JP5351592B2 - 耳栓遮音効果測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は耳栓遮音効果測定装置に関し、特に工場等における作業者が騒音防止の目的で使用する耳栓の遮音効果測定に使用して好適なるものである。
耳栓は、工場で働く作業者が長時間の騒音環境で作業することにより騒音性難聴になるのを防止するため、多くの作業者により使用されている。一般に工場における騒音レベルは80〜100dB程度とされているが、耳栓の遮音効果は耳栓の選択やつけ直しによって0dB〜40dBの範囲でばらつくことが知られており、遮音効果の良否は主観的にではなく遮音量の測定値に基づいて客観的に管理する必要がある。
この点、従来は、被験者に画一的な発報シーケンスの試験音圧レベルを提示して測定した最小可聴音圧レベルを基に耳栓の遮音効果を測定する耳栓遮音効果測定装置が知られている(特許文献1)。このような装置を使用することで作業者はより良い耳栓を選択し、正しく装着する習慣を身につけることができる。
特開平5−329134号公報
しかしながら、一般に人の聴覚レベルには個人差があり、また左右の耳でも相違がある。このため、複数の被験者に対して画一的な発報シーケンスの試験音圧レベルを提示する方法であると、様々な聴覚レベルを有するような不特定多数の被験者の遮音量測定を短い時間で能率良く行えない。例えば、測定開始当初の試験音圧レベルの上昇速度が固定であると、聴覚レベルの個人差に最速で対応できない。
本発明は上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、聴覚レベルの個人差に応じて耳栓の遮音効果を能率良く適正に測定可能な耳栓遮音効果測定装置を提供することにある。
本発明の第1の態様による耳栓遮音効果測定装置は、被検者の外耳道に耳栓を装着して測定した最小可聴音圧レベルと該耳栓を装着しないで測定した最小可聴音圧レベルとの差により前記耳栓の遮音効果を測定する耳栓遮音効果測定装置において、前記聴覚の測定開始に伴い被験者に提示する試験音圧レベルを所定幅ずつ増加させ、前記被験者が聴こえ始める試験音圧レベルとする音圧レベル増加手段と、前記音圧レベル増加手段が前記被験者が聴こえ始めた試験音圧レベルとした後、前記被験者に提示した試験音圧レベルを徐々に下降させ、前記被験者に聴こえなくなった試験音圧レベルとした後、該試験音圧レベルを上昇させる過程で、前記被験者に聴こえなくなった試験音圧レベルと、前記被験者に再度聴こえ始めた試験音圧レベルとを測定し、これらの平均により最小可聴音圧レベルを求める聴覚測定手段とを備え、前記音圧レベル増加手段による前記聴覚の測定開始に伴う試験音圧レベルの段階的な増加幅は、操作者により設定可能であり、前記聴覚測定手段が試験音圧レベルを下降及び上昇させる幅よりも広い「開始ステップ幅」の設定値に従った幅である
本発明によれば、操作者(即ち、検査者又は被験者)は試験音圧レベルの開始増加幅を被験者に適した値に設定でき、聴覚の測定開始に伴う試験音圧レベルの段階的な増加幅は、聴覚測定手段が試験音圧レベルを下降及び上昇させる幅よりも広い「開始ステップ幅」の設定値に従った幅であるため、例えば、聴覚の優れた人に対する試験音圧レベルは比較的小さい増加幅にしても速やかに本人の可聴領域に到達し、一方、聴覚に難のある人に対する試験音圧レベルは比較的大きい増加幅とすることで速やかに可聴領域に到達する。従って、被験者の聴力レベルに応じた試験音圧レベルを常に能率良く提示でき、トータルの測定時間の大幅な短縮が図かれる。
本発明の第2の態様では、前記音圧レベル増加手段が前記試験音圧レベルを上昇させる「開始ステップ1ステップ当たり1〜15dBの範囲で設定可能である。
本発明の第3の態様では、前記聴覚測定手段は、前記被験者に提示した試験音圧レベルを徐々に下降させ、前記被験者に聴こえなくなった試験音圧レベルとした後、該試験音圧レベルを上昇させる前に、前記被験者に提示した試験音圧レベルを、前記被験者に聴こえなくなった試験音圧レベルから更に、操作者により設定可能な「折返しステップだけ降下させる。
本発明によれば、操作者は聴こえなくなった試験音圧レベルの降下幅を被験者に適した値に設定できるため、例えば、聴覚の優れた人はこの降下幅を小さく設定しても、再度聴こえ始める点を確実に聴きとれるため、トータルの測定時間を短縮できる。また、聴覚に難のある人はこの降下幅を比較的大きく設定することで試験音が聴こえなくなった点と再度聴こえ始めた点とを明瞭に区別できる。
本発明の第4の態様では、前記被験者に聴こえなくなった試験音圧レベルから更に降下させる「折返しステップ、5〜15dBの範囲で設定可能である。
本発明の第5の態様では、前記被験者に再度聴こえ始めた試験音圧レベルが、前記被験者に聴こえなくなった試験音圧レベルを基準とする上下各所定幅の試験音圧レベルの間に含まれない場合はエラーを知らせる報知手段を更に備え、前記報知手段による上下各所定幅の試験音圧レベルを操作者により設定可能に構成したものである。
本発明によれば、操作者は被験者に聴こえなくなった試験音圧レベルを基準とする上下各所定幅の音圧レベルを被験者に適した値に設定できるため、例えば、聴覚の優れた人に対する上下各所定幅は比較的狭く設定することにより、最小可聴音圧レベルの測定精度が向上する。一方、聴覚に難のある人に対する上下各所定幅は比較的広く設定することにより、最小可聴音圧レベルの測定がエラー終了してしまう確率を少なくでき、トータルの測定時間を短縮できる。
本発明の第6の態様では、前記被験者に聴こえなくなった試験音圧レベルが、前記被験者に聴こえ始めた試験音圧レベルを基準とする上下各所定幅の試験音圧レベルの間に含まれない場合はエラーを知らせる報知手段を更に備え、前記報知手段による上下各所定幅の試験音圧レベルを操作者により設定可能に構成したものである。
本発明によれば、操作者は被験者に聴こえ始めた試験音圧レベルを基準とする上下各所定幅の試験音圧レベルを被験者に適した値に設定できるため、例えば、聴覚の優れた人に対する上下各所定幅は比較的狭く設定することにより、最小可聴音圧レベルの測定精度が向上する。一方、聴覚に難のある人に対する上下各所定幅は比較的広く設定することにより、最小可聴音圧レベルの測定がエラー終了してしまう確率を少なくでき、トータルの測定時間を短縮できる。
本発明の第7の態様では、前記上下各所定幅の試験音圧レベルは1〜30dBの範囲で設定可能である。
以上述べた如く本発明によれば、最小可聴音圧レベルの測定パラメータを操作者により設定可能としたことにより聴覚レベルの個人差に応じて耳栓の遮音効果を能率良く適正に測定可能となるため、この種の耳栓遮音効果測定装置の普及拡大に寄与するところが大きい。
実施の形態による耳栓遮音効果測定装置の外観図である。 実施の形態による耳栓遮音効果測定装置のブロック図である。 実施の形態による最小可聴音圧レベル測定処理の推移を示すグラフ図である。 実施の形態による耳栓遮音効果測定処理部のフローチャートである。 実施の形態による耳栓遮音効果測定処理部のフローチャートである。 実施の形態による耳栓遮音効果測定処理部のフローチャートである。 実施の形態による最小可聴音圧レベル測定処理部のフローチャートである。 実施の形態による最小可聴音圧レベル測定処理部のフローチャートである。
以下、添付図面を参照して本発明に好適なる実施の形態を詳細に説明する。図1に実施の形態による耳栓遮音効果測定装置の外観図を示す。本装置はアタッシュケース状の筐体1に電子回路の本体部を実装すると共に、ヘッドホン30やリモートスイッチ40等の付属品を収納して構成される。
ヘッドホン30は被験者の耳を騒音から遮断して被験者に試験音を聞かせるためのものであり、遮音カップの内側にスピーカを備えるような市販のものを使用できる。リモートスイッチ40は被験者によって試験音が聴こえ始めたか、聴こえなくなったかの応答を装置に入力するためのプッシュ式スイッチである。なお、外部にリモートスイッチ40を接続しない場合は、本体のパネル表面に設けられた操作スイッチ(不図示)を使用できる。
筐体1を開いた本体側のパネル表面には、電源ON/OFFスイッチ2と、電源コード接続用コネクタ3と、ヘッドホン接続用ジャック4と、リモートスイッチ接続用コネクタ5と、操作手順や測定結果を表示するための液晶による表示部(LCD)6と、検者や被験者(以下、被験者等と称す)が操作するための操作部7とが設けられている。
この操作部7には、メモリの内容を全て消去すると共に被験者の最小可聴音圧レベルの測定パラメータをデフォルト値に戻す「オールクリア」キー8と、電源投入時に表示されるメニュー画面を表示するための「Menu」キー9と、表示部6の画面を前回(上位層)に戻す「Back」キー10と、画面上のカーソル(例えば矢印)を上側に移動させるアップ(△)キー11と、該カーソルを下側に移動させるダウン(▽)キー12と、耳栓なし状態での最小可聴音圧レベルの測定を選択する「耳栓無し」キー13と、耳栓あり状態での最小可聴音圧レベルの測定を選択する「耳栓有り」キー14と、各種操作入力の内容を確定させるための「Enter」キー15とが含まれる。
図2に実施の形態による耳栓遮音効果測定装置のブロック図を示す。電子回路の本体部20には、本装置の主制御処理を行うCPU21と、表示部6と、操作部7と、試験音信号の処理を行う主信号処理部とが含まれる。この主信号処理部において、発振器22は、例えばDDS(Direct Digital Synthesizer)により構成され、CPU21からの指示に従い500Hz、1kHz、2kHz又は4kHzの正弦波信号(純音信号)を発生する。ローパスフィルタ(LPF)23は、発振器22の出力の正弦波信号に含まれる高調波成分を抑制するため、例えば4kHzを超える周波数成分を除去する。アッテネータ(ATT)24は、アナログスイッチとアレー抵抗とにより構成され、CPU21の制御下で試験信号に対する減衰量を音圧レベルにして1dB以上の分解能で変更可能である。
更に、信号通過ウィンドウ(WND)25は、毎秒2回の割合で断続させる試験音信号のON/OFF制御に伴う不連続音(ノイズ音)の発生を緩和するため、該試験音信号のON時には音量を滑らかに上げ、かつ試験音信号のOFF時には音量を滑らかに下げるような制御を行う。増幅器(AMP)26は、例えばB級アンプよりなり、信号通過ウィンドウ25の出力の試験音信号を所要のパワーに増幅する。切替SW27はCPU21の制御下で増幅後の試験音信号をヘッドホン30の左スピーカ又は右スピーカに接続する。
本装置により、被験者の耳栓なし状態における最小可聴音圧レベルと、耳栓あり状態における最小可聴音圧レベルとを測定すると共に、それらの差分をもって耳栓の遮音効果となし、表示部6に表示する。次に本装置を使用した耳栓遮音効果測定操作の概要を説明する。
本装置に電源投入するとメニュー画面が表示される。このメニュー画面には「測定結果」、「遮音量測定」、「初期設定」、「印刷」の各項目が表示される。「測定結果」は前回の遮音量測定結果の表示、「遮音量測定」は新たな耳栓遮音効果の測定、「初期設定」は最小可聴音圧レベルの測定パラメータの初期設定、「印刷」は測定結果の印刷をそれぞれ表す。
被験者等は、耳栓の遮音量測定に先立って最小可聴音圧レベルの測定パラメータを確認し、必要なら該測定パラメータを被験者に適したものに変更可能である。被験者等が画面上の「初期設定」を選択して「Enter」キーを押すと、測定パラメータの初期値(デフォルト値)が表示される。以下に一例の初期値を示す。
「周波数」:2000Hz
「開始ステップ幅」:10dB
「最大音量」:90dB
「折返しステップ幅」:5dB
「エラーステップ範囲」:5dB
「周波数」は試験音(純音)の周波数であり、500Hz、1kHz、2kHz、4kHzの何れか一つを選択可能である。通常は2000Hzが基準であるが、他の周波数(例えば4000Hz)が不快に感じたり、あるいは聴きとり難い人もいるため、他の周波数も選択できるようにしている。
「開始ステップ幅」は測定開始時の音圧レベルを被験者の可聴領域に向けて速やかに到達させるためのステップ幅であり、1〜15[dB]の範囲で設定可能である。これにより、聴覚の優れた人は小さい開始ステップ幅を選択しても試験音量が短時間で可聴領域に至る。一方、聴覚に難のある人は比較的大きい開始ステップ幅を選択することで試験音量は短時間で可聴領域に至る。各被験者は、慣れてくるとそれぞれが自己に最適の開始ステップ幅を選択可能となるため、試験開始の準備期間が大幅に短縮されることになり、能率良い測定を行える。
「最大音量」は測定中に出力可能な音圧レベルの最大値であり、1〜120[dB]の範囲で設定可能である。聴覚に難のある人は最大音量を高めに設定することで、測定エラーの発生を有効に回避できる。
「折返しステップ幅」は試験音が聴こえなくなった点から一旦音圧レベルを所定量だけ下げるステップ幅であり、5〜15[dB]の範囲で設定可能である。試験音が聴こえなくなった点から一旦音圧レベルが所定量だけ下がることにより被験者は再度聴こえ始める点を確実に聴きとれる。聴覚の優れた人はこの折返しステップ幅を小さく設定しても、再度聴こえ始める点を確実に聴きとれるため、測定時間を短縮できる。聴覚に難のある人はこの折返しステップ幅を比較的大きく設定することで試験音が聴こえなくなった点と再度聴こえ始めた点とを明瞭に区別できる。
「エラーステップ範囲 」は、試験音が聴こえなくなった音圧レベルと聴こえ始めた音圧レベルとの差が許容できるものか否かを判定する閾値範囲を決めるためのものであり、0〜30[dB]の範囲で設定可能である。聴覚の優れた人は試験音が聴こえなくなった点と再度聴こえ始めた点とを明瞭に区別できるため、このエラーステップ範囲を狭く設定することでより高精度な測定が可能となる。聴覚に難のある人では試験音が聴こえなくなった点と再度聴こえ始めた点とにばらつきが生じ易いため、このエラーステップ範囲を比較的広く設定することでより測定エラーの発生を有効に回避できる。
このように、本実施の形態では最小可聴音圧レベルの測定に関する各種パラメータを初期設定可能に構成したことにより、この耳栓遮音効果測定装置を様々な聴覚レベルを有する多数の被験者が能率良く使用できるようになる。
上記「初期設定」の処理を終了すると、次に耳栓の「遮音量測定」を実行する。耳栓遮音量の測定はこの測定に先立って表示される測定手順のガイダンスに従って行われる。通常は、まず耳栓なしの状態で最小可聴音圧レベルを測定し、次に耳栓ありの状態で最小可聴音圧レベルを測定する。各測定は右耳と左耳とについて自動的に切り替わる。
最小可聴音圧レベルの測定に際しては、該測定の進行に伴って図3に示すようなグラフ図が表示される。このグラフ図は測定経過を模式的に表したもので、縦軸は試験音量の変化パターン、横軸はリモートスイッチ40のON/OFF操作に連動して測定状態が進行する3つの測定ポイント(1)〜(3)よりなっている。
測定ポイント(1)の区間では、試験音の音圧レベルが「開始ステップ幅」の設定値αに従って段階的に上昇し、被験者の可聴領域に到達する状況がグラフ図により示されている。好ましくは、測定が測定ポイント(1)の区間にあるときは、その部分のグラフ図を太線により表示する。なお、それ以外の部分は細線で表示しても点線で表示しても良い。被験者はこのようなグラフ図を見ることで測定の状態及びその進行状況を容易に把握できる。
被験者が聴こえ始めた音圧レベル(時間t1)でリモートスイッチ40をON(V0の時点)にすると、測定ポイント(2)の区間となり、この時点より音圧レベルは1dBずつ下降する。さらに被験者が聴こえなくなった音圧レベルでリモートスイッチを離す(V1の時点)と、測定ポイント(3)の区間となる。この時点では、一旦音圧レベルが「折返しステップ幅」の設定値βに従って下降すると共に、その音圧レベルから1dBずつ上昇する。被験者が、再度、聴こえ始めた音圧レベルでリモートスイッチ40をON(V2の時点)にすると、音圧レベルの発報を停止する。
このようにして、被験者の耳栓なし状態における最小可聴音圧レベルと、耳栓あり状態における最小可聴音圧レベルとを測定すると共に、左右の耳毎にそれらの差分をもって耳栓の遮音効果を求め、表示部6に表示する。
次に、実施の形態による耳栓遮音効果測定処理部の処理を詳細に説明する。図4〜図6は実施の形態による耳栓遮音効果測定処理部のフローチャートで、CPU21のプログラム実行により実現される。本装置に電源投入すると図4(a)のメイン処理が始まる。ステップS11では初期設定Aを行う。この初期設定Aには被験者の最小可聴音圧レベルの測定パラメータにデフォルト値を設定する初期化処理が含まれる。ステップS12では表示部6にメニュー画面を表示する。ステップS13では被験者等による操作入力を待ち、操作入力があるとステップS14で操作対象の処理にジャンプする。
例えば被験者等が「初期設定」を選択して「Enter」キーを押すと、処理は図4(b)の初期設定処理に入力する。この初期設定処理は被験者の最小可聴音圧レベルを測定する際の測定パラメータを所望に設定する処理である。ステップS21では図1の表示部6に示すような初期設定画面を表示する。ステップS22では被験者等が、「△」キー又は「▽」キーを操作して所望の設定項目にカーソル(例えば矢印)を移動し、「Enter」キーを押して設定項目を確定する。ステップS23では、更に「△」キー/「▽」キーにより所望の値を設定又は選択し、「Enter」キーを押すことで設定内容を確定する。ステップS24では「メニュー」キー又は「バック」キーの入力を待ち、そうでない場合はステップS22に戻り、他の項目の設定を行う。やがて、ステップS24で「メニュー」キー又は「バック」キーの入力があると、ステップS25で操作対象の処理にジャンプする。
また、被験者等が「遮音量測定」を選択して「Enter」キーを押すと、処理は図5(a)の遮音量測定処理に入力する。ステップS31では測定に関するガイダンスを表示する。この表示情報には、「ヘッドホンをつけてください」、「右耳から測定します」、「試験音が聴こえている間はリモートスイッチを押し続け、試験音が聴こえなくなったら離してください」、等の測定に必要な情報が含まれる。ステップS32では「耳栓なし測定」キー又は「耳栓あり測定」キーの入力を待ち、通常は被験者等が「耳栓なし測定」キーを押すことで処理は図5(b)耳栓なし測定処理にジャンプする。
ステップS35では初期設定Bを行う。この初期設定Bには各種エラーフラグのリセット等が含まれる。ステップS36では切替SW27を右耳側に接続する。ステップS37では後述の最小可聴音圧レベル測定処理を行う。ステップS38では耳栓なし右メモリに測定結果を記憶し、ステップS39ではその測定結果を表示部6に表示する。この測定結果には耳栓なし右の最小可聴音圧レベル又はエラー情報が含まれる。
ステップS40では切替SW27を左耳側に接続する。ステップS41では最小可聴音圧レベル測定処理を行う。ステップS42では耳栓なし左メモリに測定結果を記憶し、ステップS43ではその測定結果を表示部6に表示する。この測定結果には耳栓なし左の最小可聴音圧レベル又はエラー情報が含まれる。ステップS44ではキー操作の入力を待ち、キー操作の入力があると、ステップS45で操作対象の処理にジャンプする。なお、耳栓なし測定が異常終了した場合は、被験者等は、「耳栓なし測定」キーと「Enter」キーを押すことで、再度耳栓なし測定処理を実行可能である。
被験者等は、耳栓なしの測定が正常終了した場合は、通常は「耳栓あり測定」キーと「Enter」キーを押下し、これにより処理は図6の耳栓あり測定処理にジャンプする。ステップS47では初期設定Bを行う。この初期設定Bにはエラーフラグのリセット等が含まれる。ステップS48では切替SW27を右耳側に接続する。ステップS49では最小可聴音圧レベル測定処理を行う。ステップS50では耳栓あり右メモリに測定結果を記憶し、ステップS51ではその測定結果を表示部6に表示する。この測定結果には耳栓あり右の最小可聴音圧レベル又はエラー情報が含まれる。
ステップS52では切替SW27を左耳側に接続する。ステップS53では最小可聴音圧レベル測定処理を行う。ステップS54では耳栓あり左メモリに測定結果を記憶し、ステップS55ではその測定結果を表示部6に表示する。この測定結果には耳栓あり左の最小可聴音圧レベル又はエラー情報が含まれる。
ステップS56では上記の耳栓無し測定と耳栓あり測定とが共に正常終了したか否かを判別し、正常終了した場合はステップS57で右遮音量と左遮音量を、
右遮音量=耳栓あり右最小可聴音圧レベル−耳栓なし右最小可聴音圧レベル
左遮音量=耳栓あり左最小可聴音圧レベル−耳栓なし左最小可聴音圧レベル
により求め、メモリに記憶する。ステップS58ではこれらの遮音量を表示部6に表示する。また上記ステップS56の判別で正常終了でない場合は上記ステップS57、S58の処理をスキップする。ステップS59ではキー操作の入力を待ち、キー操作の入力があるとステップS60で操作対象の処理にジャンプする。
図7、図8は実施の形態による最小可聴音圧レベル測定処理部のフローチャートで、CPU21のプログラム実行により実現される。図7において、ステップS71では初期設定Cを行う。この初期設定Cには後述するエラーフラグERF1、ERF2のリセット等が含まれる。ステップS72では表示部6に図3で示したようなグラフ図を表示する。このグラフ図は最小可聴音圧レベルの測定がどの段階にあるかを模式的に表したものであり、被験者等はこのグラフ図を見ることで測定の進行状況を容易に把握できる。
ステップS73では発信器22をONにし、ステップS74では例えば1秒間のタイマをスタートする。ステップS75では被験者がリモートスイッチ40をONにしたか否かを判別し、ONでない場合は更にステップS76でタイムアウトか否かを判別する。タイムアウトでもない場合はステップS75に戻り、こうしてリモートスイッチ40が押されるのを待つ。
やがて、リモートスイッチ40が押されずにステップS76の判別でタイムアウトになると、ステップS77ではその時点の試験音量(即ち、音圧レベル)が最大音量か否かを半別し、最大音量でない場合はステップS78で現時点の音量に開始ステップ幅の+α(デフォルトでは10)dBを行いステップS74に戻る。こうして、測定開始時には試験音量を被験者の可聴領域に向けて速やかに上昇させる。なお、上記ステップS77の判別で試験音量が最大音量に達してしまった場合は、ステップS79で測定中に最大音量に達した旨を表すエラーフラグERF1をON(論理1)にし、この処理を抜ける。
こうして、やがて、被験者に試験音が聴こえ始めるとリモートスイッチ40がONにされ、これにより処理はステップS80に進む。ステップS80では表示グラフの更新(1)を行う。この更新(1)ではリモートスイッチ40がONにされたことにより測定ポイント(2)の表示グラフを太実線表示に切り替える。ステップS81ではタイマをスタートし、ステップS82ではリモートスイッチ40がONにされている否かを判別する。ONにされている場合はステップS83でタイムアウトか否かを判別し、タイムアウトでない場合はステップS82に戻る。こうして1秒の間、リモートスイッチ40がOFFにされるのを待ち、やがてOFFにされずにタイムアウトになると、ステップS84で現時点の音量から−1dBを行いステップS81に戻る。
このようにリモートスイッチ40がONにされている間は試験音量を1dBづつ下げ、やがて被験者に試験音が聴こえなくなるとリモートスイッチ40がOFFにされ、これにより処理はステップS85に進み、その時点の試験音量V1をメモリ(1)に記憶する。
処理は図8に進み、ステップS86では表示グラフの更新(2)を行う。この更新(2)ではリモートスイッチ40がOFFにされたことにより処理は測定ポイント(3)の区間に進み、この区間の表示グラフを太実線表示に切り替える。ステップS87では現時点の試験音量から折返しステップ幅の−β(例えば−5)dBを行い、試験音を一旦十分に聴こえないレベルにまで下げる。
ステップS88ではタイマをスタートし、ステップS89ではリモートスイッチ40が再びONにされたか否かを判別する。ONにされていない場合はさらにステップS90でタイムアウトか否かを判別し、タイムアウトでもない場合はステップS89に戻る。こうして1秒の間リモートスイッチ40がONにされるのを待つと共に、やがてONにされずにタイムアウトになるとステップS91で現時点の試験音量に+1dBを行い、ステップS88に戻る。
こうして、リモートスイッチがOFFにされている間は試験音量を1dBづつ上げ、やがて被験者に試験音が聴こえるとリモートスイッチ40がONにされ、これにより処理はステップS92に進み、上記同様に表示グラフの更新(3)を行う。ステップS93ではその時点の音量V2をメモリ(2)に記憶する。
ステップS94では発信器24をOFFにする。ステップS95では測定した音量V2が音量V1を基準とした各所定の閾値Thd、Thuの範囲内にあるか否かを判別する。具体的には、
閾値Thd=音量V1−γ
閾値Thu=音量V1+γ
γ:エラーステップ範囲
とするときに、
Thd<音量V2<Thu
か否かを判別し、範囲内に入っている場合はステップS96で最小可聴音圧レベルVを
V=(V1+V2)/2
により求める。またステップS95の判別で範囲外の場合はステップS97でその旨を表すエラーフラグERF2をONにし、この処理を抜ける。
なお、 上記実施の形態では被験者に聴こえ始めた音圧レベルV2が、被験者に聴こえなくなった音圧レベルV1を基準とする上下各所定幅γの音圧レベルの間に含まれない場合に測定エラーと判定したがこれに限らない。逆に、被験者に聴こえなくなった音圧レベルV1が、被験者に聴こえ始めた音圧レベルV2を基準とする上下各所定幅γの音圧レベルの間に含まれない場合に測定エラーと判定しても良い。また、エラーステップ範囲γは上下で異なっていても良い。
1 筐体
2 電源ON/OFFスイッチ
3 電源コード接続用コネクタ
4 ヘッドホン接続用ジャック
5 リモートスイッチ接続用コネクタ
6 表示部
7 操作部
20 電子回路本体部
21 CPU
30 ヘッドホン
40 リモートスイッチ

Claims (7)

  1. 被検者の外耳道に耳栓を装着して測定した最小可聴音圧レベルと該耳栓を装着しないで測定した最小可聴音圧レベルとの差により前記耳栓の遮音効果を測定する耳栓遮音効果測定装置において、
    前記聴覚の測定開始に伴い被験者に提示する試験音圧レベルを所定幅ずつ増加させ、前記被験者が聴こえ始める試験音圧レベルとする音圧レベル増加手段と、
    前記音圧レベル増加手段が前記被験者が聴こえ始めた試験音圧レベルとした後、前記被験者に提示した試験音圧レベルを徐々に下降させ、前記被験者に聴こえなくなった試験音圧レベルとした後、該試験音圧レベルを上昇させる過程で、前記被験者に聴こえなくなった試験音圧レベルと、前記被験者に再度聴こえ始めた試験音圧レベルとを測定し、これらの平均により最小可聴音圧レベルを求める聴覚測定手段とを備え、
    前記音圧レベル増加手段による前記聴覚の測定開始に伴う試験音圧レベルの段階的な増加幅は、操作者により設定可能であり、前記聴覚測定手段が試験音圧レベルを下降及び上昇させる幅よりも広い「開始ステップ幅」の設定値に従った幅であることを特徴とする耳栓遮音効果測定装置。
  2. 前記音圧レベル増加手段が前記試験音圧レベルを上昇させる「開始ステップ1ステップ当たり1〜15dBの範囲で設定可能であることを特徴とする請求項1記載の耳栓遮音効果測定装置。
  3. 前記聴覚測定手段は、前記被験者に提示した試験音圧レベルを徐々に下降させ、前記被験者に聴こえなくなった試験音圧レベルとした後、該試験音圧レベルを上昇させる前に、前記被験者に提示した試験音圧レベルを、前記被験者に聴こえなくなった試験音圧レベルから更に、操作者により設定可能な「折返しステップだけ降下させることを特徴とする請求項1記載の耳栓遮音効果測定装置。
  4. 前記被験者に聴こえなくなった試験音圧レベルから更に降下させる「折返しステップ、5〜15dBの範囲で設定可能であることを特徴とする請求項3記載の耳栓遮音効果測定装置。
  5. 前記被験者に再度聴こえ始めた試験音圧レベルが、前記被験者に聴こえなくなった試験音圧レベルを基準とする上下各所定幅の試験音圧レベルの間に含まれない場合はエラーを知らせる報知手段を更に備え、
    前記報知手段による上下各所定幅の試験音圧レベルを操作者により設定可能に構成したことを特徴とする請求項1又は3記載の耳栓遮音効果測定装置。
  6. 前記被験者に聴こえなくなった試験音圧レベルが、前記被験者に聴こえ始めた試験音圧レベルを基準とする上下各所定幅の試験音圧レベルの間に含まれない場合はエラーを知らせる報知手段を更に備え、
    前記報知手段による上下各所定幅の試験音圧レベルを操作者により設定可能に構成したことを特徴とする請求項1又は3記載の耳栓遮音効果測定装置。
  7. 前記上下各所定幅の試験音圧レベルは1〜30dBの範囲で設定可能であることを特徴とする請求項5又は6記載の耳栓遮音効果測定装置。
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