JP5415633B2 - 神経聴覚補助装置において電極刺激信号を発生させるための方法および装置 - Google Patents

神経聴覚補助装置において電極刺激信号を発生させるための方法および装置 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本件は、2010年3月4日出願の米国仮出願第61/310,425号の利益を主張する。上記出願の全文の内容をここに引用により援用する。
発明の背景
本発明の実施例は、神経聴覚補助装置において電極刺激信号を発生させるための方法および装置に関連する。本発明の実施例において、複数の利用可能な電極からの特定の電極の選択が部分的にランダムになる。
本発明の分野は、2以上の活性電極を介して非同時の刺激を伝達するよう構成される人工内耳または脳幹インプラント等の聴覚補助装置に関連する。
世界における聴覚障害者の人口は、全人口のおよそ0.1%にあたると推定される。聴覚障害には様々な原因があり、たとえば感染性、外傷性、毒性、加齢による、職業上および遺伝的傷害などがそれである。多くの場合、内耳、すなわち蝸牛の構造の損傷がある。
しかしながら、今日、周囲の聴覚系をバイパスして、直接聴覚神経線維に刺激を与える方法が存在する。この方法は、現在まで50年を超える年月わたって集中的研究の対象となってきた人工内耳(CI)により、かつまたより最近では、脳幹インプラント(BI)により可能になったものである。人工内耳は、これまで最も成功した神経補綴ではあるが、これらの装置によっても修復できる聴覚は、一部に過ぎない。移植後2年目の終わりまでには、患者は、静寂な条件下で(読唇術を用いず)平均的に80%の音知覚を行う(非特許文献1を参照)が、人工内耳装用者の多くは、音楽を楽しむことも、複雑な音声の中でそれぞれを聞き分けることもできないままである。その上、雑音の多い環境での音知覚は、多くの人工内耳装用者にとって依然として難題である。
今日、現代のCIシステムでさえ、人の聴覚システムの複雑な機能性を模倣するために、依然として非常に「単純な」フィルタバンク(1960年代中ごろまでさかのぼる高速フーリエ変換(FET)等)に基づく音声処理方法を採用する。一方で、この20年間の間に、基底膜(BM、内耳フィルタリングの器官)およびBMを超える強い非線形特性を有する聴覚構造の生物学的な動機づけによるモデルがいくつも開発された。
発明者による最近の研究は、実用的CI/BIシステムおよび理論的耳モデルの統合を図り、聴覚修復の質の向上を実現する時期が来たことを示唆する。
特許文献1は、オーディオ信号に基づく人工内耳のための制御信号を発生させる方法を開示する。聴覚モデルの複数の内耳細胞における経時的活動パターンを計算する。活動パターン範囲内の活動イベントを、活動パターンにおける特徴パターンの認識に基づいてフィルタリングし、それによりクリアになった情報を取得する。クリアになった情報をさらに人工内耳用制御信号として使用するかまたは、人工内耳用制御信号をクリアになった情報から発生させる。特許文献1における考えは、活動パターンにおいて、時間とともに聴覚モデルの複数の内耳細胞に多くの活動インパルスが存在し、これらは患者の聴覚には関係がないという知見に基づく。したがって、神経活動パターンにおいて特徴的なパターンを認識することができ、かつ特徴的パターンの認識に基づいて、活動イベントのいくつかは、フィルタ処理されて排除される。というのも、それらは、患者の知覚にとっては、二次的な重要性しかないものだからである。特徴パターンの認識の例としては、ハフ系パターン分類がある。
米国特許出願公開2009/0030486A1号
ルージャ他による「人工内耳使用の聴覚障害患者がより多感覚統合にすぐれていることの証拠」と題する記事、Proc.Nat.Acad.of Sciences(PMAS)、第104巻(17)、第7295頁から7300頁、2007年およびJournal of Acoust. Soc. Am.第111巻(5)、Pt.1、2002年5月に公表(the article "Evidence that cochlear-implanted deaf patients are better multisensory integrators" by Rouger et al., published in Proc. Nat. Acad. of Sciences (PMAS), vol. 104 (17), pp. 7295-7300, 2007 and in Journal of Acoust. Soc. Am., vol. 111 (5), Pt. 1, May 2002)
実施例によれば、オーディオ信号に基づいて、神経聴覚補助装置のための制御信号を発生させる方法は、複数の周波数ビン信号を受ける動作と、複数の周波数ビン信号のうち1以上の周波数ビン信号に選択確率値を割り当てる動作と、1以上の周波数ビン信号に割り当てられる選択確率値を考慮に入れるランダムなプロセスにより複数の周波数ビン信号のうち1つの周波数ビン信号を選択する動作と、選択された周波数ビン信号の周波数に対応する神経聴覚補助装置の電極に付与するための電極刺激信号を発生させる動作とを含む。
他の実施例によれば、聴覚刺激信号処理装置は、複数の周波数ビン信号を受信するよう構成される複数の信号入力と、複数の周波数ビン信号のうちの1以上の周波数ビン信号に選択確率値を割り当てるよう構成された選択確率値割当部と、複数の周波数ビン信号から1つの周波数ビン信号を、1以上の周波数ビン信号に割り当てられた選択確率値を考慮するランダムなプロセスにより選択するよう構成されるランダム選択部と、聴覚神経補助装置の電極に付与するための電極刺激信号を発生させるよう構成される電極刺激信号発生部とを含み、電極が、選択された周波数ビン信号の周波数に対応する。
他の実施例は、コンピュータで実行されると、上記の神経聴覚補助装置用の制御信号を発生させる方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムを有し得る。
本発明の実施例によれば、受信した複数の周波数ビン信号に対して振幅イコライゼーションを行う。したがって、聴覚刺激処理装置は、受信した複数の周波数ビン信号に対して振幅イコライゼーションを実行するよう構成される振幅イコライザをさらに含み得る。
本発明の実施例は、電極刺激信号またはこれに対する制御信号におけるある程度のランダムさが、電極刺激信号の生物適合性を増大するという認識に基づく。考えられる説明は、神経聴覚補助装置が、聴覚のうち、自然な現在ではなくなった部分からの神経刺激を受けることに慣れた、または遺伝的に予め定められた装用者の聴覚の残された健康な部分とインタフェースするというものである。
開示された教示の実施例において、複数の周波数ビン信号を基底膜および内有毛細胞の1以上の刺激に基づくフィルタバンクから受信し得る。
ここに開示される教示の実施例において、複数の選択確率値をそれぞれ複数の周波数ビン信号に割り当てることができる。典型的に、2以上の周波数ビン信号の2以上の確率選択値が非ゼロであり、すなわち、これらの2以上の選択確率値は、2以上の周波数ビン信号の間でランダムな選択が行われるように無視することができない値を有する。
開示される教示の実施例において、他の周波数ビン信号に対して高い大きさを有する周波数ビン信号に、比較的より低い大きさを有する周波数ビン信号に割り当てられる選択確率値に比べて高い値の選択確率値を割り当てることができる。聴覚刺激信号処理装置の選択確率割当部は、複数の周波数ビン信号の他のものに対して高い大きさを有する周波数ビン信号に高い値の選択確率値を割り当てるようにさらに構成されてもよい。
開示される教示の実施例において、方法は、前の刺激サイクルで、神経聴覚補助装置の電極が刺激のために選択されたかどうかを決定するステップと、前の刺激サイクルで、刺激された決定された電極に対応する対応の周波数ビン信号を減衰するステップとをさらに含み得る。
聴覚刺激信号処理装置の場合、この機能性は振幅イコライザにより付与される。すなわち、振幅イコライザが、いくつか複数の前の刺激サイクルのうち1以上の前の刺激サイクルの間に刺激のために神経聴覚補助装置の1つの電極が選択されたことがあるか否かを決定し、かつ、いくつか複数の最近の刺激サイクルのうち前回の刺激サイクルの間に刺激された決定された電極に対応する対応の周波数ビン信号を減衰するよう構成され得る。振幅イコライザの代わりに、その機能性または等価な機能性を、聴覚刺激信号処理装置の他の構成要素により提供され得る。
ここに開示する教示の実施例において、方法は、複数の周波数ビン信号に選択確率値を割り当てる前に、さらなる動作を含み得る。これらの動作のうちの1つが、複数の周波数ビン信号の振幅の、振幅のラウドネスマップ表現に対するマッピングであり、このマッピングは患者に特異的な条件に基づく。聴覚刺激信号処理装置は、信号入力に接続され、かつ、複数の周波数ビン信号の少なくとも1つの振幅を、振幅のラウドネスをマッピングした表現へマッピングするラウドネスマッピング機能をさらに含み、このマッピングは、患者に特異的な条件に基づく。
開示される教示の実施例において、方法は、電極刺激信号を発生させるために使用される刺激信号発生パラメータを(ランダムに)変更する動作をさらに含み得る。これは、電極刺激信号発生に対してある程度のランダムさを加えるという他の特徴にも関連する。
開示される教示の実施例において、パラメータ修正部は、刺激信号発生パラメータの変更がランダムなプロセスに基づくように、ランドマイザを含んでもよい。
開示される教示の実施例において、刺激信号発生パラメータは、電極刺激信号の波形に影響を与え得る。特に、電極刺激信号を創出するテンプレートは、同テンプレートが2つの非ゼロのセクションの間で実質的にゼロ値である時間ギャップを含み得る。ランダムな変更の対象である刺激信号発生パラメータは、2つの非ゼロセクションの間の時間ギャップの持続時間でも良い。
以下の明細書において、神経聴覚補助装置は、人工内耳として説明する。しかしながら、当業者には、他のタイプの神経聴覚補助装置で、発明の方法を採用することが可能であることが明らかである。
本明細書に開示する教示の実施例について、添付の図面を参照して詳説する。
神経聴覚補助装置の全体を示すブロック図である。 神経聴覚補助装置内におけるいくつかの信号の経時的周波数表現を示す図である。 神経聴覚補助装置の構成要素の模式ブロック図である。 ここに開示される教示による方法の模式フローチャートである。 ここに開示される教示による方法の模式フローチャートである。 基底膜の特徴を、音の大きさの関数として示すグラフである。 ここに開示する教示による方法の模式フローチャートである。 ここに開示する教示の特徴による刺激信号の確率的発生の特徴を示す2つの時間図である。 ここに開示する教示の特徴による確率的電極選択を示す3つの例示的確率密度分布を示す。 ここに開示する教示による特徴の模式フローチャートである。 ここに開示する教示の特徴による神経聴覚補助装置の構成要素を示す模式ブロック図である。
発明の詳細な説明
図1は、神経聴覚補助装置100の模式ブロック図であって、その主要な構成要素のいくつかを示す。一般に、神経聴覚補助装置100は、音声信号を受け、この音声信号を処理して、電気刺激信号を発生させる。この電気刺激信号が、装用者の神経組織を刺激する解剖学上の部位によって、神経聴覚補助装置100は、人工内耳(CI)、脳幹インプラント(BI)、または他の種類のインプラントを含み得る。人工内耳の場合には、装用者の蝸牛に刺激装置114がインプラントされる。脳幹インプラントの場合には、刺激装置114は、脳幹の蝸牛核の表面付近に埋め込まれる電極を有し得る。
神経聴覚補助装置100は、典型的に、オーディオ信号インタフェース102でオーディオ信号を受け、このインタフェースがオーディオ信号に対応する音声データを発生させる。オーディオ信号インタフェース102には、マイクロホン、増幅器およびアナログ―デジタル変換器を含み得る。音声データは、基底膜(BM)のシミュレーションモデルおよび/または内有毛細胞(IHC)のシミュレーションモデルに基づくフィルタバンク104へ伝送される。フィルタバンク104は、複数の周波数域に該当する音声データの周波数成分に関して音声データを解析する。フィルタバンク104は、基底膜モデルのコンピュータシミュレーションに基づくものでも良いし、または高速フーリエ変換等に基づくものが考えられる。フィルタバンク104は、M個の出力帯を有し、その各々が複数の周波数ビン信号105の周波数ビン信号を含む。フィルタバンク104の実現例においては、周波数分解能は、0.25バーク/帯域に設定され、その結果、全可聴域にわたって101個の帯域が得られる。この例では、サンプリングレートは、44100/秒に設定される。次に、101個の帯域のうちM個のみが維持され、これらは、対応する電極チャネルの特徴周波数に最も近い特徴周波数(CF)を有する。典型的に、電極チャネルの特徴周波数は、周波数に対して、概ね対数的に間隔をあけられており、典型的な人工内耳周波数域、すなわち概ね250Hzから7500Hzにわたる。上記の例とは異なる別の可能な実現例では、フィルタバンク104は、人工内耳または脳幹インプラントの電極チャネルの特徴周波数に一致する所望する数のM個の帯域をそのまま提供することが可能である。したがって、周波数帯を101個からM個等に減らすために、周波数帯の選択はもはや不要であり、使用しない周波数帯を余分にフィルタ処理する必要もない。
基底膜モデルのコンピュータシミュレーション以外に、フィルタバンク104は、非線形特性を有する整流器のような働きをする、内有毛細胞モデルのコンピュータシミュレーションをさらに含み得る。
この実現例では、完全なフィルタバンク104が、各々刺激サイクル用の出力データのセット(帯域ごとに1サンプル)を提供する。合計刺激レート(TSR)が、サンプリングレートと等しくなければ、フィルタバンクの出力を合計刺激レートまで、再サンプリングしても良い。出力データのセットが、複数の周波数ビン信号105を構成する。
増幅イコライザ106(AE)は、複数の周波数ビン信号105が、全周波数帯間で同じ大きさの範囲を有するように、フィルタバンクの帯域に対応する複数の周波数ビン信号105をイコライズするように構成される。たとえば、増幅イコライザ106は、各々の帯域の出力域が、[0,1]内にあるように複数の周波数ビン信号105を調整し得るが、ここで0.0と1.0が、それぞれ25.0と65.0dBSPLモデル知覚レベルでの所与の帯域の中心周波数を有する純粋トーン入力に対応する極値である。随意には、増幅イコライザ106は、前回の刺激サイクルまたはそれまでの複数の刺激サイクルの1つにおいて、刺激用に刺激装置114のどの電極を選択したかについての入力およびメモリを有し得る。前回の刺激サイクルで、電極Lが刺激用に選択されていれば、前回のサイクル(またはそれまでの複数のサイクルのうちの1つ)において刺激された電極Lに対応する周波数帯域の周波数ビン信号を10.0dB等のある量だけ現在の刺激サイクルについて減衰することになる。減衰することで、繰り返しによる過剰な刺激というリスクを減らすことにより安全性が高まり、および/または始まりの知覚を支持しこれにより改善された音知覚が得られると考えられている。
イコライズされた周波数ビン信号は、刺激の大きさを表す電気単位に、サンプルの振幅をマッピングするラウドネスマッピング機能108へ送られる。電極ごとの刺激の大きさの上限と下限は、CIの患者によって個別である。患者の限界がClowおよびChighであるとすれば、ラウドネスマッピング機能108は、[0,1]の入力範囲を[Clow,Chigh]にマッピングすることになる。ラウドネスマッピング機能108が付与するラウドネスマッピングは、非線形でもよいが単調である必要がある。試験目的で実行される実施例では、ラウドネスマッピングは線形である。
特徴抽出部および選択部モジュール110(FES)は、M個の入力サンプルのうちいくつかを抽出および/または選択する。M個の入力サンプルの各々は、複数の振幅イコライズされ、かつ、ラウドネスマッピングされた周波数ビン信号のうちの1つの瞬間値に対応する。典型的に、選択された入力サンプルは、残りの入力サンプルとは区別する特徴を呈する。選択された入力サンプルは、選択された周波数ビン信号305のセットを構成する(図3)。選択された周波数ビン信号のセットの選択は、各々サンプル期間に一回など、非常に頻繁に変更することができる。したがって、選択された周波数信号の持続時間から見ると、選択された周波数ビン信号305のセットは、単一のサンプルと同じくらい短くてもよい。選択された周波数ビン信号305のセットの決定は、入力サンプルの大きさ等、様々な基準に基づき得る。選択されたビン信号のセットは、N個の選択された周波数ビン信号を含む。これらN個の選択された周波数ビン信号またはサンプルは、典型的に最大の大きさを有し、第1の選択された周波数ビン信号M(1)が、最高振幅を表し、かつ、M(N)は、n番目に高い振幅のサンプル、すなわち選択された周波数ビン信号のうち最も低い大きさを有する周波数ビン信号をあらわすよう類別される。上記の実施例では、選択された周波数ビン信号のセットにおける選択された周波数ビン信号の数Nは、3である。典型的に、選択された周波数ビン信号のセットの決定は、特徴抽出部および選択部モジュール110への入力サンプルの大きさに基づくことになる。この場合、選択された周波数ビン信号のセットを、強周波数ビン信号のセットまたは主周波数ビン信号のセットと呼んでも良い。強周波数ビン信号または主周波数ビン信号は、元の音声データに含まれていて、装用者が、ある言葉を理解するかまたはある種の音を聞く等の助けとなる有用な情報を含んでいる可能性が高い信号である。なお、強周波数ビン信号のセットには、典型的にN個の最大の大きさを有する周波数ビン信号が含まれると考えられるが、「強周波数ビン信号」と言う表現は、必ずしも「最強の周波数ビン信号」を意味しない。
特徴抽出部および選択部モジュール110は、選択された周波数ビン信号のセットから1つの周波数ビン信号(または選択されたサンプルのセットから1つのサンプル)を選択する。この選択は、典型的に、選択された周波数ビン信号のセットのいずれか1つを選択できるようランダムである。このランダムな選択は、選択されたセットのうち1以上の選択された周波数ビン信号に割り当てられる1以上の選択確率値により偏らせることができる。特定の選択確率値を選択されたビン信号またはサンプルに割り当てることで、刺激装置114の対応する電極を後に駆動するための最終的に保持する周波数ビン信号/サンプルが、常にそうなるわけではないが、最大の大きさのサンプルが選択されたサンプルのセットにおける他のサンプルよりも選択される頻度が高くなるような態様で、制御され得る。選択確率値は、より高い大きさのサンプルを選択する確率を表すパラメータSの関数として選択することができる。S=1.0であれば、最高の大きさのサンプルM(1)が、各々サイクルにおいて選択され、刺激は決定論的である。たとえば、S=0.8およびN=3で、M(1)、M(2)またはM(3)を選択する可能性は、それぞれ、80%、16%および4%である。S<1.0ならば、刺激が確率論的であり、これがより良い生物適合性の理由と考えられる。上記の実現例では、パラメータS=0.9として選択した。
刺激構築部モジュール112(SBM)は、使用される刺激装置の特徴および患者の好みに基づき刺激信号の他の特徴(パルスの種別、パルス幅他等)を決定する。刺激構築部モジュール112は、ランダム選択プロセスにより特徴抽出部および選択部モジュール110からのデータ、特に、選択された周波数ビン信号のセットのうちどの信号が選択されたかのデータも受ける。ある周波数ビン信号/サンプルの選択により、刺激装置114のどの電極が活性化されるかが決まる。特徴抽出部および選択部モジュール110は、刺激増幅器モジュール112に対する選択されたサンプルの大きさに関するデータも提供する。
刺激における繰り返しを減らすため、経時的に1以上の刺激パラメータを確率的に変更することが有用かもしれない。電極刺激信号のための1つの可能な波形は、2つの位相の間のギャップが短い(およそ8μs)の二相性パルスが考えられる。ギャップの持続時間を、正常な聴力を有する人にも観察されるようにランダムに変更してもよい。このランダムな変更は、自然なプロセスを反映し、神経聴覚補助装置100の装用者の知覚能力を向上させると考えられる。上記の実現例では、位相ギャップGは、これに続く[(1−J)・G,(1+J)・G]の範囲の刺激の間でランダムに変更されるが、ここでJ=0.1である。典型的に、Jは、[0,1]という間隔の中にあるが、1よりも0に近い(0≦J<<1)。
要約すれば、図1に示す神経聴覚補助装置100は、音声信号を受け、この音声信号をいくつかの周波数帯のその周波数成分に関して解析し、取得した周波数ビン信号を規格化し、数を減らして周波数ビン信号を選択し、周波数ビン信号のうち1つをランダムに選択し、かつ選択した周波数ビン信号のパラメータと特徴とに基づいて電極刺激信号を発生させる。最後に、電極刺激信号を、選択した周波数ビン信号の周波数帯に対応する電極に付与する。
上記の信号処理ブロックまたはタスクのいくつかは省略することができる。たとえば、特徴抽出部および選択部モジュール110は、選択された周波数ビン信号のセットを決定する中間ステップなしに1つの周波数ビン信号をランダムに選択する処理へ直接進んでも良い。これは、他の周波数ビン信号/サンプルに比較して比較的弱い大きさの周波数ビン信号/サンプルに非常に小さい選択確率値(ゼロも可能)を割り当てることにより実行できる。
図2Aは、掃引正弦波(275Hz〜7750Hz)および掃引に対して−6dBFSの振幅を有する一定の2000Hzの純音からなる合成入力音声についてのフィルタバンク104の経時的出力を示す。周波数帯の数Mは22であり、すなわち刺激装置114の電極数と一致するようにすでに減らされている。図2Aは、様々なグレイの影として時間上のある瞬間のある周波数帯内の周波数ビン信号の大きさを表す。合計サンプルレートTSRは、TSR=9000/秒である。2000Hzの純音が、3つの異なる周波数帯に現れていることがわかる。さらに、掃引正弦波信号が一定の2000Hz純音の2000Hzという周波数に接近する場所には、低周波数ビートが観察できる。
図2Bは、図2Aに示すフィルタバンク出力に基づいて発生される特徴抽出部および選択部モジュール110の特徴の出力を示す。図2Bにおける特徴抽出部および選択部モジュールの出力は、以下のパラメータで信号処理を構成することにより得られた。前回サイクルにおいて電極刺激信号を発生させるために使用されると、繰り返しペナルティPは0.0dBになるように選択、つまり現在の周波数ビン信号またはサンプルは、減衰されない。複数の周波数ビン信号105間の選択確率値の分布を制御するパラメータSを、S=1.0に設定した。これは、実際の刺激信号の発生に使用される周波数ビン信号の選択が、決定論的であることを意味する。すなわち、特徴抽出部および選択部モジュール110は、最大の大きさを有する周波数ビン信号を選択する。
図2Cおよび図2Dは、異なるパラメータ設定下で得られる周波数抽出部および選択部モジュール110の他の出力を示す。図2Cにおけるフィルタ抽出部および選択部モジュール出力は、繰り返しペナルティ減衰をP=10.0dBに、選択確率値の分布を制御するパラメータSをS=1.0に設定することにより得られた(決定論的)。図2Dの場合、繰り返しペナルティ減衰は、P=10.0dBに設定され、パラメータSは、S=0.5に設定された(確率的)。図2Dの場合には特に、選択したパラメータの設定により、よりソフトな純音が、刺激パターン内に安定的に表れることがわかる。対照的に、図2Bに示す特徴抽出部および選択部モジュール出力に対応するパラメータ設定について、掃引正弦波信号の後半半分では、このよりソフトな純音は完全に消えていた。図2Cに有効なパラメータの設定(繰り返しペナルティ減衰および決定論的周波数ビン信号選択)には、いくらか改善が見られる。図2Dに示す特徴抽出部および選択部モジュール出力の発生について行ったように、ある程度のランダムさを導入することにより元の入力音声に含まれていた関連情報の主要な部分を反映する刺激パターンを発生させる。図2Aから図2Dは、100msの時間スパンにあたる。
電極刺激の提示された方法では、フィルタバンク104の出力に付与されると元の信号の微細な時間構造の大きな部分の保持が測られる。他に考えられる効果では、遅延軌跡とも呼ぶ内耳圧力波が、患者における音声知覚を向上させると考えられる刺激パターンの一部として残る。同じ理由で、(刺激された)基底膜および内有毛細胞の位相ロック、圧縮および適合効果を比較的忠実に表現でき、これが、より良い音高および出だしの知覚につながる。
提示されたシステムは、音声入力側でも刺激出力側でも、ブロックごとの処理に固有に依存しない。処理ブロックが1つのサンプル期間に属するデータを実質的に即時処理できる場合、このシステムを用いた両耳構成における2つの同じ装置間の有効ラグは、最大で1/TSR秒であると考えられる。高速フーリエ変換(FFT)等、現在使用されるフィルタバンク技術の中には、いくつかのサンプル期間をリレーして、入力信号の周波数成分に関して入力信号を解析するものがあり、これにより信号処理に遅延が導入される。この場合、両耳構成における2つの同じ装置間の有効ラグは、いくらかランダムになり、かつ、導入された遅延と同じ長さ、すなわち数または数十サンプリング期間の長さと同じになり得る。ここに開示される教示により可能とされる即時の信号処理によって、現在使用可能な多くのシステムでは達成されていない程度まで、音源の水平面方向定位が可能となる。
両耳系を用いた水平面方向定位能力を、刺激構成部モジュール112における位相ギャップの確率的変更によりさらに向上させることができる。これについて以下に図7を参照して説明する。
特徴抽出部および選択部モジュール110および/または刺激構成部モジュール112における信号処理に確率処理を含めることで生物適合性および全体的知覚品質の向上が期待される。
図3は、特徴抽出部および選択部モジュール110および刺激構成部モジュール112の模式ブロック図である。特徴抽出部および選択部モジュール110は、ラウドネスマッピング機能108からの複数の周波数ビン信号105を受ける。しかしながら、フィルタバンク104または振幅イコライザ106により複数の周波数ビン信号105を付与することも可能で、すなわち神経聴覚補助装置100は、ラウドネスマッピング機能108を含まないことも可能である。複数の周波数ビン信号105は、複数の信号入力302に到来する。特徴抽出部および選択部モジュール110内で、複数の周波数ビン信号105が、大きさ等のある基準に関して複数の周波数ビン信号のランク決めをするようになっているソーター304へ転送される。周波数ビン信号105は、ピースごとに処理され、すなわちソーター304は、1サンプル期間等、ある時間の間隔内にある周波数ビン信号のピースを解析する。
ソーター304によって決定された複数の周波数ビン信号の順番に関する情報、または決まった順番に自動的に配列される周波数ビン信号、または最大の大きさを有する信号等の複数の周波数ビン信号の一部が、ソーター304により出力されて、ランダム選択部308へ付与される。ランダム選択部308は、たとえば、1以上の選択確率値により制御されるランダム処理により、周波数ビン信号の順序が決まったセットから1つの周波数ビン信号を選択する。典型的に、相対的に高い選択確率値が最大の大きさの周波数ビン信号に割り当てられる。より小さい選択確率値は、2番目以降の大きさの周波数ビン信号に割り当てられることになる。図3において、ソーター304が、周波数ビン信号または周波数ビン信号への参照のセットを付与し、これはN個の要素を有する。このように、ソーター304は、複数の周波数ビン信号よりも数が少ない選択された周波数ビン信号305のセットを選択するようになっている。数を減らした選択された周波数ビン信号のセットのN=3というサイズが、ランダム選択部308に、3つの最大の大きさを有する3つの周波数ビン信号を付与し、そこからランダム選択部308は、選択確率値を考慮しながらランダムプロセスにより1つの信号を選ぶよう構成される。
選択確率値は、図3でp(1)、p(1)およびp(N)と参照番号を付与される。選択確率値は、選択確率値割当部306によりランダム選択部308へ付与され、この割当部が、大きさが最大の周波数ビン信号について選択確率値p(1)を、2番目の大きさを有する周波数ビン信号について選択確率値p(2)およびn番目の大きさの周波数ビン信号について選択確率値p(N)を設定するが、これは、典型的には、選択された周波数ビン信号のセット内で考慮される最後のものである。選択確率値割当部306は、入力としてパラメータSを取り、選択確率値は、パラメータSの関数として計算される。
ランダムセレクション308の出力は、ランダム選択部308により選択される電極の表示部かまたは選択された周波数ビン信号のいずれかである。前者の場合、選択された電極表示部を制御信号として、マルチプレクサ310へ付与する。マルチプレクサ310は、複数の周波数ビン信号105のための複数の入力を含む。図3において、複数の周波数ビン信号をソーター304からマルチプレクサ310へ送るが、これはいくつか可能な実現例の1つに過ぎない。たとえば、マルチプレクサ310は、信号入力302に直接接続することができる。マルチプレクサ310は、選択された電極インジケータに対応するその入力の1つをマルチプレクサ310の出力と接続する。こうして、選択された周波数ビン信号は、振幅決定モジュール312へ送られる。マルチプレクサ310を設ける代わりに、ランダム選択部308内にマルチプレクサの能力を含むこともできる。ランダム選択部308は、選択された周波数ビン信号を受け、かつ、選択された周波数ビン信号のセットのうち1つの周波数ビン信号を振幅決定モジュールへ転送する。
振幅決定モジュール312は、その振幅に関して選択された周波数ビン信号を解析する。典型的に、振幅決定は、振幅決定モジュール312が単にソーター304が付与する対応の振幅データにアクセスまたはこれを使用できるように、すでにソーター304により実行されている。振幅決定モジュール312は、刺激構成部モジュール112の一部である電極刺激信号発生部314により使用されるパラメータまたはパラメータセットを発生させる。電極刺激信号発生部は、振幅決定モジュール312ならびに/または特徴抽出部および選択部モジュール110により付与されるパラメータに基づき電極刺激信号を創出するようになっている。発生には、付与されたパラメータに従って調整される電極刺激信号のためのテンプレートを使用してもよい。発生された電極刺激信号を、刺激構成部モジュール112の電極刺激信号出力316へ付与し、これが刺激装置114へ送られる。電極刺激信号発生部314も、発生された電極刺激信号が、電極刺激信号が適用される選択された電極についての情報を含むように、ランダム選択部308からの選択された電極インジケータも受ける。図3には、1つの電極刺激信号出力316しか示していないが、電極刺激信号発生部314および刺激構成部モジュール112は、たとえば刺激装置114の電極ごとに1つの出力等、複数の電極刺激信号出力を含み得る。
本件の特徴抽出部および選択部モジュール110は、聴覚に障害のない人の聴覚に見られる現象を反映する電極選択におけるある程度のランダムさを導入する。これは、自然な現象なので、神経聴覚補助装置100の装用者の聴覚の健康な残りの部分が、完全に決定論的な信号に対するよりもわずかにランダムな信号により、よく反応する可能性がある。
図4Aおよび図4Bは、神経聴覚補助装置100のための制御信号を発生するための方法の模式フローチャートである。この方法は、最初に、44.1KHz等のサンプルレートSRでサンプリングされたパルスコード変調(PCM)オーディオ信号を受信する。オーディオ信号のサンプリングレートSRは、神経聴覚補助装置100の出力における電極刺激信号のパルスレートより高い。したがって、オーディオ信号のNsサンプルのいくつかは、1つの刺激サイクルの間に処理され得る。ここに開示する教示による方法または装置を実現する神経聴覚補助装置100においては、PCMオーディオ信号は、典型的に、マイクロホン、増幅器およびアナログデジタル変換器等の図3には図示しない神経聴覚補助装置100の構成要素により付与される。
図4Aに示す方法の最初の動作は、ブロック402に示す外耳および中耳(OME)のフィルタリングである。基底膜(BM)応答の計算も402で行われる。基底膜応答は、基底膜のシミュレーションモデルによりPCMオーディオ信号を処理することにより得られる複数の周波数フィルタ処理した信号である。簡素化した態様では、基底膜のシミュレーションモデルは、周波数領域において間隔が密なバンドパスフィルタを複数個含むフィルタバンクとみなすができる。ブロック404は、各々Nサンプルを有する101個の周波数ビン信号を含む基底膜応答を表す。101個の周波数ビン信号の数は純粋な例である。
406では、基底膜応答404からの周波数ビン信号のいくつかを、さらなる計算のために選択する。この動作または機能ブロック406を、チャネル選択部(ChCh)と呼ぶ。チャネル選択(「BM応答(ChCh)」)の後の基底膜応答を表すブロック408で見られるように、図4Aに示す例では、通常元の101個の周波数ビン信号から22個の周波数ビン信号を維持する。図4Aの実施例では、チャネル選択408後の基底膜応答には、各々Nサンプルの長さの22個の周波数ビン信号が含まれる。
406でのチャネルの選択は、典型的に、チャネルの特性周波数(CF)(対応の周波数ビンの中心周波数等)を刺激装置114における電極の特性周波数と比較することによって行われる。たとえば、それらの中心周波数が神経聴覚補助装置100の所与の装用者のアドバンスドコンビネーションエンコーダ(ACE)方式において用いられる中心周波数に最も近くなるように、チャネルを選択し得る。
410で、選択したチャネル上のデータをまず高拍動数(HSR)の内有毛細胞として作用するよう調整した被刺激内有毛細胞で処理する。高拍動数内有毛細胞は、聴覚閾値レベルで動作を開始し、約65dBSPLで飽和する。この刺激ステージの次に、聴覚モデルの出力を、基底膜に沿った所与の位置でシナプス間隙(参照番号412で、図4AにおいてCCデータとして示す)における神経伝達物質の濃度として考えることができるようなシナプス間隙モデルが続く。CCデータ412は、フィルタバンク104の出力に対応し、かつ、複数の周波数ビン信号105に対応する。フィルタバンク出力は、コアの戦略モジュールにインタフェースされる。
インタフェースする場合の最初の動作として、フィルタバンク出力412が合計刺激レート(合計パルスレートTPRとも言う)に一致するように414で適時に再サンプリングされる。これにより、各々Nサンプルを有する22個の再サンプリングされた周波数ビン信号を含むデータセットCCRESデータ416が得られる。値Nは、データセット416内の各々周波数ビン信号が、1つの(瞬間)サンプルのみを含むように、1に等しくしてよい。418で、不活性と記されていないチャネルに関連する再サンプリングされたフィルタバンク出力416のデータ要素は、dBFS単位に変換される。これが可能なのは、CCRES値が、非マイナス(ゼロ要素および不活性チャネルに関連する値は対数領域エラーを回避するために、−99.9dBFS値に変換される)だからである。必要に応じて、単に加えることでチャネル利得訂正も適用し、チャネルごとに知覚されるラウドネスを変更できる。
神経聴覚補助装置100のための制御信号発生方法の実現例では、すべての追加処理ステップは、サンプルごと(または刺激サイクルごと)にループ内に存在して、それにより現在のサイクルの動作が前回のサイクルの結果を利用し得る。
dBFS値に変換された周波数ビン信号のデータセット420から初めて、繰り返しペナルティ422をデータセット420のそのチャネルに付与するが、これは、最後のサイクルまたは最後までの複数のサイクルの少なくとも1つの対応する電極の刺激に含まれていたものである。繰り返しペナルティの値を上げることにより、連続するサイクルで同じ電極を繰り返し選択する確率を減らすかまたは完全に禁じることさえ可能である。422で繰り返しペナルティを付与することで、データセット424(CCPENデータ)が生成される。
この方法は、接続部Aで示す通り図4Bで継続する。426で、ラウドネスマッピングが行われる。図4Aおよび4Bに示す実現例において、データセット424の各チャネルにおける値を解析し、ラウドネスの範囲から規格化された範囲へマッピングする。ラウドネスの範囲の下限は、閾値のレベルにより付与され、ラウドネスの上限は快適さのレベルにより付与される。典型的に、閾値のレベルと快適さのレベルは、選択されたチャネルについては異なる。閾値レベルは、規格化された範囲の値0.0にマッピングされ、快適度のレベルは規格化された範囲の値1.0にマッピングされる。閾値レベルと快適さレベルとの間の値が規格化された範囲[0.0,1.0]内の値にマッピングされる。マッピングは、線形でも非線形でもよく、たとえば、二乗則、指数則、対数則またはシグモイド法則によるものでもよい。閾値レベルより小さい値は、0.0にマッピングされ、快適さレベルより大きい値は、1.0にマッピングされる。ラウドネスマッピングされた周波数ビン信号を含むデータセットを、図4Bでは、参照番号428で示す。
次に、ブロック430で、ラウドネス増大関数(LGF)をラウドネスマップドデータ428(CCLMデータ)に適用する。ラウドネス増大関数は、規格化された範囲[0,1]を、聴覚神経補助装置100の各々チャネルに個別の曲線により、他の規格化された範囲[0,1]にマッピングする。複数の選択された周波数ビン信号のための複数のラウドネス増大関数の曲線をチャネル間で可変の曲線形状係数により制御する。理論上、ラウドネスマッピング426とラウドネス増大関数430とを組み合わせることは可能だが、聴覚神経補助装置100を特定の受容者に対して調節する際、別々にしておいた方が聴覚訓練士には扱いやすいと考えられる。ブロック432は、ラウドネス増大関数(CCLGFデータ)後の選択されたチャネルのデータを表す。
次のステップで、データセット432において最大の振幅値を有する3つのチャネルを探す。決定された最大値は、降順で類別され、かつ、データ構造CCMAXにおけるそれらの元の(チャネル)インデックスに沿って類別される。データ構造CCMAX436の第1のデータ要素CCMAX[0]は、1番大きい最大値CCMAX[1]、2番目に大きい最大値CCMAX[2]、および3番目に大きい最大値を表す。3つの最大値という数は例である。ここに開示の方法の目的上、2以上の決定された最大値の数を使用し得る。選択したすべてのチャネルが、処理閾値を下回るデータセット432内の信号値を有する場合もあり得る。この場合、現在のサイクルではゼロ刺激が予定されており、かつすべての連続する処理ステップをスキップする。
1番大きい最大値CCMAX[0]が見つかるだけでなく、2番目に大きい最大値CCMAX[1]、さらに、処理ブロック434が決定する順序による他の最大値も見つかれば、次のタスクは、それらの1つを選択することである。パラメータS(図3)等の選択処理のランダムさを制御する設定に基づき、この選択は決定論的または確率的になり得る。パラメータSは、1番大きい最大値を選択する確率を表す。S=1.0であれば、各サイクルにおける1番大きい最大値CCMAX[0]を選択することになり、かつ刺激は決定論的なものとなる。S<1.0なら、刺激は確率的なものになり、これがよりより生物適合性の理由になり得る。パラメータSを付与することは、再帰的であり、すなわち、最初の再帰では、1番大きい最大値の選択確率値p(1)が決定され、1−p(1)を計算することにより、2番目に大きい最大値からn番目に大きい最大値の複合確率を計算する。次の再帰では、2番目に大きい最大値p(2)の選択確率値は、(1−S)を計算することにより決まる。たとえば、3つの頂点が見つかって、S=0.8なら、それぞれCCMAX[1]、CCMAX[2]またはCCMAX[3]を選択する選択確率値p(1)、p(2)およびp(3)は、それぞれ、80%、16%、および4%である。3つのピークのうち1つを選ぶ動作は、図4Bにおいてブロック438で表される。ブロック440は、1×Nサンプルを含む選択されたデータ要素CCSELを表す。
ブロック424で、選択された周波数ビン信号またはサンプルに対して音量の設定が行われる。音量の設定は、電気的刺激の閾値および快適さレベルの差により決定されるダイナミックレンジを調整することを含む。カスタム音量を指定しない場合には、音量のデフォルト設定を使用する。同じ処理ステップにおいて、音量を調節した値を[閾値の現レベル,快適さの現レベル]の現在のレベル範囲にマッピングし、「現在のレベル」の整数までまるめる。さらに、刺激パラメータを集めて刺激パラメータセット(図4BのStimParデータ、参照番号444)を構成する。刺激パラメータは、電極刺激信号の幅(電極刺激信号の間に発生するギャップの持続時間)であり、電極刺激信号が付与される電極のインジケータである。刺激に使用する電極のインジケータは、典型的にデータセット440から取ることができる。
任意のブロック446で、電極刺激信号の発生を制御するパラメータの異なるものを確率的に変化させる可能性も考えられる。たとえば、その可能性とは、良く定義された限界の範囲にある二相電極刺激信号の位相ギャップ長特性を確率的に変更することが考えられる。このランダムな変更により刺激信号にいくらかの不規則性が加わり、これにより周期的な特徴が減じられる一方で、元の信号の細かい時間的構造が保存される。たとえば、[(1−ΔG)・G,(1+ΔG)・G]の範囲で、続く刺激サイクルにおいて位相ギャップの長さに変化を生じさせる、位相ギャップ変化ΔGを導入することができる。この可変G0は、位相ギャップの平均長さを表すものである。位相ギャップ変化ΔGは、[0,1]の範囲にあって、典型的に1より小さい値を有し、たとえばΔG=0.1である。このような位相ギャップ変化の付与は、現在の刺激モード(刺激レート等により決定)との互換性の対象になり得る。特に、現在の刺激モードが、位相ギャップ変化についてある最大値を可能にする可能性がある。位相ギャップ変化または位相ギャップ変化の値の適用が、現在の刺激モードと適合性がない場合、動作446を、完全にスキップしてもよい。
1以上の刺激パラメータの確率的変更の実施の有無にかかわらず、対応のパラメータセット448は付与される。そこで、刺激パラメータセット448を使用して、ブロック450で対応の電極刺激信号を発生し付与する。
聴覚フィルタバンク104に関連する例示的構成のパラメータを以下の表に挙げる。
Figure 0005415633
振幅イコライザ106、ラウドネスマッピング関数108、特徴抽出部および選択部モジュール110ならびに刺激構成部モジュール112の動作に関連する例示的パラメータを以下の表に挙げる。
Figure 0005415633
図5は、様々なラウドネスのレベルでの1000Hz純音についての基底膜およびそのモデルの応答を示す図である。元の規定膜から得られた観察結果を黒い四角として図5に表し、基底膜が低いラウドネスの範囲および高いラウドネスの範囲でもラウドネスの差について比較的高い感受性を有することを示す。およそ40dBSPLから80dBSPLの中間ラウドネスの範囲では、曲線は比較的平坦で、基底膜が比較的この範囲でのラウドネスについて感受性が低いことを示す。基底膜の挙動の単純な線形モデルを、高いラウドネスレベルでの観察結果に漸近する太い実線で図5に示す。この線形モデルは、およそ60dBSPLを下回るラウドネスレベルについての基底膜の応答を概ね無視する。図5の細い実線により表すモデルの特徴は、観察結果をより近接して追随する一方、太い点線で描かれる活性の特性はこの観察結果により近い。基底膜入力および出力範囲の増幅ならびに増幅特徴を細かく調整するためのファクタを、シミュレーションした基底膜の非線形特性が実験データに最もよく合うように調整する。
図6は、ここに開示する教示の1つの局面に従う方法の例示的模式フローチャートである。601の方法のスタート後、複数の周波数ビン信号を602で受信する。複数の周波数ビン信号は、聴覚補助装置100の刺激装置114において入手可能な電極に対応し得る。任意の動作603では、強い周波数ビン信号のセットを決定する。周波数ビン信号は、大きな大きさを有する等の1つ以上の基準を満たせば「強い」と称する条件を満たす。
他の任意の動作604では、最大の大きさを有する周波数ビン信号、2番目に大きい周波数ビン信号およびそれ以降の信号が決定できるように、強い周波数ビン信号のセットを大きさによって類別する。
605で、強い周波数ビン信号の1つ以上に、1以上の選択確率値を割り当てる。典型的に、選択確率値を強い周波数信号の選択されたセットにおける強い周波数ビン信号のすべてに割り当てる。動作606では、その前の動作605で、強い周波数ビン信号に割り当てた選択確率値により「バイアス」されるランダムなプロセスにより、強い周波数ビン信号の1つを選択する。典型的に、最大の大きさの周波数ビン信号を、2番目に大きい周波数ビン信号より高い確率で選択し、かつそれ以降同様である。しかしながら、割り当てられた選択確率値が非ゼロなら、大きさに関して2番目に大きい周波数ビン信号またはよりランクの低い周波数ビン信号が、動作606の際に選択されることもあり得る。
次に、選択された強い周波数ビン信号のインデックスに対応する電極について、607で電極刺激信号を発生させる。この方法は、608で終了する。この方法は、典型的に、刺激サイクルことに一回繰り返される。
図7は、電極刺激信号発生に対してある程度のランダムさを導入するための他のオプションを示す。図7の上の図は、2つの連続する二相刺激パルスの波形を示す。2つの二相刺激パルスの各々は、ギャップGが後ろに続くマイナスのパルスで始まる。ギャップGの後、プラスのパルスが続く。ギャップGの持続時間は、G+ΔG(t)で得られ、ここでG0は、ギャップGの平均持続時間であり、ΔG(t)の項は、ギャップ持続時間のうち、時変でランダムな部分である。このように、電極刺激信号の2つの連続する二相パルスは、異なるギャップ持続時間を有することが可能である。
図7の下の部分は、ミリ秒で測定される時変でランダムな部分ΔG(t)の時間的展開を示す波形図である。ΔG(t)の新しい値が、周期的でランダムな態様で決定される。説明のため、いくつかのランダムな決定が、図7の下の部分に示されるが、刺激サイクルにつき1つのランダムな決定で十分である。ギャップ持続時間のうち、時変で、ランダムな部分GΔ(t)は、2つの限界値−ΔGmaxと+ΔGmaxとの間のいずれの値でも取り得る。一様分布やガウス分布等、確率密度分布を適切に選択することができる。
位相ギャップのランダムに決定される持続時間を、図4Bのブロック446において使用することができる。
図8において、1つの周波数ビン信号を選択し、結果として、そこを介して現在の刺激サイクルの電極刺激信号が付与される対応の電極を選択すするランダムなプロセスについて、3つの異なる確率分布密度を示す。図8の上の部分では、パラメータSは、S=1が選択されている。これは、最大の大きさの周波数ビン信号p(1)を選択する確率が1で、たとえば100%であることを意味する。強い周波数ビン信号のセットにおける残りの周波数ビン信号についての選択確率値は、p(2)=p(3)=0である。これは、周波数ビン信号選択プロセスにおけるランダムさがなくなっており、かつ周波数ビン信号選択が実際には決定論的になっていることを意味する。
図8の真ん中の図では、パラメータSは0.9の値を有する。これは、以下の選択確率値につながる。すなわちp(1)=0.9、p(2)=0.09かつp(3)=0.01である。下の図では、パラメータSは0.8である。結果として、選択確率値は、p(1)=0.8、p(2)=0.16かつp(3)=0.04である。
図9は、電極刺激信号の発生に対してある程度のランダムさを導入するという特徴による方法の模式フロー図である。901でスタートすると、複数の周波数ビン信号が、902で受信される。ブロック903では、複数の周波数ビン信号から1つの周波数ビン信号を選択する。なお、ここに開示する教示のこの特徴に関連して、周波数ビン信号を全く選択できないかもしれないし、周波数ビン信号のうちいくつかを選択できるかもしれない。
ブロック904で、最終的な電極刺激信号を発生するために使用される刺激信号発生パラメータを、予め定義した境界内でランダムに変化させる。対応の電極へ付与される電極刺激信号は、動作904で決定され、かつ、変化される刺激信号発生パラメータに従い905で発生させる。発生させた電極刺激信号は、選択された周波数ビン信号に対応する電極へ付与される。ブロック906で、この方法は終了する。
図10は、ここに開示する教示のある特徴に従う模式ブロック図である。複数の周波数ビン信号105を複数の信号入力302で受信し、そこからそれらの信号はマルチプレクサ310および評価部1006へ分配されるが、評価部は、特徴抽出部および選択部モジュール1010の一部である。評価部1006はたとえば、図3に関連して説明かつ記載した選択的周波数ビン信号の選択方法を実現し得る。別の方法では、評価部1006は、決定論的選択スキームにより実現することができる。図3に示すものと同様の態様で、選択された周波数ビン信号を振幅決定312へ転送し、そこで振幅を決定する。
刺激構成部モジュール1012は、決定した振幅値と、選択された電極/周波数ビン信号のためのインジケータも受信する電極刺激信号発生部314を含む。刺激構成部モジュール1012は、電極刺激信号発生部314に接続されるパラメータ修正部1008をさらに含む。パラメータ修正部1008は、電極刺激信号発生部314に刺激信号発生パラメータの修正された値を与えるように構成される。パラメータ修正部1008は、刺激信号発生パラメータのランダム値が、パラメータ修正部1008により生成されるようにランドマイザを含み得る。別の態様では、パラメータ修正部1008は、予め定められたやり方で刺激信号発生パラメータを修正して、ランダムな挙動をシミュレーションし得る。電極刺激信号発生部314は、電極刺激信号出力316で入手可能な対応の電極刺激信号を発生する。ランダムな変更(ある境界の範囲内で)の対象である刺激信号発生パラメータの例には、二相パルスの位相ギャップの持続時間がある。
電極刺激信号発生部314は、電極刺激信号の予め定義されたテンプレートを使用し得る。これらテンプレートは、典型的に、1以上の刺激信号発生パラメータを調節することにより得られる電極刺激信号を修正するいくつかのオプションを提供する。
装置に関連していくつかの特徴について説明したが、これらの特徴も対応の方法の説明を表し、ブロックまたは装置が、方法ステップまたは方法ステップの特徴に対応することは明らかである。同様に、方法ステップに関連して記載された特徴も、対応の装置の対応のブロック、アイテムまたは特徴の説明も表す。方法ステップのいくつかまたはすべてを、たとえばマイクロプロセッサ、プログラム可能コンピュータ、または電子回路等のハードウェア装置により(またはこれを使用して)実行することができる。いくつかの実施例においては、最も重要な方法ステップのいくつかは、そのような装置により実行してもよい。
いくつかの実現の要件によっては、本発明の実施例は、ハードウェアでもソフトウェアでも実現することができる。実現とは、電子的に可読な制御信号を記憶したフロッピィディスク、DVD,ブルーレイ、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROMまたはフラッシュメモリ等のデジタル記憶媒体を使用して行われ、これらの信号は、それぞれの方法が実施されるようにプログラム可能コンピュータシステムと協働する。したがって、デジタル記憶部は、コンピュータ可読である。
本発明によるいくつかの実施例には、電子的に可読な制御信号を有するデータキャリアを含み、これら信号は、プログラム可能コンピュータシステムと協働することが可能で、それによりここに記載の方法の1つが実行される。
一般に、本発明の実施例は、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品として実現可能で、コンピュータプログラム製品をコンピュータ上で実行すると、プログラムコードは、動作可能となり方法の1つが実行される。プログラムコードは、たとえば、機械可読なキャリア等に記憶することができる。
他の実施例には、ここに記載の方法の1つを実行するための、機械可読なキャリアに記憶されたコンピュータプログラムを含む。
したがって、言い換えれば、本発明の実施例は、コンピュータで実行される際に、ここに記載の方法の1つを実行するためのプログラムコードを備えるコンピュータプログラムである。
したがって、発明の方法の他の実施例は、ここに記載の方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを記録したデータキャリア(またはデジタル記憶媒体またはコンピュータ可読媒体)である。データキャリア、デジタル記憶媒体または記録された媒体は、典型的には、有形でかつ/または非過渡性のものである。
したがって、発明の方法の他の実施例は、ここに開示する方法の1つを実施するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号のシーケンスである。データストリームまたは信号のシーケンスは、たとえば、インターネットを介してデータ通信接続により転送されるよう構成されてもよい。
他の実施例は、ここに開示の方法の1つを実施するよう構成または適合されたコンピュータまたはプログラム可能論理装置等の処理手段を含む。
他の実施例は、ここに開示の方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムをインストールしたコンピュータを含む。
本発明による他の実施例は、ここに記載の方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを受信部へ(たとえば電子的または光学的に)転送するよう構成された装置またはシステムを含む。受信部は、例えば、コンピュータ、携帯装置、メモリ装置等が可能である。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信部へ転送するファイルサーバー等を含み得る。
いくつかの実施例では、プログラム可能論理装置(フィールドプログラマブルゲートアレイ等)を使用してここに記載の方法の機能性のいくつかまたはすべてを実行しても良い。いくつかの実施例においては、フィールドプログラマブルゲートアレイは、ここに記載の方法の1つを実行するためにマイクロプロセッサと協働してもよい。一般に、方法は、なんらかのハードウェア装置により実行されることが好ましい。
上記の実施例は、本発明の原則を説明するに過ぎない。当業者には、ここに記載の構成および詳細について、変形および変更が明らかであることは当然である。したがって、発明は係属する請求の範囲によってのみ限定されることを意図し、実施例の記載および説明により提示される特定の詳細によって限定されない。

Claims (13)

  1. オーディオ信号に基づいて、神経聴覚補助装置(100)のための制御信号を発生させる方法であって、方法が、
    複数の周波数ビン信号(105)を受けるステップと、
    前の刺激サイクルの間に、神経聴覚補助装置(100)の1つの電極が刺激のために選択されたかどうかを決定するステップと、
    前の刺激サイクルの間に刺激された決定された電極に対応する対応の周波数ビン信号を減衰するステップと、
    複数の周波数ビン信号(105)のうち1以上の周波数ビン信号に選択確率値を割り当てるステップと、
    1以上の周波数ビン信号に割り当てられる選択確率値(p(1)、p(2)、p(N))を考慮に入れるランダムプロセスにより複数の周波数ビン信号(105)のうちの1つの周波数ビン信号を選択するステップと、
    選択された周波数ビン信号の周波数に対応する神経聴覚補助装置(100)の電極に付与するための電極刺激信号を発生させるステップとを含む、方法。
  2. 受信した複数の周波数ビン信号(105)に対して振幅イコライゼーション(AE)を行うステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 複数の周波数ビン信号(105)を基底膜および有毛細胞の少なくとも1つのシミュレーションに基づいてフィルタバンク(104)から受信する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 複数の選択確率値(p(1)、p(2)、p(N))が、それぞれ複数の周波数ビン信号に割り当てられる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 他の周波数ビン信号に対して高い大きさを有する周波数ビン信号が、比較的より低い大きさを有する周波数ビン信号に割り当てられる選択確率値に比べて高い値の選択確率値が割り当てられる、請求項4に記載の方法。
  6. 選択確率値を複数の周波数ビン信号に割り当てる前に、
    複数の周波数ビン信号(105)の各々の振幅を、振幅のラウドネスをマッピングした表現へマッピングするステップをさらに含み、マッピングが患者に特異的な条件に基づく、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法。
  7. 電極刺激信号を発生させるために使用する刺激信号発生パラメータを変更するステップをさらに含む、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法。
  8. 電極刺激信号を創出するためのテンプレートが、同テンプレートが2つの非ゼロのセクションの間で実質的にゼロ値である時間ギャップ(G)を含み、かつランダムな変更の対象である刺激信号発生パラメータが時間ギャップ(G)の持続時間である、請求項に記載の方法。
  9. コンピュータで実行時、神経聴覚補助装置(100)における信号の信号処理をして、神経聴覚補助装置のための制御信号を発生させるための方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読デジタル記憶媒体であって、
    その方法が、
    複数の周波数ビン信号(105)を受信するステップと、
    前の刺激サイクルの間に、神経聴覚補助装置(100)の1つの電極が刺激のために選択されたかどうかを決定するステップと、
    前の刺激サイクルの間に、刺激された決定された電極に対応する対応の周波数ビン信号を減衰するステップと、
    複数の周波数ビン信号(105)のうちの少なくとも1つの周波数ビン信号に選択確率値(p(1)、p(2)、p(N))を割り当てるステップと、
    1以上の周波数ビン信号に割り当てられた選択確率値を考慮するランダムなプロセスにより、複数の周波数ビン信号(105)のうちの1つの周波数ビン信号を選択するステップと、
    選択された周波数ビン信号の周波数に対応する神経聴覚補助装置(100)の電極に付与する電極刺激信号を発生させるステップとを含む、コンピュータ可読デジタル記憶媒体。
  10. 聴覚刺激信号処理装置であって、
    複数の周波数ビン信号(105)を受信するよう構成される複数の信号入力(302と、
    受信した複数の周波数ビン信号(105)に対して振幅イコライゼーションを行い、いくつか複数の前の刺激サイクルのうち1以上の前の刺激サイクルの間に刺激のために神経聴覚補助装置(100)の1つの電極が選択されたことがあるか否かを決定し、かついくつか複数の最近の刺激サイクルのうち前の刺激サイクルの間に刺激された決定された電極に対応する対応の周波数ビン信号を減衰するよう構成される振幅イコライザ(106)と、
    複数の周波数ビン信号(105)のうちの1以上の周波数ビン信号に選択確率値p((1)、p(2)、p(N))を割り当てるよう構成される選択確率値割当部(306)と、
    1以上の周波数ビン信号に割り当てられた選択確率値を考慮するランダムなプロセスにより、複数の周波数ビン信号(105)から1つの周波数ビン信号を選択するよう構成されるランダム選択部(308)と、
    聴覚神経補助装置(100)の電極に付与するための電極刺激信号を発生させるよう構成される電極刺激信号発生部(314)とを含み、電極が選択された周波数ビン信号の周波数に対応する、聴覚刺激信号処理装置。
  11. 複数の信号入力(302)がフィルタバンク(104)と接続可能であり、フィルタバンクが、基底膜および内有毛細胞の少なくとも1つのシミュレーションに基づく、請求項10に記載の聴覚刺激信号処理装置。
  12. 選択確率値割当部が、それぞれ複数の周波数ビン信号(105)に複数の選択確率値(p(1)、p(2)、p(N))を割り当てるようさらに構成される、請求項10から請求項11のいずれか1項に記載の聴覚刺激信号処理装置。
  13. 電極刺激信号を発生させるために使用する刺激信号発生パラメータを変更するよう構成される修正部(1008)をさらに含む、請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の聴覚刺激信号処理装置。
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