JP5337853B2 - 発電プラントの診断装置、及び発電プラントの診断方法 - Google Patents

発電プラントの診断装置、及び発電プラントの診断方法 Download PDF

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Description

本発明は、発電プラントの診断装置、及び発電プラントの診断方法に関する。
発電プラントの診断装置は、プラントに異常な過渡事象や事故等が生じた際に、プラントからの計測信号を基にその異常や事故の発生を検知する。
公知例のプラントの診断装置として特開2005−165375号公報には、適応共鳴理論(Adaptive Resonance Theory:ART)を用いたプラントの診断装置が開示されている。ここで、ARTとは、多次元のデータをその類似度に応じてカテゴリーに分類する技術である。
この特開2005−165375号公報に記載されたプラントの診断装置の技術においては、まず、プラントの運転データを記録した過去の計測信号から、プラントの状態が正常と考えられる期間の計測信号をモデル構築用データとして抽出する。そして、ARTを用いて、モデル構築用データを複数のカテゴリー(正常カテゴリー)に分類して診断に用いる正常モデルを作成する。次に、プラントの現在の計測信号をARTでカテゴリーに分類する。この現在の計測信号が正常モデルと一致しない時、すなわち正常カテゴリーに分類できない時は、新しいカテゴリー(新規カテゴリー)が生成される。つまり、新規カテゴリーの発生は、計測信号の傾向が変化し、プラントの状態が変化したことを意味する。そこで、異常の発生を新規カテゴリーの発生で判断することとし、新規カテゴリーの発生割合が閾値を越えた場合に異常と診断する技術である。
特開2005−165375号公報
発電プラントは、起動、停止、一定負荷、負荷変化など、様々な条件で運転する。運転条件が異なると、計測信号の変化する範囲も異なる。
また、診断に用いる計測信号の前処理として、正規化処理がある。正規化処理では、正規化の下限値が0、正規化の上限値が1になるように、計測信号を処理する。正規化の下限値、上限値は、事前に設定する必要がある。先行技術の診断装置では、運転条件に関わらず、同じ正規化条件で計測信号を処理する。そのため、正規化範囲は全ての運転条件における計測信号の変化範囲を包含するように、広く設定する必要がある。
計測信号の変化範囲に比べて正規化範囲が広いと、計測信号を正規化した後の値の変化が小さくなる。そのため、異常発生時の計測信号の傾向変化をとらえることができず、異常発生時にも新規カテゴリーが発生しない場合があった。これは、失報の原因となる。
本発明の目的は、運転条件に合わせて正規化範囲を適切に決定することで失報を抑制し、診断精度を向上させた診断装置を提供することにある。
発電プラントから状態量を計測した計測信号に基づいてプラントの運転状態を診断し、診断結果を画像表示装置に表示する発電プラントの診断装置において、発電プラントの診断装置に発電プラントの状態量を計測した計測信号を用いて診断に用いるモデルを構築するモデル構築手段と、前記モデルで診断する運転条件と計測信号の正規化方法を定義するモデル定義手段と、前記モデル構築手段で構築したモデルを用いて発電プラントの運転状態を診断する診断手段を備え、前記モデル定義手段に、発電プラントの運転条件を判定する運転条件判定部と、運転条件判定部で判定した運転条件毎にデータの正規化条件を決定する正規化条件決定部を備え、前記診断手段では、運転条件に合わせて診断モデルを切り替えて診断することを特徴とする。
本発明の発電プラントの診断装置を用いることにより、異常発生時に異常を検知できない失報を低減し、診断精度を向上できる。また、正規化範囲を自動的に決定することができ、診断装置の調整期間を短縮できる。
本発明の一実施例である発電プラントの診断装置の構成を示す制御ブロック図。 図1に示した発電プラントの診断装置の基本動作を示すフローチャート図、及び動作のタイミングを示した説明図。 図1に示したプラントの診断装置におけるモデル構築手段、診断手段において、データを分類する機能の実装例を示す説明図。 図1に示した発電プラントの診断装置におけるモデル構築手段で計測信号を分類する実例を示す説明図。 図4(a)に示した発電プラントにおける起動モードとプロセス値の関係の説明図。 図1に示した発電プラントの診断装置における運転条件判定部500の動作の説明図。 図1に示した発電プラントの診断装置における正規化条件決定部600の第1の実施例の説明図。 図1に示した発電プラントの診断装置における正規化条件決定部600の第2の実施例の説明図。 図1に示した発電プラントの診断装置における正規化条件決定部600の第3の実施例の説明図。 図1に示した発電プラントの診断装置におけるモデル構築モードと診断モードの動作フローチャートの説明図。 図1に示した発電プラントの診断装置におけるデータベースに保存されているデータ態様の説明図。 図1に示した発電プラントの診断装置の適用効果の説明図。 図1に示した発電プラントの診断装置における画像表示装置に表示される画面の説明図。
次に、本発明の実施例である発電プラントの診断装置について図面を参照して以下に説明する。
図1は、本発明の一実施例である発電プラントの診断装置を説明するブロック図である。図1に示した発電プラントの診断装置においては、プラント100の状態を診断装置200により診断する。
診断装置200は、診断装置200を構成する演算装置として、モデル定義手段400、モデル構築手段700、及び診断手段800を備えている。この診断装置200は、データベースとして、計測信号データベース310、モデル定義データベース320、及び診断モデルデータベース330を備えている。なお、図1においては、データベースをDBと略記している。
計測信号データベース310、モデル定義データベース320、及び診断モデルデータベース330のデータベースには、電子化された情報が記録されており、通常、電子ファイル(電子データ)と呼ばれる。
モデル構築手段700は、プラント100の運転状態を計測した計測信号から、プラント100の過去の運転状態の計測信号を蓄積した蓄積データを基に、プラントの正常状態を学習した診断モデルを作成する。
モデル定義手段400は、診断モデルで診断する運転条件と、モデル構築時における計測信号の正規化方法を定義する。
診断手段800は、モデル構築手段700で作成した診断モデルの値のデータと、計測したプラント100の計測信号のデータとを比較する。計測信号が、正常状態を学習した診断モデルの値と一致すれば、プラントの状態を正常と判定し、一致しなければ異常と判定する。
また、診断装置200は、外部とのインターフェイスとして外部入力インターフェイス210及び外部出力インターフェイス220を備えている。
そして、外部入力インターフェイス210を介してプラント100の運転状態である各種状態量を計測した計測信号1と、運転管理室900に備えられているキーボード920及びマウス930で構成される外部入力装置910の操作で作成する外部入力信号2が診断装置200に取り込まれる。また、外部出力インターフェイス220を介して、画像表示情報11を運転管理室900に備えられている画像表示装置940に出力する。
なお、本実施例のプラントの診断装置においては、モデル定義手段400、モデル構築手段700、診断手段800、計測信号データベース310、モデル定義データベース320、診断モデルデータベース330が診断装置200の内部に備えられているが、これらの一部を診断装置200の外部に配置し、データのみをこれらの装置の間で通信するようにしてもよい。
また、本実施例のプラントの診断装置において診断対象とするプラント100は1基である場合を示しているが、1台の診断装置200で複数基のプラント100を診断することも可能である。
次に、本実施例のプラントの診断装置に備えられた診断装置200の動作を説明する。
図1に示した本実施例のプラントの診断装置において、プラント100の各種状態量を計測した計測信号1は外部入力インターフェイス210を介して取り込まれる。計測信号3は、診断装置200に設置された計測信号データベース310に保存される。
モデル定義手段400には、運転条件判定部500、および正規化条件決定部600がそれぞれ備えられている。モデル定義手段400は、計測信号4の入力に対し、モデル定義情報5をモデル定義データベース320に出力する。
発電プラントは出力を一定にして運転する一定負荷運転、プラントを起動する起動運転、プラントを停止する停止運転、出力を変化させる負荷変化運転がある。運転条件判定部500では、計測信号データベース310に蓄積されているプラント100の蓄積データを用いて、これらのデータを一定負荷運転中、起動運転中、停止運転中、負荷変化運転中の運転モードに分割する。また、それぞれの運転モードの特徴量を抽出する。この機能の詳細は、図6を用いて後述する。
また、モデル構築手段700では、モデルを構築するための前処理として、計測信号を正規化処理する。正規化条件決定部600では、各運転モードに対して、適切な正規化条件を決定する。この機能の詳細は、図7〜図9を用いて後述する。前述のモデル定義情報5は、運転条件データと正規化条件データで構成される。
モデル構築手段700では、計測信号データベース310に蓄積されているプラント100の計測信号4と、モデル定義データベース320に保存されているモデル定義情報6を用いて、診断に用いるモデルを構築する。モデル構築手段700で作成したモデル情報8は、診断モデルデータベース330に保存する。
モデル構築手段700を実装する技術として、適応共鳴理論、ベクトル量子化などのクラスタリング技術がある。また、診断に用いるモデルは上記のクラスタリング方法に限定されるわけではなく、物理式を用いたモデル、ニューラルネットワークなどの統計モデルを用いることもできる。
前記診断装置200に設置された診断手段800では、計測信号4の入力に対して、モデル定義データベース320のモデル定義情報7と、診断モデルデータベース330のモデル情報9を参照することによってプラント100の運転状態を診断し、その診断結果10を出力する。
診断手段800が診断したプラント100の現在の運転状態に対する診断結果10は、外部出力インターフェイス220を介して、画像表示情報11として運転管理室900に設置した画像表示装置940に送信され、表示される。これにより、運転管理室900にいるオペレータに、プラント100の運転状態に対する診断結果を通知する。
このようにして、本実施例のプラントの診断装置200では、プラントの状態が変化したことを、オペレータに通知する。
また、診断装置200に設置された計測信号データベース310、モデル定義データベース320、診断モデルデータベース330に保存されている診断装置情報50は、任意に運転管理室900の画像表示装置940に表示できるようになっている。また、これらの情報は、キーボード920とマウス930で構成する外部入力装置910を操作して生成する外部入力信号2で、修正できる。
次に、本実施例のプラントの診断装置の動作について説明する。以下に診断装置200の動作フローチャートを、図1に示したプラントの診断装置の基本動作を示すフローチャート図である図2(a)を用いて説明する。
図2(a)のフローチャート図に示すように、診断装置200の基本動作はステップ201、202、203を組み合わせて実行する。
まず、ステップ201では診断装置200の動作モードがモデル構築モードか診断モードかを判定する。そして、モデル構築モードの場合はステップ202に進み、診断モードの時はステップ203に進む。
ステップ202を動作させると、モデル定義手段400、モデル構築手段700が動作する。その結果、モデル定義情報5とモデル情報8が生成され、作成した情報はそれぞれモデル定義データベース320、診断モデルデータベース330に保存される。モデル構築モードの動作の詳細は、図10(a)を用いて後述する。
また、ステップ203を動作させると、診断手段800にてプラント100の運転状態を診断し、診断結果10の含まれる画像表示情報11を画像表示装置940送信することにより、プラント100の運転状態を画像表示装置940に表示する。診断モードの動作の詳細は、図10(b)を用いて後述する。
診断装置200のモデル構築モードと診断モードを動作させるタイミングはオペレータによって任意に指定することができる。以下、図2(b)〜(d)を用いて、モデル構築モードと診断モードを動作させるタイミングの各種の実施例をそれぞれ説明する。
図2(b)に示した実施例においては、計測信号のサンプリング周期毎にモデル構築モードと診断モードの両方を動作させて診断する。
計測信号を取得する毎に診断モデルを更新することで、常に最新のモデルを用いた診断が可能である。
しかし、モデル構築に用いるデータ量が多い時は、モデル構築に時間を要するため、サンプリング周期内に計算が終了しない可能性がある。
このような場合は、図2(c)に示した実施例のように、所定の設定期間毎に正常状態モデル構築モードを動作させ、サンプリング周期毎に診断モードのみを動作させて診断することもできる。図2(b)及び図2(c)に示した実施例の方法では、サンプリング周期毎に診断モードが実行され、オンラインでプラントの状態を診断できる。
また、図2(d)に示した実施例のように、オペレータがモデル構築、診断を実施する外部入力信号2を診断装置200に入力することで、任意のタイミングでモデル構築モードと診断モードを動作できる。つまり、色々な条件を変えてプラント100の運転状態を診断することが可能となる。
次に、図3、図4を用いて本実施例のプラントの診断装置を構成する診断装置200を構成するモデル構築手段700、及び診断手段800に備えた、プラント100の計測信号4を分類する機能を説明する。
本実施例のプラントの診断装置では、データ分類機能に適応共鳴理論(Adaptive Resonance Theory:ART)を適用した場合について述べる。尚、データ分類機能として、ベクトル量子化等、他のクラスタリング手法を用いることもできる。
図3(a)に示すように、データ分類機能はデータ前処理装置710とARTモジュール720で構成する。データ前処理装置710は、運転データをARTモジュール720の入力データに変換する。
以下に、前記データ前処理装置710及びARTモジュール720によるそれらの手順(工程)について説明する。
まず、データ前処理装置710において、モデル定義データベース320に保存されている正規化条件の情報を用いて、計測項目毎にデータを正規化する。計測信号を正規化したデータNxi(n)及び正規化したデータの補数CNxi(n)(=1−Nxi(n))を含むデータを入力データIi(n)とする。この入力データIi(n)が、ARTモジュール720に入力される。
ARTモジュール720においては、入力データであるプラント100の計測信号4を複数のカテゴリーに分類する。
ARTモジュール720は、F0レイヤー721、F1レイヤー722、F2レイヤー723、メモリ724及び選択サブシステム725を備え、これらは相互に結合している。F1レイヤー722及びF2レイヤー723は、重み係数を介して結合している。重み係数は、入力データが分類されるカテゴリーのプロトタイプ(原型)を表している。ここで、プロトタイプとは、カテゴリーの代表値を表すものである。
次に、ARTモジュール720のアルゴリズムについて説明する。
ARTモジュール720に入力データが入力された場合のアルゴリズムの概要は、下記の処理1〜処理5のようになる。
処理1:F0レイヤー721により入力ベクトルを正規化し、ノイズを除去する。
処理2:F1レイヤー722に入力された入力データと重み係数との比較により、ふさわしいカテゴリーの候補を選択する。
処理3:選択サブシステム725で選択したカテゴリーの妥当性がパラメータρとの比により評価される。妥当と判断されれば、入力データはそのカテゴリーに分類され、処理4に進む。一方、妥当と判断されなければ、そのカテゴリーはリセットされ、他のカテゴリーからふさわしいカテゴリーの候補を選択する(処理2を繰り返す)。パラメータρの値を大きくするとカテゴリーの分類が細かくなり、ρの値を小さくすると分類が粗くなる。このパラメータρをビジランス(vigilance)パラメータと呼ぶ。
処理4:処理2において全ての既存のカテゴリーがリセットされると、入力データが新規カテゴリーに属すると判断され、新規カテゴリーのプロトタイプを表す新しい重み係数を生成する。
処理5:入力データがカテゴリーJに分類されると、カテゴリーJに対応する重み係数WJ(new)は、過去の重み係数WJ(old)及び入力データp(又は入力データから派生したデータ)を用いて下記式(1)により更新される。
ここで、Kwは、学習率パラメータ(0<Kw<1)であり、入力ベクトルを新しい重み係数に反映させる度合いを決定する値である。
尚、式(1)及び後述する式(2)乃至式(12)の各演算式は前記ARTモジュール720に組み込まれている。
ARTモジュール720のデータ分類アルゴリズムの特徴は、上記の処理4にある。
処理4においては、学習した時のパターンと異なる入力データが入力された場合、記録されているパターンを変更せずに新しいパターンを記録することができる。このため、過去に学習したパターンを記録しながら、新たなパターンを記録することが可能となる。
このように、入力データとして予め与えた運転データを与えると、ARTモジュール720は与えられたパターンを学習する。したがって、学習済みのARTモジュール720に新たな入力データが入力されると、上記アルゴリズムにより、過去におけるどのパターンに近いかを判定することができる。また、過去に経験したことのないパターンであれば、新規カテゴリーに分類される。
図3(b)は、F0レイヤー721の構成を示すブロック図である。F0レイヤー721では、入力データIiを各時刻で再度正規化し、F1レイヤー721、及び選択サブシステム725に入力する正規化入力ベクトルui 0を作成する。
始めに、入力データIiから、式(2)に従ってwi 0を計算する。ここで、aは定数である。
次に、wi 0を正規化したxi 0を、式(3)を用いて計算する。ここで、‖・‖はノルムを表す記号である。
そして、式(4)を用いて、xi 0からノイズを除去したvi 0を計算する。ただし、θはノイズを除去するための定数である。式(4)の計算により、微小な値は0となるため、入力データのノイズが除去される。
最後に、式(5)を用いて正規化入力ベクトルui 0を求める。ui 0はF1レイヤーの入力となる。
図3(c)は、F1レイヤー722の構成を示すブロック図である。F1レイヤー722では、式(5)で求めたui 0を短期記憶として保持し、F2レイヤー722に入力するpiを計算する。F2レイヤーの計算式をまとめて式(6)〜式(12)に示す。ただし、a、bは定数、f(・)は式(4)で示した関数、TjはF2レイヤー722で計算する適合度である。
ただし、
次に、図4を用いて本実施例のプラントの診断装置を構成する診断装置200を構成するモデル構築手段700に備えた、プラント100の計測信号4でモデルを構築する機能を説明する。
まず、図4(a)を用いてプラント100の実施例を説明し、計測信号4に含まれる情報を述べる。次に、図4(b)及び図4(c)を用いて、計測信号4をカテゴリーに分類する様子を述べる。
図4(a)は、プラント100の実施例である火力発電プラントを示すブロック図である。
図4(a)において、火力発電プラント100は、ガスタービン発電機110、制御装置120及びデータ送信装置130を含む。ガスタービン発電機110は、発電機111、圧縮機112、燃焼器113及びタービン114を含む。
発電に際しては、圧縮機112にて吸い込んだ空気を圧縮して圧縮空気とし、この圧縮空気を燃焼器113に送り、燃料と混合して燃焼する。燃焼により発生した高圧ガスを用いてタービン114を回転させ、発電機111により発電を行う。
制御装置120においては、電力需要に応じてガスタービン発電機110の出力を制御する。また、制御装置120は、ガスタービン発電機110に設置されたセンサ(図示せず)で計測した運転データ102を入力データとしている。運転データ102は、吸気温度、燃料投入量、タービン排ガス温度、タービン回転数、発電機発電量、タービン軸振動などの状態量であり、サンプリング周期毎に計測している。また、大気温度などの気象情報も計測している。
制御装置120においては、これらの運転データ102を用いて、ガスタービン発電機110を制御するための制御信号101を算出する。また、制御装置120では、運転データ102の値が予め設定した範囲を逸脱した時に警報を発生させる処理を実施している。警報信号は、運転データ102が予め設定した範囲を逸脱した時に「1」、範囲内の時は「0」のデジタル信号として処理する。警報信号が「1」の時は、音や画面表示などで、警報の内容をオペレータに通知する。
信号データ送信装置130は、制御装置120で計測した運転データ102、及び制御装置120で算出した制御信号101、および警報信号を含む計測信号1を診断装置200に送信する。
図4(b)は、プラント100から取得した計測信号1を、カテゴリーに分類した結果を説明する図である。横軸は、時間、縦軸は計測信号、カテゴリー番号である。図4(c)は、プラント100の計測信号1を、カテゴリーに分類した分類結果の一例を示す図である。
図4(c)は、一例として、計測信号のうちの2項目を表示したものであり、2次元のグラフで表記した。また、縦軸及び横軸は、それぞれの項目の計測信号を規格化して示した。
計測信号は、図3(a)のARTモジュール720によって複数のカテゴリー1000(図4(c)に示す円)に分割される。1つの円が、1つのカテゴリーに相当する。
本実施例では、計測信号は4つのカテゴリーに分類されている。カテゴリー番号1は、項目Aの値が大きく、項目Bの値が小さいグループ、カテゴリー番号2は、項目A、項目Bの値が共に小さいグループ、カテゴリー番号3は項目Aの値が小さく、項目Bの値が大きいグループ、カテゴリー番号4は項目A、項目Bの値が共に大きいグループである。
図4(b)に示すように、診断開始前の正常期間のデータは、カテゴリー1〜3に分類された。診断開始後の前半のデータはカテゴリー2に分類されており、正常期間と同じカテゴリーである。この場合、データの傾向が正常期間と同じであることから、正常であると診断する。一方、診断開始後の後半のデータはカテゴリー4に分類されており、正常期間とは異なるカテゴリーである。データの傾向が異なることから、プラントの状態が変化し、異常が発生した可能性がある。この場合、本発明の診断装置200では、プラントのオペレータに異常発生の可能性があることを画像表示装置940に表示し、オペレータに通知する。
尚、本実施例においては、2項目の計測信号をカテゴリーに分類する例を述べたが、3項目以上の計測信号について多次元の座標を用いてカテゴリーに分類することもできる。
図5は、図4(a)に示した発電プラントにおける起動モードとプロセス値の関係を説明する図であり、出力指令値とタービン機器温度の経時変化を示している。
代表的な起動モードとして、ホットスタート、コールドスタートがある。タービンや圧縮機が熱い状態で再起動する場合をホットスタートと呼ぶ。また、比較的長期間停止し、タービン、圧縮機が冷えた状態で再起動する場合とコールドスタートと呼ぶ。図5(b)に示すように、起動モードが異なると、起動開始時のタービン機器温度、負荷変化中の温度の変化範囲も異なる。
従来の診断装置では、運転条件に関わらず1つの診断モデルを構築していたため、正規化の範囲はデータを包含するように決定する必要がある。すなわち、例えば、正規化範囲の上限値を1010、下限値を1011としていた。
例えば、ホットスタートの低負荷時では、プロセス値が変化する範囲1020に比べて、正規化範囲1022が広くなる。
データの変化範囲に比べて正規化範囲が広いと、正規化後の値変化が小さくなる。そのため、異常発生時のデータの変化をとらえることができず、異常発生時にも新規カテゴリーが発生しない場合があった。これは、失報の原因となる。
本発明に備えられているモデル定義手段400を用いることで、運転条件に合わせて正規化範囲を適切に決定する。本機能により、失報を抑制して診断精度を向上できる。以下、その具体的な方法について説明する。
図6は、モデル定義手段400の構成要素である運転条件判定部500の動作を説明するフローチャート図である。図6に示すように、本アルゴリズムはステップ510、520、530、540、550を組み合わせて実行する。
まず、ステップ510では、計測信号4に蓄積されているデータを、一定負荷運転中、起動運転中、停止運転中、負荷変化運転中の期間毎に分割する。
出力が変化していない時、すなわち、出力の計測信号の変化率が小さい場合は、一定負荷運転中とする。また、発電プラントの計測信号に含まれている、起動中、停止中、負荷変化中を区別する信号を基に起動運転中、停止運転中、負荷変化運転中の期間に分割する。
一定負荷運転中の場合はステップ520に、起動運転中の場合はステップ530に、停止運転中の場合はステップ540に、負荷変化運転中の場合はステップ550にそれぞれ進む。
ステップ520では、負荷帯に関する情報を抽出する。例えば、定格出力の0〜50%を低出力、50%〜100%を高出力など、出力に応じて負荷帯を分類する。ステップ530では、起動モードの種類、起動中の負荷変化率に関する情報を抽出する。起動モードとしては、ホットスタートモード、コールドスタートモードなどがある。ステップ540では、停止モード、停止動作開始時出力に関する情報を抽出する。停止モードとしては、通常運用の中でプラントを停止するモード、異常発生時に緊急遮断するモードなどがある。ステップ550では、負荷変化率、負荷変化開始時出力、負荷変化終了時出力に関する情報を抽出する。
尚、本実施例ではステップ520、530、540、550で、一定負荷運転中、起動運転中、停止運転中、負荷変化運転中の状態を区別するため、先に述べた情報を抽出しているが、この情報量を増やすことも可能である。例えば、タービン回転数、昇速率、プラントに供給する燃料の種類、大気温度など、プラント100の計測信号を処理して得られる情報であれば、ステップ520、530、540、550で抽出する情報に追加してもよい。
図6(b)に示すように、同じ計測項目を用いた診断モデル710は、図6(a)で抽出した情報に基づいてサブ診断モデル720に分類したモデルの集合で構築する。サブ診断モデル毎に異なる正規化条件を定義して診断する。
以下、図7〜図9を用いて、正規化条件を決定する正規化条件決定部600の実施例を説明する。正規化条件決定部600で決定した正規化条件の情報を用いて、データ前処理装置710で計測信号を正規化する。計測信号xiのデータ項目数がN個でn番目の計測信号をx(n)とする。正規化したデータNxi(n)は、下記式(13)で表される。ただし、Nmin(n)は正規化の下限値、Nmax(n)は正規化の上限値である、
正規化条件決定部600では、(13)式で示したNmin(n)、Nmax(n)を決定する。
図7は、正規化条件決定部600の第1の実施例の説明図である。
図7(a)は、正規化条件決定部600の第1の実施例のフローチャート図である。図7(a)に示すように、本アルゴリズムはステップ611、612、613を組み合わせて実行する。
まず、ステップ611では、運転条件毎にモデル構築用データを分割する。ステップ612では、運転条件毎に計測信号変化幅の情報を抽出する。
ステップ613では、正規化範囲の上限値Nmax1(n)、正規化範囲の下限値Nmin1(n)を決定する。
一定負荷運転中の場合は、(14)(15)式を用いる。ここで、Dmax1(n)は計測信号の最大値、Dmin1(n)は最小値であり、α、βは定数である。
負荷変化中、起動中、停止中の場合は、出力指令値に合わせて、式(16)(17)のように正規化範囲を決定する。
ここで、MWは出力指令値であり、a、cは、負荷変化中の計測信号を1次近似した時の傾きである。また、b、dは、式(18)(19)で計算する値である。
ここで、fは負荷変化中の計測信号を1次近似した時の切片であり、Dmax2は計測信号を1次近似した直線と計測信号との偏差の最大値、Dmin2は偏差の最小値である。
図7(b)は、低出力から高出力に負荷変化した時の、出力と計測信号の経時変化を説明する図である。時刻T0aまでは低出力、時刻T0aから時刻T0bまでは負荷変化、時刻T0b以降は高出力である。
図7(a)に示したフローチャートを動作させることにより、低出力時の正規化範囲の上限値は1030、下限値は1040、負荷変化中の正規化範囲の上限値は1050、下限値は1060、高出力時の正規化範囲の上限値は1070、下限値は1080に決定される。このように、本発明の正規化範囲は、運転条件に合わせて変化する。
図8は、正規化条件決定部600の第2の実施例の説明図である。図8(a)に示すように、本アルゴリズムはステップ631、632、633を組み合わせて実行する。
ステップ631では、負荷変化モードのデータを抽出する。ステップ632では、データ項目毎に、無駄時間を推定する。プロセス信号を入出力データとしてインパルス応答によりむだ時間を推定する。具体的な計算方法として参考文献「制御のための上級システム同定」(東京電機大学出版局)に記載されている方法が挙げられる。ステップ633では、ステップ632で推定した無駄時間分データをシフトした後、データ項目毎に正規化範囲を決定する。
この様子を、図8(b)を用いて説明する。出力指令値が増加し始める時刻T1aより、計測信号が変化し始める時刻が遅くなる。この時間が無駄時間である。データ項目Aの無駄時間は(T2a−T1a)、データ項目Bの無駄時間は(T3a−T1a)である。
図8(a)のフローチャートを用いて計測信号を無駄時間分ずらした後、図7のフローチャートを用いて正規化範囲を決定する。これにより、出力指令値に合わせて計測信号の正規化範囲を決定できる。
図9は、図1に示した発電プラントの診断装置における正規化条件決定部600の第3の実施例の説明図である。
計測信号の最大値、最小値付近での正規化範囲を広くして、最大値、最小値近傍での計測信号の変化を検知しやすくする。
尚、正規化条件決定部600の正規化方法は上述した内容に限定されるものではなく、運転条件毎に正規化条件を決定するものであれば良い。たとえば、プラントの設計情報や計測器の仕様からデータ値が変化する範囲を推定し、その範囲を正規化範囲としてもよい。
図10は、図1に示した発電プラントの診断装置200の動作モードを説明するフローチャート図である。図10(a)は図2におけるモデル構築モードの動作フローチャートであり、図10(b)は診断モードの動作フローチャートである。
図10(a)に示すように、モデル構築モードは、ステップ1200、1210、1220、1230を組み合わせて実行する。ステップ1200では、計測信号データベース310からモデル構築に用いる期間のデータを抽出する。この期間は、プラント100のオペレータにより任意に設定できる。次に、ステップ1210では運転条件判定部500を動作させる。図6(a)に示したフローチャートが動作し、モデル構築に用いる期間のデータを、一定負荷運転中、起動運転中、停止運転中、負荷変化運転中の運転モード毎に分割し、さらにステップ520、530、540、550を動作させて各モードのデータを特徴ごとに分割する。次に、ステップ1220では正規化条件決定部600を動作させる。図7(a)、図8(a)で説明したフローチャートを動作させ、ステップ1210で分割したグループ毎に正規化条件を決定する。ステップ1210、1220を動作させて得られたモデル定義情報5は、モデル定義データベース320に保存する。最後に、ステップ1230ではモデル構築手段700を動作させる。ステップ1210で分割した各グループは、サブ診断モデル720(図6(b)参照)として定義され、サブ診断モデル毎に定義されている正規化条件を用いて計測信号を処理し、図3で述べたARTを用いて診断モデルを構築する。
図10(b)に示すように、診断モードは、ステップ1300、1310、1320を組み合わせて実行する。ステップ1300では、計測信号データベース310から診断する期間のデータを抽出する。次に、ステップ1310では、診断期間のデータを運転条件判定部500で処理する。モデル構築モードで構築した複数のサブ診断モデルから、運転条件が一致するサブ診断モデルを抽出する。最後に、ステップ1320では診断手段800を動作させる。診断手段800では、モデル定義データベース320からステップ1330で抽出したサブ診断モデル情報を抽出する。サブ診断モデルのカテゴリー番号と、診断期間のデータをARTで分類して得られたカテゴリー番号を比較する。モデル構築モードを動作させた時と同じカテゴリーの時は正常と診断し、異なるカテゴリー番号が発生していた時は異常と診断する。診断結果10を外部出力インターフェイス220に出力する。
図11は、本発明のデータベースに保存されているデータの態様を説明する図である。
図11(a)に示すように、計測信号データベース310には、プラント100に対して計測した運転データである計測信号1(図では、データ項目A、B、Cを記載)の値が、サンプリング周期(縦軸の時刻)毎に保存される。
表示画面311において縦横に移動可能なスクロールボックス312及び313を用いることにより、広範囲のデータをスクロール表示することができる。
モデル定義データベース320には、図11(b)に示すように、運転条件と正規化範囲の情報が対応付けられて保存される。
診断モデルデータベースには、図11(c)に示すように、カテゴリー番号と重み係数の関係が保存されている。ここで、重み係数とは、カテゴリーの中心座標のことである。
図12は、図1に示した発電プラントの診断装置の適用効果を説明する図である。
時刻T4で負荷変化を開始し、時刻T5で負荷変化を終了した。負荷変化終了後、時刻T6で異常が発生した。
図12は、出力指令値と、タービン温度の関係をカテゴリー番号と、温度の計測信号の関係も合わせて図示してある。異常発生に伴い温度が上昇したが、カテゴリー4の範囲内であるため正常状態と同じカテゴリーに分類された。従来方式では、正規化範囲が広く、異常発生に伴う温度上昇をとらえることができず、異常を検知できなかった。
本発明では、運転条件に合わせて診断モデルが切り替わる。本実施例では、時刻T4までは運転条件1診断モデル(一定負荷運転中、低出力モデル)、時刻T4〜T5の間は運転条件2診断モデル(負荷変化運転中)、時刻T5以降は運転条件3診断モデル(一定負荷運転中、高出力モデル)で診断するように切り替わる。
運転条件3診断モデルにおいて、正常状態はカテゴリー番号1〜5に分類されている。異常発生前は正常状態と同じカテゴリーに分類されているが、異常発生後のデータはカテゴリー番号6の新規カテゴリーに分類され、異常を検知できた。すなわち、従来方式よりも状態を細かく分類できるので、異常を検知できない失報を抑制できた。
図13は、図1に示した発電プラントの診断装置200における画像表示装置940に表示される画面を説明する図である。
カーソル951をマウス930で操作して、正規化範囲の上限値(954、956、958)、正規化範囲の下限値(955、957、959)、運転条件の境界時刻(952、953)を任意に調整できる。調整した結果をモデルに反映するには、図13の画面上で実行ボタン960をクリックする。この操作により、図10(b)に示したモデル定義データベースの運転条件と正規化範囲の情報が変更され、調整結果をモデル構築、及び診断動作に反映できる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行するソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル、計測信号、算出情報等の情報は、メモリやハードディスク等の記憶装置、またはICカード、SDカード、DVD等の記憶媒体に置くことができる。よって、各処理、各構成は処理ユニットやプログラムモジュールとして実現可能である。
また、情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
本実施例によれば、発電プラントの異常を高精度で検知する発電プラントの診断装置及びプラントの診断方法が得られる。
本発明は、プラントの診断装置及びプラントの診断方法として各種プラント等に広く適用可能である。
1、3、4 計測信号
2 外部入力信号
5、6、7 モデル定義情報
8、9 モデル情報
10 診断結果
11 画面表示情報
50 診断装置情報
100 プラント
200 診断装置
210 外部入力インターフェイス
220 外部出力インターフェイス
310 計測信号データベース
320 モデル定義データベース
330 診断モデルデータベース
400 モデル定義手段
500 運転条件判定部
600 正規化条件決定部
700 モデル構築手段
800 診断手段
900 運転管理室
910 外部入力装置
920 キーボード
930 マウス
940 画像表示装置

Claims (14)

  1. 発電プラントから状態量を計測した計測信号に基づいてプラントの運転状態を診断し、診断結果を画像表示装置に表示する発電プラントの診断装置において、
    発電プラントの診断装置に発電プラントの状態量を計測した計測信号を用いて診断に用いるモデルを構築するモデル構築手段と、前記モデルで診断する運転条件と計測信号の正規化方法を定義するモデル定義手段と、前記モデル構築手段で構築したモデルを用いて発電プラントの運転状態を診断する診断手段を備え、
    前記モデル定義手段に、発電プラントの運転条件を判定する運転条件判定部と、運転条件判定部で判定した運転条件毎に計測信号の正規化条件を決定する正規化条件決定部を備え、
    前記診断手段では、運転条件に合わせて診断モデルを切り替えて診断することを特徴とする発電プラントの診断装置。
  2. 請求項1に記載した発電プラントの診断装置において、
    前記運転条件判定部は、発電プラントの運転条件を一定負荷運転中、起動運転中、停止運転中、負荷変化運転中のいずれかに分類する演算装置と、運転条件が一定負荷運転中の場合は負荷帯を抽出する演算装置と、運転条件が起動運転中の場合は起動モードの種類と負荷変化率を抽出する演算装置と、停止運転中の時は停止モードの種類と停止動作開始出力を抽出する演算装置と、負荷変化運転中の時は負荷変化率、負荷変化開始時の出力、負荷変化終了時の出力を抽出する演算装置を備えることを特徴とする発電プラントの診断装置。
  3. 請求項1に記載した発電プラントの診断装置において、
    前記正規化条件決定部では、前記運転条件判定部で判定した運転条件毎にモデル構築用データを分割する演算装置と、運転条件毎のデータ変化幅の情報を抽出する演算装置と、前記データ変化幅の情報に基づいて正規化範囲を決定する演算装置を備えることを特徴とする発電プラントの診断装置。
  4. 請求項3に記載した発電プラントの診断装置において、
    負荷変化中における計測信号の正規化範囲は、出力指令値の関数とする演算装置を備えることを特徴とする発電プラントの診断装置。
  5. 請求項3に記載した発電プラントの診断装置において、
    前記正規化条件決定部では、負荷変化中の計測信号について無駄時間を推定する演算装置と、推定した無駄時間分計測信号をシフトさせる演算装置を動作させた後、
    請求項3に記載した演算装置を動作させることを特徴とする発電プラントの診断装置。
  6. 請求項3〜請求項5に記載した発電プラントの診断装置において、
    前記正規化条件決定部では、計測信号の最大値、最小値付近での正規化範囲を広くする演算装置を備えたことを特徴とする発電プラントの診断装置。
  7. 請求項1に記載した発電プラントの診断装置において、
    計測信号の経時変化を示すトレンドグラフと、前記運転条件判定手段で判定した運転条件が切り替わる時刻と、前記正規化条件決定手段で決定した正規化範囲を重ねて表示させ、
    前記運転条件が切り替わる時刻と、前記正規化範囲を任意に変更するための画面表示装置を備えたことを特徴とする発電プラントの診断装置。
  8. 発電プラントから状態量を計測した計測信号に基づいてプラントの運転状態を診断し、診断結果を画像表示装置に表示する発電プラントの診断方法において、
    発電プラントの運転条件を判定するステップと、運転条件判定部で判定した運転条件毎に計測信号の正規化条件を決定するステップと、発電プラントの診断装置に発電プラントの状態量を計測した計測信号を用いて診断に用いるモデルを構築するステップと、前記モデルで診断する運転条件と計測信号の正規化方法を定義するステップと、運転条件に合わせて診断モデルを切り替えて診断するステップを備えたことを特徴とする発電プラントの診断方法。
  9. 請求項8に記載した発電プラントの診断方法において、
    前記発電プラントの運転条件を判定するステップは、発電プラントの運転条件を一定負荷運転中、起動運転中、停止運転中、負荷変化運転中のいずれかに分類するステップと、運転条件が一定負荷運転中の場合は負荷帯を抽出するステップと、運転条件が起動運転中の場合は起動モードの種類と負荷変化率を抽出するステップと、停止運転中の時は停止モードの種類と停止動作開始出力を抽出するステップと、負荷変化運転中の時は負荷変化率、負荷変化開始時の出力、負荷変化終了時の出力を抽出するステップを備えることを特徴とする発電プラントの診断方法。
  10. 請求項8に記載した発電プラントの診断方法において、
    前記正規化条件を決定するステップでは、前記運転条件判定部で判定した運転条件毎にモデル構築用データを分割するステップと、運転条件毎のデータ変化幅の情報を抽出するステップと、前記データ変化幅の情報に基づいて正規化範囲を決定するステップを備えることを特徴とする発電プラントの診断方法。
  11. 請求項10に記載した発電プラントの診断方法において、
    負荷変化中における計測信号の正規化範囲は、出力指令値の関数とするステップを備えることを特徴とする発電プラントの診断方法。
  12. 請求項10に記載した発電プラントの診断方法において、
    前記正規化条件を決定するステップでは、負荷変化中の計測信号について無駄時間を推定するステップと、推定した無駄時間分計測信号をシフトさせるステップを実行した後、請求項10に記載したステップを実行することを特徴とする発電プラントの診断方法。
  13. 請求項10〜請求項12に記載した発電プラントの診断方法において、
    前記正規化条件を決定するステップでは、計測信号の最大値、最小値付近での正規化範囲を広くするステップを備えたことを特徴とする発電プラントの診断方法。
  14. 請求項8に記載した発電プラントの診断方法において、
    計測信号の経時変化を示すトレンドグラフと、前記運転条件判定手段で判定した運転条件が切り替わる時刻と、前記正規化条件決定手段で決定した正規化範囲を重ねて表示させ、
    前記運転条件が切り替わる時刻と、前記正規化範囲を任意に変更できることを特徴とする発電プラントの診断方法。
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