JP5378825B2 - Gpr119アゴニスト - Google Patents

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本発明は、GPR119アゴニスト、並びにこれを含む医薬及び食品に関する。
GPR119(Gタンパク質共役型受容体119)は、近年見つかった新たな核内受容体である。GPR119アゴニストは、cAMP産生を促進し、インスリン分泌を促進することが知られている。GPR119アゴニストとしては、[6−(4−ベンゼンスルホニル−ピペリジン−1−イル)−5−ニトロ−ピリミジン−4−イル]−(4−メタンスルホニル−フェニル)−アミン(特許文献1)、6'−[4−(2−メトキシカルボニル−アセチル)−フェノキシ]−3'−ニトロ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2']ビピリジニル−4−カルボン酸エチルエステル(特許文献2)、3−[6−(4−メタンスルホニル−フェニルアミノ)−5−ニトロ−ピリミジン−4−イルオキシメチル]−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(特許文献3)、4−[1−(4−メタンスルホニル−フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(特許文献4)などの置換へテロアリール誘導体が知られている(特許文献5)。
なお、GPR119アゴニストが関与しないインスリン分泌促進のメカニズムとしては、GLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)などのインクレチンを分解するDPP−IV(ジペプチジルペプチターゼ−IV)の阻害が知られている(特許文献6)。しかしながら、DPP−IVの阻害は、過度に血糖値を低下させることがあり、低血糖を引き起こすこともある。
特表2006−516572号公報 特表2006−518763号公報 特表2007−528856号公報 特表2007−531698号公報 特開2008−195733号公報 特表2008−540651号公報
本発明は、新規なGPR119アゴニストを提供することを課題とする。また、本発明は、新規なGPR119アゴニストを、医薬、食品の成分として使用し、高血糖の治療・予防のための医薬、高血糖の改善・予防のための食品を提供することを課題とする。
本発明者らは、ペニシリウム エスピー(Penicillium sp.)に分類される特定の株の培養物から得られた抽出物が、GPR119アゴニストとして作用することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)ペニシリウム エスピー(Penicillium sp.) NBRC 105016株の培養物又は該培養物の抽出物を含む、GPR119アゴニスト。
(2)前記抽出物は、有機溶媒抽出物である、(1)に記載のGPR119アゴニスト。(3)前記有機溶媒は、メタノール、エタノール及びブタノールから選ばれる、(2)に
記載のGPR119アゴニスト。
(4)前記培養物は、麦芽エキス含有液体培地を用いた液体培養により得られる、(1)〜(3)の何れかに記載のGPR119アゴニスト。
(5)前記抽出物は、前記培養物から菌体を除去して得られる培養液の、無極性固相を用いた固相抽出における極性有機溶媒溶出画分である、(4)に記載のGPR119アゴニスト。
(6)前記極性有機溶媒は、メタノール及びエタノールから選ばれる(5)に記載のGPR119アゴニスト。
(7)前記無極性固相は、オクタデシル基結合固相である、(5)又は(6)に記載のGPR119アゴニスト。
(8)(1)〜(7)の何れかに記載のGPR119アゴニストを含む、医薬。
(9)(1)〜(7)の何れかに記載のGPR119アゴニストを含む、食品。
(10)(1)〜(7)の何れかに記載のGPR119アゴニストを、高血糖の治療・予防が必要な対象に投与することを含む、高血糖の治療・予防方法。
(11)高血糖の治療・予防のための医薬の製造における、(1)〜(7)の何れかに記載のGPR119アゴニストの使用。
本発明のGPR119アゴニストは、cAMP産生促進作用、インスリン分泌促進作用、血糖値降下作用を有する。従って、本発明のGPR119アゴニストは、cAMP産生促進剤、インスリン分泌促進剤、血糖値降下剤として使用できる。本発明のGPR119アゴニストは、高血糖の治療・予防のための医薬、糖尿病の合併症の治療・予防のための医薬や、循環器系疾患(高血圧、高脂血症など)の治療・予防のための医薬、高血糖改善・予防のための食品、糖尿病の合併症の改善・予防のための食品や、循環器系疾患(高血圧、高脂血症など)の改善・予防のための食品の成分として好適である。
特に、本発明のGPR119アゴニストは、摂食時などの高血糖条件下のみで、インスリン分泌促進作用を発揮し、血糖値の上昇を抑える。従って、本発明の医薬、食品は、非摂食時などの比較的低血糖条件下で、過度な低血糖を引き起こす危険性が小さく、安全性が高い。
実施例で得られたペニシリウム エスピー NBRC 105016株の抽出物を含むサンプルの希釈倍率と、GPR119アゴニスト活性の関係を示す図である。 実施例で得られたペニシリウム エスピー NBRC 105016株の抽出物を含むサンプルのcAMP産生促進効果を示す図である。 実施例で得られたペニシリウム エスピー NBRC 105016株の抽出物を含むサンプルのインスリン分泌促進効果を示す図である。 実施例で得られたペニシリウム エスピー NBRC 105016株の抽出物を含むサンプルの血糖値上昇抑制効果を示す図である。
本発明のGPR119アゴニストは、ペニシリウム エスピー(Penicillium sp.) NBRC 105016株(以下、単に「NBRC 105016株」という。)の培養物又は該培養物の抽出物を含む。
NBRC 105016株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の生物遺伝資源部門(NBRC)に登録されている株である。NBRC 105016株は、2009年1月29日から一般に公開され、同機関が発行するカタログを利用し容易に入手できる。
NBRC 105016株の培養物を得るための培地は、ペニシリウム属糸状菌を培養するのに通常用いられる培地を用いればよい。例えば、ポテトデキストロース寒天培地、
V8ジュース寒天培地を用いた固体培養、麦芽エキス含有液体培地、ポテトデキストロース培地、V8ジュース培地を用いた液体培養などが挙げられる。好ましくは、液体培養であり、より好ましくは麦芽エキス含有液体培地を用いた液体培養である。培地は、好ましくはデキストロース、ショ糖等を含む。また、培地は、好ましくはペプトン、酵母エキス等を含む。具体的な培地としては、好ましくは、麦芽エキス寒天培地、ペプトン、デキストロース、水を混合して調製した液体培地が用いられる。
NBRC 105016株の培養物を得るための培養温度は、ペニシリウム属糸状菌を培養するのに通常用いられる温度の範囲内であればよく、例えば25〜37℃、好ましくは30〜37℃である。また、培養期間は、例えば7〜30日、好ましくは14〜21日程度である。
このようにして得られたNBRC 105016株の培養物を抽出することにより、該培養物の抽出物を得ることができる。培養物が固体の場合には、固液抽出を用いることができるし、培養物が液体の場合には、液液抽出、固相抽出を用いることができる。抽出に用いる溶媒は、好ましくは有機溶媒である。有機溶媒としては、極性有機溶媒が好ましく挙げられる。液液抽出の場合は、ブタノールが好ましく用いられ、固液抽出、固相抽出の場合は、メタノール及びエタノールが好ましく挙げられる。
中でも、液体培地を用いた培養により液体の培養物を得て、固相抽出により該培養物の抽出物を得ることが好ましい。固相抽出を行う場合には、予め、培養物中の菌体を遠心分離などにより除去し、培養液を得ておく。
固相抽出は、好ましくは、無極性固相及び極性有機溶媒を用いて行う。無極性固相としては、脂肪族炭化水素基結合型固相等を用いることができ、特にオクタデシル基結合型固相を用いることが好ましい。オクタデシル基結合型固相としては、例えば、BOND ELUTE-C18 (Varian社)等の製品名で市販されているオクタデシルシリカが例示できる。
固相抽出の方法は例えば、以下のように行う。まず、常法により固相をコンディショニングする。そして、液体の培養物から菌体を除去して得られる培養液を固相に流した後、水で十分に洗浄し、続いて、極性有機溶媒を流し、該溶媒で固相に結合していた培養液中の疎水性画分を溶出する。この場合の極性有機溶媒としては、好ましくはメタノール及びエタノールが挙げられる。
本発明のGPR119アゴニストは、cAMP産生促進作用、インスリン分泌促進作用、血糖値降下作用を有する。従って、本発明のGPR119アゴニストは、cAMP産生促進剤、インスリン分泌促進剤、血糖値降下剤として用いることができる。
本発明のGPR119アゴニストは、そのままで、又は通常医薬に用いられる担体とともに製剤化することにより、GPR119の不活性、これに起因するcAMP産生の低下、インスリン分泌の低下、血糖値の上昇が引き起こす疾病の治療・予防のための医薬(以下「本発明の医薬」ともいう。)として用いることができる。このような疾病としては、例えば、糖尿病、糖尿病合併症、高血圧及び高脂血症などの循環器系疾患等が挙げられる。
本発明の医薬における前記培養物又は抽出物の含有量は、医薬の用途、患者の症状、体重、年齢、性別等により決定される。例えば、下記実施例に記載する方法により得られたメタノール溶出物(溶媒除去物)の濃度が、好ましくは5〜10質量%、さらに好ましくは5〜7質量%となるような含有量とすることができる。
本発明の医薬の剤形は特に限定されず、治療目的に応じて適宜選択できる。具体的には、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、坐剤、注射剤等が挙げられる。
本発明の医薬は、NBRC 105016株の培養物又は抽出物以外のGPR119アゴニストとしての作用を有する成分、cAMP産生促進剤、インスリン分泌促進剤、血糖値降下剤等であって、かつ安全性が確認されているものを含有していてもよい。
また、本発明の医薬の製剤化の際、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、保存剤、矯味矯臭剤、希釈剤等を加えてもよい。
本発明の医薬の投与方法は、経口的投与、非経口投与の何れであってもよい。また、本発明の医薬の投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等に応じて決定される。
例えば、下記実施例に記載する方法により得られた、メタノール溶出物(溶媒除去物)の投与量が、好ましくは100〜1000mg/kg/日、さらに好ましくは500〜700mg/kg/日となるような投与量とすることができる。
本発明の医薬は、上記方法により本発明のGPR119アゴニストを得て、これに必要に応じて任意成分を配合することにより製造することができる。
本発明のGPR119アゴニストは、通常用いられる食品原料とともに加工することにより、GPR119の不活性、これに起因するcAMP産生の低下、インスリン分泌の低下、血糖値の上昇が引き起こす疾病の予防・改善のための食品(以下「本発明の食品」ともいう。)として用いることができる。このような疾病としては、例えば、糖尿病、糖尿病合併症、高血圧及び高脂血症などの循環器系疾患等が挙げられる。
本発明において、「食品」には、人間が摂取する食品の他、人間以外の動物が摂取する飼料も含まれる。
本発明の食品における前記培養物又は抽出物の含有量は、食品の用途、食品の形態等に応じて決定される。例えば、下記実施例に記載する方法により得られた、メタノール溶出物(溶媒除去物)の濃度が、好ましくは5〜10質量%、さらに好ましくは5〜7質量%となるような含有量とすることができる。
本発明の食品の形態は特に限定されない。例えば、飲料、菓子などの加工食品が挙げられる。
本発明の食品は、NBRC 105016株の培養物又は抽出物以外のGPR119アゴニストとしての作用を有する成分、cAMP産生促進剤、インスリン分泌促進剤、血糖値降下剤等であって、かつ食品原料として安全性が確認されているものを含有していてもよい。
また、本発明の食品の摂取量は、食品の用途、食品の形態等に応じて決定される。
例えば、下記実施例に記載する方法により得られた、メタノール溶出物(溶媒除去物)の摂取量が、好ましくは100〜1000mg/kg/日、さらに好ましくは500〜700mg/kg/日となるような摂取量を目安とすることができる。
本発明の食品は、上記方法により本発明のGPR119アゴニストを得て、これを食品原料とともに加工することにより製造することができる。
1.GPR119アゴニスト活性の測定
(1)GPCRアッセイ用サンプルの調製
糸状菌466株を、麦芽エキス寒天培地(MEA培地, Difco製)を用いて、28℃、暗所で生育させた。続いて、下記表1に示す組成の1/2麦芽エキス含有培地を用いて、以下の方法で、糸状菌の液体培養を行った。
1/2麦芽エキス含有培地を10mlずつ試験管に分注し、爪楊枝にて上記MEA培地から糸状菌を、試験管内の液体培地に植菌した。その後、28℃、暗所、180rpm(往
復振盪)で、7〜10日間、培養を行った。
Figure 0005378825
培養後、得られた培養物を、8000rpmで10分間、遠心分離し、培養液と菌体に分けた。培養液を回収し、BOND ELUT-C18 (500mg 6ml) カートリッジ(Varian社)(オクタデシル基結合固相カートリッジ)を用いた固相抽出により抽出を行った。
具体的な方法は以下のとおりである。まず、BOND ELUT-C18カートリッジの固相を、6mlのメタノール及び6mlの水でコンディショニングした。続いて、上記で得られた培養液をカートリッジに流した後、3mlの水で2回洗浄を行った。続いて、3mlのメタノールを流し、溶出されてくる画分を全て回収し、回収したメタノール溶出液を濃縮乾固させた。
この濃縮乾固物を、以下の試験のサンプルとした。
(2)GPCRアッセイ
上記で得られた466のサンプルから、インビトロでGPR119アゴニスト活性を持つサンプルをスクリーニングした。スクリーニングは、[35S]GTP−γ Sのバインディングアッセイにより行った。詳細な方法は、生物物理43(1)37−39(2003)に示されるとおりである。
その結果、ペニシリウム エスピー(Penicillium sp.) NBRC 105016株の培養液から得られたサンプルの希釈液に、強いGPR119アゴニスト活性が検出された。そこで、さらにNBRC 105016株の培養液から得られたサンプルをヘペス緩衝液を用いて希釈し、ドーズリスポンスを確認した。結果を図1に示す。
図1に示すように、NBRC 105016株の培養液から得られたサンプルの10体積倍希釈液には、約18000cpmのシグナルが検出された。一方、前記サンプルの1体積倍希釈液には、約19200cpmのシグナル活性が検出された。
2.cAMP産生促進作用の測定
上記NBRC 105016株の培養液のブタノール抽出物について、cAMP産生促進作用を測定した。
具体的な方法は、以下のとおりである。
上記と同じ方法で得られたNBRC 105016株の培養液90mlに、120mlのブタノールを加え、分液漏斗を用いて液液抽出を行うことを3回繰り返した。得られたブタノール抽出層を乾固し(142mg)、これを、DMSO1.8mlに溶解した。このDMSO溶液2μlをKRB(グルコース20mM)198μlに溶解し、活性測定用のサンプルとした。
活性測定2日前に96wellプレートに細胞を1.0×104[cells/well]になるよう、MIN6細胞を播種した。2日後、培地をアスピレーターで吸い、KRB(Krebs-Ringer bicarbonate、組成は下記参照)(グルコース 0mM)で細胞をウォッシュした。続いて、ウェルにKRB(グルコース2.5mM)100μlを加えて、30分CO2インキュベーター内でインキュベートした。その後
、KRB(グルコース 0mM)で細胞をウォッシュした。
各wellのKRBを除去した後に、上記作製したサンプルを、各wellに100μlずつ添加し、37℃ CO2インキュベーターで2時間インキュベートした。また、コントロールとして、同体積のKRB(グルコース16mM)を添加した。
その後、キット(Amersham cAMP Biotrak Enzymeimmunoassay System RPN 225)を用いてcAMP活性の測定を行った(下記の参考文献参照)。
<KRBの組成>
NaCl 119mM
KCl 4.74mM
CaCl2 2.54mM
MgCl2 1.19mM
KH2PO4 1.19mM
NaHCO3 25mM
HEPES(pH 7.4) 10mM NaOHでpHを調整
BSA 0.05%
<参考文献>
A role for intestinal endocrine cell-expressed g protein-coupled receptor 119 in
glycemic control by enhancing glucagon-like Peptide-1 and glucose-dependent insulinotropic Peptide release.
Chu ZL, Carroll C, Alfonso J, Gutierrez V, He H, Lucman A, Pedraza M, Mondala H,
Gao H, Bagnol D, Chen R, Jones RM, Behan DP, Leonard J.
Endocrinology. 2008 May;149(5):2038-47.
結果を図2に示す。
図2に示すように、上記NBRC 105016株の培養液から得られたサンプルの希釈液を培地に添加した場合には、コントロールに比して、明らかに高いcAMP活性が検出された。これより、NBRC 105016株の培養液は、細胞のcAMP産生促進作用を有することが判った。
3.インスリン分泌促進作用の測定
上記NBRC 105016株の培養液のブタノール抽出により得られたサンプルについて、インスリン分泌促進作用を測定した。具体的な方法は、以下のとおりである。
測定を行う2日前に、MIN6細胞を96wellプレートに1.0×104cell/wellとなるように、播種した。細胞を、KRB (グルコース 0mM)でウォッシュし、KRB (グルコース 2.5mM) 100μl加え、37℃ CO2インキュベーターで30分インキュベートした。続いて、KRB(グルコース 0mM)で細胞を2回ウォッシュした。
各wellのKRBを除去した後に、上記と同様に作製したサンプルを、各wellに200μlずつ添加し、37℃、CO2インキュベーターで2時間インキュベートした。また、コントロールとして、同体積のKRB(グルコース 20mM)を添加し、同様にインキュベートした。
続いて、シバヤギ レビス インスリン-マウス(Hタイプ)のキットを使用し、分泌されたInsulin量を測定した。測定は、キットのプロトコールに従った(下記参照)。
<プロトコール>
ビオチン結合抗インスリン抗体を付属の緩衝液で100倍に希釈・・・(1)
ペルオキシダーゼ・アビジン結合物を付属の緩衝液で100倍に希釈・・・(2)
付属の洗浄液をmillQで10倍に希釈・・・(3)
抗体固相化プレートを(3)で4回ウォッシュ
(1)を100μlずつ加える
サンプル希釈液又はコントロールを10μlずつ分注してよく混ぜる
室温で2時間インキュベート
抗体固相化プレートを(3)で4回ウォッシュ
(2)を100μlずつ分注して、よく混ぜる
室温で30分インキュベート
抗体固相化プレートを(3)で4回ウォッシュ
発色液を100μlずつ分注して、よく混ぜる
室温で30分インキュベート
反応停止液を100μlずつ分注して、よく混ぜる
マイクロプレートリーダー(450nm)で吸光度測定
結果を図3に示す。
図3に示すように、NBRC 105016株の培養液から得られたサンプルの希釈液を培地に添加した場合には、コントロールに比して、明らかに大きいインスリン分泌量が認められた。これより、NBRC 105016株の培養液は、すい島細胞のインスリン分泌促進作用を有することが判った。
4.SDTラット(糖尿病モデルラット)を用いた糖負荷試験
続いて、糖尿病モデルラット(系統名:SDT/Jcl 9週齢 ♂、数量:5匹×2群 計10匹、微生物学的グレード:SPF)を用いて、糖負荷試験(GTT)を行った。ラットの飼育は以下の条件で行った。
<条件>
温度:20〜26℃
湿度:45〜70%
換気回数:10〜15回/時間
照明時間:明 7:00〜19:00、暗 19:00〜7:00
微生物学的グレード:SPF
飼育ラック:オープンラック1台(MAX30ケージ)
飼育ケージ:クリーンケージ(282×451×157mm)
収容匹数:2匹×5ケージ 計10匹
飲水:給水ボトル(250cc)に充填後、高圧蒸気滅菌(121℃、30分)
給水:給水ボトル1本を週2回
床敷き:プレナーチップ(121℃、30分 高圧蒸気滅菌)
ケージ交換:1回/週
糖負荷試験は、以下の方法で行った。
まず、上記NBRC 105016株の培養液から得られたサンプル1gを16mlのヘペス緩衝液に懸濁し、これを糖投与24時間前および2時間前(計2回)に、1群(5匹)に経口投与(事前投与)した。投与量は、1.5ml/回/匹であった。また、コントロールとして、他の1群(5匹)に、生理食塩水を同様に投与した。
糖投与前日より1晩(17h)絶食した。糖投与は、「大塚糖液50%」(ブドウ糖液)を、2.0g/kg(体重)腹腔内投与(IP)した。また、絶食前、絶食後の2回、体重を測定した。
各群のラットの尾から、絶食前、絶食後、糖投与後15分、30分、60分、120分の計6回採血し、血糖値を測定し、各群ごとに各回の平均血糖値を算出した。結果を図4に示す。
図4に示すとおり、コントロール群では、糖投与後15〜30分の間に、血糖値が急激に上昇したが、NBRC 105016株の培養液から得られたサンプルの希釈液を事前投与した群では、糖投与後の血糖値の上昇が抑制された。一方で、糖投与前、及び糖投与120分経過後には、NBRC 105016株の培養液から得られたサンプルを事前投与した群でも、コントロール群と同程度の血糖値であった。以上より、NBRC 105016株の培養液は、高血糖時にのみ血糖値の上昇を抑え、低血糖時には血糖値を下げないことが判った。なお、絶食前、絶食後で体重の変化は見られなかった。
本発明は、糖尿病治療薬、糖尿病食などに応用される。

Claims (10)

  1. ペニシリウム エスピー(Penicillium sp.) NBRC 105016株の培養液の極性有機溶媒抽出物を含むGPR119アゴニスト、を含む、cAMP産生促進、インスリン分泌促進および/または血糖値降下のための医薬
  2. 前記極性有機溶媒は、メタノール、エタノール及びブタノールから選ばれる、請求項に記載の医薬
  3. 前記培養は、麦芽エキス含有液体培地を用いた液体培養により得られる、請求項1または2に記載の医薬
  4. 前記抽出物は、前記培養の、無極性固相を用いた固相抽出における極性有機溶媒溶出画分である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬
  5. 前記無極性固相は、オクタデシル基結合固相である、請求項に記載の医薬
  6. ペニシリウム エスピー(Penicillium sp.) NBRC 105016株の培養液の極性有機溶媒抽出物を含むGPR119アゴニスト、を含む、cAMP産生促進、インスリン分泌促進および/または血糖値降下のための食品
  7. 前記極性有機溶媒は、メタノール、エタノール及びブタノールから選ばれる、請求項に記載の食品
  8. 前記培養は、麦芽エキス含有液体培地を用いた液体培養により得られる、請求項6または7に記載の食品
  9. 前記抽出物は、前記培養の、無極性固相を用いた固相抽出における極性有機溶媒溶出画
    分である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の食品
  10. 前記極性有機溶媒は、メタノール及びエタノールから選ばれる請求項に記載の食品
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