JP5413144B2 - コーティングホブの再研磨・再コーティング方法および再研磨・再コーティングホブ - Google Patents

コーティングホブの再研磨・再コーティング方法および再研磨・再コーティングホブ Download PDF

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Description

本発明は、切れ刃に硬質被膜がコーティングされたコーティングホブの再研磨・再コーティング方法、および該方法による再研磨・再コーティングが施された再研磨・再コーティングホブに関するものである。
ホブやピニオンカッタのように歯車等の歯溝を切削する歯切工具においては、耐摩耗性を高めるためにTiN等の硬質被膜を切れ刃に単層あるいは複数層でコーティングすることが知られているが、それでもある程度摩耗が進行したときには切れ刃のすくい面を再研磨あるいは再刃立てして摩耗部分を除去し、切れ味を回復させて継続して使用するようにしている。ところが、単に切れ刃のすくい面を再研磨しただけでは、すくい面の硬質被膜も除去されてホブ母材が露出してしまうため、特にホブに対する近年の切削速度の向上や切削油剤を使用しないドライ加工への要求を満足させることはできない。
そこで、特許文献1には、Ti系の硬質被膜を一旦すべて除去してから刃部を研削加工して再調整した後、再び硬質被膜をコーティングすることや、このTi系硬質被膜を除去するのに水酸化アルカリおよび過酸化水素を含有する水溶液に浸漬すること、および部材表面が露出しないように硬質被膜をすべて除去せず下地層や下層部分を残して再コーティングすることが記載されている。また、特許文献2には、切れ刃のすくい面の硬質被膜を、新品製作時には研削や除膜液により、また再研磨時には再研磨により除去した後、窒化処理、浸炭、またはショットピーニングにより基材露出部すなわちすくい面の表面硬度を向上させ、さらに切れ刃表面に硬質被膜を再コーティングすることが記載されている。
特開2001−234366号公報 特開2005−82877号公報
しかしながら、このうち特許文献1に記載された、部材表面が露出しないように硬質被膜をすべて除去せず下地層や下層部分を残して再コーティングする方法では、残される下地層や下層部分の厚さが均一になるように硬質被膜を除去するのが困難であるため、再コーティングされた硬質被膜も含めた硬質被膜全体の膜厚が不均一となることが避けられない。また、特許文献2に記載されたすくい面の硬質被膜を除去した後に切れ刃表面に再コーティングを施す方法では、再コーティングの度に逃げ面に硬質被膜が積層されて膜厚が厚くなるため、剥離を生じ易くなったり切れ刃の寸法精度が損なわれてしまったりするおそれがある。
一方、特許文献1に記載された方法のうち、硬質被膜を一旦すべて除去してから切れ刃を再研磨して硬質被膜を再コーティングする方法は、最も単純な方法でありながら、上述のような問題が生じることは少ない。ところが、近年このようなホブの切れ刃にコーティングされる硬質被膜としては、上述のようなドライ加工の厳しい加工条件に耐えるため、上述のTiNのような硬質被膜以外に、同じTi系の硬質被膜でも(Al,Ti)Nや(Al,Ti,Si)N等の他のTi系硬質被膜、あるいはCrN、(Al,Cr)Nや(Al,Cr,Si)NのようなCr系硬質被膜を、TiNと積層したり、他のTi系硬質被膜とCr系硬質被膜とを積層したりしてコーティングした複数積層硬質被膜が用いられるようになってきており、これら他のTi系硬質被膜やCr系硬質被膜は、TiNのように上述した過酸化水素を含有する水溶液(過酸化水素水)等の除膜液では除去することができず、専用の除膜液が必要となる。
このため、このような複数積層された硬質被膜をすべて除去するには、最外層から順にそれぞれ専用の除膜液によって硬質被膜を除去してゆかなければらならない。また、再コーティングの際にも最下層から順に各硬質被膜をそれぞれコーティングして積層してゆくことになるので、これら硬質被膜の除去および再コーティングに多大な時間と労力、コストを要することが避けられなくなってしまう。
本発明は、このような背景の下になされたもので、上述のように専用の除膜液により除去することが可能な複数の硬質被膜を切れ刃にコーティングしたホブを再研磨・再コーティングするのに際して、硬質被膜の除去および再コーティングに要する時間や労力、コストの削減を図ることが可能なコーティングホブの再研磨・再コーティング方法を提供し、これにより、近年の高速ドライ加工の過酷な加工条件にも耐えることができて、しかも膜厚の不均一や剥離、あるいは切れ刃の寸法精度の低下などを招くことのない再研磨・再コーティングホブを提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のコーティングホブの再研磨・再コーティング方法は、切れ刃の少なくとも逃げ面に第1の硬質被膜がコーティングされた上に、該切れ刃のすくい面と上記逃げ面とに、上記第1の硬質被膜を除去し得ない除膜液によって除去可能な第2の硬質被膜がコーティングされたコーティングホブの再研磨・再コーティング方法であって、上記切れ刃のすくい面をホブ母材が露出するまで再研磨する再研磨工程および上記除膜液によって上記第2の硬質被膜を除去する除膜工程と、これら除膜工程および再研磨工程の後に上記切れ刃のすくい面と逃げ面とに上記第2の硬質被膜を再コーティングする再コーティング工程とを備えることを特徴とする。
また、このような再研磨・再コーティング方法によって再研磨・再コーティングされた本発明の再研磨・再コーティングホブは、上記切れ刃の逃げ面に第1の硬質被膜がコーティングされるとともに該切れ刃のすくい面ではホブ母材が露出させられた上に、上記第1の硬質被膜を除去し得ない除膜液によって除去可能な上記第2の硬質被膜が、これらすくい面と逃げ面とに再コーティングされていることを特徴とする。
上記構成のコーティングホブの再研磨・再コーティング方法では、上述したようにTiNを除去可能な過酸化水素水では上記他のTi系硬質被膜は除去し得ないこと、あるいはこの他のTi系硬質被膜とCr系硬質被膜とがそれぞれ専用の除膜液でなければ除去し得ないことを利用して、上記除膜工程において、第1の硬質被膜を除去し得ない上記除膜液によって第2の硬質被膜のみを除膜するとともに、再研磨工程において、ホブ母材が露出するまですくい面を再研磨する。なお、これら除膜工程と再研磨工程の順序はどちらが先でもよい。
従って、こうして除膜工程および再研磨工程を経た切れ刃は、逃げ面には第1の硬質被膜のみがコーティングされるとともに、すくい面には硬質被膜がコーティングされていない状態とされるので、次いで再コーティング工程においてこれらすくい面と逃げ面とに再び第2の硬質被膜をコーティングすることにより、切れ刃の逃げ面には第1の硬質被膜がコーティングされた上に第2の硬質被膜が再コーティングされ、また切れ刃のすくい面ではホブ母材が露出させられた上に逃げ面と連続して第2の硬質被膜が再コーティングされた、上述したような本発明の再研磨・再コーティングホブを得ることができる。
ここで、こうして得られた再研磨・再コーティングホブでは、すくい面には第2の硬質被膜しか再コーティングされないが、すくい面は逃げ面に比べて薄い被膜でも摩耗が少なく、高速ドライ加工における加工条件でも逃げ面の硬質被膜の摩耗が進行するまでは充分な耐摩耗性を確保することができる。その一方で、上記再研磨・再コーティング方法においては、逃げ面では上層の第2の硬質被膜のみが除去されて、当初コーティングされた膜厚の第1の硬質被膜の上に、所定の膜厚の新たな第2の硬質被膜が再コーティングされるため、第1、第2の硬質被膜を合わせた膜厚が不均一となることがない。また、膜厚が増大することもなくなって剥離を防止することができるとともに、すくい面では硬質被膜が再研磨あるいは再刃立てによって除去されることによりホブ母材が露出させられて、すなわち所定の精度がすくい面に与えられた上に第2の硬質被膜が再コーティングされるので、これらすくい面と逃げ面の交差稜線に形成される切れ刃に高い寸法精度を確保することが可能となる。
そして、上記コーティングホブの再研磨・再コーティング方法では、このように硬質被膜の除去が上層の第2の硬質被膜だけでよく、また再コーティングするのもこの第2の硬質被膜だけでよいので、除膜および再コーティングに要する時間や労力、コストを最小限に抑えることができる。このため、上述のように切れ刃の寸法精度が高くて硬質被膜の剥離のないコーティングホブを効率的に再生することが可能となる。
なお、上述したようにTiNよりなる硬質被膜を除去可能な過酸化水素水では、上記他のTi系硬質被膜を除去することはできないが、この他のTi系硬質被膜を除去可能な除膜液は、Cr系硬質被膜は除去し得ないものの、TiN硬質被膜を除去することは可能である。そこで、例えば上記Cr系硬質被膜を第1の硬質被膜とするとともに、第2の硬質被膜としては共通の除膜液で除去可能なTiN硬質被膜と上記他のTi系硬質被膜とを積層して再コーティングするなどして、本発明の再研磨・再コーティング方法では、上記再コーティング工程において、上記第2の硬質被膜を、共通の上記除膜液によって除去可能な複数種の硬質被膜を積層して再コーティングすることにより、本発明の再研磨・再コーティングホブにおいては、上記第2の硬質被膜が、共通の上記除膜液によって除去可能な複数種の硬質被膜を積層して再コーティングされたものとして、この第2の硬質被膜の耐摩耗性を向上させるようにしてもよい。
また、第1の硬質被膜として、例えばCr系硬質被膜を除去可能な除膜液によっては除去し得ないTiNや他のTi系硬質被膜よりなる複数種の硬質被膜を積層してコーティングした上に第2の硬質被膜としてCr系硬質被膜を再コーティングしたり、これとは逆に第1の硬質被膜として、例えば上記他のTi系硬質被膜を除去可能な除膜液によっては除去し得ないCr系硬質被膜を複数種積層してコーティングした上に第2の硬質被膜としてTi系硬質被膜を再コーティングしたりしてもよい。勿論、第1、第2の硬質被膜のそれぞれをこのように複数種の硬質被膜を積層して構成してもよい。
以上説明したように、本発明の再研磨・再コーティング方法によれば、切れ刃の寸法精度が高いとともに硬質被膜の剥離を抑えて高速ドライ加工に耐え得る長寿命な再研磨・再コーティングホブを、除膜や再コーティングに要する時間や労力、コストを低減して効率的に再生することが可能となる。
本発明の再研磨・再コーティング方法の一実施形態を説明する図であって(a)再研磨・再コーティング前の切れ刃の断面図、(b)再研磨工程によってすくい面のホブ母材が露出した切れ刃の断面図、(c)除膜工程によって第2の硬質被膜が除去された切れ刃の断面図、(d)再コーティング工程によって第2の硬質被膜が再コーティングされた切れ刃の断面図(本発明の再研磨・再コーティングホブの一実施形態における切れ刃の断面図)である。
図1(d)に示すように、本発明のコーティングホブの再研磨・再コーティング方法の一実施形態によって再研磨・再コーティングされた本発明の一実施形態の再研磨・再コーティングホブは、切れ刃1の逃げ面2に第1の硬質被膜3がコーティングされるとともに、切れ刃1のすくい面4では高速度工具鋼等からなるホブ母材5が露出させられた上に、第2の硬質被膜6がこれらすくい面3と逃げ面2とに再コーティングされた構成とされており、第2の硬質被膜6は第1の硬質被膜3を除去し得ない除膜液によって除去可能なものとされている。
例えば、第2の硬質被膜6として過酸化水素水によって除去可能なTiNをコーティングする場合には、第1の硬質被膜3としては、同じTi系硬質被膜であっても過酸化水素水によっては除去されない(Al,Ti)Nや(Al,Ti,Si)N等の他のTi系硬質被膜、またはやはり過酸化水素水では除去されない(Al,Cr)Nや(Al,Cr,Si)N等のCr系硬質被膜がコーティングされる。
一方、これら(Al,Ti)Nや(Al,Ti,Si)N等の他のTi系硬質被膜と、CrN、(Al,Cr)N、(Al,Cr,Si)N等のCr系硬質被膜とは、他のTi系硬質被膜は専用のTi系硬質被膜除膜液(例えば、株式会社ADEKA製の商品名チタピールA液およびB液の混合液)によって除去可能であるとともに、Cr系硬質被膜もやはり専用のCr系硬質被膜除膜液(例えば、同じく株式会社ADEKA製の商品名チタピールCR)によって除去可能であり、なおかつ他のTi系硬質被膜はCr系硬質被膜除膜液では除去し得ず、またCr系硬質被膜もTi系硬質被膜除膜液では除去し得ない。そこで、これら他のTi系硬質被膜とCr系硬質被膜とのうち一方を第1の硬質被膜3とし、他方を第2の硬質被膜6としてコーティングしてもよい。
さらに、TiNは上記他のTi系硬質被膜と共通してTi系硬質被膜除膜液によっても除去可能であるので、例えばCr系硬質被膜を第1の硬質被膜3としてコーティングした場合に、第2の硬質被膜6として、TiNと、(Al,Ti)Nや(Al,Ti,Si)N等の他のTi系硬質被膜の少なくとも1つとを積層してコーティングするようにしてもよい。また、上述のように他のTi系硬質被膜とCr系硬質被膜とのうち一方を第1の硬質被膜3とし、他方を第2の硬質被膜6としてコーティングする場合にも、第1、第2の硬質被膜3、6の少なくとも一方において、共通の除膜液によって除去可能な複数種の他のTi系硬質被膜やCr系硬質被膜をそれぞれ積層してコーティングしてもよい。すなわち、これら第1、第2の硬質被膜3、6の両方を、それぞれ共通の除膜液によって除去可能で、該除膜液では互いには除去し得ない複数種のTi系硬質被膜やCr系硬質被膜を積層してコーティングしてもよい。
次に、このような再研磨・再コーティングホブを構成する際の、本発明のコーティングホブの再研磨・再コーティング方法の一実施形態を、図1(a)に示すように切れ刃1のすくい面4と逃げ面2との双方に第1、第2の硬質被膜3、6がホブ母材5側からこの順に積層されてコーティングされた新品のコーティングホブから再研磨・再コーティングを行う場合について説明する。
本実施形態では、このような新品のコーティングホブを用いて歯車等の歯溝の切削を行うことにより切れ刃1に摩耗が生じた場合、まず図1(b)に破線で示すように再研磨工程においてすくい面4側の第1、第2の硬質被膜3、6を研削し、さらにホブ母材5もすくい面4が後退するように研削して、このホブ母材5がすくい面4に露出するように再研磨(または再刃立て)を行う。これにより、逃げ面2も含めて摩耗した部分が除去されるとともに、後退したすくい面4と逃げ面2との交差稜線部に鋭利な切れ刃1が新たに形成される。
次いで、本実施形態では、こうして切れ刃1のすくい面4が再研磨されたホブを、第1の硬質被膜3を除去し得ず、かつ第2の硬質被膜6を除去可能な上記除膜液に浸漬して、逃げ面2の上層にコーティングされていた第2の硬質被膜6を、図1(c)に示すように除膜工程において除去する。これにより、この逃げ面2には第1の硬質被膜3のみが、当初コーティングされたままの膜厚で残される。
さらに、こうして再研磨工程および除膜工程を経たホブは、図1(d)に示すように再コーティング工程において切れ刃1のすくい面4と逃げ面2とに第2の硬質被膜6が再び所定の膜厚でコーティングされ、これにより、逃げ面2にはホブ母材5の上に第1の硬質被膜3がコーティングされるとともにこの第1の硬質被膜3の上に第2の硬質被膜6が再コーティングされ、またすくい面4には再研磨されて露出したホブ母材5の表面に逃げ面2から連続して第2の硬質被膜6が再コーティングされた、上記実施形態の再研磨・再コーティングホブが得られる。
なお、こうして得られた再研磨・再コーティングホブを用いて歯車等の切削加工を行うことにより再び切れ刃1に摩耗が生じたときには、図1(b)に示した再研磨工程から、図1(c)に示した除膜工程、図1(d)に示した再コーティング工程を経て、再研磨・再コーティングを繰り返せばよい。また、再研磨工程と除膜工程とは順序が逆であってもよい。
従って、このようなコーティングホブの再研磨・再コーティング方法では、第1、第2の複数の硬質被膜3、6がコーティングされていても、硬質被膜を除膜液によって除去するのは除膜工程における第2の硬質被膜6の1度の除去だけでよく、このため再研磨・再コーティングによってコーティングホブを再生するのに要する時間や労力、コストの削減を図ることができる。
なお、こうして再研磨・再コーティングされたホブでは、すくい面4には第2の硬質被膜6しか再コーティングされないが、すくい面4は逃げ面2に比べて薄い硬質被膜でも摩耗が少なく、逃げ面2側の摩耗がある程度進行するまでは充分な耐摩耗性を維持することができる。また、このすくい面4に再コーティングされる第2の硬質被膜6として耐摩耗性に優れた(Al,Ti,Si)Nや(Al,Cr,Si)Nのような硬質被膜、あるいはこれらを含む積層被膜をコーティングすれば、より効果的である。
そして、このような再研磨・再コーティング方法による再研磨・再コーティングホブにおいては、逃げ面2には新品時と同様に第1、第2の硬質被膜3、6が積層してコーティングされており、このうち上層の第2の硬質被膜6は、再コーティング前の摩耗した第2の硬質被膜6を除膜して再コーティングされたものであるから、第1、第2の硬質被膜3、6を合わせた硬質被膜の膜厚を増大させることなく、硬質被膜に剥離が生じるのを防止することができる。
その一方で、上記除膜液では第2の硬質被膜6は除去し得ず、従ってその膜厚も変わることがないので、その上に第1の硬質被膜3を所定の膜厚で再コーティングすることにより、これら第1、第2の硬質被膜3、6を合わせた膜厚が不均一になるのも防ぐことができて、安定した耐摩耗性を得ることができる。従って、こうして再研磨・再コーティングされた上記構成の再研磨・再コーティングホブによれば、過酷な加工条件となる高速ドライ加工においても工具寿命の向上を図ることができる。
また、切れ刃1のすくい面4では、上述のように第1、第2の硬質被膜3,6が再研磨(再刃立て)によって除去されることによりホブ母材5が露出させられ、すなわち機械加工によってすくい面4に所定の精度が与えられた上に第2の硬質被膜6が再コーティングされる。このため、これらすくい面4と上記逃げ面2との交差稜線に形成される切れ刃1に上述のように鋭い切れ味を回復させることが可能となるとともに、切れ刃1の寸法精度も確実に確保することができ、これにより、再研磨・再コーティングホブでも高精度の歯車等の切削加工を行うことが可能となる。
なお、本発明の再研磨・再コーティング方法においては、上述したように再研磨工程と除膜工程の順序はどちらが前後でもよいが、上記実施形態のように、切れ刃1のすくい面4をホブ母材5が露出するまで再研磨する再研磨工程と、この再研磨工程の後に上記除膜液によって第2の硬質被膜6を除去する除膜工程と、この除膜工程の後に切れ刃1のすくい面4と逃げ面2とに第2の硬質被膜6を再コーティングする再コーティング工程とを備えた構成とした場合には、再研磨工程においてすくい面4側の第1、第2の硬質被膜3、6(再研磨・再コーティングホブの再研磨・再コーティングのときは第2の硬質被膜6のみ)が研削されて除去されるので、その後の除膜工程において第2の硬質被膜6を除膜するための除膜液を節約することができる。
一方、除膜液によって第2の硬質被膜6を除去する除膜工程と、この除膜工程の後に切れ刃1のすくい面4をホブ母材5が露出するまで再研磨する再研磨工程と、この再研磨工程の後に切れ刃1のすくい面4と逃げ面2とに第2の硬質被膜6を再コーティングする再コーティング工程とを備えた構成とした場合には、初めの除膜工程においてすくい面4側でも第2の硬質被膜6が除膜されて、その全部あるいはある程度の膜厚までが除去されるので、続く再研磨工程における研削が容易になり、効率的な再研磨を行うことが可能となる。
次に、実施例を挙げて本発明のコーティングホブの再研磨・再コーティング方法の効果について実証する。本実施例では、まず、ホブ母材が高速度工具鋼よりなるホブの切れ刃に、次表1に示すような組成、膜厚の第1、第2の硬質被膜を、各硬質被膜について公知のコーティング方法によりコーティングして、図1(a)に示したような硬質被膜がコーティングされた切れ刃を有するコーティングホブをそれぞれ作成した。これらを実施例1〜7とする。
Figure 0005413144
そして、これら実施例1〜7のコーティングホブによってそれぞれ歯車の歯溝切削を行い、切れ刃の逃げ面摩耗が0.15mmとなった時点で、再研磨工程においてすくい面から0.2mmを研削してすくい面側の第1、第2の硬質被膜およびホブ母材を除去して、新たなすくい面にホブ母材を露出させた。次いで、こうして再研磨したホブを、除膜工程において、それぞれの第1、第2の硬質被膜に対して、第1の硬質被膜は除去し得ず、第2の硬質被膜は除去可能な除膜液に浸漬して、逃げ面の第2の硬質被膜を除去した。このときの除膜液および浸漬時間を表1に合わせて示す。さらに、実施例1〜7では、こうして第2の硬質被膜が除去されたホブに、再コーティング工程において、最初にコーティングしたのと同じ種類の第2の硬質被膜を同じ膜厚で再コーティングし、再研磨・再コーティングホブを得た。
一方、これら実施例1〜7に対する第1の比較例として、実施例1〜7の第2の硬質被膜の除膜工程の後に、第1の硬質被膜を除去可能な除膜液にホブを浸漬することにより、硬質被膜をすべて除去した上で、切れ刃に最初にコーティングしたのと同じ種類の第1、第2の硬質被膜をやはり同じ膜厚で再コーティングし、切れ刃が再研磨されていること以外は図1(a)と同様の硬質被膜がコーティングされた切れ刃を有する再研磨・再コーティングホブをそれぞれ得た。このときの第1の硬質被膜を除去するのに用いた除膜液および浸漬時間を表1に合わせて示す。
この表1に示す結果より、硬質被膜の除膜に要する浸漬時間が、第2の硬質被膜の除膜工程のみの浸漬時間で済む実施例1〜7に比べ、第1の比較例ではこれに第1の硬質被膜の除膜工程の浸漬時間が加わるため、この除膜に要する時間だけでも2倍から、第1、第2の硬質被膜の組み合わせによっては3倍以上に及んでいることが分かる。しかも、再研磨工程に要する時間は変わらないものの、再コーティング工程に要する時間は、実施例1〜5に対して比較例では第1の硬質被膜の再コーティング時間が必要になるため、再研磨から再コーティングに要する時間はさらに長くなる。
また、これら第1の比較例では、第1の硬質被膜の除去に要する除膜液およびその設備と、第1の硬質被膜の再コーティングに要する設備も必要となるとともに、これらの除膜工程および再コーティング工程を行う労力も必要となり、著しくコスト高となることは避けられない。その一方で、こうして再研磨・再コーティングされた実施例1〜5のホブとこれらに対する第1の比較例のホブとで、それぞれ再び歯車の歯溝切削を高速ドライ加工で行ったところ、切れ刃の耐摩耗性や工具寿命、あるいは加工された歯車の歯形精度等に顕著な相違は認められなかった。
また、実施例1〜7に対する第2の比較例として、実施例1〜7とそれぞれ同様に再研磨を施した後、除膜工程を経ずに第2の硬質被膜を再コーティングし、すなわち逃げ面においては先にコーティングされた第2の硬質被膜の上に、さらに同じ膜厚の第2の硬質被膜が再コーティングされた再研磨・再コーティングホブを得た。このような第2の比較例の再研磨・再コーティングホブによって再び歯車の歯溝切削を高速ドライ加工で行ったところ、硬質被膜の総膜厚が厚くなりすぎたために応力集中により早期に剥離を生じてしまい、加工を続けることができなくなってしまった。
1 切れ刃
2 逃げ面
3 第1の硬質被膜
4 すくい面
5 ホブ母材
6 第2の硬質被膜

Claims (6)

  1. 切れ刃の少なくとも逃げ面に第1の硬質被膜がコーティングされた上に、該切れ刃のすくい面と上記逃げ面とに、上記第1の硬質被膜を除去し得ない除膜液によって除去可能な第2の硬質被膜がコーティングされたコーティングホブの再研磨・再コーティング方法であって、上記切れ刃のすくい面をホブ母材が露出するまで再研磨する再研磨工程および上記除膜液によって上記第2の硬質被膜を除去する除膜工程と、これら再研磨工程および除膜工程の後に上記切れ刃のすくい面と逃げ面とに上記第2の硬質被膜を再コーティングする再コーティング工程とを備えることを特徴とするコーティングホブの再研磨・再コーティング方法。
  2. 上記再コーティング工程において、上記第2の硬質被膜を、共通の上記除膜液によって除去可能な複数種の硬質被膜を積層して再コーティングすることを特徴とする請求項1に記載のコーティングホブの再研磨・再コーティング方法。
  3. 上記第1の硬質被膜を、上記除膜液によっては除去し得ない複数種の硬質被膜を積層してコーティングすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコーティングホブの再研磨・再コーティング方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコーティングホブの再研磨・再コーティング方法によって再研磨・再コーティングされた再研磨・再コーティングホブであって、上記切れ刃の逃げ面に第1の硬質被膜がコーティングされるとともに該切れ刃のすくい面ではホブ母材が露出させられた上に、上記第1の硬質被膜を除去し得ない除膜液によって除去可能な上記第2の硬質被膜が、これらすくい面と逃げ面とに再コーティングされていることを特徴とする再研磨・再コーティングホブ。
  5. 上記第2の硬質被膜が、共通の上記除膜液によって除去可能な複数種の硬質被膜を積層して再コーティングされていることを特徴とする請求項4に記載の再研磨・再コーティングホブ。
  6. 上記第1の硬質被膜が、上記除膜液によっては除去し得ない複数種の硬質被膜を積層してコーティングされていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の再研磨・再コーティングホブ。
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