JP5352237B2 - 病原体検出バイオセンサー - Google Patents
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Description
本出願は、2001年2月7日に出願された米国仮出願第60/266,977号の恩恵を主張し、2002年2月6日に出願され、かつ英語で公開された国際出願第PCT/US02/03606号の米国国内段階であり、2004年1月16日に出願された米国継続出願第10/467,242号であり、2004年12月1日に出願された米国継続出願第11/001,583号である。
本発明は、米国空軍契約書番号F19628-00-C-0002からの政府基金によって行われた。政府は本発明における特定の権利を有する。
長時間で環境をモニターすることができる、小さく、速くて感度の高い生物学的物質(agent)の検出器の必要性が生物学的兵器および化学的兵器、悪い人間の核兵器の増加によって強調される。戦場条件下で、有用な検出器は、代替測定が迅速に提供され得るように特定の生物学的または化学的物質が検出される場合に兵士に迅速に警告する。
標的粒子を検出する方法が本明細書に提供される。特に、生物学的物質、病原体、細菌、ウイルス、可溶性抗原、毒素、化学物質、爆発性物質、核酸配列(例えば、DNAまたはRNA)、植物病原体、血液保有病原体等を検出する方法が提供される。
特許または特許出願書類は、カラーで描かれた少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を有する本特許または特許出願公開公報のコピーは、請求および必要な費用の支払いの際に庁より提供される。
本明細書に記載される本発明は、可溶性抗原を検出する方法を提供する。例えば、可溶性抗原は、可溶性タンパク質または化学物質であり得る。一態様において、可溶性抗原は、1つまたは2つだけの抗原エピトープを含む。細胞表面に発現した抗体を用いた可溶性抗原の検出によって、抗体の抗原への結合がカルシウム濃度の増大を誘発し、次に細胞内カルシウムの増大に応答して光子を放出するエミッター分子を刺激することは、抗原が細胞表面で抗体と架橋(または、凝集し、細胞表面に抗体を固定化する)する能力に依存し、それによって細胞内カルシウムの増大を刺激する。可溶性抗原は、細胞表面に発現する抗体を架橋する点で非効率であり得るので、細胞内カルシウムの増大を刺激する点で非効率である。抗体の架橋が記載される方法で達成され、細胞内カルシウムの増大を刺激し、カルシウム濃度の増加に応答するエミッター分子からの光子の放出を生じる、可溶性抗原を検出する方法を本明細書に記載する。
エミッター細胞(本明細書でセンサー細胞またはCANARY細胞とも呼ばれる)は、適切なレセプター、シグナル伝達経路、およびシグナル出力法を有する、任意の原核生物細胞または真核生物細胞であり得、天然、遺伝子改変または化学物質付加のいずれかによってであり得る。細胞は機能的レセプター、シグナル伝達経路、およびシグナル出力法を有することを条件として、細胞は人工ユニットまたは非生存ユニットであり得る。抗原レセプターの抗体等への結合の際に、細胞は細胞質にカルシウムイオンを移動させる。本発明のデバイスおよび方法に有用な細胞の例は、1つ以上の表面結合モノクローナル抗体を発現するように遺伝子改変され得るB細胞(すなわち、顎骨を有する冷血または温血脊椎動物に由来するB細胞)である。デバイスに有用な細胞の別の例は、細胞表面でFcレセプターを発現するヒト細胞株U937 等のマクロファージ細胞である。抗原は、標的への抗体の添加によって抗体に結合し得、この抗原-抗体複合体が細胞のFcレセプターに結合し、細胞内カルシウムの増大となるシグナル伝達を刺激する。
オリジナルの細胞型が何であれ、モノクローナル抗体の抗原結合可変領域は、一般供給源からのDNA配列またはハイブリドーマ細胞株からのRT-PCRによるクローニングされるDNA配列のいずれかとして得られ得る。RT-PCRは5’末端で可変領域のリーダーまたはフレームワーク領域のいずれか、および3’末端で定常領域にアニーリングするように設計されるプライマーセットを用いて達成される。
のいずれかが、表面モノクローナル抗体を生成する細胞を作製する目的に適用され得る(例えば、Current Prtocols in Immunology, 上掲;Galfre ら, Nature 266:55052, 1977;Kenneth, In Monoclonal Antibodies:A New Dimension In Biological Analyses, Plenum Publishing Corp., New York, N.Y.,1980;およびLemer, Yale J Biol Med 54:387-402(1981)を参照)。さらに、当業者は、有用であるかかる方法の多くのバリエーションがあることを認める。
所望の物質の細胞表面レセプターへの結合は、細胞内でシグナル伝達経路を誘発する。好ましいシグナル伝達経路は、B細胞、T細胞、肥満細胞、マクロファージ、および他の免疫細胞に見出される二次メッセンジャーカスケードであり、細胞表面レセプターの架橋はチロシンキナーゼを活性化し、次にホスホリパーゼCをリン酸化し、次にホスファチジルイノシトール4,5-ビスフォスフェート(PIP2)をイノシトール1,4,5-トリホスフェート(IP3)およびジアシルグリセロールに切断し;IP3は次にカルシウムチャンネルを開き、小胞体等の細胞内保存からカルシウムを放出するか、または細胞外にカルシウムを放出し、細胞の細胞質のカルシウム濃度を上昇する。レセプター型、細胞型、および所望のシグナル伝達法に依存して、G-タンパク質-アデニリル-サイクリックcAMPプロテインキナーゼAカスケード等の代替二次メッセンジャーカスケードが使用され得る。
1つ以上の抗原またはタグは、既知の抗原性エピトープを提供するため、分子に付加(本明細書ではコンジュゲートされるともいう)され得る。例えば、1つ以上の抗原がオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされ得、既知の抗原性エピトープを有する抗原-コンジュゲートオリゴヌクレオチドが作製され得る。抗原-コンジュゲート分子は、1つの抗原または同じか(of)異なるかのいずれかである多数の抗原を含み得る。例えば、限定されないが、検出のための分子にコンジュゲートされる抗原またはタグとしては、ジゴキシゲニン、ジゴキシン、ホスホコリン、フルオレセインまたは他のフルオロフォアおよびビオチンなどの小抗原、ならびにHIS、VSV-G、FLAG、およびC(AAKK)マルチマー(Corey、J. Am. Chem. Soc、(1995)117:9373-4に記載のような)などのペプチドが挙げられる。
従来のDNAおよびRNAプローブに加え、種々の修飾核酸が、配列特異的様式で標的核酸配列にハイブリダイズすることが示されている。これらとしては、ペプチド核酸(PNA)(Nielsenら、(1991)Science 254:1497-1500)、Bis-PNA(Griffithら、(1995)J. Am. Chem. Soc 117:831-832)、テイル-クランプ(Tail-clamp)PNA(Bentin (2003)Biochemistry 42:13987-13995)、PDループ(Bukanovら、(1998)PNAS 95:5516-5520)、偽相補塩基を組み込むPNA(Lohseら、(1999)PNAS 96 (21)11804-11808)、またはロックされた核酸(BraaschおよびCorey (2001)Chem. Biol. 8:1-7)が挙げられる。種々のこれらの修飾核酸は、ハイブリダイゼーション特性、安定性、親和性および特異性が異なる(have differ)ことが示されており、従来のDNA オリゴヌクレオチドの代わりに使用され得る(BeckおよびNielsen、pp. 91-114、Artificial DNA:Methods and Applications. CRC Press、Y.E. KhudyakovおよびH. A. Fields編に概説)。カチオンタンパク質、ペプチド、またはDNA結合タンパク質の結合は、ハイブリダイゼーション反応速度論を改善することが示されている(Corey (1995)J. Am. Chem. Soc 117:9373-9374;Zhangら、(2000)Nuc. Ac. Res. 27 (17)3332-3338)。
オリゴヌクレオチドは、特異的核酸配列を同定し得る唯一の分子ではない。タンパク質もまた、かかる識別ができ、エミッター細胞の表面上に発現され得、結合されると、カルシウム応答を開始する細胞質ドメインに組換えによって結合され得る。これには、例えば、抗体のFc部分に結合された核酸結合タンパク質が含まれる。エミッター細胞の表面上での核酸結合タンパク質の発現は、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション前に二本鎖核酸を変性させなければならないことを排除し、さらに、該系は、必要な成分全てを生じ、外因的に合成されるオリゴヌクレオチドは必要とされない。可能な配列特異的DNA結合タンパク質としては、(1)DNA制限酵素(好ましくは、DNA切断触媒部位が除去または不活性化された、例えば、L. F. Dorner & I. Schildkraut (1994)Nucl. Acids Res. 22、1068-1074);(2)転写因子または他の特異的DNA-またはRNA結合タンパク質、特に目的の病原体または生物の特有DNAまたはRNA配列を認識するもの(例えば、HIV TAT転写因子:C. Brigatiら (2003)FEMS Microbiology Letters 220、57-65;ポックスウイルス転写因子:S. S. Broyles(2003)Journal of General Virology 84、2293-2303)が挙げられる。かかるレセプターを有するエミッター細胞は、特異的反復配列あるいは2つ以上の特有配列のいずれかを有する標的DNA/RNA上に架橋するように設計され得る。
検出には必要ではないが、沈降可能なまたは固相支持体上での標的核酸配列の捕捉は、アッセイ感度を改善し得る。単鎖DNA標的は、例えば、ストレプトアビジンコートポリスチレンまたは常磁性ビーズに結合されたビオチン標識捕捉オリゴヌクレオチドを用いて捕捉され得る。捕捉された物質は、適宜遠心分離または磁場への曝露によって未結合物質から分離され得る。ビーズへのオリゴヌクレオチド結合における中間結合反応(アビジン-ビオチン)の使用は、オリゴヌクレオチドを固相支持体に結合する直接コンジュゲーションを含む任意の相互作用が使用され得るため、必要となり得ない。また、捕捉オリゴヌクレオチドが結合され得る任意の固相支持体が十分である。これは、特異的捕捉オリゴヌクレオチドがアレイの特定の位置に配置される2次元アレイの形態であり得る。あるいは、標的核酸配列は、非特異的様式(例えば、イオン交換樹脂、沈殿、ヒストンまたはプロタミン結合)で捕捉され得る。標的捕捉はまた、標的核酸配列を濃縮する、および/またはアッセイ干渉を除去する。
エミッター細胞刺激は、エミッター細胞に対して多価のようである抗原に依存する。一般に、これは、少なくとも2つの方法で達成され得る。第1に、多コピーの抗原が標的分子に結合され得る、例えば、多抗原コンジュゲートオリゴヌクレオチドを標的核酸配列にハイブリダイズさせ得る。第2に、各々に単一の抗原が結合された数コピーの標的核酸配列が互いに結合され得るか、または互いに近接して結合され得る (例えば、ビーズに結合される)。この例では、個々の標的核酸配列は、多価ではないが、多コピーの標的核酸配列が結合されたビーズが多価抗原を提示する。
本発明における使用に適した反応チャンバは、エミッター細胞および候補粒子が互いに混合され接触され得る任意の基材または容器であり得る。1つの態様において、反応容器は遠心チューブ(例えば、微小遠心管またはエッペンドルフチューブ)である。本明細書に記載のように、遠心分離は、最初に候補粒子またはエミッター細胞をペレット化するための特によく適合された手段であり、後に、他のものがこの最初のペレットに運ばれる。粒子および細胞の両方のペレット化をさらに増大させるため、チューブの側壁は、側壁にエミッター細胞が接着するのを妨げるため、ウシ血清アルブミンなどの非粘性担体タンパク質でコートされ得、チューブの底面は、標的粒子がチューブの底面に接着したままであることを確実にすることを補助するためにポリ-L-リジンでコートされ得る。細胞接着を妨げるか促進するかのいずれかである他のタンパク質または分子は、細胞生物学の技術分野で公知であり、本発明における使用に適切である。
異なるデバイスを用いて例えば、空気から試料が回収され得る。一般に、空気サンプリングデバイスは、中もしくは側を空気またはガスが通過する液体を含む、または空気もしくはガスが通過する際に微粒子(例えば、標的粒子)を捕捉する多孔質フィルターを含む回収チャンバを有する。液体を含む回収チャンバでは、回収液体は、遠心分離され得るか、またはそうでない場合は、液体から粒子が分離されるように処理され得る。分離された粒子は、次いで、反応チャンバ内に堆積される。フィルター(例えば、ニトロセルロース)を含む回収チャンバでは、フィルターまたはフィルターの一部が反応チャンバとしての機能を果たし得る。あるいは、粒子は、フィルターから洗浄され得るか、またはフィルターが溶解され得るか、またはそうでない場合は、粒子から除去され得る。フィルター回収チャンバはまた、フィルター中を流れる液体(例えば、水供給試料または脳脊髄液)から粒子が回収されるように適合され得る。また、上記のように、液体試料は、液体中に存在する任意の微粒状物質を除去するために遠心分離され得る。種々のサンプリング装置が公知であり、本発明での使用に利用可能である。SKC BioSampler(登録商標)および他のサンプリングデバイスを販売しているSKC, Inc.を参照のこと。
エミッター細胞と候補粒子との間の接触を容易にするため、検体回収器または反応チャンバの一部として、異なる機構(遠心分離以外)が実装され得る。例えば、バイオエレクトロニクスデバイスにおける電気泳動、等電点電気泳動法、誘電泳動(dielectrophoresis)、磁気タグ化粒子などの使用が、本発明のシステムに統合され得る。例えば、Nanogen、Inc.に付与された米国特許第 6,017,696号および他の特許;Goaterら、Parasitology 117:S177-189、1998;ならびに米国特許第5,512,439号および同第4,910,148号ならびにDynal ASに付与された他の特許を参照のこと。
以下の実施例の各々において、特に記載のない限り、試料は、短期間の細胞寿命および機能と適合性であり、おそらく標的粒子を含有する(しかし、以下の記載では粒子の存在を仮定する)水溶液のアリコートであることが仮定される。水性試料は、環境試料、臨床試料、空気試料から液体試料、洗浄スワブ試料または他の試料から得られ得る。空気試料は、駆動空気流(空気サンプラーまたは表面収集)、静電的捕捉または沈降した空気媒介粒子から得られ得る。細胞に対する言及は、その寿命および機能と適合性の水性培地中のエミッター細胞を意味すると理解されるべきである。接触させる粒子および細胞は、1つ以上の光子の放出をもたらすことが仮定される。単一またはアレイ光子検出器は、試料および細胞が混合されるチャンバの外部に存在し、チャンバ外部または内部のいずれかに、放出された光子を捕捉および検出を増強するためのさらなる光学部材(鏡、レンズ、光導波路など)が存在し得る。チャンバは、一部もしくは全体が透明であること、または放出された光子が検出器に達することを可能にする別の手段を有することのいずれかが仮定される。本発明の具体的な態様のさらなる記載を実施例に示す。
試料はチャンバ内で、粒子が沈降するのに十分な時間、遠心分離され得る。チャンバには、粒子を乱すことなく細胞が導入され得、粒子上に沈降させるために短時間で遠心分離され得る。光子検出は、スピン中または、より典型的にスピン後に行なわれ得る。
試料と接触しているその表面の一部が、試料中に存在し得る粒子を特異的または非特異的結合相互作用を介して結合および保持し得るように修飾されるマイクロ遠心チューブ、マルチウェルプレート、フィルターユニット、または他の適当なデバイス内に、試料が導入され得る。非特異的結合は、静電的/イオン交換相互作用、疎水性相互作用、親水性相互作用などを介して促進され得る。特異的結合は、粒子上の基質に結合する成分(例えば、抗体、受容体、糖タンパク質、タンパク質、ペプチド、炭水化物、オリゴヌクレオチドなど)を表面に固定化することにより、または粒子の表面上の受容体によって結合される成分(小分子、ペプチド、タンパク質、炭水化物など)を固定化することにより促進され得る。
表面上への親和性捕捉と同様だが、粒子は、本明細書に記載のものを含む種々の方法によって粒子または細胞を移動および/または局在させるためのさらなる手段を提供する移動性基材 (ポリマービーズ、細胞、帯電分子、磁気ビーズ、細菌など)に結合される。
エミッター細胞は、浅いフローセルに導入され、底面表面への結合が許容され得る;非付着細胞は、さらなるフローによって除去され得る。試料が導入され、細胞培地のほとんどを交換すると、粒子は、結合細胞上に沈降し得る。光子は、粒子接触細胞として放出される。
フローセルと同様、異なる標的粒子に感受性のエミッター細胞の異なる領域を有する。どの細胞が刺激され、したがって、どの標的粒子が試料中に存在するかの同定を可能にする画像化検出器による光子検出。
これは、フローセルと類似する。適切な磁気ビーズを試料と混合し、標的粒子がビーズに結合するのを可能にする。これらの修飾ビーズはフローセルに導入され、ここで、強力な局所磁場(永久磁石または電磁石による)により、結合された細胞上の表面に捕捉され得る。混合は、磁力を除去し、ビーズが細胞上に沈降することを可能にするか、または磁力を移動させてビーズを細胞が結合された表面に引き付けるかのいずれかによって開始され得る。
フローセルと同様、細胞が結合される表面およびそれに平行であって別の電極である表面(そのうち少なくとも1つは透明であり得る)を有する。試料が導入され得、細胞培地のほとんどを交換する。適切なDC電圧が電極と粒子との間に印加され、粒子が電気泳動によって結合された細胞に移動される。
おそらく標的粒子を含有する空気試料は、硬質または可撓性(例えば、テープ)、多孔質または非多孔質であり得る透明な表面上に衝突され得る。吸収性物質または芯材は、衝突領域周囲に、多孔質表面の場合は、表面の反対側に結合され得る。細胞は衝突領域上に配置され得、芯材により、過剰の培地が吸収され、細胞を含む、培地容量および深さが減少し、細胞を粒子に近づける。細胞は衝突された粒子上に沈降するか、またはさらに表面が後方に芯材物質を有する多孔質である場合、フローによってそれらに引き寄せられる。
おそらく標的粒子を含有する空気試料は、遠心分離に適した(固定され最初は空の)チャンバ内に衝突され得る。細胞は粒子を乱すことなくチャンバに導入され得る。短時間で遠心分離され、粒子上に沈降する。光検出は、スピンなし、スピン中またはより典型的にスピン後に行われ得る。
チャンバおよび適当なフィルター(WhatmanTM、Mini-UniprepTMまたは同様のもの)を有するプランジャーからなる改良された無シリンジフィルターデバイスに、チャンバの底面表面に結合するようにされた細胞が負荷され得る;未結合細胞は洗浄除去され得る。試料は、適当な表面親和性で磁気ビーズとともにチャンバに導入され得る。適当な磁石が内部に挿入され、フィルターの裏側付近に固定された改良プランジャーは、捕捉された空気がフィルターを通って排出されるまで、チャンバに挿入され得る。このアセンブリは逆さにされ得、(ビーズがフィルターの表面上に沈降することを可能にする時間後におそらく)チャンバは、プランジャー上に押し下げられ得る。磁気ビーズおよび粒子は、濾過、沈降および磁気引力によってフィルター表面上に蓄積され得る。粒子は、磁気ビーズに結合され得るか、またはビーズ間に捕捉され得る。アセンブリを再度逆さにすると、磁気ビーズによって粒子は細胞から離れて保持され、次に、プランジャー内部の磁石によって保持される。その磁石を除くと、ビーズおよび粒子が放出され、短い間隔を超えて細胞上に沈降する。
細胞の1つ以上の層が、チャンバの底面の適当なフィルターまたは膜の表面上に沈降することが許容され得る。試料は、細胞上部のチャンバに導入され得、圧力が負荷され得る(例えば、プランジャーまたは外部ポンプによって)。試料が流れて細胞を通過するにつれ、これらは十分接触し、粒子は、細胞の近接した範囲内にもたらされ、接触が可能になる。
細胞の1つ以上の層は、「セル」チャンバの底面の適当なフィルターまたは膜表面上に沈降することが許容され得る。試料は、いくつかのフローチャネルによってフィルターの下方の点のセルチャンバに接続された別個の「試料」チャンバ内に配置され得る。チャンバは、互いに対して、遠心機内で、試料チャンバは回転軸に近く;試料チャンバ内の流体のレベルは、セルチャンバ内の流体よりも回転軸に近くなるように配列され得る。この手段によって、遠心機の回転中、流体は、回転軸からの共通の間隔を求めてチャンバ間を流れる。これは、試料の一部を、外向きの遠心力による流れに対して保持された細胞および通過細胞を支持するフィルターを介して上方に押し上げ得る。試料が流れて細胞を通過するにつれ、これらは十分接触し、粒子は、細胞の近接した範囲内にもたらされ、接触が可能になる。
試料は、適当なサイズカットオフを有する遠心チューブフィルターのフィルターバスケットに導入され得る。適切な遠心分離条件下では、試料をフィルターに強制通過させると、フィルターのカットオフサイズより大きい粒子が、フィルターの表面上に蓄積される。細胞は、フィルターバスケットに添加され得、短時間の遠心分離が与えられ、フィルター表面および粒子上にもたらされる。
フローセルと同様だが、任意の表面上に、またはフローセル内に突出している適当な電極を有する。試料は、外部電源に接続され得、電気的に駆動され得る電極を通過する連続的な流れによって導入され得る。流速、周波数、波形および振幅の適当な組合せで、粒子は、負の誘電泳動によって、細胞上方の最小電場強度の領域内に誘導され捕捉され得る。流れを停止させ、電極に対する電気的な駆動(場合によっては、電気泳動力を作出するための一部の電極間に対するDC電圧を含む)を変更した後、粒子は、結合細胞上に沈降するか、または(電気泳動または正の誘電泳動によって)運ばれ得る。
浅い柱状チャンバでは、適当な電極(場合によっては透明な)が、粒子を収集するための中心の平面電極、周縁部周囲の電極、および1組のスパイラル電極(中心的な1つとして同じ表面上、または反対表面のいずれか)を含む、平行な面の一方または両方に作製され得る。試料はチャンバに導入され得、DC電位が周辺電極および中心電極間に印加され、粒子が電気泳動によって中心電極に引き付けられ得る。液体の交換によって、細胞はチャンバに導入され得る。スパイラル電極を適切な位相シフトAC電圧でエネルギー供給すると、細胞が進行波誘電泳動によって中心に運ばれ得、そこで、粒子上に沈降し得る。
遠心沈降による粒子の局在中、標的粒子とエミッター細胞との間の分離を維持するため、電気的に作動される溶解可能な金膜が利用され得る。いずれかの粒子は、細胞上方の膜上に沈降され得るか(図20に示すように)、または細胞は、別個のチャンバ(場合によっては挿入体)の底面に広がる膜によってチャンバの底面から離れて保持され得る。いずれの場合も、膜が電気的活性化によって溶解された後、粒子および細胞は、沈降、場合によっては遠心によって混合される。
粒子の濃縮は、音響または超音波シグナルを用いて達成され得る。粒子は、サンドウェーブパターン内の節に蓄積され得るか、または進行波パターンによって移動され得る。細胞はまた、このようにして移動され得るか、または上記のいくつかの手段のいずれかによって送達され得る。
一価抗原を検出するためには、2つの一般的な戦略の1つを用いて、表面抗体の架橋を誘導することが必要である。最初に、細胞表面上の2つの独立した結合部位が、2つのレセプター分子が単一のリガンドに結合し得るように発現され得る。あるいは、リガンドが多価と思われる様式で細胞に提示されている場合は、1つの結合部位が細胞表面上で発現され得る。以下は、抗体-抗原認識のモデルを用いる具体例である。
標的粒子の架橋は、任意の公知の手段によって達成され得る。例えば、架橋は、1つ以上の中間物質またはペプチド、抗体、化合物、抗体、ビオチン、ストレプトアビジンなどの分子を用いて達成され得、また、架橋は、共有結合または非共有結合によるものであり得る。また、架橋方法としては、当該技術分野で公知の沈殿またはリガンド、抗体もしくは化学的官能基による固相への結合が挙げられる。
以下は、B細胞混合物が検出チャネル(チューブなど)の数を増やすことなく検出可能な抗原の数を増加させるためにどのように使用され得るかの記載である。多数の被検体を検出するための最も簡単な方法は、検出チャンネル1つに対して単一のエミッター細胞型を使用すること、および検出チャンネルの数を増加することにより細胞アッセイの数を増加することである。これは、少数のアッセイには許容され得るが、添加される被検体の数が増えるにつれて、プロセスはより複雑になり、資源集約的になる。しかしながら、異なるB細胞株が一緒に混合される場合、5-チャンネルのみのシステムにおいて共通の陰性対照を用いて、31までの試験を行なうことが可能である。
例えば、
3つのB細胞株:A,B,Cを有し、2つのチャンネルに混合する場合、
2つは、チャンネル1:A、B チャンネル2:B、C
を含む。
細胞アッセイ数=2n-1(式中、nはチャンネルの数である)であり、各チャンネルで混合される必要がある細胞アッセイの数は、2(n-1)で示される。
図1は、本発明の一般的な細胞成分を示す概略図である。エミッター分子(ここでは、エクオリン)を含有する細胞(ここでは、B細胞)は、その表面上に存在する抗体を有する。これらの抗体は、生物学的兵器物質などの標的粒子上の抗原に特異的である。B細胞上へ抗体への標的粒子の結合により、2種類以上の抗体を細胞表面上で互いに接近させ、細胞内貯蔵から細胞質へのカルシウムの放出をもたらすシグナル伝達カスケードが引き起こされる。細胞質カルシウム濃度におけるこの増加は、エクオリンに光子を放出させる。次いで、光子は捕捉され、CCDなどの光電子増倍デバイスによって記録される。したがって、細胞バイオセンサーは、機能的表面抗体を有し、増大したカルシウム濃度に応答する細胞質エミッター分子を含有する細胞を用いて実行され得る。
方法および材料
細胞培養およびトランスフェクション
M12g3R細胞を37℃で5%CO2の加湿雰囲気において、10%ウシ胎児血清、1-mM ピルビン酸ナトリウム、2-mM L-グルタミン、100-μM非必須アミノ酸、50-μM 2-メルカプトエタノール、50-μg/mlストレプトマイシンおよび50-U/mLペニシリン(Life Technologies)を補充したRPMI 1640中に維持した。細胞をエレクトロポレーション (270 V、950μF)により線状化pCMV.AEQ.IRES.NEO [11](20μgのDNA/107細胞)でトランスフェクトし、1-mg/mL G418中で2週間選択した。抗生物質耐性細胞を、10μMコエレンテラジン(Molecular Probes)を有する成長培地中で2時間室温でインキュベートし、ホイルで覆い、2回洗浄し、成長培地中に再懸濁した。ルミノメーターにおいて抗マウスIgM F(ab')2に応答した光子放出について細胞をスクリーニングした。
軽鎖発現ベクターVKExpressは、ヒト伸長因子1α(EF-1α)プロモーターの制御下のマルチクローニング部位(MCS)のヒトκ遺伝子下流の定常領域を含む。
RNAを、製造業者の推奨に従って、Trizol試薬(Life Technologies)を用いて抽出し、第1の鎖合成を、Retroscriptキット(Ambion)を用いて行なった。PCRは、5'末端のリーダー配列またはフレームワーク領域および3'末端の定常領域またはフレームワーク領域にアニーリングするように設計されたプライマー組を用いて行なった。発現ベクターへの可変領域のクローニングは以下のようにして行なった。該配列を含むプライマーを用いてPCRによってApaL IおよびBamH I制限部位を軽鎖可変領域の5'および3'末端に付加し、VKExpress内にクローニングした。重鎖可変領域(VH)を、HAおよびmycタグを除去するための2工程プロセスでpDisplay-CμM内にクローニングした。最初に、重複伸長PCRを用いて、VHをCμMの最初の300塩基対(bp)に融合すると同時に、Bgl II制限部位を5'末端に付加した。挿入物をBgl IIで消化し、また、これを定常領域の293bpの位置で切断し、同じ酵素で消化したpDis-CμM内にクローニングした。第2の重複伸長産物により、VHをIgκリーダー配列に融合させ、これを、Kpn IおよびBgl II部位を用いてそこにクローニングした。続いて、本発明者らは、両方のタグを除去する単一のクローニング工程を可能にするために、リーダーのすぐ後にBgl II部位を有するpDisplay-CμMベクターを作製することにより、このクローニングプロセスを変形した。
2%DMSOが添加された成長培地中でのインキュベーションによって、5 x 105細胞/mLの濃度で、ルミネッセンスアッセイのためのB細胞を調製した。20〜24時間後、細胞を50-μMコエレンテラジン(Molecular Probes、Eugene、OR)を有するアッセイ培地[CO2-独立培地、10%ウシ胎児血清、50-μg/mlストレプトマイシン、50-U/mlペニシリンおよび250-ng/mLアンホテリシンB (Life Technologies)] 中、暗所内で室温で2時間インキュベートした。次いで、細胞を2回洗浄し、1.5-mLマイクロ遠心チューブ内のアッセイ培地中に5 x 105細胞/mLの最終濃度で再懸濁し、一晩室温で回転させた。
エクオリンをGFPに融合させるため、本発明者らは、6アミノ酸リンカー(SGGGSG)に融合された増強されたGFP(EGFP)遺伝子、その後ろにエクオリン遺伝子を含有する構築物を作製した。EGFPを、pEGFP-C1ベクター(BD Biosciences Clontech)からPCRによって増幅し、終止コドンを除去し、リンカー領域を遺伝子の3'末端に付加した。
アンチセンスプライマー:
5'-CCTGATCCACCGCCAGACTTGTACAGCTCGTCC-3'(配列番号:15)。
CTGGCGGTGGATCAGGAATGACCAGCGAACAATA-3'(配列番号:22);
アンチセンスプライマー:5'-TTAGGGGACAGCTCCA-3'(配列番号19)。次いで、EGFPおよびエクオリン遺伝子を、重複領域としての機能を果たすリンカー領域を用いた重複伸長PCRによって一緒に連結した。融合された遺伝子を、次いで、pcDNA3.1-TOPO(Invitrogen)内にクローニングし、配列を確認した。
先端が発泡剤のスワブ(foam-tipped swab)(VWR Critical Swabs)を用いて鼻分泌物を回収し、次いで、表示した量の炭疽菌(B. anthracis)胞子を播種し、400μLのアッセイ培地を含む5μフィルター(Millipore Ultrafree-MC)を含むバスケット内に配置した。胞子をチューブの底面に濃縮する機能も果たす工程である2分遠心分離で、溶出液を1.5-mLマイクロ遠心チューブ内に回収した。遠心分離後、バスケットおよびスワブを除去し、同じチューブ内でアッセイを行なった。
以下の生物:緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、糞便連鎖球菌(Enterococcus faecalis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、カタル球菌(Branhamella catarrhalis)、腸炎菌(Salmonella enteritidis)、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎杆菌(Klebsiella pneumoniae)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、アシネトバクター・ボゥマニイィ(Acinetobacter baumanii)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、コリネバクテリウム・ミヌチシウム(Corynebacterium minutissimum)、アシドフィルス菌(Lactobacillus acidophilus)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、スタヒロコッカス・サプロフィティカス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス群D (Streptococcus group D)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ガードネレラ・バナジリス(Garderella vaginalis)、ゲメラ・モルビロルム(Gemella morbillorium)を、トラコーマクラミジア(C. trachomatis)細胞株との交差反応性について試験した。トラコーマクラミジアの血液型亜型をBiodesign Internationalから得た。
CANARYは、最初にエクオレアビクトリア(Aequorea victoria)クラゲにおいて見出されたカルシウム感受性生物発光タンパク質であるエクオリンを産生するように遺伝子操作されたB細胞を利用する。システムは以下のように機能する。(1)B細胞は、空気試料、血液試料または他の供給源由来の疑われる病原体または他の生物物質に曝露され得る。(2)B細胞は、ある種の生物物質に特異的な抗体を有する。該物質のうちの1つが試料中に存在する場合、それはB細胞の表面上の抗体に結合する。(3) 生物物質によるB細胞の抗体の架橋は、細胞内部でカルシウムを放出する細胞内酵素的カスケードを誘発する。(4)カルシウムの存在下では、エクオリンは、469nmで青緑色の光を放出する。(5)刺激されたB細胞からの光は、光電子増倍管または他の光検出器を用いて検出され得る。
序
本発明者らは、速度および感度の最良の組合せを提供する新規なセンサーを示すが、任意の病原体-同定技術では示されていない。本発明者らのアプローチでは、病原体を同定するため、天然で最適化される免疫系の一員であるBリンパ球を使用する。本発明者らは、B細胞株を、カルシウム感受性生物発光性タンパク質であるサイトゾルのエクオリン、ならびに目的の病原体に特異的な膜結合抗体を発現するように操作した。多価抗原による膜結合抗体の架橋は、シグナル伝達カスケードを誘導し、このカスケードは連続的にチロシンキナーゼ、ホスホリパーゼC、およびイノシトール三リン酸(IP3)を伴う。IP3は、カルシウムチャネルを活性化し、それにより、内部貯蔵および細胞外培地の両方からのサイトゾルのカルシウムを増加させ、これによりエクオリンが活性化され、発光する。本発明者らがCANARYとよぶこのセンサーは、試料を濃縮するのに必要とされる時間を含む<3分間で<50cfuの病原体を検出し得る。対照的に、当該技術水準のイムノアッセイであっても少なくとも15分間かかり、ずっと高い検出限界を有するが、PCRは、非常に特異的で感受性がよいの両方であり得、ほとんどの報告には、>30分間かかるプロトコルが記載されている。9分間だけで5cfuの検出を有する超高速PCRが報告されているが、最も高速の試料調製技術と組み合わせても、アッセイ全体では、終了するのに20〜30分間が必要とされる。速度および感度のその特有の組合せのため、CANARYは、医療診断学、生物兵器防御、食品および水質モニタリングならびに他の適用における病原体の同定に革命を起こし得る。
CANARYアッセイ
ペストを引き起こす細菌である50cfuもの少ないペスト菌は、合計アッセイ時間3分未満で検出される。しかしながら、比較的多数の非関連病原体、野兎病菌に対する応答はない。さらに、圧倒的な量の非関連病原体であっても、50cfuもの少量のペスト菌に対する応答を阻止しない。実際、微小遠心管内で濃縮するのに十分多量のほとんどの細菌またはウイルスについて、本発明者らは、約50cfuまたはpfuという類似したレベルの感度を観察した。ペスト菌特異的細胞株の感受性を数ヶ月にわたって繰り返し試験した場合、CANARY センサーは、その期間の62%で20cfu(n=73)、その期間の79%で50cfu(n=38)、その期間の99%で200(n=74)および2000cfu(n=71)、ならびにその期間の100%で20,000cfu(n=66)を検出し得た。PCRおよび3分未満で行なわれ得るアッセイのものに近い感度レベルと組み合わせると、わずか0.4%(n=1288)の偽陽性率により、CANARYは、現在開発中の最も有望な病原体-同定技術の1つとなる。
小ウイルス濃縮および沈降のいくつかの方法が、これらの物質に対するCANARY応答を改善する能力について試験された。メタノール、TCAまたはリンタングステン酸ナトリウムでの沈殿では、感度は改善されず、ニトロセルロースに対する吸収も改善されなかった。種々の供給元の遠心濃縮装置は、CANARYアッセイにおいて、使用した低濃度のウイルスに非特異的に結合するようであった。これまでに、2つの方法:遠心分離およびアフィニティ精製が良好な結果を示している。
病原体特異的CANARY細胞の作製は、利用可能なハイブリドーマ細胞株を必要とし、いくつかの工程を伴い、数ヶ月かかり得る。高速(<1日)だが特異的様式で、CANARYプラットフォームを用いて新しい病原体特異的細胞を作製するために使用され得る万能細胞株を開発する必要性が存在する。この課題に取り組むため、本発明者らは、病原体特異的抗体をCANARY細胞に結合させるために可能な「アダプター」分子としてのFc受容体の使用を検討した。Fc受容体は、抗体または免疫複合体に結合する膜発現タンパク質のファミリーである。これは、単球およびマクロファージを含むいくつかの造血系細胞において発現される。可溶性抗体の高親和性結合体であるFcγ受容体I(FcγRI)を含むFc受容体のいくつかのサブクラスが存在する。FcγRIは、抗体の抗原結合領域を自由な状態にして、免疫グロブリンG(IgG)の定常領域(Fc部分)に結合する。特異的抗原による抗体結合受容体の架橋により、カルシウム放出を刺激するシグナル伝達経路が開始される。
本発明者らは、単一のアッセイにおいていくつかの異なるB細胞株を合わせることの実現可能性を評価した。これにより、単一の試験を用いていくつかの物質の検出が可能となり得るが、試料中にどの物質が存在するかは識別さ得ない。単一の細胞試薬を用いた3種の異なる物質の検出により、炭疽菌(B. anthracis)の検出限界は50cfuのB. a.、ペスト菌では50cfuのY.p.、および野兎病菌では500cfuのF.tであることが示された。40μLの1.25×105細胞/mLの最適な細胞濃度および量で、本発明者らは、感度を全く低下させずに、4種の細胞株が合わされ得ることを示すことができた。
迅速な病原体同定技術が極めて価値のある多くの応用がある。例えば、迅速試験は、吸入炭疽の場合のように、即座の処置が重要である感染の初期の段階において、患者のタイミングの良い正確な処置を確保する。従って、本発明者らは、臨床的に関連する試料において病原体を検出するためのCANARYの使用を調査した。試料調製の前に鼻スワブに添加された50cfuほど少ないB.アントラシス(anthracis)の胞子が検出され得る。このプロトコールにおいて、スワブは、400μLのアッセイ培地を有する5μmフィルターを備えるバスケットに配置された。溶出液は、胞子をチューブの底に濃縮もする工程である、2分の遠心分離で1.5mL微量遠心チューブ中に回収された。遠心分離の後、バスケットおよびスワブは、除去され、アッセイは同じチューブ中で実施される。総アッセイ時間は、5分未満であり、従って、CANARYは、エーロゾル化されたB.アントラシス胞子に曝露されたヒトに対する優良な第1のスクリーニングを提供し、それによって即座の処置を可能にする。
C.トラコマティス細胞株を使用して交差反応性および感度の両方を試験する確認が実施された。交差反応性は、試験された細菌の22型のうち2型のみで、および非常に高い濃度(107/mL)でのみ観察された。ストレプトコッカス ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)細菌は陽性反応を生じるが、それは、ただのニューモニエを有する患者の尿中に現れる細菌のモノマー多糖であり、モノマー抗原は、CANARY B細胞を刺激しない。交差反応する他の細菌、ゲメラ モルビロラム(Gemella morbillorum)は、尿試料を汚染し得る腸内細菌であるが、かかる高い濃度では存在しそうにない。C.トラコマティス細胞株の感度は、試験されたC.トラコマティスの血液型亜型に依存して10〜150EB(血液型亜型D、H、およびKについてそれぞれ10、50、および150)の範囲であった。しかし、異なるロットがわずかに異なる結果を与えるので、感度の範囲は、定量の精度に依存し得、細胞株の異なる応答には依存し得ない。いずれの場合においても、確認によって決定されたLODは、数10〜数100の範囲であった。
CANARY B細胞ベースのバイオセンサーは、他の同定技術を超えるいくつかの利点を提供する病原体同定のための高度に進化した系を活用する。CANARYを用いて、5分未満の同定を提供することが可能であり、微小遠心分離で濃縮されるのに十分な大きさの病原体を用いて、本発明者らは、PCRに匹敵する感度のレベルを示した。比較において、先行技術のイムノアッセイは、少なくとも14分必要とし、より高い検出限界(6×104cfuまたは6×106pfu)を有する。PCRは、極度に感度が高く(1〜5cfu)高度に特異的であり、増幅およびシグナル検出のための時間を減少した飛躍的な前進を示したが、アッセイは、DNAを抽出および精製するために必要とされる時間を含めずに、少なくとも7分(しかし、典型的には20〜30分)かかる。かかる技術から利益を得ている応用は、性感染疾患等の処置に対する戻り率が低いが社会の衝撃が大きい病気に対する配慮点診断を含む。さらに、CANARYは、入港時の農業病原体の検出、生物戦争攻撃の直後の時期における鼻スワブ由来の症状前検出、または生鮮食品供給のスクリーニングに有用である。実際、CANARYは、任意の時間が重要な設定において、高度に感染性の病原体の検出および同定を可能にし得る迅速かつ高感度の方法である。
導入:CANARYアッセイは、認識およびシグナル発生のためにB細胞に抗原含有粒子を導入する前に、抗原含有粒子を同時局在化するための重要な工程として遠心分離を使用し得る。このアプローチは、500nmより大きな粒子サイズを有する細菌標的およびウイルス標的の迅速な検出において、非常に成功しているが、はるかにより小さないくつかのウイルス標的は、この様式で濃縮するのはより困難であり、複合粒子の沈降を改善するための、非常に速い速度でのより広範な遠心分離および/または標的粒子のビーズへの中間結合段階等のさらなる工程が必要であり得る。所定の大きさの粒子沈降するために必要とされる遠心分離速度を決定するために、本発明者らは、沈降のストークスの法則(方程式1)を使用して、流体粘度および回転パラメーターの関数として流体中の粒子の速度を計算し得る。
用語誘電泳動(DEP)は、非電荷粒子において電荷分離(分極、双極子の生成)を発生させるために一様でない電場を使用することによって多くの細胞型の移動および分離を誘導し得たポール(Pohl)によって初めて使用された。図181に示されるように、正および負の2つのDEPモードがあり;モードは、周囲媒体に関する粒子の相対的分極可能性によって決定される。両方の場合において、粒子および媒体は、印加された一様でない電場の下で電荷分離する。粒子が媒体より分極可能である場合、正味の双極子が最も高い電場の領域に向かう粒子の誘引を生じ;これは、正のDEPといわれる。粒子が媒体より分極可能性が低い場合、流体媒体は、高い場の領域に向かって移動し、それによって粒子は電場が最小のところで押され;これは負のDEPである。
DEPチップの設計
種々のジオメトリーの互いにかみ合った電極を有する1セットのデバイスが、製造された。各デバイスは、大きさ25mm×25mm×0.5mmの大きさを有する正方形石英チップ上に配置された1セットの白金線、金属パターンのネガティブイメージが感光性ポリマーを使用してフォトリソグラフィー的に形成される従来のリフトオフプロセスを使用して定められ、その後白金が電子線蒸着を使用して蒸着され、過剰の白金が下にある光ポリマーを分解することによって除去される(図182)電極パターンからなった。図183は、基礎的な電極パターンおよび完成されたデバイスチップを示す。直線の2つの電極パターンに加えて少数の螺旋状の4つの電極構造がまた、製造され;これらは、位相において等しく分離された4つのACシグナルが、粒子を構造に沿って螺旋の中心に進ませるために電極に印加される進行波誘電泳動を達成するために使用され得る。
2つの設定がDEPチップを動かすために使用され、1つにおいて、チップは、水平に保持され、もう1つにおいて、チップは、垂直に保持された。シミュレーションは、2チップ構造を使用したが、最初の実験は、正のDEPおよび負のDEPそれぞれを介した試験粒子の誘引および反発を示すために単一のセットの電極のみを使用したことに留意。水平および垂直の立体配座の両方において、流体チャンネルは、電極含有チップと平凡な石英チップの間に125μm厚のシリコーンガスケットをはさむようにして形成された。この装置は、2つの型のジグの1つに保持され、電気的アクセスは、電極含有チップ上の互いにかみあった電極に接続された金属パッドに接触した銅ワニ口クリップを介して得られた。
この活動の目的は、DEPを使用して小粒子を局在化する能力を示すことであった。従って、装置は、正または負のDEPモードのいずれかにおいて、この能力について評価された。低い周波数において、ビーズは、正のDEPを示し、そこではビーズは、電極に局在化し;励起周波数が増加された場合、いくつかの点で、ビーズは、電極表面から遊離し、電極から離れるように移動し始めた。
本発明者らは、線幅2μmの互いにかみ合った金属電極を使用して300nm以上の粒子の正および負両方の誘電泳動も動きを示し得た。負のDEPレジームにおいて、粒子は、電極面から20μmまでの距離まで反発された。負のDEPはまた、50nmの粒子を使用したが、わずか5μmの反発距離を使用して示した。この活動の最終目的は、直径100nmより小さな粒子を濃縮することであり、さらに駆動電極から適切な距離離れた粒子を反発し、試料流体の残りから粒子の濃縮面を分離し得ることであった。少なくとも100μmの反発距離は、微小流体チャネルにおけるこの分離を容易にするが、本発明者らのデバイスにおいて、本発明者らは、20μm未満の反発距離を達成し得た。本発明者らが有効DEP力を司るパラメーターを見る場合、本発明者らは、それを電極線幅の逆立方体として評価することを見出す。このことは、線幅の10倍の減少がDEP力の1000倍の増加ならびに所定の駆動電圧および粒子直径に対する反発距離の対応する増加を与えるはずであることを示す。0.2μmの線幅の電極は、進歩したフォトリソグラフィー系を使用して製造し得、これらのデバイスは、50nmの粒子の濃縮が可能である。
方法および材料
GST−BoNT/A HcおよびGST−BoNT/E Hc組換え発現および精製
プラスミドpGEX−4T3中のBoNT/A HcおよびBoNT/E HcをコードするcDNA。プラスミドを、製造業者の指示書に従いBL21(DE3)pLys(Invitrogen)にトランスフェクトした。プラスミド保有細菌を、一晩培養物から希釈し、約0.5のOD600まで増殖し、IPTGを、400μMの最終濃度で添加し、30℃で4時間インキュベーションを続けた。細菌を回収し、1リットルごとに、30μLのベンゾナーゼヌクレアーゼ(Novagen)を有する30mLのBugBusterに懸濁し、チューブを室温で20分間回転した。溶解物を、21000RCFで4℃で30分間遠心分離し、可溶性タンパク質を、PBS、1mM EDTAで平衡化された3mLのグルタチオンセファロース(Amersham Biosciences)にデカントした。スラリーを、4℃で2時間回転し、20mLの使い捨てカラム(BioRad)に注いだ。カラムを、PBS/EDTAで洗浄し、組換えタンパク質を、100mM Tris、pH8.0中の10mMグルタチオン中に溶出した。
1/7容量の7×HNa(560mM NaCl,1.4M Hepes pH7.9および抗体コートビーズ)を、抗原スパイク溶液に添加した。12分の結合工程の最後に、190μLのアッセイ培地を添加し、チューブを、30秒間磁石上に置き、上清を捨てた。ビーズを、50μLのアッセイ培地に再懸濁し、20μLの細胞を添加し、チューブを、ビーズおよびCANARY細胞を沈降するために5秒間スピンし、光出力を、ルミノメーターでモニターした。
ハイブリドーマを、ハイブリドーマSFM培地(Gibco)+1×非必須アミノ酸(Gibco、100μM ビルビン酸ナトリウム、および200μM L−グルタミン)に順応した。いくつかのハイブリドーマは、最初に10%の血清を必要としたが、全ての抗体を、最終的に0%血清含有培地中で産生した。
無血清培地中で産生されたハイブリドーマ上清を、臨床的遠心分離において3700RPMで遠心分離し、上清を0.2ミクロンフィルターに通した。1mLのPBS平衡化プロテインGセファロース4ファストフロー(GE Healthcare)を、上清に添加し、室温で3〜4時間または4℃で一晩のいずれかでゆっくり回転した。樹脂を使い捨てカラムに注ぎ、PBSで洗浄し、1mLの画分を、100mM KPO4 pH2.7で100μLの1M Hepes pH8.5に直接溶出した。バッファをNAP−5カラムを使用してPBSに交換した。
ビーズ(Dynal Dynabeads Protein G)を50mM NaOAc、pH5.0に洗浄した。ハイブリドーマ上清のpHを、約5.0にし、BSAを0.1%まで添加し、溶液を0.2ミクロンフィルターを通して濾過した。100μLのビーズを10mLのハイブリドーマ上清に添加し、チューブを室温で1時間回転した。ビーズを、0.2Mホウ酸ナトリウム、pH8.0に洗浄し、1mLの20mM DMPを含むホウ酸に再懸濁した。チューブを、室温で30分回転し、250μLの1M Tris、pH8.0を添加し、15分間インキュベートした。ビーズをPBS+0.05%Triton X−100に洗浄し、1mLに再懸濁した。ほとんどの実験について約0.4μLのビーズを1回のCANARYアッセイに対して使用した。
抗体を、Nonosep 30K Omega遠心分離濃縮機を使用してのコンジュゲーションの前に約1mg/mLまで濃縮した。ビオチン(スルホ−NHS−LC−LC−ビオチン、Pierce)を、PBS中に10mMまで再懸濁した。ビオチンを、抗体(PBS中に平衡化された)に対して20倍モル過剰まで添加し、室温で30分間インキュベートした。Tris、pH7.5を100mMまで添加し、バッファをPBSに交換した。ビオチン化抗体を、結合部位(1mgのビーズあたり20μgの抗体)を飽和させるために十分な濃度でM−280 Dynabeads(Dynal)に添加し、室温で30分間インキュベートした。ビーズを回収し、洗浄し、PBS+0.05%Triton X−100中に保存した。典型的に、ビーズをこれらの元のストック濃度の10分の1まで希釈し、1回のCANARYアッセイあたり0.4μLのビーズを使用した。
CANARYは、ウイルスおよび細菌の両方の検出において優れた性能を示した。毒素の検出は、異なる問題を提示する。毒素の検出に関する困難は、B細胞の表面に発現された抗体が2つの毒素分子に結合し得る一方で、各毒素分子は、1つの抗体のみに結合し得るということである。このことは、抗体が可溶性かつモノマーの毒素によって架橋されず、結果としてCANARY細胞から光放出を導く細胞内カスケードが開始されないということを意味する。
毒素の型:
実験の目的および毒素アッセイの成熟に依存して、ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A)抗原のいくつかの型を使用した。BoNT/A重鎖(BoNT/Hc)のGST融合体を大腸菌内で産生した。この組換えタンパク質を、BoNT/A抗体を発現する細胞についてCANARY細胞のプールをスクリーニングするために使用した。GST融合体は、抗原のビーズへの容易な結合およびCANARY細胞のスクリーニングを可能にした。組換えBoNT/Hcを、CANARY細胞からの応答がBoNT/Aに特異的であった(抗体は、BoNT/Eに結合しない)ということを示すためのコントロールとして使用した。しかし、GSTタンパク質は、溶液中で二量体化する傾向を有し、従って、CANARYのモノマータンパク質を検出する能力を示すための適切な標的ではない。
このBoNT/Aの非毒性部分を、ネイティブの毒素から単離し、BoNT/Aに対する抗体を使用して溶液から捕捉しなければならない。これは、溶液タンパク質の検出のための良好なモデルであるが、BoNTの重鎖部分は、ホロトキシンほど安定ではなく、この不安定性は、この抗原を使用する感度測定を困難にする。重要なことに、それはまた、活性BoNT/Aを検出する能力を実際に示さない。
ほとんどの実験を、市販供給源(Metabiologics)から購入された活性BoNT/Aを使用して実施した。
クロストリジウム ボツリナム(Clostridium botulinum)によって産生されたBoNT/Aは、種々の他のタンパク質と複合体化している。これらの関連タンパク質は、いくつかの抗体の結合をブロックし、その結果、これらの抗体を使用して開発されたCANARYアッセイがBoNT/AだけでなくBoNT/A複合体も検出し得ることを示すことが必要である。
ほとんどの実験は、ハイブリドーマ6E10−10、6C2−4および6B2−2由来の抗体を使用した。これらの抗体は、BoNT/A上の独立したエピトープに結合する。以下に記載されるほとんどの実験は、ビーズに結合した6E10−10抗体上に捕捉されたBoNT/A抗原を検出するために6B2−2抗体を発現するCANARY細胞を使用した。
グルタチオンセファロースを、スクリーニングおよび初期試験のためにCANARY細胞に提示するために、組換えBoNT/A Hcを捕捉するために使用した。プロテインGコートビーズ(セファロースまたは常磁性体(paramagnetic))を、抗体を捕捉するために架橋し、CANARY細胞への提示のために溶液中の可溶性BoNT/A産物を捕捉するために使用した。ストレプトアビジンコート常磁性ビーズを、ビオチン標識抗体でコートした。これらのビーズはより再現性があり、これらが常磁性なので、遠心分離を必要とせず試料調製(毒素捕捉およびビーズ洗浄)を可能にする。
BoNT/A Hc上の異なるエピトープに対する抗体(6B2−2および6E10−10)をコードする遺伝子を、クローニングし、これらの機能を評価するために別々のB細胞株において発現した。両方の得られた細胞株は、グルタチオン−セファロースビーズに結合したBoNT/A Hc−GST融合タンパク質に応答する。CANARY細胞機能について試験するために、組換え抗原をグルタチオンビーズ上に捕捉し、ビーズをアッセイ培地中で洗浄し、捕捉抗原を抗体6E10−10を発現するCANARY細胞に提示した。6B2−2CANARY細胞応答は、ビーズ結合BoNT/A Hc−GSTを6B2−2抗体と2.5時間または一晩インキュベートすることによって一部なくなり得た。グルタチオンビーズ上に捕捉されたBoNT/A Hc−GSTは、細胞を刺激せず、このことは、CANARY応答が抗原との相互作用によって刺激され、ビーズまたは毒素によって非特異的に刺激されないことを示す。
CANARYがBoNT/Hc毒素類似物でだけでなく活性BoNT/A毒素でも検出されることを示すために、市販のBoNT/Aを入手し、6E10−10ビーズで捕捉された毒素を使用してアッセイし、6B2−2CANARY細胞を使用して検出した。このアッセイの検出限界は、約8ng/mlまたは80pgの毒素であり、これは、BoNT/A Hc毒素類似物に対するLODの約10倍の改善である。16pgの毒素を含む試料(1.6ng/ml)は、バックグラウンドの約3倍まで細胞を刺激するが、現在の検出アルゴリズムに適合しない動力学的プロフィールを示す。アッセイ感度のこの改善は、活性BoNT/A毒素が保存の間可溶のままでいるということか、または抗体が重鎖によりも毒素全体により良好に結合するということのいずれかを示す。
BoNT/Aアッセイの感度は、溶液中の毒素の捕捉に使用されるビーズの数に依存する各ビーズ上の抗原の密度に依存すると予想される。多数のビーズを使用することが最大捕捉効率を確実にするが、毒素の濃度が低い場合、各ビーズ上に存在する抗原が、あまりにまばらなので、効率的な細胞応答を誘発し得ない。従って、ビーズの数と各ビーズ上の抗原密度の間のバランスは、発見されなければならない。これらのパラメーターを最適化するために、1.6ng/mLで異なる体積のBoNT/Aで種々のビーズ濃度を試験する1セットの実験を実施した。1つのそのような実験において、異なる数のビーズを、各試料に添加し、2分間インキュベートした。少量の体積でインキュベートする場合、多数のビーズは、少数のビーズをより良好には細胞を刺激しなかった。このことは、少量の毒素を含む試料において、多数のビーズで捕捉することは、抗原の分布を非常にまばらにするためにCANARY細胞を効率的に刺激し得ないことを示す。
シグナル振幅は、コントロールに比べていくらか減少したが、尿にスパイクしたBoNT/Aを検出し得た。(図158)この実験において前処置を使用せず、6E10−10コートビーズをBoNT/Aでスパイクした尿に直接添加した。並行実験におけるアッセイ培地に直接希釈された毒素に対する3.2mg/mlに比べて、尿中のBoNT/Aの検出限界は16ng/mlであった。
要約すると、本発明者らは、可溶性の毒素を捕捉するために抗体コートビーズを使用するボツリヌス毒素に対するアッセイを開発した。これらの毒素修飾ビーズを、CANARY細胞に対して固定化された毒素を提示するために使用する。重要なことに、ビーズはまた、任意の種々の細胞非適合性マトリクスからアッセイ培地への毒素の移動を容易にする。これは、血液、尿、鼻スワブ、オレンジジュース、ミルク、水およびPBS−Tritonにおける毒素の検出を可能にする。いくつかのマトリクス、特に、高濃度のタンパク質を含むマトリクス(血漿およびミルク)は、CANARYアッセイにおいて減少応答を引き起こす。この阻害は、塩を添加し非特異的なタンパク質相互作用を減少させることによって部分的に克服され得る。アッセイは、速度について最適化され、6分で16pg(1.6ng/ml)のBoNT/Aを検出し得る。感度は、捕捉抗体の親和性に依存するようであるが、より高い親和性の抗体の使用は、検出限界を改善しない。ビーズ捕捉工程のインキュベーション時間の増加によって、より良好な感度が得られる(0.32ng/ml未満)。困難なマトリクスにおいてさえも、アッセイは、6分でLD50の一部を検出し得る。
材料および方法
磁性物質ビーズおよび磁性B細胞ビーズアッセイ
B細胞結合ビーズ:Dynabeads(登録商標)マウス パン B(B220)カタログ番号114−41Dを、さらなる改変なしに使用した。
材料:
試料パッド:Milliporeガラス繊維パッドG041/GFCP1 030 00。灯心パッド:Milliporeセルロース吸着性試料パッド C082/CFSP1 730 00。
捕捉膜:Pall 0.45μm GHポリプロ膜(カタログ番号 GHP4550001/Pall)
以下のように側方フローストリップを組み立てる。0.25インチ×0.25インチMillipore灯心パッドをパッキングテープに配置する。膜の1/3が灯心パッドの上になるように、0.4インチ×0.1インチPall 0.45μm GHポリプロ膜を芯パッドの上に配置する。0.25インチ×0.5インチのガラス繊維フィルターをPall GHポリプロ膜に乗せる。
最適のCANARYアッセイを実施し得る改善された単一チャネルハードウェアが、本明細書中に記載される。本発明者らは、以下の2つの並行方針を追跡した:(1)CANARY試料を遠心分離および分析できる単一のユニットに対するオーダーメードの概念の開発、ならびに(2)単一のCANARYアッセイを実施するためにCOTSルミノメーターおよび改変され得る、または好ましくは改変なしで使用され得る微量遠心分離機を試験すること。そのプロセスの結果は、CANARYアッセイの手順および性能を改善した高価でないCOTSハードウェアの同定であった。最適なハードウェアの組み合わせは、最適の立体配座で8つまでのCANARY試料の遠心分離を可能にするために、オーダーメードのローターに適合されたVWR微量遠心分離機と共に使用されるBerthold検出システム FB12ルミノメーターからなった。
その最も単純な形態において、CANARY測定は、透明チューブ中に試料を調製する工程、チューブに特別に調製されたB細胞のアリコートを導入する工程、高速遠心分離スピンを使用してチューブの底にB細胞を移動させる工程、および光子計測センサーを用いてチューブからの光出力を測定する工程からなる。実験室において、ほとんどのCANARY測定は、自動化BAWS/CANARYバイオエーロゾル同定センサーにおいて1度に1試料ずつ連続的になされ、4つの試料が同時に測定され、各試料は、それぞれの集光チャネルを有する。各集光チャネルは、典型的に光センサー、高圧電源、パルス識別回路、およびおそらくデジタルカウンターからなる。前者のシステムは、より多くの時間を必要とし、その一方で、後者は、より複雑(かつ高価)なハードウェアを必要とする。
臨床的応用、配慮点応用、および前方展開応用に標的化されたコンパクトなハンドヘルドセンサーは、特に興味深い。本発明者らは、遠心分離工程が、現在エネルギー消費および装置の複雑さの第1の原因であるので、遠心分離工程に対する要求を縮小または除去し得る交互アッセイ手順の性能を特徴付けることに集中した。本発明者らは、縮小した遠心分離要求、微量流体チャネル、側方フローアセンブリ、濾過、または磁性ビーズ捕捉を使用するアッセイ形式に対する多くのアプローチを評価した。これらのアプローチのうち、縮小した遠心分離要求、側方フローアセンブリの使用、および磁性ビーズ捕捉は、以下に詳細に記載する。
ハンドヘルドセンサーハードウェア開発は、遠心分離なしで実施され得る単回のCANARYアッセイが可能なカートリッジの設計で開始された。カートリッジを、その先端に小さいが強力な磁石を有するスワブおよび磁性ビーズに結合されたB細胞のカプセルを含むように設計した(図188)。表面をサンプリングするためにスワブを使用した後、それは、B細胞を含むカプセルに導入され、磁石は、スワブの表面の抗原にビーズ結合細胞を引き寄せた。次いで、全カートリッジを、光放出を記録するために特別に適合された電池起動式のルミノメーターに入れた。このハンドヘルドセンサーは、ヒトまたは表面の特定の病原体への曝露を決定するために当該分野で使用され得る。この設計の原理的説明は、いくつかの因子に基づいた。本発明者らは、(遠心分離によって調製された)液体試料においてビーズ結合B細胞を抗原に引き寄せるために磁石を使用することによって遠心分離を磁性ビーズと交換する能力を示した。本発明者らはまた、B細胞が、カートリッジ中に存在する場合、カプセルにパッケージ化され得、感度を低下させることなく数週間冷蔵され得るかまたは室温で48時間保持され得ることを示した。最終的に、磁石が光電子増倍管の機能に対して有害な効果を有し得るが、本発明者らは、ルミノメーターにおける磁性スワブと光電子増倍管の距離がこれらの有害な効果を防止するために制御され得ることを示し得た。初期の実験は、抗原の非存在下で球状ネオジム磁石に引き付けられたビーズ結合B細胞が、一時的な光シグナルを発することを示した。これは、細胞に対する機械的ストレスのために最もありそうなことである。より弱い磁石の使用(ネオジム磁石は非常に強い);「調節された」磁石(スワブの本体においてさらに離れて取り付けられたネオジム磁石によって磁化されたスワブの先端の磁性物質);および格納式磁石(B細胞がスワブ表面に引き寄せられた直後引っ込められ得る)を含むいくつかの可能な治療を同定した。
A.細胞操作法
M12g3R細胞を、10%ウシ胎仔血清、1mMピルビン酸ナトリウム、2mmM L−グルタミン、100μM非必須アミノ酸、50μM 2−メルカプトエタノール、50μg/mlストレプトマイシン、および50U/mlペニシリン、250ng/mlアンホテリシンB(Life Technologies)を補充されたRPMI 1640中で37℃5%CO2の加湿雰囲気で維持した。細胞を、エレクトロポレーション(270V、950μF)でpCMV.AEQ.IRES.NEOでトランスフェクトし、1mg/ml G418中で2週間選択した。G418耐性クローンを、抗−IgMに対する応答についてスクリーニングした。表面IgMの架橋の際に光子放出が最大に上昇するこれらのクローンを、以降のトランスフェクションで使用し、特定の病原体に特異的なB細胞株を産生した。操作された特異性を有する抗体の表面発現は、軽鎖に対する発現ベクターおよび重鎖に対する発現ベクターとピューロマイシンに対する耐性を付与する遺伝子をコードする発現ベクターで(エレクトロポレーションにより)共トランスフェクションすることによって達成される。ピューロマイシン耐性プールおよびクローンを、これらの抗原に対する応答に基づいて選択した。軽鎖に対する発現ベクター、VKExpressは、ヒト伸長因子−1α(EF−1α)プロモーターの制御下のマルチプルクローニング部位(MCS)の下流ヒトκ遺伝子の定常領域を含む。重鎖ベクターを、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよびリーダー配列を保持するが、血小板由来増殖因子(PDGF)レセプター膜ドメインをマウスIgMの膜結合定常領域の遺伝子で置換し、MCSのいずれかの側の両方のタグを除去した、pDisplay(Invitrogen)を改変することによって生成した。適切な制限部位を、PCRを使用して抗体可変領域に追加し、全てのPCR産物の配列を、発現構築物へのクローニングの前に確認する。組換え抗体を産生するために使用された可変領域を、ランダムオリゴヌクレオチドプライマーおよびPCRを用いる逆転写(RT)を使用してcDNAまたはハイブリドーマのいずれかからクローニングした。RNAを製造業者の推奨に従ってTrizol試薬(Life Technologies)を用いて抽出し、第1鎖合成を、Retroscriptキット(Ambion)を使用して実施した。PCRを、5’末端で軽鎖または重鎖いずれかのリーダー配列[S. T. Jones and M. M. Bendig, Bio/Technology 9,88(1991)]に、および3’末端で、マウスκまたはIgG2の定常領域にアニーリングするように設計されたプライマーのセットを使用して達成した。
pCMV.AEQ.IRES.NEOプラスミドおよびFMDVのA12株を認識する組換え抗体に対する発現ベクターで安定にトランスフェクトされたM12g3R B細胞を以下のようなルミネセンスアッセイのために調製した:細胞を第1日に融解した。融解後24時間の細胞の調製は、最大活性および信頼性に重要である。凍結/融解工程は、B細胞の応答を100倍程度増大させる。第2日に、106細胞を、50μMコエレンテラジン(Molecular Probes, Eugene, Oreg.)を補充されたホイルで覆われたアッセイ培地[CO2非依存性培地、10% FBS、50μg/mlストレプトマイシン、および50U/mil ペニシリン、250ng/mlアンホテリシンB(Life Technologies)]中で室温で2時間インキュベートし、2度洗浄し、5×105細胞/mlの最終濃度でアッセイ培地に再懸濁した。細胞を、1.5mlの微量遠心分離チューブ中で室温で一晩回転し、15〜20時間後アッセイした。アッセイのために、25μlの細胞を抗原(1.4×108pfu/mlの5μlの野生型A12pRMC35株、7.5×107pfu/mlの10μlのA12バリアント)と混合し、応答をルミノメーター(Lumat LB 9507, Perkin Elmer)において測定した。
センサーデバイスおよび方法を、細菌病原体およびウイルス病原体の迅速検出のために使用し得る。細胞株を、ツラレミアの病因である細菌、フランシセラ ツラレンシス(Francisella tularensis)に応答するように操作した。しかし、FMDウイルスおよびVEEウイルスと同じプロトコールを使用してアッセイされる場合、シグナルは遅く、バックグラウンドとほとんど区別がつかず、このことはB細胞と抗原の間の遅い相互作用速度(0秒プレスピン/0秒スピン)を示す。抗原ビーズ類似物を用いて実施された以前の実験は、感度および速度が抗原およびB細胞の濃縮によって増大され得(データは示さず)、その結果、ルミノメーターを光電子増倍管(PMT)の上に配置された遠心分離機を含むように再配置したことを示した。物質および細胞を一緒に混合し、次いで、5秒間遠心分離によって濃縮した場合、シグナルは改善され、応答はより速くなる(0秒プレスピン/5秒スピン)。最適な結果は、ゆっくりと沈降するF.ツラレンシスが細胞の添加の前に遠心分離される(60秒プレスピン/5秒スピン)場合観察される。この形式は、多数の細胞が短い時間枠内で抗原と物理的に接触し、その結果、感度および速度に主要な改善を提供することを確実にする。さらなるアッセイプロトコールの最適化の後、本発明者らは、現在、物質をプレスピンするのにかかる時間を含む3分未満でF.ツラレンシスの60コロニー形成単位(cfu)ほど少ないものを検出し得、ペストを引き起こす細菌である不活性化エルシニア ペスティス(Yersinia pestis)に対して応答し得ないことを観察し得る。この検出限界は、不活性化F.ツラレンシスの2つの他の供給源および1つの異なる株(データは示さず)で確認された。さらに、センサーデバイスは、広い範囲の感度を示し、7オーダーの大きさを超える範囲の濃度を検出する。
ジゴキシゲニン抗体を発現するエミッター細胞の特徴付け
ジゴキシゲニンに対する抗体をコードするプラスミド(Daugherty ら (1998) Protein Engineering 11 (9): 825-832)を、エミッター細胞に導入し、これらの細胞をジゴキシゲニンに化学的にコンジュゲート化されたタンパク質(BSA)(Dig−BSA)を使用してスクリーニングした。12の独立したプールを選択し、12〜24の独立した細胞株を得た。第1の実験は、これらの細胞がDNAによって架橋されたジゴキシゲニン抗原(Dig−DNA)を検出し得るかどうかを試験した。3つの型の市販のDig−DNAを、Dig抗体発現CANARY細胞(図26A〜C);20塩基対ごとに結合されたジゴキシゲニンを有するプラスミドDNA(図26A);200塩基対ごとに結合されたジゴキシゲニンを有するDNA分子量マーカー(図26B);および各末端に結合された1つのジゴキシゲニンを有するDNA分子量マーカー(図26C)との反応性について試験した。これらの基準の各々は、種々の程度までエミッター細胞を刺激し、最も感度の高い応答は、Dig標識プラスミドDNAであった。平均20塩基間隔を空けた抗原が200塩基間隔を空けた抗原より100倍(ジゴキシゲニンあたりであり、DNAのμgあたりではない)細胞を刺激するという事実は、200塩基は非常に距離が長く理想的な応答を刺激できないことを示す。カルシウム放出およびエクオリン光生成を生じる細胞内カスケードを刺激するために、近傍の抗体は、細胞内で反応を開始するように互いに十分近く固定されなければならない。
このアッセイは、ジゴキシゲニン標識(Dig−標識)プローブの標的DNAへのハイブリダイゼーションを検出するために設計された。これらの実験に対する標的DNAは、ファージミドpBluescriptIIに由来した。この3100塩基対長の環状ファージミドは、二本鎖DNA(dsDNA)または2つの一本鎖DNA(ssDNA)のいずれかを作製するために導入され得る。これらの2つのssDNA鎖は、(+)鎖または(−)鎖と称される。(+)鎖に特異的に結合する以下の10のDig−標識オリゴヌクレオチドプローブを設計した。
ビオチン標識オリゴヌクレオチドは、ストレプトアビジンコート磁性ビーズおよびストレプトアビジンコート非磁性ビーズの表面に結合した。これらの「捕捉」オリゴは、Dig−標識オリゴヌクレオチドの位置から除去された位置に標的DNAを結合するように設計される。標的DNAの沈降可能な支持体への結合は、エミッター細胞の添加の前にDNAのより徹底的な洗浄を可能にし、アッセイの感度を改善する。標的DNAの沈降のための1つの戦略を図33に示す。このスキームにおいて、ビオチン−標識捕捉オリゴヌクレオチドを、ストレプトアビジンコートポリスチレンビーズまたはストレプトアビジンコート磁性ビーズのいずれかに結合する。ジゴキシゲニン−標識オリゴヌクレオチドを標的にハイブリダイズし、複合体を遠心分離または磁場の印加によって沈降する。次いで、エミッター細胞を再懸濁し、ビーズと共に沈降させ、反応チューブをルミノメーターに配置する。標的DNAの検出に対する沈降の効果を図34に示す。この場合において、LODは、DNAが沈降されない典型的な結果に比較して、高アットモルの範囲まで改善する。市販のブロッキング試薬(Roche Appliled Science カタログ番号1096176)はシグナルをさらに改善する。図35は、ハイブリダイゼーション/捕捉工程の間、異なる濃度のブロッキング剤の添加の結果を示す。この実験において、1%〜10%のブロッキング試薬の添加は、試験された標的の全ての濃度においてシグナル対バックグラウンド比を改善した。
Fcレセプターは、抗体または免疫複合体に結合する膜発現タンパク質のファミリーである。これらは、単球およびマクロファージを含むいくつかの造血細胞上に発現される。可溶性抗体の高親和性結合体であるFcγレセプターI(FcγRI)を含むFcレセプターのいくつかのサブクラスが存在する。FcγRIは、免疫グロブリンG(IgG)の定常領域(Fc部分)に結合し、抗体の抗原結合領域を遊離状態にする。抗体結合レセプターの特異的な抗原による架橋は、カルシウム放出を刺激するシグナル伝達経路を開始する。
CANARY装置をまた、放射線学的物質を検出するために使用し得る。放射線学的測定は、B細胞の代わりにシンチレーション流体を添加し、放射線崩壊に応答してシンチレーション流体から放出される光を測定することによって実施され得る。CANARYハードウェアは、α線源、β線源およびγ線源からのシグナルを検出するために示され、これらの測定は、実験室ベースのシンチレーションカウンターを使用して実施される測定に好ましくは匹敵する(図163)。この実験において、等量の種々の型のエミッターを、市販のシンチレーション水流体に添加した。チューブを混合のために揺らし、市販のシンチレーションカウンターまたは通常のベンチトップCANARYルミノメーターのいずれかに配置した。光出力を、通常のCANARYアッセイと同じソフトウェアを使用して同じノートパソコン上にモニターした。CANARYハードウェアの応答は、市販のシンチレーションカウンターの応答に非常に類似していた。
バックグラウンド:ペリプラズム結合タンパク質
化学戦争物質および/または爆発物(本明細書中で「CWA/E」ともいわれる)のために使用される化学物質は、非常に小さいので直接抗体結合によってはCANARYで検出できない。しかし、細菌は、その多くがCWA/Eのサイズ範囲において小さな化学物質である栄養素を検出および同定するように必要なものを十分に備えている。CANARYは、細菌栄養素検出経路の一部を活用し得、CWA/Eを検出するように改変され得る。
多数の試料を測定するために時間を短縮する(ハードウェアの必要を最小に維持する)新規のアプローチを、首尾よく試験した。単一の集光チャンネルを使用して16試料の同時測定を可能にする実験センサーを設計した。センサーは、その周囲に水平に等しく分布された16個のチューブを保持し、垂直軸の周りの可変速度モーターによって駆動されるローターからなる(図39)。単一の固定光子検出要素(この場合、PMT)を、回転の間のチューブの経路の直上のローターの面に配置する。この方法において、各々のチューブを、PMTの近傍に連続的かつ繰り返し持っていき、その光出力が各経路上でサンプリングされるのを可能にする。最終的に、光源(赤外LED)および検出器(フォトトランジスター)からなる光学スイッチを、検出された光子の計数およびデータの16フィールドへの再組織を制御するために使用し、各々は、特定の試料と関連した。
1.16の試料(および/またはコントロール)を個々の1.5mlチューブ中に調製する工程;
2.エミッター細胞のアリコートを各々のチューブに導入する工程;
3.暗箱に配置されたローターにチューブを設置する工程;
4.高RCF(約2000g)での短い(5秒)遠心分離を使用してチューブの底にエミッター細胞を局在化する工程;
5.測定の継続時間の間(1〜2分)ローター速度を60rpmに減少させ、各チューブが1秒に1個サンプリングされる工程;ならびに
6.ディスプレイに各試料について光子計数の時系列を生成し、および/または評価のためにコンピューターアルゴリズムに入力する工程
からなる。
CANARYセンサーに特異的に調整された乾式エーロゾル回収技術を、CANARYの潜在的な速度を十分に利用するために開発した。湿った物質および複雑な流体工学を必要とする多くの他の気体回収システムと違い、乾式衝突システムは、粒子を空気から直接、乾燥表面に回収し、それによってプロセスからほとんど全ての消耗品を削除する。この衝突システムが物質消費が少ないことに加えて、それは、液体ベースの回収システムによって起こる低温凍結を受けない。
CANARYセンサー応用のための乾式衝突回収技術の効力を示すために、個々のバチルス サチリス(Bacillus subtilis)胞子を、衝突ネブライザーでエーロゾル化し、上記のプロトタイプにおいて1分あたり5リットルで30秒間回収した。B細胞を、試料含有チューブに直接添加し、持ち運び式CANARY装置に配置し、5秒間スピンし、PMTによって光シグナルを定量した。結果は図166に示され、直接衝突技術は、分析前に試料調製の必要のないプレスピン液体試料に動力学的に類似するB細胞応答を生じることを示す。
生物エーロゾル防御応用における検出して警告する能力を示すためにCANARY同定技術を、2つの第1世代センサー、BCANおよびTCANにおける乾式エーロゾル回収構造と一体として組み込んだ。BCANセンサーを、再充填の前に低濃度処理を検出するのに十分な感度を有する30の自動化サンプリングおよび分析サイクルを提供するように設計し、CANARY性能を特徴付けるROC曲線および種々の実環境における偽陽性割合を確立するために種々の環境において広範に試験した。BCANセンサーによって示された良好な性能特性は、室内生物エーロゾルモニタリングに対して予測されるより緩い要求を満たすように調整された単純化されたCANARYセンサーを実演するように、別々のプログラム下でTCANの開発を動機付けした基礎を提供した。
構想結果の立証に基づいた任意の自動化CANARYセンサーの開発のための第1の工程は、スピンを強化したCANARYアッセイと乾式回収を合わせるような、信頼できる方法を設計することであった。さらに、流体工学システムは、この構造で液体回収試薬の送達を必要としないので(全てにおいてそれらは他のバイオエーロゾル同定センサーであるので)、発明者は設計の労力を、流体工学メカニズムを伴うことのない細胞の小滴の保存および送達に集中させた。自動化形式の試薬を有さないエーロゾル回収と細胞ベースバイオセンサーを合わせるこの独特のアプローチは、かなりの高コスト、サイズおよび複雑性の増加、ならびに他のバイオエーロゾル同定センサープラットフォームの信頼性の低下の原因となるコアシステムの完全な排除を可能にする。BCANセンサーで示される最終的な解決は、適切なエーロゾル回収特性を組み込んだ単純な担体、および回収後の短いスピンの間にCOTSカプセルの内容物を自動的に放出するCOTSカプセル中に保存されたB細胞の個々のアリコートを利用する。この設計の重要な詳細は図167に概説される。
TCANは、室内建造物環境におけるバイオエーロゾルのリアルタイムモニタリングのための単純でコスト効率的手段として開発されたCANARYベースバイオセンサーである。
2つの第一世代自動化CANARYセンサーの成功および教示を足場として、発明者はCANARY技術をPANTHER(脅威のある環境放出のための病原体解析器(Pathogen Analyzer for Threatening Environmental Releases))と呼ばれるフレキシブルバイオエーロゾルセンサープラットフォームに統合した。エーロゾル回収およびCANARY解析の中心的機能は、第二世代PANTHERファミリーのミッション特異的バイオエーロゾル同定センサーのコアを形成する16のチャンネルを伴う単純なディスク内に設計された。最終的なPANTHERセンサーは個々の使用または部位/建造物保護、緊急応答、迅速なスクリーニング、および環境モニタリングを提供するネットワーク中での使用が意図される。2分未満の非常に低い濃度のバイオエーロゾルの高い信頼性を有する同定は、37lb、約1ft3であり最終的に$20K未満で作製され得る第1のPANTHERセンサーのCUBと称される持ち運び可能ユニットを使用して示されている。設計試験台は、単純で信頼性が高く、流体工学を有さず、液体消費物を有さず、最小の移動部材を有し、CDプレーヤーのように読み込み、試料を自動的に回収し解析する。
PANTHERセンサーに使用されたディスクは、2つの主な機能を実行する:1)ディスクに引き寄せられる空気からのエーロゾル粒子を回収し、CANARYを使用した直接解析に適切な集束位置にそれらを沈着させることを可能にする特異的な幾何学を提供する、2)手動操作を伴わずに試薬を回収されたエーロゾル粒子上に分配させることを可能にする密封された貯蔵器中のCANARY B細胞を保存する。2つの部分、担体およびフタは、射出成形可能であり、超音波溶接されて直径120mm、高さ6mmで1mmのほぼ均一な壁の厚さを有する完全ディスクを形成するように設計された(図173)。ディスクに好ましいポリマーは、長期保存についてB細胞と優れた適合性を示すために、ポリプロピレンホモポリマーであるが、充分な透明性(B細胞から光感知エレメントへのシグナル伝達のために)、およびB細胞適合性を備えた他の任意のポリマーも適切である。
CANARYディスクを自動的に処理するために構築されたコンパクトセンサーの全体図は図177に示される。センサー体は12''HX12''WX14''Dであり、重量はおよそ37lbであり、一枚の手動充填CANARYディスクを使用してエーロゾル試料を自動的に回収し解析するために必要な部品および制御の全てを有する。ディスク充填は、引き出し(図177特徴1)を開くこと、ディスクをプラットフォームに設置すること、および引き出しを閉じることによりなされる。試料を回収して解析するためにセンサーがシグナルを受ける場合、センサーは出口(図177特徴2)より空気を吸い込み始め、ディスクを通して空気を送り込み、その後粒子除去空気を出口(図177特徴3)から排出する。予備設定パラメータ、または外部コントローラーから受信されたシグナルのいずれかにより決定された時間中のエーロゾル回収後、センサーはCANARY試薬を送達するのに充分な速度でディスクを回転させ、解析段階を開始する。解析の間、光子放出が単一光子計測モジュールの前面で(典型的に4000rpm)回転する際に、光子放出がディスク中の個々のチャンネルで測定され得るように回転を徐々に下げる。
センサー感度を確立するために、試験エーロゾルをBacillus subtilis胞子の濃縮ストック溶液の希釈物の衝突噴霧により生成し、1分間サンプリングし、CUB中の胞子に特異的な細胞を使用して解析した。各希釈物により生成された概ねACPLAレベルを図179の説明に示す。1リットル当り多数の粒子が生成された1:8000希釈はDI水を噴霧器に添加した場合に、生じたチャンバーバックグラウンドと区別可能であるが、一般的な傾向に基づいて、濃度は空気1リットル当り5胞子のオーダーである。この極端に低い濃度であっても、30L/分で1分の試料は、陰性対照の3倍よりも大きいピーク強度を伴って容易に検出可能なシグナルを一定して生成した。
可溶性タンパク質の検出は種々の方法を使用してなされ得る。例えば、ある方法においては、それぞれ同一分子上の異なるエピトープに対する2つの抗体が同一のエミッター細胞で発現され得る。次いで該抗体はモノマー抗原により架橋される(図48)。分泌経路の抗体の分類は図48に概略図に示されることを指摘する。一例において、抗体はヘテロ機能性であり得、即ち1つの抗体が2つの異なる機能的抗原結合部位を有し得る。別の例において、それぞれの抗体は1つの機能性抗原結合部位のみを有する。この方法は、2つの要因:(1)複数の機能性抗体が同一のエミッター細胞により発現されることおよび(2)2つの結合したエピトープはエミッター細胞を刺激するのに十分であること(これらの1つより多くのペアが所定の細胞の刺激に必要であり得るが)に依存する。
化学的検出は、軍事的および臨床的設定の両方において重要である。いくつかの化学物質は、抗体が独立して結合し得る2つのエピトープを有し得ることが可能である。かかる場合において、化学的検出の方法は上述の毒素検出の方法と同一である。しかし多くの場合、目的の化学物質上に2つの独立したエピトープは存在しない。かかる場合において、エミッター細胞を刺激し得るように化学物質を修飾することが必要である。これらの4つの修飾は以下に概説される。
核酸検出
いくつかの点で、RNA検出はDNA検出に対して有利である。まず、細胞(原核または真核)当りゲノムのコピーよりも多くの所定RNAのコピーが存在するので、細胞当りのシグナルが本質的に増幅される。第2に、RNAの存在はしばしば生存試験として使用される。第3に、RNAの検出はdsDNAの場合のような2本の相補鎖の変性を必要としない。実験は、RNaseインヒビターを添加する以外は(RNasin Plus, Promega Corporation)ssDNA検出と同様の様式で実施された(図55)。異なる濃度のRNAにジゴキシゲニン標識オリゴを添加して、47℃で2分間インキュベートした。ジゴキシゲニンに対する抗体を発現するCANARY細胞を添加して、チューブを5秒間スピンして、光出力をモニターした。
CANARYは、標的を直接標識することにより核酸も検出し得る。例えば、ジゴキシゲニン標識ヌクレオチドの存在下でPCRを行なって、それによりその全長に複数の抗原が結合したPCR産物を作製する。同様に、CANARYにより次に検出され得る標的核酸に標識を組み込むためにローリングサークル増幅を使用し得る。リガーゼ連鎖反応およびその変形は実質的にオリゴを二量体化し、両オリゴが1つの抗原ごとに標識される場合に二量体化を検出するためにCANARYが使用され得る。
抗原がモノクローナル抗体を架橋できないので、基本形態でのCANARYはモノマー抗原を検出できず(図56)、本明細書に記載のようにアッセイを改変しなければならない。2つの一般的な戦略:(1)毒素抗原をCANARYに対して多価にすることまたは(2)CANARY細胞により発現される抗体をポリクローナルにすることがCANARYを使用して毒素類似物を検出するために使用される。例えば、タンパク質抗原は抗原をビーズ、細胞に吸着させること、または抗原と可溶性抗体を架橋することでCANARY細胞に対して多価になり得る。
抗体コートビーズはまた、可溶性抗体をビオチニル化してストレプトアビジンコートビーズに結合させて作製された。製造業者の指示書に従って、可溶性抗体をビオチン(Pierce Biotechnology Inc)に架橋させた。このビオチン化抗体を磁性ストレプトアビジンコートビーズ(Dynal, Dynabeads M-280)に結合させた。最初の実験は、スルホ-NHS-LC-LC-ビオチンにコンジュゲートした抗体は、スルホ-NHS-LC-ビオチンまたはスルホ-NHS-ビオチンにコンジュゲートした抗体よりもわずかに良好なシグナルをもたらすことを示す(図68)。この方法で生成された6E10-10ビーズはプロテインGビーズと同様の感度で可溶性BoNT/Aを検出することができる(図69)。今日では複数の抗体の同一のビーズに結合する効果は重要ではないが、この技術を使用して複数の抗体を同一のビーズに結合し得る(図70)。
毒素のCANARY検出についてのさらなる形式が構想されており、実行可能性実験がなされた(概要については図72を参照)。これらのバリエーションのいくつかは、架橋された抗原が1つのモノクローナル抗体を発現するCANARY細胞に提示される点でビーズ捕捉と主題上は類似する。アプローチ2において、例えば、抗体コートビーズはCANARY細胞と置き換えられ、それらは本質的に生存している抗体コートビーズである。同一の毒素上の異なるエピトープに対する抗体を発現する2つのCANARY細胞株を、毒素を含有する溶液中でインキュベートする。1つまたは2つの細胞がエミッター分子を有し得る。いくつかの例において、両CANARY細胞は、異なるCANARY細胞中で異なるエミッター分子を含む。他の例において、両方のCANARY細胞は同じエミッター分子の型を含む。該アッセイにおいて、両細胞が毒素で修飾されるが、毒素は単量体であるので細胞は刺激されない。細胞をチューブの底に遠心分離して、2つの異なるCANARY細胞は互いに抗原を提示する。このアプローチはより効果的である(LOD=50ngまたは1μg/mlの濃度)が、ビーズ上の毒素提示よりも感度は低い。毒素による修飾の前の細胞の1つの固定により膜中の抗体の移動がより良好に制限され得、従って対となるCANARY細胞を良好に刺激し得る。
第3の可溶性抗体のアッセイへの添加により、さらなる改善が見られ得る。Dr. J.D. Marksの実験室により公表されたデータ(Nowakowskiら PNAS (2002) 99(17):11346-11350)は、BoNT/Aと1つのモノクローナル抗体のインキュベーションにより、異なるエピトープに対する第2のモノクローナル抗体の明らかな親和性が約100倍増加されることを示す。この態様において、BoNT/A上の第3のエピトープに対する可溶性抗体が抗体コートビーズに添加される。第3の抗体のBoNT/Aに対する結合はBoNT/Aのビーズに結合する運動性を改善する。
CANARYによる植物病原体アッセイのためのプロトコール
植物組織は、B細胞の非特異的な阻害または活性化によるCANARYアッセイに有害に影響を及ぼし得る複合マトリックスである。従って、植物組織を処理してCANARYによる検出のための物質を抽出するための特定の方法が開発された。
限定されることはないが、Ralstonia solanacearumなどの木質部を塞ぐ植物細菌病原体について、物質を抽出するために以下の方法が使用される。
・土管(soil line)部で樹幹の基部を切り出して冠組織を回収する。
・圧縮空気、または余分な土壌を取り除く任意の他の方法を使用して幹を取り除く。
・基部の切断部から約1cmで第2の切断を行ない、横断切断切片を作る。
・幹の直径よりもわずかに小さい環状パンチを使用して、外層(<1mmの厚さ)を除去して芯を抜き取る。
・芯を、適切な直径の、1mLの蒸留水またはCANARY細胞アッセイメディウム(CO2I)を含有するチューブに入れ、5分間浸漬する。
・芯試料をチューブから除去し、液体をボルテックスにかける。
・試料の任意の部分または全部を以下のようにアッセイし得る:
・スイングバケット微量遠心管で試料を10K〜18K RCFで2分間遠心分離する。
・抽出に蒸留水を使用した場合、上清を吸い取り廃棄し、0.5mL CO2Iをチューブに添加し、ボルテックスにかけ試料を10K〜18K RCFで、スイングバケット微量遠心管で2分間遠心分離する。
・抽出にCO2Iを使用した場合、置換の工程は必要ない。
・0.02mL CANARY細胞をアッセイチューブに添加し、5秒間遠心分離しルミノメーターでシグナル出力を読みとる。
図100参照。グラフは、上述され図101に描写されたプロトコールを利用した、ゼラニウム抽出における100cfu/mL(5cfu/CANARY試験)のRalstonia solanacearumの検出を示す。
ralstonia感染組織には比較的少量の試料調製物を必要とする。細菌は木質部(植物の血管系)を塞ぐので、組織試料を水に置いた場合「細菌流」(即ち、幹の切断端からの細菌の流れ)が生じる。これは試料をすりつぶす必要がなく感染組織からのralstoniaの回収を可能にするので、アッセイを妨害する可能性のある植物の屑から細菌を抽出する必要性が排除される。
potyvirus群は、最大かつ経済的に最も重要な群の植物ウイルスを含む。CANARY B細胞上で発現される広範囲のスペクトルで反応するモノクローナル抗体PTY1はクリプトトープ(ビリオン表面には見られないがむしろ完全なビリオン中に見られるコートタンパク質サブユニット上に見られるエピトープ)を認識する。これは、ウイルス上のクリプトトープがB細胞と接触可能であるために曝露されていることを必要とする、CANARYについての特別な課題を提示する。本明細書に記載される方法は、potyvirusをプリスチン、1〜20ミクロンポリスチレンビーズに結合させることでクリプトトープを露呈させる。図156参照。該技術はまた、磁性ポリスチレンビーズでも働く。ウイルスがビーズに結合する際、これによりウイルスコートが解け、エピトープが露呈される。ビーズはまた、CANARYアッセイについて第2の利点を提供する。potyvirusは、短い低速の遠心分離では沈降され得ない長くて屈曲性のある、フィラメント状の粒子(12x680〜900nm)である。低回転速度で非常に迅速に沈降するか、または磁石を用いて濃縮し得るビーズにウイルスを結合させることで、potyvirusについてのCANARYアッセイの感度が大きく上昇する。ビーズを組み込む試料調製/CANARYアッセイを行うために特別なデバイスまたは機器は必要とされない。
phytophthora、経済的にかなり重要な真菌様植物病原体を検出するための2つのB細胞株を開発した。抗体の遺伝子を、Neogen Corporationから提供されたハイブリドーマPH3812およびPH4831から抽出した。該抗体はPhytophthora spp.の菌糸部分を認識する。
血液保有病原体を検出するCANARYの能力に影響するパラメータは多く存在する。他の複雑なマトリックスに関して、血液はCANARYアッセイのアクチベーターおよびインヒビターの両方を含有する。全血が不透明であり病原体が細胞内または血液試料の液相のいずれかに存在し得るので光伝達が遮蔽される。さらに、異なるドナー由来の試料間の変動には、ドナーの状態に関係なく機能する普遍的な試料調製法の開発が必要であった。これらの課題全てを克服し、さらにCANARYアッセイの速度または感度のいずれも損なわない血液中の病原体の検出を可能にする、全血試料調製手順の方法およびデバイスが本明細書に記載される。
3段階の迅速で簡便な工程で全血試料の分離を可能にする改変した既製品(COTS)部品から試料デバイス(図103)を、組立てた。該デバイスは市販のヘパリン化キャピラリーPST血液回収チューブからなる。糸を通した連結カラーを、上部に穴を開けられたPSTチューブのフタにはめた。次いでストッパーをカラーの上半分に設置する。1.5ミリリットルの全血をヘパリン化血漿分離チューブに回収し(工程1)、90秒間遠心分離する(工程2)。次いで、ストッパーを糸を通した1.5mL CANARYアッセイチューブに置換する。50〜250□Lの範囲の容量で回収された、分離された病原体含有血漿を、その後逆にアッセイチューブに回収する(工程3)。血漿を0.5mLのアッセイメディウムと混合し(血漿中に存在するCANARY細胞アクチベーターの影響を低減するプロセス)、混合物を遠心分離して病原体をペレット化する。次いで、この試料を、標準プロトコール1回当たりの病原体特異的CANARY細胞で試験する。血液回収から病原体検出に必要な全時間はおよそ5分である。
液相病原体の単離に開発されたデバイスへの改変により、細胞内病原体を含む白血球細胞、血漿および液相病原体の回収が1工程で全て可能になる。これは、白血球細胞単離メディウム(フィコール-ジアトリゾエート)を該デバイスに組み込むことにより達成される。現在、このような小規模(即ち、わずか0.5mLの全血を分離し得る)で構築されたこの構造を有する市販の装置は存在しない。そのため、該ユニットは以下のように組立てられる:
・200マイクロリットルフィコール-ジアトリゾエート(FD
・5ミリメートルポリエステルゲル
・100マイクロリットルリン酸緩衝生理食塩水(PBS)
・500マイクロリットル全ヘパリン化またはEDTA血液
チューブの構成については図104参照。
CANARY B細胞衝突技術
本発明は、遠心分離を伴わないCANARY B細胞の湿式または乾式衝突試料への効率的な送達の技術を記載する。これらの技術は、移動部材および区分した時間の光子読出しの最小化に基づいた簡略で、低コストの自動化CANARYを可能とする。
該デバイスは小滴衝突を使用した技術を取り込み、試験下でのCANARY B細胞および抗原含有標的との間の迅速な遭遇を最大限にする。いくつかの変形が記載され(下記)、関連のある実験および解析技術が以下に記載される。
技術1「B細胞スプレー」
技術2「遠心分離を伴わないCANARYアッセイ」
技術3「CANARY B細胞衝突」
技術4「TCAN-3 B細胞送達コンセプト」
技術5「B細胞衝突およびCANARYのアップデート」
目的
この実験の目的は、噴霧器によりB細胞を噴霧することでB細胞の送達機構が変わるかどうかを決定することであった。送達される細胞の容量、細胞の生存性、および活性が測定された。
調節された容量のB細胞を送達する代替的な方法が試験された。噴霧されたB細胞の運動性を、液体および乾燥試料について試験し、20μlのB細胞で試験した試料と比較した。これらの実験は、細胞計測、生存性、濃縮中での活性再現性、およびバックグラウンドレベルについて試験された。送達後に細胞をスピンさせることの効果、および噴霧された典型的な細胞の容量も試験した。
結果は、各々のスプレーボトルには2mlのB細胞が充填され得、45〜47回スプレーされ得ることを示す。各々のスプレーは、34±8μl/スプレーを送達する(n=47)。オリジナルのチューブから直接計測し多細胞を平均すると3.2x105±8.0x104細胞/mlであった(n=5)が、スプレーした細胞は1.3x105±2.9x104細胞/mlの低い平均を示した(n=5)。結果的に、送達された細胞/試料の数はスプレーされた細胞について5392±954(n=5)であり、20μlのピペットで送達された細胞について5283±76(n=5)であった。
結果により、B細胞のスプレーがB細胞送達に適切な方法であることが示された。スプレーにより細胞数が減少するが、容量をより大きくすることで、試料あたりに送達される細胞と同等の数が可能になる。50%の検出ではあるが、50および500cfuでの検出能力を示すためにBa B細胞のスプレーを続ける。スプレー条件を最適化して、おそらくはより高濃度のB細胞または新規の細胞によりこの活性は回復され得ることが可能である。Ba B細胞スプレー実験はまた、5秒間のスピン工程が適切なB細胞活性になお必要とされることを示す。興味深いことに、Yp B細胞スプレーは、Ba検出と同程度にはB細胞活性に影響しなかった。バックグラウンドレベルは同様のままであり、500cfu Ypは100%の検出を示した。B細胞の効果はまた、液体および乾燥試料で試験された。まず、20μlのB細胞送達による500cfu Ypの湿式または乾式形式の検出は変化しなかった。しかしながら、乾燥Yp試料による20μlの細胞送達と比較して、スプレーされた細胞についてバックグラウンドは増加し、乾燥500cfu Ypの検出は100%検出を示したままであった。
CANARYアッセイ。CANARYは速く高感度なバイオアッセイである。これは、抗原との結合時に蛍光を発する改変されたB細胞株を使用する。抗原細胞は遠心分離されるかまたは表面上に衝突されるかのいずれかである。次いで、B細胞はこれらの細胞上に遠心分離され、ルミノメーターにより蛍光が測定される。いくつかの計画(例えば、BCANおよびTCAN)は病原体のフィールド検出にCANARYを使用しており、エーロゾル回収および衝突をCANARYアッセイと合わせる。
CANARYフィールド検出器の現在のバージョンにおいて、扱いにくい遠心分離装置および繊細な光学装置を小さい空間で合わせることが必要である。この要件は、これらの検出器の設計および構築を悩ませる。遠心分離を排除することで設計コスト、構築コストおよび維持コストが減少し、さらに信頼性が向上する。発明者等は衝突を使用した代替的な技術を説明する。
遠心分離によるコスト高および設計の複雑性を回避するために、B細胞を結合表面に移動させるための代替としていくつかの方法が示唆されている。これらには、細胞内部の磁気ビーズの操作、熱泳動、電気泳動、および音波的な操作が含まれる。これらの方法のそれぞれは、CANARYシステムへの新規の技術の開発および改良を必要とする。
新規の形式で適用されるCANARY技術、具体的には衝突によりB細胞の抗原への結合を使用する技術が本明細書に記載される。この技術はBCANまたはTCANに使用されるものと十分に同様な衝突を使用する。B細胞溶液を抗原細胞衝突ノズルによりスプレーする。B細胞は溶液中に存在してはいるが、その質量の大きさのために衝突表面上に衝突する。これは次のセクションにより詳細に記載される。スプレーはバイオエーロゾルに使用されるものと同等の流速である。そのため、バイオエーロゾル回収に使用される同一のポンプでB細胞衝突を作動させ得る。
液体による粒子の衝突は、気体による粒子の衝突と同様である。液体の流線が物理的障害により、突然方向を変えた場合、液体中の充分に大きな粒子が流線を横切って、障害物と衝突する。衝突の可能性を説明する単位のないパラメータはストークス数である。これは障害物の大きさに対する粒子の停止距離の割合である。ストークス数はおよそ
であり、
式中Uは、障害物に向かって移動する液体流速であり、Dは障害物の大きさであり、τは粒子の緩和時間である。緩和時間は粒子直径、粒子密度、および液体粘度の関数である。ノズルから衝突表面へ流れ出る液体について、Dはノズルの直径である。
であり、
式中Stk50は定数(約0.5)であり、ηは液体粘度であり(水について0.01 Pおよび空気について0.0002 P)、Qは流速である。BCANについて、Qは2lpmであり、Dは0.1cmである。水について計算されたd50は6ミクロンであり、空気については0.8ミクロンである。
目的:
遠心分離工程を伴わないCANARYフィールドデバイスについて代替的なB細胞送達方法を開発すること。
初期のCANARYプロトコールには、B細胞送達について500gで5秒間の遠心分離工程が必要である。しかし、試料を遠心分離することは、B細胞などの繊細な成分およびPMTを含む自動化システムにおける重度の設計の拘束を設定することによるCanaryフィールドデバイスの有効性を制限する。本明細書に記載される新規の方法は、BCANまたはTCANシステムと同様の形式で衝突する際に、物質およびB細胞の両方を衝突させることで余分な移動部材を排除する。これは、物質だけが衝突する現在の方法とは異なる。結果として、唯一の移動部材が、B細胞を噴霧するためのバルブであり、これは結合表面からある程度離れて設置される。
目的:
現在では、TCAN-2バイオセンサーは、B細胞の放出および送達を制御するために、COTトランペットバルブを組み込む。このトランペットバルブは高価であり、かさ高でもある。さらに、トランペットバルブ内のバネは、遠心分離工程中にバルブを開くために使用前に取り外さなければならない。この技術は、ベルヌーイの法則の簡単な応用に基づくB細胞放出および送達のための、代替的な機構を提唱する。
提唱された概念は、液体貯蔵器からB細胞をエーロゾル経路へと吸い込むエーロゾル回収ポンプを利用する。これは、エーロゾル回収の際に閉じられるB細胞貯蔵器をホイルシールで密封することによりなされる。エーロゾルの回収後、シールに穴を開け、エーロゾル経路と貯蔵器の間に圧力差(ΔP)を生じさせる。
P=圧力;ρ=液体の密度;V=速度
g=重力加速度;z=高さ
PV=nRT
完遂される必要があるいくつかの重要な実験がある。重要なデザインパラメータは、貯蔵器チャンネルの理想的な直径および幾何学を決定することを含む。この直径は液体-気体界面での表面張力に影響する。キャピラリーチューブ内の表面張力による圧力差は以下の通りである:
(水について、表面張力=γ=0.073N/m)
ΔP=2γ/半径
B細胞放出および送達のこの方法は、TCAN-2に現在使用されているCDの設計を簡略化する。この方法はまた、CDのコストおよび大きさを減少し、より安価で簡単な部材の製造をもたらす。この技術は、本明細書に記載される遠心分離を伴わないB細胞送達アプローチにも応用可能であり得る。
本明細書に記載される方法は、B細胞の小滴を抗原基質上に衝突させることでB細胞の標的を抗原とする。これは特にCANARY乾式衝突に適切である。同じ機構により配置されるので、B細胞は抗原と同じ位置に配置される。
B細胞のエーロゾル化の効果をさらに研究するために、FACSソーター試験管の底に抗原を配置し得る。次いで、CANARY B細胞はFACSマシンを通じて処理され得る。次いで、CANARY B細胞による光子放出について、試験管がルミノメーター内で解析され得る。陰性対照は、チューブ内に抗原を含まない。また、抗原およびCANARY細胞のチューブへの衝突は一緒に試験され得る。
16チャンネルセンサー:
1チャンネルシステムで見られるものと同等の感度レベルを提供する、改良および改善された16チャンネルセンサーを本明細書に記載する(図121)。この持ち運び可能なプロトタイプは外での検証および試験に適している。具体的に、これは1つの集光チャンネルを使用して、同時に16の試料の測定を可能とする。センサーは水平上に、その円周に等間隔に分布された16のアッセイチューブを保持し、垂直軸可変速度モーターで駆動されるローターからなる。単一固定光子検出エレメント、この場合PMTは、回転中のチューブ経路の直上のローターの面上に設置される。このように、それぞれのチューブは、連続的かつ繰り返して、PMTの近位に持ち込まれ、通過毎の光出力のサンプリングが可能になる。最終的に、光源(赤外LED)および検出器(フォトトランジスター)からなる光学スイッチを使用して、検出光子の計測およびそれぞれが特定の試料に関連する16のフィールドへのデータの再組織化が制御される。
1. 個々のアッセイチューブに16の試料(および/または対照)を調製する工程。
2. 手動の移行、自動の移行、カプセル、またはブリスターパッケージを含むがこれらに限定されない方法の任意の変形を使用した、各々のチューブへB細胞のアリコートを導入する工程。
3. アッセイチューブをローターに充填する工程。
4. 高い相対遠心力(RCF)(約2000g)の簡易(5秒)遠心分離スピンを使用して、チューブの底にB細胞を局在させる工程。
5. 測定の時間(1〜2分)のためにローター速度を10〜120rpmまで低減させ、1回転ごとにそれぞれのチューブをサンプリングする工程。
6. 表示および/または評価のためのコンピューターアルゴリズムへの入力について、各試料の時系列の光子計測数を作成する工程からなる。
臨床適用、注意適用および前進開発適用を目的としたコンパクトな手持ち式センサーに適合性である他のアッセイ形式も本明細書に記載される。一般的に、探求の際の目的は、可能な限り速度および感度を高く維持ながら必要とされるCANARYアッセイ手順およびハードウェアの両方を簡易化し得る形式を同定することであった。具体的に、現在では遠心分離がエネルギー消費および装置の複雑さの主な駆動体であるので、その工程の要件を減少または排除し得る代替的なアッセイ手順の性能を特徴付けることに焦点を当てる。表面結合標的、微小流体チャンネル、灯心アセンブリ(wicking assembly)、濾過、または磁気ビーズ捕捉の物理的な操作を使用するアッセイ形式に対して、多数のアプローチが実験的に評価されている。側部フローアセンブリ、および磁気ビーズ捕捉の使用が、特に、以下により詳細に記載される。
これは、一般的な一直線のピンによってもたらされた(およびそれを使用して元々試験された)、CANARY B細胞を使用する非遠心分離法の一員である。実際に、一直線のピンは、3つの基本的な基準:1)表面がB細胞のカルシウム流動を刺激しない、2)表面はCANARY B細胞上の抗体が結合標的に結合する能力を変化しないように標的を受容し、保持/結合し得る、ならびに3)表面は、反応容器の表面上のB細胞(エミッター細胞)の層と接触するように物理的操作の影響を受け易い、を満たす、任意の適切な固体表面に置き換えられ得る。一般的に、試験される粒子は、空気または液体試料から、種々の手段により「ピンヘッド」上に回収され得(図122)、その後、固定されたB細胞のアリコートに提示され得(図123);回収された試料が、抗体を発現する細胞に対する抗原を含む場合、弱い光シグナルが生成され、感受性ルミノメーターにより回収される。
二組の磁気ビーズの利用するアッセイが本明細書に記載される。1つの組はCANARY B細胞に特異的であるが、もう1つの組は特定の物質に特異的である。これらの物質に特異的なビーズは、特定の物質(例えば、グラム+/-細菌、ウイルス、タンパク質、DNA等)の種類に対する一般的な親和性を有し得る(例えば、それらの全ての教示が参照により本明細書に援用される、US2005/0118570および米国特許第11/056,518号参照)か、または単一物質に対して特異的な親和性を有し得るかのいずれかである。図127において、二重ビーズアッセイと並行して標準CANARYアッセイを行なった。Y. pestisに特異的な磁気ビーズを、Y. pestis物質の連続希釈物と5分間混合した。5分後、任意に結合したY. pestisと一緒に磁気ビーズをアッセイチューブの底に引き寄せて、上清を除去した。次いで、試料に磁気標識B細胞を添加して、チューブの底に落とした。これにより、磁気ビーズによる物質およびB細胞の局在化は、遠心分離と同等の感度を提供することが証明される。
遠心分離を伴うことなく試料液体移動ならびに抗原の局在を達成するための灯心を層にし、物質を濾過するデバイス中のCANARYアッセイを本明細書中に記載する。該デバイスの基本構造および胞子サイズの粒子を局在するその能力を説明する写真を、図128および129に示す。
自動化CANARYバイオエーロゾルセンサー態様:
わずか90秒で空気保有病原体の回収および同定を示すために、慣性衝突によるエーロゾル回収と自動センサーのCANARY同定の組合せが本明細書に記載される。現在、他の自動化バイオエーロゾル回収および同定デバイスについて報告されている最も速い応答時間は18分より大きく、従ってこれは現在の技術分野の水準と比較してワンオーダーより大きい改善を提示する。この設計に基づいた2つの態様、BCANおよびTCANセンサー(図131)は、以前に構築および試験され、発明者がPANTHER(脅威のある環境放出のための病原体解析器、図131)と呼ぶ次世代CANARY技術に統合されている重要な物質、方法、およびデバイスが本明細書に記載される。
1) 浮遊したエーロゾル粒子を、直接CANARY解析に影響を受け易い十分に規定された領域中のディスクの表面に衝突させる幾何学を備えた、16以上のチャンネルにより空気フローを方向付け、加速する特徴を有する4.75"直径ディスクにより、解析されるエーロゾル粒子を含む空気を引き込む。
2) CANARY B細胞を、多数の利用可能な機構を使用して自動的に放出され得、簡易スピン(5秒未満)によりエーロゾル回収部位のそれぞれに送達され得る16以上の個々のアリコートのボードに保管する。
3) 回転力によってCANARY B細胞と回収されたエーロゾル粒子の間で接触され、CANARY B細胞の病原体標的を含む任意の試料から光が放出される。ディスクは反応領域中の放出される光の波長に対して透過であり、放出された光は、光子計測光検出デバイス(例えば、光電子増倍管)を用いて回収、および定量される。
4) 上述の複数のディスクをデータの保存、移行、処理および解析を提供するデバイスにかける。この装置の操作は、空気保有病原体の同定がわずか90秒ほどで可能な病原体回収および解析を提供する。
頭文字/記号の定義:
AC 交流
AFB 空軍基地
ATP アデノシン三リン酸
BAWS 生物物質警告センサー
Bcl2l11 Bcl2様11
Bmf Bcl2修飾因子
BoNT/A ボツリヌス神経毒素A
BoNT/A Hc ボツリヌス神経毒素A重鎖
CANARY 抗原リスクおよび産出の細胞解析および通知
CCD 電荷結合素子
CDC 疾病対策センター
COTS 既製品
CPT 細胞調製チューブ
CRET 化学共鳴エネルギー転移
DC 直流
DEP 誘導泳動
DMSO ジメチルスルホキシド
DNA デオキシリボ核酸
DoD 国防総省
EB 基本小体
EGFP 強化型緑色蛍光タンパク質
FcγRI FcガンマレセプターI
FMD 口蹄疫
GADD45β 成長停止およびDNA傷害誘導性ベータ
GFP 緑色蛍光タンパク質
GST グルタチオントランスフェラーゼ
HA ヘマグルチニン
HBSS ハンクス平衡生理食塩水
Hells ヘリカーゼ、リンパ球特異的
Hist1H1c ヒストン1H1c
HSF1 熱ショック因子1
IFNγ インターフェロンガンマ
LD50 50%致死量
LOD 検出限界
NiCd ニッケルカドミウム
PBS リン酸緩衝化生理食塩水
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
Pdcd1lg1 プログラム細胞死1リガンド1
PMT 光電子増倍管
PST 血漿分離チューブ
RCF 相対遠心力
RLU 相対蛍光単位
TCA トリクロロ酢酸
Tx-100 Triton X-100
USAMRIID アメリカ軍伝染病研究機関
VEE ベネズエラウマ脳脊髄炎
Claims (3)
- a)単離された全血試料から、血液が保有する病原体についての試験対象の血漿試料を単離する工程、ここで、該血漿試料は、血漿分離デバイスおよび分画遠心法を使用して得られる;および
b)該血漿にエミッター細胞を添加し、光子放出を検出する工程、ここで、該エミッター細胞は、各エミッター細胞の表面上に発現し、かつ検出対象の血液が保有する病原体に特異的なレセプターを含み、病原体が該レセプターに結合することにより、細胞のサイトゾル中のカルシウム濃度が上昇し、該エミッター細胞は、細胞内カルシウムの上昇に応答して光子を放出するエミッター分子をさらに含み、該光子放出は、血漿中の病原体を示す、
を含む、血漿試料中の血液が保有する病原体の存在について試験する方法。 - 病原体が、細菌、ウイルスまたは毒素である、請求項1記載の方法。
- 病原体が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、トラコーマクラミジア(C. trachomatis)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、野兎病菌(Francisella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、コレラ菌(Vibrio Cholerae)O139、コレラ菌(Vibrio Cholerae)O1、ブルセラ(Brucella)種、クラミジア(Chlamydia)種、サルモネラ(Salmonella)種、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、大腸菌O157:H7、FMDウイルス、デング熱ウイルス、オルトポックスウイルス、リフトバレー熱ウイルス、リステリア(Listeria)種、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、VEEウイルス、ボツリヌス毒素(Botulinum toxin)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、糞便連鎖球菌(Enterococcus faecalis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、カタル球菌(Branhamella catarrhalis)、腸炎菌(Salmonella enteritidis)、大腸菌、肺炎杆菌(Klebsiella pneumoniae)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumanii)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、コリネバクテリウム・ミヌチシマム(Corynebacterium minutissimum)、アシドフィルス菌(Lactobacillus acidophilus)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、スタフィロコッカス・サプロフィティカス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス・グループD(Streptococcus group D)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、カードネレラ・バギナリス(Garderella vaginalis)、またはゲメラ・モルビロラム(Gemella morbillorium)である、請求項1記載の方法。
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