JP5330328B2 - 音像定位装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、目的の位置に音像を定位させる装置に関する。
オーディオ分野では、1対の音源(例えば、スピーカ)を使用して、実際の音源とは異なる任意の位置に音像を定位させる音像定位技術が知られている。目的の位置に音像を定位させるためには、1対の音源から聴取者の左耳に到達する音圧と1対の音源から聴取者の右耳に到達する音圧との音圧差が、目的の位置に配置された仮想音源から聴取者の左耳に到達する音圧と仮想音源から聴取者の右耳に到達する音圧との音圧差に一致するように、1対の音源で再生される音響信号の振幅及び位相が調整される。音響信号を調整するための制御フィルタの導出には、目的の音像位置に設置した実際のスピーカを用いて、このスピーカから鼓膜入口までの頭部伝達関数を含む空間伝達関数を測定する必要がある。
ところで、液晶テレビ等の画像表示装置の大画面化が進むにつれ、映像と音響のミスマッチが生じるようになっている。例えば、画面(表示パネル)の下部にスピーカが配置されている場合、アナウンサは画面の中央に表示されているのに、音は画面の下方から聞こえてくる状況が生じる。液晶テレビ等においては、映画館のように、画面裏にスピーカを配置することは困難とされる。
そこで、このような大型の画像表示装置に音像定位を適用することが考えられる。しかしながら、頭部伝達関数が音源到来方向で大幅に変化することから、機種及び画面サイズ等によってスピーカ配置が異なる画像表示装置に音像定位を適用する場合、頭部伝達関数を同定する方法を構築することは困難とされる。
特開平11−88994号公報
従って、音像定位装置においては、制御フィルタを容易に導出することができることが求められている。本開示は、上記問題点を解決するためになされたものであり、制御フィルタの設計が容易である音像定位装置を提供することを目的とする。
一実施形態に係る音像定位装置は、映像を表示する表示パネルを収容し、当該表示パネルが外部に露出される開口部が形成されている前面枠を有する筐体と、第1の音響信号を発生する第1の信号発生部と、前記表示パネルの下方の前記前面枠に配置され、前記第1の音響信号を第1の音に変換する第1スピーカと、を備える。この音像定位装置は、定位倍率nを入力する定位倍率入力部と、前記定位倍率nに応じて算出される数式(101)に示される第1制御フィルタG1で、前記第1の音響信号を調整して、第2の音響信号を出力する第1制御フィルタ部と、前記表示パネルの上方の前記前面枠に配置され、前記第2の音響信号を第2の音に変換する第2スピーカと、前記定位倍率nに応じて算出される数式(102)に示される第2制御フィルタG2で、前記第1の音響信号を調整して、第3の音響信号を出力する第2制御フィルタ部と、前記第2スピーカと並列に、前記表示パネルの上方の前記前面枠に配置され、前記第3の音響信号を第3の音に変換する第3スピーカと、をさらに備える。
Figure 0005330328
Figure 0005330328
Liは、前記第1スピーカの音源中心と第i左耳位置との間の直線距離で決まる伝達特性を示し、WRiは、前記第1スピーカの前記音源中心と第i右耳位置との間の直線距離で決まる伝達特性を示し、ULi1は、前記第2スピーカの音源中心と前記第i左耳位置との間の直線距離で決まる伝達特性を示し、URi1は、前記第2スピーカの前記音源中心と前記第i右耳位置との間の直線距離で決まる伝達特性を示し、ULi2は、前記第3スピーカの音源中心と前記第i左耳位置との間の直線距離で決まる伝達特性を示し、URi2は、前記第3スピーカの前記音源中心と前記第i右耳位置との間の直線距離で決まる伝達特性を示す。
音像定位の基本原理を説明するための図。 第1の実施形態に係る音像定位装置を示す概略図。 図2に示した音像定位装置を備えた画像表示装置の外観を示す斜視図。 図2に示した各スピーカと聴取者との位置関係を示す上面図。 本実施形態で使用する基準音圧を導出するためのスピーカシステムを示す概略図。 評価点の数Nが1の場合の伝達関数を説明するための図。 第1の実施形態の制御フィルタG1、G2を計算した結果を示すグラフ。 定位倍率毎にクロススペクトルを計算した結果を示すグラフ。 目標音像及び主音源の相互相関関数を計算した結果を示すグラフ。 定位倍率が1である場合に、制御後の合成音源の相互相関関数を計算した結果を示すグラフ。 定位倍率が3である場合に、制御後の合成音源の相互相関関数を計算した結果を示すグラフ。 定位倍率が5である場合に、制御後の合成音源の相互相関関数を計算した結果を示すグラフ。 図2の音像定位装置により定位される音像の位置が目標音像の位置に依存しないことを示すグラフ。 第2の実施形態に係る音像定位装置を示す概略図。 第3の実施形態に係る音像定位装置を示す概略図。 第4の実施形態に係る音像定位装置を示す概略図。 第6の実施形態に係る音像定位装置を示す概略図。 第6の実施形態に従って、合成音源及び目標音像の相互相関関数を計算した結果を示すグラフ。 第6の実施形態に従って、聴取距離Rとタップ差ΔNとの関係を示すグラフ。 第6の実施形態に従って、タップ差ΔNがゼロになる場合に計算された制御フィルタにおけるゲインの周波数特性を示すグラフ。 第6の実施形態に従って、タップ差ΔNがゼロになる場合に計算された制御フィルタにおける位相差の周波数特性を示すグラフ。 第6の実施形態に従って、タップ差ΔNが1である場合に計算された制御フィルタにおけるゲインの周波数特性を示すグラフ。 第6の実施形態に従って、タップ差ΔNが1である場合に計算された制御フィルタにおける位相差の周波数特性を示すグラフ。 第7の実施形態に係る聴取者の両耳の位置を示す模式図。 第7の実施形態に従って、聴取距離Rとタップ差ΔNとの関係を示すグラフ。 第8の実施形態に係る音像定位装置を備える画像表示装置の外観を示す正面図。 実施例1に係る各スピーカ及び目標音像の位置を示す図。 図25に示したスピーカ配置における主音源及び目標音像の相互相関関数を計算した結果を示すグラフ。 比較例1に係るメインスピーカ及び目標音像の位置を示す図。 図27に示した目標音像の相関強度分布を三次元的に示すグラフ。 図27に示した目標音像の相関強度分布を示すグラフ。 図27に示した主音源の相関強度分布を三次元的に示すグラフ。 図27に示した主音源の相関強度分布を示すグラフ。 比較例2に従ったインスピーカ、補助スピーカ及び目標音像の位置を示す図。 比較例2に従って、合成音源の相関強度分布を三次元的に示すグラフ。 比較例2に従って、合成音源の相関強度分布を示すグラフ。 比較例2に従って、合成音源の相互相関関数を計算した結果を示すグラフ。 比較例3に従ったメインスピーカ、補助スピーカ及び目標音像の位置を示す図。 比較例3に従って、合成音源の相関強度分布を三次元的に示すグラフ。 比較例3に従って、合成音源の相関強度分布を示すグラフ。 実施例1に従ったメインスピーカ、補助スピーカ及び目標音像の位置を示す図。 実施例1に従って、合成音源の相関強度分布を三次元的に示すグラフ。 実施例1に従って、合成音源の相関強度分布を示すグラフ。 実施例1に従って、合成音源の相互相関関数の計算結果を示すグラフ。 実施例2に従ったメインスピーカ、補助スピーカ及び目標音像の位置を示す図。 実施例2に従って、合成音源の相関強度分布を三次元的に示すグラフ。 実施例2に従って、合成音源の相関強度分布を示すグラフ。
分布を示すグラフ。
目標音像の位置を示す図。 横向き形態において、図35Aに示した目標音像の相関強度分布を示すグラフ。 横向き形態において、図35Aに示した目標音像の相関強度分布を三次元的に示すグラフ。 メインスピーカ及び目標音像の位置を示す図。 横向き形態において、図36Aに示した主音源の相関強度分布を示すグラフ。 横向き形態において、図36Aに示した主音源の相関強度分布を三次元的に示すグラフ。 メインスピーカ、補助スピーカ及び目標音像の位置を示す図。 横向き形態において、図37Aに示したメインスピーカ及び補助スピーカを含む合成音源の相関強度分布を示すグラフ。 横向き形態において、図37Aに示したメインスピーカ及び補助スピーカを含む合成音源の相関強度分布を三次元的に示すグラフ。 実施例3に係る音像定位装置を取り付けられるモックアップの外観を示す概略図。 実施例3に係る音像定位装置を取り付けられるモックアップの外観を示す概略図。 相互相関関数を計測する装置を示す概略図。 図40の計測装置を使用して、比較例3に従って合成音源及び目標音像の相互相関関数を計測した結果を示すグラフ。 実施例3に従って合成音源及び目標音像の相互相関関数を計算した結果を示すグラフ。 音響信号として音楽信号を使用した場合に、実施例3に従って合成音源及び目標音像の相互相関関数を計測した結果を示すグラフ。
以下、必要に応じて図面を参照しながら、実施形態に係る音像定位装置を説明する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、重ねての説明を省略する。
最初に、図1を参照して、音像定位の基本原理について説明する。
音像定位は、1対の音源(例えば、スピーカ)を使用して、実際の音源とは異なる任意の位置に音像を定位させる技術である。一例として、図1に示すように、音像定位は、第1及び第2スピーカ11、12の各々から放射される音を制御することで、実際には存在しない仮想スピーカ13から音が放射されているように、聴取者10に知覚させることができる。この際、聴取者10の左右の耳に夫々到達する音圧の差が、仮想スピーカ13を再生した場合に聴取者10の左右の耳に夫々到達する音圧の差に一致するように、第1及び第2スピーカ11、12で再生する音響信号の振幅及び位相が調整される。
音響信号を調整するための制御フィルタは、第1スピーカ11から聴取者10の左右の耳までの空間伝達特性W、W、及び第2スピーカ12から左右の耳までの空間伝達特性U、Uを用いて導出される。これらの空間伝達特性W、W、U、Uには、通常、頭部及び耳介の形状を含む頭部伝達関数が含まれる。頭部伝達関数は、音源到来方向の依存性が強く、前後上下左右方向に音源が数度ずれるだけで、周波数特性及び位相特性が大きく変化する。また、頭部伝達関数には、頭部及び耳介の形状の違いに起因して、個人差が大きいことが知られている。従って、高精度の音像定位を実現するためには、頭部伝達関数を実用いる場合、頭部伝達関数を実際に測定する必要がある。
大型の表示パネル(画面)を備えた画像表示装置に音像定位を適用する場合、その画面上に音像を定位させるために、頭部伝達関数を含む空間伝達特性を同定することは、以下の理由により、困難とされる。頭部伝達関数は、音源到来方向によって大幅に変化し、スピーカの設置条件及び周囲条件等により変化し、従って、スピーカの配置場所が機種及び画面サイズによって変わる画像表示装置に関して、頭部伝達関数を同定する方法を構築することは、困難とされる。
以下に説明する種々の実施形態に係る音像定位装置では、頭部伝達関数を用いることなく、画像表示装置のサイズ及びスピーカの配置によって決まる幾何形状で同定される空間伝達特性が使用される。
(第1の実施形態)
図2は、第1の実施形態に係る音像定位装置を概略的に示している。この音像定位装置は、図2に示されるように、液晶テレビ等の画像表示装置150に設けられる。この画像表示装置150は、筐体151と、筐体151内に収容され、映像を表示する表示パネル(画面)152と、筐体151を支持するスタンド153とを備える。表示パネル152は、筐体151の前面枠154に形成されている開口部155を通じて外部に露出されている。表示パネル152は、液晶表示パネル及びプラズマ表示パネル等を含む。前面枠154は、開口部155を囲むように枠状に形成されている。
表示パネル152の下方には、主音源としてのメインスピーカ110が配置され、表示パネル152の上方には、制御音源としての第1及び第2の補助スピーカ111、112が並列に配置されている。より詳細には、メインスピーカ110は、表示パネル152の下方に位置する前面枠154の下端部に配置されている。また、第1及び第2の補助スピーカ111、112は、表示パネル152を挟んで下端部に対向配置される前面枠154の上端部に並列に配置されており、メインスピーカ110より画面の中央側に位置している。
画像表示装置150は、テレビジョン放送信号を受信して復調する図示しないチューナを備え、この復調された信号に応じて音響信号が音響信号発生部101で発生される。この音響信号は、アンプ部102で増幅されてメインスピーカ110に入力され、メインスピーカ110で音に変換される。
さらに、音響信号発生部101で発生した音響信号は、制御フィルタG1を備えた第1制御フィルタ部103、及び制御フィルタG2を備えた第2制御フィルタ部105に送られる。第1制御フィルタ部103では、音響信号は、制御フィルタG1によってその位相及び振幅が調整される。第1制御フィルタ部103で調整された音響信号は、アンプ部104で増幅されて第1の補助スピーカ111で音に変換される。第2制御フィルタ部105では、音響信号は、制御フィルタG2によってその位相及び振幅が調整される。第2制御フィルタ部105で調整された音響信号は、アンプ部106で増幅されて第2の補助スピーカ112で音に変換される。メインスピーカ110から放射された音(主音)、第1の補助スピーカ111から放射された音(制御音)及び第2の補助スピーカ112から放射された音(制御音)は、夫々メインスピーカ110、第1の補助スピーカ111及び第2の補助スピーカ112の前面から、画像表示装置150の前方の視聴者に向けられる。
第1及び第2制御フィルタ部103、105には、ユーザ(例えば、聴取者)により設定された定位倍率nが定位倍率入力部107によって入力される。この定位倍率nは、音像定位の強さを調節するために使用される。制御フィルタG1及びG2は、定位倍率nに依存する。
一例として、目標音像120は、第1の補助スピーカ111の下方であって、画面中心Oと同じ水平位置に設定される。本実施形態では、メインスピーカ110からの主音が、第1及び第2の補助スピーカ111、112からの制御音で制御されて、目標音像120の位置に音像が定位される。
図3は、図2の音像定位装置を備えた画像表示装置150の外観を示している。図3及び他の図において、説明のために、3次元座標系(xyz座標系)を設定している。xyz座標系では、表示パネル152の中心(画面中心)に原点Oを定め、幅方向(左右方向)をx軸方向、高さ方向(上下方向)をy軸方向、奥行き方向(xy平面に直交する方向)をz軸方向とする。
図3に示されるように、dは、メインスピーカ110の音源中心と画面中心との間の幅方向の距離を示す。dは、第1の補助スピーカ111の音源中心と画面中心との間の幅方向の距離を示し、Δdは、第1の補助スピーカ111の音源中心と第2の補助スピーカ112の音源中心との間の距離を示す。第2の補助スピーカ112は、第1の補助スピーカ111より画面中央側に配置されており、第2の補助スピーカ112の音源中心と画面中心との間の幅方向の距離は、dQ−Δdである。また、Hは、メインスピーカ110の音源中心と第1の補助スピーカ111(又は第2の補助スピーカ112)の音源中心との間の高さ方向の距離を示す。Rは、画像表示装置150の正面に位置する聴取者201の耳元位置(両耳の中点)202と画面中心との間の距離を示し、画像表示装置150のサイズ(例えば、上記の距離H、表示パネル152の大きさ(例えば、高さ、幅)等)に応じて決定される。
本実施形態では、聴取者201の耳元位置202を基準として複数の耳元位置が設定され、各耳元位置は、インデックスiで表示される。ここで、iは、N以下の自然数であり、このNは、評価点の数を示し、1以上の自然数である。複数の耳元位置は、基準耳元位置202の近傍の音圧の空間平均をとるために導入される。図4に示されるように、基準耳元位置202のインデックスiは2であり、基準耳元位置202と画面中心との距離は、Rである。インデックスiが1である耳元位置203は、基準耳元位置202よりも画像表示装置150側に設定され、耳元位置203と画面中心との距離は、R−ΔRである。また、インデックスiが3である耳元位置204は、基準耳元位置202より画像表示装置150から離れた位置に設定され、耳元位置204と画面中心との距離は、R+ΔRである。さらに、インデックスiが4である耳元位置と画面中心との距離は、R+2×ΔRであり、インデックスiが5である耳元位置と画面中心との距離は、R+3×ΔRである、というようになる。ΔRは、評価点の間隔を示す。評価点の間隔ΔRは、概ね0.1m前後に設定される。
耳元位置iに対応する左右の耳の位置は、耳元位置iから幅方向に±deだけ移動した位置に設定される。なお、両耳間の距離(2×de)は、万人において略一致することから、一例として0.3mであり、即ち、de=0.15mである。
聴取者の左耳に到達する音圧信号PLiは、下記数式(1)のように、メインスピーカ110からの主音並びに第1及び第2の補助スピーカ111、112の各々からの制御音を含む合成音の音圧で表すことができる。同様に、聴取者の右耳に到達する音圧信号PRiは、下記数式(2)のように、メインスピーカ110からの主音並びに第1及び第2の補助スピーカ111、112の各々からの制御音を含む合成音の音圧で表すことができる。
Figure 0005330328
Figure 0005330328
ここで、qは、メインスピーカ110から出力される音の強さを示す。WLiは、メインスピーカ110の音源中心から第i左耳位置までの伝達特性を示し、メインスピーカ110の音源中心と第i左耳位置との間の直線距離LwLiで決まり、WRiは、メインスピーカ110の音源中心から第i右耳位置までの伝達特性を示し、メインスピーカ110の音源中心と第i右耳位置との間の直線距離LwRiで決まる。ここで、第i左耳位置及び第i右耳位置とは、夫々、インデックスがiである耳元位置に対応する左右の耳の位置を示す。また、ULi1は、第1の補助スピーカ111の音源中心から第i左耳位置までの伝達特性を示し、第1の補助スピーカ111の音源中心と第i左耳位置との間の直線距離LuLi1で決まり、ULi2は、第2の補助スピーカ112の音源中心から第i左耳位置までの伝達特性を示し、第2の補助スピーカ112の音源中心と第i左耳位置との間の直線距離LuLi2で決まる。さらに、URi1は、第1の補助スピーカ111の音源中心から第i右耳位置までの伝達特性を示し、第1の補助スピーカ111の音源中心と第i右耳位置との間の直線距離LuRi1で決まり、URi2は、第2の補助スピーカ112の音源中心から第i右耳位置までの伝達特性を示し、第2の補助スピーカ112の音源中心と第i右耳位置との間の直線距離LuRi2で決まる。
一例として、これらの伝達特性及び距離を式で表すと以下の数式(3)〜(8)のようになる。
Figure 0005330328
Figure 0005330328
Figure 0005330328
Figure 0005330328
Figure 0005330328
Figure 0005330328
ここで、jは虚数を示し、kは波数を示す。
ところで、音の空間性を見積もる指標として一般に使用されている両耳間相互相関関数(IACF:Inter-Aural Cross-correlation Function)は、両耳到来音圧信号を用いて、以下のように表される。
Figure 0005330328
ここで、P(t)、P(t)は、夫々時間tに左右の耳に入る音圧を示す。t1及びt2は、測定時間を表し、t1=0、t2=∞であるが、実際には、t2としては残響時間程度の測定時間としている。また、τは、相関時間を示し、マイナス1ミリ秒から1ミリ秒の範囲とされる。この両耳間相互相関関数の絶対値の最大値は、両耳間相関度(IACC:Inter-Aural Cross Correlation)と呼ばれ、両耳に伝わる音圧波形がどの程度一致しているかを示す。両耳間相関度の値が大きいほど、音像定位の強さが大きい、即ち、音像定位感が増し、この値が小さいほど、音像定位感が低減し、音像が全体に拡がったように感じられるとされる。
両耳間相互相関関数は、周波数領域上では左右の耳における音圧のクロススペクトル(数式(22)に示される)と等価になることから、クロススペクトルの絶対値振幅は、相関強度に相当する。この相関強度を向上させるためには、第1及び第2制御フィルタ部103、105による制御フィルタリングによって、数式(1)及び数式(2)に示される各耳の合成音圧PLi、PRiが増幅される必要がある。
目標増音量を決めるための基準音圧は、図5に示すスピーカシステムに関連して決定される。図5のスピーカシステム内の音響信号発生部501、アンプ部502、504、メインスピーカ510及び補助スピーカ511は、夫々図2の音像定位装置内の音響信号発生部101、アンプ部102、104、メインスピーカ110及び第1の補助スピーカ111と同じ機能を有する。メインスピーカ510及び補助スピーカ511は、表示パネル152を挟んで対向して、筐体151の前面枠154に配置されている。メインスピーカ510及び補助スピーカ511で再生される信号は同じである。なお、図5では、スタンド153が省略されている。
図5のスピーカシステムにおいて、聴取者の右耳に到達する音圧PLi及び左耳に到達する音圧PRiは、夫々下記数式(10)及び数式(11)のように導出される。
Figure 0005330328
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ここで、このスピーカシステムでは、メインスピーカ510の音源中心と第i左耳位置との間の直線距離は、補助スピーカ511の音源中心と第i左耳位置との間の直線距離と等しく、従って、伝達特性ULiとWLiとが等しい。同様に、メインスピーカ510の音源中心と第i右耳位置との間の直線距離は、補助スピーカ511の音源中心と第i右耳位置との間の直線距離と等しく、従って、伝達特性URiとWRiとが等しい。本実施形態では、数式(10)及び数式(11)に示す合成音圧PLi、PRiを基準音圧として使用する。
数式(1)及び数式(2)の制御後の合成音圧が夫々数式(10)及び数式(11)の基準音圧と比較してn倍に増幅したと仮定すると、下記数式(12)及び数式(13)が導出される。
Figure 0005330328
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数式(12)及び数式(13)を満たす制御フィルタG1及びG2は、次のように算出することができる。まず、下記数式(14)及び数式(15)で定義される左右の耳の音圧PLi及びPRiを使用して、下記数式(16)及び数式(17)に示す音圧二乗和U及びUを計算し、続いて、これら音圧二乗和U及びUを最小にする制御フィルタG1及びG2を導出する。ここで、振幅及び位相を調整するFIR演算機能を有する制御フィルタG1及びG2は、複素関数である。
Figure 0005330328
Figure 0005330328
Figure 0005330328
Figure 0005330328
数式(16)、(17)等において、上付きの「*」は、複素共役を示す。
制御フィルタG1及びG2は、下記数式(18)のように、数式(16)の音圧二乗和Uを制御フィルタG2の実部G 及び虚部G で夫々偏微分し、数式(17)の音圧二乗和Uを制御フィルタG1の実部G 及び虚部G で夫々偏微分することで、下記数式(19)のように導出される。
Figure 0005330328
Figure 0005330328
Figure 0005330328
この数式(19)を見ると、制御フィルタG1及びG2の分母項は、絶対値の和となっている。明確にするために、図6を参照して、評価点の数Nが1であり、定位倍率nが1である例を説明する。評価点の数Nが1である例では、基準耳元位置のインデックスiを1とする。このとき、WL1は、メインスピーカ110の音源中心から聴取者201の左耳までの伝達特性を示し、WR1は、メインスピーカ110の音源中心から聴取者201の右耳までの伝達特性を示す。また、UL11は、第1の補助スピーカ111の音源中心から聴取者201の左耳までの伝達特性を示し、UR11は、第1の補助スピーカ111の音源中心から聴取者201の右耳までの伝達特性を示し、UL12は、第2の補助スピーカ112の音源中心から聴取者201の左耳までの伝達特性を示し、UR12は、第2の補助スピーカ112の音源中心から聴取者201の右耳までの伝達特性を示す。評価点の数Nが1である場合、数式(19)は、下記数式(21)のように変形される。
Figure 0005330328
数式(21)、或いは、数式(19)及び数式(20)から明らかなように、制御フィルタG1及びG2の分母項が伝達関数の和の形で表されている。一方、後述する第3の実施形態等の制御フィルタGは、分母項が伝達関数の差で表され、特定の条件下では、分母項がゼロに近づき、或いは、ゼロになる場合がある。例えば、後述する第6の実施形態の制御フィルタGは、聴取距離Rが1.2mの場合に、制御フィルタGの分母項がゼロになる。制御フィルタGの分母項がゼロに近づく、或いは、ゼロになると、制御フィルタGのゲインが極端に大きくなり、或いは、発散し、実利的な制御フィルタGを作成することができない。
本実施形態の制御フィルタG1及びG2は、分母項が伝達関数の和の形で表され、その結果、分母項がゼロに近づくことがなく、ましてゼロになることがないので、制御フィルタG1及びG2のゲインが極端に大きくなることも発散することもない。図7は、制御フィルタG1及びG2のゲインの周波数特性を示す。図7からは、周波数全体にわたって、ゲインの増大が抑制されていることがわかる。なお、図7のグラフは、以下の数値を用いて、即ち、dq=0.5[m]、dQ=0.3[m]、Δd=0.1[m]、H=0.7[m]、R=1.5[m]、ΔR=0.1[m]、de=0.15[m]として、制御フィルタG1及びG2を算出した結果を示す。
また、左右の耳に到達する制御後の合成音圧PLi及びPRiの各々がn倍になると、下記数式(22)に示されるクロススペクトルηは、n倍増大する。
Figure 0005330328
図8は、数式(22)で計算されるクロススペクトルを示す。図8に示されるクロススペクトルは、定位倍率nが1、3及び5の場合の制御後の合成音圧に対して計算されている。この計算では、聴取距離Rを1.5mとしている。図8からは、定位倍率nが増大するにつれ、クロススペクトルの振幅が周波数全体にわたって増大しているのがわかる。また、図8には、第6の実施形態による制御後の合成音圧に対して計算されたクロススペクトルがさらに示されている。聴取距離Rが1.5mの場合、第6の実施形態の制御フィルタGの分母項はゼロにはならないが、各伝達経路間による音圧干渉の影響が発生し、8.4kHzで極小点が現れている。
図9は、メインスピーカ110から聴取者201の左右の耳に到達する音圧による相互相関関数の計算結果と、目標音像120の位置に実際のスピーカを配置した場合に、このスピーカから聴取者201の左右の耳に到達する音圧による相互相関関数の計算結果を示す。目標音像120は、図3に示されるように、第1の補助スピーカ111の下方に設定され、画面中心から左方向に0.3m離間している。説明を簡単にするために、本実施形態では、メインスピーカ110から左右の耳に到達する音圧による相互相関関数を、主音源の相互相関関数と呼び、目標音像120の位置に実際のスピーカを配置した場合に、このスピーカから左右の耳に到達する音圧による相互相関関数を、目標音像の相互相関関数と呼ぶ。
相互相関関数の計算では、サンプリング周波数が44.1kHzのもと、各スピーカから白色雑音を出力するものとし、これに各伝達特性を畳み込むことで、各スピーカから画像表示装置150の正面から1.5m離間した聴取位置に伝わる両耳音圧時刻暦波形を算出し、この両耳音圧時刻暦波形に基づいて、時間領域で両耳間相互相関関数を計算している。図9等の相互相関関数を示すグラフにおいて、横軸は、相関時間を表し、縦軸は、相関強度を表す。両耳間相互相関関数(IACF)は、両耳到来音圧の大きさで正規化されているので、縦軸ピークの大きさが全て同じ(最大1)となり、両耳間相関度(最大相関ピーク)を評価するうえでは、適切ではない。従って、図9、10、11、12等では、分母項を排除して、即ち、正規化せずに計算した両耳間相互相関関数が示されている。
図9において、主音源の相互相関関数は、実線で示され、目標音像の相互相関関数は、破線で示されている。各相互相関関数の相関ピークは、相関時間τが正の値のときに現れている。これは、図3に示されるように、メインスピーカ110及び目標音像120が聴取者201の左側前方に配置されていることから、相関計算の基準である左耳より遅れて右耳に音が伝わることを示す。また、聴取者201の両耳に対して、メインスピーカ110のほうが目標音像より離れていることから、距離減衰が効き、主音源の両耳間相関度は、目標音像の両耳間相関度よりも小さくなっている。
図10、図11及び図12は、夫々定位倍率nを1、3及び5として、メインスピーカ110並びに第1及び第2の補助スピーカ111、112を含む合成音源から聴取者の左右の耳に到達する合成音圧による相互相関関数を示す。説明を簡単にするために、合成音源から聴取者の左右の耳に到達する合成音圧による相互相関関数を、合成音源の相互相関関数と呼ぶ。図10、図11及び図12からは、定位倍率nが増大すると、両耳間相関度が定位倍率nの二乗で増大しているのがわかる。音圧レベルに換算すると、例えば定位倍率nが3であるときは、制御後の合成音源の両耳間相関度が目標音像より約20dB(=10log(140/1.5))増大している。前述したように、両耳間相関度の値が大きいほど、音像定位感が増し、この値が小さいほど、音像定位感が低減する。本実施形態に係る音像定位装置は、定位倍率nを入力する定位倍率入力部107を備え、外部から定位倍率nを変えることができることから、好みに合った定位感を聴取者が作ることができる。
なお、図10、図11及び図12では、第1の補助スピーカ111が目標音像120の真上に配置されていることから、合成音源の相互相関関数の相関ピークを示す相関時間が目標音像の相互相関関数の相関ピークを示す相関時間と一致している。しかし、第1の補助スピーカ111と目標音像120が上述した位置とは異なる位置に配置される場合には、必ずしも一致しない。目標音像120を画面中心Oから左にさらに0.1mずらした場合、即ち、目標音像が画面中心から左に0.4m離れた位置に設定される場合における目標音像の相互相関関数の計算結果を図13に示す。図13には、定位倍率nを1として計算された合成音圧の相互相関関数が重ねて表示されている。目標音像の相互相関関数においては、図13に示されるように、目標音像120が左方向に移動したことで、目標音像120から聴取者201の左耳までの距離と目標音像120から聴取者201の右耳までの距離との距離差が大きくなり、図10に比べて相関時間τが大きい値で相関ピークが現れる。しかし、合成音源の相互相関関数の相関ピークの位置は、変わらない。これは、制御フィルタの導出過程で目標音像に関する項がないことに起因する。このように、本実施形態では、目標音像120の位置に応じて制御フィルタG1及びG2が導出されるのではなく、定位される音像の位置は、各スピーカの配置等に応じて変わる。
以上のように、本実施形態に係る音像定位装置においては、頭部伝達関数を測定することなく、画像表示装置150のサイズ及び各スピーカ110、111、112の配置といった幾何形状を使用して、目的の位置に音像を定位させるための制御フィルタG1、G2を容易に導出することができる。また、本実施形態の音像定位装置では、メインスピーカ110が筐体151の前面枠154の下端部に配置され、第1及び第2の補助スピーカ111、112が前面枠154の上端部にメインスピーカ110より中央側に配置され、これら第1及び第2の補助スピーカ111、112で、数式(19)に示す制御フィルタG1、G2で調整された音響信号を再生することで、音像を表示画面152上に定位させることができる。さらに、本実施形態に係る音像定位装置は、定位倍率nを入力する定位倍率入力部107を備え、外部から定位倍率nを変えることができることから、好みに合った定位感を聴取者が作ることができる。
(第2の実施形態)
図14は、第2の実施形態に係る音像定位装置を概略的に示している。図14の音像定位装置は、図2の音像定位装置をステレオスピーカシステムに適用したものである。図14において、図2に示した符号と同様の符号を同一部分に付し、符号に付された添え字L及びRは、夫々ステレオ音源の左側音源及び右側音源用であることを示している。定位倍率入力部107は、左側音源及び右側音源で共通であり、ユーザ(聴取者)によって設定された定位倍率nを第1制御フィルタ部103L、103R及び第2制御フィルタ部105L、105Rに入力する。
図14において、画像表示装置150のチューナ(図示せず)で復調されたテレビジョン放送信号に応じて、左音響信号が音響信号発生部101Lで発生され、右音響信号が音響信号発生部101Rで発生される。メインスピーカ110L、110R、第1の補助スピーカ111L、111R、及び第2の補助スピーカ112L、112Rは、画面中央に対して左右対称に、即ち、yz平面に対して対称に配置されている。これにより、左音響信号及び右音響信号の各々に対して生成される音像もまた、画面中央に対して左右対称の位置に定位されることとなり、その結果、ステレオ音源の再生時には、音像は、画面中央に定位される。これは、ステレオ音源を再生する一般的な画像表示装置において、左右の音量バランスを変えると、画面中央に定位していた音像が左右に移動するように感じるのと同様である。
以上のように、本実施形態に係る音像定位装置においては、第1の実施形態の音像定位装置をステレオスピーカシステムに適用することで、音像を画面中央に定位させることができる。さらに、本実施形態に係る音像定位装置は、定位倍率nを入力する定位倍率入力部107を備え、外部から定位倍率nを変えることができることから、好みに合った定位感をユーザが作ることができる。
(第3の実施形態)
図15は、第3の実施形態に係る音像定位装置を概略的に示している。図15の音像定位装置において、図2の音像定位装置と異なる点は、補助スピーカの数が1であること、及び予め設定された目標音像120に基づいて制御フィルタG1が算出されることである。
図15の音像定位装置は、音響信号を発生する音響信号発生部101、音響信号を増幅するアンプ部102、及びアンプ部102で増幅された音響信号を音に変換するメインスピーカ110を備えている。この音像定位装置は、制御フィルタGで音響信号の振幅及び位相を調整する制御フィルタ部103、制御フィルタ部103で調整された音響信号を増幅するアンプ部104、及びアンプ部104で増幅された音響信号を音に変換する補助スピーカ111をさらに備えている。図15の制御フィルタ部103が備える制御フィルタGは、図2の第1の制御フィルタ部103の制御フィルタG1とは異なっている。制御フィルタGは、定位倍率入力部107から入力された定位倍率nに依存する。制御後の左右の耳における音圧は、n倍になり、数式(22)に示すクロススペクトルηは、n倍増大し、即ち、定位強度がn倍増大する。
メインスピーカ110は、前面枠154の下端部の左端に配置され、補助スピーカ111は、前面枠154の上端の左側であって、メインスピーカ110より中央寄りに配置されている。即ち、表示パネル152を左右対称に分割するyz平面からメインスピーカ110までの距離dqは、xy平面から補助スピーカ111までの距離dQより大きい。目標音像120は、表示パネル152を含むxy平面上に設定される。一例として、目標音像120は、メインスピーカ110より上方且つ筐体151の外側に設定される。
聴取者201の左耳に到達する音圧信号は、メインスピーカ110からの主音と補助スピーカ111からの制御音との合成音の音圧で表すことができる。目標音像120の位置に音像を定位させるために、この合成音の音圧は、目標音像120から主音を出力した場合に左耳に到達する音圧に一致するように制御される。従って、メインスピーカ110から出力される音の強さqを基準とした左耳までの空間伝達特性Hは、下記数式(23)のように表される。同様に、聴取者の右耳に到達する音圧信号は、メインスピーカ110からの主音と補助スピーカ111からの制御音との合成音の音圧で表すことができる。目標音像120の位置に音像を定位させるために、この合成音の音圧は、目標音像120から主音を出力した場合に左耳に到達する音圧に一致するように制御される。従って、メインスピーカ110から出力される音の強さqを基準とした右耳までの空間伝達特性Hは、下記数式(24)のように表される。
Figure 0005330328
Figure 0005330328
ここで、LTq_Rは、目標音像120と聴取者201の右耳との間の直線距離を示し、LTq_Lは、目標音像120と聴取者201の左耳との間の直線距離を示す。また、Lq_Rは、メインスピーカ110と聴取者201の右耳との間の直線距離を示し、Lq_Lは、メインスピーカ110と聴取者201の左耳との間の直線距離を示し、LQ_Rは、補助スピーカ111と聴取者201の右耳との間の直線距離を示し、LQ_Lは、補助スピーカ111から聴取者の左耳までの直線距離を示す。なお、数式(23)及び数式(24)では、定位倍率nが1の場合を示しており、nが1でない場合は、数式(23)及び数式(24)の最も右の辺がn倍される。
数式(23)及び数式(24)から、制御フィルタGは、下記数式(25)のように導出される。
Figure 0005330328
ここで、Wは、メインスピーカ110から聴取者201の左耳までの伝達特性を示し、Wは、メインスピーカ110から聴取者201の右耳までの伝達特性を示し、Uは、補助スピーカ111から聴取者201の左耳までの伝達特性を示し、Uは、補助スピーカ111から聴取者201の右耳までの伝達特性を示す。数式(25)の制御フィルタGは、分母項がゼロになる場合があり、分母項がゼロになると、発散してしまう。分母項がゼロにならない条件は、以下の数式(26)となる。
Figure 0005330328
数式(26)は、言い換えると、(LTq_R+LQ_L)/Cの時刻における1/(LTq_R×LQ_L)のインパルス応答と、(LTq_L+LQ_R)/Cの時刻における1/(LTq_L×LQ_R)のインパルス応答とが一致しないことを意味する。ここで、Cは、音速を示す。従って、分母項がゼロにならない条件は、下記数式(27)及び数式(28)となる。
Figure 0005330328
Figure 0005330328
聴取者201の左右の耳は、画面中心に対して対称になるように設定されているが、目標音像120、メインスピーカ110及び補助スピーカ111は、画面中心から異なる距離だけ離間して配置されることから、数式(27)は満たされている。しかし、デジタル制御で表現すると、サンプリング周波数Δfが44.1(kHz)では、空間分解能は約0.7cmであることから、行路差ΔLが微小である場合、即ち、0.7>ΔL>0の場合、1タップ分インパルス応答ピークを実質的にずらすことができず、結果的に行路差ΔLがゼロと同じになる。従って、数式(25)の分母項がゼロにならない条件は、インパルス応答によるタップ差ΔNで表すと、下記数式(29)になる。
Figure 0005330328
従って、数式(29)を満たすように、補助スピーカ111及び目標音像120の位置を設定することで、有用な制御フィルタGを実現することができる。
次に、音像定位の強さについて説明する。
前述した図5のスピーカシステムのように、補助スピーカ511がメインスピーカ510の真上に配置され、この補助スピーカ511がメインスピーカ510と同じ振幅及び同じ位相の音を放射する場合、相関強度は、下記数式(30)のようになる。
Figure 0005330328
これに対して、図15の音像定位装置のように、補助スピーカ111がメインスピーカ110より中央側に配置される場合、補助スピーカ111の方がメインスピーカ110より聴取者201に近くに位置することになり、即ち、聴取者201までの直線距離が短くなる。その結果、制御音の距離減衰が小さくなり、空間伝達特性U、Uは、空間伝達特性W、Wより大きくなる。従って、図15の音像定位装置における相関強度は、下記数式(31)のように、数式(30)に示す相関強度よりも大きくなる。
Figure 0005330328
この強度は、補助スピーカ111と聴取者201との距離が小さくなるほど大きくなる。補助スピーカ111と聴取者201との距離が最小になるのは、補助スピーカ111が筐体151の前面枠154の上端部の中央に配置される場合、即ち、dQ=0となる場合である。従って、補助スピーカ111は、前面枠154の上端部の中央近くに、好ましくは前面枠154の上端部の中央に配置される。
補助スピーカ111が前面枠154の上端部の中央に配置される場合、補助スピーカ111から聴取者201の右耳までの直線距離LQ_Rは、補助スピーカ111から聴取者201の左耳までの直線距離LQ_Lと等しくなる。このとき、数式(25)は、下記数式(32)に変形される。この場合、目標音像120から聴取者201の右耳までの直線距離LTQ_Rと目標音像120から聴取者の左耳までの直線距離LTQ_Lとが等しくならないように、即ち、数式(29)を満たすように、目標音像120が画面中央から離間した位置に設定される必要がある。
Figure 0005330328
以上のように、本実施形態に係る音像定位装置は、第1の実施形態と同様の効果を有し、制御音源が1つであることから、第1の実施形態より容易に制御フィルタGを導出することができる。ただし、数式(29)に示すタップ差ΔNがゼロより大きいという条件を満たす必要がある。
(第4の実施形態)
図16は、第4の実施形態に係る音像定位装置を概略的に示している。図16の音像定位装置は、図15の音像定位装置をステレオスピーカシステムに適用したものである。図16において、図15に示した符号と同様の符号を同一部分に付し、符号に付された添え字L及びRは、夫々ステレオ音源の左側音源用及び右側音源用であることを示している。
図16では、画像表示装置150のチューナ(図示せず)で復調されたテレビジョン放送信号に応じて、左音響信号が音響信号発生部101Lで発生され、右音響信号が音響信号発生部101Rで発生される。メインスピーカ110L、110R及び補助スピーカ111L、111Rは、画面中央に対して左右対称に、即ち、yz平面に対して対称に配置されている。これにより、左音響信号及び右音響信号の各々に対して生成される音像もまた、画面中央に対して左右対称の位置に定位されることになり、その結果、ステレオ音源の再生時には、音像は、画面中央に定位される
以上のように、本実施形態に係る音像定位装置においては、第3の実施形態の音像定位装置をステレオスピーカシステムに適用することで、音像を画面中央に定位させることができる。さらに、本実施形態に係る音像定位装置は、定位倍率nを入力する定位倍率入力部107を備え、外部から定位倍率nを変えることができることから、好みに合った定位感をユーザが作ることができる。
(第5の実施形態)
図2を参照して、第5の実施形態に係る音像定位装置を説明する。第5の実施形態は、第1の実施形態と同様の構成を有している。第1の実施形態と異なる点は、評価点の数Nが1であることであり、これにより導出される制御フィルタG1、G2が異なる。
前述したように、聴取者の左耳に到達する音圧信号Pは、下記数式(33)のように、メインスピーカ110並びに第1及び第2の補助スピーカ111、112からの合成音の音圧で表すことができる。同様に、聴取者の右耳に到達する音圧信号Pは、下記数式(34)のように、メインスピーカ110並びに第1及び第2の補助スピーカ111、112からの合成音の音圧で表すことができる。
Figure 0005330328
Figure 0005330328
ここで、Wは、メインスピーカ110の音源中心から聴取者201の左耳までの伝達特性を示し、メインスピーカ110の音源中心と聴取者201の左耳との間の直線距離LWLで決まり、Wは、メインスピーカ110の音源中心から聴取者201の右耳までの伝達特性を示し、メインスピーカ110の音源中心と聴取者201の右耳との間の直線距離LWRで決まる。また、UL1は、第1の補助スピーカ111の音源中心から聴取者201の左耳までの伝達特性を示し、第1の補助スピーカ111の音源中心と聴取者201の左耳との間の直線距離LUL1で決まり、UL2は、第2の補助スピーカ112の音源中心から聴取者201の左耳までの伝達特性を示し、第2の補助スピーカ112の音源中心と聴取者201の左耳との間の直線距離LUL2で決まる。UR1は、第1の補助スピーカ111の音源中心から聴取者201の右耳までの伝達特性を示し、第1の補助スピーカ111の音源中心と聴取者201の右耳との間の直線距離LUR1で決まり、UR2は、第2の補助スピーカ112の音源中心から聴取者201の右耳までの伝達特性を示し、第2の補助スピーカ112の音源中心と聴取者201の右耳との間の直線距離LUR2で決まる。
数式(33)及び数式(34)の制御後の合成音圧が夫々数式(10)及び数式(11)の基準音圧と比較してn倍に増幅したと仮定すると、下記数式(35)及び数式(36)が導出される。
Figure 0005330328
Figure 0005330328
数式(35)及び数式(36)を制御フィルタG1及びG2について解くと、下記数式(37)が導出される。
Figure 0005330328
このように、評価点の数Nが1である場合、偏微分せずに制御フィルタG1及びG2を導出することができる。ただし、数式(37)から分かるように、制御フィルタG1及びG2の分母項が(UL1×UR2−UL2×UR1)と、伝達特性の差で表される。従って、分母項がゼロにならないように、第1及び第2の補助スピーカ111、112の位置を設定する必要があり、この条件は、下記数式(38)のように、タップ差ΔNが0より大きくなることである。
Figure 0005330328
これにより、制御後の左右の耳における音圧は、n倍になり、数式(22)に示すクロススペクトルηは、n倍増大し、即ち、定位強度がn倍増大する。
以上のように、第5の実施形態に係る音像定位装置においては、第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、補助スピーカ及び目標音像の配置に制約が課されるが、制御フィルタGの算出がさらに容易になる。
なお、第2の実施形態で第1の実施形態をステレオスピーカシステムに適用する例を説明したが、第5の実施形態に係る音像定位装置も同様にステレオスピーカシステムに適用することができる。
(第6の実施形態)
図17は、第6の実施形態に係る音像定位装置を概略的に示している。図17の音像定位装置は、図15の音像定位装置から定位倍率入力部107が消去されており、図15の定位倍率装置において、定位倍率nを1に固定したものに対応する。本実施形態では、目標音像120は、補助スピーカ111の下方の表示パネル152上に設定されている。制御フィルタGは、数式(25)のように算出され、ただし、数式(29)を満たす必要がある。
一例として、数式(25)及び数式(29)に示されるような、目標音像120と聴取者201の右耳との間の直線距離LTq_R、目標音像120と聴取者201の左耳との間の直線距離LTq_L、メインスピーカ110と聴取者201の右耳との間の直線距離Lq_R、メインスピーカ110と聴取者201の左耳との間の直線距離Lq_L、補助スピーカ111と聴取者201の右耳との間の直線距離LQ_R、及び補助スピーカ111から聴取者の左耳までの直線距離LQ_Lは、下記数式(39)のように導出される。
Figure 0005330328
ここで、Hは、画像表示装置150の高さを示し、例えば、筐体151の高さを示す。或いは、高さHは、メインスピーカ110の音源中心と補助スピーカ111の音源中心との高さ方向の距離(y軸に沿った距離)であってもよく、表示パネル152の高さであってもよい。また、dは、メインスピーカ110の音源中心と画面中心との間の幅方向の距離を示し、dは、補助スピーカ111の音源中心と画面中心との間の幅方向の距離を示し、deは、両耳間距離の半分の値を示す。
図18は、メインスピーカ110及び補助スピーカ111を含む合成音源の相互相関関数の計算結果の一例を示している。図18に示されるように、合成音源の相互相関関数の相関ピークを示す相関時間が目標音像の相互相関関数の相関ピークを示す相関時間と一致しており、従って、目的の位置に音像が定位していることがわかる。
図19は、数式(29)のタップ差ΔNと聴取距離Rとの関係を示している。図19に示すように、聴取距離Rによってはタップ差ΔNがゼロになる場合がある。聴取距離Rは、画像表示装置150のサイズによって、所定範囲に含まれる値に決定される。従って、決定された値によっては、タップ差ΔNがゼロになり、或いは、ゼロに近づく場合がある。一例として、聴取距離Rが1.2mのときに、タップ差ΔNがゼロになる。聴取距離Rを1.2mとして、制御フィルタGを計算した結果は、図20A及び図20Bに示されている。図20Aは、ゲインの周波数特性を示し、図20Bは、位相角の周波数特性を示す。ただし、制御フィルタGを離散的な扱いで計算していないため、分母項がゼロにならない。図20Aに示されるように、ゲインは、発散こそしていないが、約60dBも増加している。これに対して、タップ差ΔNが1である場合における制御フィルタGの計算結果を図21A及び図21Bに示す。図21Aに示されるように、数式(29)を満たす場合には、略平坦な周波数特性が得られている。
以上のように、本実施形態に係る音像定位装置は、頭部伝達関数を用いることなく、画像表示装置のサイズ、スピーカの配置及び目標音像の位置等の幾何学形状から制御フィルタを容易に導出することができ、さらに、制御フィルタを導出する式に目標音像の位置に関する項が含まれることから、目的の位置に音像を定位させることができる。
(第7の実施形態)
図17及び図22を参照して、第7の実施形態に係る音像定位装置を説明する。第7の実施形態は、図17に示した第6の実施形態と同様の構成を有する。第7の実施形態では、数式(29)の条件を満たすために、即ち、制御フィルタGの分母項がゼロになるのを回避するために、表示パネル152から聴取者の左耳までの距離と表示パネル152から聴取者の右耳までの距離とが異なるように設定される。一例として、図22に示されるように、表示パネル152から聴取者201の左耳までの距離がRに設定され、表示パネル152から聴取者201の右耳までの距離がR+rに設定される。このrは、例えば0.1mである。この場合、数式(39)は、下記数式(40)のように変形される。
Figure 0005330328
図23は、左耳と表示パネル152との間の距離と、右耳と表示パネル152との間の距離とが異なるように設定された場合において、数式(29)のタップ差ΔNと聴取距離Rとの関係を示している。図23を図19と比較すると、タップ差ΔNがゼロになる聴取距離Rの範囲が低減しているのがわかる。例えば、聴取距離Rが1.5mのとき、図19では、タップ差ΔNはゼロであるが、図23では、タップ差ΔN=1である。
以上のように、本実施形態に係る音像定位装置においては、左耳と表示パネル152との間の距離と、右耳と表示パネル152との間の距離とが異なるように設定することで、数式(29)の条件を満たす聴取距離Rの範囲が大きくなり、従って、制御フィルタGの分母項がゼロになることを回避することができる。これにより、有用な制御フィルタGを容易に導出することができる。さらに、制御フィルタを導出する式に目標音像の位置に関する項が含まれることから、目的の位置に音像を定位させることができる。
(第8の実施形態)
図17及び図24を参照して、第8の実施形態に係る音像定位装置を説明する。第8の実施形態は、図17に示した第6の実施形態と同様の構成を有する。本実施形態では、聴取距離Rが筐体151の高さHによって規定されると想定し、筐体151のサイズ及びスピーカ110、111の位置に基づいて制御フィルタGが決定される。
一般に、限界視聴距離は、画面の高さに対して、3.18倍とされ、画面の高さの3倍が最適視聴距離とされている。画面の高さが0.7mである場合、視聴距離は、2.1m〜2.226mである。制御フィルタGの導出に必要な聴取距離Rは、スピーカの位置によって決まる距離であるが、筐体151が奥行きの小さな箱型に形成されている画像表示装置においては、スピーカは、一般に、筐体151の前面枠(即ち、ベゼル)154に配置され、従って、メインスピーカ110と補助スピーカ111との高さ方向の距離は、筐体151の高さH(又は表示パネル152の高さ)と等しいと見なすことができる。従って、聴取距離Rを筐体151の高さHの3倍とすると、数式(39)は、数式(41)のように変形される。
Figure 0005330328
ここで、図24に示されるように、Wは、筐体151の幅を示し、dsは、筐体151の左端から補助スピーカ111の音源中心及び目標音像120までの幅方向の距離を示し、dpは、筐体151の左端からメインスピーカ110までの幅方向の距離を示す。数式(41)の距離LTq_R、LTq_L、Lq_R、Lq_L、LQ_R及びLQ_Lを使用して、数式(25)の制御フィルタGを導出することにより、補助スピーカ111がメインスピーカ110の真上に対向配置されない条件(dp≠ds)の下でも、補助スピーカ111の真下の画面中央付近に音像を定位させることができる。
以上のように、本実施形態に係る音像定位装置においては、画像表示装置150のサイズ並びにメインスピーカ110、補助スピーカ111及び目標音像の位置に基づいて、数式(25)の制御フィルタGを容易に導出することができる。第6の実施形態と同様に、本実施形態に係る音像定位装置は、導出した制御フィルタGを使用して、目的の位置に音像を定位させることができる。
(実施例)
本発明者らは、上述した実施形態の制御フィルタの妥当性を検証するために、実施例に係る音像定位装置に対して、数値計算及び実験を実施している。実施例1の音像定位装置は、第6の実施形態に基づいている。即ち、実施例1の音像定位装置は、図17に示されるように、音響信号発生部101、アンプ部102、メインスピーカ(主音源)110、制御フィルタ部103、アンプ部104、補助スピーカ(制御音源)111を備え、メインスピーカ110が表示パネル152の下方に配置され、補助スピーカ111が表示パネル152の上方に配置されている。
実施例1の音像定位装置は、42型の液晶テレビを想定して、図25に示すように、幅Wを1.0m、高さHを0.7m、聴取距離Rを1.5m、両耳間距離を0.3mとしている。また、サンプリング周波数Δfが44.1kHzである音響信号として、周波数特性が均一の白色雑音を使用している。また、メインスピーカ110の音源中心と画面中心との間の幅方向の距離dを0.5m、補助スピーカ111の音源中心と画面中心との間の幅方向の距離dを0.3m、両耳間の距離(2×de)を0.3mとする。
図26は、目標音像及び主音源の相互相関関数の計算結果を示す。図26において、目標音像及び主音源の相互相関関数は、正規化されており、目標音像の相互相関関数は破線で示され、主音源の相互相関関数は実線で示されている。目標音像の相互相関関数は、相関時間τ=0.158(msec)(7タップ分に相当する。)に相関ピークが現れ、音速(C=340m/s)を乗じて得られる行路差ΔL=5.4(cm)が、目標音像120の位置から右耳までの距離と目標音像120の位置から左耳までの距離との差分に相当する。これに対して、主音源の相互相関関数は、相関時間τ=0.272(msec)(12タップ分に相当する。)に相関ピークが現れ、行路差ΔL=9.3(cm)と求まる。従って、図26から、目標音像120とメインスピーカ110の位置は明らかに異なることがわかる。
比較例1の音像定位装置では、図27に示されるように、目標音像120は、画面中心Oから0.3m左に離れた位置に、即ち、x=−0.3[m]、y=0[m]に設定されている。図28A及び図28Bは、表示パネル152(xy平面)を観測面としたときの目標音像の相関強度分布を示し、図29A及び図29Bは、表示パネル152を観測面としたときの主音源の相関強度分布を示す。図28B及び図29Bの分布図の横軸は、画面の幅Wに対応し、縦軸は、画面の高さHに対応する。図28A及び図29Aは、夫々、高さ方向に相関強度レベル(dB)を取って、図28B及び図29Bを三次元的に表示している。
目標音像の相関強度分布は、図28Bに示されるように、丸で示した目標音像120の位置を含む上下方向(y軸方向)のラインに沿って相関ピークが分布している。図28Aを参照しても、目標音像120の位置で相関強度が特に大きくなっているわけではないことがわかる。主音源の相関強度分布も同様であり、図29Aに示されるように、丸で示したメインスピーカ110の位置を含む上下方向のラインに沿って相関ピークが分布し、図29Bに示されるように、メインスピーカ110の位置で相関強度が特に大きくなっているわけではない。
相関ピークが上下方向のラインに沿って分布する理由は、図26に現れた相関ピークの時間差分に相当する両耳間の行路差ΔLが、左右方向に比べて、上下方向は差異が生じにくいためである。これは、聴取者201の両耳が画面の左右方向に沿って位置していることに起因する。
次に、発明者らは、比較例2として、図30Aに示すように、前面枠154の左上隅に補助スピーカ111を配置し、前面枠154の左下隅にメインスピーカ110を配置し、これらメインスピーカ110及び補助スピーカ111から同じ振幅及び位相の音響信号を同時に出力する場合に、聴取者201の両耳に到達する音圧による相互相関関数を計算している。この計算結果は、図30B、図30C及び図30Dに示されている。図30B及び図30Cに示されるように、相関ピークは、メインスピーカ110及び補助スピーカ11の位置を含む上下方向のラインに沿って分布し、即ち、表示パネル152の左端に沿って分布している。また、図30Dに示されるように、比較例1の合成音源の相関ピークと、目標音源の相関ピークが一致していない。これらから、補助スピーカ111をメインスピーカ110の真上に配置し、メインスピーカ110と補助スピーカ111とで同じ振幅及び位相の信号を同時に出力しただけでは、目標音像120の位置に音像を定位させることができないことがわかる。
また、比較例2において、補助スピーカ111を前面枠154の右下隅に配置した場合、メインスピーカ110及び補助スピーカ111は、一般的なステレオ音源の形態になる。この場合、両耳に到達するメインスピーカ110及び補助スピーカ111からの合成音圧信号は、同じ振幅及び同じ位相になることから、音像は、画面中央に強く定位する。図30Aに示すように上下方向にメインスピーカ110及び補助スピーカ111が配置される場合に音像が画面中央に強く定位しないのは、前述したように、聴取者201の左右の耳が左右方向に沿って位置するからである。
実際に図30Aに示すスピーカ配置で音を聴いた場合、発明者らは、図30B及び図30Cに示した相関強度分布のように、上下方向にぼけたように音像を知覚した。しかし、頭部を90度傾けて、左右の耳が上下方向に沿って配置されるようにすると、発明者らは、ステレオ聴取時のように、音像が画面中央に定位しているように知覚した。
さらに、発明者らは、比較例3として、図31Aに示すように、メインスピーカ110の配置を変えずに、補助スピーカ111を画面中央側にずらし、目標音像位置の真上に対応する画面中央から0.3mの位置に設置して、メインスピーカ及び補助スピーカからの合成音の相関強度分布を計算している。このように、比較例2は、実施例1と同じスピーカ配置である。ただし、比較例2における相関強度分布の計算においても、メインスピーカ110と補助スピーカ111とで同じ振幅及び位相の音響信号を同時に出力する。この計算結果は、図31B及び図31Cに示されている。図31B及び図31Cからは、音像が画面中央から左方向に0.1m離れた位置に定位し、相関ピークが目標音像120とは異なった位置に定位していることがわかる。従って、補助スピーカ111が目標音像120の真上に、即ち、同じ水平方向位置(x座標)に配置されても、メインスピーカ110と補助スピーカ111とで同じ振幅及び位相の信号を同時に出力しただけでは、目的の位置に音像を定位させることができない。
さらに、発明者らは、図32Aに示される実施例1に従う合成音源の相互相関関数を計算している。実施例1では、メインスピーカ110が前面枠154の左下隅に配置され、補助スピーカ111が前面枠154の上端部の画面中央から左に0.3mの位置に配置され、メインスピーカ110で音響信号が再生され、補助スピーカ111で数式(25)の制御フィルタでフィルタリングされた音響信号が再生される。図32B及び図32Cに示す相関強度分布においても、目標音像120を含む上下方向のラインに沿って相関ピークが現れている。従って、比較例2と比較して、制御フィルタリングの効果が現れていることがわかる。ただし、図32Bを参照すると、目標音像120の位置における相関強度レベル(dB)はあまり強くはない。これは、聴取者201の左右の耳が水平方向に沿って位置していることに起因し、制御フィルタGの導出過程において、空間伝達関数が距離に応じて決まるものと仮定しており、このとき相関評価も距離の差で決まるため、それ以上に分解能をあげることができないためである。
さらに、実施例1の合成音源の相互相関関数の計算結果は、図33に示されている。図33に示すように、制御後の合成音源の最大相関ピークの両側に相関ピークが現れるが、音像定位に強く影響する最大相関ピークは、目標音像120の位置と合致している。
これらから、実施例1の音像定位装置が目的の位置に音像を定位させることができることがわかる。
次に、制御フィルタGが補助スピーカ111の真下に音像を定位させる働きがあることを検証するために、発明者らは、実施例2として、図34Aに示すように、目標音像120の位置を画面中心から左に0.2mの位置に設定し、制御フィルタGを算出して、相関強度分布を計算している。この場合、補助スピーカ111は前面枠154の上端部であって、中央から左に0.2mの位置に配置される。この計算結果は、図34B及び図34Cに示される。図34B及び図35Cにおいて、目標音像120の位置を含む上下方向のラインに沿って、相関ピークが分布しており、目標音像120の位置を変えても、補助スピーカ111の真下に音像が定位されていることがわかる。
実施例1による音像定位の有意性を示すために、聴取者201が画面に対して横向きの状態である場合における相関強度分布を、図35Aから図37Cを参照して説明する。図35B及び図35Cは、図35Aに示すような目標音像120が画面中心Oから左に0.3m離間して配置される場合における目標音像の相関強度分布を示し、図36B及び図36Cは、図36Aに示すようなメインスピーカ110が前面枠154の左下隅に配置される場合における主音源の相互相関強度分布を示す。また、図37B及び図37Cは、図37Aに示すような実施例1に従ってメインスピーカ110及び補助スピーカ111が配置される場合において、メインスピーカ110及び補助スピーカ111を含む合成音源の相互相関強度分布を示している。ここで、図37Aに示す補助スピーカ111からの音圧信号は、数式(25)の制御フィルタGに従って振幅及び位相が調整されている。図36B及び図36Cに示されるように、メインスピーカ110が生成する音像は、メインスピーカ110の位置を含む画面の隅に定位されるが、図37B及び図37Cに示される制御後の合成音源が生成する音像は、図35B及び図35Cに示される目標音像120と合致していることがわかる。
次に、実施例3として、図38及び図39に示すような大型テレビを想定した木製モックアップを使用して計測試験を実施した結果を説明する。このモックアップでは、筐体151の幅が1.113mであり、筐体の高さが0.705mであり、表示パネル152の幅が1.02mであり、スタンド153の高さが0.05mである。また、メインスピーカ110は、長径が0.14で短径が0.022mの楕円スピーカである。表示パネル152の幅は1.02mであり、メインスピーカ110の音源中心と画面中心との幅方向の距離は0.44mである。補助スピーカ111の音源中心と画面中心との幅方向の距離は0.3mであり、目標音像120と画面中心との幅方向の距離は0.3mである。さらに、メインスピーカ110の音源中心と補助スピーカ111の音源中心の高さ方向の距離は0.66mである。制御フィルタGは、前述の数式(25)に従って算出される。
実施例2の測定試験では、図40に示すように、ダミーヘッド4000がモックアップ150の正面に配置され、ダミーヘッド4000の両耳内に取り付けられたマイクロホン4001L、4001Rで音圧を検出している。検出された音圧信号は、レコーダ4002で録音され、レコーダ4002から出力された音圧信号に基づいて、相関器4003で相互相関関数が算出される。
初めに、目標音像120の位置に楕円スピーカ(図示せず)が固定され、目標音像120の相互相関関数が計測される。続いて、この楕円スピーカがはずされ、メインスピーカ110を単独で鳴らして相互相関関数が計測され、さらに、メインスピーカ110と補助スピーカ111を同時に鳴らして相互相関関数が計測される。音響信号として白色雑音(0〜20kHz)を用いた場合の相互相関関数の計測結果は、図41に示される。図41において、目標音像の相互相関関数が破線で示され、主音源の相互相関関数が点線で示され、制御後の合成音源の相互相関関数が実線で示されている。定位に強く影響する最大相関ピークに着目すると、主音源の最大相関ピークは、目標音像の最大相関ピークとずれているが、制御後の合成音源の最大相関ピークは、目標音像の最大相関ピークと略合致している。発明者らは、制御後の音を実際に視聴したところ、目標音像120の位置に音像を知覚することができた。
図38及び図39に示すモックアップ寸法において、制御後の合成音源の相互相関関数を計算した結果を図42に示す。図42には、目標音像120の相互相関関数、及び主音源の相互相関関数の計算結果がさらに示されている。図42においては、相互相関関数は正規化されている。実測及び計算結果ともに、制御後の最大相関ピークの位置(音像位置)は、目標音像120と略合致している。また、主音源の相関ピークと合成音源の相関ピークの移動した時間幅も略合致している。実測及び計算結果を比較して相関ピークを示す相関時間が約0.05ミリ秒(msec)ずれているのは、実測における耳位置が計算における耳位置から多少ずれたためである。なお、耳位置が1cmずれると、相関時間が約0.03ミリ秒ずれる。
次に、音響信号としてサンプリング周波数が44.1kHzの音楽信号を使用して、相互相関関数を計測した結果を図43に示す。図43には、主音源及び合成音源の相互相関関数とともに、制御音源の相互相関関数の実測結果が示されている。ここで、制御音源の相互相関関数は、フィルタリングされた音響信号を補助スピーカ111で再生したときに得られる相互相関関数の実測結果を指す。図43において、主音源の相互相関関数相互相関関数は破線で示され、制御音源の相互相関関数は点線で示され、制御後の合成音源の相互相関関数は実線で示されている。図43からは、合成音源の最大相関ピークは、主音源の最大相関ピークより原点に近づき、目標音像120の最大相関ピークに近づき、その大きさもこれら3つの中で最大となっていることがわかる。
発明者らは、音響信号として音楽信号を使用した制御後の合成音を実際に聴いたところ、目標音像120の位置にあたかもスピーカが置かれているかのように、白色雑音以上にはっきりと音像を知覚することができた。なお、白色雑音と比べて、相関ピークが周期性を呈しているのは、周波数特性が均一な白色雑音に比べて音楽信号では、特定の周波数帯域が強調されるためであり、評価した時刻の周波数特性が現れている。
上述した実施形態及び実施例によれば、目的の位置に音像を定位させることができる音響定位装置が提供される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
101…音響信号発生部、102,103,106…アンプ部、103,105…制御フィルタ部、107…定位倍率入力部、110…メインスピーカ、111,112…補助スピーカ、150…画像表示装置、151…筐体、152…表示パネル、153…スタンド、154…前面枠、155…開口部。

Claims (8)

  1. 映像を表示する表示パネルを収容し、当該表示パネルが外部に露出される開口部が形成されている前面枠を有する筐体と、
    第1の音響信号を発生する第1の信号発生部と、
    前記表示パネル前記前面枠に配置され、前記第1の音響信号を第1の音に変換する第1スピーカと、
    定位倍率nを入力する定位倍率入力部と、
    前記第1の音響信号を、前記定位倍率nに応じて算出される数式(101)に示される第1制御フィルタG1で調整して、第2の音響信号を出力する第1制御フィルタ部と、
    前記表示パネル前記前面枠に配置され、前記第2の音響信号を第2の音に変換する第2スピーカと、
    前記第1の音響信号を、前記定位倍率nに応じて算出される数式(102)に示される第2制御フィルタG2で調整して、第3の音響信号を出力する第2制御フィルタ部と、
    前記第2スピーカと並列に、前記表示パネル前記前面枠に配置され、前記第3の音響信号を第3の音に変換する第3スピーカと、
    を具備することを特徴とする音像定位装置。
    Figure 0005330328

    Figure 0005330328

    Liは、前記第1スピーカの音源中心と第i左耳位置との間の直線距離で決まる伝達特性を示し、WRiは、前記第1スピーカの前記音源中心と第i右耳位置との間の直線距離で決まる伝達特性を示し、ULi1は、前記第2スピーカの音源中心と前記第i左耳位置との間の直線距離で決まる伝達特性を示し、URi1は、前記第2スピーカの前記音源中心と前記第i右耳位置との間の直線距離で決まる伝達特性を示し、ULi2は、前記第3スピーカの音源中心と前記第i左耳位置との間の直線距離で決まる伝達特性を示し、URi2は、前記第3スピーカの前記音源中心と前記第i右耳位置との間の直線距離で決まる伝達特性を示す。
  2. 第4の音響信号を発生する第2の信号発生部と、
    前記表示パネルの中心を通り且つ前記表示パネルに直交する仮想平面に関して、前記第1スピーカと対称に前記前面枠に配置され、前記第4の音響信号を第4の音に変換する第4スピーカと、
    前記第4の音響信号を、前記定位倍率nに応じて算出される数式(101)に示される第1制御フィルタG1で調整して、第5の音響信号を出力する第3制御フィルタ部と、
    前記仮想平面に関して前記第2スピーカと対称に前記前面枠に配置され、前記第5の音響信号を第5の音に変換する第5スピーカと、
    前記第4の音響信号を、前記定位倍率nに応じて算出される数式(102)に示される第2制御フィルタG2で調整して、第6の音響信号を出力する第6制御フィルタ部と、
    前記仮想平面に関して前記第3スピーカと対称に前記前面枠に配置され、前記第6の音響信号を第6の音に変換する第6スピーカと、
    をさらに具備し、
    前記第1及び第4の音響信号がステレオ信号に対応することを特徴とする請求項1に記載の音像定位装置。
  3. 映像を表示する表示パネルを収容し、当該表示パネルが外部に露出される開口部が形成されている前面枠を有する筐体と、
    第1の音響信号を発生する第1の信号発生部と、
    前記表示パネル前記前面枠に配置され、前記第1の音響信号を第1の音に変換する第1スピーカと、
    定位倍率nを入力する定位倍率入力部と、
    数式(103)を満たす条件下で前記定位倍率nに応じて算出される数式(104)に示される制御フィルタGで、前記第1の音響信号を調整して、第2の音響信号を出力する第1制御フィルタ部と、
    前記表示パネル前記前面枠に配置され、前記第2の音響信号を第2の音に変換する第2スピーカと、
    を具備することを特徴とする音像定位装置。
    Figure 0005330328

    Figure 0005330328

    ここで、LTq_Rは、目標音像と聴取者の右耳との間の直線距離を示し、LTq_Lは、前記目標音像と前記聴取者の左耳との間の直線距離を示し、Lq_Rは、前記第1スピーカの音源中心と前記右耳との間の直線距離を示し、Lq_Lは、前記第1スピーカの前記音源中心と前記左耳との間の直線距離を示し、LQ_Rは、前記第2スピーカの音源中心と前記右耳との間の直線距離を示し、LQ_Lは、前記第2スピーカの前記音源中心と前記左耳までの直線距離を示し、ΔNはタップ差を示し、kは波数を示し、jは虚数を示し、Cは音速を示し、Δfは前記第1の音響信号のサンプリング周波数を示す。
  4. 第3の音響信号を発生する第2の信号発生部と、
    前記表示パネルの中心を通り且つ前記表示パネルに直交する仮想平面に関して、前記第1スピーカと対称に前記前面枠に配置され、前記第3の音響信号を第3の音に変換する第3スピーカと、
    数式(103)を満たす条件下で前記定位倍率nに応じて算出される数式(104)に示される制御フィルタGで、前記第3の音響信号を調整して、第4の音響信号を出力する第2制御フィルタ部と、
    前記仮想平面に関して前記第2スピーカと対称に前記前面枠に配置され、前記第4の音響信号を第4の音に変換する第4スピーカと、
    をさらに具備し、
    前記第1及び第3の音響信号がステレオ信号に対応することを特徴とする請求項3に記載の音像定位装置。
  5. 映像を表示する表示パネルを収容し、当該表示パネルが外部に露出される開口部が形成されている前面枠を有する筐体と、
    第1の音響信号を発生する第1の信号発生部と、
    前記表示パネル前記前面枠に配置され、前記第1の音響信号を第1の音に変換する第1スピーカと、
    定位倍率nを入力する定位倍率入力部と、
    数式(105)を満たす条件下で前記定位倍率nに応じて算出される数式(106)に示される第1制御フィルタG1で、前記第1の音響信号を調整して、第2の音響信号を出力する第1制御フィルタ部と、
    前記表示パネル前記前面枠に配置され、前記第2の音響信号を第2の音に変換する第2スピーカと、
    数式(105)を満たす条件下で前記定位倍率nに応じて算出される数式(106)に示される第2制御フィルタG2で、前記第1の音響信号を調整して、第3の音響信号を出力する第2制御フィルタ部と、
    前記第2スピーカと並列に、前記表示パネル前記前面枠に配置され、前記第3の音響信号を第3の音に変換する第3スピーカと、
    を具備することを特徴とする音像定位装置。
    Figure 0005330328

    Figure 0005330328

    ここで、Wは、前記第1スピーカの音源中心と聴取者の左耳との間の直線距離で決まる伝達特性を示し、Wは、前記第1スピーカの前記音源中心と前記聴取者の右耳との間の直線距離で決まる伝達特性を示し、UL1は、前記第2スピーカの前記音源中心と前記左耳との間の直線距離LUL1で決まる伝達特性を示し、UR1は、前記第2スピーカの前記音源中心と前記右耳との間の直線距離LUR1で決まる伝達特性を示し、UL2は、前記第3スピーカの音源中心と前記左耳との間の直線距離LUL2で決まる伝達特性を示し、UR2は、前記第3スピーカの前記音源中心と前記右耳との間の直線距離LUR2で決まる伝達特性を示し、ΔNはタップ差を示し、Cは音速を示し、Δfは前記第1の音響信号のサンプリング周波数を示す。
  6. 映像を表示する表示パネルを収容し、当該表示パネルが外部に露出される開口部が形成されている前面枠を有する筐体と、
    第1の音響信号を発生する第1の信号発生部と、
    前記表示パネル前記前面枠に配置され、前記第1の音響信号を第1の音に変換する第1スピーカと、
    数式(107)を満たす条件下で算出される数式(108)に示される制御フィルタGで、前記第1の音響信号を調整して、第2の音響信号を出力する第1制御フィルタ部と、
    前記表示パネル前記前面枠に配置され、前記第2の音響信号を第2の音に変換する第2スピーカと、
    を具備することを特徴とする音像定位装置。
    Figure 0005330328

    Figure 0005330328

    ここで、LTq_Rは、目標音像と聴取者の右耳との間の直線距離を示し、LTq_Lは、前記目標音像と前記聴取者の左耳との間の直線距離を示し、Lq_Rは、前記第1スピーカの音源中心と前記右耳との間の直線距離を示し、Lq_Lは、前記第1スピーカの前記音源中心と前記左耳との間の直線距離を示し、LQ_Rは、前記第2スピーカの音源中心と前記右耳との間の直線距離を示し、LQ_Lは、前記第2スピーカの前記音源中心と前記左耳までの直線距離を示し、ΔNはタップ差を示し、kは波数を示し、jは虚数を示し、Cは音速を示し、Δfは前記第1の音響信号のサンプリング周波数を示す。
  7. 映像を表示する表示パネルを収容し、当該表示パネルが外部に露出される開口部が形成されている前面枠を有する筐体と、
    第1の音響信号を発生する第1の信号発生部と、
    前記表示パネルの前記前面枠に配置され、前記第1の音響信号を第1の音に変換する第1スピーカと、
    定位倍率を入力する定位倍率入力部と、
    前記第1の音響信号を第1制御フィルタで調整して、第2の音響信号を出力する第1制御フィルタ部と、
    前記表示パネルの前記前面枠に配置され、前記第2の音響信号を第2の音に変換する第2スピーカと、
    前記第1の音響信号を第2制御フィルタで調整して、第3の音響信号を出力する第2制御フィルタ部と、
    前記第2スピーカと並列に、前記表示パネルの前記前面枠に配置され、前記第3の音響信号を第3の音に変換する第3スピーカと、
    を具備し、
    前記第1制御フィルタ及び前記第2制御フィルタは、聴取者の左耳に到達する、前記第1の音、前記第2の音、及び前記第3の音を含む合成音の音圧が第1基準音圧を前記定位倍率だけ増幅した音圧に等しく、且つ、前記聴取者の右耳に到達する前記合成音の音圧が第2基準音圧を前記定位倍率だけ増幅した音圧に等しくなるように、算出されることを特徴とする音像定位装置。
  8. 前記第1基準音圧は、前記左耳に到達する前記第1の音の音圧の2倍に等しく、前記第2基準音圧は、前記右耳に到達する前記第1の音の音圧の2倍に等しい、ことを特徴とする請求項7に記載の音像定位装置。
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