JP5395644B2 - 超音速ノズル設計装置、プログラム、超音速ノズル製造方法及び超音速ノズル - Google Patents

超音速ノズル設計装置、プログラム、超音速ノズル製造方法及び超音速ノズル Download PDF

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Description

本発明は、流入するガス流を音速より速く加速する超音速ノズルと、当該超音速ノズルを設計するための超音速ノズル設計装置、プログラム、そして超音速ノズル製造方法に関する。
近年、コーティング技術の重要性が急速に高まってきており、種々のコーティング法が開発されている。
しかし、数10〜数100μm程度の膜厚の高密度なコーティング膜を低温で実行することが可能なコーティング法は知られていなかった。
低温でも実行可能なコーティング法として、例えば超音速フリージェット(Supersonic Free Jet:SFJ)物理蒸着(Physical Vapor Deposition:PVD)装置が知られている。
SFJ−PVD装置は、例えば特許文献1に開示されている。
このSFJ−PVD装置は、蒸発チャンバーと成膜チャンバーを備える。
蒸発チャンバー内には、水冷されたハース上に設置した蒸発源材料と、高融点金属(具体的にはタングステン)製の電極が備えられており、一度蒸発チャンバー内を所定の圧力に減圧した後、所定のガス雰囲気に置換して、蒸発源をアノード(陽極)とし、アノードと一定間隔離れた位置にある高電導性金属製電極をカソード(陰極)とし、それぞれ負電圧と正電圧を印加して両極間にアーク放電を生起させる移行式アークプラズマによって、蒸発源材料が加熱されて蒸発する。所定のガス雰囲気とした蒸発チャンバー内では、蒸発源の加熱により蒸発した原子は互いに凝集しナノメートルオーダーの直径の微粒子(以下ナノ粒子と称する)が得られる。
得られたナノ粒子は蒸発チャンバーと成膜チャンバー間の差圧(真空度差)により生起するガス流に乗って移送管を通して成膜チャンバーへと移送される。成膜チャンバー内には、成膜対象である基板が設置されている。
差圧によるガス流は、蒸発チャンバーから成膜チャンバーへと接続する移送管の先端に取り付けられた、特別に設計された超音速ノズル(ラバルノズル)によりマッハ数4.2程度の超音速にまで加速され、ナノ粒子は超音速フリージェットの気流に乗って高速に加速されて成膜チャンバー中に噴出し、基板上に堆積する。
上記のSFJ−PVD装置を用いることにより、従来難しかった、数10〜数100μm程度の膜厚の高密度なコーティング膜を低温で行うことが可能となっている。
ところで、上記のSFJ−PVD装置においては、上述したように超音速ノズルによりガス流が加速されることになる。
SFJ−SVD装置においては、生成したい膜の素材やガス雰囲気の種類などに応じて、超音速ノズルにより加速されるべきマッハ数が決定される。超音速ノズルは、一般にその形状によって得られるマッハ数が変化する。
従って、上記のSFJ−PVD装置において、様々な素材・ガス雰囲気において成膜を行う場合を考えると、そのたびに好適な超音速ノズルが設計され使用されることが好ましい。
特開2009−102713号公報
従って、所望のマッハ数を得ることができる超音速ノズルを容易に設計する方法が強く望まれている。
本発明は、所望のマッハ数を得ることができる超音速ノズルを容易に設計することができる超音速ノズル設計装置、プログラム、超音速ノズル製造方法及び超音速ノズルを提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために、第1の発明のプログラムは、2次元等エントロピガス流が流入される導入部に連続し、断面積が最小である最小径部と、当該最小径部に連続する初期膨張部と、当該最小径部に連続する相殺部と、を有する超音速ノズルの設計を行う超音速ノズル設計装置であるコンピュータが実行するプログラムであって、前記初期膨張部の中心軸に沿った断面を、前記最小径部を起点として、前記中心軸に沿って径が大きくなる曲線と近似する折れ線によって近似するとき、初期条件として、前記折れ線の数、前記折れ線における傾き角、前記最小径部における直径、前記各折れ線の長さ、前記ラバルノズル中を流れるガスの比熱比及び前記最小径部におけるマッハ数を入力する第1の手順と、前記第1の手順において入力された前記比熱比を基に、前記超音速ノズル各部のマッハ数をプラントルマイヤ関数によって算出する第2の手順と、前記第2の手順において算出された前記超音速ノズル各部のマッハ数を基に、マッハ角を算出し、前記初期膨張部の前記折れ線から発生する前記衝撃波の傾きを算出する第3の手順と、前記第3の手順において算出された前記初期膨張部の前記折れ線から発生する前記衝撃波の傾きを基に、前記衝撃波が前記相殺部の壁面に入射する位置を算出する第4の手順と、前記第4の手順において算出された前記衝撃波が前記相殺部の壁面に入射する位置を結ぶことにより、当該相殺部の形状を生成する第5の手順と、を前記コンピュータに実行させる。
第2の発明の超音速ノズル設計装置は、2次元等エントロピガス流が流入される導入部に連続し、断面積が最小である最小径部と、当該最小径部に連続する初期膨張部と、当該最小径部に連続する相殺部と、を有する超音速ノズルの設計を行う超音速ノズル設計装置であって、前記初期膨張部の中心軸に沿った断面を、前記最小径部を起点として、前記中心軸に沿って径が大きくなる曲線と近似する折れ線によって近似するとき、前記超音速ノズル設計装置は、初期条件として、前記折れ線の数、前記折れ線における傾き角、前記最小径部における直径、前記各折れ線の長さ、前記ラバルノズル中を流れるガスの比熱比及び前記最小径部におけるマッハ数の入力を受け付ける入力部と、演算部と、を有し、前記演算部は、前記入力部に入力された前記比熱比を基に、前記超音速ノズル各部のマッハ数をプラントルマイヤ関数によって算出し、前記算出した前記超音速ノズル各部のマッハ数を基に、マッハ角を算出し、前記初期膨張部の前記折れ線から発生する前記衝撃波の傾きを算出し、前記算出した前記初期膨張部の前記折れ線から発生する前記衝撃波の傾きを基に、前記衝撃波が前記相殺部の壁面に入射する位置を算出し、前記算出した前記衝撃波が前記相殺部の壁面に入射する位置を結ぶことにより、当該相殺部の形状を生成する。
第3の発明の超音速ノズル製造方法は、2次元等エントロピガス流が流入される導入部に連続し、断面積が最小である最小径部と、当該最小径部に連続する初期膨張部と、当該最小径部に連続する相殺部と、を有する超音速ノズルを製造する超音速ノズル製造方法であって、前記初期膨張部の中心軸に沿った断面を、前記最小径部を起点として、前記中心軸に沿って径が大きくなる曲線と近似する折れ線によって近似するとき、初期条件として、前記折れ線の数、前記折れ線における傾き角、前記最小径部における直径、前記各折れ線の長さ、前記ラバルノズル中を流れるガスの比熱比及び前記最小径部におけるマッハ数を入力する第1の工程と、前記第1の工程において入力された前記比熱比を基に、前記超音速ノズル各部のマッハ数をプラントルマイヤ関数によって算出する第2の工程と、前記第2の工程において算出された前記超音速ノズル各部のマッハ数を基に、マッハ角を算出し、前記初期膨張部の前記折れ線から発生する前記衝撃波の傾きを算出する第3の工程と、前記第3の工程において算出された前記初期膨張部の前記折れ線から発生する前記衝撃波の傾きを基に、前記衝撃波が前記相殺部の壁面に入射する位置を算出する第4の工程と、前記第4の工程において算出された前記衝撃波が前記相殺部の壁面に入射する位置を結ぶことにより、当該相殺部の形状を生成する第5の工程と、前記第5の工程において生成された形状データを工作機械に入力する第6の工程と、前記工作機械が、前記第5の工程において入力された形状データ通りに超音速ノズルを製造する第7の工程と、を有する。
第4の発明の超音速ノズルは、2次元等エントロピガス流が流入される導入部に連続し、断面積が最小である最小径部と、当該最小径部に連続する初期膨張部と、当該最小径部に連続する相殺部と、を有する超音速ノズルであって、前記初期膨張部の中心軸に沿った断面が、前記最小径部を起点として、前記中心軸に沿って径が大きくなる曲線と近似する折れ線によって近似される前記請求項2の超音速ノズル設計装置によって設計される。
第5の発明のプログラムは、超音速ノズルの形状を設計する超音速ノズル設計装置であるコンピュータが実行するプログラムであって、前記超音速ノズルが、断面積が最小となる最少径部と、前記超音速ノズルの出口部までの部位である末広部と、を有する場合に、前記末広部内の前記最小径部におけるマッハ数と、比熱比と、前記最少径部の断面積とで規定される関数に基づく仮想音速線の曲率半径を、任意のノズル壁面の半径比率と、最少径部半径と、前記比熱比とによって規定される関数に基づいて算出する第1の手順と、前記第1の手順において算出された前記仮想音速線を任意の数で分割して分割した各点における速度分布を決定する第2の手順と、前記第2の手順において決定された速度分布を基に、前記分割された音速線上の各点における2次元速度空間として規定されるホドグラフ面における特性曲線を、最少径部からノズル出口部に向けて逐次決定する第3の手順と、前記第3の手順において決定された、前記ホドグラフ面における特性曲線を基に、前記超音速ノズル内の各位置での音速線の前記分割された各点上における物理面の特性曲線を決定する第4の手順と、前記第4の手順において決定された前記物理面の特性曲線を基に、前記超音速ノズルの形状を決定する第5の手順と、を前記コンピュータに実行させる。
第6の発明の超音速ノズル設計装置は、超音速ノズルの形状を設計する超音速ノズル設計装置であって、前記超音速ノズルが、断面積が最小となる最少径部と、前記超音速ノズルの出口部までの部位である末広部と、を有する場合に、前記超音速ノズル設計装置は、初期値となるノズル壁面の半径比率及びスロート部半径の入力を受け付ける入力部と、演算部と、を有し、前記演算部は、前記末広部内の前記最小径部におけるマッハ数と、比熱比と、前記最少径部の断面積とで規定される関数に基づく仮想音速線の曲率半径を、任意のノズル壁面の半径比率と、最少径部半径と、前記比熱比とによって規定される関数に基づいて算出し、前記算出した前記仮想音速線を任意の数で分割して分割した各点における速度分布を決定し、前記決定した速度分布を基に、前記分割された音速線上の各点における2次元速度空間として規定されるホドグラフ面における特性曲線を、最少径部からノズル出口部に向けて逐次決定し、前記決定した、前記ホドグラフ面における特性曲線を基に、前記超音速ノズル内の各位置での音速線の前記分割された各点上における物理面の特性曲線を決定し、前記決定した前記物理面の特性曲線を基に、前記超音速ノズルの形状を決定する。
第7の発明の超音速ノズル製造方法は、超音速ノズルの形状を設計し、設計した超音速ノズルを製造する超音速ノズル製造方法であって、前記超音速ノズルが、断面積が最小となる最少径部と、前記超音速ノズルの出口部までの部位である末広部と、を有する場合に、前記末広部内の前記最小径部におけるマッハ数と、比熱比と、前記最少径部の断面積とで規定される関数に基づく仮想音速線の曲率半径を、任意のノズル壁面の半径比率と、最少径部半径と、前記比熱比とによって規定される関数に基づいて算出する第1の工程と、前記第1の工程において算出された前記仮想音速線を任意の数で分割して分割した各点における速度分布を決定する第2の工程と、前記第2の工程において決定された速度分布を基に、前記分割された音速線上の各点における2次元速度空間として規定されるホドグラフ面における特性曲線を、最少径部からノズル出口部に向けて逐次決定する第3の工程と、前記第3の工程において決定された、前記ホドグラフ面における特性曲線を基に、前記超音速ノズル内の各位置での音速線の前記分割された各点上における物理面の特性曲線を決定する第4の工程と、前記第4の工程において決定された前記物理面の特性曲線を基に、前記超音速ノズルの形状を決定する第5の工程と、前記第5の工程において生成された形状データを工作機械に入力する第6の工程と、前記工作機械が、前記第5の工程において入力された形状データ通りに超音速ノズルを製造する第7の工程と、を有する。
本発明によれば、所望のマッハ数を得ることができる超音速ノズルを容易に設計することができる超音速ノズル設計装置、プログラム、超音速ノズル製造方法及び超音速ノズルを提供することができる。
図1は、超音速ノズル設計装置の構成の一例を示す図である。 図2は、超音速ノズル設計装置により設計される超音速ノズルの基本構造を示す図である。 図3は、凸面壁に沿うプラントルマイヤ流れを示した図である。 図4は、凹面壁に沿うプラントルマイヤ流れを示した図である。 図5は、波の相殺の原理を示す概念図である。 図6は、ノズル内の流れを2次元的に捉えた場合の超音速ノズルの設計の説明のための図である。 図7は、ノズル内の流れを2次元的に捉えた場合に超音速ノズル設計装置が超音速ノズルを設計する際の動作例を説明するためのフローチャートである。 図8は、特性曲線について説明するための図である。 図9は、仮想音速線と、その曲率半径の算出について説明するための図である。 図10は、物理面及びホドグラフ面上における特性曲線網の構築について説明するための図である。 図11は、物理面における特性曲線網の構築過程について説明するための図である。 図12は、ノズル内の流れを3次元的に捉えた場合に超音速ノズル設計装置が超音速ノズルを設計する際の動作例を説明するためのフローチャートである。 図13は、超音波ノズル製造装置の構成の一例を示した図である。
以下、本発明の実施形態の超音速ノズル設計装置100について説明する。
図1は、超音速ノズル設計装置100の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、超音速ノズル設計装置100は、入力部101、演算部102、表示部103、記憶部104を有する。
入力部101は、例えばキーボードやマウス等、超音速ノズル設計装置100に対して入力操作を行うための入力デバイスである。
演算部102は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算装置であり、例えば後述する記憶部104に記憶されたプログラムを実行し、入力部101を介して入力された数値などを使用して、後述するような超音速ノズル設計処理を行う。
表示部103は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等、入力部101を介して入力された入力結果や、演算部102により行われた演算の結果等を表示するための表示デバイスである。
記憶部104は、例えば超音速ノズル設計プログラムや、その設計のために使用される各種パラメータ等を記憶する、例えばフラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶デバイスである。
さて、以下では、本実施形態の超音速ノズル設計装置によって設計される超音速ノズルの基本構造について説明する。
超音速ノズルはその形状から中細ノズル(先細末広ノズルConvergent-Divergent Nozzle)、あるいは1884年に最初にこのノズルを使用したラバル(C.G.P. de Laval)の名からラバルノズル(Laval Nozzle)とも呼ばれる。
図2に、本実施形態の超音速ノズル設計装置100により設計される超音速ノズル200の基本構造を示す。
図2に示すように、超音速ノズル200は断面積最小の部分を有する縮小・拡大管である。
図2に示すように、超音速ノズル200は、コンバージェント部201(本発明のガス導入部に対応)、スロート部202(本発明の最少径部に対応)、ダイバージェント部203(本発明の末広部に対応)、ガス流入口204、ガス流出口205(本発明の出口部に対応)を有する。
超音速ノズル200の基本原理は、亜音速流れにおいて圧力エネルギを運動エネルギに変換し、流れを超音速に加速するというものである。
すなわち、図2に示す超音速ノズル200において、ガス流はガス流入口204から流入し、コンバージェント部201で加速され、スロート部202でほぼ音速となり、ダイバージェント部203でさらに加速されガス流出口205から超音速となって流出する。
コンバージェント部201は、超音速ノズル200のガス流入口204からスロート部202までの部位であり、ガス流の進行方向に向かって径が小さくなるよう形成される。
スロート部202は、超音速ノズル200中で最も径(断面積)が小さくなる部位である。
ダイバージェント部203は、スロート部202からガス流出口205までの部位であり、ガス流の進行方向に向かって径が大きくなるよう形成される。
ダイバージェント部203の形状によって、超音速ノズル200内を流れるガス流に生じる波の様子が変化する。従って、超音速ノズル200の設計を行う際には、ダイバージェント部203の形状を決定することが最も重要である。そして、ダイバージェント部203の形状は、ノズル内の流れの捉え方によって設計方法が変化する。
以下では、超音速ノズル200内のガス流を2次元的に捉えた場合と、3次元的に捉えた場合それぞれの超音速ノズル設計方法について説明する。
1. 2次元的に捉えた場合
まず、超音速ノズル200内のガス流を2次元的に捉えた場合の超音速ノズル200の形状設計を行うために理解するべき考え方について説明する。その後、本実施形態の超音速ノズル設計装置100において超音速ノズル200が設計される具体的手順について説明する。
なお、上述したように、超音速ノズル200の形状設計において、最も重要であるのはダイバージェント部203の形状設計である。従ってガス流入口204の径や、コンバージェント部201の形状については本実施形態の超音速ノズル設計装置100では設計を行わない。これらの要素に関しては、超音速ノズル設計装置100における設計完了後、実際に設計した超音速ノズル200を製造する際に、使用目的や使用される状況によって決定されればよい。
以下では、ノズル内の流れを2次元定常超音速等エントロピ流れであるプラントルマイヤ流れとして考えた場合を説明する。
まず、図3に示すように、直線壁ABに沿うマッハ数M1の一様な2次元定常流れが、角Bで角θだけ曲げられ、再び直線壁BDに沿うマッハ数M2の一様な流れになる場合を考える。
図3は、凸面壁に沿うプラントルマイヤ流れを示した図である。
角Bの影響は,壁ABに対してマッハ角α1をなすマッハ線BDと、壁BCに対しマッハ角α2をなすマッハ線BEに囲まれた領域DBE内に限られる。
なお、マッハ角α1及びα2は以下の式(1)によって与えられる。
Figure 0005395644
また一般に超音速流れでは、流路面積の拡大によってマッハ数や速度は増加し、圧力、密度および温度は減少するため、領域EBCにおけるマッハ数M2は、領域ABDにおけるマッハ数M1より大きい。
一般に、流体粒子が波を通過するとき、そのマッハ数や速度が増加し、圧力や密度が減少する波を膨張波、逆にマッハ数や速度が減少し、圧力や密度が増加する波を圧縮波と称する。すなわち、図3の角Bから発生する波は膨張波である。そして、このような角をまわる2次元定常超音速等エントロピ流れをプラントルマイヤ流れという。
次に図4に示す、凹面壁に沿う流れについて説明する。
図4は、凹面壁に沿うプラントルマイヤ流れを示した図である。
図4に示す凹面壁に沿う流れでは、θ>0であるから圧縮波が発生する。
壁BCから発生する角マッハ波は壁から離れたところで交わり、斜め衝撃波を形成する。圧縮波は等エントロピ的であるが、一度衝撃波が形成されると衝撃波を通る流れのエントロピは増大する。
図3及び4のように、膨張波や圧縮波によって流れが等エントロピ的に曲げられるときの流れの転向角θとマッハ数Mの関係を以下に示す。
図3及び4に示すように、マッハ波が左向きである場合について考える。
微少角Δθと速度の微少変化ΔVの間には、
Figure 0005395644
の関係がある。
これを微分形で書くと
Figure 0005395644
のように表すことができる。
ここで、新しい変数としてνを
Figure 0005395644
と定義する。
また、エネルギ式
Figure 0005395644
γ:ガス流の比熱比
a:当該ガスにおける音速
u:ガス流の流速
にa=V/Mの関係を代入し微分すると、
Figure 0005395644
となる。
上記式(6)を式(4)に代入し、M=1のときν=0の条件の下に積分すると、
Figure 0005395644
となる。
式(7)に示すν(M)をプラントルマイヤ関数という。
νはMの増加とともに単調に増加する。
νの最大値νmaxは、式(6)においてM→∞として、
Figure 0005395644
となる。
式(3)と式(4)より、dθ+dν=0である。
ここでν=0(M=1)のときのθをθ*としてこの式を積分すると
Figure 0005395644
である。
すなわち、左向き膨張波と圧縮波に対してθとνの和は一定に保たれる。
よって、図3、4のいずれに対しても次式が成り立つ。
Figure 0005395644
右向きの波に対しては、以下のようになる。
Figure 0005395644
Figure 0005395644
さて、上記説明したようなプラントルマイヤ流れを想定した場合の、超音速ノズル200の設計では、ノズル壁面の凹部や凸部から発生する衝撃波を制御する必要がある。すなわち、本実施形態の超音速ノズル設計装置100では、ノズル出口からの流れが一様な平行流となるように、発生する波を打ち消すように設計することになる。
図5は、波の相殺の原理を示す概念図である。
図5において、マッハ数M1の一様な超音速流れが下壁の点AでΔθだけ曲げられると、点Aからの左向きの波は上壁の点Bに入射する。このとき、上壁を点Bで同じ角Δθだけ同じ方向に曲げると、入射波は点Bから発生する右向きの波によって相殺され、反射波は生じず、点Bの下流は平行な一様流れとなる。
このようにして、反射波を生じないようにすることを波の相殺という。
上述したようにして、超音速ノズル200の設計においては、ダイバージェント部203のガス流入口204に近い部位において発生する圧縮波を、ガス流出口205に近い部位において相殺するように設計されることにより、好適な超音速ノズル200を設計することができる。
以下、上述した説明を踏まえて、ノズル内の流れを2次元的に捉えた場合にガス流出口205の径がhtであり、得られるマッハ数(ガス流出口205におけるマッハ数)がMtとなるような超音速ノズル200の設計理論について説明する。
図6は、ノズル内の流れを2次元的に捉えた場合の超音速ノズル200の設計の説明のための図である。図6は、超音速ノズル200のその中心軸に沿った断面を示している。
図6においては、ダイバージェント部203のスロート部に近い部位を初期膨張部31、初期膨張部31からガス流出口205までの部位を相殺部32と称している。
初期膨張部31において衝撃波が発生し、相殺部32においてその衝撃波が相殺されるように設計される。
まず、スロート部202において超音速ノズル200の中心軸に垂直な音速線aa’を仮定する。
図6に示す超音速ノズル200の断面図における初期膨張部31の上壁面abを微少角Δθずつ曲がったn−1個の折れ線(本発明の折れ線に対応)で構成する。下壁面a’b’も同様に構成する。
点aから点bにかけて折れ線ごとにΔθずつ曲がって行くとすると、曲がり点はn個あるため、点bにおけるノズル壁面の傾き角θmax=nΔθとなる。
図6では、n=4とした場合を示している。
上記説明したように、初期膨張部31の各曲がり点からは衝撃波(圧縮波)が発生する。これらの波はそれぞれ流れがΔθずつ転向している。各波の傾きは、その両側の流れのマッハ角の平均値とする。
すなわち、ある衝撃波における上流側のマッハ角α1と、下流側のマッハ角α2とを用いて、当該衝撃波の傾き角は、
Figure 0005395644
と表される。
図6に示す初期膨張部31と相殺部32との間の部位bcは所定の長さの直線に設定する。
次に、相殺部32の壁面cd間は下壁のa'b'からの波を相殺するように構成する。
すなわち、各入射点において壁面をそれぞれΔθずつ曲げることにより入射波を相殺し、dfd’より下流を中心軸に平行な一様流れとすることができる。
従って、相殺部32の壁面は、初期膨張部31における衝撃波が超音速ノズル200の壁面に入射する位置を、上流から下流へと逐一算出することにより設計することになる。
初期膨張部31の壁面abの終了点bのすぐ下流のプラントルマイヤ関数をνmとすれば、式(11)においてθ*=0、θ=θmaxであるから、
Figure 0005395644
となる。
ここで、ガス流出口205における流れのプラントルマイヤ関数をνtとすれば、相殺部32の壁面cdの前後の流れに対して、式(9)から
Figure 0005395644
となる。
式(14)及び(15)より、次式が得られる。
Figure 0005395644
すなわち、図6のように初期膨張部31の各折れ線において発生する衝撃波を、ノズルの反対側の壁に入射する点において相殺するように設計するノズルでは、ガス流出口205におけるマッハ数Mtに対応するプラントルマイヤ関数νtはノズルの最大広がり角θmaxの2倍となる。
スロート部202の径は、超音速ノズルにおける断面積比と比熱比の式
Figure 0005395644
A:ノズルの断面積
A*:スロート部202における断面積
を基に、ガス流出口205の径htを用いて算出することができる。
さて、以下では、上記説明した設計理論に基づき、ノズル内の流れを2次元的に捉えた場合に超音速ノズル設計装置100が超音速ノズル200を設計する際の動作例について説明する。
図7は、ノズル内の流れを2次元的に捉えた場合に超音速ノズル設計装置100が超音速ノズル200を設計する際の動作例を説明するためのフローチャートである。
ステップST1:
入力部101を介して、初期条件の入力を受け付ける。
初期条件は、初期膨張部31における曲がり点の数n(折れ線の数+1)、初期膨張部31の折れ線の傾き角Δθ、スロート部の径h*、各折れ線の長さΔx、ガス流の比熱比γ、ガス流入口204からスロート部202までの長さx1である。
これらの値は、設計したい超音速ノズルに合わせて容易に変更が可能である。
また、入力部101を介して入力されたこれらの値は、表示部103に表示され、確認が可能である。
なお、この時点で入力された値を用いると、初期膨張部31の形状が決定される。
すなわち、入力された曲がり点の数n、折れ線の傾き角Δθ、スロート部の径h*、各折れ線の長さΔxの各パラメータを用いると、初期膨張部31の形状は図形的に決定することが可能である。
以下のステップでは、このように決定された初期膨張部31の形状を基に、初期膨張部31から生じる衝撃波について演算を行うことになる。
ステップST2:
演算部102は、ステップST1において入力された初期条件を基に、上記したプラントルマイヤ関数を含む式(7)を使用して、ノズル内部の各位置におけるマッハ数Mを算出する。
ノズル内部の各位置とは、初期膨張部31の折れ線によって生じる衝撃波上の各位置を意味する。
上述したように、式(7)におけるプラントルマイヤ関数ν(M)は、折れ線が曲がり点においてΔθだけ曲がる度に増加していく。これにより各位置のマッハ数を算出することができる。
ステップST3:
演算部102は、ステップST2において算出されたノズル内部各位置のマッハM数を基に、ノズル内各位置のマッハ角αを算出する。そして、マッハ角αを基に初期膨張部31の曲がり点から生じる衝撃波の傾きを算出する。
そして、式(13)を用いて、各衝撃波の傾きを算出する。
ステップST4:
演算部102は、ステップST3において算出された各衝撃波の傾きを基に、初期膨張部31において生成された各衝撃波が、超音速ノズル200の相殺部32の壁面に入射する位置を算出する。
本ステップは、例えば、ステップST1において決定された初期膨張部31の形状を基に、各衝撃波の軌跡を描くことにより、図形的に求めることが可能である。
上述したように、図6に示すように相殺部32も初期膨張部31を構成する折れ線と同数の折れ線によって構成される。相殺部32を構成する折れ線は、各衝撃波が入射する点毎に下流に向かってΔθずつ内側に傾くように配置される。
このようにして、相殺部32における、各衝撃波の入射する位置は、上流の方から順次算出される。
ステップST5:
演算部102は、ステップST4迄に算出した結果を用いて、超音速ノズル200の形状を決定し、例えば各部のパラメータの具体的な数値や図形等の形式で出力する。
本実施形態の超音速ノズル設計装置100において設計されるべき要素は、上述したようにスロート部202から初期膨張部31迄の形状は初期条件の段階で決まってしまうため、相殺部32の壁面の形状のみである。
すなわち、ステップST5において、演算部102は、ステップST4において算出した各衝撃波の入射する位置を用いて相殺部32の壁面の断面形状を生成し、表示部103に表示すればよい。
次に、超音速ノズル200内のガス流を3次元的に捉えた場合の超音速ノズル設計方法について説明する。
2. 3次元的に捉えた場合
超音速ノズル200内のガス流を3次元的に捉える方法として、特性曲線法がある。
図8は、特性曲線について説明するための図である。
図8に示すように、ガス流内のある点Pにおいて、右向きマッハ線C+と左向きマッハ線C−を描くと、点Pにおける曲線C+の接線はx軸に対し、θ−αの傾きをもち、曲線C−の接線は、θ+αの傾きをもつ。ここで図8においてθは速度ベクトルの傾き、αはマッハ角である。これらの曲線C±は特性曲線と呼ばれる。この特性曲線を直線で近似することにより、ガス流の流れ場の状態を数値的に求める方法を特性曲線法という。
特性曲線法を使用して超音速ノズル200を設計する場合、ノズルを軸対象とし、スロート部202からガス流出口205までの3次元的な流れの変化を特性曲線法を用いて計算する。これによって最終的にガス流出口205において希望するマッハ数の一様な軸方向排気速度をもつ超音速ノズルを設計することができる。
特性曲線法においては、まず、ノズル内各部における仮想音速線を想定し、この音速線の曲率半径を算出する。
図9は、仮想音速線と、その曲率半径の算出について説明するための図である。
図9は、中心軸に並行なノズルの断面において、スロート部202近傍の仮想音速線を示した図である。
スロート部202近傍のマッハ数をM=1.1として、仮想音速線の曲率を式(18)及び(19)を用いて算出する。
Figure 0005395644
Figure 0005395644
R0*:仮想音速線曲率半径
Rt:スロート部202の径
Rωt:ノズル壁面曲率
σ:次元定数(今想定する3次元流では1)
xt:仮想音速線からの差異
図9において、M=1.1における仮想音速線は式(16)においてM=1.1を満たす断面積Aとなる壁面の位置から求める。また、ノズル壁面曲率Rωtは任意の値とする。
図9において、超音速ノズル200の中心軸に沿った断面の2次元空間として(x,y)空間を考える。
そして、このようにして求めた音速線を任意の数で分割して各点(x,y)における速度分布(u,v)を決定する。
そして、(x,y)平面である物理面とともに速度(u,v)の分布であるホドグラフ面の座標について任意に決定する。
このようにして求めた音速の物理面及びホドグラフ面において、dy/dx、dv/duを算出する。
まず、算出した音速線の各点(x,y)における速度分布(u,v)から、物理面における傾き(dy/dx)I・IIを以下の式(20)によって求める。
Figure 0005395644
φ:各点における速度ベクトルの傾き(φ=v/u)
α:マッハ角
傾き(dy/dx)I・IIは上方と下方の2通り存在する。
図10(a)に物理面上における仮想音速線と分割された各点、そして各点の傾きとその交点について示す。
図10は、物理面及びホドグラフ面上における特性曲線網の構築について説明するための図である。
図10に示すように、仮想音速線において、物理面上の上記分割した各点(x,y)から伸びる傾きdy/dxの交点の座標を算出する。そして、さらにその交点を(x,y)としてその次の交点を順次算出していく。
すなわち、例えば、図10(a)において、点2−1は点1−1の傾き(上方)と点1−2(下方)の傾きの交点である。
このようにして物理面における特性曲線網を構築する。
物理面における傾きを算出するための速度ベクトルの傾きφを算出するために、同様にホドグラフ面においても傾き(dv/du)I・IIを算出する。
図10(b)に、ホドグラフ面上における仮想音速線と分割された各点、そして各点の傾きとその交点について示す。
例えば、点1−1、1−2及び2−1について考える。
ホドグラフ面上の点1−1に対応する物理面のy座標をy1、点1−1における速度を(u1,v1)、音速をa1とする。同様に、点1−2及び点2−1に関してもy2、u2、v2、a2及びy3、u3、v3、a3を定義する。
このとき、点1−1から点2−1への速度成分の傾きを(dv/du)II1、点1−2から点2−1への速度成分の傾きを(dv/du)I2とすると、これらは以下の式(21)及び(22)で与えられる。
Figure 0005395644
Figure 0005395644
なお、式(21)及び(22)において、(dy/du)II1及び(dy/du)I2については未知であるが、近似式として、
Figure 0005395644
Figure 0005395644
のように与えられる。
u3’は未知数であり、本実施形態ではこれに適当な値を導入してホドグラフ面における次の交点を求め、得られたx方向の速度成分u3とu3’とを比較する。そして、これらの値が最も近しくなるようにu3’を設定し、u3を最終的に決定する。
このようにして得られた結果から、新たな交点においての音速・マッハ数を計算し、これらをノズルのスロート部202からガス流出口205に向けて繰り返すことで、図11に示すように、ガス流出口方向に向けての特性曲線網を構築していく。
図11は、物理面における特性曲線網の構築過程について説明するための図である。
図11(a)から図11(b)に示すように、スロート部202の仮想音速線の位置から、ノズル下流に向けて順次特性曲線網を構築していく。
ここで、図11(b)において、右下端の点Pで希望するマッハ数Mに到達したとする。
この場合、この点から到達マッハ数Mdに対応するマッハ角αdと同じ角度で、式(17)を使用し到達マッハ数Mdとスロート断面積A*から求めたガス流出口205の断面積となる出口径になる点(図11(c)における点R)までの直線を引く。引かれた線をさらに任意の数に分割し、図11(b)までに求めた特性曲線網から、同じようにノズル壁面の出口に至るまでの特性曲線網を構築する。
そして、このようにして求めた物理面上の特性曲線網を基に、ノズル壁面の形状を決定する。
ノズル壁面形状の決定方法は、以下の通りである。
図11(b)に示すように、各交点におけるマッハ数が希望のマッハ数に到達するまで特性曲線網を構築したら、物理面における各交点のうち、もっとも上方に位置する点を直線で繋ぐ。そして、その終点(図11(b)及び(c)における点Q)から、ガス流出口205の断面積となる出口径になる点Pまでを内挿法により求めた放物線で繋ぐ。
この結果決定された曲線が、最終的なノズル壁面形状(超音速ノズルの中心軸に沿った断面における壁面形状)となる。
次に、以下では、ノズル内の流れを3次元的に捉えた場合に、超音速ノズル設計装置100が超音速ノズル200を設計する際の動作例について説明する。
図12は、ノズル内の流れを3次元的に捉えた場合に超音速ノズル設計装置100が超音速ノズル200を設計する際の動作例を説明するためのフローチャートである。
ステップST11:
超音速ノズル設計装置100の演算部102は、スロート部202付近のマッハ数M=1.1、ガス流の比熱費γ、任意のノズル壁面の曲率Rωt、スロート部202における径Rtに基づき、スロート部付近の仮想音速線を算出する。
ステップST2:
演算部102は、ノズル内の速度分布(u,v)を適当な値に決定する。
ステップST3:
演算部102は、ノズル内の速度分布を基に、ホドグラフ面における特性曲線網を、上述した式(21)−(24)を基に、スロート部付近の仮想音速線を任意の数に分割し、その各点からノズル下流に向けて順次算出する。
ステップST4:
演算部102は、ステップST3において算出したホドグラフ面における特性曲線網を基に、式(20)を使用して、物理面における特性曲線網を算出する。同時に、各点におけるマッハ数も算出する。
ステップST5:
演算部102は、ステップST4において算出した物理面における特性曲線網と、ガス流出口205における希望のマッハ数を基に、超音速ノズル200の中心軸に沿った断面におけるノズル壁面の形状を決定する。
以上説明したように、本実施形態の超音速ノズル設計装置100によれば、入力部101を介して初期値を入力することにより、ノズル内のガス流の流れを2次元的に捉えた場合と3次元的に捉えた場合それぞれのノズルの形状(スロート部202からガス流出口までのノズル壁面形状)を容易に設計することができる。
従って、初期条件を様々に変えることで、多様なニーズに応じた超音速ノズルを容易に設計することが可能となる。
そして、以上のように超音波ノズル設計装置100により設計した設計データを、例えば以下説明する超音波製造装置300に読み込ませることにより、容易に設計した超音波ノズル200を製造することが可能である。
図13は、超音波ノズル製造装置300の構成の一例を示した図である。
図13に示すように、超音波ノズル製造装置300は、データ入力部301、制御部302、加工部303を有する。
データ入力部301は、超音波ノズル設計装置100において設計した超音波ノズルの設計データを入力するための部位である。
データ入力部301において設計データを入力する手段は様々である。例えば、設計データを記録した記録媒体(DVD、CD等)を読み込む、超音波ノズル設計装置100と通信可能に接続することにより設計データの転送を受ける、キーボード等の操作デバイスにより設計データの数値の入力を受け付ける、等の方法が考えられる。
制御部302は、データ入力部301を介して入力された超音波ノズルの設計データを解析し、加工部303に実際に超音波ノズルの加工を行わせる。
加工部303は、例えば旋盤(NC旋盤)等の工作機械であり、中刳り等でノズルを製作する。
以上説明したように、本実施形態の超音波ノズル製造装置300では、超音波ノズル設計装置100において設計した超音波ノズルの設計データを読み込むことにより、容易に超音波ノズルの製造が可能である。
100…超音速ノズル設計装置、101…入力部、102…演算部、103…表示部、104…記憶部、200…超音速ノズル、201…コンバージェント部、202…スロート部、203…ダイバージェント部、204…ガス流入口、205…ガス流出口、31…初期膨張部、32…相殺部、300…超音波ノズル製造装置、301…データ入力部、302…制御部、303…加工部

Claims (7)

  1. 2次元等エントロピガス流が流入される導入部に連続し、断面積が最小である最小径部と、当該最小径部に連続する初期膨張部と、当該最小径部に連続する相殺部と、を有する超音速ノズルの設計を行う超音速ノズル設計装置であるコンピュータが実行するプログラムであって、
    前記初期膨張部の中心軸に沿った断面を、前記最小径部を起点として、前記中心軸に沿って径が大きくなる曲線と近似する折れ線によって近似するとき、
    初期条件として、前記折れ線の数、前記折れ線における傾き角、前記最小径部における直径、前記各折れ線の長さ、前記ラバルノズル中を流れるガスの比熱比及び前記最小径部におけるマッハ数を入力する第1の手順と、
    前記第1の手順において入力された前記比熱比を基に、前記超音速ノズル各部のマッハ数をプラントルマイヤ関数によって算出する第2の手順と、
    前記第2の手順において算出された前記超音速ノズル各部のマッハ数を基に、マッハ角を算出し、前記初期膨張部の前記折れ線から発生する前記衝撃波の傾きを算出する第3の手順と、
    前記第3の手順において算出された前記初期膨張部の前記折れ線から発生する前記衝撃波の傾きを基に、前記衝撃波が前記相殺部の壁面に入射する位置を算出する第4の手順と、
    前記第4の手順において算出された前記衝撃波が前記相殺部の壁面に入射する位置を結ぶことにより、当該相殺部の形状を生成する第5の手順と、
    を前記コンピュータに実行させるプログラム。
  2. 2次元等エントロピガス流が流入される導入部に連続し、断面積が最小である最小径部と、当該最小径部に連続する初期膨張部と、当該最小径部に連続する相殺部と、を有する超音速ノズルの設計を行う超音速ノズル設計装置であって、
    前記初期膨張部の中心軸に沿った断面を、前記最小径部を起点として、前記中心軸に沿って径が大きくなる曲線と近似する折れ線によって近似するとき、
    前記超音速ノズル設計装置は、
    初期条件として、前記折れ線の数、前記折れ線における傾き角、前記最小径部における直径、前記各折れ線の長さ、前記ラバルノズル中を流れるガスの比熱比及び前記最小径部におけるマッハ数の入力を受け付ける入力部と、
    演算部と、
    を有し、
    前記演算部は、
    前記入力部に入力された前記比熱比を基に、前記超音速ノズル各部のマッハ数をプラントルマイヤ関数によって算出し、
    前記算出した前記超音速ノズル各部のマッハ数を基に、マッハ角を算出し、前記初期膨張部の前記折れ線から発生する前記衝撃波の傾きを算出し、
    前記算出した前記初期膨張部の前記折れ線から発生する前記衝撃波の傾きを基に、前記衝撃波が前記相殺部の壁面に入射する位置を算出し、
    前記算出した前記衝撃波が前記相殺部の壁面に入射する位置を結ぶことにより、当該相殺部の形状を生成する
    超音速ノズル設計装置。
  3. 2次元等エントロピガス流が流入される導入部に連続し、断面積が最小である最小径部と、当該最小径部に連続する初期膨張部と、当該最小径部に連続する相殺部と、を有する超音速ノズルを製造する超音速ノズル製造方法であって、
    前記初期膨張部の中心軸に沿った断面を、前記最小径部を起点として、前記中心軸に沿って径が大きくなる曲線と近似する折れ線によって近似するとき、
    初期条件として、前記折れ線の数、前記折れ線における傾き角、前記最小径部における直径、前記各折れ線の長さ、前記ラバルノズル中を流れるガスの比熱比及び前記最小径部におけるマッハ数を入力する第1の工程と、
    前記第1の工程において入力された前記比熱比を基に、前記超音速ノズル各部のマッハ数をプラントルマイヤ関数によって算出する第2の工程と、
    前記第2の工程において算出された前記超音速ノズル各部のマッハ数を基に、マッハ角を算出し、前記初期膨張部の前記折れ線から発生する前記衝撃波の傾きを算出する第3の工程と、
    前記第3の工程において算出された前記初期膨張部の前記折れ線から発生する前記衝撃波の傾きを基に、前記衝撃波が前記相殺部の壁面に入射する位置を算出する第4の工程と、
    前記第4の工程において算出された前記衝撃波が前記相殺部の壁面に入射する位置を結ぶことにより、当該相殺部の形状を生成する第5の工程と、
    前記第5の工程において生成された形状データを工作機械に入力する第6の工程と、
    前記工作機械が、前記第5の工程において入力された形状データ通りに超音速ノズルを製造する第7の工程と、
    を有する超音速ノズル製造方法。
  4. 2次元等エントロピガス流が流入される導入部に連続し、断面積が最小である最小径部と、当該最小径部に連続する初期膨張部と、当該最小径部に連続する相殺部と、を有する超音速ノズルであって、
    前記初期膨張部の中心軸に沿った断面が、前記最小径部を起点として、前記中心軸に沿って径が大きくなる曲線と近似する折れ線によって近似される
    前記請求項2の超音速ノズル設計装置によって設計される超音速ノズル。
  5. 超音速ノズルの形状を設計する超音速ノズル設計装置であるコンピュータが実行するプログラムであって、
    前記超音速ノズルが、断面積が最小となる最少径部と、前記超音速ノズルの出口部までの部位である末広部と、を有する場合に、
    前記末広部内の前記最小径部におけるマッハ数と、比熱比と、前記最少径部の断面積とで規定される関数に基づく仮想音速線の曲率半径を、任意のノズル壁面の半径比率と、最少径部半径と、前記比熱比とによって規定される関数に基づいて算出する第1の手順と、
    前記第1の手順において算出された前記仮想音速線を任意の数で分割して分割した各点における速度分布を決定する第2の手順と、
    前記第2の手順において決定された速度分布を基に、前記分割された音速線上の各点における2次元速度空間として規定されるホドグラフ面における特性曲線を、最少径部からノズル出口部に向けて逐次決定する第3の手順と、
    前記第3の手順において決定された、前記ホドグラフ面における特性曲線を基に、前記超音速ノズル内の各位置での音速線の前記分割された各点上における物理面の特性曲線を決定する第4の手順と、
    前記第4の手順において決定された前記物理面の特性曲線を基に、前記超音速ノズルの形状を決定する第5の手順と、
    を前記コンピュータに実行させるプログラム。
  6. 超音速ノズルの形状を設計する超音速ノズル設計装置であって、
    前記超音速ノズルが、断面積が最小となる最少径部と、前記超音速ノズルの出口部までの部位である末広部と、を有する場合に、
    前記超音速ノズル設計装置は、
    初期値となるノズル壁面の半径比率及びスロート部半径の入力を受け付ける入力部と、
    演算部と、
    を有し、
    前記演算部は、
    前記末広部内の前記最小径部におけるマッハ数と、比熱比と、前記最少径部の断面積とで規定される関数に基づく仮想音速線の曲率半径を、任意のノズル壁面の半径比率と、最少径部半径と、前記比熱比とによって規定される関数に基づいて算出し、
    前記算出した前記仮想音速線を任意の数で分割して分割した各点における速度分布を決定し、
    前記決定した速度分布を基に、前記分割された音速線上の各点における2次元速度空間として規定されるホドグラフ面における特性曲線を、最少径部からノズル出口部に向けて逐次決定し、
    前記決定した、前記ホドグラフ面における特性曲線を基に、前記超音速ノズル内の各位置での音速線の前記分割された各点上における物理面の特性曲線を決定し、
    前記決定した前記物理面の特性曲線を基に、前記超音速ノズルの形状を決定する
    超音速ノズル設計装置。
  7. 超音速ノズルの形状を設計し、設計した超音速ノズルを製造する超音速ノズル製造方法であって、
    前記超音速ノズルが、断面積が最小となる最少径部と、前記超音速ノズルの出口部までの部位である末広部と、を有する場合に、
    前記末広部内の前記最小径部におけるマッハ数と、比熱比と、前記最少径部の断面積とで規定される関数に基づく仮想音速線の曲率半径を、任意のノズル壁面の半径比率と、最少径部半径と、前記比熱比とによって規定される関数に基づいて算出する第1の工程と、
    前記第1の工程において算出された前記仮想音速線を任意の数で分割して分割した各点における速度分布を決定する第2の工程と、
    前記第2の工程において決定された速度分布を基に、前記分割された音速線上の各点における2次元速度空間として規定されるホドグラフ面における特性曲線を、最少径部からノズル出口部に向けて逐次決定する第3の工程と、
    前記第3の工程において決定された、前記ホドグラフ面における特性曲線を基に、前記超音速ノズル内の各位置での音速線の前記分割された各点上における物理面の特性曲線を決定する第4の工程と、
    前記第4の工程において決定された前記物理面の特性曲線を基に、前記超音速ノズルの形状を決定する第5の工程と、
    前記第5の工程において生成された形状データを工作機械に入力する第6の工程と、
    前記工作機械が、前記第5の工程において入力された形状データ通りに超音速ノズルを製造する第7の工程と、
    を有する超音速ノズル製造方法。
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JP4947358B2 (ja) * 2007-02-09 2012-06-06 タマティーエルオー株式会社 物理蒸着装置および物理蒸着方法
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