JP5387109B2 - 高濃度voc汚染地盤の原位置浄化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高濃度のVOCで汚染された汚染地盤を原位置で浄化するための高濃度VOC汚染地盤の原位置浄化方法に関する。
揮発性有機化合物(volatile organic compounds;以下「VOC」という。)で汚染された汚染地盤(以下「VOC汚染地盤」という。)を浄化する技術として、従来、VOC汚染地盤中に生息するVOCの分解活性を有する嫌気性微生物(以下「VOC分解微生物」という。)を活性化させて、当該VOC汚染地盤を原位置で浄化する技術が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
この技術を用いると、VOC汚染地盤中に生息するVOC分解微生物が活性化されて、当該VOC汚染地盤中のVOCが分解されるため、VOC汚染地盤が原位置で浄化されることとなる。なお、VOCの代表例として、PCEと略称されるテトラクロロエチレン(Tetrachloroethylene;以下「PCE」と略称する。)、トリクロロエチレン(Trichloroethylene;以下「TCE」という。)、及び1,1-ジクロロエチレン(1,1-Dichloroethelne;以下「1,1-DCE」という。)若しくはcis-1,2-ジクロロエチレン(cis-1,2-Dichloroethelne;以下「cisDCE」という。)が知られており、PCEが分解されるとTCEが生じ、TCEが分解されるとDCEが生じる。そして、このDCEが分解されると、クロロエチレン (chloroethylene)が生じるとともに、クロロエチレンが分解されると、無害物質であるエチレン(ethylene)が生じる。
特開2006−116420号公報
しかしながら、VOCの濃度が100mg/lを超過する汚染地盤(以下「高濃度VOC汚染地盤」という。)にあっては、当該汚染地盤中に生息するVOC分解微生物によるVOCの分解活性が低下してしまうため、従来の技術では、このような高濃度VOC汚染地盤を原位置で浄化することが困難であった。
とりわけ、汚染地盤が粘性土からなり、当該粘性土がVOCの原液を含む非水溶性液体(いわゆるVOC原液)で汚染されている場合には、VOC分解微生物によるVOCの分解活性が著しく低下してしまうため、従来の技術では、このような高濃度VOC汚染地盤を原位置で浄化することは著しく困難であった。
本発明は、このような従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、VOCの濃度が100mg/lを超過する高濃度VOC汚染地盤を容易に浄化することが可能な高濃度VOC汚染地盤の原位置浄化方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、揮発性有機化合物質(VOC)の濃度が100mg/lを超過する汚染地盤を、その汚染地盤中に生息する前記VOCの分解活性を有する嫌気性微生物を活性化させて、原位置で浄化する高濃度VOC汚染地盤の原位置浄化方法であって、前記汚染地盤に鉄粉を供給し、その鉄粉の還元作用により前記VOCを還元分解させ、当該汚染地盤中の前記VOCの濃度が1mg/l以上100mg/l以下に低下したことを確認し、その後、前記VOCが前記濃度まで低下した汚染地盤に難水溶性栄養材を供給し、前記嫌気性微生物を活性化させることを特徴とする。この発明において、
前記難水溶性栄養材は、小麦フスマ及び末粉を含有することが好ましい。
また、本発明は、揮発性有機化合物質(VOC)の濃度が100mg/lを超過する汚染地盤を、その汚染地盤中に生息する前記VOCの分解活性を有する嫌気性微生物を活性化させて、原位置で浄化する高濃度VOC汚染地盤の原位置浄化方法であって、前記汚染地盤に前記VOCの吸着材を供給し、その吸着材に前記VOCを吸着させ、当該汚染地盤中の前記VOCの濃度が1mg/l以上100mg/l以下に低下したことを確認し、その後、前記VOCが前記濃度まで低下した汚染地盤に徐放性栄養材、又はグルコン酸若しくはグルコン酸誘導体を含有する水溶性栄養材を供給し、前記嫌気性微生物を活性化させることを特徴とする。この発明において、前記吸着材として、木炭又は活性炭を用いることが好ましい。また、前記汚染地盤に前記嫌気性微生物の培養液を供給することが好ましい。
本発明によれば、VOCの濃度が100mg/lを超過する高濃度VOC汚染地盤を容易に浄化することが可能となる。
確認試験(1)の結果を示すグラフである。 確認試験(3)の結果を示すグラフである。 確認試験(4)の結果を示すグラフである。 確認試験(5)の結果を示すグラフである。 確認試験(6)の結果を示すグラフである。
=本発明の経緯=
本発明者らは、VOCの濃度が100mg/lを超過する高濃度VOC汚染地盤では、VOC分解微生物によるVOCの分解活性が低下してしまい(確認試験(1)参照)、またこれとは逆にVOCの濃度が1mg/l未満の低濃度VOC汚染地盤でも、VOC分解微生物によるVOCの分解活性が低下してしまう(確認試験(2)参照)ことに着目し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明者らは、高濃度VOC汚染地盤に鉄粉又はVOCの吸着材を供給して、VOCの濃度を1mg/l以上100mg/l以下に低下させてから(すなわち、低下したことを確認してから)、当該汚染地盤にVOC分解微生物を活性化させるための栄養材、具体的には、鉄粉を用いた場合(確認試験(3)参照)には、難水溶性栄養材(例えば、小麦フスマ及び末粉を含有する栄養材)を供給し、他方、VOCの吸着材を用いた場合(確認試験(4)〜(6)参照)には、徐放性栄養材(例えば、乳化植物油(コーヒーミルクなど)やCMC(carboxymethylcellulose))、又はグルコン酸若しくはグルコン酸誘導体を含有する水溶性栄養材を供給して、VOC分解微生物を活性化させることにより、高濃度VOC汚染地盤を容易に浄化することが可能であると考え、本発明を完成するに至ったのである。なお、難水溶性栄養材とは、水に溶けにくい栄養材を意味する。また、徐放性栄養材とは、水溶液中において栄養成分が徐々に放出される栄養材を意味する。
=確認試験(1):高濃度VOC汚染地盤ではVOCの分解活性が低下することの確認=
まず、本発明者らは、高濃度VOC汚染地盤(すなわちVOCの濃度が100mg/lを超過する汚染地盤)では、VOC分解微生物によるVOCの分解活性が低下してしまうことを確認するために、原位置の高濃度VOC汚染地盤とほぼ同じ状態にある高濃度VOC汚染地下水を作製し、この高濃度VOC汚染地下水を用いて、次の確認試験(1)を実施した。
すなわち、確認試験(1)では、5つのメジューム瓶(100ml)を用意し、各メジューム瓶内に、それぞれ、地下水(90ml)及び各濃度のTCE溶液(TEC濃度;10mg/l、50mg/l、100mg/l、250mg/l、500mg/lのいずれか)並びにVOC分解微生物の培養液である10%の種菌液(10ml)を添加して、高濃度VOC汚染地下水を作製した。続いて、25℃の温度で各メジューム瓶を保存して、各メジューム瓶内の高濃度VOC汚染地下水を培養しつつ、それぞれの高濃度VOC汚染地下水中のVOC濃度(具体的には、TCE及びcisDCEの各濃度)の経時的変化を調べた。その結果を図1に示す。なお、図1の(a)〜(e)は、それぞれ、TCEの濃度が10mg/l、50mg/l、100mg/l、250mg/l、500mg/lのTCE溶液を添加した各ケースの結果を示す。なお、TCE、cisDCEの環境基準値は、それぞれ、0.03mg/l、0.04mg/lである。
図1に示すように、TCEの濃度が10mg/l、及び50mg/lのケースでは、いずれも、TCEの濃度が減少して環境基準値(0.03mg/l)以下になる一方でcisDCEの濃度が増加し、その後、cisDCEの濃度も減少して最終的には環境基準値(0.04mg/l)以下になった(図1(a)及び図1(b)参照)。また、TCEの濃度が100mg/lのケース(図1(c)参照)では、TCEの濃度が減少して環境基準値以下になる一方でcisDCEの濃度が増加したものの、その後、cisDCEの濃度も環境基準値以下になった。
ところが、TCEの濃度が250mg/lのケース(図1(d)参照)では、TCEの濃度が減少して環境基準値以下になるまで、試験開始日から20日以上もの長時間を要した。しかも、TCEの濃度の減少に伴い、cisDCEの濃度は増加し、試験開始日から30日経過しても環境基準値以下にならなかった。さらに、TCEの濃度が500mg/lのケース(図1(e)参照)では、TCEの濃度は、試験開始日から約30日が経過した時点でも、いまだ環境基準値以下にならず、cisDCEは一度も増加することがなかった。
このことは、TCEの濃度が10mg/l、50mg/l及び100mg/lのときには、VOC分解微生物によるVOCの分解活性が失われておらず、TCEが分解されてcisDCEが生じ、最終的には、このcisDCEも分解されることを示唆する。一方、TCEの濃度が100mg/lを超過して、TCEの濃度が250mg/lのときには、VOC分解微生物によるVOCの分解活性がよりいっそう低下し、さらに、TCEの濃度が500mg/lのときには、VOC分解微生物によるVOCの分解活性が失われたことを示唆する。これらの結果から、VOCの濃度が100mg/lを超過する汚染地盤(すなわち高濃度VOC汚染地盤)では、VOC分解微生物によるVOCの分解活性が低下してしまう傾向にあることがわかる。
=確認試験(2):低濃度VOC汚染地盤でもVOCの分解活性が低下することの確認=
また、本発明者らは、高濃度VOC汚染地盤中だけでなく、VOCの濃度が1mg/l未満の低濃度VOC汚染地盤中でも、VOC分解微生物によるVOCの分解活性が低下してしまうことを確認するために、次の確認試験(2)を実施した。
すなわち、確認試験(2)では、VOC(具体的にはTCE)の濃度が5.6mg/l、0.55mg/l、0.06mg/lの培地(90ml)をそれぞれ用意し、各培地に、VOC分解微生物(具体的には、デハロコッコイデス属菌;9.9×10個/10ml)を含む培養液(10ml)に添加して、各培地内のVOCを分解させた。そして、各培地につき、VOCが分解した後のVOC分解微生物の菌数を測定し、VOC分解微生物の増加率を調べた。その結果を表1に示す。
表1に示すように、VOC(具体的にはTCE)の濃度が5.6mg/l、0.55mg/l、0.06mg/lの順に、VOC分解微生物の増加率が、それぞれ、約18倍、約2.4倍、約1.2倍となった。このことから、VOCの濃度が低くなるほど、VOC分解微生物の増加率が小さくなることがわかる。この結果から、本発明者は、汚染地盤中のVOCの濃度が1mg/l未満の状態では、VOC分解微生物によるVOCの分解活性が低下して、VOCの分解には適していない状態にあると考えた。さらに、本発明者は、表1の結果と、図1(a)〜(c)の結果とをあわせて参酌することにより、VOCの濃度が1mg/l以上100mg/l以下の範囲内において、VOC分解微生物が活性化された状態となり、VOCの分解に最適な状態になるものと考えた。
=VOCの濃度を最適化するための材料の選別、及び当該材料と併用する栄養材の選別=
次に、本発明者らは、高濃度VOC汚染地盤中のVOCの濃度を最適化(VOC濃度が1mg/l以上100mg/l以下の範囲内)するために適した材料を検討したところ、鉄粉又はVOCの吸着材(具体的には、木炭、活性炭)が好適であると考えた。
また、本発明者らは、VOCの濃度を最適化した後に、VOC分解微生物を活性化させる際の使用に適した栄養材を検討したところ、難水溶性栄養材(例えば、小麦フスマ及び末粉を含有する栄養材)、或いは、徐放性栄養材(乳化植物油(例えばコーヒーミルク)、CMC(carboxymethylcellulose))、又は、グルコン酸若しくはグルコン酸誘導体を含有する水溶性栄養材が好適であると考えた。そこで、本発明者らは、これらの考えを確認するために、次の確認試験(3)及び(4)を実施した。
<確認試験(3):鉄粉と栄養材とを併用するケース>
確認試験(3)では、鉄粉と、小麦フスマ及び末粉を含む栄養材(商品名「ヒートコンポ」)との併用によって、VOCの濃度を環境基準値以下にすることが可能であることを確認するために、TCE溶液(TCEの濃度;1000mg/l)及びVOC分解微生物の培養液並びに粘性土(湿土)を用いて、表2に示す4つのサンプルを作製し、各サンプルについて、VOC濃度(具体的には、TCE、cisDCE、1,1-DCE、及びクロロエチレンの各濃度)の経時的変化を調べた。その結果を図2に示す。なお、TCE、及びcisDCEの環境基準値は、前述した通り、それぞれ、0.03mg/l、0.04mg/lであり、1,1-DCE、及びクロロエチレンの環境基準値は、それぞれ、0.02mg/l、0.01mg/lである。また、ヒートコンポは、小麦フスマ及び末粉を含有する栄養材であり、いわゆる難水溶性栄養材として分類されるものである。一方、表2中の「クロロクリン」は、グルコン酸若しくはグルコン酸誘導体を含有する栄養材であり、いわゆる水溶性栄養材として分類されるものであり、具体的には、グルコン酸ソーダ93重量%、尿素6重量%、リン酸2水素カリウム1重量%からなる水溶性栄養材である。
図2に示すように、鉄粉とヒートコンポとを併用した場合(図2(a)参照)には、TCE、cisDCE、1,1-DCE、及びクロロエチレンの濃度は、いずれも試験開始日から約90日経過後には、0.01mg/l未満の値を示して、すべて環境基準値以下となり、良好な結果が得られた。
一方、鉄粉とクロロクリンとを併用した場合(図2(b)参照)、鉄粉を単独で用いた場合(図2(c)参照)、及び対照区の場合(図2(d)参照)には、いずれの場合にも、TCE、cisDCE、1,1-DCE、及びクロロエチレンの濃度をすべて環境基準値以下にすることはできず、良好な結果が得られなかった。
このような結果が得られたのは、小麦フスマ及び末粉は難水溶性栄養材であるため、鉄粉と栄養材とを併用しても、小麦フスマ及び末粉が鉄粉による還元作用を阻害しないのに対し、他方、クロロクリンは水溶性栄養材あるため、鉄粉とクロロクリンとを併用した場合には、水溶性栄養材あるクロロクリンが鉄粉による還元作用を阻害してしまうからであると考えられる。
以上の結果から、VOCの濃度を最適化するための材料として、鉄粉を用いる場合には、VOCを活性化させるための栄養材として、難水溶性栄養材、具体的には、小麦フスマ及び末粉を含む栄養材(商品名「ヒートコンポ」)を併用することが好ましいといえる。
<確認試験(4):VOCの吸着材と栄養材とを併用するケース>
確認試験(4)では、地下水に少量のVOC(具体的にはTCE:TCEの濃度0.09mg/l)を添加して得られた水溶液、及び同地下水に大量のVOC(具体的にはTCE:TCEの濃度90mg/l)を添加して得られた水溶液を用意し、各水溶液に、VOCの吸着材(具体的には木炭)、前述した徐放性栄養材に属する乳化植物油38%溶液、VOC分解微生物の培養液、及び粘性土などを添加して、表3に示す試験対象区の水溶液を作製した。作製した試験対象区は2種類あり、具体的には、地下水に少量のTCEを添加した試験対照区(以下「TCE少量添加区」という。TCE濃度の初期値0.09mg/l)、及び地下水に大量のTCEを添加した試験対照区(以下「TCE大量添加区」という。TCE濃度の初期値90mg/l)であり、いずれの試験対象区にも、重曹5%溶液が4.8ml添加されている。
次に、表3に示す各試験対象区(すなわちTCE少量添加区及びTCE大量添加区)について、その水溶液中のVOC(具体的にはTCE、cisDCE、及び1,1-DCE)の濃度変化を経時的に分析するとともに、吸着材に吸着されたVOCの含有量を分析した。これらの分析結果を表4及び図3に示す。
表4は、試験開始日及び試験開始日から約7.5ヶ月経過後(約250日後)における、各水溶液中のVOC(TCE及びcisDCE)の濃度変化を分析した結果、及びVOC(TCE及びcisDCE)の含有量を分析した結果を示す。なお、表3中の「全VOCmol濃度比」は、試験開始日から約7.5ヶ月経過後のVOC(TCE及びcisDCE)の濃度値/VOC(TCE)の初期値により算出された値である。
また、図3は、各水溶液中のVOC(TCE、cisDCE、及び1,1-DCE)の濃度変化を経時的に測定した結果を示すグラフであり、(a)は、TCE少量添加区における測定結果を示し、(b)は、TCE大量添加区における測定結果を示す。
表4及び図3に示すように、水溶液中のVOCの濃度を分析した結果、VOCの吸着材である木炭と、栄養材である乳化植物油とを併用した場合には、TCE少量添加区(図3(a)参照)では、TCE大量添加区(図3(b)参照)よりも、早期の段階で、水溶液中のVOCの濃度が0.01mg/l未満の値を示して環境基準値以下となった。但し、VOCの含有量を分析した結果、TCE少量添加区では、吸着材に吸着されたVOCが十分に分解されず、27%も残留していたのに対し、TCE大量添加区では、吸着材に吸着されたVOCが十分に分解されており、わずか6.7%しか残留していなかった。
<確認試験(5):VOCの吸着材の選別>
確認試験(5)では、本発明に適したVOCの吸着材を選別するために、吸着材の候補として、木炭(具体的にはIOTカーボン)及び活性炭(白鷲VOC−W35;日本エンバイロケミカルズ社製)を試験対象とし、それぞれの吸着材について、栄養材(具体的にはグルコン酸)が共存する状態下でのVOCの吸着量を調べた。その結果を図4に示す。
図4は、各吸着材の等温吸着線を示すグラフであり、(a)は、吸着材として木炭を用いたときのグラフ、(b)は、吸着材として活性炭を用いたときのグラフを示す。
図4に示すように、VOCが大量に存在する状態(具体的には、トリクロロエチレン(TCE)の平衡濃度が100mg/l以上の状態)では、吸着材として、木炭及び活性炭を用いた場合には、いずれの場合にも、VOCの吸着量が高い値を示したものの、吸着材として、木炭を用いたときよりも活性炭を用いたときの方が、より多くのVOCを吸着する傾向が見られた。一方、VOCの濃度が低下した状態(特にTCEの濃度が1mg/l以上100mg/l以下の状態、とりわけTCEの濃度が1mg/l以上10mg/l以下の状態)では、吸着材として、木炭を用いたときには、活性炭を用いたときよりも、等温吸着線にばらつきが見られ、VOCの吸着について低い選択性を示した。
これらの結果から、本発明のVOCの吸着材には、木炭のみならず、活性炭も適しているといえる。但し、両吸着材のうち、VOCの吸着についてより低い選択性を示した木炭の方が、活性炭よりも好適であるといえる。なぜなら、VOCの吸着について低い選択性を示す吸着材ほど、高濃度VOC汚染地盤中のVOCの濃度を1mg/l以上100mg/l以下に低下させた際に、より早くVOCが吸着材から脱着されるため、VOCの浄化期間を短縮することができるからである。
<確認試験(6):原液添加区に木炭と栄養材とを併用した場合のVOCの分解試験>
確認試験(6)では、吸着材として好適な木炭と、栄養材(具体的には、徐放性栄養材に属するコーヒーミルク若しくはCMC、又は、水溶性栄養材に属するクロロクリン)とを併用した場合には、高濃度VOC汚染地盤中のVOC濃度が著しく高く、VOCの原液の濃度に近い状態であっても、高濃度VOC汚染地盤を浄化することが可能であることを確認するために、VOCの分解試験を実施した。このVOCの分解試験では、地下水にVOCの原液を添加して得られる水溶液(以下「原液添加区」という。)を浄化対象とした。その結果を図5に示す。
図5は、原液添加区に木炭と栄養材とを併用した場合のVOCの分解試験の結果を示すグラフであり、(a)は木炭とコーヒーミルクとを併用したケース、(b)は木炭とクロロクリンとを併用したケース、(c)は木炭とクロロクリン及びCMCとを併用したケース、(d)は木炭を単独で使用したケース(栄養材を併用していないケース)、(e)は対照区(木炭も栄養材も使用していないケース)での試験結果を示すグラフである。
図5に示すように、原液添加区に木炭とコーヒーミルクとを併用したケース(図5(a)参照)では、TCEの濃度が減少する一方で、cisDCEの濃度が増加し、これに遅れて1,1-DCEの濃度も増加した。その後、cisDCE及び1,1-DCEの濃度は、いずれも10mg/l以上の高い値を維持し、環境基準値以下にはならなかったものの、TCEの濃度は、0.01mg/l以下の値を示して環境基準値以下となった。
また、原液添加区に木炭とクロロクリンとを併用したケース(図5(b)参照)では、TCEの濃度が減少する一方で、cisDCEの濃度が増加するとともに、1,1-DCEの濃度も増加してから減少し、クロロエチレンが生じた。その後、cisDCEの濃度は、10mg/l以上の高い値を維持し、環境基準値以下にはならなかったものの、TCE、1,1-DCE及びクロロエチレンの濃度は、いずれも0.01mg/l以下の値を示して環境基準値以下となった。
さらに、原液添加区に木炭とクロロクリン及びCMCとを併用したケース(図5(c)参照)では、TCEの濃度が徐々に減少する一方で、cisDCEの濃度が増加し、暫くしてからクロロエチレンが生じた。cisDCEの濃度は、10mg/l以上の高い値を維持し、環境基準値以下にはならなかったものの、TCE、1,1-DCE、及びクロロエチレンの濃度は、いずれも0.01mg/l以下の値を示して環境基準値以下となった。
これに対し、原液添加区に木炭を単独で使用したケース(図5(d)参照)では、TCEの濃度が徐々に減少するものの、1mg/l以上の値を維持し、環境基準値以下とならなかった。一方、1,1-DCE、及びクロロエチレンの濃度は、増加しなかった。また、対照区(図5(e)参照)では、TCEの濃度は減少することなく、1000mg/l以上の高い値を維持し、環境基準値以下とならなかった。一方、1,1-DCE、及びクロロエチレンの濃度は、増加しなかった。
このような結果から、高濃度VOC汚染地盤中のVOC濃度が、著しく高く、VOCの原液の濃度に近い状態であっても、吸着材として好適な木炭と栄養材とを併用することにより、少なくともTCEを分解させて、環境基準値以下にすることが可能であり、高濃度VOC汚染地盤を容易に浄化することができる。
===その他の実施形態===
以上の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨、目的を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。例えば、以上の説明では、原位置の汚染地盤に対して、外部からVOC分解微生物を添加することなく、当該汚染地盤に生息するVOC分解微生物を活性化させているが、本発明は、このような方法に限定されるものではなく、汚染地盤中のVOC濃度の高低や、VOC分解微生物の量の大小などに応じて、適宜、原位置の汚染地盤に対して、外部からVOC分解微生物の培養液を添加することとしてもよい。これにより、原位置のVOC高濃度汚染地盤の性質に応じて、当該汚染地盤を容易に浄化することが可能となる。

Claims (6)

  1. 揮発性有機化合物質(VOC)の濃度が100mg/lを超過する汚染地盤を、その汚染地盤中に生息する前記VOCの分解活性を有する嫌気性微生物を活性化させて、原位置で浄化する高濃度VOC汚染地盤の原位置浄化方法であって、
    前記汚染地盤に鉄粉を供給し、その鉄粉の還元作用により前記VOCを還元分解させ、
    当該汚染地盤中の前記VOCの濃度が1mg/l以上100mg/l以下に低下したことを確認し、
    その後、前記VOCが前記濃度まで低下した汚染地盤に難水溶性栄養材を供給し、前記嫌気性微生物を活性化させることを特徴とする高濃度VOC汚染地盤の原位置浄化方法。
  2. 請求項1において、
    前記難水溶性栄養材が、小麦フスマ及び末粉を含有することを特徴とする高濃度VOC汚染地盤の原位置浄化方法。
  3. 揮発性有機化合物質(VOC)の濃度が100mg/lを超過する汚染地盤を、その汚染地盤中に生息する前記VOCの分解活性を有する嫌気性微生物を活性化させて、原位置で浄化する高濃度VOC汚染地盤の原位置浄化方法であって、
    前記汚染地盤に前記VOCの吸着材を供給し、その吸着材に前記VOCを吸着させ、
    当該汚染地盤中の前記VOCの濃度が1mg/l以上100mg/l以下に低下したことを確認し、
    その後、前記VOCが前記濃度まで低下した汚染地盤に徐放性栄養材、又はグルコン酸若しくはグルコン酸誘導体を含有する水溶性栄養材を供給し、前記嫌気性微生物を活性化させることを特徴とする高濃度VOC汚染地盤の原位置浄化方法。
  4. 請求項3において、
    前記徐放性栄養材が、乳化植物油又はCMC(carboxymethylcellulose)であることを特徴とする高濃度VOC汚染地盤の原位置浄化方法。
  5. 請求項3又は4において、
    前記吸着材として、木炭又は活性炭を用いることを特徴とする高濃度VOC汚染地盤の原位置浄化方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において、
    前記汚染地盤に前記嫌気性微生物の培養液を供給することを特徴とする高濃度VOC汚染地盤の原位置浄化方法。
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