JP5336385B2 - 半導体材料としてのナフタレン系テトラカルボン酸ジイミド化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、薄膜トランジスタのためのnチャネル半導体膜における半導体材料としての、立体配置的に制御されたN,N'-ジシクロアルキル置換ナフタレン-1,4,5,8-ビス-カルボキシイミド化合物の使用に関する。本発明は、電子デバイスのための薄膜トランジスタにおけるこれらの材料の使用、およびかかるトランジスタおよびデバイスの製造方法に関する。
薄膜トランジスタ(TFT)は、電子装置、例えばアクティブ・マトリックス液晶ディスプレイ、スマートカード、および種々の他の電子デバイスおよびこれらの構成要素におけるスイッチング素子として、幅広く使用されている。薄膜トランジスタ(TFT)は、電界効果トランジスタ(FET)の一例である。FETの最もよく知られている例は、MOSFET(金属酸化膜半導体−FET)であり、これは高速用途のための今日のコンベンショナルなスイッチング素子である。現在のところ、たいていの薄膜デバイスは、半導体としてアモルファスシリコンを使用して製造されている。アモルファスシリコンは、結晶質シリコンのより低廉な代替物である。この事実は、大面積用途におけるトランジスタのコスト削減のために特に重要である。しかしながら、アモルファスシリコンの用途は、比較的低速のデバイスに限られている。なぜなら、アモルファスシリコンの最大移動度(0.5〜1.0cm2/V sec)は、結晶質シリコンの最大移動度の約1000分の1であるからである。
アモルファスシリコンは、TFTにおける使用に際して高結晶質シリコンよりも低廉ではあるが、アモルファスシリコンには依然として欠点がある。トランジスタの製造中におけるアモルファスシリコンの堆積は、ディスプレイ用途にとって十分な電気的特性を達成するために比較的コストの高いプロセス、例えばプラズマ支援化学蒸着法および高い温度(約360℃)を必要とする。かかる高い処理温度では、他の点では可撓性ディスプレイのような用途で使用するのに望ましい特定のプラスチックから形成された基体を、堆積のために使用することができない。
過去10年間、TFTの半導体チャネルにおいて使用するための無機材料、例えばアモルファスシリコンの代わりになり得るものとして、有機材料が注目を集めている。有機半導体材料は処理しやすく、有機溶剤中に可溶性である有機半導体材料は特に処理しやすいため、これらの材料は、はるかに低廉な方法、例えばスピンコーティング、浸漬コーティングおよびマイクロコンタクト印刷によって大面積に適用することができる。さらに有機材料は、より低い温度で堆積させることができ、プラスチックなどの広範囲の基体材料を可撓性電子デバイスに利用可能にする。従って、有機材料から作られる薄膜トランジスタは、製造のしやすさ、機械的可撓性および/または中程度の動作温度が重要な考慮事項となるディスプレイ・ドライバ、ポータブル・コンピュータ、ポケットベル(登録商標)、トランザクション・カードにおけるメモリー素子、および識別タグにおけるプラスチック回路の潜在的な重要な技術と見なすことができる。
TFTにおける潜在的な半導体チャネルとして使用するための有機材料は、例えば、"Thin-Layer Field-Effect Transistors with MIS Structure Whose Insulator and Semiconductors Are Made of Organic Materials"と題された米国特許第5,347,144号明細書(Garnierら)に開示されている。
0.01cm2/Vsを十分に上回る高い移動度、および1000を超える電流オン/オフ比(以後「オン/オフ比」と呼ぶ)をその多くが必要とする電子構成要素におけるスイッチング素子および/または論理素子を提供するためにTFT内に使用することができる新規な有機半導体材料を発見しようと多くの努力がなされている。かかる特性を有する有機TFTは、電子用途、例えばディスプレイおよび識別タグのための画素ドライバのために使用することができる。しかし、これらの望ましい特性を示す化合物のほとんどは、「p型」または「pチャネル」であり、これは、デバイスのチャネル領域に正電荷(正孔)を誘発させるために、ソース電圧に対して負のゲート電圧が印加されることを意味する。
p型有機半導体材料の代替物としてn型有機半導体材料をTFTにおいて使用することができる。「n型」または「nチャネル」という用語は、デバイスのチャネル領域に負電荷を誘発させるために、ソース電圧に対して正のゲート電圧が印加されることを意味する。
さらに、相補回路として知られる1つの重要なタイプのTFT回路は、p型半導体材料に加えてn型半導体材料を必要とする。Dodabalapurら, "Complementary circuits with organic transistors" Appl. Phys. Lett. 1996, 69, 4227を参照されたい。具体的には、相補回路の製造は、少なくとも1つのpチャネルTFTおよび少なくとも1つのnチャネルTFTを必要とする。相補回路のアーキテクチャを使用して、インバータなどの単純な構成要素が実現されている。通常のTFT回路に対する相補回路の利点は、より少ない電力散逸、より長い寿命、およびより良好なノイズ許容度を含む。かかる相補的回路において、pチャネル・デバイスの移動度およびオン/オフ比と同様の大きさのnチャネル・デバイスの移動度およびオン/オフ比を有することがしばしば望ましい。有機p型半導体と無機n型半導体とを使用したハイブリッド相補回路が、Dodabalapurら(Appl. Phys. Lett. 1996, 68, 2264)に記載されているように知られているが、製造のしやすさのために、かかる回路において有機nチャネル半導体材料が望ましい。
TFTにおいて半導体nチャネルとして使用するために開発された有機材料はほんの限られた数に過ぎない。かかる材料の1つであるバックミンスターフラーレンC60は0.08cm2/Vsの移動度を示すが、空気中で不安定であると考えられている。R. C. Haddon, A. S. Perel, R. C. Morris, T. T. M. Palstra, A. F. HebardおよびR. M. Fleming, "C60 Thin Film Transistor" Appl. Phys. Let. 1995, 67, 121を参照されたい。ペルフルオロ化銅フタロシアニンは0.03cm2/Vsの移動度を有し、空気中の動作に対して一般的に安定であるが、この材料における移動度を最大限に高めるために100℃を超える温度に基体を加熱しなければならない。"New Air-Stable n-Channel Organic Thin Film Transistor", Z. Bao, A. J. LovingerおよびJ. Brown, J. Am. Chem, Soc. 1998, 120, 207を参照されたい。ナフタレン骨格構造に基づくものを含む他のnチャネル半導体も報告されているが、これらの移動度はより低い。Laquindanumら, "n-Channel Organic Transistor Materials Based on Naphthalene Frameworks," J. Am. Chem, Soc. 1996, 118, 11331を参照されたい。かかるナフタレン系nチャネル半導体材料の1つであるテトラシアノナフトキノ−ジメタン(TCNNQD)は、空気中での動作が可能ではあるが、この材料は低いオン/オフ比を示し、また、調製および精製が難しい。
ナフタレン芳香族骨格構造に基づく芳香族テトラカルボン酸ジイミドは、n型半導体として、ソース電極とドレイン電極とが半導体の上側に位置するトップ・コンタクト形態のデバイスを使用して最大0.16cm2/Vsのnチャネル移動度を提供することが実証されている。ボトム・コンタクト・デバイス、すなわち、ソース電極とドレイン電極とが半導体の下側に位置するデバイスを用いると、同程度の結果が得られはするが、金でなければならない電極と、半導体との間に、チオール下層が適用されることが必要となった。Katzら, "Naphthalenetetracarboxylic Diimide-Based n-Channel Transistor Semiconductors: Structural Variation and Thiol-Enhanced Gold Contacts" J. Am. Chem. Soc. 2000 122, 7787;"A Soluble and Air-stable Organic Semiconductor with High Electron Mobility" Nature 2000 404, 478;Katzらの欧州特許出願公開第1041653号明細書または米国特許第6,387,727号明細書を参照されたい。チオール下層が存在しない場合に、Katzらの化合物の移動度は、ボトム・コンタクト・デバイスにおいて大幅に低くなることが判明した。Katzらの米国特許第6,387,727号明細書には、縮合環テトラカルボン酸ジイミド化合物が開示されており、その一例は、N,N'-ビス(4-トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸ジイミドである。かかる化合物は、還元するのが容易である。Katzらの米国特許第6,387,727号明細書において報告された最高移動度は、N,N'-ジオクチルナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸ジイミドの場合に0.1〜0.2cm2/Vsであった。
パルスラジオリシス時間分解マイクロ波導電率測定によって、線状アルキル側鎖を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミドの膜において、比較的高い移動度が測定されている。Struijkら, "Liquid Crystalline Perylene Diimides:Architecture and Charge Carrier Mobilities" J. Am. Chem. Soc.第2000巻, 122, 11057を参照されたい。
米国特許出願公開第2007/0096084号明細書(Shuklaら)には、各イミド窒素原子に直接結合した置換または非置換炭素環式芳香族環系を有するN,N'-ジアリール置換ナフタレン系テトラカルボン酸ジイミド化合物であって、芳香環系のうちの少なくとも1つまたは両方の上にある置換基が少なくとも1つの電子供与性有機基を含むN,N'-ジアリール置換ナフタレン系テトラカルボン酸ジイミド化合物を含む有機半導体材料の薄膜が開示されている。
米国特許出願公開第2006/0237712号明細書(Shuklaら)には、二価炭化水素基を通して各イミド窒素原子に結合した置換または非置換炭素環式芳香族環系を有するN,N'-ジ(アリールアルキル)置換ナフタレン系テトラカルボン酸ジイミド化合物であって、アリール環上の任意選択的に存在してもよい置換基の任意のものが少なくとも1つの電子供与性有機基を含むN,N'-ジ(アリールアルキル)置換ナフタレン系テトラカルボン酸ジイミド化合物を含む有機半導体材料の薄膜が開示されている。
米国特許出願公開第2007/0116895号明細書(Shuklaら)には、各イミド窒素原子に結合した置換または非置換脂肪族式炭素環式(脂環式)環系を有するN,N'-ジシクロアルキル置換ナフタレン-1,4,5,8-ビス(ジカルボキシイミド)化合物であって、各環上の任意選択的に存在してもよい1または複数の置換基が少なくとも1つの電子供与性有機基を含むN,N'-ジシクロアルキル置換ナフタレン-1,4,5,8-ビス(ジカルボキシイミド)化合物を含む有機半導体材料の薄膜が開示されている。
Shuklaらによる上記の有機薄膜は、膜の形態で、既知のn型化合物について報告されている5.0cm2/Vs値以下の値と比較して、知られている中で最も高い電界効果電子移動度を示すことができる。
米国特許第7,026,643号明細書(Dimitrakopoulosら)は、その一例がN,N'-ジ(n-1H,1H-ペルフルオロオクチル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミドであるナフタレン系化合物と比較して改善された、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド化合物から形成されたnチャネル半導体膜を開示している。ジイミド構造中のイミド窒素に結合している置換基は、アルキル鎖、電子不足アルキル基、および電子不足ベンジル基を構成し、鎖は好ましくは4〜18の原子長を有する。有機半導体としてペリレン骨格構造が使用された材料に基づくデバイスは、低移動度、例えばペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)の場合には10-5cm2/Vsを、そしてN,N'-ジフェニルペリレンテトラカルボン酸ジイミド(PTCDI−Ph)の場合には1.5×10-5cm2/Vsをもたらした。Horowitzら, "Evidence for n-Type Conduction in a Perylene Tetracarboxylic Diimide Derivative" Adv. Mater. 1996, 8, 242、およびOstrickら, J Appl. Phys. 1997, 81, 6804を参照されたい。イミド窒素上の置換基がアリールまたはフェニルアルキル基であるペリレン系半導体材料についての米国特許出願公開第2006/0134823 A1号および第2006/0131564 A1号明細書も参照されたい。
米国特許出願公開第2005/0176970 A1号明細書(Marksら)には、窒素および核が電子求引性基で置換されたモノおよびジイミドペリレンおよびナフタレン化合物から形成された、改善されたnチャネル半導体膜が開示されている。ジイミド構造中のイミド窒素に結合している置換基は、アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、および置換アリール部分から選択することができる。しかしながら、Marksらは、イミド窒素上にシクロアルキル基を使用することの利点を何も認識していない。従って、N-オクチルおよびN-シクロヘキシルを含有するペリレンジイミドから得られる移動度は、事実上区別ができない(第10頁、第1欄、例10)。さらに、米国特許出願公開第2005/0176970 A1号明細書(Marksら)に報告されている最高移動度は、0.2cm2/Vsであった。Marksらは、ナフタレン化合物に関する試験データを示してはいないが、化合物の核がジシアノ二置換されていることを必要としている。
上記から明らかなように、p型およびn型の両方の新規な半導体材料の開発が大きな関心をもって続けられている。現在までのところ、様々なp型材料の中で、薄膜トランジスタにおいて、ペンタセンを使用して最大の電荷移動度(約1.0cm2/V・s)が観測された。しかしながら、ペンタセン系OTFTの不十分な安定性および再現性はペンタセンの商業的な可能性を制限する。最近、Anthonyらによって、シリルエテニル置換構造を有する一連の溶液処理可能なペンタセンおよびアントラジチオエン誘導体が報告された(Payneら, J. Am. Chem. Soc., 2005, 127, 4986参照)。π積層結晶充填の向上によって、親分子よりも安定性および電荷移動度が改善された。これは、現在探索されている幾つかの有望な分子設計手法のうちの1つである。ペンタセンについての電荷移動度と結晶充填との間の関係の最近の分子モデリング研究(Dengら, J. Phys. Chem. B, 2004, 108, 8614)から、密に充填した結晶構造の場合にペンタセン分子においてより高い電荷移動度が可能であるが、ペンタセンではかかる理想的な充填構造を生じさせるのは不可能であることが示された。
有機半導体材料における電荷輸送に対する分子充填の制御は、新規な材料を開発するのに検討中の1つの因子である。今までのところ、バルク結晶構造および膜堆積温度の効果は、おそらく、薄膜の形態(morphologies)、ひいては有機薄膜トランジスタの性能を制御するための最も有効な方法であろう。
有機薄膜トランジスタにおける有機半導体材料の性能の向上並びにそれらの製造および使用のための技術の改善が当該技術分野で必要とされている。
当該技術分野では、最小限に拘束されたシクロヘキサン構造は、以下に示すようないす型配座をとる。このいす形配座では、環水素または置換基はアキシアルまたはエクアトリアル配向のいずれかで配置する。図中の左側にある環は、アキシアル配向にあるA基が、シクロヘキシル環の一般面(general plane)に対してほぼ垂直であることを示しており、B基は、環の一般面に対してよりほぼ共平面(co-planar)のエクアトリアル配向で示されているなることを示している。図示した場合において、環は、よく理解されているプロセスで相互変換することができ、これら2つの形態は以下のように表される平衡混合物を形成する。
Figure 0005336385
2つのいす形形態のこの混合物は、置換基の化学的性質に基づいて他方の配座よりも一方の配座をとりやすい。仮に、AとBが同じである場合に、混合物は各配座成分を50%含むであろう。しかし、AとBが十分に異なる場合には、その混合物は1つの配座異性体として見なすことができる。例えば、シクロヘキサン環がたった1個の置換基を有する場合には、ほぼ全ての知られている場合において、置換基はエクアトリアル配向をとりやすい。シクロヘキサン環が2個または3個以上の置換基を有する一般的な場合では、それらの置換基の化学的性質に応じて様々な配座混合物が生じうる。より具体的な1,4-二置換シクロヘキサンの場合には、置換基は、環の同じ側、シス配座、またはシクロヘキサン環の両側、トランス配座のいずれかで立体化学的に配置する。この後者(トランス配座)の場合、上記の考察により、2個のトランス置換基は、アキシアル−アキシアルまたはエクアトリアル−エクアトリアル配座をとることができ、かかるケースのほぼ全ての知られている場合において後者の配座が支配的である。前者の場合(シス配座)では、上記の考察により、2個のシス置換基は、アキシアル−エクアトリアル配座のみをとることができるが、異なる置換基のうちの1つはアキシアルまたはエクアトリアル位置にあることができる。より具体的には、例えばナフタレンテトラカルボン酸ジイミド環系におけるような大きな環系に対してC-4位置にある置換基では、このより大きな環系がエクアトリアルであり、C-4置換基がアキシアルにある配座が支配的になる傾向がある。
置換シクロヘキサン誘導体の立体配置(configuration)および立体配座(conformation)は、様々な分光法によって分析でき、例えばL. M. JackmanによるApplications of Nuclear Magnetic Resonance Spectroscopy in Organic Chemistry, 第2版, Pegamon Press (1969), 第238頁を参照されたい。実際には、非常に純粋なcisまたはtrans-1,4-置換シクロヘキサンの調製は問題があり、しばしば、ある程度はシス置換化合物とトランス置換化合物の混合物が調製される。本件において、70モル%超、好ましくは80モル%超、より好ましくは90モル%超がトランス体である混合物は実質的に純粋なトランス体であると見なされる。同様に、シス配置の場合、「実質的に純粋」という語句は、核磁気共鳴分光法(NMR)により求めた場合に同じモル百分率を意味する。
米国特許出願第11/285,238号明細書 米国特許出願公開第2005/0176970号明細書 米国特許第6,387,727号明細書 米国特許出願公開第2005/156163号明細書 米国特許第5,468,583号明細書 欧州特許出願公開第0031065号明細書
Yang D, et al., "Mobility study of a new naphthalenetetracarboxylic diimide derivative," Journal of Vacuum Science and Technology: Part B, AVS/AIP, MELVILLE, NEW YORK, NY, US.
立体配置的に混合している1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドと比較して、立体配置的に制御されたN,N'-二置換-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドが、1つまたは両方のイミド窒素上に4-置換シクロヘキシル基を有する場合に、薄膜トランジスタ・デバイスにおいて優れたn型半導体特性を示すことが見出された。当該シクロヘキシル環上の4-置換基は、主に、トランス配置のシクロヘキシル環においてエクアトリアル配向をとり、シス配置のシクロヘキシル環においてでアキシアル配向をとる。
従って、本発明は、N,N'-ジシクロアルキル置換ナフタレン-1,4,5,8-ビス(ジカルボキシイミド)化合物を含む、有機薄膜トランジスタ用のnチャネル半導体膜に関する。ここで、N,N'-ジシクロアルキル置換ナフタレン-1,4,5,8-ビス(ジカルボキシイミド)化合物において、2個のイミド窒素のそれぞれに独立に直接結合(または2個のイミド窒素上にそれぞれ独立に置換)された脂肪族炭素環式環系(すなわち、環内に4〜10個の炭素を有する脂環式基、例えば環内に6個の炭素原子を有するシクロヘキシル環)が存在する。ただし、これらの脂環式環のうちの1つ(第1の脂環式環(primary alicyclic ring)と呼ぶ)は、イミド窒素への結合に対して必ず4-位で置換されたシクロヘキシル環(4-置換基はイミド結合に対する唯一の置換基である)であり、かかる4-置換基はイミド窒素置換基に対して実質的にトランス位または実質的にシス位のいずれかをとるが、両方はとらない。第1のシクロアルキル環以外の、2個の脂環式環のうちの他方は、第2の脂環式環(secondary alicyclic ring)と呼び、独立に置換されていても置換されていなくてもよい。1つまたは任意選択的に両方の脂肪族炭素環式環上の置換としては、当該材料の所望の半導体特性に悪影響を及ぼさない様々な基が挙げられる。所望の効果が達成される限り、所望の特性のある程度のトレードオフまたは特性のわずかな変化は許容可能であろうから、ここで、「悪影響」とは、著しいまたは過度の悪影響をもたらすことを意味する。かかる化合物から製造された半導体膜は、膜の形態で、最大2.0cm2/Vsまたはそれより高い有効電界効果電子移動度を示すことができる。かかる半導体膜は、105以上の範囲のデバイス・オン/オフ比を提供することもできる。
本発明の1つの側面は、nチャネル半導体膜に接続された互いに離間された第1および第2のコンタクト手段をそれぞれが含む有機薄膜トランジスタにおいて、かかるnチャネル半導体膜を使用することに関する。第1および第2のコンタクト手段から所定の間隔を置いて第3のコンタクト手段を配置することができ、前記膜を通して流れる第1のコンタクト手段と第2のコンタクト手段との間の電流を、第3のコンタクト手段に印加される電圧によって制御するように第3のコンタクト手段を構成することができる。第1、第2および第3のコンタクト手段は、電界効果トランジスタにおけるドレイン、ソースおよびゲート電極に対応することができる。
本発明の別の側面は、薄膜トランジスタの製造方法であって、好ましくは、nチャネル半導体膜を基体上に昇華または溶液相堆積によって堆積させることにより行われ、堆積中の基体温度が100℃以下の温度である、薄膜トランジスタの製造方法に関する。
本発明の一実施態様において、薄膜トランジスタの有機半導体材料の薄膜は、各イミド窒素原子に独立に結合された置換または非置換脂肪族炭素環式(脂環式)環系を有する立体配置的に制御されたN,N'-ジシクロアルキル置換ナフタレン-1,4,5,8-ビス-カルボキシイミド化合物を含む。ただし、これらの脂環式環のうちの1つは、必ず、イミド結合以外の、唯一の置換基である4-置換シクロヘキシル環であり、かかる置換基はイミド窒素置換基に対してそれぞれ実質的にトランス位または実質的にシス位のいずれか(一方のみ)をとる。
都合よいことに、本発明のトランジスタ・デバイスにおいて使用されるn−チャネル半導体膜は、高い移動度を得るために従来技術のあるデバイスにおいて必要とされる、フィルムに接続される第1および第2コンタクト手段の前処理を必ずしも必要とせず、この処理は任意選択的である。さらに、本発明において使用される化合物は、有機薄膜トランジスタにおける基体にnチャネル半導体膜を適用することに蒸気相堆積(望ましい場合)が利用可能であるように、高い揮発性を有する。
本明細書中で、単数形で使用されたものは、「1つまたは2つ以上」の要素の言い換えを意味する「少なくとも1つ」と置き換え可能に使用されている。
有機薄膜トランジスタ中の層に関連して本明細書中で使用された「上」、「上方」および「下方」などの用語は、有機薄膜層がゲート電極の上方に位置するような層の順序を意味するが、層が直に隣接すること、または中間の層がないことを必ずしも示すものではない。
本発明の上記および他の目的、特徴および利点は、下記説明および図面と関連させればより明らかになるであろう。図面において、図面に共通の同一または同様の構成要件を表すために、可能な場合には同一の符号を使用している。
図1は、ボトム・コンタクト形態を有する典型的な有機薄膜トランジスタを示す断面図である。 図2は、トップ・コンタクト形態を有する典型的な有機薄膜トランジスタを示す断面図である。
典型的な有機薄膜トランジスタの断面図が図1および図2に示されており、ここで、図1は典型的なボトム・コンタクト形態を示し、図2は典型的なトップ・コンタクト形態を示す。
図1および図2の実施態様における各薄膜トランジスタ(TFT)は、ソース電極20、ドレイン電極30、ゲート電極44、ゲート誘電体56、基体28、および本発明において使用される半導体70を含み、本発明において使用される半導体70はソース電極20をドレイン電極30に接続する膜の形態にあり、この半導体は、本明細書中に記載の立体配置的に制御されたN,N'-ジシクロアルキル置換ナフタレン-1,4,5,8-ビス(ジカルボキシイミド)化合物の部類から選択された化合物を含む。
TFTが蓄積モード内で動作しているときには、ソース電極から半導体へ注入された電荷は移動可能であり、主に、100オングストロームの半導体−誘電体界面内の薄いチャネル領域内で、電流はソースからドレインに流れる。A. Dodabalapur, L. Torsi, H. E. Katz, Science 1995, 268, 270を参照されたい。図1の形態の場合、チャネルを形成するためには、電荷をソース電極20から横方向に注入するだけでよい。ゲート電界がない場合には、チャネルは理想的には電荷キャリヤをほとんど持たず、その結果として、理想的にはソース−ドレイン伝導がない。
オフ電流は、ゲート電圧を印加することにより電荷が意図的にチャネル内に注入されていない場合に、ソース電極20とドレイン電極30との間に流れる電流と定義される。蓄積モードのTFTの場合、これは、nチャネルを想定すると、ゲート−ソース電圧が閾値電圧として知られる特定電圧よりも負である場合に生じる。Sze, Semiconductor Devices-Physics and Technology, John Wiely & Sons (1981), 第438-443頁を参照されたい。オン電流は、ゲート電極44に適切な電圧を印加することにより電荷キャリヤがチャネル内に意図的に蓄積され、チャネルが導電性である場合に、ソース電極20とドレイン電極30との間に流れる電流と定義される。nチャネル蓄積モードのTFTの場合、これは閾値電圧よりも正側のゲート−ソース電圧で発生する。この閾値電圧はnチャネル動作の場合、ゼロまたはわずかに正であることが望ましい。オンとオフとの切換えは、ゲート電極44からゲート誘電体56を横切って半導体−誘電体界面に電界を印加および除去してキャパシタを効果的に充電することによって達成される。
本発明によれば、本発明において使用される有機半導体材料は、これがnチャネル膜の形態で使用される場合、任意選択的な特別な化学下層(chemical underlayers)を必要とせずに、不活性条件下で高い性能を示すことができる。
本明細書中に記載の立体配置的に制御されたN,N'-ジシクロアルキル置換型ナフタレン-1,4,5,8-ビス(ジカルボキシイミド)化合物(またはN,N'-ジシクロアルキル-1,4,5,8-ナフタレン系テトラカルボン酸ジイミド化合物)を含む本発明の改善されたnチャネル半導体膜は、0.01cm2/Vsを超える、好ましくは0.1cm2/Vsを超える電界効果電子移動度を示すことができる。より好ましくは、本発明の化合物を含む膜は、1.0cm2/Vsを超える電界効果電子移動度を示す。
さらに、本発明において使用されるnチャネル半導体膜は、少なくとも104 、都合よくは少なくとも105 のオン/オフ比を提供することができる。オン/オフ比は、ゲート電圧を0ボルトから80ボルトまで掃引し、ドレイン−ソース電圧を80ボルトの一定値に保ち、二酸化ケイ素ゲート誘電体を用いた場合のドレイン電流の最大値/最小値として測定される。
さらに、これらの特性は、膜堆積前にn型半導体材料を空気に繰り返し曝露した後、並びに堆積後にトランジスタ・デバイスおよび/またはチャネル層を空気に曝露した後で得られる。
理論に束縛されるわけではないが、本発明のナフタレン系テトラカルボン酸ジイミド化合物の望ましい特性に関与していると考えられるいくつかの因子がある。この材料の固体状態構造は、ナフタレン環系および/またはイミドカルボキシル基を含有する共役ナフタレン核系の軌道が、隣接分子と相互作用することができ、その結果、高移動度をもたらすように充填された個々の分子を有する。この相互作用の方向は、活性層としてこの材料を使用するデバイスにおいて、所望の電流の方向に対して平行な成分を有する。この材料によって形成される膜の形態は実質的に連続的であるため、許容できないほどの妨害なしに当該材料を通して電流が流れる。本発明において使用される分子において制御される置換基の立体化学は、これらの分子が有効結晶モチーフで充填する固有の能力を妨げない。
この化合物の最低空分子軌道は、妥当な仕事関数を有する金属から有用な電圧で電子を注入するのを可能にするエネルギーに位置する。この共役構造は、一般的に、真空エネルギー準位を基準として3.5eV〜4.6eVの望ましい最低空分子軌道(LUMO)エネルギー準位を有する。当該技術分野で知られているように、LUMOエネルギー準位と還元電位は、ある物質についての同じ特性をおおよそ表す。LUMOエネルギー準位値は、真空エネルギー準位を基準として測定され、そして還元電位値は、溶液対標準電極で測定される。デバイス用途の利点は、半導体の伝導帯である結晶性固体中のLUMO、および固体の電子親和力の両方が、真空準位を基準として測定されるという点である。後者のパラメータは通常、溶液から得られる前者のパラメータとは異なる。
上述のように、本発明は、各イミド窒素原子に直接結合した置換または非置換シクロアルキル環を有するN,N'-ジシクロアルキル置換ナフタレン-1,4,5,8-ビス(ジカルボキシイミド)化合物を含む有機半導体材料を含む薄膜トランジスタを含んで成る物品に関する。2つの脂環式系は互いに異なっていてもよく、第2の脂環式系は、独立に異なる置換基を有するか、さらなる置換基を有するか、または置換基を有しない。各脂環式系は独立して、異なる置換基を有するか、または置換基を有しないことが可能である。しかしながら、各脂環式環系は同じであることが好ましいものの、各環系上の置換基は相異なっていてもよい。本発明の一実施態様において、好ましい部類のN,N'-ジシクロアルキル置換ナフタレン系テトラカルボン酸ジイミド化合物は下記一般構造I(a)により表される化合物と下記一般構造I(b)により表される化合物である
Figure 0005336385
Figure 0005336385
上記構造において、シクロヘキシル環に結合している太い(三角形)の実線の結合は、見る人の方に延びる結合を表し、点線の結合は、見る人から遠ざかる方に延びる結合を表すため、構造I(b)における2本の太い実線はシス配座を表し、構造I(a)における1本の太い実線はトランス配座を表す。構造I(上記I(a)および(b)の両方)において、R4 は任意の好適な無機または有機置換基であり;A1 は環内に4〜10個の炭素を含む置換または非置換脂環式環系である。好ましくは、脂環式環系は、橋かけ構造を有しない単環系または橋かけ構造を有する二環系である。脂環式環系の例としては、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチル、並びに、橋かけ構造を有する脂環式炭化水素系、例えばビシクロ[4.4.0]デカンが挙げられる。好ましくは、A1 は置換または非置換シクロヘキシル環であり、2または3個以上の置換基がシス、トランス、シス−トランス混合物であることができ(A1が第2の置換基を有しない場合には、シスおよびトランス異性体の命名法はただちには適用されない)、A1 環系への通常の線の結合は、実質的にトランス配座、実質的にシス配座、分子間のこれら2種のその他の混合物、同種分子の混合物(2個以上の置換基がある場合)、A1 環上にシス−トランス配座が全くない場合(水素を除く置換基が1個未満である場合)が挙げられることが理解されるであろう。A1上の2個の置換基は縮合アリールまたはシクロアルキル環を形成することができ、これらの環は置換されていても置換されていなくてもよい。
構造Iにおいて、第1および第2のジカルボン酸イミド部分は、ナフタレン核の1,4位置および5,8位置で、ナフタレン核の両側に結合している。ナフタレン核は、最大4個の独立に選ばれたY基で任意選択的に置換されていてもよく、mは0〜4の任意の整数である。好ましくは、Y基は、かかる化合物から製造される膜のn型半導体特性に悪影響を及ぼさない好適な基から独立に選ばれる。
特に有用な一実施態様において、本発明において有用な好ましい部類のN,N'-シクロアルキルナフタレン系テトラカルボン酸ジイミド化合物は構造II(a)により表される化合物と構造II(b)により表される化合物である
Figure 0005336385
ここで、R4 (第1のシクロヘキシル環上)は、先に定義した任意の好適な置換基であり、R8 (第2のシクロヘキシル環系上)は、独立にHまたは任意の置換基である。この具体的な実施態様において、4-置換シクロヘキシル環以外の構造II(a)および(b)におけるシクロヘキシル環は、置換されていないか、あるいは、4-置換シクロヘキシル環のように、イミン窒素における結合以外の唯一の置換基を有する。すなわち、当該化合物中の第1および第2のシクロヘキシル環系は、イミン窒素における結合以外の1個の置換基を含む。従って、両方の脂環式環は構造IIでは立体配置的に制御されている。
本発明において有用な具体的化合物の例としては、N,N'-(trans-4-メチル-シクロヘキシル,シクロヘキシル)-ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸ジイミド、N,N'-(trans-4-メチル-シクロヘキシル,シクロヘキシル)-ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸ジイミド、またはN,N'-(cis-4-メチル-シクロヘキシル,シクロヘキシル)-ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸ジイミドが挙げられる。
構造IおよびIIにおいて、Y基は任意の好適な基から独立に選ばれる。ナフタレン核上のY置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル、アルコキシ基、アリール基、アリールアルキル基、ハロゲン、例えばフッ素もしくは塩素、シアノ、フッ素含有基、例えばCF3 、カルボニル含有またはカルボキシ含有基、またはかかる化合物から製造される膜のn型半導体特性に影響を及ぼさない任意の他の基が挙げられる。Y基は、下記のR基のうちの任意のものから選択することもできる。導体ないしは半導体特性である分子の積層配置(stacked arrangement)で当該化合物の共役核の接近を妨げる傾向のある置換基を避けることが都合よい。避けるべきかかる置換基としては、高度に分岐した基、環構造、および12個よりも多くの原子を有する基が挙げられ、かかる基または環が共役核の接近に対する有意な立体障害をもたらすように配向する場合には特にこれらの基または環が挙げられる。さらに、置換基は、望ましい製造プロセスが妨げられるほど当該化合物の溶解性および/または揮発性を実質的に低下させる置換基はあまり好ましくなく、避けられるべきである。
上記構造I、IIまたはIIIにおいて、第2の脂環式環上の置換基R4 もしくはR8又は任意の任意選択的なさらなる置換基は、例えば、有機基または無機基から選択することができる。好適な基としては、アルキル基、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ基、アリール基、アリールアルキル基、ハロゲン、例えばフッ素もしくは塩素、シアノ、フッ素含有基、例えばCF3 、カルボニル含有またはカルボキシ含有基、またはかかる化合物から製造された膜のn型半導体特性に影響を及ぼさない任意の他の基が挙げられるが、これらに限定されない。Y基は、下記のR基のうちの任意のものから選択することもできる。好ましい有機基としては、例えば、C1〜C8有機置換基、より好ましくはC1〜C4有機置換基、最も好ましくはアルキル置換基が挙げられる。有機基のより具体的な例としては、例えば、CH3 、線状もしくは分岐C2〜C8アルキル、C1〜C8アルキレン(一価不飽和脂肪族炭化水素)、置換もしくは非置換のフェニルもしくはヘキシル、またはC1〜C8アルコキシ、C1〜C8カルボニルおよびカルボキシ置換基が挙げられる。好ましい無機基としては、例えばニトロ、フッ素、シアノ、アミノおよびスルホが挙げられる。それ自体がN,N'-シクロアルキル置換ナフタレン-1,4,5,8-ビス-カルボキシイミド部分であるR8 基(R8 基中のイミド窒素基のうちの1つがシクロヘキシル基への直接または間接的に結合する位置である)、例えば2個のN,N'-シクロアルキル置換ナフタレン-1,4,5,8-ビス-カルボキシイミド部分により二置換された中心部分(例えば、下記の化合物I−13またはI−16におけるように第2のシクロヘキシル環を含む)に基づくビス化合物も考えられる。
特に断りのない限り、「置換」または「置換基」という用語の使用は、任意の基または水素以外の原子を意味する。さらに、「基」という用語が使用される場合には、これは置換基が置換され得る水素を含有する場合に、非置換形態の置換基だけでなく、置換基が半導体有用性に必要な特性を破壊しない限り、任意の他の上記の(同じ位置に関して言及した)置換基(最大限可能な数まで)でさらに置換され得る範囲のその形態をも含むことも意図される。必要に応じて、置換基はそれ自体、許容可能な置換基で1回または2回以上さらに置換されていてもよい。例えば、R4 もしくはR8 または他のR基(第2の脂環式環中の任意選択的に存在していてもよいさらなる置換基、第2の脂環式環がシクロヘキシル環である場合には4つのさらなるR基)の場合またはY基の場合に、アルキル基はアルコキシ基または1もしくは2個以上のフッ素原子で置換されていてもよい。分子が2または3個以上の置換基を有することができる場合には、特に断らない限り、これらの置換基は結合して脂肪族環または不飽和環を形成することができる。
R基またはY基に関して、上記アルキル基のうちのいずれかの例は、特に断らない限り、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2-エチルヘキシルおよび同族体である。アルキル基は、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基は、分岐状または線状基を包含する。アルケニル基は、ビニル、1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニルおよび同族体であることができる。
Y基に関して、アリール基は、フェニル、ナフチル、スチリルおよび同族体であることができる。アリールアルキル基はベンジル、フェネチルおよび同族体であることができる。前述のもののうちのいずれかの基上の有用な置換基としては、アルコキシ等が挙げられる。
有用なN,N'-ビシクロアルキル置換ナフタレン-1,4,5,8-ビス(ジカルボキシイミド)誘導体の具体例は下記の式により表されるが、これらに限定されない。
Figure 0005336385
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Figure 0005336385
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本発明において使用される立体配置的に制御されたN,N'-ジシクロアルキル置換ナフタレン-1,4,5,8-ビス(ジカルボキシイミド)化合物は、例えば、商業的に入手可能な1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸無水物と立体配置的に制御された(cisまたはtrans)4-置換シクロヘキシルアミンとを好適な溶媒中で高温で十分な時間反応させることによって都合よく調製できる。それによって、当業者は、分離および精製を伴う慣用的な方法を使用して所望の生成物を得ることができる。得られる材料について、標準的なクロマトグラフィーまたは分光による決定法によって、均質であることを確認し、望ましい構造配座により特徴づけることができる。
同様に、異なる脂環式環を有する化合物は、既知の1,8-N-シクロヘキシルカルボキシイミド-4,5-ナフタレンジカルボン酸無水物と立体配置的に制御された4-置換シクロヘキシルイミンとの混合物を溶媒中で反応させることにより調製できる。得られるスラリーを、適切に濾過し、洗浄し、乾燥させ、次に再結晶化させ、その当てはまる構造に整合する固形状物質として、所望の生成物を得ることができる。
下記の実施例に記載の特定の調製法は、参考のために、また、類推により、本発明において使用される様々な化合物の一般的調製法として含まれるものである。しかしながら、本発明において使用される化合物は、当該技術分野で確立された方法などの他の方法または本発明のわずかに変更を加えたものによって調製できるため、これらの方法は限定を意図するものではない。
本発明の別の側面は、半導体構成要素およびかかる構成要素を含む電子デバイスの製造方法に関する。一実施態様において、基体を用意し、そして上記半導体材料層を基体に適用することができ、この層によって電気コンタクトが形成される。正確なプロセス順序は、所望の半導体構成要素の構造によって決定される。従って、有機電界効果トランジスタの製造に際して、例えばゲート電極を可撓性基体、例えば有機ポリマー・フィルム上に先ず堆積させ、次に、ゲート電極を誘電体で絶縁することができ、次にソース電極およびドレイン電極と、nチャネル半導体材料層とを上側に適用することができる。かかるトランジスタの構造、ひいてはその製造順序は、当業者に知られた習慣的な形式で変化させることができる。従って、この代わりに、ゲート電極を先ず堆積させ、続いてゲート誘電体を堆積させ、次に有機半導体を適用することができ、そして最後にソース電極およびドレイン電極のためのコンタクトを半導体層上に堆積させることもできる。第3の構造では、先ずソース電極およびドレイン電極を堆積させ、次に有機半導体を堆積させ、そして上側に誘電体およびゲート電極を堆積させることもできる。
当業者に明らかなように、他の構造を構成し、および/または、薄膜トランジスタの上記構成要素間に、中間表面改質層を挿入することができる。たいていの実施態様において、電界効果トランジスタは絶縁層、ゲート電極、本明細書中に記載された有機材料を含む半導体層、ソース電極およびドレイン電極を含み、ゲート電極と有機半導体層との両方が絶縁層と接触し、そしてソース電極とドレイン電極との両方が半導体層と接触している限り、絶縁層、ゲート電極、半導体層、ソース電極およびドレイン電極が任意の順序で配置されている
製造中、試験中および/または使用中にOTFTを支持するために支持体を使用することができる。当業者に明らかなように、商業的な実施態様のために選択される支持体は、種々の実施態様を試験またはスクリーニングするために選択される支持体とは異なっていてよい。実施態様によっては、支持体は、TFTのためのいかなる所要の電気機能も提供しない。このタイプの支持体は、本明細書において「非関与支持体(non-participating support)」と呼ぶ。有用な材料としては、有機または無機材料が挙げられる。例えば、支持体としては、無機ガラス、セラミック箔、高分子材料、充填剤含有高分子材料、被覆金属箔、アクリル系材料、エポキシ系材料、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリケトン、ポリ(オキシ-1,4-フェニレンオキシ-1,4-フェニレンカルボニル-1,4-フェニレン)(ポリ(エーテルエーテルケトン)またはPEEKと呼ばれることがある)、ポリノルボルネン、ポリフェニレンオキシド、ポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート)(PEN)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(フェニレンスルフィド)(PPS)、および繊維強化プラスチック(FRP)が挙げられる。
本発明の実施態様によっては、可撓性の支持体が使用される。これは、連続的であることができるロール処理を可能にし、平らなおよび/または剛性の支持体を凌ぐ、規模の経済性および製造の経済性を提供する。選択された可撓性支持体は、好ましくは、直径約50cm未満、より好ましくは25cm未満、最も好ましくは10cm未満の円筒状物の周囲に、素手のような弱い力で歪みまたは破断を生じさせずに巻き付けることができる。好ましい可撓性支持体は巻き上げることができる。
本発明の実施態様によっては、支持体は任意選択的である。例えば、図2のトップ形態において、ゲート電極および/またはゲート誘電体が、得られるTFTの意図された用途に十分な支持力を提供するときには、支持体は必要とされない。さらに、支持体は一時的な支持体と組み合わせることができる。かかる実施態様において、一時的な目的、例えば製造、搬送、試験および/または貯蔵のために一時的な支持体が望まれる場合、支持体に一時的な支持体を取り外し可能に付着させるか、または機械的に固定することができる。例えば、可撓性高分子支持体は剛性ガラス支持体に付着させることができ、剛性ガラス支持体は取り除くことができる。
ゲート電極は任意の有用な導電性材料であることができる。金属、退縮ドープ型半導体、導電性ポリマー、および印刷可能な材料、例えばカーボンインクまたは銀−エポキシなどの、当該技術分野で知られた種々のゲート材料も好適である。例えば、ゲート電極は、ドープトシリコン、または金属、例えばアルミニウム、クロム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金、タンタルおよびチタンを含んでよい。導電性ポリマー、例えばポリアニリン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)を使用することもできる。さらに、これらの材料から成る合金、組み合わせ、および多層が有用なことがある。
本発明の実施態様によっては、同じ材料がゲート電極機能を提供し、そして支持体の支持機能も提供する。例えば、ドープトシリコンは、ゲート電極として機能し、そしてOTFTを支持することができる。
ゲート誘電体は、ゲート電極上に提供される。このゲート誘電体は、OTFTデバイスの残りからゲート電極を電気的に絶縁する。従って、ゲート誘電体は、電気絶縁材料を含む。ゲート誘電体は、具体的なデバイスおよび使用環境に応じて幅広く変化することができる好適な誘電定数を有するべきである。例えば、約2〜100またはそれ以上の誘電定数が、ゲート誘電体に関して知られている。ゲート誘電体に有用な材料は、例えば無機電気絶縁材料を含む得る。ゲート誘電体は、高分子材料、例えばポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、シアノセルロース、ポリイミドなどを含むことができる。ゲート誘電体は、異なる誘電定数を有する種々異なる材料から成る複数の層を含むことができる。
ゲート誘電体に有用な材料の具体例としては、ストロンチウム酸塩、タンタル酸塩、チタン酸塩、ジルコニウム酸塩、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化タンタル、酸化チタン、窒化ケイ素、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコン酸チタン酸バリウム、セレン化亜鉛および硫化亜鉛が挙げられる。さらに、これらの例から成る合金、組み合わせ、および多層をゲート誘電体のために使用することもできる。これらの材料のうち、酸化アルミニウム、酸化ケイ素およびセレン化亜鉛が好ましい。さらに、高分子材料、例えばポリイミド、および高い誘電定数を示す絶縁体も好ましい。かかる絶縁体は、米国特許第5,981,970号明細書に論じられている。
ゲート誘電体はOTFT中に別個の層として提供するか、または例えばゲート誘電体を形成するためにゲート材料を酸化させることにより、ゲート上に形成することができる。誘電体層は、異なる誘電定数を有する2つまたは3つ以上の層を含むことができる。
ソース電極およびドレイン電極は、ゲート誘電体によってゲート電極から分離されるのに対して、有機半導体層は、ソース電極およびドレイン電極の上方または下方に位置することができる。ソース電極およびドレイン電極は、任意の有用な導電性材料であることが可能である。有用な材料としては、ゲート電極に関して上述した材料のうちのほとんど、例えばアルミニウム、バリウム、カルシウム、クロム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金、チタン、ポリアニリン、PEDOT:PSS、他の導電性ポリマー、これらの合金、これらの組み合わせ、およびこれらの多層が挙げられる。
薄膜電極(例えばゲート電極、ソース電極およびドレイン電極)は、任意の有用な手段、例えば物理的蒸着(例えば熱蒸発、スパッタリング)またはインクジェット印刷によって提供することができる。これらの電極のパターン化は、周知の方法、例えばシャドー・マスク、加法的フォトリソグラフィ、減法的フォトリソグラフィ、印刷、マイクロコンタクト印刷およびパターンコーティングによって達成することができる。
有機半導体層は、薄膜トランジスタ物品に関して上述したように、ソース電極およびドレイン電極の上方または下方に設けることができる。本発明はまた、本明細書中に記載された方法によって形成された複数のOTFTを含む集積回路を提供する。上記N,N'-シクロアルキルナフタレン-1,4,5,8-ビス(ジカルボキシイミド)化合物を使用して形成されたnチャネル半導体材料は、任意の好適な基体上に形成することができ、基体は、支持体および任意の中間層、例えば当業者に知られたものを含む誘電体または絶縁体材料を含むことができる。
本発明の薄膜トランジスタまたは集積回路を形成するプロセス全体を、支持体の最高温度約450℃未満、好ましくは約250℃未満、より具体的には約150℃未満、およびさらにより好ましくは約100℃未満、または室温付近の温度(約25℃〜70℃)でも、実施することができる。本明細書に含まれる本発明に関する知識を得れば、温度は一般に、支持体、および当該技術分野で知られた処理パラメータに応じて選択される。これらの温度は、従来の集積回路および半導体の処理温度を十分に下回る。このことは、種々の比較的低廉な支持体、例えば可撓性高分子支持体のいずれかを使用することを可能にする。こうして、本発明は、著しく改善された性能を有する有機薄膜トランジスタを含む比較的低廉な集積回路の製造を可能にする。
本発明において使用される化合物は、容易に処理でき、例えばこれらを蒸発させることができる程度に熱安定である。当該化合物は大きな揮発度を有しているので、所望の場合には、気相堆積は容易に達成される。かかる化合物は、真空昇華によって基体上に堆積させることができる。
急速昇華法による堆積も可能である。かかる方法の1つは、基体と、化合物を粉末形態で保持する供給源容器とを含むチャンバに、35mtorrの真空をかけ、そして化合物が基体上に昇華するまで数分間にわたって容器を加熱することである。一般的に、最も有用な化合物は秩序化した膜を形成し、アモルファス膜はあまり有用でない。
本発明において使用されるnチャネル半導体膜が有用であるようなデバイスとしては、特に薄膜トランジスタ(TFT)、特に有機電界効果薄膜トランジスタが挙げられる。また、米国特許出願公開第2004/0021204号明細書(Liu)の第13〜15頁に記載されているような、有機p−n接合を有する種々のタイプのデバイス中にかかる膜を使用することもできる。
TFTおよびその他のデバイスが有用であるような電子デバイスは、例えば、より複雑な回路、例えばシフト・レジスタ、集積回路、論理回路、スマートカード、メモリー・デバイス、ラジオ周波数識別タグ、アクティブ・マトリックス・ディスプレイのためのバックプレーン、アクティブ・マトリックス・ディスプレイ(例えば液晶またはOLED)、太陽電池、リング・オシレータ、および、例えば入手可能なp型有機半導体材料、例えばペンタセンを使用して形成された他のトランジスタとの組み合わせで相補回路、例えばインバータ回路が挙げられる。アクティブ・マトリックス・ディスプレイの場合、ディスプレイの画素の電圧保持回路の一部として、本発明によるトランジスタを使用することができる。本発明のTFTを含有するデバイスの場合、かかるTFTは、当該技術分野で知られた手段によって動作可能に接続される。
本発明はさらに、上記電子デバイスのいずれかの製造方法を提供する。このように本発明は、上記TFTのうちの1つまたは2つ以上を含む物品において具体化される。
例示を意図する以下の例により本発明の利点を示す。
A.材料の合成
ビス-N,N'-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-1,4,5,8-ナフトジイミド(化合物I−1)の調製
Figure 0005336385
12mLのN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)中の1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸無水物(1.34g,5.00mmol;CAS 81-30-1;Aldrich Chemical Co.)およびtrans-4-メチルシクロヘキシルアミン(4mL,約30mmol;CAS 2523-55-9)(この化合物は商業的に入手可能であるかまたはCAS番号の調製法に基づいて調製できる)を140〜150℃で4時間加熱した。混合物を冷却し、次に数倍の体積のメタノールで希釈した。得られたスラリーを濾過し、集めた固形物をメタノールで洗浄し、空気乾燥させた。粗生成物を100mLのDMAcから再結晶化させて淡緑色平板状体(1.86g,81%)として所望の生成物を得た。この材料は、クロマトグラフィー的には実質的に均一であると判明し、その当てはまる構造に整合する分光特性を示した。
比較として、比較用の化合物、すなわち下記の化合物C−1を、アミンが商業的に入手可能な通常のシス−トランス混合物であったことを除いて同様に調製した。
Figure 0005336385
右側のシクロヘキシル環上の曲がりくねった線はシス−トランス混合物を表すことを注記しておく。この場合、太い結合線は点線と区別できないため、太い結合線は立体配座を決めない。
N-シクロヘキシル-N'-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-1,4,5,8-ナフトジイミド(化合物I−2)の調製
Figure 0005336385
6mLのDMAc中の1,8-N-シクロヘキシルカルボキシイミド-4,5-ナフタレンジカルボン酸無水物(1.75g,5.00mmol;CAS 273377-29-0)およびtrans-4-メチルシクロヘキシルアミン(2mL,約15mmol;CAS 2523-55-9)を135〜140℃で1時間加熱した。混合物を冷却し、次に数倍の体積のメタノールで希釈した。得られたスラリーを濾過し、集めた固形物をメタノールで洗浄し、空気乾燥させた。粗生成物を270mLの1-ペンタノールから再結晶化させてクリーム色の固形物(1.83g,82%)として所望の生成物を得た。この材料は、クロマトグラフィー的には実質的に均一であると判明し、その当てはまる構造に整合する分光特性を示した。
比較として、比較用の化合物、すなわち下記の化合物C−2を、アミンが商業的に入手可能な通常のシス−トランス混合物であったことを除いて同様に調製した。
Figure 0005336385
最初に調製された材料を次にデバイス作製のために10-5〜10-6torrトレイン昇華により精製した。
B.デバイスの作製
本発明の種々の材料の電気特性を試験するために、トップ・コンタクト・ジオメトリーを使用して、電界効果トランジスタを典型的な形式で形成した。使用した基体は、トランジスタのゲートとしても役立つ、高度にドープしたシリコン・ウェハーである。ゲート誘電体は、厚さ185nmの熱成長させたSiO2 層である。ゲート誘電体の表面を処理することにより電気特性を改善できることは、p型およびn型トランジスタの両方に関してすでに示されている。本明細書中に記載の試験のほとんどの場合、酸化物表面は、薄い(<10nm)スピン塗布ポリマー層、またはオクタデシルトリクロロシラン(OTS)の自己組織化単分子層(SAM)で処理した。典型的には、未処理酸化物試料を比較のための試験に含めた。
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドの活性層を、熱蒸発器内で真空蒸着によって堆積させた。堆積速度は1秒当たり0.1オングストロームであり、基体温度は大抵の試験に関しては90℃に保持した。活性層の厚さはいくつかの試験において様々であったが、典型的には17〜25nmであった。厚さ50nmの金コンタクトを、シャドー・マスクを通して堆積させた。チャネル幅を420ミクロンに維持する一方で、チャネル長は50〜175ミクロンで変化させた。他のコンタクト材料の効果を調べるために、いくつかの試験を実施した。いくつかのデバイスを、活性材料の前にコンタクトが堆積されるボトム・コンタクト・ジオメトリーで形成した。
C.デバイス測定および分析
作製したデバイスの電気的特性評価を、Hewlett Packard HP 4145b(登録商標)パラメータ分析器で実施した。空気中のデバイスの安定性を意図的に試験することを除けば、プローブ測定ステーションは、全ての測定に対して正のアルゴン環境内で保持した。白色光に対する感受性を検査する場合を除いて、測定を硫黄光下で実施した。デバイスを試験前に空気に曝露した。
実施した各試験に対して、調製した各試料に関して4〜12個の個々のデバイスを試験し、その結果を平均した。各デバイスに関して、ゲート電圧(Vg )の種々の値に対するソース−ドレイン電圧(Vd )の関数として、ドレイン電流(Id )を測定した。たいていのデバイスの場合、測定されたゲート電圧のそれぞれに対して、Vd を0Vから80Vまで、典型的には0V、20V、40V、60Vおよび80Vで掃引した。これらの測定において、デバイスを通る漏れ電流を検出するために、ゲート電流(Ig )も記録した。さらに、各デバイスに関して、ソース−ドレイン電圧の種々の値に対するゲート電圧の関数として、ドレイン電流を測定した。たいていのデバイスの場合、測定されたゲート電圧のそれぞれに対して、Vg を0Vから80Vまで、典型的には40V、60Vおよび80Vで掃引した。
データから抽出されたパラメータは、電界効果移動度(μ)、閾値電圧(Vth)、閾値下勾配(S)、および測定されたドレイン電流のIon/Ioffの比を含む。電界効果移動度はVd >Vg −Vthの飽和領域において抽出した。この領域内では、ドレイン電流は、下記等式により与えられる(Sze, Semiconductor Devices--Physics and Technology, John Wiely & Sons (1981)参照)。
Figure 0005336385
ここで、WおよびLはそれぞれチャネル幅およびチャネル長であり、Coxは酸化物層のキャパシタンスであり、このキャパシタンスは酸化物厚および材料の誘電定数の関数である。この等式から、飽和電界効果移動度を、√Id 対Vg 曲線の線形部分に対する直線適合部分から抽出した。閾値電圧Vthは、この直線にフィットした部分のx切片である。移動度はVd ≦Vg −Vthの線形領域から抽出することもできる。この場合、ドレイン電流は下記の等式により与えられる(Sze, Semiconductor Devices-Physics and Technology, John Wiely & Sons (1981)参照)。
Figure 0005336385
これらの実験の場合には、線形領域における移動度は抽出しなかった。なぜなら、このパラメータはコンタクトにおける注入の問題点によって著しく多くの影響を受けるからである。一般的に、低Vd におけるId 対Vd の曲線が非線形であることは、デバイスの性能がコンタクトによる電荷の注入によって限られることを示す。所与のデバイスのコンタクトの不完全性とはほとんど無関係な結果を得るために、線形移動度ではなく飽和移動度を、デバイス性能の特性パラメータとして抽出した。
ドレイン電流のlogを、ゲート電圧の関数としてプロットした。logId プロットから抽出されたパラメータとしては、Ion/Ioff比および閾値下勾配(S)がある。Ion/Ioff比は単純に最小ドレイン電流に対する最大ドレイン電流の比であり、Sは、ドレイン電流が増大している(すなわちデバイスがオンになりつつある)領域でのId 曲線の勾配の逆数である。
D.結果
以下の例は、N,N'-二置換-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド中のシクロヘキサン環における置換基の立体配置を制御することによって、著しく改善されたnチャネル半導体膜がもたらされることを示す。
比較例1
この例は、立体配置的に混合している(cisとtransの1:1混合物)N-シクロヘキシル-N'-(4-メチルシクロヘキシル)-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドC−1から製造されたn型TFTデバイスを示す。
厚さ185nmの熱成長させたSiO2 層を有する高度にドープしたシリコン・ウェハーを基体として使用した。ウェハーをピラニア溶液中で10分間洗浄し、続いてUV/オゾンチャンバ内に6分間曝露した。次に、洗浄された表面を、湿度制御環境下でヘプタン溶液から形成されたオクタデシルトリクロロシラン(OTS)の自己組織化単分子層で処理した。処理された表面の品質を保証するために水接触角および層厚を測定した。良好な品質のOTS層を有する表面の水接触角は>90°であり、偏光解析法から測定された厚さは27Å〜35Åであった。
精製された立体配置的に混合しているN-シクロヘキシル-N'-(4-メチルシクロヘキシル)-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドC−1を、2×10-7Torrの圧力および1秒当たり0.1オングストロームの速度の真空昇華により、水晶結晶により測定した場合に17〜20nmの厚さまで堆積させた。堆積中に基体を20℃の室温に保った。試料を空気に短時間曝露した後、続いて、シャドー・マスクを通して50nmの厚さまでAu源およびドレイン電極を堆積させた。形成されたデバイスのチャネル幅は600ミクロンであり、チャネル長は50〜150ミクロンで変化した。複数のOTFTを作製し、そして4〜8個のOTFTの代表的な試料を、各堆積実験に関して試験した。平均した結果を下記表1に示す。
Hewlett Packard 4145B(登録商標)半導体パラメータ分析器を使用してアルゴン雰囲気中で測定する前に、デバイスを空気に曝露した。それぞれのトランジスタについて、電界効果移動度μを(ID1/2対VG プロットの勾配から計算した。平均移動度は、飽和領域において0.4cm2/Vsであった。平均オン/オフ比は1.3×106 であり、平均閾値電圧は41.63Vであった。こうして作製されたデバイスに関して、最大0.5cm2/Vsの飽和移動度が測定された。
実施例2
この例は、本発明に係るN-シクロヘキシル-N'-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(化合物I−2)から製造されたn型TFTデバイスの改善された性能を示す。
活性材料として化合物I−2を含むn型TFTデバイスを上記のように作製した。すなわち、化合物I−2を、2×10-7Torrの圧力および1秒当たり0.1オングストロームの速度の真空昇華により、水晶結晶により測定した場合に20nmの厚さまで堆積させた。堆積中に基体を25℃の室温に保った。試料を空気に短時間曝露した後、続いて、シャドー・マスクを通して50nmの厚さまでAu源およびドレイン電極を堆積させた。形成されたデバイスのチャネル幅は約600ミクロンであり、チャネル長は50〜150ミクロンで変化した。複数の有機薄膜トランジスタ(OTFT)を製造し、そして4〜8個のOTFTの代表試料を、各堆積実験に関して試験した。平均した結果を下記表1に示す。
Hewlett Packard 4145B(登録商標)半導体パラメータ分析器を使用してアルゴン雰囲気中で測定する前に、デバイスを空気に曝露した。それぞれのトランジスタに関して、電界効果移動度μを、(ID1/2対VG プロットの勾配から計算した。平均移動度は、飽和領域において1.1cm2/Vsであった。平均オン/オフ比は1.5×107 であり、平均閾値電圧はVT =51.1Vであった。こうして作製されたデバイスに関して、最大2cm2/Vsの飽和移動度が測定された。
Figure 0005336385
この例は、薄膜トランジスタにおいてn型材料として化合物I−2を使用することの利点を明らかに示している。移動度は、比較例C−1と比較して約2.5倍改善された。これは、デバイスにおいて使用した有機半導体化合物I−2中のメチル置換シクロヘキサン環に対する立体配置制御のデバイス性能に及ぼす有利な効果を示している。
実施例3
この例は、本発明に係るN-シクロヘキシル-N'-(cis-4-メチルシクロヘキシル)-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(化合物I−18)から製造されたn型TFTデバイスの改善された性能を示す。
活性材料として化合物I−18を含むn型TFTデバイスを上記のように作製した。すなわち、化合物I−18を、2×10-7Torrの圧力および1秒当たり0.1オングストロームの速度の真空昇華により、水晶結晶により測定した場合に20nmの厚さまで堆積させた。堆積中に基体を25℃の室温に保った。試料を空気に短時間曝露した後、続いて、シャドー・マスクを通して50nmの厚さまでAu源およびドレイン電極を堆積させた。形成されたデバイスのチャネル幅は約600ミクロンであり、チャネル長は50〜150ミクロンで変化した。複数の有機薄膜トランジスタ(OTFT)を製造し、そして4〜8個のOTFTの代表試料を、各堆積実験に関して試験した。平均した結果を下記表2に示す。
Hewlett Packard 4145B(登録商標)半導体パラメータ分析器を使用してアルゴン雰囲気中で測定する前に、デバイスを空気に曝露した。それぞれのトランジスタに関して、電界効果移動度μを、(ID1/2対VG プロットの勾配から計算した。平均移動度は、飽和領域において1.7cm2/Vsであった。平均オン/オフ比は1.5×107 であり、平均閾値電圧はVT =51.1Vであった。こうして作製したデバイスに関して、最大2cm2/Vsの飽和移動度が測定された。
Figure 0005336385
この例は、薄膜トランジスタにおいてn型材料として化合物I−18を使用することの利点を明らかに示している。移動度は、比較例C−1と比較して約4倍改善された。これは、デバイスにおいて使用した有機半導体化合物I−18中のメチル置換シクロヘキサン環に対する立体配置制御のデバイス性能に及ぼす有利な効果を示している。
以下の例は、N,N'-ビス(4-メチルシクロヘキシル)-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド中のシクロヘキサン環における4-メチル置換基の立体配置を制御することによって、nチャネル半導体膜が著しく改善されることを示している。すなわち、立体配置的に混合している類似体と比較して、本発明の立体配置的に純粋なN,N'-ビス(trans-4-メチルシクロヘキシル)-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドI−1が、高い電解移動度を有する著しく改善されたnチャネル半導体膜をもたらす。
比較例4
この例は、立体配置的に混合している(cisとtransの1:2:1混合物)N,N'-(4-メチルシクロヘキシル)-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドC−2から作製されたn型TFTデバイスを示す。
比較例1に記載したように試験用デバイスを作製した。すなわち、精製された立体配置的に混合しているN,N'-(4-メチルシクロヘキシル)-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドC−2を、2×10-7Torrの圧力および1秒当たり0.1オングストロームの速度の真空昇華により、水晶結晶によ-り測定した場合に20nmの厚さまで堆積させた。シャドー・マスクを通して50nmの厚さまでAu源およびドレイン電極を堆積させた。形成されたデバイスのチャネル幅は650ミクロンであり、チャネル長は50〜150ミクロンで変化した。複数の有機薄膜トランジスタ(OTFT)を製造し、そして4〜12個のOTFTの代表試料を、各堆積実験に関して試験した。平均した結果を下記表4に示す。150ミクロンのチャネル長さを有するデバイスの例では、平均移動度は、飽和領域において0.7cm2/Vsであった。平均オン/オフ比は1.3×106 であり、平均閾値電圧は41.63Vであった。こうして作製されたデバイスに関して、最大0.9cm2/Vsの飽和移動度が測定された。
実施例5
この例は、本発明に係るN,N'-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(化合物I−1)から作製されたn型TFTデバイスの改善された性能を示す。
化合物I−1を含むn型TFTデバイスを実施例1に記載したように作製した。作製したデバイスのチャネル幅は約600ミクロンであり、チャネル長は50〜150ミクロンで変化した。複数の有機薄膜トランジスタ(OTFT)を製造し、そして4〜12個のOTFTの代表試料を、それぞれの堆積作業に関して試験した。平均した結果を下記表3に示す。150ミクロンのチャネル長さを有する典型的なデバイスでは、電解効果移動度μは、(ID1/2対VG プロットの勾配から飽和領域において2.48cm2/Vsと計算された。典型的な平均オン/オフ比は4×107 であり、平均閾値電圧はVT=42Vであった。こうして作製された同様のデバイスから、最大で5cm2/Vsの飽和移動度が測定された。
Figure 0005336385
先の例(表3中)は、薄膜トランジスタにおいてn型材料として化合物I−1を使用することの利点を明らかに示している。移動度は、比較例C−2と比較して約3.5倍改善された。これは、デバイスにおいて使用した有機半導体化合物I−1中のメチル置換シクロヘキサン環に対する立体配置制御のデバイス性能に及ぼす有利な効果を示している。
20 ソース電極
28 基体
30 ドレイン電極
44 ゲート電極
56 ゲート誘電体
70 半導体

Claims (6)

  1. 各イミド窒素にそれぞれ結合した2個の独立に置換されたまたは非置換の脂環式の環(ただし、2個の脂環式環のうちの少なくとも1つは必ず4-置換シクロヘキシル環であり、ここで当該4-置換シクロヘキシル環の4-位にある置換基は当該4-置換シクロヘキシル環上のそのイミド窒素結合以外のその唯一の置換基であり、前記置換基はイミド窒素置換基に対してそれぞれ70モル%超のトランス位または70モル%超のシス位のいずれか(いずれか一方のみ)として立体化学的に配置されている)を有するN,N'-ジシクロアルキル置換ナフタレン-1,4,5,8-ビス-カルボキシイミド化合物を含む有機半導体材料を含む薄膜トランジスタ含んで成る物品。
  2. N,N'-ジシクロアルキル置換ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物が下記一般構造I(a)又はI(b):
    Figure 0005336385
    (ここで、構造I(b)はR4 基に対するシス配座を表し、構造I(a)はR4 基に対するトランス配座を表し、R4 は無機または有機の置換基であり、A1 は環内に4〜10個の炭素を含む置換されたまたは非置換の脂環式環系であり、Y基は、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールアルキル基、フッ素、塩素、シアノ、フッ素含有アルキル基、カルボニル含有基及びカルボキシ含有基から成る群から独立に選択され、mは0〜4の任意の整数である)
    により表される、請求項1に記載の物品。
  3. 薄膜トランジスタが、誘電体層、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を含む電界効果トランジスタであり、当該誘電体層、ゲート電極、有機半導体材料の薄膜、ソース電極及びドレイン電極が、ゲート電極と有機半導体材料の薄膜との両方が誘電体層と接触しており、ソース電極とドレイン電極との両方が有機半導体材料の薄膜と接触している限り、任意の順序で配置されている請求項1または2に記載の物品。
  4. 有機半導体材料、下記構造II(a)又は(b):
    Figure 0005336385
    (ここで、第1のシクロヘキシル環上のR4 は有機または無機の置換基であり、第2のシクロヘキシル環系上のR8 は、独立にHまたは無機もしくは有機の置換基であり、R4 および置換されている場合にR8 のそれぞれはイミン窒素への結合に対して70モル%超のトランス配座または70モル%超のシス配座のうちの一方であるが一方のみである)
    により表されるN,N'-ジシクロアルキル置換-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物を含む、請求項2に記載の物品。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタを複数含む、集積回路、アクティブ・マトリックス・ディスプレイおよび太陽電池から成る群から選択される電子デバイス。
  6. 薄膜半導体デバイスの製作方法であって、必ずしも下記順序通りではなく、
    (a)各イミド窒素原子に独立して結合した置換されたまたは非置換の脂環式の環(ただし、2個の脂環式環のうちの少なくとも1つは必ず4-置換シクロヘキシル環であり、ここで4-置換シクロヘキシル環の4-位にある置換基は当該4-置換シクロヘキシル環上のそのイミド結合以外のその唯一の置換基であり、前記置換基はイミド窒素置換基に対してそれぞれ、70モル%超のトランス位または70モル%超のシス位のいずれか一方のみとして立体化学的に配置されている)を有するN,N'-ジシクロアルキル置換ナフタレン-1,4,5,8-ビス-カルボキシイミド化合物を含むnチャネル有機半導体材料の薄膜を基体上に堆積させる工程、ただし、有機半導体材料は0.01cm2/Vsを超える電界効果電子移動度を示す;
    (b)離間されたソース電極とドレイン電極とを形成する工程、ただし、ソース電極とドレイン電極とは、nチャネル半導体膜によって分離され、nチャネル半導体膜と電気的に接続される;および
    (c)有機半導体材料から離間されたゲート電極を形成する工程;
    を含んで成る薄膜半導体デバイスの製造方法。
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