JP5392833B2 - ストーリー生成システム、方法、およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、環境変化検出技術に関し、特にセンサにより検出した検知イベントに基づき、実際に発生した環境変化を示すテキスト情報を生成する技術に関する。
近年、ユビキタスセンサネットワークを利用して、実環境で発生した環境の変化をイベントとして検出し、人に対してそのイベント内容を提示することにより、人を支援する環境知能を実現する研究が進んでいる。このような環境知能では、検出したイベントを、より理解しやすく人に提供する技術して、検出イベントの内容を電子テキスト化して、ブログに投稿する技術が提案されている(例えば、非特許文献1など参照)。しかしながら、この技術では、イベント間の因果関係については考慮されておらず、生成された電子テキストからイベント内容を容易に理解しにくい場合があった。
一方、実環境で発生する各種イベントの内容を、イベント間の因果関係に基づき電子テキスト化する技術、すなわちイベント内容をストーリー化する技術として、画像を用いた技術が提案されている(例えば、非特許文献2など参照)。この技術は、PCを使用するユーザの操作を全て記録したりディジタルカメラの撮影記録を組み合わせて、過去の分析や体験共有・追体験を可能としている。また、記録した動画像を用いたスライドショー形式のストーリーを手動で作成するためのアプリケーションも開発している。
また、撮影した写真をもとにストーリーを容易に作成できるデバイスを実装する技術も提案されている(例えば、非特許文献3など参照)。このデバイスは、液晶ディスプレイやマイクを備え、液晶ディスプレイに表示した写真に対して声で読み上げたストーリーを付加することができる。
また、一日のユーザの行動(会った人や行った場所など)に関する記録を電子テキストからなるログで記録し、アイコンを用いたストーリーとしてユーザに提示するシステムも提案されている(例えば、非特許文献4など参照)。このシステムでは、ユーザが他のユーザに会ったというイベントが、それぞれのユーザを表すアイコンによって表現される。
Takuya Maekawa, Yutaka Yanagisawa, Takeshi Okadome, Towards environment generated media: object-participation-type weblog in home sensor network, Proceedings of the 16th international conference on World Wide Web, pp.1267--1268, 2007. Jim Gemmell,Gordon Bell and Roger Lueder,My Life Bits: a personal database for everything,Communications of the ACM,pp. 88-95,Vol.49,Issue 1,2006. Marko Balabanovic, Lonny L. Chu, and Gregory J. Wolff, Storytelling with digital photographs, Proc. CHI 2000, pp. 564-571, 2000. M. Lamming and M. Flynn, "Forget-me-not: Intimate computing in support of human memory," Proc. FRIEND21: International Symposium on Next Generation Human Interface, 1994, pp. 125-128. Riessman、Narrative Analysis、saga Publications、1993. E.M. Tapia, S.S. Intille, and K. Larson, Activity recognition in the home using simple and ubiquitous sensors, Proc. Pervasive 2004, pp. 158-75, 2004. J. Sohn, N.S. Kim, and W. Sung, A statistical model-based voice activity detection, IEEE Signal Processing Letters, 6, pp. 1-3, 1999.
しかしながら、このような従来技術では、環境変化として検出したイベントの因果関係をストーリー化する際、撮影された画像、写真、あるいはログを基に、手動あるいは半自動でストーリー文を作成するものであるため、ストーリー文を作成するために、人間が積極的に関与しなければならず、ユーザの負担が大きくなるという問題があった。
また、日常生活において、環境に設置されたユビキタスセンサが検出するイベントの数は非常に膨大であり、その内容は些細なことから重大なことまで様々である。このため、イベントを検出する空間を限定したとしても、全てのイベントに対してストーリー文を作成した場合、無駄な情報が多くなってしまうという問題があった。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、実際に発生した環境変化のうち、有用性のある環境変化に関する因果関係を示すストーリー文を、少ないユーザ負担で生成できるストーリー生成技術を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかるストーリー生成システムは、センサにより検知した検知イベントに基づき、実際に発生した環境変化の因果関係を示すストーリー文を生成するストーリー生成システムであって、センサにより時系列で順次検知した検知イベントに関する発生状況データを、当該検知イベントの内容を示す説明情報とともに、所定時間長の時間窓ごとにイベント情報としてイベントデータベースへ蓄積するイベント検知部と、イベント検知部で新たに検知した検知イベントの発生状況データに関する時系列変化の特徴と、イベントデータベースから取得した過去の同一時間窓において検知した過去イベントの発生状況データに関する時系列変化の特徴との一致性に基づいて、当該検知イベントが過去イベントから乖離した非日常イベントであるか否かを判定し、非日常イベントと判定した検知イベントのイベント情報を非日常イベントデータベースへ蓄積する非日常イベント判定部と、非日常イベント判定部で判定された非日常イベントと相関のある過去イベントをイベントデータベースおよび非日常イベントデータベースから選択し、これら過去イベントのイベント情報に基づいて、これら過去イベントを回答候補とした、当該非日常イベントの発生原因を問い合わせるための質問データを生成する質問生成部と、質問生成部で生成された質問データに基づくユーザへの問い合わせに対するユーザからの回答に基づいて、非日常イベントの発生原因となる原因イベントを特定し、当該原因イベントのイベント情報から環境変化の原因を示す説明文を生成するとともに、非日常イベントのイベント情報から環境変化の結果を示す説明文を生成する質問処理部と、質問処理部で生成された説明文を組み合わせることにより、環境変化の因果関係を示すストーリー文を生成するストーリー生成部とを備えている。
この際、非日常イベント判定部で、任意の時間窓において時系列で順次検知した検知イベントに関する発生状況を要素とする検知ベクトルと、同一時間窓において過去に得られた過去イベントに関する複数の過去ベクトルとについて、主成分分析処理を行い、得られた主要主成分に基づき検知ベクトルの次元圧縮処理を行うことにより、当該検知ベクトルに関する情報損出率を算出し、この情報損失率と損失率しきい値とを比較することにより、当該検知ベクトルが非日常イベントか否かを判定するようにしてもよい。
さらに、非日常イベント判定部で、情報損失率が損失率しきい値以下であった場合、主要主成分軸に対して検知ベクトルおよび過去ベクトルを射影して、これら主要主成分軸ごとに当該射影値に関する混合正規分布を生成し、これら主要主成分軸ごとに当該混合正規分布における当該検知ベクトルの射影値に関する確率密度と確率密度しきい値とを比較することにより、当該検知ベクトルが非日常イベントか否かを判定するようにしてもよい。
また、本発明にかかるストーリー生成方法は、センサにより検知した検知イベントに基づき、実際に発生した環境変化の因果関係を示すストーリー文を生成するストーリー生成システムで用いられるストーリー生成方法であって、イベント検知部が、センサにより時系列で順次検知した検知イベントに関する発生状況データを、当該検知イベントの内容を示す説明情報とともに、所定時間長の時間窓ごとにイベント情報としてイベントデータベースへ蓄積するイベント検知ステップと、非日常イベント判定ステップが、イベント検知ステップで新たに検知した検知イベントの発生状況データに関する時系列変化の特徴と、イベントデータベースから取得した過去の同一時間窓において検知した過去イベントの発生状況データに関する時系列変化の特徴との一致性に基づいて、当該検知イベントが過去イベントから乖離した非日常イベントであるか否かを判定し、非日常イベントと判定した検知イベントのイベント情報を非日常イベントデータベースへ蓄積する非日常イベント判定ステップと、質問処理部が、非日常イベント判定ステップで判定された非日常イベントと相関のある過去イベントをイベントデータベースおよび非日常イベントデータベースから選択し、これら過去イベントのイベント情報に基づいて、これら過去イベントを回答候補とした、当該非日常イベントの発生原因を問い合わせるための質問データを生成する質問生成ステップと、質問処理部が、質問生成ステップで生成された質問データに基づくユーザへの問い合わせに対するユーザからの回答に基づいて、非日常イベントの発生原因となる原因イベントを特定し、当該原因イベントのイベント情報から環境変化の原因を示す説明文を生成するとともに、非日常イベントのイベント情報から環境変化の結果を示す説明文を生成する質問処理ステップと、ストーリー生成部が、質問処理ステップで生成された説明文を組み合わせることにより、環境変化の因果関係を示すストーリー文を生成するストーリー生成ステップとを備えている。
この際、非日常イベント判定ステップで、任意の時間窓において時系列で順次検知した検知イベントに関する発生状況を要素とする検知ベクトルと、同一時間窓において過去に得られた過去イベントに関する複数の過去ベクトルとについて、主成分分析処理を行い、得られた主要主成分に基づき検知ベクトルの次元圧縮処理を行うことにより、当該検知ベクトルに関する情報損出率を算出し、この情報損失率と損失率しきい値とを比較することにより、当該検知ベクトルが非日常イベントか否かを判定するようにしてもよい。
さらに、非日常イベント判定ステップで、情報損失率が損失率しきい値以下であった場合、主要主成分軸に対して検知ベクトルおよび過去ベクトルを射影して、これら主要主成分軸ごとに当該射影値に関する混合正規分布を生成し、これら主要主成分軸ごとに当該混合正規分布における当該検知ベクトルの射影値に関する確率密度と確率密度しきい値とを比較することにより、当該検知ベクトルが非日常イベントか否かを判定するようにしてもよい。
また、本発明にかかるプログラムは、コンピュータを、前述したいずれか1つのストーリー生成システムを構成する各部として機能させるためのプログラムである。
本発明によれば、新たに検知された検知イベントからなる結果イベントに対する原因イベントを、質問データとして提示された回答候補のうちから選択する、という極めて簡単なユーザ作業だけで、環境変化の因果関係を示すストーリー文を生成することができる。また、日常生活で発生する膨大な数のイベントのうちから、ユーザが所望する、日常ではあまり発生しない非日常イベントを自動的に選択し、この非日常イベントを結果イベントとするストーリー文を自動的に生成することができる。
したがって、本実施の形態によれば、実際に発生した環境変化のうち、有用性のある環境変化に関する因果関係を示すストーリー文を、少ないユーザ負担で生成することが可能となる。
本実施の形態にかかるストーリー生成システムの構成を示すブロック図である。 イベントとストーリーの関係を示す説明図である。 本実施の形態にかかるストーリー生成システムのストーリー生成動作を示すフローチャートである。 情報損失率算出処理を示すフローチャートである。 情報損失率算出処理の一部を示す説明図である。 確率密度算出処理を示すフローチャートである。 非日常イベント判定処理を示すフローチャートである。 質問生成処理を示すフローチャートである。 アプリオリアルゴリズムで用いる確信度の算出方法を示す説明図である。 質問処理を示すフローチャートである。 質問データの提示画面例である。 ストーリー文の生成例である。
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[ストーリー生成システム]
まず、図1を参照して、本実施の形態にかかるストーリー生成システムについて説明する。図1は、本実施の形態にかかるストーリー生成システムの構成を示すブロック図である。
このストーリー生成システム10は、センサネットワーク30を構成する各種センサにより検知した検知イベントに基づき、実際に発生した環境変化の因果関係を示すストーリー文を生成する機能を有している。
センサネットワーク30は、通信回線31を介してストーリー生成システム10と接続されて、人や物の動作を物理量や映像で検出する、いわゆるユビキタスセンサから構成されており、センサでの検知結果をイベントとしてストーリー生成システム10へ出力する機能を有している。
Weblogシステムは、通信ネットワーク40を介してストーリー生成システム10と接続されて、ストーリー生成システム10から送信されたストーリー文を含む投稿指示に応じて、当該ストーリー文をブログへ投稿することにより、通信ネットワーク40上で公開する機能を有している。なお、ストーリー生成システム10から送信されたストーリー文は、ブログへ投稿する以外に、一般のWebページや掲示板などに投稿することもできる。また、ストーリー生成システム10から送信されたストーリー文を印刷物として出力しても良い。
[本発明の基本概念]
ストーリーの根本は、複数のイベントを筋立てることである。Riessman(非特許文献5など参照)によると、複数のイベントを筋立てる方法としては、年代順による配列、帰結的な配列、挿話的な配列の3種類が存在する。年代順による配列とは、イベント同士を発生した順に筋立てることであり、帰結的な配列とは、発生したイベントを因果関係の下で筋立てることである。挿話的な配列は、年代順による配列と帰結的な配列を組み合わせたようなものであるが、要は同じ主題を持つイベント同士を関連付けることである。
これら3種類の筋立て方法の中で、本発明では因果関係で筋立てる帰結的な配列に着目した。その理由は、年代順による配列では別々のストーリーの要素となるイベントが混在していた場合、イベントを時間列で並べるだけではストーリーとして成り立たなくなるためである。一方、挿話的配列の場合は、個々のイベントの主題が何であるかを把握するのが難しい。
図2は、イベントとストーリーの関係を示す説明図である。人間が日記などを書く時は、記すべきイベントを初めに思い浮かべてから、そのイベントがどうして起こったのかと原因を探求していくと考えられる。本発明では、検知したイベント、すなわち結果イベントに対して、その原因となる原因イベントを繋げていくことによってストーリーを作成することとした。
また、我々の日々の日常生活では、膨大な数のイベントが発生しており、その内容は些細なことから重大なことまで様々である。このため、検知する空間を限定しても、当該空間内で発生する全てのイベントに対してストーリーを作成して提示した場合、無駄な情報が多くなってしまうと考えられる。
したがって、発明者らは、どのようなイベントについて、ストーリーを作成し提示すべきなのか知るために、被験者に事前アンケートを実施した。
この事前アンケートでは、「何を記録して欲しいか」や「記録されたらどう便利なのか」という質問を設けた。事前アンケートの結果、「薬の飲み過ぎ」や「水槽の掃除のし忘れ」など、記録されたデータを見ることでいつもと違うところを発見したいと思っている被験者が多いことが分かった。
本発明では、このようなアンケート結果に基づいて、日常ではあまり発生しない非日常イベントのみを結果イベントとして選択することとし、実際に発生した環境変化の因果関係について、結果イベントから原因イベントを追求することにより、当該因果関係を示すストーリー文を生成する。
このようなことから、本実施の形態は、新たに検知した検知イベントの発生状況データに関する時系列変化の特徴と、過去の同一時間窓において時系列で順次検知した過去イベントに関する発生状況データに関する時系列変化の特徴との一致性に基づいて、当該検知イベントが過去イベントから乖離した非日常イベントであるか否かを判定し、判定した非日常イベントと相関のある過去イベントを選択し、これら過去イベントのイベント情報に基づいて、これら過去イベントを回答候補とした、当該非日常イベントの発生原因を問い合わせるための質問データを生成し、質問データに基づくユーザへの問い合わせに対するユーザからの回答に基づいて、当該非日常イベントの発生原因となる原因イベントを特定し、当該原因イベントのイベント情報から環境変化の原因を示す説明文を生成するとともに、当該非日常イベントのイベント情報から環境変化の結果を示す説明文を生成し、これら説明文を組み合わせることにより、環境変化の因果関係を示すストーリー文を生成している。
[本実施の形態の構成]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかるストーリー生成システムの構成について説明する。
ストーリー生成システム10は、全体としてサーバ装置やワークスーションなどの情報処理装置からなり、センサネットワーク30からイベントを検知し、当該イベントに関する発生状況データを含むイベント情報を順次蓄積するイベント処理部10Aと、このイベント処理部10Aに蓄積されている各種イベントのイベント情報に基づいて、新たに検知された検知イベントに対応する環境変化の因果関係を示すストーリー文を生成するストーリー生成処理部10Bとから構成されている。
イベント処理部10Aには、主な機能部として、イベント検知部11、イベントデータベース(以下、イベントDBという)12、非日常イベント判定部13、非日常イベントデータベース(以下、非日常イベントDBという)14が設けられている。
また、ストーリー生成処理部10Bには、主な機能部として、質問生成部21、質問キュー22、質問処理部23、ユーザインターフェース部(以下、ユーザI/F部という)部24、説明文データベース(以下、説明文DBという)25、およびストーリー生成部26が設けられている。
イベント検知部11は、センサネットワーク30のセンサにより任意の時間窓において時系列で順次検知した検知イベントに関する発生状況データをセンサネットワーク30から取得する機能と、取得した発生状況データを、当該検知イベントの内容を示すテキスト情報や発生状況データの検知時刻を示す時間情報とともに、イベントDB12へイベント情報として蓄積する機能とを有している。
時間窓は、所定の時間長を有する時間区間であり、日、週、月などを周期として同一時間位置に連続して配置されている。このため、過去に検知されたイベントがイベント情報として時間窓に対応付けて蓄積される。また、時間窓として1種類の時間長を持つ時間窓だけではなく、異なる時間長を持つ時間窓を複数重複して設定してもよい。また、検知対象となるイベントやセンサによって、異なる時間長の時間窓を用いてもよい。
時間窓には、センサの検知タイミングが等間隔で複数設定されており、検知タイミングごとに時系列で発生状況データが順次検知される。このため、1つの時間窓で得られた各発生状況データは、当該センサで検知したイベントの発生状況に関する時系列変化を示していることになる。
発生状況データは、実環境に存在するモノに取り付けられた加速度センサや磁気方位センサなどの動きセンサで検知されるモノの動作や移動に関するイベントの発生有無やその発生回数を示すデータのほか、イベントを示す温度・湿度・明るさ・音・消費電力などの物理量を示すデータを用いてもよい。発生状況データの値としては、検知タイミングにおける瞬時値でもよく、直前検知タイミングとの間の検知期間に複数検知したデータに関する平均値、代表値、あるいは累積値などの統計値でもよい。
したがって、検知されるイベントは、「お茶を淹れる」、「掃除をする」などといった高度なイベントから、「コップが動く」などといった低レベルなイベントまでを含む。高度なイベントについては、教師あり学習を用いた手法(例えば、非特許文献6など参照)により検知できる。また、モノの動きなどの低レベルなイベントは、加速度センサの加速度データが大きく変化した時区間を検知する手法(例えば、非特許文献7など参照)により検知できる。
イベント情報に含まれる説明情報は、当該イベントの名称や内容を説明するテキスト情報である。発生状況データを検知したセンサを示すセンサ識別情報が発生状況データとともに通知されるため、当該センサ識別情報と当該発生状況データに対応するイベントの説明情報を対応付けて、イベントDB12や記憶部(図示せず)に保存しておけば、検知イベントに対応する説明情報を容易に取得できる。
イベントDB12は、ハードディスクなどの記憶装置からなり、イベント検知部11で取得した検知イベントに関するイベント情報を蓄積する機能を有している。イベント情報としては、当該時間窓内の各検知タイミングに検知された発生状況データ、これら発生状況データの検知時刻を示す時間情報、イベントの名称や内容を説明する説明情報などの組からなる。
非日常イベント判定部13は、イベント検知部11で新たに検知した検知イベントの発生状況データに関する時系列変化の特徴と、イベントDB12から取得した過去の同一時間窓において検知した過去イベントの発生状況データに関する時系列変化の特徴との一致性を示す指標を算出する機能と、この指標としきい値との比較結果に応じて、当該検知イベントが過去イベントから乖離した非日常イベントであるか否かを判定する機能とを有している。
過去イベントから非日常イベントを判定する手法としては、2つのデータの一致性を判定する公知の手法を用いてもよい。本実施の形態では、イベントDB12に格納されている過去イベントのイベント情報と新たに検知された検知イベントのイベント情報について、次元圧縮による情報損失率と、主成分ごとの混合正規分布に基づく外れ値検知を行うための確率密度とを、非日常イベントの判定のための指標として算出している。
情報損失率に基づき非日常イベントを判定する機能として、非日常イベント判定部13は、任意の時間窓において時系列で順次検知した検知イベントに関する発生状況を要素とする検知ベクトルと、同一時間窓において過去に得られた過去イベントに関する複数の過去ベクトルとについて、主成分分析処理を行う機能と、得られた主要主成分に基づき検知ベクトルの次元圧縮処理を行う機能と、当該検知ベクトルに関する情報損出率を算出する機能と、この情報損失率と損失率しきい値とを比較することにより、当該検知ベクトルが非日常イベントか否かを判定する機能とを有している。
また、確率密度に基づき非日常イベントを判定する機能として、非日常イベント判定部13は、前述した主要主成分軸に対して検知ベクトルおよび過去ベクトルを射影して、これら主要主成分軸ごとに当該射影値に関する混合正規分布を生成する機能と、これら主要主成分軸ごとに当該混合正規分布における当該検知ベクトルの射影値に関する確率密度と確率密度しきい値とを比較することにより、当該検知ベクトルが非日常イベントか否かを判定する機能とを有している。
これら情報損失率や確率密度に関する具体的な算出手法や、これら指標を用いた判定順序については、後で詳細に説明する。
非日常イベントDB14は、ハードディスクなどの記憶装置からなり、非日常イベント判定部13で判定された非日常イベントに関するイベント情報を蓄積する機能を有している。非日常イベントDB14で蓄積するイベント情報は、イベントDB12で蓄積するイベント情報と同様の構成をなしている。
質問生成部21は、非日常イベント判定部13により非日常イベントとして判定された検知イベントと相関のある過去イベントをイベントDB12および非日常イベントDB14から選択する機能と、選択したこれら過去イベントのイベント情報に基づいて、これら過去イベントを回答候補とした、当該非日常イベントの発生原因を問い合わせるための質問データを生成する機能と、これら質問データを質問キュー22へ順次保存する機能とを有している。
検知イベントと相関のある過去イベントを選択する手法については、アプリオリ・アルゴリズムなど、公知の手法を用いればよい。アプリオリ・アルゴリズムを用いた過去イベント選択手法については、後で詳細に説明する。
質問キュー22は、半導体メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、質問生成部21で生成された質問データを順次記憶し、質問処理部23からの読み出しに応じて、質問データを記憶した順で出力する機能を有している。
質問処理部23は、ユーザI/F部24からのユーザ検出通知に応じて、質問キュー22から質問データを読み出して、ユーザI/F部24を介して質問データの内容をユーザへ提示する機能と、ユーザI/F部24を介して受け取った、この提示に対するユーザからの回答に基づいて、非日常イベントとして判定された検知イベントの発生原因となる原因イベントを特定する機能と、特定した原因イベントのイベント情報から環境変化の原因を示す説明文を生成するとともに、当該検知イベントのイベント情報から環境変化の結果を示す説明文を生成する機能と、生成したこれら説明文を組として説明文DB25へ保存する機能とを有している。
説明文DB25は、半導体メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、質問処理部23で生成された原因イベントに関する説明文と結果イベントに関する説明文との組を記憶する機能を有している。
ストーリー生成部26は、説明文DB25から質問処理部23で生成された説明文の組を読み出して、これら説明文を組み合わせることにより、環境変化の因果関係を示すストーリー文を生成する機能と、生成したストーリー文を含む投稿指示を、通信ネットワーク40を介してWeblogシステム41へ送信する機能とを有している。
[本実施の形態の動作]
次に、図3を参照して、本実施の形態にかかるストーリー生成システムの動作について説明する。図3は、本実施の形態にかかるストーリー生成システムのストーリー生成動作を示すフローチャートである。
まず、イベント検知部11は、センサネットワーク30のセンサにより任意の時間窓において時系列で順次検知した検知イベントに関する発生状況データをセンサネットワーク30から取得し(ステップ100)、取得した発生状況データを、当該検知イベントの内容を示すテキスト情報や発生状況データの検知時刻を示す時間情報とともに、イベントDB12へイベント情報として蓄積する(ステップ101)。
非日常イベント判定部13は、イベント検知部11が新たな検知イベントを取得してイベントDB12へ蓄積した場合、当該検知イベントを読み出し、当該検知イベントの発生状況データに関する時系列変化の特徴と、イベントDB12から取得した過去の同一時間窓において検知した過去イベントの発生状況データに関する時系列変化の特徴との一致性を示す指標を算出するため、情報損失率算出処理(ステップ102)、および確率密度算出処理(ステップ103)とを実行する。
この後、非日常イベント判定部13は、これら指標としきい値との比較結果に応じて、当該検知イベントが過去イベントから乖離した非日常イベントであるか否かを判定する非日常イベント判定処理を実行する(ステップ104)
これにより、当該検知イベントが非日常イベントであると判定された場合、非日常イベント判定部13は、当該検知イベントのイベント情報をイベントDB12から非日常イベントDB14へコピーする。
質問生成部21は、非日常イベント判定部13が新たな検知イベントを非日常イベントとして非日常イベントDB14へ蓄積した場合、当該検知イベントと相関のある過去イベントを回答候補とした、当該非日常イベントの発生原因を問い合わせるための質問データを生成する質問生成処理を実行し(ステップ105)、生成した質問データを質問キュー22へ保存する。
質問処理部23は、床圧センサや操作ボタンなどの検出部によるユーザI/F部24でのユーザ検出に応じて、質問キュー22から質問データを読み出して、画面表示や音声メッセージによりユーザへ提示し、この提示に対するユーザからの回答に基づいて、非日常イベントとして判定された検知イベントの発生原因となる原因イベントを特定し、これら原因イベントと検知イベントの説明文をそれぞれ生成する質問処理を実行し(ステップ106)、生成した説明文の組を説明文DB25へ保存する。
この後、ストーリー生成部26は、説明文DB25から質問処理部23で生成された説明文の組を読み出して、これら説明文を組み合わせることにより、環境変化の因果関係を示すストーリー文を生成し(ステップ107)、生成したストーリー文を含む投稿指示を、通信ネットワーク40を介してWeblogシステム41へ送信し、一連のストーリー生成動作を終了する。
これにより、Weblogシステム41では、ストーリー生成システム10からの投稿指示に応じて、当該投稿指示に含まれているストーリー文がブログへ投稿され、通信ネットワーク40上で公開される。
[情報損失率算出処理]
次に、図4および図5を参照して、非日常イベント判定部13で実行される情報損失率算出処理について説明する。図4は、情報損失率算出処理を示すフローチャートである。図5は、情報損失率算出処理の一部を示す説明図である。
非日常イベント判定部13は、図3のステップ102において、図4の情報損失率算出処理を実行する。
まず、非日常イベント判定部13は、新たに検知した、時間窓Wの検知イベントに関するイベント情報を、イベントDB12から取得し、そのイベント情報に含まれる発生状況データから検知ベクトルVを生成する(ステップ110)。
図5に示すように、時間窓Wには、時間幅cを持つN個(Nは2以上の整数)の検知期間が設けられており、この例では、これら検知期間ごとにイベントの発生状況を示す発生状況データd1,d2,…,dNが検知されて、イベント情報として蓄積されている。
非日常イベント判定部13は、これらN個の発生状況データd1,d2,…,dNを要素とするN次元の検知ベクトルVを生成する。
また、非日常イベント判定部13は、同一時間窓Wに検知された過去イベントのイベント情報を、イベントDB12からそれぞれ取得し、上記と同様にして、これら過去イベントに対応する過去ベクトルを生成する(ステップ111)。図5の例では、N次元の過去ベクトルq1,q2,…,qLがL個(Lは1以上の整数)生成されている。
この後、非日常イベント判定部13は、これら検知ベクトルVと過去ベクトルq1,q2,…,qLとを組み合わせ、ベクトルx1,x2,…,xMからなるM×N次元(M=L+1)の分析対象行列Xを生成する(ステップ112)。
続いて、非日常イベント判定部13は、分析対象行列Xに対して特異値分解処理(SVD:Singular Value Decomposition)を実行し、分析対象行列Xに関する主成分行列Tを算出する(ステップ113)。これにより、図5に示すように、主成分ベクトルz1,z2,…,zH,…,zKからなるK×M次元(Kは2以上の整数)の主成分行列Zが得られる。なお、特異値分解処理については、いくつかのアルゴリズムが提案されており、これら公知のアルゴリズムを用いればよい。
次に、非日常イベント判定部13は、特異値分解処理で得られる寄与率や因子負荷量に基づき、主成分行列Zに含まれる主成分ベクトルz1,z2,…,zH,…,zKのうちから、上位の主成分ベクトルz1,z2,…,zHを、主要主成分行列Uとして抽出する(ステップ114)。この際、抽出する主成分ベクトルの個数(Hは2≦H<Kの整数)であればよいが、経験的にはH=K/2程度に設定することにより、非日常イベントを良好に判定できた。
この後、非日常イベント判定部13は、得られた主要主成分行列Uからなる主要主成分軸に対して、検知ベクトルVを射影して射影ベクトルV’を生成し(ステップ115)、これら検知ベクトルVと射影ベクトルV’とから、次の式(1)を用いて、情報損失率Rを算出する(ステップ116)。式(1)において、||V||は、ベクトルVのノルムを示し、<V,V’>はベクトルVとベクトルV’との内積を示す。
この情報損失率Rは、検知ベクトルVと過去ベクトルq1,q2,…,qLを含む分析行列Xの主成分の次元を、元のK次元からH次元に次元圧縮した際に、検知ベクトルVから損失する情報量の率を示している。
したがって、情報損失量が大きい場合は、H次元の主要主成分、すなわち過去ベクトルには含まれない主成分が検知ベクトルVに多く含まれていたことになる。このため、検知ベクトルに対応するイベントは、過去ベクトルに対応する日常イベントとは異なる主成分を含む非日常イベントである推定できる。
[確率密度算出処理]
次に、図6を参照して、非日常イベント判定部13で実行される確率密度算出処理について説明する。図6は、確率密度算出処理を示すフローチャートである。
前述した次元圧縮で得られる情報損失率は、検知ベクトルと過去ベクトルに関する時間軸での特徴を示す指標であることから、同じ主成分軸上に検知ベクトルと過去ベクトルが分布していても、検知ベクトルのノルムと過去ベクトルのノルムが大きく異なる場合がある。
本実施の形態では、過去ベクトルとはノルムが異なる検知ベクトルを、非日常イベントとして判別するため、主成分ごとに検知ベクトルに関する確率密度を算出して、混合正規分布による外れ値検知を行う。
非日常イベント判定部13は、図3のステップ103において、図6の確率密度算出処理を実行する。
まず、非日常イベント判定部13は、図4の情報損失率算出処理で求めた主要主成分行列Uの主要主成分軸上に過去ベクトルq1,q2,…,qLを射影して、射影ベクトルp1,p2,…,pLを生成し(ステップ120)、主要主成分で形成される空間を二分木の要領で分割して、図4の情報損失率算出処理で求めた検知ベクトルVの射影ベクトルV’を含む領域Aを選択する(ステップ121)。
次に、非日常イベント判定部13は、主要主成分軸ごとに領域Aにおける、射影ベクトルp1,p2,…,pLの当該主要主成分軸成分に関する混合正規分布を生成し(ステップ122)、主要主成分軸ごとに、混合正規分布における射影ベクトルV’の当該主要主成分軸成分に関する確率密度を算出する(ステップ123)。
この確率密度rは、射影ベクトルV’の主要主成分軸成分が、混合正規分布の中央付近に位置すれば最大値をとり、混合正規分布の裾野側へ移動するにつれて値が低減する。
したがって、いずれかの主要主成分軸における射影ベクトルV’の確率密度rが小さい値を示した場合、射影ベクトルV’は、混合正規分布を構成する大多数の過去ベクトルとは、主要主成分について異なるノルムを持つことになる。このため、射影ベクトルV’に対応する検知イベントは、過去ベクトルに対応する日常イベントとは異なる非日常イベントであると推定できる。
[非日常イベント判定処理]
次に、図7を参照して、非日常イベント判定部13で実行される非日常イベント判定処理について説明する。図7は、非日常イベント判定処理を示すフローチャートである。
非日常イベント判定部13は、図3のステップ104において、図7の非日常イベント判定処理を実行する。
まず、非日常イベント判定部13は、図4の情報損失率算出処理で算出した、検知イベントに関する情報損失率Rを、予め設定しておいた損失率しきい値とを比較する(ステップ130)。
ここで、情報損失率Rが損失率しきい値より大きい場合(ステップ130:YES)、非日常イベント判定部13は、当該検知イベントを非日常イベントとして判定し(ステップ133)、当該検知イベントのイベント情報をイベントDB12から非日常イベントDB14へコピーし(ステップ134)、一連の非日常イベント判定処理を終了する。
一方、情報損失率Rが損失率しきい値以下の場合(ステップ130:NO)、非日常イベント判定部13は、図6の確率密度算出処理で算出した、当該検知イベントに関する各主要主成分軸ごとの確率密度を、予め設定しておいた確率密度しきい値とを比較する(ステップ131)。
ここで、いずれかの主要主成分軸に関する確率密度が確率密度しきい値より小さい場合(ステップ131:YES)、非日常イベント判定部13は、当該検知イベントを当該検知イベントを非日常イベントとして判定し(ステップ133)、当該検知イベントのイベント情報をイベントDB12から非日常イベントDB14へコピーし(ステップ134)、一連の非日常イベント判定処理を終了する。
また、すべての主要主成分軸に関する確率密度が確率密度しきい値より大きい場合(ステップ131:NO)、非日常イベント判定部13は、当該検知イベントを日常イベントとして判定し(ステップ132)、一連の非日常イベント判定処理を終了する。
[質問生成処理]
次に、図8を参照して、質問生成部21における質問生成処理について説明する。図8は、質問生成処理を示すフローチャートである。
質問生成部21は、図3のステップ105において、図8の質問生成処理を実行する。
まず、質問生成部21は、イベントDB12および非日常イベントDB14を検索して、非日常イベントDB14から取得した非日常イベントと相関のある過去イベントを、非日常イベントからなる結果イベントに対する原因イベントとして選択する(ステップ140)。
イベント間の相関を算出する手法については、アプリオリアルゴリズム(Apriori Algoritm)などの公知の手法を用いればよい。
図9は、アプリオリアルゴリズムで用いる確信度の算出方法を示す説明図である。ここでは、2つのイベントA,Bを入力X,Yとし、「モノ」、「行為」、および「所有者」の3つの要素が両イベントで一致していることが、この確信度の算出方法を適用する条件Zとして設定されている。
例えば、イベントAが「AさんのスリッパがMOVE」という内容であった場合、「モノ」が「スリッパ」を示し、「行為」が「MOVE」を示し、「所有者」が「Aさん」を示している。したがって、この確信度の算出方法が適用されるのは、イベントBも「AさんのスリッパがMOVE」である場合に限定されることになる。
また、図9には、アプリオリアルゴリズムで用いる確信度の算出方法が定義されている。ここでは、Xの開始時間からXの時間窓幅だけ遡った時点から、Xの終了時間までを時間区間Tとして定義している。そして「ZであるXを含むTのうち、ZであるYを含むTの割合」を確信度とすることが定義されている。これにより、時間区間Tにおいて、ZであるYが発生する頻度が、確信度として算出されている。また、XとYが等しい場合、確信度を「1」とすることが定義されている。
本実施の形態では、イベントとはモノとそのモノに対する行為の組み合わせであるため、相関の要素には、モノ同士の相関、行為同士の相関、モノの所有者同士の相関の3種類があると考えた。この際、モノには明確な所有者が存在しないものもあるため、所有者同士の相関を求める時に、一方でも所有者が存在しない場合は所有者同士の相関は0とした。結果イベントと原因イベントの相関は、これら3種類の相関から次の式(2)に基づき算出する。
このようにして、質問生成部21は、非日常イベントと相関のある過去イベントを、相関の強いものから順に所定数だけ、原因イベントの候補として選択した後、これら過去イベントと非日常イベントのイベント情報を含む質問データを生成し(ステップ141)、一連の質問生成処理を終了する。
[質問処理]
次に、図10を参照して、質問処理部23における質問処理について説明する。図10は、質問処理を示すフローチャートである。
質問処理部23は、図3のステップ106において、図10の質問処理を実行する。
まず、質問処理部23は、質問キュー22から質問データを取得し(ステップ150)、非日常イベントのイベント情報に含まれている、当該非日常イベントの発生状況データを、ユーザI/F部24からユーザに対して提示するとともに(ステップ151)、原因イベント候補のイベント情報に含まれている、当該原因イベント候補の発生状況データを、ユーザI/F部24からユーザに対して提示する(ステップ152)。
図11は、質問データの提示画面例である。ここでは、欄(a)に非日常イベントの原因を問合わせる旨の質問文が表示されている。また、欄(b)には、その非日常イベントの発生状況データがグラフで表示されており、欄(c)には、原因イベント候補の発生状況データが同じくグラフで表示されている。また、欄(d)には、質問に答えるユーザの名前を選択する選択メニューと回答操作ボタンが表示されており、欄(e)には、欄(c)で選択した原因イベント候補を、欄(b)の非日常イベントと入れ替え操作をするための操作ボタンが表示されている。
欄(d)の「OK」ボタンを押下すれば、欄(b)に表示されている原因イベント候補が、原因イベントとして特定した旨の回答が、質問処理部23へ通知される。
質問処理部23は、このようにして、ユーザI/F部24を介してユーザの回答を受け取り、その回答に基づいて非日常イベントに対する原因イベントを特定する(ステップ153)。
この後、質問処理部23は、特定した原因イベントと非日常イベントについて、予め設定されている説明文用のひな形に、それぞれのイベント情報に含まれているイベント名やイベント発生時刻をはめ込むことにより、それぞれのイベントの内容を説明する説明文を生成し(ステップ154)、一連の質問処理を終了する。
これにより、質問処理部23で生成されたこれら説明文の組は、説明文DB25を介してストーリー生成部26に読み出され、これら説明文が組み合わされて、環境変化の因果関係を示すストーリー文が生成される。
図12は、ストーリー文の生成例である。ここでは、結果イベントとして、イベント名が「ご飯を炊く」でイベント発生期間が「2009/03/06 11:00-12:00」の非日常イベントか記載されており、原因イベントとして、イベント名が「ひな祭りパーティー」でイベント発生期間が「2009/03/06 12:00-12:00」の非日常イベントか記載されている。
したがって、結果イベントの説明文として『「2009/03/06」の「11:00」から「12:00」まで「ご飯を炊く」』という説明文が生成され、原因イベントの説明文として『「2009/03/06」の「12:00」から「13:00」まで「ひな祭りパーティー」』という説明文が生成される。
そして、これら説明文が、予め設定されているストーリー文用のひな形にはめ込まれて、[『「2009/03/06」の「11:00」から「12:00」まで「ご飯を炊く」』というイベントがあったよ。その原因は、『「2009/03/06」の「12:00」から「13:00」まで「ひな祭りパーティー」』をするための準備をしていたからだよ。]というストーリー文が生成されている。
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、非日常イベント判定部13により、イベント検知部11で新たに検知した検知イベントの発生状況データに関する時系列変化の特徴と、イベントDB12から取得した過去の同一時間窓において検知した過去イベントの発生状況データに関する時系列変化の特徴との一致性に基づいて、当該検知イベントが過去イベントから乖離した非日常イベントであるか否かを判定し、非日常イベントと判定した検知イベントのイベント情報を非日常イベントDB14へ蓄積し、質問生成部21により、非日常イベント判定部13で判定された非日常イベントと相関のある過去イベントをイベントDB12および非日常イベントDB14から選択し、これら過去イベントのイベント情報に基づいて、これら過去イベントを回答候補とした、当該非日常イベントの発生原因を問い合わせるための質問データを生成し、質問処理部23により、質問生成部21で生成された質問データに基づくユーザへの問い合わせに対するユーザからの回答に基づいて、非日常イベントの発生原因となる原因イベントを特定し、当該原因イベントのイベント情報から環境変化の原因を示す説明文を生成するとともに、非日常イベントのイベント情報から環境変化の結果を示す説明文を生成し、ストーリー生成部26により、質問処理部23で生成された説明文を組み合わせることにより、環境変化の因果関係を示すストーリー文を生成している。
これにより、新たに検知された検知イベントからなる結果イベントに対する原因イベントを、質問データとして提示された回答候補のうちから選択する、という極めて簡単なユーザ作業だけで、環境変化の因果関係を示すストーリー文を生成することができる。また、日常生活で発生する膨大な数のイベントのうちから、ユーザが所望する、日常ではあまり発生しない非日常イベントを自動的に選択し、この非日常イベントを結果イベントとするストーリー文を自動的に生成することができる。
したがって、本実施の形態によれば、実際に発生した環境変化のうち、有用性のある環境変化に関する因果関係を示すストーリー文を、少ないユーザ負担で生成することが可能となる。
また、本実施の形態では、非日常イベント判定部13で、任意の時間窓において時系列で順次検知した検知イベントに関する発生状況を要素とする検知ベクトルと、同一時間窓において過去に得られた過去イベントに関する複数の過去ベクトルとについて、主成分分析処理を行い、得られた主要主成分に基づき検知ベクトルの次元圧縮処理を行うことにより、当該検知ベクトルに関する情報損出率を算出し、この情報損失率と損失率しきい値とを比較することにより、当該検知ベクトルが非日常イベントか否かを判定するようにしたので、発生状況データの値自体には現れていない、発生状況データに内在する特徴を示す主成分の違いを捉えることができ、より高い精度で非日常イベントを判定できる。
また、本実施の形態では、非日常イベント判定部13で、情報損失率が損失率しきい値以下であった場合、主要主成分軸に対して検知ベクトルおよび過去ベクトルを射影して、これら主要主成分軸ごとに当該射影値に関する混合正規分布を生成し、これら主要主成分軸ごとに当該混合正規分布における当該検知ベクトルの射影値に関する確率密度と確率密度しきい値とを比較することにより、当該検知ベクトルが非日常イベントか否かを判定するようにしたので、前述した情報損失率が小さい場合でも、主成分軸上での検知ベクトルと過去ベクトルとのノルムの違いを捉えることができ、より高い精度で非日常イベントを判定できる。
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
本実施の形態では、ストーリー生成システム10における各機能部を、相互に受け渡しする処理情報や処理の実行順序に応じて、イベント処理部10Aとストーリー生成処理部10Bに分割して設けた場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。これら機能部は、1つの装置に設けてもよく、3つ以上の装置に分割して設けてもよい。
10…ストーリー生成システム、10A…イベント処理部、10B…ストーリー処理部、11…イベント検知部、12…イベントDB、13…非日常イベント判定部、14…非日常イベントDB、21…質問生成部、22…質問キュー、23…質問処理部、24…ユーザI/F部、25…説明文DB、26…ストーリー生成部、30…センサネットワーク、31…通信回線、40…通信ネットワーク、41…Weblogシステム。

Claims (7)

  1. センサにより検知した検知イベントに基づき、実際に発生した環境変化の因果関係を示すストーリー文を生成するストーリー生成システムであって、
    前記センサにより時系列で順次検知した前記検知イベントに関する発生状況データを、当該検知イベントの内容を示す説明情報とともに、所定時間長の時間窓ごとにイベント情報としてイベントデータベースへ蓄積するイベント検知部と、
    前記イベント検知部で新たに検知した検知イベントの発生状況データに関する時系列変化の特徴と、前記イベントデータベースから取得した過去の同一時間窓において検知した過去イベントの発生状況データに関する時系列変化の特徴との一致性に基づいて、当該検知イベントが前記過去イベントから乖離した非日常イベントであるか否かを判定し、非日常イベントと判定した検知イベントのイベント情報を非日常イベントデータベースへ蓄積する非日常イベント判定部と、
    前記非日常イベント判定部で判定された前記非日常イベントと相関のある過去イベントを前記イベントデータベースおよび前記非日常イベントデータベースから選択し、これら過去イベントのイベント情報に基づいて、これら過去イベントを回答候補とした、当該非日常イベントの発生原因を問い合わせるための質問データを生成する質問生成部と、
    前記質問生成部で生成された質問データに基づくユーザへの問い合わせに対するユーザからの回答に基づいて、前記非日常イベントの発生原因となる原因イベントを特定し、当該原因イベントのイベント情報から前記環境変化の原因を示す説明文を生成するとともに、前記非日常イベントのイベント情報から前記環境変化の結果を示す説明文を生成する質問処理部と、
    前記質問処理部で生成された説明文を組み合わせることにより、前記環境変化の因果関係を示すストーリー文を生成するストーリー生成部と
    を備えることを特徴とするストーリー生成システム。
  2. 請求項1に記載のストーリー生成システムであって、
    前記非日常イベント判定部は、任意の時間窓において時系列で順次検知した前記検知イベントに関する発生状況を要素とする検知ベクトルと、同一時間窓において過去に得られた過去イベントに関する複数の過去ベクトルとについて、主成分分析処理を行い、得られた主要主成分に基づき前記検知ベクトルの次元圧縮処理を行うことにより、当該検知ベクトルに関する情報損出率を算出し、この情報損失率と損失率しきい値とを比較することにより、当該検知ベクトルが前記非日常イベントか否かを判定することを特徴とするストーリー生成システム。
  3. 請求項2に記載のストーリー生成システムであって、
    前記非日常イベント判定部は、前記情報損失率が前記損失率しきい値以下であった場合、前記主要主成分軸に対して前記検知ベクトルおよび過去ベクトルを射影して、これら主要主成分軸ごとに当該射影値に関する混合正規分布を生成し、これら主要主成分軸ごとに当該混合正規分布における当該検知ベクトルの射影値に関する確率密度と確率密度しきい値とを比較することにより、当該検知ベクトルが前記非日常イベントか否かを判定することを特徴とするストーリー生成システム。
  4. センサにより検知した検知イベントに基づき、実際に発生した環境変化の因果関係を示すストーリー文を生成するストーリー生成システムで用いられるストーリー生成方法であって、
    イベント検知部が、前記センサにより時系列で順次検知した前記検知イベントに関する発生状況データを、当該検知イベントの内容を示す説明情報とともに、所定時間長の時間窓ごとにイベント情報としてイベントデータベースへ蓄積するイベント検知ステップと、
    非日常イベント判定ステップが、前記イベント検知ステップで新たに検知した検知イベントの発生状況データに関する時系列変化の特徴と、前記イベントデータベースから取得した過去の同一時間窓において検知した過去イベントの発生状況データに関する時系列変化の特徴との一致性に基づいて、当該検知イベントが前記過去イベントから乖離した非日常イベントであるか否かを判定し、非日常イベントと判定した検知イベントのイベント情報を非日常イベントデータベースへ蓄積する非日常イベント判定ステップと、
    質問処理部が、前記非日常イベント判定ステップで判定された前記非日常イベントと相関のある過去イベントを前記イベントデータベースおよび前記非日常イベントデータベースから選択し、これら過去イベントのイベント情報に基づいて、これら過去イベントを回答候補とした、当該非日常イベントの発生原因を問い合わせるための質問データを生成する質問生成ステップと、
    質問処理部が、前記質問生成ステップで生成された質問データに基づくユーザへの問い合わせに対するユーザからの回答に基づいて、前記非日常イベントの発生原因となる原因イベントを特定し、当該原因イベントのイベント情報から前記環境変化の原因を示す説明文を生成するとともに、前記非日常イベントのイベント情報から前記環境変化の結果を示す説明文を生成する質問処理ステップと、
    ストーリー生成部が、前記質問処理ステップで生成された説明文を組み合わせることにより、前記環境変化の因果関係を示すストーリー文を生成するストーリー生成ステップと
    を備えることを特徴とするストーリー生成方法。
  5. 請求項4に記載のストーリー生成方法であって、
    前記非日常イベント判定ステップは、任意の時間窓において時系列で順次検知した前記検知イベントに関する発生状況を要素とする検知ベクトルと、同一時間窓において過去に得られた過去イベントに関する複数の過去ベクトルとについて、主成分分析処理を行い、得られた主要主成分に基づき前記検知ベクトルの次元圧縮処理を行うことにより、当該検知ベクトルに関する情報損出率を算出し、この情報損失率と損失率しきい値とを比較することにより、当該検知ベクトルが前記非日常イベントか否かを判定するステップを含むことを特徴とするストーリー生成方法。
  6. 請求項5に記載のストーリー生成方法であって、
    前記非日常イベント判定ステップは、前記情報損失率が前記損失率しきい値以下であった場合、前記主要主成分軸に対して前記検知ベクトルおよび過去ベクトルを射影して、これら主要主成分軸ごとに当該射影値に関する混合正規分布を生成し、これら主要主成分軸ごとに当該混合正規分布における当該検知ベクトルの射影値に関する確率密度と確率密度しきい値とを比較することにより、当該検知ベクトルが前記非日常イベントか否かを判定するステップを含むことを特徴とするストーリー生成方法。
  7. コンピュータを、請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のストーリー生成システムを構成する各部として機能させるためのプログラム。
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