この発明は、画像処理装置、磁気共鳴イメージング装置および画像管理システムに関し、特に、心壁運動の解析を自動的に行うことで心筋に関する診断や治療を支援することができる画像処理装置、磁気共鳴イメージング装置および画像管理システムに関する。
従来、心筋の壁運動(心壁運動)を解析するための方法として、心筋のSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)検査やPET(Positron Emission Tomography)検査、磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置を用いたTagging撮像(例えば、特許文献1または2参照)、超音波診断装置を用いたTDI(Tissue Doppler Imaging)、Speckle Tracking(例えば、特許文献3参照)等があった。
特開平7−178068号公報
特表2004−512883号公報
特開2003−250804号公報
しかしながら、SPECT検査やPET検査では、心壁運動を解析することは可能であるが、画像の空間分解能が低いため、心筋のどの箇所が梗塞しているかを特定することや、冠動脈との相対的な位置関係を把握することが困難であった。また、超音波診断装置を用いたTDIやSpeckle Trackingなどの壁運動解析手法では、Doppler法による角度依存性や、心筋部位を自動的に抽出できないという課題や、心臓全体・冠動脈の形状を同時に表示できない等の課題があった。なお、低周波を用いた場合には、心臓全体の画像は得られるが、画質が劣化するという課題がある。
これらの課題を解決する方法として、例えば、磁気共鳴イメージング装置を用いたTagging撮影があるが、このTagging撮影では、心筋領域内のTag点を自動的に抽出することができず、その結果、心筋以外の部位の影響を除去したうえで心壁運動を解析することは困難であった。
この発明は、上述した従来技術による課題を解決するためになされたものであり、心壁運動の解析を自動的に行うことで心筋に関する診断や治療を支援することができる画像処理装置、磁気共鳴イメージング装置および画像管理システムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、画像処理装置が、時系列的に撮像された同一被検体の心臓の複数の画像をそれぞれ第一の画像として入力する第一の画像入力手段と、空間上の位置を示す標識を撮像部位に施したうえで当該撮像部位を撮像する撮像方法を用いて時系列的に撮像された前記被検体の心臓の複数の画像をそれぞれ第二の画像として入力する第二の画像入力手段と、前記第一の画像入力手段によって入力された第一の画像それぞれから心筋の心内膜を表す心内膜領域および心外膜を表す心外膜領域を抽出する心筋領域抽出手段と、前記心筋領域抽出手段によって抽出された心内膜領域および心外膜領域をもとに心筋領域を生成し、生成した心筋領域を前記第二の画像入力手段によって入力された第二の画像上に配置したうえで、当該心筋領域内にある標識を時相ごとに検出する標識検出手段と、前記標識検出手段によって検出された標識を時相間で同一標識ごとにそれぞれ関連付ける標識関連付け手段と、前記標識関連付け手段によって関連付けられた各標識の変化量に基づいて、前記心臓の心壁運動を解析する解析手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、磁気共鳴イメージング装置が、時系列的に撮像された同一被検体の心臓の複数の画像をそれぞれ第一の画像として入力する第一の画像入力手段と、空間上の位置を示す標識を撮像部位に施したうえで当該撮像部位を撮像する撮像方法を用いて時系列的に撮像された前記被検体の心臓の複数の画像をそれぞれ第二の画像として入力する第二の画像入力手段と、前記第一の画像入力手段によって入力された第一の画像それぞれから心筋の心内膜を表す心内膜領域および心外膜を表す心外膜領域を抽出する心筋領域抽出手段と、前記心筋領域抽出手段によって抽出された心内膜領域および心外膜領域をもとに心筋領域を生成し、生成した心筋領域を前記第二の画像入力手段によって入力された第二の画像上に配置したうえで、当該心筋領域内にある標識を時相ごとに検出する標識検出手段と、前記標識検出手段によって検出された標識を時相間で同一標識ごとにそれぞれ関連付ける標識関連付け手段と、前記標識関連付け手段によって関連付けられた各標識の変化量に基づいて、前記心臓の心壁運動を解析する解析手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、画像診断装置によって撮像された画像を画像表示クライアントに表示させる画像管理システムであって、前記画像診断装置によって時系列的に撮像された同一被検体の心臓の複数の画像をそれぞれ第一の画像として入力する第一の画像入力手段と、前記画像診断装置によって空間上の位置を示す標識を撮像部位に施したうえで当該撮像部位を撮像する撮像方法を用いて時系列的に撮像された前記被検体の心臓の複数の画像をそれぞれ第二の画像として入力する第二の画像入力手段と、前記第一の画像入力手段によって入力された第一の画像それぞれから心筋の心内膜を表す心内膜領域および心外膜を表す心外膜領域を抽出する心筋領域抽出手段と、前記心筋領域抽出手段によって抽出された心内膜領域および心外膜領域をもとに心筋領域を生成し、生成した心筋領域を前記第二の画像入力手段によって入力された第二の画像上に配置したうえで、当該心筋領域内にある標識を時相ごとに検出する標識検出手段と、前記標識検出手段によって検出された標識を時相間で同一標識ごとにそれぞれ関連付ける標識関連付け手段と、前記標識関連付け手段によって関連付けられた各標識の変化量に基づいて、前記心臓の心壁運動を解析する解析手段と、前記画像診断装置によって撮像された画像および前記解析手段による解析結果を前記画像表示クライアントに転送する転送手段とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、心壁運動の解析を自動的に行うことで心筋に関する診断や治療を支援することができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る画像処理装置、磁気共鳴イメージング装置および画像管理システムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、実施例で用いる用語を説明した後に、実施例1〜5を説明する。
最初に、以下で説明する実施例で用いる用語について説明する。ここでは、磁気共鳴イメージング装置によって得られる各種の画像について説明する。
まず、「Black Blood画像」とは、Black Blood法を用いて撮像されることで取得された画像である。ここで、Black Blood法とは、血液の輝度値を低くする撮像法である。血管内や血流が豊富な組織は輝度値が低くなり、黒く描出される。このため、心臓が撮像された「Black Blood画像」の場合、心臓の内腔の輝度値が低くなる結果、内腔は黒く描出される。言い換えると、Black Blood法は、心内膜を描出することに有効な手法である。
また、「遅延造影画像」とは、遅延造影法を用いて撮像されることで取得された画像である。ここで、遅延造影法とは、正常組織に比較して病変組織(例えば、心筋梗塞部位など)からの排出が遅れるという造影剤の性質を利用し、組織の内部や周辺に造影剤を注入してから所定の時間が経過した後に撮像することで、正常組織と病変組織との輝度比を高める撮像法である。このため、心臓が撮像された「遅延造影画像」の場合、正常な心筋の輝度値が低くなる結果、心筋の大半部分は黒く描出される。言い換えると、遅延造影法は、心内膜および心外膜を描出することに有効な手法である。
また、「Tagging画像」とは、Tagging法を用いた撮像によって得られる画像である。ここで、Tagging法とは、撮像スライス内の磁化を空間的に変調させるための選択的励起パルスを被検体に印加することによって、空間上の位置を示す低信号のTag(タグ:標識)を心筋に付加した画像を生成する撮像法である。例えば、Tagging法には、格子状にTagを付加するSPAMM(Spatial Modulation Of Magnetization)法などがある。
また、「Cine画像」とは、撮像部位を時系列的に撮像することによって得られる画像である。さらに、以下で説明する実施例では、Tagging法で撮像されたCine画像を「Tagging Cine画像」と呼ぶ。
次に、実施例1を説明する。本実施例1では、本発明を磁気共鳴イメージング装置に適用した場合について説明する。なお、以下では、磁気共鳴イメージング装置を「MRI装置」と呼ぶ。また、本実施例1で用いるMRI装置は、近年、実用化が進んでいる3T−MRI装置など、より高い磁場を発生させることが可能なものを用いるのが望ましい。
まず、図1を用いて、本実施例1に係るMRI装置の全体構成について説明する。図1は、本実施例1に係るMRI装置100の全体構成を示す図である。図1に示すように、このMRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、寝台4、寝台制御部5、送信RFコイル6、送信部7、受信RFコイル8、受信部9、シーケンス制御部10および計算機システム20を備える。
静磁場磁石1は、中空の円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に一様な静磁場を発生する。この静磁場磁石1としては、例えば永久磁石、超伝導磁石等が使用される。
傾斜磁場コイル2は、中空の円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石1の内側に配置される。この傾斜磁場コイル2は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、後述する傾斜磁場電源3から個別に電流供給を受けて、X,Y,Zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生させる。なお、Z軸方向は、静磁場と同方向とする。傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2に電流を供給する装置である。
ここで、傾斜磁場コイル2によって発生するX,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Geおよびリードアウト用傾斜磁場Grにそれぞれ対応している。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の周波数を変化させるために利用される。
寝台4は、被検体Pが載置される天板4aを備えた装置であり、後述する寝台制御部5による制御のもと、被検体Pが載置された状態で、天板4aを傾斜磁場コイル2の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、この寝台4は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部5は、制御部30による制御のもと、寝台4を制御する装置であり、寝台4を駆動して、天板4aを長手方向および上下方向へ移動する。
送信RFコイル6は、傾斜磁場コイル2の内側に配置されたコイルであり、送信部7から高周波パルスの供給を受けて高周波磁場を発生する。送信部7は、ラーモア周波数に対応する高周波パルスを送信RFコイル6に送信する装置である。
受信RFコイル8は、傾斜磁場コイル2の内側に配置されたコイルであり、上記の高周波磁場の影響によって被検体Pから放射される磁気共鳴信号を受信する。この受信RFコイル8は、磁気共鳴信号を受信すると、その磁気共鳴信号を受信部9へ出力する。
受信部9は、受信RFコイル8から出力される磁気共鳴信号に基づいてk空間データを生成する。具体的には、この受信部9は、受信RFコイル8から出力される磁気共鳴信号をデジタル変換することによってk空間データを生成する。このk空間データには、前述したスライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Geおよびリードアウト用傾斜磁場Grによって、PE方向、RO方向、SE方向の空間周波数の情報が対応付けられている。そして、k空間データを生成すると、受信部9は、そのk空間データをシーケンス制御部10へ送信する。
シーケンス制御部10は、計算機システム20から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源3、送信部7および受信部9を駆動することによって、被検体Pのスキャンを行う。ここで、シーケンス情報とは、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル2に供給する電源の強さや電源を供給するタイミング、送信部7がRFコイル6に送信するRF信号の強さやRF信号を送信するタイミング、受信部9が磁気共鳴信号を検出するタイミングなど、スキャンを行うための手順を定義した情報である。
なお、シーケンス制御部10は、傾斜磁場電源3、送信部7および受信部9を駆動して被検体Pをスキャンした結果、受信部9からk空間データが送信されると、そのk空間データを計算機システム20へ転送する。
計算機システム20は、MRI装置100の全体制御や、データ収集、画像再構成などを行う。この計算機システム20は、特に、インタフェース部21、画像再構成部22、記憶部23、入力部24、表示部25および制御部30を有している。
インタフェース部21は、シーケンス制御部10との間で授受される各種信号の入出力を制御する。例えば、このインタフェース部21は、シーケンス制御部10に対してシーケンス情報を送信し、シーケンス制御部10からk空間データを受信する。k空間データを受信すると、インタフェース部21は、各k空間データを被検体Pごとに記憶部23に格納する。
画像再構成部22は、記憶部23によって記憶されたk空間データに対して、後処理、すなわちフーリエ変換等の再構成処理を施すことによって、被検体P内における所望核スピンのスペクトラムデータあるいは画像データを生成する。
記憶部23は、インタフェース部21によって受信されたk空間データと、画像再構成部22によって生成された画像データなどを、被検体Pごとに記憶する。この記憶部23には、Black Blood法や遅延造影法、Tagging法などの各種撮像方法によって撮像された画像が記憶される。
入力部24は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。この入力部24としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスを適宜に利用可能である。
表示部25は、制御部30による制御のもと、スペクトラムデータあるいは画像データ等の各種の情報を表示する。この表示部25としては、液晶表示器などの表示デバイスを利用可能である。
制御部30は、図示していないCPUやメモリ等を有し、MRI装置100の全体制御を行う。具体的には、この制御部30は、入力部24を介して操作者から入力される撮像条件に基づいてシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御部10に送信することによってスキャンを制御したり、スキャンの結果としてシーケンス制御部10から送られるk空間データに基づいて行われる画像の再構成を制御したりする。
以上、本実施例1に係るMRI装置100の全体構成について説明した。そして、このような構成のもと、本実施例1では、制御部30が、心臓のCine画像から心筋領域を自動的に生成し、生成した心筋領域とTagging画像とを用いて心筋ストレイン解析を行うようにしている。ここで、「心筋ストレイン解析」とは、心臓の心壁運動を解析する手法の一つであり、心筋の収縮や拡張、ねじれが正常か否かを調べるものである。心筋は、血流が良好に供給されていない場合には、正常に収縮および拡張することができなくなり、その結果、体内に血流を送り出す機能が正しく働かなくなる。心筋ストレイン解析を行うことで、このような心筋の異常を発見することができる。
以下、本実施例1に係る制御部30について詳細に説明する。まず、図2を用いて、本実施例に係る制御部30の構成について説明する。図2は、本実施例1に係る制御部30の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、制御部30は、特に、心筋領域抽出部31、心筋解析部32および画像出力部33を有する。
心筋領域抽出部31は、心臓のCine画像から心内膜を表す心内膜領域および心外膜を表す心外膜領域を抽出する。具体的には、この心筋領域抽出部31は、Cine画像入力部31a、画像中心検出部31b、放射状中心線設定部31c、放射状輝度値カーブ生成部31d、信号値勾配検出部31eおよび心筋領域生成部31fを有する。なお、これら各部が行う処理の詳細については、後に詳細に説明する。
心筋解析部32は、心筋領域抽出部31によって抽出された心内膜領域および心外膜領域をもとに心筋領域を抽出し、抽出した心筋領域とTagging画像とを用いて心筋ストレイン解析を行う。具体的には、この心筋解析部32は、Tagging画像入力部32a、Tagging画像・心筋領域合成部32b、心筋内Tag点検出部32c、時相間Tag点追跡部32dおよび心筋ストレイン解析部32eを有する。なお、これら各部が行う処理の詳細については、後に詳細に説明する。
画像出力部33は、心筋解析部32によって行われた心筋ストレイン解析の解析結果を出力する。具体的には、この画像出力部33は、表示画像入力部33a、画像・解析結果合成部33b、幾何条件設定部33c、表示条件設定部33dおよび画像表示制御部33eを有する。なお、これら各部が行う処理の詳細については、後に詳細に説明する。
次に、主に図3を用いて、本実施例1に係る制御部30が有する各部の処理手順について説明する。図3は、本実施例1に係る制御部30が有する各部の処理手順を示すフローチャートである。
図3に示すように、制御部30では、まず、Cine画像入力部31aが、検査対象の被検体の心臓短軸断面が撮像されたCine画像を記憶部23から読み込む(ステップS31)。例えば、Cine画像入力部31aは、Black Blood法で撮像されたCine画像、または、遅延撮像法で撮像されたCine画像を読み込む。
続いて、画像中心検出部31b、放射状中心線設定部31c、放射状輝度値カーブ生成部31d、信号値勾配検出部31e、心筋領域生成部31fが、Cine画像入力部31aによって入力されたCine画像から心内膜領域および心外膜領域を抽出する(ステップS32)。
ここで、図4および図5を用いて、ステップS32の処理について詳細に説明する。なお、ここでは、このステップS32の処理を「心筋領域抽出処理」と呼ぶ。図4は、本実施例1に係る心筋領域抽出処理の処理手順を示すフローチャートである。また、図5は、本実施例1に係る心筋領域抽出処理の処理イメージを示す図である。この図5は、遅延撮像法で撮像されたCine画像を示している。
図4に示すように、本実施例1に係る心筋領域抽出処理では、まず、画像中心検出部31bが、Cine画像入力部31aによって入力されたCine画像に含まれる時相ごとの画像それぞれについて、図5の(2)に示すように、画像の中心点を決定する。このとき、画像中心検出部31bは、例えば、心臓短軸断面が基本的に心内腔を画像中心にして撮像されることを利用して、各画像の中心点を決定する(ステップS41)。
続いて、放射状中心線設定部31cが、各時相の画像について、図5の(3)に示すように、画像中心検出部31bによって決定された画像中心点から画像内に放射状に複数の線分(以下、「放射状中心線」と呼ぶ)を配置する(ステップS42)。
続いて、放射状輝度値カーブ生成部31dが、各時相の画像について、図5の(4)に示すように、放射状中心線設定部31cによって配置された各放射状中心線上の輝度値カーブ(プロファイル計測)を生成する(ステップS43)。
続いて、信号値勾配検出部31eが、各時相の画像について、図5の(5)に示すように、放射状輝度値カーブ生成部31dによって生成された各輝度値カーブ上で信号値の勾配が大きい点を中心点から検索し、特定する(ステップS44)。
続いて、心筋領域生成部31fが、各時相の画像について、図5の(6)参照に示すように、信号値勾配検出部31eによって特定された各点を結ぶことによって心内膜領域および心外膜領域を生成する(ステップS45)。
例えば、図5の(4)に示す輝度値カーブでは、放射状中心線の左側を正、右側を負としている。そして、図5の(5)に示すように、遅延造影法で撮像されたCine画像を用いる場合には、信号値が正から負に変化する点のうち最も変化の勾配が大きくなる点を結んで得られる領域が心内膜領域となる。逆に、信号値が負から正に変化する点のうち最も変化の勾配が大きくなる点を結んで得られる領域が心外膜領域となる。
なお、Black Blood法で撮像されたCine画像を用いる場合には、図5の例とは逆に、信号値が正から負に変化する点のうち最も変化の勾配が大きくなる点を結んで得られる領域が心外膜領域となり、負から正に変化する点のうち最も変化の勾配が大きくなる点を結んで得られる領域が心内膜領域となる。
図3の説明にもどって、ステップS31およびS32の処理が行われる一方で、Tagging画像入力部32aが、検査対象の被検体の心臓短軸断面が撮像されたTagging Cine画像を記憶部23から読み込む(ステップS33)。なお、ここで読み込まれるTagging Cine画像には、格子状にTag点が付加されていることとする。また、ここで読み込まれるTagging Cine画像は、Cine画像入力部31aによって読み込まれたCine画像と同一の検査内で撮像された画像であることが望ましい。それにより、画像の詳細な位置合わせ処理が不要になる。
そして、ステップS31〜S33の処理によって心内膜領域および心外膜領域が抽出され、かつ、Tagging Cine画像が読み込まれると(ステップS34,Yes)、Tagging画像・心筋領域合成部32b、心筋内Tag点検出部32c、時相間Tag点追跡部32dおよび心筋ストレイン解析部32eが、心内膜領域および心外膜領域をもとに心筋領域を生成し、生成した心筋領域とTagging画像とを用いて心筋ストレイン解析を実施する(ステップS35)。
ここで、図6、図7、図8−1〜8−3および図9−1〜9−4を用いて、ステップS35の処理を詳細に説明する。なお、ここでは、このステップS35の処理を「心筋ストレイン解析処理」と呼ぶ。図6は、本実施例1に係る心筋ストレイン解析処理の処理手順を示すフローチャートである。また、図7は、本実施例1に係る心筋ストレイン解析処理の処理イメージを示す図である。また、図8−1〜8−3は、本実施例1に係る心筋ストレイン解析処理で用いられる評価指標の例を示す図である。
図7に示すように、本実施例1に係る心筋ストレイン解析処理では、まず、Tagging画像・心筋領域合成部32bが、心筋領域生成部31fによって抽出された心内膜領域および心外膜領域をもとに心筋領域を生成する。具体的には、Tagging画像・心筋領域合成部32bは、心内膜領域の境界と心外膜の境界との間に挟まれた領域を心筋領域として生成する。そして、Tagging画像・心筋領域合成部32bは、生成した心筋領域をTagging画像入力部32aによって読み込まれたTagging Cine画像上に同一の時相ごとに配置する(ステップS61)。これにより、各Tagging画像上で心筋領域が特定される。
続いて、心筋内Tag点検出部32cが、心筋領域の内部のみを対象として、Tag点を検出する。具体的には、心筋内Tag点検出部32cは、各時相のTagging画像から心筋領域内の信号値と位置情報をもとにTag点を検出する(ステップS62)。
続いて、時相間Tag点追跡部32dが、時相ごとのTag点の相対的な位置関係に基づいて、同一のTag点ごとに時相間でTag点を関連付ける。具体的には、時相間Tag点追跡部32dは、まず、Tag点が格子状に配置されていることを利用して各Tag点のTag座標を決定する(ステップS63)。
そして、時相間Tag点追跡部32dは、異なる時相のCine画像間のTag点を同一のTag点ごとに関連付ける(図7の(1)および(2)参照)。具体的には、時相間Tag点追跡部32dは、Tag点間の相対的な位置関係に基づいて、時相間で同一のTag点を検索し、検索したTag点を関連付ける(ステップS64)。この処理の目的は、時系列的に心筋内の同一部位を関連付け、その変位量を算出することである(図7の(3)参照)。
その後、心筋ストレイン解析部32eが、時系列的なTagの変化量を示すTag点の変位量を利用して心筋ストレイン解析を実施する(ステップS65)。具体的には、心筋ストレイン解析部32eは、心筋ストレイン解析の指標として、例えば、図8−1に示すように、3方向の心筋ストレイン(Radial Strain、Circumferential Strain、Longitudinal Strain)を算出する。
例えば、Radial Strain[%]は、図8−2に示すように、拡張末期における壁厚方向に並ぶ任意の2点間の距離L0に対する、収縮末期における同じ2点間の壁厚方向の距離Lrの割合を算出することによって求められる(図8−2の式(1)参照)。3次元でRadial Strain[%]を求める場合には、拡張末期における任意の2点間の距離L0に対する、収縮末期における同じ2点間の相対距離Lの割合を算出することによって求められる(図8−2の式(2)参照)。
または、心筋ストレイン解析部32eは、例えば、図8−3に示すように、心筋のねじれ角やねじれ率を算出する。心筋のねじれ角(Twist)は、例えば図8−3の左図に示すような心筋における任意の2つの断面間で、ねじれによって生じた回転角の差θを求めることによって算出される。また、ねじれ率(Torsion)は、心筋における任意の2つの断面間の距離Lでねじれ角を規格化した値であり、Torsion=θ/Lで算出される。ここで、例えば図8−3の右図に示すように、2つの断面間で回転角の差θが同じであったとしても、距離L1とL2が異なっていれば、ねじれ率の物理的な意味は異なる。
図3の説明にもどって、ステップS35の心筋ストレイン解析が実施された後に、表示画像入力部33a、画像・解析結果合成部33b、幾何条件設定部33c、表示条件設定部33dおよび画像表示制御部33eが、心臓の形態を表す画像と心筋ストレイン解析結果とを合成表示する(ステップS36)。
具体的には、まず、表示画像入力部33aが、検査対象の被検体の心臓の形態を表す画像(以下、「形態画像」と呼ぶ)を記憶部23から読み込む。例えば、表示画像入力部33aは、2次元画像、3次元画像、MPR断面画像、3次元画像上にMPR断面を表示した画像などを形態画像として読み込む。ここで読み込まれる形態画像は、Cine画像入力部31aによって読み込まれるCine画像、および、Tagging画像入力部32aによって入力されるTagging画像と同一の検査内で撮像された画像であることが望ましい。それにより、前述したように、画像の詳細な位置合わせ処理が不要になる。
続いて、画像・解析結果合成部33bが、表示画像入力部33aによって読み込まれた形態画像と心筋ストレイン解析部32eにより得られた心筋ストレイン解析結果とを合成する。その後、幾何条件設定部33cが、操作者もしくはプリセットによる視点位置や回転設定などの幾何条件を入力し、表示条件設定部33dが、カラー・オパシティ設定などの表示条件を入力する。
そして、画像表示制御部33eが、幾何条件設定部33cによって入力された幾何条件および表示条件設定部33dによって入力された表示条件にしたがって、画像・解析結果合成部33bによって合成された形態画像および心筋ストレイン解析結果を表示部25に表示させる。ここで、画像表示制御部33eは、公知の心臓・冠動脈自動抽出技術や心筋梗塞部位自動抽出技術などを用いることによって、各種の方法で形態画像および心筋ストレイン解析結果を表示することが可能である。
図9−1〜9−4は、本実施例1に係る画像表示制御部33eによる形態画像および解析結果の表示例を示す図である。図9−1は、心筋ストレイン解析によって算出された値の大きさに応じて色が変化するように、心筋の任意の断面を色付けして表示する場合を示している。また、図9−2は、心筋ストレイン解析結果をグラフで表示する場合を示している。また、図9―3は、心筋ストレイン解析によって算出された値の大きさに応じて色が変化するように、心臓の3次元画像上で任意の部位を色付けして表示する場合を示している。
また、図9−4は、ストレイン異常心筋と他部位との相対的な位置関係を強調表示するとともに、同じ画像上で、心筋ストレイン解析によって算出された値の大きさに応じて色が変化するように任意の部位を色付けして表示する場合を示している。例えば、図9−4に示すように、心筋ストレイン解析結果に基づいて心筋梗塞の部位を検出したうえで、あらかじめ設定されている解剖学的な情報に基づいて、検出した部位に血液を供給している冠動脈を特定し、それぞれの相対的な位置関係を示すことが可能である。
上述してきたように、本実施例1では、Cine画像入力部31aが、検査対象の被検体の心筋が撮像されたCine画像を入力し、Tagging画像入力部32aが、検査対象の被検体の心筋のTagging Cine画像を入力する。そして、画像中心検出部31b、放射状中心線設定部31c、放射状輝度値カーブ生成部31d、信号値勾配検出部31e、心筋領域生成部31fが、入力されたCine画像から心内膜領域および心外膜領域を抽出する。その後、Tagging画像・心筋領域合成部32bが、心内膜領域および心外膜領域をもとに心筋領域を抽出し、抽出した心筋領域をTagging Cine画像上に配置し、心筋内Tag点検出部32cが、心筋領域内にあるTag点を時相ごとに検出する。そして、時相間Tag点追跡部32dが、検出されたTag点を時相間で同一のTag点ごとにそれぞれ関連付け、心筋ストレイン解析部32eが、関連付けられた各Tag点の変位量に基づいて心筋ストレイン解析を行う。したがって、本実施例1によれば、心壁運動の解析を自動的に行うことで心筋に関する診断や治療を支援することができる。
また、本実施例1では、表示画像入力部33aが、検査対象の被検体の心臓の形態画像を入力する。その後、画像・解析結果合成部33bが、入力された形態画像と心筋ストレイン解析部32eにより得られた心筋ストレイン解析結果とを合成する。そして、画像表示制御部33eが、幾何条件設定部33cによって入力された幾何条件および表示条件設定部33dによって入力された表示条件にしたがって、画像・解析結果合成部33bによって合成された形態画像および心筋ストレイン解析結果を表示部25に表示させる。したがって、本実施例1によれば、心筋の異常個所の特定や他の部位との関連性の検討に有用な情報を提供することで、効率よく心筋に関する診断や治療を行うことが可能になる。
ところで、実施例1では、Black Blood法で撮像されたCine画像、または、遅延撮像法で撮像されたCine画像のいずれか一方から心内膜領域および心外膜領域を抽出する場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られるわけではなく、各領域をそれぞれの別の種類の画像から抽出してもよい。
前述したように、Black Blood法で心臓を撮像した場合には、心臓の内腔が黒く描出されるので、心内膜が明瞭に描出される。一方、遅延造影法で心臓を撮像した場合には、心筋が黒く描出されるので、心外膜が明瞭に描出される。
そこで、例えば、Black Blood法で撮像された画像から心内膜領域を抽出し、遅延造影法で撮像された画像から心外膜領域を抽出する場合を実施例2として説明する。なお、本実施例2におけるMRI装置は、基本的には、図1に示したものと同様の構成を有し、制御部によって行われる処理が異なるのみであるので、ここでは、本実施例2における制御部について詳細に説明する。
まず、図10を用いて、本実施例2に係る心筋領域抽出の概念を説明する。図10は、本実施例2に係る心筋領域抽出の概念を説明するための図である。図10に示すように、本実施例2では、制御部が、Black Blood法で撮像されたCine画像、および、遅延造影法で撮像されたCine画像を入力する(図10の(1)および(2)参照)。
そして、本実施例2では、制御部は、Black Blood法で撮像されたCine画像から心内膜領域を抽出し、遅延造影法で撮像されたCine画像から心外膜を抽出した後に(図10の(3)および(4)参照)、抽出した心内膜領域および心外膜領域をもとに心筋領域を抽出する(図10の(5)参照)。
このように、本実施例2では、制御部が、Black Blood法で撮像されたCine画像から抽出された心内膜領域と、遅延造影法で撮像されたCine画像から抽出された心外膜領域とを用いることによって、より正確に心筋領域を抽出することが可能になる。
次に、図11を用いて、本実施例2に係る制御部の構成について説明する。図11は、本実施例2に係る制御部40の機能構成を示すブロック図である。なお、ここでは説明の便宜上、図2に示した各部と同様の役割を果たす機能部については、同一符号を付すこととしてその詳細な説明を省略する。
図11に示すように、制御部40は、特に、心内膜領域抽出部41、心外膜領域抽出部44、心筋解析部42および画像出力部33を有する。すなわち、本実施例2では、図2に示した構成と比べて、心内膜領域抽出部41、心外膜領域抽出部44および心筋解析部42が異なっている。
心内膜領域抽出部41は、Black Blood法で撮像された心臓のCine画像から心内膜領域を抽出する。具体的には、この心内膜領域抽出部41は、Black Blood画像入力部41a、画像中心検出部41b、放射状中心線設定部31c、放射状輝度値カーブ生成部31d、信号値勾配検出部31eおよび心内膜領域生成部41fを有する。これら各部が行う処理の詳細については、後に詳細に説明する。
心外膜領域抽出部44は、遅延造影法で撮像された心臓のCine画像から心外膜領域を抽出する。具体的には、この心外膜領域抽出部44は、遅延造影画像入力部44a、画像中心検出部44b、放射状中心線設定部31c、放射状輝度値カーブ生成部31d、信号値勾配検出部44eおよび心外膜領域生成部44fを有する。これら各部が行う処理の詳細については、後に詳細に説明する。
心筋解析部42は、心内膜領域抽出部41によって抽出された心内膜領域および心外膜領域抽出部44によって抽出された心外膜領域をもとに心筋領域を抽出し、抽出した心筋領域とTagging画像とを用いて心筋ストレイン解析を行う。具体的には、この心筋解析部42は、Tagging画像入力部32a、Tagging画像・心筋領域合成部42b、心筋内Tag点検出部32c、時相間Tag点追跡部32dおよび心筋ストレイン解析部32eを有する。なお、これら各部が行う処理の詳細については、後に詳細に説明する。
次に、主に図12を用いて、本実施例2に係る制御部40が有する各部の処理手順について説明する。図12は、本実施例2に係る制御部40が有する各部の処理手順を示すフローチャートである。
図12に示すように、制御部40では、まず、Black Blood画像入力部41aが、Black Blood法を用いて検査対象の被検体の心臓短軸断面が撮像されたCine画像を記憶部23から読み込む(ステップS121)。
続いて、画像中心検出部41b、放射状中心線設定部31c、放射状輝度値カーブ生成部31d、信号値勾配検出部31e、心内膜領域生成部41fが、Black Blood画像入力部41aによって入力されたCine画像から心内膜領域を抽出する(ステップS122)。
ここで、図13を用いて、ステップS122の処理について詳細に説明する。なお、ここでは、このステップS122の処理を心内膜領域抽出処理と呼ぶ。図13は、本実施例2に係る心内膜領域抽出処理の処理手順を示すフローチャートである。
図13に示すように、本実施例2に係る心内膜領域抽出処理では、まず、画像中心検出部41bが、Black Blood画像入力部41aによって入力されたCine画像に含まれる時相ごとの画像それぞれについて、図5の(2)に示したように、画像の中心点を決定する。このとき、画像中心検出部41bは、例えば、心臓短軸断面が基本的に心内腔を画像中心にして撮像されることを利用して各画像の中心点を決定する(ステップS131)。
続いて、放射状中心線設定部31cが、各時相のBlack Blood画像について、図5の(3)に示したように、画像中心検出部41bによって決定された画像中心点から画像内に放射状に複数の放射状中心線を配置する(ステップS132)。
続いて、放射状輝度値カーブ生成部31dが、各時相のBlack Blood画像について、図5の(4)に示したように、放射状中心線設定部31cによって配置された各放射状中心線上の輝度値カーブ(プロファイル計測)を生成する(ステップS133)。
続いて、信号値勾配検出部41eが、各時相のBlack Blood画像について、放射状輝度値カーブ生成部31dによって生成された各輝度値カーブ上で信号値の正勾配が大きい点、すなわち、信号値が負から正に変化する点のうち最も変化の勾配が大きくなる点を中心点から検索し、特定する(ステップS134)。
続いて、心内膜領域生成部41fが、各時相のBlack Blood画像について、信号値勾配検出部41eによって特定された各点を結ぶことによって心内膜を生成する(ステップS135)。
図12の説明にもどって、ステップS121およびS122の処理が行われる一方で、遅延造影画像入力部44aが、遅延造影法を用いて検査対象の被検体の心臓短軸断面が撮像されたCine画像を記憶部23から読み込む(ステップS123)。なお、ここで読み込まれるCine画像は、Black Blood画像入力部41aによって読み込まれたCine画像と同一の検査内で撮像された画像であることが望ましい。それにより、画像の詳細な位置合わせ処理が不要になる。
続いて、画像中心検出部44b、放射状中心線設定部31c、放射状輝度値カーブ生成部31d、信号値勾配検出部44e、心内膜領域生成部41fが、遅延造影画像入力部44aによって入力されたCine画像から心外膜領域を抽出する(ステップS124)。
ここで、図14を用いて、ステップS124の処理について詳細に説明する。なお、ここでは、このステップS124の処理を心外膜抽出処理と呼ぶ。図14は、本実施例2に係る心外膜領域抽出処理の処理手順を示すフローチャートである。
図14に示すように、本実施例2に係る心外膜抽出処理では、まず、画像中心検出部44bが、遅延造影画像入力部44aによって入力されたCine画像に含まれる時相ごとの画像それぞれについて画像の中心点を決定する。このとき、画像中心検出部44bは、例えば、心臓短軸断面が基本的に心内腔を画像中心にして撮像されることを利用して、各画像の中心点を決定する(ステップS141)。
続いて、放射状中心線設定部31cが、各時相の遅延造影画像について、画像中心検出部44bによって決定された画像中心点から画像内に放射状に複数の放射状中心線を配置する(ステップS142)。
続いて、放射状輝度値カーブ生成部31dが、各時相の遅延造影画像について、放射状中心線設定部31cによって配置された各放射状中心線上の輝度値カーブ(プロファイル計測)を生成する(ステップS143)。
続いて、信号値勾配検出部44eが、各時相の遅延造影画像について、放射状輝度値カーブ生成部31dによって生成された各輝度値カーブ上で信号値の負勾配が大きい点、すなわち、信号値が正から負に変化する点のうち最も変化の勾配が大きくなる点を中心点から検索し、特定する(ステップS144)。
続いて、心外膜領域生成部44fが、各時相の遅延造影画像について、信号値勾配検出部44eによって特定された各点を結ぶことによって心外膜領域を生成する(ステップS145)。
図12の説明にもどって、ステップS121〜S124の処理が行われる一方で、Tagging画像入力部32aが、検査対象の被検体の心臓のTagging Cine画像を記憶部23から読み込む(ステップS125)。なお、ここで読み込まれるTagging Cine画像は、Black Blood画像入力部41aおよび遅延造影画像入力部44aによって読み込まれたCine画像と同一の検査内で撮像された画像であることが望ましい。それにより、前述したように、画像の詳細な位置合わせ処理が不要になる。
そして、ステップS121〜S125の処理によって心内膜領域および心外膜領域が抽出され、かつ、Tagging Cine画像が読み込まれると(ステップS126,Yes)、Tagging画像・心筋領域合成部42b、心筋内Tag点検出部32c、時相間Tag点追跡部32dおよび心筋ストレイン解析部32eが、心内膜領域生成部41fによって生成された心内膜領域および、心外膜領域生成部44fによって生成された心外膜領域をもとに心筋領域を生成し、生成した心筋領域とTagging画像とを用いて心筋ストレイン解析を実施する(ステップS127)。なお、このステップS127の処理は、図3に示したステップS35の処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。
そして、心筋ストレイン解析が実施された後に、表示画像入力部33a、画像・解析結果合成部33b、幾何条件設定部33c、表示条件設定部33dおよび画像表示制御部33eが、心臓の形態を表す画像と心筋ストレイン解析結果とを合成表示する(ステップS128)。なお、このステップS128の処理は、図3に示したステップS36の処理と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
上述してきたように、本実施例2では、Black Blood画像入力部41aが、Black Blood法で撮像された心筋のCine画像を入力し、遅延造影画像入力部44aが、遅延造影法で撮像された心筋のCine画像をそれぞれ入力する。そして、心内膜領域抽出部41の画像中心検出部41b、放射状中心線設定部31c、放射状輝度値カーブ生成部31d、信号値勾配検出部31eおよび心内膜領域生成部41fが、Black Blood画像入力部41aによって入力されたCine画像(Black Blood画像)から心内膜領域を抽出し、心外膜領域抽出部44の画像中心検出部44b、放射状中心線設定部31c、放射状輝度値カーブ生成部31d、信号値勾配検出部44eおよび心外膜領域生成部44fが、遅延造影画像入力部44aによって入力されたCine画像(遅延造影画像)から心外膜領域を抽出する。したがって、本実施例2によれば、より正確に心筋領域を抽出することができ、心壁運動の解析をより精度よく行なうことが可能になる。
ところで、実施例2では、心内膜領域を抽出するためのCine画像(Black Blood画像)と、心外膜領域を抽出するためのCine画像(遅延造影画像)とが、同一の検査内で撮像された画像であることが望ましいとし、それにより、画像の詳細な位置合わせ処理を不要にする場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られるわけではなく、それぞれの画像の位置合せを行うようにしてもよい。
そこで、以下では、心内膜領域を抽出するためのCine画像(Black Blood画像)と、心外膜領域を抽出するためのCine画像(遅延造影画像)との位置合せを行う場合を実施例3として説明する。なお、本実施例3におけるMRI装置は、基本的には、図1に示したものと同様の構成を有し、制御部によって行われる処理が異なるのみであるので、ここでは、本実施例3における制御部について詳細に説明する。
まず、図15を用いて、本実施例3に係る制御部の構成について説明する。図15は、本実施例3に係る制御部50の機能構成を示すブロック図である。なお、ここでは説明の便宜上、図2および図11に示した各部と同様の役割を果たす機能部については、同一符号を付すこととしてその詳細な説明を省略する。
図15に示すように、制御部50は、特に、心内膜領域抽出部41、心外膜領域抽出部44、心筋解析部52および画像出力部33を有する。すなわち、本実施例3では、図2および図11に示した構成と比べて、心筋解析部52が異なっている。
心筋解析部52は、心内膜領域抽出部41によって抽出された心内膜領域および心外膜領域抽出部44によって抽出された心外膜領域をもとに心筋領域を抽出し、抽出した心筋領域とTagging画像とを用いて心筋ストレイン解析を行う。具体的には、この心筋解析部52は、Tagging画像入力部32a、画像位置合せ部52f、Tagging画像・心筋領域合成部52b、心筋内Tag点検出部32c、時相間Tag点追跡部32dおよび心筋ストレイン解析部32eを有する。なお、これら各部が行う処理の詳細については、後に詳細に説明する。
次に、主に図16を用いて、本実施例3に係る制御部50が有する各部の処理手順について説明する。図16は、本実施例3に係る制御部50が有する各部の処理手順を示すフローチャートである。なお、図16において、ステップS161〜S165の処理は、図12に示したステップS121〜S125の処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。
そして、図16に示すように、制御部50では、ステップS161〜S165の処理によって心内膜領域および心外膜領域が抽出され、かつ、Tagging Cine画像が読み込まれると(ステップS166,Yes)、画像位置合せ部52fが、心内膜領域生成部41fによって生成された心内膜と、心外膜領域生成部44fによって生成された心外膜の位置合わせを行う(ステップS167)。
具体的には、画像位置合せ部52fが、時相ごとに、心内膜領域生成部41fによって生成された心内膜領域の中心点の位置と、心外膜領域生成部44fによって抽出された心外膜領域の中心点の位置とを特定し、特定したそれぞれの中心点の位置を合わせることによって、Black Blood画像と遅延造影画像の位置を合わせる。
なお、ここでは、心内膜領域および心外膜領域の中心点の位置を利用して位置合わせを行う場合について説明したが、心内膜領域および心外膜領域の中心点を利用せずに、各画像のピクセル値やピクセル値の勾配を利用する一般的な位置合わせの手法を用いて位置合せを行ってもよい。この手法としては、例えば、各画像からMI(Mutual Information)値を抽出して位置を合わせるMI法などがある。
その後、Tagging画像・心筋領域合成部52b、心筋内Tag点検出部32c、時相間Tag点追跡部32dおよび心筋ストレイン解析部32eが、画像位置合わせ部52fによって位置合わせが行われた心内膜領域および心外膜領域をもとに心筋領域を生成し、生成した心筋領域とTagging画像とを用いて心筋ストレイン解析を実施する(ステップS168)。なお、このステップS168の処理は、図3に示したステップS35の処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。
そして、心筋ストレイン解析が実施された後に、表示画像入力部33a、画像・解析結果合成部33b、幾何条件設定部33c、表示条件設定部33dおよび画像表示制御部33eが、心臓の形態を表す画像と心筋ストレイン解析結果とを合成表示する(ステップS169)。なお、このステップS169の処理は、図3に示したステップS36の処理と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
上述してきたように、本実施例3では、画像位置合せ部52fが、Black Blood画像入力部41aによって入力されたCine画像(Black Blood画像)と、遅延造影画像入力部44aによって入力されたCine画像(遅延造影画像)との位置合わせを行う。そして、心筋内Tag点検出部32cが、画像位置合せ部52f位置合せが行われた画像から抽出された心内膜領域および心外膜領域をもとに心筋領域を生成するので、検査中に被検体が動くことによってBlack Blood画像と遅延造影画像の位置との間で位置的なずれが生じていた場合でも、精度よく心筋に関する診断や治療を行うことが可能になる。
ところで、実施例1では、Tagging Cine画像においてTag点が格子状に配置されていることを利用し、Tag点間の相対的な位置関係に基づいて時相間でTag点を関連付ける場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られるわけではなく、他の方法を用いてTag点の関連付けを行うようにしてもよい。
そこで、以下では、画像のパターンマッチング技術を利用して、Tag点の関連付けを行う場合を実施例4として説明する。なお、本実施例4におけるMRI装置は、基本的には、図1に示したものと同様の構成を有し、制御部によって行われる処理が異なるのみであるので、ここでは、本実施例4における制御部について詳細に説明する。
まず、図17を用いて、本実施例4に係る制御部の構成について説明する。図17は、本実施例4に係る制御部60の機能構成を示すブロック図である。なお、ここでは説明の便宜上、図2に示した各部と同様の役割を果たす機能部については、同一符号を付すこととしてその詳細な説明を省略する。
図17に示すように、制御部60は、特に、心筋領域抽出部31、心筋解析部62および画像出力部33を有する。すなわち、本実施例3では、図2に示した構成と比べて、心筋解析部62が異なっている。
心筋解析部62は、心筋領域抽出部31によって抽出された心内膜領域および心外膜領域をもとに心筋領域を抽出し、抽出した心筋領域とTagging画像とを用いて心筋ストレイン解析を行う。具体的には、この心筋解析部62は、Tagging画像入力部32a、Tagging画像・心筋領域合成部32b、心筋内Tag点検出部32c、Template画像生成部62g、時相間Template画像追跡部62hおよび心筋ストレイン解析部32eを有する。なお、これら各部が行う処理の詳細については、後に詳細に説明する。
次に、主に図18を用いて、本実施例4に係る制御部60が有する各部の処理手順について説明する。図18は、本実施例4に係る制御部60が有する各部の処理手順を示すフローチャートである。なお、図18において、ステップS181〜S183の処理は、図3に示したステップS31〜S33の処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。
そして、図18に示すように、制御部60では、ステップS181〜S183の処理によって心内膜領域および心外膜領域が抽出され、かつ、Tagging Cine画像が読み込まれると(ステップS184,Yes)、Tagging画像・心筋領域合成部32b、心筋内Tag点検出部32c、Template画像生成部62g、時相間Template画像追跡部62hおよび心筋ストレイン解析部32eが、心内膜領域および心外膜領域をもとに心筋領域を生成し、生成した心筋領域とTagging画像とを用いて心筋ストレイン解析を実施する(ステップS185)。
ここで、図19および図20を用いて、ステップS185の処理を詳細に説明する。なお、ここでは、このステップS185の処理を「心筋ストレイン解析処理」と呼ぶ。図19は、本実施例4に係る心筋ストレイン解析処理の処理手順を示すフローチャートである。また、図20は、本実施例4に係る心筋ストレイン解析処理の処理イメージを示す図である。
図19に示すように、本実施例4に係る心筋ストレイン解析処理では、まず、Tagging画像・心筋領域合成部32bが、心筋領域生成部31fによって生成された心内膜領域および心外膜領域をもとに心筋領域を生成する。具体的には、Tagging画像・心筋領域合成部32bは、心内膜領域の境界と心外膜領域の境界との間に挟まれた領域を心筋領域として生成する。そして、Tagging画像・心筋領域合成部32bは、生成した心筋領域をTagging画像入力部32aによって読み込まれたTagging Cine画像上に同一の時相ごとに配置する(ステップS191)。これにより、各Tagging画像上で心筋領域が特定される。
続いて、心筋内Tag点検出部32cが、図20の(1)に示すように、心筋領域の内部のみを対象として、Tag点を検出する。具体的には、心筋内Tag点検出部32cは、各時相のTagging画像から心筋領域内の信号値と位置情報をもとにTag点を検出する(ステップS192)。そして、心筋内Tag点検出部32cは、Tag点が格子状に配置されていることを利用して各Tag点のTag座標を決定する(ステップS193)。
続いて、Template画像生成部62gが、図20の(2)に示すように、心筋内Tag点検出部32cによって時相ごとに検出されたTag点のうち、初期時相におけるTag点について、Tag点およびTag点周辺の所定の大きさの領域を表すTemplate画像(テンプレート画像)を生成する(ステップS194)。
さらに、時相間Template画像追跡部62hが、図20の(3)に示すように、Template画像生成部62gによって生成されたTemplate画像の領域とパターンが類似する部位を他の時相から検出することによって、同一のTag点ごとにTag点を関連付ける(ステップS195)。この処理の目的は、時系列的に心筋内の同一部位を関連付け、その変位量を算出することである。
その後、心筋ストレイン解析部32eが、時系列的なTagの変化量を示す同一部位の変位量を利用して心筋ストレイン解析を実施する(ステップS196)。このステップS196の処理は、図6に示したステップS65の処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。
図18の説明にもどって、ステップS185の心筋ストレイン解析が実施された後に、表示画像入力部33a、画像・解析結果合成部33b、幾何条件設定部33c、表示条件設定部33dおよび画像表示制御部33eが、心臓の形態を表す画像と心筋ストレイン解析結果とを合成表示する(ステップS186)。
上述してきたように、本実施例4では、Template画像生成部62gが、初期時相におけるTag点について、Tag点およびTag点周辺の所定の大きさの領域を表すTemplate画像を生成する。そして、時相間Template画像追跡部62hが、Template画像生成部62gによって生成されたTemplate画像の領域とパターンが類似する部位を他の時相から検出することによって、同一のTag点ごとにTag点を関連付ける。
一般的に、Tag点は低信号で表されるため、画像上に低信号の領域が多く存在する場合には、低信号の領域でTag点の検出精度が低くなるため、Tag点間の相対的な位置関係に基づいて時相間でTag点の関連付けを行うことが困難になる。しかし、本実施例4によれば、パターンマッチングを利用してTag点の関連付けが行われるので、画像上に低信号の領域が多く存在する場合であっても、Tag点が精度よく関連付けられ、正確に心筋ストレイン解析を行うことができる。
なお、上記実施例では、Tag点間の相対的な位置関係に基づいて時相間でTag点を関連付ける場合と、画像パターンマッチング技術を利用してTag点を関連付ける場合とをそれぞれ別の実施例として説明したが、それぞれの方法を同時に用いるようにしてもよい。例えば、まずは位置関係に基づいてTag点の関連付けを試み、Tag点の検出精度が低くなる領域では、画像パターンマッチング技術を用いるようにする。これにより、高い精度でTag点を関連付けることが可能になり、より正確に心筋ストレイン解析を行うことができるようになる。
ところで、実施例1〜4では、本発明をMRI装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限られるわけではない。例えば、ネットワークを介して接続された各種サーバとクライアントを有する画像管理システムにも同様に適用することができる。そこで、以下では、本発明を画像管理システムに適用した場合を実施例5として説明する。
まず、図21を用いて、本実施例5に係る画像管理システムの全体構成について説明する。図21は、本実施例5に係る画像管理システム200の全体構成を示す図である。図21に示すように、画像管理システム200は、ネットワークを介して接続されたMRI装置210、前処理サーバ220、画像保管サーバ230、アプリケーションサーバ240、画像表示クライアント250を有する。
MRI装置210は、磁気共鳴現象を利用して被検体内を画像化する画像診断装置である。前処理サーバ220は、MRI装置210によって撮像された画像に対して各種の前処理を施す。画像保管サーバ230は、前処理サーバ220によって前処理が施された画像を保管する。アプリケーションサーバ240は、画像保管サーバ230と画像表示クライアント250との間でやり取りされる情報を中継する。画像表示クライアント250は、画像保管サーバ220によって保管された画像を表示する。
このような構成のもと、本実施例5に係る画像管理システム200では、MRI装置210によって撮像された心臓のCine画像から心筋領域を生成し、生成した心筋領域とTagging画像とを用いて心筋ストレイン解析を行うまでを自動的に実行する。そして、画像表示クライアント250が、画像表示用のアプリケーションを起動する際に、心筋ストレイン解析の解析結果を自動的に表示する。
次に、図22を用いて、本実施例5に係る画像管理システム200が有する各装置の構成について説明する。図22は、本実施例5に係る画像管理システム200が有する各装置の構成を示す機能ブロック図である。この図22は、図21に示したMRI装置210、前処理サーバ220、画像保管サーバ230および画像表示クライアント250の構成をそれぞれ示している。なお、ここでは、アプリケーションサーバ240については説明を省略する。
まず、MRI装置210について説明する。図22に示すように、MRI装置210は、特に、撮像条件入力部210a、画像撮像部210b、画像再構成部210c、画像保存部210dおよび画像転送部210eを有する。
撮像条件入力部210aは、操作者によって入力される各種の撮像条件を受け付ける。画像撮像部210bは、撮像条件入力部210aによって受け付けられた撮像条件に基づいて被検体にRFパルスおよび傾斜磁場を印加し、それによって被検体から発せられる磁気共鳴信号を収集する。
画像再構成部210cは、画像撮像部210bによって収集された磁気共鳴信号に基づいて画像を再構成する。画像保存部210dは、画像再構成部210cによって再構成された画像を保存する。画像転送部210eは、画像保存部210dに保存された画像を付帯情報とともに前処理サーバ220に転送する。
次に、前処理サーバ220について説明する。図22に示すように、前処理サーバ220は、特に、画像受信部221、心筋領域抽出部222、心筋解析部223および画像・解析結果転送部224を有する。なお、ここでは説明の便宜上、図2に示した各部と同様の役割を果たす機能部については、図2に示した各部との対応を示すこととしてその詳細な説明を省略する。
画像受信部221は、MRI装置210から転送された画像を受信する。
心筋領域抽出部222は、心臓のCine画像から心内膜領域および心外膜領域を抽出する。具体的には、この心筋領域抽出部222は、Cine画像入力部222a、画像中心検出部222b、放射状中心線設定部222c、放射状輝度値カーブ生成部222d、信号値勾配検出部222eおよび心筋領域生成部222fを有する。
Cine画像入力部222aは、画像受信部221を介して、検査対象の被検体の心臓短軸断面が撮像されたCine画像をMRI装置210から入力する。例えば、Cine画像入力部222aは、Black Blood法で撮像されたCine画像、または、遅延撮像法で撮像されたCine画像を入力する。
画像中心検出部222b、放射状中心線設定部222c、放射状輝度値カーブ生成部222d、信号値勾配検出部222eおよび心筋領域生成部222fは、それぞれ、図2に示した画像中心検出部31b、放射状中心線設定部31c、放射状輝度値カーブ生成部31d、信号値勾配検出部31eおよび心筋領域生成部31fと同様の機能を有する。
心筋解析部223は、心筋領域抽出部222によって抽出された心内膜領域および心外膜領域をもとに心筋領域を抽出し、抽出した心筋領域とTagging画像とを用いて心筋ストレイン解析を行う。具体的には、この心筋解析部223は、Tagging画像入力部223a、Tagging画像・心筋領域合成部223b、心筋内Tag点検出部223c、時相間Tag点追跡部223dおよび心筋ストレイン解析部223eを有する。
Tagging画像入力部223aは、画像受信部221を介して、検査対象の被検体の心臓のTagging Cine画像をMRI装置210から入力する。
Tagging画像・心筋領域合成部223b、心筋内Tag点検出部223c、時相間Tag点追跡部223dおよび心筋ストレイン解析部223eは、それぞれ、図2に示したTagging画像・心筋領域合成部32b、心筋内Tag点検出部32c、時相間Tag点追跡部32dおよび心筋ストレイン解析部32eと同様の機能を有する。
画像・解析結果転送部224は、心筋解析部223によって行われた心筋ストレイン解析の解析結果を画像と関連付けて画像保管サーバ230に転送する。
次に、画像保管サーバ230について説明する。図22に示すように、画像保管サーバ230は、特に、画像・解析結果受信部230a、画像・解析結果保存部230bおよび画像・解析結果転送部230cを有する。
画像・解析結果受信部230aは、前処理サーバ220から転送された解析結果および画像を受信する。画像・解析結果保存部230bは、画像・解析結果受信部230aによって受信された解析結果および画像を保存する。画像・解析結果転送部230cは、画像・解析結果保存部230bに保存された解析結果および画像を画像表示クライアント250に転送する。
次に、画像表示クライアント250について説明する。図22に示すように、画像表示クライアント250は、特に、画像・解析結果受信部250a、画像・解析結果合成部250b、幾何条件設定部250c、表示条件設定部250dおよび画像表示制御部250eを有する。なお、ここでは説明の便宜上、図2に示した各部と同様の役割を果たす機能部については、図2に示した各部との対応を示すこととしてその詳細な説明を省略する。
画像・解析結果受信部250aは、画像保管サーバ230から転送された解析結果および画像を受信する。
画像・解析結果合成部250bは、画像・解析結果受信部250aを介して、検査対象の被検体の心臓の形態画像および心筋ストレイン解析結果を画像保管サーバ230から受け付け、受け付けた形態画像および心筋ストレイン解析結果を合成する。
幾何条件設定部250c、表示条件設定部250dおよび画像表示制御部250eは、ぞれぞれ、図2に示した幾何条件設定部33c、表示条件設定部33dおよび画像表示制御部33eと同様の機能を有する。
次に、図23を用いて、本実施例5に係る画像管理システム200の処理手順について説明する。図23は、本実施例5に係る画像管理システム200の処理手順を示すフローチャートである。図23に示すように、本実施例5に係る画像管理システム200では、まず、MRI装置210において、画像撮像部210bが、Cine画像(Black Blood画像や遅延造影画像)や、心筋ストレイン解析結果と同時に表示するための心臓の形態画像を撮像する(ステップS231)。これらの画像は、同一検査で撮像される。
また、画像撮像部210bは、心筋ストレイン解析を実施するためのTagging Cine画像を撮影する(ステップS232)。
そして、画像撮像部210bによって上記の各画像が撮像されると(ステップS233,Yes)、画像保存部210dが、撮像された画像をいったん保存し、画像転送部210eが、それらの画像を付帯情報とともに前処理サーバ220に転送する(ステップS234)。
続いて、前処理サーバ220において、心筋領域抽出部222および心筋解析部223が、転送された画像および付帯情報をもとに心筋ストレイン解析を実施する。この処理は、図3に示したステップS31〜S35の処理手順、または、図12に示したステップS121〜S127の処理手順と同様に実行される。
そして、心筋ストレイン解析が実行された後に、画像・解析結果転送部224が、心筋領域抽出部222および心筋解析部223によって行われた心筋ストレイン解析の解析結果を画像と関連付けて画像保管サーバ230に転送する(ステップS235)。
続いて、画像保管サーバ230において、画像・解析結果保存部230bが、転送された心筋ストレイン解析結果と画像とを関連付けて保存する(ステップS236)。
その後、画像表示クライアント250において、操作者によって画像表示用のアプリケーションが起動されると(ステップS237,Yes)、画像・解析結果受信部250aが、操作者から要求された表示画像および表示画像に関連付けられている心筋ストレイン解析結果を取得する。そして、画像・解析結果合成部250b、幾何条件設定部250c、表示条件設定部250dおよび画像表示制御部250eが、画像と心筋ストレイン解析結果とを合成して表示する(ステップ238)。
上述してきたように、本実施例5では、前処理サーバ220が、検査対象の被検体の心筋が撮像されたCine画像、および、検査対象の被検体の心筋が撮像されたTagging Cine画像を入力する。その後、前処理サーバ220が、入力したCine画像から心内膜領域および心外膜領域を抽出し、抽出した心内膜領域および心外膜領域をもとに心筋領域を生成し、生成した心筋領域をTagging Cine画像上に配置したうえで、その心筋領域内にあるTag点を時相ごとに検出する。そして、前処理サーバ220が、検出したTag点を時相間で同一のTag点ごとにそれぞれ関連付け、関連付けた各Tag点の変位量に基づいて心筋ストレイン解析を実施する。したがって、本実施例5によれば、心壁運動の解析を自動的に行うことで心筋に関する診断や治療を支援することができる。また、診断作業開始時から心筋ストレイン解析を開始するのではなく、画像撮影後に自動的に解析処理が実行されるため、待ち時間が少なく、ワークフローのスループットを向上させることができる。
また、本実施例5では、画像表示クライアント250が、操作者から被検体の心臓の画像を表示するよう要求された場合に、要求された画像および当該画像に関する心筋ストレイン解析の解析結果を画像保管サーバ230から入力し、入力した画像および解析結果を合成して表示部に表示させる。したがって、本実施例5によれば、操作者が容易な操作で画像と解析結果とを同時に確認することができ、効率よく心筋に関する診断や治療を行うことが可能になる。
また、上記実施例において図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
例えば、実施例5で説明した前処理サーバ220、画像保管サーバ230およびアプリケーションサーバ240の機能を一台のサーバに統合して実装してもよいし、二台以上のサーバに分散して実装してもよい。
また、例えば、操作者が用いるクライアントには必要最小限の処理を実行させ、大部分の処理をサーバに実行させるシンクライアント(Thin Client)の形態で構築された画像管理システムに本発明を適用することもできる。
その場合には、表示クライアントが、画像の表示を要求する操作を操作者から受け付けた場合に、要求された画像を取得するための操作イベントをアプリケーションサーバに送信する。表示クライアントから送信された操作イベントを受信すると、アプリケーションサーバは、検査対象の被検体の心臓の形態画像および心筋ストレイン解析結果を画像保管サーバから取得し、取得した形態画像および心筋ストレイン解析結果を合成する。
続いて、アプリケーションサーバ240は、合成した形態画像および心筋ストレイン解析結果を含めた情報を表示クライアント250に表示させる表示結果情報として生成し、生成した表示結果情報を表示クライアントへ返送する。そして、表示クライアント250が、アプリケーションサーバから返送された表示結果情報を表示部に表示させる。
以上のように、実施例1〜5によれば、従来は困難であった、MRI装置で撮像された画像を用いた心筋ストレイン解析を自動的に実施することが可能になり、時間的空間的な壁運動異常を自動的に検出できる。また、MRI装置によって撮像された他の画像から得られる心臓全体の形状や冠動脈形状、心筋梗塞部位と共に、壁運動解析結果を表示することで、虚血性心疾患の診断を総合的に実施できる。特に、超音波装置と比較すると、肺の空気や骨などによって制限される撮像方向の制約がなく、また心筋以外の心臓部位を3次元的に表示できる。将来的には、現在研究段階である3次元のTagging技術への応用も期待することができる。
以上のように、本発明に係る画像処理装置、磁気共鳴イメージング装置および画像管理システムは、心筋の動態を観察して治療方法の立案を行う場合に有用であり、特に、心壁運動評価や虚血性疾患の診断などに適している。
本実施例1に係るMRI装置の全体構成を示す図である。
本実施例1に係る制御部の機能構成を示すブロック図である。
本実施例1に係る制御部が有する各部の処理手順を示すフローチャートである。
本実施例1に係る心筋領域抽出処理の処理手順を示すフローチャートである。
本実施例1に係る心筋領域抽出処理の処理イメージを示す図である。
本実施例1に係る心筋ストレイン解析処理の処理手順を示すフローチャートである。
本実施例1に係る心筋ストレイン解析処理の処理イメージを示す図である。
本実施例1に係る心筋ストレイン解析処理で用いられる評価指標の例を示す図(1)である。
本実施例1に係る心筋ストレイン解析処理で用いられる評価指標の例を示す図(2)である。
本実施例1に係る心筋ストレイン解析処理で用いられる評価指標の例を示す図(3)である。
本実施例1に係る画像表示制御部による形態画像および解析結果の表示例を示す図(1)である。
本実施例1に係る画像表示制御部による形態画像および解析結果の表示例を示す図(2)である。
本実施例1に係る画像表示制御部による形態画像および解析結果の表示例を示す図(3)である。
本実施例1に係る画像表示制御部による形態画像および解析結果の表示例を示す図(4)である。
本実施例2に係る心筋領域抽出の概念を説明するための図である。
本実施例2に係る制御部の機能構成を示すブロック図である。
本実施例2に係る制御部が有する各部の処理手順を示すフローチャートである。
本実施例2に係る心内膜領域抽出処理の処理手順を示すフローチャートである。
本実施例2に係る心外膜領域抽出処理の処理手順を示すフローチャートである。
本実施例3に係る制御部の機能構成を示すブロック図である。
本実施例3に係る制御部が有する各部の処理手順を示すフローチャートである。
本実施例4に係る制御部の機能構成を示すブロック図である。
本実施例4に係る制御部が有する各部の処理手順を示すフローチャートである。
本実施例4に係る心筋ストレイン解析処理の処理手順を示すフローチャートである。
本実施例4に係る心筋ストレイン解析処理の処理イメージを示す図である。
本実施例5に係る画像管理システムの全体構成を示す図である。
本実施例5に係る画像管理システムが有する各装置の構成を示す機能ブロック図である。
本実施例5に係る画像管理システムの処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
100 MRI装置
1 静磁場磁石
2 傾斜磁場コイル
3 傾斜磁場電源
4 寝台
4a 天板
5 寝台制御部
6 送信RFコイル
7 送信部
8 受信RFコイル
9 受信部
10 シーケンス制御部
20 計算機システム
21 インタフェース部
22 画像再構成部
23 記憶部
24 入力部
25 表示部
30 制御部
31 心筋領域抽出部
31a Cine画像入力部
31b 画像中心検出部
31c 放射状中心線設定部
31d 放射状輝度値カーブ生成部
31e 信号値勾配検出部
31f 心筋領域生成部
32 心筋解析部
32a Tagging画像入力部
32b Tagging画像・心筋領域合成部
32c 心筋内Tag点検出部
32d 時相間Tag点追跡部
32e 心筋ストレイン解析部
33 画像出力部
33a 表示画像入力部
33b 画像・解析結果合成部
33c 幾何条件設定部
33d 表示条件設定部
33e 画像表示制御部