JP5333069B2 - 化合物半導体微粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、化合物半導体微粒子の製造方法に関し、特に、化合物半導体を構成する元素を含む原料を溶媒に溶かした複数の溶液を反応させて、細管に流通させることで化合物半導体微粒子を製造する方法に関する。
化合物半導体微粒子は、粒径により吸収する光の波長、発光する光の波長が異なる等の特徴を有する材料である。既に、化合物半導体微粒子は、ディスプレイ、発光ダイオード等の発光材料として広く利用することができる。また、化合物半導体微粒子は、発光帯の波長の半値幅が狭いという特徴を有しているので、蛍光免疫分析のマーカー、発光性の生物学的分析試薬としても利用することができ、顔料等の色材としても利用することができる。
特許文献1及び2には、化合物半導体微粒子の製造方法が開示されている。特許文献1に開示されている化合物半導体微粒子の製造方法では、周期表の第11〜13族の元素を含有する原料と、周期表の第15〜17族の元素を含有する原料とを独立して、細管を備える流通反応器に流通させて、化合物半導体微粒子を製造する方法が開示されている。
特許文献2に開示されている化合物半導体微粒子の製造方法では、化合物半導体微粒子の核を形成する反応と、核を化合物半導体微粒子に成長させる反応とを段階的に行い化合物半導体微粒子を製造する方法が開示されている。化合物半導体微粒子の核を形成する反応には、連続式の反応装置を用い、核を化合物半導体微粒子に成長させる反応には、回分式の反応装置を用いている。
特開2003−160336号公報 特開2007−224233号公報
しかし、特許文献1に開示されている化合物半導体微粒子の製造方法では、流通反応器内で、化合物半導体微粒子の核を形成する反応と、核を成長させる反応とを一緒に行うため、製造された化合物半導体微粒子に、化合物半導体微粒子の核と、核から成長した化合物半導体微粒子とが混在することになり、化合物半導体微粒子の粒径分布を狭くすることができないという問題があった。
また、特許文献2に開示されている化合物半導体微粒子の製造方法では、化合物半導体微粒子の核を形成する反応と、核を成長させる反応とを段階的に行うため、化合物半導体微粒子の核と、核から成長した化合物半導体微粒子とが混在するおそれはない。しかし、核を成長させる反応を回分式の反応装置で行うため、回分式の反応装置内で温度ムラが生じると化合物半導体微粒子の粒径分布を狭くすることができないという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、化合物半導体微粒子の粒径分布が狭く、所望の粒径の化合物半導体微粒子を製造することが可能な化合物半導体微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために第1発明に係る化合物半導体微粒子の製造方法は、少なくとも化合物半導体を構成する元素を含む原料と有機化合物とを溶媒に溶かした複数の溶液を反応させて、第1温度に保った第1細管に第1流速で流通させることで核を形成する核形成反応ステップと、該核形成反応ステップで形成した核を含む溶液の温度を、前記第1温度から、前記有機化合物が溶液から析出する温度より高く、核が成長する温度より低い第2温度に冷却する冷却ステップと、該冷却ステップで前記第2温度に冷却した溶液を、第3温度に保った第2細管に第2流速で流通させることで核を化合物半導体微粒子に成長させる核成長反応ステップとを含む。
また、第2発明に係る化合物半導体微粒子の製造方法は、第1発明において、前記冷却ステップで前記第2温度に冷却した溶液を、前記第2温度に保った容器に貯蔵する貯蔵ステップを含み、前記核成長反応ステップは、前記冷却ステップで冷却して、前記第2温度に保った前記容器に貯蔵した溶液を前記第2細管に流通させる。
また、第3発明に係る化合物半導体微粒子の製造方法は、第1又は第2発明において、前記核成長反応ステップで前記第2細管に流通させた溶液を用いて、前記核成長反応ステップを繰り返す。
また、第4発明に係る化合物半導体微粒子の製造方法は、第1乃至第3発明のいずれか一つにおいて、前記第2細管の管断面積及び/又は管長が前記第1細管とは異なる。
第1発明では、第1温度に保った第1細管に第1流速で流通させて形成した核を含む溶液を第1温度から第2温度に冷却するので、核が形成された段階で核の成長が停止し、化合物半導体微粒子の核と、核から成長した化合物半導体微粒子とが混在することがない。また、第2温度に冷却した核を含む溶液を、第3温度に保った第2細管に第2流速で流通させて化合物半導体微粒子を成長させるので、核を成長させる第2細管内で溶液に温度ムラが生じず、粒径分布が狭い化合物半導体微粒子を製造することができる。
第2発明では、冷却した溶液を、第2温度に保った容器に貯蔵するので、第2細管の第2流速が第1細管の第1流速より遅い場合でも、化合物半導体の核が成長したり、有機化合物が溶液から析出したりすることなく、核成長反応ステップを順次行うことができ、粒径分布が狭い化合物半導体微粒子を製造することができる。
第3発明では、核成長反応ステップで第2細管に流通させた溶液を用いて、核成長反応ステップを繰り返し行うことで、所望の粒径の化合物半導体微粒子を製造することができる。
第4発明では、第1細管と第2細管とは管断面積及び/又は管長が異なるので、核から成長する化合物半導体微粒子の大きさを制御して、所望の粒径の化合物半導体微粒子を製造することができる。
本発明に係る化合物半導体微粒子の製造方法は、化合物半導体を構成する元素を含む原料を溶媒に溶かした複数の溶液を反応させて、第1温度に保った第1細管に第1流速で流通させることで核を形成する核形成反応ステップと、核形成反応ステップで形成した核を含む溶液の温度を、第1温度から、有機化合物が溶液から析出する温度より高く、核が成長する温度より低い第2温度に冷却する冷却ステップと、冷却ステップで第2温度に冷却した溶液を、第3温度に保った第2細管に第2流速で流通させることで核を化合物半導体微粒子に成長させる核成長反応ステップとを含むので、化合物半導体微粒子の核と、核から成長した化合物半導体微粒子とが混在することがなく、粒径分布が狭い化合物半導体微粒子を製造することができる。
本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法に用いる製造装置の構成を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法で製造したCdSeの化合物半導体微粒子のTEM写真の例示図である。 本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法で製造したCdSeの化合物半導体微粒子の別のTEM写真の例示図である。 本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法で製造したCdSeの化合物半導体微粒子のフォトルミネッセンススペクトルの例示図である。 比較例として別の製造方法で製造したCdSeの化合物半導体微粒子のフォトルミネッセンススペクトルの例示図である。
以下、本発明の実施の形態における化合物半導体微粒子の製造方法について、図面を用いて具体的に説明する。以下の実施の形態は、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものではなく、実施の形態の中で説明されている特徴的事項の組み合わせの全てが解決手段の必須事項であるとは限らないことは言うまでもない。
本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法は、熱分解性の化合物半導体原料を高温の配位性有機化合物に注入して化合物半導体結晶を成長させる方法である。図1は、本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法に用いる製造装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、化合物半導体微粒子の製造装置Aは、化合物半導体(例えば、CdSe)を構成する元素(例えば、Cd)を含む原料と有機化合物(例えば、ステアリン酸(界面活性剤)、トリオクチルホスフィンオキシド、オクタデシルアミン等)とを溶媒に溶かした第1溶液の容器1と、化合物半導体を構成する元素(例えば、Se)を含む原料と有機化合物(例えば、ステアリン酸(界面活性剤)、トリオクチルホスフィンオキシド、オクタデシルアミン等)とを溶媒に溶かした第2溶液の容器2と、第1溶液と第2溶液とを反応させた第3溶液を細管(第1細管)に流通させることで化合物半導体微粒子の核を形成する核形成反応器3とを備えている。さらに、化合物半導体微粒子の製造装置Aは、核形成反応器3で形成した核を含む第3溶液を回収・貯蔵する容器4と、核を含む第3溶液を細管(第2細管)に流通させることで、核を化合物半導体微粒子に成長させる核成長反応器5と、核成長反応器5で形成した化合物半導体微粒子を含む第3溶液を回収する容器6とを備える。なお、第1溶液及び第2溶液において、化合物半導体を構成する元素を含む原料に有機化合物を加えるのは、溶液中での化合物半導体を構成する元素を含む原料の溶媒に対する溶解安定化や、形成する化合物半導体微粒子に配位して分散安定性を向上させるためである。
容器1には、第1溶液の温度を調節するための温度調節器11を、容器2には、第2溶液の温度を調節するための温度調節器21を、容器4には、核を含む第3溶液の温度を調節するための温度調節器41を、容器6には、化合物半導体微粒子を含む第3溶液の温度を調節するための温度調節器61を、それぞれ設けている。また、核形成反応器3は、第3溶液を所定の流速で流通させる細管(第1細管)と、該細管に流通させる第3溶液の温度を調節するための温度調節器31とを有し、核成長反応器5は、核を含む第3溶液を所定の流速で流通させる細管(第2細管)と、該細管に流通させる核を含む第3溶液の温度を調節するための温度調節器51とを有している。なお、核形成反応器3及び核成長反応器5の細管は、例えば管断面積が0.0009cm2 、管長が120cmであり、該細管を核形成反応器3及び核成長反応器5は複数本有している。但し、核成長反応器5の細管(第2細管)の管断面積及び/又は管長は、核形成反応器3の細管(第1細管)の管断面積及び/又は管長と同じ場合に限定されるものではなく、核から成長した化合物半導体微粒子が所望の粒径を有するように、核形成反応器3の細管(第1細管)と核成長反応器5の細管(第2細管)とは管断面積及び/又は管長が異なっても良い。
容器1と核形成反応器3との間には、容器1から核形成反応器3へ第1溶液を供給するための送液ポンプ13を、容器2と核形成反応器3との間には、容器2から核形成反応器3へ第2溶液を供給するための送液ポンプ23をそれぞれ設けてある。また、容器4と核成長反応器5との間には、容器4から核成長反応器5へ核を含む第3溶液を供給するための送液ポンプ45を設けてある。さらに、核形成反応器3と容器4との間には、容器4で回収・貯蔵する核を含む第3溶液の温度及び容器4の温度を調節するための温度調節器34を設けてある。
次に、化合物半導体微粒子の製造装置Aを用いて、CdSeの化合物半導体微粒子を製造する方法について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法を説明するためのフローチャートである。図2に示すように、まず、核形成反応ステップS21では、CdSeの化合物半導体を構成するCd元素を含む原料と有機化合物とを溶媒に溶かした第1溶液と、Se元素を含む原料と有機化合物とを溶媒に溶かした第2溶液とを反応させた第3溶液を、第1温度に保った核形成反応器3の細管(第1細管)に第1流速で流通させることでCdSeの化合物半導体微粒子の核を形成する。具体的に、酸化カドミウム(CdO)1g、オクタデセン(溶媒)160g、ステアリン酸(界面活性剤)10g、トリオクチルホスフィンオキシド20g、オクタデシルアミン60gを容器1に投入し、減圧下において100℃で30分脱気処理を行って生成した第1溶液を、温度調節器11を用いて280℃(第1温度)に加熱する。
セレン6g、オクタデセン(溶媒)110g、トリブチルホスフィン20gを容器2に投入し、窒素雰囲気下で100℃に加熱して約2時間かけてセレンをオクタデセンに溶解させて生成した第2溶液を、温度調節器21を用いて室温(25℃)まで冷却する。
容器1の第1溶液を、送液ポンプ13を用いて、6.7ml/sの流速で核形成反応器3に供給し、容器2の第2溶液を、送液ポンプ23を用いて、3.4ml/sの流速で核形成反応器3に供給する。核形成反応器3に供給された第1溶液及び第2溶液を、核形成反応器3の細管(第1細管)内で反応させた第3溶液を細管に所定の流速(第1流速)で流通させる。核形成反応器3の細管に、温度調節器31を用いて280℃(第1温度)に加熱した第3溶液を所定の流速で流通させることで、第3溶液中にCdSeの化合物半導体微粒子の核が形成される。なお、所定の流速(第1流速)は、第1溶液を核形成反応器3に供給する流速(6.7ml/s)と第2溶液を核形成反応器3に供給する流速(3.4ml/s)とにより決まる流速である。また、第1溶液の流速及び第2溶液の流速を調整することで、第1溶液と第2溶液とを反応させる割合を調整することができる。
次に、冷却ステップS22は、核形成反応ステップS21で形成した核を含む第3溶液の温度を、280℃(第1温度)から、有機化合物(例えば、ステアリン酸(界面活性剤)、トリオクチルホスフィンオキシド、オクタデシルアミン等)が第3溶液から析出する温度より高く、核が成長する温度より低い60℃(第2温度)に冷却する。具体的に、核形成反応器3で形成した核を含む第3溶液を、核形成反応器3から容器4へ供給する際、温度調節器34を用いて60℃に冷却する。核を含む第3溶液を60℃に冷却することで、核の成長は停止する。なお、核を含む第3溶液を冷却する温度は、60℃に限定されるものではなく、有機化合物が第3溶液から析出する温度より高く、核が成長する温度より低い温度の範囲であればいずれの温度でも良い。核を含む第3溶液を、温度調節器34を用いて60℃に冷却した後、窒素を充填して、60℃(第2温度)に保った容器4に回収・貯蔵する。
次に、核成長反応ステップS23は、冷却ステップS22で容器4に回収・貯蔵した60℃(第2温度)に冷却した核を含む第3溶液を、250℃(第3温度)に保った核成長反応器5の細管(第2細管)に0.2ml/s(第2流速)で流通させることで、核をCdSeの化合物半導体微粒子に成長させる。具体的に、容器4に回収・貯蔵した核を含む第3溶液を、送液ポンプ45を用いて、0.2ml/sの流速で核成長反応器5に供給する。核成長反応器5の細管に、温度調節器51を用いて250℃に加熱した核を含む第3溶液を0.2ml/sの流速で流通させることで、第3溶液に含まれている核が、所望の粒径を有する化合物半導体微粒子に成長する。核成長反応器5から供給された、化合物半導体微粒子を含む第3溶液を、容器6に回収する。
ここで、温度調節器34を用いて冷却した核を含む第3溶液を、直接核成長反応器5に供給せずに、一旦容器4に回収・貯蔵することで、核を含む第3溶液を核形成反応器3の細管に流通させる流速に影響を与えることなく、核形成反応器3の細管に流通させる流速に比べて遅い流速で核を含む第3溶液を核成長反応器5の細管に流通させることができる。つまり、容器4は、核形成反応器3から供給される核を含む第3溶液を核成長反応器5の細管に順次流通させることができるように調整するためのバッファとして機能している。なお、核形成反応器3の細管に流通させる流速と、核成長反応器5の細管に流通させる流速との間に差がない場合や、核形成反応器3から供給される核を含む第3溶液を、複数の核成長反応器5の細管に流通させる場合には、容器4を設ける必要はない。
また、本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法では、核を含む第3溶液を核成長反応器5の細管に一度流通させるだけではなく、所望の粒径の化合物半導体微粒子に成長させるために、容器6に回収した化合物半導体微粒子を含む第3溶液を、核成長反応器5の細管に繰り返し流通させる。つまり、容器6に回収した化合物半導体微粒子を含む第3溶液を、容器4に戻し、核成長反応器5の細管に、温度調節器51を用いて250℃に加熱した第3溶液を0.2ml/sの流速で再度流通させることで、第3溶液に含まれている化合物半導体微粒子が所望の粒径となるように成長させる。なお、核成長反応器5の細管を再度流通させた第3溶液を容器6で回収し、容器6に回収した第3溶液を、トルエン240mlで希釈する。
希釈した第3溶液から取り出したCdSeの化合物半導体微粒子を観察するために、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いる。なお、CdSeの化合物半導体微粒子をTEMで観察するためには、希釈した第3溶液をTEM用炭素膜付きCuメッシュに滴下して乾燥する必要がある。図3は、本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法で製造したCdSeの化合物半導体微粒子のTEM写真の例示図である。図4は、本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法で製造したCdSeの化合物半導体微粒子のTEM写真の別の例示図である。図3は、59,000倍に拡大したCdSeの化合物半導体微粒子であり、黒い顆粒に見えるそれぞれがCdSeの化合物半導体微粒子である。図4は、590,000倍に拡大したCdSeの化合物半導体微粒子であり、丸印が一つのCdSeの化合物半導体微粒子を示している。TEM写真より、本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法で製造したCdSeの化合物半導体微粒子の粒径がほぼ揃っており、粒径が約4nm程度であることが分かる。
次に、本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法で製造したCdSeの化合物半導体微粒子の粒径分布を調べるために、希釈した第3溶液のフォトルミネッセンススペクトルを測定する。フォトルミネッセンススペクトルは、希釈した第3溶液を積分球のサンプルホルダー内にセットし、キセノンランプの光源からモノクロメータを通して得た中心波長300nm(半値幅7nm以下)の紫外線をサンプルホルダーに照射し、励起光より発光した光をCCDセンサで測定することにより得ることができる。なお、測定したフォトルミネッセンススペクトルに基づいて、希釈した第3溶液が吸収した励起光のフォトン数(吸収光フォトン数)と、希釈した第3溶液が発光した光のフォトン数(発光フォトン数)の比を、量子効率(%)(=発光フォトン数/吸収光フォトン数×100)として算出した。
図5は、本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法で製造したCdSeの化合物半導体微粒子のフォトルミネッセンススペクトルの例示図である。図5は、横軸が波長(nm)、縦軸がフォトルミネッセンス強度である。本実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法で製造したCdSeの化合物半導体微粒子のフォトルミネッセンススペクトルは、ピーク波長が598.01nm、ピーク波長のフォトルミネッセンス強度が半分になるフォトルミネッセンス強度での波長差である半値幅が33.89nm、量子効率が48%である。
比較例として、容器4に回収・貯蔵した核を含む第3溶液を、送液ポンプ45を用いて核成長反応器5に供給することなく、容器4内で第3溶液に含まれている核を成長させて化合物半導体微粒子を製造した場合の化合物半導体微粒子のフォトルミネッセンススペクトルを測定する。具体的に、容器4内で第3溶液に含まれている核を成長させるために、容器4を温度調節器41を用いて250℃に加熱して、1時間保持し、その後60℃に冷却した第3溶液にトルエン240mlを加えて希釈する。なお、当該比較例の化合物半導体微粒子の製造方法は、特許文献2に開示されている化合物半導体微粒子の製造方法に近似している。
図6は、比較例として別の製造方法で製造したCdSeの化合物半導体微粒子のフォトルミネッセンススペクトルの例示図である。図6に示すように、比較例として別の化合物半導体微粒子の製造方法で製造したCdSeの化合物半導体微粒子のフォトルミネッセンススペクトルは、ピーク波長が597.27nm、半値幅が63.92nm、量子効率が30%である。比較例として別の製造方法で製造したCdSeの化合物半導体微粒子のフォトルミネッセンススペクトルと、本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法で製造したCdSeの化合物半導体微粒子のフォトルミネッセンススペクトルとを比べた場合、半値幅が約1.9倍広がっていることが分かる。つまり、本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法で製造したCdSeの化合物半導体微粒子の粒径分布は、比較例として別の製造方法で製造したCdSeの化合物半導体微粒子の粒径分布より狭いことが分かる。
以上のように、本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法では、第1溶液と第2溶液とを反応させた第3溶液を、第1温度に保った第1細管に第1流速で流通させることで核を形成し、核を含む第3溶液の温度を、第1温度から第2温度に冷却するので、化合物半導体の核と、核から成長した化合物半導体微粒子とが混在することがない。また、第2温度に冷却した第3溶液を、第3温度に保った第2細管に第2流速で流通させることで核を化合物半導体微粒子に成長させるので、核を成長させる第2細管内で第3溶液に温度ムラが生じず、粒径分布が狭い化合物半導体微粒子を製造することができる。
なお、本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法は、CdSeの化合物半導体微粒子の製造に限定されるものではなく、II(第12族)−VI(第16族)族化合物半導体微粒子(例えば、ZnTe、ZnSe、ZnS等)、III(第13族)−V(第15族)族化合物半導体微粒子(例えば、InAs等)などのあらゆる化合物半導体微粒子の製造に適用することができる。
また、本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法において、所望の粒径の化合物半導体微粒子を製造する方法は、核成長反応器5の細管に第3溶液を複数回流通させる方法に限定されるものではなく、管断面積及び/又は管長を変更した核成長反応器5の細管に一回流通させる方法でも良い。核成長反応器5の細管の管断面積及び/又は管長は、製造する化合物半導体微粒子の所望の粒径により決定する。なお、管断面積及び/又は管長が異なる細管を有する核成長反応器5を複数備えることで、所望の粒径が異なる複数の化合物半導体微粒子を同じ工程で製造することができる。
さらに、本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法は、核形成反応器3の細管と、核成長反応器5の細管とを別個独立に備える化合物半導体微粒子の製造装置Aで化合物半導体微粒子を製造する方法に限定されるものではなく、核形成反応器3の細管を核成長反応器5の細管として利用する化合物半導体微粒子の製造装置で化合物半導体微粒子を製造しても良い。つまり、図1に示す化合物半導体微粒子の製造装置Aにおいて、容器4に回収・貯蔵した核を含む第3溶液を、核形成反応器3の細管に第2流速で流通させるようにすることで、核成長反応器5を設けない構成とし、化合物半導体微粒子を製造することもできる。核形成反応器3の細管を核成長反応器5の細管として利用した安価な化合物半導体微粒子の製造装置でも、本発明の実施の形態に係る化合物半導体微粒子の製造方法を適用することができる。
1、2、4、6 容器
3 核形成反応器
5 核成長反応器
11、21、31、34、41、51、61 温度調節器
13、23、45 送液ポンプ

Claims (4)

  1. 少なくとも化合物半導体を構成する元素を含む原料と有機化合物とを溶媒に溶かした複数の溶液を反応させて、第1温度に保った第1細管に第1流速で流通させることで核を形成する核形成反応ステップと、
    該核形成反応ステップで形成した核を含む溶液の温度を、前記第1温度から、前記有機化合物が溶液から析出する温度より高く、核が成長する温度より低い第2温度に冷却する冷却ステップと、
    該冷却ステップで前記第2温度に冷却した溶液を、第3温度に保った第2細管に第2流速で流通させることで核を化合物半導体微粒子に成長させる核成長反応ステップと
    を含むことを特徴とする化合物半導体微粒子の製造方法。
  2. 前記冷却ステップで前記第2温度に冷却した溶液を、前記第2温度に保った容器に貯蔵する貯蔵ステップを含み、
    前記核成長反応ステップは、前記冷却ステップで冷却して、前記第2温度に保った前記容器に貯蔵した溶液を前記第2細管に流通させることを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体微粒子の製造方法。
  3. 前記核成長反応ステップで前記第2細管に流通させた溶液を用いて、前記核成長反応ステップを繰り返すことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化合物半導体微粒子の製造方法。
  4. 前記第2細管の管断面積及び/又は管長が前記第1細管とは異なることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の化合物半導体微粒子の製造方法。
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