以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、撮像装置100の構成を示す概略ブロック図である。撮像装置100は、本実施形態では、被写体の画像を撮像するデジタルカメラとして具現化される。また、撮像装置100は、時系列的に順次供給される画像に含まれる被写体を追跡する被写体追跡装置としても機能する。撮像光学系101と、撮像素子102と、アナログ信号処理部103と、A/D変換部104と、制御部105と、画像処理部106と、表示部107と、記録部108と、被写体指定部109と、被写体追跡部110とを有する。
図1を参照するに、被写体の像を表す光は、撮像光学系101によって集光され、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどで構成された撮像素子102に入射する。撮像素子102は、入射する光の強度に応じた電気信号を画素単位で出力する(即ち、撮像光学系101によって形成された被写体の像を光電変換する)。ここで、撮像素子102から出力される電気信号は、撮像素子102で撮像された被写体の像を示すアナログの画像信号である。
撮像素子102から出力された画像信号は、アナログ信号処理部103において、相関二重サンプリング(CDS)などのアナログ信号処理が施される。アナログ信号処理部103から出力された画像信号は、A/D変換部104において、デジタル形式に変換され、制御部105及び画像処理部106に入力される。
制御部105は、CPU(Central Processing Unit)やマイクロコントローラなどで構成され、撮像装置100の動作を制御する。具体的には、制御部105は、ROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムコードをRAM(Random Access Memory)の作業領域に展開して順次実行することで、撮像装置100の各部を制御する。
制御部105は、例えば、画像を撮像する際の焦点状態や露出状態などを含む撮像条件を制御する。具体的には、制御部105は、A/D変換部104から出力される画像信号に基づいて、焦点調整機構や露出調整機構を制御する。なお、焦点調整機構は、撮像光学系101に含まれるレンズを光軸方向に駆動するアクチュエータなどを含み、露出調整機構は、撮像光学系101に含まれる絞りやシャッタなどを駆動するアクチュエータなどを含む。なお、制御部105は、焦点調整機構や露出調整機構を制御する際に、後述する被写体追跡部110による被写体の追跡の結果(被写体領域の情報)を用いることができる。具体的には、制御部105は、被写体領域のコントラスト値を用いた焦点制御や被写体領域の輝度値を用いた露出制御を行う。これにより、撮像装置100は、画像に含まれる特定の被写体(被写体領域)を考慮した撮像処理を行うことができる。また、制御部105は、撮像素子102の読み出し制御(撮像素子102の出力タイミングや出力画素などの制御)も行う。
画像処理部106は、A/D変換部104から入力されたデジタル形式の画像信号に対して、ガンマ補正やホワイトバランス処理などの画像処理を施す。なお、画像処理部106は、通常の画像処理に加えて、後述する被写体追跡部110から供給される被写体領域に関する情報を用いた画像処理を施す機能も有する。
画像処理部106から出力された画像信号は、表示部107に入力される。表示部107は、例えば、LCDや有機ELディスプレイで構成され、画像処理部106から入力される画像信号に対応する画像を表示する。撮像装置100においては、撮像素子102で時系列的に順次撮像される画像(画像信号に対応する画像)を表示部107に順次表示させることによって、表示部107を電子ビューファインダ(EVF)として機能させることができる。また、表示部107は、被写体追跡部110によって追跡している被写体を含む被写体領域の位置なども表示する。
画像処理部106から出力された画像信号は、記録部108にも入力される。記録部108は、画像処理部106からの画像信号を、例えば、磁気テープ、光ディスク、メモリカードなどの記録媒体に記録する。なお、画像信号を記録する記録媒体は、撮像装置100に内蔵された記録媒体であってもよいし、通信インタフェースを介して通信可能に接続された外部の記録媒体であってもよい。
被写体指定部109は、例えば、タッチパネルやボタンなどを含む入力インタフェースである。ユーザ(撮像者)は、被写体指定部109を介して、画像に含まれる任意の被写体を追跡対象に指定することが可能である。
被写体追跡部110は、画像処理部106から時系列的に順次供給される(即ち、撮像された時刻の異なる)画像(画像信号)に含まれる被写体を追跡する。被写体追跡部110は、テンプレートマッチングを用いて、被写体指定部109によって指定された被写体を追跡する。被写体追跡部110は、本実施形態では、登録部111と、取得部112と、領域抽出部113と、偏り検出部114と、補正部115とを含む。
登録部111は、画像処理部106から時系列的に順次供給される画像から追跡対象の被写体に対応する被写体領域を抽出するための部分領域を基準画像として登録する。具体的には、登録部111は、被写体追跡の開始時では、被写体指定部109によって指定された被写体に対応する領域(又は、補正部115によって位置が補正された領域)を基準画像として登録する。また、登録部111は、被写体追跡の継続時では、領域抽出部113で抽出された領域に基づいて、基準画像を順次更新する。但し、登録部111は、時系列的に順次供給される画像に含まれる被写体の見え方の変化を考慮しない場合には、基準画像を更新せずに、被写体追跡の開始時に登録した基準画像を維持してもよい。
取得部112は、画像処理部106から時系列的に順次供給される画像から、かかる画像に含まれる画素の画素値の情報を取得する。取得部112は、例えば、画素を特徴づける画素値の情報として、色相(H)、彩度(S)及び明度(V)のHSV表現で表されるHSV画像における色相、彩度及び明度の少なくともいずれか1つを取得し、本実施形態では、色相及び彩度を取得する。このように、画素値の情報として、被写体を照明する光の影響を受けやすい明度を除いた色情報を取得することによって、かかる画素値の情報は、被写体の見え方の変化に対して頑健となる。
具体的には、取得部112は、被写体追跡の開始時では、被写体指定部109によって指定された被写体に対応する領域(被写体領域)に含まれる画素のそれぞれの彩度及び色相を取得する。また、取得部112は、被写体追跡の継続時では、領域抽出部113によって抽出された被写体領域に含まれる画素のそれぞれの彩度及び色相を取得する。
領域抽出部113は、画像処理部106から時系列的に順次供給される画像において、登録部111によって登録された基準画像との相関度が最も高い領域を被写体領域として抽出する。具体的には、領域抽出部113は、画像処理部106から時系列的に順次供給される画像において、基準画像に対応する大きさの部分領域を設定し、かかる部分領域の画像と基準画像との相関度を求める。相関度としては、例えば、部分領域の画像の各画素と基準画像の各画素との差分和を用いることが可能であり、差分和の値が小さいほど相関度が高いことを表す。領域抽出部113は、相関度を求める部分領域の位置を2次元空間的に順次画素単位でずらしながら相関度を求めることによって、相関度が最も高い領域を抽出することができる。但し、2つの画像の相関度を求める方法は、上述した方法に限定するもではなく、当業界で周知の様々な方法を適用することができる。なお、被写体追跡の開始時には、被写体指定部109によって指定された被写体に対応する領域が基準画像として登録されているため、領域抽出部113は、被写体指定部109によって指定された被写体に対応する領域を被写体領域として抽出する。
偏り検出部114は、領域抽出部113によって抽出された被写体領域に含まれる被写体の偏りを検出する。具体的には、偏り検出部114は、領域抽出部113によって抽出された被写体領域に含まれる画素をそれぞれの彩度及び色相で複数の種類に分類し、かかる種類ごとのヒストグラムを生成する。そして、偏り検出部114は、生成したヒストグラムにおいて頻度が最も高い種類に分類された画素を特徴画素として抽出して、被写体領域における特徴画素の分布の偏りを被写体の偏りとして検出する。
補正部115は、偏り検出部114によって検出された被写体領域における被写体の偏り(即ち、被写体領域における特徴画素の分布の偏り)が小さくなるように、被写体領域の位置を補正する。
図2を参照して、偏り検出部114の詳細な構成及び動作を説明する。図2は、偏り検出部114の構成を示す概略ブロック図である。偏り検出部114は、図2に示すように、分割部201と、画素検出部202と、偏り判定部203と、設定部204とを含む。
分割部201は、領域抽出部113によって抽出された被写体領域を分割(等分)する。分割部201は、被写体領域を2つの領域に等分する1つ以上の直線を設定して、被写体領域を少なくとも2つの分割領域に分割する。分割部201は、本実施形態では、被写体領域に対して、被写体領域の中心を通過する対称軸を垂直方向及び水平方向のそれぞれに設定して、被写体領域を4つの分割領域に分割する。
画素検出部202は、被写体領域に含まれる画素を、その画素の彩度及び色相で複数の種類に分類してヒストグラムを生成し、頻度が最も高い種類に分類された画素を特徴画素として抽出する。そして、画素検出部202は、分割部201によって分割された被写体領域の分割領域のそれぞれに含まれる特徴画素の数を検出する。なお、被写体領域に含まれる画素を複数の種類に分類する際の種類の数は、設定部204によって設定される。
偏り判定部203は、分割部201によって分割された被写体領域の分割領域のそれぞれに含まれる特徴画素の数の差が閾値以上である場合に、被写体領域に含まれる特徴画素の分布が偏っていると判定する。なお、被写体領域に含まれる特徴画素の分布が偏っているかどうかを判定する際の閾値(特徴画素の数の差)は、設定部204によって設定される。
また、偏り判定部203は、被写体領域に含まれる特徴画素の分布が偏っていると判定した場合に、被写体領域に含まれる特徴画素の分布の偏り方向及び偏り量を求める。具体的には、偏り判定部203は、分割部201によって分割された被写体領域の分割領域のうち特徴画素の数が多い領域の方向を、特徴画素の分布の偏り方向とする。また、偏り判定部203は、分割部201によって分割された被写体領域の分割領域のそれぞれに含まれる特徴画素の数の差に対応する量を、特徴画素の分布の偏り量とする。従って、特徴画素の分布の水平方向の偏り量は、垂直方向の対称軸によって分割された2つの分割領域のそれぞれに含まれる特徴画素の差に対応して求められる。同様に、特徴画素の垂直方向の偏り量は、水平方向の対称軸によって分割された2つの分割領域のそれぞれに含まれる特徴画素の差に対応して求められる。
設定部204は、被写体領域に含まれる画素を複数の種類に分類する際の種類の数(分類条件)、及び、被写体領域に含まれる特徴画素の分布が偏っているかどうかを判定する際の閾値(判定条件)を設定する。但し、設定部204は、登録部111が被写体指定部109によって指定された被写体に対応する被写体領域を基準画像として登録する場合と、領域抽出部113により抽出された領域を基準画像として登録する場合とで、分類条件及び判定条件を変更する。換言すれば、分類条件及び判定条件は、被写体追跡の開始時(被写体追跡部110にn番目(nは自然数)に供給される画像)と継続時(被写体追跡部110にn+1番目以降に供給される画像)とで、変更される。
図3は、設定部204で設定される分類条件を説明するための図であって、図3(a)は、被写体追跡の開始時に設定される分類条件を示し、図3(b)は、被写体追跡の継続時に設定される分類条件を示している。図3(a)及び図3(b)に示すように、分類条件は、本実施形態では、色相及び彩度によって定義される特徴空間である。図3(a)に示す分類条件では、彩度及び色相に応じて、被写体領域に含まれる画素が15種類に分類され、図3(b)に示す分類条件では、彩度及び色相に応じて、被写体領域に含まれる画素が7種類に分類される。なお、図3(a)及び図3(b)では、頻度が最も高い種類(即ち、画素が最も多く分類された種類)が斜線で示されており、かかる種類に分類された画素が特徴画素として抽出される。
上述したように、画像における追跡対象の被写体の見え方は、被写体の動きや環境などによって時系列的に変化する。従って、被写体追跡の継続時(登録部111が領域抽出部113により抽出された領域を基準画像として登録する場合)には、追跡対象の被写体の見え方の変化を考慮する必要がある。一方、被写体追跡の開始時(登録部111が被写体指定部109によって指定された被写体に対応する被写体領域を基準画像として登録する場合)には、追跡対象の被写体の見え方は同じであるため、追跡対象の被写体の見え方の変化を考慮する必要がない。
そこで、本実施形態では、図3(a)及び図3(b)に示したように、被写体追跡の開始時での被写体領域に含まれる画素を分類する種類の数よりも、被写体追跡の継続時での被写体領域に含まれる画素を分類する種類の数が少なくなるように分類条件を設定する。これにより、被写体追跡の継続時は、被写体を照明する光の強度の変化に起因して被写体の色相及び彩度の見え方が若干変化したとしても、その被写体の色相及び彩度の分類の種類が変わったとみなしてしまうことを抑制することができる。
また、被写体追跡の開始時では、被写体領域に含まれる特徴画素の分布が偏っているかどうかの判定がされる画像と、基準画像として登録された部分領域を含む画像とは、同じ画像である。一方、被写体追跡の継続時では、被写体領域に含まれる特徴画素の分布が偏っているかどうかの判定がされる画像と、基準画像として登録された部分領域を含む画像とは、異なる画像である。従って、被写体追跡の開始時と継続時では、基準画像との相関度が最も高い被写体領域から抽出される特徴画素の信頼性が異なる。具体的には、被写体追跡の継続時において被写体領域から抽出される特徴画素の信頼性は、被写体追跡の開始時において被写体領域から抽出される特徴画素の信頼性よりも低い。
そこで、本実施形態では、被写体追跡の開始時における特徴画素の分布が偏っているかどうかを判定する際の閾値よりも、被写体追跡の継続時における特徴画素の分布が偏っているかどうかを判定する際の閾値が大きくなるように判定条件を設定する。このように、被写体追跡の継続時は、被写体追跡の開始時よりも特徴画素の信頼性が低いため、特徴画素の分布が偏っていると判定されにくくすることで、特徴画素の分布が偏っていると誤って判定してしまう可能性を抑えるようにしている。
ここで、図4及び図5を参照して、撮像装置100における被写体追跡処理を説明する。被写体追跡処理は、時系列的に順次供給される画像に含まれる被写体を追跡する処理である。図4に示すS402乃至S420の処理は、被写体追跡部110で行われる。例えば、S404及びS416は取得部112による処理、S406及びS418は偏り検出部114による処理、S408及びS420は補正部115による処理、S410は登録部111による処理、S414は領域抽出部113による処理である。
また、図5において、501、505及び509は、被写体追跡部110(取得部112)に入力される画像(被写体領域の位置を補正する前の画像)である。画像501の点線で囲まれた領域は、被写体指定部109によって指定された被写体に対応する被写体領域であり、画像505及び509の点線で囲まれた領域は、領域抽出部113によって抽出された被写体領域である。502、506及び510は、被写体領域に含まれる画素のうち、特徴画素を白色、特徴画素ではない画素を黒色で表現した2値化画像である。503、507及び511は、補正部115によって被写体領域の位置が補正された画像(被写体領域の位置を補正した後の画像)である。画像503、507及び511の点線で囲まれた領域は、補正部115によって位置が補正された被写体領域(即ち、被写体追跡部110の被写体の追跡結果)である。504、508及び512は、被写体領域の位置を補正した後の画像503、507及び511に基づいて、登録部111によって登録される基準画像である。
図4を参照するに、S402では、被写体追跡部110は、撮像素子102から1番目に出力される画像(画像信号)を入力画像(図5の画像501)として読み込む。ここで、撮像素子102から1番目に出力される画像とは、撮像装置100における被写体追跡処理が開始されてから1番目に出力される画像であって、撮像装置100における撮像処理が開始されてから1番目に出力される画像ではない。
次いで、S404では、取得部112は、S402において読み込んだ画像の、被写体指定部109によって指定された被写体に対応する被写体領域(例えば、図5の画像501の点線で囲まれた領域)に含まれる画素のそれぞれの彩度及び色相を取得する。
次に、S406では、偏り検出部114は、被写体指定部109によって指定された被写体に対応する被写体領域における特徴画素の分布の偏りを検出する。具体的には、上述したように、図3(a)に示すような分類条件を用いて、被写体領域に含まれる画素をそれぞれの彩度及び色相で複数の種類に分類して種類ごとのヒストグラムを生成し、頻度が最も高い種類に分類された画素を特徴画素として抽出する。これにより、例えば、図5の2値化画像502が得られる。そして、被写体領域、即ち、2値化画像502を水平方向及び垂直方向のそれぞれに等分した4つの分割領域のそれぞれに含まれる特徴画素の数を求め、2つの分割領域に含まれる特徴画素の数の差と閾値とを比較して、特徴画素の分布の偏りを検出する。図5の2値化画像502では、被写体指定部109によって指定された被写体に対応する被写体領域における特徴画素の分布は、紙面右下方向(即ち、垂直方向に関しては下方向、水平方向に関しては右方向)に偏っていると検出される。
次いで、S408では、補正部115は、S406において検出された特徴画素の分布の偏りが小さくなるように、被写体領域の位置を補正する。これにより、図5の画像503の点線で囲まれた領域が示すように、被写体領域の位置は紙面右下方向に補正される。なお、図5の画像503の点線で囲まれた領域(被写体領域)は、被写体追跡部110による被写体の追跡の結果であるとも言える。また、S406において被写体領域における特徴画素の分布の偏りが検出されなかった場合には、被写体領域の位置を補正しないことは言うまでもない。
次に、S410では、登録部111は、S408において位置が補正された被写体領域に含まれる画像を、基準画像として登録する。これにより、図5の基準画像504が登録される。
次いで、S412では、被写体追跡部110は、撮像素子102から2番目に出力される画像を入力画像(図5の画像505)として読み込む。
次に、S414では、領域抽出部113は、S412において読み込まれた画像の、S410において登録された基準画像との相関度が最も高い領域を被写体領域として抽出する。具体的には、上述したように、S412において読み込んだ入力画像において、S410において登録された基準画像に対応する大きさの部分領域を2次元空間的に画素単位でずらしながら設定して、かかる部分領域の画像と基準画像との相関度を求める。これにより、基準画像との相関度が最も高い領域を抽出することが可能となり、例えば、図5の画像505の点線で囲まれた領域に示すように、被写体領域が抽出される。
次いで、S416では、取得部112は、S412において読み込んだ画像の、S414において抽出された被写体領域(図5の画像505の点線で囲まれた領域)に含まれる画素のそれぞれの彩度及び色相を取得する。
次に、S418では、偏り検出部114は、S414において抽出された被写体領域における特徴画素の分布の偏りを検出する。具体的には、上述したように、図3(b)に示すような分類条件を用いて、被写体領域に含まれる画素をそれぞれの彩度及び色相で複数の種類に分類して種類ごとのヒストグラムを生成し、頻度が最も高い種類に分類された画素を特徴画素として抽出する。これにより、例えば、図5の2値化画像506が得られる。そして、被写体領域、即ち、2値化画像506を水平方向及び垂直方向のそれぞれに等分した4つの分割領域のそれぞれに含まれる特徴画素の数を求め、2つの分割領域に含まれる特徴画素の数の差と閾値とを比較して、特徴画素の分布の偏りを検出する。図5の2値化画像506では、S414において抽出された被写体領域における特徴画素の分布は、偏っていないと検出される。
次いで、S420では、補正部115は、S418において検出された特徴画素の分布の偏りが小さくなるように、被写体領域の位置を補正する。なお、図5の画像507の点線で囲まれた領域が示すように、S418において被写体領域における特徴画素の分布の偏りが検出されなかった場合には、被写体領域の位置を補正しないことは言うまでもない。
S420において被写体領域の位置が補正されたら、被写体追跡処理はS410に移行し、S410以降の処理が繰り返される。具体的には、図5の画像507の点線で囲まれた領域に含まれる画像を基準画像508として登録し(S410)、撮像素子102から3番目に出力される画像を入力画像(図5の画像509)として読み込む(S412)。そして、図5の画像509の、基準画像508との相関度が最も高い領域を被写体領域(図5の画像509の点線で囲まれた領域)として抽出し(S414)、かかる被写体領域に含まれる画素のそれぞれの彩度及び色相を取得する(S416)。また、図5の画像509の点線で囲まれた被写体領域に含まれる特徴画素を抽出し(図5の2値化画像510)、かかる被写体領域における特徴画素の分布の偏りを検出する(S418)。図5の2値化画像510では、被写体領域における特徴画素の分布は、紙面左方向(即ち、垂直方向に関しては偏りがなく、水平方向に関しては左方向)に偏っていると検出される。そして、図5の画像511の点線で囲まれた領域に示すように、被写体領域の位置を紙面左方向に補正し(S420)、図5の画像511の点線で囲まれた領域に含まれる画像を基準画像512として登録する(S410)。
ここで、図6を参照して、S406及びS418の処理を詳細に説明する。S602では、設定部204は、被写体領域に含まれる画素を複数の種類に分類する際の種類の数(分類条件)、及び、被写体領域に含まれる特徴画素の分布が偏っているかどうかを判定する際の閾値(判定条件)を設定する。上述したように、被写体追跡の開始時と継続時では、分類条件及び判定条件を変更する必要がある。従って、設定部204は、被写体領域に含まれる画素を複数の種類に分類する際の種類の数に関しては、S406の処理においては第1の数を設定し(図3(a))、S418の処理においては、第1の数よりも少ない第2の数を設定する(図3(b))。また、設定部204は、被写体領域に含まれる特徴画素の分布が偏っているかどうかを判定する際の閾値に関しては、S406の処理においては第1の閾値を設定し、S418の処理においては第1の閾値よりも大きい第2の閾値を設定する。
次いで、S604では、分割部201は、被写体領域を分割する。例えば、分割部201は、被写体領域に対して、被写体領域を2つの領域に等分する直線を垂直方向及び水平方向のそれぞれに設定して、被写体領域を4つの分割領域に分割する。
次に、S606では、画素検出部202は、被写体領域に含まれる画素を、その画素の彩度及び色相で複数の種類に分類してヒストグラムを生成し、頻度が最も高い種類に分類された画素を特徴画素として抽出する。ここで、被写体領域に含まれる画素を複数の種類に分類する際の種類の数(分類条件)は、S602において設定されている。被写体追跡の開始時には、画像に含まれる追跡対象の被写体とその他(背景など)との分離精度を向上させるために、画素を複数の種類に分類する際の種類の数が多く設定されている(図3(a))。一方、被写体追跡の継続時には、追跡対象の被写体の見え方の変化に対して頑健にするために、画素を複数の種類に分類する際の種類の数が少なく設定されている(図3(b))。
次いで、S608では、画素検出部202は、S606で抽出した特徴画素に基づいて、S604において分割された被写体領域の分割領域のそれぞれに含まれる特徴画素の数を検出する。
次に、S610では、偏り判定部203は、S604において分割された被写体領域の分割領域のうち、水平方向の直線により分割された2つの分割領域のそれぞれに含まれる特徴画素の数の差が閾値以上であるかどうかを判定する。
水平方向の直線により分割された2つの分割領域のそれぞれに含まれる特徴画素の数の差が閾値以上である場合には、S612において、偏り判定部203は、被写体領域における特徴画素の分布が垂直方向に偏っていると判定する。この際、偏り判定部203は、水平方向の直線により分割された2つの分割領域のそれぞれに含まれる特徴画素の数の差に基づいて、その偏り方向(上方向に偏っているのか下方向に偏っているのか)及び偏り量を求める。一方、水平方向の直線により分割された2つの分割領域のそれぞれに含まれる特徴画素の数の差が閾値以上でない場合には、S614において、偏り判定部203は、被写体領域における特徴画素の分布が垂直方向に偏っていないと判定する。例えば、図5に示す2値化画像502では、特徴画素の分布が垂直方向に偏っていると判定され、図5に示す2値化画像506及び510では、特徴画素の分布が垂直方向に偏っていないと判定される。
なお、被写体領域に含まれる特徴画素の分布が偏っているかどうかを判定する際の閾値は、S602において設定されている。被写体追跡の開始時には、特徴画素の分布が偏っていると判定されやすくするために、閾値が低く設定されている。一方、被写体追跡の継続時には、特徴画素の分布が偏っていると判定されにくくするために、閾値が高く設定されている。
S616では、偏り判定部203は、S604において分割された被写体領域の分割領域のうち、垂直方向の直線により分割された2つの分割領域のそれぞれに含まれる特徴画素の数の差が閾値以上であるかどうかを判定する。
垂直方向の直線により分割された2つの分割領域のそれぞれに含まれる特徴画素の数の差が閾値以上である場合には、S618において、偏り判定部203は、被写体領域における特徴画素の分布が水平方向に偏っていると判定する。この際、偏り判定部203は、垂直方向の直線により分割された2つの分割領域のそれぞれに含まれる特徴画素の数の差に基づいて、その偏り方向(左方向に偏っているのか右方向に偏っているのか)及び偏り量を求める。一方、垂直方向の直線により分割された2つの分割領域のそれぞれに含まれる特徴画素の数の差が閾値以上でない場合には、S618において、偏り判定部203は、被写体領域における特徴画素の分布が水平方向に偏っていないと判定する。例えば、図5に示す2値化画像502及び510では、特徴画素の分布が水平方向に偏っていると判定され、図5に示す2値化画像506では、特徴画素の分布が水平方向に偏っていないと判定される。
なお、上述した被写体追跡処理では、被写体領域における特徴画素の分布の偏りが検出された場合に、被写体領域の位置を1度だけ補正している。但し、補正部115によって位置が補正された被写体領域における特徴画素の分布の偏りを更に検出し、特徴画素の分布の偏りが検出された場合には、被写体領域の位置を更に補正してもよい。換言すれば、被写体領域における特徴画素の分布の偏りが検出されなくなるまで、偏り検出部114による処理及び補正部115による処理を繰り返してもよい。また、補正部115によって位置が補正された被写体領域に含まれる特徴画素の数が、位置が補正される前の被写体領域に含まれる特徴画素の数より小さい場合には、被写体領域の位置を補正しないようにしてもよい。更に、このような2つの処理は、被写体追跡の開始時と継続時とで切り替えてもよい。具体的には、被写体追跡の開始時には、被写体領域から抽出される特徴画素の信頼性が高いため、特徴画素の分布の偏りがなくなるまで、偏り検出部114による処理及び補正部115による処理を繰り返す。一方、被写体追跡の継続時には、被写体領域から抽出される特徴画素の信頼性が低いため、位置が補正された被写体領域に含まれる特徴画素の数が、位置が補正される前の被写体領域に含まれる特徴画素の数より小さい場合には、被写体領域の位置を補正しない。
このように、本実施形態の撮像装置100では、被写体指定部109によって指定された被写体領域又は領域抽出部113によって抽出された被写体領域に含まれる画素をそれぞれの彩度及び色相で複数の種類に分類してヒストグラムを生成する。そして、頻度が最も高い種類に分類された画素を特徴画素として抽出し、被写体領域における特徴画素の分布の偏りが小さくなるように、被写体領域の位置を補正する。この際、被写体追跡の開始時では、被写体領域に含まれる画素を複数の種類に分類する際の種類の数を多くすると共に、特徴画素の分布が偏っているかどうかを判定する際の閾値を低くしている。また、被写体追跡の継続時では、被写体領域に含まれる画素を複数の種類に分類する際の種類の数を少なくすると共に、特徴画素の分布が偏っているかどうかを判定する際の閾値を高くしている。これにより、被写体追跡の開始時では、追跡対象の中心からずれた領域を指定した場合であっても、追跡対象が中心となるように(特徴画素の分布の偏りが小さくなるように)被写体領域の位置を補正して、追跡対象を良好に追跡することができる。また、被写体追跡の継続時では、追跡対象の見え方が変化した場合であっても、かかる変化に頑健な条件で特徴画素の抽出及び特徴画素の分布に偏りがあるかどうかの判定を行っているため、追跡対象を良好に追跡することができる。
なお、本実施形態では、設定部204は、被写体領域に含まれる画素を複数の種類に分類する際の種類の数及び被写体領域に含まれる特徴画素の分布が偏っているかどうかを判定する際の閾値について、被写体追跡の開始時と継続時とで異なる値を設定している。但し、設定部204は、これらのいずれか一方のみを、被写体追跡の開始時と継続時とで異なる値に設定するようにしてもよい。設定部204は、被写体追跡の開始時よりも、被写体追跡の継続時の方が、特徴画素の分布の偏りを判定する基準が緩くなるような条件を設定するのであれば、上述した条件以外について被写体追跡の開始時と継続時とで別々の設定を行うようにしてもよい。
また、偏り判定部203は、被写体領域を水平方向及び垂直方向にそれぞれ2つの領域に分割していたが、被写体領域における特徴画素の分布の偏りが検出できるように対称な複数の領域に分割するのであれば、どのように分割してもよい。また、被写体追跡の開始時は8分割、被写体追跡の継続時には4分割というように、被写体追跡の継続時よりも開始時において、より細かな偏り判定を行うようにしてもよい。
また、取得部112は、画像における色相及び彩度を取得し、偏り検出部114は、この色相及び彩度を分類することで特徴画素を抽出していたが、色相又は彩度だけを用いて特徴画素を抽出してもよい。また、色相又は彩度の代わりに明度を用いて特徴画素を抽出してもよいし、色相、彩度及び明度の全てを用いて特徴画素を抽出してもよい。
また、画素検出部202は、取得部112で取得された色相及び彩度のヒストグラムを生成し、頻度が最も高い種類に分類された画素を特徴画素として抽出しているが、頻度が高い複数の種類に分類された画素を特徴画素としてもよい。また、取得部112で取得された色相及び彩度のうち、被写体領域外において抽出される画素数に対して、被写体領域内で抽出される画素数の割合が閾値以上となる色相及び彩度の種類に分類された画素を特徴画素としてもよい。
また、本実施形態では、被写体追跡装置(被写体追跡部110)を撮像装置に適用しているが、被写体追跡装置を適用する装置は撮像装置に限定されるものではない。例えば、外部装置や記録媒体などから時系列的に順次供給される画像(再生データ)を表示する表示装置に被写体追跡装置(被写体追跡部110)を適用してもよい。かかる表示装置では、再生データを被写体追跡処理の対象データとして被写体追跡処理が行われ、追跡対象の被写体の情報(被写体の位置や大きさなど)に基づいて、画像を表示する際の表示条件を制御する。具体的には、画像の被写体の位置に被写体の情報を重畳して表示する制御や被写体の輝度や色情報に応じた画像の輝度や色合いなどの制御を行う。
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、撮像装置100は、画像に含まれる被写体を指定する被写体指定部109を有していなくてもよい。このような場合、撮像装置100は、画像から特定の被写体を検出する被写体検出部を有し、かかる被写体検出部で検出された被写体に対応する被写体領域を、被写体追跡の開始時の基準画像として登録する。また、焦点調整機構や露出調整機構に利用される画像の所定領域(AF枠や測光枠など)を、被写体追跡の開始時の基準画像として登録してもよい。また、補正部115は、被写体領域の位置を補正するだけはなく、被写体領域のサイズや形状を補正してもよい。被写体領域のサイズを補正する場合は、例えば、位置が補正された被写体領域の外周方向の各辺において、特徴画素の存在する割合を検出し、特徴画素の存在する割合が大きければ、その辺の領域を含めた領域を被写体領域として抽出する。また、位置が補正された被写体領域の内周方向の各辺において、特徴画素の存在する割合を判定し、特徴画素の存在する割合が小さければ、その辺の領域を除いた領域を被写体領域として抽出する。