JP5373616B2 - 鳥インフルエンザウイルス感染の予防的治療のためのポリiclcカプセル化リポソーム - Google Patents

鳥インフルエンザウイルス感染の予防的治療のためのポリiclcカプセル化リポソーム Download PDF

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Description

本出願は、2006年11月3日出願の米国仮特許出願番号第60/856,310号の利益を享受する優先権を主張するものである。
本発明は、改善された治療効果を有するポリICLC製剤を用いた鳥インフルエンザウイルス感染の治療方法に関する。
世界保健機関に報告されたヒトの鳥インフルエンザA(H5N1)感染症例は、2003年から毎年増加しており(2003年には4感染症例であったのが、2006年には109感染症例にまで増加)、現在、世界的に、インフルエンザの地球規模的パンデミックが起こりつつあることが問題となっている。
抗ウイルス剤及びワクチン両方に対する耐性を増すことにより発達してきた季節性インフルエンザウイルス及び鳥インフルエンザウイルス両方が発達してきたこと、また、ウイルス内の一定の構造変化のためにワクチンの設計及び生産が困難であるという観点から、広域スペクトルであるとともに遺伝的構成に左右されない新しい抗ウイルスへの取り組みを発展させるための必然的な理由が存在する。このような取り組みの発展により、薬剤耐性の可能性が減少されるだけでなく、人畜共通由来のインフルエンザウイルスの新種の変異に対する予防も与えられる。
鳥インフルエンザ或いはパンデミックインフルエンザウイルス及び季節性インフルエンザウイルス間の重大な違いとして、前者のウイルスは大規模な炎症を感染者の気道に引き起こすことである。鳥インフルエンザ及びパンデミックインフルエンザウイルスによって引き起こされた気道の炎症は、通常の季節性インフルエンザウイルスにより引き起こされた気道の炎症レベルの約10倍であると推定される。またこのことは、鳥インフルエンザ及びパンデミックインフルエンザ両方の犠牲者に見られる致死率の増加に寄与する要因である。大規模な炎症を緩和するための新たな方法の発展は重要ではあるが、時として鳥インフルエンザ及びパンデミックインフルエンザに対する包括的戦略の一部を見落とすことになる。
二重鎖RNA(dsRNA)は、非常に強力な生物学的修飾因子であるとともに、鳥インフルエンザに対する広域スペクトラムの免疫学的予防としての役割を潜在的に果たすことが可能である。dsRNAは、ナノモル濃度の細胞に絶大な影響力を発揮することができる。dsRNAの調節作用は、分子レベル及び細胞レベルにおける作用の広域スペクトラムを含む。分子レベルにおいては、dsRNAは、例えばインターフェロン合成、タンパク質キナーゼの誘発、2−5Aポリメラーゼの誘発、組織適合光源の増強及び代謝の誘発等といった生物学的活性を引き起こすことが可能である。細胞レベルにおいては、dsRNAは、例えば発熱性、分裂促進性、マクロファージ活性化、細胞性の免疫活性化及び抗ウイルス状態の誘発等の生物学的活性を引き起こすことが可能である。dsRNAのある際立った特徴は、抗菌療法及び抗ガン治療における免疫調節効果である。特に、二重鎖RNAポリICLC、つまりPICLCは、抗ウイルス剤或いは抗腫瘍薬として非常に効果的であることが発見された。二重鎖RNAポリICLCは、炎症促進性のサイトカイン経路の損傷効果を下方制御する一方、抗ウイルス経路(例:2'-5'オリゴアデニル酸シンターゼ経路)の有益な要素を発揮するため宿主を弱めるのに用いることができると考えられている。
ポリICLCは合成dsRNAであって、ポリ−L−リジン及びカルボキシメチルセルロースで安定化されたポリリボイノシン酸及びポリリボシチジル酸のらせん構造(ポリI.ポリC)から構成される。結果として生じたポリICLCは、熱力学的にポリI.ポリCよりさらに安定している。ポリICLCは臨床試験において、神経膠腫の腫瘍治療に効果的であることがわかっている(非特許文献1)。またポリICLCは、多数の研究において、インフルエンザ(非特許文献2)、狂犬病(非特許文献3)、リフトバレー熱(非特許文献4)、及びベネズエラウマ脳脊髄炎(非特許文献5)を含むウイルス感染の免疫療法に効果的であることがわかっている。
ポリICLCは、有望な免疫修飾物質であるとともに、抗菌療法及び抗ガン治療に大いなる潜在力を有するけれども、ヒトに重大な副作用をもたらすことがわかっている。特にこの副作用は、薬剤が複合的に高用量で投与された場合特に起こる。報告された副作用(非特許文献6)の中には、熱、血圧低下、白血球減少、筋肉痛、血小板減少症及び多発性関節痛が含まれる。この固有の毒性問題は、ポリICLCをより安全な状態でヒトに使用するために克服される必要がある。さらに、ポリICLCの治療効果は、生体内での安定性により制限される。リボ核酸として、ポリICLCは血清RNA分解酵素による体内での分解の影響を受けやすい。ポリICLCのRNA分解酵素の分解の範囲は、ポリI.ポリCの分解と比較して非常に改善されているが、予防は完璧なものではない。また、ポリ−L−リジン及びカルボキシメチルセルロース自身は、生体内の酵素分解及び免疫的な除去の影響を受けやすい。したがって、治療効果が改善され、またヒトへの使用がより安全な改善されたポリICLC製剤が必要とされている。また、鳥インフルエンザウイルスに対するポリICLCの治療効果も証明される必要がある。
Neurosurgery 38:1096-1104,(Salazar A, M.他) Antimicrob. Agents Chemother, 39:574-2576(Wong,J.P.) J.Infect.Dis.136:286-292(Baer,G.M.) J.Biol.Response Modifiers 4:503-511(Kende,M.) J.Infect.Dis.136:267-272(Stephen,E.L.) Cancer Treat. Rep.62:1907-1913(Levine,A.S.)
本発明の目的は、ヒトにおける毒性効果を減少させるとともに、鳥インフルエンザに対する増強された治療効果を有するポリICLC製剤を提供することである。
本発明のある態様によれば、哺乳類における鳥インフルエンザウイルス感染の予防的治療のための方法であって、リポソーム内でカプセル化されたポリICLCを有する免疫調節薬を前記哺乳類に投与する工程を備える方法がもたらされる。
好ましくは、用いるリポソームは単層或いは多重層であるとともに、1以上のカチオン性リン脂質を含有する。このカチオン性リン脂質は例えば、ステアリルアミン、1,2−ジアチル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(TAP)或いは1,2−トリアチル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DAP)等である。最も好ましくは、リポソームは単層或いは多重層であって、フォスファチジルコリン、ステアリルアミンの脂質、及びステロイドコレステロールから調製される。また、それぞれの脂質のモル比は約9:1:1である。表面リポソームは、ポリエチレングリコールで覆われ、リポソームの循環半減期を延長させる。また表面リポソームは体内の特定の部位に目標を定める抗体で覆われる。
中性荷電リポソームはまた、ポリICLCのリポソーム封入に用いられることが可能である。このような中性荷電リポソームは、例えばフォスファチジルコリン及びコレステロールを用いて調製される。
本発明に包含される鳥インフルエンザは、鳥に感染するインフルエンザAウイルスの全ての亜型を含む。周知のHA亜型は16種類、及びNA亜型は9種類が存在する。鳥及びヒト両方に感染することで知られる鳥インフルエンザAウイルスの3つの主要な亜型は、インフルエンザAH5型(H5型の9つの潜在的な亜型が周知である)、インフルエンザAH7型(H7型の9つの潜在的な亜型が周知である)、及びインフルエンザAH9型(H9型の9つの潜在的な亜型が周知である)である。これらのうち、鳥H5N1インフルエンザウイルスが好ましいとされる。
本発明の他の態様によると、リポソームポリICLCを調整する方法が提供され、この方法は、リポソーム及びポリICLCの混合物を凍結乾燥する工程を有する。好都合なことに、この方法は、リン脂質の混合物から有機溶媒を除去すること、その結果生じた脂質混合物をポリICLCを含む水性緩衝液を用いて再水和すること、その結果生じた脂質とポリICLCの混合物を凍結乾燥すること、その結果生じた乾燥混合物を水で戻すこと、及びその結果生じたリポソームのペレットを緩衝液を用いて、使用前に所望の薬物濃度にまで再懸濁することを含む。好適な緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水、生理食塩水、脱イオン水である。緩衝液の調製に際しRNAseを含まない水を用いることが重要であり、これによりポリICLCの酵素分解が最小化される。
リポソームの調製の代替方法は、界面活性剤透析、放出、逆相蒸発法(REV)、及び超音波処理を含む。ポリICLCのリポソームへのロードは、受動的に捕捉すること及びリモートローディング法等の能動的過程により達成される。非封入のポリICLCは、遠心分離、カラム分離或いは透析により除去される。
リポソーム内のポリICLCのカプセル化における利点は、ポリICLCの毒性が減少すると同時に、ポリICLCの治療効果が増加することである。さらに、リポソームポリICLCは、体内のRNAse分解からポリICLCを保護する。したがって、ポリICLCの免疫学的活性及び生物学的活性が増強される。
リポソームのポリICLCの治療効果と対比した遊離ポリICLCの治療効果に関する試験結果を示すグラフである。 リポソームのポリICLCの毒性と対比した遊離ポリICLCの毒性に関する試験結果を示すグラフである。 マウスの鳥H5N1インフルエンザウイルスの低ウイルス追加投与量に対する対照と対比したリポソームのポリICLCの治療効果に関する試験結果を示すグラフである。 マウスの鳥H5N1インフルエンザウイルスの高ウイルス追加投与量に対する対照と対比したリポソームのポリICLCの治療効果に関する試験結果を示すグラフである。
<ポリICLC>
ポリICLCは、アイオワ大学薬学部の薬剤部(アイオワシティ、アイオワ州)により調製され、国立衛生研究所(ベテスダ、メリーランド州)により提供された。0.9%の塩化ナトリウム中、ポリICLC1ミリリットルに対しポリI.ポリCが2mg、ポリエルリジン1.5mg、及びカルボキシメチルセルロースが5mg含まれていた。
<ポリICLCカプセル化リポソーム>
リポソームは微細な脂質小胞で、1以上の脂質二重層及び水性コンパートメントから構成される。リポソームの主要構成物は、通常はリン脂質とコレステロール等のステロイドの組み合わせである。リン酸脂質は、陽性、中性及び陰性荷電される。陽性及び陰性荷電されたリン酸脂質から作られたリポソームはそれぞれ、カチオン性リポソーム及びアニオン性リポソームと呼ばれる。DNA及びRNAは通常陰性荷電されるので、カチオン性リポソームはリポソームポリICLC製剤を作るのに選択されるリポソームである。リポソームのポリICLCを作るために用いるカチオン性リン酸脂質は、ステアリルアミン、1,2−ジアチル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(TAP)或いは1,2−トリアチル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DAP)が好適である。コレステロールは二重層を安定化するために含まれる。リポソーム表面はポリエチレングリコールで覆われてもよく、これによりその循環が延長される。プロテインもまたリポソーム膜と結合してもよく、これにより特定の細胞受容体の結合が促進される。
ポリICLCの封入に用いられるリポソームは、大型多重層リポソーム(MLV)、小型単層リポソーム(SUV)或いは大型単層リポソーム(LUV)であってよい。好ましくは、多重層リポソームはリポソームポリICLCの調製に用いられる。
ドラッグデリバリシステムとして用いられる場合、リポソームはゆっくりとした持続放出特性を有するとともに、正常な組織に全身的な負荷を引き起こさずに感染の部位及び腫瘍に狙って薬剤を用いる能力を有する。リポソームは多数の治療薬を封入するのにうまく用いられてきた。この治療薬とは、抗生物質、抗ウイルス薬、及び抗ガン剤である。これらの特性のため、リポソームポリICLCは、ポリICLCの容量依存的毒性を有意に減少させることができる、優れたドラッグデリバリシステムである。さらに、リポソームのカプセル化は、ポリICLCを体内のRNA分解酵素の分解から保護する。したがって、ポリICLCの治療効果が増強される。
<調製>
リポソームは、フォスファチジルコリン210mg(210.mu.mole)、ステアリルアミン23.2mg(23.2.mu.mole)及びコレステロール8.1mg(30.mu.mole)を用いて調製された。脂質を100mlの丸底フラスコに加え、脂質を溶解するためにクロロホルム2mlを加えた。丸底フラスコは摂氏45度の水浴中で、乾燥した脂質薄膜が形成されるまで回転蒸発された。そしてフラスコは真空オーブン(摂氏45度、マイナス80キロパスカル)内に1時間配置され、残留有機溶媒を除去した。その後脂質薄膜を、ポリICLC3mlを用いた後、0.9%のNaCl3mlを用いて元に戻した。その他の好適な緩衝剤は、リン酸緩衝食塩水、生理食塩水或いは脱イオン水である。緩衝液の調製には、RNA分解酵素を含まない水を用いてポリICLCの分解を最小化させることが重要である。その後、脂質薬の混合物をスクリューキャップチューブに移し、十分に混合し、液体窒素にチューブを浸し凍結させた。サンプルはその後、全ての液体が除去され白い乾燥した粉が得られるまで、一晩凍結乾燥された。凍結乾燥に続いて、サンプルは100−150.muの10.9%のNaClで再水和され、15分間摂氏45度で培養され、そして室温で2時間静置された。リポソームポリICLCは無菌の0.9%NaClで希釈され、超遠心分離法を用い洗浄された。リポソームのペレットはその後、マウスへ投与するための所望の薬物濃度にするため、緩衝液を用いて再懸濁された。
リポソームの表面は、循環を延長させるためにポリエチレングリコールで覆われるとともに、特定の感染部位及び腫瘍へのリポソームの親和性を増加させるために抗体で覆われてもよい。
中性的に荷電されたリポソームは、ポリICLCのリポソーム封入に用いられてもよい。例えば、中性的に荷電されたリポソームは、フォスファチジルコリン及びコレステロールを用いて調製されてもよい。
リポソームを生産する他の調整方法は、界面活性剤透析、放出、逆相蒸発法(REV)、及び超音波処理を含む。ポリICLCのリポソームへのロードは、受動捕捉(passive trapping)又はリモートローディング法等の能動的過程により達成される。非封入のポリICLCは、遠心分離、カラム分離或いは透析により除去されることが可能である。
<マウス内の卵により増殖されたインフルエンザA/PR/8ウイルスへの適応>
従来の手順を用い、インフルエンザA/PR/8ウイルスは、肺の気道を通過して4度の盲目継代によりマウスに伝えられる。この盲目継代は、最初の摂取材料として卵により増殖されたウイルス(メリーランド州、パークローン、米国細胞バンク(ATTC)より入手可能)を利用するものである。ウイルスは早くも3度目の盲目継代において、マウス内で病原性になる。インフルエンザの症状としては、毛の逆立ち、体重の急激な減少、集団化、及びケージ内の動物の動きの著しい減少がある。感染したマウスの解剖により、重度の肺の病変が明らかとなり、また、肺の拡大もいくつかのマウスにおいて観察された。
<試験>
カプセル化ポリICLCリポソームは、経鼻投与、腹腔内投与或いは静脈内投与によりマウスに投与される。用いた摂取材料の量は、経鼻投与には50.mu.l、及び腹腔内投与或いは静脈内投与には100.mu.lであった。経鼻投与及び腹腔内投与では、マウスは薬の投与の前にペントバルビタールナトリウムを用いて麻酔された。動物が気絶すると、鼻を上向きの状態で手で注意深く支えられ、抗ウイルス物質がマイクロピペットを用いて徐々に鼻腔に塗布された。塗布量は自然に肺の中へ吸入された。
麻酔されたマウスの群(1グループ5から10のマウス)に、ポリICLC或いはポリICLCカプセル化リポソームが、腹腔内投与或いは静脈内投与により1回又は2回投与された(20.mu.g/1投与)。ウイルスの追加投与の7日、14日及び21日前にリポソームはマウスに投与された。その後、マウスは半数致死量10LD.sub.50のマウス適合インフルエンザA/PR/8ウイルスに鼻腔感染した。ウイルス感染後14日で、ウイルス追加投与に対し生き残った数のマウスが記録された。
<結果>
マウスのインフルエンザA感染の致死量の追加投与に対する、マウスの予防的保護のための遊離ポリICLC及びポリICLCカプセル化リポソームの効果が図1に示される。相対的に、ウイルス感染前7日以内に遊離ポリICLCが投与されたマウスは、ウイルス感染後14日目に100%生存していた。しかしながら、ウイルスの追加投与の前の14日目及び21日目に、遊離ポリICLCの前処置が行われていた場合、感染後14日目の生存率は減少する。反対に、ポリICLCカプセル化リポソーム(MLVポリICLC)がウイルス感染7から14日前以内に投与されたマウスは、ウイルス感染後14日目に100%生存していた。これらの結果により、リポソームのカプセル化は、ポリICLCの抗ウイルス活性及び免疫修飾活性に悪影響を与えないばかりか、むしろこれらの活性を抗ウイルス状態を延長させることにより増強させる。
図2を参照する。マウスの体重で計測した遊離ポリICLC及びリポソームポリICLCのマウスへの毒性の影響を示す。ポリICLCの中毒量を投与されたマウスは、体重の急速な減少、立毛及び身体運動の低下等の兆候がある。マウスは、遊離ポリICLCの一日投与量30.mu.g/匹を2回投与された。図2を参照すると、1回目の投与は投薬後2日目に行われ、2回目の投与は投薬後0日目に行われた。マウスは投与後1から3日目以内で、最大2g(全体重の約10%近く)体重が減少した。体重の減少に加え、これらのマウスはまた、立毛(逆立てた毛)及び身体運動の低下の異常な症状や兆候を示した。反対に、ポリICLCカプセル化リポソームを同一量与えられたマウスは著しい体重低下を示さず、また身体運動の低下の異常な症状や兆候を示さなかった。したがって、遊離した非カプセル化ポリICLCは高い毒性を有し、その一方、ポリICLCカプセル化リポソームは図2の結果に示されるように低い毒性を有する。リポソームポリICLCを投与されたマウスは、体重の著しい減少を示さなかった。
結論として、マウスに直接投与された遊離ポリICLCは、インフルエンザA型ウイルス感染に対する限定的な予防をもたらすという結果が示された。さらに、ポリICLCを繰り返し高用量投与すると、マウスに中毒性服作用を引き起こすことがわかった。反対に、リポソームカプセル化ポリICLCは、ウイルス感染に対し、ポリICLCの毒性を減少させる一方治療効果を増強させることにより、効果的な治療をもたらす。
<マウスの鳥H5N1インフルエンザウイルス感染に対するポリICLCカプセル化リポソーム>
鳥インフルエンザH5N1ウイルスに対するリポソームポリICLCの予防効果を明示するため、致命的な呼吸器マウスモデルが、感染したニワトリから分離したH5N1インフルエンザAウイルスの野生型を用いて作られた。このようなマウス由来の鳥H5N1インフルエンザウイルスの感染モデルを作ることは、リポソームのポリICLCの抗ウイルス活性の有効性の判定を可能にするのに極めて重要である。
有効性の研究において、Balb/cマウス(20g)の群は、48時間置きにリポソームのポリICLC20μgを2回鼻腔内に前処置された。薬物治療後24時間でこれらのマウスは、低用量(1LD50)或いは高用量(4LD50)の鳥インフルエンザAウイルスのどちらかを鼻腔内に追加投与された。処理動物及びウイルス対照群の両方の生存率はその後毎日監視され、感染後14日目に測定された。
鳥H5N1インフルエンザウイルスの低用量及び高用量のウイルス追加投与に対する予防的保護のためのカプセル化されたリポソームポリICLCの効率性は、図3及び図4にそれぞれ示される。図3に示される通り、低用量のウイルス或いは高用量のウイルスどちらかに感染した対照群のマウスは、感染後5から6日で開始した鳥インフルエンザの感染により死亡した。低用量のウイルス追加投与で感染した対照群のマウスは、感染後9日目までに死亡した。高用量のウイルス追加投与において、全てのマウスは感染後14日目で死亡した。反対に、図4に示す通り、カプセル化されたリポソームポリICLCは、少量のウイルス追加投与に対し完全な予防(100%生存)をもたらすとともに、多量のウイルス追加投与に対しては63から75%の予防をもたらした。リポソームポリICLCによりもたらされた増加するこれらの生存の度合いは、統計学的に有意差がある(高用量ウイルス及び低用量ウイルスそれぞれp<0.0402対対照、p<0.0014対対照)。リポソームポリICLCで前処理されたマウスの平均生存時間はまた、対照のマウスと比較して増加していることがわかった。
カプセル化リポソームポリICLCは、鳥インフルエンザウイルス感染に対し効果的な予防をもたらすことが、これらの結果により示された。
このH5N1の有効性の研究に用いられたリポソームポリICLCの投与量は、1回投与量当たり20μgであった。しかしながら、鳥インフルエンザウイルスに対するその他の投与計画において一般的に、及びより具体的には、H5N1ウイルスを1から200μgの範囲で用いる(1回投与量当たり1から100μgが好適とされる)ことも可能である。もちろん、投与計画はまた、従来の理解にしたがって治療する対象の重量に基づきなされることも可能である。
本明細書に示され記述された実施形態及び変化例は、単に本発明の原則の具体例にすぎず、様々な変更形態は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなしに当業者により実施可能なものである。
また、この開示においていかなる値域であっても、各介在価値及び範囲は、或いは文脈が示さない限り、本発明に包含される。さらに、文脈が明らかに示さない限り、各値の下限値の10分の1までの値を含むものとする。本発明はまた示されない限り、述べられた範囲の上限値及び下限値を含む。より小さな範囲(介在範囲)の上限及び下限は、独立してその小さな範囲に含まれる。述べられた範囲が、限界の1つまたは両方を含む場合には、これら含まれる限界のいずれかまたは両方を除く範囲もまた本発明に含まれる。
要約すれば、リポソームポリICLCは、動物の実験研究において、季節性インフルエンザウイルス及び鳥インフルエンザウイルス両方に対し予防をもたらした。リポソームポリICLCがインフルエンザAウイルス(H1N1、H3N2及びH5N1)の様々な亜型に対し効果的であることが示された観察により、インフルエンザウイルス及び特に、鳥インフルエンザウイルス等の変化し続ける、突然変異するウイルスを処理するのに特に非常に効果的であることが証明された。本明細書に示された実験結果から、リポソームポリICLCが、鳥インフルエンザ、パンデミックインフルエンザ及び季節性インフルエンザに対抗する世界的な戦いにおいて、抗インフルエンザ薬及びワクチンの既存の備蓄を補完するため用いられることができる重要な薬であることが一括して証明された。

Claims (5)

  1. 哺乳類におけるH5N1亜型の鳥インフルエンザウイルス感染予防的治療するための医薬組成物の製造のための、リポソーム内でカプセル化されたポリ−L−リジン及びカルボキシメチルセルロースで安定化されたポリリボイノシン酸及びポリリボシチジル酸の使用であって、前記リポソームは、フォスファチジルコリン、ステアリルアミン及びコレステロールをそれぞれ9:1:1のモル比で含むカチオン性リポソームであることを特徴とする使用
  2. 前記医薬組成物が腹腔内投与されることを特徴とする請求項1記載の使用。
  3. 前記医薬組成物が静脈内投与されることを特徴とする請求項1記載の使用。
  4. 前記医薬組成物が鼻腔内投与されることを特徴とする請求項1記載の使用。
  5. 前記医薬組成物が吸入により投与されることを特徴とする請求項1記載の使用。
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