JP5346229B2 - 被検物質回収装置及び被検物質回収方法 - Google Patents

被検物質回収装置及び被検物質回収方法 Download PDF

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Description

本発明は、所望の被検物質を回収する装置及び方法に関するものである。
タンパク質は生体を構成する重要な物質であり、種々の解析、研究が行われている。また、タンパク質は、生物ではその遺伝子の情報をもとに生体内で生合成されたのちに様々な修飾や切断を受けるため、遺伝子の数よりも遥かに多くのタンパク質が生体内から見出され、例えば、ヒトの場合では、10万種以上のタンパク質が存在すると言われている。これらのタンパク質に関して、生物試料中に比較的高濃度に含まれるタンパク質は、分離精製が容易なためにその構造解析と機能研究が進んできた。ところが、含まれるタンパク質が微量の場合は、解析手段の感度に達するよう何らかの方法で濃縮する必要があるため、研究の対象になり難い状況が続いている。微量なタンパク質を含む溶液を濃縮する方法としては、例えば特許文献1に開示されているような、トリクロロ酢酸のような試薬によってタンパク質を沈殿させる方法や、透過阻止分子量既知の限外濾過膜の上部に濃縮する方法、透析膜上に電気的に濃縮する方法、カラムにいったん吸着させたのちに微量の回収液で溶離させる方法等がある。
特開平10−36676号公報
しかしながら、上述したような濃縮方法はそれぞれに以下に述べるような問題があり、あらゆるタンパク質の濃縮に適応できるわけではない。例えば、タンパク質を沈殿させる方法は、微量のタンパク質は沈澱しにくく、沈殿した後の再溶解が難しいといった問題がある。また、限外濾過膜の上部に濃縮する方法では、膜への吸着があるために微量なタンパク質濃縮には適していない。透析膜上に電気的に濃縮回収する方法は、緩衝液のpHとタンパク質の等電点によって、タンパク質が泳動される向きが決まることから、未知のタンパク質濃縮には適していない。カラムを用いる方法も、タンパク質の種類によって吸着、溶出条件が異なるために、特性のわからない未知のタンパク質の濃縮に予備検討なしに用いることはできないといった問題がある。このように、含まれる量が微量であって様々な特性をもつタンパク質を効率良く溶液として濃縮できる方法はいまだに確立されていない。
本発明に係る被検物質回収装置は、下方に行くにしたがい横断面積が小さくなる濃縮部を有する上部ゲル保持管と、前記上部ゲル保持管内に保持されるとともに、少なくとも一部が前記濃縮部内に位置する分離ゲルと、被検物質が前記分離ゲル内を下方に電気泳動するよう電圧を印加する電圧印加手段と、前記分離ゲルの下方において前記分離ゲルの下端から漏出した被検物質を回収する回収室と、を備えている。
上記被検物質回収装置によれば、被検物質は分離ゲル内を電気泳動するため、分離ゲルの分子ふるい効果によって高分子量の被検物質が分離されて低分子量の被検物質が回収室内に回収される。また、分離ゲルは下方に行くにしたがい横断面積が小さくなる濃縮部内に配置されているため、分離ゲル内を電気泳動する被検物質は、濃縮部によって濃縮されて回収室内に回収される。この結果、低分子量の被検物質を濃縮して回収室内に回収することができる。また、その成分解析から、新規な疾患マーカー探索が容易になる。なお、この被検物質としては、タンパク質や核酸や脂質等を挙げることができる。
上記回収装置は種々の構成をとることができるが、例えば、上記濃縮部の形状は、円錐状や角錐などの錐体であることが好ましい。
また、上部ゲル保持管内において分離ゲル上に保持された濃縮ゲルをさらに備えていることが好ましい。
また、回収室の下部に上部が接続された下部保持ゲル管と、この下部保持ゲル管内に保持されて回収室内の底面を画定するストッパーゲルと、をさらに備えていることが好ましい。
また、被検物質の同定を行うために、回収室に回収された被検物質の質量分析を行う質量分析装置をさらに備えていてもよい。
また、本発明に係る被検物質の回収方法は、分離ゲルを少なくとも一部が下方にいくにしたがい横断面積が小さくなる上部ゲル保持管内に収容するステップと、被検物質を前記分離ゲル内で下方へ電気泳動させるステップと、前記分離ゲルの下端から漏出した被検物質を回収するステップと、を含む。
この回収方法によれば、被検物質は分離ゲル内を電気泳動するため、分離ゲルの分子ふるい効果によって高分子量の被検物質が分離されて低分子量の被検物質のみを回収することができる。また、分離ゲルは下方にいくにしたがい横断面積が小さくなるため、この分離ゲル内を電気泳動する被検物質は濃縮されて回収される。この結果、低分子量の被検物質を濃縮して回収することが可能となる。
本発明に係る回収装置及び回収方法によれば、被検物質を効率良く濃縮して回収することができる。
図1は本発明に係るタンパク質回収装置の実施形態を示す概略図である。 図2は本発明に係るタンパク質回収装置の別の実施形態を示す概略図である。 図3は実施例1における上部ゲル保持管と下部ゲル保持管を示す斜視図である。 図4は実施例1によって得られた15番目のフラクションを電気泳動させたあとの写真である。 図5は実施例2における質量分析の結果を示したグラフである。
以下、本発明に係る回収装置及び回収方法の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、回収装置の概略図である。
図1に示すように、回収装置1は、内部にタンパク質を電気泳動させる電気泳動ユニット2と、この電気泳動ユニット2内を泳動するタンパク質を回収する回収ユニット3とから主に構成されている。
以下、各ユニットについて詳細に説明する。電気泳動ユニット2は、内部にゲルGを保持する上部ゲル保持管4及び下部ゲル保持管5の2つと、下部ゲル保持管5の下方に設置され緩衝液が収容された第1の容器6と、を備えている。また、電気泳動ユニット2は、上部ゲル保持管4の上部及び第1の容器6内に設置された電極71a、71b間に電圧を生じさせるよう電流を流す電源7も備えている。
上部ゲル保持管4は、下方に縮径する截頭円錐部(濃縮部)41と、截頭円錐部41の下端から下方に一定の径で延びる直線部42とから主に構成されており、後述する回収ユニット3の回収部8に直線部42の下端部が取り付けられている。この上部ゲル保持管4は、濃縮ゲルG1と、濃縮ゲルG1の下に位置する分離ゲルG2と、を保持している。より詳細には、濃縮ゲルG1が截頭円錐部41内に位置しており、分離ゲルG2が截頭円錐部41内と直線部42内とにわたって位置している。また、截頭円錐部41内において、濃縮ゲルG1の上には電極溶液が満たされている。
濃縮ゲルG1は、分子ふるい効果のない低濃度のモノマー溶液から作られ、例えば、モノマー濃度(アクリルアミドとメチレンビスアクリルアミドとの濃度)が3〜4.5%Tのポリアクリルアミドゲルや、ゲル濃度が0.6〜0.8%のアガロースゲル等を使用することができ、濃縮ゲルG1の緩衝液としては、0.125M Tris-HCl(pH6.8)、0.1%SDS等を使用することができる。
また、分離ゲルG2は、分子ふるい効果を有する高濃度のモノマー溶液により形成され、例えばモノマー濃度が5〜20%Tのポリアクリルアミドゲルや、ゲル濃度が0.9〜5%のアガロースゲル等を使用することができ、分離ゲルG2の緩衝液としては、0.375M Tris-HCl(pH8.8)、0.1%SDS等を使用することができる。また、濃縮ゲルG1上に満たされた電極溶液は、例えば25mM Tris, 0.192M Glycine, 0.1% SDS等を用いることができる。なお、分離ゲルG2の濃度は、回収したいタンパク質の分子量によって決定され、例えばポリアクリルアミドゲルを使用した場合は、分子量約30000以下のタンパク質を回収したい場合は、上記モノマー濃度を約7.5%とすることが好ましく、また、分子量約20000以下のタンパク質を回収したい場合は、上記モノマー濃度を約10%とすることが好ましい。なお、アガロースゲルは、ポリアクリルアミドゲルの約半分の濃度で同等の分子ふるい効果が得られるため、アクリルアミドゲルよりも低濃度のゲルを使用できる。
上部ゲル保持管4は、内部が観察できるよう透明であることが好ましく、材質としてはガラスやアクリル等とすることが好ましい。また、截頭円錐部41の上端内径をa、下端内径をb、とすると、截頭円錐部41の上端内径と下端内径との比a/bは、1.5〜4とすることが好ましい。また、濃縮ゲルG1上に添加する被検物質の添加容量をV、後述する回収室81の容量をRとすると、容量比(V/R)は、2〜16とすることが好ましい。また、上部ゲル保持管4の上部の電極溶液内には、マイナス極71bが設置されている。
下部ゲル保持管5は、断面円形状であって、後述する回収ユニット3の回収部8に上端部が取り付けられている。この下部ゲル保持管5は、ストッパーゲルG3を内部に保持している。このストッパーゲルG3は、高イオン強度の緩衝液を用いてSDSのミセルが容易に侵入できない高濃度のゲルを調製し、後述する回収室81内に電気泳動漏出したタンパク質の移動度を小さくする目的で使用する。なお、SDSのミセルを高濃度にしたくなければ、低濃度のゲルを用いることも可能である。なお、好ましくはモノマー濃度が7.5〜15%Tのポリアクリルアミドゲルを使用することができ、緩衝液としては、0.375M Tris-HCl(pH8.8)、0.1%SDSを使用することができる。また、この下部ゲル保持管5も上部ゲル保持管4と同様の材質を使用することができる。
第1の容器6は、内部に緩衝液が収容されるとともに、下部ゲル保持管5の下端部が緩衝液内に浸かっている。また、プラス極71aが緩衝液内に設置されている。この第1の容器6内に収容される緩衝液は、25mMTris, 0.192MGlycine, 0.1%SDS等を好ましくは使用することができる。
回収ユニット3は、上部ゲル保持管4の下端から電気泳動により漏出されてきたタンパク質を一旦貯留する回収室81を有する回収部8と、回収室81に回収溶液を供給する第1のポンプ9と、回収室81に供給される回収溶液を貯留する第2の容器11と、を備えている。また、回収室81内に回収されたタンパク質を貯留する第3の容器12と、回収室81内のタンパク質を第3の容器12に送るための第2のポンプ13と、第1のポンプ9によって回収室81内に供給した余剰回収液を回収する第4の容器14と、を備えている。なお、回収溶液としては、0.375MTris-HCl(pH6.8〜8.8)等を使用することができる。
回収部8は、上部ゲル保持管4の下端から電気泳動により漏出されてきたタンパク質を一旦保留する回収室81と、上述した各ゲル保持管4,5を取り付けるための取り付け部82a、82bを有している。なお、この取り付け部82に取り付けられた状態で、上部ゲル保持管4及び下部ゲル保持管5は、内部が回収室81と連通している。また、回収部8には回収液などを流すための第1及び第2の流路83a、83bが形成されており、第1の流路83aはチューブを介して第1のポンプ9及び第3の容器12に接続されており、第2の流路83bはチューブを介して第2のポンプ13及び第4の容器14に接続されている。
第1のポンプ9、第3の容器12,及び回収部8の第1の流路83aは、第1のバルブ15を介してそれぞれが接続されている。この第1のバルブ15は、コントローラ16によって第1のポンプ9と第1の流路83aとが接続されたり、第3の容器12と第1の流路83aとが接続されたりするよう、流路を切り替えることができる。また、第2のポンプ13,第4の容器14,及び第2の流路83bは、第2のバルブ17を介してそれぞれが接続されている。この第2のバルブ17は、コントローラ16によって、第2のポンプ13と第2の流路83bとが接続されたり、第4の容器14と第2の流路83bとが接続されたりするよう、流路を切り替えることができる。
次に上述した回収装置を使用したタンパク質の回収方法を説明する。
まず、コントローラ16によって第1のバルブ15を操作し、第1のポンプ9と第1の流路83aとを接続させた状態とするとともに、第2のバルブ17を操作して第4の容器14と第2の流路83bとを接続させた状態とする。そして、第1のポンプ9を作動させて第2の容器11から回収溶液を回収室81内へ供給する。回収室81内を回収溶液で満たすため、回収室81内の空気は第2の流路83bから押し出す。ここで、回収室81内から溢れ出た回収溶液は第2のバルブ17を介して第4の容器14へと送られる。
次に、SDSを含むTris-HCl(pH6.8)で可溶化したタンパク質を電気泳動の先端指標となるBPB(ブロムフェノールブルー)とともに、上部ゲル保持管4の上端から電極溶液内に流し込む。そして、電源7を作動させて各電極71a、71b間に電圧を印加し、タンパク質の電気泳動を開始する。なお、タンパク質は、SDS、正確にはDS-イオンが結合しているため、タンパク質固有の電荷は打ち消され、均質なマイナス電荷を持つ複合体として電気泳動されるようになる。
このように電気泳動を開始したタンパク質は、濃縮ゲルG1内において、濃縮ゲルG1の濃度が低いため、分子ふるいを受けずに分離ゲルG2へと進行する。ここで、濃縮ゲルG1内において、pH6.8の緩衝液中を最も速く移動するイオンはCl-イオンであり、続いてDS-イオン、タンパク質−DS-イオン複合体が続く。解離定数(pK2)が9.78のグリシンはpH6.8ではほとんど泳動されずに、タンパク質複合体が移動したあと、ゲルのpHが高くなって始めてグリシネートイオンの移動速度は急激に速まる。こうしてタンパク質は濃縮ゲルG1内においてDS-イオンとグリシネートイオンの間に濃縮される。
この状態でタンパク質は分離ゲルG2内に進行する。タンパク質は分離ゲルG2内で分子ふるい効果によって移動速度が遅くなり、グリシネートイオンがタンパク質を追い越していく。このとき、分離ゲルG2でも分子ふるいを受けない低分子量のタンパク質は濃縮ゲルG1内と同じ状態で電気泳動される。これにより、分離ゲルG2内において不要な高分子量のタンパク質が分離される。そして、分離ゲルG2内を電気泳動するタンパク質は、截頭円錐部41が下方にいくにしたがって縮径しているため、截頭円錐部41を通過することで濃縮された状態となる。
以上のように濃縮されたタンパク質は、電気泳動の先端指標であるBPBよりもやや遅く電気泳動されるため、BPBが回収室81内に現れたころから、第1のポンプ9及び第2のポンプ13を作動させて、回収室81内の回収溶液を第3の容器12へ回収する。より詳細には、まず、BPBが回収室81内に現れると、コントローラ16によって、第1のバルブ15を操作して第1の流路83aと第3の容器12とを接続させた状態にするとともに、第2のバルブ17を操作して第2の流路83bと第2のポンプ13とを接続させた状態とする。そして、第2のポンプ13を作動させて空気を回収室81内へ送り込んで回収室81内からタンパク質を回収溶液とともに押し出し、第3の容器12へと回収させる。回収室81内のタンパク質及び回収溶液が全て第3の容器12に回収されると、コントローラ16によって、第1のバルブ15を切り替えて第1のポンプ9と第1の流路83aとが接続された状態にするとともに、第2のバルブ17を切り替えて第2の流路83bと第4の容器14とが接続された状態とする。そして、再度、第1のポンプ9を作動させて第2の容器11内の回収溶液を回収室81へと供給して回収室81内を回収溶液で満たす。この回収室81内への回収溶液の充填と回収室81内からのタンパク質及び回収溶液の回収のサイクルを、一定の時間間隔で繰り返す。なお、第3の容器12は、タンパク質及び回収溶液が回収される毎に別の容器に取り替えることができるよう複数準備しておくことが好ましい。
以上のように各フラクション毎に複数の第3の容器12に回収したタンパク質は、通常の平板型のポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行いタンパク質の分析を行ったり、その他にも、質量分析を使ってタンパク質の同定を行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、上部ゲル保持管4の上部は円錐状となっているが、三角錐状や四角錐状など種々の錐体状とすることができる。また、上部ゲル保持管4は、截頭円錐部41と直線部42とから構成されているが、截頭円錐部41のみで構成することもできる。
また、上記実施形態では、第1のバルブ15を用いて第1の流路83aが第1のポンプ9又は第3の容器12のどちらかと接続されるように流路を切り替えていたが、例えば、図2に示すように、第1の流路83aを2つ形成し、一方を第1のポンプ9と接続し、もう一方を第3の容器12に接続するように構成することもできる。そして、コントローラ16によって一方の第1の流路83aと第1のポンプ9とを接続するチューブを塞いだり、もしくはもう一方の第1の流路83aと第3の容器12とを接続するチューブを塞ぐよう、第1のバルブ15を操作することができる。
また、上記実施形態では、被検物質としてタンパク質を例に挙げたが、タンパク質以外であっても上記回収装置1を適用することができ、例えば、核酸や脂質等を上記回収装置を使用して濃縮して回収することができる。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図3に示すような、ガラス製の上部ゲル保持管4を使用した。上部ゲル保持管4の円錐部41は、上端外径を45mm、下端外径を20mm、長さを50mmとした。また、直線部42は、外径を20mm、長さを35mmとした。なお、上部ゲル保持管4の厚さは2mmである。このような形状の上部ゲル保持管4内に、架橋剤として0.26%のメチレンビスアクリルアミドを含む10%のアクリルアミドを重合させた分離ゲルG2と、0.26%のメチレンビスアクリルアミドを含む4.5%アクリルアミドを重合させた濃縮ゲルG1とを収容した。分離ゲルG2は、上部ゲル保持管4の下端から70mmの高さまで収容し、その分離ゲルG2の上に高さ10mmの濃縮ゲルG1を収容した。なお、分離ゲルG2と濃縮ゲルG1に含まれる緩衝液は、それぞれ、0.375MTris-HCl,0.1%SDS(pH8.8)、0.125MTris-HCl,0.1%SDS(pH6.8)とした。また、濃縮ゲルG1の上には、電極溶液として、25mMTris, 0.192MGlycine, 0.1%SDSを充填させた。
ストッパーゲルG3を保持する下部ゲル保持管5として、外径20mm、長さ50mmのガラス管を使用した。この下部ゲル保持管5の厚さは2mmである。下部ゲル保持管5には、全長にわたり0.26%のメチレンビスアクリルアミドを含む7.5%アクリルアミドゲルを分離ゲルG2と同じ緩衝液で調製したストッパーゲルG3を収容した。ゲルを調製した上部ゲル保持管4と下部ゲル保持管5とを800μLの容積の回収室81を有するアクリル製の回収部8の取り付け部82a、82bに固定し、その中に0.375MTris-HCl(pH7.5)の回収溶液を満たした。また、第1の容器6内には、緩衝液として25mMTris, 0.192MGlycine, 0.1%SDSを満たした。
試料には市販の牛血清を用い、血清0.5mLに25mMTris-HCl(pH7.0) 0.5mLを加えた後SDS処理溶液1mL(組成:100mMTris-HCl(pH7.0),7%SDS(w/v), 20%Sucrose(w/v), 0.006%BPB(w/v))を加え37℃で1時間タンパク質にSDSを結合させたのち全量を濃縮ゲルG1の上部に添加した。電気泳動は30mA定電流で行った。185分後にはBPBが分離ゲルG2の下端から20mmほど上方に泳動していることが確認された。このときから回収室81内の回収溶液を入れ換えて、5分間の電気泳動、回収溶液の回収、新しい回収溶液の充填のサイクルを16回繰り返した。回収した溶液では、10番目から12番目にBPBが混入していて、14〜16番目の回収溶液にアルブミンとグロブリンを含まない分子量20000以下の低分子量のタンパク質が含まれていた。特に、15番目の回収溶液には、分子量約6000〜20000のタンパク質とペプチドが含まれていることを電気泳動法で確認した(図4参照)。また、デンシトメトリー法により求めたバンドe量は、SDS処理牛血清6μLを添加したレーン3が相対値として10726、SDS処理牛血清2mL を添加し本実施例に係る回収装置で回収した15番目の分画800μLの20μLを添加したレーン4が相対値として95325であった。濃縮倍率は(添加量の比)×(バンドeの比)として求められ、ここでは本実施例に係る回収装置で回収したタンパク質は2.6倍に濃縮されたことになった。一方、理論上は、SDS処理牛血清は2mLが800μLに濃縮されることになるので、濃縮倍率は2.5倍であり、ほぼ一致した結果が得られた。
(実施例2)
上記実施例1と同様の回収装置を用いて、市販人血漿(Sigma)から6000〜20000の低分子画分を回収したところ、回収液のタンパク質濃度は0.66mg/mLであった。これを以下に示す方法で質量分析を行った。
まず、回収溶液には1.7%のDS-イオンも含まれていて、そのままでは質量分析によるタンパク質同定に適応できないため、Laemmliの方法に従って、12.5%の平板分離ゲルで回収液の22μLを電気泳動した。電気泳動は、BPBが濃縮ゲルと分離ゲルの境界から分離ゲルへ10mm泳動されたところで止めた。ゲルをクマシーブリリアントブルーで染色しタンパク質部分のゲルを切り出し、以下の前処理(試料調製)を行った後に、質量分析(LC-MS/MS分析)を行ったところ、質量分析による低分子量タンパク質の同定が可能であることがわかった。
表1には同定されたタンパク質のリストを示した。なお、表中に示した分子量はタンパク質の全長で、ほとんどのタンパク質は実際にはシグナルペプチドが外れて全長よりも短く分子量が小さいことから、試料中に同定されたタンパク質のほとんどは分子量20000付近以下であったことが推察された。一方、40000以上の分子量として同定されたタンパク質はいずれも、分子量が20000以下となった分解断片と推察された。
質量分析によるタンパク質同定のための試料調製
切り出したゲルを1mm3以下の細かいゲル片にした後、メチルペンテンをモノマーとするプラスチックであるTPXチューブに移した。そして、100mM炭酸水素アンモニウム水溶液とアセトニトリルとを5.5:4.5の比率で混合した溶液を加え30分間激しく振とうし、脱色・洗浄した。この操作を2回行った後、10mM Tris[2-carboxyethyl]phosphineに続いて50mMヨードアセトアミドを用いてゲル中のタンパク質の還元・アルキル化処理(37度、45分に続いて室温、1時間)を行い、アセトニトリルと100mM炭酸水素アンモニウム水溶液を交互に用いて5分間激しく振とうし、洗浄した。十分に洗浄した後、ゲル中のタンパク質を100mM炭酸水素アンモニウム水溶液中で、トリプシンを用いて酵素消化処理(37度、14時間)を行い、ペプチド断片へと導いた。ゲル片から溶液中に溶出したペプチド断片を別の容器に回収し、1%トリフルオロ酢酸を加えて、質量分析用の試料とした。
LC-MS/MS分析によるタンパク質同定
ペプチド断片のアミノ酸配列情報に基づいて、その由来となるタンパク質を同定するために、以下に示す装置と操作によってペプチド試料を分析し、タンパク質を同定した(藤井清永ら,J. Mass Spectrom. Soc. Jpn., 53:108-116 (2005))。
LC-MS/MS装置はParadigm MS4B (Michrom BioResources社製)、HTS-PAL (CTC Analytics社製)、ナノエレクトロスプレーイオン源(エーエムアール社製)を装備したFinnigan LTQ-Orbitrap (Thermo Fisher Scientific社製) からなるZaplous LC-MSシステム(エーエムアール社製)を用いた。試料はトラップカートリッジ(Peptide Cap Trap, Michrom BioResources社製)によりオンラインで脱塩・濃縮処理された後、システムに供された。分離条件は以下の通りである。流速は約1.0 μL/minで、カラムはL-column(0.2x50mm, 3μm, 12nm, 化学物質評価研究機構製)を用いた。移動相は0.1%ギ酸を含むA溶媒(2% アセトニトリル水溶液)とB溶媒(90% アセトニトリル水溶液)を使用し、B溶媒の濃度を5% (0 min) から40% (70 min) まで直線勾配で上げ、ペプチド断片を連続的に溶出した。溶離液は1.7 kVに印加されたスプレーヤー(FortisTip, OmniSeparo-TJ社製)を介してエレクトロスプレーされた。質量分析はオートゲインコントロールを適用し、マススペクトル(質量範囲 m/z 400-1600)はOrbitrap(分解能60000)を用いて取得され、MS/MSスペクトル(質量範囲 m/z 2000以下、Isolation width, 2.0; Activation Q, 0.25; Activation time, 30)はLTQを用いてデータ依存的にDynamic exclusion設定(Repeat count, 1; Exclusion duration, 30; Mass width, -1.1, +2.6)のもと取得した。図5にはマススペクトルのベースピーククロマトグラムを示した。図5の各ピークには、ペースピークといわれるイオンのm/z値を示している。これはそのときに溶出されたペプチドのm/z値である。観察されたいずれのピークもペプチド断片で、良好に分析された。得られたペプチド断片の質量データはタンパク質同定解析ソフトMASCOTTM(Matrix Sciences社製)に供し、試料中のタンパク質を同定した。
Figure 0005346229
1 回収装置
2 電気泳動ユニット
3 回収ユニット
4 上部ゲル保持管
41 截頭円錐部(濃縮部)
5 下部ゲル保持管
81 回収室
G1 濃縮ゲル
G2 分離ゲル
G3 ストッパーゲル

Claims (6)

  1. 被検物質を回収する回収装置であって、
    下方に行くにしたがい横断面積が小さくなる濃縮部を有する上部ゲル保持管と、
    前記上部ゲル保持管内に保持されるとともに、少なくとも一部が前記濃縮部内であって前記濃縮部の横断断面全体に位置する分離ゲルと、
    前記濃縮部内で前記分離ゲル上に保持された濃縮ゲルと、
    被検物質が前記分離ゲル内を下方に電気泳動するよう電圧を印加する電圧印加手段と、
    前記分離ゲルの下方において前記分離ゲルの下端から漏出した被検物質を回収する回収室と、
    を備えた、被検物質回収装置。
  2. 前記濃縮部は、錐体である、請求項1に記載の被検物質回収装置。
  3. 前記上部ゲル保持管は前記濃縮部の下方に直線部を備え、前記直線部に前記分離ゲルが位置しており、前記回収室は前記直線部の前記分離ゲルの下端から漏出した被検物質を回収する請求項1または請求項2に記載の被検物質回収装置。
  4. 前記回収室の下部に上部が接続された下部保持ゲル管と、
    前記下部保持ゲル管内に保持され、前記回収室内の底面を画定するストッパーゲルと、
    をさらに備えた、請求項1〜3のいずれかに記載の被検物質回収装置。
  5. 前記回収室に回収された被検物質の質量分析を行う質量分析装置をさらに備えた、請求項1〜4のいずれかに記載の回収装置。
  6. 分離ゲルを少なくとも一部が下方にいくにしたがい横断面積が小さくなる上部ゲル保持管に収容し、前記上部ゲル保持管の横断断面全体に位置させるステップと、
    前記上部ゲル保持管内であって、前記分離ゲル上に濃縮ゲルを保持させるステップと、
    被検物質を前記分離ゲル内で下方へ電気泳動させるステップと、
    前記分離ゲルの下端から漏出した被検物質を回収するステップと、
    を含む、被検物質の回収方法。
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