JP5435673B2 - Phs無線制御方法、phs無線システムおよびphs無線制御プログラム - Google Patents

Phs無線制御方法、phs無線システムおよびphs無線制御プログラム Download PDF

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Description

本発明は、PHS(Personal Handy-phone System)無線制御方法、PHS無線システムおよびPHS無線制御プログラムに関する。
PHS(Personal Handy-phone System)システムは、個別に無線ゾーンを形成する複数の基地局と、ユーザが携行する移動局(PHS端末)とによって構成される。移動局を呼び出すための無線エリアとなる基地局の呼び出しエリアは、特許文献1の特開2009−71702号公報「移動通信システムとその基地局装置」にも記載されているように、通常、互いに隣接して設置された複数の基地局それぞれに割り当てた複数の無線ゾーンの集合によって形成されている。移動局は、呼び出しエリアごとに、自分が存在している現在位置を移動通信制御装置に登録する位置登録動作を行うことによって、当該移動局に対する着信があった際に、当該移動局を位置登録している呼び出しエリアの基地局から呼び出し用の無線電波を受信することができる。
ここで、従来のPHS(Personal Handy-phone System)システムにおいては、移動局がビルの高層階に存在する場合は、基地局からの距離が遠くなるため、移動局が受信する無線電波の電界強度は弱い弱電界になる一方で、見通しが良いことから、異なる呼び出しエリアの基地局が多く検出されることになる。
その結果として、いずれの基地局からの無線電波の電界強度も弱いことから、移動局は、受信される無線電波の電界強度が少しでも強い基地局を探すために、頻繁に、待ち受けを行う基地局を切り替える(位置登録)動作を繰り返すことになり、発着信の動作を行うことができなくなるのみならず、さらには、位置登録動作の無駄な繰り返しによるバッテリーの無用な消耗を招いてしまう。
特開2009−71702号公報(第3−5頁)
従来のPHS無線ステムにおいては、移動局(PHS端末)は、待ち受ける基地局が異なる呼び出しエリアになった場合には、移動通信制御装置に当該移動局の呼び出しエリアに関する位置登録を行うことが必要になる。ここで、図3に示すように、移動局が、異なる呼び出しエリアの基地局を多く検出することができ、かつ、弱電界であるようなエリアに存在していた場合には、移動局は、前述したように、基地局サーチを繰り返し、異なる呼び出しエリアの基地局からの少しでも電界強度が強い無線電波を待ち受けるように、位置登録を絶えず繰り返す動作を行っていた。図3は、PHS無線システムにおける従来の課題を説明するための模式図である。
すなわち、図3に示す移動局100は、ビルの高層階等の弱電界でかつ見通しが良い場所に存在していた場合は、基地局CSaの呼び出しエリアAのみならず、基地局CSbの呼び出しエリアB等の複数の呼び出しエリアに属していることになり、基地局サーチ結果として、頻繁に待ち受け基地局が切り替わって、基地局CSaの呼び出しエリアA、基地局CSbの呼び出しエリアB、…といった位置登録動作を繰り返すことになる。
一方、位置登録動作中は、移動局100は、発着信動作を行うことができなくなるので、頻繁な位置登録動作を繰り返す環境下においては、当該移動局100の発着信率が低下してしまうという問題が発生する。
さらには、移動局100が、不要な位置登録の繰り返しによる電力消費の増大、ひいてはバッテリの不要な消耗、を招いてしまうという問題も生じる。
(本発明の目的)
本発明は、かくのごとき事情に鑑みてなされたものであり、移動局が、弱電界で、かつ、複数の異なる基地局の呼び出しエリアに属しているような環境下にある場合、不要な位置登録を繰り返すことなく、発着信率の低下やバッテリーの無用な消耗を防止することが可能なPHS無線制御方法、PHS無線システムおよびPHS無線制御プログラムを提供することを、その目的としている。
前述の課題を解決するため、本発明によるPHS無線制御方法、PHS無線システムおよびPHS無線制御プログラムは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
(1)本発明によるPHS無線制御方法は、移動局と基地局との間をPHS(Personal Handy-phone System)方式の無線電波によって通信する動作を制御するPHS無線制御方法において、前記移動局が、複数の異なる呼び出しエリアの基地局からの無線電波を受信することができるものの、いずれの前記基地局からの無線電波の電界強度もあらかじめ定めた待ち受け閾値よりも低下した弱電界の環境にあった場合、前記移動局は、待ち受けるべき基地局を探索する基地局サーチ動作の結果として、探索した基地局の中から、直前まで待ち受けていた呼び出しエリアと同一の呼び出しエリアの基地局を同一呼び出しエリア基地局として抽出し、抽出した該同一呼び出しエリア基地局の中から、受信した無線電波の電界強度が最も小さい値の電界強度を用いて前記待ち受け閾値を設定し直すとともに、受信した無線電波の電界強度が最も大きい値の基地局を選択し、当該基地局からの無線電波を待ち受ける状態に設定することを特徴とする。
(2)本発明によるPHS無線システムは、移動局と基地局との間をPHS(Personal Handy-phone System)方式の無線電波によって通信するPHS無線システムにおいて、前記移動局が、複数の異なる呼び出しエリアの基地局からの無線電波を受信することができるものの、いずれの前記基地局からの無線電波の電界強度もあらかじめ定めた待ち受け閾値よりも低下した弱電界の環境にあった場合、前記移動局は、待ち受けるべき基地局を探索する基地局サーチ動作の結果として、探索した基地局の中から、直前まで待ち受けていた呼び出しエリアと同一の呼び出しエリアの基地局を同一呼び出しエリア基地局として抽出し、抽出した該同一呼び出しエリア基地局の中から、受信した無線電波の電界強度が最も小さい値の電界強度を用いて前記待ち受け閾値を設定し直すとともに、受信した無線電波の電界強度が最も大きい値の基地局を選択し、当該基地局からの無線電波を待ち受ける状態に設定することを特徴とする。
(3)本発明によるPHS無線制御プログラムは、少なくとも前記(1)に記載のPHS無線制御方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする。
本発明のPHS無線制御方法、PHS無線システムおよびPHS無線制御プログラムによれば、以下のような効果を奏することができる。
第1に、移動局が位置登録動作を繰り返す可能性がある弱電界の環境下にあった場合には、呼び出しエリアを固定にすることによって、不要な位置登録動作の繰り返しを抑止しているので、位置登録動作によって発着信動作が不可能になるという機会を減少させて、発着信率の向上を図ることが可能になる。
第2に、移動局が位置登録動作を繰り返す可能性がある弱電界の環境下にあった場合には、呼び出しエリアを固定にすることによって、不要な位置登録動作の繰り返しを抑止しているので、位置登録動作による無駄な消費電力の増加を防ぎ、バッテリーの無用な消耗を防ぐことができる。
本発明によるPHS無線システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。 図1に示すPHS無線システムの動作の一例を説明するためのフローチャートである。 PHS無線システムにおける従来の課題を説明するための模式図である。
以下、本発明によるPHS無線制御方法、PHS無線システムおよびPHS無線制御プログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明によるPHS無線制御方法およびPHS無線システムについて説明するが、かかるPHS無線制御方法をコンピュータにより実行可能なPHS無線制御プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、PHS無線制御プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、PHS無線システムにおいて、移動局が、弱電界で、かつ、複数の異なる基地局の呼び出しエリアに存在している場合には、移動局が待ち受ける基地局の呼び出しエリアを、直前まで待ち受けていた呼び出しエリアに固定し、位置登録の頻繁な繰り返しを防止することを主要な特徴とし、而して、不要な位置登録動作の繰り返し回数を低減させ、安定した待ち受けを可能にして、発着信率の向上を実現するとともに、不要な位置登録動作による消費電力の増加を防止することを可能にしている。
より具体的には、本発明は、移動局が複数の異なる基地局の呼び出しエリアに存在していて、かつ、いずれの基地局からの無線電波の電界強度もすべて弱い弱電界の環境にあることを検出した場合、当該移動局が待ち受ける基地局の呼び出しエリアを直前までに待ち受けていた基地局の呼び出しエリアに固定するという機能を提供するものである。移動局が待ち受ける基地局の呼び出しエリアを固定する機能として、次のような処理を行う。
まず、基地局サーチの動作結果として、探知した1ないし複数の基地局を、待ち受ける候補となる基地局として候補リストに登録する。次いで、当該移動局が存在する1ないし複数の異なる呼び出しエリアの基地局の候補リストの中から、待ち受けるべき基地局を選択する際に、
(1)候補リストにある基地局がすべて弱電界であるか否か、
(2)候補リスト中に異なる呼び出しエリアが含まれているか否か、
を判別する。
判別結果として、(1)、(2)の双方とも"真"であれば、候補リストから直前まで待ち受けていた呼び出しエリア"以外"の基地局を削除し、直前まで待ち受けていた呼び出しエリアの基地局のみを同一呼び出しエリア基地局として候補リストに残す。さらに、安定した良好な通信品質を確保し得る基地局を特定するための電界強度レベルの限界値としてあらかじめ設定していた「待ち受け閾値」を、候補リストに残った1ないし複数の基地局からの無線電波の電界強度のうち、最も弱い最小値の電界強度まで低下させて設定し直す。しかる後に、候補リストに残った1ないし複数の基地局からの無線電波の電界強度のうち、最も強い無線電波の電界強度を示す基地局を待ち受ける基地局として選択する。この結果、待ち受ける基地局の呼び出しエリアが固定されることになり、位置登録動作の無駄な繰り返しを防止することができる。
なお、頻繁な位置登録動作の繰り返し動作を防ぐために実施する「待ち受け閾値」の設定動作については、候補リストに残った基地局からの無線電波の電界強度の最小値に対して、さらに、あらかじめ任意に定めた値(正または負の実数)を加算した電界強度の値を、「待ち受け閾値」に設定し直すようにしても良い。
また、呼び出しエリアを固定する方法として、直前まで待ち受けていた基地局の呼び出しエリアを用いる代わりに、移動局に備えられているGPS(Global Positioning System)機能を用いて、当該移動局の現在位置までの距離が最も短い呼び出しエリアを選択して、選択した呼び出しエリアに待ち受ける基地局の呼び出しエリアを固定するようにしても良い。
(実施形態の構成例)
次に、本発明によるPHS無線システムのシステム構成の一例について、図1のシステム構成図を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態であるによるPHS無線システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。図1に示すように、本実施形態のPHS無線システムは、複数の異なる呼び出しエリアのいずれかの基地局と移動局との間でPHS方式による無線電波を送受信することにより、PHS通信を行うという、通常のPHS無線システムと同様のシステム構成からなっている。
図1に示すPHS無線システムにおいては、高層階等の見通しが良い場所に存在する移動局10が、受信した無線電波の電界強度が弱い弱電界の環境であるものの、異なる複数(図1の場合は3個)の基地局CSa,CSbおよびCScそれぞれからの無線電波を受信することができ、基地局CSaの無線ゾーンaは、呼び出しエリアAを形成し、基地局CSbおよびCScそれぞれの無線ゾーンbおよびcは、同一の呼び出しエリアBを形成している場合を示している。さらに、図1において直線の破線で以って示しているように、移動局10は、現在まで、呼び出しエリアBの基地局CSbからの無線電波を待ち受ける状態に設定されていることを示している。
なお、基地局からの無線電波の電界強度が弱いという「弱電界」とは、移動局10における無線電波の電界強度の計測値が、安定した良好な通信品質を確保し得る基地局を特定するための限界の電界強度レベルとしてあらかじめ定めた「待ち受け閾値」よりも低下したレベルにあることを意味している。ここで、「待ち受け閾値」は、エリアの状況に応じてあらかじめ定めた待ち受け保持レベルに対して、あらかじめ任意に定めた値α(α:正または負の任意の実数)を加算した値である。基地局からの無線電波の電界強度の計測値が「待ち受け閾値」よりも低下した場合には、移動局10が待ち受ける基地局を切り替えるための基地局サーチ動作を開始することになる。
(実施形態の動作の説明)
次に、本発明の一実施形態として図1に示したPHS無線システムの動作の一例について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。図2は、図1に示すPHS無線システムの動作の一例を説明するためのフローチャートであり、図1の移動局10が行う動作であって、本発明によるPHS無線制御方法の一例を示している。なお、図1に直線の破線で示しているように、移動局10は、現在までは、呼び出しエリアBの基地局CSbからの無線電波を待ち受ける状態になっていたものとする。また、移動局10の現在位置での受信電界強度の強さに関して送信元の基地局の順位付けをすると、基地局は、基地局CSc、CSaおよびCSbの順番になっているものの、いずれの基地局からの無線電波の受信電界強度も、良好な通信品質を確保し得る基地局を特定するための限界の電界強度レベルとしてあらかじめ定めた「待ち受け閾値」のレベルには達しない弱電界基地局であったものとする。
図2のフローチャートにおいて、移動局10は、通信の終了後、あるいは、現在まで通信を行っていた基地局CSbからの無線電波の電界強度があらかじめ定めた「待ち受け閾値」よりも低下した場合などの状態になると、当該移動局10が存在する場所の近傍に設置された各基地局からの無線電波を受信することによって、待ち受けるべき基地局を探索する基地局サーチ動作を開始する(ステップS1)。
次いで、基地局からの無線電波の受信に基づく基地局サーチ動作により、基地局からの無線電波を受信して、基地局を探索することができたか否かを確認する(ステップS2)。基地局を探索することができなかった場合には(ステップS2のNO)、移動局10はPHS無線システムの通信圏外に移動しているものと判定して、移動局10を通信圏外の状態に設定し(ステップS10)、次回の基地局サーチタイミングに達するまで、基地局のサーチ動作を待ち合わせる。
一方、基地局を探索することができた場合には(ステップS2のYES)、探索された基地局をユニークに特定する基地局識別番号CSIDを、基地局から受信した無線電波の電界強度の順番に、待ち受け候補の基地局の登録用に設けられた候補リストに設定登録する(ステップS3)。先に説明した図1の例においては、基地局CSc、基地局CSa、基地局CSbの順番に候補リストに設定登録されることになる。
次に、候補リストに設定登録された基地局CSc、基地局CSa、基地局CSbからの無線電波の電界強度が、すべて、あらかじめ定めた「待ち受け閾値」よりも低い電界強度レベルの弱電界基地局であったか否かを確認する(ステップS4)。
候補リストに設定登録された基地局CSc、CSaおよびCSbのうち、弱電界基地局ではない基地局が少なくとも1つ以上存在していた場合には(ステップS4のNO)、ステップS7へ移行する。
一方、候補リストに設定登録された基地局CSc、CSaおよびCSbからの無線電波の電界強度のいずれも、あらかじめ定めた「待ち受け閾値」よりも低いレベルにある弱電界基地局であった場合には(ステップS4のYES),ステップS5に移行して、頻繁な基地局のサーチ動作および位置登録動作の繰り返しを防ぐために、直前までに待ち受けていた呼び出しエリア以外の呼び出しエリアの基地局を候補リストから削除して、待ち受ける候補から除外する(ステップS5)。図1を参照して先に説明したように、直前まで待ち受けていた基地局は、呼び出しエリアBの基地局CSbであった(図1に直線の破線で示す。)ので、当該呼び出しエリアBではない呼び出しエリアAの基地局CSaは、ステップS5の処理により、候補リストから削除される。その結果、候補リストには、直前まで待ち受けていた基地局CSbの他に、該基地局CSbの呼び出しエリアBと同じ呼び出しエリアの基地局CScが同一呼び出しエリア基地局として残っていることになる。
ここで、弱電界の環境下における呼び出しエリアの拡大を図るために、候補リストに残った基地局からの無線電波の電界強度の中から、電界強度の最小のものを抽出して、抽出した電界強度の最小値を、「待ち受け閾値」に設定し直す(ステップS6)。図1を参照して先に説明したように、基地局CSbおよびCScなる2つの基地局からそれぞれ送信され、移動局10で受信した無線電波の電界強度を比べると、移動局10で受信した無線電波の電界強度は基地局CSbからの無線電波の電界強度が基地局CScからの無線電波のそれより小さいので、基地局CSbの無線電波の電界強度を「待ち受け閾値」に設定し直すことになる。
しかる後に、候補リストに残っている基地局が1つのみか否かを確認する(ステップS7)。1つの基地局しか残っていなかった場合には(ステップS7のYES)、候補リストに残っている基地局の呼び出しエリアに関する位置登録を行い、移動局10を、当該基地局からの無線電波を待ち受ける状態に設定する(ステップS9)。
これに対して、直前まで待ち受けていた基地局の呼び出しエリアと同じ基地局として複数の基地局が候補リストに残っていた場合には(ステップS7のNO)、候補リストに残っている複数の基地局それぞれからの無線電波の電界強度を調べ、最大の電界強度となっている基地局を選択して、選択した当該基地局の呼び出しエリアに関する位置登録を行い、移動局10を、当該基地局からの無線電波を待ち受ける状態に設定する(ステップS8)。図1を参照して先に説明したように、候補リストに同一呼び出しエリア基地局として残った基地局CSbおよび基地局CScの2つの基地局のうち、無線電波の電界強度が大きい方の基地局はCScであるから、基地局CScからの無線電波を待ち受ける状態に設定することになる。
以上のような動作を行うことによって、移動局10が、基地局からの無線電波の電界強度が弱い弱電界で、かつ、複数の異なる基地局の呼び出しエリアに属しているような環境下にある場合には、直前まで待ち受けていた基地局の呼び出しエリアに今後の呼び出しエリアを固定することによって、不要な位置登録動作を繰り返すことなく、発着信率の低下を防止することを可能にするとともに、不要な位置登録動作に要していた消費電力の増加を防ぐこともできる。
なお、ここまで図1及び図2を参照して詳しく説明した実施形態では、弱電界の環境下における呼び出しエリアの拡大を図るための動作として、候補リストに残った基地局からの無線電波の電界強度の中から、電界強度の最小のものを抽出して、抽出した電界強度の最小値を、「待ち受け閾値」に設定し直した。しかしながら、本願発明では、この「待ち受け閾値」として設定し直す電界強度の閾値は、候補リストに残った基地局からの無線電波の電界強度の中での最小値に限られない。例えば、良好な通信品質が得られる限界の電界強度を「待ち受け保持レベル」とし、この「待ち受け保持レベル」に対してさらに適切に選択した任意の値α(α:正または負の実数)を加えた値を「待ち受け閾値」として設定し直す方式も、本願発明では採用できる。候補リストに残った基地局からの無線電波の電界強度の中での最小のものを「待ち受け閾値」として設定し直す実施形態(図1および図2を参照して以上に詳しく説明した形態)に対し、良好な通信品質が得られる限界を示す「待ち受け保持レベル」に対して任意の値αを加えた値を「待ち受け閾値」として設定し直すこの方式は、その実施形態の一変形例といえる。図1および図2を参照して説明した実施形態は、変形例における「待ち受け保持レベル」を、候補リストに登録されている電界強度の最小値とし、かつ変形例における任意の値αを"0"としたものに相当する。変形例において、良好な通信品質が得られる限界を示す「待ち受け保持レベル」として、候補リストに登録されている電界強度の最小値を選択するとともに、αを適切に選択することにより、「待ち受け閾値」を最適化することができる。
また、移動局10が弱電界において複数の基地局からの無線電波を受信するものの、あらかじめ定めた「待ち受け閾値」よりも無線電波の電界強度が弱い弱電界の環境下にある場合に、待ち受ける基地局の呼び出しエリアを固定する方法として、前述の図2のフローチャートにおいては、直前まで待ち受けていた呼び出しエリアに固定する場合について説明したが、本発明は、かかる場合のみに限るものではなく、例えば、次のような別の変形例としても実施できる。この別の変形例は、移動局10に、現在位置を測位するGPS(Global Positioning System)機能を備え、弱電界において複数の基地局からの無線電波を受信するような環境下にある場合には、GPS機能を利用して、移動局10の現在位置までの距離が最も短い基地局の呼び出しエリアを、移動局10の現在位置の地点において待ち受けるべき基地局の呼び出しエリアとして固定する方式である。
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態(上記2つの変形例を含む。)においては、以下のような効果が得られる。
第1に、移動局が位置登録動作を繰り返す可能性がある弱電界の環境下であった場合には、呼び出しエリアを固定にすることによって、不要な位置登録動作の繰り返しを抑止しているので、位置登録動作によって発着信動作が不可能になるという機会を減少させて、発着信率の向上を図ることが可能になるという効果が得られる。
第2に、移動局が位置登録動作を繰り返す可能性がある弱電界の環境下であった場合には、呼び出しエリアを固定にすることによって、不要な位置登録動作の繰り返しを抑止しているので、位置登録動作による無駄な消費電力の増加を防ぎ、バッテリーの無用な消耗を防ぐことができるという効果が得られる。
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
10 移動局(PHS端末)
100 移動局(PHS端末)
A 呼び出しエリア
B 呼び出しエリア
a 無線ゾーン
b 無線ゾーン
c 無線ゾーン
CSa 基地局
CSb 基地局
CSc 基地局

Claims (7)

  1. 移動局と基地局との間をPHS(Personal Handy-phone System)方式の無線電波によって通信する動作を制御するPHS無線制御方法において、前記移動局が、複数の異なる呼び出しエリアの基地局からの無線電波を受信することができるものの、いずれの前記基地局からの無線電波の電界強度もあらかじめ定めた待ち受け閾値よりも低下した弱電界の環境にあった場合、前記移動局は、待ち受けるべき基地局を探索する基地局サーチ動作により、探索した基地局の中から、直前まで待ち受けていた呼び出しエリアと同一の呼び出しエリアの基地局を同一呼び出しエリア基地局として抽出し、抽出した該同一呼び出しエリア基地局の中から、受信した無線電波の電界強度が最も大きい値の基地局を選択し、当該基地局からの無線電波を待ち受ける状態に設定することを特徴とするPHS無線制御方法。
  2. 前記移動局は、現在位置を測位するGPS(Global Positioning System)機能を備え、前記同一呼び出しエリア基地局を抽出する際に、直前まで待ち受けていた呼び出しエリアと同一の呼び出しエリアの基地局を抽出する代わりに、前記GPS機能を用いて、当該移動局と各基地局との間の距離を測定し、距離が最も短い基地局の呼び出しエリアを選択して、選択した該呼び出しエリアの基地局を前記同一呼び出しエリア基地局として抽出することを特徴とする請求項1に記載のPHS無線制御方法。
  3. 前記移動局が、現在まで通信を行っていた基地局からの無線電波の電界強度が前記待ち受け閾値よりも低下すると前記基地局サーチ動作を開始し、前記同一呼び出しエリア基地局の中から、受信した無線電波の電界強度が最も小さい値の電界強度、又は、前記最も小さい値の電界強度にさらにあらかじめ任意に定めた値を加えた電界強度レベルの値を用いて前記待ち受け閾値を設定し直すことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のPHS無線制御方法。
  4. 移動局と基地局との間をPHS(Personal Handy-phone System)方式の無線電波によって通信するPHS無線システムにおいて、前記移動局が、複数の異なる呼び出しエリアの基地局からの無線電波を受信することができるものの、いずれの前記基地局からの無線電波の電界強度もあらかじめ定めた待ち受け閾値よりも低下した弱電界の環境にあった場合、前記移動局は、待ち受けるべき基地局を探索する基地局サーチ動作により、探索した基地局の中から、直前まで待ち受けていた呼び出しエリアと同一の呼び出しエリアの基地局を同一呼び出しエリア基地局として抽出し、抽出した該同一呼び出しエリア基地局の中から、受信した無線電波の電界強度が最も大きい値の基地局を選択し、当該基地局からの無線電波を待ち受ける状態に設定することを特徴とするPHS無線システム。
  5. 前記移動局は、現在位置を測位するGPS(Global Positioning System)機能を備え、前記同一呼び出しエリア基地局を抽出する際に、直前まで待ち受けていた呼び出しエリアと同一の呼び出しエリアの基地局を抽出する代わりに、前記GPS機能を用いて、当該移動局と各基地局との間の距離を測定し、距離が最も短い基地局の呼び出しエリアを選択して、選択した該呼び出しエリアの基地局を前記同一呼び出しエリア基地局として抽出することを特徴とする請求項4に記載のPHS無線システム。
  6. 前記移動局が、現在まで通信を行っていた基地局からの無線電波の電界強度が前記待ち受け閾値よりも低下すると前記基地局サーチ動作を開始し、前記同一呼び出しエリア基地局の中から、受信した無線電波の電界強度が最も小さい値の電界強度、又は、前記最も小さい値の電界強度にさらにあらかじめ任意に定めた値を加えた電界強度レベルの値を用いて前記待ち受け閾値を設定し直すことを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載のPHS無線システム。
  7. 基地局との間でPHS(Personal Handy-phone System)方式の無線電波によって通信する移動局に、
    前記移動局が、複数の異なる呼び出しエリアの基地局からの無線電波を受信することができるものの、いずれの前記基地局からの無線電波の電界強度もあらかじめ定めた待ち受け閾値よりも低下した弱電界の環境にあった場合、待ち受けるべき基地局を探索する基地局サーチ動作により、探索した基地局の中から、直前まで待ち受けていた呼び出しエリアと同一の呼び出しエリアの基地局を同一呼び出しエリア基地局として抽出する機能、
    抽出した該同一呼び出しエリア基地局の中から、受信した無線電波の電界強度が最も大きい値の基地局を選択し、当該基地局からの無線電波を待ち受ける状態に設定する機能、
    を実現させるためのPHS無線制御プログラム。
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