布ln(1/σ(x))に変分原理が適用された場合の1次元分布ln(1/σ(x))のsに関する汎関数は、(121-1)式と同様、
Figure 0005441292
であり、又、(117a-1)式の両辺に1/σ(x)がかけられた上で1次元導電率分布1/σ(x)に変分原理が適用された場合の1次元分布1/σ(x)のsに関する汎関数は、(121-2)式と同様、
Figure 0005441292
であるが、(117a-1)式において、1次元導電率ln(1/σ(x))の1階微分の分布d(ln(1/σ(x)))/dxに変分原理が適用された場合の1次元分布d(ln(1/σ(x)))/dxのsに関する汎関数は、
Figure 0005441292
又、(117a-1)式の両辺に1/σ(x)がかけられた上で1次元導電率1/σ(x)の1階微分の分布d(1/σ(x))/dxに変分原理が適用された場合の1次元分布d(1/σ(x))/dxのsに関する汎関数は、
Figure 0005441292
である。1次元微分方程式の(118a-1)式、(117c-1)式、(118c-1)式に関しても同様である。1次元導電率分布そのものを推定する場合は、1次元勾配作用素や1次元ラプラシアン作用素が使用されることがある。
尚、電流密度ベクトル空間分布の時系列が計測された場合には、複数の電流密度ベクトル空間分布が計測されたものとして、上記の如く、勾配作用素やラプラシアン作用素を用いた正則化を施すことにより未知導電率空間分布を推定することができる。
また、未知導電率空間分布は時間的に変化することがあり、この場合においては、参照導電率(分布)値および位置・大きさ・状態・個数が時間的に変化しうる参照領域を使用して、電流密度ベクトル空間分布データの計測された各時間において、上記の如く、勾配作用素やラプラシアン作用素を用いた正則化を施して未知導電率空間分布を推定することにより、未知導電率空間分布の時系列を求めることができる。複数の独立した電流密度ベクトル空間分布の時系列が計測された場合は、計測対象物の異なる時系列の同一の状態(時間)の各々において成立する方程式を連立した上で、上記の如く、勾配作用素やラプラシアン作用素を用いた正則化を施して未知導電率空間分布を推定することにより、未知導電率空間分布の時系列を求めることができる。
また、未知導電率空間分布の時系列を推定する場合には、各時間において成立する方程式を連立し、未知導電率空間分布の時系列の時間方向の1階の偏微分や2階の偏微分の2乗ノルム (各々にかかる正則化パラメータをα3とα4とする)を用いた正則化を施すことがある。複数の独立した電流密度ベクトル空間分布の時系列が計測された場合は、計測対象物の異なる時系列の同一の状態(時間)の各々において成立する方程式を連立した上で、時系列の時間方向の1階の偏微分や2階の偏微分の2乗ノルム (各々にかかる正則化パラメータをα3とα4とする)を用いた正則化を施すことがある。これらの導電率空間分布の時系列の時間方向の1階偏微分や2階の偏微分は、上記の勾配作用素やラプラシアン作用素を使用した場合と同様に、3次元関心領域を対象とする場合にはその領域内に複数の2次元関心領域や1次元領域を設け、2次元関心領域を対象とする場合には複数の1次元関心領域を設け、各時間の各低次元関心領域にて未知導電率分布に関する代数方程式を導出し、適宜、正則化が高次元関心領域又は各低次元関心領域において行われることがある。また、この場合、各時間の未知導電率空間分布の勾配やラプラシアンの2乗ノルムを用いた正則化も同時に施されることがある。
尚、導電率空間分布の時系列が推定された場合は、導電率の時系列データの空間分布の各位置においてスペクトラム解析を行うことにより、導電率の周波数分散の空間分布を近似的に求めることができる。この導電率の時系列の周波数分散の空間分布を評価する場合は、積極的に、電流源や電圧源の周波数(単一)を変えながら、電流密度ベクトル空間分布の計測を行う、あるいは、広帯域の電流源や電圧源を使用して電流密度ベクトル空間分布の計測を行うことがある。
正則化パラメータα3・α4に関しては、各時間において、導電率の空間分布を表すベクトルsにかかる行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、使用される擬似2次元電流密度ベクトル分布の時間方向の変化量データの精度(SN比)により調節される(SN比が高い時間に小さく、SN比が低い時間に大きく)ことがある。又、特に、(117a)式の両辺に1/σ(x,y,Z)がかけられて導電率分布1/σ(x,y,Z)又は電流密度ベクトル分布に関して有限差分近似される場合、又、(118a)式の両辺にσ(x,y,Z)がかけられて導電率分布σ(x,y,Z)又は電流密度ベクトル分布に関して有限差分近似される場合、又、(117a)式の両辺に1/σ(x,y,Z)がかけられて1/σ(x,y,Z)に関して有限要素近似(変分法又はガラーキン法)が適用される場合、又、(118a)式の両辺にσ(x,y,Z)がかけられてσ(x,y,Z)に関して有限要素近似(変分法又はガラーキン法)が適用される場合においては、使用される擬似2次元電流密度ベクトルデータと導電率にかかる勾配作用素との内積の2次元分布の時間方向の変化量データのパワーとその擬似2次元電流密度ベクトルの回転の2次元分布の時間方向の変化量データのパワーとの和の平方根の精度(SN比)により調節される(SN比が高い時間に小さく、SN比が低い時間に大きく)ことがある。これに準じて、例えば、そのSNパワー比に反比例させることがある。
これらのパワーに依存する正則化パラメータα3・α4は、各時間において、複数の擬似2次元電流密度ベクトル分布データが使用される場合には、各擬似2次元電流密度ベクトル分布の時間方向の変化量データのSNパワー比から評価される正則化パラメータ値の和に比例する値となる。これに準じて、例えば、各擬似2次元ベクトル分布の時間方向の変化量データのSNパワー比に反比例した値の和とすることがある。
また、正則化パラメータα3・α4は、各時間において、空間的に変化するものとして実現することがあり、結果的に、各関心点の導電率にかかる局所行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、使用される各関心点の擬似2次元電流密度ベクトルの時間方向の変化量データの精度(SN比)により調節される(SN比が高い時間に小さく、SN比が低い時間に大きく)ことがある。又、特に、(117a)式の両辺に1/σ(x,y,Z)がかけられて導電率分布1/σ(x,y,Z)又は電流密度ベクトル分布に関して有限差分近似される場合、又、(118a)式の両辺にσ(x,y,Z)がかけられて導電率分布σ(x,y,Z)又は電流密度ベクトル分布に関して有限差分近似される場合、又、(117a)式の両辺に1/σ(x,y,Z)がかけられて1/σ(x,y,Z)に関して有限要素近似(変分法又はガラーキン法)が適用される場合、又、(118a)式の両辺にσ(x,y,Z)がかけられてσ(x,y,Z)に関して有限要素近似(変分法又はガラーキン法)が適用される場合においては、各関心点において使用される擬似2次元電流密度ベクトルデータと導電率にかかる勾配作用素との内積の時間方向の変化量データのパワーとその擬似2次元電流密度ベクトルの回転の時間方向の変化量データのパワーとの和の平方根の精度(SN比)により調節される(SN比が高い時間に小さく、SN比が低い時間に大きく)ことがある。これに準じて、例えば、そのSNパワー比に反比例させることがある。
これらの位置に依存する正則化パラメータα3・α4、同一の関心点において複数の擬似2次元電流密度ベクトルデータが使用される場合には、各関心点において使用される擬似2次元電流密度ベクトルの時間方向の変化量データのSNパワー比から評価される正則化パラメータ値の和に比例する値となる。これに準じて、例えば、各関心点の擬似2次元電流密度ベクトルの時間方向の変化量データのSNパワー比に反比例する値の和となる。また、特に各関心点において使用する擬似2次元電流密度ベクトルデータの数が異なる場合は、このデータ数が考慮されることがあり(数の多い位置では大きく、数の少ない位置では小さく)、これに準じて、例えば、使用する擬似2次元電流密度ベクトルデータの数に比例させることがある。これに準じて、各関心点において使用される擬似2次元電流密度ベクトルの時間方向の変化量データのSNパワー比から評価される正則化パラメータ値と各関心点において使用される擬似2次元電流密度ベクトルデータの数から評価される正則化パラメータ値とを重要度の重み付けを行った上で算出される積の和に比例する値とすることがある。
ここで、Ii(s)(i=1〜M)そのものに正則化を施す場合においては、正則化パラメータは負の値も取りえ、これに準じて、正則化パラメータの絶対値が調節され、上記のSNパワー比を指標とする場合はその平方根に反比例する様に調節させることがあることを断っておく。
次に、誘電率を同時に推定する導電率推定方法について説明する。
前記の導電率推定法によれば、関心領域内にて測定された電流密度ベクトル分布データJI(i(=1〜M)は測定された独立した電流密度ベクトル分布Jiを指し、Mは測定された独立した電流密度ベクトル分布の数(1以上)である。)及び初期条件として参照領域内又は参照点wl(l=1〜N)にて与えられる参照導電率(分布)値、即ち(119)式を用いて、3次元や2次元関心領域内の導電率分布σ(x, y, z)やσ(x, y)とを表す1階の空間偏微分方程式である(117a)式、(117b)式、(117c)式((118a)式、(118b)式、(118c)式)に有限要素法(変分原理又はガラ−キン法)又は有限差分法及び正則化法を用いた所定の数値解法を施すことにより、未知導電率分布σ(x, y, z)やσ(x, y)やσ(x)を得る。
これに対し、本導電率推定法によれば、計測される電流密度ベクトル分布が時間変化する場合に、導電率参照値と共に誘電率参照値を使用して、導電率分布、誘電率、誘電率と導電率の比等の分布を計測対象とすることができる。但し、i(=1〜M)は、扱われる独立した電流密度ベクトル分布の時系列Ji(t)を表し、Mは、その独立した電流密度ベクトル分布の時系列の数(1以上)を表し、tは、時間を表すものとする。
具体的には、例えば、3次元関心領域を対象とする場合、
計測される電流密度ベクトル分布が正弦的に単一周波数fiにて変化する場合は、
計測された関心領域内の3次元電流密度ベクトルの各方向成分の空間分布の時系列データに対して、各関心点にて、Fast Fourier’s Transform (FFT) によるスペクトラム解析やMaximum Entropy Method (MEM) による短時間スペクトラム解析やHilbert変換による瞬時スペクトラム解析(複素解析信号の実数信号Re[Jix(x,y,z,fi,t)]又はRe[Jiy(x,y,z,fi,t)]又はRe[Jiz(x,y,z,fi,t)]と虚数信号Im[Jix(x,y,z,fi,t)]又はIm[Jiy(x,y,z,fi,t)]又はIm[Jiz(x,y,z,fi,t)]を得、これらより求まる位相(アンラッピングされたもの)に時間微分を施すか(3方向の平均がとられることや各種窓関数を使用して時空間方向に移動平均されることがある)、あるいは、各種窓関数を使用して時空間方向に移動平均されることのある、(dIm[Jix(x,y,z,fi,t)]/dt・Re[Jix(x,y,z,fi,t)]-dRe[Jix(x,y,z,fi,t)]/dt・Im[Jix(x,y,z,fi,t)])/(Re[Jix(x,y,z,fi,t)]・Re[Jix(x,y,z,fi,t)]+Im[Jix(x,y,z,fi,t)]・Im[Jix(x,y,z,fi,t)])又は(dIm[Jiy(x,y,z,fi,t)]/dt・Re[Jiy(x,y,z,fi,t)]-dRe[Jiy(x,y,z,fi,t)]/dt・Im[Jiy(x,y,z,fi,t)])/(Re[Jiy(x,y,z,fi,t)]・Re[Jiy(x,y,z,fi,t)]+Im[Jiy(x,y,z,fi,t)]・Im[Jiy(x,y,z,fi,t)])又は(dIm[Jiz(x,y,z,fi,t)]/dt・Re[Jiz(x,y,z,fi,t)]-dRe[Jiz(x,y,z,fi,t)]/dt・Im[Jiz(x,y,z,fi,t)])/(Re[Jiz(x,y,z,fi,t)]・Re[Jiz(x,y,z,fi,t)]+Im[Jiz(x,y,z,fi,t)]・Im[Jiz(x,y,z,fi,t)])より(瞬時)周波数fiを得る)を行い、3次元電流密度ベクトルの時系列データJi(x,y,z,t)(= (Jix(x,y,z,t), Jiy(x,y,z,t), Jiz(x,y,z,t))T)のスペクトラムの空間分布、即ち、単一周波数fi(iに寄らずに一定であることがある。)のJi(x,y,z,fi)(= (Jix(x,y,z,fi), Jiy(x,y,z,fi), Jiz(x,y,z,fi))T = (Re[Jix(x,y,z,fi)]+jIm[Jix(x,y,z,fi)], Re[Jiy(x,y,z,fi)]+jIm[Jiy(x,y,z,fi)], Re[Jiz(x,y,z,fi)]+jIm[Jiz(x,y,z,fi)])T)(但し、Re[・(fi)]とIm[・(fi)]の各々は、周波数fiのスペクトラム・(fi)の実数成分と虚数成分を表し、jは虚数単位である。)の分布データと、
計測された関心領域内の3次元電流密度ベクトル分布データからビオ・サバールの法則に基づいて計算された3次元磁場ベクトルの時系列データBi(x,y,z,t)(= (Bix(x,y,z,t), Biy(x,y,z,t), Biz(x,y,z,t))T)の時間方向の1階の偏微分のスペクトラムの空間分布、即ち、単一周波数fiのB’i(x,y,z,fi)(= (Bz’ix(x,y,z,fi), B’iy(x,y,z,fi), B’iz(x,y,z,fi))T = (Re[B’ix(x,y,z,fi)]+jIm[B’ix(x,y,z,fi)], Re[B’iy(x,y,z,fi)]+jIm[B’iy(x,y,z,fi)], Re[B’iz(x,y,z,fi)]+jIm[B’iz(x,y,z,fi)])T)の分布データ(時間領域において時系列データに微分フィルタがかけられた上でスペクトラム解析(又は短時間スペクトラム解析)されて得られるか、あるいは、時系列データがスペクトラム解析(又は短時間スペクトラム解析)された上で周波数領域において時間微分の周波数応答がかけられて得られるか、あるいは、時系列データが瞬時スペクトラム解析(又は短時間スペクトラム解析)された上で時間領域において微分フィルタがかけられて得られる。)に従い、
あるいは、計測される電流密度ベクトル分布が非定常に変化する場合は、
計測された関心領域内の3次元電流密度ベクトルの各方向成分の空間分布の時系列データに対して、各関心点にて、Hilbert変換による瞬時スペクトラム解析(瞬時周波数fi(x,y,z,t))(複素解析信号の実数信号Re[Jix(x,y,z,fi,t)]又はRe[Jiy(x,y,z,fi,t)]又はRe[Jiz(x,y,z,fi,t)]と虚数信号Im[Jix(x,y,z,fi,t)]又はIm[Jiy(x,y,z,fi,t)]又はIm[Jiz(x,y,z,fi,t)]を得、これらより求まる位相(アンラッピングされたもの)に時間微分を施すか(3方向の平均がとられることや各種窓関数を使用して時空間方向に移動平均されることがある)、あるいは、各種窓関数を使用して時空間方向に移動平均されることのある、(dIm[Jix(x,y,z,fi,t)]/dt・Re[Jix(x,y,z,fi,t)]-dRe[Jix(x,y,z,fi,t)]/dt・Im[Jix(x,y,z,fi,t)])/(Re[Jix(x,y,z,fi,t)]・Re[Jix(x,y,z,fi,t)]+Im[Jix(x,y,z,fi,t)]・Im[Jix(x,y,z,fi,t)])又は(dIm[Jiy(x,y,z,fi,t)]/dt・Re[Jiy(x,y,z,fi,t)]-dRe[Jiy(x,y,z,fi,t)]/dt・Im[Jiy(x,y,z,fi,t)])/(Re[Jiy(x,y,z,fi,t)]・Re[Jiy(x,y,z,fi,t)]+Im[Jiy(x,y,z,fi,t)]・Im[Jiy(x,y,z,fi,t)])又は(dIm[Jiz(x,y,z,fi,t)]/dt・Re[Jiz(x,y,z,fi,t)]-dRe[Jiz(x,y,z,fi,t)]/dt・Im[Jiz(x,y,z,fi,t)])/(Re[Jiz(x,y,z,fi,t)]・Re[Jiz(x,y,z,fi,t)]+Im[Jiz(x,y,z,fi,t)]・Im[Jiz(x,y,z,fi,t)])より瞬時周波数を得る)やMaximum Entropy Method (MEM) による短時間スペクトラム解析(短時間周波数fi(x,y,z,t))やFast Fourier’s Transform (FFT) による短時間スペクトラム解析(周波数fi(x,y,z,t))を行い、3次元電流密度ベクトルの時系列データJi(x,y,z,t)(= (Jix(x,y,z,t), Jiy(x,y,z,t), Jiz(x,y,z,t))T)の瞬時(短時間)スペクトラムの空間分布、即ち、瞬時(短時間)周波数fi(x,y,z,t)(iに寄らずに一定であることがある。)のJi(x,y,z,fi,t)(= (Jix(x,y,z,fi,t), Jiy(x,y,z,fi,t), Jiz(x,y,z,fi,t))T = (Re[Jix(x,y,z,fi,t)]+jIm[Jix(x,y,z,fi,t)], Re[Jiy(x,y,z,fi,t)]+jIm[Jiy(x,y,z,fi,t)], Re[Jiz(x,y,z,fi,t)]+jIm[Jiz(x,y,z,fi,t)])T)(但し、Re[・(fi)]とIm[・(fi)]の各々は、瞬時(短時間)周波数fi(x,y,z,t)のスペクトラム・(fi)の実数成分と虚数成分を表し、jは虚数単位である。)の分布データと、
計測された関心領域内の3次元電流密度ベクトル分布データからビオ・サバールの法則に基づいて計算された3次元磁場ベクトルの時系列データBi(x,y,z,t)(= (Bix(x,y,z,t), Biy(x,y,z,t), Biz(x,y,z,t))T)の瞬時(短時間)スペクトラムの時間方向の1階の偏微分の時系列データの空間分布、もしくは、計測された関心領域内の3次元電流密度ベクトル分布データからビオ・サバールの法則に基づいて計算された3次元磁場ベクトルの時系列データBi(x,y,z,t)(= (Bix(x,y,z,t), Biy(x,y,z,t), Biz(x,y,z,t))T)の時間方向の1階の偏微分の時系列データの瞬時(短時間)スペクトラムの空間分布、即ち、瞬時(短時間)周波数fbi(x,y,z,t)のB'i (x,y,z,fbi,t)(= (B'ix(x,y,z,fbi,t), B'iy(x,y,z,fbi,t), B'iz(x,y,z,fbi,t))T= (Re[B'ix(x,y,z,fbi,t)]+jIm[B'ix(x,y,z,fbi,t)], Re[B'iy(x,y,z,fbi,t)]+jIm[B'iy(x,y,z,fbi,t)], Re[B'iz(x,y,z,fbi,t)]+jIm[B'iz(x,y,z,fbi,t)])T)の分布データ(時系列データが瞬時(短時間)スペクトラム解析された上で時間領域において微分フィルタがかけられて得られるか、時間領域において時系列データに微分フィルタがかけられた上で瞬時(短時間)スペクトラム解析されて得られるか、あるいは、時系列データが瞬時(短時間)スペクトラム解析された上で周波数領域において時間微分の周波数応答がかけられて得られる。)に従い、
周波数fi(計測される場合と与えられる場合がある。)と導電率分布σi(x,y,z)と誘電率εi(x,y,z)を用いて表される空間分布Ai(x,y,z,fi)及びBi(x,y,z,fi)、即ち、
Figure 0005441292
Figure 0005441292
に関する次の1階の連立空間偏微分方程式
Figure 0005441292
即ち、
Figure 0005441292
又は、
Figure 0005441292

Figure 0005441292
又は、
Figure 0005441292

Figure 0005441292
又は、
Figure 0005441292
のいずれかの空間偏微分方程式又はこれらの内の複数の空間偏微分方程式から成る連立空間偏微分方程式と、導電率空間分布σi(x,y,z)と誘電率空間分布εi(x,y,z)に関する次の初期条件
Figure 0005441292
且つ、
Figure 0005441292

Figure 0005441292
且つ、
Figure 0005441292
(但し、wmσi(t)とwmεi(t)は、同一である、又、互いに交わることもある。)を用いて、(129a)式と(129b)式の各々により表されるAi(x,y,z,fi)及びBi(x,y,z,fi)を求め、各関心点において、導電率分布σi(x,y,z)と誘電率分布εi(x,y,z)が共に未知である場合には両者を、又、誘電率εi(x,y,z)が与えられる点である場合にはその値を使用して未知である導電率σi(x,y,z)を、又、導電率σi(x,y,z)が与えられる点においてはその値を使用して未知である誘電率εi(x,y,z)を
Figure 0005441292
Figure 0005441292
と求めることができる。
尚、他の独立した時系列iにおいても、計測された3次元電流密度ベクトルの分布データとビオ・サバールの法則に基づいて計算された3次元磁場ベクトルの分布データに従い、(130a)式、(130b)式、(130c)式(又は、(130a’)式、(130b’)式、(130c’)式)のいずれかの空間偏微分方程式又はこれらの内の複数の空間偏微分方程式から成る連立空間偏微分方程式と、導電率空間分布σi(x,y,z)と誘電率空間分布εi(x,y,z)に関する初期条件(131a)式且つ(131a’)式や(131b)式且つ(131b’)式が与えられ、従って、全ての時系列iから得られる方程式を連立することにより、空間分布Ai(x,y,z,fi)及びBi(x,y,z,fi)を求め、各関心点において、導電率分布σi(x,y,z)と誘電率分布εi(x,y,z)が共に未知である場合には両者を、又、誘電率εi(x,y,z)が与えられる場合にはその値を使用して未知である導電率σi(x,y,z)を、又、導電率σi(x,y,z)が与えられる点においてはその値を使用して未知である誘電率εi(x,y,z)を、(132a)式や(132b)式から求めることができる。
又、導電率分布σi(x,y,z)及び誘電率εi(x,y,z)の両者か、又は、いずれかの一方が時系列iに対して不変である場合もあり、この場合も、計測された3次元電流密度ベクトルの分布データとビオ・サバールの法則に基づいて計算された3次元磁場ベクトルの分布データに従い、(130a)式、(130b)式、(130c)式(又は、(130a’)式、(130b’)式、(130c’)式)のいずれかの空間偏微分方程式又はこれらの内の複数の空間偏微分方程式から成る連立空間偏微分方程式と、導電率σi(x,y,z)又はσ(x,y,z)と誘電率εi(x,y,z)又はε(x,y,z)に関する初期条件(131a)式且つ(131a’)式や(131b)式且つ(131b’)式(時系列iに依存する場合と依存しない場合がある。)が与えられ、従って、これらの方程式を連立することにより、空間分布Ai(x,y,z,fi)又はA(x,y,z,fi)及びBi(x,y,z,fi)又はB(x,y,z,fi)を求め、各関心点において、導電率σi(x,y,z)又はσ(x,y,z)と誘電率εi(x,y,z)又はε(x,y,z)が共に未知である場合には両者を、又、誘電率εi(x,y,z)又はε(x,y,z)が与えられる場合にはその値を使用して未知である導電率σi(x,y,z)又はσ(x,y,z)を、又、導電率σi(x,y,z)又はσ(x,y,z)が与えられる場合においてその値を使用して未知である誘電率εi(x,y,z)又はε(x,y,z)を、(132a)式や(132b)式から求めることができる。
空間偏微分方程式の(130)式中の、関心領域内の、導電率分布のσi(x,y,z)又はσ(x,y,z)、又、誘電率分布のεi(x,y,z)又はε(x,y,z)は、電流データの周波数fiに依存するものとして扱われることがあり、又、時として、関心領域の外にて、広帯域の電流源や電圧源を使用する、あるいは、可変の単一周波数の電流源や電圧源の周波数fiを変えるなどして、これら導電率や誘電率の周波数分散の空間分布が近似的に求められることがある。
又、時間的に変化する導電率分布の時系列σi(x,y,z,t)と誘電率の時系列εi(x,y,z,t)が計測対象となることもあり、その場合は、参照値そのもの及び参照領域の大きさや位置や個数が時間t及び時系列iに依存して変化しうる次の初期条件
Figure 0005441292
且つ、
Figure 0005441292

Figure 0005441292
且つ、
Figure 0005441292
の各々が(131a)式且つ(131a’)式と(131b)式且つ(131b’)式の代わりに使用されて、さらに、計測された3次元電流密度ベクトルの分布データとビオ・サバールの法則に基づいて計算された3次元磁場ベクトルの分布データに従い、各瞬時(短)時間において、前記の如く、(130a)式、(130b)式、(130c)式(又は、(130a’)式、(130b’)式、(130c’)式)のいずれかの空間偏微分方程式又はこれらの内の複数の空間偏微分方程式から成る連立空間偏微分方程式が与えられ、従って、これらの方程式を連立することにより、空間分布Ai(x,y,z,fi,t)及びBi(x,y,z,fi,t)が求められ、各関心点において、その時間の導電率分布σi(x,y,z,t)と誘電率分布εi(x,y,z,t)が共に未知である場合には両者が、又、誘電率εi(x,y,z,t)が与えられる点である場合にはその値を使用して未知である導電率σi(x,y,z,t)が、又、導電率σi(x,y,z,t)が与えられる点においてはその値を使用して未知である誘電率εi(x,y,z,t)が(132a)式や(132b)式から求められる。すなわち、導電率分布の時系列σi(x,y,z,t)や誘電率分布の時系列εi(x,y,z,t)を得ることができる。
尚、他の独立した時系列iにおいても、各時間において、 (130a)式、(130b)式、(130c)式(又は、(130a’)式、(130b’)式、(130c’)式)のいずれかの空間偏微分方程式又はこれらの内の複数の空間偏微分方程式から成る連立空間偏微分方程式と、導電率空間分布の時系列σi(x,y,z,t)と誘電率空間分布の時系列εi(x,y,z,t)に関する初期条件(133a)式且つ(133a’)式や(133b)式且つ(133b’)式が与えられ、従って、全ての時系列iから得られる方程式を連立することにより、空間分布時系列Ai(x,y,z,fi,t)及びBi(x,y,z,fi,t)を求め、各関心点において、導電率分布σi(x,y,z,t)と誘電率分布εi(x,y,z,t)が共に未知である場合には両者を、又、誘電率εi(x,y,z,t)が与えられる場合にはその値を使用して未知である導電率σi(x,y,z,t)を、又、導電率σi(x,y,z,t)が与えられる点においてはその値を使用して未知である誘電率εi(x,y,z,t)を(132a)式や(132b)式から求めることができる。すなわち、導電率分布の時系列σi(x,y,z,t)や誘電率分布の時系列εi(x,y,z,t)を得ることができる。
又、導電率分布の時系列σi(x,y,z,t)及び誘電率の時系列εi(x,y,z,t)の両者か、又は、いずれかの一方が時系列iに対して不変である場合もあり、各瞬時(短)時間において、この場合も、 (130a)式、(130b)式、(130c)式(又は、(130a’)式、(130b’)式、(130c’)式)のいずれかの空間偏微分方程式又はこれらの内の複数の空間偏微分方程式から成る連立空間偏微分方程式と、導電率の時系列σi(x,y,z,t)又はσ(x,y,z,t)と誘電率の時系列εi(x,y,z,t)又はε(x,y,z,t)に関する初期条件(133a)式又は(133a’)式や(133b)式又は(133b’)式(時系列iに依存する場合と依存しない場合がある。)が与えられ、従って、これらの方程式を連立することにより、空間分布時系列Ai(x,y,z,fi,t)又はA(x,y,z,fi,t)及びBi(x,y,z,fi,t)又はB(x,y,z,fi,t)を求め、各関心点において、導電率σi(x,y,z,t)又はσ(x,y,z,t)と誘電率εi(x,y,z,t)又はε(x,y,z,t)が共に未知である場合には両者を、又、誘電率εi(x,y,z,t)又はε(x,y,z,t)が与えられる場合にはその値を使用して未知である導電率σi(x,y,z,t)又はσ(x,y,z,t)を、又、導電率σi(x,y,z,t)又はσ(x,y,z,t)が与えられる場合においてその値を使用して未知である誘電率εi(x,y,z,t)又はε(x,y,z,t)を(132a)式や(132b)式から求めることができる。
さらに、これらの得られる導電率の時系列データと誘電率の時系列データにフーリエ変換を施すことにより、各々の周波数分散を近似的に求めることができる。
この様に、空間偏微分方程式の(130)式中の、関心領域内の、導電率分布の時系列σi(x,y,z,t)、又、誘電率分布の時系列のεi(x,y,z,t)は、測定値、又は、典型値として与えられるか、あるいは、計測対象とされ、又、時として、関心領域の外にて、広帯域の電流源や電圧源を使用する、あるいは、可変の単一周波数の電流源や電圧源の周波数fiを変えるなどして、これら導電率の時系列や誘電率の時系列の周波数分散の空間分布が近似的に求められることがある。
数値解法そのものは前記の導電率推定法に従う。即ち、極力、電流源と上記の導電率分布や誘電率分布の参照領域に関して適切な計測系(即ち、導電率分布(の時系列)と誘電率分布(の時系列)の各々に関して、各2次元平面内にて電流が支配的に流れる方向に参照領域が長く広がる系)を構成した上で、測定された電流密度ベクトル分布の時系列と磁場ベクトル分布の時系列に空間方向に低域通過型フィルタをかけ、又、必要に応じて時間方向にも低域通過型フィルタをかけ、上記のスペクトラム解析を行った上で、空間偏微分方程式中に表される、未知空間分布Ai(x,y,z,fi,t)又はAi(x,y,z,fi)又はA(x,y,z,fi)及びBi(x,y,z,fi,t)又はBi(x,y,z,fi)又はB(x,y,z,fi)、あるいは、3次元電流密度ベクトル分布と3次元磁場ベクトル分布に関して有限差分近似あるいは有限要素近似(変分法又はガラ−キン法)を適用してこれらの未知空間分布Ai(x,y,z,fi,t)(時系列)又はA(x,y,z,fi,t)(時系列)又はAi(x,y,z,fi)又はA(x,y,z,fi)及びBi(x,y,z,fi,t)(時系列)又はB(x,y,z,fi,t)(時系列)又はBi(x,y,z,fi)又はB(x,y,z,fi)に関する代数方程式を導出し、これらの未知分布の各々に関して、空間分布そのものや勾配分布やラプラシアン分布の2乗ノルムを用いた正則化を、又、必要に応じて、これらのいずれかの2乗ノルムに加えて時系列そのものや時間方向の1階の偏微分又は2階の偏微分の2乗ノルムを用いた正則化を、又、必要に応じて、これらのいずれかの2乗ノルムに加えてスペクトラムそのものや周波数方向の1階の偏微分又は2階の偏微分の2乗ノルムに正則化を施すことがある。尚、上記の電流密度ベクトル分布の時系列と磁場ベクトル分布の時系列の時間方向の低域通過型のフィルタリングは、スペクトラム解析を行った上で、周波数領域において実現されることもある。最終的に、(132a)式と(132b)式から、未知である導電率分布や未知誘電率分布が求められる。
尚、2次元関心領域や1次元関心領域を対象とする場合も同様に、前記の導電率推定法に従う。これより、上記の3次元関心領域を対象とした場合に、その領域内に複数の2次元関心領域や複数の1次元関心領域を設け、又、2次元関心領域を対象とする場合に複数の1次元関心領域を設け、各低次元関心領域にて未知分布Ai及びBiに関する代数方程式を導出し、適宜、上記の2乗ノルムを用いた正則化が高次元関心領域又は各低次元関心領域において施されることがある。
また、未知である3次元分布のAi(x,y,z,fi)とBi(x,y,z,fi)及び2次元分布のAi(x,y,fi)とBi(x,y,fi)への適用は不可能であるが、前記の導電率推定法と同様に、1次元導電率分布や1次元誘電率分布に変分原理を適用する場合は、それらの1次元分布そのものの代わりに、1次元導電率や1次元誘電率の1階微分の1次元分布に変分原理が適用されることも可能である。
尚、これらの導電率及び誘電率を推定する際に必要となる、正規化のためのパワー値及び正則化パラメータ値は、いずれも、前記の導電率分布推定法に従い、これらにかかる電流密度ベクトルの時系列のスペクトラムの空間分布より決定される。尚、有限要素近似(変分原理又はガラーキン法)を行う場合の基底関数φも、前記のものに従う。
尚、本法は、磁場ベクトルが直流である場合(fi = fbi = 0、即ち、電流密度ベクトルが直流である場合(fi = 0)であり、(130)式にてAi = 1/σi ((129a)式より) 且つBi = 0 ((129b)式より) 且つ 右辺はゼロ)(前記の導電率推定法と同一)や誘電率εiがゼロである場合((130)式にてAi = 1/σi ((129a)式より) 且つBi = 0 ((129b)式より))は導電率σiのみを計測対象として使用でき、又、導電率σiがゼロである場合(直流は不可であり、(130)式にてAi = 0 ((129a)式より) 且つ Bi = 1/(2πfiεi) ((129b)式より))は誘電率εiのみを計測対象として使用できる。
又、導電率σiが極めて小さい場合には導電率σiをゼロとして扱うことがあり、又、誘電率εiが極めて小さい場合には誘電率εiをゼロとして扱うことがある。
又、磁場ベクトルの周波数fi又はfbiが極めて低い場合(即ち、電流密度ベクトルの周波数fiが極めて低い場合)には、(130)式の右辺はゼロとして使用されることがあり、
又、同じく磁場ベクトルの周波数fi又はfbiが極めて低い場合(即ち、電流密度ベクトルの周波数fiが極めて低い場合)には、(130)式は周波数fiをゼロ(Ai = 1/σi ((129a)式より) 且つBi = 0 ((129b)式より))として導電率σiのみを計測対象として使用されることがある。
又、磁場ベクトルの周波数fi又はfbiが極めて高い場合(即ち、電流密度ベクトルの周波数fiが極めて高い場合)には、(130)式は周波数fiを無限大(Ai = 0 ((129a)式より) 且つBi = 1/(2πfiεi) ((129b)式より))として誘電率εiのみを計測対象として使用されることがある。
また、関心領域内のある領域内又はある点においては電流源(分布、時系列)j=(jx,jy,jz)[ベクトル]のデータが与えられて、誘電率分布εや導電率分布σが求められることがある。(電流源(分布、時系列)をjとして、計測された電流密度ベクトルJがJ=σE+εd/dt・E+j(Eは電界ベクトル)と表されるものとすると、(130)式の代わりに∇x[{A−jB}{J−j}]=−B’が扱われる。)
また、電流源(分布、時系列)がこれら電気物性値と共に同様に求められることもある。また、物性値を求めた上で電流密度ベクトル分布を計測し、電流源(分布、時系列)を求めることがある。以上より、電流密度ベクトル分布や電界ベクトル分布や磁場ベクトル分布の予測を可能とすることができる。
次に、導電率空間分布や誘電率空間分布を推定するために用いる電流密度ベクトル推定法として、2次元磁場ベクトルの2次元空間分布の測定が可能である場合に使用できる技法1及び、3次元、又は、2次元磁場ベクトルの3次元空間分布の測定が可能である場合に使用できる技法2を示す。
技法1(2次元磁場ベクトルの2次元空間分布の測定が可能である場合に使用する技法)
3次元空間(I, J, K)内にある、3次元関心空間とK座標K=K'にて交差する、又は、2次元関心領域内をK座標K=K'にて含む、平面内に存在しうる電流密度ベクトル分布として、3次元電流密度ベクトルの2次元分布J(I,J, K') (= (Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'), Jz (I, J, K'))T)、又は、2次元電流密度ベクトルの2次元分布J(I,J, K') (= (Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'))T)により、平面z=z0(≠Z)(K=K0(≠K'))に生成される3次元磁場ベクトルB(I, J, K0; K') (= (Bx (I, J, K0; K'), By (I, J, K0; K'), Bz (I, J, K0;K'))T)の2成分Bx(I, J, K0; K')及びBy (I, J, K0; K')の2次元分布を測定し、連続なデカルト座標系(x,y,z)にて表されるビオ・サバールの法則
Figure 0005441292
但し、
μ(x', y', z'):与えられる透磁率
r:(x', y', Z)から(x, y, z0)までの距離ベクトル
J(x', y', Z)は、時間tの関数である場合、計測される、見積もられる、若しくは、与えられる、(x', y', Z)から(x, , z0)までの距離|r|を電磁波が伝播するのに要する時間t’(すなわち、この2点を結ぶ線分上の伝播速度分布c(x,y,z,t)=1/√[ε(x,y,z,t)μ(x,y,z,t)]、すなわち、この2点を結ぶ線分上の誘電率分布ε(x,y,z,t))を用いてJ(x', y', Z,t−t’)と表されることがある。
を考え、この平面内(K = K')の2次元関心領域内における3次元電流密度ベクトルJ (I, J, K') (= (Jx (I, J, K'), Jy(I, J, K'), Jz (I, J, K'))T)の擬似2次元電流密度ベクトル分布(Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K')) T、又は、2次元電流密度ベクトル分布J (I, J, K') = (Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'))Tを推定する。但し、電流は平面(x, y, Z)内を支配的に流れていることを仮定する。
この場合の磁場ベクトルの測定に関しては、前述の磁場ベクトル検出器を機械的に走査するなどして、K座標K = K'の2次元関心領域内及びその面内の十分に広い周辺領域内の電流により生成されると考えられる3次元磁場ベクトル分布B(I,J,K0; K')の2成分Bx (I, J, K0; K')及びBy (I, J, K0;K')を、極力、2次元関心領域面に対して近距離位置にて測定する必要がある(すなわち、極力、|K0−K'|を小さく。)。
この測定された磁場ベクトルデータに対して2次元関心領域外に存在する電流により生成される磁場成分の低減するべく、平面K=K'内に任意の一方向の大きさ1の2次元電流密度ベクトルがこの2次元関心領域内のみに空間的に一様に分布していることを想定して、ビオ・サバールの法則((134)式)を離散デカルト系(I,J, K)〜(x /Δx, y /Δy, z /Δz)にて電流密度ベクトル分布を離散化あるいは有限要素近似(電流成分 Jx (x, y, Z)及びJy (x,y, Z)は、2次元基底関数φJ(I,J,K',x,y,Z)(節点数は略)を用いて、各々、ΣI,JφJ(I,J,K',x,y,Z)Jx(I,J,K')及びΣI,JφJ(I,J,K',x,y,Z)Jy(I,J,K')と内挿される。)した式
B = L J …(135)
但し、
B:3次元磁場ベクトルB(I, J, K0; K')の2成分Bx(I, J, K0; K')及びBy(I, J, K0; K')の2次元分布からなるベクトル
J:擬似2次元電流密度ベクトル(Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'))T、又は、 2次元電流密度ベクトルJ(I ,J, K')の、2成分Jx (I, J, K')及びJy(I,J, K')の2次元分布からなるベクトル
L:B及びJ(I ,J, K')(離散近似)又はJ(x ,y, Z)(有限要素近似)を関係付けるリード場を表す行列
より、測定の行われた位置(I, J, K0)にて計算される2次元磁場ベクトルB(I, J, K0; K')の絶対値で表される窓関数W(I,J,K0; K')を測定された磁場データBx(I, J, K0; K') 及び By (I, J, K0;K')に掛ける。
従って、窓関数の掛けられた磁場測定データW(I, J, K0; K') Bx (I, J, K0; K') 及びW(I,J, K0; K') By (I, J, K0; K')の空間分布からなるベクトルBWを用いて、
BW= L J …(136)
よりベクトルJを推定する。具体的には、最小二乗法に基づいて推定する際に正則化法を施すことにより、その推定の安定化を図る。すなわち、正則化パラメータαJ1、αJ2、αJ3(正値)を用いて、
RJ (J) = ‖BW - LJ‖2 + αJ1‖J‖2J2‖DJ‖2+ αJ3‖DTDJ‖2 …(137)
但し、
D:電流密度ベクトル(Jx (x, y, Z), Jy (x, y, Z))T成分の2次元分布に関するx, y方向の2次元勾配作用素の有限差分近似定数又は有限要素近似定数(基底関数φJ(I,J,K',x,y,Z)(1回以上偏微分可能)より求まる)から成る行列
DJ:(Jx (x, y, Z), Jy (x, y, Z))Tの2次元勾配の近似
DTD:電流密度ベクトル(Jx (x, y, Z), Jy (x, y, Z))T成分の2次元分布に関する2次元ラプラシアンの有限差分近似定数又は有限要素近似定数(基底関数φJ(I,J,K',x,y,Z)(2回以上偏微分可能)より求まる)から成る行列
DTDJ:(Jx (x, y, Z), Jy (x, y, Z))Tの2次元ラプラシアンの近似
をベクトルJに関して最小化することにより、K座標K = K' の2次元関心領域内の擬似2次元電流密度ベクトル(Jx (I, J, K'), Jy (I,J,K'))T又は2次元電流密度ベクトル分布J(I,J,K')(=( Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'))T)が求まる。
この様に、3次元関心空間(I, J, K)内の各K座標K = K' の2次元関心領域内にて、擬似2次元電流密度ベクトル分布(Jx (I, J, K'),Jy(I, J, K'))T又は2次元電流密度ベクトル分布J(I,J,K')(=(Jx (I, J, K'), Jy (I, J,K'))T)を推定することにより、3次元関心空間内の擬似2次元電流密度ベクトル(Jx(I, J, K), Jy (I, J, K))T及び2次元電流密度ベクトル分布J(I,J,K)(=(Jx(I, J, K), Jy(I, J, K))T)が求まる。
又、3次元関心空間内の擬似2次元電流密度ベクトル(Jx (I, J, K), Jy (I, J, K))T及び2次元電流密度ベクトル分布J(I,J,K)(=(Jx(I,J, K), Jy (I, J, K))T)は、3次元導電率空間分布を求める場合と同様に、3次元関心領域内の各K座標の2次元関心領域内にて成立する方程式を全て連立し、2次元電流密度ベクトル(Jx(I,J, K), Jy (I, J, K))T成分の3次元空間分布に関する3次元勾配作用素D'を用いて正則化して推定することも可能である。この場合、(137)式中のD'J及びD'TD'Jは、各々、(Jx(I, J, K), Jy (I,J, K))Tの2成分の3次元空間分布の3次元勾配及び3次元ラプラシアンである。
又、各K座標K = K'の2次元関心領域内にて、擬似2次元電流密度ベクトル分布(Jx (I, J, K'), Jy (I,J,K'))Tの時系列又は2次元電流密度ベクトル分布J (I, J, K') = (Jx (I, J, K'), Jy (I, J,K'))Tの時系列を推定する場合は、上記の3次元磁場ベクトルB(I, J, K0; K')の2成分Bx(I, J, K0; K')及By(I, J, K0; K')の2次元分布の時系列が測定された各時間において成立する方程式を全て連立し、各2次元電流密度ベクトル(Jx(I,J, K'), Jy (I, J, K'))T成分分布の時系列に関して、時系列そのものや時系列の時間方向の1階の偏微分や2階の偏微分の2乗ノルム (各々にかかる正則化パラメータをαJ4とαJ5とする) を用いた正則化を施すことがある。この場合、各時間の2次元電流密度ベクトル(Jx(I,J, K'), Jy (I, J, K'))T成分分布の上記2次元勾配や2次元ラプラシアンの2乗ノルムが使用されて正則化されることがある。
又、3次元関心領域内の擬似2次元電流密度ベクトル(Jx (I, J, K'), Jy (I,J,K'))Tの時系列又は2次元電流密度ベクトルJ (I, J, K') = (Jx (I, J, K'), Jy (I, J,K'))Tの時系列を推定する場合は、上記の3次元磁場ベクトルB(I, J, K0; K)の2成分Bx(I, J, K0; K)及びBy(I, J, K0; K)の2次元分布の時系列が測定された各時間において成立する方程式を全て連立し、各2次元電流密度ベクトル(Jx(I,J, K), Jy (I, J, K))T成分の3次元空間分布の時系列に関して、時系列そのものや時系列の時間方向の1階の偏微分や2階の偏微分の2乗ノルム (各々にかかる正則化パラメータをαJ4とαJ5とする) を用いた正則化を施すことがある。この場合、各時間の2次元電流密度ベクトル(Jx(I,J, K'), Jy (I, J, K'))T成分の3次元空間分布の上記3次元勾配や3次元ラプラシアンの2乗ノルムが使用されて正則化されることがある。
正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、各時間において、電流密度ベクトルの分布にかかる行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された磁場ベクトル分布データの精度(SN比)により調節される(SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きく)ことがある。これに準じて、例えば、そのSNパワー比に反比例させることがある。)。
正則化パラメータαJ4・αJ5は、各時間において、電流密度ベクトルの分布にかかる行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された磁場ベクトル分布データの時間方向の変化量の精度(SN比)により調節される(SN比が高い時間に小さく、SN比が低い時間に大きく)ことがある。これに準じて、例えば、そのSNパワー比に反比例させることがある。)。
又、正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、各時間において、かかる電流密度ベクトル成分の分布ごとに異なるものとして実現されることがあり、結果的に、電流密度ベクトルの分布にかかる行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された磁場ベクトルの2成分分布データの精度(SN比)により調節されることがある(SN比が高い磁場ベクトル成分分布の方向と直交する方向の電流密度ベクトル成分の分布に対して小さく、SN比が低い磁場ベクトル成分分布の方向と直交する方向の電流密度ベクトル成分の分布に対して大きく、これに準じて、例えば、磁場ベクトルの各2成分分布データのSNパワー比に反比例させることがある。)。これに準じて、測定された磁場ベクトルの2成分分布データのSNパワー比から評価される成分依存性の正則化パラメータ値と磁場ベクトル分布そのもののSNパワー比から評価される正則化パラメータ値とを重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
又、正則化パラメータαJ4・αJ5は、各時間において、かかる電流密度ベクトル成分の分布ごとに異なるものとして実現されることがあり、結果的に、電流密度ベクトルの分布にかかる行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された磁場ベクトルの2成分分布データの時間方向の変化量の精度(SN比)により調節されることがある(直交する方向の電流密度ベクトル成分分布の時系列に対して、磁場ベクトル成分分布の時間方向の変化量のSN比が高い時間において小さく、磁場ベクトル成分分布の時間方向の変化量のSN比が低い時間において大きく、これに準じて、例えば、磁場ベクトルの各2成分分布データの時間方向の変化量のSNパワー比に反比例させることがある。)。これに準じて、測定された磁場ベクトルの2成分分布データの時間方向の変化量のSNパワー比から評価される時間及び方向に依存する正則化パラメータ値と磁場ベクトル分布の時間方向の変化量のSNパワー比から評価される正則化パラメータ値とを重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
又、正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、各時間において、空間的に変化するものとして実現されることもあり、結果的に、各関心点の電流密度ベクトルにかかる局所行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される。又、測定された各磁場ベクトルデータの精度(SN比)により調節され(SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きく、これに準じて、例えば、磁場ベクトルデータのSNパワー比に反比例させることがある。)、且つ、電流密度ベクトルと各磁場ベクトルとの距離の4乗に比例させることがある。これに準じて、各関心点の電流密度ベクトルにかかる正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、各磁場ベクトルデータのSNパワー比から評価される正則化パラメータ値と各磁場ベクトルとの距離で決まる正則化パラメータ値とを重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
又、正則化パラメータαJ4・αJ5は、各時間において、空間的に変化するものとして実現されることもあり、結果的に、各関心点の電流密度ベクトルにかかる局所行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される。又、測定された各磁場ベクトルデータの時間方向の変化量の精度(SN比)により調節され(SN比が高い時間に小さく、SN比が低い時間に大きく、これに準じて、例えば、そのSNパワー比に反比例させることがある。)、且つ、電流密度ベクトルと各磁場ベクトルとの距離の4乗に比例させることがある。これに準じて、各関心点の電流密度ベクトルにかかる正則化パラメータαJ4・αJ5は、各磁場ベクトルデータの時間方向の変化量のSNパワー比から評価される正則化パラメータ値と各磁場ベクトルとの距離で決まる正則化パラメータ値とを重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
又、正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、各時間において、上記の如く空間的に変化するものとして、且つ、かかる電流密度ベクトル成分ごとに異なるものとして実現されることもあり、結果的に、各関心点の電流密度ベクトルにかかる局所行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された各磁場ベクトルの2成分データの精度(SN比)により調節されることがある(SN比が高い磁場ベクトル成分方向と直交する方向の電流密度ベクトル成分に対して小さく、SN比が低い磁場ベクトル成分方向と直交する方向の電流密度ベクトル成分に対して大きく、これに準じて、例えば、磁場ベクトルの各2成分データのSNパワー比に反比例させることがある。)。これに準じて、各関心点の各電流密度ベクトル成分にかかる正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、測定された各磁場ベクトルの2成分データのSNパワー比から評価される成分依存性の正則化パラメータ値と、各磁場ベクトルとの距離で決まる正則化パラメータ値と、各磁場ベクトルそのもののSNパワー比から評価される正則化パラメータ値とを、重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
また、正則化パラメータαJ4・αJ5は、各時間において、上記の如く空間的に変化するものとして、且つ、かかる電流密度ベクトル成分ごとに異なるものとして実現されることがあり、結果的に、各関心点の電流密度ベクトルにかかる局所行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された各磁場ベクトルの2成分データの時間方向の変化量の精度(SN比)により調節されることがある(直交する方向の電流密度ベクトル成分の時系列に対して、磁場ベクトル成分の時間方向の変化量のSN比が高い時間において小さく、磁場ベクトル成分の時間方向の変化量のSN比が低い時間において大きく、これに準じて、例えば、磁場ベクトルの各2成分データの時間方向の変化量のSNパワー比に反比例させることがある。)。これに準じて、各関心点の各電流密度ベクトル成分にかかる正則化パラメータαJ4・αJ5は、測定された各磁場ベクトルの2成分データの時間方向の変化量のSNパワー比から評価される時間及び方向に依存する正則化パラメータ値と、各磁場ベクトルとの距離で決まる正則化パラメータ値と、各磁場ベクトルの時間方向の変化量のSNパワー比から評価される正則化パラメータ値とを、重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
技法2(3次元、又は、2次元磁場ベクトルの3次元空間分布の測定が可能である場合に使用する技法)
技法2-1:3次元関心空間を直接に対象とする場合
3次元空間(I, J, K')内にある、3次元関心空間(I,J,K')及びその空間を含み物体表面にまで及ぶ十分に広い空間内に存在しうる電流密度ベクトル分布として、3次元電流密度ベクトルJ(I,J, K') (= (Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'),Jz(I, J, K'))T)の3次元空間分布、又は、2次元電流密度ベクトルJ(I,J, K') (= (Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'))T)の3次元空間分布により、任意z座標z=z0(≠Z)(K=K0(≠K'))に生成される3次元磁場ベクトルB(I, J, K0) (= (Bx (I, J, K0),By(I, J, K0), Bz (I, J, K0))T)の3次元空間分布又はその2成分Bx(I,J, K0)及びBy (I, J, K0)の3次元分布を測定し、連続なデカルト座標系(x, y, z)にて表されるビオ・サバールの法則
Figure 0005441292
但し、
μ(x', y', z'):与えられる透磁率
r:(x', y', z')から(x, y, z0)までの距離ベクトル
J(x', y', z')は、時間tの関数である場合、計測される、見積もられる、若しくは、与えられる、(x', y', z')から(x, y, z0)までの距離|r|を電磁波が伝播するのに要する時間t’(すなわち、この2点を結ぶ線分上の伝播速度分布c(x,y,z,t)=1/√[ε(x,y,z,t)μ(x,y,z,t)]、すなわち、この2点を結ぶ線分上の誘電率分布ε(x,y,z,t))を用いてJ(x', y', z',t−t’)と表されることがある。
を考え、3次元電流密度ベクトルJ (I, J, K') (= (Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'), Jz (I, J, K'))T)、又は、その擬似2次元電流密度ベクトル(Jx(I, J, K'),Jy (I, J, K'))T、又は、2次元電流密度ベクトルJ (I, J, K') (= (Jx (I, J,K'),Jy (I, J, K'))T)の、3次元空間分布を推定する。基本的には、電流は平面(x, y, Z)内を支配的に流れていることを仮定する。
この場合の磁場ベクトルの測定に関しては、前述の磁場ベクトル検出器を機械的に走査するなどして、3次元関心空間内及びその空間を含む十分に広い空間内の電流により生成されると考えられる、3次元磁場ベクトルB(I, J, K0) (= (Bx(I, J, K0), By (I, J, K0), Bz(I, J, K0))T)の3次元空間分布、又は、その2成分Bx (I, J, K0)及びBy(I, J, K0)の3次元空間分布を、極力、その3次元関心空間に対して近距離位置にて測定する必要がある (すなわち、極力、|K0−K'|を小さく。)。
この測定された磁場ベクトルデータに対して、その3次元関心空間外に存在する電流により生成される磁場成分を低減するべく、任意の一方向の大きさ1の3次元電流密度ベクトルが、その3次元関心空間内のみに一様に分布していることを想定して、ビオ・サバールの法則((138式)を離散デカルト座標系(I,J, K)〜(x/Δx, y /Δy, z /Δz)にて電流密度ベクトルに関して離散化あるいは有限要素近似(電流成分Jx(x,y,Z)、Jy(x,y,Z)、及び、Jz(x,y,Z)は、3次元基底関数φJ(I,J,K',x,y,Z)(節点数は略)を用いて、各々、ΣI,J,K'φJ(I,J,K',x,y,Z)Jx(I,J,K')、ΣI,J,K'φJ(I,J,K',x,y,Z)Jy(I,J,K')、及び、ΣI,J,K'φJ(I,J,K',x,y,Z)Jz(I,J,K')と内挿される。)した式
B = L J …(139)
但し、
B:3次元磁場ベクトルB(I, J, K0)の3成分Bx (I, J, K0)、By (I, J, K0)及びBz (I, J, K0)、又は、3次元磁場ベクトルB(I, J, K0)の2成分Bx(I, J, K0)及びBy (I, J, K0)、の3次元空間分布からなるベクトル
J:3次元電流密度ベクトルJ (I, J, K')の3成分Jx (I, J, K')、Jy (I,J, K')及びJz (I, J, K')の3次元空間分布からなるベクトル、又は、その擬似2次元電流密度ベクトル(Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'))T、又は、2次元電流密度ベクトルJ (I, J, K')の2成分Jx (I, J, K')、及び、Jy (I, J, K')の3次元空間分布からなるベクトル
L:B及びJ (I, J, K')(離散近似)又はJ (x, y, Z)(有限要素近似)を関係付けるリード場を表す行列
より、測定の行われた位置(I, J, K0)にて計算される磁場ベクトルB(I, J, K0)の絶対値で表される窓関数W(I, J, K0)を測定された磁場データBx (I, J, K0)、By(I, J, K0)、Bz(I, J, K0)に掛ける。
従って、窓関数の掛けられた3つの磁場測定データW(I, J, K0) Bx (I, J, K0)、 W(I, J, K0) By (I, J, K0)及びW(I, J, K0) Bz (I, J, K0)、又は、2つの磁場測定データW(I, J, K0) Bx (I, J, K0)及び W(I, J, K0) By (I, J, K0)の空間分布からなるベクトルBWを用いて、
BW= L J …(140)
よりベクトルJを推定する。具体的には、最小二乗法に基づいて推定する際に正則化法を施すことにより、その推定の安定化を図る。すなわち、正則化パラメータαJ1、αJ2、αJ3(正値)を用いて、
RJ (J)=‖BW - LJ‖2J1‖J‖2J2‖D'J‖2J3‖D'D'J‖2 …(141)
但し、
D':ベクトルJが3次元電流密度ベクトルJ (x, y, Z)の3成分Jx (x, y, Z)、Jy (x, y, Z)及びJz (x, y, Z)の3次元空間分布(I, J, K')から成る場合、これら3成分に関するx, y, z方向の3次元勾配作用素の有限差分近似定数、又は有限要素近似定数(基底関数φJ(I,J,K',x,y,Z)(1回以上偏微分可能)より求まる)からなる行列、
又、ベクトルJが3次元電流密度ベクトルJ(x, y, Z)の擬似2次元電流密度ベクトル(Jx (x, y, Z), Jy (x, y, Z))T又は2次元電流密度ベクトルJ (x,y,Z)の2成分Jx (x, y, Z)及びJy (x, y, Z)の3次元空間分布(I, J, K')から成る場合、これら2成分に関するx, y, z方向の3次元勾配作用素の有限差 分近似定数又は有限要素近似定数(基底関数φJ(I,J,K',x,y,Z)(1 回以上偏微分可能)より求まる)からなる行列
D'TD':ベクトルJが3次元電流密度ベクトルJ (x, y, Z)の3成分Jx (x,y,Z)、Jy (x, y, Z)及びJz (x, y, Z)の3次元空間分布(I, J, K')から成る場合、これら3成分に関する3次元ラプラシアン作用素の有限差分近似定 数又は有限要素近似定数(基底関数φJ(I,J,K',x,y,Z)(2回以上偏 微分可能)より求まる)からなる行列、
又、ベクトルJが3次元電流密度ベクトルJ(x, y, Z)の擬似2次元電流密度ベクトル(Jx (x, y, Z), Jy (x, y, Z))T又は2次元電流密度ベクトルJ(x,y,Z)の2成分Jx (x, y, Z)及びJy (x, y, Z)の3次元空間分布(I, J, K')から成る場合、これら2成分に関する3次元ラプラシアン作用素の有限差分近似定数又は有限要素近似定数(基底関数φJ(I,J,K',x,y,Z)(2回以上偏微分可能)より求まる)からなる行列
をベクトルJに関して最小化することにより、3次元関心空間内の、3次元電流密度ベクトルJ (I, J, K') (= (Jx (I, J, K'), Jy(I, J, K'), Jz (I, J, K'))T)、又は、その擬似2次元電流密度ベクトル(Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'))T、又は、2次元電流密度ベクトルJ (I, J, K') (= (Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'))T)の3次元空間分布が求まる。
又、3次元関心領域内の、3次元電流密度ベクトルJ (I, J, K') (= (Jx (I, J, K'), Jy(I, J, K'), Jz (I, J, K'))T)の時系列、又は、その擬似2次元電流密度ベクトル(Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'))Tの時系列、又は、2次元電流密度ベクトルJ (I, J, K') (= (Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'))T) の時系列を推定する場合は、上記の3次元磁場ベクトルB(I, J, K0)の3成分Bx (I, J, K0)、By (I, J, K0)及びBz (I, J, K0)、又は、その2成分Bx(I, J, K0)及びBy (I, J, K0)の3次元空間分布の時系列が測定された各時間において成立する方程式を全て連立し、各3次元電流密度ベクトル(Jx(I, J, K), Jy(I, J, K), Jz(I, J, K))T成分又は各2次元電流密度ベクトル(Jx(I, J, K), Jy (I, J, K))T成分の3次元空間分布の時系列に関して、時系列そのものや時系列の時間方向の1階の偏微分や2階の偏微分の2乗ノルム (各々にかかる正則化パラメータをαJ4とαJ5とする) を用いた正則化を施すことがある。この場合、各時間の3次元電流密度ベクトル(Jx(I, J, K), Jy(I, J, K), Jz(I, J, K))T成分及び2次元電流密度ベクトル(Jx(I, J, K), Jy (I, J, K))T成分の3次元空間分布の上記3次元勾配や3次元ラプラシアンの2乗ノルムが使用されて正則化されることがある。
正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、各時間において、電流密度ベクトルの空間分布にかかる行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された磁場ベクトル空間分布データの精度(SN比)により調節されることがある(SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きく、これに準じて、例えば、そのSNパワー比に反比例させることがある。)。
正則化パラメータαJ4・αJ5は、各時間において、電流密度ベクトルの空間分布にかかる行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された磁場ベクトル空間分布の時間方向の変化量データの精度(SN比)により調節されることがある(SN比が高い時間に小さく、SN比が低い時間に大きく、これに準じて、例えば、そのSNパワー比に反比例させることがある。)。
又、正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、各時間において、かかる電流密度ベクトル成分の空間分布ごとに異なるものとして実現されることがあり、結果的に、電流密度ベクトルの空間分布にかかる行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された磁場ベクトルの各方向成分空間分布データの精度(SN比)により調節されることがある(SN比が高い磁場ベクトル成分空間分布の方向と直交する方向の電流密度ベクトル成分空間分布に対して小さく、SN比が低い磁場ベクトル成分空間分布の方向と直交する方向の電流密度ベクトル成分空間分布に対して大きく、これに準じて、例えば、磁場ベクトルの上記各3成分又は各2成分空間分布データのSNパワー比に反比例させることがある。従って、3次元磁場ベクトルデータが測定された場合は3つの電流密度ベクトル成分空間分布に関しては2つの磁場ベクトル成分空間分布のSN比から決定される値の積に、2次元磁場ベクトルデータが測定された場合は電流密度ベクトルのx、y成分空間分布に関しては1つの磁場ベクトル成分空間分布のSN比から決定される値に、z成分空間分布に関しては2つの磁場ベクトル成分空間分布のSN比から決定される値の積に、比例する値に設定されることとなる。)。これに準じて、測定された磁場ベクトルの上記3成分又は2成分空間分布データのSNパワー比から評価される成分依存性の正則化パラメータ値と磁場ベクトル空間分布そのもののSNパワー比から評価される正則化パラメータ値とを重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
また、正則化パラメータαJ4・αJ5は、各時間において、かかる電流密度ベクトル成分の空間分布ごとに異なるものとして実現されることがあり、結果的に、電流密度ベクトルの空間分布にかかる行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された磁場ベクトルの各方向成分空間分布データの時間方向の変化量の精度(SN比)により調節されることがある(直交する方向の電流密度ベクトル成分分布の時系列に対して、磁場ベクトル成分分布の時間方向の変化量のSN比が高い時間において小さく、磁場ベクトル成分分布の時間方向の変化量のSN比が低い時間において大きく、これに準じて、例えば、磁場ベクトルの上記各3成分又は各2成分空間分布データの時間方向の変化量のSNパワー比に反比例させることがある。)。これに準じて、測定された磁場ベクトルの上記3成分又は2成分の空間分布データの時間方向の変化量のSNパワー比から評価される時間及び方向に依存する正則化パラメータ値と磁場ベクトル分布の時間方向の変化量のSNパワー比から評価される正則化パラメータ値とを重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
又、正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、各時間において、空間的に変化するものとして実現されることもあり、結果的に、各関心点の電流密度ベクトルにかかる局所行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される。又、測定された各磁場ベクトルデータの精度(SN比)により調節され(SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きく、これに準じて、例えば、磁場ベクトルデータのSNパワー比に反比例させることがある。)、且つ、電流密度ベクトルと各磁場ベクトルとの距離の4乗に比例させることがある。これに準じて、各関心点の電流密度ベクトルにかかる正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、各磁場ベクトルデータのSNパワー比から評価される正則化パラメータ値と各磁場ベクトルとの距離で決まる正則化パラメータ値とを重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
又、正則化パラメータαJ4・αJ5は、各時間において、空間的に変化するものとして実現されることもあり、結果的に、各関心点の電流密度ベクトルにかかる局所行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される。又、測定された各磁場ベクトルデータの時間方向の変化量の精度(SN比)により調節され(SN比が高い時間に小さく、SN比が低い時間に大きく、これに準じて、例えば、そのSNパワー比に反比例させることがある。)、且つ、電流密度ベクトルと各磁場ベクトルとの距離の4乗に比例させることがある。これに準じて、各関心点の電流密度ベクトルにかかる正則化パラメータαJ4・αJ5は、各磁場ベクトルの時間方向の変化量データのSNパワー比から評価される正則化パラメータ値と各磁場ベクトルとの距離で決まる正則化パラメータ値とを重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
又、正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、各時間において、上記の如く空間的に変化するものとして、且つ、かかる電流密度ベクトル成分ごとに異なるものとして実現されることがあり、結果的に、各関心点の電流密度ベクトルにかかる局所行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された各磁場ベクトルの各方向成分データの精度(SN比)により調節されることがある(SN比が高い磁場ベクトル成分方向と直交する方向の電流密度ベクトル成分に対して小さく、SN比が低い磁場ベクトル成分の方向と直交する方向の電流密度ベクトル成分に対して大きく、これに準じて、例えば、磁場ベクトルの上記各3成分又は各2成分データのSNパワー比に反比例させることがある。従って、3次元磁場ベクトルデータが測定された場合は3つの電流密度ベクトル成分に関しては2つの磁場ベクトル成分のSN比から決定される値の積に、2次元磁場ベクトルデータが測定された場合は電流密度ベクトルのx、y成分に関しては1つの磁場ベクトル成分のSN比から決定される値に、z成分に関しては2つの磁場ベクトル成分のSN比から決定される値の積に、比例する値に設定されることとなる。)。これに準じて、各関心点の各電流密度ベクトル成分にかかる正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、測定された各磁場ベクトルの3成分又は2成分データのSNパワー比から評価される成分依存性の正則化パラメータ値と、各磁場ベクトルとの距離で決まる正則化パラメータ値と、各磁場ベクトルそのもののSNパワー比から評価される正則化パラメータ値とを、重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
また、正則化パラメータαJ4・αJ5は、各時間において、上記の如く空間的に変化するものとして、且つ、かかる電流密度ベクトル成分ごとに異なるものとして実現されることがあり、結果的に、各関心点の電流密度ベクトルにかかる局所行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された各磁場ベクトルの各方向成分データの時間方向の変化量の精度(SN比)により調節されることがある(直交する方向の電流密度ベクトル成分の時系列に対して、磁場ベクトル成分の時間方向の変化量のSN比が高い時間において小さく、磁場ベクトル成分の時間方向の変化量のSN比が低い時間において大きく、これに準じて、例えば、磁場ベクトルの上記各3成分又は各2成分データの時間方向の変化量のSNパワー比に反比例させることがある。)。これに準じて、各関心点の各電流密度ベクトル成分にかかる正則化パラメータαJ4・αJ5は、測定された各磁場ベクトルの3成分又は2成分データの時間方向の変化量のSNパワー比から評価される時間及び方向に依存する正則化パラメータ値と、各磁場ベクトルとの距離で決まる正則化パラメータ値と、各磁場ベクトルの時間方向の変化量のSNパワー比から評価される正則化パラメータ値とを、重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
技法2-2:2次元関心領域を直接に対象とする場合
3次元空間(I, J, K')内にある、3次元関心空間とK座標K=K'にて交差する、又は、2次元関心領域内をK座標K=K'にて含む、平面内に存在しうる電流密度ベクトル分布として、3次元電流密度ベクトルの2次元分布J(I,J,K' ) (= (Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'), Jz (I, J, K'))T)、又は、2次元電流密度ベクトルの2次元分布J(I,J,K') (= (Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'))T)により、平面z=z0(≠Z)(K=K0(≠K'))に生成される3次元磁場ベクトルB(I, J, K0; K') (= (Bx (I, J, K0;K'),By (I, J, K0; K'), Bz (I, J, K0; K'))T)の3次元空間分布又はその2成分Bx(I, J, K0; K')及びBy (I, J, K0; K')の3次元分布を測定し、連続なデカルト座標系(x,y,z)にて表されるビオ・サバールの法則((134)式)を考え、この平面内(K = K')の2次元関心領域内における3次元電流密度ベクトルJ(I,J,K') (= (Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'), Jz (I, J, K'))T)、又は、その擬似2次元電流密度ベクトル(Jx(I, J, K'), Jy (I, J, K'))T、又は、2次元電流密度ベクトルJ(I, J, K') = (Jx (I, J, K'),Jy (I, J, K'))Tの、2次元分布を推定する。但し、電流は平面(x, y, Z)内を支配的に流れていることを仮定する。
この場合の磁場ベクトルの測定に関しては、前述の磁場ベクトル検出器を機械的に走査するなどして、K座標K = K'の2次元関心領域内及びその面内の周辺領域内の電流により生成されると考えられる、3次元磁場ベクトル分布B(I,J,K0;K') (= (Bx (I, J, K0; K'), By (I, J, K0; K'))T)の3次元空間分布、又は、その2成分Bx(I, J, K0)及びBy (I, J, K0)の3次元空間分布を、極力、2次元関心領域面に対して近距離位置にて測定する必要がある(すなわち、極力、|K0−K'|を小さく。)。
この測定された磁場ベクトルデータに対して2次元関心領域外に存在する電流により生成される磁場成分の低減するべく、平面K = K'内に任意の一方向の大きさ1の2次元電流密度ベクトルがこの2次元関心領域内のみに空間的に一様に分布していることを想定して、ビオ・サバールの法則((134)式)を離散デカルト系(I, J, K)〜(x /Δx, y /Δy, z /Δz)にて電流密度ベクトルを離散化あるいは有限要素近似(電流成分Jx(x,y,Z)、Jy(x,y,Z)、及び、Jz(x,y,Z)は、2次元基底関数φJ(I,J,K',x,y,Z)(節点数は略)を用いて、各々、ΣI,JφJ(I,J,K',x,y,Z)Jx(I,J,K')、ΣI,JφJ(I,J,K',x,y,Z)Jy(I,J,K')、及び、ΣI,JφJ(I,J,K',x,y,Z)Jz(I,J,K')と内挿される。)した式
B = L J …(142)
但し、
B:3次元磁場ベクトルB(I, J, K0; K')の3成分Bx(I, J, K0; K')、By(I, J, K0; K')及びBz(I, J, K0; K')、
又は、3次元磁場ベクトルB(I, J, K0; K')の2成分Bx(I, J, K 0; K')及びBy(I, J, K0; K')、の3次元空間分布からなるベクトル
J:3次元電流密度ベクトルJ (I, J, K')の3成分Jx (I, J, K')、Jy (I,J, K')、Jz (I, J, K')の2次元分布からなるベクトル、
又は、その擬似2次元電流密度ベクトル(Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'))T又は2次元電流密度ベクトルJ(I, J, K')の2成分Jx (I, J, K')及びJy (I, J, K')の、2次元分布からなるベクトル
L:B及びJ (I, J, K')(離散近似)又はJ (x, y, Z)(有限要素近似)を関係付けるリード場を表す行列
より、測定の行われた位置(I, J, K0)にて計算される磁場ベクトルB(I, J, K0;K')の絶対値で表される窓関数W(I,J,K0; K')を測定された磁場データBx(I, J, K0; K')、By(I, J, K0;K')、Bz(I,J, K0; K')に掛ける。
従って、窓関数の掛けられた3つの磁場測定データW(I, J, K0) Bx(I, J, K0; K')、W(I,J, K0) By(I, J, K0; K')及びW(I, J, K0) Bz(I,J, K0;K')、又は、2つの磁場測定データW(I, J, K0) Bx(I, J, K0;K')及び W(I, J, K0)By(I,J, K0; K')の、空間分布からなるベクトルBWを用いて、
BW= L J …(143)
よりベクトルJを推定する。具体的には、最小二乗法に基づいて推定する際に正則化法を施すことにより、その推定の安定化を図る。すなわち、正則化パラメータαJ1、αJ2、αJ3(正値)を用いて、
RJ (J) = ‖BW - LJ‖2 + αJ1‖J‖2J2‖DJ‖2+ αJ3‖DTDJ‖2 …(144)
但し、
D: ベクトルJが3次元電流密度ベクトルJ (x, y, Z)の3成分Jx (x, y, Z)、Jy (x, y, Z)及びJz (x, y, Z)の2次元分布(I,J,K')から成る場合、これら3成分に関するx, y方向の2次元勾配作用素の有限差分近似定数又は有限要素近似定数(基底関数φJ(I,J,K',x,y,Z)(1回以上偏微分可能)より求まる)からなる行列、
又、ベクトルJが3次元電流密度ベクトルJ (I, J, K')の擬似2次元電流密度ベクトル(Jx (x, y, Z), Jy (x, y, Z))T又は2次元電流密度ベクトルJ(x, y, Z)の2成分Jx (x, y, Z)及びJy (x, y, Z)の、2次元分布(I, J, K')から成る場合、これら2成分に関するx, y方向の2次元勾配作用素の有限差分近似定数又は有限要素近似定数(基底関数φJ(I,J,K',x,y,Z)(1回以上偏微分可能)より求まる)からなる行列
DTD:ベクトルJが3次元電流密度ベクトルJ (x, y, Z)の3成分Jx (x, y, Z)、Jy (x, y, Z)及びJz(x, y, Z)の2次元分布(I, J, K')から成る場合、これら3成分に関する2次元ラプラシアン作用素の有限差分近似定数又は有限要素近似定数(基底関数φJ(I,J,K',x,y,Z)(2回以上偏微分可能)より求まる)からなる行列、
又、ベクトルJが3次元電流密度ベクトルJ (I, J, K')の擬似2次元電流密度ベクトル(Jx (x, y, Z), Jy (x, y, Z))T又は2次元電流密度ベクトルJ(x, y, Z)の2成分Jx (x, y, Z)及びJy (x, y, Z)の、2次元分布(I, J, K')から成る場合、これら2成分に関する2次元ラプラシアン作用素の有限差分近似定数又は有限要素近似定数(基底関数φJ(I,J,K',x,y,Z)(2回以上偏微分可能)より求まる)からなる行列をベクトルJに関して最小化することにより、K座標K = K' の2次元関心領域内の3次元電流密度ベクトルJ (I, J, K') (= (Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'),Jz(I, J, K'))T)、又は、その擬似2次元電流密度ベクトル(Jx (I, J, K'), Jy(I, J, K'))T、又は、2次元電流密度ベクトルJ (I, J, K') (= (Jx (I, J, K'),Jy (I, J, K'))T)の、2次元分布が求まる。
又、技法1の場合と同様、3次元関心空間(I, J, K)内の各K座標K = K' の2次元関心領域内にて、3次元電流密度ベクトルJ (I, J, K')(=(Jx (I, J, K'), Jy(I, J, K'), Jz (I, J, K'))T)、又は、その擬似2次元電流密度ベクトル(Jx(I, J, K'), Jy (I, J, K'))T、又は、2次元電流密度ベクトルJ (I, J, K') (= (Jx (I, J, K'),Jy (I, J, K'))T)を推定することにより、3次元関心空間内の3次元電流密度ベクトルJ (I, J, K) (=(Jx (I, J, K), Jy (I, J, K), Jz (I,J, K))T)、又は、その擬似2次元電流密度ベクトル(Jx(I, J, K),Jy (I, J, K))T、又は、2次元電流密度ベクトルJ (I, J, K) (= (Jx (I, J, K), Jy (I, J, K))T)を推定することもできる。
又、3次元関心空間内の3次元電流密度ベクトルJ (I, J, K) (= (Jx (I, J, K), Jy (I, J, K), Jz (I,J,K))T)、又は、その擬似2次元電流密度ベクトル(Jx(I, J, K), Jy (I, J, K))T及び2次元電流密度ベクトル分布J(I,J,K)(=(Jx(I,J, K), Jy (I, J, K))T)は、3次元関心領域内の各K座標の2次元関心領域内にて成立する方程式を全て連立し、各々、3次元電流密度ベクトルJ(I, J, K) (= (Jx (I, J, K), Jy (I, J, K), Jz (I, J, K))T)の3成分、又は、その擬似2次元電流密度ベクトル(Jx(I, J, K), Jy (I, J, K))T及び2次元電流密度ベクトルJ(I, J, K)(=(Jx (I, J, K), Jy(I, J, K))T)の2成分の3次元空間分布に関する3次元勾配作用素D'を用いて正則化して推定することも可能である((144)式)。
又、各K座標K = K'の2次元関心領域内にて、3次元電流密度ベクトル分布J (I, J, K')(=(Jx (I, J, K'), Jy(I, J, K'), Jz (I, J, K'))T)の時系列、又は、その擬似2次元電流密度ベクトル分布(Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'))Tの時系列、又は、2次元電流密度ベクトル分布J (I, J, K') = (Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'))Tの時系列を推定する場合は、上記の3次元磁場ベクトルB(I, J, K0; K')の3成分Bx(I, J, K0; K')、By(I, J, K0; K')及びBz(I, J, K0; K')、又は、その2成分Bx(I, J, K0; K')及びBy(I, J, K0; K')の3次元空間分布の時系列が測定された各時間において成立する方程式を全て連立し、各3次元電流密度ベクトル(Jx (I, J, K'), Jy(I, J, K'), Jz (I, J, K'))T成分又は各2次元電流密度ベクトル(Jx(I, J, K'), Jy (I, J, K'))T成分分布の時系列に関して、時系列そのものや時系列の時間方向の1階の偏微分や2階の偏微分の2乗ノルム (各々にかかる正則化パラメータをαJ4とαJ5とする) を用いた正則化を施すことがある。この場合、各時間の3次元電流密度ベクトル(Jx (I, J, K'), Jy(I, J, K'), Jz (I, J, K'))T成分又は2次元電流密度ベクトル(Jx(I, J, K'), Jy (I, J, K'))T成分分布の上記2次元勾配や2次元ラプラシアンの2乗ノルムが使用されて正則化されることがある。
又、3次元関心領域内の、3次元電流密度ベクトルJ (I, J, K') (= (Jx (I, J, K'), Jy(I, J, K'), Jz (I, J, K'))T)の時系列、又は、その擬似2次元電流密度ベクトル(Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'))Tの時系列、又は、2次元電流密度ベクトルJ (I, J, K') (= (Jx (I, J, K'), Jy (I, J, K'))T) の時系列を推定する場合は、上記の3次元磁場ベクトルB(I, J, K0)の3成分Bx (I, J, K0)、By(I, J, K0)及びBz (I, J, K0)、又は、その2成分Bx(I, J, K0)及びBy (I, J, K0)の3次元空間分布の時系列が測定された各時間において成立する方程式を全て連立し、各3次元電流密度ベクトル(Jx(I, J, K), Jy(I, J, K), Jz(I, J, K))T成分又は各2次元電流密度ベクトル(Jx(I, J, K), Jy (I, J, K))T成分の3次元空間分布の時系列に関して、時系列そのものや時系列の時間方向の1階の偏微分や2階の偏微分の2乗ノルム (各々にかかる正則化パラメータをαJ4とαJ5とする) を用いた正則化を施すことがある。この場合、各時間の3次元電流密度ベクトル(Jx(I, J, K), Jy(I, J, K), Jz(I, J, K))T成分及び2次元電流密度ベクトル(Jx(I, J, K), Jy (I, J, K))T成分の3次元空間分布の上記3次元勾配や3次元ラプラシアンの2乗ノルムが使用されて正則化されることがある。
正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、各時間において、電流密度ベクトルの分布にかかる行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された磁場ベクトル空間分布データの精度(SN比)により調節されることがある(SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きく、これに準じて、例えば、そのSNパワー比に反比例させることがある。)。
正則化パラメータαJ4・αJ5は、各時間において、電流密度ベクトルの分布にかかる行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された磁場ベクトル空間分布の時間方向の変化量データの精度(SN比)により調節されることがある(SN比が高い時間に小さく、SN比が低い時間に大きく、これに準じて、例えば、そのSNパワー比に反比例させることがある。)。
また、正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、各時間において、かかる電流密度ベクトル成分分布ごとに異なるものとして実現されることがあり、結果的に、電流密度ベクトル分布にかかる行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された磁場ベクトルの各方向成分空間分布データの精度(SN比)により調節されることがある(SN比が高い磁場ベクトル成分空間分布の方向と直交する方向の電流密度ベクトル成分分布に対して小さく、SN比が低い磁場ベクトル成分空間分布の方向と直交する方向の電流密度ベクトル成分分布に対して大きく、これに準じて、例えば、磁場ベクトルの上記各3成分又は各2成分空間分布データのSNパワー比に反比例させることがある。従って、3次元磁場ベクトルデータが測定された場合は3つの電流密度ベクトル成分分布に関しては2つの磁場ベクトル成分空間分布のSN比から決定される値の積に、2次元磁場ベクトルデータが測定された場合は電流密度ベクトルのx、y成分分布に関しては1つの磁場ベクトル成分空間分布のSN比から決定される値に、z成分分布に関しては2つの磁場ベクトル成分空間分布のSN比から決定される値の積に、比例する値に設定されることとなる。)。これに準じて、測定された磁場ベクトルの上記3成分又は2成分空間分布データのSNパワー比から評価される成分依存性の正則化パラメータ値と磁場ベクトル空間分布そのもののSNパワー比から評価される正則化パラメータ値とを重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
また、正則化パラメータαJ4・αJ5・αJ6は、各時間において、かかる電流密度ベクトル成分分布ごとに異なるものとして実現されることがあり、結果的に、電流密度ベクトル分布にかかる行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された磁場ベクトルの各方向成分空間分布データの時間方向の変化量の精度(SN比)により調節されることがある(直交する方向の電流密度ベクトル成分分布の時系列に対して、磁場ベクトル成分分布の時間方向の変化量のSN比が高い時間において小さく、磁場ベクトル成分分布の時間方向の変化量のSN比が低い時間において大きく、これに準じて、例えば、磁場ベクトルの上記各3成分又は各2成分空間分布データの時間方向の変化量のSNパワー比に反比例させることがある。)。これに準じて、測定された磁場ベクトルの上記3成分又は2成分の空間分布データの時間方向の変化量のSNパワー比から評価される時間及び方向に依存する正則化パラメータ値と磁場ベクトル分布の時間方向の変化量のSNパワー比から評価される正則化パラメータ値とを重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
また、正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、各時間において、空間的に変化するものとして実現されることもあり、結果的に、各関心点の電流密度ベクトルにかかる局所行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される。又、測定された各磁場ベクトルデータの精度(SN比)により調節され(SN比が高い場合に小さく、SN比が低い場合に大きく、これに準じて、例えば、磁場ベクトルデータのSNパワー比に反比例させることがある。)、且つ、電流密度ベクトルと各磁場ベクトルとの距離の4乗に比例させることがある。これに準じて、各関心点の電流密度ベクトルにかかる正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、各磁場ベクトルデータのSNパワー比から評価される正則化パラメータ値と各磁場ベクトルとの距離で決まる正則化パラメータ値とを重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
また、正則化パラメータαJ4・αJ5は、各時間において、空間的に変化するものとして実現されることもあり、結果的に、各関心点の電流密度ベクトルにかかる局所行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される。又、測定された各磁場ベクトルデータの時間方向の変化量の精度(SN比)により調節され(SN比が高い時間に小さく、SN比が低い時間に大きく、これに準じて、例えば、そのSNパワー比に反比例させることがある。)、且つ、電流密度ベクトルと各磁場ベクトルとの距離の4乗に比例させることがある。これに準じて、各関心点の電流密度ベクトルにかかる正則化パラメータαJ4・αJ5は、各磁場ベクトルデータの時間方向の変化量のSNパワー比から評価される正則化パラメータ値と各磁場ベクトルとの距離で決まる正則化パラメータ値とを重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
また、正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、各時間において、上記の如く空間的に変化するものとして、且つ、かかる電流密度ベクトル成分ごとに異なるものとして実現されることがあり、結果的に、各関心点の電流密度ベクトルにかかる局所行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された各磁場ベクトルの各方向成分データの精度(SN比)により調節されることがある(SN比が高い磁場ベクトル成分方向と直交する方向の電流密度ベクトル成分に対して小さく、SN比が低い磁場ベクトル成分の方向と直交する方向の電流密度ベクトル成分に対して大きく、これに準じて、例えば、磁場ベクトルの上記各3成分又は各2成分データのSNパワー比に反比例させることがある。従って、3次元磁場ベクトルデータが測定された場合は3つの電流密度ベクトル成分に関しては2つの磁場ベクトル成分のSN比から決定される値の積に、2次元磁場ベクトルデータが測定された場合は電流密度ベクトルのx、y成分に関しては1つの磁場ベクトル成分のSN比から決定される値に、z成分に関しては2つの磁場ベクトル成分のSN比から決定される値の積に、比例する値に設定されることとなる。)。これに準じて、各関心点の各電流密度ベクトル成分にかかる正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3は、測定された各磁場ベクトルの3成分又は2成分データのSNパワー比から評価される成分依存性の正則化パラメータ値と、各磁場ベクトルとの距離で決まる正則化パラメータ値と、各磁場ベクトルそのもののSNパワー比から評価される正則化パラメータ値とを、重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
また、正則化パラメータαJ4・αJ5は、各時間において、上記の如く空間的に変化するものとして、且つ、かかる電流密度ベクトル成分ごとに異なるものとして実現されることがあり、結果的に、各関心点の電流密度ベクトルにかかる局所行列が数値解析的に充分に正定値となる様に大きい値に調節される、又は、測定された各磁場ベクトルの各方向成分データの時間方向の変化量の精度(SN比)により調節されることがある(直交する方向の電流密度ベクトル成分の時系列に対して、磁場ベクトル成分の時間方向の変化量のSN比が高い時間において小さく、磁場ベクトル成分の時間方向の変化量のSN比が低い時間において大きく、これに準じて、例えば、磁場ベクトルの上記各3成分又は各2成分データの時間方向の変化量のSNパワー比に反比例させることがある。)。これに準じて、各関心点の各電流密度ベクトル成分にかかる正則化パラメータαJ4・αJ5は、測定された各磁場ベクトルの3成分又は2成分データの時間方向の変化量のSNパワー比から評価される時間及び方向に依存する正則化パラメータ値と、各磁場ベクトルとの距離で決まる正則化パラメータ値と、各磁場ベクトルの時間方向の変化量のSNパワー比から評価される正則化パラメータ値とを、重要度の重み付けを行った上で算出される積に比例する値とすることがある。
また、磁場ベクトルの1方向成分の測定が可能である場合は、ビオ・サバールの法則((134)式、(138)式)に基づいて、電流の支配的に流れている方向と直交する接線磁場成分を測定することとし、その接線磁場成分の3次元分布の測定が可能である場合は、技法2に基づいてその電流の3次元分布又は2次元分布又は1次元分布を推定することができ、又、その接線磁場成分の2次元分布の測定が可能である場合は、技法1に基づいてその電流の2次元分布又は1次元分布を推定することができ、又、その磁場成分の1次元分布の測定が可能である場合は、同様にして、その電流の1次元分布を推定することができる。
複数の磁場ベクトル分布又は時系列が測定された場合は、正則化パラメータαJ1・αJ2・αJ3・αJ4・αJ5の各々は、上記の如く、各状態(時間)の磁場ベクトル分布データにおいて評価される正則化パラメータ値の和に比例する値とされる。
尚、上記の電流密度ベクトル計測において、キルヒホッフの第1法則(連続の式)や境界条件(例えば、物体の表面における電流密度ベクトルの法線成分がゼロなど。)などの電流密度ベクトルに係る先見情報を加えて、式を連立し、上記の通り、電流密度ベクトル分布を求めることがある。また、正則化を施すことなく、特異値分解を用いて、電流密度ベクトル分布を求めることがある。無論、正則化と共に特異値分解を施すこともある。
計測結果として、測定された磁気ベクトル分布に加えて、電流密度分布、電流密度発散・勾配分布、導電率や誘電率の分布、導電率や誘電率の勾配分布、導電率や誘電率のラプラシアン分布、誘電率と導電率の比の分布、誘電率と導電率の比の勾配分布、誘電率と導電率の比のラプラシアン分布、これらの周波数分散や経時的変化そのもの、これらの経時的絶対変化(差分値)、及び経時的相対変化(比の値)などがCRT、液晶、又は、LEDを用いたもの等を含む表示部画像表示され、且つ、選択される任意の位置におけるこれらの値が表示される。
図7は、本発明の一実施形態に係る電流密度ベクトル推定装置及び導電率推定装置の全体構成を示している。本装置は計測対象物4内の3次元関心空間又は2次元関心領域又は1次元関心領域内の電流密度ベクトル分布(又は電流密度ベクトル分布の時系列)を計測するための磁場ベクトル検出器1とその位置及び検出方向をかえるための走査機構3と、磁場ベクトル検出器1と計測対象物4の距離を調整する距離調整手段14と、計測対象物4内に電流場を生じさせる電流場生成手段5と、磁場ベクトル検出器1を駆動する駆動装置2と、それらをコントロールする計測制御手段6と計測データを記憶するデータ記録手段7と、測定磁場データ(又は測定磁場時系列データ)から電流密度ベクトル(又は電流密度ベクトル分布の時系列)及び導電率分布(又は導電率分布の時系列)や誘電率分布(又は誘電率分布の時系列)を推定するデータ処理手段8で構成される。
ここで、図8の(a)〜(c)に、磁場ベクトル検出部器のコイル部を模式図にて示す。但し、図8の(a)は1素子、図8の(b)は2素子、図8の(c)は3素子をそれぞれ示している。さらに、図9の(a)〜(c)、図10の(a)〜(c)、図11の(a)〜(c)、図12の(a)〜(c)、図13の(a)〜(c)、は、本発明の一実施形態に係る1次元〜3次元アレイ構成を、それぞれ示している。
ここで、計測制御手段6とデータ記録手段7とデータ処理手段8は、一台の装置上で実現することも可能であり、或いは、複数の装置に分散させることも可能である。走査機構3と距離調整手段14の位置は逆にすることも可能である。
図14は、磁場ベクトル検出器1の側に走査機構3と距離調整手段14を設けた実施例を示している。走査機構3と距離調整手段14の位置は逆にすることも可能である。
図15は、磁場ベクトル検出器1側に第1の走査機構10を設け、計測対象物4側に第2の走査機構11を設けた実施例を示している。この実施例では、距離調整手段14を磁場ベクトル検出器側1に設けているが、計測対象物4側及び両側でもかまわない。走査機構10、11と距離調整手段の位置は逆にすることも可能である。
次に、図16のフローチャートに従って、電流密度分布の推定を通じて導電率分布や誘電率分布を推定する技法について説明する。
まず、導電率や誘電率の値が未知である3次元関心空間内又は2次元関心領域内又は1次元関心領域内に参照領域を適切に設定する。参照領域とは導電率や誘電率が既知である領域である。
計測時に独立な電流場が2つ以上設定できる場合、すなわち、2つ以上の独立した電流密度ベクトル分布(磁場ベクトル分布)、又は、電流密度ベクトル分布の時系列(磁場ベクトル分布の時系列)の計測が可能である場合には、参照領域として少なくとも一つの参照点を設定する。参照点とは導電率や誘電率が既知である点である。
計測時に電流密度ベクトル分布を一つしか計測できない場合には、参照領域を電流が支配的に流れる方向に広く伸びるように設定する。
電流場生成装置を用いて生じせしめた2つの独立した磁場ベクトル分布(又は磁場ベクトル分布の時系列)を測定した場合を例に揚げる。関心空間又は関心領域内に第1の電流場(又は正弦的に時間変化する電流場)を生じせしめ、関心空間又は関心領域の周囲に磁場ベクトル分布(又は正弦的に時間変化する磁場ベクトル分布)を生じさせる。続いて、第1の電流場とは独立の第2の電流場(又は正弦的に時間変化する電流場)を生じせしめ、同様に、第2の磁場ベクトル分布(又は正弦的に時間変化する磁場ベクトル分布)を生じさせる。技法1又は技法2により、その都度、関心空間内又は関心領域内の電流密度ベクトル分布(又は正弦的に時間変化する電流密度ベクトル分布)を推定するが、これはデータ処理手段により行われる。磁場ベクトル空間分布(又は磁場ベクトル空間分布の時系列)を測定に関しては、計測制御手段によって磁場ベクトル検出器駆動装置と走査機構をコントロールして、データをサンプリングしながら、磁場ベクトル検出信号及び位置情報をデータ記録手段に入力する。場合によっては、走査機構を使用しないこともある。続いて、データ処理手段 ((125)式、又は、(132a)式と(132b)式)において導電率分布や誘電率分布や時定数分布(誘電率と導電率に比の分布)を、又、必要に応じて、これらの時系列や周波数分散を推定する。
既に電流場が存在する場合は、これにより生じた磁場ベクトルのみを測定し、その電流ベクトル分布の推定のみを通じて、導電率分布や誘電率分布を推定する。尚、磁場や電流の計測データが欠落した場合は、その時間の点又は領域を関心領域から除外して演算を行い、その演算後において、関心領域から除外された時間の点又は領域の誘電率分布、導電率分布、誘電率と導電率の比の分布、これらの経時的変化や周波数分散を、推定された誘電率分布、導電率分布、誘電率と導電率の比の分布、これらの経時的変化や周波数分散から、関心時空間内において内挿又は外挿補間処理することにより評価することがある。
尚、同様に非等方性の計測対象が扱われることがある。
また、上記の誘電率や導電率やこれらにより表される高次データの計測は、計測対象の非線形特性を捉えるべく、非線形現象を微小時間内や微小空間内の線形近似を行った場合に適用されることがある。
無論、以上の実施形態において、マイクロアレイを使用して、神経回路網などの小さいものを計測対象とすることもできる。
本発明は、物体又は生き物の誘電率及び導電率等を推定するために利用することが可能である。
従来の誘電率又は導電率推定装置の構成を示すブロック図である。 従来の技術による磁場検出器のセンサー部を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る誘電率又は導電率推定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る誘電率又は導電率推定方法の手順を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る誘電率又は導電率推定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係る誘電率又は導電率推定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る電流密度ベクトル推定装置及び導電率推定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態において用いられる磁場ベクトル検出器のコイル部を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るアレイの構成を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係るアレイの構成を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係るアレイの構成を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係るアレイの構成を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係るアレイの構成を示す説明図である。 磁場ベクトル検出器側に走査機構と距離調整手段を設けた実施の形態を示すブロック図である。 磁場ベクトル検出器側に第1の走査機構を設け、計測対象物側に第2の走査機構を設けた実施の形態を示すブロック図である。 本発明の実施の形態を表すフローチャートである。
符号の説明
1 電圧センサ
2 駆動装置
3 走査機構
4 測定対象物
5 電位場又は電流場発生手段
6 計測制御手段
7 データ記録手段
8 データ処理手段
9 ハウジング
10 第1の走査機構
11 第2の走査機構
14 距離調整手段
15 試料設置台
17 表示部

Claims (3)

  1. 測定対象物の3次元、2次元、又は、1次元の関心領域内における複数の位置の電位又は電界の時系列を測定する電位検出手段と、
    前記電位検出手段によって得られた電位データ又は電界データを、その測定した位置を表す位置データ及び測定した時間を表す時間データに対応付けて記録するデータ記録手段と、
    前記データ記録手段に記録されている電位データ又は電界データ、及び、位置データ及び時間データと、前記関心領域内に設定された3次元、2次元、又は、1次元の参照領域において得られる経時的に変化しうる参照導電率又は参照誘電率、又は、参照電荷又は参照電流源、及び、位置データ及び時間データとを用いて、1階の空間偏微分方程式
    ∇(σ)+d/dt・q=0
    又は、
    ∇(σ)−=0
    又は、
    ∇(ε)=q
    (但し、Eはi(自然数)について独立した電界ベクトル又は成分、εはiについて異なりうる誘電率、σはiについて異なりうる導電率、qはiについて異なりうる電荷、jはiについて異なりうる電流源、∇は発散作用素)
    に関して離散近似を適用し、得られる誘電率分布又は導電率分布と電荷分布又は電流源分布とに関する線形の正規方程式を解くことにより、感度理論を用いることなく、測定対象物の前記関心領域内における誘電率分布又は導電率分布と、電荷分布又は電流源分布とを求めるデータ処理手段と、
    を具備する誘電率又は導電率推定装置。
  2. 測定対象物の3次元、2次元、又は、1次元の関心領域内における複数の位置の電位又は電界の時系列を測定する電位検出手段と、
    前記電位検出手段によって得られた電位データ又は電界データを、その測定した位置を表す位置データ及び測定した時間を表す時間データに対応付けて記録するデータ記録手段と、
    前記データ記録手段に記録されている電位データ又は電界データ、及び、位置データ及び時間データと、前記関心領域内に設定された3次元、2次元、又は、1次元の参照領域において得られる経時的に変化しうる参照導電率又は参照誘電率(又は、誘電率と導電率との参照比の値)、又は、参照電荷又は参照電流源(又は、電荷又は電流源と誘電率又は導電率との参照比の値)、及び、位置データ及び時間データとを用いて、1階の空間偏微分方程式
    ∇(σε ・d/dt・E )+d/dt・q=0
    又は、
    ∇(σε ・d/dt・E )−=0
    (但し、Eはi(自然数)について独立した電界ベクトル又は成分、εはiについて異なりうる誘電率、σはiについて異なりうる導電率、qはiについて異なりうる電荷、jはiについて異なりうる電流源、∇は発散作用素)
    に関して離散近似を適用し、得られる導電率分布及び誘電率分布と電荷分布又は電流源分布とに関する線形の正規方程式を解くことにより、感度理論を用いることなく、測定対象物の前記関心領域内における誘電率分布又は導電率分布と、電荷分布又は電流源分布とを求めるデータ処理手段と、
    を具備する誘電率又は導電率推定装置。
  3. 測定対象物の3次元、2次元、又は、1次元の関心領域内における複数の位置の磁場ベクトルを測定する磁場ベクトル検出手段と、
    前記磁場ベクトル検出手段によって得られた磁場ベクトルデータを、その測定した位置を表す位置データ及び測定した時間を表す時間データに対応付けて記録するデータ記録手段と、
    前記データ記録手段に記録されている磁場ベクトルデータに基づいて電流密度データを求め、該電流密度データ及び位置データ及び時間データと、前記関心領域内に設定された3次元、2次元、又は、1次元の参照領域において得られる経時的に変化しうる参照誘電率又は参照導電率又は参照電流源、及び、位置データとを用いて、
    Figure 0005441292
    と、
    Figure 0005441292
    と、
    と、
    (但し、σはi(自然数)について異なりうる導電率、εはiについて異なりうる誘電率、jはiについて異なりうる電流源、fはiについての周波数)
    に関する1階の連立空間偏微分方程式
    Figure 0005441292
    (但し、Jはiについて独立した電流密度ベクトル又は成分、B'はiについての磁場ベクトル又は成分の時間に関する1階の偏微分、jは虚数単位、∇×は回転作用素)
    に関して離散近似を適用し、得られるAとBとjの分布に関する線形の正規方程式を解くことにより、感度理論を用いることなく、測定対象物の前記関心領域内における誘電率分布又は導電率分布と、電流源分布とを求めるデータ処理手段と、
    を具備する誘電率又は導電率推定装置。
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