JP5318161B2 - ベアリング診断装置及びベアリング診断方法 - Google Patents
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Description
(1)ベアリングが発錆しても、すぐには検出できず、錆が大きく進行した結果、動作不良が発生し、又は、駆動トルクが増大しなければ、ベアリングの状態を把握することはできない。
(2)ベアリングのグリスが劣化すると、ベアリングの発錆が急激に進行するが、その進行の度合いは断路器の設置環境に応じて大きく異なる。このような状態は、断路器を操作する際に不動作となって初めて判明する。
(3)断路器のベアリングの発錆状態を外部から診断する手法はなく、分解点検が唯一の診断方法であるが、それを行うには長時間の停電及び高額な費用が必要なので、一般的に分解点検は実施されていない。
(4)錆が大きく進行した場合であっても、一度動作させると一時的にベアリングが回転するようになるため、断路器の動作不良や駆動トルクの増大の状態が一旦解消するので、不調原因が分からなくなることが多いのが実情である。
なお、特許文献1は、フォークリフトのマスト装置において、ベアリングローラの発錆や、レールとベアリングローラの金属同士の打音等の不具合をなくすための技術が開示されており、ベアリングの発錆状態を把握するものではない。
この構成によれば、周波数分析結果に基づいて、所定値以下の周波数域(低周波数域)の振幅の、全周波数域の振幅に対する割合(低周波成分比率)を計算し、出力する。これによれば、断路器が動作する度に中間信号の低周波成分比率を把握することができるので、ベアリングの発錆を早期に検出することができる。
この構成によれば、周波数分析結果に基づいて、第1の所定値以下の周波数域(低周波数域)の振幅の、第2の所定値(>第1の所定値)以上の周波数域(高周波数域)の振幅に対する割合(低周波成分比率)を計算し、出力する。これによれば、断路器が動作する度に中間信号の低周波成分比率を把握することができるので、ベアリングの発錆を早期に検出することができる。
この構成によれば、ベアリング診断装置が低周波成分比率の閾値を用いて、断路器のベアリングが錆びているか否かを判定し、出力する。これによれば、ベアリングの発錆に関する判定結果を知ることができる。そして、閾値を調整することにより、錆の程度に応じた判定結果を取得できる。例えば、ベアリングが少しでも錆びていることを知りたいときには、閾値を小さい値に設定すればよい。
この構成によれば、断路器のメーカー及び機種ごとに低周波成分比率の閾値を記憶するので、断路器に応じて閾値を変更することにより、ベアリングの発錆を精度よく検出することができる。
図1は、断路器1の構成を示す図である。図1(a)は、断路器1全体の構成を示す。断路器1は、水平2点切気中断路器であり、架台2、操作箱3、操作ロッド4、リンク機構5、ベース6、駆動装置7、スラストベアリング8、回転がいし9、支持がいし10、ブレード11、固定接触部12、端子取付部13、ブレードコンタクト14、フィンガコンタクト15及び捻回機構16を備える。
図2はベアリング診断装置40及びその周辺の構成を示す図であり、図2(a)はスラストベアリング8の縦断面図及びベアリング診断装置40のハードウェア構成図であり、図2(b)はスラストベアリング8の横断面図である。
図3は、ベアリング診断装置40の記憶部45に記憶されるデータの構成を示す図である。記憶部45には、ベアリング21の発錆診断の処理用として、連続信号データ451、中間信号データ452、周波数分析データ453及び低周波成分比率454が記憶される。連続信号データ451は、断路器1が入動作(投入動作)又は切動作(遮断動作)を行っている間の連続振動信号を示すデータである。中間信号データ452は、連続信号データ451から、断路器1の動作時間の初期及び終期のデータを除去し、ベアリング21による振動信号だけを抽出したデータである。周波数分析データ453は、中間信号データ452を周波数分析した結果であり、中間信号データ452における振動信号の、周波数と、振幅との関係を示すデータである。低周波成分比率454は、周波数分析データ453に基づいて計算した、全体の振動成分に対する低周波成分(錆びによるいわゆるゴロゴロ音)の比率を示す数値である。例えば、周波数と、振幅との関係を示す曲線(図6参照)に関して、全周波数域における振幅の積分値に対する、所定値以下の周波数域における振幅の積分値の割合を計算する。なお、低周波成分の割合を評価できればよいので、高周波成分に対する低周波成分の比率を示す数値を設定してもよい。
図4は、ベアリング診断装置40の処理を示すフローチャートである。本処理は、ベアリング診断装置40において、主として処理部44が、信号受信部41により振動センサ30の出力信号を受信し、その信号データを記憶部45に格納し、処理し、評価することにより、ベアリングの劣化(発錆)状態を把握するものである。
図7は、ベアリング21の振動成分による良否判定の検証結果を示す図である。図7(a)は、正常なベアリング21を使用した測定結果を示す。表の数値は、0〜200Hz(低周波域、第1の所定値以下の周波数域)の各範囲における振幅の平均値の、200〜800Hz(高周波域、第2の所定値以上の周波数域)における振幅の平均値に対する割合(振動倍率)を示す。例えば、0〜3Hzにおける振幅の平均値の割合は、6.38倍であった。
(1)ベアリング21の発錆が早期に分かるため、その発錆が原因となるトラブルを防止できるので、断路器1の信頼度が向上し、トラブル対応に必要な費用が抑えられる。
(2)ベアリング21の劣化度合が、低周波成分比率454という数値で出力されるので、その数値に基づいて、ベアリング21を交換すべき時期を予め推定することにより、計画的な断路器1の保全や更新が可能となる。
(3)ベアリング21を包容するハウジング20を分解することなくベアリング21の診断が可能であり、診断時間も短時間で済むことにより、点検コストの低減及び点検に必要な停電時間の短縮が可能である。
(4)ベアリング21の劣化は断路器1の設置環境に大きく左右され、22年を大きく超過しても錆の発生がないこともある。そこで、断路器1の設備更新を行う際に、ベアリング21の錆が発生していないと判断したときには、断路器1の導電部だけの取替えで済むこともあるので、設備投資額が大きく抑制できる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
20 ハウジング(筐体)
21 ベアリング
30 振動センサ
40 ベアリング診断装置
44 処理部
45 記憶部
451 連続信号データ(振動信号)
452 中間信号データ(中間信号)
453 周波数分析データ(周波数分析結果)
454 低周波成分比率
Claims (10)
- 断路器のベアリングの発錆状態を診断するためのベアリング診断装置であって、
前記断路器が動作する時間において、前記断路器の動作に伴って発生する振動信号を取得する手段と、
前記取得した振動信号から、前記断路器が動作する時間のうち、開始直後の所定時間及び終了直前の所定時間における前記振動信号を除外した中間信号を抽出する手段と、
前記抽出した中間信号を周波数分析し、当該振動信号における、周波数と、振幅との関係を周波数分析結果として取得し、出力する手段と、
を備えることを特徴とするベアリング診断装置。 - 請求項1に記載のベアリング診断装置であって、
前記取得した周波数分析結果に基づいて、所定値以下の周波数域の振幅の、全周波数域の振幅に対する割合を低周波成分比率として計算し、出力する手段
をさらに備えることを特徴とするベアリング診断装置。 - 請求項1に記載のベアリング診断装置であって、
前記取得した周波数分析結果に基づいて、第1の所定値以下の周波数域の振幅の、第2の所定値以上の周波数域の振幅に対する割合を低周波成分比率として計算し、出力する手段
をさらに備えることを特徴とするベアリング診断装置。 - 請求項2又は請求項3に記載のベアリング診断装置であって、
前記計算した低周波成分比率が所定の閾値以上か否かに応じて、前記ベアリングが発錆状態にあるか否かを判定し、その判定した結果を出力する手段
をさらに備えることを特徴とするベアリング診断装置。 - 請求項4に記載のベアリング診断装置であって、
前記所定の閾値を、前記断路器のメーカー及び機種ごとに記憶する手段
をさらに備えることを特徴とするベアリング診断装置。 - コンピュータにより、断路器のベアリングの発錆状態を診断するためのベアリング診断方法であって、
前記コンピュータは、
前記断路器が動作する時間において、前記断路器の動作に伴って発生する振動信号を取得するステップと、
前記取得した振動信号から、前記断路器が動作する時間のうち、開始直後の所定時間及び終了直前の所定時間における前記振動信号を除外した中間信号を抽出するステップと、
前記抽出した中間信号を周波数分析し、当該振動信号における、周波数と、振幅との関係を周波数分析結果として取得し、出力するステップと、
を実行することを特徴とするベアリング診断方法。 - 請求項6に記載のベアリング診断方法であって、
前記コンピュータは、
前記取得した周波数分析結果に基づいて、所定値以下の周波数域の振幅の、全周波数域の振幅に対する割合を低周波成分比率として計算し、出力するステップ
をさらに実行することを特徴とするベアリング診断方法。 - 請求項6に記載のベアリング診断方法であって、
前記コンピュータは、
前記取得した周波数分析結果に基づいて、第1の所定値以下の周波数域の振幅の、第2の所定値以上の周波数域の振幅に対する割合を低周波成分比率として計算し、出力するステップ
をさらに実行することを特徴とするベアリング診断方法。 - 請求項7又は請求項8に記載のベアリング診断方法であって、
前記コンピュータは、
前記計算した低周波成分比率が所定の閾値以上か否かに応じて、前記ベアリングが発錆状態にあるか否かを判定し、その判定した結果を出力するステップ
をさらに実行することを特徴とするベアリング診断方法。 - 請求項9に記載のベアリング診断方法であって、
前記コンピュータは、
前記所定の閾値を、前記断路器のメーカー及び機種ごとに記憶するステップ
をさらに実行することを特徴とするベアリング診断方法。
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