JP5352906B2 - 微細吸着剤分散吸収液、微細吸着剤分散潜熱蓄熱材及び熱交換器型吸収器 - Google Patents

微細吸着剤分散吸収液、微細吸着剤分散潜熱蓄熱材及び熱交換器型吸収器 Download PDF

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Description

本発明は、吸収式ヒートポンプ(AHP)に用いられる溶質が塩基性の吸収液潜熱蓄熱材であって、その吸収液の飽和または蓄熱材の冷却固化に伴う結晶化の問題を解決し、かつ、水蒸気吸収量を従来のほぼ3倍に向上または蓄熱材の流動性を維持させることができる微細吸着剤分散吸収液または微細吸着剤分散潜熱蓄熱材と、前記吸収液あるい蓄熱材を用いた熱交換器型吸収器に関する。
図10(a)は、本発明の解決課題を示す図、(b)は、(a)と同様に本発明の解決課題を示す図である。図10(a)から解るように、製造業のエネルギー投入量は、産業全体の4割を占めており、その省エネルギーが求められている。また、製造業のエネルギー投入量は、多い順に金属・機械製品、化学工業・石油製品、飲食料・飼料となっている。
図10(b)から解るように、製造業の中から石油化学工業を例にとってみると、全投入エネルギー中の排出量の割合は41%にもなっている。また、この排熱のほとんどは100℃以下の低温排熱であり、さらなる省エネルギーのためにはこのような排熱も活用されることが望まれている。
一方、石油化学プラントでは5℃程度の冷却水の需要があり、現状は機械圧縮式冷凍機により電気エネルギーを用いて冷熱を生成している。これに関して、吸収式ヒートポンプを用いてプラントで排出される100℃以下の低温排熱から冷熱生成を達成することができれば、別のエネルギーを用いることなく、冷熱を得ることができ、大きな省エネルギーとなる。また、電力の平準化のために、夜間電力を利用した氷蓄冷、及び太陽熱や廃熱の蓄熱のために相変化潜熱蓄熱材が用いられている。
この吸収液の問題を解決するには、低温熱回収型吸収式ヒートポンプを採用するのが、好適であるが、その採用にあたり、低温排熱を利用するため、再生器で十分な濃縮ができない、飽和状態での吸収液の大結晶化の問題、水蒸気吸収に伴い吸収液が希釈されることによる吸収器性能の低減という、課題が挙げられる。また、相変化潜熱蓄熱材では、伝熱面上で蓄冷材または蓄熱材の冷却による固化により流動性が阻害され、熱交換速度の低下を招く。
吸収液の課題を解決しようとした熱交換器型吸収器の一例としては、特許文献1のものがあり、LiBr吸収液の高濃度化に伴う結晶化防止方法を提案しているが、二重効用吸収式冷凍機において、低温熱交換器の出口側に温度センサを設け、当該低温熱交換の出口側での高濃度吸収液の温度を計測し、この計測温度と高濃度吸収液の結晶化温度とに基づいて高濃度吸収液の濃度又は/及び熱交換量を制御すことにより、低温熱交換器での臭化リチウムの結晶化を防止するもので、本願発明のように吸着剤を用いることを示唆、教示するものではない。また、相変化潜熱蓄熱材では、結晶化が生じると潜熱を利用することができず、高い熱容量の蓄熱効果が得られない。
本願発明者は、これらの問題を解決するため、次のことを提案してきた。排熱利用効率の向上のため、再生器・吸収器にプレート式熱交換器を使用する。それにより伝熱面積を大きくし低温度差の伝熱効率の向上を図る。
次に、吸収効果低減の抑制のため、吸収液にゼオライトなどの吸着剤を混合させることにより過飽和状態になると微細な結晶スラリー化するとことが分かり、この結晶の溶解効果により濃度低下の抑制を図る。これら2つの方法によりLiBr−HO系のような溶質に塩基性水溶液を用いた吸収式ヒートポンプを使用し、80〜90℃の低温排熱から5 ℃程度の冷熱生成を達成した。また、水やPCM(相変化潜熱蓄熱材)に同様の吸着剤を分散することにより、流動性を持つ氷蓄冷や相変化潜熱蓄熱を達成した。
本願発明者は、非特許文献1において、特許文献1とは異なる上記の方法を提案しているが、この非特許文献1は予稿集であり、発明の概要を示しただけで、具体的な吸着剤の濃度、その作用効果、詳しい原理などについては、明確には記載されていなかった。
特開2009−85509号公報(要約)
「吸着剤/吸収液スラリーの液膜熱交換による吸収式ヒートポンプ性能」(平成22年2月18日発行の化学工学会第75年会の予稿集に収録) 「吸着剤/吸収液スラリーの液膜熱交換による吸収式ヒートポンプ性能」(平成22年3月18日の化学工学会第75年会における研究発表のスライドのプリント)(特許法第30条第1項の適用を受けるもの) 「吸収液/微細吸着剤スラリーを用いる吸収式ヒートポンプ特性に関する研究」(平成22年5月19日公開の第47回伝熱シンポジウムの予稿集に収録)(特許法第30条第1項の適用を受けるもの) 「吸収液/微細吸着剤スラリーを用いる吸収式ヒートポンプ特性に関する研究」(平成22年5月26日の第47回伝熱シンポジウムにおける研究発表のスライドのプリント)(特許法第30条第1項の適用を受けるもの) 「吸収式ヒートポンプ吸収液/微細吸着剤スラリー液膜の伝熱特性に関する研究」(平成22年8月6日発行の化学工学会第42回秋季大会の予稿集に収録)(特許法第30条第1項の適用を受けるもの) 「吸収式ヒートポンプ吸収液/微細吸着剤スラリー液膜の伝熱特性に関する研究」(平成22年9月5日の化学工学会第42回秋季大会における研究発表のスライドのプリント)(特許法第30条第1項の適用を受けるもの)
本発明は、このような技術的課題に鑑みなされたものであり、例えば、化学工業における100℃以下の排熱を用いて、更にエネルギーを加えることなく、同産業で必要とされる5℃程度の冷熱を得ることができる吸着剤/吸収液スラリーの液膜熱交換等に用いられる微細吸着剤分散吸収液、微細吸着剤分散潜熱蓄熱材及び、この吸収液をあるいは蓄熱材用いた熱交換器型吸収器をより具体的に提供することを目的とする。
本発明の微細吸着剤分散吸収液または微細吸着剤分散潜熱蓄熱材は、塩基/HO系吸収式ヒートポンプ(AHP)に用いられる吸収液、及び氷蓄冷または蓄熱用の相変化潜熱蓄熱材(PCM)であって、吸収液溶質である塩基性吸収液に微細粒である吸着剤(粒子径0.1μm以上10μm以下)を1%以上20%以下分散させたもので、水蒸気を吸収しても、吸着剤混和飽和溶液状態の流動性が維持され、結晶の成長もなく、ヒートポンプの循環性に障害とならず、水蒸気の吸収率が大幅に向上する。また、潜熱蓄熱材に同様に吸着剤を分散した微細吸着剤分散潜熱蓄熱材は、例えばスラリー技術をシャーベット状にした氷による蓄冷やPCMへの応用が可能である。
また、本発明の熱交換器型吸収器は、上記本発明の微細吸着剤分散吸収液あるいは微細吸着剤分散潜熱蓄熱材を用いることで、機能的マイクロカプセル化したLiBr系のような塩基性吸収液の溶質結晶の粒子径が、10μm以上200μm以下の範囲のものとなり、冷媒が結晶固形化せず、スラリー化し、吸着剤混和飽和溶液状態で流動するようにしたので上記微細吸着剤分散吸収液あるいは微細吸着剤分散潜熱蓄熱材の効果を吸収器として発揮する。
また、熱交換器型吸収器を構成する再生器は、冷媒である水と微細吸着剤分散吸収液あるいは微細吸着剤分散潜熱蓄熱材との間で熱交換する伝熱体を直交型プレート式とし、その素材としてチタンを用いたものとしてもよく、その場合、スラリーの伝熱面積を広くでき、また、高濃度飽和状態の微細吸着剤分散吸収液あるいは微細吸着剤分散潜熱蓄熱材によって腐食することがなく、長期間に渡って、吸収器を用いることができる。
上記、解決手段に記載した通りである。
本発明の微細吸着剤分散吸収液の吸収効果低減抑制の原理を示す図 (a)は、本発明の吸収液スラリーによる性能向上効果を説明するP−T線図、(b)は本発明の熱交換器型吸収器の概念的構成図 (a)は本発明の微細吸着剤分散吸収液のスラリー状態を示す図、(b)は、吸着剤を分散させない吸収液の過飽和結晶状態を示す図 本発明の吸収液スラリーの粒度分布を示すグラフ 本発明の結晶スラリーの粘度測定の結果を示すグラフ 本発明のプレート式熱交換器型吸収器の再生器の一例を示す概念的斜視図である。 本発明の熱交換器型吸収器の解析モデルの妥当性を示すグラフ 図7と同様に本発明の熱交換器型吸収器の解析モデルの妥当性を示すグラフ 本発明において、LiBr濃度分布が水蒸気吸収に与える影響についての条件と解析結果を示す図 (a)、(b)は、本発明の解決課題を示す図
1 LiBr系吸収液
1C 溶質結晶
1S 溶質スラリー
2 吸着剤
3 微細吸着剤分散吸収液、微細吸着剤分散潜熱蓄熱材
5 冷媒(水)
11 直交型プレート式再生器
11p 伝熱体
12 吸収器
13 蒸発器
14 凝縮器
15 管路
20 熱交換器型吸収器(ヒートポンプ)
<実施形態1>
以下、本発明の実施態様を添付図面を参照しながら、説明する。図1は、本発明の微細吸着剤分散吸収液の吸収効果低減抑制の原理を示す図である。この図により、本発明の微細吸着剤分散吸収液の吸収効果低減抑制の原理を説明する。
符号1が吸収液であるLiBr溶液を表し、符号2の点線の円が微小吸着剤であるゼオライトを示す。右側の図は、あるゼオライト2部分を拡大した図である。図1(a)に示すようにゼオライト2をLiBr溶液1に分散させると、ゼオライト2は、吸収液側からLiBr1を吸着して図1(b)の状態となる。
そして、過飽和状態になると、ゼオライト2を結晶核として、そのまわりにLiBr1の結晶が析出してきて、図1(c)の状態となる。このゼオライトを分散させた吸収液スラリー1Sは、吸収器で水蒸気を吸収すると、図1(d)に示すようにLiBr結晶が溶解し、さらに脱着する。この働きにより、水蒸気5pの吸収による濃度低下を抑制するので、吸収効果の低減を抑制する。
この際、塩基性吸収液に分散させる微細粒である吸着剤の粒子径は、0.1μm以上50μm以下が良く、特に、0.1μm以上10μm以下が好適であり、その吸収液に対する濃度は1%以上20%以下で分散させたものがよく、特に、1%〜10%が好適である。これらの粒子径範囲、濃度範囲は、試験によって、確認されたものであり、この範囲を外れると、上記の吸収効果の抑制の機能が十分に発揮されない。
また、吸収液溶質である塩基には、ここに例示したLiBr以外に、LiCl、KBr、KClも含まれる。吸着剤としては、ゼオライトだけに限らず、多孔質体であって、吸着性のよい、炭や、アルミナ、シリカなどであってもよい。微細吸着剤分散潜熱蓄熱材の素材としては、水、パラフィン、CaCl水和塩が含まれる。
図2(a)は、本発明の吸収液スラリーによる性能向上効果を説明するP−T線図、(b)は本発明の熱交換器型吸収器概念的構成図である。
次に吸収液スラリーによる性能向上効果をこのP−T線図より説明するが、その前に、図2(b)により、本発明の熱交換器型吸収器の概念的構成を示す。この構成は、一般的な吸収液を用いたヒートポンプと同じである。
熱交換器型吸収器20は、再生器11と、吸収器12と、蒸発器13と、凝縮器14とを備え、両者間で微細吸着剤分散吸収液3を循環させるために、再生器11から吸収器12へと向かう管路15aと、再生器11から吸収器12へと向かう管路15bとを備えている。
熱交換器型吸収器20は、また、これら4つの部分間に冷媒である水5を循環させるための、再生器11から凝縮器14への管路15cと、凝縮器14から蒸発器13への管路15dと、蒸発器13から吸収器12への管路15eとを備えている。こうして、再生器11で100℃以下の排熱が利用され、蒸発器13において、5℃程度の冷却水を得ることができる。
このような構成の熱交換器型吸収器20において、微細吸着剤分散吸収液3を用いた場合の吸収液スラリー1Sによる性能向上効果を図2(a)のP−T線図より説明する。黒太点線の操作範囲が一般的な吸収液単独操作になり、黒太一点鎖線線の操作範囲が本発明の吸収液スラリー操作になる。また、黒細点線が純水の場合を示している。
また、黒色の実線が結晶化線であり、吸収液スラリー操作の場合、DからAの間つまり再生器11から吸収器12へ移動する間で結晶スラリー化する。そして吸収過程では、水蒸気を吸収するにつれ、結晶も溶解するため、吸収液スラリー1Sがほとんど濃度低下せず、高い濃度で操作できる。
したがって、吸収器12の飽和蒸気圧と蒸発器13の飽和蒸気圧の差を大きくしたまま操作できるため、水蒸気吸収能力を向上させることができ、非特許文献1に記載されたように、約3倍の水蒸気を吸収することができる。
図3(a)は本発明の微細吸着剤分散吸収液のスラリー状態を示す図、(b)は、吸着剤を分散させない吸収液の過飽和結晶状態を示す図である。通常、吸収液にゼオライトを分散させていない場合は、過飽和状態になると、図3(b)のように大きな結晶1Cが生成し、流路の閉塞に伴うトラブルが発生する。
しかし、本発明では吸収液にゼオライトを分散させた微細吸着剤分散吸収液3を用いることにより、このゼオライトが結晶核となり微細な結晶が生成し、図3(a)このような吸収液スラリー1Sとなり流動性を示し、吸収式サイクル操作が可能となる。
本発明の開発過程では、吸収液スラリーの粒度分布および粘度を測定し、スラリーの状態を確認した。次にゼオライト分散吸収液の液膜伝熱試験を行い、ゼオライトが吸収液の総括熱伝達係数に与える影響について分析した。最後に理論解析を行い、解析の妥当性を伝熱試験結果と比較検討し、吸収液スラリー濃度低下抑制効果および水蒸気吸収能力向上効果について評価した。以下、図面を用いて、より詳細に説明する。
図4は、本発明の吸収液スラリーの粒度分布を示すグラフで、吸収液スラリー粒度分布測定の結果を示している。測定装置はレーザー解析/散乱式粒度分布測定装置、堀場LA−920型を使用した。条件は、高温状態でLiBr濃度63.4%、ゼオライト分散濃度5.56%を混合し、常温まで下げ、吸収液スラリーを生成した。また、測定中の温度は25℃であった。
点線がゼオライト2単独の粒度分布、実線が吸収液スラリー1Sの粒度分布を示している。測定した吸収液スラリーの粒度は10〜200μm、メジアン径は57μmとなり、十分小さい結晶が確認できた。また、すべてのゼオライト粒子をメジアン径である7.09μmと仮定して、1つの粒子に析出する結晶LiBr量を算出し、そのときの粒度を理論粒度とした。このときの値は7.45μmになった。
ゼオライト結晶のメジアン測定値が57μmと理論粒度より大きくなっているが、実際には複数のゼオライトに結晶が析出して1つの粒子を形成または複数の方向に異方的に結晶成長したためと考えられる。
図5は、本発明の結晶スラリーの粘度測定の結果を示すグラフである。測定装置は回転粘度計を使用した。LiBr濃度63.4%、ゼオライト分散濃度5.56%の吸収液スラリーを使用している。この吸収液スラリーを温度変化させることで固体結晶LiBr量を変えている。
グラフは、黒四角が結晶のないゼオライトを分散した吸収液、黒ダイヤがLiBr結晶がある吸収液スラリーとなっており、横軸は溶液1kgあたりに析出する固体結晶LiBr量、縦軸は粘度となっている。
また、一点鎖線は温度50℃濃度63.4%LiBr溶液単独の粘度、点線は温度20℃純水の粘度を示している。固体結晶LiBr量の増加に伴い粘度も増加する結果となった。また、もっとも粘度が大きくなる20℃のときでも、この程度であれば流動性の影響はそれほどないと考えられる。
なお、微細吸着剤分散吸収液3が溶質スラリー1Sとなった場合の流動性は、図6に示す再生器11のプレート型伝熱体11p(長さ約1m)において約5度傾斜させた場合に端から端まで達するのに、2〜3秒かかる程度の流動性である。
図6は、本発明の熱交換器型吸収器を構成する直行型プレート式再生器の概念的な外観を示す図である。この再生器11は、スラリー状態微細吸着剤分散吸収液あるいは微細吸着剤分散潜熱蓄熱材3と、冷却水5との流れを直交させて熱交換するもので、スラリーの電熱面積を広くでき、熱交換プレート11pの素材をチタンを用いており、また、微細吸着剤分散吸収液あるいは微細吸着剤分散潜熱蓄熱材3によって腐食することがなく、長期間に渡って、吸収器を用いることができる。
図7は、本発明の熱交換器型吸収器の解析モデルの妥当性を示すグラフで、解析モデルの妥当性を伝熱試験結果と比較検討をした。条件はゼオライト分散濃度2.65[%]、流量9.0[ml/s]で行った伝熱試験入口測定値としている。
グラフの測定点とは伝熱試験の伝熱体11p出口の測定地点を表している。また、実線はLiBr濃度、点線は温度を示しており、各点(丸点、ダイヤ点)が伝熱試験測定値、双方の線が解析結果となる。吸収液の濃度・温度ともに伝熱試験測定値と良好な一致が得られた。また、伝熱面積を1[m]程度まで広げることで、かなり高濃度まで吸収液の再生を行うことができる結果が得られた。
図8は、図7と同じく本発明の熱交換器型吸収器の解析モデルの妥当性を示すグラフであり、各流量別解析を行い、解析値と測定値の相対誤差を確認したものである。条件はゼオライト分散濃度2.65[%]で行った伝熱試験の各流量別入口測定値を解析条件としている。
相対誤差はグラフ中に記載の式から求めた。丸点がLiBr濃度、ダイヤ点が温度の相対誤差を表している。同モデルは相対誤差3%以内の精度が可能であることから、妥当なモデルであると考えられる。
図9は、本発明において、LiBr濃度分布が水蒸気吸収に与える影響についての条件と解析結果を示す図である。吸収液が吸収器をワンスルーで液膜流下したときの解析を行っている。条件は図で示した通りにした。
この図9において、「hc」は伝熱面を通しての熱伝達係数,「km」は蒸気移動の物質移動係数のことです。前者は,単位伝熱面積当たりの伝熱速度qは,2流体の温度差をΔTとしたとき,q=hcΔTで与えられ,このときの係数を意味しています。後者は,吸収液からの水蒸気の蒸発または吸収液への液表面積当たりの蒸気吸収速度をm,吸収液表面の平衡蒸気圧をPa,水側の平衡蒸気圧をPwとしたとき,m=km(Pa-Pw)で定義される係数kmのことを示す。
解析結果は、横軸がプレートの流れ方向面積を示しており、縦軸は濃度分布、水蒸気吸収量を示す。実線が吸収液スラリー1S、一点鎖線がゼオライト分散吸収液3、点線が吸収液2単独を示している。
ゼオライト分散吸収液3はゼオライトによるLiBr脱着効果だけの影響となる。吸収液スラリー1Sの濃度が低下しないのは、水蒸気吸収に伴い結晶溶解している影響であり、常に飽和濃度を維持している。ゼオライト分散吸収液3の吸収能力向上効果は20%増に対し、吸収液スラリー1Sは100%増となった。
以上の結果から、次のことが結論として、導きだせる。
1)吸収液スラリー粒度分布および粘度測定
ゼオライトを結晶核とする過飽和結晶の粒度分布は10〜200μmとなり、十分微細な結晶が生成することが確認できた。吸収液スラリーは吸収液単独と比べ、粘度が増加するが、流動性の影響はそれほどなかった。
2)ゼオライト分散吸収液の液膜伝熱試験
流量の増加に伴い、総括熱伝達係数が増加した。
3)理論解析
同モデルは相対誤差3%以内の精度が可能であることが分かった。水蒸気吸収能力向上効果は、吸収液単独と比較した場合、ゼオライト分散吸収液は20%増に対し、吸収液スラリーは100%増となった。
したがって、本発明の微細吸着剤分散吸収液によれば、再生器吸収能力は、すくなくとも2倍以上向上した。また、この微細吸着剤分散吸収液を用いた熱交換器型吸収器では、上記微細吸着剤分散吸収液の効果を吸収器として発揮する。更に、本発明の熱交換器型吸収器を構成する再生器であって、冷媒である水と吸着剤混和飽和溶液状態との間で熱交換する部分を直交型プレート式とし、その素材としてチタンとした場合、スラリーの伝熱面積が増加するとともに、微細吸着剤分散吸収液による腐食が発生しないことが確認された。
また、吸収液溶質塩基吸収液、微細吸着剤分散吸収液、吸着剤混和飽和溶液状態の濃度や粒度が具体的に確認され、本発明の産業的意義が具体的により明確となった。これらの機能、作用効果は、本発明の微細吸着剤分散潜熱蓄熱材にも適用可能であることが解った。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、循環サイクルを逆方向とすることで、5℃程度の水から、100℃に近い水を、余分なエネルギーを要することなく、得ることができる。また、特許請求の範囲に記載した範囲で自由に変更して実施することができる。
また、熱交換器型吸収器の再生器は、ここではプレート式としたが、管式や、ラジエータ式であってもよい。また、プレート形状の伝熱体の傾きは、試験装置では、4.57度であったが、実用器では、90度近くとしてもよい。
また、プレート式の再生器は伝熱性能の向上を目的としており、流動性とは関係はない。スラリー化は、液中に固体結晶を含んでいても、液体と同様の挙動を示すため、装置内を閉塞せずに吸収液を流すことができることが重要なポイントとなる。したがって、どこでも液と結晶を流通させることができる。スラリー化しないと、吸収液そのものは液状態であるが、伝熱管のみならず、配管やプレート表面に固体結晶が成長して流路を塞ぐことになるので、スラリー化することが重要である。
本発明の微細吸着剤分散吸収液または微細吸着剤分散蓄熱材は、ここに示したヒートポンプ以外に、例えばスラリー技術をシャーベット状にした氷による蓄冷やPCM(相変化蓄熱材)への応用が可能であり、また、本発明の熱交換器型吸収器は、100℃以下の排熱から、5℃程度の冷熱が必要とされる化学工業分野に、また、逆に、5℃程度の冷熱から、100℃以下程度の熱源が必要とされる産業分野に利用することができる。

Claims (3)

  1. 微細吸着剤分散吸収液または微細吸着剤分散潜熱蓄熱材であって、塩基/HO系吸収式ヒートポンプ(AHP)に用いられる吸収液、及び氷蓄冷または蓄熱用の相変化潜熱蓄熱材(PCM)であって、吸収液溶質である塩基性吸収液に微細粒である吸着剤(粒子径0.1μm以上10μm以下)を1%以上20%以下分散させた微細吸着剤分散吸収液または微細吸着剤分散潜熱蓄熱材。
  2. 熱交換器型吸収器であって、請求項1の微細吸着剤分散吸収液または微細吸着剤分散潜熱蓄熱材を用いることで、機能的マイクロカプセル化したLiBr系のような塩基性吸収液の溶質結晶の粒子径が、10μm以上200μm以下の範囲のものとなり、冷媒が結晶固形化せず、スラリー化し、吸着剤混和飽和溶液状態で流動するようにした熱交換器型吸収器。
  3. 熱交換器型吸収器を構成する再生器であって、冷媒である水と微細吸着剤分散吸収液あるいは微細吸着剤分散潜熱蓄熱材との間で熱交換する伝熱体を直交型プレート式とし、その素材としてチタンを用いたことを特徴とする請求項2記載の熱交換器型吸収器。
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