以下、実施形態について図面を参照して説明する。先ず、立体表示の原理を説明する。図1は、第1の実施形態に係る映像表示装置の一例を概略的に示す断面図である。第1の実施形態はインテグラル方式による立体像表示技術の例を説明するが、立体視の方式はインテグラル方式以外の裸眼式でもよく、眼鏡式でもよい。
図1に示す立体像表示装置1は、縦横に配列した多数の立体像表示用画素11を有する表示ユニット10と、それらから離間するとともにそれら立体像表示用画素11に対応して多数の窓部22が設けられたマスク20とを備えている。
マスク20は光学的開口を有し、上記画素からの光線を制御する機能を有し、視差バリアまたは光線制御素子とも呼ばれる。マスク20は透明基板上に多数の窓部22に対応した多数の開口を有する遮光体パターンを形成したものや、遮光板に多数の窓部22に対応した多数の貫通孔を設けたものなどを使用することができる。あるいは、マスク20の他の例としては、多数の微小なレンズを2次元的に配列してなるフライアイレンズ、光学的開口が垂直方向に直線状に延び水平方向に周期的に配列される形状のレンチキュラーレンズも使用可能である。さらに、マスク20として、透過型の液晶表示ユニットのように窓部22の配置、寸法、形状などを任意に変更可能なものを使用してもよい。
動画像を立体視するためには、液晶表示ユニットを用いて立体像表示用画素11を実現する。透過型の液晶表示ユニット10の多数の画素が多数の立体像表示用画素11を構成し、液晶表示ユニット10の背面側には面光源であるバックライト30を配置している。液晶表示ユニット10の前面側には、マスク20を配置している。
透過型の液晶表示ユニット10を使用する場合、マスク20はバックライト30と液晶表示ユニット10との間に配置してもよい。液晶表示ユニット10及びバックライト30の代わりに有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置や陰極線管表示装置やプラズマ表示装置などのように自発光型の表示装置を使用しても良い。その場合、マスク20は自発光型表示装置の前面側に配置する。
図1は、立体像表示装置1と観察位置A00,A0R、A0Lの関係を概略的に示している。観察位置は画面(あるいはマスク)との距離を一定に保ったまま表示画面の水平方向に平行移動した位置である。この例では、1つの立体像表示用画素11が、複数の(例えば5つの)2次元表示用画素で構成されている例を示している。画素の数は1つの例であり、5より少なくてもよく(例えば2個))さらに数が多くても良い(例えば9個)。
図1において、破線41は隣接する立体像表示用画素11間の境界に位置する単一画素の中心と、マスク20の窓部22とを結ぶ直線(光線)である。図1において、太線52の領域が真の立体像(本来の立体像)が知覚される領域である。観察位置A00,A0R、A0Lは、太線52の領域内である。以下、真の立体像のみが知覚される観察位置を「視域」と称する。
図2は、立体像表示装置1が適用された装置の一例でありテレビジョン放送受信装置2100の信号処理系を概略的に示している。デジタルテレビジョン放送受信用のアンテナ222で受信したデジタルテレビジョン放送信号は、入力端子223を介してチューナ224に供給される。このチューナ224は、入力されたデジタルテレビジョン放送信号から所望のチャンネルの信号を選局し復調している。チューナ224から出力された信号は、デコーダ225に供給されて、例えばMPEG(moving picture experts group)2デコード処理が施された後、セレクタ226に供給される。
またチューナ224の出力は、直接セレクタ226に供給されている。放送信号から映像・音声データなどが分離され、この映像・音声データが制御部235を介して記録・再生信号処理器255で処理され、ハードディスクドライブ(HDD)257にて記録されることも可能である。HDD257は、ユニットとして端子256を介して記録・再生信号処理器55に接続されており、交換することも可能である。またHDD257は、信号の記録器、読み取り器を含む。
アナログテレビジョン放送受信用のアンテナ227で受信したアナログテレビジョン放送信号は、入力端子228を介してチューナ229に供給される。このチューナ229は、入力されたアナログテレビジョン放送信号から所望のチャンネルの信号を選局し復調している。そして、このチューナ229から出力された信号は、A/D(analog/digital)コンバータ230によりデジタル化された後、セレクタ226に出力される。
また、例えばVTRなどの機器が接続されるアナログ信号用の入力端子231に供給されたアナログの映像・音声信号は、A/Dコンバータ232に供給されてデジタル化された後、セレクタ226に出力される。さらに、例えばHDMI(High Definition Multimedia Interface)261を介して光ディスクあるいは磁気記録媒体再生装置などの外部機器が接続されるデジタル信号用の入力端子233に供給されたデジタルの映像及び音声信号は、そのままセレクタ226に供給される。
A/D変換された信号が、HDD257にて記録される場合は、セレクタ226に付随しているエンコーダ・デコーダ236内のエンコーダにより、所定のフォーマット例えばMPEG(moving picture experts group)2方式による圧縮処理が施された後、記録・再生信号処理器255を介してHDD257に記録される。記録・再生信号処理器255は、記録制御器235aと相俟って、HDD257に情報を記録する場合、例えばHDD257の何処のディレクトリに対してどのような情報を記録するかを予めプログラムされている。したがってストリームファイルをストリームディレクトリに格納するときの条件、識別情報を録画リストファイルに格納するときの条件などが設定されている。
セレクタ226は、4種類の入力デジタル映像・音声信号から1つを選択して、信号処理器234に供給している。この信号処理器234は、入力されたデジタル映像・音声信号から映像データ、音声データを分離し、所定の信号処理を施している。信号処理としては、音声データに関しては、オーディオデコード・音質調整・ミックス処理などが任意に行われる。映像データに関しては、カラー・輝度分離処理、カラー調整処理、画質調整処理などが行われる。
信号処理器234は、必要に応じてグラフィクスデータを映像データに重ね合わせる。さらに、信号処理器234は、3D処理モジュール80を含む。3D処理モジュール80は、立体像を生成する。3D処理モジュール80の構成については、後述する。ビデオ出力回路239は、映像データに基づく複数視差画像を表示装置2103に表示制御する。ビデオ出力回路239は、複数視差画像の表示制御手段として機能する。
映像データは、出力端子242を介して表示装置2103へ出力される。表示装置2103としては、例えば、図1で説明した装置が採用される。表示装置2103は、平面像(2D)、立体像(3D)のいずれも表示可能である。なお、立体像は、ユーザが表示装置2103に表示された複数視差画像を見ることで知覚するものであるが、第1の実施形態では、3D処理モジュール80が奥行きをもった立体像を擬似的に生成し、立体像表示装置1が奥行きをもった立体像を擬似的に表示するものとして説明する。
音声データは、オーディオ出力回路237でアナログ化され、音量、チャンネルバランスなどの調整を受けた後、出力端子238を介してスピーカ装置2102に出力される。
このテレビジョン放送受信装置2100は、各種の受信動作を含む種々の動作を制御ブロック235によって統括的に制御されている。この制御ブロック235は、CPU(central processing unit)等を内蔵したマイクロプロセッサの集合である。制御ブロック235は、操作部247からの操作情報、または、リモートコントローラ2103から送信された操作情報がリモコン信号受信部248を取得され、これにより、その操作内容が反映されるように各種ブロックをそれぞれ制御している。
制御部235は、メモリ249を使用している。このメモリ249は、主として、そのCPUが実行する制御プログラムを格納したROM(read only memory)と、該CPUに作業エリアを提供するためのRAM(random access memory)と、各種の設定情報及び制御情報等が格納される不揮発性メモリとを備えている。
またこの装置はインターネットを介して外部サーバーとの通信を行うことも可能である。接続端子244からのダウンストリーム信号は、送・受信器245で復調され変調・復調器246で復調され、制御ブロック235に入力される。またアップストリーム信号は、変調・復調器246で変調され、送・受信器245で送信信号に変換され接続端子244に出力される。
制御ブロック235は、外部サーバーからダウンロードされた動画像あるいはサービス情報を変換処理し、信号処理部234に供給することができる。また制御ブロック235は、リモコン操作に応答して、外部サーバーに向けてサービス要求信号を送信することもできる。
さらに制御ブロック235は、コネクタ251に装着されたカードタイプメモリ252のデータを読み取ることも可能である。このために本装置は、例えば、カードタイプメモリ252から写真画像データを取り込み、表示装置2103に表示することが可能である。また特殊なカラー調整などを行う場合に、カードタイプメモリ252からの画像データを標準データ或いは参照データとして用いることも可能である。
上記装置において、ユーザは、デジタルテレビジョン放送信号の所望の番組を視聴したいと思う場合、リモートコントローラ2104を操作することによりチューナ224を制御し、番組選択を行う。
チューナ224の出力は、デコーダ225でデコードされベースバンド映像信号に復号され、このベースバンド映像信号は、セレクタ226から信号処理器234に入力する。これによりユーザは、所望の番組を表示装置2103で見ることができる。
また、ユーザがHDD257に記録されているストリームファイルを再生して視聴したい場合、例えばリモートコントローラ2104を操作して、例えば録画リストファイルの表示を指定する。ユーザが録画リストファイルの表示を指定すると、録画リストがメニューとして表示されるので、ユーザは、表示されたリストの中の希望の番組名あるいはファイル番号の位置にカーソルを移動させ、決定ボタンを操作する。すると、所望のストリームファイルの再生が開始される。
指定されたストリームファイルは、再生制御器235bの制御のもとで、HDD257から読み出され、記録・再生信号処理器255で復号され、制御ブロック235、セレクタ226を経由して信号処理器234に入力される。
図3は、表示装置2103が表示可能な立体像の最大表示範囲Aを示す概念図である。最大表示範囲Aは、立体像の奥行き方向の最大限の大きさであるフルレンジを示す。最大表示範囲Aは、表示装置2103の性能によって異なるが、ユーザが表示装置2103を視域で見た場合のものとする。第1の実施形態では、立体像の奥行き方向の最大表示範囲Aにおける最手前から奥行き方向に向う位置を深度と定義する。最大表示範囲Aは、相対的な値として、最手前を0、最奥を255と定義する。したがって、最大表示範囲Aの深度レンジは、フルレンジの255である。第1の実施形態では、立体像の奥行き方向の大きさ(幅)を深度レンジと定義する。なお、最大表示範囲Aにおける最手前を0としているが、最奥を0と定義してもよい。また、最大表示範囲Aにおける中央を0とし、最手前を127、最奥を−128と定義してもよい。
さらに、第1の実施形態では、ユーザが視域で表示装置2103に表示される平面像(2D)を見た場合に、最もきれいな像を投影する奥行き方向の面を投影面と定義する。投影面は、一般的には、表示装置2103のパネル面である。本実施形態では、表示装置2103のパネル面が投影面であり、奥行き方向における投影面の深度は、最大表示範囲の中間である128とする。
図4は、表示装置2103に表示される立体像の見え方を示す概念図である。図4の(a)は、右目用の視差画像を構成する複数の画素aと、左目用の視差画像を構成する複数の画素bを配列した表示装置2103のパネル面Xを示す。ユーザは、視域で表示装置2103を見ると、図4の(a)の下図のように、右目で複数の画素aを知覚して視差画像を生成し、左目で複数の画素bを知覚して視差画像を生成する。ユーザは、図4の(a)の上図のように、右目と左目の視差によってパネル面Xよりも手前側に飛び出る像を知覚する。
図4の(b)は、右目用及び左目用の視差画像を構成する複数の画素cを配列した表示装置2103のパネル面Xを示す。ユーザは、視域で表示装置2103を見ると、図4の(b)の下図のように、右目で複数の画素cを知覚して視差画像を生成し、左目で複数の画素cを知覚して視差画像を生成する。ユーザは、図4の(b)の上図のように、右目と左目の視差によってパネル面Xに投影される像(2D)を知覚する。つまり、この場合、像は、左右の目の視差によらず、投影面であるパネル面X上と同じ場所に投影される。
図4の(c)は、右目用の視差画像を構成する複数の画素dと、左目用の視差画像を構成する複数の画素eを配列した表示装置2103のパネル面Xを示す。ユーザは、視域で表示装置2103を見ると、図4の(c)の下図のように、右目で複数の画素dを知覚して視差画像を生成し、左目で複数の画素eを知覚して視差画像を生成する。ユーザは、図4の(b)の上図のように、右目と左目の視差によってパネル面Xよりも奥側に引っ込む像を知覚する。
次に、3D処理モジュール80の構成について説明する。図5は、3D処理モジュール80の3D処理モジュール80は、映像処理モジュール801、指示受信モジュール802、画像調整モジュール803を有する。
映像処理モジュール801は、2D映像データを取得する。2D映像データは、映像信号に基づいて信号処理器234が信号処理したものである。映像信号は、チューナ224で取得した放送信号に含まれるものであっても、HDMI261を介して外部機器から供給されるものであっても、HDD257に記録されているコンテンツに基づくものであってもよく、限定されるものではない。映像処理モジュール801は、2D映像データから3D映像データを生成する。映像処理モジュール801は、3D映像データの生成手段として機能する。2D映像データから3D映像データへの変換技術は、いかなるものであってもよい。なお、映像処理モジュール801は、入力された映像データが3Dの場合、3D映像データの生成処理を必要としない。映像処理モジュール801は、3D映像データを画像合成モジュール803へ供給する。
指示受信モジュール802は、調整指示を受け付ける。調整指示は、最大表示範囲ではなく、最手前の深度が投影面の深度である128、深度レンジが深度128から深度255までの最大でも127で規定される表示範囲に3D映像データが収めるように変更(縮小)させる指示である。つまり、調整指示は、3D映像データが収められる表示範囲の深度レンジの開始位置及び深度レンジを調整させる指示である。指示受信モジュール802は、例えば、ユーザがリモートコントローラ2104で入力した調整指示、HDMI261を介した外部機器からの調整指示を制御ブロック235を経由して受け付ける。なお、指示受信モジュール802は、映像信号に調整指示が含まれているような場合、映像信号から取得してもよい。指示受信モジュール802は、調整指示を画像調整モジュール803に出力する。
画像調整モジュール803は、判断モジュール8031を有する。判断モジュール8031は、指示受信モジュール802から調整指示を受信したか否かを判断する。指示受信モジュール802が調整指示を受信していない場合について説明する。画像調整モジュール803は、表示範囲に収めるように3D映像データを加工する。このときの表示範囲は、深度レンジの開始位置が0、深度レンジが255で規定される最大表示範囲である。
次に、指示受信モジュール802が調整指示を受信した場合について説明する。画像調整モジュール803は、表示範囲に収めるように3D映像データを加工する。このときの表示範囲は、深度レンジの開始位置が投影面の深度である128、深度レンジが例えば10で規定される範囲である。つまり、画像調整モジュール803は、3D映像データを収める表示範囲を最大表示範囲から縮小する。ここでは、この縮小される表示範囲を縮小表示範囲と称す。画像調整モジュール803は、深度レンジの開始位置及び深度レンジが予め定められた縮小表示範囲に関するデータを保存する。図6は、フルレンジを有する表示範囲をフルレンジよりも小さい(狭い)深度レンジを有する縮小表示範囲に縮小した例を示す図である。図6の左図は、画像調整モジュール803が3D映像データをフルレンジを有する表示範囲に収めた状態を示す。図6の右図は、画像調整モジュール803が3D映像データを深度レンジの開始位置が投影面の深度である128であって、フルレンジよりも小さい深度レンジを有する表示範囲に収めた状態を示す。
画像調整モジュール803は、表示範囲に収めた3D映像データから複数視差画像を生成する。画像調整モジュール803は、複数視差画像をビデオ出力回路239に供給する。ビデオ出力回路239は、複数視差画像を表示装置2103に表示制御する。表示装置2103は、複数視差画像により、立体像を表示する。表示装置2103は、ユーザが視域で表示装置2103を見たときに、奥行きをもつ立体像を見ることができるように表示する。
上記説明したように、画像調整モジュール803は、縮小表示範囲の深度レンジ開始位置を投影面の深度に近づけるように調整する。一般に、3D映像データに含まれるキャラクタデータの深度は、表示範囲の最手前の深度である。本実施形態では、キャラクタとは、文字、記号、図形を含むテロップ、グラフィクス、キャスターの持つフリップに書かれた文字などを含むものを意味する。したがって、ユーザは、表示装置2103に表示される3D映像データがキャラクタデータを含むコンテンツ(ニュースなど)に対応すると知覚すれば、リモートコントローラ2104で調整指示を入力すればよい。ユーザは、投影面に投影されるキャラクタデータをぶれが少なく、くっきりした状態で知覚することができる。
縮小表示範囲の深度レンジは、一例として10として説明したが、特に限定されるものではない。縮小表示範囲の深度レンジは、投影面の深度を開始位置として、最大表示範囲の最奥の深度までの間であればよい。縮小表示範囲の深度レンジが狭くすればするほど、ユーザが知覚する表示装置2103に表示される3D映像データの立体感は、少なくなる。したがって、ユーザは、投影面に投影されるキャラクタデータをより鮮明に知覚することができる。一方、縮小表示範囲の深度レンジは、投影面の深度を開始位置として、最大表示範囲の最奥の深度まで最大限とってもよい。縮小表示範囲の深度レンジが広くなればなるほど、ユーザが知覚する表示装置2103に表示される映像3D映像データの立体感は、少なくなる。したがって、ユーザは、3D映像データに含まれるキャラクタデータ以外のデータの3D効果が最大限に発揮された立体像を知覚することができる。
なお、画像調整モジュール803は、予め定められた縮小表示範囲に関するデータを保存しているが、縮小表示範囲に関するデータは可変であってもよい。ユーザがリモートコントローラ2104で縮小表示範囲における深度レンジ開始位置及び深度レンジの設定を入力すると、制御ブロック235は、この設定に関する情報を画像調整モジュール803に送信する。画像調整モジュール803は、ユーザが設定した縮小表示範囲における深度レンジ開始位置及び深度レンジを更新して保存する。画像調整モジュール803は、縮小表示範囲に関するデータを更新、保存する機能を有する。画像調整モジュール803は、テレビジョン放送受信装置2100が次回起動した時であっても、更新した縮小表示範囲に関するデータを3D映像データに適用する。表示装置2103に表示される3D映像データの立体感、3D映像データに含まれるキャラクタデータの見やすさは、人それぞれで異なる。したがって、ユーザは、自身にとって最適な状態の縮小表示範囲に収められた3D映像データを知覚することができる。
なお、上記説明したように、画像調整モジュール803は、縮小表示範囲に関するデータを適用して、縮小表示範囲の深度レンジ開始位置を投影面の深度に調整したが、これに限られない。例えば、画像調整モジュール803は、3D映像データを解析して、キャラクタデータが表示範囲の最手前側からどれくらいの位置で投影されるものかを判断する。例えば、映像処理モジュール801が2D映像データから3D映像データを生成する場合、画像調整モジュール803は、その生成処理過程から判断する。例えば、信号処理器234が3D映像データを含む映像信号を取得した場合、映像信号に含まれる3D映像データの奥行きに関する情報から判断する。
画像調整モジュール803は、3D映像データに含まれるキャラクタデータの位置が投影面の深度であり、深度レンジがフルレンジよりも狭いレンジとなるように縮小表示範囲を調整しても良い。画像調整モジュール803は、キャラクタデータが表示範囲の最手前側からどれくらいの位置で投影されるものか判別できない場合、画像調整モジュール803は、フルレンジよりも深度レンジを狭め、その深度レンジの中央が投影面の深度となるように縮小表示範囲を調整しても良い。
第1の実施形態によれば、表示装置2103は、3D映像データがキャラクタデータを含む場合であっても、クロストークを発生することなく、ユーザが鮮明にキャラクタデータを知覚できる立体像を表示できる。
次に、第2の実施形態について説明する。図7は、第2の実施形態に係る3D処理モジュール80の構成を示すブロック図である。第2の実施形態は、信号処理モジュール80の構成以外第1の実施形態と同様である。信号処理モジュール80は、映像処理モジュール804、情報取得モジュール805、メモリ806、画像調整モジュール807を有する。
映像処理モジュール804は、映像処理モジュール801の構成と同様である。情報取得モジュール805は、映像処理モジュール804に入力された映像データに対応する映像信号を取得する。映像信号は、チューナ224で取得した放送信号に基づくものであっても、HDMI261を介して外部機器から供給されるものであっても、HDD257に記録されているコンテンツに基づくものであってもよく、限定されるものではない。情報取得モジュール805は、映像信号から映像データのジャンル情報を取得する。情報取得モジュール805は、ジャンル情報を画像調整モジュール807に供給する。
メモリ806は、3D映像データの表示範囲に関する調整テーブルを保存する。メモリ806は、調整テーブルの記憶手段として機能する。図8は、調整テーブルの例を示す。調整テーブルは、3D映像データの番組のジャンルに応じた以下のような設定を保存する。ジャンルがニュースの場合、表示範囲は、深度レンジの開始位置が投影面の深度である128、深度レンジが10と設定されている。ニュースは、キャラクタが多用される番組である。したがって、深度レンジの開始位置は、投影面付近にキャラクタデータが投影されるように設定されている。深度レンジは、キャラクタデータの見やすさを考慮して3D映像データの立体感を少なくするために、深度レンジは小さく設定されている。
ジャンルがドラマまたは映画の場合、表示範囲は、深度レンジの開始位置が最大表示範囲の最手前である深度0、深度レンジがフルレンジの255と設定されている。ドラマまたは映画は、3D映像データの立体感を最大限楽む番組である。したがって、深度レンジは、フルレンジ(最大)に設定されている。
ジャンルがアニメの場合、表示範囲は、深度レンジの開始位置が投影面の深度である128、深度レンジが0と設定されている。アニメは、3D化の効果の薄い番組である。したがって、深度レンジは、0(つまり2D)と設定されている。
ジャンルがバラエティの場合、表示範囲は、深度レンジの開始位置が投影面の深度である128、深度レンジが127と設定されている。バラエティは、テロップが多用され、かつ、背景も楽しむ番組である。したがって、深度レンジの開始位置は、投影面付近にキャラクタデータが投影されるように設定されている。深度レンジは、フルレンジに比べて中くらいであるが、可能な限り広く設定されている。なお、図7に示す調整テーブルのジャンルは一例であり、他にも情報番組、スポーツなどのジャンルについても、各々深度レンジの開始位置及び深度レンジが設定されている。
画像調整モジュール807は、ジャンル情報から3D映像データのジャンルを特定する。画像調整モジュール807は、調整テーブルから、特定したジャンルに設定されている深度レンジ開始位置及び深度レンジに関する情報を取得する。画像調整モジュール807は、取得した深度レンジ開始位置及び深度レンジで規定される表示範囲に収めるように3D映像データを加工する。例えば、3D映像データのジャンルがニュースの場合、画像調整モジュール807は、3D映像データを収める表示範囲を図6の左図に示す最大表示範囲から図6の右図に示す深度レンジを縮小した表示範囲に調整するする。
なお、調整テーブルに設定されている各ジャンルの深度レンジ開始位置及び深度レンジに関する情報は、可変であってもよい。ユーザがリモートコントローラ2104で任意のジャンルの深度レンジ開始位置及び深度レンジの設定を入力すると、制御ブロック235は、この設定に関する情報を3D処理モジュール80に送信する。3D処理モジュール80は、ユーザが設定したジャンルの深度レンジ開始位置及び深度レンジを調整テーブルに反映させる。メモリ803は、調整テーブルを更新、保存する。画像調整モジュール807は、テレビジョン放送受信装置2100が次回起動した時であっても、更新された調整テーブルを3D映像データに適用する。したがって、ユーザは、自身にとって最適な状態(見やすさ、立体感)の3D映像データを知覚することができる。
なお、上記説明したように、画像調整モジュール807は、3D映像データのジャンルに応じて表示範囲を調整したが、これに限られない。画像調整モジュール807は、3D映像データにキャラクタデータが含まれているか否かに応じて表示範囲を調整してもよい。この場合、画像調整モジュール807は、3D映像データにキャラクタデータが含まれているか否かを判別する。3D映像データにキャラクタデータが含まれている場合、画像調整モジュール807は、例えば、図8に示すニュースについて設定された表示範囲を3D映像データに適用する。3D映像データにキャラクタデータが含まれてない場合、画像調整モジュール807は、例えば、図8に示すドラマについて設定された表示範囲を3D映像データに適用する。
さらに、画像調整モジュール807は、3D映像データを含む放送信号の受信時間帯に応じて表示範囲を調整してもよい。画像調整モジュール807は、3D映像データが放送信号に基づくものであると判断した場合、現在時刻(放送信号を受信した時間帯)を図示しないタイマまたは放送信号に含まれる情報などから取得する。放送信号を受信した時間帯が朝であれば、画像調整モジュール807は、朝の時間帯用として予め定められた表示範囲を3D映像データに適用する。この場合、画像調整モジュール807は、例えば、図8に示すドラマについて設定された表示範囲を3D映像データに適用する。これは、朝は、ドラマが多く放送されるからである。放送信号を受信した時間帯が昼であれば、画像調整モジュール807は、昼の時間帯用として予め定められた表示範囲を3D映像データに適用する。この場合、画像調整モジュール807は、例えば、図8に示すニュースについて設定された表示範囲を3D映像データに適用する。これは、昼は、ニュースが多く放送されるからである。
第2の実施形態によれば、画像調整モジュール807は、3D映像データのジャンル(内容)、キャラクタデータの有無、放送信号の受信時間帯に応じて最適な表示範囲を動的に調整できる。そのため、ユーザは表示範囲の調整を都度切り替える手間がなくなり、利便性が向上する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。