3GPP(3rd Generation Partnership Project)仕様書は、移動局が異種RAT(Radio Access Technology)により提供される異種RAN(Radio Access Network)の間で再選択を行う際の位置登録処理を削減するための機能を規定している。この機能は、ISR(Idle mode Signalling Reduction)と呼ばれる。
RANは、複数のセル又はセクタに分割された地理的エリアをカバーする。各セル又はセクタは、基地局によって提供される。RANの具体例は、UTRAN(Universal Terrestrial Radio Access Network)、GERAN(GSM EDGE Radio Access Network)、及びE−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)を含む。基地局は、例えば、NodeB、BTS(Base Transceiver Station)、又はeNodeBと呼ばれる。また、移動局は、例えば、UE(User Equipment)、MS(Mobile Station)と呼ばれる。
RATの用語は、RANと同義で用いられる場合もあるが、一般的には、RANだけではなく、コアネットワークに配置された移動管理ノード又はエンティティをも含む概念である。RATの具体例は、UTRA(Universal Terrestrial Radio Access)、及びE−UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)を含む。E−UTRAは、LTE(Long Term Evolution)と呼ばれることもある。UTRAにおける移動管理ノード又はエンティティは、SGSN(Serving GPRS Support Node)である。また、E−UTRAにおける移動管理ノード又はエンティティは、MME(Mobility Management Entity)である。
ISRは、典型的には、アイドル状態の移動局が異種RAT間でのセル再選択を行う際に、位置登録処理のシグナリングを削減できる。アイドル状態(又はアイドルモード)は、一般的に以下の状態を意味する。つまり、アイドル状態では、移動局がコアネットワークにアタッチしており、移動局及び移動管理ノード(又はエンティティ)の双方がMMコンテキスト(又はMMパラメータ)を保持している。しかしながら、移動局と移動管理ノードの間でNAS(Non Access Stratum)メッセージの送受信は行われておらず、RAN内における移動局に対する個別の無線リソースも確保されていない。コアネットワークは、位置登録エリアの単位で移動局の位置を把握している。位置登録エリアは、UTRAではRA(Routing Area)と呼ばれ、E−UTRAではTA(Tracking Area)と呼ばれる。なお、E−UTRAでは移動局は複数のTAに帰属できる。この場合、移動管理ノード(つまりMME)は、TAリストの単位で移動局の位置を把握している。TAリストは、複数のTA(TAs)を含むことができる。アイドル状態の具体例は、E−UTRANのECM(EPS Connection Management)−IDLE状態、UTRANのPMM(Packet Mobility Management)−IDLE状態、及びGERANのGPRS−STANDBY状態を含む。また、アイドル状態の具体例は、E−UTRANにおけるRRC_IDLE状態、UTRANにおけるCELL_PCH状態及びURA_PCH状態、並びにGERANにおけるPacket Idle状態のうち少なくとも1つを含んでもよい。
移動局が、異種RAN間、例えばE−UTRANとGERAN/UTRANの間で頻繁に再選択を行うと、そのたびに位置登録処理を起動することになってしまう。位置登録処理は、位置更新処理と呼ばれる場合もある。E−UTRANの位置登録処理は、TAU(Tracking Area Update)である。GERAN/UTRANの位置登録処理は、RAU(Routing Area Update)である。位置登録処理は、移動局とコアネットワークに配置された移動管理ノードの間のシグナリング、及びコアネットワーク内のシグナリングを伴う。コアネットワーク内のシグナリングは、例えば、移動管理ノードと加入者サーバ(e.g. HSS(Home Subscriber Server)、HLR(Home Location Register))のシグナリングである。したがって、頻繁な位置登録処理は、ネットワークの負荷増大を招く。
ISRは、このような異種RAN(Radio Access Network)の間で再選択に起因する位置登録処理を削減することを目的としている。現在、3GPPは、E−UTRANとGERAN/UTRANの間での移動局による再選択に関してISRを規定している。ISRが活性化(activate)されているとき、移動局は、2つのRAN(又はRAT)に対応する2つの移動管理ノード(又はエンティティ)の両方に登録される。具体的には、移動局は、MME及びSGSNの両方に登録される。また、移動局は、SGSNから受信したMM(Mobility Management)コンテキストと、MMEから受信したMMコンテキストの両方を保持している。SGSNからのMMコンテキストは、例えば、P−TMSI(Packet-Temporary Mobile Subscriber Identity)及びRAI(Routing Area Identity)を含む。P−TMSIは、SGSNによって移動局に割り当てられる一時的な識別子である。MMEからのMMコンテキストは、例えば、GUTI(Globally Unique Temporary Identity)及びTAI(Tracking Area Identity)を含む。GUTIは、MMEによって移動局に割り当てられる一時的な識別子である。ISRが活性化されている場合、移動局は、ネットワークに登録されている2つの位置登録エリア(i.e. RAとTA(s))の外に出ない限り、位置登録処理(i.e. RAU、TAU)を行うことなく2つのRAN(i.e. GERAN/UTRAN、E−UTRAN)の間で再選択を行うことができる。
ISRは、例えば以下の手順で活性化される。始めに、移動局が2つのRANのいずれかを介して、ここではGERAN/UTRAN又はE−UTRANのいずれかを介して初期アタッチを行う。ここでは、E−UTRANを介して初期アタッチを行う場合を考える。初期アタッチにおいて移動局とMMEの間で位置登録処理が行われ、移動局はMMEに登録される。移動局は、ECM−IDLE状態になる。
次に、移動局が最初にGERAN/UTRANを再選択する場合、移動局は位置登録処理(つまりRAU)を開始する。つまり、移動局は、RAUリクエストをSGSNに送信する。このRAUリクエストは、GUTIがマップされたP−TMSIを含む。SGSNは、受信したGUTIから特定されるMMEに対してコンテキスト要求を送信する。これにより、SGSNは、自身が管理する移動局のMMコンテキスト(e.g. P−TMSI、RA)をMMEに送信し、MMEからMMコンテキスト(e.g. GUTI、TA(s))を受信する。そして、SGSNは、RAUアクセプトを送信する。このRAUアクセプトは、MMコンテキスト(e.g. P−TMSI、RA)を運ぶとともに、"ISR活性化"を示す。
ISR活性化"を示すRAUアクセプトを受信した移動局は、自身においてISRを活性化する。具体的には、移動局は、TIN(Temporary Identity used in Next update)を"RAT-related TMSI"にセットする。TINは、移動局が保持するMMコンテキストの1つである。TINは、移動局が次の位置登録処理、つまり、RAUリクエスト、TAUリクエスト、又はアタッチ・リクエスト、に提示するべき移動局の識別子を定義する。TINが"RAT-related TMSI"にセットされることによって、移動局のISR動作が開始される。
ISRの概要については、例えば、非特許文献1(3GPP TS 23.401)の§4.3.5.6 "Idle mode signalling reduction function", 及びAnnex J "High Level ISR description"を参照するとよい。また、ISRについては、非特許文献2(3GPP TS 24.301)及び非特許文献3(3GPP TS 24.008)にも記載されている。
また、3GPP仕様書は、E−UTRAの移動局に音声サービスを提供するために、CS Fallback、IMS Voice(Voice over IP)等の複数の手法を規定している。これに関連して、ネットワーク(e.g. MME)は、音声サービスをサポートする移動局がセルを選択する際に、どのRAN(又はRAT)を優先させるかを指定することができる。優先されるRAN(又はRAT)を決定するための指標として、例えば、移動局からネットワークに送られる"UE's usage setting"及び"Voice domain preference for E-UTRAN"を利用することができる。"UE's usage setting"及び"Voice domain preference for E-UTRAN"は、移動局に保持されており、TAUリクエスト、RAUリクエスト、及びアタッチ・リクエストによって移動管理ノード(i.e. MME、SGSN)に送られる。
"UE's usage setting"は、移動局が"音声重視(voice centric)"として振る舞うか、"データ重視(data centric)"として振る舞うかを示す。"Voice domain preference for E-UTRAN"は、移動局が、CS(Circuit Switched)音声とPS(Packet Switched)音声のどちらに対応しているか、及びどちらを優先しているかを示す。具体的には、"Voice domain preference for E-UTRAN"は、"CS Voice only"、"CS Voice preferred and IMS PS Voice as secondary"、"IMS PS Voice preferred and CS Voice as secondary"、又は"IMS PS Voice only"のいずれとして構成されているかを示す。
"UE's usage setting"及び"Voice domain preference for E-UTRAN"の概要については、例えば、非特許文献1(3GPP TS 23.401)の§4.3.5.9 "Voice domain preference and UE's usage setting"、及び§4.3.6 "Radio Resource Management functions" を参照するとよい。また、"UE's usage setting"及び"Voice domain preference for E-UTRAN"については、非特許文献2(3GPP TS 24.301)の§3.1 "Definitions"、 §4.3 "UE mode of operation"、 §5.5.3.2.2 "Normal and periodic tracking area updating procedure initiation"、 及び§5.5.3.3.2 "Combined tracking area updating procedure initiation"等にも記載されている。また、非特許文献3(3GPP TS 24.008)の§4.7.5.1 "Normal and periodic routing area updating procedure"、及び §4.7.5.2.1 "Combined routing area updating procedure initiation"等にも記載されている。
本明細書では、上述の"UE's usage setting"及び"Voice domain preference for E-UTRAN"のように、移動局に保持された音声サービスの優先度に関する情報であり、移動局からネットワークに送信され、音声サービス提供のためのRAN(又はRAT)選択の指標としてネットワークにおいて利用される情報を「音声サービス設定情報」と定義する。
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態に係る移動通信システムの構成例を示している。本実施の形態では、3GPPのUMTS及びEPS(Evolved Packet System)の統合システムに関して説明する。つまり、本実施の形態に係る移動通信システムは、複数の異種RAN(i.e.E−UTRAN21、及びGERAN/UTRAN22)を提供するとともに、上述したISR(Idle mode Signalling Reduction)をサポートする。
図1の例では、移動通信システムは、コアネットワーク3及び移動局1を含む。コアネットワーク3は、MME31及びSGSN32を含む。MME31は、E−UTRAN21に対応する移動管理ノード(又はエンティティ)である。SGSN32は、GERAN/UTRAN22に対応する移動管理ノード(又はエンティティ)である。なお、本実施の形態では、主にコントロールプレーンの機能、具体的には移動局1の移動管理及びISR、について説明する。したがって、図1のSGSN32は、コントロールプレーン機能のみを含んでもよい。MME31及びSGSN32は、共にISRをサポートしており、移動局1から受信した音声サービス設定情報を含む移動局1に関するコンテキストを互いに送受信することによって互いのコンテキストを同期させることができる。このコンテキストの送受信のためのシグナリングは、MME31及びSGSN32との間で利用可能なインタフェース(i.e. S3インタフェース)を用いて行えばよい。
音声サービス設定情報は、既に定義した通り、移動局1に保持された音声サービスの優先度に関する情報であり、移動局1からコアネットワーク3に送信され、音声サービス提供のためのRAN(又はRAT)選択の指標としてコアネットワーク3において利用される情報である。音声サービス設定情報は、例えば、上述した"UE's usage setting"及び"Voice domain preference for E-UTRAN"の少なくとも一方を含む。
なお、図1には記載していないが、コアネットワーク3は、当然に、ユーザープレーンの転送ノード(又はエンティティ)を含んでもよい。転送ノード(又はエンティティ)は、ユーザーデータの転送処理(e.g. ルーティング及びフォワーディング)を行う。コアネットワーク3は、複数の転送ノード(又はエンティティ)を含んでもよい。例えば、EPSの場合、転送ノード(又はエンティティ)は、S−GW(Serving Gateway)及びP−GW(Packet Data Network Gateway)を含む。また、UMTSの場合、転送ノード(又はエンティティ)は、SGSNのユーザープレーン機能、及びGGSN(Gateway GPRS Support Node)のユーザープレーン機能を含む。つまり、コアネットワーク3は、LTEに対応するEPC(Evolved Packet Core)及びUMTSのGPRS(General Packet Radio Service)パケットコアを含んでもよい。
移動局1は、複数のRAT、ここではE−UTRA及びUTRAをサポートするデュアルモード端末である。言い換えると、移動局1は、LTE無線アクセスによるE−UTRAN21への接続と、2G/3G無線アクセスによるGERAN/UTRAN22への接続の両方を行うことができる。アイドル状態(e.g. ECM−IDLE状態、PMM−IDLE状態、又はGPRS−STANDBY状態)の移動局1は、E−UTRAN21とGERAN/UTRAN22の間で再選択(セル再選択)を行うことができる。移動局1は、E−UTRAN21を選択したときに位置登録処理としてのTAUを実施する。また、移動局1は、GERAN/UTRAN22を選択したときに位置登録処理としてのRAUを実施する。TAUは、移動局1からMME31へのTAUリクエストの送信、及びMME31から移動局1へのTAUアクセプトの送信を含む。また、RAUは、移動局1からSGSN32へのRAUリクエストの送信、及びSGSN32から移動局1へのRAUアクセプトの送信を含む。
移動局1は、これらの位置登録処理に関するシグナリングを削減するためのISRをサポートする。つまり、移動局1は、MME31及びSGSN32の両方に登録された後にISRが活性化された場合、登録されている2つの位置登録エリア(i.e. RAとTA(s))の外に出ない限り、位置登録処理(i.e. RAU、TAU)を行うことなく2つのRAN(i.e. E−UTRAN21及びGERAN/UTRAN22)の間で再選択を行うことができる。
ただし、本実施の形態1に係る移動局1は、ISRが活性化されているときに移動局1が保持している音声サービス設定情報が更新された場合に、移動局1においてISRを非活性化できるよう構成されている。この移動局1におけるISR非活性化は、移動局1における局所的なISR非活性化であってもよい。つまり、移動局1は、ネットワーク(i.e. MME31及びSGSN32)からの指示に依存せずに、ネットワークからの指示がISR活性化であっても、自発的かつ局所的に移動局1のISRを非活性化してもよい。
移動局1における局所的なISR非活性化は、TIN(Temporary Identity used in Next update)を "RAT-related TMSI" からGUTI又はP−TMSIに変更することによって達成される。TINをGUTIとするかP−TMSIとするかは、移動局1が選択しているRANに応じて決定される。具体的には、移動局1がE−UTAN21を選択しているときは、ISR非活性化のためにTINをGUTIにする。また、移動局1がGERAN/UTRAN22を選択しているときは、ISR非活性化のためにTINをP−TMSIにする。
また、移動局1による自発的かつ局所的なISR非活性化ではなく、音声サービス設定情報の更新時の移動局1におけるISRの非活性化は、MME31又はSGSN32からの非活性化の指示に応じて行われてもよい。この例については、以下の実施の形態2において詳細に説明する。
移動局1による自発的かつ局所的なISR非活性化によれば、ネットワーク側の移動管理ノード(又はエンティティ)、つまりMME31及びSGSN32、に新たな機能を追加することなく、音声サービス設定情報の不一致問題を解消できる利点がある。MME31及びSGSN32は、現在の3GPP仕様書に規定されている通常のISR動作を行えばよいためである。これとは反対に、MME31又はSGSN32からの非活性化の指示に応じて移動局1におけるISR非活性化を行う場合は、移動局1に新たな機能を追加することなく、音声サービス設定情報の不一致問題を解消できる利点がある。移動局1は、現在の3GPP仕様書に規定されている通常のISR動作に従って自身のISR状態を非活性化すればよいためである。
移動局1におけるISR非活性化は、音声サービス設定情報の更新後に行われるRANの再選択の際に、MME31及びSGSN32のうち移動先のRANに対応する一方との間での位置登録処理(i.e. TAU又はRAU)をもたらす。ISRが非活性化されることで、移動局1は、位置登録処理の省略ができなくなり、再選択した移動先のRANに対応するMME31又はSGSN32との間で位置登録処理(i.e. TAU又はRAU)を行わなければならないためである。
次に、移動局1におけるISR非活性化によって、移動局1における音声サービス設定情報の更新内容がMME31及びSGSN32の間で同期される仕組みについて説明する。この同期は、以下の2つの例のいずれかによって達成することができる。
(例1)MME31及びSGSN32の間でコンテキストを交換すること、又は
(例2)移動局1からMME31及びSGSN32の両方に音声サービス設定情報の更新を通知すること。
これら2つの例について順に説明する。
(例1)
例1は、移動局1がISRを実際に明示的に非活性化し、MME31又はSGSN32に対してISR非活性化を通知する場合に対応する。具体的に述べると、移動局1は、TINを実際に"RAT-related TMSI"からGUTI又はP−TMSIに変更することによってISRを局所的に非活性化する。これにより、移動局1は、移動局1におけるISR非活性化後に行われるRAN再選択において、再選択先(移動先)のRANに対応する移動管理ノード(e.g. MME31)との間で位置登録処理を行う。この位置登録処理において、移動局1は、ISR非活性化を示す位置登録リクエスト(e.g. TAUリクエスト)を送信する。ISR非活性化は、例えば、TAUリクエスト及びRAUリクエストに含まれている移動局1の一時識別子(TMSI)が、 "RAT-related TMSI" ではなくGUTI又はP−TMSIであることによって示される。移動局1においてISRが非活性化されていることを示す位置登録リクエストを受信した移動管理ノード(e.g. MME31)は、ISR非活性化時の通常の手順に従って、他方の移動管理ノード(e.g. SGSN32)に移動局1に関するコンテキストを要求しこれを受信する。つまり、MME31及びSGSN32の間で、音声サービス設定情報を含む移動局1に関するコンテキストが再同期される。
なお、既に述べた通り、上述のRAN再選択後の位置登録処理およびコンテキストの再同期に先立って、移動局1は、再選択前(移動元)のRANに対応する移動管理ノード(e.g. SGSN32)との間で位置登録処理を行なっている。つまり、ISRが活性化されているときに音声サービス設定情報が移動局1において更新されると、移動局1は、現在選択しているRANに対応する移動管理ノード(e.g.SGSN32)との間で位置登録処理を行う。これにより、音声サービス設定情報の更新が、当該移動管理ノード(e.g.SGSN32)に通知される。
したがって、例1では、ISR非活性化後の位置登録リクエストを契機として、予め一方の移動管理ノード(e.g.SGSN32)に通知された更新後の音声サービス設定情報を含むコンテキストが、他方の移動管理ノード(e.g. MME31)との間で再同期される。これにより、移動局1における音声サービス設定情報の更新内容がMME31及びSGSN32の間で同期される。
(例2)
例2は、移動局1が、MME3及びSGSN32に対してISR非活性化の通知を行わない場合に対応する。言い換えると、移動局1は、ISRを暗示的に非活性化する。この場合、移動局1は、ISRの局所的な非活性化を明示的に行わなくてもよい。つまり、移動局1は、TINの変更を行わなくてもよい。例2では、移動局1は、MME31及びSGSN32の両方に音声サービス設定情報の更新を通知する。より具体的に述べると、移動局1は、音声サービス設定情報の更新を示す位置登録リクエストをMME31及びSGSN32の両方に送信すればよい。
既に述べた通り、ISRが活性化されているときに音声サービス設定情報が移動局1において更新されると、移動局1は、現在選択しているRANに対応する移動管理ノード(e.g.SGSN32)との間で位置登録処理を行う。これにより、音声サービス設定情報の更新が、当該移動管理ノード(e.g.SGSN32)に通知される。具体的に述べると、移動局1は、音声サービス設定情報の更新を示す位置登録リクエスト(e.g. RAUリクエスト)を送信する。これにより、現在選択しているRANに対応する移動管理ノード(e.g.SGSN32)は、音声サービス設定情報の更新を認識することができる。
さらに、例2では、移動局1は、再選択先(移動先)のRANに対応する移動管理ノード(e.g. MME31)に対しても、音声サービス設定情報の更新を示す位置登録リクエストを送信する。これにより、再選択先(移動先)のRANに対応する移動管理ノード(e.g. MME31)も、音声サービス設定情報の更新を認識することができる。よって、移動局1における音声サービス設定情報の更新内容がMME31及びSGSN32の間で同期される。
例2で特筆すべきは、移動局1がISRの非活性化をネットワーク(MME31及びSGSN32)に通知する必要が無い点である。さらに、MME31及びSGSN32は、コンテキスト再同期のためのシグナリングを発生させることなく、移動局1における音声サービス設定情報の更新内容を互いに同期することができる。ただし、例1は、例2に比べて移動局1に対する仕様変更のインパクトが小さい利点がある。例2は、現在の3GPP仕様書で規定されている移動局における局所的なISRの活性化/非活性化とは異なる動作を移動局1に要求するためである。
上述したように本実施の形態の移動局1は、ISRが活性化されているときに移動局1が保持している音声サービス設定情報が更新された場合、移動局1においてISRを非活性化するようした。このISR非活性化によって、音声サービス設定情報の更新後に行われるRANの再選択の際に、移動局1と移動先のRANに対応する移動管理ノード(i.e. MME31又はSGSN32)との間で位置登録処理が実施される。そして、この位置登録処理に基づいて、移動局1における音声サービス設定情報の更新内容がMME31及びSGSN32の間で同期される。上述の通り、更新された音声サービス設定情報のMME31及びSGSN32の間の同期は、移動局1と移動先の移動管理ノードとの間の位置登録処理を契機とするMME31及びSGSN32の間でのコンテキスト同期によって達成されてもよい。また、更新された音声サービス設定情報のMME31及びSGSN32の間の同期は、移動局1と移動先の移動管理ノードとの間の位置登録処理において、移動局1が音声サービス設定情報の更新を通知することによって達成されてもよい。
続いて以下では、本実施の形態に係る移動局1の構成例について説明する。また、以下では、移動局1にて更新された音声サービス設定情報がMME31及びSGSN32の間で同期されるまでの手順の一例について説明する。図2は、移動局1の構成例を示すブロック図である。なお、図2は、本実施の形態に係る位置登録処理、ISR、及び音声サービス設定情報の更新に関係する主要な構成要素についてのみ示している。
図2の構成例は、無線通信部10及び通信制御部11を含む。無線通信部10は、複数のRAN、ここではE−UTRAN21及びGERAN/UTRAN22に接続することができる。無線通信部10は、複数の物理ダウンリンクチャネルを含むダウンリンク信号をE−UTRAN21及びGERAN/UTRAN22に含まれる基地局から受信する。また、無線通信部10は、複数の物理アップリンクチャネルを含むアップリンク信号を基地局に送信する。
通信制御部11は、無線通信部10を介して、E−UTRAN21、GERAN/UTRAN22、及びコアネットワーク3との間でシグナリングを行い、制御データ及びユーザーデータの送受信のために無線通信部10を制御する。また、通信制御部11は、制御データ及びユーザーデータに関するデジタルベースバンド信号処理を担当する。デジタルベースバンド信号処理は、レイヤ2信号処理とレイヤ1(物理レイヤ)信号処理を含む。レイヤ2信号処理は、例えば、データ圧縮/復元、データのセグメンテーション/コンカテネーションを含む。物理レイヤ信号処理は、例えば、伝送路符号化/復号化(Channel Coding/Decoding)、変調/復調(Modulation/Demodulation)を含む。
図2の例では、通信制御部11は、LTE制御部111及び2G/3G制御部112を含む。LTE制御部111は、LTE、言い換えるとE−UTAN21及びEPC(e.g. MME31)に接続するための通信制御を行う。一方、2G/3G制御部112は、UMTS、言い換えるとGERAN/UTRAN22及びGPRSパケットコア(e.g. SGSN32)に接続するための通信制御を行う。
通信制御部11による通信制御は、これまでに述べた位置登録処理、ISRに関する処理、及び音声サービス設定情報の更新を含む。つまり、通信制御部11は、ISRが活性化されているときに移動局1が保持している音声サービス設定情報VSCが更新された場合、移動局1においてISRを非活性化する。
通信制御部11の機能は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)などを含む半導体処理装置を用いて実現されてもよい。また、通信制御部11の機能は、マイクロプロセッサ等のコンピュータにプログラムを実行させることによって実現されてもよい。また、通信制御部11の機能は、ASIC、DSP、及びマイクロプロセッサのうち任意の組み合わせにより実現されてもよい。例えば、デジタルベースバンド信号処理の少なくとも一部をDSPで行い、その他の処理(e.g. 位置登録処理、ISRに関する処理、及び音声サービス設定情報の更新)をマイクロプロセッサで行ってもよい。
上述の通り、通信制御部11の機能の少なくとも一部は、マイクロプロセッサ等のコンピュータにプログラムを実行させることによって実現されてもよい。このプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
図3は、移動局1にて更新された音声サービス設定情報VSCがMME31及びSGSN32の間で同期されるまでの手順の一例を示すシーケンス図である。図3の例は、移動局1が既にMME31及びSGSN32の両方に登録されており、ISRが活性化されている場合から開始される(ステップS101)。また、移動局1、MME31、及びSGSN32は、移動管理に関するコンテキストの一部として同一内容の音声サービス設定情報VSCを保持している(ステップS102〜S105)。音声サービス設定情報VSCの値は"A"とする。そして、アイドル状態の移動局1は、GERAN/UTRAN22を選択している(ステップS105)。
ステップS106では、例えばユーザの指示によって、移動局1が保持している音声サービス設定情報VSCが値"A"から値"B"に更新される。ステップS107では、移動局1の通信制御部11(i.e. 2G/3G制御部112)は、現在選択しているGERAN/UTRAN22に対応するSGSN32に対して、RAU リクエストを送信する。このRAU リクエストは、音声サービス設定情報VSCの更新通知を含む。RAUリクエストを受信したSGSN32は、移動局1に関して保持している音声サービス設定情報VSCを通知された値"B"により更新する(ステップS108)。ステップS109では、SGSN32は、RAUアクセプトを移動局1に送信する。
ステップS109で送信されるRAUアクセプトは、ISR活性化か否かを示す。図3の例では、ステップS109におけるRAUアクセプトはISR活性化を示す。しかしながら、移動局1(i.e. 通信制御部11)は、RAUアクセプトの指示に関わらず、RAUアクセプトがISR活性化を示す場合であっても、移動局1において自発的にISRを非活性化する(ステップS110)。既に述べた通り、移動局1における自発的かつ局所的なISRの非活性化は、例えば、RAUアクセプトの指示に関わらずTINの値を"RAT-related TMSI"からGUTIに変更することで達成される。
なお、移動局1におけるISR非活性化は、遅くとも音声サービス設定情報VSCの更新後に行われるRAN再選択のときまでに行われていればよい。例えば、通信制御部11は、ステップS109におけるRAUアクセプトの受信に応じて、RAUアクセプトの指示に関わらず移動局1においてISRを非活性化し、非活性化状態を次のRAN選択まで継続してもよい。また、通信制御部11は、ステップS109におけるRAUアクセプトの受信時にはRAUアクセプトの指示に応じてISR活性化状態を継続してもよい。この場合、通信制御部11は、音声サービス情報の更新の発生を記憶しておき、将来のRAN再選択の際に移動局1におけるISRを非活性化してもよい。
ステップS111では、アイドル状態の移動局1(i.e. 通信制御部11)は、GERAN/UTRAN22からE−UTRAN21への移動(i.e. セル再選択)を決定する。このセル再選択は、RAT間(Inter−RAT)セル再選択である。このとき、移動局1においてISRが非活性化されている。したがって、ステップS112において、移動局1の通信制御部11(i.e. LTE制御部111)は、移動先のE−TRAN21に対応するMME31に対して、TAU リクエストを送信する。このTAUリクエストは、移動局1においてISRが非活性化されていることを示す。具体的には、TAUリクエストに含まれる移動局1の一時識別子が、"GUTI mapped from P-TMSI" にセットされている。
TAUリクエストが移動局1におけるISR非活性化を示すため、MME31は、ISRを再び開始するための手順をSGSN32との間で実施する(ステップS113、S114)。つまり、MME31は、SGSN32に対して移動局1に関するコンテキスト・リクエストを送信し、SGSN32からコンテキスト・レスポンスを受信する。コンテキスト・レスポンスによって送信される移動局1に関するコンテキストは、更新された音声サービス設定情報VSC(値 "B")を含む。したがって、MME31は、移動局1に関して保持している音声サービス設定情報VSCを通知された値"B"により更新する(ステップS115)。これにより、移動局1において更新された音声サービス設定情報VSCがMME31及びSGSN32の間で同期される。
図3は、GERAN/UTRAN22の選択中に移動局1において音声サービス設定情報VSCが更新され、その後に移動局1がE−UTRAN21を再選択する例を示した。これとは反対に、E−UTRAN21の選択中に移動局1において音声サービス設定情報VSCが更新され、その後に移動局1がGERAN/UTRAN22を再選択する場合も、音声サービス設定情報VSCの同期は、図3と同様の手順で行うことができる。
(比較例)
ここで、図4を参照して比較例について説明する。図4は、ISR活性化時の音声サービス設定情報の更新を契機として移動局1におけるISRを非活性化する動作が行われない場合について示している。図4では、本実施の形態との違いを明確にするため、移動局及びコアネットワークに関する符号を変更している。図4のステップS101〜S109における移動局91(LTE制御部9111および2G/3G制御部9112を含む)、及びコアネットワーク93(MME931およびSGSN932を含む)の動作は、図3に示したステップS101〜S109と同様である。
しかしながら、ステップS910では、移動局91は、ステップS109のRAUアクセプトの指示に従ってISR活性化を維持する。つまり、TINの値は、ISR活性化に対応する "RAT-related TMSI" のまま維持される。したがって、ステップS111のRAT間セル再選択によってE−UTRAN21が選択されても、移動局91においてISRが活性化されているためにTAUリクエストの送信動作は開始されない(ステップS912)。これにより、MME31及びSGSN32の間で音声サービス設定情報VSCの不一致が発生する。
MME31及びSGSN32の間で音声サービス設定情報VSCの不一致が発生すると、例えば以下のような不具合が予想される。例えば、更新前の音声サービス設定情報VSCを持つ移動管理ノード(e.g. MME931)又はその指示を受ける基地局が、更新前の音声サービス設定情報VSCに基づいて、移動局91に対してRAN(又はRAT)の優先度を指定する不具合が想定される。そうすると、移動局91は、更新後の音声サービス設定情報VSCに適していないRAN(又はRAT)を要求される可能性がある。一例として、移動局91がIMS Voice(Voice over IP)をサポートしているにも関わらず、E−UTRAN21ではなくGERAN/UTRAN22を優先選択するよう指定されることが考えられる。この場合、移動局91は、LTE(E−UTRAN21及びEPC)による高速パケットサービスを利用できる機会が減少してしまう。
また、例えば、不一致が生じているMME931及びSGSN932が、E−UTRAN21及びGERAN/UTRAN22に対して異なる優先度を指定する不具合が想定される。そうすると、移動局91は、E−UTRAN21とGERAN/UTRAN22の間で再選択を頻繁に繰り返す可能性がある。この場合、移動局91は、バッテリーの消耗を早めてしまう。
これに対して、図1〜3を用いて説明した本実施の形態は、移動局1、並びに異なるRATに対応する複数の移動管理ノード(e.g. MME31、SGSN32)の間で音声サービス設定情報の不一致が生じることを防止できる。したがって、図4の比較例で想定されるような不具合についても防止することができる。
<実施の形態2>
上述した実施の形態1では、移動局1における音声サービス設定情報の更新に伴って移動局1においてISRを非活性化する手順の例を幾つか示した。本実施の形態では、これらのうちの1つについて詳細に説明する。具体的には、本実施の形態では、MME31又はSGSN32からの非活性化の指示に応じて移動局1におけるISR非活性化を行う例について説明する。なお、本実施の形態に係る移動通信システムの構成は、図1に示した構成例と同様とすればよい。
図5は、移動局1にて更新された音声サービス設定情報VSCがMME31及びSGSN32の間で同期されるまでの手順の一例を示すシーケンス図である。図5と図3の相違点は、ステップS209及びS210である。
図5の例では、音声サービス設定情報VSCの更新通知を含むRAUリクエストを受信したSGSN32は、ISRを非活性化するべきであることを判定する。そして、ステップS209において、SGSN32は、ISR活性化の指示を含まない(言い換えるとISR非活性化を示す)RAUアクセプトを移動局1に送信する。ステップS210では、移動局1は、RAUアクセプトに示されたSGSN32の指示に従って、移動局1においてISRを非活性化する。
なお、E−UTRAN21の選択中に移動局1において音声サービス設定情報VSCが更新され、その後に移動局1がGERAN/UTRAN22を再選択する場合も、音声サービス設定情報VSCの同期は、図5と同様の手順で行うことができる。
図5に示した例によれば、移動局1に新たな機能を追加することなく、音声サービス設定情報の不一致問題を解消できる利点がある。移動局1は、現在の3GPP仕様書に規定されている通常のISR動作に従って自身のISR状態を非活性化すればよいためである。
図6は、本実施の形態におけるSGSN32の構成例を示すブロック図である。なお、図6は、本実施の形態に係る位置登録処理、ISR、及び音声サービス設定情報の更新に関係する主要な構成要素についてのみ示している。また、図示は省略するが、MME31も、図6のISR制御部321と同様のISR制御部を有していればよい。
ISR制御部321は、ISRの開始に必要なシグナリングを他のRATの移動管理ノード(e.g. MME31)との間で行う。また、ISR制御部321は、S−GW等の転送ノードとの間、及びHSS等の加入者情報サーバとの間でもISRの開始に必要なシグナリングを行う。
さらに、ISR制御部321は、ISRが活性化されているときに、移動局1に保持されている音声サービス設定情報の更新を示す位置登録リクエスト(i.e. RAUリクエスト)を移動局1から受信したことに応じて、ISRの非活性化を示す位置登録応答(i.e. RAUアクセプト)を移動局1に送信する。
図7は、ISR制御部321の動作の一例を示すフローチャートである。図7の手順は、ISRが活性化されているときに開始される(ステップS21)。ステップS22では、ISR制御部321は、RAUリクエストの受信の有無を判定する。RAUリクエストを受信した場合、ISR制御部321は、そのRAUリクエストが音声サービス設定情報(VSC)の更新を含むか否かを判定する(ステップS23)。
RAUリクエストが音声サービス設定情報(VSC)の更新を含まない場合、ISR制御部321は、ISRの活性化を継続し、ISR活性化を示すRAUアクセプトを要求元の移動局1に返信する(ステップS24及びS25)。RAUリクエストが音声サービス設定情報(VSC)の更新を含まない場合とは、例えば、受信したRAUリクエストが通常の周期的なRAUリクエストである場合である。
一方、RAUリクエストが音声サービス設定情報(VSC)の更新を含む場合、ISR制御部321は、ISRの非活性化を決定し、ISR活性化を示していないRAUアクセプトを要求元の移動局1に返信する(ステップS26及びS27)。
<実施の形態3>
実施の形態1では、移動局1における音声サービス設定情報の更新内容がMME31及びSGSN32の間で同期される仕組みについて、2つの例を詳細に説明した。このうちの例1については、実施の形態1の図3にシーケンスの具体例が示されている。本実施の形態では、このうちの例2に関するにシーケンスの具体例を説明する。なお、本実施の形態に係る移動通信システムの構成は、図1に示した構成例と同様とすればよい。
図8は、移動局1にて更新された音声サービス設定情報VSCがMME31及びSGSN32の間で同期されるまでの手順の一例を示すシーケンス図である。図8と図3の相違点は、ステップS310及びS312である。
図8の例は、移動局1が、MME31及びSGSN32に対してISR非活性化の通知を行わない場合に対応する。したがって、ステップS310では、移動局1は、ISRの局所的な非活性化を明示的に行わない。つまり、移動局1(i.e. 通信制御部11)は、TINの変更を行わずに、ISR活性化に対応した"RAT-related TMSI"のまま維持する。これは、後のステップS312において、ISR非活性化をMME31に通知しないようにするためである。
しかしながら、移動局1(i.e. 通信制御部11)は、過去に(ステップS106にて)音声サービス設定情報VSCが更新されているが、これをISRに関係する他のRAT(i.e. MME31)に対して未通知であることを記憶している。つまり、移動局1(i.e. 通信制御部11)は、ネットワーク(i.e. MME31及びSGSN32)への通知を伴う明示的なISR非活性化は行わないものの、ネットワーク(i.e. MME31及びSGSN32)への通知を伴わない暗示的なISR非活性化を行なっている。このため、通信制御部11(i.e. LTE制御部111)は、ステップ312において、移動先のE−TRAN21に対応するMME31に対して、TAU リクエストを送信する。このTAUリクエストは、ステップS107のRAUリクエストと同様に、音声サービス設定情報VSCの更新通知を含む。
図8に示した例は、移動局1がISRの非活性化をネットワーク(MME31及びSGSN32)に通知する必要が無い。さらに、図8の例では、MME31及びSGSN32は、コンテキスト再同期のためのシグナリングを発生させることなく、移動局1における音声サービス設定情報の更新内容を互いに同期することができる。
<その他の実施の形態>
実施の形態1〜3は、3GPPのUMTS及びEPS(Evolved Packet System)の統合システムに関して具体的に説明した。しかしながら、これらの実施の形態で説明した技術思想は、複数の異なるRAN/RATを収容し、異種RAN/RAT間での再選択を許容し、この再選択の際の位置登録に伴うシグナリングを抑制するISRと同様の仕組みを有する移動通信システムにおいて一般的に適用することができる。例えば、実施の形態1〜3は、3GPPのRATと非3GPPのRAT(例えばWiMAX、IEEE 802.16m)とを収容する移動通胃システムにも適用できる。
また、実施の形態1〜3は、適宜組み合わせることも可能である。さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。