JP5327417B2 - 流動層反応器 - Google Patents
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Description
この流動層反応器では、通常は粒子流動層の上方から固体反応物を供給するようにしている。
しかしながら、固体反応物の熱分解ガス化のような化学反応に対しては固体反応物と粒子との接触の機会を極力多くするのがよく、固体反応物を粒子流動層内に供給する技術が開発されている。このようにすれば、固体反応物の外部への飛び出しを抑え、固体反応物の化学反応を良好に促進することが可能である(非特許文献1等参照)。
In Research in Thermochemical Biomass Conversion, A. V. Bridgewater, J. L. Kuester, Eds., Elsevier Applied Science: London, p.384-397(1988)
しかしながら、固体反応物をガス搬送したり粒子流動層内に押し込んだりする方法は、粒子流動層の上方から固体反応物を供給する方法に比べ、共に粒子流動層の層内圧及び流動変動による抵抗を受け易いという問題がある。そして、このような抵抗を克服するためには固体反応物を極めて高速、高圧で供給しなければならず、高速ガスや高圧の押圧力を発生するための大掛かりな装置が必要となり好ましいことではない。
また、請求項3の流動層反応器では、請求項1において、前記外殻は上面と側面とを有し、前記仕切壁は、前記上面から前記外殻内の空間を下方に向けて延びていることを特徴とする。
従って、固体反応物を粒子流動層の層内圧及び流動変動による抵抗を受けることなく粒子流動層内に確実に供給するようにでき、簡単な構成でありながら、固体反応物と粒子流動層との接触の機会を増やし、固体反応物の熱分解ガス化等の所定化学反応を促進することができる。
請求項3の流動層反応器によれば、仕切壁は外殻の上面から外殻内の空間を下方に向けて延びているので、供給区域の上方に粒子流動層の粒子の止まりが生じないようにして固体反応物の熱分解ガス化等の所定化学反応を促進することができる。
先ず、第1実施例を説明する。
図1を参照すると、本発明の第1実施例に係る流動層反応器の概略構成図が示されている。
図1に示すように、流動層反応器1は、ハウジング(外殻)10内に収容された高温の媒体粒子(砂等のベッド材であり、以下、単に高温の粒子または粒子ともいう)からなる粒子流動層(以下、単に流動層ともいう)12に固体反応物(石炭、バイオマス等)を供給するとともにガス反応剤(スチーマ、CO2等)を供給し、上記高温の粒子の熱により固体反応物の熱分解ガス化(所定化学反応の一つであって、以下、単にガス化ともいう)を行う装置であり、固体反応物のガス化により生成された生成ガス(製品ガス)が当該流動層反応器1の上部から取り出されるよう構成されている。
そして、上記高温の媒体粒子については、仕切壁14の下端よりも高い位置まで達するようにハウジング10内に装填されている。つまり、当該流動層反応器1では、流動層12は当該流動層12の表面の位置が仕切壁14の下端の位置よりも上方となるようハウジング10内に収容されている。
このように供給区域16の圧力P2が反応区域18の圧力P1よりも高圧となると、差圧により、同図に高低差hを示すように、流動層12のうち供給区域16側の表面の位置が下がる一方、反応区域18側の表面の位置が上昇することとなる。故に、当該流動層反応器1では、流動層12は、供給区域16側の表面の位置が低く、反応区域18側の表面の位置が高くなるよう保持されている。実際には、供給区域16側の表面の位置は、同図に示すように最終的に仕切壁14の下端位置近傍となる。
また、流動層12の高温の粒子の一部及び固体反応物の残留チャー等についてはハウジング10の外部に一旦排出して外部循環させるようにしてもよいが(可選)、ここではその詳細については説明を省略する。
この場合、上述したように固体反応物供給口20は固体反応物をハウジング10内のうち供給区域16側の流動層12の表面上に供給するよう構成されており、また供給区域16では圧力が反応区域18の圧力P1より高い所定圧P2であって流動層12の表面が下がっているため、固体反応物の供給は流動層12内ではなく流動層12の表面上に上方から投下する形となる。つまり、固体反応物については流動層12内にガス搬送したり押し込んだりすることなく容易にハウジング10内に供給される。
このとき、上述したように供給区域16側での流動層12の表面の位置は仕切壁14の下端位置近傍にあり、反応区域18側での流動層12の表面の位置は供給区域16側での表面の位置よりも高くなっているため、反応区域18側から見れば供給区域16側の流動層12の表面は流動層12内に位置することとなり、固体反応物は上記差圧により反応区域18側に移動することで必然的に流動層12内に混入することとなる。
このように、本発明に係る流動層反応器によれば、固体反応物を流動層12の層内圧及び流動変動による抵抗を受けることなく流動層12内に確実に供給することができ、簡単な構成でありながら、固体反応物と流動層12との接触の機会を増やし、固体反応物の熱分解ガス化を促進することができる。
次に第2実施例を説明する。
図2を参照すると、本発明の第2実施例に係る流動層反応器の概略構成図が示されている。
図2に示すように、当該第2実施例では、例えば六面体からなるハウジング10の当該六面体のうち上壁10bの内面から流動層反応器1の内部空間を下方に向け延びて仕切壁114が形成されている。
仕切壁114を上壁10bから真直ぐ下方に形成すると、上記第1実施例の場合には供給区域16を極力小さくできる一方、反応区域18内の仕切壁14の上方部分において流動する粒子の止まりが生じるおそれがあるのであるが、このような粒子の止まりの発生が防止される。
次に第3実施例を説明する。
図3を参照すると、本発明の第3実施例に係る流動層反応器の概略構成図が示されている。
図3に示すように、当該第3実施例では、例えば六面体からなるハウジング10の当該六面体のうち上壁10bの内面から流動層反応器1の内部空間を斜め下方に向け延びて仕切壁214が形成されている。
供給区域16が徐々に拡開するように仕切壁214を上壁10bから斜め下方に形成すると、上記第1実施例の場合と同様に供給区域16が極力小さく反応区域18が極力大きくされるとともに、上記第2実施例の場合と同様に粒子の止まりの発生が防止される。
次に第4実施例を説明する。
第4実施例では、その構成は基本的には上記第1乃至第3実施例の場合と同様であり、ここでは第1乃至第3実施例と異なる部分についてのみ説明する。
図4に示すように、当該第4実施例では、上記第3実施例の場合と同様に、例えば六面体からなるハウジング10の当該六面体のうち上壁10bの内面から流動層反応器1の内部空間を斜め下方に向け延びて仕切壁314が形成されている。
仕切壁314に貫通孔316が設けられていると、供給区域16で生成された生成ガスを反応区域18のフリーボードへ排出可能となり、上記第1乃至第3実施例の効果に加え、供給区域16で生成された生成ガスをも良好に取り出すことができる。
例えば、上記実施形態では、固体反応物を常圧のもとでハウジング10内に供給するようにしているが、常圧より高い所定圧P3(例えば、P3>P1>常圧)の圧力のもとで固体反応物を供給するようにしてもよい。このようにすれば、当該所定圧P3の圧力を利用して容易に供給区域16内の圧力を所定圧P2まで高めることが可能である。
10 ハウジング(外殻)
10a 側壁(側面)
10b 上壁(上面)
12 粒子流動層
14、114、214、314 仕切壁
16 一方の空間(供給区域)
18 他方の空間(反応区域)
20 固体反応物供給口
Claims (4)
- 粒子流動層に供給した固体反応物を所定化学反応によって生成ガスを生成して外部に取り出す流動層反応器であって、
前記粒子流動層を収容する外殻と、
該外殻の上部から該外殻内の空間を下方に向けて延び、該外殻内の空間を下端側が開放端となるよう仕切る仕切壁と、
該仕切壁により仕切られた一方の空間側の外殻の上部を貫通して設けられ、前記固体反応物を前記外殻内のうち該一方の空間側の前記粒子流動層の表面上に供給する固体反応物供給口とを備え、
前記粒子流動層を該粒子流動層の表面が前記仕切壁の下端よりも上方に位置するよう前記外殻内に収容し、
前記固体反応物供給口の設けられた前記一方の空間の圧力を前記固体反応物の供給後に該固体反応物供給口を閉じることで他方の空間の圧力以上に保持することを特徴とする流動層反応器。 - 前記外殻は上面と側面とを有し、
前記仕切壁は、前記側面の上部から前記外殻内の空間を下方に向けて延びていることを特徴とする、請求項1記載の流動層反応器。 - 前記外殻は上面と側面とを有し、
前記仕切壁は、前記上面から前記外殻内の空間を下方に向けて延びていることを特徴とする、請求項1記載の流動層反応器。 - 前記仕切壁は、該仕切壁の下端に向けて前記一方の空間が徐々に拡開するよう前記外殻の上部から斜め下方に向けて延びていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか記載の流動層反応器。
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