JP5405158B2 - 蒸発器 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば業務用冷却貯蔵庫などに配設される熱交換フィン及び冷媒配管から成る蒸発器に関する。
従来より、この種蒸発器を備えた業務用の冷蔵庫や冷凍庫として、特許文献1に示す如き冷却貯蔵庫がある。係る蒸発器は、貯蔵室内上部に取り付けられ、近傍に取り付けられる冷気循環用送風機により、例えば蒸発器の前方から吸い込まれて、蒸発器で冷却された冷気を後方から吐出する構成とされている。
蒸発器は、所定の間隔で配列された複数枚のプレートフィンとこれらのプレートフィンを貫通して蛇行状態で引き回されている冷媒配管とを有している。そのため、蒸発器に吸い込まれた空気は、各プレートフィンの間を通過する過程で冷媒配管内を流れる冷媒や、当該冷媒によって冷却されるプレートフィンと熱交換が行われて冷却される。
ここで、貯蔵室内への物品の納出作業に伴い、扉が開閉されると、湿気を多く含んだ外気が貯蔵室内に進入することにより、低温となっている蒸発器には、その水分が結露し霜となって付着する。蒸発器を構成するプレートフィンに霜が付着すると、所定間隔で配列されたプレートフィン間に霜が成長して、冷気の流れを阻害する霜閉塞が生じる。
このとき、蒸発器の空気の流入側は、最も湿度の高い状態の空気と接触するため、着霜が生じやすい。また、蒸発器の冷媒流入側は、流入した直後から冷媒が蒸発しはじめるため、冷媒流入側の冷媒配管やフィンの温度が最も早く低下し、他に比べて着霜が生じやすい。
特開2008−70031号公報
しかしながら、従来の蒸発器は、複数枚のフィンが所定間隔で一様に配設されているため、着霜が生じやすい空気入口側や冷媒流入側において霜が成長すると、早期に霜閉塞が生じてしまうため、比較的短い間隔で除霜運転を行わなければならない。除霜運転を行うと、冷却運転が行われず、必然的に貯蔵室内温度が上昇する。これによって、貯蔵室内に保管されている物品の温度変化がおき、品質の劣化を招来する問題がある。
そこで、本発明は従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、簡素な構成にて霜閉塞を抑制し、除霜運転の間隔を延長させることで、被冷却空間や、当該空間に収容される物品の温度上昇を低減することができる蒸発器を提供する。
上記課題を解決するために、本発明の蒸発器は、少なくとも所定間隔を有して配置された複数の熱交換フィンと、これら熱交換フィンを貫通し、蛇行状に引き回された冷媒配管とからなり、冷媒圧縮機、放熱器、減圧装置と共に環状の冷媒サイクルをなすものであって、被冷却物を収納する庫内に冷気を循環させる風路中に送風装置と共に配置され、当該蒸発器の下端には除霜用のヒータを設け、該蒸発器内の風路中における空気入口側の一側面、及び、冷媒入口が存在する当該蒸発器上部の上側面の一部の熱交換フィンを切取り、当該面における熱交換フィンの間隔を所定間隔より広げると共に、冷媒入口から流入した冷媒の流れが空気入口側から流入する空気と対向流となるようにしたことを特徴とする。
請求項2の発明の蒸発器は、上記発明において、熱交換フィンは、矩形状の第1の熱交換フィン、及び該第1の熱交換フィンより所定の大きさだけ小さい矩形状の第2の熱交換フィンからなり、これら第1の熱交換フィンと第2の熱交換フィンが交互に配置されることで、空気入口側及び上側部分が第1の熱交換フィンのみが交互に配置され、フィンピッチが疎とされていることを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも所定間隔を有して配置された複数の熱交換フィンと、これら熱交換フィンを貫通し、蛇行状に引き回された冷媒配管とからなり、冷媒圧縮機、放熱器、減圧装置と共に環状の冷媒サイクルをなす蒸発器において、被冷却物を収納する庫内に冷気を循環させる風路中に送風装置と共に配置され、当該蒸発器の下端には除霜用のヒータを設け、該蒸発器内の風路中における空気入口側の一側面、及び、冷媒入口が存在する当該蒸発器上部の上側面の一部の熱交換フィンを切取り、当該面における熱交換フィンの間隔を所定間隔より広げたので、霜が付着しやすく、且つ、除霜用のヒータから遠い空気入口側と上部に位置する冷媒入口の上側の熱交換フィン間に霜が成長して、霜閉塞が生じる不都合を抑制することが可能となる。
これにより、霜閉塞に至るまでの時間を延長することができ、除霜運転の実施間隔を延長できる。従って、除霜運転に伴って生じる被冷却空間の温度上昇や当該被冷却空間に収容される物品の温度上昇を低減でき、係る物品の品質低下を抑制することが可能となる。また、冷媒入口から流入した冷媒と空気は対向流となるので、熱交換効率も良好となる。
また、請求項2の発明によれば、上記発明に加えて、熱交換フィンは、矩形状の第1の熱交換フィン、及び該第1の熱交換フィンより所定の大きさだけ小さい矩形状の第2の熱交換フィンからなり、これら第1の熱交換フィンと第2の熱交換フィンが交互に配置されることで、空気入口側及び上側部分が第1の熱交換フィンのみが交互に配置され、フィンピッチが疎とされているので、上記請求項1に係る発明の構成を簡単な構成で実現することが可能となる。これにより、生産性の向上を図ることができる。
本発明の蒸発器を備えた冷却貯蔵庫の縦断側面図である。 冷却装置の冷媒回路図である。 冷却ユニットの斜視図である。 蒸発器の斜視図である。 蒸発器の透視側面図である。 蒸発器の平面図である。 蒸発器の正面図である。 配管ピッチの性能比較実験結果を示す図である。 他の実施例としての蒸発器の斜視図である。 冷媒配管を通す貫通孔のみが形成されている蒸発器の透視側面図である。 管板、第1の熱交換フィン、第2の熱交換フィンのそれぞれの側面図及びそれらの断面図である。 図9の蒸発器の平面図である。 図9の蒸発器の正面図である。
以下、本発明の蒸発器の実施の形態について、冷却貯蔵庫Rを例に挙げて説明する。尚、本願発明の蒸発器は、冷却貯蔵庫Rに限定されるものではなく、業務用・家庭用冷蔵庫、業務用・家庭用冷凍冷蔵庫、ショーケース、オープンショーケース、プレハブ冷蔵庫、プレハブ冷凍庫、空気調和機などの低温で冷媒の蒸発を行わせる冷却装置4を構成するものに採用しても同様の効果を奏する。
図1は本発明の蒸発器5を備えた冷却貯蔵庫Rの縦断側面図を示している。本実施例における冷却貯蔵庫Rは、ホテルやレストランの厨房などに設置される縦型業務用冷蔵・冷凍庫であり、前面に開口する本体としての断熱箱体2により構成されている。該断熱箱体2内部には、被冷却空間としての貯蔵室3を有し、該貯蔵室3内上部には、冷却装置4の蒸発器5及び蒸発器5の近傍に冷気循環用の送風機(送風装置)6が取り付けられ、これにより、貯蔵室3内は所定の温度に冷却される。尚、蒸発器5の詳細な構成については後述する。図中において、44は蒸発器5の温度を検出するための蒸発器温度センサである。
更に、蒸発器5及び送風機6の下方に取り付けられる7は、蒸発器5から生じたドレン水を受容するためのドレンパンであり、蒸発器5が取り付けられる冷却室8と貯蔵室3内との区画にも供される。係る冷却室8は、貯蔵室3に冷気を循環させる風路を構成する。このドレンパン7には、送風機6に面して冷気吸込口12が形成され、後方は開放されて冷気吐出口13とされている。これにより、送風機6より貯蔵室3から冷却室8に吸い込まれた冷気は、蒸発器5と熱交換された後、冷却室8後方から吐出される。また、ドレンパン7の冷気吸込口12の近傍には、貯蔵室3内の温度を検出するための庫内温度センサ27が設けられている。
ドレンパン7には、図示しないドレンホースの一端が接続されたドレンソケットが設けられている。ドレンホースは、断熱箱体2の背面に凹陥形成されたドレンホース収納部10に収容されている。これにより、ドレンパン7から排出されたドレン水、即ち、詳細は後述する如き除霜運転により融解された後の霜はドレンソケット及びドレンホースを介して外部に排水可能とされる。尚、図中断熱箱体2の底面四隅に設けられる11は、冷却貯蔵庫Rの設置場所の床面と断熱箱体2底面との間に所定間隔を存するために設けられる支持部材である。
他方、断熱箱体2の天面には前面パネル15及び両側面及び後面を構成するパネルによって機械室17が画成されており、この機械室17内には、冷却装置4を構成する冷媒圧縮機18や放熱器19(冷媒が二酸化炭素の場合は、ガスクーラ)等が設置されている。
本実施例では、冷却装置4は、冷媒として二酸化炭素を用い、高圧側の冷媒圧力(高圧圧力)がその臨界圧力以上(超臨界)となる二段圧縮一段膨張中間冷却サイクルであり、放熱器19を通過した冷媒は、分岐された後、圧縮機18に戻るサイクル(スプリットサイクル(登録商標))を採用している。即ち、冷却装置4は、図2の冷媒回路図に示すように、前記圧縮機18を構成する低段側の圧縮要素18Aと、インタークーラ36、2つの冷媒の流れを合流させる合流器37、圧縮機18を構成する高段側の圧縮要素18B、放熱器19、分流器38、補助絞り手段としての補助膨張弁39、中間熱交換器40、主絞り手段としての主電子膨張弁41、蒸発器5、アキュムレータ42とから構成されている。
ここで、放熱器19は、空気等の第2の熱媒体に高段側の圧縮要素18Bから出た高温高圧の冷媒を放熱させることによって、当該高段側の圧縮要素18Bから出た冷媒を冷却する。分流器38は、放熱器19から出た冷媒を二つの流れに分流させる分流装置である。この分流器38により、圧縮要素18A、インタークーラ36、合流器37、圧縮要素18B、放熱器19、分流器38、中間熱交換器40の第2の流路、主電子膨張弁41、蒸発器5及びアキュムレータ42とから構成される環状の主回路(冷媒サイクル)と、分流器38から補助膨張弁39、中間熱交換器40の第1の流路を経て合流器37に至る補助回路(冷媒サイクル)とが構成される。
そして、図1に示すように断熱箱体2の上面は開口2Aが形成されており、当該開口2Aは、冷却ユニット45を構成する断熱板9にて閉塞される。図3の冷却ユニット45の斜視図に示すように、この断熱板9の下面には、上述した如き冷却装置4の蒸発器5が配設され、これによって、当該蒸発器5は貯蔵室3内上部に位置する冷却室8内に配設される。
一方、断熱板9の上面には、蒸発器5以外の冷却装置4の構成機器、即ち、圧縮機18、放熱器19、インタークーラ36、合流器37、分流器、補助膨張弁39、中間熱交換器40、主電子膨張弁41、アキュムレータ42等と、放熱器用送風機20、電装ボックス21等が配設されている。
これにより、断熱板9の上面に配設される冷却装置4の構成機器は、断熱箱体2の上方に構成される機械室17内に配設されることとなる。尚、図3において、25は断熱板9上面に設置される冷却装置4の構成機器と冷却室8内に配設される蒸発器5とを接続する冷媒配管46を挿通すると共に、周囲を断熱材にて閉塞する結合穴である。
このように、本実施例では、主電子膨張弁41や補助膨張弁39は、所定の低温に冷却される貯蔵室3内や冷却室8内ではなく、機械室17内(庫外)に配設されることとなる。そのため、例えば、貯蔵室3内等の庫内温度が−25℃を下回るような冷凍使用とされている場合であっても、電子膨張弁は圧縮機18等が配設される機械室17内に配設されるため、その構造部品に使用下限温度が設けられている場合にも支障なく使用することが可能となる。また、扉の開閉に伴って進入した水分を含んだ外気によって結露が電子膨張弁に付着し凍結する問題が無くなり、制御上、精密に構成される電子膨張弁を支障なく設置できるようになる。
そのため、冷凍温度域にて使用可能とされる電子膨張弁を使用する必要が無くなり、コストの低減を図ることが可能となる。また、庫内に電子膨張弁が設置されないため、当該電子膨張弁のコイルへの通電による庫内負荷を解消することが可能となる。尚、電子膨張弁39、41は電装品に影響を及ぼすことがないよう、電装配線後、コイルごと断熱することが望ましい。
一方、貯蔵室3(断熱箱体2)の前面開口22には、横方向の中仕切23によって中央部にて上下に仕切られている。そして、該中仕切23によって仕切られた貯蔵室3の上下の開口22は二組の観音開き式の扉(断熱扉)24、24によって開閉自在に閉塞される。
そして、前記貯蔵室3の背面中央部には、上下に渡って後棚支柱30が設けられる。貯蔵室3の両側面には、前部及び後部に位置してそれぞれ上下に渡って複数の係合孔31A(棚支柱31のみ図示する)が穿設されており、これら後棚支柱30及び棚支柱31に棚32が貯蔵室3の上下に複数段架設される。
ここで、後棚支柱30の両側に位置して、貯蔵室3の背面には、当該背面と所定間隔を存して仕切部材33が設けられる。該仕切部材33は、後棚支柱30及び棚支柱31の上端よりも上方から後棚支柱30及び棚支柱31の下端よりも下方に延在して形成される柱部材である。この仕切部材33と貯蔵室3背面との間には、上端及び下端が開口する冷気ダクト34が形成されている。尚、図中35は底敷である。
次に、図4乃至図7を参照して本発明の蒸発器5について詳述する。図4は蒸発器5の斜視図、図5は蒸発器5の透視側面図、図6は蒸発器5の平面図、図7は蒸発器5の正面図をそれぞれ示している。本実施例において蒸発器5は、上述したように前面から空気が流入して後部から吐出される構成とされている。そのため、図5の側面図では、向かって左側端部から空気が流入し、右側端部から吐出され、また、冷媒については右上側から流入し、蒸発器5の冷媒配管60を蛇行した後、右下側から流出する。図6の平面図では、図の下側端部から空気が流入し、上側端部から吐出され、図7の正面図では図の紙面手前側から奥方向に向かって空気が流通する。従って、図5の右上側から流入した冷媒は、左側から流入する空気と対向流となるので、熱交換効率が良好となる。
本実施例の蒸発器5は、一対の管板50、50と、当該管板50、50間に所定間隔で配置された複数枚の熱交換フィン51・・・と、冷媒配管60とから構成される。
冷媒配管60は、銅などの金属材料により構成された素管により構成されており、係る素管を例えば長手方向にU字状に成形した管状部材61と、当該管状部材61の端部を閉塞するU字部材62とから構成されている(図7参照)。そして、これら複数の管状部材61とU字部材62とを互い違いに係合させることにより、冷媒配管60が蛇行状に形成される。前記冷媒配管60を構成する素管は、管板50、50の貫通孔50A及び熱交換フィン51の貫通孔に挿通した後、拡開されるものとする。
熱交換フィン51は、肉薄に形成された波形形状のアルミニウム板により構成された所謂コルゲートフィンを採用している。本実施例において、熱交換フィン51は、矩形状を呈した第1の熱交換フィン51Aとこの第1の熱交換フィン51Aよりも所定寸法、小さい面積の第2の熱交換フィン51Bとから構成されている。
そして、これら第1の熱交換フィン51Aと、第2の熱交換フィン51Bは、第1の熱交換フィン51Aの空気出口側に相当する側端(この場合後端)53Aと、第2の熱交換フィン51Bの空気出口側に相当する側端(この場合後端)53Bとが略面一となるように、且つ、第1の熱交換フィン51Aの貯蔵室8(ドレンパン7)側に相当する下端54Aと、第2の熱交換フィン51Bの貯蔵室8(ドレンパン7)側に相当する下端54Bとが略面一となるように、所定間隔を存して交互に配置される。
これにより、第2の熱交換フィン51Bは、第1の熱交換フィン51Aの空気出口側で、且つ、下側に対応した状態で、第1の熱交換フィン51A及び第2の熱交換フィン51Bが交互に配置されることとなる。尚、図4では、図示する角度により、第1の熱交換フィン51Aのみが記載されており、当該第1の熱交換フィン51Aと交互に配置される第2の熱交換フィン51Bは表れていない。
そして、これら熱交換フィン51A、51Bには、冷媒配管60を貫通させるための複数の貫通孔55A、55Bが形成されている。これら貫通孔55A、55Bは上述したように、空気出口側及び下側がそれぞれ対応させた状態で、それぞれの貫通孔が同じ位置となるように形成されている。また、これらフィン51A、51Bに形成される貫通孔は、冷媒配管55の外径より少許大きいものであるものとする。
また、本実施例では、各熱交換フィン51A、51Bに形成される貫通孔55A、55Bは、既存のピッチにて貫通孔を形成する孔開け機(フィン51や管板50に孔を開ける工作機械)によって形成されるものとする。このとき、各フィン51には、打ち抜き式に孔開け機によって貫通孔55A、55Bが形成されるため、この貫通孔55A、55Bの周囲には、全周に渡って打ち抜き方向に立ち上がったカラー部56が形成されている。
一方、前記管板50は、例えばステンレス鋼などの金属製の板状部材により構成されており、図4や図5に示す如く管板50、50の空気入口側に相当する側端(この場合前端)50Bと、貯蔵室8(ドレンパン7)側に相当する下端50Cには、切欠52が複数形成されている。当該切欠52には、本実施例において除霜手段として機能するヒータ(電気ヒータ)26が配設される。従って、図5で蒸発器5の左側と上側はヒータ26から最も遠い位置となる。また、当該ヒータ26は、制御装置によって通電制御が行われる。
そして、この管板50には、複数の貫通孔50Aが形成されている。この貫通孔50Aは、前述した如き冷媒配管60を貫通して保持するものであり、前記熱交換フィン51に形成されている貫通孔55A、55Bと同じ位置となるように、管板50にも貫通孔50Aが形成されている。
以上の構成により、本発明の蒸発器5の組立手順について説明する。まず、管板50、50を対向させた後、この管板50、50間に複数の第1の熱交換フィン51Aと、第2の熱交換フィン51Bを交互に配置する。このとき、上述したように、第1の熱交換フィン51Aの空気出口側で、且つ、下側に対応した状態で、第2の熱交換フィン51Bを配置する。
その後、冷媒配管60の管状部材(素管)61を一方の管板50の貫通孔50Aから複数の熱交換フィン51に形成された貫通孔を挿通し、更に、他方の管板50に形成された貫通孔50Aにまで挿通させる。このとき、第1の熱交換フィン51Aと第2の熱交換フィン51Bとが投影面上で重複している部分(面同士が対向している部分)では、冷媒配管60は、第1の熱交換フィン51Aの貫通孔55Aと第2の熱交換フィン51Bの貫通孔55Bとを交互に挿通させる。一方、第1の熱交換フィン51Aと第2の熱交換フィン51Bとが投影面上で重複していない部分、即ち、空気入口側及び貯蔵室3(ドレンパン7)側とは反対側の端部(本実施例では上側部分)では、冷媒配管60は、第1の熱交換フィン51Aの貫通孔55Aのみに挿通させる。
このとき、冷媒入口側の冷媒配管60Aが蒸発器5の上側部分に位置するように設けられる。即ち、冷媒入口側に位置する冷媒配管60Aは、管板50や第1の熱交換フィン51に形成される最上段の貫通孔55Aに挿通する。
ここで、挿通される冷媒配管60の管状部材61及びこれに接続されるU字部材62は、冷媒配管60の折返し部分が各管板50や熱交換フィン51A、51Bに形成される貫通孔50A、55Aに一つ置きに挿通される曲率(従前の2倍程度)にて形成されている。
これにより、最上段の貫通孔55Aに挿通される管状部材61は、形成されている貫通孔50A、55Aに一つ置きに挿通される。その下の段の貫通孔55Aに挿通される管状部材61は、挿通される貫通孔50A、55Bが上の段に挿通される貫通孔55Aと重複しない位置にて一つ置きに挿通される。以後、同様に最下段の貫通孔55Aにも一つ置きにて管状部材61が挿通される。このとき、挿通される熱交換フィン51Aの貫通孔55Aと対応する位置に第2の熱交換フィン51Bの貫通孔55Bが形成されている場合、第1の熱交換フィン51Aの貫通孔55Aと、第2の熱交換フィン51Bの貫通孔55Bに交互に挿通する。
尚、このとき、各熱交換フィン51A、51Bの貫通孔55A、55Bに挿通される管状部材61は、貫通孔55A、55Bの全周に渡って形成されるカラー部56によってその側面が支持される。
そして、図示しない冷媒配管60の拡管手段にて冷媒配管60の管状部材61が拡管する。その後、冷媒配管60の複数のU字部材62をそれぞれの管状部材61の端部に冷媒配管60が後述する如き所定の配管ピッチで引き回された蛇行状となるように取り付け、りん銅ろうでろう付けする。
その後、管板50と、熱交換フィン51A、51Bと、冷媒配管60により構成された蒸発器5は、耐酢酸性ガスや耐亜硫酸ガスの防腐食材料により構成される塗料を所謂カチオン電着塗装により塗装する。
以上より、冷却装置4が運転されると、放熱器19、電子膨張弁41を経た冷媒は、冷媒配管46を経て冷却室8内に配設される蒸発器5の冷媒入口側の冷媒配管60A内に流入する。流入した冷媒は、まず、第1の熱交換フィン51Aのみが配設されている蒸発器5上側の部分を通過し、管状部材61及びU字部材62により構成される蛇行形状の冷媒配管60を流れる。蒸発器5の冷媒配管60内に流入した冷媒は、そこで冷却作用を発揮し、空気入口側の蒸発器5内(第1の熱交換フィン51A、第2の熱交換フィン51B間に形成された空気流路)から流入した空気と熱交換し、当該空気の冷却を行う。蒸発器5を経た冷媒は、上述したように圧縮機18に帰還する。
ここで、蒸発器5の上側部分は、流入した直後の冷媒が流れるため、温度が最も早く低下する。また、貯蔵室3側から最も離間した冷却室8上部に位置するため、他の蒸発器5部分のよりも低温と成りやすい。そのため、湿気を含む空気が流通することにより、当該蒸発器5の上側部分には、他の部分よりも着霜しやすい。
また、貯蔵室3内には、扉24の開閉によって湿気を多く含む外気が流入する。当該湿気を多く含む外気は、送風機6が運転されることによって、蒸発器5の空気入口側より蒸発器5内に流入する。この際、係る湿気を多く含んだ空気は、低温の蒸発器5を通過する過程においてその水分が蒸発器5の空気入口側にて結露し、着霜を生じやすい。
本実施例では、第1の熱交換フィン51Aよりも小さい面積の第2の熱交換フィン51Bは、第1の熱交換フィン51Aの空気出口側で、且つ、下側に対応した状態で、第1の熱交換フィン51A及び第2の熱交換フィン51Bが交互に配置されているため、蒸発器5の空気入口側及び上側部分(貯蔵室8とは反対側の部分)は、第1の熱交換フィン51Aのみで構成されている。
従って、第1の熱交換フィン51Aと第2の熱交換フィン51Bとが交互に配設されている部分と比べて、係る空気入口側及び上側部分は第1の熱交換フィン51Aのみが交互に配置されていることとなるため、フィンピッチが疎とされている。
これにより、蒸発器5内の風路中、即ち、第1の熱交換フィン51A及び第2の熱交換フィン51B等の間に構成される風路における空気入口側の面、及び/又は蒸発器5の冷媒入口の上側面の一部の熱交換フィン51が切り取られていることで、当該面における熱交換フィン51の間隔を他の部分の所定間隔より広げたので、ヒータ26から遠い位置であり、且つ、霜が付着しやすい空気入口側と冷媒入口の上側部分の熱交換フィン51間に霜が成長して、霜閉塞が生じる不都合を抑制することが可能となる。
従って、蒸発器5全体として、霜閉塞に至るまでの時間を延長することができ、冷却運転を停止して、ヒータ26への通電を行う除霜運転の実施間隔を延長できる。これにより、除霜運転に伴って生じる被冷却空間である貯蔵室3内の温度上昇や収容される物品の温度上昇を低減でき、係る物品の品質低下を抑制することが可能となる。
特に、本実施例では、矩形状を呈した第1の熱交換フィン51A及びこの第1の熱交換フィン51Aよりも小さい面積の第2の熱交換フィン51Bから成る熱交換フィン51を、第2の熱交換フィン51Bが、第1の熱交換フィン51Aの空気出口側で、且つ、下側に対応した状態で、これらを交互に配置することで、容易に空気入口側と冷媒入口の上側部分の熱交換フィン51のフィンピッチを他の部分よりも疎とする構成を簡単な構成にて実現することができる。これにより、生産性の向上を図ることができる。
また、本実施例の蒸発器5は、冷媒配管60は、熱交換フィン51に形成された複数の貫通孔55A、55Bに一つ置きに挿通されている。これによって、従来の蒸発器5の冷媒配管の間隔と比較して当該熱交換フィン51に挿通される冷媒配管の間隔を二倍とすることができる。
ここで、図8の配管ピッチ(段ピッチ)に対するエンタルピ効率(熱交換効率)及び圧力損失の実験結果について説明する。図8の実験ではφ7.94のコルゲートフィンを用いたコアサイズ2段6列400mm長の蒸発器にて性能実験を行った。風量を1.27m3/min、入口側空気温度を+3.7℃、出口側空気温度を−3.2℃、冷媒の蒸発温度を−9.3℃、能力を0.28〜0.29kWとする条件として行った。係る条件にて各配管ピッチを22mmから88mmとして行った。
これによると、配管ピッチが従前より採用されている22mmと狭い場合には、配管同士の距離が近いことから当該配管間を通過する空気流の圧力損失が8.39Paと大きく、配管ピッチが33mmとした場合、3.69Paと著しく圧力損失が低減した。以後、配管ピッチを広げるに従い、配管間を通過する空気流の圧力損失が44mmでは2.13Pa、66mmでは1.03Pa、88mmでは0.64Paと小さくなっていく。
また、配管ピッチが22mmと狭い場合には、交換熱量が0.558と低く、配管ピッチが33mmでは、交換熱量が0.564、44mmでは0.568、66mmでは0.572、88mmでは0.574と微増する。
そのため、圧力損失のみに着目すると、配管ピッチはより広い方が低いことから、配管ピッチをより広く構成することが望ましいが、蒸発器5自体の寸法が大型化してしまう問題がある。限られたスペースに熱交換器を配設する関係上、蒸発器5の寸法を大きくすることはできない。また、配管ピッチを広げても交換熱量が微増する程度である。
これにより、配管ピッチは、従前の22mmの2倍程度の44mm程度とすることで蒸発器5自体の寸法拡大を抑制しながら、流通する空気の圧力損失を低減し、熱交換量も確保して、熱交換効率の良い蒸発器5を実現することができる。
特に、本実施例では、既存のフィンの孔開け機によって形成された貫通孔55A、55Bをそのまま用いて22mm程度であった配管ピッチを、当該貫通孔55A、55Bに一つ置きに冷媒配管60を挿通することにより配管ピッチを2倍程度とすることにより、熱交換効率の良い蒸発器5を実現することができる。このため、格別に生産施設の変更する必要がなく、従来の蒸発器とほぼ同一寸法の蒸発器によって熱交換効率の向上を実現することが可能となる。
また、冷媒配管60が挿通されない貫通孔55A、55Bが一つ置きに形成されることとなる。係る貫通孔55A、55Bにも、全周が立ち上がったカラー部56が形成されている。そのため、当該蒸発器5を流通する空気が、この立ち上がったカラー部56にぶつかること及び当該貫通孔自体を空気が通過することによって、蒸発器5内を通過する空気に乱流を発生させることができる。これにより、より一層、熱交換効率の向上を実現することができる。
尚、本実施例では、コルゲートフィンを採用した蒸発器5を例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではなく、例えばプレートフィンであっても良い。
また、前述の実施例では、既存の孔開け機を用いて各熱交換フィン51A、51Bに貫通孔55A、55Bを形成し、その貫通孔55A、55Bに1つ置きに冷媒配管60を通したため、冷媒配管60を貫通していないカラー部56が存在している。しかし、専用の孔開け機を用いることにより、図9乃至図13に示すように冷媒配管60を通すところだけ貫通孔を形成してもよい。
尚、図9では冷媒配管60を通す貫通孔のみが形成されている蒸発器5Aの斜視図、図10では蒸発器5Aの透視側面図、図11では(A)管板50の側面図及びその断面図(B)第1の熱交換フィン51Aの側面図及びその断面図、(C)第2の熱交換フィン51Bの側面図及びその断面図、図12では図9の蒸発器5Aの平面図、図13では図9の蒸発器5Aの正面図をそれぞれ示している。係る構成としても上記実施例と同様、霜が付着しやすい空気入口側と冷媒入口の上側の熱交換フィン間に霜が成長して、霜閉塞が生じる不都合を抑制することが可能となる。
R 冷却貯蔵庫
2 断熱箱体
3 貯蔵室
4 冷却装置
5、5A 蒸発器
6 送風機
7 ドレンパン
8 冷却室
9 断熱板
12 冷気吸込口
13 冷気吐出口
26 ヒータ(電気ヒータ。除霜手段)
45 冷却ユニット
50 管板
50A 貫通孔
51 熱交換フィン
51A 第1の熱交換フィン
51B 第2の熱交換フィン
52 切欠
53A、53B 後端
54A、54B 下端
55A、55B 貫通孔
56 カラー部
60 冷媒配管
60A 冷媒入口側の冷媒配管
61 管状部材
62 U字部材

Claims (2)

  1. 少なくとも所定間隔を有して配置された複数の熱交換フィンと、これら熱交換フィンを貫通し、蛇行状に引き回された冷媒配管とからなり、冷媒圧縮機、放熱器、減圧装置と共に環状の冷媒サイクルをなす蒸発器において、
    被冷却物を収納する庫内に冷気を循環させる風路中に送風装置と共に配置され、当該蒸発器の下端には除霜用のヒータを設け、該蒸発器内の風路中における空気入口側の一側面、及び、冷媒入口が存在する当該蒸発器上部の上側面の一部の前記熱交換フィンを切取り、当該面における熱交換フィンの間隔を前記所定間隔より広げると共に、前記冷媒入口から流入した冷媒の流れが前記空気入口側から流入する空気と対向流となるようにしたことを特徴とする蒸発器。
  2. 前記熱交換フィンは、矩形状の第1の熱交換フィン、及び該第1の熱交換フィンより所定の大きさだけ小さい矩形状の第2の熱交換フィンからなり、これら第1の熱交換フィンと第2の熱交換フィンが交互に配置されることで、前記空気入口側及び上側部分が前記第1の熱交換フィンのみが交互に配置され、フィンピッチが疎とされていることを特徴とする請求項1に記載の蒸発器。
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