JP5438880B2 - 機能蛋白質を代替する二種特異性抗体 - Google Patents
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Description
〔1〕酵素、および該酵素の基質の両方を認識する抗体であって、酵素反応を増強する補因子の機能を代替する二種特異性抗体、
〔2〕酵素が蛋白質分解酵素である、〔1〕に記載の抗体、
〔3〕蛋白質分解酵素、基質ならびに補因子が血液凝固線溶関連因子である、〔2〕に記載の抗体、
〔4〕血液凝固線溶関連因子の酵素が血液凝固第IX因子および/または活性化血液凝固第IX因子で、基質が血液凝固第X因子で、補因子が血液凝固第VIII因子および/または活性化血液凝固第VIII因子である、〔3〕に記載の抗体、
〔5〕抗血液凝固第IX/IXa因子抗体における下記(a1)もしくは(a2)のCDR3のアミノ酸配列からなる相補性決定領域またはこれと機能的に同等の相補性決定領域と、抗血液凝固第X因子抗体における下記(b1)〜(b9)のいずれかに記載のCDR3のアミノ酸配列からなる相補性決定領域またはこれと機能的に同等の相補性決定領域とを含む、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、
(a1)H鎖CDR3が配列番号:16に記載のアミノ酸配列
(a2)H鎖CDR3が配列番号:20に記載のアミノ酸配列
(b1)H鎖CDR3が配列番号:24に記載のアミノ酸配列
(b2)H鎖CDR3が配列番号:28に記載のアミノ酸配列
(b3)H鎖CDR3が配列番号:32に記載のアミノ酸配列
(b4)H鎖CDR3が配列番号:36に記載のアミノ酸配列
(b5)H鎖CDR3が配列番号:40に記載のアミノ酸配列
(b6)H鎖CDR3が配列番号:44に記載のアミノ酸配列
(b7)H鎖CDR3が配列番号:48に記載のアミノ酸配列
(b8)H鎖CDR3が配列番号:52に記載のアミノ酸配列
(b9)H鎖CDR3が配列番号:56に記載のアミノ酸配列
〔6〕抗血液凝固第IX/IXa因子抗体における下記(a1)もしくは(a2)のCDRのアミノ酸配列からなる相補性決定領域またはこれと機能的に同等の相補性決定領域と、抗血液凝固第X因子抗体における下記(b1)〜(b9)のいずれかに記載のCDRのアミノ酸配列からなる相補性決定領域またはこれと機能的に同等の相補性決定領域とを含む、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、
(a1)H鎖CDR1,2,3が配列番号:14、15、16に記載のアミノ酸配列
(a2)H鎖CDR1,2,3が配列番号:18、19、20に記載のアミノ酸配列
(b1)H鎖CDR1,2,3が配列番号:22、23、24に記載のアミノ酸配列
(b2)H鎖CDR1,2,3が配列番号:26、27、28に記載のアミノ酸配列
(b3)H鎖CDR1,2,3が配列番号:30、31、32に記載のアミノ酸配列
(b4)H鎖CDR1,2,3が配列番号:34、35、36に記載のアミノ酸配列
(b5)H鎖CDR1,2,3が配列番号:38、39、40に記載のアミノ酸配列
(b6)H鎖CDR1,2,3が配列番号:42、43、44に記載のアミノ酸配列
(b7)H鎖CDR1,2,3が配列番号:46、47、48に記載のアミノ酸配列
(b8)H鎖CDR1,2,3が配列番号:50、51、52に記載のアミノ酸配列
(b9)H鎖CDR1,2,3が配列番号:54、55、56に記載のアミノ酸配列
〔7〕〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む組成物、
〔8〕出血、出血を伴う疾患、もしくは出血に起因する疾患の予防および/または治療に用いられる医薬組成物である、〔7〕に記載の組成物、
〔9〕出血、出血を伴う疾患、もしくは出血に起因する疾患が、血液凝固第VIII因子および/または活性化血液凝固第VIII因子の活性の低下ないし欠損によって発症および/または進展する疾患である、〔8〕に記載の組成物、
〔10〕血液凝固第VIII因子および/または活性化血液凝固第VIII因子の活性の低下ないし欠損によって発症および/または進展する疾患が、血友病Aである、〔9〕に記載の組成物、
〔11〕血液凝固第VIII因子および/または活性化血液凝固第VIII因子の活性の低下ないし欠損によって発症および/または進展する疾患が、血液凝固第VIII因子および/または活性化血液凝固第VIII因子に対するインヒビターが出現している疾患である、〔9〕に記載の組成物、
〔12〕血液凝固第VIII因子および/または活性化血液凝固第VIII因子の活性の低下ないし欠損によって発症および/または進展する疾患が、後天性血友病である、〔9〕に記載の組成物、
〔13〕血液凝固第VIII因子および/または活性化血液凝固第VIII因子の活性の低下によって発症および/または進展する疾患が、フォンビルブランド病である、〔9〕に記載の組成物、
〔14〕〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の抗体、または〔7〕〜〔13〕のいずれかに記載の組成物を投与する工程を含む、出血、出血を伴う疾患、もしくは出血に起因する疾患を予防および/または治療する方法、
〔15〕〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の抗体の、〔7〕〜〔13〕のいずれかに記載した組成物の製造のための使用、
〔16〕少なくとも〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の抗体、または〔7〕に記載の組成物を含む、〔14〕に記載の予防および/または治療する方法に用いるためのキット、
〔17〕〔4〕〜〔6〕のいずれかに記載の抗体、または〔7〕〜〔13〕のいずれかに記載の組成物を投与する工程を含む、出血、出血を伴う疾患、もしくは出血に起因する疾患を、血液凝固第VIII因子と併用して、予防および/または治療する方法、
〔18〕少なくとも〔4〕〜〔6〕のいずれかに記載の抗体、または〔7〕に記載の組成物を含み、かつ血液凝固第VIII因子を含む〔17〕に記載の予防および/または治療する方法に用いるためのキット、を提供するものである。
Fab’を化学的に架橋することによっても二種特異性抗体を作製し得る。例えば一方の抗体から調製したFab’をo−PDM(ortho−phenylenedi−maleimide)にてマレイミド化し、これともう一方の抗体から調製したFab’を反応させることにより、異なる抗体由来Fab’同士を架橋させ二種特異性F(ab’)2を作製することが出来る(Keler T et al.Cancer Research 1997,57:4008−4014)。またFab’−チオニトロ安息香酸(TNB)誘導体とFab’−チオール(SH)等の抗体断片を化学的に結合する方法も知られている(Brennan M et al.Science 1985,229:81−83)。
(a)血液凝固線溶関連因子における補因子の例1
酵素:F.IXa
基質:F.X
補因子:F.VIII/F.VIIIa
補因子F.VIIIaは、F.IXaとF.Xの両方に結合することによって、F.IXaによるF.Xの活性化を増強する。上記の酵素F.IXa、基質F.Xの両方を認識する二種特異性抗体の中には、F.Xの活性化を増強する作用を有するものがある。このような抗体の中には、補因子F.VIII/F.VIIIaの作用機能を代替する作用を有するものが存在すると考えられる。
酵素:ZPI
基質:F.X/F.Xa
補因子:PZ
補因子PZは、serpinファミリーのZPIと活性化血液凝固第X因子(F.Xa)に結合することで、ZPIによるF.Xa阻害活性を増強する。すなわち、ZPIとF.X/F.Xaの両方を認識する二種特異性抗体の中には、PZの機能を代替する作用を有するものが存在すると考えられる。
酵素:トロンビン
基質:TAFI
補因子:TM
補因子TMは、トロンビンによるTAFIの活性化を増強する。すなわち、トロンビンとTAFIの両方を認識する二種特異性抗体の中には、TMの機能を代替する作用を有するものが存在すると考えられる。
酵素:トロンビン
基質:PC
補因子:TM/PS
TM/PSシステムは、トロンビンによるPCの活性化を増強する。すなわち、トロンビンとPCの両方を認識する二種特異性抗体の中には、TM/PSシステムの機能を代替するものが存在すると考えられる。
酵素:F.Xa
基質:プロトロンビン
補因子:F.V/F.Va
補因子F.Vaは、F.Xaとプロトロンビンの両方に結合することによって、F.Xaによるプロトロンビンの活性化を増強する。上記の酵素F.Xa、基質プロトロンビンの両方を認識する二種特異性抗体の中には、プロトロンビンの活性化を増強する作用を有するものがある。このような抗体の中には、補因子F.V/F.Vaの作用機能を代替する作用を有するものが存在すると考えられる。
酵素:C1s
基質:C2
補因子:C4b
C4bはC1sによるC2の分解促進作用を有する。すなわちC1sとC2の両方を認識する二種特異性抗体の中には、C4bの機能を代替するものが存在すると考えられる。
酵素:補体制御タンパクI因子(Complement Regulatory Factor I)
基質:C3b
補因子:補体制御タンパクH因子(Complement Regulatory Factor H)
Membrane Cofactor Protein(MCP)
Complement Receptor 1(CR1)
Complement Regulatory Factor H、MCP、CR1は、Complement Regulatory Factor IによるC3b分解促進作用を有する。すなわち、Complement Regulatory Factor IとC3bの両方を認識する二種特異性抗体の中には、Complement Regulatory Factor H、MCP、CR1の機能を代替するものが存在すると考えられる。
(1)該酵素・該基質を含む反応系を用い、該抗体を加えることによる該酵素活性(基質分解能)の上昇を指標とし、選択する。
(2)該酵素・該基質・該補因子が関わる生体機能を測定するあるいは模倣する系(例えば、血漿凝固測定系)を用い、該補因子非存在条件下にて該抗体を加えることによる機能回復活性を指標とし、選択する。
従って、現存の血液凝固第VIII因子製剤に比し、投与間隔が広い薬剤、あるいは投与が簡単な薬剤が、強く求められていた。
〔実施例1〕 Factor IXa(F.IXa)に対する非中和抗体の作製
1−1.免疫およびハイブリドーマ作製
BALB/cマウス(雄、免疫開始時6週齢、日本チャールス・リバー)8匹およびMRL/lprマウス(雄、免疫開始時6週齢、日本チャールス・リバー)5匹に、human Factor IXa β(Enzyme Research Laboratories,Inc.)を以下の通り免疫した。初回免疫としてFCA(フロイント完全アジュバントH37 Ra(Difco laboratories))でエマルジョン化したFactor IXa βを40μg/head皮下投与した。2週間後にFIA(フロイント不完全アジュバント(Difco laboratories))でエマルジョン化したFactor IXa βを40μg/head皮下投与した。以後1週間間隔で追加免疫を3〜7回行った。Factor IXa βに対する血清抗体価の上昇を1−2に示したELISA(Enzyme linked immunosorbent assay)で確認後、最終免疫としてPBS(−)(カルシウムイオン、マグネシウムイオンを含まないphosphate buffered saline)に希釈したFactor IXa βを40μg/head静脈内投与した。最終免疫の3日後、マウスの脾臓を摘出し、その一部は実施例10−2で使用し、残りの脾臓細胞とマウスミエローマ細胞P3X63Ag8U.1(P3U1と称す、ATCC CRL−1597)を、PEG1500(ロシュ・ダイアグノスティックス)を用いた常法に従い細胞融合した。
10%FBS(Invitrogen)を含むRPMI1640培地(Invitrogen)(以下、10%FBS/RPMI1640と称す)に懸濁した融合細胞を96 well culture plateに播種し、融合1,2,3,5日後にHAT選択培地(10%FBS/RPMI1640/2%HAT 50x concentrate(大日本製薬)/5%BM−Condimed H1(ロシュ・ダイアグノスティックス))への置換を行うことにより、ハイブリドーマの選択培養を行った。融合後8日目または9日目に採取した培養上清を用いて、1−2に示したELISAによりFactor IXaに対する結合活性を測定することにより、Factor IXa結合活性を有するハイブリドーマを選択した。続いて1−3に示した方法でFactor IXaの酵素活性に対する中和活性を測定し、Factor IXaに対する中和活性を有さないハイブリドーマを選択した。ハイブリドーマは、96 well culture plateに1wellあたり1個の細胞を播種することによる限界希釈を2回行ってクローン化した。顕微鏡観察により単一コロニーであることが確認された細胞について、1−2、1−3に示したELISAおよび中和活性測定を行い、クローンを選択した。1−4に示した方法により、クローン化した抗体の腹水を作製し、腹水から抗体を精製した。精製抗体が、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)を延長させないことを、1−5に示した方法で確認した。
Coating buffer(100mM sodium bicarbonate,pH9.6,0.02% sodium azide)で1μg/mLに希釈したFactor IXa βを、Nunc−Immuno plate(Nunc−ImmunoTM 96 MicroWellTM plates MaxiSorpTM(Nalge Nunc International))に100μL/wellで分注後、4℃で一晩インキュベーションした。Tween(R) 20を含むPBS(−)で3回洗浄後、diluent buffer(50mM Tris−HCl,pH8.1,1% bovine serum albumin,1mM MgCl2,0.15M NaCl,0.05% Tween(R) 20,0.02% sodium azide)でplateを室温で2時間blockingした。Bufferを除去後、plateにdiluent bufferで希釈したマウスの抗血清またはハイブリドーマの培養上清を100μL/well添加し、室温で1時間インキュベーションした。Plateを3回洗浄後、diluent bufferで1/2000希釈したアルカリホスファターゼ標識ヤギ抗マウスIgG(H+L)(Zymed Laboratories)を100μL/well添加し、室温で1時間インキュベーションした。Plateを6回洗浄後、発色基質Blue−PhosTM Phosphate Substrate(Kirkegaad & Perry Laboratories)を100μL/well添加し、室温で20分インキュベーションした。Blue−PhosTM Stop Solution(Kirkegaad & Perry Laboratories)を100μL/well添加した後、595nmにおける吸光度をMicroplate Reader Model 3550(Bio−Rad Laboratories)で測定した。
Phospholipid(Sigma−Aldrich)を注射用蒸留水で溶解し、超音波処理を施すことにより、400μg/mLのphospholipid溶液を調製した。0.1%ウシ血清アルブミンを含むトリス緩衝生理食塩液(以下、TBSB)40μLと30ng/mL Factor IXa β(Enyzme Research Laboratories)10μLと400μg/mL phospholipid溶液5μLと100mM CaCl2、20mMMgCl2を含むTBSB5μLとハイブリドーマ培養上清10μLを96穴プレート中で混和し、室温で1時間インキュベーションした。この混合溶液に、50μg/mL Factor X(Enzyme Research Laboratories)20μLおよび3U/mL Factor VIIIa(Amrican diagnostica)10μLを加え、室温で30分間反応させた。これに10μLの0.5M EDTAを添加することにより反応を停止させた。この反応溶液に、50μLのS−2222溶液(Chromogenix)を添加し、室温で30分間インキュベーションした後、測定波長405nm、対照波長655nmにおける吸光度をMicroplate Reader Model 3550(Bio−Rad Laboratories,Inc.)により測定した。
樹立したハイブリドーマの腹水作製は常法に従って行った。すなわち、in vitroで培養したハイブリドーマ2 x 106個を、あらかじめプリスタン(2,6,10,14−tetramethylpentadecane;和光純薬工業)を2回腹腔内に投与しておいたBALB/cマウス(雄、実験開始時5〜7週齢、日本チャールス・リバー)またはBALB/cヌードマウス(雌、実験開始時5〜6週齢、日本チャールス・リバーおよび日本クレア)の腹腔内に移植した。移植後1〜4週目で腹部が肥大したマウスから腹水を回収した。
APTTはCR−A(Amelung)を接続したKC10A(Amelung)により測定した。TBSBで希釈した抗体溶液50μL、標準ヒト血漿(Dade Behring)50μL及びAPTT試薬(Dade Behring)50μLの混合液を37℃で3分間加温した。20mMのCaCl2(Dade Behring)50μLを同混合液に加えることにより凝固反応を開始させ、凝固時間を測定した。
2−1.免疫およびハイブリドーマ作製
BALB/cマウス(雄、免疫開始時6週齢、日本チャールス・リバー)8匹およびMRL/lprマウス(雄、免疫開始時6週齢、日本チャールス・リバー)5匹に、human Factor X(Enzyme Research Laboratories)を以下の通り免疫した。初回免疫としてFCAでエマルジョン化したFactor Xを40μg/head皮下投与した。2週間後にFIAでエマルジョン化したFactor Xを20または40μg/head皮下投与した。以後1週間間隔で追加免疫を合計3〜6回行った。Factor Xに対する血清抗体価の上昇を2−2に示したELISAで確認後、最終免疫としてPBS(−)に希釈したFactor Xを20または40μg/head静脈内投与した。最終免疫の3日後、マウスの脾臓を摘出し、その一部を実施例10−2で使用し、残りの脾臓細胞とマウスミエローマ細胞P3U1を、PEG1500を用いた常法に従い細胞融合した。10%FBS/RPMI1640培地に懸濁した融合細胞を96well culture plateに播種し、融合1,2,3,5日後にHAT選択培地への置換を行うことにより、ハイブリドーマの選択培養を行った。融合後8日目に採取した培養上清を用いて2−2に示したELISAによりFactor Xに対する結合活性を測定した。Factor X結合活性を有するハイブリドーマを選択し、2−3に示した方法でFactor Xaの酵素活性に対する中和活性を測定した。Factor Xaに対する中和活性を有さないハイブリドーマを、限界希釈を2回行うことによりクローン化した。1−4に示した方法により、クローン化した抗体の腹水を作製し、腹水から抗体を精製した。精製抗体が、APTTを延長させないことを、2−5に示した方法で確認した。
Coating bufferで1μg/mLに希釈したFactor Xを、Nunc−Immuno plateに100μL/wellで分注後、4℃で一晩インキュベーションした。Tween(R) 20を含むPBS(−)で3回洗浄後、diluent bufferでplateを室温で2時間blockingした。Bufferを除去後、plateにdiluent bufferで希釈したマウスの抗血清またはハイブリドーマの培養上清を添加し、室温で1時間インキュベーションした。Plateを3回洗浄後、diluent bufferで1/2000希釈したアルカリホスファターゼ標識ヤギ抗マウスIgG(H+L)を添加し、室温で1時間インキュベーションした。Plateを6回洗浄後、発色基質Blue−PhosTM Phosphate Substrate(Kirkegaad & Perry Laboratories)を100μL/well添加し、室温で20分インキュベーションした。Blue−PhosTM Stop Solution(Kirkegaad & Perry Laboratories)を100μL/well添加した後、595nmにおける吸光度をMicroplate Reader Model 3550(Bio−Rad Laboratories)で測定した。
TBSBで1/5希釈したハイブリドーマ培養上清10μLと40μLの250pg/mL Factor Xa(Enzyme Research Laboratories)を含むTBCP(2.78mM CaCl2、22.2μMリン脂質(フォスファチジルコリン:フォスファチジルセリン=75:25、Sigma−Aldrich)を含むTBSB)を混和し、室温で1時間インキュベーションした。この混合溶液に、20μg/mLプロトロンビン(Enzyme Research Laboratories)および100ng/mL活性化凝固第V因子(Factor Va(Haematologic Technologies))を含むTBCPを50μL添加して室温で10分間反応させた。0.5M EDTAを10μL添加することにより反応を停止させた。この反応溶液に、1mM S−2238溶液(Chromogenix)を50μL添加し、室温で30分間インキュベーションした後、405nmにおける吸光度をMicroplate Reader Model 3550(Bio−Rad Laboratories)で測定した。
3−1.ハイブリドーマからの抗体可変領域をコードするDNA断片の調製
抗F.IXa抗体あるいは抗F.X抗体を産生するハイブリドーマから、QIAGEN(R) RNeasy(R) Mini Kit(QIAGEN)を用いて説明書記載の方法に従い全RNAを抽出した。全RNAを40μLの滅菌水に溶解した。精製されたRNA1〜2μgを鋳型に、SuperScript cDNA合成システム(Invitrogen)を用いて説明書記載の方法に従いRT−PCR法により一本鎖cDNAを合成した。
マウス抗体H鎖可変領域(VH)cDNAの増幅用プライマーとして、Krebberらの報告(J.Immunol.Methods 1997;201:35−55)に記載のHBプライマー混合物、およびHFプライマー混合物を用意した。各0.5μLの100μM HBプライマー混合物および100μM HFプライマー混合物を用いて、反応液25μL(3−1で調製したcDNA溶液2.5μl、KOD plus buffer(東洋紡績)、0.2mM dNTPs,1.5mM MgCl2,0.75 units DNA polymerase KOD plus(東洋紡績))を調製した。PCRは、サーマルサイクラーGeneAmp PCR system 9700(Parkin Elmer)を用いて、cDNA断片の増幅の効率性に応じて、条件A(98℃で3分間加熱後、98℃ 20秒、58℃ 20秒、72℃ 30秒からなる反応を1サイクルとして32サイクル)ないし条件B(94℃で3分間加熱後、94℃ 20秒、46℃ 20秒、68℃ 30秒からなる反応を1サイクルとして5サイクル、さらに94℃ 20秒、58℃ 20秒、72℃ 30秒からなる反応を1サイクルとして30サイクル)のいずれかの条件で行った。PCR後、反応液を1% アガローズゲル電気泳動に供した。目的のサイズ(約400bp)の増幅断片をQIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)を用い、添付説明書記載の方法で精製し、滅菌水30μlで溶出した。各DNA断片の塩基配列は、BigDye Terminator Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems)を用い、DNAシークエンサーABI PRISM 3100 Genetic Analyzer(Applied Biosystems)にて、添付説明書記載の方法に従い決定した。本方法により決定した配列群を解析ソフトGENETYX−SV/RCVersion 6.1(Genetyx)にて比較解析し、異なる配列を有するものを選択した。
クローニング用制限酵素Sfi I切断サイトを抗体可変領域増幅断片の両末端へ付加するために、以下の操作を行った。
目的の二種特異性IgG抗体を産生する際に、各H鎖のヘテロ分子を形成させるためにIgG1のknobs−into−holes技術(Ridgway et al.,Protein Eng.1996;9:617−621)を参考にIgG4のCH3部分へのアミノ酸置換体を作製した。タイプa(IgG4γa)はY349C、T366W置換体であり、タイプb(IgG4γb)はE356C、T366S、L368A、Y407Vの置換体である。さらに、両置換体のヒンジ領域にも置換(−ppcpScp−−>−ppcpPcp−)を導入した。本技術により、殆どヘテロ体となり得るが、L鎖についてはその限りでなく、不必要な抗体分子の生成がその後の活性測定へ影響を及ぼしかねない。そのため、本方策では各特異性を有する抗体分子片腕(HL分子と称する)を別々に発現させ細胞内で目的型二種特異性IgG抗体を効率的に作らせる為に各HL分子に対応する発現ベクターとして異なる薬剤で誘導がかかるものを用いた。
3−4で調製されたテトラサイクリン誘導型発現プラスミド(pcDNA4−g4HないしpcDNA4−g4L)をSfi Iで消化し、反応液を1% アガローズゲル電気泳動に供した。もともと有していた抗体可変領域部分(VHないしVL(図1ないし図2参照))が除かれた断片(約5kb)をQIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)を用い、添付説明書記載の方法で精製し、滅菌水30μLで溶出した。該断片と、それぞれに対応する3−3で調製されたSfi I消化抗F.IXa抗体由来Sfi I−VHないしSfi I−VL断片をQuick Ligation Kit(New England Biolabs)を用いて添付説明書記載の方法に従い連結反応を行った。該反応液により大腸菌DH5α株(Competent high DH5α(東洋紡績))を形質転換した。また、3−4で調製されたSfi I消化エクダイソン類似体誘導型発現プラスミド(pIND−g4HないしpIND−g4L)から、上述と同様の手法で抗体可変領域部分(VHないしVL(図2ないし図3参照))を除いた断片と、それぞれに対応する3−3で調製されたSfi I消化抗F.X抗体由来Sfi I−VHないしSfi I−VL断片を、同様の手法にて組込んだ。
4−1.DNA溶液の調製
抗体右腕HL分子発現用ベクター(pcDNA4−g4IXaHnそしてpcDNA4−g4IXaLn)はテトラサイクリンにより発現誘導がかかる。テトラサイクリンが存在しない状況下で発現を完全に抑制する為にTetリプレッサーをコードするプラスミドpcDNA6/TR(Invitrogen)が要求される。また、抗体左腕HL分子発現用ベクター(pIND−g4XHnそしてpIND−g4XLn)は昆虫ホルモンであるエクダイソン類似体(ポナステロンA)により発現誘導がかかる。このとき、ポナステロンAと反応し誘導を行うエクダイソンレセプターとレチノイドXレセプターをコードするプラスミドpVgRXR(Invitrogen)が要求される。従って、動物細胞のトランスフェクションの為に計6種類のプラスミドDNA混液を調製した。細胞培養液1mLの為に、pcDNA4−g4IXaHn、pcDNA4−g4IXaLn、pIND−g4XHnそしてpIND−g4XLnを各218.8ng、pcDNA6/TRそしてpVgRXRを各1312.5ng用いた。
ヒト胎児腎癌細胞由来HEK293H株(Invitrogen)を10%FCS(MOREGATE)を含むDMEM培地(Invitrogen)へ懸濁し、5×105個/mLの細胞密度で接着細胞用12−wellプレート(CORNING)の各wellへ1mLずつ蒔きこみCO2インキュベーター(37℃、5%CO2)内で培養した。4−1で調製したプラスミドDNA混液をトランスフェクション試薬、Lipofectamine 2000(Invitrogen)7μLとOpti−MEM I培地(Invitrogen)250μLの混液へ加えて室温20分間静置したものを各wellの細胞へ投入し、4〜5時間、CO2インキュベーター(37℃にて5%CO2)内でインキュベートした。
前項のようにトランスフェクションした細胞培養液から培地を吸引除去し、1μg/mLのテトラサイクリン(和光純薬工業)を含む1mL CHO−S−SFM−II(Invitrogen)培地を投入し、CO2インキュベーター(37℃、5%CO2)内で1日培養して、抗体右腕HL分子の第一次発現誘導を行った。その後、培地を吸引除去し、一旦1mL CHO−S−SFM−II培地にて洗浄した後、5μMのポナステロンA(Invitrogen)を含む1mL CHO−S−SFM−II培地を投入し、CO2インキュベーター(37℃、5% CO2)内で2日ないし3日培養して、抗体左腕HL分子の第ニ次発現誘導を行い培地中へ二種特異性IgG抗体を分泌させた。培養上清は回収された後、遠心分離(約2000g、5分間、室温)して細胞を除去し、必要に応じてMicrocon(R) YM−50(Millipore)で濃縮を行った。該サンプルは使用するまで4℃で保存した。
Goat affinity purified antibody to human IgG Fc(Cappel)をcoating bufferにて1μg/mLに調製し、Nunc−Immuno plateに固相化した。Diluent buffer(D.B.)にてブロッキング処理した後、D.B.を用いて適当に希釈した培養上清サンプルを添加した。また、抗体濃度算出のためのスタンダードとして、1000ng/mLから2倍系列でD.B.にて11段階希釈したヒトIgG4(ヒト型化抗TF抗体、WO 99/51743参照)を同様に添加した。3回洗浄したのち、Goat anti−human IgG,alkaline phosphatase(Biosource International)を反応させた。5回洗浄したのち、Sigma 104(R) phosphatase substrate(Sigma−Aldrich)を基質として発色させ、吸光度リーダーModel 3550(Bio−Rad Laboratories)により、参照波長655nmとして405nmの吸光度を測定した。Microplate Manager III(Bio−Rad Laboretories)ソフトウェアを用いて、スタンダードの検量線から培養上清中のヒトIgG濃度を算出した。
二種特異性抗体のF.VIIIa様活性は、以下の酵素アッセイで評価した。また、以下の反応は全て室温で行った。3.75μg/mLのFactor IX(Enzyme Research Laboratories)40μLと抗体溶液10μLの混合液を96穴プレート中で1時間インキュベーションした。さらにその混合液に、10ng/mLのFactor XIa(Enzyme Research Laboratories)10μL,50μg/mLのFactor X(Enzyme Research Laboratories)20μL,400μg/mLのphospholipid(実施例1−3参照)5μL,5mM CaCl2と1mM MgCl2を含むTBSB(以下、TBSB−Sと称す)15μLを添加し、酵素反応を開始させた。30分間反応させたのち、0.5M EDTA 10μLを加えることにより停止させた。
血友病A血液の凝固能を二種特異性抗体が是正するか明らかにするために、F.VIII欠乏血漿を用いた活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)に対する同抗体の影響を検討した。様々な濃度の抗体溶液50μL、F.VIII欠乏血漿(Biomerieux)50μL及びAPTT試薬(Dade Behring)50μLの混合液を37℃で3分間加温した。凝固反応は20mMのCaCl2(Dade Behring)50μLを同混合液に加えることにより開始させた。CR−A(Amelung)が接続されたKC10A(Amelung)により凝固するまでの時間を測定した(図7および8)。
実施例4に記載の方法で得られた10mLの培養上清をCentricon(R) YM−50(Millipore)により、1mLまで濃縮した。これに10μLの10%BSA、10μLの1% Tween(R) 20及び100μLのrProtein A SepharoseTM Fast Flow(Amersham Biosciences)を添加し、4℃で一晩転倒混和した。その溶液を0.22μmのフィルターカップUltrafree(R)−MC(Millipore)に移し、0.01% Tween(R) 20を含むTBS500μLにて3回洗浄後、rProtein A SepharoseTM樹脂を100μLの0.01% Tween(R) 20を含む10mM HCl,pH2.0に懸濁して3分間静置したのち、抗体を溶出させた。直ちに、5μLの1M Tris−HCl,pH8.0を加えて中和した。Microplate Manager III(Bio−Rad Laboretories)ソフトウェアを用いて、スタンダードの検量線から培養上清中のヒトIgG濃度を算出した。抗体濃度は実施例5に従い定量した。
F.Xの活性化ペプチド(AP)とグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク(GST−AP)を発現する組換え大腸菌を構築した。ヒトF.Xの全長翻訳領域をカバーするcDNAをヒト肝臓Marathon−Ready cDNA(Clontech)からPCR法により増幅後、これを鋳型にさらにAP領域(Leytus et al.,Biochemistry 1986;25:5098)をコードする領域をPCR法により増幅しpGEM−Tベクター(Promega)へサブクローニングしGST−APをコードするpGEX−F10APを得た。該プラスミドを形質転換した大腸菌を培養し、OD=0.8にて1mM IPTGを添加しGST−APの発現誘導を行った。培養液を遠心(3,000 x g,30分間、4℃)後、菌体を回収し使用に供するまで−20℃にて保存した。
10−1.抗原および免疫
BALB/cマウス(雄、免疫開始時6週齢、日本チャールス・リバー)3匹、MRL/lprマウス(雄、免疫開始時6週齢、日本チャールス・リバー)3匹、およびC57BL/6Nマウス(雄、免疫開始時6週齢、日本チャールス・リバー)3匹に、抗原であるFactor IXa β(Enzyme Research Laboratories,Inc.)もしくはFactor X(Enzyme Research Laboratories,Inc.)を以下の通り免疫した。初回免疫としてFCA(フロイント完全アジュバントH37 Ra(Difco laboratories))でエマルジョン化した抗原を40μg/head皮下投与した。2週間後にFIA(フロイント不完全アジュバント(Difco laboratories))でエマルジョン化した抗原を40μg/head皮下投与した。以後1週間間隔で追加免疫を3回行い、最終免疫の8日後にマウスより脾臓を摘出した。
実施例1−1および2−1で作出した免疫マウス摘出脾臓の一部、ならびに実施例10−1にて作出した免疫マウスからの摘出脾臓をTrizol Reagent(Invitrogen)へ投入(50mg spleen/ml of the reagent)し、ガラスホモジナイザーを用いて均質化した。その後、試薬添付マニュアル記載の方法に従い、Total RNAを抽出した。抽出溶液からPolyATract System 1000キット(Promega)を用いて添付マニュアル記載の方法に従いpolyA(+)RNAを抽出した。RT−PCR(SuperScript III First−Strand Synthesis System for RT−PCR,Invitrogen)にてc−DNAを合成し、使用に際するまで−20℃で保存した。
Factor IXa βもしくはFactor XをNo−Weigh Premeasured NHS−PEO4−Biotin Microtubes(Pierce)を用いてビオチン標識した。10−2で作成されたファージライブラリー溶液600μlに100pmolのビオチン標識Factor IXa βもしくはFactor Xを加え、60分間抗原と接触させた。5% M−PBS(5%w/vスキムミルクを含むPBS)で洗浄したDynabeads M−280 Streptavidin(DYNAL)600μLを加え、15分間結合させた。ビーズ結合ファージを1mLのPBST(0.1% Tween−20を含むPBS)にて何回か洗浄した後、PBSにて洗浄した。0.8mLの0.1mol/Lグリシン/HCl(pH2.2)中にビーズを5分間懸濁し、ファージを溶出した。
上記のシングルコロニーを100μL 2xYTAGに植菌し、30℃で一晩培養した。この5μLを500μL 2xYTAGに植菌、37℃、5時間培養後、ヘルパーファーシ2 x 108pfuを投入し37℃にて30分間静置、さらに37℃にて30分間攪拌培養後、0.5mM IPTGを含む2xYTAKを120μL添加した。30℃にて一晩培養し、遠心上清をELISAに供した。ビオチン標識抗原のパンニングにて得られたクローンのELISAのために、1.0μg/mLのビオチン標識抗原でコートしたStreptaWell 96マイクロタイタープレート(Roche)を用いた。また、ネイティブ抗原のパンニングにて得られたクローンのELISAのために、1.0μg/mLのネイティブ抗原を固相化したイムノプレート(MaxiSorp,Nunc)を用いた。
PBSTにて洗浄し抗原を除いた後、ブロッキングバッファーとして2% M−PBS 200μLあるいは2% BSA−PBS(2%w/v BSAを含むPBS)で室温1時間ブロッキングした。バッファーを除き、ここに培養上清を加え60分間静置しファージを結合させた。洗浄後、結合ファージはブロッキングバッファーにて希釈したHRP結合抗M13抗体(Amersham Pharmacia Biotech)とTMB基質(Zymed)で検出し、1mol/L H2SO4添加により反応を停止した後、プレートリーダーにてA450の値を測定した。
ELISAにて陽性であったクローンの組換え大腸菌2xYTAG培養液からプライマーPBG3−F1(5’−CAGCTATGAAATACCTATTGCC−3’/配列番号:1)とPBG3−R1(5’−CTTTTCATAATCAAAATCACCGG−3’/配列番号:2)を用いてPCRにてscFv領域を増幅し、その塩基配列決定した。培養液1μL、10 x KOD Dash緩衝液1.5μL、10μmol/Lプライマーを0.2μLづつ、KOD Dashポリメラーゼ(東洋紡績、2.5U/μL)0.3μLを含むPCR反応液15μLを、サーマルサイクラーGeneAmp PCR system 9700(Perkin Elmer)で96℃、10秒、55℃、10秒、72℃、30秒、30サイクルの増幅を行った。PCR後、5μLの反応液にExoSAP−IT(アマシャム)を3μL添加し、37℃、15分間、引き続き80℃、15分間保温した。このサンプルについてPBG3−F2(5’−ATTGCCTACGGCAGCCGCT−3’/配列番号:3)あるいはPBG3−R2(5’−AAATCACCGGAACCAGAGCC−3’/配列番号:4)をプライマーとしてBigDye Terminator Cycle Sequencing kit(Applied Biosystems)にて反応を行い、Applied Biosystems PRISM 3700 DNA Sequencerで泳動した。塩基配列から推定されるアミノ酸配列のCDR3の異なるクローンを抗Factor IXaについて52クローン、及び抗Factor Xについて33クローンを選択した。
scFv抗体をIgG型として発現させるために、実施例3−3、3−4、そして3−5に示す同様の方策にて抗体可変領域(VH,VL)を誘導型発現ベクターにクローニングを行った。抗F.IXa抗体可変領域(VHおよびVL)はテトラサイクリン誘導型ベクター(それぞれpcDNA4−g4HおよびpcDNA4−g4L)へ組み込まれた。抗F.X抗体可変領域(VHおよびVL)はエクダイソン類似体誘導型ベクター(それぞれpIND−g4HおよびpcDNA4−g4L)へ組み込まれた。目的クローンからQIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN)を用いて各々プラスミドDNAを単離し、100μLの滅菌水へ溶解した。
実施例4−1に示す同様の方策で調製されたDNA溶液を用いて、実施例4−2および4−3に示す同様の方策にて動物細胞で発現させ、培養上清を回収した。該サンプルは使用するまで4℃で保存した。
実施例10−7に記載の方法で得られた10mLの培養上清に100μLのrProtein A SepharoseTM Fast Flow(Amersham Biosciences)を添加し、4℃で一晩転倒混和した。その溶液を0.22μmのフィルターカップUltrafree(R)−MC(Millipore)に移し、0.01%Tween(R) 20を含むTBS 500μLにて3回洗浄後、rProtein A SepharoseTM樹脂を100μLの0.01% Tween(R) 20を含む10mM HCl,pH2.0に懸濁して3分間静置したのち、抗体を溶出させた。直ちに、5μLの1M Tris−HCl,pH8.0を加えて中和した。
Microplate Manager III(Bio−Rad Laboretories)ソフトウェアを用いて、ヒトIgG4(ヒト型化抗TF抗体、WO 99/51743参照)の検量線から培養上清中のヒトIgG濃度を算出した。抗体濃度は実施例5に従い定量した。
二種特異性抗体のF.VIIIa様活性は、以下の酵素アッセイで評価した。また、以下の反応は全て室温で行った。15μg/mLのFactor IX(Enzyme Research Laboratories)10μLと100mM CaCl2と20mM MgCl2を含むTBSB 5μLと実施例10−7記載の方法で得られた培養上清50μLの混合液を96穴プレート中で1時間インキュベーションした。さらにその混合液に、10ng/mLのFactor XIa(Enzyme Research Laboratories)10μL,50μg/mLのFactor X(Enzyme Research Laboratories)20μL,400μg/mLのphospholipid 5μLを添加し、酵素反応を開始させた。30分間反応させたのち、0.5M EDTA 10μLを加えることにより停止させた。
実施例11の方法に従い調製した二種特異性抗体が血友病A血液の凝固能を回復するか明らかにするために、F.VIII欠乏血漿を用いた活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)に対する同抗体の影響を、実施例7で示す同様の方法で評価した(図13を参照)。さらに、凝固時間の短縮効果の高かったA44/B26、A69/B26について濃度依存性を測定した(図14、図15を参照)。
二種特異性抗体とF.VIIIとの併用検討は、以下の血漿凝固アッセイ条件で評価した。25μg/mL 抗体溶液 40μL、F.VIII欠乏血漿(Biomerieux)50μLの混合液を室温で、30分間インキュベーションした。さらにその混合液に、0.1U/mLの遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤コージネイト(R)FS(BAYER)10μL及びAPTT試薬(Dade Behring)50μLを加え、37℃で3分間加温した。凝固反応は20mMのCaCl2(Dade Behring)50μLを同混合液に加えることにより開始させた。CR−A(Amelung)が接続されたKC10A(Amelung)により凝固するまでの時間を測定した(図16を参照)。
インヒビター血漿における二種特異性IgG抗体の効果は、以下の血漿凝固アッセイ条件で評価した。F.VIII欠乏血漿(Biomerieux)50μLに100μg/mL 抗ヒトF.VIII中和抗体(Catalog Number:MAB3440、CHEMICON)10μLの混合液を室温で、30分間インキュベーションした。この血漿をインヒビター血漿として用いた。このインヒビター血漿に、25μg/mL抗体溶液 40μL及びAPTT試薬(Dade Behring)50μLを加え、37℃で3分間加温した。凝固反応は20mMのCaCl2(Dade Behring)50μLを同混合液に加えることにより開始させた。CR−A(Amelung)が接続されたKC10A(Amelung)により凝固するまでの時間を測定した(図17を参照)。
実施例1〜7で取得した二種特異性抗体の中で、血液凝固時間の短縮効果が最も高かったXB12(マウス抗FactorIXa抗体)/SB04(マウス抗FactorX抗体)について、以下のようにヒト化を実施した。
一般公開されているKabat Database(ftp://ftp.ebi.ac.uk/pub/databases/kabat/)およびIMGT Database(http://imgt.cines.fr/)よりヒト抗体アミノ酸配列データを入手し、構築したDatabaseを用いてマウスXB12−H鎖可変領域、マウスXB12−L鎖可変領域、マウスSB04−H鎖可変領域、マウスSB04−L鎖可変領域に分けてホモロジー検索を行った。その結果、以下に示すヒト抗体配列と高い相同性を持つことが確認されたことからヒト化抗体のフレームワーク領域(以下、FR)に使用することにした。
(Marietteら、Arthritis Rheum.1993;36:1315−1324)
(2)XB12−L鎖可変領域:EMBL Accession No.X61642(IMGT Database)
(Markら、J Mol Biol.1991;222:581−597.)
(3)SB04−H鎖可変領域:KABATID−025255(Kabat Database)
(Demaisonら、Immunogetetics 1995;42:342−352)
(4)SB04−L鎖可変領域:EMBL Accession No.AB064111(IMGT Database)
(Unpublished data)
(1)−(4)のヒト抗体のFRに各マウス抗体の相補性抗原決定領域(以下、CDR)を移植したヒト化抗体を作製した。
(1)XB12−H鎖可変領域:GenBank Accession No.AF062120
(2)XB12−L鎖可変領域:GenBank Accession No.M74019
(3)SB04−H鎖可変領域:GenBank Accession No.BC019337
(4)SB04−L鎖可変領域:GenBank Accession No.AY204756
分泌シグナル配列から抗体可変領域にいたるアミノ酸配列をコードする塩基配列において、50base程度の合成オリゴDNAを3’末端側が約20base程度ハイブリダイズするように交互に12本作製した。さらに、抗体可変領域遺伝子の5’末端側にハイブリダイズし、XhoI切断配列を有するプライマーと抗体可変領域遺伝子の3’末端側にハイブリダイズし、SfiI切断配列を有するプライマーを作製した。
4種類のヒト化抗体発現ベクターとpcDNA6/TR、pVgRXRを用いて、実施例4−2、4−3に示す方法でHEK293Hへ遺伝子導入および発現誘導を行った。さらに、実施例8、5に示す方法で抗体精製および抗体濃度の定量を実施した。
調製したヒト化ニ種特異性抗体およびキメラニ種特異性抗体(XB12/SB04)の血漿凝固能を評価するために、実施例7の方法に従って、F.VIII欠乏血漿を用いてAPTTに対する抗体の影響を検討した。血液凝固能が低下したヒト化ニ種特異性抗体について、活性上昇を目指して、ヒト抗体FRのアミノ酸の改変した。また、熱安定性低下などが危惧されるXB12抗体VHのCDR3のシステイン残基についてもアラニン残基に改変した。具体的には、QuikChange Site−Directed Mutagenesis Kit(Stratagene)を用いて、添付説明書記載の方法でヒト化抗体発現ベクターに変異を導入した。FR配列のアミノ酸改変および血液凝固能の評価を繰り返すことでXB12/SB04と同等の活性を有するヒト化ニ種特異性抗体(ヒト化XB12抗体(VH:hXB12f−A,VL:hXBVL)/ヒト化SB04抗体(VH:hSB04e,VL:hSBVL−F3f)を取得した(図18)。
本発明の二種特異性抗体は、血中での安定性が高く、抗原性も低いと考えられることから、医薬品となるものと大いに期待される。
Claims (12)
- 酵素、および該酵素の基質の両方を認識し、酵素反応を増強する補因子の機能を代替する二種特異性抗体であって、該酵素が活性化血液凝固第IX因子で、該基質が血液凝固第X因子で、該補因子が活性化血液凝固第VIII因子である抗体。
- 抗血液凝固第IXa因子抗体における下記(a1)もしくは(a2)のCDRのアミノ酸配列からなる相補性決定領域と、抗血液凝固第X因子抗体における下記(b1)〜(b9)のいずれかに記載のCDRのアミノ酸配列からなる相補性決定領域とを含む、請求項1に記載の抗体。
(a1)H鎖CDR1, 2, 3が配列番号:14、15、16に記載のアミノ酸配列
(a2)H鎖CDR1, 2, 3が配列番号:18、19、20に記載のアミノ酸配列
(b1)H鎖CDR1, 2, 3が配列番号:22、23、24に記載のアミノ酸配列
(b2)H鎖CDR1, 2, 3が配列番号:26、27、28に記載のアミノ酸配列
(b3)H鎖CDR1, 2, 3が配列番号:30、31、32に記載のアミノ酸配列
(b4)H鎖CDR1, 2, 3が配列番号:34、35、36に記載のアミノ酸配列
(b5)H鎖CDR1, 2, 3が配列番号:38、39、40に記載のアミノ酸配列
(b6)H鎖CDR1, 2, 3が配列番号:42、43、44に記載のアミノ酸配列
(b7)H鎖CDR1, 2, 3が配列番号:46、47、48に記載のアミノ酸配列
(b8)H鎖CDR1, 2, 3が配列番号:50、51、52に記載のアミノ酸配列
(b9)H鎖CDR1, 2, 3が配列番号:54、55、56に記載のアミノ酸配列 - 請求項1または2に記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む組成物。
- 出血、出血を伴う疾患、もしくは出血に起因する疾患の予防および/または治療に用いられる医薬組成物である、請求項3に記載の組成物。
- 出血、出血を伴う疾患、もしくは出血に起因する疾患が、血液凝固第VIII因子および/または活性化血液凝固第VIII因子の活性の低下ないし欠損によって発症および/または進展する疾患である、請求項4に記載の組成物。
- 血液凝固第VIII因子および/または活性化血液凝固第VIII因子の活性の低下ないし欠損によって発症および/または進展する疾患が、血友病Aである、請求項5に記載の組成物。
- 血液凝固第VIII因子および/または活性化血液凝固第VIII因子の活性の低下ないし欠損によって発症および/または進展する疾患が、血液凝固第VIII因子および/または活性化血液凝固第VIII因子に対するインヒビターが出現している疾患である、請求項5に記載の組成物。
- 血液凝固第VIII因子および/または活性化血液凝固第VIII因子の活性の低下ないし欠損によって発症および/または進展する疾患が、後天性血友病である、請求項5に記載の組成物。
- 血液凝固第VIII因子および/または活性化血液凝固第VIII因子の活性の低下によって発症および/または進展する疾患が、フォンビルブランド病である、請求項5に記載の組成物。
- 請求項1または2に記載の抗体の、請求項3〜9のいずれかに記載した組成物の製造のための使用。
- 少なくとも請求項1または2に記載の抗体、または請求項3に記載の組成物を含む、出血、出血を伴う疾患、もしくは出血に起因する疾患を予防および/または治療する方法に用いるためのキット。
- 少なくとも請求項1または2に記載の抗体、または請求項3に記載の組成物を含み、かつ血液凝固第VIII因子を含む、出血、出血を伴う疾患、もしくは出血に起因する疾患を、血液凝固第VIII因子と併用して、予防および/または治療する方法に用いるためのキット。
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