JP5436721B2 - 冗長化装置 - Google Patents
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Description
従来の冗長化装置として、例えば特許文献1に記載されているように、確認計算機を設け、これら確認計算機での処理状態及び計算結果とを比較して双方とも一致していれば計算結果が正しかったと判定するようなものがあった。
上述した従来の冗長化手法は、ECU内に同じ処理を行うH/Wが複数必要であり、冗長化に必要となるコストが大きいため、低コストで同様の機能を実現する手法が望まれていた。
現在開発が行われている電気自動車(以下、EV)の電池システムは、複数の電池セルが搭載されており、各々が制御用のECU(電子制御ユニット)を持つ。また、それらのECU間は、同一のネットワークで接続されており、相互にデータを交換することが可能となっている。
各ECUは、入力データを取得し、それを基に演算を行い出力データを得る。その後、入力データと出力データのペア(以下、入出力組)をグループ内のECUに送信する。入出力組を受信したECUは、入力データを基に演算を行い出力データを得て、受信した出力データ集合と比較を行う。ここで、入出力組を受信したECUは、送信したECUと同じ機能・H/W構成であるため、正常であれば同じ入力データに対しては同じ出力が得られる。演算した出力データと受信した出力データ集合の何れかが一致すれば、その値を出力する。一方、演算した出力データが受信した出力データ集合の何れとも一致しなければ、入出力組の最後に自らの演算結果を追加し、グループ内の他のECUに送信する。出力データが一致しない場合のデータの転送は、アプリケーションに要求される応答時間(以下、デッドラインという)を満足する間行う。デッドラインを違反するまで一致する出力が見つからない場合には、前回値やデフォルト値を出力する。以下、このような冗長化装置の実施の形態について説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による冗長化装置におけるECUを示す構成図であり、ここでは一つのECU1のみを示している。図示のECU1は、入力部11、演算部12、転送部13、比較部14、出力部15を備えており、車載LAN100に接続されている。
また、図2は、本発明の対象として想定する分散システムの構成図である。図1で示したECU1と同一構成のECUが同一のネットワークに複数接続されている。ここでは、複数のECU1、ECU2、・・・、ECUn(nは任意の整数)が、それぞれ図1のECU1の構成を持つ。以下では、各ECUの機能について説明する。
{入力データ:出力データ1:出力データ2:・・・:出力データn}
ここで、nは任意の整数であり、転送を行う毎に該当ECUの出力データ(演算値)を追加する。そのため、各実施の形態中では入出力組の演算値を出力データ集合と称する。入出力組を受信した場合、転送部13は、入出力組の入力データを取り出し、演算部12を用いて計算を行う。
比較部14は、受信した入出力組の入力データに対する演算部12の演算値と、受信した入出力組の出力データ集合とを比較する機能部である。出力部15は、比較部14が一致したと判定した演算値を出力する機能部である。
車載LAN100は、図2等に示すように、複数のECU1,2,・・・を通信接続するためのネットワークである。
ECU1は、入力部11を用いて入力データを取得し、演算部12を用いて出力データとして演算値を得る。そして、転送部13を用いて入力データと演算値を組にして(以下、入出力組という)、グループ内ECU(ここではECU2)に送信する。ECU2は入出力組を受信すると、入出力組から入力データを抽出してそれを演算部12に提供する。比較部14は、演算部12から出力されたデータと、受信した入出力組に含まれる出力データ集合とを比較する。演算部12から得られた演算値が出力データ集合の何れかに一致した場合、一致した演算値を出力部15を用いて出力する。
図4では、ECU1は入力部11を用いて入力データ(5)を得、それに対して演算部12を用いて演算を行い、演算値(10)を得る。ここで、( )内はデータ値を表し、図面中の「IN」「ECU1」「ECU2」・・・「OUT」の値に対応している。そして、転送部13を用いて入出力組{5:10}を送信する。ECU2は、入出力組{5:10}を受信し、入力データ(5)に対して演算部12を用いて演算を行い、演算値(10)を得る。比較部14は、演算部12の演算値(10)と、受信した出力データ集合{10}の比較を行い、値が(10)で一致するため出力部15を用いて(10)を出力する。
図7は、ECU2が故障している場合のシステム全体の動作である。
ECU2から開始される比較処理の動作は、以下の通りである。
ECU2は、入力部11を用いて入力データ(1)を得、それに対して演算部12を用いて演算を行い演算値(3)を得る。そして、転送部13を用いて入出力組{1:3}を送信する。ECU3は、入出力組{1:3}を受信し、入力データ(1)に対して演算部12を用いて演算を行い、演算値(2)を得る。ECU2が故障しているため、ECU3の演算値(2)と一致せず、比較部14は不一致という結果を出力する。転送部13は、比較結果が不一致であるため、入出力組の最後に演算部12が出力した値(2)を追加し、入出力組{1:3:2}をグループ内ECU1に転送する。ECU1は、入出力組{1:3:2}を受信し、入力データ(1)に対し演算部12を用いて演算を行い、演算値(2)を得る。比較部14は、演算部12が出力した値(2)と受信した出力データ集合{3:2}を比較し、出力(2)が一致するため、出力部15を用いて(2)を出力する。
入出力組を受信したECUは(ステップST120)、転送部13を用いて入力データを抽出し、演算部12を用いて演算を行い、演算値(出力データ)を得る(ステップST121)。そして、得られた出力データと入出力組の出力データ集合の何れかが一致するかを比較部14を用いて比較する(ステップST122、ST123)。一致するデータがあれば、出力部15を用いてそのデータを出力する(ステップST124)。更に、一致したデータ以外を出力したECUを、故障ECUとして検出することもできる(ステップST125、ST126)。この故障情報は、必要に応じてグループ内のECUに通知する。演算した出力データが、出力データ集合の何れのデータにも一致しなかった場合には、転送部13を用いて入出力組の最後に演算した出力データを付加して、グループ内の次のECUに転送する(ステップST127、ST128)。
実施の形態2は、データに更なる信頼性が求められるシステムに適用する冗長化装置に関するものである。図面上の構成は実施の形態1と同様であるため、図1や図3の構成を用いて説明する。
図10は、実施の形態2における冗長化装置の動作例を示す説明図である。図示例は、3個のデータが一致した場合に出力をする例であり、ECU1、ECU2でデータは一致しているがECU3まで入出力組を転送し、ECU3で3個のデータが一致して出力が行われる。
実施の形態3は、データが一致しない場合に、所定回数まで転送を行うようにした例である。実施の形態3においても、図面上の構成は実施の形態1と同様であるため、図1や図3の構成を用いて説明する。
実施の形態3の冗長化装置は、データが一致しない場合の転送の最大回数を規定するよう構成されている。即ち、ECU1,2,・・・,nの転送部13は、予め定められた転送の最大回数に達するまでは実施の形態1で説明した転送動作を行う。
図11は、実施の形態3の冗長化装置の動作を示す説明図であり、この例では、最大転送回数を5としている。図示例では、ECU6までの出力データは全て一致していないため、ECU6まで転送が行われている。図示例では、出力データ集合の一つにECU6の出力データが一致したため出力が行われているが、最大転送回数を満了したECU6の出力データが出力データ集合のどれにも一致しない場合は、前回値やデフォルト値を出力する。
実施の形態4は、データの一致・不一致にかかわらず、所定回数転送するようにした例である。実施の形態4においても、図面上の構成は実施の形態1と同様であるため、図1や図3の構成を用いて説明する。
実施の形態4の冗長化装置では、転送部13は、予め定められた所定回数転送動作を行う。また、出力部15は、所定回数分の出力データから最も多い演算値を出力するよう構成されている。
図12は、実施の形態4における冗長化装置の動作を示す説明図であり、図示例では、転送回数を5としたものである。図示例では、ECU5の時点で出力データ集合として{10:11:10:9:10}が得られており、出力部15は、その中で最も数が多い{10}を出力する。
実施の形態5は、データの一致・不一致にかかわらず、デッドラインまで転送を繰り返す例である。実施の形態5においても、図面上の構成は実施の形態1と同様であるため、図1や図3の構成を用いて説明する。
実施の形態5の冗長化装置では、転送部13は、デッドラインに達するまで転送動作を行う。また、出力部15は、デッドラインまでの出力データから最も多い演算値を出力するよう構成されている。
図13は、実施の形態5における冗長化装置の動作を示す説明図である。図示例では、デッドラインの直前で出力データ集合{10:11:10:10}が得られており、出力部15は、その中で最も数が多い{10}を出力する。
実施の形態6は、CPU負荷及びネットワーク負荷の向上を更に下げるための構成である。実施の形態6におけるECUの構成を図14に示す。図14は、図1の構成に対し入出力記憶部16が追加接続されている。この入出力記憶部16は、図15に示すような入力データと出力データの対応を示す入出力テーブルを保持する記憶部である。
開始ノードは、入力部11を用いて入力データを取得する(ステップST200)。そして、比較部14は、その入力データが入出力記憶部16に存在するかを検索する(ステップST201)。存在していれば(ステップST202)、対応する出力データを出力部15を用いて出力し(ステップST206)、処理を終了する。この場合、グループ内のECUへの入出力組の転送は行わないのでネットワークの負荷が下がり、また入出力組を受信して処理を行うECUも演算処理が必要なくなるため負荷が下がる。一方、入出力記憶部16に入力データが存在しない場合には、実施の形態1と同様にグループ内のECUに入出力組を転送する(ステップST203〜ステップST205)。
入出力組を受信したECUは(ステップST220)、比較部14を用いて、入出力記憶部16に入力データが登録されていないかを検索し(ステップST221)、入力データが登録されていれば(ステップST222)、対応する出力データを出力部15を用いて出力する(ステップST223)。尚、後述するように入出力記憶部16に記憶されたデータは、複数のECU間で一致した出力データであるため、入出力記憶部16に記憶された出力データを優先的に使用する。入力データが登録されていなければ、実施の形態1におけるステップST123〜ステップST128と同様の処理を行う(ステップST224〜ステップST227、ステップST229〜ステップST232)。但し、入力データに対して得られた出力データが、出力データ集合の何れかに一致した場合、入力データ及び一致した出力を入出力テーブルに記憶する(ステップST228)。
Claims (8)
- ネットワークに接続された複数のノードをグループ化し、グループ内で相互に入出力データを交換することで冗長化を実現する冗長化装置であって、
前記各ノードは、入力データまたは当該入力データとグループ内の他のノードの演算値とを含む入出力組を入力し、
前記入力データに対する演算を行う演算部と、
前記入出力組が入力された場合、前記演算部の演算値と、前記他のノードの演算値とを比較する比較部と、
前記比較部による比較の結果、何れかの演算値が一致した場合は当該演算値を自ノードの出力データとして出力する出力部と、
前記比較部による比較の結果、一致する演算値がなかった場合、前記演算部の演算値を入出力組に付加して他のノードに転送する転送部とを備えた冗長化装置。 - 比較部による比較の結果、一致する演算値が存在し、かつ、一致しない演算値が入出力組に含まれていた場合、当該一致しない演算値を転送したノードを故障と判定し、グループ内のノードに対して通知することを特徴とする請求項1記載の冗長化装置。
- 転送部は、所定の応答時間に達するまでの間、演算部の演算値を付加した入出力組を他のノードに転送することを特徴とする請求項1記載の冗長化装置。
- 所定の応答時間に達するまでの間に一致する演算値が見つからなかった場合には、デフォルト値または前回値を出力することを特徴とする請求項1記載の冗長化装置。
- N(Nは任意の整数)個のノードの演算値が一致した場合に、当該一致した演算値を出力データとすることを特徴とする請求項1記載の冗長化装置。
- 一致した演算値が得られないときの転送の最大回数を規定し、転送部は、当該最大回数まで転送を行うことを特徴とする請求項1記載の冗長化装置。
- ネットワークに接続された複数のノードをグループ化し、グループ内で相互に入出力データを交換することで冗長化を実現する冗長化装置であって、
前記各ノードは、入力データまたは当該入力データとグループ内の他のノードの演算値とを含む入出力組を入力し、
前記入力データに対する演算を行う演算部と、
前記演算部の演算値を前記入出力組に付加して前記グループ内の他のノードに所定回数に達するまで転送を行う転送部と、
前記所定回数の転送動作で得られた前記演算部の演算値と前記他のノードの演算値とから最も多い演算値を出力する出力部とを備えた冗長化装置。 - ネットワークに接続された複数のノードをグループ化し、グループ内で相互に入出力データを交換することで冗長化を実現する冗長化装置であって、
前記各ノードは、入力データまたは当該入力データとグループ内の他のノードの演算値とを含む入出力組を入力し、
前記入力データに対する演算を行う演算部と、
前記演算部の演算値を前記入出力組に付加して前記グループ内の他のノードに所定の応答時間内、転送を行う転送部と、
前記所定の応答時間内に得られた前記演算部の演算値と前記他のノードの演算値の中から最も多い演算値を出力する出力部とを備えた冗長化装置。
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