JP5426607B2 - 原油回収増進法のための中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物 - Google Patents

原油回収増進法のための中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物 Download PDF

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Description

本発明は、原油回収増進法のための中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物に関するものである。また、本発明は、地下油層からの原油の回収を増進させる方法であって、本発明の中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物を用いる方法にも関する。中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物は水性媒体中で用いられる。この方法では任意に、好適な補助界面活性剤、例えばアルコール、アルコールエーテル、ポリアルキレングリコールおよび/またはポリ(オキシアルキレン)グリコールおよびポリ(オキシアルキレン)グリコールエーテルも用いる。
地下油層の油からの原油生産は、「一次回収」法で利用する自然力が枯渇してくるにつれて各種の圧入法の使用を伴うことになる。「二次」又は「三次」回収法で、おそらくは大部分の原油を地下層から押し出さなければならない。さらに、油層によっては一次回収法であっても原油生産に充分な自然力が無いことがある。そのような攻法を使用する原油の生産は、原油回収増進法の一つの例である。
今日の石油産業における一つの動向は、プロジェクトの開始時点で油田開発の計画を立てることにある。一次回収法で油田が完全に枯渇するずっと前に、早くから置換流体又はガスの圧入を開始することがある。二次及び三次回収状況でというよりはむしろ、置換流体又はガスの最初の圧入の開始当初から、置換効率または掃攻効率を高める方法を使用することがある。
原油の生産のために地下油層に圧入する最も費用がかからなくて最も簡便な方法は、油井に液体または気体を圧入して強引に原油を地表に押し上げることである。水圧入は最も広く使用されている流体である。しかし、水と油の非混和性および/または二つの液体間の高い界面張力のために、水では簡単には油を置換しない。
化学薬剤を添加して圧入液の性状を改良することは当該分野ではよく知られている。界面活性剤は、原油回収増進のために水性媒体に使用されている化学薬剤化合物の一部類である。界面活性剤が油と水間の界面張力を有効に下げて、油滴が油層の溝をもっと容易に流れることができるようにすることが分かっている。
原油回収増進のための界面活性剤として、アルキルアリールスルホネートが使用されている。それらは単独で、あるいは補助界面活性剤および/または犠牲剤と共に使用されている。アルキルアリールスルホネートは、油と水間の界面張力を下げることができるためだけではなく、様々な量の塩化ナトリウムと共に使用されたときに種々の相の挙動を示すことからも、一般に使用されている。低い塩分ではアルキルアリールスルホネートは水性相に留まる傾向があるが、高い塩分では油相に留まる傾向にある。中点の塩分付近では、マイクロエマルジョンが形成されてかなりの量の油と塩水がマイクロエマルジョン相に存在する。界面活性剤が高い原油回収ポテンシャルを示すのは、この中点塩分においてである。地下の炭化水素油層中の水の塩分はかなり異なり、例えばインドネシアのミナス油田の全溶解塩は0.2から0.3質量%の間である。別の油層では塩分は、2.0%程度又はそれ以上の塩化ナトリウムや0.5%を越える塩化カルシウムと塩化マグネシウムである。油層水の塩分に匹敵するアルキルアリールスルホネートを含む塩水溶液中で、油層油の界面張力を測定することにより、特定の油層について原油回収増進のための界面活性剤攻法用にアルキルアリールスルホネートを最適化することが望ましい。
一般に、高純度のアルキルアリールスルホネート、すなわち狭い分子量範囲を持つものは軽質原油の回収に有用である。そのようなアルキルアリールスルホネートは、高いろう分を含む原油の増進回収にはあまり有用でない。アルキル基の炭素鎖長の幅広いスペクトルを示すアルキルアリールスルホネートの方が、含ろう原油の回収に使用するには望ましい。
界面活性剤攻法を使用する原油回収増進方法が、多数の特許および特許出願に記述されている。界面活性剤の使用に加えて、原油回収増進に補助界面活性剤および補助剤を使用することを論じる特許および特許出願も数多くある。
特許文献1には、従来のアルキル−オルト−キシレンスルホネート化合物が制限されている塩分よりも比較的高い塩分を有する油層から原油を離す方法に、アルキルメタ及びパラ−キシレンから誘導されたアルキルキシレンスルホネート化合物を使用することが開示されている。
特許文献2には、C12−C22線状アルファ−オレフィンと、アリール基がベンゼン、トルエンまたはキシレンであるアルキルアリールスルホネートとのブレンドを、15乃至35質量%含む水溶液からなるオレフィンスルホネート組成物が開示されている。この組成物は原油回収増進のための気泡押し法に使用される。
特許文献3には、原油回収増進のための水蒸気回収法にポリアルキル芳香族スルホネート、特にはジアルキル芳香族スルホネートを使用することが開示されている。メタ−異性体に対するパラ−異性体の比を高めることによって、水蒸気回収操作条件下で加水分解及び熱安定度の著しく高い界面活性剤が得られる。
特許文献4には、原油回収増進にアルキルキシレンスルホネートとグリコールを使用することが開示されている。炭素原子8〜30個を含むアルキル基がその2位乃至その中央位置で芳香環に結合している。グリコールは補助剤として使用されている。
特許文献5には、基本的に炭化水素、水性媒体、界面活性剤および補助界面活性剤からなる原油の回収に使用されるミセルスラッグが開示されている。界面活性剤は基本成分として、炭素原子数10〜26の内部オレフィンスルホネートと少なくとも一種のエトキシレートを含んでいる。ミセルスラッグは、塩分許容度および耐硬水性が向上して、低い界面張力と優れた安定度を持つマイクロエマルジョンを形成することができる。
特許文献6には、油圧破壊操作に、石油及び合成のスルホネートなど油溶性のアニオン界面活性剤または清浄剤を使用することが開示されている。合成スルホネートは、高分子量スルホン酸のアルカリ土類金属塩であり、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびナフタレンなどの芳香族を用いて製造される。スルホネートの分子量は300から約750の間の範囲にある。
特許文献7には、原油回収増進法で界面活性剤攻法に先立って、補助剤としてポリアルキレンオキシドを使用することが開示されている。ポリアルキレンオキシドの分子量は少なくとも1200である。界面活性剤圧入は、ポリアルキレンオキシドよりも低い分子量を示す界面活性剤を含む水性スラッグである。また、補助剤を界面活性剤攻法と一緒に使用することもできるが、その濃度は補助剤として使用する場合よりも低い。
特許文献8には、補助剤、多塩基性カルボン酸またはその水溶性塩を、界面活性剤、ポリマーおよび/またはミセル分散物などのケミカル原油回収剤と混ぜ合わせて使用して、界面活性剤および/またはポリマーの油層岩への吸着を低減することが開示されている。
特許文献9には、特定の部類のアルキルアリールスルホネート界面活性剤を使用する原油回収法が開示されている。界面活性剤は、基本的にベンゼン、トルエン、キシレン、および2位炭素結合に有利な線状アルファ−オレフィンでアルキル化された少量のアルキルベンゼンからなる抽出芳香族供給原料から誘導される。スルホネートは油可溶化パラメータが高く、その相挙動は120°F−250°Fにわたって温度と実質的に無関係である。
特許文献10には、原油回収増進法用の界面活性剤系に、補助界面活性剤として炭素原子数が最大14のスルホキシドを使用することが開示されている。好ましい界面活性剤は、平均当量が約325乃至500の範囲にある石油スルホネートである。
特許文献11には、ケミカル攻法で、分子量が100から1200の間にあるポリアルキレングリコール又はその共重合体を使用することが開示されている。使用されるポリアルキレングリコールの濃度は0.01−0.5質量%である。好ましいポリアルキレングリコールはポリエチレン及びポリプロピレングリコールである。
特許文献12には、界面活性剤攻法または予備フラッシングに、ポリアルキレングリコール又はその共重合体を使用することが開示されている。分子量が800乃至約1100のポリエチレングリコールを使用することが好ましい。使用される濃度は地下層にも依るが、例えば1−100キログラム/立方メートルである。
特許文献13には、中和過程でまたは中和後に塩化ナトリウムを添加して、低粘度のアルキルトルエン又はアルキルキシレンスルホネート水溶液を製造する方法が開示されている。そのような低粘度のスルホネートは、原油回収増進法で界面活性剤として有用である。キシレンが用いられる場合には、オルト、メタおよびパラ三種の異性体の混合物が好ましい。
特許文献14には、アルキルアリールスルホン酸と造塩塩基を結合させ、そして中和反応で発生する熱を利用して反応混合物に存在する水を追い出すことにより、高活性アルキルアリールスルホネートを製造する低水省エネルギー中和方法が開示されている。得られたさらさらのアルキルアリールスルホネート粉末は有効成分が少なくとも90%である。水に溶解したときに粉末生成物のpHは約4.6乃至約11.5であり、通常は約7又は約8である。
特許文献15には、アルキルキシレンスルホネートの実質部分が、スルホネート部とは正反対に位置するC6−C20置換基を持つようなアルキルキシレンスルホネートを含む組
成物が開示されている。そのような組成物は、パラ−キシレンまたは実質的にパラ−キシレンからなる異性体混合物から誘導される。これらのアルキルキシレンスルホネートは、界面活性剤として、特に原油回収増進技術で有用である。
特許文献16には、一種以上のアルキルトルエンスルホネートの塩水溶液を用いる原油回収増進法が開示されている。改良点は、アルキルトルエンスルホネートの溶解度を高めるために、該溶液に一種以上のアルキルポリサッカライド界面活性剤を加えることからなる。組成物は、アルキルトルエンスルホネートのカルシウム及びナトリウムイオン許容度を増大させる。
特許文献17には、界面張力が極めて低い改良アルカリ界面活性剤攻法が開示されている。界面活性剤系は、(1)陰イオン界面活性剤の混合物、(2)溶媒(群)、(3)強塩基、および(4)任意に、非イオン界面活性剤または非イオン界面活性剤の混合物また
はこれら非イオン界面活性剤の硫酸塩又はカルボン酸塩を含んでいる。陰イオン界面活性剤は、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、アルキルトルエンまたはアルキルキシレンから誘導されたスルホネートである。アルキル基は約C4から約C24の間にある。
特許文献18には、新規な陰イオン界面活性剤、および芳香族炭化水素を同時にスルホン化およびアルキル化することによるその製造方法が開示されている。一段製造法は、アルファ−オレフィンをSO3でスルホン化した後、アルケンスルホン酸の生成で生じる水
を用いて加水分解と脱水を繰り返すことを含んでいる。次いで、この強酸を用いて芳香族化合物をアルキル化する。最終生成物を有用な収率で得るには追加の強酸触媒が有益である。
特許文献19には、偶数炭素数が12〜58の範囲の広い分布を持つアルファ−オレフィン流から誘導された特定の部類のアルキルアリールスルホネートを使用する原油回収法が開示されている。アルキルアリールスルホネートを製造するのに使用される芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはそれらの混合物であってよい。この界面活性剤は含ろう原油との界面張力が極めて低い。
特許文献20には、原油回収増進法のための油と水性液間の界面張力を下げる界面活性剤混合物が開示されている。この混合物は、少なくとも一種の合成ポリイソブチレンと、スルホネート界面活性剤、アルコールおよび非イオン界面活性剤からなる少なくとも一種の界面活性剤とを含んでいる。
原油回収増進に関する総括的な専門書としては非特許文献1がある。
欧州特許第EP0111354B1号明細書 欧州特許第EP0148517B1号明細書 欧州特許第EP0158486B1号明細書 欧州特許第EP0413374B1号明細書 英国特許第GB2138866A号明細書 米国特許第3601198号明細書 米国特許第4005749号明細書 米国特許第4217958号明細書 米国特許第4452708号明細書 米国特許第4476929号明細書 米国特許第4452308号明細書 米国特許第4589489号明細書 米国特許第4608204号明細書 米国特許第4690785号明細書 米国特許第4873025号明細書 米国特許第4932473号明細書 米国特許第6022834号明細書 米国特許第6043391号明細書 米国特許第6269881号明細書 国際公開第WO01/98432A2号パンフレット
M.バヴィエール(M.Baviere)編集、「原油回収増進法の基礎概説(Basic Concepts in Enhanced Oil Recovery Processes)」(エルスヴィア・アプライド・サイエンス(Elsevier Applied Science)、ロンドン及びニューヨークよりSCI向けに発行、1991年)
本発明は、原油回収増進法のための中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物に関する。また、本発明は、地下油層からの原油の回収を増進させる方法であって、本発明の中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物を用いる方法にも関する。
本発明は、原油回収増進(EOR)法のための中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物に関する。また、本発明は、本発明の中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物を用いて地下油層からの原油の回収を増進させる方法にも関する。中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物は水性媒体中で用いられる。この方法では任意に、アルコール、アルコールエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリ(オキシアルキレン)グリコールおよび/またはポリ(オキシアルキレン)グリコールエーテルなどの好適な補助界面活性剤も用いる。
本発明の中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸が、完全に中和したアルキルキシレンスルホン酸に比べて、IFTの低いEOR用界面活性剤となることを発見した。先行技術ではEORに使用されている界面活性剤が完全に中和されたスルホネートであるので、この結果は驚異的である。
また、本発明のアルキルキシレンスルホン酸を製造するのに使用されたアルキルキシレンが、4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン異性体を70%より多く含んでいる場合に、アルキルキシレンスルホン酸がIFTの低いEOR用界面活性剤となることも発見した。
特には、本発明は、原油回収増進法のための中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物であって、下記一般式を有する化合物の混合物である組成物に関する:
Figure 0005426607
(式中、Rは炭素原子約10〜約58個を含むアルキル基であり、そしてMは一価の陽イオンである、ただし、組合せる化合物(a)及び(b)のアルキルキシレン部は、少なくとも85%でアルキル−オルト−キシレンであり、そして化合物(a)は、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物に基づき約80%乃至約98%の範囲で存在する)。
化合物(a)及び(b)のアルキルキシレン部は、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物のうちの少なくとも95%でアルキル−オルト−キシレンである
ことが好ましい。
化合物(a)は、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物に基づき約85%乃至約95%の範囲で存在することが好ましい。より好ましくは化合物(a)は、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物に基づき約87%乃至約92%の範囲で存在する。
中和アルキルキシレンスルホン酸化合物(a)の一価の陽イオンは、アルカリ金属である。好ましくは、アルカリ金属はナトリウムである。中和アルキルキシレンスルホン酸化合物の一価の陽イオンは、アンモニウムイオンであっても有機アンモニウムイオンであってもよい。
上記中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物で化合物(a)及び(b)のアルキル基は、炭素原子約10〜約58個を含む線状アルファオレフィン又は異性化オレフィンから誘導されたものである。好ましくはアルキル基は、炭素原子約10〜約40個を含む線状アルファオレフィン又は異性化オレフィンから誘導されたものである。より好ましくはアルキル基は、炭素原子約12〜約30個を含む線状アルファオレフィン又は異性化オレフィンから誘導されたものである。
中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物において組合せる化合物(a)及び(b)のアルキルキシレン部は、4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン異性体を約70%より多く含む。好ましくは、中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物において組合せる化合物(a)及び(b)のアルキルキシレン部は、4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン異性体を約80%より多く含む。より好ましくは、中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物において組合せる化合物(a)及び(b)のアルキルキシレン部は、4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン異性体を少なくとも90%含む。4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼンおよび3−アルキル−1,2−ジメチルベンゼンの構造を以下に記す。
Figure 0005426607
上記中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物において組合せる化合物(a)及び(b)でアルキル基のキシレン部への結合は、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物のうちの少なくとも40%にてアルキル鎖に沿って2位より高位の位置にある。好ましくは、アルキル基のキシレン部への結合は、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物のうちの少なくとも45%であり、アルキル鎖に沿って
2位より高位の位置にある。好ましくは、アルキル基のキシレン部への結合は、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物のうちの少なくとも60%であり、アルキル鎖に沿って2位より高位の位置にある。キシレン部に対するアルキル基の炭素鎖の種々の結合位置に関する構造を以下に記す。
Figure 0005426607
上記構造においてxとyの値は、炭素鎖におけるアルキル基のキシレン部への結合を規定している。例えば、C12アルキル基でxが2でyが9の値は、アルキル基の結合がアルキル炭素鎖の3位にあることに該当する。よって、x+y+1が10から58の間にある場合に、xとyが分かればアルキル基のキシレン部への結合がC10からC58の間の対応する鎖長部にあることになる。
上記中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物において化合物(a)及び(b)のアルキル基は、広いアルキル鎖長分布を有している。好ましいアルキル鎖長分布は、約40乃至約80%のC12−C20を含んでいる。より好ましいアルキル鎖長分布は、約50乃至約70%のC12−C20を含んでいる。上部の重質なアルキル鎖長範囲C32−C58は、アルキル基のうち最大約5%乃至約15%を占めていてもよく、好ましくは、上部の重質なアルキル鎖長範囲C32−C58は、アルキル基のうち最大約8%乃至約12%を占めていてもよい。
本発明のまた別の態様は、地下の炭化水素含有層から原油を回収する方法であって、下記の工程からなる方法に関する:
(a)下記一般式を有する化合物の混合物である中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物を原油の回収に有効な量で含む水溶液を、地下層に圧入する工程:
Figure 0005426607
(式中、Rは炭素原子約10〜約58個を含むアルキル基であり、そしてMは一価の陽イオンである、ただし、組合せ化合物(a)及び(b)のアルキルキシレン部は、少なくとも85%でアルキル−オルト−キシレンであり、そして化合物(a)は、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物に基づき約80%乃至約98%の範囲で存在する)、そして
(b)原油を地下層に圧入した水溶液と置換し、それにより生産井から炭化水素を回収する工程。
上記方法の工程(a)において、中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物は、水溶液の全質量の約0.03質量%乃至約2.0質量%の範囲にて存在する。好ましくは、組成物は水性組成物の全質量の約0.1質量%乃至約1.5質量%の範囲にて存在する。より好ましくは、組成物は水性組成物の全質量の約0.3質量%乃至約1.0質量%の範囲にて存在し、そして最も好ましくは、組成物は水性組成物の全質量の約0.5質量%乃至約0.8質量%の範囲にて存在する。
上記方法で工程(a)における化合物(i)及び(ii)のアルキルキシレン部は、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物に基づき少なくとも95%でアルキル−オルト−キシレンであることが好ましい。
上記方法で工程(a)における化合物(i)は、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物に基づき約85%乃至約95%の範囲で存在することが好ましい。より好ましくは、工程(a)の化合物(i)は、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物に基づき約87%乃至約92%の範囲で存在する。
上記方法の工程(a)における化合物(i)の一価の陽イオンは、アルカリ金属である。好ましくは、アルカリ金属はナトリウムである。工程(a)で一価の陽イオンは、アンモニウムイオンであっても有機アンモニウムイオンであってもよい。
上記方法の工程(a)における化合物(i)及び(ii)のアルキル基は、炭素原子約10〜約58個を含む線状アルファオレフィン又は異性化オレフィンから誘導されたものである。好ましくはアルキル基は、炭素原子約10〜約40個を含む線状アルファオレフィン又は異性化オレフィンから誘導されたものである。より好ましくはアルキル基は、炭素原子約12〜約30個を含む線状アルファオレフィン又は異性化オレフィンから誘導されたものである。
中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物において組合せる化合物(a)及び(b)のアルキルキシレン部は、4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン異性体を約70%より多く含む。好ましくは、中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物において組合せる化合物(a)及び(b)のアルキルキシレン部は、4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン異性体を約80%より多く含む。より好ましくは、中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物において組合せる化合物(a)及び(b)のアルキルキシレン部は、4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン異性体を少なくとも90%含む。4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼンおよび3−アルキル−1,2−ジメチルベンゼンの構造を以下に記す。
Figure 0005426607
上記方法において工程(a)にて組合せる化合物(i)及び(ii)のアルキル基は、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物に基づき少なくとも40%で、アルキル鎖に沿って2位より高位の位置でキシレン部に結合している。好ましくはアルキル基は、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物に基づき少なくとも45%で、アルキル鎖に沿って2位より高位の位置でキシレン部に結合している。より好ましくはアルキル基は、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物に基づき少なくとも60%であり、アルキル鎖に沿って2位より高位の位置でキシレン部に結合している。キシレン部に対するアルキル基の炭素鎖の種々の結合位置に関する構造を以下に記す。
Figure 0005426607
上記構造においてxとyの値は、炭素鎖におけるアルキル基のキシレン部への結合を規定している。例えば、C12アルキル基でxが2でyが9の値は、アルキル基の結合がアルキル炭素鎖の3位にあることに該当する。よって、x+y+1が10から58の間にある場合に、xまたはyが分かればアルキル基のキシレン部への結合がC10からC58の間の対応する鎖長にあることになる。
上記方法の工程(a)において、化合物(i)及び(ii)のアルキル基は、広いアルキル鎖長分布を有している。好ましいアルキル鎖長分布は、約40乃至約80%のC12−C20を含んでいる。より好ましいアルキル鎖長分布は、約50乃至約70%のC12−C20を含んでいる。上側の重質なアルキル鎖長範囲C32−C58は、アルキル基のうちの約5%乃至約15%を占めていてもよく、好ましくは、上側の重質なアルキル鎖長範囲C32−C58は、アルキル基のうちの約8%乃至約12%を占めていてよい。
上記の方法は更に、工程(a)の水溶液の圧入と同時に又はそれに続いて、工程(a)の水溶液を地下層に後押しするのに有効な量のポリマーを地下層に圧入して原油を置換し、それにより生産井から炭化水素を回収することを用いる。
上記方法でポリマーは、ポリサッカライド、ポリアクリルアミドまたは部分加水分解ポリアクリルアミドなど任意の好適なポリマーであってよい。
上記の方法は更に、工程(a)の水溶液の圧入と同時に又はそれに続いて、工程(a)の水溶液を地下層に後押しするのに有効な量の水を地下層に圧入して原油を置換し、それにより生産井から炭化水素を回収することを用いる。
上記の方法は更に、ポリマーの圧入と同時に又はそれに続いて、工程(a)の水溶液または上記ポリマーを地下層に後押しするのに有効な量の水を地下層に圧入して原油を置換し、それにより生産井から炭化水素を回収することを用いる。
上記方法で地下層の炭化水素としては含ろう原油を挙げることができる。
上記方法の工程(a)で水溶液には更に、分子量が約60乃至約1200の範囲にある補助界面活性剤が用いられる。
上記方法で補助界面活性剤は、アルコール(第一級、第二級、第三級又はそれらの混合
物)、アルコールエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリ(オキシアルキレン)グリコール、ポリ(オキシアルキレン)グリコールエーテル、またはそれらの混合物であってよい。ポリ(オキシアルキレン)グリコールエーテルは、任意のC1−C8モノアルキルエーテルであってよく、例えばエチレン又はプロピレングリコールモノアルキル又はモノフェニルエーテル、ジエチレン又はジプロピレングリコールモノアルキル又はモノフェニルエーテル、トリエチレン又はトリプロピレングリコールモノアルキル又はモノフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、またはそれらの混合物がある。
ポリ(オキシアルキレン)グリコールの例としては、ポリ(オキシエチレン)グリコール、およびポリ(オキシプロピレン)グリコール、またはそれらの混合物がある。
上記方法で工程(a)で補助界面活性剤は、水溶液の全質量の約0.03質量%乃至約2.0質量%の範囲にある。好ましくは、補助界面活性剤は水性組成物の全質量の約0.1質量%乃至約1.5質量%の範囲にある。より好ましくは、補助界面活性剤は水性組成物の全質量の約0.3質量%乃至約1.0質量%の範囲にあり、そして最も好ましくは、補助界面活性剤は水性組成物の全質量の約0.5質量%乃至約0.8質量%の範囲にある。
本発明の中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸が、完全に中和したアルキルキシレンスルホン酸に比べて、IFTの低いEOR用界面活性剤となることを発見した。先行技術ではEORに使用されている界面活性剤が完全に中和されたスルホネートであるので、この結果は驚異的である。また、本発明のアルキルキシレンスルホン酸を製造するのに用いられるアルキルキシレンが、4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン異性体を70%より多く含んでいると、アルキルキシレンスルホン酸がIFTの低いEOR用界面活性剤となることも発見した。
第1図は、実施例2で三塩化アルミニウムを用いて製造したアルキルキシレンの試料について、ガスクロマトグラフィで得られたクロマトグラムである。クロマトグラムに現れた分離ピークの面積から、C12及びC14炭素鎖の2、3、4及び4+位炭素位置での結合の質量%を計算することができる。 第2図は、第1図と同様であり、実施例1Aでトリフルオロメタンスルホン酸を用いて製造したアルキルキシレンの試料について得られたものである。 第3図は、実施例1A、1B及び1C(アルキル化触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸を使用)で製造したアルキルキシレンを用いて製造したアルキルキシレンスルホン酸の試料について、前述した平衡界面張力法を使用して収集したデータのプロットである。 第4図は、実施例2(アルキル化触媒として三塩化アルミニウムを使用)で製造したアルキルキシレンを用いて製造したアルキルキシレンスルホン酸の試料について、前述した平衡界面張力法を使用して収集したデータのプロットである。
[定義]
以下の用語は、本明細書で使用するとき、特に断わらない限りは以下の意味を有する:
「有効成分」又は「有効成分群」は、本明細書で使用するとき、本発明に記載するナトリウムアルキルキシレンスルホネート及びスルホン酸の濃度を意味する。有効成分量の計算を実施例4に記載し、またそのデータを第2表にまとめて示す。
「アルキレート」は、本明細書で使用するとき、本発明の全体として中和された、あるいは中和が不完全なスルホン酸を製造するのに用いられるアルキルキシレンを意味する。アルキルキシレンは、キシレンと炭素原子約10〜約58個を含む線状アルファオレフィン又は異性化オレフィンとを用いて製造された。線状アルファオレフィン又は異性化オレフィンは、好ましくは炭素原子約10〜約40個、より好ましくは炭素原子約12〜約30個を含む。
「アルカリ金属」は、本明細書で使用するとき、周期表の1A族金属を意味する。
「アルコキシド」は、アルコールと反応性金属との反応生成物として生成しうる化合物を意味する。
「補助界面活性剤」は、本明細書では、原油回収増進法で陰イオン界面活性剤と共に使用される非イオン界面活性剤を意味する。一般に非イオン界面活性剤は、多価イオンに対
する許容度が若干高く、水溶性であり、そしてアルカリ性塩水と原油間の界面張力が広範囲にわたって低く安定している。また、界面活性剤の粘度も減少している。
「原油回収増進」又は「EOR」は、本明細書で使用するとき、地下油層からの炭化水素の回収を増進させる方法を意味する。油田の開発には、置換流体又はガスを圧入井に導入して油層から原油を生産井に後押しすることにより、置換効率または掃攻効率を高める技術を使用することができる。
「ガスクロマトグラフィ」又は「GC」は、本明細書で使用するとき、気液相クロマトグラフィを意味する。
「異性化オレフィン」は、本明細書で使用するとき、異性化条件に処された結果、現存オレフィン種の分布および/またはアルキル鎖に沿った分枝の導入が交互に生じているアルファオレフィンを意味する。
「界面張力」又は「IFT」は、本明細書で使用するとき、油と水間の界面張力を意味する。高度の原油回収増進を達成するためには、油層内の油と水間の界面張力を約0.01ダイン/センチメートルまで低減する必要がある。このように極度に低い界面張力は、スピニング・ドロップ張力計を使用して測定される。公知の任意の界面張力測定法によっても界面張力を測定することができる。
「マイクロエマルジョン」は、本明細書で使用するとき、油、水、界面活性剤および任意に一種以上の電解質からなる安定なミセル溶液を意味する。マイクロエマルジョンは、平均粒径が直径およそ数ナノメートルであるようなエマルジョンと定義される。
「中和した」とは、本明細書で使用するとき、アルカリ金属水酸化物、酸化物及び/又はアルコキシド、アンモニア、有機アンモニウム陽イオンまたはアルカノールアンモニウム陽イオンなどの無機又は有機塩基で中和したアルキルキシレンスルホン酸を意味する。
「最適塩分」又は「中点塩分」は、本明細書で使用するとき、界面張力を最小にして原油の回収を最大にするのに必要な水性相の塩の量を意味する。
「中和不完全」は、本明細書で使用するとき、無機又は有機塩基で中和したアルキルキシレンスルホン酸であって、残存する非中和アルキルキシレンスルホン酸が、中和アルキルキシレンスルホン酸組成物の全質量に基づき少なくとも2質量%であるスルホン酸を意味する。ここで規定する中和のパーセントは、使用された塩基の質量をアルキルキシレンスルホン酸全部を中和するのに必要な塩基の質量で割算して、パーセントで表したものである。
「含ろう原油」は、本明細書で使用するとき、通常はパラフィンや芳香族炭化水素など各種の軽質及び中間炭化水素、ワックスパラフィン、および樹脂やアスファルテンなど他の各種の重質有機化合物からなる原油を意味する。
特に断わらない限り、パーセント(%)は全て質量%であり、そして圧力は大気圧である。
本発明は、原油回収増進法のための中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物に関する。驚くべきことには、本発明の中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物が、100%中和したアルキルキシレンスルホン酸に比べて低い界面張力を与えることを発見した。界面張力の顕著な減少は、アルキルキシレンスルホン酸の中和を10%低減すると観察される。先行技術では原油回収増進技術のための界面活性剤攻法にアルキルアリー
ルスルホネートを使用するのに、完全に中和した又は炭酸塩化した過塩基性アルキルアリールスルホン酸が用いられるので、この結果は予測し得ないものであった。この結果が驚異的であった別の理由は、原油回収増進法において先行技術でよく知られているアルカリ攻法の使用にある。水酸化ナトリウムなどのアルカリ剤を水攻法過程で添加すると、これらの薬剤が原油に自然に生じた有機酸と反応して界面活性剤が生成し、それらが油層内で(通常の界面活性剤と同じように)油と水間の界面張力を減少させる。
炭素原子約10〜約58個を含むアルキルキシレンをキシレンから製造した。キシレンをアルキル化するのに、アルキル化触媒であるトリフルオロメタンスルホン酸(CF3
3H)、および三塩化アルミニウム(AlCl3)を使用した。アルキル化触媒の性質が、キシレン環のアルキル化位置を決めるのに重要な役割を果たしている。13C−NMR分析は、三塩化アルミニウムが一般に、4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン(4−アルキル−オルト−キシレン)を、生成するアルキルキシレンの全量に基づき90%より多い収率で与えることを示した。一方、アルキル化触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸を用いると、4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン(4−アルキル−オルト−キシレン)と3−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン(3−アルキル−オルト−キシレン)の混合物が得られる。一般に、3−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン(3−アルキル−オルト−キシレン)の収率は、生成するアルキルキシレンの全量に基づき約30%である。
IFTデータから驚くべきことには、4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン(4−アルキル−オルト−キシレン)を用いて製造した中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸が、3−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン(3−アルキル−オルト−キシレン)を用いて製造した中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸で得られたIFTデータよりも、低いIFTデータを与えたことを発見した。
同様にIFTデータから、低いIFTデータを得るのにキシレン部へのアルキル基の炭素鎖に沿った結合位置が重要であるという驚くべき発見もあった。アルキル基がアルキル炭素鎖に沿って2位より高い位置でキシレン部に結合することが、IFTの低いEOR用界面活性剤をもたらす。全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物のうちの少なくとも40%が、アルキル炭素鎖に沿って2位より高い位置での結合を有していることが好ましい。アルキル炭素鎖に沿った結合位置を決定するのに、ガスクロマトグラフィ(GC)および13C核磁気共鳴分光法(13C−NMR)を使用した。
アルキル炭素鎖に沿って2位より高位の位置での結合を40%より多く有する中和不完全なスルホン酸組成物は、内部二重結合を有する予備異性化オレフィンを用いることにより得ることができる。
また、本発明は、地下油層からの原油の回収を増進させる方法であって、有効な量の本発明の中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物を含む水溶液を地下層に圧入することを含む方法にも関する。中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物は、化合物(a)の一価陽イオンで中和したアルキルキシレンスルホン酸と、化合物(b)のアルキルキシレンスルホン酸との混合物である。
任意の好適な補助界面活性剤を、本発明のアルキルキシレンスルホン酸と共に使用することができる。そのような補助界面活性剤の例としては、アルコール、アルコールエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリ(オキシアルキレン)グリコール、およびポリ(オキシアルキレン)グリコールエーテルがあり、界面活性剤攻法に本発明の中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物と一緒に任意に使用することができる。
[アルキルキシレンの製造]
本発明の中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸の製造に使用されるアルキルキシレンは、ノルマルアルファオレフィンおよび異性化オレフィンを用いて、当該分野の熟練者には知られている任意の方法で製造することができる。
一般にアルキルキシレンは、酸触媒(ブレーンステズ酸またはルイス酸)、例えばフッ化水素、トリフルオロメタンスルホン酸または三塩化アルミニウムを使用して製造することができる。トリフルオロメタンスルホン酸はアルキル化反応ではフッ化水素に似ていて、危険なフッ化水素の取扱いを避けるために実験室ではその使用が好ましい。
アルキル化反応は一般に、キシレンとオレフィンのモル比が1:15乃至25:1で行う。工程温度は約0℃乃至約200℃の範囲であってよい。オレフィンの沸点が高くなるにつれて、液相で工程を行うことが好ましい。
アルキル化工程は、バッチ式でも連続式でも実施することができる。バッチ式で代表的な方法は撹拌式オートクレーブを使用することであり、それを所望の反応温度に加熱してもよいし、あるいは冷却してもよい。反応の最後に触媒を再循環させるか、あるいは加水分解する。
[ノルマルアルファオレフィンの異性化操作]
ノルマルアルファオレフィンの異性化は、少なくとも二種類の固体又は液体の酸性触媒を使用して遂行される。固体触媒は、少なくとも一種類の金属酸化物を有し、平均孔径が5.5オングストローム未満であることが好ましい。より好ましくは、固体触媒は一次元の細孔系を持つ分子篩、例えばSM−3、MAPO−11、SPO−11、SSZ−32、ZSM−23、MAPO−39、SAPO−39、ZSM−22またはSSZ−20である。異性化に使用できる他の可能な固体酸性触媒としては、ZSM−35、SUZ4、NU−23、NU−87および天然又は合成フェリエライトを挙げることができる。これらの分子篩は、当該分野ではよく知られ、そしてローズマリー・ゾスタク(Rosemarie Szostak)著、「分子篩便覧(Handbook of Molecular Sieves」(ニューヨーク、ヴァン・ノストランド・ラインホルド(Van Nostrand Reinhold)、1992年)、および米国特許第5
282858号明細書に記述されていて、その内容も如何なる目的であれ参照として本明細書の記載とする。使用することができる液体タイプの異性化触媒としては、ペンタカルボニル鉄(Fe(CO)5)がある。
ノルマルアルファオレフィンの異性化工程は、バッチ式でも連続式でも実施することができる。工程温度は50℃乃至250℃の範囲であってよい。バッチ式で一般的な方法は、撹拌式オートクレーブ又はガラスフラスコを使用することであり、所望の反応温度に加熱してもよい。連続法は固定床法で最も効率良く行われる。固定床法の空間速度は、毎時0.1乃至10又はそれ以上の質量の空間速度範囲であってよい。
固定床法では、異性化触媒を反応器に充填して、少なくとも150℃の温度で減圧下でまたは乾燥不活性ガスを流しながら活性化又は乾燥する。活性化後に、異性化触媒の温度を所望の反応温度に調節し、そして反応器にオレフィン流を導入する。部分分枝した異性化オレフィンを含む反応器流出液を捕集する。得られた部分分枝異性化オレフィンは、種々のオレフィン分布(アルファオレフィン、ベータオレフィン、内部オレフィン、三置換オレフィンおよびビニリデンオレフィン)を有していて、所望のオレフィン分布および分枝度を得るためには非異性化オレフィン以外の分枝含量および条件を選択する。
[アルキルキシレンのスルホン化操作]
アルキルキシレンのスルホン化は、当該分野の熟練者に知られている任意の方法で実施
することができる。
スルホン化反応は一般に、約55℃に維持した流下膜式管状反応器で行う。アルキルキシレンを、空気で希釈した三酸化硫黄と一緒に反応器に入れる。アルキルキシレンと三酸化硫黄のモル比を約1.05:1に維持する。
[アルキルキシレンスルホン酸の中和操作]
アルキルキシレンスルホン酸の中和は、当該分野の熟練者に知られている任意の方法で連続法でもバッチ法でも実施することができ、アルキルキシレンスルホネートが生成する。
一般に、中和反応をインライン混合反応器で行い、アルキルキシレンスルホン酸と有機又は無機塩基を混合する。反応混合物の温度を約20℃に維持する。使用するアルカリ金属の量は、アルキルキシレンスルホン酸毎に求めた酸価に基づく。
[実施例1] トリフルオロメタンスルホン酸アルキル化触媒を用いたアルキルキシレンの製造
(実施例1A):C10−C58ノルマルアルファオレフィンによるオルト−キシレンのアルキル化
トリフルオロメタンスルホン酸アルキル化触媒を用いて、アルキルキシレンを製造した。3リットルガラス反応器に窒素中で、オルト−キシレン904.09グラム、およびC10−C58ノルマルアルファオレフィン595.91グラムを充填して混ぜ合わせた。混合物を60℃に加熱した。次に、トリフルオロメタンスルホン酸41.71グラムを撹拌しながら反応混合物に加えた。強い発熱が観察されて温度が122℃に上昇した。反応混合物を4時間30分かけて室温まで放冷した。この冷却時間の後に冷たい蒸留水で反応を失活させ、次いで三回の逐次水洗を行って有機相から酸触媒を取り除いた。アルキルキシレン生成物を含む有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、そしてロトバプ蒸発器を使用して減圧下で余分なオルト−キシレンを留出させて、アルキルキシレン生成物を回収した。
(実施例1B):C10−C58異性化オレフィンによるオルト−キシレンのアルキル化
トリフルオロメタンスルホン酸アルキル化触媒を用いて、アルキルキシレンを製造した。3リットルガラス反応器に窒素中で、オルト−キシレン852グラム、およびC10−C58異性化オレフィン(ノルマルアルファオレフィン含量は全オレフィンの約75%)600グラムを充填して混ぜ合わせた。反応混合物を40℃に加熱した。次に、トリフルオロメタンスルホン酸42グラムを撹拌しながら反応混合物に加えた。強い発熱が観察されて温度が90℃に上昇した。反応混合物を60℃まで放冷し、この温度で2時間保持した。この冷却時間の後に、上記実施例1Aに記載したようにして反応を失活させ、そしてアルキルキシレンを回収した。
(実施例1C):C10−C58異性化オレフィンによるオルト−キシレンのアルキル化
トリフルオロメタンスルホン酸アルキル化触媒を用いて、アルキルキシレンを製造した。3リットルガラス反応器に窒素中で、オルト−キシレン852グラム、およびC10−C58異性化オレフィン(ノルマルアルファオレフィン含量は全オレフィンの約40%)600グラムを充填して混ぜ合わせた。反応混合物を40℃に加熱した。次に、トリフルオロメタンスルホン酸42グラムを撹拌しながら反応混合物に加えた。強い発熱が観察されて温度が90℃に上昇した。反応混合物を60℃まで放冷し、この温度で2時間保持した。この冷却時間の後に、上記実施例1Aに記載したようにして反応を失活させ、そしてアルキルキシレンを回収した。
[実施例2] 三塩化アルミニウムアルキル化触媒を用いたアルキルキシレンの製造
10−C58ノルマルアルファオレフィンによるオルト−キシレンのアルキル化
三塩化アルミニウムアルキル化触媒を用いて、契約製造業者の元でオルト−キシレンとC10−C58ノルマルアルファオレフィンを用いた連続法で、アルキルキシレンを製造した。
[実施例3] アルキルキシレンスルホン酸の製造
上記実施例1及び2で製造したアルキルキシレンを用いて、アルキルキシレンスルホン酸を製造した。
連続流下膜式反応器内でアルキルキシレンを空気及び三酸化硫黄の流れと接触させることにより、アルキルキシレンのスルホン化を実施した。アルキルキシレンと三酸化硫黄のモル比は約1:0.94であった。反応器のジャケット温度をおよそ55℃に維持した。スルホン酸生成物を標定シクロヘキシルアミン溶液で電位差滴定して、試料中のスルホン酸および硫酸の質量%を求めた。全酸価もASTM D−664試験を使用して測定した
。下記第1表に、その結果をまとめて示す。実施例1A、1B及び1Cで製造したアルキルキシレンを二試料ずつ、上記のようにしてスルホン化した。これらアルキルキシレンスルホン酸の控えの方の試料は、1A’、1B’及び1C’として下記第1表に示す。
第 1 表
────────────────────────────────────
実施例 触媒 RSO3*2SO4 酸価
(質量%) (質量%) (mgKOH/g)
────────────────────────────────────
実施例1A CF3SO3H 86.8 0.77 128
実施例1A’ CF3SO3H 88.9 0.82 128
実施例1B CF3SO3H 83.9 0.92 124
実施例1B’ CF3SO3H 84.4 0.91 124
実施例1C CF3SO3H 83.7 0.96 124
実施例1C’ CF3SO3H 83.9 0.93 120
実施例2 AlCl3 86.4 0.93 118
────────────────────────────────────
*:スルホン酸は全て平均分子量が453グラム/モルと推定される。
[実施例4] 中和が不完全及び中和が完全な中和アルキルキシレンスルホン酸の製造
上記実施例3で製造したアルキルキシレンスルホン酸を用いて、中和が不完全なアルキルキシレンスルホン酸、および比較のための中和が完全なアルキルキシレンスルホン酸を製造した。
ビーカー内で磁気撹拌しながらスルホン酸の中和を実施した。スルホン酸を約40℃に加熱してスルホン酸の粘度を下げた。次に、水酸化ナトリウムの50質量%水溶液を反応混合物に緩やかに加えた。反応混合物の温度を80℃より低く維持して水の蒸発を制限した。添加した水酸化ナトリウムは、各スルホン酸について得られた酸価に基づいて計算した。100%中和スルホン酸を製造するために、上記第1表に報告したスルホン酸について得られた全酸価分析結果に基づいて、スルホン酸試料中の酸種全て、スルホン酸およびH2SO4の中和に必要な正確な量の水酸化ナトリウムを反応混合物に添加した。90%中和の実施例(中和不完全な実施例)では、100%中和の計算値よりも10%少ない水酸化ナトリウムを用いて中和を行った。100%中和の実施例である比較例では、水酸化ナトリウム計算値100%を用いた。
以下に記す式を用いて、ナトリウムアルキルキシレンスルホネートの有効成分量を計算した:
Figure 0005426607
WSA: スルホン酸試料の質量(グラム)
W%RSO3H: シクロヘキシルアミン滴定で求めたアルキルキシレンスルホン酸の質量

MwRSO3Na: アルキルキシレンナトリウムスルホネートの分子量(グラム/モル)
MwRSO3H: アルキルキシレンスルホン酸の分子量(グラム/モル)
WNaOHsol: 低IFTの中和界面活性剤に用いたNaOH溶液(50質量%)の質量
中和不完全な実施例では、残存するスルホン酸を有効成分とみなしている。中和不完全な実施例を中和するのに水酸化ナトリウム溶液を少なく使用したので、それらの有効成分量は100%中和の実施例である比較例よりも若干高くなっている。アルキルキシレンナトリウムスルホネートおよびアルキルキシレンスルホン酸の平均分子量としてそれぞれ、475g/モルと453g/モルを用いた。
下記第2表に、中和が不完全及び中和が完全な実施例について収集した中和および有効成分量のデータを記す。
Figure 0005426607
[実施例5] キシレン部へのアルキル炭素鎖の結合位置の決定
ガスクロマトグラフィ(GC)および定量13C核磁気共鳴分光法(13C−NMR)により、キシレン部へのアルキル炭素鎖の結合位置を決定した。
GCで得られるピークの分解能は滞留時間とともに減少するので、アルキル鎖の炭素原子数12及び14についてのみ、キシレン環へのアルキル基の結合位置を正確に定量化することが可能である。一方、定量13C−NMRはアルキル鎖長部の全炭素原子の平均値を与える。
13C−NMRもGCもオルト−キシレン環へのアルキル鎖の結合位置を示す。オルト−キシレンのアルキル化に触媒作用させるのに三塩化アルミニウムを用いると、主として生成する異性体は4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼンであるが、一方、アルキル化触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸を用いると、3−アルキル−1,2−ジメチルベンゼンと4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼンの混合物が得られるように思われる。第1図及び第2図はそれぞれ、実施例2及び1Aで製造したC12及びC14オルト−キシレンスルホン酸のアルキレート部分について得られたGCクロマトグラムを示している。C12及びC14についてアルキル鎖の2位結合のGCピークの面積を平均化したことに基づいて、4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼンのパーセントを計算した。アルキル基のアルキル炭素鎖へのキシレン環の結合位置も計算した。下記第3表に、実施例1A、1B、1C及び2について得られたGCクロマトグラフィの結果を記す。データは、4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼンのパーセントが、アルキル化触媒がトリフルオロメタンスルホン酸である実施例1A、1B及び1Cでは、アルキル化触媒として三塩化アルミニウムを用いた実施例2よりもずっと低いことを示している。
下記第3表に、上記実施例1及び2で製造したアルキルキシレンについてGCおよび13C−NMRで得られた結果を記す。
Figure 0005426607
[実施例6] 界面張力の測定
上記実施例4で製造した中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸および完全体として中和アルキルキシレンスルホン酸の性能を、界面張力を測定することにより求めた。流動点がおよそ35℃のミナス原油(含ろう原油)と、中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸の水溶液および完全体として中和アルキルキシレンスルホン酸の水溶液とを使用して、界面張力を求めた。スピニング・ドロップ張力計を使用して、以下に記載する方法を利用して界面張力を93℃で測定した。
(平衡界面張力法)
アルキルキシレンスルホン酸溶液、水、補助界面活性剤および塩化ナトリウムからなる5ミリリットルの試料を、ガラス管内の同体積の原油に加えた。試験管をしっかりと密閉して振とうした。試験管を93℃で1ヶ月間平衡させた。平衡期間の最後に、水性相のアリコートをスピニング張力計のガラス管に入れた。次に、上部油相の小滴をガラス管に注入した。管を回転し、そして水溶液と油間の界面張力を、B.ボンネグート(B.Vonnegut)著、「レビュー・サイエンティフィック・インスツルメンツ(Review Scientific Instruments)」、第13号(1942年)、p.6に記されている伸びた小滴についてのB.ボ
ンネグート式を用いて求めた:

IFT = ω23Δρ/4
ωは回転速度であり、Rは小滴の半径であり、そしてΔρは油と水溶液の密度の差である。一般に系が平衡に達するのに1乃至3時間かかる。
上記実施例4に記載した中和が不完全なスルホン酸および中和が完全なアルキルキシレンスルホン酸の試料は、中和が不完全なスルホン酸および中和が完全なアルキルキシレンスルホン酸0.24質量%(有効成分に基づく)、および補助界面活性剤としてs−ブチルアルコール0.067質量%を用いて調製した。0.1%から0.5%の間の塩化ナトリウム溶液を存在させて界面張力データを収集した。
下記第4表に、界面張力測定の結果を記す。
中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸のIFTデータを完全体として中和アルキルキシレンスルホン酸のデータと比較し、下記式を用いてIFTの減少%を計算した:
IFT減少%
= [1−(IFT(90%中和SA)/IFT(100%中和SA))]×100

SA=スルホン酸
Figure 0005426607
第4表のデータは、本発明の中和が不完全なアルキルキシレンスルホン酸と油間の界面張力が、中和が完全なアルキルキシレンスルホン酸に比べて顕著に減少することを示している。トリフルオロメタンスルホン酸を用いて製造した中和が完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物と油間の界面張力の方が、実施例1CのNaCl0.1質量%を除いては試験した全ての塩分において、中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物で得られた界面張力よりも高い。NaCl0.1質量%の極度に低い塩分では、測定したIFTが高くて系は最適塩分ではない。
三塩化アルミニウムを用いて製造した中和不完全及び完全中和のアルキルキシレンスルホン酸についてのIFTデータは、最適塩分がNaCl約0.2質量%であることを示している、というのはこれより上の塩分ではIFT値が全てずっと高くなっているからである。NaCl0.3質量%及びそれ以上の塩分では、完全体として中和試料の方が中和不完全な試料よりも低いIFT値を与えた。0.00088ダイン/センチメートルという最も低いIFT値は、実施例2の中和不完全な試料でNaCl0.2質量%のときに得られたが、一方、実施例2の完全中和の試料はこの塩分では0.009ダイン/センチメートルのIFT値を与えた。三塩化アルミニウムを用いて製造した中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸で得られた最も低いIFT値は、NaCl0.2質量%のときの0.00088ダイン/センチメートルであったが、それに比べて、三塩化アルミニウムを用いて製造した完全中和のアルキルキシレンスルホン酸ではNaCl0.3質量%のときに0.002ダイン/センチメートルが得られた。
トリフルオロメタンスルホン酸を用いて製造した完全中和のアルキルキシレンスルホン酸および中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸の最適塩分の方が、三塩化アルミニウムを用いて製造した完全中和のアルキルキシレンスルホン酸および中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸で観察された最適塩分よりも高く、それぞれ塩化ナトリウム0.5%と塩化ナトリウム0.2−0.3%である。
第3図は、トリフルオロメタンスルホン酸を用いて製造した完全中和及び90%中和のアルキルキシレンスルホン酸についてのIFTデータのグラフを示し、そして第4図は、三塩化アルミニウムを用いて製造した完全中和及び90%中和のアルキルキシレンスルホン酸についてのIFTデータのグラフを示している。グラフは、アルキルキシレンスルホン酸が100%ではなくて90%しか中和されていない場合にIFTが減少することを明確に示している。
また、第4表のデータは、三塩化アルミニウムを用いたアルキル化で得られた、アルキルキシレン部の95%より多くを4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン(4−アルキル−オルト−キシレン)異性体として有する中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸の方が、トリフルオロメタンスルホン酸を用いて得られた、アルキルキシレンの65−73%を4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン(4−アルキル−オルト−キシレン)として有する中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸よりも、インドネシアのミナス油田で見られるような0.2%から0.3%の間の塩分を含む油層では、含ろう原油の回収増進に優れていることも示している。

Claims (16)

  1. 地下の炭化水素含有層から原油を回収するための中和不完全なアルキルキシレンスルホ
    ン酸組成物であって、下記一般式を有する化合物の混合物である組成物:
    Figure 0005426607


    (式中、Rは炭素原子10〜58個を含むアルキル基であり、そしてMは一価の陽イオン
    である、ただし、組せる化合物(a)及び(b)のアルキルキシレン部は、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物のうちの少なくとも85質量%がアルキル−オルト−キシレンであり、そして化合物(a)は、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物に基づき80質量%乃至98質量%の範囲にて存在する)。
  2. せ化合物(a)及び(b)のアルキルキシレン部が、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物のうちの少なくとも95質量%においてアルキル−オルト−キシレンである請求項1に記載の中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物。
  3. 化合物(a)が、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物に基づき
    85質量%乃至95質量%の範囲にて存在する請求項1に記載の中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物。
  4. 化合物(a)が、全体として中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物に基づき
    87質量%乃至92質量%の範囲にて存在する請求項3に記載の中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物。
  5. 一価の陽イオンがアルカリ金属である請求項1に記載の中和不完全なアルキルキシレン
    スルホン酸組成物。
  6. アルカリ金属がナトリウムである請求項5に記載の中和不完全なアルキルキシレンスル
    ホン酸組成物。
  7. 一価の陽イオンがアンモニウムイオンまたは有機アンモニウムイオンである請求項1に
    記載の中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物。
  8. アルキル基が、炭素原子10〜58個を含む線状アルファオレフィン又は異性化オレフ
    ィンから誘導されたものである請求項1に記載の中和不完全なアルキルキシレンスルホン
    酸組成物。
  9. アルキル基が、炭素原子10〜40個を含む線状アルファオレフィンまたは異性化オレ
    フィンから誘導されたものである請求項8に記載の中和不完全なアルキルキシレンスルホ
    ン酸組成物。
  10. アルキル基が、炭素原子12〜30個を含む線状アルファオレフィン又は異性化オレフ
    ィンから誘導されたものである請求項9に記載の中和不完全なアルキルキシレンスルホン
    酸組成物。
  11. せる化合物(a)及び(b)のアルキルキシレン部が、4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン異性体を70質量%より多く含む請求項1に記載の中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物。
  12. せる化合物(a)及び(b)のアルキルキシレン部が、4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン異性体を80質量%より多く含む請求項11に記載の中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物。
  13. せる化合物(a)及び(b)のアルキルキシレン部が、4−アルキル−1,2−ジメチルベンゼン異性体を少なくとも90質量%含む請求項12に記載の中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物。
  14. アルキル基が、アルキル鎖長部が40質量%乃至80質量%のC12−C20および5質量%乃至15質量%のC32−C58を含んでなるアルキル鎖長分布を有する請求項1に記載の中和不完全なアルキルキシレンスルホン酸組成物。
  15. アルキル鎖長分布が、50質量%乃至70質量%のC12−C20および5質量%乃至15質量%のC32−C58を含む請求項14に記載の組成物。
  16. アルキル鎖長分布が8質量%乃至12質量%のC32−C58を含む請求項15に記載の組成物。
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