JP5348746B2

JP5348746B2 - 歯列矯正用ブラケット

Info

Publication number: JP5348746B2
Application number: JP2008293352A
Authority: JP
Inventors: 斉日根野
Original assignee: Pilot Corp KK
Current assignee: Pilot Corp KK
Priority date: 2008-11-17
Filing date: 2008-11-17
Publication date: 2013-11-20
Anticipated expiration: 2028-11-17
Also published as: JP2010119441A

Description

本発明は、強度に優れ、かつ、接着剤の充填が良好で歯牙との接着性が向上する歯列矯正用ブラケットに関する。

従来、歯列矯正用ブラケットとしては、金属製、セラミックス製、プラスチック製が知られている。しかし、セラミックス製の歯列矯正用ブラケットは歯の色と近く審美上優れているが材質的に脆いために割れてしまう欠点があった。また、プラスチック製の歯列矯正用ブラケットはセラミックス製と同様に審美上優れているが、変色や劣化が起こり易く、審美性が失われる恐れがあるとともに、機械的強度が不十分でやはり割れてしまう欠点があった。従って、金属製の歯列矯正用ブラケットが多く用いられていた。

しかし、やはり審美的に優れているために最近セラミックス製の歯列矯正用ブラケットが好まれる傾向になって来た。

その中で、歯列矯正用ブラケットの接着強度を向上させるために、歯牙面に接着されるベース部に、両端に連通した切り欠き溝を２個並設した歯列矯正用ブラケットが知られている。（特許文献１参照）

ところが、従来知られている歯列矯正用ブラケットは、切り欠き溝に接着剤を充填する時、切り欠き溝内を接着剤が流れにくいために、切り欠き溝内のエアが抜けにくく、接着性が十分に得られない恐れがあった。また、セラミックス製の歯列矯正用ブラケットの場合には、切り欠き溝に集中応力が発生し、ブラケットが破損してしまう心配があった。
特開平１１−２７６５０４号公報（図２参照）

本発明は、上記課題を解消し、割れにくくかつ接着強度が高い歯列矯正用ブラケットを提供することを目的とするものである。

本発明は、歯牙の表面に接着剤によって接着され、所定の歯牙間に掛け渡した歯列矯正用ワイヤーを保持するための歯列矯正用ブラケットであって、歯牙との接着面として機能するベース面を有するベース部分と、このベース部分に連続して設けられたブラケット本体部分とから構成され、前記ベース部分に、左右あるいは上下の端より中央に伸びた切欠溝を複数形成し、かつ、切欠溝の幅を中央より端側に行くに従って大きく構成し、更に、端より中央に伸びた切欠溝を互いに非連続に構成し、更にまた、切欠溝は底面部を有していることを第１の要旨とする。

また、端より中央に伸びた切欠溝を等間隔に並設して複数構成したことを第２の要旨とする。

更に、切欠溝の深さを中央より端側に行くに従って深く構成したことを第３の要旨とする。

更にまた、歯列矯正用ブラケットをジルコニアで構成したことを第４の要旨とする。

本発明の歯列矯正用ブラケットは、両側の端より中央に伸びた切欠溝が非連続の為、集中応力が発生しにくく、ブラケットが破損する恐れがないといった効果が奏せられるものである。更に、切欠溝の幅が中央より端側に行くに従って大きく構成したために、接着剤を充填する時に切欠溝内のエアが抜け易く、また、接着剤と歯牙との接着面積が大きくなるので接着強度が向上する効果が得られるものである。

切欠溝を有するブラケットに集中応力が発生しにくく、破損する恐れがないとともに、接着剤を充填する時に切欠溝内のエアが抜け易く、接着強度が高い歯列矯正用ブラケットを実現した。

以下、図１、図２、図３及び図４に基づいて本発明における実施例１の歯列矯正用ブラケットを説明する。本発明の歯列矯正用ブラケット１は、ジルコニアで構成され、歯牙との接着面として機能するベース面１Ａを有するベース部分1Ｂと、このベース部分１Ｂに連続して設けられた一対のウイング１Ｃを有するブラケット本体部分１Ｄとから構成される。このブラケット本体部分１Ｄには、歯列矯正用ワイヤーを受容するスロット１Ｅが形成されている。更に、ベース面１Ａには、接着性を良くするために左右の両側から中央に向かって伸びた切欠溝１Ｆが並設して複数構成する。ただし、左側から伸びた切欠溝１Ｆと右側から伸びた切欠溝１Ｆは互いに相対位置に形成されているが、左右の切欠溝１Ｆは非連続に形成されている。また、切欠溝１Ｆの幅は中央から端方向に向かって徐々に大きく形成される。更に、切欠溝１Ｆの深さは中央から端方向に向かって徐々に深く形成する。更にまた、切欠溝１Ｆの開口部1Ｇの幅は底面部1Ｈの幅より小さく形成される。

上記歯列矯正用ブラケット１は、高強度ジルコニア粉末にバインダー、分散剤、離型剤、消泡剤を適量添加し、混練機により混練する。これをセラミックス射出成形法によって生材を成形する。そして、十分時間をかけて加熱、冷却し脱脂を行う。脱脂後の成形体は、大気中で焼成し歯列矯正用ブラケット１を製造する。

また、強高度ジルコニア粉末を使用した理由としては、アルミナ粉に比べよりセラミックスとしての靭性が高く、微粉原料であるため成形性もよく、焼成後の審美性も良いためである。また、アルミナと異なり透明感はないが、歯牙色に近づける着色が人工歯で使用されてバリエーションが豊富にあるため、色の対応も容易に行うことができる。更に、色調だけでなく、後加工でのつや出し、つや消しなど、多彩な方法が自由に取れる利点も有している。更に、金属ブラケットで発生していた生体アレルギーもセラミックスで構成することにより防ぐことができる。

次に、前記歯列矯正用ブラケット１を歯牙に接着するには、接着剤をベース面１Ａに塗布し、歯牙に押圧すると、切欠溝１Ｆが中央から端に行くに従って幅が徐々に大きくなるとともに深さが徐々に深くなっているために、切欠溝１Ｆに充填された接着剤は中央から端に向かって流れ、切欠溝１Ｆ内にエアが溜まる恐れがない。従って、エア抜けが確実に行えるものである。また、接着剤と歯牙との接着面および接着体積が大きく取れるので、接着強度を向上することができる。この歯列矯正用ブラケット１のスロット１Ｅに周知の歯列矯正用ワイヤー（図示せず）が係合され、矯正の際には歯列矯正用ワイヤーがスロット１Ｅに力を加えつつもスロット方向に対しては自由に移動が可能な構成となっている。

尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、歯列矯正用ブラケットは、上記した理由から高強度ジルコニアが特に好ましいが、金属、プラスチックあるいはアルミナ等のセラミックスで構成することも勿論可能である。また、ベース面に形成される切欠溝は、左右の端から中央に向かって伸びる以外に、図示していないが、上下の端から中央に向かって伸びるように形成しても本願発明の目的効果が十分得られるものである。

ブラケットが破損しにくく、かつ、接着強度が強い歯列矯正用ブラケットに適用できる。

本発明の実施例１の歯列矯正用ブラケットを示す底面図である。（実施例１）本発明の実施例１の歯列矯正用ブラケットを示す平面図である。（実施例１）本発明の実施例１の歯列矯正用ブラケットを示す左側面図である。（実施例１）図３のＡ−Ａ線を示す断面図である。（実施例１）

符号の説明

１歯列矯正用ブラケット
１Ａ歯列矯正用ブラケット１のベース面
１Ｆ歯列矯正用ブラケット１の切欠溝

Claims

歯牙の表面に接着剤によって接着され、所定の歯牙間に掛け渡した歯列矯正用ワイヤーを保持するための歯列矯正用ブラケットであって、歯牙との接着面として機能するベース面を有するベース部分と、このベース部分に連続して設けられたブラケット本体部分とから構成され、前記ベース部分に、左右あるいは上下の端より中央に伸びた切欠溝を複数形成し、かつ、切欠溝の幅を中央より端側に行くに従って大きく構成し、更に、端より中央に伸びた切欠溝を互いに非連続に構成し、更にまた、切欠溝は底面部を有していることを特徴とする歯列矯正用ブラケット。
端より中央に伸びた切欠溝を並設して複数構成したことを特徴とする請求項１記載の歯列矯正用ブラケット。
切欠溝の深さを中央より端側に行くに従って深く構成したことを特徴とする請求項１又は２記載の歯列矯正用ブラケット。
ジルコニアで構成したことを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載の歯列矯正用ブラケット。