JP5433076B2 - メガネ装着者の眼球の輻輳を特性決定するための眼科用メガネ - Google Patents
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Description
本発明は、メガネ装着者の眼球の輻輳を特性決定するように適合された眼科用メガネに関する。本発明はこのようなメガネのレンズにも関する。
被験者の眼球運動をリアルタイムで検出するための既存システムは多数ある。例えば、米国特許第5,966,197号では、レーザーアブレーション眼球外科手術用のシステムについて説明しており、このシステムは患者の眼球運動を検出して補正する。このシステムは、眼球の像を形成し、像内の縁部の位置を識別することでソケット内の回転位置を追跡する。縁部は、眼球の強膜と虹彩の間の境界であり、900nm〜1200nmの波長の近赤外線により、眼球の像内で容易に検出できる。強膜はこのスペクトル領域内で約90%と高い光反射率を有しているが、虹彩は約40%と低い反射率を有している。
眼球運動を検出するための他のシステムも存在しており、これは覚醒状態の患者による使用を対象としている。これらの他のシステムのうちの幾つかは、被験者の頭部に載せるデバイスからなり、被験者が自分の環境内で物体を見ている間に両目の像を形成する。これらのデバイスのうちの1つを装着している被験者はそのまま動き回れることができるが、これらのデバイスは日常生活では使用可能なものでなく、被験者の測定データが収集されるセッションでの使用に限定される。
ある用途では、モバイルユースと両立する眼球運動検出システムが必要とされる。したがって、軽量でしかも見栄えがよく、日常生活で長時間使用しても被験者に不快な思いをさせない眼球運動検出システムが必要である。さらに、このようなシステムは、多くの人々に装着してもらうために安価であるのが好ましい。現状では、満足のゆく形でこれらの要件を満たすそのような眼球運動検出システムは存在していない。
本発明の一目的は、日常生活におけるモバイルユースと両立する眼球運動検出システムを実現することである。
本発明の別の目的は、眼球運動検出システムの使用者によって観察される物体の方向のリアルタイムの特性決定を行えるようにすることである。
本発明のさらに別の目的は、使用者の眼球の輻輳、およびこの輻輳の変動を決定する使用者の眼球運動の特定決定を行えるようにすることである。
この目的を達成するために、本発明では、1つのフレームとそのフレーム内に保持されている2つのレンズを、これらがメガネ装着者の眼球の前にそれぞれ位置しているように備え、それぞれのレンズを通してメガネ装着者に別々の視覚がもたらされるようにする、眼科用メガネを提案し、前記メガネは、それぞれのレンズについて、
−少なくとも1つの照射線源であって、照射線がメガネ装着者のそれぞれの眼球の強膜と虹彩によってその強膜と虹彩に対する異なった反射強度係数にそれぞれしたがって反射されるように選択されている、赤外線照射でもよい、少なくとも1つの照射線源と、
−レンズの背後に位置している眼球の強膜と虹彩の間の境界の右または左側部分が眼球運動時に眼域内のそれぞれにおいて動き回る眼域内でそれぞれ反射される、照射線源が発生した照射線の一部の各強度を測定するように構成されている、少なくとも1つの検出器と、
−レンズ内に構成されている少なくとも4つの照射線出力部もしくは入力部であって、それぞれの出力部は照射線源から発生した照射線の一部を、強膜と虹彩の間の境界の右および左側部分が動き回る眼域のうちの少なくとも1つの方に向けて照射するように構成され、それぞれの入力部はこれらの眼域のうちの1つの内部で反射された照射線の一部を集光するように構成されている、少なくとも4つの照射線出力部もしくは入力部とを備えている。
−少なくとも1つの照射線源であって、照射線がメガネ装着者のそれぞれの眼球の強膜と虹彩によってその強膜と虹彩に対する異なった反射強度係数にそれぞれしたがって反射されるように選択されている、赤外線照射でもよい、少なくとも1つの照射線源と、
−レンズの背後に位置している眼球の強膜と虹彩の間の境界の右または左側部分が眼球運動時に眼域内のそれぞれにおいて動き回る眼域内でそれぞれ反射される、照射線源が発生した照射線の一部の各強度を測定するように構成されている、少なくとも1つの検出器と、
−レンズ内に構成されている少なくとも4つの照射線出力部もしくは入力部であって、それぞれの出力部は照射線源から発生した照射線の一部を、強膜と虹彩の間の境界の右および左側部分が動き回る眼域のうちの少なくとも1つの方に向けて照射するように構成され、それぞれの入力部はこれらの眼域のうちの1つの内部で反射された照射線の一部を集光するように構成されている、少なくとも4つの照射線出力部もしくは入力部とを備えている。
本発明の第1の特徴では、これらの照射線源(複数可)、検出器(複数可)、ならびに照射線出力部および入力部は、レンズの背後に位置しているメガネ装着者の眼球上の反射をそれぞれ含む少なくとも4つの照射線経路を眼球の強膜と虹彩の間の境界の、各経路に対する、右および左側部分が動き回るこれらの眼域のうちの1つの内部に形成するようにさらに構成される。次いで、このメガネは、前記少なくとも1つの照射線源と前記少なくとも1つの検出器との間で送られる照射線の一部を異なる各照射線経路で分離するための手段を備えている。
本発明の第2の特徴では、このメガネは、これら2つのレンズについて同時に測定される強度に応じて(強度の関数として)、共通観察点にあるメガネ装着者の眼球の輻輳を特性決定する(特徴付ける)ように適合された計算ユニットもさらに備えている。
本発明の第3の特徴では、前記少なくとも1つの照射線源、前記少なくとも1つの検出器、ならびに前記少なくとも4つの照射線出力および入力領域は、照射線に対する明確に区別可能な経路の少なくとも2つの対を形成する形で構成され、2つの第1の照射線出力部はそれぞれのレンズ内に同じ第1の仰角で構成され、2つの第2の照射線出力部はそれぞれのレンズ内に第1の仰角と異なる、同じ第2の仰角で構成される。さらに、これらは、眼域がレンズの背後に位置しているメガネ装着者の眼球の強膜と虹彩の間の境界の、それぞれの対の各経路に対する、右および左側部分がこの対に関連付けられている同じ眼域仰角に位置しているように、また明確に区別でき、これら2つのレンズに共通である各眼域の仰角に経路の2つの対が関連付けられるように構成される。次いで、計算ユニットは、同じ眼域仰角に関連付けられている経路によって送られる照射線の一部分に対して同時に測定される強度に応じてメガネ装着者の眼球の輻輳を特性決定するように適合され、この仰角は2つのレンズについて計算ユニットによって選択される。
このようにして、本発明では、レンズ内に一体化されている照射線入力部および出力部を備えている、メガネの形態をとる、被験者の眼球運動を検出するためのシステムを実現する。このシステムはメガネの形態をとることから、軽量でありしかも非常にコンパクトである。これは、使用者があちこち動き回っていても日常生活で使用することができる。特に、本発明のメガネ装着者は、運動の完全な自由を維持する。
さらに、照射線入力部および出力部がそれぞれのレンズ内に一体化されていれば、メガネは、メガネのレンズに加えてメガネ装着者の顔の前に位置しているメガネ装着者の眼球に向けたどのような補助反射体または像収集システムも備えずに済む。したがって、本発明の眼球運動検出システムは、メガネ装着者の顔にあって見栄えよく、視覚的不快感をもたらさない。
さらに、本発明のメガネを使用したときに生じる眼球運動の検出は、それぞれの眼球の縁部の右および左側部分の位置の検出結果に基づいている。このために、少なくとも4つの照射線ビームがそれぞれのレンズからメガネ装着者の対応する眼球の縁部の右および左側部分の運動の領域の方へ向けて照射され、これらのビームの各強度は、これらの領域内のそれぞれの眼球上でビームが反射した後に測定される。それぞれのビームは、異なる照射線経路を有する。その強度は、反射した後、レンズのこれらの入力部のうちの1つを通って戻るときに、それぞれのビームが眼球の表面上の強膜または虹彩に到達するかどうかに応じて多かれ少なかれ反射されるため、眼球の回転位置に応じて変化する。次いで、メガネ装着者が所定の瞬間において注目している地点の方へのメガネ装着者の眼球の輻輳が、両眼の縁部の一部の間の比較結果から判定される。この方法で、メガネ装着者の眼球の輻輳は、水平面内にあるメガネ装着者の顔から、メガネ装着者が見ている物体の指向角度に関係なく決定することができる。次いで、このメガネの装着者によって観察される物体の距離の特性決定は、メガネ装着者の眼球の決定された輻輳からリアルタイムで推定することができる。
本発明では、照射線が反射される眼域の仰角に応じてそれぞれのレンズ内の照射線出力部の対を作ることによって、注視レベルと称される、垂直平面内のメガネ装着者の顔に相対的に注目されている物体の任意の指向角度に対してメガネ装着者の眼球の輻輳を決定することが可能になる。同じ眼域仰角に関連付けられている2つのレンズの経路を使用して、所定の瞬間におけるメガネ装着者の眼球の輻輳を決定する。
本発明のさまざまな実施形態において、以下の改良の一部を別々に、または組み合わせて使用することができる。
−計算ユニットは、測定された強度のうちの少なくとも幾つかに対する信号対雑音(SN)比の値に応じて、メガネ装着者の眼球の輻輳を特性決定するために眼域仰角のうちの1つを選択するように適合することができる。
−メガネは、それぞれのレンズに対する照射線入力部と同じ数の照射線出力部を備えることができ、前記出力部のそれぞれは、レンズにおいて前記入力部のうちの1つに隣接しており、別々の照射線の照射受光対を形成し、それぞれの照射受光対は、このレンズの背後に位置しているメガネ装着者の眼球の強膜と虹彩の間の境界の右および左側部分のうちの1つが眼球運動時に動き回るこれらの眼域のうちの1つの前に構成される。
−それぞれのレンズについて、照射線出力部は、このレンズの右および左側部分にそれぞれ位置している2つの列の形態で構成され、これらのレンズの右側部分に位置している列のそれぞれの出力部はこの眼球の強膜と虹彩の間の境界の右側部分が動き回る眼域内でメガネ装着者の眼球上の反射を含む照射線経路に属し、これらのレンズの左側部分に位置している列のそれぞれの出力部は眼球の強膜と虹彩の間の境界の左側部分が動き回る眼域内でメガネ装着者の眼球上の反射を含む照射線経路に属すものとすることができる。
−照射線源(複数可)、出力部(複数可)、入力部(複数可)、およびこれらのレンズのうちの少なくとも1つに関連付けられている検出器(複数可)は、異なる出力部を横断する少なくとも2つの異なる照射線経路がそれらの経路に共通の同じ入力部に入るように構成することができ、照射線経路に応じて照射線の一部を分離するための手段は、異なる経路によって送られる照射線に施される異なる変調による検出器(複数可)によってなされる測定を同期するように適合することができる。
−計算ユニットは、測定された強度のうちの少なくとも幾つかに対する信号対雑音(SN)比の値に応じて、メガネ装着者の眼球の輻輳を特性決定するために眼域仰角のうちの1つを選択するように適合することができる。
−メガネは、それぞれのレンズに対する照射線入力部と同じ数の照射線出力部を備えることができ、前記出力部のそれぞれは、レンズにおいて前記入力部のうちの1つに隣接しており、別々の照射線の照射受光対を形成し、それぞれの照射受光対は、このレンズの背後に位置しているメガネ装着者の眼球の強膜と虹彩の間の境界の右および左側部分のうちの1つが眼球運動時に動き回るこれらの眼域のうちの1つの前に構成される。
−それぞれのレンズについて、照射線出力部は、このレンズの右および左側部分にそれぞれ位置している2つの列の形態で構成され、これらのレンズの右側部分に位置している列のそれぞれの出力部はこの眼球の強膜と虹彩の間の境界の右側部分が動き回る眼域内でメガネ装着者の眼球上の反射を含む照射線経路に属し、これらのレンズの左側部分に位置している列のそれぞれの出力部は眼球の強膜と虹彩の間の境界の左側部分が動き回る眼域内でメガネ装着者の眼球上の反射を含む照射線経路に属すものとすることができる。
−照射線源(複数可)、出力部(複数可)、入力部(複数可)、およびこれらのレンズのうちの少なくとも1つに関連付けられている検出器(複数可)は、異なる出力部を横断する少なくとも2つの異なる照射線経路がそれらの経路に共通の同じ入力部に入るように構成することができ、照射線経路に応じて照射線の一部を分離するための手段は、異なる経路によって送られる照射線に施される異なる変調による検出器(複数可)によってなされる測定を同期するように適合することができる。
本発明のメガネは、計算ユニットによって特徴付けられるメガネ装着者の眼球の輻輳に対する結果に応じて、これらのレンズのうちの少なくとも1つのレンズの特性を変化させるための手段をさらに備えることが可能である。特に、これらのレンズのうちの1つの特性を変化させるための手段は、このレンズ内に備えることができる。例えば、それぞれのレンズは、メガネ装着者の眼球の輻輳から推定される観察距離に合わせて調整可能である屈折力を持つ単焦点レンズとすることができる。したがって、老眼のメガネ装着者は、残余非点収差なしで、レンズの表面全体にわたるそれぞれの観察距離について調整された視力矯正を受けることができる。
本発明のメガネは、視力再教育セッション時に、視能訓練で使用することもできて都合がよい。このようなメガネにより、メガネを装着する患者に、より高度にカスタマイズされ、制御された再教育エクササイズを実施することができる。
本発明は、上述のようにメガネ内に組み付けられるように適合されたメガネレンズも提案する。このようなレンズは、
−少なくとも1つの照射線源であって、それぞれの照射線源がレンズ内に一体化され、照射線がこれらのレンズのメガネ装着者の眼球の強膜と虹彩によってその強膜と虹彩に対する異なる反射強度係数にそれぞれしたがって反射されるように選択される、赤外線照射であってもよい、少なくとも1つの照射線源と、
−この照射線の少なくとも1つの検出器であって、それぞれの検出器はレンズ内に一体化され、眼球の強膜と虹彩の間の境界の右または左側部分が眼球運動時に動き回る眼域内で眼球によって反射される、これらの照射線源のうちの1つが発生した照射線の一部の強度を測定するように構成されている、少なくとも1つの検出器と、
−レンズ内に一体化され、それぞれの検出器およびそれぞれの照射線源の端子を電気的に接続し、これらのレンズの周辺部内に放射状に構成されている、透明導電性ストリップと、
−上述のようにこのメガネレンズの装着者の眼球とともに照射線経路を形成するようにレンズ内に構成されている少なくとも4つの照射線出力または入力部とを備えている。
本発明は、上述のようにメガネ内に組み付けられるように適合されたメガネレンズも提案する。このようなレンズは、
−少なくとも1つの照射線源であって、それぞれの照射線源がレンズ内に一体化され、照射線がこれらのレンズのメガネ装着者の眼球の強膜と虹彩によってその強膜と虹彩に対する異なる反射強度係数にそれぞれしたがって反射されるように選択される、赤外線照射であってもよい、少なくとも1つの照射線源と、
−この照射線の少なくとも1つの検出器であって、それぞれの検出器はレンズ内に一体化され、眼球の強膜と虹彩の間の境界の右または左側部分が眼球運動時に動き回る眼域内で眼球によって反射される、これらの照射線源のうちの1つが発生した照射線の一部の強度を測定するように構成されている、少なくとも1つの検出器と、
−レンズ内に一体化され、それぞれの検出器およびそれぞれの照射線源の端子を電気的に接続し、これらのレンズの周辺部内に放射状に構成されている、透明導電性ストリップと、
−上述のようにこのメガネレンズの装着者の眼球とともに照射線経路を形成するようにレンズ内に構成されている少なくとも4つの照射線出力または入力部とを備えている。
これらのレンズの周辺部内の導電性ストリップの放射状構成では、フレームによって支えられるレンズのストリップと他の電子コンポーネントとの間の電気的接続を確立するために、フレーム内の決められた場所に電気的接点を提供する。さらに、この放射状構成により、フレームの電気的接点を提供する可能性を保持しながらフレームのリムのどのような形状にも合わせてレンズをトリミングすることができる。
本発明の他の特徴および利点は、添付図面を参照しつつ幾つかの非限定的な例の以下の説明から明らかになるであろう。
わかりやすくするために、これらの図に表されている要素の寸法は、実際の寸法に比例しておらず、また実際の寸法の比にも比例していない。さらに、異なる図中の同一の符号の使用は、同一の要素または同一の機能を持つ要素を表す。
図1a、図1bにおいて、このメガネは、フレーム3と2つの眼科用レンズを備えており、右レンズと左レンズは1と2で表されている。フレーム3は、レンズ1、2を相対的固定位置に保持し、これにより、連続する使用期間中に一定のままである方式でメガネ装着者の眼球の前にそれらのレンズを置くことが可能となる。レンズ1、2は、メガネ技師に知られている組み付け方法の1つの方法で、フレーム3に永久的に組み付けることができる。あるいは、フレーム3を備えた当初のメガネに、本発明によるレンズ1、2を追加してもよい。当初のメガネは、太陽光保護および/または眼球矯正機能を備えていてもよい。この場合、例えばクリップ式構造を利用して取外し可能にレンズ1、2を当初のメガネに設けてもよい。
符号100、200はメガネ装着者の眼球を表しており、100が右目を示し、200が左目を示している。メガネ装着者の眼球100、200のそれぞれに関し、符号S、I、P、L、Rは、眼球の強膜、虹彩、瞳孔、縁部、回転中心を表している。虹彩Iは、瞳孔Pのサイズを決定する可変の内径および一定である外径を有する円環であることが知られている。縁部Lは、虹彩と強膜Sとの間の虹彩Lの外側境界である。縁部Lは、眼球が回転中心Rの周りに回転しているときに、対応の眼球に固定の一定サイズの円である。視覚的には、縁部Lは、白色の強膜Sと色付きの虹彩Iとの間の円形の境界である。
各眼球100、200に関し、回転中心Rと対応の瞳孔Pの中心Aとを通る軸D1、D2は各眼球の光軸である。瞳孔Pの中心Aは水晶体の頂点でもある。光軸D1、D2は、各眼球100、200に固定されており、縁部Lとともに回転する。眼球100、200の光軸D1、D2は輻輳点C(図1b)で輻輳し、これは、所定の瞬間にメガネ装着者が見ている物体の場所である。光軸D1とD2との平均方向D0は、その瞬間におけるメガネ装着者の注視方向である。注視方向D0は、通常、両眼の回転中心Rの間の線分の中点と輻輳点Cとを接続する。図1bにおいて、回転中心Rに対する輻輳点Cの距離である観察距離がDで表されている。
具体的な実施形態において説明される本発明により、メガネ装着者の顔に対する輻輳点Cの位置を決定することができる。これらの実施形態では、対応のレンズ1、2に対する各眼球100、200の回転位置を検出することによって、点Cの位置が決定される。本発明の各レンズ1、2は、したがって、対応の眼球100、200の光軸D1、D2の角度位置を決定することを可能とする。そして、2つの光軸D1、D2の各位置から、輻輳点Cが(必要ならば観察距離Dとともに)推定される。
各眼球の光軸位置を定義するために、2つの角度α、βが使用されており、それぞれ仰角および偏心度と称される。仰角αは、通常、両眼100、200で同一であって、各光軸D1、D2と、メガネ装着者の頭部が垂直であるときに水平な基準平面とがなす角度である。各眼球の光軸D1、D2の偏心度βは、軸と、メガネ装着者の頭部が垂直であるときに垂直な顔の正中面とがなす角度である。偏心度βは、同時に、通常、ぞれぞれの眼に関して個別の値を有しており、その2つの値の差が眼球の輻輳(観察距離Dを意味する)を決定する。
各眼球100、200の光軸D1、D2の偏心度は、実際には、その眼球の縁部Lの位置に基づいて決定される。具体的には、眼球の右および左側横領域において、その眼球で反射した照射線の強度を測定することによって、縁部Lの右側端部および左側端部の各位置が決定される。これを行うために、各レンズには、出力部と称される照射線照射部が設けられており、これは、眼球が回転するときに縁部の右および左側部分が動き回る眼球の横領域に向けて1または複数の照射線ビームを照射する。また、入力部と称される集光部も設けられており、これは、眼球の横領域内で反射した照射線の一部を集光する。出力部には少なくとも1つの照射線源によって照射線が供給され、また、入力部は、該入力部によって集光された照射線の各部分の強度を測定するために少なくとも1つの検出器に光学的に接続されている。
図2a〜図2dの右レンズ1において、第1の照射受光対は出力部10と入力部11とからなる。各部10、11は例えば水平方向に隣接しそれらの間隔は0.1mm〜3mmの間であってもよい。第2の照射受光対は、別の出力部12と入力部13とからなる。対10/11および12/13は、作りが同一であるものとしてよい。これらは、仰角αが等しい値(α1で表されている)でレンズ1内に位置している。これらは、異なった偏心度値βのところに位置決めされている、つまり、照射受光対10/11が縁部Lの右側部分が動き回る眼球右横領域ZD1に面するように位置決めされ、照射受光対12/13が縁部Lの左側部分が動き回る眼球左横領域ZG1に面するように位置決めされている。それぞれの照射受光対は、図2b〜図2dに示される、対応の出力部10、12から対応の入力部11、13への照射線経路(照射線が反射される対応する領域ZD1、ZG1内の点を含む)を規定する。本発明の実施形態では、眼球の回転位置を決定するために使用される別々の照射線経路が、照射線出力部および入力部がレンズ内に構成されるという方式で分離されている。
図2b、2c、2dは、それぞれ、右眼球100の回転位置を表しており、そこでは、光軸D1は偏心度値βに対応しており、それは、ゼロか(図2b)、マイナスもしくは側頭側(図2c)に向けられ、または、プラスもしくは鼻側(図2d)に向けられる。使用される照射線の波長が900nm〜1200nmの場合、虹彩からの低い反射強度と強膜からのより高い反射強度との間の差によって眼球100の位置の検出が可能となる。横領域ZD1、ZG1内で照射受光対10/11、対12/13によって検出される反射は、図2bの場合には実質的に同一である強度を有し、図2cの場合には対10/11の強度は12/13のものよりも小さく、図2dの場合には大きい。光軸D1の偏心度βが連続的に変化する場合、入力部11、13に到達する照射線の一部に関して測定される強度も反対方向に連続的に変化する。したがって、照射受光対10/11および12/13によって、メガネ装着者の頭部が垂直であるときに水平面内で眼球100の光軸D1の角度位置を決定することができる。
メガネ装着者はコンタクトレンズを装着することができ、このコンタクトレンズは、各眼球に対する位置検出の感度を改良する。そのようなコンタクトレンズは、その眼球のどのような回転位置に対しても中心を光軸上に置いたまま、対応する眼球の虹彩を覆うことができる。虹彩と強膜との間の反射コントラストを高めるように、虹彩の見かけの反射率の値を適合させる設計としてもよい。
計算ユニットが、メガネに関連付けられている。これは、例えばフレーム3のアームの一部に組み込まれていてもよい。このような計算ユニットは次のように適合されている:照射線の反射部分の測定強度から光軸D1の角度位置を決定する。光軸D1の角度位置の決定は計算によって行うことができる。あるいは、計算ユニットは、この位置を示す格納されているテーブルから読み取ることによって光軸D1の角度位置を、異なる照射線経路について測定されこのテーブルへの入力として使用される強度値に応じて、決定することができる。
左レンズ2が右レンズ1の構成と類似の構成を有することが理解され、それは、メガネ装着者の顔の正中面に対して右レンズと対称的である。計算ユニットにより、右眼球100の光軸D1に関する位置が決定されるのと同時に、メガネ装着者の左眼球200の光軸D2の角度位置を決定することが可能である。次いで、観察距離Dが得られ、場合によっては両眼の輻輳中心Cの位置および/または注視方向D0も得られる。
説明したように、計算ユニットは次のように適合可能である:その眼球の前に位置しているレンズに関して、および、眼球の強膜と虹彩の間の境界の右および左側部分が動き回る眼域の一部で反射した照射線の一部に関して、同時に測定された強度に基づいて、各眼球の光軸の角度位置を先ず決定する。計算ユニットは、また、同じ瞬間的な時点について決定された両眼の光軸の各角度位置に基づいて、メガネ装着者の眼球の輻輳を決定するようにも適合されている。ただし、計算ユニットの2つの連続するステップにおけるそのような動作は不可欠ではない。メガネ装着者の眼球の輻輳(場合によっては方向D0の角度位置および観察距離Dとともに)が、縁部Lの対応する右および左側部分が動き回る両眼の横領域内で反射した照射線の一部について同時に測定される強度の適切な組み合わせ(複数可)に基づいて単一のステップで推定されてもよい。
各レンズは、また、照射線経路の少なくとも2つの対を決定するように構成されており、これらの経路は横領域内のメガネ装着者の眼球上の反射を含んでおり、その横領域は、同じ第1の対の経路については同じ第1の仰角α1に、また同じ第2の対の経路については同じ第2の仰角α2に位置している。図2a〜2dは、他方の経路の照射受光対から隔てられている照射受光対によって各経路が決定される場合の、そのような改良された実施形態を例示している。出力部10は入力部11とともに、出力部12は入力部13とともに、仰角の値α1に位置している照射線経路の第1の対を決定する。同様に、出力部20は入力部21とともに、出力部22は入力部23とともに、仰角の値α2に位置している照射線経路の第2の対を決定する。照射受光対20/21は補助的光路を決定し、この光路は、領域ZD1の下の仰角α2で眼球の右横領域ZD2に位置している眼球100上の反射点を含んでいる。同様に、照射受光対22/23は別の補助的光路を決定し、この光路は、領域ZG1の下の仰角α2で眼球の左横領域ZG2に位置している眼球100上の反射点を含んでいる。この場合、照射線経路の2つの対に関連付けられている眼域の仰角は、その絶対値で10°〜45°の間の差を有するものとしてよい。これらの仰角の値のうちの1つ、例えばα1は、メガネ装着者の眼球レベルに実質的に置かれている物体を見ることに対応することができる。他方の仰角の値α2は、メガネ装着者の視野の下側部分に置かれている物体を見ることに対応するものとしてよい。計算ユニットは、また、メガネ装着者の眼球の輻輳を特性決定するために眼域仰角の値のうちの1つを選択するように適合されてもよい。このような選択は、特に、測定される強度のうちの少なくとも幾つかに対する信号対雑音比の値に応じて行うことができる。このような方式においては、メガネ装着者の瞼を下げることによって遮蔽可能な照射線経路はメガネ装着者の眼球の輻輳を決定する際に考慮されない。
図3は、本発明の改良を例示しており、ここでは、これらの仰角の値のうちの1つに対応する照射受光対が、他方の仰角の値に対応する照射受光対に対して横方向にオフセットしている。仰角α2の眼球上の反射を定める照射受光対20/21、22/23は、仰角α1で眼球上の反射を定める照射受光対10/11、12/13に対して距離eだけ鼻側の方へオフセットしている。レンズ1、2が一般にプログレッシブレンズと称される屈折力が漸進的に加わるレンズの場合、仰角の値α1およびα2は、近見および遠見の方向に対して各レンズにおける仰角にそれぞれ対応することができる。オフセットeは、近見の状態と遠見の状態との間の眼球の可変輻輳から結果として生じ、インセットと一般に称される、オフセットに実質的に等しいものであってもよい。この場合、オフセットeは4mm〜6.5mmの間とすることができる。より一般的にはこれは0mm〜7mmの間とすることができる。
本発明の第1種類の実施形態では、各照射線源は、900nm〜1200nmの間の波長で動作する発光ダイオードとすることができる。この場合、それぞれの照射線出力部は、このダイオードの発光面の一部に対応する。あるいは、それぞれの照射線源は、VCSEL(垂直共振面発光レーザー)源とすることができる。
並行して、各検出器は、フォトダイオードまたはフォトトランジスタとすることができる。次いで、それぞれの照射線入力部は、フォトダイオードまたはフォトトランジスタの表面の感光部分に対応する。
特に有利な組み合わせでは、それぞれの照射線源およびそれぞれの検出器は、それぞれのレンズ内に一体化された、半導体材料に基づくマイクロオプトエレクトロニクス部品である。この方式では、それぞれのレンズは、非常に安い可能性がある生産およびフレーム組み付けコストで本発明を実装するように適合された独立の要素である。この場合、それぞれのレンズは、各照射線源の端子と各検出器の端子とを電気的に接続する透明導電性ストリップをさらに備えている。これらのストリップは、照射線源および検出器をメガネレンズの外部に存在しうる計算ユニットに接続する。好ましくは、導電性ストリップは、レンズの周辺部内に放射状に構成される。ストリップのこのような構成により、レンズをフレーム3のリムの形状に合わせてトリミングすることができ、トリミングされたエッジのところに導電性ストリップのそれぞれが現れる場所を容易に識別できる。例えば、導電性ストリップは、レンズの周辺部内の分離している角度セクタを占有する。図4a、図4bに示されているように、各レンズ1、2は、基部50および封入部51を備えることができ、これらは一体に取り付けられ、基部50と封入部51の間に、各照射線源、検出器、および導電性ストリップを配置することができる。例えば、ストリップ40は、レンズのすべての照射線源および検出器によって共有されるグランド端子を構成してもよく、ストリップ41〜48は、それぞれ、各照射線源10、12、20、22の別の端子および各検出器11、13、21、23の別の端子を接続する。これらのストリップ、照射線源、および検出器は、基部50上に形成され、封入部51への機械的結合を固定する接着剤52の透明層内にコーティングされうる。照射線源および検出器は、メガネ装着者の視覚に干渉しないように、また見えないように、非常に小さな寸法にすることが有利である。さらに、ストリップ40〜48は、透明で、かつ導電性の、スズドープ酸化インジウムまたはITO(インジウムスズ酸化物)などの、任意の材料からなるものとしてよい。あるいは、それぞれのストリップ40〜48は、レンズの周辺部内に放射状に構成された、非常に細い導線で置き換えることもできる。図4aにおいて、Cは例として示されているトリム線を表している。トリム線Cは、放射状構成部分内のストリップ40〜48のそれぞれを切り開いている。
本発明の第2種類の実施形態では、対応するレンズの外部に各照射線源を配置することができ、第1の光学ガイド(例えば光ファイバー)によって出力部のうちの1つに光学的に結合することができる。同様に、各照射線検出器もそれらのレンズの外部に配置することができ、また第1の光学ガイドのうちの1つから分離されているかまたは組み合わせることが可能な第2の光学ガイドによって、照射線入力部のうちの1つに光学的に結合することができる。具体的なレンズ製造方法では、第1または第2の光学ガイドのそれぞれを、レンズを形成する材料が金型内に導入される前に射出成形金型に入れることによって成形時にレンズ内に組み込むことができる。それぞれの照射線出力または入力部がレンズに一体化されたマイクロプリズムを有することが可能であり、このマイクロプリズムは照射線が眼球の横領域に向かって照射される方向、または照射線の反射された部分が集光される方向を決定する。言い換えると、それぞれの照射線出力または入力部は、光学ガイドの端部に位置しているマイクロプリズムの面によって形成されるということである。図5では、符号50〜53および符号60〜63が、出力部、入力部10〜13、20〜23をそれぞれ接続する光ファイバを表している。導電性ストリップに関する上と同じ理由から、光ファイバ50〜53、60〜63は、好ましくはレンズ2内に放射状に構成され、したがってトリム線Cにおける位置は容易に決定される。
本発明の第3種類の実施形態では、メガネは、さらに、それぞれのレンズに対する光学ガイドを備え、これはこのレンズの外部に眼球の一部の像を形成されうる。図6では、符号70はそのような光学ガイドを表しており、その実施形態は当業者に知られているでであろうから本明細書では説明しない。有利な構成において、レンズの使い勝手と見栄えが低下するのを避けるため、光学ガイド70は、フレーム3のアームのところの、レンズの側頭側エッジからレンズ1を貫通している。また光学ガイドは、レンズの外部の照射線源から照射線を発して眼球の像を検出するのに十分な光量をもたらすことも可能である。次いで、光学ガイド70の少なくとも4つのゾーン(照射線出力部を形成する)を通じて、照射線源から照射線を送出する。有利には、眼球に面した位置にある光学ガイド70の活性面は出力部どうしの間で連続的である。次いで、検出器を、眼球の強膜と虹彩の間の境界の右および左側部分が眼球運動時に動き回る、光学ガイドによって撮像される、眼球の像の領域内に分布する。
図7a〜図7dは、本発明のレンズの別の実施形態を例示しており、眼球の横領域ZD1、ZD2、ZG1、ZG2の各反射点を含む幾つかの光路は、同じ照射線入力部を共有している。これらの図では、符号30、32はレンズ内の同じ第1の仰角に位置している照射線出力部を表し、符号40、42はレンズ内の同じ第2の仰角に位置している照射線出力部を表し、符号31はこれら4つの出力部に共通の入力部を表す。第1の照射線経路は、出力部30から出て、縁部Lの右上側部分が動き回る横眼域ZD1内の反射を含み、入力部31に到達する。第2の照射線経路は、出力部32から出て、縁部Lの左上側部分が動き回る横眼域ZG1内の反射を含み、入力部31に到達する。同様に、第3の照射線経路は、出力部40から出て、縁部Lの右下側部分が動き回る横眼域ZD2内の反射を含み、入力部31に到達する。最後に、第4の照射線経路は、出力部42から出て、縁部Lの左下側部分が動き回る横眼域ZG2内の反射を含み、入力部31に到達する。この場合、各出力部30、32、40、42には4つの別々の時間変調における照射線が供給されてもよく、入力部31に光学的に接続されている検出器は同期検出を実行するように制御される。このような同期検出により、眼域のうちの1つを通る4つの経路のうちの1つを辿る照射線の一部を分離することができ、これら4つの経路は同じ入力部および同じ検出器を共有する。代わりに、他の手段を、これらの経路のうちの1つを辿る照射線の一部を分離するために使用することができる。例えば、異なる照射線波長または偏光をこれらの各経路に使用でき、共通入力部によって集光された各眼域からの照射線の一部を分離するためにフィルター処理を施す。
図7c、図7dは、4つの照射線経路の反射を含む横眼域に対する眼球100の縁部Lの異なる位置を示している。これらの4つの経路のうちの1つを辿る照射線の反射部分の強度は、図2c、図2dについて上で説明されているのと同様にして変化する。
本発明のレンズのさらに別の実施形態では、眼球の横領域内の各反射点を含む幾つかの経路は、同じ照射線出力部を共有し、場合によっては同じ照射線源を有することができる。次いで、これらは、異なっている照射線入力部に到達する。このような実施形態は、上記から簡単に推定されうるため説明しない。
上述の最後2つの実施形態は、したがって、備えている部品数が少ないためメガネレンズの生産を簡素化する。
最後に、図8は、図2a〜図2dにおける実施形態から推定される本発明のさらに別の実施形態を例示している。これら2つの照射線出力部および2つの照射線入力部は、それぞれのメガネレンズの右側部分と左側部分とにおいて、出力部の各列および入力部の各列で置き換えられる。そのため、レンズ1の右側部分は、nを2より大きい自然数とする出力部101、...、10nの列と、入力部111、...、11nの列を含んでいる。これら2つの列は、メガネ装着者に対するレンズ1の利用位置に相対的に垂直であり、平行であり、好ましくは互いに近く、出力部および入力部は同一の仰角減分でレンズの底部に向かって徐々にオフセットしている。ただし、間隔を置いて対を組むことができるように、同じ列内のセクションが連続している必要はない。レンズ1の左側部分は、同じレンズ1の右側部分におけるものと類似しているものであってもよい出力部121、...、12nの列および入力部131、...、13nの列を含んでいる。レンズ2は、レンズ1の構造と対称的な構造を有する。出力部または入力部のこれらの列は、例えば赤外線発光ダイオードなどの照射線源の列によって、または例えばフォトダイオードもしくはフォトトランジスタなどの検出器の列によって直接的に形成することが可能である。
そのような照射線源の列または検出器の列の使用は、あまり電力を使用する必要なく、メガネ装着者の眼球の輻輳を特性決定するのに特に有利である。また、照射線源、検出器、および計算ユニットに電力を供給するエネルギー源は容量を減らしたものであってもよい。実際、同じ眼域の仰角で眼球上の反射を有する照射線経路に対応する照射線源および検出器を、以下の方策のうちの1つの方策にしたがって選択することができ、他の照射線源および検出器は作動されない。
(i)照射線源および検出器を、所定のスキャン順序で、順次作動させることができる。
(ii)眼球から反射した照射線の強度を測定する新しい順序に対して作動される照射線源および検出器を、前の測定順序で得られた信号対雑音比の少なくとも1つの値に応じて選択することができる。
(iii)これらは、前の特性決定においてすでに選択されている仰角に応じて、メガネ装着者の注視の輻輳を再特性決定するのに最も好適な眼球からの反射の仰角に関する予測アルゴリズムに応じて選択することができる。この方策では、注視方向のすでに決定されている仰角を考慮することができ、
(iv)上記の方策(i)から(iii)の選択基準を組み合わせた複合方策。
(ii)眼球から反射した照射線の強度を測定する新しい順序に対して作動される照射線源および検出器を、前の測定順序で得られた信号対雑音比の少なくとも1つの値に応じて選択することができる。
(iii)これらは、前の特性決定においてすでに選択されている仰角に応じて、メガネ装着者の注視の輻輳を再特性決定するのに最も好適な眼球からの反射の仰角に関する予測アルゴリズムに応じて選択することができる。この方策では、注視方向のすでに決定されている仰角を考慮することができ、
(iv)上記の方策(i)から(iii)の選択基準を組み合わせた複合方策。
これらの方策は、メガネ装着者の瞼の運動が本発明によるメガネ装着者の注視の輻輳の特性決定に干渉することを防ぐのに特に適している。
当業者であれば、本発明が図に関して説明されている特定の実施形態に限定されないことを理解するであろう。特に、リストに挙げられている本発明の異なる種類の実施形態を、さまざまな方式で、照射線経路に対する異なる位置およびルートと組み合わせることができ、これらの経路は縁部の右および左側部分が動き回る眼球の横領域内の各反射点を含む。さらに、それぞれのレンズ内の照射線出力および入力部の位置は、眼球の可変領域内に配置されている反射点を含む照射線経路を形成するように、自由に修正することができる。照射線がレンズを通る同じセクションが、照射線出力部であると同時に照射線入力部であることも可能である。この場合、このセクションは、対応する眼域内の眼球の表面に垂直な方向に実質的に位置している。
特に、同じ照射受光対の一部である出力部および入力部が互いに隣接している一実施形態では、出力部および入力部の相対的位置は、眼球上の同じ場所のままになる対応の照射線経路の反射点を維持しつつ修正することができる。特に、出力部および入力部の位置は入れ換えることができる。
次いで、眼球の輻輳の決定の信頼性を高め、および/またはメガネを装着している人の快適さおよび/または安全性を改良する、本発明のさまざまな改良について説明する。
これらの改良のうちの第1のものでは、メガネは、さらに、それぞれの照射線源によって発生する照射線を変調する手段と、それぞれの検出器によって発生する検出信号を処理する手段とを備えることができる。これらの手段は、照射線源の変調に基づいて、メガネ装着者の眼球から反射される照射線のそれぞれの部分の同期検出を実行するように適合されている。特に、そのような同期検出を用いることで、本発明で発生させる照射線と、背後環境の照射線とを区別することができる。特に、変調は、同期検出によって50Hz(ヘルツ)の倍数である周波数の周囲照射線の寄与分が効果的に排除されるように選択することができる。このような寄与分は、放電照明システムによって一般にもたらされる。
第2の改良では、メガネは、それぞれの検出器が発生する測定信号をフィルター処理する手段をさらに備えることができる。この手段は、メガネ装着者の眼球の輻輳の不随意変動に対応する測定を削除するように適合されうる。メガネ装着者の眼球の輻輳の不随意変動は、一般的に、メガネ装着者が連続的に注目する物体の間の自発的変化の結果生じる変動に比べてかなり速い。この方法では、メガネ装着者の眼球の輻輳の決定は、メガネ装着者が認識する視覚的注意の変化に制限されうる。そのため、本発明が、レンズの可変特性を制御するために使用される場合、この特性は、メガネ装着者の視覚的注意に関して有用である測定においてのみ修正される。
最後に、第3の改良では、メガネは、2%〜50%の間、好ましくは10%未満のデューティサイクルによりこの照射線源の間欠的動作を作動させるように適合された各照射線源を制御する手段を備えることもできる。このデューティサイクルの値は、眼球に向けて照射される照射線の量の制限および本発明のメガネレンズによって消費される電力の制限を含む、幾つかの異なる基準に基づいて選択されうる。実際、このようなレンズは、好ましくは、フレーム内に収納された電池から電力の供給を受ける。また、照射線源は、固定された期間で隔てられたメガネ装着者の眼球の輻輳の2つの連続する決定を実行するように作動させることができる。このような待機期間は、一般的に、照射線源の動作のデューティサイクルと無関係である。特に、これは、検出器が発生する測定信号から眼球の輻輳を決定するために計算ユニットに必要な時間に応じて決定されうる。
Claims (17)
- フレーム(3)と、2つのレンズ(1、2)であってメガネ装着者の各眼球(100、200)の前に位置するように前記フレームに保持されてそれにより各レンズを通じてメガネ装着者に2つの別々の視覚をもたらす2つのレンズ(1、2)と、を備える眼科用メガネであって、
各レンズが、
−照射線源であって、その照射線は装着者の各眼球の強膜(S)と虹彩(I)との相違する反射強度係数にしたがって当該強膜(S)と虹彩(I)とで反射するように選択されている、少なくとも1つの照射線源と、
−前記照射線源で発生した照射線の一部の強度のそれぞれを測定するように構成された検出器であって、該照射線の一部は、前記レンズの後方に位置する眼球の強膜および虹彩の間の境界(L)の右側部分または左側部分が眼球運動時に動き回る眼域(ZD1、ZG1、ZD2、ZG2)でそれぞれ反射されるものである、少なくとも1つの検出器と、
−前記レンズ内に配置された照射線出力部もしくは入力部であって、各出力部(10、12、20、22)は前記照射線源で発生した前記照射線の一部を前記眼域の少なくとも1つに向けて照射するように構成され、各入力部(11、13、21、23)は前記眼域の1つで反射された前記照射線の一部を集光するように構成されている、少なくとも4つの照射線出力部もしくは入力部と、
を備え、
眼球の強膜と虹彩の間にある境界の右側部分または左側部分が動き回る前記眼域のうち1つにおいて各経路がレンズの後方に位置するメガネ装着者の眼球上の反射を含む、4つの照射線経路が形成され、
前記眼科用メガネが、さらに、
前記少なくとも1つの照射線源と前記少なくとも1つの検出器との間で送られる照射線の一部を別々の各照射線経路によって分離する手段と、
前記2つのレンズについて同時に測定される強度の関数として、共通の観察点(C)でのメガネ装着者の眼球の輻輳を特性決定するように適合された計算ユニットと、
を備え、
各レンズ(1、2)に関して、
前記少なくとも1つの照射線源、
前記少なくとも1つの検出器、および、
前記少なくとも4つの照射線出力部(10、12、20、22)もしくは入力部(11、13、21、23)は、
明確に区別可能な照射線の経路の対を少なくとも2つの形成するように構成されており、第1の照射線出力部(10、12)の2つが同一の第1の仰角(α1)で各レンズ内に構成されるとともに、第2の照射線出力部(20、22)の2つは前記第1の仰角と異なる第2の仰角(α2)で各レンズ内に構成され、
これにより、各対の各経路関してレンズの後方に位置するメガネ装着者の眼球の強膜と虹彩の間の境界(L)の右側部分および左側部分の前記眼域(ZD1、ZG1、ZD2、ZG2)が、同一の眼域仰角(α1、α2)であって前記対に関連付けられた眼域仰角(α1、α2)に位置し、また、2つの前記経路の対が、区別可能で前記2つのレンズに共通な仰角に関連付けられ、
前記計算ユニットは、前記2つのレンズについて、前記計算ユニットによって選択されるとともに同じ眼域仰角に関連付けられた各経路で送られた照射線の一部について同時に測定した強度の関数としてメガネ装着者の眼球の輻輳を特性決定するように適合されている、眼科用メガネ。 - 前記計算ユニットが、
測定された前記強度のうちの少なくとも幾つかの信号対雑音比の値の関数としてメガネ装着者の眼球の輻輳を特性決定するために、前記眼域(ZD1、ZG1、ZD2、ZG2)の前記仰角(α1、α2)のうちの1つを選択するように適合されている、請求項1に記載のメガネ。 - 前記計算ユニットは、
眼球の前に位置している前記レンズ(1、2)に関して、および眼球の強膜と虹彩の間の境界(L)の右および左側部分が動き回る前記眼域(ZD1、ZG1、ZD2、ZG2)の幾つかで反射した照射線の一部に関して、同時に測定された強度から、先ず、各眼球(100、200)の光軸(D1、D2)の角度位置を決定するように適合され、
次いで、同じ瞬間的な時点について決定された両眼の光軸の各角度位置に基づいて、メガネ装着者の眼球の輻輳を決定するようにさらに適合されている、請求項1または2に記載のメガネ。 - 各レンズに関し、照射線入力部(11、13、21、23)と同数の照射線出力部(10、12、20、22)を有しており、
各出力部は、前記レンズにおいて、前記入力部のうちの1つに隣接して別々の照射線照射受光対を形成しており、
各照射受光対は、レンズの後方に位置するメガネ装着者の眼球の強膜(S)と虹彩(I)の間の境界(L)の右および左側部分のうちの一方が眼球運動時に動き回る前記眼域(ZD1、ZG1、ZD2、ZG2)のうち1つの前に配置される、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のメガネ。 - 各レンズ(1、2)に関し、前記照射線出力部が、レンズの右および左側部分にそれぞれ位置している2つの列の形態で構成されており、
レンズの右側部分に位置している前記列の各出力部(101、...、10n)は、眼球の強膜(S)と虹彩(I)の間の境界(L)の右側部分が動き回る前記眼域内でメガネ装着者の眼球(100)上の反射を含む照射線経路に属しており、
レンズの左側部分に位置している前記列の各出力部(121、...、12n)は、前記眼球の前記強膜と前記虹彩との間の前記境界の前記左側部分が動き回る前記眼域内でメガネ装着者の眼球上の反射を含む照射線経路に属している、請求項1〜4のいずれか一項に記載のメガネ。 - 前記少なくとも1つの照射線源、出力部、少なくとも1つの入力部、および、レンズのうちの少なくとも1つに関連付けられている前記少なくとも1つの検出器は、
少なくとも2つの異なる照射線経路が、異なる出力部(30、32、40、42)を横断して各経路に共通の同一の入力部(31)に到達するように構成され、
照射線経路の関数として照射線の一部を分離する前記手段は、前記異なる経路で送られる照射線に適用される異なる変調にしたがって前記少なくとも1つの検出器によって行われる前記測定を同期するように適合されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のメガネ。 - 各照射線源および各検出器が、対応のレンズ内に一体化された、半導体材料に基づくマイクロオプトエレクトロニクス部品であり、
前記レンズは、さらに、各検出器および各照射線源の端子を前記計算ユニットに電気的に接続する、該レンズの周辺部内に放射状に構成された透明導電性ストリップ(40〜48)を有している、請求項1〜6のいずれか一項に記載のメガネ。 - 各照射線源は、対応のレンズの外部に配置され、第1の光学ガイド(50、52、60、62)によって前記出力部(10、12、20、22)の1つに光学的に結合され、
各検出器は、対応のレンズの外部に配置され、第2の光学ガイド(51、53、61、63)によって前記入力部(11、13、21、23)の1つに光学的に結合される、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のメガネ。 - さらに、
各レンズ(1、2)用に、眼球(100、200)の一部の像をレンズの外部に形成する光学ガイド(70)を備え、
前記検出器は、眼球の強膜(S)と虹彩(I)の間の境界(L)の撮像された右および左側部分が眼球運動時に動き回る撮像領域内に分布されている、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のメガネ。 - さらに、
前記計算ユニットによって特性決定されるメガネ装着者の眼球の前記輻輳の結果に応じて前記レンズのうちの少なくとも1つの特性を変化させる手段を備えている、
請求項1〜9のいずれか一項に記載のメガネ。 - メガネのレンズ(1、2)であって、
−各レンズ内に一体化された照射線源(10、12、20、22)であって、装着者の各眼球の強膜(S)と虹彩(I)の相違する反射強度係数にしたがって、そのレンズのメガネ装着者の眼球(100、200)の強膜(S)または虹彩(I)で反射するようにその照射線が選択されている、少なくとも1つの照射線源(10、12、20、22)と、
−照射線検出器(11、13、21、23)であって、各検出器はレンズ内に一体化されるとともに、前記照射線源のうちの1つで発生し、眼球の強膜と虹彩の間の境界(L)の右または左側部分が眼球運動時に動き回る眼域(ZD1、ZG1、ZD2、ZG2)内で前記眼球で反射する前記照射線の一部の強度を測定するように構成されている、少なくとも1つの検出器(11、13、21、23)と、
−各検出器および各照射線源の端子を電気的に接続する、前記レンズの周辺部内に放射状に構成された、前記レンズと一体化された透明導電性ストリップ(40〜48)と、
−前記レンズ内に構成された照射線出力もしくは入力部であって、各出力部(10、12、20、22)は前記照射線源で発生した照射線の一部を前記眼域のうちの少なくとも1つに向けて照射するように構成され、各入力部(11、13、21、23)は前記眼域のうちの1つで反射された照射線の一部を集光するように構成されている、少なくとも4つの照射線出力部もしくは入力部と、
を備え、
レンズの後方に位置するメガネ装着者の眼球上の反射をそれぞれ含む少なくとも2つの照射線経路が、眼球の強膜および虹彩の間の前記境界の、それぞれ前記経路に対する、右および左側部分が動き回る眼域のうちの1つに形成され、
2つの第1の照射線出力部(10、12)が同じ第1の仰角(α1)でレンズ内に構成され、
2つの第2の照射線出力部(20、22)が前記第1の仰角と異なる同じ第2の仰角(α2)で前記レンズに構成されている、
メガネレンズ(1、2)。 - 検出器(11、13、21、23)と同数の照射線源(10、12、20、22)を備え、
各照射線源は、前記レンズにおいて、前記検出器のうちの1つに隣接して別々の照射線照射受光対を形成し、
各照射受光対は、メガネ装着者の眼球の強膜(S)と虹彩(I)の間の境界(L)の右および左側部分のうちの1つが眼球運動時に動き回る前記眼域(ZD1、ZG1、ZD2、ZG2)のうちの1つの前に構成される、
請求項11に記載のメガネレンズ。 - 前記照射線源は、レンズの右および左側部分にそれぞれ位置している2つの列の形態で構成され、
レンズ(1)の右側部分に位置している前記列の各照射線源(101、...、10n)は、眼球の強膜(S)と虹彩(I)の間の境界(L)の右側部分が動き回る前記眼域内で、メガネ装着者の眼球(100)上の反射を含む照射線経路に属し、
レンズの左側部分に位置している前記列の各照射線源(121、...、12n)は、眼球の強膜および虹彩の間の前記境界の左側部分が動き回る前記眼域内で、メガネ装着者の眼球上の反射を含む照射線経路に属している、
請求項11または12に記載のメガネレンズ。 - 各照射線源(10、12、20、22)は900nm〜1200nmの間の波長で動作する発光ダイオードである、請求項11〜13のいずれか一項に記載のメガネレンズ。
- 各検出器(11、13、21、23)は、フォトダイオードまたはフォトトランジスタである、請求項11〜14のいずれか一項に記載のメガネレンズ。
- さらに、レンズの基部(50)およびレンズの封入部(51)を備え、前記基部および封入部は一体として取り付けられ、
レンズの各照射線源(10、12、20、22)、各検出器(11、13、21、23)、および各導電性ストリップ(40〜48)が、前記基部と封入部との間に構成されている、請求項11〜15のいずれか一項に記載のメガネレンズ。 - さらに、前記レンズの特性を変化させる手段を備えている、請求項11〜16のいずれか一項に記載のメガネレンズ。
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